説明

エンジンの制御装置

【課題】 燃料カットと燃料カットリカバの繰り返し作動を防止可能な内燃機関の制御装置を提供すること。
【解決手段】 変速機入力回転数に基づき燃料カット回転数を設定することで、燃料カット判定に降坂路勾配を間接的に反映することができ、降坂路の下り勾配が急であっても燃料カット/燃料カットリカバのハンチングを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中に内燃機関に噴射する燃料を停止するエンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コースト走行時に、エンジン回転数が予め設定された燃料カット回転数よりも大きいときは、燃料噴射を停止(以下、燃料カット)し、エンジン回転数が燃料カット回転数よりも低いリカバ回転数となったときは、燃料カットを再開(以下、燃料カットリカバ)するものとして、特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報には、(1)燃料カット開始時に燃料カット回転数を増大補正し、(2)燃料カットリカバ後に再び燃料カットが行われたとき、上記(1)を再度実行し、(3)コースト走行が継続する限り上記(1),(2)を繰り返すものである。これにより、降坂路をコースト走行時に燃料カットと燃料カットリカバとが繰り返されることを(ハンチング)を抑制している。
【特許文献1】特開平5−280394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、降坂路のコースト走行時に上記(1),(2)を繰り返し実行するため、降坂路の下り勾配が急なときは、燃料カット/燃料カットリカバのハンチング回数が多くなってしまう。つまり、上記技術では、ハンチングを抑制することはできても、ハンチングの防止にはいたっていない。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、燃料カットと燃料カットリカバの繰り返し作動を防止可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、燃料噴射の停止と再開とが繰り返される運転状態か否かを判断し、繰り返される運転状態と判断したときは、所定燃料カット回転数に代えて、変速機の入力軸回転数に基づくハンチング防止用燃料カット回転数を設定することとした。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明のエンジンの制御装置にあっては、変速機入力回転数に基づき燃料カット回転数を設定することで、燃料カット判定に降坂路勾配を間接的に反映することができ、降坂路の下り勾配が急であっても燃料カット/燃料カットリカバのハンチングを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のエンジンの制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は実施例1の全体構成を表すシステム図である。エンジン1には、スロットル開度を制御するスロットルアクチュエータ1aと、燃料噴射量を制御するインジェクター1bとを備えている。エンジン1において発生した駆動力は、エンジン出力軸1cから出力される。
【0009】
エンジン出力軸1cには、ロックアップ機構付きトルクコンバータT/Cが接続されている。ロックアップ機構は、後述するコントロールバルブユニット50から供給される油圧をロックアップコントロールバルブ51により適宜切り換えて作動する。ロックアップ機構が非作動時は、トルク増幅作用によりエンジン出力トルクよりも大きなトルクを出力する。このとき、トルクコンバータT/Cはエンジン回転数よりも低い回転数を出力する。一方、ロックアップ機構が作動時は、トルク増幅作用を行うことなくエンジン出力トルクをそのまま出力する。このとき、トルクコンバータT/Cはエンジン回転数と同じ回転数を出力する。
【0010】
トルクコンバータT/Cの出力軸には、変速機入力軸が接続されると共にベルト式無段変速機4が接続されている。ベルト式無段変速機4は、プライマリプーリとセカンダリプーリと、これらに設けられた油室を備え、プライマリプーリとセカンダリプーリそれぞれの溝幅を供給された油圧に応じて適宜変更し、所望の変速比を得る公知の構成である。
【0011】
ベルト式無段変速機4から出力された回転は、ドライブシャフトDSFを介して駆動輪TDに伝達され、車両を駆動する。
【0012】
エンジン1は、エンジンコントローラ2からの指令信号に基づいて制御される。エンジンコントローラ2は、後述するCVTコントロールユニット3からのロックアップ信号5、変速比信号9、変速機入力軸回転数センサ11の信号に加え、車速センサ8の信号、アクセルペダルセンサ12の信号、ブレーキペダルセンサ13の信号、エンジン回転数センサ14の信号と、を入力信号として備える。これら各入力信号に基づいて、スロットルアクチュエータ1aにスロットル指令信号10を出力すると共に、インジェクター1bに燃料カット信号6及び燃料カットリカバ信号7を出力する。
【0013】
ベルト式無段変速機4は、CVTコントロールユニット3からの指令信号に基づいて制御される。CVTコントロールユニット3は、車速センサ8の信号、変速機入力軸回転数センサ11の信号を入力信号として備える。これら各入力信号に基づいて、コントロールバルブユニット50内に備えられた各電磁弁を制御し、プライマリプーリ油圧、セカンダリプーリ油圧及びロックアップ機構の作動油圧を制御する。
【0014】
CVTコントロールユニット3は、走行状態に基づいて変速比を決定する自動変速モードを有する。具体的にはアクセルペダル開度と車速との関係に基づいて予め設定されたシフトスケジュールに沿って変速比を決定し、変速比信号9を出力する。また、このシフトスケジュールにはロックアップ領域が設定されており、ロックアップ制御開始領域に入ると、ロックアップ信号5を出力する。
【0015】
更に、このベルト式無段変速機4には、運転者の操作によって複数の固定変速比を選択できるマニュアルモードを有する。図外のシフトレバー操作によって、運転者が所望の変速段を選択すると、その選択された変速段に相当する変速比に固定する。実施例1では6速の変速段を備えているが、更に多くもしくは少ない変速段を備えてもよく、特に限定しない。
【0016】
図2は、エンジンコントローラ2において実行される燃料カット制御における燃料カット回転数設定処理を表すフローチャートである。尚、燃料カット制御とは、燃料噴射中に所定の条件が成立したとき、エンジン回転数が燃料カット回転数よりも高いときは、燃料カットを行い、燃料カットによってエンジン回転数が低下し、燃料カットリカバ回転数を下回ったときは、燃料カットを終了し、再度燃料噴射を行う制御を表す。
【0017】
ステップS1では、システムが異常判定していないか否かを判断し、異常判定していないと判断したときはステップS2−1へ進み、異常判定しているときは本制御フローを終了する。
【0018】
ステップS2−1では、エンジン回転数が予め設定されたリカバ回転数以上か否かを判断し、リカバ回転数以上のときはステップS3−1へ進み、それ以外のときは、本制御フローを終了する。
【0019】
ステップS3−1では、エンジン回転数が予め設定された所定燃料カット回転数以下か否かを判断し、所定燃料カット回転数以下のときはステップS4へ進み、それ以外のときは、本制御フローを終了する。
【0020】
すなわち、エンジン回転数センサ14の信号に基づき、ステップS2−1においてエンジン回転数≧リカバ回転数か否かを判断し、ステップS3−1においてエンジン回転数≦所定燃料カット回転数か否かを判断している。この領域がハンチングする領域となるため、この領域内か否かを判断している。
【0021】
ステップS4では、変速比が所定変速比以上か否かを判断し、所定変速比以上(すなわち、マニュアルモードの1,2速領域)のときはステップS5へ進み、それ以外のときは、本制御フローを終了する。
【0022】
ステップS5では、非ロックアップ状態か否かを判断し、非ロックアップ状態すなわちロックアップ機構が非作動時のときはステップS6へ進み、それ以外のときは、本制御フローを終了する。ロックアップ状態であれば、エンジン回転数は駆動輪TDと変速比によって一義的に決定されるため、ハンチング等は生じないからである。
【0023】
ステップS6では、コースト走行中か否かを判断し、コースト走行中のときはステップS7へ進み、それ以外のとき、すなわちドライブ走行中のときは、本制御フローを終了する。コースト走行中とは、アクセルペダル開度が所定値未満で、ブレーキペダルが踏まれていないとき、すなわち惰性走行状態を表す。
【0024】
ステップS7では、燃料カット信号6に基づいて、燃料カット中でない、すなわち燃料噴射中か否かを判断し、燃料噴射中のときはステップS8へ進み、それ以外のときは、本制御フローを終了する。
【0025】
ステップS8では、変速機入力軸回転数センサ11からの信号INPREVに基づいて、ハンチング防止用燃料カット回転数を算出する。ハンチング防止用燃料カット回転数とは、この回転数よりもエンジン回転数が高いときは燃料カットを実行する回転数閾値であり、上記所定の条件が成立したときにのみ変更される。
【0026】
ステップS9では、算出したハンチング防止用燃料カット回転数と、通常の所定燃料カット回転数の最大値をカット回転数として設定する。通常の所定燃料カット回転数とは、車両特性等に応じて予め設定された設定値であり、本ステップでは、算出されたハンチング防止用燃料カット回転数と設定値との間でセレクトハイを行う。
【0027】
ここで、上記制御を実行する理由について説明する。図3は勾配路コースト走行時における燃料噴射制御処理を表すタイムチャートである。図中、点線で示すのは、実施例1の制御を行わない通常制御時における燃料カット回転数及びそれに伴うエンジン回転数である。
【0028】
時刻t1において、燃料噴射中に所定の条件が成立し、燃料カットが実行されると、エンジン回転数は徐々に低下していく。そして、時刻t2において、エンジン回転数が予め設定された燃料カットリカバ回転数を下回ると、燃料カットを終了し、燃料の噴射が再開されることでエンジン回転数が徐々に上昇していく。
【0029】
ここで、実施例1において上記燃料カット回転数設定処理を実施しなかった場合、燃料カット後に以下(1)〜(5)全ての条件が成立したときは、燃料カット/リカバのハンチングが問題となる。
(1)リカバ回転数≦エンジン回転数≦所定燃料カット回転数
(2)コースト走行中
(3)降坂路走行中
(4)非ロックアップ状態
(5)燃料カット中ではない
【0030】
すなわち、降坂路走行中は、駆動輪TD側からトルクが入力されるため、エンジン負荷が小さく、燃料カットを終了して燃料噴射を再開すると、燃料カット回転数を上回り、再度燃料カットが行われる(時刻t3〜t4,t5〜t6参照)。長い降坂路等を走行しているときは、この状態が長く続き、その間に何度も燃料カット/リカバが繰り返されるハンチングが懸念される。また、特許文献1のように燃料カットの度に燃料カット回転数を上昇させたとしても、一気に引き上げるわけではなく、複数回の燃料カット/リカバの繰り返しによって燃料カット回転数が上昇するまでの間は、ハンチングを回避できない。
【0031】
そこで、燃料カット回転数を通常の燃料カット回転数よりも高いハンチング防止用燃料カット回転数、具体的には、変速機入力軸回転数に設定することとした。コースト走行時には、駆動輪側からエンジンに対してトルクが伝達され、エンジン回転数よりも変速機入力軸回転数が高いため、エンジン回転数が燃料カット回転数を上回ることがなく、再度の燃料カットが実行されないため、ハンチングを回避できる。
【0032】
ここで、実施例1では、特別なセンサを追加することなく、上記(1)〜(5)の全てを判断するのは困難なため、ハンチング問題の発生頻度が高い運転状態にあるか否かを既存のセンサ出力から判断している。
【0033】
具体的には、上記条件(3)を正確に判断するためのセンサを備えていないため、上記条件(3)が成立したか否かの判断は行わない。これにより、降坂路でなくとも本制御を行うことになり、本制御が必要のない場合にも実行される(以下、無駄打ち)ことになる。すなわち、ハンチングが懸念されない領域でも燃料カット回転数を上昇させてしまい、燃費を悪化させるおそれがある。
【0034】
そこで、この無駄打ちを最小限にとどめるべく、上記ハンチング問題の発生頻度は、変速比がLow側で高くなることに着目し、本制御が変速比Low側(具体的にはマニュアルモードでの1,2速領域)のときに行われるよう、条件「(6)変速比が所定値以上」を追加することとした(ステップS6)。すなわち、変速比がLow側では、駆動輪TD側から入力される回転数に対して変速機入力軸回転数も大きく上昇し、それに伴ってエンジン回転数も上昇傾向が強い。よって、燃料カット回転数を上回る頻度も高いといえるからである。
【0035】
上記ステップS1〜S7の判断結果が全てYESのときは、ステップS8で変速機入力軸回転数をハンチング防止用のハンチング防止用燃料カット回転数として設定する。尚、ハンチング防止用燃料カット回転数をトルクコンバータでの滑りを考慮して、すなわち、コースト走行時は、「エンジン回転数=変速機入力軸回転数−トルクコンバータでの滑り分」であることから、ハンチング防止用燃料カット回転数=変速機入力軸回転数からトルクコンバータの滑り分を差し引いた回転数に設定してもよい。これにより、上述の無駄打ちを更に防止でき、燃料カット禁止による燃費の悪化を抑制できる。
【0036】
実施例1の制御を実施することで、時刻t2において燃料カットリカバ回転数を下回り、燃料カットを終了して燃料噴射を再開したとしても、エンジン回転数は燃料カット回転数を上回ることがなく、ハンチングを回避できる。
【0037】
尚、ハンチング防止用燃料カット回転数を設定後、例えばスロットル故障等によってエンジン回転数がハンチング防止用燃料カット回転数を越える場合が想定される。このような場合、トルクコンバータT/Cによるトルク増幅作用が働き、不意に駆動力が出るおそれがある。そこで、このときは、即座に燃料カットを行うと共に、燃料カット回転数を予め設定された所定燃料カット回転数に戻すこととした。これにより、エンジン回転数が変速機入力軸回転数を越えることがなく、駆動力が出力されるようなことがないため、運転者への違和感を回避することができる。
【0038】
以上説明したように、実施例1では、下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)燃料噴射の停止と再開とが繰り返される運転状態か否かを判断し、繰り返される運転状態と判断したときは、所定燃料カット回転数に代えて、変速機入力軸回転数に基づくハンチング防止用燃料カット回転数を設定することとした。
【0039】
よって、燃料カット判定に降坂路勾配を間接的に反映させることができ、降坂路の下り勾配が急であっても燃料カット/リカバのハンチングを防止できる。
【0040】
(2)燃料噴射停止後にエンジン回転数がリカバ回転数を下回ってから、ハンチング防止用燃料カット回転数の設定を行うこととした。すなわち、燃料カット回転数を特定の領域のみ切り換えることで、燃料カット禁止による燃費の悪化を最小限にすることができる。
【0041】
(3)エンジン回転数がハンチング防止用燃料カット回転数を上回ったときは、燃料噴射を停止すると共に、ハンチング防止用燃料カット回転数を所定燃料カット回転数に変更することとした。よって、スロットル開度等に異常が発生したとしても、運転者に違和感を与えることなく、燃料カットを行うことができる。
【0042】
(4)ベルト式無段変速機4の変速比が所定変速比以上か否かを判断し、所定変速比以上のときは所定燃料カット回転数を変更することとした。これにより、燃料カット回転数を上昇させる処理を無駄に実施することがなく、燃費の悪化を回避することができる。
【実施例2】
【0043】
次に、実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため異なる点についてのみ説明する。図4は実施例2のエンジンコントローラ2において実行される燃料カット制御における燃料カット回転数設定処理を表すフローチャートである。尚、ステップS1及びステップS4〜S9までは実施例1と同じであるため、異なるステップのみ説明する。
【0044】
ステップS2−2では、車速が第1所定車速以上か否かを判断し、第1所定車速以上のときはステップS3−2へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。この第1所定車速は、実施例1において説明したリカバ回転数とマニュアルモードの1速の変速比とに基づいて算出される値である。すなわち、Low側の変速比として1速及び2速相当の変速比を想定していることから、ハンチング領域としては、1速のときにエンジン側がリカバ回転数とすると、それによって定まる車速が第1所定車速となる。
【0045】
ステップS3−2では、車速が第2所定車速以下か否かを判断し、第2所定車速以下のときはステップS4へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。この第2所定車速は、実施例1において説明した所定燃料カット回転数とマニュアルモードの2速の変速比とに基づいて算出される値である。すなわち、Low側の変速比として1速及び2速相当の変速比を想定していることから、ハンチング領域としては、2速のときにエンジン側が燃料カット回転数とすると、それによって定まる車速が第2所定車速となる。
【0046】
すなわち、車速に基づいてハンチング領域に存在するか否かを判断することで、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【実施例3】
【0047】
次に、実施例3について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例3では、実施例1のステップS2−1及びステップS3−2におけるハンチング領域内か否かの判断を、ナビゲーションシステム等により行う点が異なる。
【0048】
すなわち、勾配路をコースト走行する場合等に駆動輪TDから伝達されたトルクによってエンジン回転数が上昇しやすく、ハンチングが生じやすい。そこで、ナビゲーションシステムにより道路勾配情報を取得し、この勾配が所定勾配以下のときは本制御フローを終了し、所定勾配よりも大きいときは、ハンチング領域内に存在すると判断する。これにより、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例1のエンジンの燃料制御装置を備えた車両の全体システム図である。
【図2】実施例1のエンジンコントローラにおいて実行される燃料カット制御における燃料カット回転数設定処理を表すフローチャートである。
【図3】実施例1の勾配路コースト走行時における燃料噴射制御処理を表すタイムチャートである。
【図4】実施例2のエンジンコントローラ2において実行される燃料カット制御における燃料カット回転数設定処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 エンジン
1a スロットルアクチュエータ
1b インジェクター
1c エンジン出力軸
2 エンジンコントローラ
3 CVTコントロールユニット
4 ベルト式無段変速機
5 ロックアップ信号
6 燃料カット信号
7 燃料カットリカバ信号
8 車速センサ
9 変速比信号
10 スロットル指令信号
11 変速機入力軸回転数センサ
12 アクセルペダルセンサ
13 ブレーキペダルセンサ
14 エンジン回転数センサ
T/C トルクコンバータ
TD 駆動輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの出力を、変速機を介して駆動輪に伝達する車両に搭載され、コースト走行時、エンジン回転数が予め設定された所定燃料カット回転数よりも高いときはエンジンの燃料噴射を停止し、該燃料噴射を停止した状態でエンジン回転数が前記所定燃料カット回転数よりも低いリカバ回転数未満に低下したときは、燃料の噴射を再開するエンジンの制御装置において、
前記燃料噴射の停止と再開とが繰り返される運転状態か否かを判断する判断手段と、
前記繰り返される運転状態と判断したときは、前記所定燃料カット回転数に代えて、前記変速機の入力軸回転数に基づくハンチング防止用燃料カット回転数を設定する燃料カット回転数設定手段と、
を備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジンの制御装置において、
前記燃料カット回転数設定手段は、燃料噴射停止後にエンジン回転数が前記リカバ回転数を下回ってから、前記ハンチング防止用燃料カット回転数の設定を行うことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエンジンの制御装置において、
エンジン回転数が前記ハンチング防止用燃料カット回転数を上回ったときは、燃料噴射を停止すると共に、
前記燃料カット回転数設定手段は、前記ハンチング防止用燃料カット回転数を前記所定燃料カット回転数に変更することを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1つに記載のエンジンの制御装置において、
前記判断手段は、前記変速機の変速比が所定変速比以上か否かを判断することを特徴とするエンジンの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−1844(P2010−1844A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162714(P2008−162714)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】