説明

エッチング残留物を除去するための、過酸化物によって活性化されたオキソメタレートベース調合物

(a)水と、(b)アルカリ性pHの最終調合物を産生するのに十分な量の、少なくとも1つの無金属イオン塩基と、(c)少なくとも1つの水溶性無金属イオンケイ酸塩腐食防止剤約0.01〜約5重量%(%SiOとして表される)と、(d)少なくとも1つの金属キレート剤約0.01〜約10重量%と、(e)少なくとも1つのオキシメタレート0超〜約2.0重量%とを含む、高アルカリ性水性調合物が本発明によって提供される。このような調合物は過酸化物と化合されて、ペルオキシメタラートが形成され、マイクロ電子洗浄組成物が産生される。マイクロ電子デバイス、たとえばマイクロ電子基材から汚染物質および残留物を除去するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、マイクロ電子デバイスからエッチング残留物を除去するのに有用な組成物であって、良好な耐食性と洗浄効率の改善を提供する組成物に関するものである。詳細には、本発明は、マイクロ電子産業で特に有用であり、金属線およびビアを有するマイクロ電子基材からエッチング残留物を除去するのに特に有効である、過酸化物によって活性化された水性高アルカリ性オキソメタレート調合物を提供する。本発明は、このような組成物を利用してこのようなマイクロ電子基材およびデバイスを洗浄する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002]マイクロ電子製造の重要な部分は、画像をマスクまたはレチクルから所望の回路層に転写するためにフォトレジストを使用することである。所望の画像転写が達成された後に、エッチング工程を使用して所望の構造を形成する。このようにして形成される最も一般的な構造は、金属線およびビアである。金属線を使用して、同じ製造層に存在する集積回路の各種の部品間に電気接続部を形成する。ビアは、誘電体層を通じてエッチングされ、その後、導電性金属で充填されるホールである。これらのビアを使用して、集積回路の各種の垂直層間に電気接続部を作製する。金属線やビアの形成に使用する工程では、一般にハロゲン含有ガスが使用される。
【0003】
[0003]エッチング工程が完了した後に、化学剥離溶液によって、または酸素プラズマ灰化工程によってフォトレジストを除去できる。問題は、このようなエッチング工程が通常の化学剥離溶液によって除去できない高度に不溶性の金属含有残留物を産生することである。また、特にアルミニウムベースの集積回路の場合には、灰化工程の間に金属含有残留物は酸化され、除去するのがなお困難になる。非特許文献1を参照されたい。
【0004】
[0004]このようなエッチング工程の例は、集積回路上での金属線のパターン形成である。この工程では、金属フィルム上にフォトレジストコーティングが塗布されて、次にマスクまたはレチクルを通じて撮像され、フォトレジストコーティング中のパターンが選択的に露光される。コーティングは現像されて、使用したフォトレジストのトーンに応じて露光または未露光フォトレジストのどちらかが除去されて、金属パターン上にフォトレジストが生成される。残存したフォトレジストは通例、高温にて高硬度焼付けされて、溶媒を除去し、場合によりポリマーマトリクスを架橋させる。実際の金属エッチングステップが次に実施される。このエッチングステップにより、フォトレジストに被覆されていない金属が気体プラズマの作用によって除去される。このような金属の除去によって、パターンがフォトレジスト層から金属層に転写される。残存するフォトレジストは次に有機剥離溶液によって、または酸素プラズマ灰化処置によって除去(「剥離」)される。灰化処置の後に、液体有機剥離溶液を使用するすすぎステップが続くことが多い。しかし現在利用できる剥離溶液、通常はアルカリ性剥離溶液は、集積回路に不溶性金属酸化物や他の金属含有残留物を残存させる。
【0005】
[0005]このようなエッチング工程の別の例は、集積回路上でのビア(相互接続ホール)のパターン形成である。この工程では、誘電体フィルム上にフォトレジストコーティングが塗布されて、次にマスクまたはレチクルを通じて撮像され、フォトレジストコーティング中のパターンが選択的に露光される。コーティングは現像されて、使用したフォトレジストのトーンに応じて露光または未露光フォトレジストのどちらかが除去されて、金属パターン上にフォトレジストが生成される。残存したフォトレジストは通常、高温にて高硬度焼付けされて、溶媒が除去され、場合によりポリマーマトリクスが架橋される。実際の誘電体エッチングステップが次に実施される。このエッチングステップにより、フォトレジストに被覆されていない誘電体が気体プラズマの作用によって除去される。このような誘電体の除去によって、パターンがフォトレジスト層から誘電体層に転写される。残存するフォトレジストは次に有機剥離溶液によって、または酸素プラズマ灰化処置によって除去(「剥離」)される。通例、誘電体は、下にある金属層が露出される箇所までエッチングされる。金属/誘電体境界には通例、チタンまたは窒化チタン反射防止または拡散バリア層が存在する。この境界層は、通常、貫通してエッチングされて、下にある金属を露出させる。含有されるチタンまたは窒化チタン層を貫通するエッチングの作用により、ビアの内側に形成されるエッチング残留物にチタンが取り込まれることが見出された。酸素プラズマ灰化は、これらのビア残留物を酸化して、除去するのをより困難にする。したがって、このような残留物の洗浄を可能にするために、剥離溶液にチタン残留物除去促進剤を添加する必要がある。非特許文献2を参照されたい。灰化処置の後に、液体有機剥離溶液を使用するすすぎステップが続くことが多い。しかし現在利用できる剥離溶液、通常はアルカリ性剥離溶液は、集積回路に不溶性金属酸化物や他の金属含有残留物を残存させる。有機溶媒含有率が高いヒドロキシルアミンベースの剥離剤や灰化後残留物除去剤はいくつか市場に出回っているが、ビアや金属線に見られる他の残留物に対するほど有効ではない。その剥離剤や除去剤は、ビアや金属線から残留物を除去するために高温(通例は65℃以上)も必要とする。
【0006】
[0006]金属フィルムを含有する超小型回路へアルカリ性剥離剤を使用すると、特に、アルミニウムあるいはアルミニウムまたはチタンなどの活性金属と、銅またはタングステンなどのより陽性の金属との各種の組み合せまたは合金を含有する金属フィルムと共に使用したときに、必ずしも良質の回路が産生されるわけではなかった。多種多様の金属腐食、たとえば腐食ウィスカー、電解腐食、点食、金属線のノッチングが、少なくとも一部は、金属とアルカリ性剥離剤との反応のために観察されてきた。さらに非特許文献3によって、ウエハーから有機剥離剤を除去するのに必要である水洗ステップまでごくわずかな腐食作用が起こっていることが示されている。腐食は明らかに、金属に、すすぎステップの間に存在する強アルカリ性水溶液を接触させた結果である。アルミニウム金属は、このような条件下で急速に腐食することが公知である(非特許文献4)。
【0007】
[0007]この腐食問題を回避するために使用された以前の方法は、イソプロピルアルコールなどの非アルカリ性有機溶媒を用いた中間すすぎを利用した。しかしこのような方法は費用がかかり、望ましくない安全上、衛生化学上、そして環境上の影響を有する。
【0008】
[0008]特許文献1では、フォトレジスト残留物や他の望ましくない汚染物質を除去することによって、半導体ウエハー基材を剥離または洗浄するための、マイクロ電子産業で有用な水性アルカリ性組成物が開示されている。水性組成物は通例、(a)約10〜13のpHを生じるのに十分な量の、1つ以上の無金属イオン塩基と、(b)水溶性の無金属イオンケイ酸塩約0.01〜約5重量%(%SiOとして表される)と、(c)1つ以上の金属キレート剤約0.01〜約10重量%と、(d)場合により、他の成分とを含有する。
【0009】
[0009]しかし従来技術で開示された組成物のいずれも、代表的なエッチング工程後に残存するすべての有機汚染物質や金属含有残留物を効果的に除去しない。ケイ素含有残留物は、これらの調合物を使用して除去するのが特に困難である。したがって、集積回路を損傷することなく無機および有機汚染物質をこのような基材から除去することによって、半導体ウエハー基材を洗浄する剥離組成物への要求がある。単体ウエハーツールが幅広く使用されているので、金属および有機汚染物質を従来技術の組成物よりも短時間かつ低温で除去することができる調合物への要求もある。このような組成物は、集積回路を部分的に構成する金属構成要素を腐食してはならず、中間すすぎによって発生する費用や悪影響を回避すべきである。タングステンおよびアルミニウム線は、段落[0008]で議論した調合物による洗浄時に特に腐食を受けやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,465,403号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】“Managing Etch and Implant Residue,”Semiconductor International,August 1997,56−63頁
【非特許文献2】“Removal of Titanium Oxide Grown on Titanium Nitride and Reduction of Via Contact Resistance Using a Modern Plasma Asher”,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,Vol.495,1998,345−352頁
【非特許文献3】Leeら、Proc.Interface‘89,pp.137−149
【非特許文献4】Ambatら、Corrosion Science,Vol.33(5),p.684.1992
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0010]本発明により、(a)水と、(b)アルカリ性pH、好ましくは約11〜約13.4のアルカリ性pHの最終組成物を産生するのに十分な量の、少なくとも1つの、無金属イオン塩基と、(c)少なくとも1つの水溶性の無金属イオンケイ酸塩腐食防止剤約0.01〜約5重量%(%SiOとして表される)と、(d)少なくとも1つの金属キレート剤約0.01〜約10重量%と、(e)少なくとも1つのオキソメタレート0超〜約2.0重量%とを含む、高アルカリ性水性調合物が提供される。このような調合物は、オキソメタレートと反応する少なくとも1つの過酸化物と化合してペルオキソメタレートを形成して、水性アルカリ性マイクロ電子洗浄組成物を生じる。水の量は、調合物または組成物の100重量%の残りである。本出願で示すパーセンテージはすべて、別途指摘しない限り重量パーセントであり、組成物の全重量に基づいている。
【0013】
[0011]洗浄組成物を半導体ウエハー基材と、基材表面から望ましくない汚染物質および/または残留物を洗浄するのに十分な時間にわたって、十分な温度にて接触させる。本発明の組成物は、耐食性の向上と洗浄効率の改善を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0012](a)水と、(b)アルカリ性pH、好ましくは約11〜約13.4のアルカリ性pHの最終調合物を産生するのに十分な量の、少なくとも1つの無金属イオン塩基と、(c)少なくとも1つの水溶性の無金属イオンケイ酸塩腐食防止剤約0.01〜約5重量%(%SiOとして表される)と、(d)少なくとも1つの金属キレート剤約0.01〜約10重量%と、(e)少なくとも1つのオキソメタレート0〜約2.0重量%とを含む、本発明の高アルカリ性水性調合物が本発明によって提供される。このような調合物を、調合物のオキソメタレートと反応性である少なくとも1つの過酸化物と化合させて、得られた洗浄組成物の使用前にペルオキソメタレートが形成されるようにする。得られた組成物を半導体ウエハー基材などのマイクロ電子デバイスと、基材表面から望ましくない汚染物質および/または残留物を洗浄するのに十分な時間にわたって十分な温度にて接触させる。
【0015】
[0013]本発明は、半導体ウエハー表面から汚染物質および残留物を剥離および洗浄するために過酸化物と化合する新たな水性調合物を提供し、該調合物は水(好ましくは高純度脱イオン水)と、1つ以上の無金属イオン塩基と、1つ以上の無金属イオンケイ酸塩腐食防止剤と、1つ以上の金属キレート剤と、1つ以上のオキソメタレートとを含有する。
【0016】
[0014]いずれの適切な塩基も、本発明の水性調合物で使用できる。塩基は、好ましくは第4級アンモニウムヒドロキシド、たとえばテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(一般にアルキルまたはアルコキシ基中に炭素原子1〜4個のヒドロキシ−およびアルコキシ−含有アルキル基を含む)である。これらのアルカリ性物質のうち最も好ましいのは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよびトリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)である。他の有用な第4級アンモニウムヒドロキシドとしては:トリメチル−3−ヒドロキシプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル−3−ヒドロキシブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル−4−ヒドロキシブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、トリプロピル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、モノメチルトリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチル−トリエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、モノエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノエチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジエチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジブチルアンモニウムヒドロキシドなど、およびその混合物が挙げられる。
【0017】
[0015]本発明で機能する他の塩基としては、アンモニウムヒドロキシド、有機アミン、特にアルカノールアミン、たとえば2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミンなど、および他の有機強塩基、たとえばグアニジン、1,3−ペンタンジアミン、4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン、アミノエチルピペラジン、4−(3−アミノプロピル)モルホリン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、トリス(2−アミノエチル)アミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミンおよびヒドロキシルアミンが挙げられる。ナトリウムまたはカリウムなどの金属イオンを含有するアルカリ性溶液も作用しうるが、発生することが考えられる残留金属汚染物質のために好ましくない。これらのさらなるアルカリ性成分の混合物、特にアンモニウムヒドロキシドと上述のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドとの混合物も有用である。
【0018】
[0016]無金属イオン塩基は調合物で利用されて、最終調合物に高いアルカリ性、一般に約11〜約13.4のpHを与える。
【0019】
[0017]いずれの適切な無金属イオンケイ酸塩も本発明の調合物で使用できる。ケイ酸塩は、好ましくは第4級アンモニウムシリケート、たとえばテトラアルキルアンモニウムシリケート(一般にアルキルまたはアルコキシ基中に炭素原子1〜4個のヒドロキシ−およびアルコキシ−含有アルキル基を含む)である。最も好ましい無金属イオンケイ酸塩成分は、テトラメチルアンモニウムシリケートである。本発明の他の適切な無金属イオンケイ酸塩源は、高アルカリ性洗浄剤に以下の物質のいずれか1つ以上を溶解させることによってインサイチューで産生できる。洗浄剤でケイ酸塩を産生させる適切な無金属イオン物質は、固体シリコンウエハー、ケイ酸、コロイド状シリカ、ヒュームドシリカあるいはシリコンまたはシリカの他のいずれかの適切な形である。
【0020】
[0018]少なくとも1つの無金属イオンケイ酸塩が調合物中に約0.01〜約5重量%、好ましくは約0.01〜約2%の量で存在するであろう。
【0021】
[0019]本発明の調合物は適切な1つ以上の金属キレート剤を用いても調合され、調合物が溶液中に金属を保持して、ウエハー基材上の金属残留物の溶解を促進する能力を向上させる。この目的に有用な金属キレート剤の代表的な例としては、以下の有機酸ならびにその異性体および塩:(エチレンジニトリロ)四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、シクロヘキサン−1,2−ジアミン四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトロロ三酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、糖酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、カテコール、没食子酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8−ヒドロキシキノリン、およびシステインである。
[0020]金属キレート剤として好ましいのは、アミノカルボン酸、たとえばシクロヘキサン−1,2−ジアミン四酢酸(CyDTA)である。このクラスの金属キレート剤は、プラズマ「灰化」後に金属線およびビアに対して通例見出されるアルミニウム含有残基に対して高い親和性を有する。加えて、このクラスの金属キレート剤のpKaとしては、通例、本発明の組成物の性能を改善する約12のpKaが挙げられる。
【0022】
[0021]少なくとも1つの金属キレート剤が調合物中に約0.01〜約10重量%の量で、好ましくは約0.01〜約2%の量で存在する。
【0023】
[0022]周期律表の第V族および第VI族からの遷移金属のいずれの適切なオキソメタレートも、本発明の調合物で利用できる。オキソメタレート成分は、単核オキソメタレート、ホモ多核オキソメタレート、およびヘテロ多核オキソメタレートより選択される1つ以上のオキソメタレートを含むことができる。本発明の遷移金属オキソメタレートは、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)またはタンタル(Ta)のオキソメタレートを含む。オキサメタレートは、調合物中に0超〜約2重量%の量で、好ましくは約0.01〜2重量%の量で存在するであろう。
【0024】
[0023]適切な単核オキソメタレートとしては、式[MOp]n−のオキソメタレートが挙げられ、式中、Mは、Cr、V、Mo、W、Nb、およびTaなどの高酸化状態早期遷移金属であり、Zは電荷を平衡させる対イオンである。最も好ましい電荷を平衡させる対イオンは、プロトン、テトラアルキルアンモニウム、およびアンモニウムカチオンである。ナトリウムまたはカリウムなどの金属イオンも作用しうるが、発生することが考えられる残留金属汚染物質のために好ましくない。このような適切な単核オキソメタレートの一例はたとえば(NHMoOであり、式中、NHは電荷を平衡させる対イオンであり、MoOはオキソメタレートである。
【0025】
[0024]適切なホモ多核オキソメタレートとしては、式[Mn−のオキソメタレートが挙げられ、式中、Mは、Cr、V、Mo、W、Nb、およびTaなどの高酸化状態早期遷移金属であり、Zは電荷を平衡させる対イオンである。これらは単核オキソメタレートから酸との縮合によって形成される。このような適切なホモ多核オキソメタレートの一例はたとえば(NHMo24であり、式中、NHは電荷を平衡させる対イオンであり、Mo246−はホモ多核オキソメタレートである。適切なヘテロ多核オキソメタレートとしては、式[Xn−のオキソメタレートが挙げられ、式中、Mは、Cr、V、Mo、W、Nb、およびTaなどの高酸化状態早期遷移金属であり;Xは、遷移金属または主族元素のどちらかでありうるヘテロ原子であり、Zは電荷を平衡させる対イオンである。ヘテロ多核オキソメタレートの一例は、HSiW1240であり、式中、Hは電荷を平衡させる対イオンであり、Siはヘテロ原子Xであり、Wは早期遷移金属Mである。
【0026】
[0025]本発明の調合物は、洗浄組成物の有効性にとって有害でない任意の成分、たとえば界面活性剤、残留物除去促進剤などを含有することができる。
【0027】
[0026]本発明の調合物に適切なオキソメタレートとしては、これに限定されるわけではないが、モリブデン酸アンモニウム((NHMoO)、タングステン酸アンモニウム((NHWO)、タングステン酸(HWO)、メタバナジン酸アンモニウム(NHVO)、ヘプタモリブデン酸アンモニウム((NHMo24)、メタタングステン酸アンモニウム((NH1240)、パラタングステン酸アンモニウム((NH101242)、デカバナジウム酸テトラメチルアンモニウム((TMA)1028)、デカニオブ酸テトラメチルアンモニウム((TMA)Nb1028)、二クロム酸アンモニウム((NHCr)、ホスホモリブデン酸アンモニウム((NHPMo1240、シリコタングステン酸(HSiW1240)、ホスホタングステン酸(HPW1240)、ホスホモリブデン酸(HPMo1240)、シリコモリブデン酸(HSiMo1240)、リン酸モリブドバナド(HPMo1040)が挙げられる。
【0028】
[0027]本発明の好ましい調合物の例としては、これに限定されるわけではないが、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.1%、テトラメチルアンモニウムシリケート0.14%、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸0.12%、および約モリブデン酸アンモニウムまたはシリコタングステン酸0.01〜約2%および100%までの残量の水を含む調合物が挙げられる。
【0029】
[0028]上述の調合物は、少なくとも1つの過酸化物と約5:1〜約40:1の前記調合物の過酸化物に対する比で、好ましくは15:1〜30:1の比で、最も好ましくは20:1の比で化合されて、マイクロ電子洗浄組成物を提供するであろう。上述の調合物のオキソメタレートと反応性であり、ペルオキソメタレートを形成するいずれの過酸化物も利用できる。適切な過酸化物としては、過酸化水素;ペルオキシ酸、たとえばペルオキシ二リン酸(H)、ペルオキシ二硫酸(H)、フタルイミドペルオキシカプロン酸、ペルオキシ酢酸(C)、ペルオキシ安息香酸、ジペルオキシフタル酸、およびその塩;および過酸化アルキル、たとえば過酸化ベンゾイル、過酸化メチルエチルケトン、過酸化ジクミル、過酸化tert−ブチルクミルが挙げられる。好ましい過酸化物は、過酸化水素である。
【0030】
[0029]洗浄効率の向上は、これらのオキソメタレート種による過酸化物の活性化の結果であると考えられる。塩基性溶液中で、オキソメタレート(金属=WVI、MoVI、CrVI、V、Nb、およびTa)は過酸化物と反応して、無機ペルオキソメタレートを形成する。これらのペルオキソメタレートは洗浄を2つの方法で向上させる。第1に、ペルオキソメタレートは分解して一重項酸素、すなわち過酸化水素よりも強いオキシダントである高い反応性ラジカル酸化剤を産生する。この一重項酸素は残留物の酸化を改善して、したがって残留物の溶解を改善できると考えられる。ペルオキシメタレートは、過酸化物による有機物の酸化にとって効率的な触媒であることも公知である。この触媒活性は、炭素ベース残留物の酸化および除去を促進することができる。
【0031】
[0030]化合溶液中で産生した、得られたペルオキソメタレートの分解のために、これらの溶液の寿命は一般に制限されている。ペルオキソモリブデートによって生成された溶液の赤色に基づいて、モリブデン酸アンモニウムを含有する、段落[0027]の好ましい調合物は、過酸化水素(20%)と20:1希釈で混合されたときに、25℃にて5分(2%モリブデン酸アンモニウム)〜45分(0.01%モリブデン酸アンモニウム)の寿命を示す。シリコタングステン酸を含有する、段落[0027]の好ましい調合物の場合、20%過酸化水素と混合されている(20:1)調合物から生じる洗浄組成物の寿命ははるかに長く、色変化に基づいて45分(2%シリコタングステン酸)〜5時間(0.01%シリコタングステン酸)である。20:1希釈で過酸化水素20%と混合されたときのシリコタングステン酸(0.5%)を含有する、段落[0027]の好ましい調合物を含む洗浄組成物でのAlエッチング速度変化の測定値は、過酸化水素20%と20:1希釈で混合したときに、わずか3.5時間の浴寿命を示したが、組成物は過酸化水素を用いてスパイクすることによって活性化することができた。これらの組成物の加熱は、これらの組成物の寿命を劇的に短縮させる。
【0032】
[0031]半導体およびマイクロチップ産業でこれらの組成物にオキソメタレートを使用することの他の1つの懸念事項は、処理後にウエハー表面に金属が残存する可能性である。モリブデンおよびタングステンのこれらの組成物からの金属吸収は、XPS(X線光電子分光法)を使用して試験した。過酸化水素(20%)と20:1の比で混合された、モリブデン酸アンモニウムおよびシリコタングステートを含有する段落[0027]の好ましい調合物中でのAlおよびTEOSの処理、脱イオン水中での1分間のすすぎ、アルゴン中での乾燥の後、ウエハー表面のいずれにもMoまたはWは観察されなかった。このことは、これらの金属アニオンをウエハー表面から容易にすすぐことが可能であり、遷移金属汚染物質がこれらの調合物による問題であるはずがないことを示唆している。
【0033】
[0032]本発明の洗浄組成物のエッチング速度は、20%過酸化水素を20:1の希釈比で添加した段落[0027]の好ましい調合物を用いて25℃にて測定した。比較のために、オキソメタレートを用いずに対照調合物を調製した(対照調合物=水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.1%、テトラメチルアンモニウムシリケート0.14%、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸0.12%。シリコタングステン酸またはモリブデン酸アンモニウムを含有する試験を行ったすべての好ましい洗浄組成物が、対照調合物と比較してAl、Ti、およびTEOSエッチング速度を著しく低下させたわけではないが、Wエッチング速度は対照調合物によって得たエッチング速度の約半分であった。
【0034】
[0033]20%過酸化水素を20:1の比で添加したこれらの好ましい調合物の洗浄効率を、Al金属線およびビアの両方に対して試験した。対照として段落[0032]の対照調合物を使用した。試験したAl金属線の場合、対照調合物は45℃にて5分後にすべての残留物を除去することだけはできたが、電解腐食は、25℃にて5分後にも常に観察された。両方の好ましい調合物では、対照調合物と比較して電解腐食の劇的な減少が観察され、残留物除去は、より低温かつより短い処理時間で達成された。モリブデン酸アンモニウム(0.1%)を含有する好ましい調合物では、これらの金属線は25℃にてわずか2分で、腐食を伴わずに洗浄された。シリコタングステン酸(0.5%)を含有する好ましい調合物では、金属線は25℃にて2分で完全に洗浄され、腐食はほとんど観察されなかった。試験したAlビアの場合、20%過酸化水素を20:1の比で含む対照調合物は、ビアを25℃にてわずか5分で洗浄することができた。シリコタングステン酸を含む好ましい調合物では、対照調合物で観察された腐食の増加を伴わずに、調合物の20%過酸化水素に対するより高い比(30:1)を使用できる。この場合、洗浄は25℃にてわずか2分で行うことができる。
【0035】
[0034]一般に、シリコタングステン酸およびモリブデン酸アルミニウムを含有する好ましい調合物は、対照調合物よりも腐食防止および洗浄効率が改善されたことを示す。また両方の場合で、タングステンエッチング速度は、対照調合物と比較してほぼ半分に短縮される。
【0036】
[0035]本発明はその具体的な実施形態を参照して本明細書で説明されてきたが、本明細書に開示された本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、変更、修飾および変形が行えることが認識される。したがって、添付した特許請求の範囲の精神および範囲に含まれるこのような変更、修飾および変形すべてが含まれることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水と、(b)アルカリ性pHを有する最終調合物を産生するのに十分な量の、少なくとも1つの無金属イオン塩基と、(c)少なくとも1つの水溶性の無金属イオンケイ酸塩腐食防止剤約0.01〜約5重量%(%SiOとして表される)と、(d)少なくとも1つの金属キレート剤約0.01〜約10重量%と、(e)少なくとも1つのオキソメタレート0超〜約2.0重量%とを含む、過酸化物と化合してマイクロ電子デバイスを洗浄するためのアルカリ性水性調合物。
【請求項2】
前記オキソメタレートがモリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)およびタンタル(Ta)から成る群より選択される金属のオキソメタレートである、請求項1に記載の調合物。
【請求項3】
前記オキソメタレートが単核オキソメタレート、ホモ多核オキソメタレート、およびヘテロ多核オキソメタレートから成る群より選択される、請求項2に記載の調合物。
【請求項4】
前記調合物のアルカリ性pHが約pH11〜約pH13.4である、請求項2に記載の調合物。
【請求項5】
前記無金属イオン塩基がアンモニウムヒドロキシドであり、前記無金属イオンケイ酸塩が第4級アンモニウムシリケートであり、前記金属キレート剤がアミノカルボン酸である、請求項2に記載の調合物。
【請求項6】
前記オキソメタレートが、モリブデン酸アンモニウム((NHMoO)、タングステン酸アンモニウム((NHWO)、タングステン酸(HWO)、メタバナジン酸アンモニウム(NHVO)、ヘプタモリブデン酸アンモニウム((NHMo24)、メタタングステン酸アンモニウム((NH1240)、パラタングステン酸アンモニウム((NH101242)、デカバナジウム酸テトラメチルアンモニウム((TMA)1028)、デカニオブ酸テトラメチルアンモニウム((TMA)Nb1028)、二クロム酸アンモニウム((NHCr)、ホスホモリブデン酸アンモニウム((NHPMo1240、シリコタングステン酸(HSiW1240)、ホスホタングステン酸(HPW1240)、ホスホモリブデン酸(HPMo1240)、シリコモリブデン酸(HSiMo1240)、リン酸モリブドバナド(HPMo1040)から成る群より選択される、請求項5に記載の調合物。
【請求項7】
前記無金属イオン塩基がテトラメチルアンモニウムヒドロキシドであり、前記無金属イオンケイ酸塩がテトラメチルアンモニウムシリケートであり、前記金属キレート剤がトランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸であり、前記オキソメタレートがモリブデン酸アンモニウムおよびシリコタングステン酸から成る群より選択される、請求項6に記載の調合物。
【請求項8】
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.1%、テトラメチルアンモニウムシリケート0.14%、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸0.12%、およびオキソメタレート約0.01〜約2%および100%までの残量の水を含む、請求項7に記載の調合物。
【請求項9】
前記オキソメタレートがモリブデン酸アンモニウムである、請求項8に記載の調合物。
【請求項10】
前記オキソモリブデートがシリコタングステン酸である、請求項8に記載の調合物。
【請求項11】
マイクロ電子デバイスを洗浄するためのアルカリ性水性洗浄組成物であって、前記洗浄組成物が少なくとも1つの過酸化物と約5:1〜約40:1の調合物対過酸化物の比で混合された請求項1に記載の調合物を含み、少なくとも1つの過酸化物がオキソメタレートと反応性であってペルオキソメタレートを形成する、アルカリ性水性洗浄組成物。
【請求項12】
マイクロ電子デバイスを洗浄するためのアルカリ性水性洗浄組成物であって、前記洗浄組成物が少なくとも1つの過酸化物と約5:1〜約40:1の調合物対過酸化物の比で混合された請求項2に記載の調合物を含み、少なくとも1つの過酸化物がオキソメタレートと反応性であってペルオキソメタレートを形成する、アルカリ性水性洗浄組成物。
【請求項13】
マイクロ電子デバイスを洗浄するためのアルカリ性水性洗浄組成物であって、前記洗浄組成物が少なくとも1つの過酸化物と約5:1〜約40:1の調合物対過酸化物の比で混合された請求項7に記載の調合物を含み、少なくとも1つの過酸化物がオキソメタレートと反応性であってペルオキソメタレートを形成する、アルカリ性水性洗浄組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの過酸化物が過酸化水素を含む、請求項11に記載のアルカリ性水性洗浄組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの過酸化物が過酸化水素を含む、請求項12に記載のアルカリ性水性洗浄組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの過酸化物が過酸化水素を含む、請求項13に記載のアルカリ性水性洗浄組成物。
【請求項17】
マイクロ電子基材に請求項11に記載の洗浄組成物を、汚染物質または残留物を除去するのに十分な時間および温度で接触させるステップを含む、マイクロ電子基材から汚染物質および残留物を洗浄する工程。
【請求項18】
マイクロ電子基材に請求項12に記載の洗浄組成物を、汚染物質または残留物を除去するのに十分な時間および温度で接触させるステップを含む、マイクロ電子基材から汚染物質および残留物を洗浄する工程。
【請求項19】
マイクロ電子基材に請求項13に記載の洗浄組成物を、汚染物質または残留物を除去するのに十分な時間および温度で接触させるステップを含む、マイクロ電子基材から汚染物質および残留物を洗浄する工程。
【請求項20】
マイクロ電子基材に請求項16に記載の洗浄組成物を、汚染物質または残留物を除去するのに十分な時間および温度で接触させるステップを含む、マイクロ電子基材から汚染物質および残留物を洗浄する工程。

【公表番号】特表2010−518242(P2010−518242A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549586(P2009−549586)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/001103
【国際公開番号】WO2008/100377
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(592162807)マリンクロット ベーカー, インコーポレイテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】J T BAKER INCORPORATED
【Fターム(参考)】