説明

インクジェット方式による材料パターン形成方法

【課題】本発明の目的は、微細な線幅制御性の良い矩形な材料パターンが得られるインクジェット方式による材料パターン形成方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、化学増幅型ノボラック樹脂組成物からレジストモールドパターンを形成し、該レジストモールドパターン内に金属材料または有機材料をインクジェット方式によって塗布する材料パターン形成方法を提供する。
本発明のインクジェット方式による材料パターン形成方法は、微細な線幅制御性の良い矩形な材料パターンが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式によって塗布される材料のパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体分野で主に用いられているフォトリソグラフィ技術では露光工程を経て形成されたパターン、即ちレジストをマスクにして下地膜のエッチングを行うことで不要な領域を除去でき、所望の領域に下地膜を残すことができる。しかしながら、下地膜をエッチングする薬液ならびエッチングガスを選定するにあたってマスク材料となるレジストの耐久性、レジストへのダメージ(膜べり)等の課題があり、必ずしも下地膜すべてにわたってエッチングができるとは限らない。そのために金属膜のパターンを形成する際にはめっき法を用いるが、導電層をあらかじめ形成する必要がありプロセスが複雑となる。また、めっき法は金属膜形成に限定されるプロセスであり応用範囲が極めて限定される。めっき法に代わる技術手法としてインクジェット法やディスペンス法を用いて金属酸化物超微粒子分散体を基板上に直接配線パターンを形状に塗布する(インクジェット直描)ことによって金属配線を形成することができる。その他の応用例として有機EL (electro-luminescence)ディスプレイの赤色・青色・緑色発光層の形成方法としてインクジェット法を用いて高分子系の有機材料を塗布した内容が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
インクジェット方式によって、金属材料または有機材料等を塗布するパターン形成方法の課題として微細パターンが形成できない、パターン崩れに相当するパターン形状の維持ができない等があげられる。パターン崩れについては線幅制御性に留まらず金属配線として用いた場合には信頼性(エレクトロマイグレーション)にも影響を及ぼす。
【特許文献1】特開平2004-355995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、微細な線幅制御性の良い矩形な材料パターンが得られるインクジェット方式による材料パターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
(1) 化学増幅型ノボラック樹脂組成物からレジストモールドパターンを形成し、該レジストモールドパターン内に金属材料または有機材料をインクジェット方式によって塗布する材料パターン形成方法。
(2) 化学増幅型ノボラック樹脂組成物が、(A)一般式(I)
【0006】
【化3】

【0007】
(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、RとRが、隣接する炭素原子と一緒になってシクロアルキルを形成してもよく、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、nは1〜3の整数を表す)で表される構造単位を有する重合体A、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物および(C)有機溶剤を含有する(1)記載の材料パターン形成方法。
(3) 重合体Aにおいて、一般式(I)で表される構造単位および一般式(II)
【0008】
【化4】

【0009】
(式中、R、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される構造単位を有し、一般式(I)で表される構造単位が、一般式(I)で表される構造単位および一般式(II)で表される構造単位の総和の3〜70モル%である(2)記載の材料パターン形成方法。
(4) 重合体Aにおいて、R、RおよびRがアルキルであり、Rがアルキルであり、RおよびRがともに水素原子であり、nが1である(2)または(3)記載の材料パターン形成方法。
(5) 化学増幅型ノボラック樹脂組成物を基板上に塗布する工程、化学増幅型ノボラック樹脂組成物を基板上に塗布後にプリベーク処理する工程、所望のパターンが描かれているマスクを介して露光処理を行う工程、露光後にベーク処理を行う工程、現像処理によって所望のレジストモールドパターンを形成する工程ならびに現像処理によって形成されたレジストモールド内にインクジェット方式によって金属材料および有機材料を塗布し材料パターンを形成する工程を含む(1)〜(4)のいずれかに記載の材料パターン形成方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、微細な線幅制御性の良い矩形な材料パターンが得られるインクジェット方式による材料パターン形成方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、一般式(I)で表される構造単位を有する重合体を、重合体(A)と表現することもある。また、重合体(A)中、一般式(I)で表される構造単位および一般式(II)で表される総和に対して、一般式(I)で表される構造単位が占める割合を、置換率Aモル%と表現することもある。
一般式中の各基の定義において、アルキルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1〜18のアルキルがあげられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル等があげられるが、中でも、炭素数1〜6のアルキルが好ましく、さらには炭素数1〜3のアルキルがより好ましい。
【0012】
とRが隣接する炭素原子と一緒になって形成するシクロアルキルとしては、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキルがあげられ、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
アリールとしては、例えば、炭素数6〜14のアリールがあげられ、具体的には、フェニル、ナフチル等があげられる。
【0013】
アラルキルとしては、例えば、炭素数7〜15のアラルキルがあげられ、具体的には、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等があげられる。
置換アルキルの置換基としては、例えば、アルコキシ、アルカノイル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる。アルコキシおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分は、前記のアルキルと同義である。アルカノイルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1〜7のアルカノイルがあげられ、具体的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等があげられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子があげられる。
【0014】
置換アリールおよび置換アラルキルの置換基としては、例えば、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる。ここで、アルキル、アルコキシおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分、アルカノイルならびにハロゲン原子は、それぞれ前記と同義である。
重合体Aにおいて、R、RおよびRがアルキルであり、Rがアルキルであり、RおよびRがともに水素原子であり、nが1であるのが好ましい。
【0015】
重合体Aは、例えば、一般式(II)で表される構造単位を有する重合体と対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物とを反応させることにより得ることができる。
一般式(II)の構造単位を含有する重合体中のヒドロキシル基と、対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物の当量比(モル比)は、1:0.03〜1:2であるのが好ましい。
【0016】
反応温度は、0〜150℃であるのが好ましく、さらには0〜100℃であるのが好ましく、さらには0〜50℃であるのがより好ましい。
反応の際、酸触媒を使用してもよく、該酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等があげられ、中でも、p−トルエンスルホン酸が好ましい。該酸触媒は、2種以上組み合わせて用いてもよい。該酸触媒の使用量は、特に限定されないが、一般式(I)の構造単位を含有する重合体中のヒドロキシル基に対して、0.0001〜0.5当量(モル比)であるのが好ましく、0.001〜0.1当量(モル比)であるのがより好ましい。
【0017】
また、反応の際に、必要に応じて有機溶媒を使用してもよい。該有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等があげられ、これらは、1種でまたは2種以上混合して用いてもよい。
一般式(II)の構造単位を含有する重合体は、その多くは市販品として入手可能であるが、例えば、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等のフェノール類と、例えば、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラル、アセトアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等)の存在下、重縮合して製造してもよい。前記のフェノール類およびアルデヒド類はそれぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
対応するアルケニルエーテルの具体例としては、例えば、1−メトキシ−2−メチルプロペン、1−エトキシ−2−メチルプロペン、1−プロポキシ−2−メチルプロペン、1−イソプロポキシ−2−メチルプロペン、1−ブトキシ−2−メチルプロペン、1−イソブトキシ−2−メチルプロペン、1−(tert−ブトキシ)−2−メチルプロペン、1−ペンチルオキシ−2−メチルプロペン、1−イソペンチルオキシ−2−メチルプロペン、1−ネオペンチルオキシ−2−メチルプロペン、1−(tert−ペンチルオキシ)−2−メチルプロペン、1−ヘキシルオキシ−2−メチルプロペン、1−イソヘキシルオキシ−2−メチルプロペン、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−メチルプロペン、1−ヘプチルオキシ−2−メチルプロペン、1−オクチルオキシ−2−メチルプロペン、1−ノニルオキシ−2−メチルプロペン、1−デカニルオキシ−2−メチルプロペン、1−ドデカニルオキシ−2−メチルプロペン、1−オクタデカニルオキシ−2−メチルプロペン、1−メトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−エトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−プロポキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソプロポキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ブトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソブトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−(tert−ブトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−ペンチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソペンチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ネオペンチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−(tert−ペンチルオキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−ヘキシルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソヘキシルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−ヘプチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−オクチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ノニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−デカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ドデカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−オクタデカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−メトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−エトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−プロポキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソプロポキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ブトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソブトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(tert−ブトキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−ペンチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソペンチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ネオペンチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(tert−ペンチルオキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−ヘキシルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソヘキシルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−ヘプチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−オクチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ノニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−デカニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ドデカニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−オクタデカニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(2−メトキシエトキシ)−2−メチルプロペン、1−(2−エトキシエトキシ)−2−メチルプロペン、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−メチルプロペン、1−(2−メトキシエトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−(2−エトキシエトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−(2−メトキシエトキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−(2−エトキシエトキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−エチル−1−ブテン等があげられる。対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物は、1種でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
置換率Aモル%は、3〜70モル%であるのが好ましく、さらには5〜60モル%であるのが好ましい。3モル%以上になると、ネガ型のパターンがより得られやすく、70モル%以下になると、基板への付着性がより向上し、良好なパターンが得られる。
放射線の照射により酸を発生する化合物としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミノまたはイミド型光酸発生剤、ベンゾインスルホネート型光酸発生剤、ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤、スルホン型光酸発生剤、グリオキシム誘導体型の光酸発生剤等があげられ、中でも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミノまたはイミド型光酸発生剤等が好ましい。これらは単独でまたは2種以上にて混合して用いることができる。放射線としては、例えば、電子線、EUV(Exrtreme-ultra Violet)エキシマレーザー、DUV(Deep-ultra Violet)エキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、g線、h線、i線等の近紫外線、可視光、遠赤外線等をあげることができる。
【0020】
スルホニウム塩は、スルホニウムカチオンとスルホネートの塩である。スルホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル−2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等があげられる。スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等があげられる。
【0021】
ヨードニウム塩は、ヨードニウムカチオンとスルホネートの塩である。ヨードニウムカチオンとしては、例えば、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオン等があげられる。スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等があげられる。
【0022】
スルホニルジアゾメタンとしては、例えば、ビス(エチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(パーフルオロイソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、(4−メチルフェニル)スルホニルベンゾイルジアゾメタン、(tert−ブチルカルボニル)−(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、(2−ナフチルスルホニル)ベンゾイルジアゾメタン、(4−メチルフェニルスルホニル)−(2−ナフトイル)ジアゾメタン、メチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、(tert−ブトキシカルボニル)−(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン、スルホニルカルボニルジアゾメタン等があげられる。
【0023】
N−スルホニルオキシイミノ型光酸発生剤としては、例えば、[5−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)−5H−チオフェン−2−イリデン]−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(CGI−1397 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、(5−カンファースルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(9−カンファースルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンゼンアセトニトリル、α−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)ベンゼンアセトニトリル、α−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンゼンアセトニトリル等があげられる。
【0024】
N−スルホニルオキシイミド型光酸発生剤としては、例えば、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボン酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボン酸イミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸イミド等のイミド骨格とトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等の組み合わせからなる化合物等があげられる。
【0025】
ベンゾインスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレート、ベンゾインブタンスルホネート等があげられる。
ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、ピロガロール、フロログリシン、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等のヒドロキシル基の全てをトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等で置換した化合物等があげられる。
【0026】
ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、2,4−ジニトロベンジルスルホネート、2−ニトロベンジルスルホネート、2,6−ジニトロベンジルスルホネート等があげられ、スルホネートとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等があげられる。またベンジル側のニトロ基をトリフルオロメチル基で置き換えた化合物も同様に用いることができる。
【0027】
スルホン型光酸発生剤としては、例えば、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)メタン、2,2−ビス(フェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(2−ナフチルスルホニル)プロパン、2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−(シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等があげられる。
【0028】
グリオキシム誘導体型の光酸発生剤としては、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキシルスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等があげられる。
【0029】
本発明で使用される化学増幅型ノボラック樹脂組成物において、放射線の照射により酸を発生する化合物の含有量としては、重合体(A)100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.3〜10重量部がより好ましい。上記放射線の照射により酸を発生する化合物は単独でまたは2種以上混合して用いてもよい。
さらに、本発明で使用される化学増幅型ノボラック樹脂組成物は、光増感剤、例えば、アントラセン類、アントラキノン類、クマリン類、ピロメテン類等の色素を必要に応じて、含有していてもよい。
【0030】
本発明で使用される化学増幅型ノボラック樹脂組成物に含有される有機溶剤としては、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール−tert−ブチルエーテルメチルエーテル(1−tert−ブトキシ−2−メトキシエタン)、エチレングリコール−tert−ブチルエーテルエチルエーテル(1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン)等の直鎖または分枝状のエーテル類、ジオキサン等の環状エーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、β−メトキシイソ酪酸メチル等のエステル類、キシレン、トルエン等の芳香族系溶剤等があげられる。これらの中では、レジスト成分の溶解性、安全性が優れているプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましく使用される。なお、上記有機溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。その含有量は、本発明で使用される化学増幅型ノボラック樹脂組成物0.1〜80重量%であるのが好ましい。
【0031】
さらに本発明で使用される化学増幅型ノボラック樹脂組成物は、例えば、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、酢酸フェニルセロソルブ等の高沸点溶剤を含有していてもよい。
【0032】
本発明で使用される化学増幅型ノボラック樹脂組成物は、塩基性化合物を含有してもよい。塩基性化合物の配合により、例えば、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度がより向上し、露光後の感度変化が抑制されたり、基板や環境依存性が少なくなり、露光余裕度やパターンプロファイル等がより向上する。
塩基性化合物としては、例えば、第一級、第二級または第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等があげられる。
【0033】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類としては、トリエタノールアミン、トリス(2−メトキシエチル)アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリsec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が例示される。
【0034】
混成アミン類の具体例としては、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
芳香族アミン類および複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン等)、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0035】
さらに、カルボキシル基を有する含窒素化合物としては、例えば、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸またはアミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン等)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物としては、例えば、3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物等またはアルコール性含窒素化合物としては、例えば、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−キヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0036】
塩基性化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、重合体(A)100重量部に対して0.01〜5重量部であるのが好ましく、0.01〜2重量部であるのがより好ましい。
本発明で使用される化学増幅型ノボラック樹脂組成物は、塗布性を向上させるため、界面活性剤を含有していてもよい。
【0037】
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352(いずれもトーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F172、F173(いずれも大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、FC431(いずれも住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、サーフィノールE1004,KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(いずれも旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341、X−70−092、X−70−093(いずれも信越化学工業社製)、アクリル酸系またはメタクリル酸系ポリフローNo.75、No.95(いずれも共栄社油脂化学工業社製)等があげられる。界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、重合体(A)100重量部に対して0.01〜2重量部であるのが好ましく、0.1〜1重量部であるのがより好ましい。
【0038】
本発明で使用される化学増幅型ノボラック樹脂組成物は、解像度をより向上させるために、溶解阻止剤を含有していてもよい。
溶解阻止剤としては、分子内にフェノール性ヒドロキシル基を2つ以上有する化合物の該フェノール性ヒドロキシル基の水素原子がtert−ブチル、tert−ブトキシカルボニル、ブトキシカルボニルメチル、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、エトキシエチル、エトキシプロピル等の酸不安定基により全体として平均10〜100モル%の割合で置換された化合物が好ましい。前記の化合物の重量平均分子量は、100〜1,000であるのが好ましく、150〜800であるのがより好ましい。溶解阻止剤の配合量は、重合体(A)100重量部に対して0.01〜50重量部であるのが好ましく、5〜40重量部であるのがより好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0039】
溶解阻止剤としては、例えば、ビス[4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス[4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン、4,4−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、トリス[4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]メタン、トリス[4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、トリス[4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル]メタン、トリス[4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]メタン、1,1,2−トリス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]エタン等があげられる。
【0040】
本発明で使用される化学増幅型ノボラック樹脂組成物は、必要に応じて、ハレーションの防止等を目的として、紫外線吸収剤、例えば、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−アミノ−3−メチル−1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4’−エトキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノアゾベンゼン、クルクミン、1,7−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン、5−ヒドロキシ−4−(4−メトキシフェニルアゾ)−3−メチル−1−フェニルピラゾール等を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、重合体(A)100重量部に対して0.01〜2重量部であるのが好ましく、0.01〜1重量部であるのがより好ましい。
【0041】
さらに、本発明で使用される化学増幅型ノボラック樹脂組成物は、必要に応じて保存安定剤、消泡剤等を含有していてもよい。
本発明に使用される金属材料としては、例えば、金属酸化物超微粒子分散体(配線、ガス感応膜材料等)、誘電体材料(ゾル・ゲル材料等)等があげられる。
本発明に使用される有機材料としては、例えば、有機ELディスプレイの赤色・青色・緑色発光材料[発光材料インク(Dow社製Green-K)等]、有機TFT (Thin Film Transistor)材料、導電性高分子材料、イオン伝導体材料、有機−無機ハイブリッドイオン伝導材料等があげられる。
【0042】
本発明の材料パターン形成方法について、以下に例を示す。
まずは、シリコン、ガラス等の無機材料基板または有機材料基板上にインクジェット方式によって、金属材料または有機材料を塗布するために必要なレジストモールドを形成する。具体的には、例えば、一般式(I)で表される構造単位を有する重合体、放射線の照射により酸を発生する化合物、有機溶剤および必要に応じて、塩基性化合物等を均一に溶かして得られる溶液をスピンナー、スリットコーター等で塗布し、塗膜を形成する(化学増幅型ノボラック樹脂組成物を基板上に塗布する工程)。次いで、この塗膜が形成された基板を60〜140℃程度で加熱乾燥(プリべーク処理)して感光層を形成させる(化学増幅型ノボラック樹脂組成物を基板上に塗布後にプリベーク処理する工程)。次いで放射線を発光する光源、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ等を用い、所望のマスクパターンを介して選択的露光を行う(所望のパターンが描かれているマスクを介して露光処理を行う工程)。露光後に、70〜140℃で加熱処理をし(露光後にベーク処理を行う工程)、得られたレジスト被覆基板をアルカリ現像に付することにより、例えば、該基板に1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液のようなアルカリ性水溶液をカーテンフロー方式等により塗布するか、または該基板をアルカリ現像液に浸漬等し、洗浄、乾燥することにより、モールドレジストパターンを形成することができる(現像処理によって所望のレジストモールドパターンを形成する工程)。なお、アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン、ピロール、ピペリジン等を水に溶解して得られるアルカリ性水溶液等が使用される。また該現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類や界面活性剤を適量添加して使用することもできる。
【0043】
現像処理によって形成されたレジストモールド内にインクジェット方式によって金属材料または有機材料を塗布し材料パターンを形成することができる(レジストモールド内にインクジェット方式によって金属材料ならび有機材料を塗布し材料パターンを形成する工程)。
有機ELディスプレイの赤色・青色・緑色発光層を本発明の材料パターン形成方法にて形成する場合には染料または顔料等の着色剤と熱処理または光照射のエネルギー付与により硬化する樹脂を含有する硬化型着色樹脂組成物を用い熱処理または光照射にて硬化させ発光層が形成される。具体的には熱硬化性樹脂としてはメラニン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等があげられ、光硬化性樹脂組成物としては市販のネガレジストが好ましく用いられる。また、金属配線を本発明の材料パターン形成方法にて形成する場合には特開平2005−211732号公報等に記載されている方法により、酸化第一銅分散体を用いUV照射および加熱処理を行うことで銅配線が得られる。
【0044】
以下、参考例および実施例により、本発明の材料パターン形成について、具体的に説明する。
参考例における原料の転化率および目的物への選択率は、ガスクロマトグラフィー分析による定量により求めた。該定量においては、島津製作所株式会社製GC−14Aを用い、カラムとしてはヒューレット・パッカード社製INNOWAX(長さ30m、径0.25mm)を用いた。試料のインジェクション温度および検出器温度はいずれも200℃であり、カラム温度を50℃から200℃まで10℃/分で昇温することにより分析を行った。ガスクロマトグラフィー分析後の定量は、絶対検量法により行った。
【0045】
参考例で製造された樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。
(GPC条件)
カラム:TSKgel G4000H、G2000H、GMH[いずれも東ソー(株)製]を直列につないだ。
カラム保持温度: 40℃
移動相: テトラヒドロフラン(流速1.0ml/分)
検出器:RI
標準物質: ポリスチレン
[参考例1]攪拌機、冷却管および温度計を装着したフラスコに、メチルイソブチルケトン103g、m−クレゾール/p−クレゾール=6/4(モル比)からなるノボラック樹脂(EP−4000B、旭有機材工業(株)製、重量平均分子量は3,400)18.2gを仕込み、室温で溶解させた。溶解後、1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパン19.2gを加えた後、トリエチルアミン32.1gを30分で滴下して加え、滴下終了後、2時間反応を行った。
【0046】
反応後、水洗、減圧乾燥することにより目的とする樹脂(P−1)23.6gを得た。H−NMR分析より、置換率Aモル%は50モル%であった。
[参考例2]参考例1と同様の装置を用いて、メチルエチルケトン150g、m−クレゾール/p−クレゾール=6/4(モル比)からなるノボラック樹脂(EP−4000B、旭有機材工業(株)製、重量平均分子量は3,400)30.0gを仕込み、室温で溶解させた。溶解後、1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパン17.0gを加えた後、トリエチルアミン16.7gを30分で滴下して加え、滴下終了後、2時間反応を行った。
【0047】
反応後、中和、水洗、減圧乾燥することにより目的とする樹脂(P−2)33.5gを得た。H−NMR分析より、置換率Aモル%は18モル%であった。
[参考例3]参考例1と同様の装置を用いて、メチルエチルケトン150g、m−クレゾール/p−クレゾール=6/4(モル比)からなるノボラック樹脂(EP−4050G、旭有機材工業(株)製、重量平均分子量は6,700)30.0gを仕込み、室温で溶解させた。溶解後、1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパン6.0gを加えた後、トリエチルアミン6.5gを30分で滴下して加え、滴下終了後、2時間反応を行った。
【0048】
反応後、中和、水洗、減圧乾燥することにより目的とする樹脂(P−3)31.0gを得た。H−NMR分析より、置換率Aモル%は5モル%であった。
[参考例4]攪拌機、冷却管および温度計を装着したセパラブルフラスコに、 m−クレゾール 123.2g、3,5−キシレノール 52.2g、37重量%ホルムアルデヒド水溶液130.3gおよび シュウ酸二水和物 0.731gを仕込み、セパラブルフラスコを油浴に浸し、内温を100℃に保ち、攪拌しながら40分間重縮合を行った後、 m−クレゾール 27.9gおよび 3,5−キシレノール 13.1gを加え、さらに100分間重縮合を行い、樹脂を合成した。反応後、油浴の温度を180℃まで上げ、同時に反応容器内の圧力を30〜40mmHgまで減圧し、水、シュウ酸、ホルムアルデヒド、m−クレゾール、3,5−キシレノール等を除去した。次いで、溶融した樹脂を室温に戻して回収した。この樹脂を、エチルセロソルブアセテートに固形分が20重量%となるよう溶解したのち、樹脂溶液の重量に対し、2倍量のメタノールおよび等量の水を加えて、攪拌、放置した。2層に分離したのち、樹脂溶液(下層)を取り出し、濃縮・脱水・乾燥して樹脂を回収した。得られた樹脂の重量平均分子量は9,100であった。得られた樹脂10gおよび1−クロロ−1−n−プロポキシ−2−メチルプロペン10.4gを用いて、参考例1と同様の方法で反応させ、目的とする樹脂(P−4)13.1gを取得した。H−NMR分析より、置換率Aモル%は39モル%であった。
[参考例5]
参考例1で得られた樹脂(P−1)に、以下の表1のように光酸発生剤および有機溶剤を配合し、組成物1を調製した。表1中の重量は、樹脂溶液としての重量である。
[参考例6]
参考例2で得られた樹脂(P−2)に、以下の表1のように光酸発生剤および有機溶剤を配合し、組成物2を調製した。
[参考例7]
参考例3で得られた樹脂(P−3)に、以下の表1のように光酸発生剤および有機溶剤および塩基性化合物を配合し、組成物3を調製した。
[参考例8]
参考例4で得られた樹脂(P−4)に、以下の表1のように光酸発生剤および有機溶剤および塩基性化合物を配合し、組成物4を調製した。
【0049】
【表1】

【0050】
[参考例9]トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製)0.4gに重合開始剤のベンジル ジメチルケタール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3mgを加え遮光下、室温で完全に溶解するまで攪拌した。さらに(2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン(新中村化学社製)0.6gを加え、遮光下、室温で完全に溶解するまで攪拌し、組成物5を調製した。
【実施例1】
【0051】
参考例5〜8で得られた組成物1〜4を、それぞれ0.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、レジストモールド材料として使用した。4インチのシリコンウェハーに、スピンコーター(回転数:1000rpm、30秒)で、レジストモールド材料(組成物1〜4)を塗布し、ホットプレート(100℃、5分)で前乾燥(プリベーク処理)を行う。次にマスクアライナー(ズース・マイクロテック社製MA−4)を用いて、露光波長としてi線を用いマスクを介して露光した。露光後に、ホットプレート(120℃、2分)で後乾燥(ベーク処理)した後、2.38%のTMAH水溶液で現像(23℃、120秒)を行い、純水で洗浄してレジストモールドパターンを形成した。パターン形成後、ホットプレート(100℃、2分)で後乾燥(ベーク処理)した。パターン部の膜厚はおよそ10μmであった。
[試験例1]
組成物5を、組成物1〜4を用いて得られたレジストモールドパターン内に、それぞれ、スピン塗布方式により、塗布した。UV硬化させるために超高圧水銀灯(ウシオ電機株式会社製)にて露光120秒行い(露光量1200mJ/cm)樹脂を硬化させた。
【0052】
組成物1〜4を用いて得られたレジストモールドパターン内に塗布され、露光により硬化した組成物5について密着性、パターン制御性を調べた。
パターン制御性:シリコンウエハー上に形成された溝スペース=5μmパターンについて、光学顕微鏡およびSEM(走査電子顕微鏡)により、前面および断面観察を行った。レジストモールドパターンを金型とした目的とするパターンが得られた場合を○、形状がくずれた場合を×とした。
密着性評価:パターン制御性評価に使用したシリコンウエハー上に形成された溝スペース=5μmパターンについて、光学顕微鏡にてパターンの浮きがないかを評価した。パターンの密着性が問題ない場合を○、パターンの浮きが見られた場合を×とした。
【0053】
試験結果を表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
表2により、実施例1において、微細な線幅制御性の良い矩形な材料パターンが得られたことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明により、微細な線幅制御性の良い矩形な材料パターンが得られるインクジェット方式による材料パターン形成方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学増幅型ノボラック樹脂組成物からレジストモールドパターンを形成し、該レジストモールドパターン内に金属材料または有機材料をインクジェット方式によって塗布する材料パターン形成方法。
【請求項2】
化学増幅型ノボラック樹脂組成物が、(A)一般式(I)
【化1】

(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、RとRが、隣接する炭素原子と一緒になってシクロアルキルを形成してもよく、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、nは1〜3の整数を表す)で表される構造単位を有する重合体A、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物および(C)有機溶剤を含有する請求項1記載の材料パターン形成方法。
【請求項3】
重合体Aにおいて、一般式(I)で表される構造単位および一般式(II)
【化2】

(式中、R、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される構造単位を有し、一般式(I)で表される構造単位が、一般式(I)で表される構造単位および一般式(II)で表される構造単位の総和の3〜70モル%である請求項2記載の材料パターン形成方法。
【請求項4】
重合体Aにおいて、R、RおよびRがアルキルであり、Rがアルキルであり、RおよびRがともに水素原子であり、nが1である請求項2または3記載の材料パターン形成方法。
【請求項5】
化学増幅型ノボラック樹脂組成物を基板上に塗布する工程、化学増幅型ノボラック樹脂組成物を基板上に塗布後にプリベーク処理する工程、所望のパターンが描かれているマスクを介して露光処理を行う工程、露光後にベーク処理を行う工程、現像処理によって所望のレジストモールドパターンを形成する工程ならびに現像処理によって形成されたレジストモールド内にインクジェット方式によって金属材料および有機材料を塗布し材料パターンを形成する工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の材料パターン形成方法。

【公開番号】特開2007−167834(P2007−167834A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232921(P2006−232921)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000162607)協和発酵ケミカル株式会社 (60)
【Fターム(参考)】