説明

エネルギーマネジメントシステム及びエネルギーマネジメント方法

【課題】住宅内の負荷設備の消費エネルギーの調整や遮断を行うことで過電流による住宅全体の停電を未然に防止でき、住宅全体のエネルギーの使用が管理可能なエネルギーマネジメントシステムを提供する。
【解決手段】電気自動車のバッテリを充電するためのEVコンセント4と、住宅内の負荷設備5の消費電力量を検出するCTセンサ6と、EVコンセント4から電気自動車への充電電力量を検出するCTセンサ7と、負荷設備5の運転制御が可能な機器コントローラ8と、住宅の主幹容量を記憶するHDD14と、機器コントローラ8に負荷設備5の運転制御に関する指示信号を送信するホームサーバ1と、を備え、ホームサーバ1は、負荷設備5の消費電力量と電気自動車の充電電力量の合計電力量が主幹容量を超えた場合には、機器コントローラ8に、負荷設備5の負荷が減少する運転を行うように指示する指示信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーマネジメントシステム及びエネルギーマネジメント方法に係り、特に、家庭用電源を用いた電気自動車充電設備を備えた住宅の消費エネルギーを管理可能なエネルギーマネジメントシステム及びエネルギーマネジメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化等の環境問題を背景に、二酸化炭素排出量の削減のための対策として、電気自動車やプラグインハイブリッド車の実用化がなされている。このような電気自動車は、家庭用電源からバッテリへ充電を行うことができ、安価な夜間電力を利用して夜間に充電することでエネルギー費用を抑えることができる。
【0003】
電気自動車の家庭用電源からの充電は、充電用ケーブルを屋外の家庭用電源(100V又は200Vコンセント)に接続して行うため、ケーブルがコンセントに接続されたときのみ通電されて充電が行われる。そこで、夜間電力時間帯に充電を行うなど所定の時間帯に充電を行うよう制御したい場合には、分電盤内に業務用のタイマースイッチを設置して、予め設定された時刻にタイマースイッチの入り、切り制御を行うことで、所定の時間帯のみ電気自動車充電用のコンセントへ通電して充電を行うよう制御することができる。
【0004】
しかし、業務用タイマースイッチによるコンセントの入り、切り制御では、設定された時刻以外にコンセントの入り、切りの切換えが行えず、また充電時刻設定の変更操作も容易ではない。すなわち、例えばユーザによるボタン操作などの簡単な操作により、即座にコンセントの入り、切り操作を行うことができない。さらに、リビングなどの常時ユーザが居る場所から遠隔操作によってタイマー設定やコンセントの入り、切り操作を行うことができない。
【0005】
なお、コンセントに別売のタイマー付きコンセント機器を差し込んでコンセントの入り、切りを行うことも考えられるが、電気自動車充電用の200Vの電圧や大容量(15A〜20A)の電流に対応していないため、適用できない。また、適用可能であるとしても、上述の業務用タイマースイッチと同様、容易な操作かつ遠隔操作による制御が行えないという問題がある。
【0006】
電気自動車の普及とは別に、環境問題への対応として省エネルギーが重要視されており、住宅部門においても省エネルギー対策に関心が高まっている。一方、住宅で使用される家電機器の増加やIH(Induction Heating)クッキングヒーターの導入等により、消費電力が増加傾向にあり、今後は電気自動車の普及によりさらに一般家庭におけるエネルギーの需要が高まるものと予想される。
【0007】
通常、住宅の分電盤は、過電流が主幹ブレーカに流れたときに、予め設定されている負荷を遮断することで建物内の停電を防止するよう、過電流警報装置及び負荷遮断装置を備えている。この場合、過電流防止機能では、予め設定した負荷以外を遮断することができず、その負荷を遮断したくない場合には、その都度設定を変更する必要がある。
【0008】
そこで、住宅内の端末装置に一定期間における電気使用量を時系列で表示させることにより、使用者が電気使用量の変化を容易に且つ効果的に把握でき、電気機器の使い方を変えることで省エネ効果を実感させることができる電力監視システが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また近年、家電機器や給湯機器など住宅内のエネルギー消費機器をネットワーク化し、エネルギーの使用状況を表示したり、エネルギーの使用状況に応じて各機器を自動制御するための手段として、HEMS(Home Energy Management System)が提案されている。HEMSの導入により、住宅全体のエネルギーの需要と供給を総合的に把握すると共に、各機器を効率的に運転して省エネルギーを実現することが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−202985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に記載の技術では、分岐ブレーカ毎に使用電力量を計測し、一定期間の電気使用量の変化を表示して、使用者に省エネを意識した電気機器の使用を促すことが可能であるものの、実際の電気機器の運転は使用者に委ねられており、使用電力量を監視して自動で電気機器の運転を制御することはできない。
【0012】
さらに、上述したようにHEMSによる住宅のエネルギー管理が提案されているものの、家庭用電源を用いた電気自動車の充電エネルギーを加味した住宅全体のエネルギーの管理の必要性については考慮されていない。すなわち、ユーザが電気自動車のバッテリの充電状況に加えて住宅全体のエネルギーの使用状況を把握できるような仕組みはなく、また住宅全体で負荷が大きくなった場合の対策はなされていない。
【0013】
そこで、住宅内、例えばリビングなどからの遠隔操作により電気自動車の充電用コンセントのタイマー制御や即時入り、切り制御を行うと共に、住宅内の電気機器などの負荷設備の消費電力と電気自動車の充電電力とを併せて総合的にエネルギーの管理を行い、効率的に運用することができる仕組みの提供が望まれている。
【0014】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、家庭用電源を用いた電気自動車充電設備を備えた住宅において、住宅内の負荷設備の消費エネルギーの調整や遮断を行うことで過電流による住宅全体の停電を未然に防止でき、住宅全体のエネルギーの使用を管理可能なエネルギーマネジメントシステム及びエネルギーマネジメント方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題は、請求項1のエネルギーマネジメントシステムによれば、電気自動車のバッテリを充電するための充電用電源と、住宅内の負荷設備の消費電力量を検出する負荷電力検出手段と、前記充電用電源から前記電気自動車への充電電力量を検出する充電電力検出手段と、前記負荷設備の運転制御が可能な機器運転制御手段と、住宅の主幹容量を記憶する記憶手段と、前記機器運転制御手段に前記負荷設備の運転制御に関する指示信号を送信する主制御手段と、を備え、前記主制御手段は、前記負荷電力検出手段から取得した前記負荷設備の消費電力量と、前記充電電力検出手段から取得した前記電気自動車の充電電力量と、前記記憶手段から取得した主幹容量とを比較し、前記負荷設備の消費電力量と前記電気自動車の充電電力量の合計電力量が前記主幹容量を超えた場合には、前記機器運転制御手段に、前記負荷設備の負荷が減少する運転を行うように指示する指示信号を送信すること、により解決される。
【0016】
このように、負荷設備の消費電力量と電気自動車の充電電力量の合計電力量、すなわち住宅全体で必要な電力量が主幹容量を超えた場合、主制御手段が機器運転制御手段に負荷設備の負荷が減少する運転を行うように指示する指示信号を送信することにより、指示信号を受信した機器運転制御手段が指示に基づいて各負荷設備の運転制御を行い、負荷が減少するような運転を行うことができる。このように負荷設備の運転をコントロールすることにより、住宅全体で使用する電力量が主幹容量以下になり、過電流を未然に防ぐことができる。
【0017】
さらに、請求項2のように、前記主制御手段は、前記負荷設備の消費電力量と前記電気自動車の充電電力量の合計電力量が前記主幹容量に基づく所定の値を超えた場合には、前記機器運転制御手段に、前記負荷設備の運転停止を指示する指示信号を送信すると好適である。
【0018】
このように、負荷設備の消費電力量と電気自動車の充電電力量の合計電力量、すなわち住宅全体で必要な電力量が主幹容量に基づく所定の値、例えば主幹容量の150%の値を超えた場合、主制御手段が機器運転制御手段に負荷設備の運転停止を指示ように指示する指示信号を送信する。指示信号を受信した機器運転制御手段が指示に基づいて必要な負荷設備の運転を停止させ、住宅全体の負荷を減少させる。このように負荷設備の運転をコントロールすることにより、過電流を未然に防ぐことができる。
【0019】
このとき、請求項3のように、前記記憶手段には、運転制御対象の前記負荷設備の優先順位に関する情報を含む負荷制御情報が記憶されており、前記主制御手段は、前記負荷制御情報に設定されている優先順位の順に前記負荷設備の負荷減少運転が行われるように指示信号を作成することができる。
【0020】
負荷制御情報に負荷を減少させる運転(負荷調整)を行う負荷設備、すなわち電気機器の優先順位を記憶しておき、その順に負荷減少運転を行うことで、所望の順で電気機器の運転を制御することができる。例えば、昼間であれば負荷を減少させても生活にそれ程影響がないと思われる照明器具から優先して負荷調整するなど、適宜優先順位を設定することで好適な負荷制御を行うことが可能となる。
【0021】
また、請求項4のように、前記負荷設備の運転状態を表示可能な表示手段を備え、前記主制御手段は、前記機器運転制御手段に送信した指示信号の内容に応じて、前記負荷設備の運転状態を表示させると好ましい。
【0022】
このように表示手段に運転状況を表示させることで、ユーザが容易に運転状態を把握できるとともに、ユーザ自ら負荷設備の運転を調整したり停止したりするように促すことも可能となる。
【0023】
また、前記課題は、請求項5のエネルギーマネジメント方法によれば、請求項1に記載のエネルギーマネジメントシステムを用いたエネルギーマネジメント方法であって、前記主制御手段が、前記負荷電力検出手段から前記負荷設備の消費電力量を取得し、前記充電電力検出手段から前記電気自動車の充電電力量を取得し、前記記憶手段から住宅の主幹容量を取得するステップと、前記主制御手段が、前記負荷設備の消費電力量と前記電気自動車の充電電力量の合計電力量と、前記主幹容量とを比較するステップと、前記負荷設備の消費電力量と前記電気自動車の充電電力量の合計電力量が前記主幹容量を超えている場合には、前記主制御手段が、前記機器運転制御手段に、前記負荷設備の負荷が減少する運転を行うように指示する指示信号を送信するステップと、を備えたこと、により解決される。
【0024】
このとき、請求項6のように、前記負荷設備の消費電力量と前記電気自動車の充電電力量の合計電力量が前記主幹容量に基づく所定の値を超えている場合には、前記主制御手段が、前記機器運転制御手段に、前記負荷設備の運転停止を指示する指示信号を送信するステップを備えていると好適である。
【0025】
また、請求項7のように、前記記憶手段には、運転制御対象の前記負荷設備の優先順位に関する情報を含む負荷制御情報が記憶されており、前記機器運転制御手段に指示信号を送信するステップでは、前記主制御手段が、前記負荷制御情報に設定されている優先順位の順に前記負荷設備の負荷減少運転が行われるように指示信号を作成して送信することができる。
【0026】
このようなエネルギーマネジメント方法によれば、負荷設備の消費電力量と電気自動車の充電電力量の合計電力量、すなわち住宅全体で必要な電力量が主幹容量を超えた場合に、各負荷設備の負荷が減少するような運転制御を行って、過電流を未然に防ぐことができる。また、負荷設備の消費電力量と電気自動車の充電電力量の合計電力量、すなわち住宅全体で必要な電力量が主幹容量に基づく所定の値、例えば主幹容量の150%の値を超えた場合に、必要な負荷設備の運転を停止させ、住宅全体の負荷を減少させて、過電流を未然に防ぐことができる。また、負荷制御情報に設定された優先順位の順に負荷減少運転を行うことで、所望の順で電気機器の運転を制御することができ、好適な負荷制御を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のエネルギーマネジメントシステム及びエネルギーマネジメント方法によれば、家庭用電源を用いた電気自動車充電設備を備えた住宅において、住宅内の負荷設備の消費エネルギーの調整や遮断を行い、過電流による住宅全体の停電を未然に防止することができる。すなわち、このように各負荷設備の消費電力量を制御することにより、住宅全体のエネルギーの使用を管理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係るエネルギーマネジメントシステムの全体構成図である。
【図2】エネルギーマネジメントシステムの全体構成図である。
【図3】ホームサーバのハードウェア構成図である。
【図4】自動充電処理のフローチャートである。
【図5】自動充電処理のフローチャートである。
【図6】自動充電処理のフローチャートである。
【図7】自動充電処理のフローチャートである。
【図8】手動充電処理のフローチャートである。
【図9】住宅内の負荷電流値の推移を示すグラフである。
【図10】負荷コントロール情報の説明図である。
【図11】負荷監視・制御処理のフローチャートである。
【図12】負荷監視・制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明するシステム構成、ハードウェア構成、処理フロー等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で各種改変することができることは勿論である。
本明細書において、ユーザとは、本発明のエネルギーマネジメントシステムの利用者であり、以下で説明する実施形態においては、住宅の居住者のことである。また、電気自動車を以下「EV」(Electric Vehicle)とも表記し、ホームエネルギーマネジメントシステムを以下「HEMS」(Home Energy Management System)と表記する。
【0030】
図1乃至図10は本発明に係るエネルギーマネジメントシステムの一実施形態を示し、図1及び図2はエネルギーマネジメントシステムの全体構成図、図3はホームサーバのハードウェア構成図、図4乃至図7は自動充電処理のフローチャート、図8は手動充電処理のフローチャート、図9は住宅内の負荷電流値の推移を示すグラフ、図10は負荷コントロール情報の説明図、図11乃至図12は負荷監視・制御処理のフローチャートである。
【0031】
本実施形態に係るエネルギーマネジメントシステムSは、図1及び図2に示すように、主制御手段としてのホームサーバ1と、表示手段としてのモニタ2と、分電盤3と、充電用電源としてのEVコンセント4と、各種電気機器等の負荷設備5(5a〜5e)と、負荷電力検出手段としてのCTセンサ6と、充電電力検出手段としてのCTセンサ7と、を含んで構成されている。さらに、機器コントローラ8を備えてもよい。
【0032】
本実施形態の主制御手段としてのホームサーバ1はホームゲートウェイであり、ホームネットワーク100(図1及び図2における破線)に接続された各電気機器の異なるプロトコル間をまたいで、アドレス変換やデータの載せ換え等を行って機器間の通信を可能とするとともに、ホームネットワーク100とインターネット102間の接続を行う。また、ホームサーバ1は本エネルギーマネジメントシステムSの制御を行うサーバであり、ホームネットワーク100に接続された各機器の制御や、各電気機器(負荷設備5)の消費電力量の管理等を行う。さらに、ホームサーバ1は、インターネット102からホームネットワーク100へのアクセス時の認証等を行うサーバ機能、及び各機器から取得した情報やウェブデータ等の蓄積を行う蓄積機能を有している。
【0033】
ホームネットワーク100(図1及び図2における破線)は、ホームサーバ1、住宅内の電気機器、例えば、パソコンやプリンタ等のPC系機器,テレビやDVD・HDDレコーダ等のAV機器,電話やファックスなどの電話系機器,エアコンや電子レンジ等のいわゆる白物家電機器などを有線又は無線LANで接続する家庭内LANである。本実施形態では、少なくともホームサーバ1と、モニタ2と、CTセンサ6,7と、分電盤3に設けられたリレー31とが、ホームネットワーク100を介して接続されている。また、各部屋の照明やエアコン等の運転モードや電源ON/OFFを制御するための機器運転制御手段としての機器コントローラ8がホームサーバ1とネットネットワーク100を介して接続されている。
【0034】
図3にホームサーバ1のハードウェア構成を示す。
ホームサーバ1は、各種演算・制御処理を行う処理装置としてのCPU11と、各種データベースやプログラム等を記憶する記憶装置としてのROM12,RAM13,HDD14と、ホームサーバ1と外部との情報の入出力制御を行う入出力インタフェース15と、を含んで構成されている。
【0035】
CPU11は、各種プログラムが実行する処理の制御や演算等を行う演算処理装置である。CPU11は、例えば、後述する本エネルギーマネジメントシステムS専用のモニタ2で選択された充電モードに関する情報を、入出力インタフェース15を介して受け付けると、受け付けた充電モードに応じて分電盤3に設けられたリレー31へ通電開始信号又は通電終了信号を送信する処理を実行する。また、各負荷設備5やEVコンセント4の消費電力量(電流値)を入出力インタフェース15を介してCTセンサ6,7から定期的に受信して蓄積するとともに、ユーザが確認可能なように必要な情報に加工してモニタ2に表示する処理を実行する。なお、各処理の詳細は後述する。
【0036】
ROM12は入出力制御プログラム等を記憶する記憶装置、RAM13はプログラム実行時に必要なデータやプログラムを一時的に記憶するための記憶装置である。
HDD14は、エネルギーマネジメントシステムSの各処理を実行するプログラムや、各種プログラムを実行するときに必要な各種パラメータやデータベースを記憶するための記憶装置であり、本実施形態における記憶手段である。
【0037】
HDD14は、プログラムとしては、例えばユーザにより充電モードが選択された場合の充電処理を行うプログラムや、負荷設備5の消費電力量、電気自動車の充電電力量などのモニタ2への表示処理を行うプログラム等を記憶している。また、パラメータやデータやデータベースとしては、例えば、電気自動車を自動充電モードで充電するときの充電開始時刻/充電終了時刻情報や、電気自動車の充電が行われているかどうかを示すEV状態情報(充電中/停止中)、予め設定されている主幹ブレーカの定格電流値(主幹容量)、住宅の負荷監視・制御に用いられる予め設定されている警告電流値・遮断電流値や負荷コントロール情報、CTセンサ6,7から定期的に取得した消費電力量の履歴を記憶する電力情報データベース等を記憶している。
【0038】
入出力インタフェース15は、ホームネットワーク100及びインターネット102を介してホームサーバ1と外部との情報の入出力を行う。例えば、モニタ2で選択された充電モードに関する情報や、CTセンサ6,7で測定した消費電力量等の電力情報をホームサーバ1へ入力する。また、CPU11がリレー31に対して発行する通電開始/通電終了信号の出力を行う。
【0039】
モニタ2は、本実施形態では、壁付けのタッチパネルディスプレイを用いたエネルギーマネジメントシステムS専用のモニタである。モニタ2は、例えばリビングやダイニングキッチンなど、通常居住者がいる場所に設置されている。モニタ2はホームネットワーク100を介してホームサーバ1と接続されており、常時、現在日時、外気温、室内気温等を表示している。外気温と室内気温は、ホームサーバ1と接続される温度センサ(不図示)から温度情報を取得することができる。
【0040】
また、モニタ2は、電気自動車の充電ケーブルとEVコンセント4との接続状況(接続されている/接続されていない)を表示する。モニタ2に接続状況の表示を行うことで、ユーザがわざわざ屋外に接続状況を確認しに行く必要はなく、リビングなどの住宅内から接続状況の確認を行うことができる。
【0041】
この充電ケーブルとEVコンセント4との接続状況の取得方法としては、例えば、EVコンセント4に圧力センサ41を取付けて、充電ケーブルが差し込まれたときに圧力センサ41が測定した情報をホームサーバ1へ送信し、ホームサーバ1で接続の有無を判断することができる。
または、EVコンセント4の周囲に画像センサ43を設け、画像データをホームサーバ1へ送信し、ホームサーバ1で画像処理を行って充電ケーブルが接続されているか否かの判断を行うようにしてもよい。画像データを利用する場合には、予め登録された画像に対応する物以外の物がEVコンセント4に差し込まれた場合には異常を通知することも可能であり、いたずらや電力の盗難防止機能として利用できる。
【0042】
モニタ2は、さらに、ホームサーバ1が後述する負荷電力検出手段としてのCTセンサ6から収集した負荷設備5の現在の消費電力量や、充電電力検出手段としてのCTセンサ7から取得したEV充電電力量、及び電気自動車のバッテリの充電状況(充電中/充電停止中などの実施状況や充電残量等)を表示する。
【0043】
モニタ2はまた、ユーザはこのモニタ2を操作して、電気自動車を充電するための充電モードの選択を行うことが可能である。充電モード選択とは、電気自動車の充電を所定の時刻に自動で開始するか、手動で開始するかを指定するものである。充電モード選択時には、ユーザがモニタ2のタッチパネルを操作して気温等の通常表示から充電モード選択表示に切換えて、いずれかの充電モードをタッチすることにより所望の充電モードの選択を行う。モニタ2はユーザによる選択入力を受け付けて、選択された充電モードに関する情報をホームネットワーク100を介してホームサーバ1に送信する。
【0044】
本発明のエネルギーマネジメントシステムSでは、このようにリビングなどの住宅内部に設けられたモニタ2に表示される住宅内の負荷設備5の消費電力量を確認しながら、モニタ2からの遠隔操作にて、電気自動車の充電モードを選択できることを特徴としている。本実施形態においては、充電モードとして「自動充電モード」と「手動充電モード」の2つのモードが選択可能である。
【0045】
「自動充電モード」とは、予め設定した充電開始時刻/終了時刻に電気自動車の充電の開始/終了を行うモードであり、本実施形態では、システムの初期設定において、充電開始時刻/終了時刻に電力が安価な夜間時間帯の開始時刻/終了時刻がそれぞれ設定されている。また、この充電開始時刻及び充電終了時刻は、必要に応じてユーザがモニタ2から変更入力することも可能である。自動充電モードでは、この設定された充電開始時刻/終了時刻に自動で充電を開始/終了するようにEVコンセント4の通電が制御される。なお、後述するように、設定されている終了時刻前であっても、電気自動車のバッテリが満充電となった場合には自動的に充電を終了する。
なお、充電開始時刻及び充電終了時刻は、ユーザがモニタ2から自動充電モードを選択した場合に、入力画面を表示して必ず入力するようにしてもよい。
【0046】
「手動充電モード」とは、ユーザが充電開始/終了の指示を行ったときに、即時に電気自動車の充電を開始/終了するモードである。この充電開始/終了の入力も同様にモニタ2から行う。モニタ2で手動充電モードを選択し、「充電開始」の入力を行うと、充電を開始するようEVコンセント4への通電が行われる。また、充電中に「充電終了」の入力を行うと、充電を終了するようEVコンセント4への通電が停止される。なお、充電終了の入力が行われなくても、電気自動車のバッテリが満充電となった場合には、ホームサーバ1から後述する通電制御手段としてのリレー31に通電停止信号を送信することによりEVコンセント4への通電を停止して、自動的に充電を終了する。
【0047】
本実施形態では、初期設定においてモニタ2で自動充電モードが選択されており、手動充電モードで即時充電の開始/終了を行った場合でも、手動充電モードでの即時充電が終了すると、自動充電モードに復帰する。すなわち、予め設定した充電開始時刻になると常に自動充電モードによる自動充電処理を開始するように制御される。これにより、日中に急な充電が必要となり、手動充電モードで充電を行った場合でも、その後、モニタ2で充電モード変更などの特別な操作を行う必要がなく、充電ケーブルを充電コンセント4に接続しておくだけで、夜間に自動充電モードにて自動充電を行うことができる。本明細書において、モニタ2で自動充電モードが選択されている状態とは、この手動充電モードから自動充電モードに復帰した自動充電モード状態をも含むものとする。
【0048】
なお、本実施形態に限定されず、モニタ2からユーザによる充電モードの変更入力があるまでは、一度選択した充電モードを維持するように構成してもよい。その場合は、例えばホームサーバ1のHDD14に選択されている充電モードを記憶しておき、記憶されている充電モードを参照し、自動充電処理または手動充電処理のいずれかを実行するように制御すればよい。
【0049】
なお、本実施形態では、充電モードを選択する手段としてタッチパネルディスプレイを用いた専用のモニタ2を設けているが、家庭内で用いられている、キーボードやマウス等の入力機器を備えたパーソナルコンピュータや、ウェブブラウザ機能を備えたテレビ、携帯電話等を利用することも可能である。この場合は、ホームサーバ1と各機器をホームネットワーク100を介して接続し、各機器側に本システム専用の表示・入力機能を実現するモジュールをインストールすることで、同様に充電モードの入力や電力量の表示等が行えるようになる。
【0050】
分電盤3は、商用電力系統から供給される電力を、各部屋の電気機器やコンセントへ配電するための回路を有し、主幹ブレーカ、漏電ブレーカ、分岐ブレーカ等を備え、各分岐回路が配電線を介して各負荷へ接続されている。また、分電盤3の内部には、リレー(継電器)31が、EVコンセント4と接続される分岐回路と配電線の間に設けられている。
【0051】
リレー31は本実施形態における通電制御手段であり、ホームサーバ1からの指示信号を受けてスイッチを閉/開(ON/OFF)することで、EVコンセント4への通電を開始/停止して、電気自動車の充電開始/充電停止を制御する。
【0052】
EVコンセント4は、電気自動車を充電するための充電用電源であり、車庫内又は屋外に設けられている。EVコンセント4は家庭用電源の100V又は200V電源であり、電気自動車の充電ケーブルのプラグをこれに差し込んで、電気自動車に搭載されているバッテリの充電を行う。なお、EVコンセント4も住宅内の負荷の一つであるが、本明細書においては、EVコンセント4とそれ以外の電気機器等の負荷とを区別し、負荷設備5はEVコンセント4以外の負荷を指すものとする。
【0053】
負荷設備5は、住宅内の電気機器などであり、例えば、照明5a,5b、エアコン5c,5d、共有コンセント、共有コンセントに接続されたテレビ5e等の電気機器である。なお、説明を容易にするため負荷設備5を5a〜5eの5つとしているが、実際はこれらに限定されるものではなく、電力を消費する全ての電気機器やコンセントを指す(本明細書では上述のとおりEVコンセント4は除く)。
【0054】
さらに、本実施形態では、負荷電力検出手段としてのCTセンサ(電流検出器)6と、充電電力検出手段としてのCTセンサ(電流検出器)7が設けられている。
CTセンサ6は、分電盤3と各負荷設備5(5a〜5e)との間の各配電線に取付けられ、各負荷設備5の消費電力量(電流値)を検出する。なお、説明を容易にするために、図2に1つの装置として図示すると共にCTセンサ6として説明するが、実際は各分岐回路からの配電線ごとに取付けられており、それぞれの負荷設備5(5a〜5e)の消費電力量を検出可能に構成されている。CTセンサ7は分電盤3とEVコンセント4を接続する配電線に設取付けられ、EVコンセント4の消費電力量(電流値)、すなわち充電電力量を検出する。これらのCTセンサ6,7は、ホームネットワーク100を介してホームサーバ1と接続されている。ホームサーバ1は定期的に、例えば5分ごとに、CTセンサ6,7が検出した電力量を取得して、HDD14に記憶して電力情報として蓄積する。
【0055】
なお、本実施形態では、負荷設備5の消費電力量測定用のCTセンサ6とEVコンセント4の充電電力量測定用のCTセンサ7の各々と、ホームサーバ1とを接続し、ホームサーバ1がそれぞれの電力量を取得するよう構成しているが、各CTセンサ6,7の情報を収集して集積する計測器を別途設けてホームサーバ1と接続し、ホームサーバ1がその計測器から情報を一括して取得するよう構成してもよい。
【0056】
機器コントローラ8は本実施形態における機器運転制御手段であり、赤外線リモコン制御機能を有する制御装置で、赤外線リモコン信号によって電源ON/OFFや運転モード等の制御が可能な電気機器を制御する。本実施形態では、機器コントローラ8はホームネットワーク100を介してホームサーバ1と接続されており、ホームサーバ1からの指示に基づいて、照明5a,5bの電源ON/OFFや調光の制御、エアコン5c,5dの電源ON/OFFや運転モードの制御、テレビ5eの電源ON/OFFや画面設定(通常モード/節電モード)の制御が可能に構成されている。後述する負荷監視・制御処理において、ホームサーバ1が住宅内の消費電力量(電気使用量)を監視して、ホームサーバ1の指示により機器コントローラ8から各負荷設備5の運転制御を行って、各負荷設備5の使用電力量を調整する。この制御により、過電流による住宅全体の停電を防止することができる。
【0057】
次に、エネルギーマネジメントシステムSによる充電制御について説明する。
ホームサーバ1のCPU11により、自動充電モード時は自動充電処理が実行され、手動充電モード時は手動充電処理が実行される。本実施形態では、通常は自動充電モードで自動充電処理が実行されており、ユーザが手動充電モードに切り換えて充電開始の入力を行ったときに手動充電処理が起動、実行され、手動充電処理が終了すると、自動充電モードに戻って自動充電処理が行われる。以下、本実施形態に基づく各処理のフローを説明するが、これに限定されるものではなく、充電モードの変更入力が行われるまでは同一の充電モードを維持して該当する充電処理のみを実行するように制御することもできる。
【0058】
図4乃至図8を参照して自動充電処理及び手動充電処理を説明する。図4乃至図7は自動充電処理のフロー、図8は手動充電処理の処理フローを示す。
自動充電処理は、ホームサーバ1のCPU11により、常時所定の間隔で実行される。
自動充電処理では、先ず予め設定されている充電開始時刻及び充電終了時刻をHDD14から取得し(ステップS1)、ホームサーバ1内の自己の時計機能より現在時刻を取得して(ステップS2)、現在時刻と充電開始時刻及び充電終了時刻とを比較する(ステップS3)。そして、現在時刻が充電開始時刻以降且つ充電終了時刻より前(充電開始時刻<=現在時刻<充電終了時刻)の場合(ステップS3;Yes)、すなわち、現在時刻が充電時間帯に含まれる場合、充電処理を実行し(ステップS4)、充電処理が終了すると、自動充電処理の先頭に戻る。
【0059】
ステップS3における現在時刻と充電開始時刻及び充電終了時刻との比較において、現在時刻が充電開始時刻より前、又は充電終了時刻以降の場合(ステップS3;No)、すなわち、現在時刻が充電時間帯に含まれていない場合、充電を行わない若しくは充電を行っているときは充電を停止するため、EV通電停止信号をリレー31へ送信する(ステップS5)。そして、HDD14に記憶されているEV状態情報を「停止中」に更新し(ステップS6)、充電状況をユーザに通知するためモニタ2の画面に「充電停止中」の表示を行い(ステップS7)、自動充電処理の先頭へ戻る。
【0060】
EV状態情報とは、電気自動車の充電が行われているか否か、すなわち、充電中か充電停止中かを示すものであり、HDD14に記憶されており、充電制御処理内で所定の条件に基づいて更新される情報である。
【0061】
なお、ステップS5においてCPU11からリレー31へEV通電停止信号を送信したときのリレー31側の処理は次の通りである。リレー31は、ホームサーバ1からEV通電停止信号を受信すると、EVコンセント4と接続されているスイッチをOFFにする。これによりEVコンセントへの通電が停止され、電気自動車の充電が停止する。
【0062】
ステップS4の充電処理では、先ずHDD14からEV状態情報を取得する(ステップS11)。EV状態情報が「充電中」の場合(ステップS12;Yes)、EV充電電力量(電流値)を取得する(ステップS13)。具体的には、EVコンセント4の電流を計測する充電電力検出手段としてのCTセンサ7に対して、CPU11からEV充電電力量要求信号を送信し、CTセンサ7からEV充電電力量を受信する。または、ホームサーバ1は定期的にCTセンサ7からEVコンセント4の電流値を取得してHDD14に記憶しているため、その記憶情報を参照するようにしてもよい。
EV状態情報が充電中以外、すなわち停止中の場合(ステップS12;No)、EV充電電力量に初期値、本実施形態ではゼロをセットする(ステップS14)。充電中以外の間は充電電力量が必ずゼロになるためである。
【0063】
次に、住宅内の負荷設備5の消費電力量の合計である住宅負荷電力量(電流値)を取得する(ステップS15)。具体的には、分電盤3側に配設された、住宅内の負荷設備5の電流を計測する負荷電力検出手段としてのCTセンサ6に対して、CPU11から住宅負荷電力量要求信号を送信し、CTセンサ6から住宅負荷電力量を受信する。または、ホームサーバ1は定期的にCTセンサ6から負荷設備5の電流値を取得してHDD14に記憶しているため、その記憶情報を参照するようにしてもよい。
【0064】
そして、予め設定されている主幹ブレーカの定格電流値(主幹容量)をHDD14から取得し(ステップS16)、全体の消費電力量、すなわちEV充電電力量と住宅負荷電力量の合計値と、主幹容量とを比較する(ステップS17)。EV充電電力量と住宅負荷電力量の合計値が主幹容量より小さい場合には、主幹容量に余裕があるため、電気自動車の充電が可能であるが、EV充電電力量と住宅負荷電力量の合計値が主幹容量以上の場合には、主幹容量に余裕がなく、電気自動車の充電を行うと過電流となる可能性があるため、充電を行わないよう制御する必要がある。
【0065】
よって、EV充電電力量と住宅負荷電力量の合計値が主幹容量以上の場合(ステップS17;EV充電電力量+住宅負荷電力量>=主幹容量)、すなわち、主幹容量に余裕がない場合は、充電を停止すべく、EV通電停止信号をリレー31へ送信する(ステップS18)。そして、充電状況をユーザにお知らせするため、モニタ2の画面に「過負荷による充電停止中」の表示を行い(ステップS19)、HDD14に記憶されているEV状態情報を「停止中」に更新して(ステップS20)、本処理を終了し、自動充電処理の先頭に戻る。なお、リレー31がホームサーバ1からEV通電停止信号を受信した場合の処理は、上述した処理と同様である。
【0066】
一方、CPU11は、ステップS17での比較の結果、EV充電電力量と住宅負荷電力量の合計値が主幹容量より小さい場合(ステップS17;EV充電電力量+住宅負荷電力量<主幹容量)は、初期充電電力量をHDD14から取得する(ステップS21)。
【0067】
初期充電電力量とは、電気自動車のバッテリが満充電になっていることを判定するために用いられる、予め設定された第1の閾値(電流値)であり、HDD14に記憶されている。その時点でのEV充電電力量とこの初期充電電力量とを比較して、EV充電電力量が初期充電電力量以上の間はバッテリが満充電ではないと判定する。これは、バッテリの充電残量が少なく充電が行われている場合にはバッテリへ供給される電流値が大きく、バッテリが充電されるにつれてバッテリへ供給される電流値が減少していくことによるものである。
【0068】
取得したEV充電電力量と初期充電電力量とを比較して(ステップS22)、EV充電電力量が初期充電電力量以上(EV充電電力量>=初期充電電力量)の場合(ステップS22;Yes)、すなわち満充電でないと判定した場合、ステップ11で取得したEV状態情報が充電中か否かを判定し(ステップ23)、EV状態情報が充電中以外、すなわち停止中の場合(ステップS23;No)、充電を開始すべく、EV通電開始信号をリレー31へ送信する(ステップS24)。そして、充電状況をユーザにお知らせするため、モニタ2の画面に「充電中」の表示を行い(ステップS25)、HDD14のEV状態情報を「充電中」に更新して(ステップS26)、本処理を終了し、自動充電処理の先頭に戻る。
【0069】
ステップS23でEV状態情報が充電中の場合(ステップ23;Yes)には、継続して充電を行うため、そのまま自動充電処理の先頭に戻る。
【0070】
なお、ステップS24においてCPU11からリレー31へEV通電開始信号を送信したときのリレー31側の処理は次の通りである。リレー31は、ホームサーバ1からEV通電開始信号を受信すると、EVコンセント4と接続されているスイッチをONにする。これによりEVコンセント4への通電が開始され、電気自動車の充電が開始する。
【0071】
ステップS22での比較の結果、EV充電電力量が初期充電電力量未満(EV充電電力量<初期充電電力量)の場合(ステップS22;No)、満充電の可能性があるが、さらに実際に充電を行った時間を考慮して満充電か否かを判定する。そのため、満充電みなし時間をHDD14から取得し(ステップS27)、連続して充電を行っている時間を累積した充電総時間と、満充電みなし時間とを比較する(ステップS28)。
【0072】
満充電みなし時間とは、電気自動車のバッテリが満充電になるまでに要する標準の時間であり、システムの初期設定において予め設定され、HDD14に記憶されている。また、充電総時間は、CPU11が連続して充電を行っている時間の累積値をRAM13の記憶領域に記憶し、所定間隔で更新することにより取得可能である。この充電総時間が満充電みなし時間以上(充電総時間>=満充電みなし時間)となった場合(ステップS28;Yes)、バッテリが満充電であると判定し、充電を停止するためEV通電停止信号をリレー31へ送信する(ステップS31)。そして、HDD14のEV状態情報を「停止中」に更新し(ステップS32、充電状況をユーザに通知するためモニタ2の画面に「満充電」の表示を行い(ステップS33)、本処理を終了し、自動充電処理の先頭に戻る。なお、リレー31がホームサーバ1からEV通電停止信号を受信した場合の処理は、上述した処理と同様である。
【0073】
ステップS28で比較した結果、充電総時間が満充電みなし時間に達していない(充電総時間<満充電みなし時間)場合(ステップS28;No)、充電終了電力量をHDD14から取得する(ステップS29)。充電終了電力量とは、電気自動車のバッテリが満充電になっていることを判定するために用いられる、予め設定された第2の閾値(電流値)であり、HDD14に記憶されている。充電総時間が満充電みなし時間に達していない場合であっても、その時点でのEV充電電力量とこの充電終了電力量とを比較して、EV充電電力量が充電終了電力量以下の場合はバッテリが満充電であると判定し、EV充電電力量が充電終了電力量より大きい場合はバッテリが満充電でないと判定する。
【0074】
EV充電電力量と充電終了電力量を比較して(ステップS30)、EV充電電力量が充電終了電力量以下(EV充電電力量<=充電終了電力量)の場合(ステップS30;Yes)、バッテリの充電を終了するため、ステップS31に進んでステップS31〜ステップS33の処理を行い、本処理を終了し、自動充電処理の先頭に戻る。
EV充電電力量が充電終了電力量より大きい(EV充電電力量>充電終了電力量)場合(ステップS33;Yes)、そのまま本処理を終了し、自動充電処理の先頭に戻る。
【0075】
以上のように、自動充電モード時にはホームサーバ1のCPU11で自動充電処理が実行され、EVコンセント4の通電制御が行われることによって、予め設定されている充電開始時刻に電気自動車のバッテリの充電を開始し、充電終了時刻又は充電終了時刻以前であってもバッテリが満充電になったときに充電を終了する制御が行われる。なお、自動充電処理を繰り返し実行する場合には、自動充電処理の先頭に戻る前に、所定時間、例えば1分間待機してから処理の先頭に戻り、処理を再開するように制御すると、処理効率が向上する。
【0076】
次に、手動充電処理について説明する。
ユーザがモニタ2で手動充電モードを選択し、充電開始の入力を行うと、モニタ2からホームサーバ1に手動充電開始信号が送信される。ホームサーバ1のCPU11は、手動充電開始信号を受信すると、本手動充電処理を実行する。
【0077】
手動充電処理は即時に充電を開始する処理であり、先ず、手動充電処理の終了入力の有無を判定する(ステップS51)。ユーザが手動充電モードでの充電中に、充電を終了したい場合には、モニタ2から充電終了の入力を行うことで充電を終了させることができる。ユーザがモニタ2で充電終了の入力を行うと、モニタ2からホームサーバ1に手動充電終了信号が送信される。CPU11で手動充電終了信号を受信した場合には、RAM13等の記憶領域に一時記憶しておき、ステップS51ではこの情報を参照して判定する。
【0078】
手動充電処理の終了入力が行われていない場合(ステップS51;No)、充電処理S52を実行する。この充電処理S52は、自動充電処理内の充電処理S4と同様の処理である(図5乃至図7参照)。このように、手動充電処理では、ユーザが手動充電モードの選択を行なったときにEV充電電力量、住宅負荷電力量、主幹容量等に基づいてEVコンセント4の通電制御を行うことによって、即時に電気自動車のバッテリの充電を開始し、バッテリが満充電になった時またはユーザが終了入力を行った時に充電を終了するよう制御が行われる。
なお、リレー31がホームサーバ1からEV通電開始信号、又はEV通電停止信号を受信した場合の処理も、上述した自動充電処理の場合と同様である。
【0079】
そしてバッテリが満充電か否かの判定を行う(ステップS53)。満充電の判定は、例えば、充電処理S52(S4)のステップS32でEV状態情報を更新するときに、停止中以外に「満充電」であることを併せて記憶しておくことで、判定が可能となる。バッテリが満充電の場合(ステップS53;Yes)、自動充電処理へ進む。この時点で手動充電処理は実質的に終了する。バッテリが満充電でない場合(ステップS53;No)、手動充電処理の先頭に戻り、満充電になるまで、またはユーザより手動充電処理の終了入力が行われるまで、充電処理S52を繰り返し実行する。
【0080】
ステップS51において手動充電処理の終了入力が行われた場合(ステップS51;Yes)、自動充電処理へ進む。この時点で手動充電処理は実質的に終了する。このように自動充電処理に進むことにより、手動充電モードで充電を行った後でも、予め設定した所定の充電開始時刻には自動充電処理が実行される。
【0081】
以上説明したように、本発明のエネルギーマネジメントシステムSでは、電気自動車の充電を自動で行うか、手動で行うかの選択が可能であり、住宅全体の消費電力量を考慮しながら最適な時間帯に電気自動車の充電を行うことができる。また、モニタ2を用いた遠隔操作で容易に充電モードの変更、及び即時充電を行うことができる。
【0082】
さらに、本実施形態のエネルギーマネジメントシステムSでは、ホームサーバ1により住宅内の負荷設備5及びEVコンセント4の消費電力量(電気使用量)を監視して、電気使用量が主幹容量に近づくと警告を発したり、過電流が生じると自動的に負荷のコントロールや遮断を行うよう制御する。このような自動制御により、過電流が生じ、主幹ブレーカが落ちて住宅全体が停電となることを防止する。
以下にホームサーバ1の負荷監視・制御機能について説明する。図9は住宅内の負荷電流値の推移を示すグラフであり、図10は負荷コントロール情報を示す。
【0083】
1.警告機能
同時に多くの負荷設備5やEVコンセント4を使用した結果、過電流となり、主幹ブレーカが遮断されて住宅全体が停電となるのを防ぐため、ホームサーバ1は、全体の電気使用量(住宅負荷電力量とEV充電電力量との合計)が予め設定された所定の電流値である警告電流値に達したときに、過電流になる可能性をユーザに通知して警告を行う。警告電流値とは、主幹ブレーカの定格電流値(主幹容量:図9における主幹電流値)未満且つ主幹容量に近い電流値であり、例えば主幹容量の90%の値を設定することができる。このユーザへの警告は、例えばモニタ2に警告表示を行うとともに、モニタ2のスピーカから警告用の音声を出力したりブザーを鳴らしたりして行うことができる。このような警告を行うことによって、ユーザの自己の操作により不要な電気機器の使用を中止するよう促すことができる。例えば、図9に示されるグラフのa点及びb点では、この警告が行われる。
【0084】
2.自動負荷コントロール機能
警告が行われても電気機器等を使用し続け、全体の電気使用量が主幹容量を超えた場合で、且つ主幹容量を超過した電流値が所定の値以内の場合には、自動で各負荷設備5の電気使用量を予め設定された電流値まで下げるように制御する。例えば、図9に示されるグラフのc点では、このような各負荷設備5の負荷を下げる制御が行われる。なお、ここでの電流値の判定に用いられる所定の値は、本実施形態では、後述する自動負荷遮断機能における遮断要否の判定で用いられる遮断電流値と同一の値である。
【0085】
負荷設備ごとの負荷のコントロールを実行するために、図10に示されるような負荷コントロール情報を予め設定しておくことができる。この負荷コントロール情報の各値は予めユーザにより設定されており、HDD14に記憶されている。
本実施形態の負荷コントロール情報には、少なくとも、住宅内の負荷設備と、負荷設備ごとの消費電力量,適格電流値,負荷調整後の最低負荷電流値,昼間の負荷調整優先順位,夜間の負荷調整優先順位が記憶されている。なお、図10に示す負荷コントロール情報の設定項目及び設定値は一例であり、所望の制御が行えるよう必要な項目を適宜設定できるものである。
【0086】
例えば本実施形態では、負荷コントロール対象の負荷設備5として、照明5a,照明5b,エアコン5c,エアコン5d,テレビ5eが設定されており、さらにEVコンセント4に関する情報も設定されている。各負荷設備5(5a〜5e)及びEVコンセント4の定格電流値はそれぞれ、3A(A:アンペア、以下同様),2A,20A,30A,5A,20A、主幹電流値は50Aである。また、各負荷設備5(5a〜5e)及びEVコンセント4のそれぞれの調整後最低負荷電流値として、1A,1A,10A,15A,3A,20Aが設定されている。さらに、昼間の負荷調整優先順位,夜間の負荷調整優先順位が照明5a,照明5b,エアコン5c,エアコン5d,テレビ5eに対してそれぞれ設定されている。
なお、本実施形態ではEVコンセント4の電力消費を最優先としている。すなわち、EVコンセント4は負荷コントロール対象外であり、調整後最低負荷電流値には定格電流値と同じ値が設定されており、昼間及び夜間の負荷調整優先順位は設定されていない。
【0087】
同時に全ての負荷を使用している場合に各負荷設備5及びEVコンセント4を最低負荷で運転したときの負荷の合計は50Aとなる。すなわち、調整後最低負荷電流値の合計が主幹容量以下になるように設定されている。ホームサーバ1は、所定の間隔で実際に使用されている各負荷設備5及びEVコンセント4のそれぞれの電気使用量及び全体の電気使用量をチェックして、主幹容量を超過した電流値分だけ、昼間又は夜間の負荷調整優先順位に従って調整後最低負荷電流値の範囲内で負荷設備5のいずれか、若しくは全ての負荷を調整するための指示を機器コントローラ8に送信する。
【0088】
各負荷設備5の調整方法としては、照明5a,5bの電源ON/OFFや調光の制御、エアコン5c,5dの電源ON/OFFや運転モードの制御、テレビ5eの電源ON/OFFや画面設定(通常モード/節電モード)の制御を行うことにより、電気使用量を調整する。機器コントローラ8がホームサーバ1からの指示に基づいて各負荷設備5の電源ON/OFFや運転モード等の制御を行い、これにより、過電流による住宅全体の停電が発生しないようにすることができる。
【0089】
負荷調整を行う負荷設備の優先順位は予め設定しておくが、条件に応じた複数の優先順位の設定を行うことも可能である。本実施形態では、上記のとおり昼間時間帯と夜間時間帯の負荷調整優先順位がそれぞれ設定されている。例えば、図10に示すように、昼間の負荷調整の優先順位を、照明5a,照明5b,エアコン5c,エアコン5d,テレビ5eの順とし、夜間は照明を暗くすることができないため、夜間の負荷調整の優先順位を、エアコン5c,エアコン5d,テレビ5e,照明5a,照明5bの順とする、などの設定を行うことができる。
【0090】
さらに、ホームサーバ1で上記のように負荷の自動調整を行った場合には、モニタ2に調整した内容として、調整対象機器、調整後の状態(電源ON/OFFや運転モード等)を表示して、ユーザが確認できるようにする。このような表示によって、自動で調整された後の状態の把握が可能となると共に、ユーザの自己の操作により不要な電気機器の使用を中止するよう促すことができる。
【0091】
3.自動負荷遮断機能
負荷を下げて調整するよう制御を行ってもさらに過電流が生じた場合には、予め設定している順番で負荷設備5を順次自動で遮断する。例えば、図9に示されるグラフのd点では、このような負荷を遮断する制御が行われる。
ホームサーバ1では、全体の電気使用量と主幹容量とを比較して、全体の電気使用量が主幹容量を予め設定した所定の値である遮断電流値を上回った場合、負荷調整優先順位に従って負荷設備5を遮断するよう、機器コントローラ8へ指示を送信する。遮断電流値としては、例えば主幹容量の150%の値を設定することができる。機器コントローラ8は受信した指示に基づいて、該当する負荷設備5に電源をOFFするための赤外線リモコン信号を送信して、負荷設備5の電源を遮断する。電力使用量が主幹容量以下になるまで、負荷調整優先順位に従って順次負荷設備5の電源OFFを行う。
【0092】
4.自動負荷復帰機能
また、エネルギーマネジメントシステムSでは、自動復帰を行うか否かの設定を可能としている。自動復帰するよう設定されている場合には、負荷の自動調整及び自動遮断によって、全体の電気使用量が予め設定されている復帰電流値以下である状態が所定の時間以上継続した場合には、自動で負荷設備5の通電復帰を行う。例えば、図9に示されるグラフのe点では、このような自動復帰の制御が行われる。
【0093】
ホームサーバ1では、全体の電気使用量と予め設定されている復帰電流値とを比較して、全体の電気使用量が復帰電流値以下である状態が所定の時間以上継続した場合には、電源を遮断した順の逆順で順次負荷設備5の電源を復帰させるよう、機器コントローラ8へ指示を送信する。機器コントローラ8は受信した指示に基づいて、該当する負荷設備5の電源をONするための赤外線リモコン信号を送信して、負荷設備5の電源を復帰させる。
【0094】
次に、図11乃至図12に示されるフローチャートを参照して、ホームサーバ1のCPU11により実行される負荷監視・制御処理について説明する。本負荷監視・制御処理は、ホームサーバ1のCPU11により所定の間隔で繰り返し実行される。
CPU11は、CTセンサ7から定期的に取得しているEVコンセント4の電気使用量(EV充電電力量)、及びCTセンサ6から定期的に取得している負荷設備5の電気使用量(住宅負荷電力量)をHDD14から取得する(ステップS71,ステップS72)。EV充電電力量及び住宅負荷電力量は、それぞれ直接CTセンサ7及びCTセンサ6に送信要求を送信して取得してもよい。
【0095】
そして、予め設定されている主幹容量、及び過電流判定値をHDD14から取得する(ステップS73,ステップS74)。過電流判定値は、全体の電気使用量(住宅負荷電力量とEV充電電力量との合計)の監視及び電気使用量に基づいた制御を行うための判定値であり、警告電流値と遮断電流値を含む。警告電流値は、全体の電気使用量が主幹容量に近づいた時に警告を行うか否かを判定するための閾値であり、主幹容量未満且つ主幹容量に近い電流値、例えば、主幹容量の90%の値が設定されている。遮断電流値は、全体の電気使用量が主幹容量より一定の値以上大きくなった時に負荷を遮断するために判定するための閾値であり、例えば、主幹容量の150%の値が設定されている。なお、ステップS74において、警告電流値及び遮断電流値をHDD14から取得する代わりに、主幹容量及び主幹容量に対する所定の比率(例えば、90%,150%)に基づいてCPU11で警告電流値及び遮断電流値を演算してもよい。
【0096】
全体の電力使用量と警告電流値を比較して(ステップS75)、電力使用量が警告電流値未満の場合(ステップS75;Yes)、負荷状態情報を参照し、負荷状態情報が正常であれば(ステップS76;Yes)、主幹容量に余裕があるため、そのまま処理の先頭に戻る。負荷状態情報とは、負荷設備5の運転状況として正常、警告中、調整中、停止中などの状態を示すものであり、HDD14に記憶されており、負荷監視・制御処理において更新される情報である。
【0097】
負荷状態情報が正常以外の場合(ステップS76;No)には、負荷監視・制御処理において警告が発せされたか、又は負荷設備5に対して何らかの制御が行われたことを示しているため、負荷設備5の運転を正常運転に復帰させるため、機器コントローラ8へ負荷運転復帰指示信号を送信し(ステップS77)、負荷状態情報を「正常」に更新し(ステップS78)、モニタ2に負荷が正常運転を行っていることを表示する(ステップS79)。
【0098】
機器コントローラ8は、CPU11から負荷運転復帰指示信号を受信すると、指示の内容に基づいて赤外線信号を送信して、対象の負荷設備5の電源をONにするか、又は通常の運転モードに復帰させる。
【0099】
CPU11は、ステップS75の比較において全体の電力使用量が警告電流値以上である場合(ステップS75;No)、さらに全体の電力使用量と主幹容量を比較する(ステップS80)。全体の電力使用量が主幹容量以下の場合、(ステップS80;No)、過電流は生じていないが、過電流となる可能性があるため、モニタ2に対して警告表示を行って(ステップS81)、負荷状態情報を「警告中」に更新し(ステップS82)、処理の先頭に戻る。全体の電力使用量が主幹容量より大きい場合、(ステップS80;Yes)、負荷コントロール情報をHDD14から取得する(ステップS83)。そして、全体の電力使用量と遮断電流値とを比較する(ステップS84)。
【0100】
全体の電力使用量が遮断電流値以下の場合(ステップS84;No)には、負荷設備5の運転を調整して負荷を下げるため、取得した負荷コントロール情報に基づいて、機器の負荷調整優先順位及び調整後最低負荷電力量に従って、機器コントローラ8へ対象の負荷設備5の運転を調整するための負荷運転調整指示信号を送信する(ステップS85)。その後、負荷状態情報を「調整中」に更新し(ステップS86)、モニタ2に対象負荷設備5の運転モードや調整中で運転を行っていることを表示して(ステップS87)、処理の先頭に戻る。なお、負荷調整優先順位について、図10に示すように負荷コントロール情報に昼間と夜間のそれぞれの優先順位が設定されている場合には、現在時刻から昼間又は夜間を判定し、現在時刻に対応する優先順位を用いることもできる。
【0101】
機器コントローラ8は、CPU11から負荷運転調整指示信号を受信すると、指示の内容に基づいて負荷調整対象の負荷設備5に赤外線信号を送信し、当該負荷設備5の運転モードを調整する。
【0102】
CPU11は、ステップS84の比較において全体の電力使用量が遮断電流値を超える場合(ステップS84;Yes)、負荷設備5の電源を遮断して運転を停止するため、取得した負荷コントロール情報に基づいて、機器の負荷調整優先順位に従って、機器コントローラ8へ対象の負荷設備5の運転を停止、すなわち電源をOFFするための負荷運転停止指示信号を送信する(ステップS88)。その後、負荷状態情報を「停止中」に更新し(ステップS89)、モニタ2に対象負荷設備5の運転が停止していることを表示して(ステップS90)、処理の先頭に戻る。なお、負荷調整優先順位について、図10に示すように負荷コントロール情報に昼間と夜間のそれぞれの優先順位が設定されている場合に現在時刻に対応する優先順位を用いることができる点は、上記の負荷設備5の運転モード調整の場合と同様である。
【0103】
機器コントローラ8は、CPU11から負荷運転停止指示信号を受信すると、指示の内容に基づいて遮断対象の負荷設備5に赤外線信号を送信し、当該負荷設備5の電源をOFFさせる。
【0104】
この負荷監視・制御処理は所定の間隔で繰り返し実行されているため、負荷設備5が遮断されたり、運転が調整された場合でも、全体の電力使用量が警告値未満となれば、自動負荷復帰機能によって負荷設備5の運転は正常な運転に復帰される。
【0105】
このように、エネルギーマネジメントシステムSは、住宅内の全体の消費電力量(電気使用量)を監視して、負荷設備5をコントロールしたり遮断する機能を有している。この制御によって、住宅内の適切な電力消費を行うことができるとともに、主幹ブレーカが遮断されて住宅全体が停電することを防止できる。
【0106】
なお、住宅に太陽光発電システムや蓄電池システムを導入し、エネルギーマネジメントシステムSに組み込むこともできる。太陽光発電システムや蓄電池システムを組み込んだ場合には、モニタ2で、現在の発電量、売電量、買電量、消費電力量、蓄電池の蓄電残量や、「買電中」・「売電中」の状況等の表示を行い、ユーザがこれらの情報を確認できるようにすることが可能である。さらに、これらの電力量に関する1日単位の実績や、1ヵ月単位の実績などの履歴を表示することも可能であり、発電や消費等の電力量の実績を確認しながら電気機器等の使用を制御して、節電することができる。また、住宅内で発電した電力を電気自動車の充電に利用することができ、電力を有効に活用することができる。
【0107】
以上説明したように、本発明のエネルギーマネジメントシステムによれば、住宅内のモニタからの容易な遠隔操作によって、電気自動車の充電用コンセントの入り、切りのタイマー制御、及び即時切換え制御が可能となる。また、家庭用電源を用いた電気自動車充電設備を備えた住宅において、電気自動車の充電用コンセント及び各負荷設備の電気使用状況の確認が可能であるとともに、各負荷設備の消費電力量を制御することにより、住宅全体のエネルギーの使用が管理可能となる。また、住宅内の負荷設備の消費エネルギーの調整や遮断を行い、過電流による住宅全体の停電を未然に防止できる。
【符号の説明】
【0108】
S エネルギーマネジメントシステム
1 ホームサーバ(主制御手段)
2 モニタ(表示手段)
3 分電盤
4 EVコンセント
5(5a〜5e) 負荷設備
6 CTセンサ(負荷電力検出手段)
7 CTセンサ(充電電力検出手段)
8 機器コントローラ(機器運転制御手段)
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 HDD(記憶手段)
15 入出力インタフェース
31 リレー
41 圧力センサ
43 画像センサ
100 ホームネットワーク
102 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車のバッテリを充電するための充電用電源と、
住宅内の負荷設備の消費電力量を検出する負荷電力検出手段と、
前記充電用電源から前記電気自動車への充電電力量を検出する充電電力検出手段と、
前記負荷設備の運転制御が可能な機器運転制御手段と、
住宅の主幹容量を記憶する記憶手段と、
前記機器運転制御手段に前記負荷設備の運転制御に関する指示信号を送信する主制御手段と、を備え、
前記主制御手段は、前記負荷電力検出手段から取得した前記負荷設備の消費電力量と、前記充電電力検出手段から取得した前記電気自動車の充電電力量と、前記記憶手段から取得した主幹容量とを比較し、前記負荷設備の消費電力量と前記電気自動車の充電電力量の合計電力量が前記主幹容量を超えた場合には、前記機器運転制御手段に、前記負荷設備の負荷が減少する運転を行うように指示する指示信号を送信することを特徴とするエネルギーマネジメントシステム。
【請求項2】
前記主制御手段は、前記負荷設備の消費電力量と前記電気自動車の充電電力量の合計電力量が前記主幹容量に基づく所定の値を超えた場合には、前記機器運転制御手段に、前記負荷設備の運転停止を指示する指示信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項3】
前記記憶手段には、運転制御対象の前記負荷設備の優先順位に関する情報を含む負荷制御情報が記憶されており、前記主制御手段は、前記負荷制御情報に設定されている優先順位の順に前記負荷設備の負荷減少運転が行われるように指示信号を作成する請求項1に記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項4】
前記負荷設備の運転状態を表示可能な表示手段を備え、
前記主制御手段は、前記機器運転制御手段に送信した指示信号の内容に応じて、前記負荷設備の運転状態を表示させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のエネルギーマネジメントシステムを用いたエネルギーマネジメント方法であって、
前記主制御手段が、前記負荷電力検出手段から前記負荷設備の消費電力量を取得し、前記充電電力検出手段から前記電気自動車の充電電力量を取得し、前記記憶手段から住宅の主幹容量を取得するステップと、
前記主制御手段が、前記負荷設備の消費電力量と前記電気自動車の充電電力量の合計電力量と、前記主幹容量とを比較するステップと、
前記負荷設備の消費電力量と前記電気自動車の充電電力量の合計電力量が前記主幹容量を超えている場合には、前記主制御手段が、前記機器運転制御手段に、前記負荷設備の負荷が減少する運転を行うように指示する指示信号を送信するステップと、を備えたことを特徴とするエネルギーマネジメント方法。
【請求項6】
前記負荷設備の消費電力量と前記電気自動車の充電電力量の合計電力量が前記主幹容量に基づく所定の値を超えている場合には、前記主制御手段が、前記機器運転制御手段に、前記負荷設備の運転停止を指示する指示信号を送信するステップを備えたことを特徴とする請求項5に記載のエネルギーマネジメント方法。
【請求項7】
前記記憶手段には、運転制御対象の前記負荷設備の優先順位に関する情報を含む負荷制御情報が記憶されており、
前記機器運転制御手段に指示信号を送信するステップでは、前記主制御手段が、前記負荷制御情報に設定されている優先順位の順に前記負荷設備の負荷減少運転が行われるように指示信号を作成して送信する請求項5に記載のエネルギーマネジメント方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−50236(P2012−50236A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189592(P2010−189592)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】