説明

ウィンドウガラスの取付装置及び取付方法

【課題】ウィンドウガラス取付手段をボディに同期して移動させつつ、ウィンドウガラスをボディの窓枠に取り付けるべく、制御することができる構成の自動車のウィンドウガラスの取付装置を提供する。
【解決手段】ボディを搬送する搬送手段3と、ウィンドウガラス16をボディ2に取り付けるアーム12を有するウィンドウガラス取付手段4と、ウィンドウガラス取付手段4の移動手段5と、移動手段5に設けられたセンサ6と、ボディの窓枠2bの段差部Bを、センサによって検出させ、その検出信号に基づいて、移動手段5によってウィンドウガラス取付手段4を搬送手段3と同期するように移動させ、センサ6によって、ウィンドウガラス16の端部を検出させ、ウィンドウガラス16の端部とボディ2の窓枠2bの段差部Bとが平面上で略一致するようにアーム12を制御する制御手段7と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のウィンドウガラスの取付装置及び取付方法、並びに前記ウィンドウガラスの取付装置を備えた自動車の組立ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のウィンドウガラスの取付装置は、ボディの窓枠に精度良く、ウィンドウガラスを取り付けることができるように、工夫されている。
【0003】
特許文献1のウィンドウガラスの取付装置は、ボディを一旦静止させた状態で、複数の撮像手段によってボディの窓枠を撮像し、この撮像データの輝度の積分値が、予めウィンドウガラスが窓枠に正確に位置決めされた時の各撮像手段の積分値と略一致するように、ウィンドウガラス取付手段を微調整している。
【0004】
特許文献2のウィンドウガラスの取付装置は、ボディを一旦静止させた状態で、ボディの窓枠の段差部に複数の投光手段によってスリット光を照射し、このスリット光の周辺を視覚手段によって撮像する。そして、撮像画における画像の湾曲部の位置に基づいて、ボディの位置ずれ量を検出し、この検出値と複数のテレビカメラで撮像した窓枠角部の撮像画とに基づいて、ウィンドウガラス取付手段を微調整している。
【0005】
しかし、特許文献1及び特許文献2のウィンドウガラスの取付装置は、ウィンドウガラスを取り付ける際に、一旦ボディを静止させる必要があり、製造ラインの流れが分断される問題点がある。
【0006】
そこで、特許文献3〜特許文献5に開示されているように、コンベア等の搬送手段で搬送されるボディに同期して同じ速度で移動するウィンドウガラス取付手段を備えたウィンドウガラスの取付装置が開発されている。
【0007】
特許文献3〜特許文献5のウィンドウガラスの取付装置は、コンベアの上方に前記コンベアと平行にレールを備えており、このレールに沿ってボディに同期して移動する駆動手段を備えている。駆動手段にウィンドウガラス取付手段が支持されており、作業員がウィンドウガラス取付手段を操作してボディの所定の位置にウィンドウガラスを取り付ける。特に、特許文献3のウィンドウガラスの取付装置は、ボディとの相対位置を検出する測距センサを備えており、この計測値に基づいて、駆動手段がボディに同期して移動するように制御される。
【特許文献1】特許第3410205号公報
【特許文献2】特開平5−58360号公報
【特許文献3】特開2000−25664号公報
【特許文献4】特開平5−229462号公報
【特許文献5】特開2002−52425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3〜特許文献5のウィンドウガラスの取付装置は、ウィンドウガラス取付手段を駆動手段によって、ボディに同期して移動させることができる構成とされている。しかし、ウィンドウガラス取付手段自体を操作するのは作業員であり、ウィンドウガラス取付手段を制御して、ウィンドウガラスをボディの窓枠に精度良く取り付けることができる構成とされていない。
【0009】
つまり、ウィンドウガラス取付手段をボディに同期して移動させつつ、ウィンドウガラスをボディの窓枠に取り付けるべく、制御することができる構成のウィンドウガラスの取付装置は見聞することができない。
【0010】
本発明は、ウィンドウガラス取付手段をボディに同期して移動させつつ、ウィンドウガラスをボディの窓枠に取り付けるべく、制御することができる構成の自動車のウィンドウガラスの取付装置及び取付方法、並びに前記ウィンドウガラスの取付装置を備えた自動車の組立ラインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るウィンドウガラスの取付装置は、
自動車のボディを搬送する搬送手段と、
ウィンドウガラスを保持し、前記ウィンドウガラスを前記ボディに取り付けるアームを有するウィンドウガラス取付手段と、
前記ウィンドウガラス取付手段を、前記搬送手段に沿って移動させる移動手段と、
前記移動手段に設けられたセンサと、
前記搬送手段によって搬送されるボディの窓枠の段差部を、前記センサによって検出させ、その検出信号に基づいて、前記移動手段によって前記ウィンドウガラス取付手段を前記搬送手段と同期するように移動させ、前記センサによって、前記ウィンドウガラスの端部を検出させ、前記ウィンドウガラスの端部と前記ボディの窓枠の段差部とが平面上で略一致するようにアームを制御する制御手段と、
を備えている。これにより、ウィンドウガラスをボディの窓枠に精度良く取り付けることができる。
【0012】
上述のセンサは、所定の計測タイミングで前記ボディとの高さを計測して、その計測値を前記制御手段に入力し、
前記制御手段は、前記計測値と前回の計測タイミングでの計測値との差分値が、予め設定された第1の閾値以上となると、前記ボディの窓枠の段差部を検出したと判断することが好ましい。
【0013】
さらに、上述の制御手段は、前記ウィンドウガラスの端部が前記センサの計測波を横切り、前記センサからの計測値と前回の計測タイミングでの計測値との差分値が、予め設定された第2の閾値以上となると、前記ウィンドウガラスの端部を検出したと判断し、前記横切った位置に前記ウィンドウガラスの端部が配置されるように前記アームを制御することが好ましい。
【0014】
ここで、ボディの基準位置を検出する基準位置検出手段と、前記基準位置からのボディの移動量を検出する移動量計測手段とを備えていることが好ましい。
【0015】
本発明に係る自動車の組立ラインは、上述のウィンドウガラスの取付装置を備えている。これにより、ウィンドウガラスをボディの窓枠に精度良く取り付けることができる。
【0016】
本発明に係るウィンドウガラスの取付方法は、
搬送手段によって搬送されるボディの窓枠の段差部を、ウィンドウガラスを前記ボディに取り付けるアームを有するウィンドウガラス取付手段を前記搬送手段に沿って移動させる移動手段に設けられたセンサによって検出させる工程と、
前記ボディの窓枠の段差部の検出信号に基づいて、前記移動手段によってウィンドウガラス取付手段を前記搬送手段と同期するように移動させる工程と、
前記センサによって、前記ウィンドウガラスの端部を検出させ、前記ウィンドウガラスの端部と前記ボディの窓枠の段差部とが平面上で略一致するように前記アームを制御する工程と、
を備えている。これにより、ウィンドウガラスをボディの窓枠に精度良く取り付けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ウィンドウガラス取付手段をボディに同期して移動させつつ、ウィンドウガラスをボディの窓枠に取り付けるべく、制御することができる構成の自動車のウィンドウガラスの取付装置及び取付方法、並びに前記ウィンドウガラスの取付装置を備えた自動車の組立ラインを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るウィンドウガラスの取付装置及び取付方法、並びに前記ウィンドウガラスの取付装置を備えた自動車の組立ラインの実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0019】
このウィンドウガラスの取付装置1は、自動車のボディ2を搬送する搬送手段3、ウィンドウガラス取付手段4、前記ウィンドウガラス取付手段4を移動させる移動手段5、移動手段5に設けられたセンサ6、ウィンドウガラス取付手段4及び移動手段5を制御する制御手段7を備えている。さらに、ボディ2の基準位置を検出する基準位置検出手段8、前記基準位置からのボディ2の移動量を検出する移動量計測手段9を備えていることが好ましい。
【0020】
搬送手段3は、通例の自動車組立ラインに設置されている搬送手段であって、移動台車10、コンベア11等を備えている。移動台車10は、コンベア11上に載置されており、図示を省略した支持部材等を備えた台車である。この支持部材にボディ2が支持されつつ、移動台車10と共にコンベア11に沿って搬送される。ちなみに、コンベア11は、チェン駆動、ローラ駆動、又はフリクション駆動等の駆動方式を用いることができる。
【0021】
ウィンドウガラス取付手段4は、アーム12、ウィンドウガラス保持手段13等を備えている。アーム12は、搬送手段3が延在する方向(即ち、矢印A方向)に回転可能なリンク機構である。本実施形態のアーム12は、二本のリンク12a、12bを備えている。リンク12aの上端部は、移動手段5にモータ等の駆動手段によって回転可能に連結されている。リンク12aの下端部は、他方のリンク12bの上端部にモータ等の駆動手段によって回転可能に連結されている。リンク12bの下端部は、ウィンドウガラス保持手段13にモータ等の駆動手段によって回転可能に連結されている。
【0022】
ウィンドウガラス保持手段13は、井桁状のフレーム部材14、フレーム部材14の四隅に設けられた吸着手段15等を備えている。但し、フレーム部材14は井桁状に限られず、ウィンドウガラス16を支持するのに十分な剛性を有する形状とされていれば良い。
【0023】
フレーム部材14は、図示は省略したが、ピッチ方向への回転手段、ヨー軸方向への回転手段、ロール方向への回転手段及びボディ2の左右方向への移動手段を備えている。各々の回転手段及び移動手段は制御手段7に接続されている。吸着手段15としては、通例の吸着手段を用いることができ、ウィンドウガラス16に押し付けたバキュームパッド内の空気を吸引して、ウィンドウガラス16を吸着させる構成とされている。
【0024】
移動手段5は、レール部材17、レール部材17に沿って移動する吊り下げ台車18等を備えている。但し、移動手段5は、以下に説明する構成に限られず、搬送手段3が延在する方向に、ウィンドウガラス取付手段4とセンサ6とを搬送手段3に同期して移動させることができる構成であれば良い。
【0025】
レール部材17は、搬送手段3が延在する方向であって、且つ搬送手段3の上方空間に配置されたH型鋼である。但し、レール部材17は、吊り下げ台車18を吊り下げることができるフランジ部を有する形状であれば良く、T型鋼等を用いることができる。
【0026】
吊り下げ台車18は、フレーム部材19、駆動手段20等を備えている。フレーム部材19は、逆L字部材21、ウィンドウガラス取付手段4を支持する支持部材22を備えている。逆L字部材21の水平片21aは、レール部材17のフランジ部17aに滑動可能に引っ掛けられている。
【0027】
駆動手段20は、ローラ23、ローラ23を駆動するモータ等の駆動手段(図示は省略)を備えている。ローラ23は、レール部材17のフランジ部17aを前記水平片21aと共に、挟み込むように逆L字部材21の鉛直片21bに回転可能に設けられている。ローラ23を駆動する駆動手段は、制御手段7に接続されている。
【0028】
支持部材22は、逆L字部材21の鉛直片21bの下端部に連結されている。この支持部材22に、ウィンドウガラス取付手段4のリンク12aの上端部が回転可能に連結されている。さらに支持部材22には、前記リンク12aよりも前方位置にセンサ6が鉛直下方に計測波が出射されるように設けられている。
【0029】
センサ6は、計測波としてレーザー光線を用いる通例のレーザー変位計であって、図2に示すように、投光部6a、受光部6b等を備えている。このセンサ6は、ボディ2のルーフ面2aとの高さHを計測して、その計測値を制御手段7に入力する。但し、センサ6としては、レーザー変位計に限られず、レーザーセンサ、超音波距離センサ、レーザー距離センサを用いることができる。また、前記のセンサは所定の点までの距離を計測するものであるが、2次元形状やラインの距離プロファイルをとるセンサも使用可能である。要するに、センサ6は、ボディ2の形状を認識できる構成であれば良い。ちなみに、センサ6としては、外乱光に強いレーザー光線を用いるセンサであることが好ましい。
【0030】
制御手段7は、搬送手段3によって搬送されるボディ2のルーフ面2aと窓枠2bとの境界の段差部Bを、センサ6によって検出させ、その検出信号に基づいて、移動手段5によってウィンドウガラス取付手段4を搬送手段3と同期するように移動させる。そして、制御手段7は、センサ6によって、ウィンドウガラス16の前端部を検出させ、図3に示すように、ウィンドウガラス16の前端部とボディ2の窓枠2bの段差部Bとが平面上で略一致するようにアーム12を制御する。
【0031】
基準位置検出手段8は、接触子8a等を備えた通例のローラーレバー型のリミットスイッチである。この基準位置検出手段8は、接触子8aが移動台車10の前端に接触すると、その接触信号を制御手段7に入力する。但し、基準位置検出手段8としては、リミットスイッチに限られず、赤外線センサ、レーザーセンサ等の非接触式のセンサを用いることができる。要するに、基準位置検出手段8は、移動台車10が通過して通り過ぎたことを検出できる構成であれば良い。
【0032】
移動量計測手段9は、接触子9a等を備えた通例の光学式のロータリーエンコーダである。この移動量計測手段9は、接触子9aが移動台車10の側面と接触すると、接触子9aの回転に基づいて導いた移動量を制御手段7に入力する。但し、移動量計測手段9は、ロータリーエンコーダに限られない。要するに移動台車10、即ちボディ2の移動量を検出できる構成であれば良い。
【0033】
このような構成のウィンドウガラスの取付装置1は、以下のように動作してボディ2の窓枠2bにウィンドウガラス16を取り付ける。
【0034】
先ず、接触子8aが移動台車10の前端に接触すると、基準位置検出手段8によって検出信号を制御手段7に入力する。それに伴い、制御手段7は移動量計測手段9による計測を開始させる。さらに、図4に示すように、ボディ2の所定の移動量毎に、センサ6にボディ2のルーフ面2aとの高さHを計測させる。但し、所定の時間毎にセンサ6にボディ2のルーフ面2aとの高さHを計測させても良い。
【0035】
センサ6によって制御手段7に入力される計測値は、ボディ2の移動量Lと共に、制御手段7に記憶する。言い換えれば、制御手段7は、搬送手段3中のある位置を(P)とすると、移動量計測手段9によって計測されるボディ2の移動量L(P)と、このときのボディ2のルーフ面2aとの高さH(P)とを連続的に計測して記憶する。これと共に、制御手段7は、高さH(P)と、位置(P)の直前の位置(P−1)における高さH(P−1)との差分値dH(H(P)−H(P−1))を演算し、この差分値dHと予め設定された第1の閾値T1とを比較し、差分値dHが閾値T1以上となると、ボディ2のルーフ面2aと窓枠2bとの段差部Bを検出したと判断する。
【0036】
段差を検出した制御手段7は、ボディ2の移動速度に同期して移動手段5の吊り下げ台車18が移動するように、ローラ23の駆動手段を制御する。このとき、移動手段5はボディ2の移動速度に同期して移動するので、センサ6は常にボディ2の窓枠2bの段差部Bを捉えた状態に維持される。
【0037】
この状態下で、制御手段7はウィンドウガラス16を所定の高さに保持するように、ウィンドウガラス取付手段4のアーム12の駆動手段を制御する。そして、制御手段7は、ウィンドウガラス16を平行に所定の高さを保ったまま移動させて、ウィンドウガラス16の前端部がセンサ6のレーザー光線を横切るように、アーム12の駆動手段を制御する。このとき、センサ6の高さHが急激に変化し、差分値dHが予め設定された第2の閾値T2以上となるので、制御手段7はウィンドウガラス16の前端部を検出したと判断する。さらに、制御手段7は、前記横切った位置にウィンドウガラス16の前端部が配置されるようにアーム12の駆動手段を制御し、ウィンドウガラス16の前端部とボディ2の窓枠2bの段差部Bとを平面上で略一致させる。最後に、制御手段7は、アーム12の駆動手段を制御し、ウィンドウガラス16の前端部とボディ2の窓枠2bの段差部Bとを平面上で略一致させた状態で、ウィンドウガラス16を下降させて窓枠2bに取り付ける。
【0038】
このとき、ウィンドウガラス16の左右方向への位置調整については、ウィンドウガラス保持手段13の回転手段及び移動手段を制御手段7によって制御して行う。位置調整の方法としては、通常の画像処理技術を用いた位置調整やセンサを用いた位置調整を用いることができる。
【0039】
なお、閾値T1、T2は実験、シミュレーション等によって設定することができる。この閾値T1、T2は移動量計測手段9からのボディ2の移動量に基づいて使い分けることができる。移動量計測手段9を備えていない場合は、実験、シミュレーション等によって得られたボディ2の高さデータに基づいて、閾値T1、T2を使い分けることができる。
【0040】
このように、ウィンドウガラスの取付装置1及び取付方法は、移動手段5によってウィンドウガラス取付手段4をボディ2に同期させて移動させている。そして、ウィンドウガラス16をボディ2の窓枠2bに取り付けるべく、制御手段7がウィンドウガラス取付手段4のアーム12を制御している。そのため、ウィンドウガラス16をボディ2の窓枠2bに精度良く取り付けることができる。特に、制御手段7がウィンドウガラス16の前端部とボディ2の窓枠2bの段差部Bとが平面上で略一致するようにアーム12を制御するので、ウィンドウガラス16の前後位置を精度良く取り付けることができる。
【0041】
しかも、ボディ2の窓枠2bの段差部Bの検出と、ウィンドウガラス16の前端部の検出とを、複数個のセンサを用いることなく、共通のセンサ6で行うため、誤差がなく、ウィンドウガラス16をボディ2の窓枠2bにより精度良く取り付けることができる。また、コストの削減に寄与する。さらに、複数個のセンサ間の位置調整や維持が必要ない。
【0042】
基準位置検出手段8の接触子8aが移動台車10から離れると、その信号を制御手段7に入力する。制御手段7は、センサ6及び移動量計測手段9の計測作業を停止させる。そして、制御手段7は、移動手段5の吊り下げ台車18を元の位置に移動させるべく、移動手段5のローラ23の駆動手段を制御する。上述したような工程を繰り返すことによって、製造ラインの流れを分断することなく、ウィンドウガラス16をボディ2の窓枠2bに取り付けることができる。しかも、搬送されてくるボディ2に対してセンサ6の位置が殆どずれないので、ウィンドウガラス16をボディ2の窓枠2bに精度良く取り付けることができる。
【0043】
このような構成のウィンドウガラスの取付装置1を備えた自動車の組立ラインは、上述した作用、効果を享受することができる。
【0044】
本実施形態では、基準位置検出手段8及び移動量計測手段9を備えているが、省略しても良い。この場合、予め搬送手段3によって搬送されるボディ2の高さデータを取得しておき、この高さデータに基づいてボディ2の窓枠2bの段差部Bを検出しても良い。
【0045】
本実施形態では、ウィンドウガラス16をボディ2の窓枠2bにアーム12によって取り付けているが、この限りでない。すなわち、ウィンドウガラス16をボディ2の窓枠2bの近傍までアーム12によって下降させ、最終的にウィンドウガラス保持手段13を作業員が手動によって操作して、ウィンドウガラス16をボディ2の窓枠2bに取り付けても良い。
【0046】
本実施形態では、制御手段7が差分値dHと閾値とを比較しているが、この限りでない。すなわち、差分値dHを位置(P−1)から位置(P)までの所定の移動量dL(L(P)−L(P−1))で除算することによって得られる微分値DHと閾値とを比較しても良い。
【0047】
本実施形態では、センサ6がボディ2のルーフ面2aとの高さHを測定しているが、この限りでない。すなわち、前面のウィンドウガラスを取り付ける際には、ボンネット面との高さを測定する。
【0048】
本実施形態では、ウィンドウガラス16の前端部をセンサ6によって検出しているが、ウィンドウガラス16の後端部を検出しても良い。
【0049】
以上に本発明に係るウィンドウガラスの取付装置及び取付方法、並びにウィンドウガラスの取付装置を備えた自動車の組立ラインの実施形態を説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のウィンドウガラスの取付装置を概略的に示した側面図である。
【図2】センサがボディとの高さを測定する様子を概略的に示した側面図である。
【図3】センサを用いてウィンドウガラスの前後位置を調整する様子を概略的に示した平面図である。
【図4】(a)はセンサの計測タイミングを示した図である。(b)はセンサで計測した高さを示した図である。(c)はセンサで計測した高さと、前回の計測タイミングで計測した高さとの差分値を示した図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ウィンドウガラスの取付装置
2 ボディ
2a ルーフ面
2b 窓枠
3 搬送手段
4 ウィンドウガラス取付手段
5 移動手段
6 センサ
7 制御手段
8 基準位置検出手段
9 移動量計測手段
10 移動台車
12 アーム
16 ウィンドウガラス
B 段差部
T1 閾値
T2 閾値
dH 差分値
L 移動量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のボディを搬送する搬送手段と、
ウィンドウガラスを保持し、前記ウィンドウガラスを前記ボディに取り付けるアームを有するウィンドウガラス取付手段と、
前記ウィンドウガラス取付手段を、前記搬送手段に沿って移動させる移動手段と、
前記移動手段に設けられたセンサと、
前記搬送手段によって搬送されるボディの窓枠の段差部を、前記センサによって検出させ、その検出信号に基づいて、前記移動手段によって前記ウィンドウガラス取付手段を前記搬送手段と同期するように移動させ、前記センサによって、前記ウィンドウガラスの端部を検出させ、前記ウィンドウガラスの端部と前記ボディの窓枠の段差部とが平面上で略一致するようにアームを制御する制御手段と、
を備えているウィンドウガラスの取付装置。
【請求項2】
前記センサは、所定の計測タイミングで前記ボディとの高さを計測して、その計測値を前記制御手段に入力し、
前記制御手段は、前記計測値と前回の計測タイミングでの計測値との差分値が、予め設定された第1の閾値以上となると、前記ボディの窓枠の段差部を検出したと判断することを特徴とする、請求項1に記載のウィンドウガラスの取付装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ウィンドウガラスの端部が前記センサの計測波を横切り、前記センサからの計測値と前回の計測タイミングでの計測値との差分値が、予め設定された第2の閾値以上となると、前記ウィンドウガラスの端部を検出したと判断し、前記横切った位置に前記ウィンドウガラスの端部が配置されるように前記アームを制御することを特徴とする、請求項2に記載のウィンドウガラスの取付装置。
【請求項4】
ボディの基準位置を検出する基準位置検出手段と、前記基準位置からのボディの移動量を検出する移動量計測手段とを備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のウィンドウガラスの取付装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のウィンドウガラスの取付装置を備えている自動車の組立ライン。
【請求項6】
搬送手段によって搬送されるボディの窓枠の段差部を、ウィンドウガラスを前記ボディに取り付けるアームを有するウィンドウガラス取付手段を前記搬送手段に沿って移動させる移動手段に設けられたセンサによって検出させる工程と、
前記ボディの窓枠の段差部の検出信号に基づいて、前記移動手段によってウィンドウガラス取付手段を前記搬送手段と同期するように移動させる工程と、
前記センサによって、前記ウィンドウガラスの端部を検出させ、前記ウィンドウガラスの端部と前記ボディの窓枠の段差部とが平面上で略一致するように前記アームを制御する工程と、
を備えているウィンドウガラスの取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−18088(P2010−18088A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178892(P2008−178892)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(594133456)株式会社アラキ製作所 (8)
【Fターム(参考)】