説明

ウェーハアルカリ電池

薄板状構造のウェーハアルカリ電池を開示する。前記電池は、当該電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部を有し、それらの間で電池の短寸法が画定される。前記電池は、積層構造を形成するように、互いに結合されたアノードアセンブリとカソードアセンブリとを含む。前記電池は、好ましくは、アノード材料とカソード材料とを収容する2つの別個のプラスチックフレームを含む。アノード集電体は、フレームとの結合を改善するために、耐アルカリ性金属酸化物被膜を形成する封止金属で予めコーティングされてもよい。アノードアセンブリは、その中に、典型的に亜鉛を含むアノード材料を有し、そしてカソードアセンブリは、その中に、典型的に二酸化マンガンを含むカソード材料を有する。前記電池は、耐久性があり、好ましくは剛性で、細長い漏れブロック経路を有し、そして電解質漏れを起こさない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に薄板状の構造を有し、および面積対厚さの縦横比が大きい、ウェーハアルカリ電池に関する。本発明は、アノードまたはカソード集電体が、結合を改善するために耐アルカリ性金属酸化物被膜を形成するように封止金属で予めコーティングされた、ウェーハアルカリ電池に関する。本発明は、アノードが亜鉛を含み、カソードが二酸化マンガンを含む、ウェーハアルカリ電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアルカリ電気化学電池類は、亜鉛を含むアノードと、二酸化マンガンおよびアルカリ電解質を含むカソードとを有する。電池は、通常、円筒形の外部ハウジングから形成される。新しい電池は、約1.6ボルトの開回路電圧(EMF)を有し、また中程度のドレインサービス時(medium drain service)(100〜300ミリアンペア)には典型的な平均運転電圧約1.0〜1.2ボルトを有する。まず、拡大させた開口端部とそれに対向する閉じた端部を有する円筒形ハウジングを形成する。電池内容物を充填した後、絶縁グロメットと負端子エンドキャップを備えたエンドキャップアセンブリをハウジング開口端部に挿入する。ハウジング縁部を絶縁グロメットの縁部に被せて圧着して、緊密な封止をもたらすために絶縁グロメットの周りのハウジングを径方向に圧縮することによって、開口端部を閉じる。絶縁グロメットは、前記の負エンドキャップを電池ハウジングから電気的に絶縁する。対向する閉じた端部のところに、電池ハウジングの一部によって正端子が形成される。
【0003】
従来の円筒形のアルカリ電池は、一般的に認識可能な様々なサイズ、即ち、AAAA、AAA、AA、C、およびDサイズの電池で入手可能である。2003年11月26日に出願された、同一出願人による米国特許出願第10/722879号には、電池内容物が固体金属ケーシングに収められた、薄板状電池が記載されている。金属ケーシングは、閉じた端部とそれに対向する開口端部とを有する一体型主要表面を備える。電池内容物を開口端部に挿入し、次いでその開口端部をエンドキャップで封止する。エンドキャップは、金属スカート、プラスチック絶縁グロメット、およびグロメット内に配置された金属支柱またはリベットを備えるように設計される。金属スカートを絶縁グロメットの周りに圧縮し、そして前記グロメットを、金属支柱の周りに圧縮して、両方の境界面に耐アルカリ性シールを形成する。次いで、エンドキャップアセンブリの金属スカートを、溶接によって金属ケーシングに結合する。
【0004】
所望の電池厚が小さくなるにつれて(例えば、約6mmを大幅に下回ると)、アノード材料とカソード材料とでかかる電池を満たすことが徐々に困難になってくる。それ故に、電池厚が約6mm未満、例えば、約0.5mm〜6mm、望ましくは約1.5〜4mmの場合でも、容易に製作できおよび電池内容物で充填できる、扁平なまたは薄板状のアルカリ電池が必要とされている。これによって、通常は薄いリチウムイオン電池などの薄い充電式電池で電力供給され得る小型電子デバイス類のための、一次(非充電式)電源としてまたはバックアップ電源として使用可能な薄い角柱アルカリ電池が作製される。電池の化学的性質や内部構成要素を適切に調節することによって、薄い充電式アルカリ電池を構築することも可能である。近年、携帯型ラジオ、オーディオプレーヤー、および通信デバイスなどの多くの電子デバイス類が、より小さく、そしてより薄くなってきている。故に、そのような小型電子デバイス類で使用するための、全厚の小さい、薄い薄板状のウェーハ電池が必要とされている。
【0005】
一次アルカリ電気化学電池類は、典型的に、亜鉛アノード活物質、アルカリ電解質、二酸化マンガンカソード活物質、および典型的にはセルロースまたはセルロース繊維およびポリビニルアルコール繊維製の電解質透過性セパレータフィルムを包含する。アノード活物質は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはアクリル酸コポリマーのナトリウム塩のような従来のゲル化剤類、および電解質と混合させた亜鉛粒子を包含することができる。ゲル化剤は、亜鉛粒子を懸濁させ、そして前記粒子を互いに接触させたままにする働きをする。典型的に、アノード活物質に挿入される導電性金属くぎは、負端子エンドキャップに電気接続するアノード集電体の役割を果たす。電解質は、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウムの水溶液であり得る。カソードには典型的に、導電率を高めるために、導電性添加物、典型的にグラファイト材料と混合させた電気化学的活物質として粒子状二酸化マンガンが包含される。所望により、少量のポリマー結合剤類、例えば、ポリエチレン結合剤、およびチタン含有化合物類のような他の添加物類を、カソードに加えることもできる。
【0006】
カソードで使用される二酸化マンガンは、好ましくは、硫酸マンガンと硫酸の槽の直接電気分解によって製造される電解二酸化マンガン(EMD)である。EMDは、高密度で且つ高純度であるので望ましい。EMDの導電率(1/固有抵抗)は、かなり低い。個々の二酸化マンガン粒子間の導電率を改善するために、導電性材料がカソード混合物に添加される。そのような導電性添加物は、また、二酸化マンガン粒子と、従来の円筒形アルカリ電池においてカソード集電体の役割も果たす電池ハウジングとの間の導電率をも改善する。適した導電性添加物類としては、例えば、グラファイト、グラファイト状材料、アセチレンブラックを包含するカーボンブラックのような導電性炭素粉末を挙げることができる。好ましくは、導電性材料は、薄片状結晶の天然グラファイト、若しくは薄片状結晶の合成グラファイト、または膨張若しくは剥離グラファイトまたはグラファイト状炭素ナノ繊維、およびそれらの混合物を含む。
【0007】
現在、MP3オーディオプレーヤーおよびミニディスク(MD)プレーヤーのような小型電子デバイス類に電力供給するために使用される、小さいサイズの方形の充電式電池が利用可能である。これらの電池は、典型的に、チューインガム1パック程度のサイズの方形(直方体)である。本明細書で使用するとき、「直方体」という用語は、その通常の幾何学的定義、即ち、「直平行六面体」を意味するものとする。そのような電池は、例えば、国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)(IEC)によって規定されたかかる電池についての標準サイズに準拠して、充電式ニッケル金属水素化物(NiMH)サイズのF6または7/5F6サイズの直方体類の形状であり得る。F6サイズは、厚さ6.0mm、幅17.0mm、および長さ35.7mm(ラベルを含まない)である。長さが約48.0mm程度の大きさであり得るF6サイズの異形もある。7/5−F6サイズは、厚さ6.0mm、幅17.0mm、および長さ67.3mmである。F6または7/5F6のNiMH充電式電池の平均運転電圧は、MP3オーディオプレーヤーまたはミニディスク(MD)プレーヤーなどの小型デジタルオーディオプレーヤー類に電力供給するのに使用される場合には、約1.0〜1.2ボルト、典型的に約1.12ボルトである。
【0008】
ミニディスク(MD)プレーヤーに電力供給するために使用される場合には、電池は、約200〜250ミリアンペアの率で消耗する。デジタルオーディオMP3プレーヤーに電力供給するために使用される場合には、電池は、典型的に、約100ミリアンペアの率で消耗する。
【0009】
ミニディスクまたはMP3プレーヤーなどの小型電子デバイス類に電力供給するために、その小さいサイズのアルカリ電池をニッケル金属水素化物電池と互換的に使用することができるように、小さいサイズの直方体(直平行六面体)ニッケル金属水素化物電池と同じサイズでおよび同じ形状の小さい扁平なアルカリ電池があることが望ましい。
【0010】
また、前述したように、全厚が6mm未満、例えば、約0.5〜6mm、好ましくは約1.5〜4mmのウェーハアルカリ電池があることも望ましい。
【0011】
ウェーハ電池は、電解質の漏れの可能性を最小限に抑える、または大幅に低減するように設計されることが望ましい。参考文献、M・ハル(M.Hull)、H・ジェイムズ(H.James)、「アルカリ電池は何故漏れるか(Why Alkaline Cells Leak)」、電気化学会誌(Journal of the Electrochemical Society)、第124巻、第3号、1977年3月、332〜329頁)、およびS・デイヴィス(S.Davis)、M・ハル、「アルカリ電池漏れの見解(Aspects of Alkaline Cell Leakage)」、電気化学会誌(Journal of the Electrochemical Society)、第125巻、第12号、1978年12月)では、吸着された水分の存在下において外部電池負端子上で大気中の酸素が電気化学的に還元されてOH−イオンを形成するという観点から、アルカリ電池漏れの一つの見解が説明されている。次いで、これら電気化学的に発生したOHイオンは、K(HO)またはNa(HO)のような水和した正イオンを引き付ける。K(HO)またはNa(HO)イオンは、電池内部で発生し、負のシール表面を通って電池外部へと移動して、水分を吸着したフィルム内の電気的中性を維持する。最終的結果として、KOHまたはNaOH電解質を電池内部から端子表面に引き寄せることになり、したがって、そのような電解質の電池内部から端子表面への移動または緩やかな動きを事実上促進することになる。
【0012】
また、そのような薄いウェーハ電池は、電力消費の大きいデバイス用の長寿命電源として役立つように十分な活物質を含有することも望ましい。したがって、薄いことに加えて、ウェーハ電池はまた、かなりの速度でかなりの時間にわたって電気エネルギーを供給するのに十分な活物質を収容する投影面積および十分に大きい内部容積も有するべきである。
【0013】
以降に示す議論では、ウェーハ電池は、薄い薄板状の単電池を意味するものとする。電池は、その表面のうちの1つ以上が、平らな表面であっても、または湾曲した表面であっても、またはランダムに歪んだ表面であってもよい。電池は、均一な厚さであってよく、またはその厚さが次から次へと変化してもよい。電池は、任意の点、軸、若しくは平面に関して対称であっても、または非対称であってもよい。電池の「設置面積」は、電池の可能な向きをすべて考慮する場合に、任意の平面上の電池の最大直交投影面積として定義される。
【0014】
電池の縁部とは、その外表面であり、そのうちの1つ以上が、電池の形状に応じて厚さ寸法を構成することになる。厚さが一定でない電池の場合、厚さは、いずれか所与の点で最大値をもつことになる。電池の面とは、電池の設置面積を画定し、且つ名目上垂直な厚さ軸を有する、一つの外表面である。電池が扁平で均一な厚さである場合、どちらの面の面積も電池設置面積に等しくなる。電池が湾曲しているか、若しくは不均一な厚さであるか、またはその両方である場合、どの面の面積もが、電池設置面積に匹敵しても、またはそれを上回ってもよい。同様に、電池の縁部は、均一な厚さである必要はない。
【0015】
そのようなウェーハ電池は、例えば側部のうちの少なくとも1つが多角形、或いは円形、卵形、または少なくとも部分的に曲線状である、様々な全体形状およびサイズに適合するように、容易に製造されることが望ましい。
【0016】
従って、6mm未満のような小さな電池厚でも電池内容物を容易に挿入できるように、かかるウェーハ電池が容易に製造されることが望ましい。ウェーハ電池は更に、発生気体からの内圧に耐え、機械に関する誤用や取り扱いによる損傷に耐え、そしてシール不足に起因するいかなる電解質の漏れをも回避するのに十分に丈夫でおよび耐久性がなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の主態様は、一次または二次ウェーハアルカリ電池を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
ウェーハ電池は、電気エネルギー源の役割を果たすように設計され、負端子と正端子と、これらを含むウェーハ電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部とを含んで成る。対向する側部は、幾つかの地点でそれらの間に平均的な電池幅(厚さ)を画定する。電池は、積層構造を形成するように互いに結合されたアノードアセンブリとカソードアセンブリとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
一態様では、電池は、その中の導電性要素と非導電性要素との間に様々なシール境界面を包含する、実質的に薄板状の構成にすることができる。アルカリ電解質に対して耐性のある封止剤が、これらの境界面内に配置される。封止剤を含有するシール境界面は、機械的な設計特徴によって、または構造用接着剤を用いて、剥離力および剪断力から保護される。電池内部から2つの電池端子のいずれかへの潜在的漏れ経路が、電池厚寸法よりも実質的に大きくなることを確実にするために、新規の電池設計および上包み(over-wrap)設計が使用される。
【0020】
重要な態様では、本発明のウェーハアルカリ電池は、亜鉛を含むアノードと、二酸化マンガンを含むカソードと、アルカリ電解質、好ましくは含水水酸化カリウムとを有する。ただし、ウェーハアルカリ電池は、アノードおよびカソードの他の活物質を有してもよく、そして他のアルカリ電解質も利用できる。例えば、アノードは、亜鉛、カドミウム、または金属水素化物合金を含んでよく、またカソードは、二酸化マンガン、オキシ水酸化ニッケル、酸化銀(AgOまたはAgOを単独または混合して)、酸化銅(CuO)、酸化銅銀(AgCuO若しくはAgCuを単独若しくは互いに混合して、またはMnOと混合して)を含んでよい。以上に列挙したアノード材料はそれぞれ、以上に列挙したカソード材料のそれぞれと組み合わせることができる。アルカリ電解質は、水酸化ナトリウム、または水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの混合物を含んでもよく、これらは電解質が電池内部から移動する傾向を軽減する。ウェーハ電池はまた、充電式電池の形態であってもよい。
【0021】
アノードアセンブリ内またはカソードアセンブリ内にはセパレータ層が包含されており、そのセパレータ層は、イオン透過性のフィルム、膜、または不織布であってよい。別の方法として、セパレータ層は、アノードアセンブリとカソードアセンブリとの間に位置してもよく、そして一部の実施形態では、アノードアセンブリとカソードアセンブリとの合わせ面によって形成されたシール領域の一部に突き出ていてもよい。
【0022】
特定の実施形態では、電池は、直方体の形状である。電池は、薄い厚さ、例えば、約0.5〜6mm、例えば約1.5〜6mm、典型的には約1.5〜4mmであってよい。
【0023】
本発明の重要な態様では、アノードアセンブリは、前記アノード用のハウジングを含み、カソードアセンブリは、前記カソード用のハウジングを含む。セパレータ層は、対向するアセンブリに面するようにアノードアセンブリ内若しくはカソードアセンブリ内に配置されてよく、またはセパレータは、これら2つのアセンブリの間に配置されてもよい。アノードアセンブリおよびカソードアセンブリは、好ましくは、アノード活物質とカソード活物質との間に位置するセパレータと合わせて接着結合されて、耐久性のある、好ましくは堅い、小型の積層構造を形成する。別の方法として、アノードアセンブリとカソードアセンブリを合わせて、熱、溶剤、または超音波溶接によって結合してもよい。
【0024】
本発明の一態様では、アノードアセンブリの一部を形成するアノードハウジングは、アノードキャビティの境界を画定する内側周縁部を有する、好ましくは耐久性のある有機ポリマー材料、例えばプラスチック製のアノードフレームを含む。前記フレームは、前記周縁部に沿って表側(内表面)とそれに対向する裏側(外表面)とを有する。アノード集電体シートは、電池の外表面境界に面するように、前記フレームの裏側に結合される。アノード材料は、前記アノード集電体シートと接触するように、前記アノードキャビティに挿入される。アノード集電体シートは、導電性であり、好ましくは、銅、黄銅(銅と亜鉛との合金)、青銅(銅とスズとの合金)、スズ、若しくは亜鉛の金属、あるいは亜鉛、スズ、銀、インジウム、若しくはビスマス、またはそれらの金属の組み合わせでめっきされた銅若しくは黄銅の金属である。
【0025】
カソードアセンブリの一部を形成するカソードハウジングは、カソードキャビティの境界を画定する内側周縁部を有する、好ましくは耐久性プラスチック製のカソードフレームを含む。前記フレームは、前記周縁部に沿って表側とそれに対向する裏側とを有する。カソード集電体シートは、電池の外表面境界に面するように、前記フレームの裏側に結合される。カソード材料は、前記カソード集電体シートと接触するように、カソードキャビティに挿入される。カソード集電体シートは、好ましくはニッケル、ニッケルめっき鋼、または炭素コーティングした金属シートであり、好ましくは、炭素コーティングしたまたは炭化されたニッケル板である。或いは、カソード集電体シートは、ニッケルでめっきまたは被覆された、冷延鋼板製であってよい。ニッケルに炭素を重ねてもよく、またはコバルト層を重ね、次いでそのコバルトの上に炭素層を重ねてもよい。他の実施形態では、カソード集電体に炭素を重ね、次いで炭素含有塗料でコーティングしてもよい。別個のアノードフレームおよびカソードフレームの代わりに、単一のフレームを使用してもよい。そのような実施形態では、好ましくはプラスチック製の単一フレーム構造には、2つのフレームを合わせて結合する必要を避けるようにアノード材料およびカソード材料を単一フレームの両側に詰め込むことができるという利点がある。しかしながら、詰め込まれた単一フレームに金属エンドプレートを結合することは、二重フレーム構造を有するものよりも難しい。これは、活物質とアルカリ電解質が、直接隣接するキャビティ内に既に存在している限りは、結合表面上を極端に清潔に維持しておく必要があるためである。
【0026】
本発明の積層ウェーハ電池構造の利点は、非常に小さいサイズ、例えば1cmから、非常に大きいサイズ、例えば600cmまでに及ぶ、実質的にあらゆる設置面積のサイズであるが、全厚が薄い、例えば約1.5〜6mm、典型的には約1.5〜4mmの電池を、容易に製作できることである。電池厚は、例えば約0.5mm程度に薄くすることさえできる。それ故に、電池は、薄い全厚の電子デバイス類のキャビティに容易に適合することができる。積層電池構造の他の利点は、実質的にあらゆる所望の全体形状、例えば、多角形、卵形、円形、曲線状、または一部が多角形で一部が曲線状の形状にも作製できることである。本発明の積層電池は、耐久性があり、緊密に結合されるので、高温および低温の気候や、高湿および低湿の雰囲気に曝すことができ、それでも電解質漏れを起こさない場合がある。
【0027】
本発明のウェーハ電池において、電解質漏れの可能性は、次の3つの方法によって軽減される:
1)極めて緊密に結合された、実質的に電解質不透過性のシールを電池内部とアノード集電体シートおよびカソード集電体シートとの間に作り出すことによる方法。
2)電池内からの(from within)電解質が電池から漏れるために通らなければならない、極めて長い曲がりくねった経路(漏れブロック経路)を作り出すことによる方法。漏れブロック経路全体は、フレーム幅に、フレームの外縁部から、露出した電池端子までの距離を加えた合計から成る。
3)露出した外部負接点の表面積を最小限まで削減することによって、外部負接点の表面上でのOHの総体的な発生速度を低減することによる方法。
【0028】
電解質漏れ低減方法1に関して、緊密に結合された電解質不透過性のシールは、本発明のウェーハ電池では、好ましくは、フレーム縁部と、アノード集電体シートおよびカソード集電体シートそれぞれの縁部との間に段階的な接着シールを用いることで達成される。段階的シールは、集電体シートをそれぞれのフレームに結合させるためにプラスチックフレームの縁部に沿って並置(隣り合わせの)配置で、異なる接着剤と接着封止剤の少なくとも2つのコーティングを含む。外側の接着剤コーティングは、好ましくはエポキシのような構造型の接着剤である。そのような接着剤は、積層電池構造に構造強度を付与する。内側のコーティングは、好ましくは接着封止剤であり、それは、例えば、ポリアミド、または部分重合したエポキシ、またはアスファルトであってよい。そのような封止剤コーティングは、全体的な結合を改善するが、その主要な機能は、電解質を密封することである。別の方法として、構造用接着剤に加えて、または構造用接着剤の代わりに、リベットを使用することもでき、リベット間のフレームの部分に封止剤コーティングを適用することができる。リベットは、非金属材料、例えば、プラスチックであり得るか、または好適な絶縁グロメットを一方の端部または両末端に有する金属であり得る。
【0029】
アノード集電体シートとプラスチックアノードフレームとの間の境界面での封止特性は、アノード集電体シートの内表面を封止金属の薄層で予めコーティングしてから、接着剤を用いてアノード集電体シートをアノードフレームに結合させることによって改善できることが解明されている。従って、前述の段階的接着剤のような接着剤は、アノード集電体表面と直接接触する代わりに、アノード集電体シート上に予めコーティングされた封止金属と接触する。このことは、封止特性、特に、アノード集電体シートとプラスチックアノードフレームとの間の境界面における接着シールの長期的な強度および結合均一性を改善することが解明されている。
【0030】
別の態様では、アノードフレームは、部分的に閉じた端部と、それに対向する開口端部と、それらの間の側壁とを有する。アノードフレームの部分的に閉じた端部は、それを貫通する少なくとも1つの穴を有するベースパネル(スカート)で画定される。この実施形態では、封止金属は、好ましくは、アノード材料から離れておよびスカートの表面に面するアノード集電体シートの側部にコーティング、配置、または積層される。すなわち、封止金属は、アノード集電体シートに重なっているため、アノード材料のいかなる部分とも接触していない。従って、アノード集電体シートの側部は、それらの間に封止金属が介在することなく、アノード材料と直接接触する。好ましい封止金属は、チタンであるが、ジルコニウムまたはマグネシウムも非常に望ましい。ハフニウム(Hf)、およびイットリウム(Y)も望ましい封止金属である。封止金属はアノード材料のいかなる部分とも接触していないことから、封止金属は、アノード材料とアノード集電体シートとの間での電気的接触抵抗を増加させることができない。
【0031】
好ましくは、フレームのベースパネル(スカート)の中央またはその中央付近に穴がある。アノード集電体の一部は、この穴を通して露出し、負接触端子(negative contact terminal)を形成する。所望により、この穴の内部にある封止金属層の一部は除去されてよく、従ってその下にあるアノード集電体シートの一部は前記穴を通して露出する。この方式でのアノード集電体の露出は、より信頼性の高い負端子接触(negative terminal contact)を可能にする。
【0032】
別の態様では、アノードフレームは、その下にある封止金属層および集電体シートのかなりの部分を覆う、延長した一体型ベースパネル(スカート)を有することができる。好ましくは、アノードフレームのベースパネル(スカート)は、その一体化構成部分であって、フレームの周縁部からアノード材料のほぼ中央にまで及ぶ。アノード集電体シートは、アノード材料と直接接触する側部を有する。封止金属コーティングは、アノード集電体シートの上面、すなわち、アノード材料から離れて面するアノード集電体の側部に適用される。接着剤バンド、好ましくは、例えばアスファルトまたはポリアミドが挙げられるが、これらに限定されない接着封止剤のバンドが、封止金属コーティングの露出表面の縁部に沿って適用される。構造用接着剤(例えば、エポキシ接着剤)などの別の接着剤バンドは、アスファルトまたはポリアミド接着封止剤と隣接する封止金属表面の領域に、好ましくはアスファルトまたはポリアミド接着剤と隣り合わせた関係で適用することができる。そのような接着剤バンドは、アノード集電体シートを、延長したフレームスカートの内表面にそれらの間の封止金属コーティングを用いて、すなわち、接着剤および接着封止剤と直接接触する封止金属コーティングを用いて結合する。前記アノードフレームの延長したベースパネルのために、気体に起因するかまたは活性物質の膨張に起因する内圧が電池に生じると、接着剤および封止剤は圧縮されて、結果として、より耐久性のある結合をもたらす。所望により、封止金属の一部が除去された封止金属表面上には空白領域があってもよく、それ故に、その下にあるアノード集電体の表面の一部が露出している。アノード集電体のそのような露出部分は、フレームのベースパネル(スカート)内の穴を通じて直接接触できる、電池の負端子の役割を果たすことができる。延長したベースパネルを有するフレームは、アノード集電体のいかなる外向きの運動をも抑制し、また電池が保管されるまたは放電している場合に、その下にある層の層間剥離を食い止めるのに役立つ。
【0033】
別の態様では、アノードフレームは、延長したベースパネルを有してよいが、アノード集電体シートは、前記ベースパネルの外表面、すなわち、電池内部から離れて面するベースパネルの側部に寄せて積み重ねてよい。そのような実施形態では、アノード集電体シートの内表面上に封止金属のコーティングがあってもよい。次いで、アノード集電体は、封止金属コーティングが前記フレームの延長したベースパネルの外表面に接触するように、アノードフレームに適用される。前記延長したベースパネルの中央を貫通する穴があることも可能である。封止金属には、上に配置されるアノード集電体シートの一部を露出するように、空白領域があることも可能である。好ましくは、封止金属コーティングとフレームの外表面との間に隣り合わせた関係で構造用接着剤(例えば、エポキシ接着剤)および接着封止剤(例えば、アスファルト)がある。そのような構造用接着剤および接着封止剤は、アノード集電体をアノードフレームにそれらの間に封止金属を用いて結合する。すなわち、接着剤および接着封止剤は封止金属コーティングと直接接触する。アノード材料は、アノードフレームの内部スペースに挿入される。電池の負端子を形成するアノード集電体の一部は、アノード材料と、アノードフレームの延長した表面にある前記穴を介して直接接触することができる。
【0034】
上述のようにプラスチックアノードフレーム表面は、アノード集電体シートに、それらの間に接着剤を用いて結合される。単一の均質な接着剤を使用してもよいが、先に示したように段階的なシールを用いることが好ましく、即ち、アノードフレームとアノード集電体シートとの間の境界面のところで、横に並んだ配置で2つの異なる接着剤または接着封止剤を結合することが好ましい。接着剤と接触するアノード集電体表面の前記部分が特定の封止金属で予めコーティングされる場合、或いはアノード集電体シート自体がそのような封止金属から構成される場合、接着剤/金属の境界面が、長期にわたって、例えば何年にもわたって、より十分に劣化に耐え得ることが解明されている。従って、プラスチックアノードフレームとアノード集電体シートとの間の強力で均一な結合は、長期にわたって維持されて、そのような境界面を通じた電解質漏れの可能性を低減する。
【0035】
一例として、以上に列挙したようにアノード集電体シートが銅、黄銅、青銅、スズ、または亜鉛製の場合、マグネシウム、ジルコニウム、またはチタンは、プラスチックアノードフレームをアノード集電体に結合させる接着剤および接着封止剤と接触するアノード集電体表面の一部分の上に予めコーティングされるべき、好ましい封止金属である。(マグネシウムまたはチタンは、銅または青銅製の集電体シートに特に好ましい封止金属であることが解明されている。)従って、接着剤は、均質な接着剤かまたは段階的接着剤のどちらを用いてプラスチックアノードフレームをアノード集電体シートに結合させるかに関わらず、前記接着剤は、アノード集電体の接面上に予めコーティングされたマグネシウムまたはチタン封止金属と直接接触することになる。(接面は、プラスチックフレームに面してそれと結合する表面である。)封止金属と接着剤との間のそのような境界面結合は、長期にわたって劣化に耐えると思われるため、アノード集電体シートが封止金属で予めコーティングされていない場合よりも、アルカリウェーハ電池のプラスチックアノードフレームとアノード集電体シートとの間の結合をより良好に維持する。
【0036】
マグネシウム、チタン、またはジルコニウムなどの好ましい封止金属は、それらの純元素形態であるが、マグネシウム、チタン、またはジルコニウムの合金も使用してよいので、封止金属を純元素金属だけに制限しようとするものではない。そのような場合、合金の主構成成分としてマグネシウム、チタン、もしくはジルコニウム、またはそれらの組み合わせを有することが好ましい。ただし、マグネシウム、チタン、もしくはジルコニウム、またはそれらの組み合わせが合金の微量構成成分である場合にも、やはり利益を得ることができる。
【0037】
封止金属は、必ずしもこれらに限定されないが、真空蒸着、スパッタリング、イオンめっき、プラズマ蒸着、ジェット補助されたプラズマ蒸着、焼結、低温金属溶射、爆裂銃溶射、高速酸素燃料溶射、(非水性電解質からの)電気めっきなどの従来技術を利用して、または溶融めっき(hot dipping)(アノード集電シートを溶融封止金属槽に浸漬すること)により、薄いコーティングで、アノード集電体シートの接面(アノードフレームに面するアノード集電体シートの表面)に適用されてもよい。封止金属はまた、回転式被覆法(回転被覆積層法)によってアノード集電体シートの接面に適用されてもよい。封止金属は、好ましくは約0.05〜50ミクロン、好ましくは約0.1〜10ミクロン、例えば約3ミクロンの均一な厚さでアノード集電体シートの接面に適用されてよい。
【0038】
マグネシウム、チタン、またはジルコニウムは、本発明のアルカリウェーハ電池との関連で使用するのに好ましい封止金属であるが、プラスチックアノードフレームを集電体に結合させるために接着剤または接着封止剤をそれらに適用する前に、同様の有益な結果をもたらす同様の方法で、他の金属をアノード集電体表面上のプレコートとして使用することもできる。そのような封止金属を列挙するとすれば、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、およびイットリウム(Y)、並びにランタニド系列元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)が挙げられる。これらの元素のうち、利用可能性、機能、およびコストの総合的因子を考慮すれば、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびイットリウム(Y)が好ましい。スカンジウムは、そのコストが特に高いために好ましい封止金属ではない。
【0039】
本発明は、アノードフレームについて、いずれかの特定のプラスチックまたはポリマー材料に制限することは意図されていない。アノードフレームは、プラスチックが耐久性を有しおよび一般にアルカリ電解質による侵食に耐えるのであれば、多種多様なプラスチック材料から構成されてよい。アノードフレームに好ましい材料は、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスルホン、またはポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックである。
【0040】
一般に、新しく製作された金属シートまたは金属構造は、外気に曝された場合に、それらの表面上に自然の金属酸化物または金属水酸化物被膜を急速に成長させる。そのような自然の金属酸化物または金属水酸化物被膜は、微量の水および酸素が全く存在しない実質的な真空中で、ほんの一時的におよび困難を伴って除去することができる。接着剤または接着封止剤材料がそのような酸化物または水酸化物を有する表面に適用される場合、自然の金属酸化物または水酸化物被膜を化学的に伴う接着結合が形成される。金属シート若しくは金属構造上での自然の金属酸化物または金属水酸化物被膜の存在は、接着剤でコーティングされたプラスチック表面を金属構造に化学的に結合させる際に重要な役割を果たす。即ち、接着剤と金属酸化物または金属水酸化物との間の化学結合が、結合過程で形成される。このことは、一般に、プラスチックアノードフレームをアノード集電体シートに結合させる際に好ましい、上に列挙した段階的接着封止剤を包含する実質的にすべての接着剤または接着封止剤に当てはまる。しかしながら、そのようなプラスチックと金属との結合のいずれかの部分がアルカリウェーハ電池の内部で、または一般的にいずれかのアルカリ電池内で、アルカリ電解質に曝される場合、自然の金属酸化物または金属水酸化物が浸食を受けることによって、結合を徐々に弱める場合がある。ある金属酸化物または金属水酸化物は、それらが他の金属酸化物よりもアルカリ電解質への溶解性が低いという主な理由により、他の金属酸化物または金属水酸化物よりもアルカリ電解質による侵食を受けにくいことが解明されている。
【0041】
上に列挙した封止金属、特にマグネシウム、チタン、およびジルコニウムは、アノード集電体シートの表面上にコーティングされると、集電体シートの表面上に酸化マグネシウム若しくは水酸化マグネシウム、または酸化チタン、または酸化ジルコニウム被膜を成長させることが見出されている。そのような酸化マグネシウム若しくは水酸化マグネシウム、または酸化チタン、または酸化ジルコニウム被膜は、アルカリ電池アノードのための典型的な集電体上に形成された自然の金属酸化物被膜よりもアルカリ電解質の存在下での溶解性が低い。例えば、アノード集電体シートが銅または銅の合金(黄銅若しくは青銅など)製の場合、集電体シートの表面上で成長する酸化マグネシウム若しくは水酸化マグネシウム、または酸化チタン、または酸化ジルコニウム被膜は自然の酸化物被膜、例えば、酸化銅、または酸化銅+酸化亜鉛、または酸化銅+酸化スズよりもアルカリ電解質への溶解性が低い。この点に関して、マグネシウム、チタン、若しくはジルコニウム、または上に列挙した他の封止金属などの封止金属でアノード集電体シートを予めコーティングすることは、言うまでもなく集電体シート自体が封止金属から形成される場合を除き、アノード集電体シートがそのように予めコーティングされない場合に比べてアルカリ性環境における金属集電体に対する境界面の接着結合をより良好に維持する。
【0042】
接着剤と金属境界面との結合が経時的に劣化し得る別の道筋は、結合される金属の表面上の自然の金属酸化物または金属水酸化物被膜が、当該被膜が存在する環境に起因して酸化または還元を受ける場合である。本発明のウェーハアルカリ電池との関連でプラスチックアノードフレームをアノード集電体シートに結合する点から見て、自然の酸化物または水酸化物被膜は、前記酸化物または水酸化物中の天然金属が亜鉛よりも高い正の電気化学ポテンシャルを有する場合、アノード内で亜鉛によって還元される傾向があり得る。より低級の酸化物または金属自体への還元は、体積収縮および劣化、または金属−プラスチック界面での接着結合の低下を引き起こす。好ましい金属であるマグネシウム、チタン、およびジルコニウムを包含する、上に列挙した封止金属は、亜鉛よりも高い負のポテンシャルを有し、そしてそれ故に、亜鉛では還元できない。従って、典型的に銅もしくは銅の合金(黄銅または青銅)、またはスズ製の金属集電体をマグネシウム、チタン、またはジルコニウムなどの封止金属で予めコーティングすることにより、金属界面結合との接着が劣化から保護される。これは、マグネシウム、チタン、およびジルコニウムのような、上に列挙した封止金属の酸化物または水酸化物が、亜鉛アノード材料との直接接触により、または電解質の共通主要部において亜鉛アノード電位で保持される場合に、還元されないからである。
【0043】
上で定義した封止金属は、電池の構成に関わらず、一般的にアルカリ電池に当てはまる。本明細書で定義されるようなアルカリ電池は、「電気化学電池であって、一次もしくは充電式電池、またはエネルギー産出型もしくはエネルギー消費型電池、またはその中でアルカリ電解質を利用するエネルギー貯蔵装置(例えば、コンデンサーまたは超コンデンサ)」である。電解質は、典型的に、含水水酸化カリウムを含むが、他のアルカリ性構成成分、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウム、およびそれらの混合物を含んでもよい。金属/空気電池、例えば、一般的に補聴器に使用されるボタン電池の形態の亜鉛/空気電池もまた、亜鉛アノード活物質と混合してアルカリ電解質を使用することから、アルカリ電池である。亜鉛/空気電池はまた、細長い円筒形構成または他の構成の形態であってもよく、それらすべては、それらの中でアルカリ電解質を使用することから、アルカリ電池と見なされてもよい。市販のアルカリ電池は、典型的には、ゲル化剤およびアルカリ電解質と混合された、通常は微粒子の形態の亜鉛を含むアノードを有する。カソードは、典型的には、カソード活物質として二酸化マンガン、オキシ水酸化ニッケルなどを含んでよい。そのような電池は、その中でアルカリ電解質を使用することから、アルカリ電池と見なされる。
【0044】
アルカリ電池は、典型的には、例えば金属製くぎ(metallic nail)、カップ形の金属部材または金属シートなどの通常細長い金属部材の形態の、アノード集電体を有する。本明細書で使用するとき、用語「アノード集電体」は、アノードの少なくとも一部と接触する部分と、電池の負端子と接触する別の部分とを有する、通常は金属製の、導電性部材である。アノード集電体は、アノードから電池の負端子への電子導電性経路を提供する。一部のアルカリ電池、例えば亜鉛/空気ボタン電池などのアルカリボタン電池では、アノードケーシング自体がアノード集電体の役割を果たす。アルカリ電池では、アノード集電体の一部は、アノード集電体を電池の正側から電気的に絶縁する、典型的には有機ポリマーまたはプラスチック材料製の、電気絶縁性部材を貫通するかまたはそれと隣接する。これは、当該技術分野では多くの場合、「負の貫通接続部分」と呼ばれる。アノード集電体の一部分(負の貫通接続)は、典型的に、接着剤または接着封止剤材料(例えば、アスファルトまたはポリアミド系封止剤)で絶縁部材に結合されて、これらの間に良好なシールを提供する。アノード集電体の前記部分(負の貫通接続部分)を、上で定義した本発明の封止金属、特にマグネシウム、チタン、またはジルコニウムで予めコーティングすることにより、アノード集電体と絶縁部材との間の接着結合は、アノード集電体の前記部分が封止金属でそのように予めコーティングされない場合に比べて耐アルカリ性がより強くなり、また一般的には経時的により十分に劣化に耐えるようになる。別の方法として、絶縁部材に結合される全体または部分としてのアノード集電体自体が、封止金属から形成されてもよい。この方法では、アノード集電体と絶縁部材との間の接着シールが改善されて、それらからの電解質漏れの可能性が軽減される。
【0045】
電解質漏れの軽減方法2に関し、これは、電解質が電池内部から外部環境に漏れる可能性を軽減するために、長さを増大させたかまたは比較的長いブロック経路を設けることを伴う。この点に関し、どちらかの活性電極の縁部からそれに対応する電池外部の端子接点までで測定される、潜在的な漏れ経路の長さを、全体的な電池厚よりもかなり大きくなるように設定することが望ましいことが解明されている。本明細書の好ましい実施形態では、潜在的な漏れ経路(漏れブロック経路)と電池厚との比は、1.5よりも大きく、より好ましくは2よりも大きい。電池の外表面は、望ましくは、プラスチック製の収縮ラップの複数のバンドで、好ましくはそれらの間に封止剤を用いて包まれる。望ましくは、第1および第2プラスチック製ラップの収縮バンドが電池の外表面上に適用される。好ましい実施形態では、プラスチックチューブの第2収縮バンドを、プラスチックチューブの第1収縮バンドに対して直角な位置で、それらの間に封止剤を用いて適用して、漏れブロック経路を増大させて、電解質の漏れ耐性を高める。
【0046】
漏れ軽減方法3に関し、これは、電池設置面積の総面積に比べて、外部の負接点の面積を最小限に抑えることによって達成される。それ故に、封止剤およびプラスチックフィルムまたはスカート材料を使用して、負接点の外表面のできる限り多くを被覆することによって、露出した接触面積と電池設置面積との比が最小限に抑えられる。好ましくは、この比は、5%未満(設置面積が1cm〜14.5cmの電池の場合)、より好ましくは1%未満(設置面積が14.5cm〜603cmの電池の場合)、そして最も好ましくは0.1%未満(設置面積が603cm以上の電池の場合)である。
【0047】
このように説明される配置は、正方形、長方形、多角形、円形、若しくは楕円形のような様々な形状、および平らでも湾曲していてもよい表面を備える、本発明のウェーハ電池に適用可能である。
【0048】
全漏れ経路は、フレーム幅に、フレームの外縁部から電池端子までの距離を加えた合計から成る。本発明の好ましい実施形態では、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも2倍である。より好ましくは、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも3倍であり、最も好ましくは、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも4倍である。電池外部を封止剤およびプラスチックフィルムで被覆することにより、潜在的な漏れ経路は、更に、フレームの外側周縁部から電池端子まで延長される。本明細書に開示した設計原理を用いると、非常に面積の大きい、例えば、約21.6cm×27.9cm若しくは603cm(8.5インチ×11インチ若しくは93.5in)またはそれ以上の面積の、薄いアルカリ電池を構築することができる。
【0049】
本発明の代表的なウェーハアルカリ電池10を図1に示す。図1の実施形態では、電池は、隅角部が丸み付けされた、全体的に方形の形状をしている。電池10は、電池の主要部を形成する2つの対向する方形の薄板状表面20’および80’と、それらの間にある2対の対向する方形の端面とを有し、一方の対が端面110a、110bであり、そして第2対が端面110cおよび110dである。対向する薄板状表面20’および80’は、好ましくは互いに平行である。対向する端面110aおよび110bは、好ましくは互いに平行であり、また対向する端面110cおよび110dも、好ましくは図1に示すように互いに平行である。従って、電池10は、隅角部が丸み付けされた直方体(直平行六面体)の形状である。
【0050】
対向する薄板状表面20’および80’は、他の形状、例えば多角形であってもよく、および円形または楕円形であっても、または様々な表面積の曲線状の外辺部または一部が曲線状の外辺部であってもよいことが理解されよう。したがって、本発明は、方形電池だけに限定されるものではない。対向する薄板状表面20’および80’は、平行でなくてもよい。故に、必要に応じて、電池の厚さは様々であってよい。対向する薄板状表面20’および80’は、平らでなくてもよい。故に、必要に応じて、電池は、一定のまたは様々な厚さで、単曲率または二重曲率をもつことができる。単曲率の電池を、例えば、図6Bおよび6Cに示す。図6Bでは、電池は、上面20’から見下ろした場合に、内側に湾曲している(凹面)。図6Cでは、電池は、上面20’から見下ろした場合に、外側に湾曲している(凸面)。図6Cでは、電池はまた、一方の端部110aの方が、それと対向する端部110bよりも薄い。同様に、端部110aでの電池の幅は、それと対向する端部110bでの幅と異なってもよい。図6Cでは、端部110aでの電池の幅は、対向する端部110bよりも小さい。電池表面はまた、多重曲率であってもよい。図6Aには、二重(鞍状(saddle))曲率の電池が示されている。
【0051】
例えば図1Aに示すように、電池の薄板状構造が形成された後、1つ以上のプラスチックフィルムバンドを電池の表面に適用することができる。バンドは、好ましくは熱収縮性プラスチック材料製であり、望ましくはポリ塩化ビニルフィルム製である。図5Aに示すように、電池の端子接触領域25および26を除く電池の外側(例えば、図2)を先ず、第1封止剤(後述するような接着封止剤B)の外層120で被覆する。あるいは、電池の外側の選択された部分を、接着封止剤の外層、例えば、電池の縁部、またはエンドプレートの周辺部の周りの狭い境界領域を併せた電池の縁部で被覆する。
【0052】
次いで、第1熱収縮ラップ、即ち、外辺部の収縮性プラスチックフィルムのバンド210を、電池の周縁部の周りに適用する(図5B)。バンド210は、好ましくは、中空の内部212を画定する閉じた主要表面211から形成される。フィルムバンド210が電池の表面上で熱収縮される場合、フィルムバンド210の主要部211は、電池表面上に折り重なって、第1封止剤の外層120に接着する(図5C)。封止剤120の一部分は、端子接触領域25を除く中央部(図5C)で露出したままである。第2封止剤(後述する接着封止剤B)の外層121は、そのような封止剤121が所望により電池の周縁部から省略される場合があることを除いて、外辺部の収縮性プラスチックバンド210の外表面に適用される。次に、第2熱収縮ラップ、すなわち、横方向の収縮性プラスチックフィルムのバンド220(図5D)を、外辺部の収縮プラスチックバンド210と垂直に適用して、外辺部の収縮性プラスチックバンド210では被覆されていない、残りの露出された薄板状表面を被覆する。横方向のフィルムバンド220が電池表面上に熱収縮されると、このフィルムバンドが第2封止剤層121に接触する。これにより、横方向のバンド220は、外辺部のバンド210上に適用された第2封止剤層121と接着する。横方向のバンド220はまた、薄板状表面20’および80’に適用されたが、外辺部の収縮プラスチックバンド210では被覆されていなかった第1封止剤120の露出部分(図5C)にも接着する。横方向のバンド220には、薄板状表面20’上の端子接触領域25を露出させる穴222と、それに対向する薄板状表面80’上の端子接触領域26を露出させるバンド220に対向する面上の同様の穴(図示せず)とが設けられている。例えば、図2に示す特定の実施形態では、端子接触領域25は電池の負端子を提供し、反対側の接触領域26は正端子を提供する。横方向のバンド220のごく一部には、バンド220が外辺部のバンド210上で収縮した後に、バンド220の開口端部のところに小さい穴または窓224が設けられる。その下にある外辺部のバンド210のごく一部が、窓224から露出された状態で示されている(図5E)。
【0053】
好ましくは、電池10の全厚は小さく、例えば約0.5〜6mm、例えば約1.5〜6mm、より典型的には約1.5〜4mmである。
【0054】
電池10(図1)の具体的な構成は、図1Aの切欠図に加えて、図2および図3の縦断面図および横断面図にもそれぞれ示されている。電池10は、初めにアセンブリ30A(図4A)のようなアノードアセンブリを形成し、次いでアセンブリ70A(図4B)のようなカソードアセンブリを形成することを特徴とする。次いで、アノードアセンブリ30Aおよびカソードアセンブリ70Aを、好ましくは接着剤によって互いに結合して、完成した電池を形成する。完成した電池は、好ましくは封止剤でコーティングされ、好ましくは熱収縮性ポリ塩化ビニル製のプラスチックフィルム200で、好ましくは2回包まれる。電池のラベルを形成するために、プラスチックフィルム200に熱が加えられる。他の種類の外側フィルムラップ200、例えば、接着剤コーティングされたプラスチックフィルム類、および熱収縮性ポリオレフィン類、またはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム類も使用可能である。前述したように、外側フィルムラップ200は、好ましくは二重ラップ、即ち、電池の周縁部の周りに適用された第1フィルムバンド210と、第1フィルム210上に横方向に適用された第2ラップ220とを含む。
【0055】
ただし、場合によっては、初めに横方向のフィルムバンドを適用し、2番目に外辺部バンドを適用することが望ましい場合もある。横方向のバンドは、両方の集電体プレート外表面の少なくとも一部を被覆する、フィルム材料の閉じたループを含んでよい。別の方法として、横方向のバンドは、両方の集電体プレート外表面の少なくとも一部を被覆するフィルム材料の折り畳まれた小片を含み、それが電池の厚さ寸法を構成する縁部の一部の上に折り重ねられてもよい。別の方法として、横方向のバンドは、2つの別個のフィルム片を含んでもよく、各々が、各集電体プレート外表面の少なくとも一部を被覆する。
【0056】
接着剤または封止剤は、好ましい位置で様々な構成要素にコーティングまたは適用される。接着剤および封止剤の一般的な種類について説明し、特に好ましいものを指定する。ただし、特定の接着剤および封止剤には代替物が可能であり、したがって本発明は、本明細書に提示したものだけに制限されることを意図するものではないことが理解されよう。本明細書に記載のウェーハ電池10の実施形態を形成する際に使用される接着剤/封止剤には、3つの種類がある。
【0057】
接着剤A:これは、主に、結合される構成要素に保持強度を付与するための構造用接着剤である。接着剤Aにはエポキシ系接着剤を用いるのが好ましい。好ましいエポキシ接着剤は、例えば、取引表記2216として3M社(3M Company)から入手可能な二成分エポキシから成ってよい。更に、3Mから取引表記・非金属充填エポキシ2214(non-metallic filled epoxy 2214)として入手可能な単成分の熱活性型エポキシ、または3Mから取引表記LC−1211として入手可能なUV開始型アクリレート接着剤、または3Mから取引表記AF−111スコッチ−ウェルドフィルム接着剤(AF-111 Scotch-Weld film adhesive)として入手可能なフィルム接着剤であってもよい。
【0058】
接着封止剤B:これは、構成要素を互いに結合させるのに役立ち、そしてまた封止剤の役割も果たす、即ち、アルカリ電解質を密封し、且つその浸透を防ぐ働きをする、粘着性接着剤である。接着封止剤Bは、好ましくは、ビチューメン、タール、またはピッチとしても既知の、アスファルトを含む溶剤系溶液として適用される。石油由来のアスファルトが好ましいが、天然アスファルトまたはコールタールピッチも使用されてよい。好ましい封止剤は、商標名「コライト(Korite)」として供給される、トルエンに溶解された石油アスファルトの50%溶液である。あるいは、接着剤Bは、粘着性ポリアミドを含んでいてもよい。そのような接着剤構成成分は、望ましくは低分子量の熱可塑性ポリアミド樹脂である。ポリアミド樹脂を含む溶剤系溶液の形態での好ましい封止剤Bは、スペシャルティ・ケミカルズ社(Specialty Chemicals Co.)から取引表記スペックシール(Specseal)として販売されている。粘着性ポリアミド樹脂を含む別の好ましい溶媒系溶液は、商標名リアミド−100(REAMID-100)およびバーサミド−100(VERSAMID-100)として入手可能である(ヘンケル社(Henkel Corp.)またはコグニス社(Cognis Corp.)製)。これらの樹脂は、室温でゲルであって、分子量約390の二量体化脂肪酸類であり、また二量体化脂肪酸とジアミンとの反応生成物でもある。より高分子量のポリアミド系接着剤構成成分が使用できるが、低分子量の構成成分は、選択される好ましい溶剤中により容易に溶解するので好ましい。接着剤構成成分は、所望の粘度になるように溶剤に溶解される。イソプロパノールまたはトルエンのような様々な溶剤、並びに溶剤の混合物を使用することができる。好ましくは、取扱時に比較的無害な性質であることから、イソプロパノールが溶剤として使用される。ポリアミドは、水酸化カリウム電解質による化学的侵食に耐えるという更なる利点を有する。ジェットスプレー方法を包含する従来のスプレーコーティング技術を利用して、接着剤を電池構成要素に適用することができる。接着剤は、電池のための、ポリマー構成要素の所望の表面間、金属構成要素の表面間、またはポリマー構成要素の表面と金属構成要素の表面との間に接着シールを提供するように適用することが
できる。
【0059】
接着剤C:この接着剤は、主に、同一または類似のプラスチック材料の、2つのプラスチック構成要素を結合させるために使用される。従って、好ましい接着剤は、結合されるプラスチック材料と同一のポリマーベースも有する。例えば、結合されるプラスチック材料が耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)である場合には、好ましい接着剤もまたポリスチレン樹脂を含有する。そのような接着剤は、適した溶剤に溶解した接着剤樹脂を含む溶剤系溶液の形態で便利に適用することができる。
【0060】
本発明の特定の実施形態について記載する際、特に指示のない限り、接着剤は、上で指定した接着剤A、B、またはCを参照することによって与えられる。
【0061】
好ましいアノードアセンブリ30A(図4A)は、好ましくは有機ポリマー材料(例えば、プラスチック)製のアノードフレーム30を含み、これは当該フレーム30の外壁を形成する外側周縁部33aと内側周縁部37とを有する。内側周縁部37は、中空の内部スペース33bを取り囲む。アノードフレーム30は、好ましくは、耐久性があり、更に可撓性で接着結合可能でもあるプラスチック材料から構成される。フレーム30に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスルホン、またはポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックである。アノードアセンブリ30Aはまた、アノード材料40と、アノード集電体シート20と、セパレータシート50とを含む。故に、アノードフレーム30は、アノード40のためのハウジングの一部を形成し、そしてまた、アノード集電体シート20と電池の正側との間の接触を予防する絶縁封止部材の役割も果たす。所望により、セパレータシートを、カソードアセンブリ70Aの一部として包含してもよく、またはアノードアセンブリとカソードアセンブリとの間に別個の物体として包含してもよい。組立時には、集電体シート20を、フレーム30の裏側に接着結合させてよい(図4A)。そのような実施形態(図4A)では、フレーム30とそれに結合したアノード集電体シート20とが、事実上、アノード材料40用のハウジングを形成する。好ましい集電体シート20は、りん青銅製である。シート20の厚さは、望ましくは約0.076mm(3mil)〜0.254mm(10mil)である。集電体シート20は、好ましくは、フレームの外縁部に隣接する構造用接着剤のバンド20a(前述の接着剤A)とフレームの内縁部に隣接する封止剤材料のバンド20b(前述の接着封止剤B)とからなる段階的シールを用いて、フレーム30の裏側に固定されて封止される。単一の均質な接着剤組成物を段階的なシールの代わりに適用してもよいが、段階的なシールは、機械的により頑丈な構造であって、層間剥離または剥離に対してより高い耐性を有し、および電解質の密封にもより有利である構造を提供することから好ましい。接着剤層の厚さを制御するために、スペーサビーズを構造用接着剤に組み込むことができる。次いで、アノード材料40を、集電体シート20に押し当てて配置されるように、フレーム30内の内部スペース33bに挿入してもよい。フレーム30には、フレームの内縁部を形成する陥凹レッジ(ledge)36を設けてよい。陥凹レッジ36は、好ましくは接着剤37でコーティングされる。接着剤37は、溶剤系接触接着剤、例えば、3M社(3M Company)から取引表記1357−Lで入手可能な接触接着剤、または3Mから取引表記30−NFで入手可能な水性接触接着剤であってよい。レッジ36に適用するのに好ましい溶剤系接着剤は、10重量%の耐衝撃性ポリスチレンと90重量%のトルエンとの溶液を含む。セパレータシート50は、その縁部がレッジ36に接して配置されて、接着剤コーティング37によって該レッジに結合されるように、アノード材料40に被せるように挿入されてよい。あるいは、超音波によって、または熱および圧接技術によって、セパレータシート50の縁部をレッジ36に溶接してもよい。したがって、完成したアノードアセンブリ30は、集電体シート20に押し当てられたアノード材料40を含有し、集電体シート20とセパレータ50の双方がフレーム30の両側に結合した積層構造の形態である。
【0062】
好ましいカソードアセンブリ70A(図4B)は、外側周縁部73aと内側周縁部77を有する、好ましくは有機ポリマー材料、例えば、プラスチック製のカソードフレーム70を含む。内側周縁部77は、中空の内部スペース73bを取り囲む。カソードフレーム70は、好ましくは、耐久性があり、更に可撓性で、および接着結合可能でもあるプラスチック材料から構成される。フレーム70に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリスルホン、またはポリ塩化ビニルプラスチックである。カソードアセンブリ70Aはまた、カソード材料60とカソード集電体シート80とを含む。カソード集電体シート80は、望ましくはニッケルめっき鋼板であり、好ましくは、ニッケルの上を炭素層が覆う、ニッケルめっき鋼である。鋼板は、典型的に、冷延鋼であってよい。他の適したカソード集電体シート80は、米国特許第6,555,266号に開示されているような、ニッケル層をコバルト層が覆い、そしてそのコバルトを炭素塗料層が覆う、ニッケルめっき鋼板であってよい。別の適したカソード集電体は、エッチングされ、炭化されて、炭素塗料コーティングでコーティングされた、純ニッケルシートである。ニッケルシートは、望ましくは約0.076mm(3mil)〜0.254mm(10mil)の厚さを有してよい。ニッケルシート上の炭素コーティングは、例えば、米国特許第6,555,266号に記載されているような、溶剤系コーティング法によって適用されてよい。ニッケルシートは、このシートを高温で動作している炉に通過させることによって炭化されてよく、この場合、炭素は、揮発した炭素前駆体からニッケル表面上に蒸着する。ニッケル表面上に炭素を蒸着させて炭化ニッケル表面を形成する後者の技術については、米国特許第2,051,828号(ウィリアム・F・デスター(William F. Dester)、1936年8月25日)に記載されている。アルカリ電池における炭化ニッケル集電体の使用については、米国特許第3,713,896号(ラルフ・H・フェルダケ(Ralph H. Feldhake)、1970年8月19日)に記載されている。
【0063】
組立時には、集電体シート80をフレーム70の裏側に接着結合させてよい(図4B)。そのような実施形態(図4B)では、フレーム70とそれに結合したカソード集電体シート80とが、事実上、カソード材料60用のハウジングを形成する。集電体シート80は、フレームの外縁部に隣接する構造用接着剤のバンド70a(前述の接着剤A)と、フレームの内縁部に隣接する封止剤材料のバンド70b(前述の接着剤封止剤B)とから成る段階的シールを好ましくは用いて、フレーム70の裏側の縁部73aに結合されてよい。単一の均一な接着剤組成物を段階的なシールの代わりに適用してもよいが、段階的なシールは、機械的により頑丈な構造であって、層間剥離または剥離に対してより高い耐性を有し、また電解質の密封にもより有利である構造を提供することから好ましい。次いで、カソード材料60を、集電体シート80に押し当てて配置されるように、フレーム70内の内部スペース73bに挿入することができる。したがって、完成したカソードアセンブリ70aは、集電体シート20に押し当てられたカソード材料60を含有するが、カソード材料60の一部が露出した、積層構造の形態である。
【0064】
次いで、アノードアセンブリ30Aをカソードアセンブリ70Aに接着固定して、アノード材料40とカソード材料60とが互いに向き合い、且つそれらの間にセパレータ50を有する、単一積層電池構造10を形成してもよい(図1A)。アノードアセンブリ30Aおよびカソードアセンブリ70Aは、接着剤をアノードフレーム30の露出した表側に適用することにより、互いに都合よく結合される(図4A)。アノードフレーム30(外縁部33aと内縁部37との間)の幅は、典型的に、接着剤が適用されるのに十分な空間を許容する約3.18mm(1/8インチ)〜6.35mm(1/4インチ)であってよい。接着剤32は、望ましくは、フレーム30のプラスチック材料と同じ部類に由来する接着剤樹脂を含有する。故に、フレーム30が耐衝撃性ポリスチレン製の場合、好ましい接着剤32は、耐衝撃性ポリスチレンのトルエン溶液である。あるいは、フレームがABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPVC(ポリ塩化ビニル)から作製される場合、これらのプラスチックポリマーのトルエン溶液または他の溶剤溶液を使用してよい。接着剤32をアノードフレーム30の表側に適用した後、アノードフレーム30をカソードフレーム70上に押圧し、それによってアノードアセンブリ30Aをカソードアセンブリ70aに接着結合させて、図1〜3に示された完成された電池10を形成する結合された積層構造を形成する。
【0065】
別の方法としては、アノードフレームとカソードフレームは、超音波溶接、溶剤溶接、または熱および圧接などの別の技術によって結合されてもよい。これらは、単体で、または互いに組み合わせて利用されてよい。特に望ましい方法は、接着封止剤の連続ストリップを適用し、次いで2つのフレームを超音波溶接によって結合することを含む。この方法には、電解質の漏れ(接着封止剤の連続ストリップに起因する)に対する極めて緊密な閉鎖のみならず、機械的に強い結合(超音波溶接に起因する)をももたらすという利点があり、これによって、構造用接着剤を硬化するために余分な時間を必要とせずに、迅速に形成することができる。この実施形態では、超音波溶接は、接着封止剤のストリップが占有しない領域で行われる。
【0066】
図1A、図2、および図3に最もよく示されている完成した電池10は、堅く、頑丈で、且つ小型である。結合された積層電池構成は、電池内容物をその中に保持する、緊密に封止された電池をもたらす。図2および図3に示すように、電池は、1層または2層の封止剤でコーティングされ、1層または2層のプラスチックフィルム、好ましくはポリ塩化ビニルの熱収縮性フィルムで包まれてよい。フィルムに熱が加えられると、該フィルムは、電池の境界表面の周りで収縮してラベルを形成する。
【0067】
本発明の一態様は、電池内部から電解質が外部脱出点に到達するまでに通る長い漏れ経路が設けられるように、電池を設計することである。(これは、様々な電池構成要素に前述の接着剤および接着封止剤を与えることでもある。)
【0068】
従って、本発明のウェーハ電池10は、フレーム30および70がフレーム縁部の幅(例えば、図4Aに示す縁部33aと37の間、または図4Bに示す縁部73aと77の間)を有するように、あるいはその他の実施形態では、好ましくは少なくとも電池の全厚と同じ大きさのフレーム30または70を示す類似物によって設計される。これは、例えば図2に示すように、電解質が電池内部からフレームの外側端部まで通る、比較的長い第1漏れブロック経路「経路A」をもたらす。次いで、外側の熱収縮性フィルムラップ200(図5A〜5Eに示すように二重のフィルムラップ210および220を含んでもよい)が、第2漏れブロック経路「経路B」をもたらす。ブロック経路Bは、フレーム(例えば、フレーム30)の外側周縁部から距離「B」(図2)のところにある導電性エンドプレート(例えば、エンドプレート20)上に配置された露出端子接点(例えば、端子接点25)からの距離として定義され、それは、少なくともフレーム幅と同じ長さの距離、即ち、電池厚にほぼ等しいかまたはそれより大きい距離である。この状況では、電解質漏れブロック経路全体A+B(図2)は、好ましくは電池厚の少なくとも2倍である。
【0069】
本発明の電池10に好ましい放電速度は、例えば、約15〜45ミリワット/cm(13.5〜40.5ミリアンペア/cm)ほどの大きさであってよい。(平方センチメートル面積は、アノード/カソード境界面での面積に基づく。)全体寸法が幅4cm×長さ8cm×厚さ3mmの典型的なウェーハ電池10は、約1〜1,000ミリアンペア、好ましくは約10ミリアンペア〜100ミリアンペアの電流消費率に対応し得る。
【0070】
電池10は、図4Aおよび4Bに示す実施形態に従って作製した。図4Aおよび図4Bに示したアノードアセンブリおよびカソードアセンブリを使用する特定の構成では、電池は、全厚2.8mm、幅38.1mm(1.5インチ)、および長さ38.1mm(1.5インチ)であった。電池を、約0.6ボルトのカットオフ電圧まで77.5〜0.775ミリワット/cmの様々な一定の割合で放電させた(面積は、アノードとカソードとの間の境界面積に基づく)。約0.6ボルトのカットオフまでの放電サイクルの間、平均負荷電圧は、約1.1ボルトであった。したがって、前記ワット密度範囲は、電流消費密度約70.5〜0.705ミリアンペア/cmとなる。この放電範囲では、電池は、元の厚さの最大約10%の厚さまで膨らんだ。電池は、破裂せず、電解質の漏れもなかった。電子デバイスの電池キャビティの内部で電池が緊密に膨張しすぎないようにするために、公称10%の電池膨張を許容するように、かかるキャビティを電池よりも十分に大きく設計すること、または電池厚をキャビティ開口部よりも十分に小さくなるように設計することが推奨される。
【0071】
非限定例として、設置面積サイズ38.1mm×76.2mm(1.5インチ×3.0インチ)の薄いウェーハ電池10(厚さ4mm)の場合、典型的な操作電流消費は、約1ミリアンペア〜約2,000ミリアンペア、典型的には約10〜250ミリアンペア、より典型的には約10〜100ミリアンペアであり得る。一般に、本発明の電池10のサイズをより大きくすれば(厚さではなく、それらのアノード/カソード境界面積に関して)、ますます高くなる電流消費需要において該電池が良好な性能を示すことができることが理解されよう。
【0072】
特定のタイプの亜鉛粉末合金、亜鉛粒径、および特定のタイプのアノード集電体の場合、アノードは、水素ガスがカソードへ拡散してカソード材料によって酸化されて水を形成できるよりも速く、水素ガスを生成する場合がある。したがって、何らかの形態のガス管理システムが必要な場合がある。具体的には、蓄積した水素ガスを排気するためのシステムが必要な場合がある。これは、例えば、米国特許第4,105,831号(ポラロイド社(Polaroid Corporation))によって開示されているのと同様に、その長さ全体にわたって配置された多孔質インサートを有するガス透過性ポリマーのチューブの形態をとることができ、当該チューブは、アノードキャビティを横切り、プラスチックフレームの外縁部を越えたところで終端する。
【0073】
封止金属を含むウェーハ電池の実施形態
アノード集電体シート20とプラスチックアノードフレーム30との間の境界面における封止特性は、アノード集電体シートの接面を封止金属の薄層で予めコーティングしてから、接着剤を適用してアノード集電体シート20をプラスチックフレーム30に結合させることにより改善することができる。故に、アノード集電体表面を直接接触させる代わりに、前述の段階的接着剤20aおよび20bのような接着剤が、アノード集電体シート20上に予めコーティングされた封止金属300(図7A)と接触することになる。これにより、封止特性、特に、アノード集電体シートとプラスチックアノードフレームとの間の境界面における接着シールの長期的な強度および均一性が改善されることが解明されている。別の方法として、アノード集電体シート20は、接着剤が封止金属300とプラスチックフレーム20との間に配置されてこれら2つを互いに結合させるように、それ自体が封止金属300から形成されてもよい。
【0074】
前述したウェーハ電池の実施形態は電池の保管時と通常使用時のいずれにおいても電池に十分な封止をもたらすが、本明細書ではシールの更なる改善が提示される。主として、アノードアセンブリ、例えばアノードアセンブリ30A(図4A)を含む封止構成要素に関する改善について説明する。ただし、そのような改善は、カソードアセンブリ、例えばカソードアセンブリ70A(図4B)を含む封止構成要素にも同様に適用可能であることが理解されよう。
【0075】
前述のように1以上の接着剤、例えば段階的接着シール20aおよび20b(図4A)を用いて、アノード集電体シート20をフレーム縁部30に結合させてもよい。例えば、アノードフレーム30の外縁部33aに隣接する構造用接着剤のバンド20a(前述の接着剤A)と前記フレームの内縁部37に隣接する封止剤材料のバンド20b(前述の接着封止剤B)は、図4Aに示すように適用されてもよい。単一の均質な接着剤組成物が段階的接着シールの代わりに適用されてもよいが、前記段階的シールは、機械的により頑丈な構造であって、層間剥離または剥離に対してより高い耐性を有する構造を提供することから好ましい。このことによって、アノード集電体シート20とプラスチックアノードフレーム30との間の境界面で層間剥離するあらゆる傾向が回避される。
【0076】
アノード集電体シート20とプラスチックアノードフレーム30との間の境界面における封止特性は、アノード集電体20の内表面を封止金属300の薄層(図7A)で予めコーティングしてから接着剤20aおよび20bのような接着剤をアノード集電体に適用することにより、改善可能であることが解明されている。故に、アノード集電体20表面を直接接触させる代わりに、接着剤20aおよび20bのような接着剤は、アノード集電体20上に予めコーティングされた封止金属300と接触する。このことは、封止特性、特に、アノード集電体20とプラスチックアノードフレーム30との間の境界面における接着シールの長期的な強度および結合均一性を改善することが確認されている。
【0077】
一例として、アノード集電体シート20が前述に列挙したような銅、黄銅、青銅、ニッケル、またはスズ製の場合、マグネシウム、チタン、またはジルコニウムは、プラスチックアノードフレーム30をアノード集電体シート20に結合させる接着剤、例えば段階的接着剤20aおよび20bと接触するアノード集電体表面の前記部分の上に予めコーティングされるべき好ましい封止金属である。(マグネシウムまたはチタンは、ニッケルまたは青銅製の集電体シートに特に好ましい封止金属であることが確認されている。)故に、接着剤は、均質な接着剤かまたは段階的接着剤のどちらを用いてプラスチックアノードフレームをアノード集電体シートに結合させるかに関わらず、前記接着剤は、集電体シートの接面(通常、内表面)上に予めコーティングされたマグネシウム、チタン、またはジルコニウム封止金属と直接接触することになる。封止金属コーティングと接着剤との間のそのような境界面は、長期(例えば、複数年)にわたっての劣化に耐えると思われ、従って、アノード集電体シートが封止金属で予めコーティングされない場合に比べて、アルカリウェーハ電池のプラスチックアノードフレームとアノード集電体シートとの間の結合をより良好に維持する。
【0078】
マグネシウム、チタン、またはジルコニウムは、本発明のアルカリウェーハ電池10との関連で使用するのに好ましい封止金属300であるが、接着剤がプラスチックアノードフレームをアノード集電体に結合させるためにアノード集電体表面に適用される前に、他の金属をアノード集電体表面上のプレコートとして同様の方法で使用することもできる。そのような封止金属の列挙としては、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、およびランタン(La)、並びにランタニド系列元素類(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)が挙げられる。これらの元素のうち、利用可能性、機能、およびコストの総合的因子を考慮すれば、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびイットリウム(Y)が好ましい。
【0079】
封止金属は、約0.10〜50.0ミクロンの、通常は約1〜5ミクロンの、例えば約3ミクロンの均一な厚さでアノード集電体シート20の内表面に適用されてもよい。別の方法として、アノード集電体シート20自体が封止金属から形成されてもよい。そのような場合、アノード集電体シートの厚さは、典型的に、約0.076mm(3mil)〜0.254mm(10mil)であってよい。
【0080】
好ましい封止金属300は、それらの純元素形態であるが、封止金属の合金、例えば、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、およびイットリウム(Y)の合金も使用可能であるので、封止金属を純金属だけに制限しようとすることを意図しない。そのような場合、純粋な封止金属、例えばマグネシウム、若しくはジルコニウム、またはこれらの組み合わせを合金の主構成成分として有することが好ましい。しかしながら、純粋な封止金属が合金の微量構成成分であれば、更に利益を得ることができる。
【0081】
従来技術を用いて、アノード集電体シート20またはカソード集電体シート80の表面を封止金属でコーティングすることができる。そのような従来技術としては、例えば、回転式被覆法(回転被覆積層法)、真空蒸着、スパッタリング、イオンめっき、プラズマ蒸着、ジェット補助されたプラズマ蒸着、焼結、低温金属溶射、爆裂銃溶射、高速酸素燃料溶射、電気めっき(非水性電解質から)、または溶融めっき(hot dipping)(アノード集電シートを溶融封止金属槽に浸漬すること)が挙げられる。
【0082】
アノード集電体シート20上に封止金属300をコーティングすることは、集電体シート20がそのようにコーティングされない場合に比べて、アルカリ性環境での集電体シート(collector sheet)20とプラスチックフレーム30との間の接着結合をより良好に維持することが確認されている。このことは、そのような封止金属コーティングにより形成される自然の金属酸化物被膜が、実質的にアルカリ電解質に不溶性であるという事実に少なくとも部分的に起因すると考えられている。従って、そのような自然の酸化物を化学的に伴う接着結合は、アルカリ性環境に曝された場合でも劣化に耐える。別の方法として、アノード集電体シート20自体が、封止金属またはこれらの合金から形成されてもよい。加えて、上記で列挙した封止金属類は、それらの酸化物および水酸化物が、亜鉛などのアノード活物質の存在下で還元されないという特性を有する。そのような特性はまた、アノード集電体シート20とプラスチックフレーム30(図4Aおよび7B)の間の境界面結合の強度および均一性を保持するのにも役立つ。
【0083】
アノード集電体シート20の内表面上で封止金属コーティング300を用いるアノードアセンブリ30A(図4A)の様々な実施形態を図7A〜7Gに示す。多数の様々な封止金属コーティングを使用してよいが、最も望ましいのは、マグネシウム、チタン、またはジルコニウム金属のコーティングであると確認されている。封止金属コーティング300は、望ましくはその純元素形態で、例えばアノード集電体20の内表面上にマグネシウム、チタン、またはジルコニウム金属の薄いコーティングで適用されるが、封止金属はまた、合金の形態、望ましくはマグネシウムの合金、チタンの合金、またはジルコニウムの合金の形態であってもよい。アノード集電体20の内表面全体を封止金属でコーティングする必要はない。しかしながら、封止金属300を使用する場合には、1以上の接着剤封止剤、例えば段階的封止剤20aおよび20bを、図7Aに示すように適用されるべきであるアノード集電体20の接面の少なくとも一部分の上に予めコーティングすべきである。従って、封止金属コーティングは、典型的に、プラスチックフレーム30とは正反対の方向にある、アノード集電体20の接面の一部を覆うように周囲方向に適用される。フレーム30に面するアノード集電体20のこれらの領域は、プラスチックフレーム30のいかなる部分とも対向しておらず、封止金属300でコーティングする必要もない。アノード集電体20の表面が電池の内部に向いている好ましいフレーム配置の場合(例えば、図8A)、フレームのいかなる部分とも対向していないが、アノード活物質40と対向する表面部分には、封止金属300でコーティングする必要がない。
【0084】
アノード集電体20がフレーム30の外側と直面する別の望ましい配置の場合(例えば、図9A)、フレーム30のいかなる部分とも対向していないが、電池内部に曝露される集電体20の接面部分には、封止金属300でコーティングする必要がない。そのようなフレーム配置は、フレームスカート33c(例えば、図9Aに示すようなもの)と隣接する集電体シート20を有し、そしてこの配置では、アノードのエンドプレートは、通常、このスカートと対向する前記接面部分に封止金属でコーティングされる。
【0085】
いかなるスカート領域も含まないアノードフレーム30(フレームの境界)は、典型的に、接着剤が適用される十分な空間を許容する幅が約3.18mm(1/8インチ)〜6.35mm(1/4インチ)であってよい。アノード集電体20の接面上での封止金属300の使用は、フレーム30の幅が小さくなるにつれて、即ち、3.18mm(1/8インチ)に近づくかまたはそれよりも小さくなるにつれて、アノードアセンブリ30Aの封止特性を増強する特定の有用性を示す。
【0086】
図7A〜7Gは、本発明の封止金属300の使用を組み込んだアノードアセンブリ30Aの様々な実施形態の例である。
【0087】
図7Aは、段階的接着剤封止剤20aおよび20bに面するアノード集電体20の一部が封止金属300で予めコーティングされることを除いて、図4Aに示されたものと類似するアノードアセンブリ30Aの実施形態を示す。この実施形態に好ましい封止金属300は、元素マグネシウム、チタン、またはジルコニウムを含む。段階的接着剤封止剤20aおよび20bの全幅と正反対の集電体の前記内表面の一部に正確に沿って、封止金属コーティング300をアノード集電体20の接面に周囲方向に適用することが好ましい。この方法では、そのように所望された場合、封止金属表面のアノード材料40への直接曝露が回避できる。マグネシウムのコーティングは、亜鉛を含むアノード40への直接曝露は可能であるが、ジルコニウムのコーティングをそのような亜鉛アノード40へ直接曝露することは、状況によっては電池のガス発生(cell gassing)の一因となる場合があるため、避けるべきである。
【0088】
元素マグネシウム、チタン、またはジルコニウムなどの封止金属コーティング300(図7A)は、アノード集電体20の接面に、回転式被覆法または真空金属被覆法などの従来技術によって適用されてよい。一方、封止金属300をアノード集電体20に適用する他の従来の方法も使用可能である。例えば、封止金属は、スパッタリング、イオンめっき、プラズマ蒸着、ジェット補助されたプラズマ蒸着、焼結、低温金属溶射、爆裂銃溶射、高速酸素燃料溶射、(非水性電解質からの)電気めっきといった技術を用いて、または溶融めっき(アノード集電体を溶融封止金属槽に浸漬すること)により適用されてよい。好ましくは、元素マグネシウム、チタン、またはジルコニウムの封止金属300は、好ましくは約0.10〜50ミクロンの、例えば約3ミクロンの均一な厚さでアノード集電体20の内表面に適用されてよい。元素マグネシウム、チタン、またはジルコニウムが好ましいが、封止金属300は、好ましくはマグネシウム、チタン、もしくはジルコニウム(または2つもしくは3つを合わせたもの)が合金の大部分の構成成分を構成する、マグネシウム、チタン、またはジルコニウムの合金であってもよい。
【0089】
図7Aに示す好ましい集電体シート20は、銅製である。しかしながら、アノード集電体20はまた、望ましくは黄銅または青銅製であってもよい。集電体シート20の厚さは、望ましくは約0.076mm(3mil)〜0.254mm(10mil)である。単一の接着剤が使用されてもよいが、段階的接着剤20aおよび20bをアノードフレーム30の上側に適用することが好ましい。段階的接着剤は、フレームの外縁部に隣接する構造用接着剤のバンド20a(前述の接着剤A)と、フレームの内縁部に隣接する封止剤材料のバンド20b(前述の接着封止剤B)とを含む。段階的なシールの代わりに、単一の均質な接着剤組成物を適用してもよいが、段階的なシールは、機械的により頑丈な構造であって、層間剥離または剥離に対してより高い耐性を有し、そしてそのために電解質の密封にもより有利である構造を提供することから好ましい。次いで、接着剤でコーティングされたフレームが、アノード集電体300と段階的接着剤20および20bとの間の境界面を形成する封止金属300と接触するように、アノード集電体の縁部に適用される。フレーム30に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスルホン、またはポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックである。図7Aに示すセパレータ50は、アルカリ電池セパレータに従来使用される材料製であってよい。セパレータ50は、例えば、セロファンフィルムに積層されたポリビニルアルコール繊維の不織布シートから構成されてよい。
【0090】
図7Bは、銅の集電体20が同一または類似の厚さのマグネシウム、チタン、またはジルコニウム薄板の集電体で完全に置き換えられているアノードアセンブリ30Aの実施形態を示す。即ち、集電体20の厚さは、望ましくは約0.076mm(3mil)〜0.254mm(10mil)である。マグネシウム、チタン、またはジルコニウム集電体シート20を使用することによって、銅の集電体の内表面のいずれかの部分をマグネシウム、チタン、またはジルコニウムなどの封止金属で別個にコーティングする必要性が回避される。この実施形態(図7B)では、ジルコニウム金属および少ない程度にせよチタン金属と、亜鉛アノード40との接触が、電池保管中または通常の作動時に電池のガス発生を増加させる可能性があることから、マグネシウムのアノード集電体20の使用が好ましい。しかしながら、接着封止剤20aおよび20bとマグネシウム、チタン、またはジルコニウムの境界面は、複数年に及ぶ長期間の電池の保管および使用にわたって、集電体20とプラスチックフレーム30との間に優れた結合を保証する。好ましい段階的接着剤20aおよび20bを包含する残りの構成要素は、図7Aの実施形態を参照して記載したものと同一である。
【0091】
図7Cは、銅薄板20の内表面全体の下にマグネシウムの封止金属コーティング300を有する銅製の集電体20を備えたアノードアセンブリ30Aの実施形態を示す。マグネシウムのコーティング300は、銅板20の下で、通常約0.10〜50ミクロン、例えば約3ミクロンの厚さを有してよい。薄板20と300の合計厚さは、約0.076mm(3mil)〜0.254mm(10mil)である。アノードフレーム30に適用される好ましい段階的接着剤20aおよび20bを包含する残りの構成要素は、図7Aの実施形態を参照して記載されたものと同一である。
【0092】
図7Dは、周縁部に隣接する銅板20の接面上にジルコニウム金属の薄層で周囲方向にコーティングされた銅製の集電体20を備えたアノードアセンブリ30Aの実施形態を示す(shows and embodiment)。ジルコニウム層は、接着剤20aと20bの合計幅、即ち、ほぼアノードフレーム30の幅に相当する幅の銅のアノード集電体シート20の接面に、厚さ約3ミクロンで適用される。アノードフレーム(フレーム境界)30の幅、およびその結果としてジルコニウム封止金属300の幅は、典型的に、約3.18mm(1/8インチ)〜6.35mm(1/4インチ)であってよい。この実施形態は、ジルコニウム接触表面に段階的接着剤20aおよび20bを提供するという利点を有するが、それでもジルコニウムを亜鉛アノード材料40に直接曝さない。前述のように、そのような直接接触が電池のガス発生の一因と成る可能性があることから、ジルコニウム封止金属と亜鉛アノード材料40との間の直接接触を回避することが好ましい。アノードフレーム30に適用された好ましい段階的接着剤20aおよび20bを包含する残りの構成要素は、図7Aの実施形態を参照して記載されたものと同一である。
【0093】
図7Eは、ジルコニウム金属の集電体20を備えたアノードアセンブリ30Aの実施形態を示す。ジルコニウム金属集電体20は、プラスチックフレーム30と集電体シート20とを互いに結合する場合に、段階的接着剤20aおよび20bと直接接触する。即ち、ジルコニウム製の集電体シート20自体が、接着剤20aおよび20bに対する封止金属の役割を果たす。しかしながら、ジルコニウム集電体20の内表面の中央部分は、銅の薄い層28でコーティングまたはめっきされ、そのため亜鉛アノード40が、電池のガス発生の可能性を低減するためにジルコニウムではなく前記銅の層28に直接曝される。この実施形態では、ジルコニウム集電体20は、望ましくは約0.076mm(3mil)〜0.254mm(10mil)の厚さを有してよく、そしてその下にある銅の層28は、典型的に、約0.5〜5ミクロン、例えば約3ミクロンの厚さを有してよい。前述のように、アノードフレーム縁部30の幅、およびその結果として接着剤20aおよび20bとの合計接触領域は、典型的に、約3.18mm(1/8インチ)〜6.35mm(1/4インチ)であってよい。アノードフレーム30に適用される好ましい段階的接着剤20aおよび20bを包含する残りの構成要素は、図7Aの実施形態を参照して記載されたものと同一である。
【0094】
図7Fおよび図7Gは、アノード集電体20が、マグネシウム封止金属の薄い層300から形成される場合の実施形態を示す。マグネシウムの層は、従来の真空金属被覆技術により、ポリマーフィルム250、好ましくはポリイミドもしくはポリスルホンフィルム上にコーティングされて、マグネシウム/ポリマーフィルム積層体を形成してもよい。図7Fおよび7Gに示されるように、段階的接着剤20aおよび20bによってプラスチックフレーム30がマグネシウム層20に結合される。ポリマーフィルム250は、その下にあるマグネシウム層に保護コーティングを提供する。マグネシウム層20は、典型的に約0.005mm(0.2mil)〜0.05mm(2.0mil)の厚さを有してよく、ポリマーフィルム250は、望ましくは約0.013mm(0.50mil)〜0.13(5.0mil)の厚さを有してよい。アノード端子接点(負端子)を提供するために、マグネシウム/ポリマーフィルム積層体のタブ部分310は、電池縁部から延びてそれ自体の上に捲り上げてもよく、それ故に、図7Fに示されるようにマグネシウム層300の一部分を露出する。タブ310内のマグネシウム層300の露出部分(図7F)は、電池の負端子の役割を果たすことができる。
【0095】
別の方法として、ポリマー層250とマグネシウム層300の一部分は、図7Gに示すように、電池縁部から突き出させて負端子接点タブ310を形成してもよい。図7Fおよび7Gに示す実施形態は、アノード集電体20を封止金属で更にコーティングする必要なく、アノード集電体20と段階的接着剤20aおよび20bとの間に直接的接触をもたらすという利点を有する。即ち、集電体20自体が、封止金属300、即ちマグネシウムから形成される。図7Fに示す実施形態はまた、研磨材または酸性流体などの厳しい外部要素との直接的接触からマグネシウム封止金属300を保護するための保護フィルム層を提供し、尖った器具による穿刺などの機械的誤用から薄いマグネシウム層を保護する。アノードフレーム30に適用される好ましい段階的接着剤20aおよび20bを包含する残りの構成要素は、図7Aの実施形態を参照して記載されたものと同一である。
【0096】
アノード集電体20が、少なくとも1つのポリマーフィルム層と、その上にある少なくとも1つの多層金属シートとを含むフィルム積層体から形成される他の実施形態も実行可能である。多層金属シートは、実質的に非封止金属から成る金属基膜と、その上にある、実質的に該金属基膜の少なくとも一部を被覆する封止金属から成るコーティングとを含んでよい。
【0097】
上の実施形態は、積層構造を有する扁平なアルカリ電池の封止構造、すなわち、非圧着シールおよび扁平な負の集電体における封止金属の使用に関して記載した。しかしながら、ロッド、シリンダまたはカップ形のアノード(負)集電体を使用する従来のアルカリ電池構造は、封止の一体性を改善するために封止金属を都合良く使用する場合もあることが分かる。そのような構造では、封止金属は、絶縁封止部材(例えば、プラスチック絶縁グロメットまたは封止ワッシャ)と反対の位置にある負の集電体の表面上に位置し、それらの間には様々な封止剤または接着剤が配置される。所望により、圧着力がシールアセンブリ内で負の集電体と絶縁グロメットとの間に適用される、そのような従来のアルカリ電池構造、例えば円筒形またはボタン電池では、接着剤または封止剤は、完全に省かれてもよい。この場合、負の集電体は、望ましくは封止金属で予めコーティングされていてもよく、またはそれ自体封止金属から構成されてもよい。集電体の表面上の封止金属の自然の酸化物または水酸化物被膜の不溶性および非還元性は、補足的な封止剤−接着剤の適用がない場合でも封止の一体性を改善する。
【0098】
故に、アノード(負)集電体を、絶縁シール部材の一部(負のパススルー部分)に、それらの間に封止金属を用いることによって誘導され結合する際の改善点は、一般には構成に関わらず、アルカリ電池に適用することを意図している。(図4Aに記載される実施形態では、ハウジングアノード40に加えて、フレーム30も、アノード集電体シート20と電池のカソード60または電池の正側との間の接触を妨げる絶縁封止部材の役割を果たす。)
【0099】
例えば、代表的な米国特許第4,740,435号に示されている円筒形のアルカリ電池内の絶縁シール部材12(プラスチックの最上部)を貫通する、延長されたアノード集電体のくぎ15の一部分は、前記集電体のくぎ15が、アスファルト封止剤17(または同等物)で絶縁封止部材12に結合される前に、本発明の封止金属で予めコーティングまたは被覆することができる。例えば、米国特許公開第2002−0192545号に示す亜鉛/空気ボタン電池では、絶縁シール部材172と隣接するアノードケーシング側壁163(アノード集電体)の内表面および外表面の一部は、アノードケーシング163を前記絶縁封止部材に結合する前に、本発明の封止金属で予めコーティングすることができる。本発明に記載されるような目的に好ましい封止金属は、マグネシウム、ジルコニウム、およびチタンであるが、封止金属はまた、上で定義されたリストから選択することも可能である。
【0100】
アノード集電体の前記部分(負の貫通接続部分)を、前述で定義された封止金属、特に、マグネシウム、ジルコニウム、またはチタンで予めコーティングすることにより、アノード集電体と絶縁部材との間の接着結合は、アノード集電体の前記部分が、そのように封止金属で予めコーティングされない場合に比べて、より耐アルカリ性に優れ、また一般に、経時的により良好に劣化に耐える。別の方法として、絶縁部材に結合される全体または部分としてのアノード集電体自体が、封止金属から形成されてもよい。このようにして、アノード集電体と絶縁部材との間の接着シールが改善されて、それらからの電解質漏れの可能性が軽減される。
【0101】
電池の外側の負端子の電気接触品質を改善するために、負接触端子またはその一部を被覆若しくは構成する封止金属表面の部分を、銅またはニッケルなどの優れた接触特性を有する別の金属でめっきまたはコーティングしてもよい。
【0102】
負の活物質と直接接触するかまたは電池内部の電池電解質(例えば、亜鉛およびKOH電解質)に直接曝される可能性のある封止金属表面のいずれかの部分からのガス発生率を低減するために、封止金属表面の前記部分またはそのいずれか一部を、ある状況のもとでは封止金属自体よりも低いガス発生特性を有し得る別の金属でコーティングしてもよい。例えば、そのような他の金属は、銅、スズ、インジウム、亜鉛、またはこれらの合金であってよい。
【0103】
封止金属、例えばマグネシウム、チタン、もしくはジルコニウム、または前述の指定された封止金属のいずれかが、アルカリ電解質に不溶性であり、および亜鉛アノード活物質によって還元されない、酸化物または水酸化物以外の、同一の封止金属を含有する化合物でコーティングすることができる、本発明の他の実施形態も可能である。例えば、アノード集電体シート20の形態で使用されるかまたは銅もしくは黄銅などのアノード集電体シート上のコーティングとして使用される、マグネシウムなどの封止金属は、それ自体を、保護層でコーティングすることが可能である。そのような保護層は、光学部品をオーバーコーティングするために使用されるもののような、真空蒸着技術により適用されるフッ化マグネシウム(MgF)被膜であってよい。別の方法として、HFまたはNHFなどのフッ素含有試薬で処理することによって、MgF被膜を化成コーティングとしてMg金属表面に成長させることもできる。特定の封止金属のその他の不溶性塩が、例えば炭酸塩のように、表面被膜を含んでもよい。
【0104】
図8〜8Cは、ベースパネル33cで画定される部分的に閉じた端部と、それに対向するフレームの底縁部36で確定される開口端部と、これらの間にある、フレーム周縁部33aで画定される側壁とを有するアノードフレーム30を示している。図8〜8Cに示す実施形態では、電池10は、アノードアセンブリ30Aの内部に封止金属300を用いるが、封止金属300は、アノード材料40から離れて面するアノード集電体シート20の側部に配置される。すなわち、そのような実施形態では、図8および8Aに示されるような封止金属300は、アノード集電体シート20の上に配置されるため、アノード材料40のいかなる部分とも接触しない。例えば、図8および8Aに示すように、アノード集電体シート20は、アノード材料40と直接接触する。これは、封止金属300の少なくとも一部がアノード材料40と接触する図7A〜7Gに示す実施形態とは対照的である。好ましい封止金属300はチタンであるが、ジルコニウムまたはマグネシウムも極めて望ましい。しかしながら、ハフニウム(Hf)およびイットリウム(Y)などの他の金属類、並びに前記「課題を解決するための手段」に特に列挙したいずれかの残りの封止金属もまた、封止金属300として利用可能であるので、封止金属をこれらの好ましい金属類に限定することを意図しない。
【0105】
従来技術を利用して、アノード集電体シート20の表面を封止金属300でコーティングするか、または前記表面に封止金属300を積層することができる。そのような従来技術としては、例えば、回転式被覆法(回転被覆積層法)、真空蒸着、スパッタリング、イオンめっき、プラズマ蒸着、ジェット補助されたプラズマ蒸着、焼結、低温金属溶射、爆裂銃溶射、高速酸素燃料溶射、(非水性電解質からの)電気めっき、または溶融めっき(hot dipping)(アノード集電シートを溶融封止金属槽に浸漬すること)が挙げられる。
【0106】
図8および8Aに最も良く示されるのと同じ実施形態では、アノードフレーム30は、延長されたベースパネル(スカート)33cを有し、それは、その下にある封止金属300の層および集電体シート20の実質的な部分を覆っている。好ましくは、アノードフレーム30のベースパネル(スカート)33cは、フレーム30の一体型部分であって、フレーム周縁部33aから、電池の負端子が位置するアノード40のより中央の領域にまで延びる。典型的に、約2.5×2.5cm(1×1インチ)寸法の電池では、アノードフレーム30のベースパネル33cは、電池の積層体上面20’(図1)の(of the of the)少なくとも約50%、好ましくは約75%〜95%を形成する。逆にいえば、2.5×2.5cm(1×1インチ)電池におけるベースパネル33C内の穴33bは、好ましくは、当該穴がそれを貫通して形成される前にベースパネル33c上で利用可能な表面積の約5%〜25%を占める。約10.2×10.2cm(4×4インチ)寸法の電池の場合、アノードフレーム30のベースパネル33cは、電池の積層体上面20’の少なくとも約20%、好ましくは約50%〜99.5%を形成する。逆にいえば、10.2×10.2cm(4×4インチ)電池のベースパネル33c内の穴33bは、好ましくは、当該穴がそれを貫通して形成される前にベースパネル33c上で利用可能な表面積の約0.5%〜50%を占める。20.3×20.3cm(8×8インチ)寸法の電池の場合、アノードフレーム30のベースパネル33cは、電池の積層体上面20’の少なくとも約10%、好ましくは約15%〜99.9%を形成する。逆にいえば、20.3×20.3cm(8×8インチ)電池のベースパネル33c内の穴33bは、好ましくは、前記穴がそれを貫通して形成される前にベースパネル33c上で利用可能な表面積の約0.1%〜85%を占める。
【0107】
図8および図8Aから分かり得るように、望ましくは、フレーム30のベースパネル33cには開口部33bがある。開口部33bは境界30aで画定される。開口部33bは、フレームベースパネル33cを完全に貫通する。封止金属コーティング300にはまた、境界305aを有する空白領域305もあり得る。空白領域305は、フレームベースパネル33cの開口部33bの下にある。空白領域305では、封止金属の一部分が完全に除去されており、それ故に、その下にあるアノード集電体シート20が露出する。典型的に、アノードフレームベースパネル33c内の開口部33bは、その下にある封止金属コーティング300内の空白領域305よりも大きい。封止金属の空白領域305がその下にある集電体シート20の一部を露出させるため、集電体20のかかる露出部分は、直接に電池の負端子の役割を果たすことができる。それによって、負端子による接触抵抗を低減することもできる。アノードフレームベースパネル33c内部の開口部33bは、望ましくは、円形または楕円形であるが、その上多角形または方形であってもよい。封止金属300を通る開口部305は、望ましくは円形であるが、多角形または方形であってもよい。
【0108】
図8および8Aに最も良く示されるように、アノードフレーム30の縁部33aは、フレームベースパネル33cと隣接する主要部では厚く、そしてフレーム底部に向かって薄くなってよい。これによって、フレーム底部のところで僅かに広くなった内表面30cへと変形する主要内表面30bが形成される。こうして、中間体レッジ39が内表面30bと30cの間に形成され、そして末端レッジ36(図8A)が中間体レッジ39の下のフレーム30の底部に形成される。図8、8Aおよび8Cに示す実施形態では、封止金属300をアノードフレーム30に固定するために段階的接着剤が好ましく利用される。好ましくは、封止金属300は、アノードフレーム30のベースパネル33cの内表面に、ベースパネル33cの内表面に沿って、穴33bの縁部と近接して、接着剤A(例えば、構造用エポキシ接着剤)をバンド20aで適用することで結合される。次に、接着封止剤B(例えば、アスファルトまたは粘着性ポリアミド)を接着剤Aと隣接しておよびその外辺部にあり、そしてベースパネル33cの外縁部に至るバンド20bで周囲方向に適用する。従って、並置された接着剤のバンド20aおよび20bは、ベースパネル33cの内表面に適用されるため、図8、8Aおよび8Cに示されるように、封止金属シート300の上面に面する。
【0109】
この実施形態では、接着剤AおよびBの配置が、アノード40との接触を表す封止金属の一部を有する前述の実施形態(図7A)に示されたそれらの配置と反対であることに気付くであろう。すなわち、図7Aに示す前述の実施形態では、接着剤A(接着剤バンド20a)は、封止金属の外縁部に沿って配置されており、また接着封止剤B(接着バンド20b)は接着剤Aの内側に配置されていた。単一の均質な接着剤組成物、例えば、接着封止剤Bは、段階的なシールの代わりに適用されてもよいが、段階的なシールは、機械的により頑丈な構造であって、層間剥離または剥離に対してより強い耐性を有し、そしてそのために電解質を密封するのにより有利な系である構造を提供することから好ましい。封止金属300と直接接触する接着AまたはBなどの接着剤および封止剤の適用は、封止金属300を用いずに、アノード集電体20がアノードフレーム30に直接結合される場合に比べて、より長期間にわたって劣化に耐えると考えられるアノードフレーム30との結合をもたらす。
【0110】
図8および8Aに示す好ましいアノード集電体シート20は銅製である。しかしながら、アノード集電体20は、望ましくは黄銅または青銅製であってもよい。集電体シート20の厚さは、望ましくは約0.076mm(3mil)〜0.254mm(10mil)である。接着剤20aおよび20bは、好ましくはベースパネル(スカート)33cの内表面上にコーティングされるが、最初に封止金属300に直接適用されてもよい。封止金属300は、集電体シート20上に予め積層されるか、または集電体シート20上にコーティングもしくは配置されていた。次に、集電体シート20上の封止金属コーティング300の露出表面を、フレームベースパネル(スカート)33cの接着剤コーティングされた内表面に適用し、その結果、極めて信頼性の高い結合が形成されて、封止金属300がアノードフレーム30に恒久的に結合された状態にする。
【0111】
フレーム30に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスルホン、またはポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックである。図8および8Aに示すセパレータ50は、アルカリ電池セパレータに従来使用される材料から成ってよい。セパレータ50は、例えば、セロファンフィルムに積層されたポリビニルアルコール繊維の不織布シートから構成されてよい。アノード材料40は、アノード集電体20と直接接触するようにフレームキャビティに詰め込まれる(図8A)。次いで、セパレータシート50が、アノード材料40を覆うように挿入される。セパレータシート50は、アノードフレーム中間体レッジ39上に載るように備え付ける。
【0112】
利点
図8、8A、および8Cに示す上述のアノードアセンブリ実施形態では、封止金属シート300がアノード集電体シート20の反対側にある。この実施形態では、封止金属300は、アノード40のいかなる部分とも直接接触していない。これにより、封止金属が、アノード40とアノード集電体シート20との間で電気的接触抵抗をいくらか増加させるあらゆる可能性が回避される。ジルコニウムおよびより少ない程度のチタンなどの特定の封止金属は、アノード活物質(例えば、亜鉛)と接触すると、またはアルカリ電解質と接触する亜鉛ポテンシャルまで延びると、ガスの発生増加を生じる場合がある。図8、8Aおよび8Cに示す前述の実施形態では、亜鉛との直接接触は回避され、またアルカリ電解質との接触は、高抵抗で蛇行した経路を通じてのみ可能である。従って、ジルコニウムのように「ガスが多量に発生する」封止金属を用いた場合でも、ガスの発生に目立った増加は見られない。
【0113】
図8、8A、および8Cに示す上述のアノードアセンブリ実施形態では、封止金属シート300の中央部分を貫通する穴305があることにも気付くであろう。このことは、幾つかの目的に役立つ。第一に、電池の負端子として直接利用できるように、集電体シート20の一部を露出する。第二に、封止金属が、段階的接着剤20aおよび20bを適用する必要がない封止金属シート300の中央領域から除去される。
【0114】
図8、8A、および8Cに示すアノードアセンブリ実施形態は、延長されたベースパネル(スカート)33cを備えたプラスチックフレーム30を有する。ベースパネル33cは、フレームの周縁部33aから、前述の実施形態(例えば図2または4A)の場合よりも更にアノードアセンブリの外側周縁部から離れた境界30aにまで及ぶ。そのような設計によって、接着剤バンド20aおよび20bを適用することができる、より良好な封止表面が提供される。ベースパネル33cで画定されるフレーム上面が大きいほど、負端子(集電体シート20)の外側への移動が抑制され、それによって接着剤および接着封止剤バンド20aおよび20bが圧縮して配置される。圧縮された接着剤および接着封止剤はより耐久性の高い結合をもたらす。これはまた、構造用接着剤A(接着バンド20a)の必要性を軽減する。延長されたベースパネル(スカート)33cを備えたフレーム30を有する図8、8A、および8Cに示す設計は、電池が放電する場合、その下にある層の層間剥離を阻止するのに役立ち、アノードアセンブリの構造完全性全体を改善する。
【0115】
図8の電池のカソード側の分解図を図8Bに示す。図8Bに示す実施形態では、カソード集電体80は、好ましくはいかなる封止金属300でもコーティングされていない。前記集電体80は、封止金属が望ましくはカソードフレーム70に面した集電体80の側部に適用される場合に、そのような封止金属で任意にコーティングできると理解されよう。カソードフレーム70は、好ましくは、アノードフレーム30と同じ材料(例えば、耐衝撃性ポリスチレン)製である。カソードフレーム70は、アノードフレーム30の延長されたベースパネル(スカート)33cと同様に、延長された表面79bを有する。
【0116】
カソード封止金属のための評価基準は、アノード封止金属のための評価基準とは一致しないことに留意すべきである。ある意味では、同じ基準が適用される。それは、カソード封止金属上の自然の酸化物または水酸化物被膜がアルカリ電解質に不溶なものでなければならないことである。別の意味では、「鏡像」基準が適用される。それは、カソード封止金属上の自然の酸化物または水酸化物被膜が、カソードの正電位ではより高い酸化状態への酸化を受けずにすむものでなければならないことである。
【0117】
図8Bのカソードアセンブリを参照すると、カソード延長表面79bを貫通する境界78aを有する穴78があってもよい。表面79bの内側は、望ましくは、構造用接着剤70a(接着剤A、例えばエポキシ接着剤)によって、穴境界78aと直接隣接する環状バンドでコーティングされる。表面79bの残りの内部領域は、望ましくは、図8Bに示されるように、アスファルト接着封止剤などの接着封止剤79b(接着剤B)でコーティングされる。図8Bに示すように、接着剤70aおよび70bは、好ましくは段階的な(隣り合わせの)関係で適用される。
【0118】
アセンブリでは、接着剤70aおよび接着封止剤70bをカソードフレーム70の延長された表面79bの内側に適用した後で、カソード集電体シート80、好ましくはニッケルまたはニッケルめっき鋼をフレーム70に挿入する。カソード集電体は、フレーム70の延長された内表面79bに恒久的に結合される。次に、カソード材料60のスラブが、カソード集電体シート80の上に適用される。その後、フレーム接着剤32(上述のような接着剤C)は、アノードフレーム30とカソードフレーム70の上縁部に適用することができる(図8Aおよび8B)。次いで、アノードフレーム30が接着剤32を介してカソードフレーム70と結合するように、完成したアノードアセンブリ(図8A)およびカソードアセンブリ(図8B)を合わせて押さえつける。完成した電池10を図8に示す。
【0119】
本発明のアノードアセンブリとカソードアセンブリの別の代替の実施形態を、図9Aおよび9Bにそれぞれ示す。図9Aに示すアノードアセンブリには、図8Aの実施形態と同様に、アノードフレーム30の延長されたベースパネル33cがある。しかしながら、図9Aの実施形態では、アノード集電体シート20は、アノードフレーム30の延長されたベースパネル33cの内表面に寄せて積み重ねられる。図9Aに示すように、好ましくは、集電体シート20の内表面上には封止金属300のコーティングもあり、すなわち、そうすることで封止金属コーティング300がフレーム30のベースパネル33cの外表面と接触する。好ましくは、前記ベースパネル33cの中央を貫通する穴33bがある。フレームベースパネル33cの穴33bの上に重なるように整列した封止金属300内には、空白領域305があってもよい。好ましくは、図9Aに示すように、封止金属コーティング300とフレームベースパネル33cの外表面との間には段階的に隣り合わせの関係で構造用接着剤20aおよび接着封止剤20bがある。アノード材料40は、図9Aに示すように、アノードフレーム30の内部スペースに挿入される。セパレータ材料50は、フレーム30の中間体レッジ39上に載るようにアノード材料40に寄せて適用される。セパレータは、所望により、接着剤、接着封止剤、熱封止、溶剤溶接、または超音波溶接を用いてプラスチックアノードフレームに結合されてよい。図9Aに示すアノードアセンブリの実施形態では、アノード集電体20の一部分がアノード材料40と直接接触し、また封止金属300と直接接触するアノード材料は非常に僅かな量しかない。
【0120】
同様に、カソードアセンブリは、延長された表面79bを備えたカソードフレーム70を有する。延長された表面79bの中央を貫通する穴78があり得る。カソード集電体シート80は、延長された表面79bの外側に適用される。図9Bに示すように、カソード集電体80は、延長された表面79bと、それらの間の構造用接着剤70aおよび接着封止剤70bによって結合される。アノードアセンブリ(図9A)およびカソードアセンブリ(図9B)を組み立てた後で、フレーム接着剤32を各フレームの先端縁部に適用し、そしてアノードフレーム30の縁部をカソードフレーム70の縁部上に押さえつけることにより、フレームが互いに結合される。
【0121】
図9Aおよび9Bに示すアノードアセンブリおよびカソードアセンブリはそれぞれ、図8Aおよび8Bに示す実施形態よりも少し容易に製造される。しかし、図8Aおよび8Bに示す実施形態は、より大きな全構造完全性を有し、そしてそれ故に好ましい。
【0122】
代表的な電池の化学組成
アノード40、カソード60、およびセパレータ50の化学組成に関する電池組成についての以下の説明は、前述の実施形態で開示した代表的なウェーハ電池10に適用可能である。
【0123】
前述の電池10では、カソード60は、二酸化マンガンと電解質とを含み、またアノード40は、亜鉛と、ゲル化剤と、電解質とを含む。水性電解質は、KOHと酸化亜鉛との常套の混合物を含む。アノード材料40は、水銀を含まない(水銀無添加の)亜鉛合金粉末を含有するゲル化した混合物の形態にすることができる。即ち、電池は、重量で亜鉛の100百万分率(ppm)、好ましくは重量で亜鉛の50百万分率未満の総水銀含有量を有する。電池はまた、好ましくは、いかなる鉛添加量も含有せず、したがって実質的に無鉛であり、即ち、総鉛含有量は、アノード中の総亜鉛量の30ppm未満、望ましくは15ppm未満である。そのような混合物は、典型的に、KOH電解質水溶液、ゲル化剤(例えば、ノベオン(Noveon)(旧B.F.グッドリッチ(B. F. Goodrich))から商標名カーボポール(CARBOPOL)C940として入手可能なアクリル酸コポリマー)、および界面活性剤類(例えば、ローヌ・プーラン(Rhoene Poulenc)から商標名ガファック(GAFAC)RA600として入手可能な有機リン酸エステル系界面活性剤類)を含有することができる。そのような混合物は、単に実例として与えるにすぎず、本発明を制限しようとする意図ではない。亜鉛アノード用の他の代表的なゲル化剤は、米国特許第4,563,404号に開示されている。
【0124】
本発明の電池10に利用するためのカソード60は、望ましくは、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,207,322号に記載されている種類の軟質または半固体カソードである。ただし、例えばカソードの約87〜93重量%の二酸化マンガン含有量を有する、より従来型の固体二酸化マンガンカソードもまた使用できることが理解されよう。それでも、軟質または半固体カソードは、カソードフレーム70内のキャビティ73bへと容易に成型できることから、本発明のウェーハ電池に利用するのに望ましいことが解明されている。更に、本発明の接着固定された電池に関連するそのような軟質または半固体カソードは、電池の耐用期間中、カソード集電体80の露出表面と密接し且つ均一な接触を維持することが見出されたことから好ましい。接着剤によって積層化された本発明の電池10では、固体カソードをカソード集電体と密接し且つ均一に接触した状態に保持するための強い圧縮力が存在せず、またそのような接触は、時間が経つといくらか緩む場合がある。それ故に、軟質または半固体カソードが好ましい。
【0125】
本明細書で使用するとき、用語「半固体」は、広く、真の固体と真の液体との間の中間的性質のあらゆる物理状態に及ぶものとする。それ故に、半固体という用語は(これだけに限定するものではないが、例えば)、一般的にパテおよびペーストと関係付けられる、柔らかい質感およびレオロジー特性を有する物理状態を包含するものとする。本明細書で使用するとき、半固体材料としては(これだけに限定するものではないが、例えば)液体のように自由流動性ではないが、一般に前記材料を導管内で移動させるのに外力を必要とする材料が挙げられる。半固体という用語はまた、(これだけに限定するものではないが、例えば)押出成形可能であり、また外圧を受けた場合に破砕することなく変形できる材料にも当てはまるものとする。
【0126】
本発明のウェーハ電池で使用するのに望ましい半固体カソード60は、次のように、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,207,322号に記載されているような特性および組成範囲を有することができる。
【0127】
したがって、本発明の電池10用の半固体カソード60は、望ましくは、当該カソードの80重量%未満、好ましくは約40〜80重量%、典型的には約45〜78重量%、より典型的には当該カソードの45〜70重量%の量の二酸化マンガンを含む。二酸化マンガンを含む半固体カソードは、パテ若しくはペーストの形態であっても、または測定可能な粘度を有する高粘性材料の形態であってもよい。
【0128】
軟質カソード60は、典型的に、当該カソードの約45〜78重量%、より典型的には当該カソードの約45〜70重量%のMnO(EMD)と、カーボンブラック(シャウィンガン(Shawingan)アセチレンブラック、またはより好ましくは、国際公開公報第9703133号に記載されているような、ベルギー国のチムカル(Timcal)製のMM131もしくはMM179、またはベルギー国のチルカル製PC449もしくはRE−118、またはスペリオルグラファイト(Superior Graphite)SCD285−110などの黒鉛化カーボンブラック)と、水溶性KOH電解質水溶液(7〜9規定)とを含む。所望により、多少のグラファイト粉末も添加される。有利なことには、カーボンブラックは、好ましくは、半固体カソードの約0.5〜15重量%を構成する。カーボンブラックおよびグラファイトは、半固体カソードの伝導度を増大させ、カソードを半固体状態に維持するための内部網状構造をもたらす。カーボンブラックはまた、電解質吸収体の役割も果たして、アルカリ電解質溶液を固定化することから、遊離の流体電解質がはっきりと認められない。グラファイトは、カソードの約1重量%〜10重量%を構成してもよく、またカソードの伝導度を改善する場合もある。望ましくは、本発明の半固体カソードは、また、水酸化カリウムを含む電解質溶液も含む。半固体カソードは、また、ポリテトラフルオロエチレンのような結合剤も含んでよく、望ましくは当該カソードの約0〜2重量%を構成する。所望により、稠度を調節するために、サザン・クレイ・プロダクツ社(Southern Clay Products Company)のラポナイトRDS粘土(Laponite RDS clay)のような粘土を2重量%未満加えてもよい。
【0129】
半固体カソード60は、多孔率約30〜70%、好ましくは約35〜70%、より好ましくは約40〜70%であってよい。本明細書では、多孔率は、非固体材料、即ち電解質+空気から構成されるカソードの体積分率を意味するものと理解される。半固体カソード60はまた、望ましくは、全カソードの重量%として、アルカリ電池用の固体MnO含有カソードで従来使用されるよりも高い電解質含有量を有してもよい。半固体カソード材料60は、全カソード材料の約6〜18重量%のKOH含有量(純粋)と、約9〜27重量%の総水分含有量とを有してよい。KOHに関して本明細書および実施例で使用するとき、KOH(純粋)という用語は、計算の目的で、純粋な無水KOH含有量である(即ち、水を含めない)。
【0130】
カソード多孔率は、電解質、他の液体、および封じ込められた空気(固体の孔の中に封じ込められた液体および空気の体積を包含する)が占める体積を決定し、その体積をカソードの見掛けの体積で除して100を乗じることによって計算され得る。(見掛けの体積は、試料の外部境界内に収容される試料の全体積である。)カソード多孔率は、固体がカソードに混入される前に、従来のヘリウム置換法によって初めに各固体の実密度を得ることによって、簡便に計算され得る。(各固体の実密度は、固体試料の重量を、その実体積、即ち、固体試料の見掛けの体積から封じ込められた空気が占める体積を減じた体積で除したものである。)次いで、カソードへ混入されるべき固体の各重量をそれぞれの実密度で除することで、カソード中の固体の実体積が得られる。全体としてのカソードの見掛けの体積から固体の実体積を差し引き、この差をカソードの見掛けの体積で除して100を乗じることで、多孔率(%)が得られる。
【0131】
電解二酸化マンガンは、典型的に、約1〜100μm、望ましくは約20〜60μmの平均粒径を有する。グラファイトは、典型的に、天然、合成、若しくは膨張グラファイト、またはそれらの混合物の形態である。極端な熱処理によってまたはホウ素などの元素を添加することによって製造される特定の耐酸化性グラファイトを利用してもよい。グラファイトはまた、グラファイト状炭素ナノ繊維を、単独で、または、天然、合成、若しくは膨張グラファイトと混合して含むこともできる。そのようなカソード混合物類は、例示を目的としたものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0132】
アノード材料40は次の成分を含む:亜鉛合金粉末62〜72重量%(合金およびめっき材料として200〜500ppmのインジウムと、合金として150〜500ppmのビスマスとを含有する99.9重量%亜鉛)、38重量%のKOHと約2重量%のZnOとを含むKOH水溶液;ノベオン(Noveon)から商標名「カーボポール(CARBOPOL)C940」として市販されている架橋アクリル酸ポリマーゲル化剤(例えば0.5〜2重量%)、および任意に、グレイン・プロセシング社(Grain Processing Co.)から商標名「ウォーターロックA−221(Waterlock A-221)」として市販されている、デンプン骨格鎖上にグラフトされた加水分解ポリアクリロニトリル(0.01〜0.5重量%);有機リン酸エステル界面活性剤RA−600、またはローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)製の商標名RM−510として入手可能なジオニル(dionyl)フェノールリン酸エステル界面活性剤(10〜100ppm)。「亜鉛」という用語は、本明細書で使用するとき、極めて高濃度の亜鉛、例えば、亜鉛を少なくとも99.0重量%含む亜鉛合金粉末を包含すると解されるべきである。このような亜鉛合金材料は、電気化学的には実質的に、純粋な亜鉛として働く。
【0133】
本発明の薄板状アルカリ電池10のアノード40に関して、亜鉛粉末の平均粒径は、望ましくは約1〜350μm、望ましくは約1〜250μm、好ましくは約20〜250μmである。典型的に、亜鉛粉末の平均粒径は約150μmであってよい。アノード40における亜鉛粒子は、針状または球状の形状のものにすることができる。アノード中の亜鉛の嵩密度(bulk density)は、アノード1立方センチメートル当たり亜鉛約1.75〜2.2グラムである。アノード中の電解質水溶液の体積%は、好ましくはアノードの約69.2〜75.5体積%である。
【0134】
電池10は、EMDの容量mA・hr(EMD 1g当たり410mA・hrに基づく)を亜鉛の容量mA・hr(亜鉛1g当たり820mA・hrに基づく)によって除すと約1になるように、従来式でバランスを取ることができる。ただし、カソードが過剰になるように電池のバランスをとることによって、重放電バルジング(deep discharge bulging)を軽減することができる。それ故に、電池のバルジングを軽減するために、EMDの理論総容量を亜鉛の理論総容量で除すと、約1.03〜1.10、望ましくは約1.05〜1.08、好ましくは約1.07になるように、電池10のバランスをとることができる。
【0135】
試験電池の実施例1
図1〜3に示す正方形構成の試験電池10を準備した。試験電池10は、長さ38.1mm(1.5インチ)、幅38.1mm(1.5インチ)および全厚2.8mmであった。アノード集電体20は、銅製で、カソード集電体80は、ニッケル製であった。電池10は、電池の外表面に適用されるラベル200を用いずに試験した。アノード40およびカソード60は、以下の組成であった。
【表1】

注:
1.亜鉛粒子は、平均粒径約150μmであり、総インジウム含量約200ppmを得るようにインジウムで合金しおよびめっきした。
2.HO中3重量%の、ローヌ・プーラン(Rhoene Poulenc)製の有機リン酸エステル系界面活性剤溶液RM510。
3.電解質溶液は、合計で電解質溶液の約1.5重量%を構成するゲル化剤ウォーターロックA221(Waterlock A221)およびカーボポールC940(Carbopol C940)と、約2重量%のZnOとを含有した。
【表2】

注:
1.ナチオナル・デ・グラフィッテ(Nacional De Grafite)製のグラフマックスMP12ドゥ天然グラファイト(Grafmax MP12 du natural graphite)。
【0136】
アノードプラスチックフレームは、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)プラスチック材料から構成され、厚さが約0.76mmであった。カソードプラスチックフレームは、HIPSプラスチック材料から構成され、厚さが約1.52mmであった。セパレータ50は、セロファンフィルムに積層されたポリビニルアルコール繊維の不織布シートから構成された。カソードは、1.61gのMnOを有した。アノード、カソード、電解質、およびセパレータで、電池の外部体積の約37%が構成された。
【0137】
一連の電力需要にわたって電池の性能の指標となる次の方法で電池を放電させた。
【0138】
新しい電池10を、初めに、電力消費500ミリワット(454ミリアンペア)で、カットオフ電圧約0.6ボルトまで放電させた。測定された容量は、37.1mW・hrであった。電池を1時間休ませた後、同じ電池を250ミリワット(227ミリアンペア)の割合でカットオフ電圧0.6ボルトまで放電させた。この消費について測定された増分容量は、100.4mW・hrであった。電池を1時間休ませた後、同じ電池を100ミリワット(90.9ミリアンペア)の割合でカットオフ電圧0.6ボルトまで放電させた。この消費について測定された増分容量は、90.19mW・hrであった。次いで、同じ電池を、各放電間で1時間休ませて、15ミリワット、10ミリワット、および5ミリワットで、カットオフ0.6ボルトまで増分的に放電させた。最後の3つの放電の増分容量は、それぞれ30.99、106.28、および8.87mW・hrであった。
【0139】
放電試験が完了した後、電池のバルジングおよび漏れを調べた。電池の全厚が約10%膨張したこと、すなわち、厚さが約2.8mmから3.1mmとなることが解明された。電解質漏れは認められなかった。
【0140】
試験電池の実施例2
マグネシウムアノード集電体シートを備えたもの
図1〜3に示した正方形構成の試験電池10を準備した。試験電池10は、長さ38.1mm(1.5インチ)および幅38.1mm(1.5インチ)であった。図4Aに示すアノードアセンブリ30A構成を使用して、アノード集電体シート20としてマグネシウム箔を用いて、電池を構築した。マグネシウム箔集電体20を使用して完成されたアノードアセンブリ30Aを、図10Bに示す。マグネシウム箔20は、厚さ0.25mm(0.01インチ)であり、純度99.9%(金属ベース)であった。カソード集電体シート80は、ニッケル製であった。
【0141】
マグネシウムアノード集電体シート20を、厚さ0.76m(0.030インチ)および幅6.35mm(0.25インチ)の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)プラスチックフレーム30の裏側に固定して封止した(図4Aおよび7B)。マグネシウムアノード集電体シート20は、図4Aおよび図7Bに示されるように、フレームの外縁部に隣接する構造用接着剤のバンド20a(3M製のスコッチ・ウェルド2216エポキシ接着剤(Scotch-Weld 2216 Epoxy Adhesive))と、フレームに隣接する封止剤材料のバンド20b(中国のハルビン・ジンシン社(Harbin Jinxin Company)製のJ−43封止剤)とから構成される段階的シールを用いることにより固定した。組み立てる前に、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)プラスチックフレーム30の裏側を、炭化ケイ素研磨材で軽く研磨して、コロナ処理した。次いで、実施例1に記載された組成のアノード材料40 1.67gを、フレーム30内の内部スペース33bに貼り付けた(図4A)。ポリビニルアルコール繊維を含む不織布層に接着結合されたセロファンから構成されるセパレータ50は、フレーム30の内側縁部の陥凹レッジ36上に、不織布側が陥凹レッジ上になるように配置した。次いで、セパレータとプラスチックフレーム30との間の結合を得るために陥凹レッジ36と接触するセパレータ50に熱と圧力を加えた。完成されたアノードアセンブリは、図7Bに最もよく示されている。
【0142】
同様の方法で、カソードアセンブリ70A(図4B)が、厚さ1.52mm(0.060インチ)および幅3.175mm(0.125インチ)の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)カソードフレーム70と、厚さ0.15mm(0.006インチ)の酸エッチング処理されたニッケル箔から構成されたカソード集電体シート80とを用いて準備された。酸エッチング処理されたニッケル集電体シート80は、フレームの外縁部73aに隣接する構造用接着剤のバンド70a(3M製のスコッチ・ウェルド2216エポキシ接着剤(Scotch-Weld 2216 Epoxy Adhesive))と、フレーム内縁部77に隣接する封止剤材料のバンド20b(中国のハルビン・ジンシン社(Harbin Jinxin Company)製のJ−43封止剤)とから構成される段階的シールを用いることにより、フレーム70の裏側に接着結合された。組み立てる前に、プラスチックフレーム70の裏側を、炭化ケイ素研磨材で軽く研磨して、コロナ処理した。次いで、エッチング処理されたニッケル集電体シート80の内表面を、伝導性の炭素系コーティング(アチソン(Acheson)製のエレクトロダグ109B(Electrodag 109B))でコーティングした。
【0143】
以下の組成の軟質(半固体)カソードを準備した:
【表3】

【0144】
この軟質カソード3.640gを、フレーム70内の内部スペース73bに貼り付けた。
【0145】
次いで、図4Aのアノードアセンブリ30A(図7Bに完成状態で示されている)を、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)フレーム30および70の両方の自由表面に溶媒系セメント(IPS社(IPS Corp.)製のウェルド−オン4807(Weld-On 4807))を適用することにより、カソードアセンブリ70A(図4B)に接着固定して、単一積層電池を形成した。
【0146】
組み立てた後、電池のOCVは1.558Vであると測定された。その後、電池を60℃で保管した。
【0147】
この温度で40日間保管した後の検査では、マグネシウム集電体シート20が、プラスチックフレーム30の裏側に固定されて封止されている場所では、漏れまたは層間剥離が示されなかった。(60℃で約40日間の電池の保管は、周囲温度(22℃)で約1〜2年の保管に相当すると推定される。)
【0148】
アノード集電体のためにマグネシウムシート封止金属を含むこの実施例2の電池は、アノード集電体内に封止金属を含有しない実施例1の新しい電池よりも、(アノード集電体20とプラスチックアノードフレーム30との間に形成された結合部から電解質漏れが検出されるまで)60℃において少なくとも2週間長く保管された。
【0149】
試験電池の実施例3
ジルコニウムアノード集電体シートを備えたもの
電池は、試験電池の実施例2に記載されたように、ただし、実施例2のマグネシウム箔の代わりにアノード集電体シート20として厚さ0.25mm(0.01インチ)のジルコニウム箔(金属ベースで99.5%)を用いて準備した。電池は、アノード材料40 1.68gと、軟質カソード60 3.131gとを用いて組み立てた。他の電池構成要素はすべて、実施例2に記載されたものと同一であった。
【0150】
組み立てた後、電池のOCVは1.556Vであると測定された。その後、電池を60℃で保管した。
【0151】
この温度で40日間保管した後の検査では、ジルコニウム集電体シート20が耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)プラスチックフレーム30の裏側に固定されて封止されていた場所では、漏れまたは層間剥離が示されなかった。(60℃で約40日間の電池の保管は、周囲温度(22℃)で約1〜2年の保管に相当すると推定される。)
【0152】
アノード集電体のためにジルコニウムシート封止金属を含むこの実施例3の電池は、アノード集電体内に封止金属を含有しない実施例1の新しい電池よりも、(アノード集電体20とプラスチックアノードフレーム30との間に形成された結合部から電解質漏れが検出されるまで)60℃において少なくとも2週間長く保管された。
【0153】
本明細書に開示した設計原理を用いると、極めて広い面積の、例えば、約21.6cm×27.9cm、または603cm(8.5インチ×11インチ、または93.5in)またはそれより大きい、薄いアルカリ電池を構築することができる。より複雑なフレーム設計に関わる本発明の他の実施形態は、本発明の概念内にある。例えば、ウェーハ電池はまた、フレーム内に内部パーティション若しくはリブを設けて構築され、それによってアノードフレームまたはカソードフレームの内部を多数の容積に細分化することもできる。これらの内部リブを、接着剤、段階的シール(並列配置の封止剤コーティングおよび接着剤コーティング)、または封止剤とリベットとを併せたものを用いてエンドプレートに取り付けることによって電池構造全体を機械的に補強して、より大きい剛性および耐曲げ性を与えることができる。この特徴は、広い面積を有する電池にとって特に有用であり、電池エンベロープを曲げるまたはねじることによって生じた剪断または剥がれに起因する故障に対する特別な保護を、その最も外側の外辺部シールにもたらす。
【0154】
本発明の好ましい実施形態を具体的な実施形態を参照して説明してきたが、他の実施形態も可能であり、そして特許請求の範囲内にあることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明のウェーハ電池の一実施形態の斜視図。
【図1A】二重フレーム構成を有する図1のウェーハ電池の一実施形態の切欠断面図。
【図2】部位線2−2に沿って切り取られた、図1の電池の横断立面図。
【図3】部位線3−3に沿って切り取られた、図1の電池の横断立面図。
【図4A】アノードアセンブリを構成する構成要素類を示す、一実施形態の分解図。
【図4B】カソードアセンブリを構成する構成要素類を示す、一実施形態の分解図。
【図5A】電池縁部の周りに嵌め込まれる前の収縮性外辺部フィルムバンドを示す斜視図。
【図5B】収縮性外辺部フィルムバンドが電池縁部の周りに嵌め込まれる様子を示す斜視図。
【図5C】外辺部フィルムバンドが電池縁部の周りで収縮された状態の電池を示す斜視図。
【図5D】横収縮性フィルムバンドが電池の周りに嵌め込まれて外辺部フィルムバンドに被さる様子を示す斜視図。
【図5E】横方向のフィルムバンドが電池縁部の周りで収縮された状態の電池を示す斜視図。
【図6A】複曲面を有するウェーハ電池の実施形態を示す斜視図。
【図6B】単曲面を有するウェーハ電池の実施形態を示す斜視図。
【図6C】曲面を有する不均一な厚さのウェーハ電池の実施形態を示す斜視図。
【図7A】アノード集電体上のコーティングとして本発明の封止金属を用いる一実施形態においてアノードアセンブリを構成する構成要素類を示す、部位線3−3に沿って切り取られた図1の電池の横断立面図。
【図7B】アノード集電体として本発明の封止金属を用いる別の実施形態においてアノードアセンブリを構成する構成要素類を示す、部位線3−3に沿って切り取られた図1の電池の横断立面図。
【図7C】アノード集電体上のコーティングとして本発明の封止金属を用いる別の実施形態においてアノードアセンブリを構成する構成要素類を示す、部位線3−3に沿って切り取られた図1の電池の横断立面図。
【図7D】アノード集電体上のコーティングとして本発明の封止金属を用いる別の実施形態においてアノードアセンブリを構成する構成要素類を示す、部位線3−3に沿って切り取られた図1の電池の横断立面図。
【図7E】アノード集電体として本発明の封止金属を用いる別の実施形態においてアノードアセンブリを構成する構成要素類を示す、部位線3−3に沿って切り取られた図1の電池の横断立面図。
【図7F】プラスチックフィルム上にコーティングされた本発明の封止金属を用いる別の実施形態においてアノードアセンブリを構成する構成要素類を示す、部位線3−3に沿って切り取られた図1の電池の横断立面図。
【図7G】プラスチックフィルム上にコーティングされた本発明の封止金属を用いる別の実施形態においてアノードアセンブリを構成する構成要素類を示す、部位線3−3に沿って切り取られた図1の電池の横断立面図。
【図8】アノード集電体上のコーティングとして本発明の封止金属を用いる本発明のウェーハ電池の別の実施形態の切欠断面図。
【図8A】アノードアセンブリを構成する構成要素類を示す図8の実施形態の分解図。
【図8B】カソードアセンブリを構成する構成要素類を示す図8の実施形態の分解図。
【図8C】アノードアセンブリおよびカソードアセンブリを構成する構成要素類を示す図8の実施形態の分解図。
【図9A】図1の部位線2−2に沿って切り取られた、アノード集電体上のコーティングとして本発明の封止金属を用いる本発明のウェーハ電池の別の実施形態のアノードアセンブリ部分の横断立面図。
【図9B】図9Aのアノードアセンブリに接続されるカソードアセンブリ部分の横断立面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、負端子および正端子と、アノードおよびカソードと、アノード集電体とを含むアルカリ電池であって、前記アノード集電体の第1部分が前記アノードと接触し、前記集電体の第2部分が前記負端子と電気接触し、かつ前記集電体の第3部分が電気絶縁部材と隣接し、その改善点が、
前記絶縁部材が、前記アノードに面した内表面と、前記アノードの反対側に面した外表面とを備えるベース絶縁パネルを有し、
前記アノード集電体の前記第3部分の表面の少なくとも一部が、その上に、前記ベース絶縁パネルの内表面の少なくとも一部と隣接する封止金属層を包含することを含む、アルカリ電池。
【請求項2】
前記封止金属層と前記ベース絶縁パネルの内表面との間に接着剤材料が適用され、それによって前記アノード集電体が前記絶縁パネルの内表面に結合する、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項3】
前記ベース絶縁パネルがそれを貫通する穴を有し、それによってその下にあるアノード集電体の一部が露出される、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項4】
前記露出されたアノード集電体の一部が前記封止金属を有しない、請求項3に記載のアルカリ電池。
【請求項5】
前記アノード集電体の前記第3部分の表面の少なくとも一部が、前記封止金属で予めコーティングされる、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項6】
前記アノード集電体が、少なくとも1つのポリマーフィルム層と、その上の、前記封止金属を含む少なくとも1つの金属層とを含むフィルム積層体を含んで成る、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項7】
前記アノード集電体が、封止金属でコーティングされた面と、その反対側の、アノードと隣接および接触する面とを有するシートの形態である、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項8】
前記封止金属が、外気に曝されたときにその表面上に同一金属の酸化物および同一金属の水酸化物のうちの少なくとも1つを含む金属被膜化合物を形成するという特性を有し、前記金属被膜化合物がアルカリ電解質による侵食に耐える、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項9】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属被膜化合物が、実質的にアルカリ電解質に不溶性である、請求項8に記載のアルカリ電池。
【請求項10】
前記アノードが、前記電池が放電しているときに電気化学反応を経るアノード活物質を含み、かつ前記封止金属が、前記封止金属の表面上に存在する前記封止金属の化合物が前記アルカリ電解質の存在下で前記アノード活物質によって還元されないように、前記アノード活物質よりも大きな負の電気化学ポテンシャルを有する、請求項8に記載のアルカリ電池。
【請求項11】
前記アノードが、亜鉛を含むアノード活物質を含み、かつ前記封止金属が、前記封止金属の表面上に存在する前記封止金属の化合物が前記アルカリ電解質の存在下で前記亜鉛によって還元されないように、前記亜鉛よりも大きな負の電気化学ポテンシャルを有する、請求項8に記載のアルカリ電池。
【請求項12】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド系列元素、およびこれらの合金から成る群より選択される、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項13】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、ランタン、スカンジウム、およびこれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項14】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、ランタン、イットリウム、およびこれらの合金から成る群から選択される、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項15】
前記封止金属が、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、およびこれらの合金から成る群より選択される、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項16】
前記電気絶縁部材が、有機ポリマー材料を含む、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項17】
前記接着剤材料が、エポキシ、ポリアミド、部分重合したエポキシ、およびアスファルトから成る群より選択される、請求項2に記載のアルカリ電池。
【請求項18】
前記接着剤材料が、エポキシおよびアスファルトから成る群より選択される、請求項2に記載のアルカリ電池。
【請求項19】
負端子および正端子と、それらを含むウェーハアルカリ電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部とを含むウェーハアルカリ電池であって、前記対向する側部が、それらの間に電池の短寸法を画定し、前記短寸法が約0.5〜6mmであり、前記電池が、積層構造を形成するように互いに結合されたアノードアセンブリおよびカソードアセンブリを含み、前記アノードアセンブリがアノード材料を含み、かつ前記カソードアセンブリがその中にカソード材料を含み、
前記アノードアセンブリが前記アノード用のハウジングを含み、かつ前記カソードアセンブリが前記カソード用のハウジングを含み、前記アノードアセンブリおよびカソードアセンブリが、それらの間のセパレータとともに接着結合されて積層構造を形成し、
前記アノードハウジングが、部分的に閉じた端部と、その反対側の開口端部と、それらの間にある、アノードキャビティの境界を画定する側壁とを有するアノードフレームを含み、前記部分的に閉じた端部が、前記アノードに面した内表面と、それと反対側の、外部環境に面した外表面とを有し、前記アノードハウジングが、その一方の側部に、前記アノードフレームの前記部分的に閉じた端部の内表面に接着剤材料によって結合されたアノード集電体シートを更に含むことにより、前記アノード集電体シートの非結合面が、前記アノードキャビティ内に配置されたアノード材料と隣接及び接触する、ウェーハアルカリ電池。
【請求項20】
前記アノード集電体シートの少なくとも一部が、封止金属で予めコーティングされるかまたは封止金属を含むため、前記接着剤材料の少なくとも一部が、前記アノード集電体シートが前記アノードフレームに結合されるときに、前記封止金属の少なくとも一部と接触する、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項21】
前記アノードフレームの前記部分的に閉じた端部が、その下にある、前記封止金属でコーティングされたアノード集電体シートの一部を露出するように、それを貫通する少なくとも1つの穴を有するベースパネルを含む、請求項20に記載のアルカリ電池。
【請求項22】
前記穴の占める表面積が、それを貫通する前記穴が形成される前の前記ベースパネル上で利用可能な表面積の百分率として、約50パーセント未満である、請求項21に記載のアルカリ電池。
【請求項23】
前記露出したアノード集電体シートの一部が封止金属コーティングを有していないため、コーティングされていないアノード集電体の表面の一部が前記穴を通して露出する、請求項21に記載のアルカリ電池。
【請求項24】
前記アノード集電体が、少なくとも1つのポリマー被膜層と、その上にある、前記封止金属から実質的に成る少なくとも1つの金属シートを含む被膜積層体とを含んで成る、請求項20に記載のアルカリ電池。
【請求項25】
前記封止金属が、外気に曝されたときにその表面上に同一金属の酸化物および同一金属の水酸化物のうちの少なくとも1つを含む金属被膜化合物を形成するという特性を有し、かつ前記金属被膜化合物が、アルカリ電解質による侵食に耐える、請求項20に記載のアルカリ電池。
【請求項26】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属被膜化合物が、前記封止金属でコーティングされていない前記集電体の表面上に形成される前記金属酸化物または前記金属水酸化物よりもアルカリ電解質への溶解性が低い、請求項25に記載のアルカリ電池。
【請求項27】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属酸化物または前記金属水酸化物が、実質的にアルカリ電解質に不溶性である、請求項25に記載のアルカリ電池。
【請求項28】
前記アノードが、電池が放電しているときに電気化学反応を経るアノード活物質を含み、かつ前記封止金属が、前記封止金属の表面上に存在する封止金属化合物の被膜が、前記アルカリ電解質の存在下で前記アノード活物質によって還元されないように、前記アノード活物質よりも大きな負の電気化学ポテンシャルを有する、請求項20に記載のアルカリ電池。
【請求項29】
前記アノードが、亜鉛を含むアノード活物質を含み、かつ前記封止金属が、前記封止金属の表面上に存在する封止金属化合物の被膜が、前記アルカリ電解質の存在下で前記亜鉛によって還元されないように、前記亜鉛よりも大きな負の電気化学ポテンシャルを有する、請求項20に記載のアルカリ電池。
【請求項30】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド系列元素、およびこれらの合金から成る群より選択される、請求項20に記載のアルカリ電池。
【請求項31】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、ランタン、およびこれらの合金から成る群より選択される、請求項20に記載のアルカリ電池。
【請求項32】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、およびこれらの合金から成る群より選択される、請求項20に記載のアルカリ電池。
【請求項33】
前記封止金属の下にある前記アノード集電体が、銅、黄銅、青銅、亜鉛、スズ、または前記の銅、黄銅、青銅、亜鉛、もしくはスズでめっきされるかまたはそれらを積層した鋼基材を含む、請求項20に記載のアルカリ電池。
【請求項34】
前記アノードフレームが、有機ポリマー材料を含む、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項35】
前記アノード集電体シートが、前記ベースパネル表面に沿って互いに並置関係で配置された、実質的に異なる接着剤である第1および第2接着剤を用いて、前記電池内部に面する前記アノードフレームベースパネルの内表面に結合される、請求項21に記載のアルカリ電池。
【請求項36】
前記第1接着剤が、前記穴と近接する前記アノードフレームベースパネルの内表面の一部に位置し、前記第1接着剤が、前記アノードフレームベースパネルと前記アノード集電体シートとの間に構造強度を与える構造用接着剤として主に機能し、前記第2接着剤が、前記第1接着剤よりも前記ベースパネルの外縁に近い前記ベースパネルの内表面の一部に位置し、前記第2接着剤が、前記アノードフレームベースパネルと前記アノード集電体シートとの間の総体的な接着強度を高め、かつ電解質を密封するための封止剤としても機能する接着封止剤である、請求項35に記載のアルカリ電池。
【請求項37】
前記第1接着剤が、エポキシおよびUV開始型アクリレート接着剤から成る群より選択され、かつ前記第2接着剤が、アスファルト、粘着性ポリアミド、および部分重合したエポキシ接着剤から成る群より選択される、請求項36に記載のアルカリ電池。
【請求項38】
アノード材料が、亜鉛、カドミウム、および金属水素化物合金から成る群より選択され、かつカソード材料が、MnO、NiOOH、AgO、AgO、CuO、AgCuO、AgCu、およびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項39】
前記電池が一次アルカリ電池であり、かつ前記アノード材料が亜鉛を含み、かつ前記カソード材料が、二酸化マンガンを含む固体と、前記固体との混合状態にある水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含み、前記カソードが、約45%〜70%の多孔率を有する半固体である、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項40】
前記カソード材料が、黒鉛化カーボンブラックを更に含む、請求項39に記載のアルカリ電池。
【請求項41】
前記カソード材料が、黒鉛化カーボン繊維を更に含む、請求項39に記載のアルカリ電池。
【請求項42】
前記カソード材料が、耐酸化性黒鉛を更に含む、請求項39に記載のアルカリ電池。
【請求項43】
前記カソードハウジングが、部分的に閉じた端部と、その反対側の開口端部と、それらの間にあって、カソードキャビティの境界を画定する側壁とを有するカソードフレームを含み、前記カソードフレームの前記部分的に閉じた端部が、前記カソードに面した内表面と、それと反対側の、外部環境に面した外表面とを有し、前記カソードハウジングが、その一方の側部に、前記カソードフレームの前記部分的に閉じた端部の内表面に接着剤によって結合されたカソード集電体シートを更に含むことにより、前記カソード集電体シートの非結合面が、前記カソードキャビティ内に配置されたカソード材料と隣接および接触し、前記カソード集電体シートの少なくとも一部が、前記カソード集電体シートが前記カソードフレームと結合されるときに前記封止金属が前記接着剤と接触するように、封止金属で予めコーティングされる、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項44】
それらの間に前記電池の短寸法を画定する前記側部が、互いに平行な1対の対向する側部を含む、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項45】
前記短寸法が前記電池の全厚であり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外表面間の距離として定義される、請求項44に記載のアルカリ電池。
【請求項46】
電池の外辺部の少なくとも一部が多角形である、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項47】
電池の外辺部の少なくとも一部が曲線状である、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項48】
前記電池の外表面の少なくとも一部が曲率を有する、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項49】
前記外表面の少なくとも一部が複合曲率を有する、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項50】
電池を外側から見た場合に、前記電池の外表面の一部が凸曲率を有し、前記外表面の別の部分が凹曲率を有する、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項51】
前記電池の厚さが均一ではない、請求項45に記載のアルカリ電池。
【請求項52】
前記電池が立方体形状である、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項53】
前記電池が剛構造である、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項54】
負端子および正端子と、それらを含む一次アルカリ電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部とを含む一次アルカリ電池であって、前記対向する側部が、それらの間に電池の短寸法を画定し、前記電池が、積層構造を形成するように互いに結合されたアノードアセンブリおよびカソードアセンブリを含み、前記アノードアセンブリが亜鉛を含むアノード材料およびアルカリ電解質を含んで成り、かつ前記カソードアセンブリが二酸化マンガンを含むカソード材料およびアルカリ電解質を含んで成り、
前記アノードアセンブリが、部分的に閉じた端部と、その反対側の開口端部と、それらの間にある、アノードキャビティの境界を画定する側壁とを有するアノードフレームを含み、前記アノードアセンブリが、前記アノードフレームの前記部分的に閉じた端部の外表面上に積み重ねて結合したアノード集電体シートを更に含み、そのため、前記アノード集電体シートの外表面が外部環境に面し、かつ前記アノード集電体シートの内表面の少なくとも一部が、前記アノードキャビティ内に配置されたアノード材料と隣接および接触する、一次アルカリ電池。
【請求項55】
前記アノード集電体シートが、前記アノードフレームの前記部分的に閉じた端部の外表面に沿って互いに並置関係で配置された実質的に異なる接着剤である第1および第2接着剤を用いて、前記アノードフレームの前記部分的に閉じた端部に結合され、
前記アノード集電体シートの少なくとも一部が、封止金属で予めコーティングされた金属シートを含み、そのため、前記第1および第2接着剤が、前記アノード集電体シートが前記アノードフレームに結合するときに前記封止金属の少なくとも一部と接触する、請求項54に記載のアルカリ電池。
【請求項56】
前記アノードフレームの前記部分的に閉じた端部がそれを貫通する穴を有し、それ故に前記アノード集電体シートの内表面の一部と前記アノードとの間で接触が可能になる、請求項55に記載のアルカリ電池。
【請求項57】
前記アノード集電体の前記内表面の一部が封止金属を有しない、請求項56に記載のアルカリ電池。
【請求項58】
前記封止金属が、当該封止金属が外気に曝されたときに、前記封止金属の表面上に同一金属の酸化物および同一金属の水酸化物のうちの少なくとも1つを含む金属被膜化合物を形成するという特性を有し、前記金属被膜化合物が、アルカリ電解質による侵食に耐える、請求項55に記載のアルカリ電池。
【請求項59】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属被膜化合物が、前記封止金属でコーティングされていない前記集電体の表面上に形成される酸化物被膜または水酸化物被膜よりもアルカリ電解質への溶解性が低い、請求項55に記載のアルカリ電池。
【請求項60】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属被膜化合物が、実質的にアルカリ電解質に不溶性である、請求項58に記載のアルカリ電池。
【請求項61】
前記アノードが、前記電池が放電しているときに電気化学反応を経るアノード活物質を含み、かつ前記封止金属が、前記封止金属の表面上に存在する前記金属被膜化合物が前記アルカリ電解質の存在下で前記アノード活物質によって還元されないように、前記アノード活物質よりも大きな負の電気化学ポテンシャルを有する、請求項58に記載のアルカリ電池。
【請求項62】
前記アノードが、亜鉛を含むアノード活物質を含み、かつ前記封止金属が、前記封止金属の表面上に存在する前記封止金属化合物が前記アルカリ電解質の存在下で前記亜鉛によって還元されないように、前記亜鉛よりも大きな負の電気化学ポテンシャルを有する、請求項58に記載のアルカリ電池。
【請求項63】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、ランタン、ランタニド系列元素、およびこれらの合金から成る群より選択される、請求項55に記載のアルカリ電池。
【請求項64】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、およびランタン、並びにこれらの合金から成る群より選択される、請求項55に記載のアルカリ電池。
【請求項65】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、およびこれらの合金から成る群より選択される、請求項55に記載のアルカリ電池。
【請求項66】
前記アノードフレームが、有機ポリマー材料を含む、請求項54に記載のアルカリ電池。
【請求項67】
前記接着剤が、エポキシ、ポリアミド、部分重合したエポキシ、およびアスファルトから成る群より選択される、請求項55に記載のアルカリ電池。
【請求項68】
前記接着剤が、エポキシおよびアスファルトから成る群より選択される、請求項55に記載のアルカリ電池。
【請求項69】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外表面間の距離として定義される、請求項54に記載のアルカリ電池。
【請求項70】
前記電池の全厚が、約1.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外表面間の距離として定義される、請求項54に記載のアルカリ電池。
【請求項71】
前記電池が剛構造である、請求項54に記載のアルカリ電池。
【請求項72】
前記カソードが、二酸化マンガンを含む固体と、前記固体との混合状態にある水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含み、前記カソードが、約45%〜70%の多孔率を有する半固体である、請求項54に記載のアルカリ電池。

【図1】
image rotate

【図1A】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図5E】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate

【図7E】
image rotate

【図7F】
image rotate

【図7G】
image rotate

【図8】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate


【公表番号】特表2008−541398(P2008−541398A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512297(P2008−512297)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/015885
【国際公開番号】WO2006/124218
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】