説明

インビトロ及びインビボにおいて細胞を細胞新生させる方法

本発明は、細胞、組織、および全身を細胞新生させる方法を提供する。また、細胞新生バッファ及び物質、並びに新生細胞用のキットを提供される。また、体細胞を脱分化させ、細胞をその他の細胞型へ分化させる方法が提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞を細胞新生させる方法と、これらの新生細胞(rejuvenated cell)のヒト臨床上及び獣医学での使用、特に、多能性又は多分化能の胚幹細胞又は胚幹細胞様細胞となる体細胞を細胞新生させる方法に関する。前記細胞新生方法は、哺乳類の器官及び身体に適用することもできる。
【背景技術】
【0002】
老化は回避不能な生命プロセスである。老化は有害性、進行性、普遍性があり、従ってかなりの不可逆性がある変化のシンドロームである。細胞の老化は、減少した細胞の機能性により特徴付けられ、ストレスに応じる能力が低下し、恒常性の不均衡を増し、病気の危険を増加させる。従って、老化そのものは、「病的プロセス」と見なすことができ、高分子、細胞、組織及び器官への傷害の累積である。
【0003】
細胞の老化は、対象の寿命の間ずっと機能している生体時計によって制御されており、維持、修復、及び防衛反応の原因となる系に影響する遺伝子発現の変化に依存している。老化は細胞分裂時のDNA複製のプロセスにおけるテロメアの短縮と関連している。老化は累積した突然変異及び傷害により促進され、フリーラジカル、グリケーション、放射線、クロスリンキング物質によって、高分子(DNA、RNA、タンパク質、炭水化物、及び脂質)乃至組織までにわたる。
【0004】
多くの遺伝子経路が、老化プロセスにおいて同定されてきた。これらの経路のうちの1つが、Sir2遺伝子、つまりNAD+依存性ヒストン脱アセチル化酵素を含んでいる。Sir2の余分なコピーが、寄生虫やハエの寿命を延ばすことができる。ヒト類似体SIRT1タンパク質は、p53、Ku70、特異的なヒストン残基、及びフォークヘッドファミリ転写因子を脱アセチル化することを示してきた。ミトコンドリアのフリーラジカルの効果から保護するタンパク質であるスーパーオキシドジスムターゼは、過剰発現した時に、定常期における酵母の寿命を延ばすことができる。しかしながら、ヒトとモデル生物との間には、生物学及び病態生理学における明白な差があるので、これらのメカニズムがヒトにも存在するのかどうかは知られていない。
【0005】
生活の質は通常老化を低減している。老化のために、特にグリケーション(糖によるタンパク質の架橋結合)が原因で、腱と靱帯のコラーゲン及びエラスチンは、弾力性がより少なくなり、より断片化される。間接軟骨はすり切れ、間接間の滑液は、「より薄く」なる。循環機能の減退は、このプロセスの一因となる。コラーゲン及びエラスチンは、皮膚において架橋結合し、結果として弾性の喪失となる。爪のタンパク質であるケラチンは、皮膚(表皮)外層の成分でもあり、「防水性」を提供している。表皮は老化と共に薄くなり、しわを引き起こす。汗腺による分泌の減少が、熱射病に対する脆弱性を増大する。毛嚢に付随しているメラニン形成細胞(皮膚及び毛髪着色物質のメラニンを生成する細胞)が機能を止めると、髪は白くなる。メラニン形成細胞の部分的な減少は、結果としてグレーに見える髪となる。けれども、90%のコーサカス人は、腕の裏側に茶色かかった斑点(「しみ」)の形で、増えたメラニンを示している。肺におけるタンパク質のコラーゲンとエスタチンの可動性の喪失は、結果として弾性反跳の低下となる。換気が困難になり、空気交換及び呼吸が低減し、従って仕事を行う能力が低減する。
【0006】
動物細胞は、生殖細胞(精子又は卵)、幹細胞、及び体細胞(分化して機能する体細胞)に分類することができる。組織培養における胚線維芽細胞は、へーフリック限界の50回の分裂(Heyflick L,Moorhead PS Exp Cell Res 1961,25:585−621)に届く前に分裂を止める。生殖細胞、幹細胞及び「不死化した」癌細胞は、喪失したテロメアを置換するテロメラーゼと呼ばれる酵素を含有しており、従ってへーフリック限界を経ることを妨げている。ヒト生殖細胞及び約85%の癌細胞においては、酵素であるヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)及びRNA鋳型は、新しいテロメアを生成するのに十分にある。テロメアの機能を維持するのに必要とされるタンパク質の欠損は、染色体の不安定性及び癌を導くこともできる。テロメアの発現は、細胞を酸化ストレスにより誘発されるアポトーシスに対しても耐性にする。
【0007】
テロメラーゼの逆転写酵素サブユニットを形質移入したヒト体細胞は、テロメラーゼを発現する。このような細胞は、へークリック限界を超えて20の個体群倍増を示し、正常で健康な若い細胞の出現と活性を示し続けた。このような結果は、体細胞の天然テロメラーゼの発現を誘発するか、遺伝物質を天然の形より優れた操作テロメラーゼを具える細胞に添加するかのいずれかの遺伝子治療の形によって、いくつかの組織での若さの保存が可能であるかもしれないという現実的な希望を与える。
【0008】
広範な研究によって、生活習慣の変更及び防止的な病気予防法(例えば、十分な栄養を維持しながらカロリ摂取量を減ずること、低脂肪/高繊維の食事を摂ること、タバコやアルコールを避けること、運動すること、及び抗酸化サプリメントを摂ることなど)を通じて平均寿命を延ばし老化プロセスを遅くする手段を導いてきた。しかしながら、極端な生活瞬間の変更なくして、老化を遅らせる多くの直接的な利益を得ることは難しい。
【0009】
定義によると、幹細胞は未分化細胞であり、神経細胞から筋細胞に至る範囲の様々な機能的な成熟細胞へと自己複製及び分化することができる。未分化細胞は、特異的な体細胞及び幹細胞へ分化する娘細胞を形成するために分割する。胚幹細胞(以降は、「ESCs」)は胚由来であり、天然において多能性がある。多能性細胞は、全てではないがほとんどの胎児の発達に必要な組織を生じることができる。多能性細胞は特定の機能を有する細胞に共通して生じる多分化能細胞に分化する(例えば、多分化能血液幹細胞が、赤血球、白血球、血小板を生成する)。ESCsは、使用される分化条件に依存して、特定の細胞、組織、又は器官にさえも分化することができる。ヒトESCsは、パーキンソン病のような病気、組織移植、及び薬物や毒素のスクリーンを処理する細胞補充療法及び移植において有用である。ESCsは、インスリン、抗体及び第8因子のようなバイオ医薬製品の翻訳及び製造のために、細胞培養の発生中に用いることもできる。
【0010】
ESCsは、多くのヒトの病気を治療する見込みを持っている。しかし、ESCsに関してはいくつかの懸念がある。第1に、胎児からESCsを所得することに関する倫理的及び政治的問題がある。第2に、NIHによって資金を提供されている研究プロジェクトは、22のESC株のうちの限られた組に限定されており、基礎調査研究に十分ではないかもしれない。第3に、我々の身体内の免疫系は、移植されたESCsに対抗して防御する。結果として、移植されたESCs又は臍帯血幹細胞の拒絶反応を引き起こし、移植片対宿主病を導くかもしれない。
【0011】
核移植を用いることに加えて、細胞の再プログラミングによる多能性細胞への体細胞の形質転換を試みてきた。Hansisら(Curr Biol 2004,14:1475−1480)は、ツメガエル卵細胞抽出液を用いて、ヒトリンパ球及びヒト293T腎細胞を含めた、体細胞を再プログラムする方法を述べた。彼らは、BRG1がインビトロ再プログラミングに必要であることを見つけた。しかし、細胞が多能性を得るかどうかは明らかではない。Tadaら(Curr Biol 2001,11:1553−1558)は、インビトロ細胞のハイブリダイゼーションによって、体細胞を多能性細胞へ形質転換するプロトコルを述べた。彼らは、分化した胸腺細胞を胚幹細胞(ESCs)と融合した。これらのESC−胸腺ハイブリッド細胞は、元のESCsの多能性を有していた。しかしながら、これらのハイブリッド細胞は、不安定なゲノムを有する四倍体細胞であり、臨床治療に直接使用することはできない。Doと同僚(Stem Cells 2004,22:941−949)は、インビトロ細胞のハイブリダイゼーションにより、体細胞を多能性細胞に形質転換する同様のプロトコルを述べた。彼らは、ESCsをニューロスフェア細胞(NSCs)と融合した。その融合した細胞をESCにおける多能性に絶対に必要である遺伝子である活性化したOct4を有した。彼らは更に、ESCの再プログラミング能力が、ESCの核由来であることを示した。同様に、これらのハイブリッド細胞は、四倍体細胞であり、細胞補充療法に用いることができない。Collas及び彼の同僚(Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci.2003,358:1389−1395)は、細胞療法用分化転換細胞に対する一連の論文を発表してきた。しかし、技術的な困難性のため、彼らは、好結果の多能性細胞への体細胞の脱分化転換をまだ報告していなかった。
【0012】
老化を若年期に停止することができる見込みはないと思われていたが、損傷した器官、組織、細胞及び分子さえも置換又は修復することが、より頑強な戦略になるように思われる。これらの戦略は細胞を細胞新生させ、老化した生物の機能を回復することができる。従って、先行技術のいくつかの問題を克服又は少なくとも軽減すること、及びインビトロとインビボで細胞を効率的に細胞新生させる、より効果的で実用的な方法を提供することが、本発明の目的であり、下記の開示は、上述した当該技術分野のニーズに合致した実際のシステムを提供し、同様にして更なる有用性を提供している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
細胞、組織及び身体全体を細胞新生させる、技術的に直接的な方法を提供することが本発明の目的である。
【0014】
一実施例においては、a.老化体細胞を含むサンプルを提供するステップと;b.細胞新生抽出液(rejuvenating extraxt)、アルブミン、ATP、ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤、及びヌクレオチドリン酸を含む細胞新生溶液(rejuvenating solution)を提供するステップと;c.前記老化細胞を前記細胞新生溶液と組み合わせて、当該細胞新生溶液の成分が前記細胞に浸透するように十分な時間インキュベートするステップと;d.塩化カルシウムと選択的に抗生物質を有するKO−DMEMのような適切な細胞培地の溶液を添加するステップとを具える老化細胞を細胞新生させる方法を提供している。この方法においては、前記細胞新生抽出液は、卵、受精卵、胚盤胞、胚、臍帯血幹細胞、幹細胞、始原生殖細胞、胚幹細胞又は胎児から選択される、初期発達段階の細胞から抽出することができる。前記胎児の細胞は、胎児の肝細胞であってもよい。選択的に、前記細胞新生抽出液は、核を具える細胞又は細胞部位から抽出する。選択的に、前記細胞新生抽出液は、いずれかの細胞周期段階での細胞あるいは核から、又は、種々の細胞周期段階での複数の細胞あるいは核から取得することができる。
【0015】
別の実施例においては、老化体細胞を含むサンプルを提供するステップと;細胞新生抽出液、アルブミン、ATP、ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤、及びヌクレオチドリン酸を含む細胞新生溶液を提供するステップと;前記老化細胞を前記細胞新生溶液と組み合わせて、当該細胞新生溶液の成分が新生細胞を生成する細胞に浸透するように、十分な時間インキュベートするステップと;前記細胞集団を拡大するために、細胞培地、塩化カルシウム、及び選択的に抗生物質を前記新生細胞に添加するステップと;細胞凝集を促進するために、十分な時間、プレートカバー又は被膜されていないペトリ皿上の逆位にぶら下がった小滴の中で前記拡大した細胞を成長させるステップと;希釈アガロースゲル上あるいは被膜プレート及びディスク上に、又は成長因子を追加した適切な培地の中のマトリゲル上に胚様体(EB)を形成するために、懸濁液において前記細胞凝集を成長させるステップと;フィーダ細胞の頂部に胚様体細胞を培養するステップと;幹細胞と同一の形態を有する細胞コロニを選択し、それによって前記体細胞を細胞療法及び美容処理用の多能性細胞に脱分化するステップとを具える多能性の胚幹細胞様(ESL)細胞の中で細胞を細胞新生させる方法を提供する。前記希釈アガロースゲルは、約0.2%乃至2%アガロースとすることができる。
【0016】
別の実施例においては、多能性細胞からmRNAを抽出するステップと;少なくとも1のリポソーム送達試薬において前記mRNAを被包するステップと;前記体細胞をmRNAのリポソームに曝露するステップと;細胞凝集を促進するために、十分な時間、プレートカバー又は被膜されていないペトリ皿面の逆位にぶら下がった小滴の中で前記曝露した体細胞を成長させるステップと;希釈アガロースゲルの頂部に、あるいは被膜されないペトリ皿の中に、EBを形成するために、懸濁液において前記細胞凝集を成長させるステップと;フィーダ細胞、被膜プレート及びディスク上に、又は成長因子を追加した適切な培地の中のマトリゲル上にEB様細胞を培養するステップと;幹細胞の形態を有する細胞コロニを選択し、それによって前記体細胞を細胞療法及び美容処理用の多能性細胞に脱分化するステップとを具える胚幹細胞(ESC)mRNAの形質移入によって体細胞を多能性ESL細胞の中で細胞新生させる方法を提供している。前記多能性細胞は、ESCs、始原生殖細胞(PGCs)、胎児の細胞、卵、受精卵、臍帯血幹細胞、組織幹細胞、胚盤胞細胞、又はその組合せとすることができる。前記十分な時間は約2時間乃至一晩である。リポソームにより形質移入する代わりに、前記細胞は電気穿孔法又はウイルス介在に供することができる。
【0017】
別の実施例においては、哺乳類体細胞とESCsの細胞融合により、自家移植用の多能性で二倍体のESL細胞を形成する方法を提供し、a.ESCsを提供するステップと;b.前記ESCsにおいてDNA複製を不能にするステップと;c.前記複製不能ESCsを複数の体細胞と混合するステップと;d.そこへポリエチレングリコールを添加することにより前記複製不能ESCsと前記体細胞を融合するステップと;e.凝集細胞を生成するために逆位の小滴の中で前記融合細胞を成長させるステップと;f.1−10の継代用のEBsを生成するために、希釈アガロースゲル上の懸濁液において、前記凝集細胞を成長させるステップと;g.フィーダ細胞、被膜プレート及びディスク、又は成長因子を追加した適切な培地の中のマトリゲル上に前記EBsを成長させるステップと;h.典型的な形態の幹細胞を有し、哺乳類特異の二倍体ESL細胞を具える患者に特異的なESL細胞の細胞コロニを選択するステップとを具える。前記ESCは、幹細胞と置換することができ、体細胞は線維芽細胞であってもよい。前記DNA複製を不能にするステップは、物理的又は化学的処理によって行うことができる。前記物理的処理は、γ線照射やUV光への曝露にすることができる。前記化学的処理は、染色体DNAに結合する化学物質にすることができ、アクチノマイシンD、エトポシド、DNAキレート剤と相互作用剤、及びその他の化学療法剤を含んでいる。
【0018】
更に別の実施例においては、a.標的細胞を提供するステップと;b.前記標的細胞においてDNA複製を不能にするステップと;c.自己の体細胞を提供するステップと;d.前記複製不能の標的細胞と前記自己の体細胞とを組み合わせるステップと;e.その中で前記複製不能の標的細胞が、前記体細胞のゲノムを再プログラミングする細胞を融合するために、ポリエチレングリコールを前記組合せに添加するステップと;f.標的細胞の形態と機能を有する二倍体細胞を生成するために、適切な細胞培地において前記融合細胞を成長させるステップと;g.前記標的細胞の形態と機能を有する自己の再プログラミングした二倍体細胞を選択するステップとを具え、それによって、細胞補充療法や化粧品用ドナーに再プログラミングした自己の二倍体細胞を提供するステップを具える再プログラミングを誘発するために、複製不能の標的細胞を老化体細胞と融合することによって、治療細胞を形成する方法を提供する。前記DNA複製を不能にするステップは、物理的及び化学的処理によって行うことができる。前記物理的処理は、γ線照射やUV光への曝露にすることができる。前記化学的処理は、染色体DNAに結合する化学物質にすることができ、アクチノマイシンD、エトポシド、DNAキレート剤と相互作用剤、及びその他の化学療法剤を含んでいる。前記標的細胞は、外因性のESCs、成体幹細胞、又はインスリン分泌細胞にすることができる。前記体細胞は、成熟した皮膚細胞、血液細胞、及び骨髄細胞にすることができる。
【0019】
別の実施例においては、ESCs又は組織幹細胞を別の方法として用いる細胞療法及び化粧品処理を行う方法を提供している。まず、ESL細胞を提供し;その後、前記細胞療法又は化粧品処理が行われるが、前記ESCs又は組織幹細胞は、患者に特異的な二倍体ESL細胞に置き換えられている。
【0020】
別の実施例においては、a.前記皮膚細胞を透過できる物質を用いて皮膚を前処理するステップと;b.新星細胞(novacell)抽出液、ESC抽出液、幹細胞抽出液、卵抽出液、組換えタンパク質、又はその組合せから選択される細胞新生物質を塗布するステップと;c.前記細胞新生物質と接触する前記皮膚を維持するステップと;d.必要ならばステップa−cを繰り返すステップとを具える局所的にヒトの皮膚を細胞新生させる方法を提供している。この方法を前記皮膚を滅菌することで始めることができる。前記細胞新生物質は、細胞又は核抽出液を含有し、その両方に、アルブミン、ATP,ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤、及びヌクレオチドリン酸を添加することができる。
【0021】
更に別の実施例においては、細胞全体から細胞新生因子(rejuvenating factor)を作成する方法を提供し、a.新星細胞、ESCs、組織幹細胞、卵、又は胚、胎児、胎児の組織、組換えタンパク質又はその組合せから取得される細胞を提供するステップと;b.抽出のために前記細胞を分離するステップと;c.前記細胞を少なくとも2回の凍結融解サイクルに晒すステップと;d.高速度で前記細胞を遠心分離するステップと;e.前記細胞新生因子を具える上澄みを引き出すステップとを具える。
【0022】
更に別の実施例においては、核から細胞新生因子を作成する方法を提供し、a.新星細胞、ESCs、組織幹細胞、卵、又は、胚、胎児、胎児の組織、組換えタンパク質又はその組合せから取得される細胞を提供するステップと;b.抽出のために前記細胞を分離し、胎児の細胞及び/又はESCsを具えるステップと;c.低張バッファの中に前記細胞を溶解するステップと;d.前記バッファを切り離すために遠心分離するステップと;e.前記残りの核を少なくとも2回の凍結融解サイクルに晒すステップと;f.前記核の抽出液を取得するために遠心分離するステップと;g.選択的に透析によって前記細胞新生を濃縮するステップとを具える。
【0023】
更に別の実施例においては、器官を局所的に細胞新生させる方法を提供し、a.細胞又は核から作成される細胞新生物質を提供するステップと;b.兆候、症状、又はテスト結果における改善まで、前記細胞新生物質を前記器官へ投与するステップとを具え、それによって、前記器官の老化を遅らせ、及び/又はその機能を改善するステップを具える。投与方法は、静脈内、皮下、腹腔内、筋内、脳室内、気管内、関節内、心膜内、肺内、鼻腔内、あるいは動脈内経路ですることができる。前記鼻腔内経路を用いると、前記細胞新生物質は前記鼻腔内へ置くことができ、それによって、前記細胞新生物質は神経変性疾患を治療するために中枢神経系に到達する。
【0024】
別の実施例においては、a.開孔処理を用いて体細胞を処理し、生理的なバッファを用いて洗浄するステップと;b.ステップaの体細胞を細胞新生バッファに、ESC核抽出液及び所望の細胞抽出液に約1時間曝すステップと;c.ステップbの前記細胞を、20%FBS、ペニシリン、ストレプトマイシン、グルタミン、非必須アミノ酸、β−メルカプトエタノール、bFGF、TGF−β1、及びLIFを選択的に追加したKO−DMEM溶液において成長させるステップと;d.前記培養細胞を約2時間乃至一晩の間、プレートカバー上に逆位にぶら下がった小滴の中で成長させるステップと;e.前記逆位の小滴を収集して組み合わせるステップと;f.前記細胞が所望の細胞型を形成するまで、前記所望の細胞生成物質を追加したDMEMの中のゼラチン被膜プレート上で前記収集した細胞を成長させるステップとを具える簡略化したプロセスによって、哺乳類体細胞を細胞新生させ、それらを前記所望の細胞に分化させる方法を提供する。ある変異においては、前記体細胞は線維芽細胞を具え、前記所望の細胞型は筋細胞であり、前記所望の細胞生成物質は、2%の不活性ウマ血清、筋芽細胞の細胞培養培地から濾過された上澄みを含有しており、それによって、前記収集された細胞は、筋管を形成するまで露出される。本方法において、線維芽細胞を処理するステップaは、トリプシン−EDTA、ストレプトリシンO、電気穿孔法又はウイルス介在を含有することができる。
【0025】
別の実施例においては、細胞又は核又はその組合せの細胞新生因子;1mg/MLのアルブミン;1mMのATP;5mMのホスホクレアチン;25μg/mLのクレアチンキナーゼ;0.4U/mLのRNase阻害剤;及び1mMの各4つのdNTPを含む細胞新生バッファ組成を提供する。前記組合せ抽出液は、約2分の1の胎児の細胞抽出液、2分の1のESCsの核抽出液であることが好ましい。前記細胞及び核抽出液は無細胞であることが好ましい。
【0026】
一実施例においては、哺乳類の身体を系統的に細胞新生させ、一般的な健康及び内分泌機能を改善する方法は、新星細胞抽出液、幹細胞抽出液、卵抽出液、新星細胞、ESCs、幹細胞、組換え型タンパク質、又はその組合せから細胞新生物質を提供するステップと;改善を示すように、定期的に前記細胞新生物質を投与するステップとを具えている。投与経路は、静脈内、腹腔内、筋内、くも膜下腔内、鼻腔内経路又はその組合せにすることができる。
【0027】
別の実施例においては、組織培養における多くの継代を起こしてきた細胞を細胞新生させる方法は、事前に培養した細胞を提供するステップと;細胞新生抽出液、アルブミン、ATP、ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤、及びヌクレオチドリン酸を提供するステップと;前記細胞を前記細胞新生溶液と組み合わせて、前記細胞新生溶液の成分が、前記細胞に浸透するように十分な時間インキュベートするステップと;細胞培地の溶液、塩化カルシウム及び選択的に抗生物質を添加するステップと;前記細胞集団を拡大するために前記細胞を培養し、それによって組織培養において多くの継代を起こしてきた細胞を細胞新生させるステップとを具える。更に、前記方法の変動により、前記最後の2ステップは、下記のステップ:細胞凝集を促進するために、十分な時間、プレートカバー又は被膜されていないペトリ皿上の逆位にぶら下がった小滴の中で前記新生細胞を成長させ、0.2%乃至2%のアガロース上にEBsを形成する懸濁液において、又は被膜されていないペトリ皿において、前記細胞凝集を成長させるステップと、フィーダ細胞上、被膜プレート又はディスク上、あるいは成長因子を追加した適切な培地の中のマトリゲル上に、前記EB様細胞を培養し、幹細胞と同一の形態を有する細胞コロニを選択するステップに置き換えられ、それによって前記事前に培養した細胞は、更なる組織培養用の多能性細胞に脱分化する。
【0028】
化学療法措置がなされていようといまいと、液状癌(liquid cancer)、白血病、リンパ腫及び造血機能障害を治療する方法は、老化体細胞を提供するステップと;細胞新生抽出液、アルブミン、ATP,ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤及びヌクレオチドリン酸を具える細胞新生溶液を提供するステップと;前記老化体細胞を前記細胞新生溶液と組み合わせて、当該細胞新生溶液の成分が前記細胞に浸透するように十分な時間インキュベートするステップと;前記細胞集団を拡大するために、細胞培地の溶液、塩化カルシウム及び選択的に抗生物質を添加するステップと;前記新生細胞を分離するステップと;投与可能な製剤を作成するために、前記新生細胞を生理的な溶液と組み合わせるステップとによって作成された新生細胞を提供するステップを最初に具える。次に、前記新生細胞は、化学療法措置がなされていようといまいと、液状癌、白血病、リンパ腫及び造血機能障害を被る哺乳類に投与される。
【0029】
別の実施例においては、CNS傷害、発作、アルツハイマー病、パーキンソン病、又は筋萎縮性側索硬化症を有する哺乳類を治療する方法を開示している。最初のステップでは、i.老化体細胞のサンプルを提供するステップと;ii.細胞新生抽出液、アルブミン、ATP,ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤及びヌクレオチドリン酸を具える細胞新生溶液を提供するステップと;iii.前記老化体細胞を前記細胞新生溶液と組み合わせて、当該細胞新生溶液の成分が前記細胞に浸透するように十分な時間インキュベートするステップと;iv.前記細胞集団を拡大するために、細胞培地の溶液、塩化カルシウム及び選択的に抗生物質を添加するステップと;v.前記新生細胞を分離するステップと;vi.投与可能な製剤を作成するために、前記新生細胞を生理的な溶液と組み合わせるステップとによって作成される新生細胞を提供している。次のステップは、前記新生細胞をCNS傷害、発作、アルツハイマー病、パーキンソン病、又は筋萎縮性側索硬化症を被る哺乳類へ投与するステップである。
【0030】
別の実施例においては、細胞新生老化細胞用キットであって、a.トリプシン及びストレプトリシンOから選択される老化細胞の孔を開けるための物質と;b.細胞新生バッファ組成と;c.胎児の細胞とESC核の無細胞抽出液とを具える。前記抽出液は、多能性細胞由来のmRNA抽出液に置換することができる。前記多能性細胞は、ESCs、PGCs、胎児の細胞、卵、受精卵、臍帯血幹細胞、組織幹細胞、胚盤胞細胞、又はその組合せとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は、老化細胞を「新星細胞」へ細胞新生させる方法を述べ、新星細胞は、元の細胞より更に若く、強力なものとなる。新星細胞は、全能性、多能性及び多分化能がある。新生細胞は、老化の間に失った機能を回復している。従って、ヒトの病気の細胞補充療法において有用である。その方法論がインビボで適用された場合、細胞の細胞新生は、組織、器官及び身体全部の老化プロセスを遅らせる、あるいは停止するであろう。
【0032】
本発明の主な利点は、新生細胞を受け取る患者由来の細胞又は組織を細胞新生させることである。このような自己由来の細胞又は組織では、移植片対宿主の拒絶反応のリスクがない。細胞新生するための細胞は、皮膚、血液、あるいは骨髄を含む多様なソースから収集することができる。
【0033】
図1は、インビトロで老化細胞を強力な新星細胞に細胞新生させる手順の模式的な概略である。細胞はまず、高齢者から(例えば、皮膚、血液、骨髄あるいは生検組織から)収集し、細胞集団を広げるために適切な培地において培養される。細胞のギャップ結合を開けるために、細胞は選択的に細胞膜透過性試薬(例えば、トリプシン/EDTA)へ曝露される。遠心分離及び透過性試薬の分離後に、細胞が細胞新生バッファにおける細胞新生因子で細胞新生する。37℃、短時間(約30分乃至3時間)でのインキュベーションの後、細胞はウシ胎仔血清(FBS)と抗生物質の存在下で、培地の中で成長する。新生細胞は、生理的機能を促進されており、起始の老化細胞より速い速度で成長する。これらの細胞新生した新星細胞は、細胞療法に有用であり、皮膚への美容処理を含有している。
【0034】
骨髄間質細胞という造血を援助する間葉起源の非造血細胞は、多分化能があり、培養中に自己複製する。ESCsのように、これらの前駆細胞は、骨芽細胞、軟骨芽細胞、脂肪細胞、心筋細胞、神経様細胞、星状膠細胞のような多くのその他の細胞型に分化することができる。間質細胞の可塑性は、細胞補充療法の使用可能性の基本である。
【0035】
しかし、老化はまた、細胞培養において骨髄間質細胞の成長の重要な決定因子でもある。老化マウスから分離した間質細胞は、若いマウスから分離した間質細胞よりもゆっくり成長する。従って、細胞補充療法に用いる前に、インビトロでそれらの骨髄間質細胞を細胞新生させることが所望される。白血病やその他の造血性疾患における移植の前に、骨髄の成長と回復を促進する骨髄細胞を細胞新生させることも所望されるであろう。
【0036】
幹細胞は、自己複製、及び特定組織の成熟細胞へと分化する能力を有する多能性細胞と定義される(Morrison et al,Ann Rev Cell Dev Biol 1995,11:35−71)。ESCsの特徴の1つは、分化した培地において、その他の細胞に分化する能力である。ESCsはまた、未分化のEBsへも成長する。
【0037】
一般的に、老化細胞を強力な新星細胞へと細胞新生させる方法は、発達の早期段階の細胞、例えば、胚、胎児、線維芽細胞、胚盤胞、ESCs、幹細胞、臍帯血細胞及び卵などに由来した組織及び細胞成分を含有する細胞新生試薬により、インビトロで細胞を強力な新星細胞へ細胞新生させるステップを有する。細胞新生抽出液の原料は一般的に細胞新生した細胞より若くなる。
【0038】
結果物としての新星細胞は、形態学的、生理学的及び機能的に元の細胞よりも若い動作及び増殖性がある。これらの新星細胞は、インビボ及びインビトロで、起始の細胞以上の機能を促進している。これらの若い動作の例は、より多くのコラーゲンとエラスチン、及びより増殖性のある赤血球細胞前駆体と骨髄細胞を生成することを含むが、これに限定されない。新星細胞は、形態学的に、生理学的に、機能的に、及び多能性において、ESCsの特徴を有することが好ましい。これらの新星細胞を用いて、例えば、特異的な病気を治療すること、互換性のある器官や組織を創作すること、及び新しい治療薬をスクリーニングすることなど、研究及び商用上の応用においてESCsと置換することができる。
【0039】
ここに教示した方法において広く多様な体細胞を用いることができ、線維芽細胞、リンパ球、上皮細胞、内皮細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、肝細胞、膵島細胞、骨髄細胞、星状膠細胞、及び非胚肝細胞(すなわち、組織幹細胞)を含有するが、限定はされない。本手順は、組織培養においてたくさんの継代を経た新生細胞に対し有用である。
【0040】
新星細胞を用いて、細胞療法において所望の組織又は組織特異の前駆体細胞に分化するようにESCsを置き換えることができる。細胞新生した新星細胞は、病気を治療するためのヒト又は動物の特異的な器官又は組織への移植に対しても有用である。
【0041】
用語としての細胞新生物質は細胞を再プログラムし、発達の初期段階、例えば、新生児、胎児、胚、及びESCsなどの細胞に細胞新生させることができる因子のことである。本発明で用いられる細胞新生物質は、体細胞を多能性の新星細胞へ細胞新生させることができる細胞新生因子を含有する組織抽出液、核抽出液又は細胞抽出液を含んでいるが、これに限定はされない。細胞新生物質は、胚、新生児、新生児組織、胎児、胎盤、胎児の肝臓及びその他の組織の組織抽出液を含有する。核抽出液は、ESCs、幹細胞、臍帯血幹細胞、生殖細胞、及び始原生殖細胞(PGCs)、卵、受精卵、胚、新生児組織、胎児の肝臓、その他の胎児の組織及びその他の未成熟組織から取得することができる。細胞新生因子は、組換え型タンパク質及び組換え型cDNA及び単独またはベクタ(例えば、プラスミド又はウイルス)中のDNAにしてもよい。本発明の別の態様において、細胞新生物質は、ESCs、幹細胞、臍帯血幹細胞、PGCs、卵、受精卵、胚、新生児組織、胎児の肝臓、及びその他の組織由来のmRNA又は全RNAを含有する。これらのmRNA又は全RNAを体細胞に導入することによって、ゲノムをエピジェネティックに再プログラミングし、細胞を全能性又は多能性細胞に細胞新生した細胞内部で、mRNAが因子を合成することができる。代替的に細胞新生物質は、新生児の血清及びESCs、PGCs、卵、受精卵、胚、新生児組織、新生児の血清、胎盤、胎児の肝臓及びその他の胎児の組織からクローンされた組換え型タンパク質を含有する。
【0042】
新星細胞は、細胞新生してない細胞より、更に若い動作をし、より増殖的である新生細胞と定義される。更に、新星細胞は改善された機能性を示し、長期の寿命を有している。新星細胞は、テロメラーゼ活性が促進されており、従って、より長いテロメアを有すべきである。これらの細胞は、早く老化することなく、無制限の継代のために生きることができる。
【0043】
新星細胞は、より多くの生物学的な化合物と合成し、タンパク質、酵素、ホルモン、及び成長因子を含むが、これに限定はされない。このように、新星細胞は特異的な細胞、組織及び器官の機能を回復させるのに有用である。例えば、老化した皮膚線維芽細胞は、コラーゲンやエラスチンを生成できないか、あるいは実質上わずかしか生成できず、皮膚のしわを引き起こす。細胞新生した線維芽細胞は、高齢者のしわを治療するために皮膚に移植するか、あるいは注入すると、胎児及び新生児の皮膚細胞の線維芽細胞のように機能し、より多くのコラーゲンとエラスチンを生成する。骨髄細胞及び造血細胞のような細胞新生した血液細胞は、より増殖的、長寿命であり、従って、再生不良性貧血、先天性貧血、化学療法による貧血、及びその他の血液疾患において有益である。
【0044】
治療目的によって、多様な投与方法を用いることができる。送達方法は、静脈内、皮下、腹腔内、筋内、脊髄内、脳室内、気管内及び関節内(関節の中へ)に変更することができるが、これらを含有し限定はされない。細胞新生因子を皮膚に塗布し、皮膚パッチ、特に皮膚透過性を増やす物の中に置くことができる。
【0045】
用語としての「有効量」はここでは、幹細胞及び/又は前駆体細胞を神経又はその他の細胞型へ分化することを含む、意図した結果を生成するのに効果的な分化物質、前駆体又は前駆細胞、神経細胞のような特定化した細胞、及び/又は、その他の物質のような成分の濃度又は量を説明するのに用いる。本発明による組成を用いて、脳あるいは脊髄において、又は病気あるいは治療された状態において、好ましい変化を生成するために、その変化が安定化であっても、改善(例えば、神経障害を含めて、様々な変性疾患及び状態を停止するか、又は、逆戻りさせること)であっても、組成の範囲内にある新星細胞の移植を遂げることができる。
【0046】
用語としての「投与」又は「投与すること」は、新星細胞又はそれから取得された分化細胞のような本発明の細胞を治療目的の患者へ送達するプロセスを説明するために、本明細書の至る所で用いている。本発明の細胞は、特に、非経口、くも膜下腔内、静脈内、実質内(脊髄、脳幹、あるいは運動皮質内を含む)、大槽内、頭蓋内、線条体内、経口、局所的及び黒質内経路を含む多様な経路を介して投与されるが、これに限定はされない。基本的には、どんな方法を用いても、本発明の細胞を究極の標的部位に到達させることができる。本発明の細胞を新星細胞、あるいは分化細胞の形で投与することができる。本発明によると、本組成は、分化物質で処理することなく(「未処理で」、すなわち、新星細胞サンプル内にある細胞の分化を促進するために更なる処理をせずに)、又は新星細胞サンプル内にある特定の幹細胞、及び/又は前駆細胞を、ニューロン表現型のような分化表現型を阻害する細胞に分化させる分化物質又はその他の物質を用いた処理後に(「処理して」)用いることができる。細胞は患者への投与の前に、生体外での分化を経ることができる。
【0047】
投与は、たいていは病気又は治療される状態に依存し、例えば、静脈内、脳脊髄液への投与による、経鼻吸入による、患部組織への直接の移植による、又はその他の全身性又は局所的な手段によるなどの、非経口経路であることが好ましい。例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病及びパーキンソン病の場合においては、好ましい投与経路は、CNS内への直に移植することであろう(例えば、パーキンソン病用には、線条、黒質又はその双方)。筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)及び多発性硬化症の場合は、予測された好ましい投与経路は、脳脊髄液内への注射である。
【0048】
用語としての「移植すること(grafting)」、「移植すること(transplanting)」、「移植片」、「移植」は本明細書を通して、本発明の細胞が、(患者の中枢神経系の傷害を修復すること(前記傷害によって生じた認知又は行動欠陥を減らすことができる)や、急性又は亜急性神経変性疾患、脳血管障害により生じる神経傷害(発作)又は物理的な外傷(トラウマ)を治療すること等、細胞が好ましい効果を示そうとする部位へ送達されるプロセスを述べるために同義で用いられる。本発明の細胞を、当該技術分野の当業者に公知の投与モードによって、身体の離れた領域に送達し、移植を果たす適切な領域への細胞移動に頼ることもできる。
【0049】
分子生物学技術
当該技術分野において公知、及び明確には述べられていない標準的な分子生物学技術は、一般的にはSambrook et a.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Cold Springs Harbor Laboratory,NY (1989、1992)において、及びAusubel et a.,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley and Sons,Baltimore,MD(1989)に従っている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の方法論は、一般的にはJam et al,PCR PROTOCOLS:A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS,Academic Press,San Diego,CA(1999)と同等のスペックを用いている。その他の核酸技術を伴う反応及び操作は、別の方法で述べられていない場合、Sambrook et al,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Cold Springs Harbor Laboratory Pressに一般的に述べられているように、及び米国特許第4,666,828号;第4,683,202号;第4,801,531号;5,192,659号;及び第5,272,057号において述べられているような方法論で実施し、引用としてここに取り込まれている。フローサイトメトリとの組合せにおける生体内PCRは、特異的なDNA及びmRNA配列を含む細胞の検出のために用いることができる(例えば、Testoni et al.,1996,Blood,87:3822)。
【0050】
当該技術分野において公知、及びここで明確には述べられていない免疫学における方法は、一般的にはStites et al(Eds.),BASIC AND CLINICAL IMMUNOLOGY,8 Ed.,Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell and Shigi(Eds.),SELECTED METHODS IN CELLULAR IMMUNOLOGY,W.H.Freeman and Co.,New York(1980)において示すように従っている。
【0051】
イムノアッセイ
一般的に、イムノアッセイは、細胞表面のマーカ等に対して標本を評価するために用いられる。免疫細胞化学的なアッセイは当該技術分野の当業者に公知である。ポリクローナル及びモノクローナル抗体の双方は、アッセイで用いることができる。酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)及び放射同位元素標識免疫検定法(RIA)のような適切なその他のイムノアッセイが、当該技術分野の当業者に公知であり、用いることができる。利用可能なイムノアッセイは特許及び科学文献に広く記載されている。例えば、米国特許第3,791,932号;第3,839,153号;第3,850,752号;第3,850,578号;第3,853,987号;第3,867,517号;第3,879,262号;第3,901,654号;第3,935,074号;第3,984,533号;第3,996,345号;第4,034,074号;第4,098,876号;第4,879,219号;第5,011,771号;第5,281,521号、並びにSambrook et al,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Cold Springs Harbor,New York,1989参照。多数のその他の発行されている科学文献は、当該技術分野の当業者には容易に利用可能である。
【0052】
遺伝子療法
ここで用いる遺伝子療法は、いかなる数の病気又は状態も治療し、防止し、緩和するために、宿主への対象の遺伝子物質(例えば、DNA又はRNA)の形質移入することである。対象の遺伝子物質は、インビボ生成が所望される生成物(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、機能的なRNA、及び/又はアンチセンス分子)をコード化している。例えば、対象の遺伝子物質は、治療上の有用性のあるホルモン、レセプタ、酵素ポリペプチド、又はペプチドをコード化している。代替的に、遺伝子物質は、自殺遺伝子コード化している。詳細のレビューについては、“Gene Therapy”in ADVANCES IN PHARMACOLOGY,Academic Press,San Diego,CA,1997参照。
【0053】
移植用細胞の投与
本発明の新星細胞は、良い医療行為によって投与し、服用させることができ、個々の患者の臨床条件、投与の部位と方法、投与のスケジューリング、患者の年齢、性別、体重及び医療開業医にとって重要なその他のファクタを考慮に入れることができる。この目的に対する薬剤的な「有効量」及び服用スケジュールは、実験臨床研究、薬理学及び臨床医療分野における当業者に公知の考察によって、決定することができる。その量は安定化、改善(細胞新生の出現及び機能を含むがこれに限定はされない)、又は兆候の除去を果たすのに効果的でなければならず、当該技術分野の当業者によって病気の経過、退行、又は改善と同じようなその他の指標が選択される。
【0054】
本発明の方法において、CNS又はその他の組織又は器官の中に新星細胞を移植するのに適切となるように、新星細胞は様々な経路によって投与することができる。経路は、非経口投与を含んでいるがこれには限定されず、静脈内及び動脈内投与、くも膜下腔内投与、脳室内投与、実質内、頭蓋内、槽内、線条体内、及び黒室内投与を含み、並びに経口及び局所投与を含んでいる。
【0055】
有効量の新星細胞を具える薬剤組成は、本発明によっても熟考される。これらの組成は選択的に、薬剤的に受入可能な担体、添加剤又は賦形剤において有効数の細胞を具え、1又はそれ以上の適切な媒体と懸濁される。本発明のある態様においては、移植の必要な患者に対して、細胞が無菌食塩水の中に投与される。本発明の別の態様においては、細胞はハンクス液(HBSS)、Isolyte S、pH7.4又は5%のデキストラン溶液、0.9%の塩化ナトリウム、又は5%のデキストラン溶液と0.9%の塩化ナトリウム水溶液の混合物から選択されるその他の液体中に、投与される。その他の賦形剤の例は、乳酸化リンガー液、乳酸化リンガー液プラス5%のデキストラン、Normosol−Mと5%のデキストラン、及びアシル化リンガー液から選択される。なお他のアプローチも使用することもでき、無血清の細胞培地の使用も含まれている。医薬品の提示により決定されるように、及び、当該技術分野の当業者によって決定されるように、患者に対する細胞の全身性の投与はある兆候には好ましいが、一方、疾患及び/又は傷害組織の部分又はに近位への直接的な投与が、他の兆候には好ましい場合もある。注射可能な又は移植可能なペレットなど、様々な付加的な媒体による対象細胞の投与も熟考される。
【0056】
本発明による医薬品組成は、好ましくは約1.0×10乃至約1.0×1014の細胞数、より好ましくは約1×10乃至約1×1013の細胞数、さらに好ましくは約2×10乃至8×1012の細胞数の範囲にある有効数の新星細胞を具えている。薬学的に受容可能な結果を果たすことが要求されるので、前記細胞は一般的には懸濁液において、選択的には、薬学的に受容可能な担体、添加剤、補助剤、又は賦形剤の組合せにおいて投与される。
【0057】
本出願を通じて、様々な特許及び特許公告を引用している。全てのこれらの特許、及び全体的な公告内に置かれた特許公告の開示は、本発明が属する技術の状態をより十分に述べるために、本出願の引用としてここに取り込んでいる。下記の例は、本発明の請求項の範囲を限定するものではなく、むしろある実施例の模範例であることを意図する。当業者により行われる例示した方法におけるどのバリエーションも、本発明の範囲内にあることを意図している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
インビトロにおいて老化細胞を強力な新星細胞に細胞新生させる手順の模式的な概略が図1に示されている。まず、細胞は成熟したヒトから、例えば、皮膚、血液、骨髄、又は生検組織から収集され、適切な培地内で細胞集団を広げるために培養される。次に、細胞のギャップ結合を開けるために細胞は細胞膜透過性の試薬、例えば、トリプシン/EDTAなど、に曝露される。遠心分離後、細胞は細胞新生因子と共に、細胞新生バッファの中で細胞新生する。いかなる理論による結合も望まない場合、細胞新生因子は、核及び再モデルしたクロマチンに入ると考えられている。エピジェネティックな再プログラミング(例えば、DNAのメチル化及びヒストン修飾)は、細胞の成長及び老化に関連する遺伝子を活性化する。これらの因子のインキュベーション後、細胞はウシ胎仔血清(FBS)及び抗生物質の存在下で、培地の中で成長する。新生細胞は、(テロメラーゼ又はテロメア長、成長因子発現、コラーゲン合成及び細胞複製能力のような)生理学的機能が促進されてきており、元の老化細胞と比較するとより速い速度で成長している。細胞療法は、インビトロで分化した新星細胞を用いるものに変わる。使用例は、肝不全、消化性潰瘍、熱傷、白血病及び化学療法由来の貧血を含むがこれに限定されない。
【0059】
例1−皮膚の線維芽細胞の培養
滅菌後、皮膚の生検(2mm)は、49歳の男性ボランティアの内方の前腕から切り取られた。皮膚の生検は、滅菌したカミソリを用いて、いくつかの小片に切断され、直接6ウェルのプレートの中へ置かれて、DMEM培地(Invitrogen、Carlsbad、CA)の薄い層で覆われて、10%のウシ胎仔血清(FBS)と100U/mLのペニシリンと、100μg/mLのストレプトマイシンを与えられて、5%のCOを与えられた室内空気中、37℃で成長させた。培地は毎日新しいDMEMと取り替えた。
【0060】
約2週間のインキュベーション後には、線維芽細胞が皮膚のエッジの周りに成長し始めた。線維芽細胞は1倍濃度のトリプシン−EDTA(Introgen)を用いて剥離された。トリプシン/線維芽細胞溶液は、1200rpmで3分間遠心分離された。線維芽細胞のペレットは、再懸濁して細胞を計数した。計数に依存して、細胞はDMEM培地における新しい6又は24ウェルのプレートに播種される。線維芽細胞は収集されて、更なる拡大のために、75mmのプレート又はフラスコに形質移入された。これらの老化した線維芽細胞は、非常にゆっくりと育ち、新生細胞より少ないコラーゲンとエラスチンタンパク質しか作らない(以下を参照)。細胞は再びトリプシン処理され、遠心分離され、そして10%のFBS及び8%のDSMOの中で再懸濁した。この細胞溶液は、液体窒素の中で保管された。
【0061】
例2−血液又は骨髄細胞の培養
骨髄移植の成功は老化と共に低減するので、若い(新生児)細胞が造血性の再構成に好ましいことが推測できる。同様に、老化は細胞培養においても骨髄間質細胞の成長の重要な決定因子である。老化したマウスから分離した間質細胞は、若いマウスから分離した物よりも非常にゆっくりとしか成長しない。従って、細胞補充療法において用いる前に、インビトロで老化した骨髄細胞を細胞新生することが所望される。
【0062】
白血球細胞は、インビトロでの細胞新生に用いることができる迅速で便利な終端分化細胞の源を提供している。10mLの血液サンプルは、抗凝固薬としてヘパリンナトリウムを用いて収集され、15mLの管に添加され、4体積のEDTA(3mM)を含むリン酸バッファの血清(PBS)に希釈した。希釈した血液は、50mLの円錐管の中のフィコール‐ハイパーク培地(Sigma、St.Lowis MO)上に負荷され、スイングバケットロータの中で中断することなく、20℃で30分間、400rpmで遠心分離した。上方層(血漿)は除去され、相間の細胞層(リンパ球や単球が含まれている)は、第2の50mL管へ注意深く除去された。2mMのEDTAを含むPBSを添加して、30mLの全体積にし、別に10乃至20分間300rpmで遠心分離した。洗浄ステップは繰り返されて、細胞ペレットは300μLの脱気バッファ(0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)及び2mMのEDTAを与えたPBS、pH7.2)の中で再懸濁された。細胞は75乃至100mmのプレート上のDMEM培地の中で懸濁された。幹細胞を含む生きている単核細胞は、約30分でプレートに接着させた。残っている赤血球細胞および他の白血球細胞は培地中に懸濁されたままであったが、単純に培地を交換することによって洗浄された。プレートに付着した細胞は、トリプシン処理され、細胞新生に用いられた。。選択的に、CD34−陽性の前駆細胞は、MiniMacsアイソレーションキット(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)を用いて更に分離することができる。白血球細胞ペレットは、収集され、10%のFBS、幹細胞因子(SCF、10ng/mL)を含むヒトサイトカイン、Flt3リガンド(FL、10ng/mlL)、インターロイキン−3(IL−3、20ng/mL)、IL−6(10 ng/mL)、IL−11(10ng/mL)、トロンボポエチン(TPO、50ng/mL)及び、エリスロポイエチン(EPO、4unit/ml)を与えられたMyerout培地(H1500、Stem Cell Technology、Vancouver、BC、カナダ)中で培養した。サイトカインは、EMD Biosciences、サンディエゴ、CA、およびBD BioSciences、San Jose、から購入された。培養は、5パーセントCOを与えられた空気中で37℃でインキュベートした。
【0063】
例3−細胞新生因子としての胎児抽出液の製剤
発達(例えば、胎児、および胎芽)の初期に収集された組織は、細胞を細胞新生させる細胞新生因子の優れた原料となる。次のマウス胎仔肝の例は、本手順を説明している。
【0064】
胎児は、妊娠しているマウスから集められれ、胎仔肝は、氷冷したPBSを含むペトリ皿で切開された。肝組織は、無菌ハサミ、あるいはかみそりで細かく刻まれ、ガラスの破砕機にPBSと共に形式移入された。破砕機の内筒が約20回ゆるやかに上下に動き回ったので、肝組織は均質にされた。細胞は線維の結合組織を除去するために、ナイロン層を通過し、4℃で10分間600rpmで遠心分離された。細胞は、氷冷した抽出バッファ(50mm HEPES、pH7.4、50mm KCl、5mm MgCl、2mm β−メルカプトエタノール、および5mm EGTA)で2度洗浄された。細胞は、更に以下のタンパク質分解酵素阻害剤を含む同じバッファで洗浄された:サイトカラシンB、ロイペプチン、アプロチニン、およびペプスタチンA ( 10μg/mLそれぞれ)。氷上での5つのインキュベーション後に、細胞は1分間に1000rpmで遠心分離された。上澄み抽出液は、溶液量の約半分を残すように、注意深く除去された。
【0065】
細胞は、3の冷凍/解凍サイクル(−80℃乃至室温)を通るように配置され、4℃で30分間、12,000rpmで遠心分離された。上澄み抽出液は収集され、2%のグリセロールが添加された。0.6mL管の中のアリコート(0.1ml)は、液体窒素で凍らせ、−80℃で貯蔵された。
【0066】
胎仔及び胚の抽出液は、このように老齢細胞、組織、器官、および全体の哺乳類体を細胞新生させる因子に富んでいる。本方法はまた、他の胎仔の組織である、胎仔全体、胚、および胎盤を抽出することによって使うことができる。
【0067】
例4−細胞新生因子としての胚幹細胞(ESCs)の製剤
ESCsはトリプシン処理され(例1参照)、約2×10の細胞は、1.5ml管の中に収集された。例3に述べたように、細胞はまず氷冷した抽出バッファで2度洗浄され、次いで、3の冷凍/解凍サイクル(−80℃乃至室温)に供せられ、そして30分間4℃で12,000rpmで遠心分離された。上澄み抽出物は収集され、2%のグリセロールが添加された。0.6mL管の中の上澄みのアリコット(0.1ml)は、液体窒素で凍結され、−80℃で貯蔵された。
【0068】
本方法を用いて、細胞抽出液を他の組織幹細胞、臍帯血幹細胞、及び、細胞新生において用いる細胞新生した新しい細胞から分離することができる。本方法は、胎児、肺及び胎児の組織のような組織から組織抽出液を抽出するために用いられる。
【0069】
例5 ESC核抽出液からの細胞新生因子の調整
ESCの核抽出液を、上述した方法を用いて精製した(Tian et al. DNA修復 Repair(Amst)、2002、1:1039−49)。簡単に述べると、ESCsを、室温、2200rpmで5分間遠心分離にかけて採取し、細胞容積の5倍の冷PBSで一度洗浄した。10mM HEPES低緊張バッファ、1.5mM MgCl、10mM KCl、0.5mM DTTからなる、ESCsを細胞容積の5倍のバッファAに懸濁させた。4℃に保って、ESCsをガラス製の破砕機(Wheaton A Dounce 破砕機、〜10ストローク)を用いて溶解させ、2200rpmで15分間遠心分離にかけて、核を回収した。核を核容積の1/2のバッファC(10mM HEPESバッファ、25%のグリセロール、1.5mMのMgCl2、420mMのNaCl、0.5mMのジチオスレイトール[DTT])に入れて核タンパク質を抽出し、4℃で30分間攪拌し(必要があれば、Dounceで再度均質化した)、3回冷凍/解凍サイクル(−80℃から室温へ)においた。懸濁液を4℃で、30分間、高速(12,000rpm、SS−34)で遠心分離にかけた。次いで、上澄み液を容積50倍以上のバッファD(20mM HEPESバッファ、pH7.9、20%のグリセロール、0.2mMのEDTA、100mMのKCl、0.5mMのフェニルメチルスルフォニルフルロイド[PMSF]、及び0.5mMのDTT)に対して、冷たい部屋で透析した。バッファを取り替えて、容積50倍以上の溶液Dに対して、〜2.5時間透析した。上澄み液を30mLのCorex管に移して、4℃で、HB−4ロータで20−30分間、10,000rpmで回転させた。タンパク質濃縮対を測定して、20−30mg/mLのタンパク質に調整し、液体窒素中で0.2mLのアリコートに凍結させ、後の細胞新生用に−80℃で保存した。
【0070】
この方法は、その他の組織幹細胞、臍帯血幹細胞、及び新生細胞から核抽出液を分離するのに使用することができる。
【0071】
例6−老化細胞を細胞新生する方法
老化細胞は、より若い哺乳類対象の様々案阿蘇式又は細胞から採取した細胞又は核抽出液を用いて、インビトロで細胞新生することができる。細胞新生後は、細胞はよりいっそう強力である。細胞新生後は、老化プロセスで失われた細胞の機能性が回復した。皮膚の線維芽細胞を用いて、この手順を例証した。
【0072】
例1に記載した通り、線維芽細胞を準備した。簡単に述べると、線維芽細胞にトリプシン処理を施し、1.5mLの管内の約3x10細胞のアリコートに回収した。細胞を氷で冷やしたハンクス液(HBSS)で洗浄し、37℃で、1時間、300−1000ng/mLのストレプトリジンO(SLO、シグマ社)で前処理を行って、細胞ギャップ結合を開いた。200μLの氷で冷やしたHBSSで洗浄した後、細胞を1200rpmで、4℃で、3分間遠心分離にかけ、バッファT(20mM HEPESバッファ、pH7.3、110mM KAc、5mMのNaAc、2mMのMgAc、1mMの EGTA、2mM DTT、アプロチニン、ペプスタインA、及びロイペプチンを各1μg/mL)で洗浄した。遠心分離にかけた後、この細胞ペレットを、1mg/mLのBSA、1mMのATP、5mMのホスホクリアチン、25μg/mのクリアチンキネーゼ(シグマ社)、0.4U/mLのRNase阻害剤(インビトロゲン)、及び、4つのdNTPs(ヌクレオチドトリホスファレート)を各1mMと、バッファTで調整したESC各抽出液を含む細胞新生バッファ中に懸濁させた(Martys JR et al、1995 J.Biol. Chem 270:25976−84; Hansis C et al、2004 Curr Biol 14:1475−80)。この細胞をウオーターバスの中で、時々タッピングしながら、37℃で、約1時間インキュベートした。この細胞新生ステップの後、6ウエルプレートに2mMのCaClを含むKO−DMEMと抗生物質を加えることによって、細胞を修復し、SLOによって開かれた間細胞膜の孔を修復した。KO−DMEM媒体は、新生した線維芽細胞が密集するまで毎日交換した。この細胞をトリプシン処理して、100mmのプレートに分けた。図2は、胎児抽出物(図2D)で処理した新星細胞に比較した対照線維芽細胞(図2A及び2B)と、ES細胞核抽出液(図2E)で処理した新星細胞を示す。コントロールの線維芽細胞は、非常に遅い速度で成長し、十分に密集しなかった。この細胞は広く分かれて、プレート内で低密度に分散した。対照的に、新星細胞は急速に成長し、十分に密集した。この新星細胞は、非常に密集しており、互いにそろっていた。これらの新生細胞は、将来の使用のために液体窒素中で保存した。
【0073】
いくつかの変形例が予測される。タンパク質酵素(例えば、トリプシンやコラゲナーゼ)、界面活性剤(ジギトニン)および電気穿孔を使用して、細胞新生の前に細胞膜を前処理することができる。別の研究(日付は示されていない)では、半分の体積の胎児組織抽出物と、半分の体積のESCs核抽出物の使用が最適であることを発見した。胎児組織抽出物は、老化細胞を新生する開始剤として機能するように見え、ESCの核抽出物は、細胞新生プロセスを促進するブースタの様に作用した。
【0074】
この手順による細胞新生は、元の処理を行っていない細胞と同じ形態を保った。しかしながら、新生した細胞は、細胞増速速度がコントロールの細胞より早く、より良好な細胞機能を有していた。例えば、新生した線維芽細胞は、未処理の線維芽細胞より、美容セラピィの値を示すコラーゲンとエラスチンをより多く合成した(以下のデータを参照)。細胞新生した骨髄細胞または造血幹細胞は、液体癌、白血病、化学療法によって生じる造血不全の治療に有効であろう。また、新生細胞がより長いテロメアとより高いテロメラーゼ活性を有するであろうことを期待している。
【0075】
例7−皮膚組織の細胞新生
これは、老化皮膚組織のより短い細胞新生法である。皮膚の生体組織を例1に示すように取得し、10%のFBSと100U/mLのペニシリンと、100μg/mLのストレプトマイシンを加えたDMEM媒体中で成長させた。一晩インキュベートした後、皮膚組織をプレート上に重ねた。媒体を除去して、50μLの細胞新生バッファと50μLの細胞新生因子(ESC核抽出物)をこの皮膚組織に加えた。皮膚組織を37℃で4時間細胞新生して;次いで、1倍の体積のFBSを有する2xDMEMを加えた。皮膚組織を2週間、培地を2日ごとに交換してインキュベートした。図3で、左側にわずかに線維芽細胞が成長している未処理の皮膚を示す。右側の細胞新生皮膚は、皮膚から現れて、皮膚の端部に付着している多くの新しく成長した細胞を有している。これらのデータは、個々の細胞だけでなく、皮膚組織を細胞新生できることを示している。細胞新生の後、この皮膚は、若い皮膚の機能を得て、より新しい細胞を成長させた。このように、この細胞新生手順を用いて、組織または器官を再生し、老化組織及び器官の機構を回復させることができる。
【0076】
上記の手順を用いて、老化したマウスから分離した骨髄間質細胞を新生することができる。老化したマウスから分離したコントロールの骨髄間質細胞は、非常にゆっくり成長した(図2A)。胎児の肝臓抽出物を用いた細胞新生の後は、間質細胞は非常に健康であり、より速い速度で倍増した(図2H)。興味深いことに、ESC核抽出物を用いて細胞新生した間質細胞は、培地中で良好に成長した(図2I)。
【0077】
例8−マウス皮膚線維芽細胞の胚幹細胞様(ESL)新星細胞への細胞新生
マウス線維芽細胞株(FNSK1;Hu et al、 Mol Endocrinol 1995,9:628−36;Hu et al,J. Biol Chem 1996, 271:18253−62)を、マウスESCの核抽出物によってインビトロで細胞新生した(例5)。この特別な選択手順の後は、これらの完全に再プログラミングした細胞のみが選択媒体中で成長した。1)新生細胞は、まず、逆位の小滴中で、次いで、20%のFBS、1xの抗生物質(100U/mLのペニシリンと、100μg/mLのストレプトマイシン)と、1mMのグルタミン、1%の非必須アミノ酸、0.1mMのβ−メルカプトエタノール、4ng/mLのbFGF、0.12ng/mLのTGF−β1、及び10ng/mLのLIFを加えたノックアウトDMEM(KO−DMEM)中の0.35%のアガロースゲル上の懸濁液中で成長した。2)ESLコロニを選択して、胎児性線維芽フィーダ細胞上で成長した。培養した後、いくらかの細胞が凝集して、ESCと同じ形態を有する小さな新星細胞コロニを形成した。更に2日間成長した後は、新星細胞コロニがより大きく成長した(図4D)。3)細胞コロニを注意深くピックアップして、新しい支持細胞に蒔いた(図4F)。これらの派生細胞は、FN−ESLと呼ばれ、拡張して、ESCマーカ用に保存して分析したアリコート以外を、液体窒素内に保存した。この実験は、続いて逆分化プロトコルを行うインビトロでの細胞新生方法が、ESL細胞に線維芽細胞の逆分化を誘導できることを示している。この形態とテロメラーゼ(ESCsと共通)(例9及び20を参照)の存在に基づいて、これらのFN−ESL細胞は、細胞療法におけるESCsのような機能が期待される。
【0078】
この仮説を試験するために、培養したFN−ESL細胞からEBsを成長させた。FN−ESL細胞は、1000U/mLのLIFの存在下で、37℃で、FBS20%のKO−DMEM培地で培養した。指数関数的に成長するFN−ESLをトリプシン脱離によって回収し、細胞懸濁液を、逆にしたペトリ皿のカバー上にぶら下がった小滴(20μL)にした。この皿の底にPBSまたは水を満たした。3日後、EBsを形成し、0.1%のゼラチンで予め被覆してある新しい培地皿の上に回収した。FN−ESLによるEBsの形成は、FN−ESLがESCsのように機能することを示す。
【0079】
例9−FN−ESL細胞中のESCマーカの発現
FN−ESL細胞をトリプシン−EDTAを用いて皿から回収した。総RNAを、Tri−Reagent法(シグマ社、モンタナ州、セントルイス所在)によって、細胞から抽出した。cDNA合成におけるDNAの汚染を避けるために、RNAサンプルをまず、DNase Iで処理した。ついで、cDNAをRNA逆転写で合成した(Vu and Hoffman、J Biol Chem 1996、271:9014−9023; Hu et al、Mol Endocrinol 1995、9:628−36; Hu et al、J Biol Chem 1996,271:18253−62)。
【0080】
上述したとおり、遺伝子発現をcDNAサンプル中のPCRによって検査した(Vu 1996、ibid。; Yao et al、J Clin Invest2003、111:265−73)。cDNAサンプルを、50μMのdNTP、1nMプライマ、0.125U KT1 DNAポリメラーゼの存在下で、3.0μLの反応混合液中で増幅した(Hu et al、J Biol Chem、1997、272−20715−20;Yao、2003、ibid)。cDNAsとプライマを95℃に、1.5分間加熱して、ついで、95℃で15秒間、65℃で40秒間、及び72℃で30秒間、35サイクルで増幅した。PCR製品は、5%のポリアクリルアミド−尿素ゲル上で電気泳動にかけて、ホスホイメージスキャナ(Molecular Dynamics社、カリフォルニア州、サンニバル所在)によって操作した。以下のPCRプライマを用いてmRNAを定量した。
Oct4:5’−プライマ(#3284)−AGCACGAGTGGAAAGCAACTCAGA(SEQ ID NO:1)
3’−プライマ(#3285)−CTTCTGCAGGGCTTTCATGTCCTG(SEQ ID NO:2)
Ndp52L1:5’−プライマ(#3288)−TAGAAGAGATGGAACAGCTCAGTGA(SEQ ID NO:3)
3’−プライマ (#3289)−ATTGACCCTCTGTGTTGCTTCCAGT(SEQ ID NO:4)
Dppa3:5’−プライマ(#3290)−CTATAGCAAAGATGAGAAGACTTGT(SEQ ID NO:5)
3’−プライマ(#3291)−TGCAGAGACATCTGAATGGCTCACT(SEQ ID NO:6)
β−actin:5’−プライマ(#1483)−TGAGCTGCGTGTGGCTCCCGA(SEQ ID NO:7)
3’−プライマ(#1484)−GATAGCACAGCCTGGATAGCA(SEQ ID NO:8)
【0081】
図5は、100bpDNAマーカ用のレーン1及び14を示す。レーン2、6、10及び15は、未新生の線維芽細胞のコントロールの細胞からの結果を含んでいる。レーン3、7、11及び15は、初期のESL新星細胞からの結果を含む。レーン4、48,12及び17は、新星細胞コロニからの結果を含む。コントロールの線維芽細胞は、定期的に、分化され、3つのESCマーカを発現しなかった(Oct−4、Ndp52L1及びDppa3)。しかしながら、新生した新星細胞3つのステージは全て、レベルの高い3つのESCマーカを発現した。内部コントロールのβ−アクチンは、コントロールを含めて全ての細胞型において同様に発現した。これらのデータは、インビトロでの細胞新生方法が、体細胞をESL新星細胞に脱分化することができることを示した。この新星細胞は、多能性であり、細胞療法においてESCsに代わって有益なその他の細胞や組織に脱分化することができる。
【0082】
例10−インビトロでのエピジェネティック再プログラミングによる多能性細胞の形成
上述の例にあるように、線維芽細胞にトリプシン処理を行い、約10の細胞を1.5mLの管にアリコートした。この管を遠心分離にかけて、上澄み液を取り出した。次いで、50μLのトリプシン−EDTA(インビトロゲン)をくわえて、混合物を37℃で5分間インキュベートし、細胞膜に透過処理を行った。細胞を1200rpmで3分間スピンさせて、細胞を沈殿させた。細胞をバッファT(20mM HEPESバッファ、pH7.3、110mM KAc、5mMのNaAc、2mMのMgAc、1mMの EGTA、2mM DTT、アプロチニン、ペプスタインA、及びロイペプチンを各1μg/mL)で洗浄した。次いで、細胞を20μLの新生細胞バッファ(2mg/mL BSA、2mM ATP、10mMホスホクレアチン、40U/mL クレアチン キナーゼ、0.5μL RNaseインヒビタ、5μLバッファT、10μL ESまたは胚抽出物)中で再度懸濁させ、37℃で1時間細胞新生させた。細胞新生期間の最後に、新星細胞溶液に、10%FBS、1倍の抗生物質(100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシン)を加えた280μLのKO−DMEM、1mMのグルタミン、1%非必須アミノ酸、0.1mMのβ−メルカプトエタノール、5ng/mLの基礎線維芽細胞成長因子(bFGF)、0.12ng/mlのTGF−β1、及び10ng/mlの白血病阻害因子(LIF)を加えた。
【0083】
例6にあるように、界面活性剤(例えば、デジトニン)、ストレプトリシンO(STO)あるいは電気穿孔を用いて、細胞新生の前に前処理を行うこともできる。
【0084】
細胞新生の後は、細胞が直接プレートに置かれた場合は、細胞は自動的に多能性ESLに脱分化しない。しかしながら、新生した細胞は、短い倍加時間とその他の改良された生理学的機能を持っている。以下の3つのステップの選択プロセスを用いて、リプログラムした細胞を完全に分離した。
【0085】
新生した細胞を20μLの小滴中で成長させた。細胞小滴を100っmのプレートのカバーの上に配置して、このカバーを注意深く逆転させた。PBSがプレートの底に配置された。細胞を一晩インキュベートした。新生した細胞はこの段階では非常に可動であり、ほとんどの細胞が上に移動して、プレートの非被覆カバーに付着した。このカバーから細胞を取るために、細胞をチプシン化した。全ての細胞小滴が組み合わされて、それに対して1mLのKO−DMEMを加えた。細胞は、次いで、支持細胞(未新生の細胞、あるいは未離プログラムされた細胞)の上で成長させた。新生下細胞は、毎日培地交換して、維持された。凝集したESL細胞コロニを選択して、4ng/mlのbFGF,0.12ng/mlのTGF−β1t、10ng/mLLIFを、0.5%のアガロースゲル加えたKO−DMEM中の懸濁させた細胞として選択され、成長する。いくつかの経路(2−4d)の落ち、凝集したESL新星細胞は転写され、フィーダ細胞層の上に成長する。ESCsの同じ同じ形態と健康な細胞タイプを持つ細胞が選択されて、ESマーカを更に分析するために拡張する。いくつかの経路を通った後、これらの細胞は液体窒素中で保存されるか、あるいは、細胞をタイピングする及び分化アッセイ用に使用される。
【0086】
これらの3つのステップ(逆位小滴、アガロース上の懸濁セル、及びESC選択)の特別な処理を行った後、これらの培養した新星細胞は、元の老化細胞と異なる細胞形態を有する。これらの新星細胞は、多能性であり、細胞療法において、通常の異種性ESCsに置き換えることができる。これらの細胞は、受容体から来ているので、自己の新星細胞は、臍帯血幹細胞や、その他の細胞移植に伴って生じる移植片対宿主反応を引き起こすことがない。
【0087】
例11−インビトロでのエピジェネティック再プログラミングによるヒト皮膚線維芽細胞の多能性新星細胞への転換
線維芽細胞を49歳のヒト男性から採取して、異なる前処理とことなる細胞抽出を行ってインビトロで細胞新生した。細胞新生の後、新星細胞を選択して、アガロースゲルの上で成長させ、新星細胞コロニの顕微鏡写真を撮影した。データは、明らかに、トリプシン−EDTA(図6B)、ストレプトリシンO(図6C)、ジギトニン(図6C)、及び電気穿孔(図6E)を用いた線維芽細胞の前処理が、処理を行わなかった対照線維芽細胞(図6A)に比べて、同用に新生細胞を産生することを示した。更に、線維芽細胞が、ESC核(図6F)、GC細胞(図6G)、胚細胞(図6H),及び、アフリカツメガエルの卵(図6I)の抽出物によって同様に細胞新生された。
【0088】
例12−複製−欠損ESC融合による多能性新星細胞の形成
いくつかの研究グループが、インビトロハイブリダイゼーションによって、あるいはESCsを用いた融合によって体細胞(例えば線維芽細胞)からESCsを形成することを報告している(例えば、Tada et al、Current Biology 2001、11:1553−58; 及びCowan et al、Science 2005、309:1369−73)。しかしながら、形成されたESCsは、標的細胞とESCsの両方のゲノムを含む四倍体細胞である。四倍体細胞は、遺伝子的に不安定だと考えられているため、臨床アプリケーションには望ましくない。
【0089】
この問題を解決するため、「ESC複製−欠損」(ESR)を用いて、体細胞から四倍体ではなく、二倍体多能生ESCsを作る新しいアプローチが開発された。この方法では、まず、再プログラミングESCsのDNA複製機構が動作不能となり、ESCsのゲノムが複製しない、あるいは、融合のときにわずかな新しく加わった細胞に寄与しない。ESC複製は、不活性ではあるが、すぐに、存在するゲノムがmRNAを作り、次いで、標的細胞をESCsに分化転換するのに必須である再プログラミング因子のタンパク質を作る。結果物としての多能生ESCsは、二倍性である。更に重要なことには、これらは個別化されたESCであり、従って病気の治療においてESCsを置換するのに有用である。
【0090】
DNA複製を不可能にするのに使用されるこの方法には、限定するものではないが、ESCsの放射線、化学物質、化学療法剤、ウイルス、及び物理療法への曝露が含まれる。これらの方法は、支持細胞のDNA複製をブロックするのに使用されていた。DNA複製を不能にする二つの方法をESCsで試験を行った。
【0091】
一の方法では、ESCsを放射線(Cs、3000rds)に曝露させた。曝露後、ESC DNAは損傷を受け、娘細胞を作るべく複製しなかった。しかし、これらの処理を行ったESCsは、最大約1週間、培地中で生き残っており、細胞再プログラミングに必要な遺伝子を含む多くの遺伝子がまだ活性であり、タンパク質を発現していた。この結果、照射ESCsは、体細胞を多能性ESCsに転換する再プログラミング因子を提供する信頼の置ける源として使用できる。複製−欠損特性のため、ESCのゲノムは、複製を行わず、従って、細胞が溶融した後も娘細胞のゲノムに寄与しなかった。
【0092】
もう一つの方法では、DNA複製は、ESCsを0.5μg/mLのアクチノマイシンDに一晩曝露させることによって、不活性になった。処置の後、アクチノマイシンDは、ESCsのDNA複製をブロックしたが、タンパク質合成機構は無償を保っている。細胞融合の後、処置を行ったESCsは、融合細胞中の再プログラミング因子に寄与したが、娘細胞のゲノムには寄与しなかった。いくつもの選択段階の後、これらの二媒体ESCsのみが成長し、治療的アプリケーションに適用可能であった。
【0093】
細胞融合のために、頭領の複製−欠損ESCsと標的体細胞(例えば線維芽細胞)を混合して、CMFバッファ(カルシウム−及びマグネシウム−フリーHBSS)で2回洗浄した。細胞ベレットを遠心分離にかけて、残留バッファを完全に除去した。次いで、管をたたいて緩め、細胞ペレットを混合し、その後、1.5−2mLのPEG(ポリエチレングリコール1500、Cat.No.783641Roche社、ドイツ)を1分以上加えた。細胞とPEGを混合するために、管を再びたたいて回転させた。次いで、20mLの予め暖めておいた(37℃)PMFバッファ(0.2M PIPES、pH6.95,2mM MgSO,及び4mM EGTA)を、細胞凝集塊を崩さないようにして、滴液にして3−5分以上加えた。更に、20mLのPMFバッファをゆっくりと加えて、管を注意深く反転させて細胞を混合した。次いで、細胞を1200rpmで5分間遠心分離にかけて、4ng/mLのbFGFと、0.12ng/mLのTGF−β1を加えたKO−DMEM媒体で再度懸濁させた。上述したとおり、融合した細胞をアガロースゲルの上あるいはゼラチンで被覆したプレート上で懸濁液中で培養した。
【0094】
代替的に、電気穿孔とウイルス媒介細胞融合を用いて、複製−欠損ESCsと標的細胞から融合細胞を作ることができる。電気穿孔については、同量の複製−欠損ESCと標的体細胞を混合して、PBS中で3回洗浄した。この細胞を、10cells/mLの濃度で、0.3Mマンニトールバッファ中で懸濁させた。BTX Electro Cell Manipulator 2000を用いて、1−mmの電極ギャップを担持するスライドガラス(BTX社、マサチューセッツ州、ホリストン所在)で、電気融合(E=2.5−3.0KF/cm)によってハイブリッド細胞を作った。融合後、4ng/mL bFGFと0.12ng/mL TGF−β1を加えたKO−DMEM培地で細胞を培養して選択した。
【0095】
融合後、体細胞の核を融合細胞中で、複製−欠損ESCsによって提供された因子によってエピジェネティックに再プログラムした。いくつかの段階の後、元の複製−欠損ESCsのゲノムが完全に消滅して、再プログラムした体細胞ゲノムが融合細胞に残った。選択を行った後、この培養した新しい細胞は、多能性を有しており、二倍体細胞であったため、細胞補充治療に有効である。
【0096】
データは、放射線(図7A及び7B)とアクチノマイシンD(図7Cと7D)によって生じた双方の欠陥DNA複製方を示した。細胞融合の後、二倍体ESL−新星細胞が選択され、拡張した。これらの二倍体ESL−新星細胞は、患者から採取したESCsであり、再プログラミング供与体細胞(E12 ESCs)のゲノムを汚染するリスクはなかった。これらの融合した細胞は、ESCsと同じ形態を有しており、成長速度が同じであった。同様に、融合細胞が、ESCバイオマーカOct4,Nanog及びStellarを発現した。従って、この融合した細胞は、再簿移行間治療に有効である。
【0097】
例13−多能性新星細胞の分化
図8は、老化細胞を多能性新星細胞に細胞新生する本発明の手順の概略図である。図1のように、老化細胞をまず収集し、細胞集団を広げるために適切な培地中で培養した。細胞のギャップ結合を開けるために、細胞膜透過性試薬(例えば、トリプシン/EDTA)に細胞を曝露した後で、細胞は細胞新生バッファ中で細胞新生因子と共に細胞新生した。細胞新生後、細胞は、特異的な成長因子を与えた適切なバッファの中で成長させた。多能性新星細胞のコロニは、その後フィーダ細胞、又は被膜されたマトリクス(例えば、マトリゲル又はアガロース)上から選択された。選択された新星細胞は、胚幹細胞(ESCs)又は他の組織特異的な幹細胞の基本的な特徴を有し、細胞療法におけるESCsと幹細胞を置き換えるのに有用である。これらの新星細胞の利点の1つは、同一患者由来にすることができ、従って患者に返ってくる免疫拒絶反応を有意に減じ、または除去することができることである。他の利点は、ヒトの胚の使用を回避するので、新星細胞が細胞療法で使用される際に、倫理的な又は政治上の懸念がないことである。
【0098】
これらの方法は、求める細胞型によって変化する。一般的に、胚幹細胞を分化させるのに使用される公開された方法は、ESL−新星細胞を分化させるのに好適である。以下の記載は、どのように新星細胞が脂肪細胞と骨細胞に分化してゆくかを示す例である。
【0099】
ESL細胞を1000U/mLのLIFの存在下で、37℃で、20%のFBSを伴うKO−DMEM培地で培養した。細胞懸濁液をペトリ皿のカバーの上にぶら下がった小滴(30μL)にした。皿の底をPBSで満たした。2日後、胚葉体(EBs)が形成され、0.1%のゼラチンで予め被覆した新しい培養皿の上で回収した。脂肪細胞の分化には、付着させたEBsを、10−6Mのオール−trans−レチナール酸(ATRA)で3日間処理を行い、次いで、10−7Mのインシュリンと2x10−9Mのトリヨードチロニン(T3)で処理を行った。骨細胞の分化には、EBsを、3×10−4Mのアスコルビン酸ホスホレートと10−2Mのγ−グリセロホスフェートを含む培地中で、10−8Mの1.25(OH)ビタミンD3で、5日目に処理を開始した。培養を10日、20日、及び30日で終了し、免疫組織化学的染色に用いた。分化した後、脂肪細胞と骨細胞の形成を、免疫組織化学的染色によって確認した。
【0100】
分化した脂肪細胞中の脂質を染色するために、細胞をPBSで洗浄して、10%の中性ホルマリン中に室温で2分間固定させた。水道水ですすいだ後、細胞をオイル赤Oで10−12分間、顕微鏡で見て油滴が視覚的に赤くなるまで染色した。次いで、スライドを50%のイソプロパノールと水道水ですすいだ。細胞をヘマトキシリンで10分間対比染色した。分化した脂肪細胞が、光学顕微鏡で観察された(図9)。処理を行わなかった対照線維芽細胞には脂質の染色が見られなかった(図示せず)。対照的に、分化した後、FN−ESL新星細胞で合成された脂質が原形質中に蓄積起された。これらのデータは、FN−ESL新星細胞が脂肪細胞に分化する潜在性を有しており、脂肪細胞に分化することを示している。
【0101】
例14−FN−ESL新星細胞の骨格筋細胞への分化
EBsを上述したとおり形成した。それから取ったFN−ESL細胞(約5×10)を、20%のFBS、2mMのL−グルタミン、1x非必須アミノ酸、450μのモノチオグリセロール(シグマ社)、および抗生物質を加えた、Iscove‘s Modified Eagle Medium(インビトロゲン)中で、10mmの逆さにした細菌学的ペトリ皿に移した。5−7日後、EBsを0.1%のゼラチンで被覆した6ウエル組織培養皿に、ウエル当たり7−10EBsの密度で配置し、4日間培養した。細胞をダルベッコ−PBS(D−PBS)で洗浄し、2%の不活性ウマ血清と、1mLのC1C12培養媒体(0,2μmフィルタで濾過した)の上澄みを加えた、2mL/ウエルのDMEMでインキュベートした。2−4日間、毎日培地を交換した。分化が行われる間の筋管形成に続いて、顕微鏡観察を行った。
【0102】
骨格筋の分化が、免疫組織化学的染色によって確認された。分化した細胞をD−PBSで3回洗浄し、100%のエタノールで5分間固定した。背景を、室温で1時間、0.05−1%のサポニンを含むD−PBS中で、1−2%の正常ヤギ血清でブロックした。一時抗体を、4mg/mLのBSAと0.05―0.1%のサポニンを含むD−PBSで希釈した。マウス抗MHC一時抗体(シグマ社、1:500)を加えて、室温で1−3時間、あるいは4℃で一晩インキュベートした。次いで、細胞をD−PBSで5回洗浄した(クイックリンスを2回、1回は15分間、2回目は5分間)。第2抗体溶液(ヤギ抗マウス 1:1000)を加えて、室温で0.5乃至1時間インキュベートした。0.05%のサポニンを含むD−PBSで5回洗浄した後(同じプロトコル)、細胞をZeiss Axiovert 200反転型蛍光顕微鏡で観察した。
【0103】
対照細胞には骨格筋タンパク質の免疫染色が見られなかった(図示せず)。分化した後、FN−ESL新星細胞が凝集して、金冠及び合成骨格筋特異的タンパク質に融合した(図9)。これらのデータは、FN−ESL新星細胞が、骨格筋に分化する可能性をもっており、骨格筋に分化したことを示す。
【0104】
例15−FN−ESL新星細胞の心筋への分化
FN−SEL新星細胞を、20%のフェbと、1000U/mLのLIFと、L−グルタミンと、非必須アミノ酸と、β−メルカプトエタノールを加えたKnockout Dulbecco‘s Modified Eagle Medium(KO−DMEM)中で、BMM2/NG支持細胞上で培養した。BMM2/NG支持細胞を、30Grayのγ−放射線によって前処理を行い、その複製をとめた。FN−ESL新星細胞をペトリ細菌培養皿に、KO−DMEM中に約2.0x106の細胞密度で、LIFを入れずに蒔いて、EBsを形成した。3日後、EBsを回収して、10%のFBS/KO−DMEM中で、1%のマトリゲルで被覆した組織培養皿の上にプレートした。二時間後、100ng/mLのアクチビンAを媒体に加えて、細胞を24時間培養した。媒体は、10%のFBS/KO−DMEMで6時間で交換した。次いで、10−6M ATRAを媒体に加えて、細胞を更に24時間培養した。細胞を10%のFBS/KO−DMEMで、10ng/mLのbFGFを用いて3日間処理を行い、B27、1μg/mLのラミニン、10Mニコチンアミド、及び10ng/mLのbFGFを加えたDMEM/F12(1:1)を含むN2媒体に切り替えた。このN2媒体は、分析を行うまで毎日交換した。
【0105】
4日目に、N2媒体中で、培地に拍動細胞クラスタが見られた。拍動心筋をいくらかスライドに映して、PBS中の4%のパラホルムアルデヒドによって、4℃で一晩固定させ、次いで、リン酸バッファで2回洗浄した。非特異的結合部位を、室温で1時間、ウマ血清によってブロックした。一次及び二次抗体を用いて、室温で1時間インキュベートした。以下の一時抗体と希釈液を用いた。インシュリンAB−6マウスモノクロナール抗体(Lab Vision、カリフォルニア州、フレモント所在)1:200、トロポニンTマウスものクロンアール抗体(Lab Vision、カリフォルニア州、フレモント所在)1:100、及び抗C−ペプチド抗体(LINCO Research Inc.モンタナ州セントルイス所在)1:100。二次的なすぐに使用できるユニバーサル抗体を、製造者の指示書に従って適用した。DAB(3,3‘−ジアミノベンジジン)を反応基質として用いた。Zeiss Axiovert200反転型顕微鏡によって画像を捉えた(図9C−E)。
【0106】
これらのデータは、FN−ESL新星細胞が機能的拍動心筋に分化できたことを示している。
【0107】
例16−FN−ESL新星細胞のインシュリン分泌膵臓ベータ細胞への分化
上述したように、EBs形成した。マウスESC用に述べた三段階法(Shi et al、幹細胞、2005、23:656−62)を細部を変更して用いて、インシュリン分泌細胞に分化させた。すぐに使用できるVectastainユニバーサルクイックキット(Vector Laboratories, Inc.カリフォルニア州、バーリンガム所在)を用いて。標準免疫組織化学的プロトコルを行った。簡単に述べると、細胞を、PBS中の4%のパラフォルムアルデヒドで、4℃で一晩固定させて、PBSで2回洗浄した。非特異的な結合部位を、ウマ血清でブロックして、その後細胞を、インシュリンAb−6マウスモノクロナール抗体(1:200;Lab Vision)と抗D−ペプチド抗体(1:100;Linco Research、Inc.)でインキュベートした。二次的なすぐに使用できるユニバーサル抗体を、製造者の指示書に従って適用した。DABを反応基質として用いた。Zeiss社の反転型顕微鏡で画像をとれた。対照セルにはインシュリンの免疫染色が見られなかった。分化が行われた後、いくらかのFN−ESL新星細胞が、細胞島に凝集しているのが観察された。島内の細胞は、その細胞質にインシュリンが合成されているのが見られた(図9C及び9Dの茶色い部分)。より長い導入によって、インシュリン信号が大質量の細胞に蓄積された。これらのデータは、FN−ESL新星細胞が、インシュリン生成細胞に分化する可能性を有し、インシュリン生成細胞に分化したことを示す。
【0108】
例17−FN−ESL新星細胞の神経細胞への分化
FN−ESL新星細胞からの神経外胚葉細胞を、Zhang et al.による上述した方法によって生成した。簡単に述べると、EBsに凝集すると、ESCsの分化がFGF−2の存在かで多数の神経管状構造を形成した。神経前駆体が分離され、その差次接着に基づいて精製された。FGF−2を脳由来神経栄養因子(BDNF)で置換した後、細胞が神経、星状膠細胞、乏突起膠細胞に分化した。神経細胞の免疫組織化学染色が上述したとおり行われた(Zhang ibid.)。この研究に使用された一次抗体には、ネスチン(nestin)に対するポリクロナール抗体(Chemicon、カリフォルニア州、テメクラ所在、1:750)と、βIII−チューブリン(Covance Research Products、カリフォルニア州、バークレイ所在、1:2000)が含まれる。適宜の蛍光二次抗体を用いて抗原を視覚化した(図9A及び9B)。これらのデータは、ESL新星細胞が神経細胞に分化できたこと及び分化したことを示している。
【0109】
例18−ヒトウイルムス腫瘍細胞株のESL新星細胞への転換法
ヒト細胞の新星細胞への転換を説明するために、ヒトウイルムス腫瘍細胞株(WTCL)を、上述の方法を用いてマウスESCの各抽出物によってインビトロで細胞新生した。新生した細胞を培養して、胚線維芽細胞支持細胞上で培養して選択した。培養後、いくらかの細胞が凝集し、ESC形態をした小さな新星細胞コロニを形成した。この細胞コロニを注意深く取り出して、支持細胞に蒔いた。図10Aは、変化のなかったWTCL腫瘍細胞を示す。図10Bは、WT−ESL新星細胞コロニを示す。図10Cは、支持細胞上のWT−ESLの出芽を示し、図10Dは、支持細胞上のWT−ESL新星細胞コロニを示す。これらの結果は、インビトロでの細胞新生方法が、ヒト細胞の胚幹状細胞への脱分化を誘発できることを示す。これらのWT−ESL新星細胞は、次いで、上述した方法を用いて、様々な細胞型に分化することができる。細胞新生後、腫瘍細胞は、より少ない寒天ゲル形成コロニによって示されるとおり、より少ない腫瘍精製キャパシティを示すか、あるいは全く示さず、ヌードマウスには全く腫瘍が見られなかった。この細胞新生を誘発する脱分化は、現状打破戦略を提供して、腫瘍の治療を発展させるであろう。
【0110】
例19−一段階細胞新生と分化(OSRD)プロトコル
上述したとおり、老化した体細胞は、まず、多能性新星細胞に細胞新生して、次いで、脂肪細胞、骨細胞、心筋細胞、骨格筋、及びインシュリン分泌細胞などのその他の細胞に分化した。これらの手順には数ヶ月かかることがある。この手順のスピードを上げるために、ESC核抽出物を細胞新生因子として用い、特異的細胞抽出物を分化誘発体として用いて、これらの二つの手順を一つの一段階プロトコル(以下OSRD手順という)にまとめた。以下は、線維芽細胞で開始し、骨格筋で終わる例である。線維芽細胞を、ESCsの各抽出物と筋抽出物とで同時に処理を行った。
【0111】
線維芽細胞(約10細胞)を、1.5のチューブにアリコートした。50μLのトリプシン−EDTA(インビトロゲン)で処理して、バッファTで洗浄した後、細胞を、ESC核抽出物と骨格筋抽出物を含む、5μLの細胞新生バッファ(1ng/mLのBSA、1mMのATP、5mMのホスホクリアチン、25μg/mLのクリアチンキナーゼ(シグマ社)、2U RNasin[Promega社、ウイスコンシン州、マディソン所在]、100μMのGTP、及び1mMのdNTPs(ヌクレオチドトリホスフェート)中で再懸濁させたこの細胞を37℃で、1時間細胞新生した。ついで、処理した細胞を、20%のFBSと、1x抗生物質(100U/mLペニシリンと100μg/mLストレプトマイシン)、1mMのグルタミン、1%の非必須アミノ酸、0.1mMnoβ−メルカプトエタノール、4ng/mLのbFGF、0.12ng/MLのTGF−β1、及び10ng/mLのLIFを加えた、KO−DMEM中の逆位の小滴中で成長させた。2日目の朝のうちに、この逆位の小滴を回収して、合わせ、回収した細胞をゼラチンで被覆したプレート上で、2%の不活性ウマ血清と、マウス筋芽細胞(C1C12)培養媒体(0.2μmのフィルタで濾過)の1mLの上澄み液中で、成長させた。媒体は、2−4日間、毎日交換した。分化が行われている間に形成された筋管を、免疫蛍光染色によって観察した。
【0112】
骨格筋の形成が、顕微鏡写真と、免疫組織化学染色によって観察された。細胞新生後、線維芽細胞が小さなEBSとしてアガロースゲルの上に成長した(図11A)。分化の際に、細胞が凝集して、筋管に融合し(図11B)、骨格筋特異的タンパク質を合成した(図11C)。これらのデータは、一段階細胞新生分化をもちいて、線維芽細胞が直接新生され、骨格筋に分化され得ることを示している。
【0113】
例20−テロメラーゼの再活性化
真性原基細胞と幹細胞は、テロメラーゼと呼ばれる酵素を含んでおり、これは、テロメアを置き換えて、これらの細胞がへーフリック限度を経験しないようにする。ヒト原基細胞や、ほぼ85%のガン細胞では、この酵素ヒトTElomerase Reverse Transcriptase(hTERT)とRNAテンプレートが、新しいテロメアを作るのに十分である。
【0114】
上述した新生細胞が、原基細胞と幹細胞を伴うテロメアーゼの存在を共有しているかどうかを決定するために、TRAPアッセイ(Kim NW et al、Science 1994 266:2011−15)によってテロメアーゼ活性を調べた。図12は、細胞新生していないおよび細胞新生した線維芽細胞に対するテロメアーゼ生成物を示す図である。ヒト皮膚JH1線維芽細胞とマウス皮膚FNSK6線維芽細胞をそれぞれ含むレーン2及び3に示すように、細胞新生していない細胞は、検出可能なテロメアーゼ生成物を持っていない。レーン6に示すESC結果のように、二つの型の細胞新生した細胞は、細胞中のテロメアーゼの活性の証拠である、テロメアーゼ生成物を生成した(レーン4及び5)。
【0115】
例21−インビトロでの組織または器官の細胞新生法
上述した細胞新生因子は、核抽出物、胚幹細胞、幹細胞、臍帯血細胞、及び新星細胞を含み、直接的にインビトロでの細胞新生法に用いて、組織、器官、及び身体を細胞新生することができる。これは、局所的に細胞新生因子を前進的に適用するか、あるいは、細胞新生因子を所望の活動部位に注入するかして行うことができる。これは、図13にまとめられている。
【0116】
インビトロでの細胞新生の例として、右手に傷によって生じた色素沈着領域をいくつか有する男性のボランティアの皮膚の色素沈着の除去を試験した。この皮膚は、皮膚に局所的に塗布した核抽出物あるいはES細胞の細胞抽出物を用いてによって細胞新生することができる(例えば、色素沈着と皺を減じる)。この細胞新生するべき領域を、まず、70%のイソプロパノールアルコールで消毒する。次いで、トリプシン−EDTA層(インビトロゲン)をこの領域に塗布して、乾燥させずに10分間維持した。次いで、皮膚を0.9%の生理食塩水で洗浄した。二層のALL−Gauze−スポンジに、1x細胞新生バッファに準備したヒトESC核抽出物を吸収させ、浸透可能な領域にそっと塗布した。蒸発を防ぐために、ES−抽出物−吸収スポンジを薄いプラスチックで覆い、このプラスチックの端部を肌に対して、適宜のテープで密封した。一晩細胞新生させた後、皮膚を0.9%の生理食塩水で洗浄し、薄層のスキンローションを細胞新生した領域に塗布した。この手順を1週間に1回か2回、2週間繰り返し、必要に応じて繰り返すことができる。図14Aは、治療前の色素が沈着していた皮膚領域(矢印)を示す。図14Bは、2週間の治療後、色素沈着が薄くなった領域を示す。細胞新生後、皮膚は滑らかになり、輝いて、フレッシュになった。細胞新生治療の後は、色素沈着も完全に消えた。患者は、なんら不快なことを経験しなかった。これらのデータは、インビトロでの組織の細胞新生にも十分にあり得ることを示している。
【0117】
皮膚を細胞新生するもう一つの方法は、皮下に核抽出物またはESCsの細胞抽出物と、皮膚の下の幹細胞を週に2回注入することである。核抽出物中の因子が、皮膚細胞を申請させ、色素沈着や皺を除去する。皮膚を細胞新生する更に別の方法は、ESCs、幹細胞または臍帯血細胞を皮膚の下に注入することである。この注入した細胞は、皮膚の下で増加して、皮膚細胞を申請し、色素沈着と皺を除去する成長因子を分泌する。
【0118】
例22−全身を細胞新生する方法
上記に開示した細胞新生因子を全身に送達して、全身を細胞新生することができる。細胞新生因子には、限定するものではないが、核抽出物と、ESCs由来の細胞抽出物、幹細胞、臍帯血幹細胞、及び新星細胞が含まれる。幹細胞、臍帯血幹細胞、及び新星細胞を含む培養した細胞も、この目的に用いることもできる。身体を細胞新生するには、核抽出物または細胞抽出物、幹細胞、臍帯血幹細胞、及び新星細胞を、静脈注射、皮下注射、筋肉注射、脊髄内注射、鼻スプレィ、遅放出ペレットによるインプランテーション、局所適用、その他を含む、認識されており実用の臨床方法を用いてヒトの身体に直接投与することができる。核抽出物又は細胞抽出物の細胞新生因子を、身体の各組織と器官に露出させる。ESC、幹細胞、臍帯血幹細胞、新星細胞を含む細胞は、ルーチンの方法を用いて投与することもできる。これらの細胞は、組織と器官に到達したときに生き残って増加することができる。局所的に、これらの細胞は分化して、老化細胞に取って代わるであろう。
【0119】
ある研究では、細胞新生剤を全身に用いて動物の細胞新生を行った。老化した無胸腺マウス(mu+/nu+、2歳)を3群に分けた。群1(2匹のマウス)は、ESC抽出物を尾静脈から、1mL抽出物/マウス、1週間に2回、合計3週間受けた。群2(2匹のマウス)は、PBS対照溶液を静脈から受けた。群3(二匹のマウス)は、GN−ESL新星細胞を尾静脈から(1mL中約10)、1週間に2回、3週間受けた。食物消費量と、体重を2日ごとに記録した。動物の活動をカメラで記録した。
【0120】
図15A及び15Cは、PBS対照の老化したマウスを示す。図15Bは、ESC抽出物で細胞新生を行ったマウスを示す。図15Dは、新星細胞で細胞新生を行ったマウスを示す。3週間の治療の後、対照群は、体重、職もと消費量、外観、活動を含む測定変数になんら有意な変化が見られなかった。しかしながら、ESC抽出物またはFN−ESL新星細胞で治療したマウスは、体重に有意な変化が見られなかったにもかかわらず、より多くの食物を消費した。同時に、細胞新生を行ったマウスは、対照マウスより物理的により活動的であり、よりエネルギッシュであった。最も興味深いことに、薄くしわがよっていた皮膚が、対照マウスより、細胞新生を行ったマウスが、滑らかで、より厚く、より健康的に見えたことである。これらのデータは、予備的なものであるが、ESC抽出物又はFN−ESL新星細胞による細胞新生が老化したマウスの寿命を改善することを示唆している。
【0121】
これらのインビトロでの細胞新生法は、免疫機能の強化、一般的なしい体の健康の改善、スポーツ能力の増加、病気や麻痺の回復の補助、人間のライフスパンの延長、CNSシステムの先天的欠陥の除去、傷ついたあるいは老化した器官(例えば、心臓、腎臓、肝臓及び脳)の修復、老化した白髪を若々しい黒髪に戻す、皮膚のしわや色素沈着の低減、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(Lou Gehrig氏病)などの神経変性疾患の治療、発作の治療に使用することができる。
【0122】
例23−2段階インビトロ細胞再プログラミングによる体細胞の多能性胚幹状(ESL)細胞への細胞新生
1. 前プログラミングベクタの構築
われわれのマウスの体細胞再プログラミングに関する研究にあるように、3つのヒトES細胞転写因子(Oct4、Sox2、及びNanog)を哺乳類発現ベクタ(pEGFP−N3、Clontech社、カリフォルニア州、パロアルト所在)にクローンした。転写因子は、ヒトES細胞株H7(NIHコードWA07)から調整したcDNAを用いて、PCRで増幅した。全長cDNA生成物を、制限酵素(Hhe1、Bg12及びEcoR1)で消化させて、pEGFP N3ベクタにクローンした(図16)。これらの転写因子は、二つのプロモータ(それぞれ、pCMVとpTK)の制御下で発現し、内部リボソーム侵入部位(IRES)と転写終結ポリA信号(BGH−pA及びSV40−pA)によって分離された。最終プログラミングベクタ(pES)は、pCMV−Oct4−IRES−Sox2−BGHpA−pTK−Nanog−IRES−EGFP−SV40pAのタンデム順に3つの転写因子とEFGPたんぱく質を有している(図16)。Oct4及びSox2は、CMVプロモータ(pCMV)によって転写され、Nanog及びEFGPはTKプロモータ(pTK)によって打ち込まれる。EGFPは、このベクタたんぱく質を発現する細胞を追跡するのに使用される。
【0123】
2. ES細胞転写因子を用いたヒト線維芽細胞のプロプログラミング
4つの細胞株(HFB1、JHF1、HSF1、及びHBS1)を、10%のウシ胎児結成と、100U/mlのペニシリンと、100μg/mlのストレプトマイシンを加えた、DMEM媒体(インビトロゲン社、カリフォルニア州、カールスバード所在)中に維持して、5%のCO、37℃で成長させた。指数関数的に成長する細胞(2×10)を、製造者のマニュアルに従って、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)でカプセル化したプリプログラミングpESベクタDNA(4μg)で過渡的に形質移入を行った。形質移入後72時間で、ベクタたんぱく質を発現する細胞をFACS(FACSVantage SE社、Becton Dickinson)によって分類し、新しい6−ウエルプレートに蒔いた。密集した後、この細胞を回収して、以下に述べるように2段階再プログラミングに用いた。
【0124】
3. ES核抽出物を用いた予プログラムした細胞のエピジェネティック再プログラミング
3つのES転写因子で再プログラミングした後、細胞をES細胞抽出物で処理して線維芽細胞ゲノムのエピゲノタイプ(epigenotype)を完全にリセットした。胚幹細胞の核抽出物を、ヒトH7 ES細胞株から、上述した方法を用いて抽出した(Tian et al、 DNA Repair(Amst)、2002、1:1039−49)。細胞は、500ng/mlのストレプトリジン(シグマ社、モンタナ州、セントルイス所在)を用いて膜透過させ(TarangerCK、Noer A、Sorensen AL、Hakelien AM、Boquest AC、Collas P. Induction of dedifferentiation, genomewide transcriptional programming, and epigenetic reprogramming byextracts of carcinoma and embyonic stem cells.Mol Biol Cell 2005; 16:5719−5735; Haris et al.、Curr Biol 2004,14:1475−1480)、10mlの輸送バッファ(20mM HEPES、 pH7.3、110 mM KLAc、5mM NaAc、2mM MgAc2、1mM EGTA、2mM DTT、アプロチニン、ペプステイン、A、及びロイペプチン、各1μg/ml)に懸濁させた。次いで、膜透過を行った細胞を、再プログラミングバッファ(2mg/ml BSA、2mM ATP、10mM ホスホクリアチン、40U/ml クリアチンキナーゼ、及び20U/ml RNASE OUT(インビトロゲン))中で調整した10μl H7 ES細胞抽出物によって、37℃で、1時間、再プログラムを行った。細胞を再プログラミングした後、細胞膜を2mM CaClで密封ウシ、10%のFBS、1x抗生物質(100U/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシン)、1mMのグルタミン、1%の非必須アミノ酸、0.1mMnoβ−メルカプトエタノール、5ng/mlのベーシック線維芽細胞成長因子(bFGF)、及び0.12ng/mlのTGF−β1を加えた、500μl KO−DMEM媒体(インビトロゲン)によって、反応を停止させた。
【0125】
4. 完全に再プルグラムした細胞の選択
完全に再プログラムした細胞を、上述の処理を行った細胞を、ペトリ皿のカバー上で小滴(20μl)中にぶら下げることによって選択した。ぶら下がっている小滴中では、完全に再プログラムした細胞が媒体中に個々の細胞としてとどまる。培地中の再プログラムした細胞をペトリ皿のカバーから回収して、成長因子を加えたKO−DMEM媒体中の支持細胞の上で成長させた。これらの完全に再プログラムされた細胞は、その細胞形態を更にES細胞に向けて変化させ、支持細胞上に典型的なESL細胞クローンを形成する。ESL細胞クローンを回収して、Ludwig et al.によって述べられているように、フィーダ独立型mTeSR1培地中で拡大させた(Ludwig TE、 Bergendahl V、 Levenstein ME、 Yu J、 Probasco MD、 Thomson JA. Feeder−independent culture of human embroyonic stem cells. Nat Methods 2006;3:637−646)。
【0126】
5. 完全に再プログラムしたESL細胞は多能性であった
すでに、われわれは、M.Spretusオス及びC57B/cメスを繁殖させたものから取り出したマウス線維芽細胞株FSK6で、この再プログラミング法を試験する研究を示した。条件付媒体中で選択した後、FSK6線維芽細胞を、ES細胞と同じ細胞形態を示すESL細胞に転換することに成功した。この再プログラムした細胞は、ES特異的バイオマーカ(Oct4、Ndp52L1、及びDppa3)を発現し、活性化したテロメラーゼ活性を有していた(図5)。この場合、これらのESL細胞(図17Bと17Cに示す)も、多くのその他の細胞型への分化によって示されるような多能性であった。
【0127】
これらのデータは、体細胞が、我々のインビトロでの再プログラミングプロトコルによって十分に再プログラムされうるとの概念を証明した。
【0128】
本発明は、説明的に記載されたものであり、使用されている用語上述の教示と当業者において、本発明の多くの修正及び変形が可能であり、本発明の請求の範囲の精神と範囲から外れることなく、一般的な追加実施例や変形例を作ることができることは、明らかである。従って、請求の範囲の範囲内において、特に記載されていない限り本発明は実行可能である。従って、図面と詳細な説明は、例示的なもので、発明の理解を容易にするためのものであり、発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、個体から成熟細胞を取得し、細胞を培養し、細胞を「新星細胞」へ細胞新生させ、続いて細胞補充療法において用いる本発明の方法の概要を示す。
【図2】図2A−Fは、コントロールの線維芽細胞(A、B、及びC)と胎性抽出液で細胞新生した新星細胞(D)、ESC核抽出液で細胞新生した新星細胞(E)、及び逆位の小滴における細胞新生した線維芽細胞を示す。図2G−2Iは、コントロールの老化した骨の成熟間質細胞(G)、及び胎性抽出液で細胞新生した新星細胞(H)及びESC核抽出液で細胞新生した新星細胞(I)を示している。
【図3】図3Aと3Bは、未治療の皮膚組織診(A)及びより多くの細胞増殖を有する細胞新生した皮膚組織診(B)の顕微鏡写真である。
【図4】図4Aは、細胞新生していないFNSK2細胞を示し、図4B−4Fは、異なる段階においての、FNSK2細胞から形成される新星細胞を示す。4Bは初期のFN−ESL新星細胞を示し、4Cは胚様体における新星細胞を示し、4Dはマトリゲル被膜のプレート上の更なる成長を示し、4Eはアガロースゲル状での更なる成長を示し、4Fはフィーダ細胞の層上のFN−ESL新星細胞を示す。
【図5】図5はゲルの写真であり、FNSK2線維芽細胞が3つの胚様体幹細胞特異のバイオマーカ(Oct4、Ndp52L1、及びDPPA3)を生成し、新生細胞の3つの段階は、全てそれらのバイオマーカを生成することを示す。
【図6−1】図6A−6Iは、多様なプロトコルから生ずる開始の成熟線維芽細胞及び新星細胞を示す。図6B−6Eは、細胞新生因子に対して透過性を持つ成熟細胞を処理する様々な方法から生ずる新星細胞を示す。
【図6−2】図6F−6Kは、多様な細胞新生抽出液から生ずる新星細胞を示す。
【図7】図7A−Dは、成熟した男性の線維芽細胞から生成される融合新星細胞、及び放射線又はアクチノマイシンDによる複製障害後の複製欠陥幹細胞を示す。
【図8】図8は、細胞療法において新星細胞を生成する細胞新生と分化プロセスの概要である。
【図9】図9A−Gはそれぞれ、神経前駆体、神経細胞、インスリン分泌島、Cペプチド陽性島、拍動心筋細胞、骨格筋細胞、脂肪細胞への新星細胞の分化を示す。
【図10】図10A−Dは、それぞれ、未細胞新生のWTCL腫瘍細胞、フィーダ細胞上の新星細胞、ESL新星細胞のコロニ、フィーダ細胞上のESL新星細胞のコロニを示す。細胞新生後、ヌードマウスにおいて、寒天ゲルに形成するコロニ及び無腫瘍によって示されるように、腫瘍細胞は、腫瘍生成能がほとんど無い又は無いことを示す。この細胞新生に導入された脱分化は、腫瘍治療を開発する突破戦略を提供することができる。
【図11】図11A−Cは、成熟した線維芽細胞を、細胞新生した筋細胞に変える1ステップの細胞新生/分化プロトコルの結果を示す。
【図12】図12は、細胞新生プロセスを経た細胞におけるテロメラーゼの反応を示したゲルブロットであり、レーン2、3及び7は未処理のコントロールを示し、レーン4及び5は細胞新生の結果を示し、レーン6におけるESCsの正のコントロールに比べて勝るとも劣ってはいない。
【図13】図13は、インビボでの細胞新生を生成するための新星細胞を用いた手順の概要を示す。
【図14】図14A及び14Bは、未治療の皮膚の傷及びインビボでの細胞新生後の消えた傷を示す。
【図15】図15A−Dは、コントロールの老化マウス(A及びC)を含むマウスを示す。図15B及びDは、より活動的な細胞新生したマウスを示す。
【図16】図16は、事前にプログラムしたpESベクタの概略図である。転写因子をpEGFP−N3ベクタにクローンするために、制限酵素を用いた。
【図17】図17A、17B及び17Cはそれぞれ、線維芽細胞、フィーダ細胞上に成長した、2ステップのインビトロでのエピジェネティック再プログラミングによる多能性の胚幹細胞様(ESL)細胞、及びマトリゲル被膜プレート上で成長したESL細胞を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
老化細胞を新生させる方法において、
a.老化体細胞を具えるサンプルを提供するステップと;
b.細胞新生抽出液(rejuvenating extraxt)、アルブミン、ATP、ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤、及びヌクレオチドリン酸を具える細胞新生溶液(rejuvenating solution)を提供するステップと;
c.前記老化細胞を前記細胞新生溶液と組み合わせて、当該細胞新生溶液の成分が前記細胞に浸透するのに十分な時間インキュベートするステップと;
d.細胞培地溶液と塩化カルシウムと、選択的に抗生物質とを添加し、それによって、新生細胞(rejuvenating cell)を生成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記新生細胞が、自己の細胞であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記培地が、bFGF及びTGF−β1を具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞新生抽出液が、卵、受精卵、胚盤胞、胚、臍帯血幹細胞、組織特異の幹細胞、幹細胞、始原生殖細胞、胎児、胚幹細胞、胎児、特異的な胎児の組織又は又はそれらの組合せから選択される、初期発達段階の細胞から抽出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞新生抽出液が、核を具える細胞又は細胞部位から抽出されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞新生抽出液が、細胞周期のいずれかの段階での細胞あるいは核から、又は、様々な細胞周期段階での複数の細胞あるいは核から取得されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記特異的な胎児の組織が、肝臓であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
多能性の胚幹細胞様(ESL)細胞中で細胞を細胞新生させる方法において、
a.老化体細胞を具えるサンプルを提供するステップと;
b.細胞新生抽出液、アルブミン、ATP、ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤、及びヌクレオチドリン酸を具える細胞新生溶液を提供するステップと;
c.前記老化細胞を前記細胞新生溶液と組み合わせて、当該細胞新生溶液の成分が前記細胞に浸透するのに十分な時間インキュベートするステップと;
d.細胞培地の溶液と塩化カルシウムと選択的に抗生物質とを前記新生細胞に添加するステップと;
e.細胞凝集を促進するのに、十分な時間、プレートカバー又は被膜されていないペトリ皿上の逆位にぶら下がった小滴の中で、ステップdから前記新生細胞を成長させるステップと;
f.懸濁液中で前記細胞凝集を成長させて希釈アガロースゲル上あるいは被膜されていないペトリ皿の中に胚様体(EB)を形成するステップと;
g.フィーダ細胞の頂部、被膜プレート又はディスク、又は成長因子を追加した適切な培地の中のマトリゲル上にEB細胞を培養するステップと;
h.細胞が幹細胞と同一の形態を有しているコロニを選択し、それによって前記体細胞を細胞療法及び美容処理用に多能性細胞に脱分化させるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項9】
細胞凝集を促進する前記十分な時間が、約2時間乃至一晩であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記希釈アガロースゲルは、約0.2%乃至約2%のアガロースであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ESC mRNAの形質移入によって、体細胞を多能性ESL細胞の中で細胞新生させる方法において、当該方法が、
a.ESCsからmRNAを抽出するステップと;
b.少なくとも1のリポソーム送達試薬において前記mRNAを被包するステップと;
c.体細胞をmRNAのリポソームに曝露するステップと;
d.細胞凝集を促進するために、十分な時間、プレートカバー又は被膜されていないペトリ皿上の逆位にぶら下がった小滴の中で前記曝露した体細胞を成長させるステップと;
e.希釈アガロースゲルの頂部に、あるいは被膜されないペトリ皿の中に、EBsを形成するために、懸濁液中で前記細胞凝集を成長させるステップと;
f.フィーダ細胞の頂部に、又は被膜プレート及びディスク上に、又は成長因子を供給した適切な培地の中のマトリゲル上にEB様細胞を培養するステップと;
g.幹細胞の形態を有する細胞コロニを選択し、それによって前記体細胞を細胞療法及び美容処理用の多能性細胞に脱分化するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項12】
ステップaの前記多能性細胞が、胚幹細胞(ESCs)、始原生殖細胞(PGCs)、胎児の細胞、卵、受精卵、臍帯血幹細胞、組織幹細胞、胚盤胞細胞、又はその組合せであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップdにおける前記十分な時間が、約2時間乃至一晩であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ステップb及びcが、前記体細胞を電気穿孔によって多能性細胞からmRNAを形質移入するステップと置き換えられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記体細胞を電気穿孔するステップが、前記体細胞への前記mRNAの入力をウイルスによって仲介するステップと置き換えられることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
哺乳類固有の体細胞とESCsの細胞融合により、自家移植用の多能性で二倍体のESL細胞を形成する方法において、当該方法が、
a.ESCsを提供するステップと;
b.前記ESCs中でのDNA複製を不能にするステップと;
c.前記複製不能ESCsを複数の前記体細胞と混合するステップと;
d.そこへポリエチレングリコールを添加することにより、前記複製不能ESCsと前記体細胞を融合するステップと;
e.逆位の小滴の中で前記融合細胞を成長させて凝集細胞を生成するステップと;
f.胚様体(EBs)を生成する1−10の継代用の希釈アガロースゲル上の懸濁液中で、前記凝集細胞を成長させて胚様体を生成するステップと;
g.フィーダ細胞上、又は被膜プレート及びディスク上、又は成長因子を追加した適切な培地の中のマトリゲル上に前記EBsを成長させるステップと;
h.典型的な形態の幹細胞を有し、哺乳類の固有に特異的な二倍体ESL細胞を具える細胞コロニを選択するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、DNA複製を不能にするステップが、物理的処理又は化学的処理によって行われることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記物理的処理が、γ線を用いた照射又はUV光への曝露を具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、前記化学的処理が、染色体DNAと結合する化学物質を具えることを特徴とする方法。
【請求項20】
DNA結合化学物質が、アクチノマイシンD、DNAキレート剤及び相互作用剤、エトポシド、及びその他の化学療法剤を具えることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
複製不能の標的細胞を体細胞と融合させて再プログラミングを誘発することによって、二倍体治療細胞を形成する方法において、当該方法が
a.標的細胞を提供するステップと;
b.前記標的細胞中でDNA複製を不能にするステップと;
c.自己の体細胞を提供するステップと;
d.前記複製不能の標的細胞と前記自己の体細胞とを組み合わせるステップと;
e.前記組合せにポリエチレングリコールを加えて前記複製不能の標的細胞が、前記体細胞のゲノムを再プログラミングする細胞を融合させるステップと;
f.適切な細胞培地中で前記融合細胞を成長させて、標的細胞の形態と機能を有する二倍体細胞を生成するステップと;
g.前記標的細胞の形態と機能を有する自己の再プログラミングした二倍体細胞を選択するステップとを具え;
それによって、細胞補充療法や化粧品用ドナーに再プログラミングした自己の二倍体細胞を利用可能にするステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、DNA複製を不能にすることが、物理的処理又は化学的処理によって行われることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記物理的処理が、γ線を用いた照射又はUV光への曝露を具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、前記化学的処理が、染色体DNAと結合する化学物質を具えることを特徴とする方法。
【請求項25】
DNA結合化学物質が、アクチノマイシンD、エトポシド、DNAキレート及び相互作用剤、及びその他の化学療法剤を具えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項21に記載の方法において、前記標的細胞が、外因性のESCs又は成体幹細胞を具えることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項21に記載の方法において、前記体細胞が、成熟した皮膚細胞、血液細胞、及び骨髄細胞から選択されることを特徴とする方法。
【請求項28】
ESCs又は組織幹細胞を別の方法として用いる細胞療法及び化粧品処理を行う方法において、
a.ESL細胞を提供しするステップと;
b.前記ESCs又は組織幹細胞を置き換える前記ESL細胞を用いて、前記細胞療法又は化粧品処理を行うステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項29】
色素新着及びしわを減じるために皮膚を局所的に細胞新生させる方法において、当該方法が、
a.前記皮膚細胞を透過できる物質を用いて皮膚を前処理するステップと;
b.新星細胞(novacell)抽出液、ESC抽出液、幹細胞抽出液、卵抽出液、組換えタンパク質、又はこれらの組合せから選択される細胞新生物質を前記皮膚に塗布するステップと;
c.前記皮膚の前記細胞新生物質の接触を維持するステップと;
d.必要ならばステップa−cを繰り返すステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、ステップaの前に、前記皮膚を滅菌して、選択的に前記細胞新生物質を前記皮膚に注入するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法において、前記細胞新生物質が、細胞又は核抽出液を具え、いずれか一方に、アルブミン、ATP,ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤、及びヌクレオチドリン酸が添加されることを特徴とする方法。
【請求項32】
細胞全体から細胞新生因子を作成する方法において、当該方法が、
a.新星細胞、ESCs、組織幹細胞、卵、又は、胚、胎児、胎児の組織、組換えタンパク質又はこれらの組合せから取得される細胞を提供するステップと;
b.前記細胞を分離して抽出するステップと;
c.前記細胞を少なくとも2回の凍結融解サイクルに晒すステップと;
d.前記細胞を高速で遠心分離するステップと;
e.前記細胞新生因子を具える上澄みを引き出すステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
核から細胞新生因子を作成する方法において、当該方法が、
a.新星細胞、ES細胞、組織幹細胞、卵、又は、胚、胎児、胎児の組織、組換えタンパク質又はその組合せから取得される細胞を提供するステップと;
b.前記細胞を分離して抽出するステップと;
c.低張バッファ中に前記細胞を溶解させるステップと;
d.前記溶解細胞を遠心分離して前記上澄みを分離するステップと;
e.残りの核を少なくとも2回の凍結融解サイクルに晒すステップと;
f.遠心分離して前記核の抽出液を取得するステップと;
g.選択的に透析によって前記細胞新生を濃縮するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項34】
器官を局所的に細胞新生させる方法において、
a.請求項26又は27に記載の方法によって作成される細胞新生物質を提供するステップと;
b.兆候、症状、又はテスト結果が改善されるまで、前記細胞新生物質を前記器官へ定期的に投与して、それによって、前記器官の老化を遅らせ、及び/又は、その機能を改善するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項35】
投与ステップが、静脈内、皮下、腹腔内、筋内、脳室内、気管内、関節内、心膜内、肺内、鼻腔内、あるいは動脈内経路による投与を具えることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記鼻腔内経路によって、前記細胞新生物質が前記鼻腔内へ置かれて、それによって、前記細胞新生物質が、中枢神経系に到達して神経変性疾患を治療することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
簡略化したプロセスによって哺乳類体細胞を細胞新生させ、それらを所望の細胞に分化させる方法において、当該方法が、
a.開孔処理を用いて前記哺乳類体細胞を処理し、生理的なバッファを用いて洗浄するステップと;
b.前記ステップaの細胞を細胞新生バッファ、ESC核抽出液及び前記所望の細胞抽出液に約1時間曝すステップと;
c.適切な条件下で、前記ステップbの細胞を、20%FBS、ペニシリン、ストレプトマイシン、グルタミン、非必須アミノ酸、β−メルカプトエタノール、bFGF、TGF−β1、及びLIFを選択的に追加したKO−DMEM溶液中で成長させるステップと;
d.約2時間乃至一晩の間、前記培養細胞をプレートカバー上に逆位にぶら下がった小滴の中で成長させて逆位の小滴を形成するステップと;
e.前記逆位の小滴を収集して組み合わせるステップと;
f.前記細胞が所望の細胞型を形成するまで、前記所望の細胞生成物質を追加したDMEMの中のゼラチン被膜プレート上で前記収集した細胞を成長させるステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項38】
前記体細胞が線維芽細胞を具え、前記所望の細胞型は筋細胞であり、前記所望の細胞生成物質は、2%の不活性ウマ血清及び筋芽細胞の細胞培養培地から濾過された上澄みを具えており、それによって、前記収集された細胞は、筋管を形成するまで露出されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、ステップaが、トリプシン−EDTA、ストレプトリシンO、電気穿孔法又はウイルス介在で線維芽細胞を処理するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項40】
哺乳類に投与するのに適した細胞新生バッファ組成物において、当該組成が、
a.細胞又は核又はその組合せの細胞新生因子と;
b.1mg/MLのアルブミンと;
c.1mMのATPと;
d.5mMのホスホクレアチンと;
e.25μg/mLのクレアチンキナーゼと;
f.0.4U/mLのRNase阻害剤と;
g.1mMの各4つのdNTPと;
を具えることを特徴とする組成。
【請求項41】
請求項40に記載の細胞新生組成物において、前記組合せ抽出液が、約2分の1の胎児の細胞抽出液約2分の1とESCsの核抽出液約2分の1であることを特徴とする組成。
【請求項42】
請求項40に記載の細胞新生組成において、前記細胞及び核抽出液が無細胞であることを特徴とする組成。
【請求項43】
哺乳類の身体を系統的に細胞新生させ、一般的な健康及び内分泌機能を改善する方法において、当該方法が、
a.新星細胞抽出液、幹細胞抽出液、卵抽出液、新星細胞、ESCs、幹細胞、組換え型タンパク質、又はこれらの組合せから細胞新生物質を提供するステップと;
b.改善によって表示されるように、定期的に前記細胞新生物質を投与するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法において、投与経路が、静脈内、腹腔内、筋内、くも膜下腔内、鼻腔内経路又はこれらの組合せを具えることを特徴とする方法。
【請求項45】
組織培養中で多くの継代を起こした細胞を細胞新生させる方法において、
a.事前に培養した細胞を提供するステップと;
b.細胞新生抽出液、アルブミン、ATP、ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤、及びヌクレオチドリン酸を提供するステップと;
c.前記細胞を前記細胞新生溶液と組み合わせて、当該細胞新生溶液の成分が前記細胞に浸透するのに十分な時間インキュベートするステップと;
d.細胞培地の溶液、塩化カルシウム及び選択的に抗生物質を添加するステップと;
e.前記細胞集団を拡大するために前記細胞を培養して前記細胞集団を拡大するステップと;
を具え、それによって組織培養中で多くの継代を起こした細胞を細胞新生させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法において、更に、ステップd及びeを:
f.細胞凝集を促進するのに十分な時間、プレートカバー又は被膜されていないペトリ皿上の逆位にぶら下がった小滴の中で、ステップcからの前記新生細胞を成長させるステップと;
g.0.2%乃至2%のアガロース上にEBsを形成する懸濁液中、又は被膜されていないペトリ皿中で、前記細胞凝集を成長させるステップと;
h.フィーダ細胞、被膜プレート又はディスク、あるいは成長因子を追加した適切な培地中のマトリゲル上で、前記EBsを培養するステップと;
i.幹細胞と同一の形態を有する細胞コロニを選択するステップと;
に置き換えて、
それによって前記事前に培養した細胞が、更なる組織培養用の多能性細胞に脱分化することを特徴とする方法。
【請求項47】
化学療法措置がなされているか否かにかかわらず、液状癌(liquid cancer)、白血病、リンパ腫及び造血機能障害を有する哺乳類を治療する方法において、当該方法が、
a.新生細胞を提供するステップにおいて、前記細胞が、
i.老化体細胞を提供するステップと;
ii.細胞新生抽出液、アルブミン、ATP,ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤及びヌクレオチドリン酸を具える細胞新生溶液を提供するステップと;
iii.前記老化体細胞を前記細胞新生溶液と組み合わせて、当該細胞新生溶液の成分が前記細胞に浸透するように十分な時間インキュベートするステップと;
iv.細胞培地の溶液、塩化カルシウム及び選択的に抗生物質を添加して前記細胞集団を拡大するステップと;
v.前記新生細胞を分離するステップと;
vi.前記新生細胞を生理的な溶液と組み合わせて投与可能な製剤を作成するステップと;
によって作成されるステップと;
b.化学療法措置がなされているか否かにかかわらず、液状癌、白血病、リンパ腫及び造血機能障害にかかっている哺乳類に前記新生細胞を投与するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項48】
CNS傷害、発作、アルツハイマー病、パーキンソン病、又は筋萎縮性側索硬化症を有する哺乳類を治療する方法において、当該方法が、
a.新生細胞を提供するステップにおいて、前記細胞が、
i.老化体細胞のサンプルを提供するステップと;
ii.細胞新生抽出液、アルブミン、ATP,ホスホクレアチン、クレアチンキナーゼ、RNase阻害剤及びヌクレオチドリン酸を具える細胞新生溶液を提供するステップと;
iii.前記老化体細胞を前記細胞新生溶液と組み合わせて、当該細胞新生溶液の成分が前記細胞に浸透するのに十分な時間インキュベートするステップと;
iv.細胞培地の溶液、塩化カルシウム及び選択的に抗生物質を添加して前記細胞集団を拡大するステップと;
v.前記新生細胞を分離するステップと;
vi.前記新生細胞を生理的な溶液と組み合わせて投与可能な製剤を作成するステップと;
によって作成されるステップと;
b.前記新生細胞をCNS傷害、発作、アルツハイマー病、パーキンソン病、又は筋萎縮性側索硬化症にかかっている哺乳類へ投与するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項49】
老化細胞細胞新生用キットにおいて、当該キットが、
a.老化細胞に孔を開ける物質であって、トリプシン及びストレプトリシンOから選択される物質と;
b.請求項34に記載の前記細胞新生バッファと;
c.胎児の細胞とESC核の無細胞抽出液と;
を具えることを特徴とするキット。
【請求項50】
請求項49に記載のキットにおいて、ステップcの前記抽出液が、多能性細胞由来のmRNA抽出液に置き換えられることを特徴とするキット。
【請求項51】
請求項50に記載のキットにおいて、前記多能性細胞が、胚幹細胞、始原生殖細胞、胎児の細胞、卵、受精卵、臍帯血幹細胞、組織幹細胞、胚盤胞細胞、又はこれらの組合せであることを特徴とするキット。
【請求項52】
体細胞を細胞新生させる方法において、当該方法が、
a.哺乳類の発現ベクタ中に、少なくとも1のヒトES細胞転写因子を提供するステップと;
b.ステップaの前記ベクタを指数関数的に成長するヒト細胞に形質移入するステップと;
c.形質移入後、前記ベクタを発現する前記細胞を分離するステップと;
d.集密するまで、プレート上で前記分離したベクタ発現細胞を成長させるステップと;
e.前記ベクタ発現細胞を収集するステップと;
f.膜透過性溶液及びES細胞抽出液で前記ベクタ発現細胞を処理するステップと;
g.前記抽出液で処理した細胞の膜を密封するステップと;
h.ぶら下がった小滴の中に前記抽出物処理した細胞を置いて成長させ、集団内で十分に再プログラミングされた細胞を分離するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法において、前記ヒトES細胞転写因子が、Oct4、Sox2及びNanogであることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−526517(P2009−526517A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535800(P2008−535800)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/040723
【国際公開番号】WO2007/047766
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508107261)
【Fターム(参考)】