説明

カプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システム

【課題】生体内に導入した薬剤が生体内の部位に実際に放出されたか否かを確認することができること。
【解決手段】生体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体2を有するカプセル型医療装置1は、前記生体内の部位に対して放出可能に薬剤D1を内包する網状の薬剤保持部3と、この薬剤保持部3内に保持された薬剤D1と薬剤D1の周辺部とを含む画像を撮像する撮像部4とを備える。撮像部4は、前記生体内の部位に対する薬剤D1の放出状況を示す薬剤源情報として、このような画像を撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の内部に導入され、この生体内の部位に薬剤を導入するカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、患者等の生体の内部に内視鏡を挿入し、この挿入した内視鏡を用いて生体内の部位に薬剤を導入する医療行為が行われている。この場合、生体内に挿通された内視鏡の内部管路(例えばチャンネル)に薬剤を挿通または流入し、かかる内視鏡の内部管路を介して生体内の部位(例えば胃、十二指腸等の臓器)に薬剤を導入する(特許文献1を参照)。
【0003】
このような内視鏡分野においては、近年、生体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型医療装置を用いて生体内に薬剤を導入する薬剤導入システム(Drug Delivery System)が提案されている。かかる薬剤導入システムのカプセル型医療装置は、例えば薬剤を保持した状態で生体の口から飲み込まれ、生体の消化管内を移動しつつ所望の部位に薬剤を導入する。この場合、生体内に導入された薬剤は、体液に溶解しつつ生体内の部位に放出される。このようなカプセル型医療装置は、薬剤導入時に生体にかかる負担を軽減できるとともに、上述した細長形状の内視鏡では薬剤導入が困難な生体内の深部(例えば小腸)に対して薬剤を導入することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−297289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カプセル型医療装置を用いて生体内に薬剤を導入する薬剤導入システムでは、生体内に導入される薬剤の溶解試験を予め生体外で行い、この溶解試験の結果をもとに、この薬剤が生体内の部位で溶解するか否か(すなわち生体内の部位に放出されるか否か)を推測するに留まっている。このため、かかる薬剤導入システムでは、このような推測に留まらず、カプセル型医療装置によって生体内に導入された薬剤が生体内の部位に実際に放出されたか否かを確認できることが要望されている。
【0006】
また、生体内の特定の部位でのみ溶解するような薬剤の研究開発においても、同様に生体内に導入された薬剤が生体内の目的とする部位で実際に溶解するか否かを確認する手段が要望されている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、生体内に導入した薬剤が生体内の部位に実際に放出されたか否かを確認することができるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかるカプセル型医療装置は、生体内に導入可能なカプセル型筐体を有し、前記生体内の部位に薬剤を導入するカプセル型医療装置において、前記生体内の部位に対して放出可能に前記薬剤を保持する保持手段と、少なくとも前記生体内の部位に対する前記薬剤の放出状況を示す薬剤源情報を検出する検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記薬剤源情報を外部に無線送信する無線送信手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記検出手段は、前記生体内の部位に放出されつつ減少する前記薬剤と該薬剤周辺の前記生体内の部位とを含む画像を前記薬剤源情報として撮像する撮像手段であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記保持手段は、前記撮像手段の視野内の位置に前記薬剤を内包する網状部材であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記保持手段は、前記薬剤を放出可能な複数の孔が形成された多孔性部材であって、前記撮像手段の視野内の位置に前記薬剤を内包するとともに、前記視野から前記撮像手段に受光される光を透過することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記保持手段は、前記生体内の部位に対して放出可能に前記薬剤を収容する薬剤ケースと、前記カプセル型筐体と前記薬剤ケースとを連結する連結部材と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記保持手段は、前記カプセル型筐体に対して着脱可能に形成されることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記連結部材は、所定の形状を記憶した形状記憶部材であり、所定の温度条件下で前記所定の形状に変化することによって前記撮像手段の視野内の位置に前記薬剤ケースを配置することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記保持手段は、前記カプセル型筐体と前記薬剤とを連結する連結部材であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項10にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記保持手段は、前記撮像手段の視野内の所定位置で前記薬剤を挟み込む複数の透明板と、前記複数の透明板を互いに連結するとともに前記薬剤に対する前記複数の透明板の押圧力を生成する弾性部材と、前記複数の透明板のうちの一つと前記カプセル型筐体とを連結する連結部材と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項11にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記検出手段は、所定光量の光をそれぞれ発光する発光素子群と、前記発光素子群によって発光された光を受光する受光素子と、を備え、前記保持手段は、前記発光素子群と前記受光素子との間に前記薬剤を保持し、前記受光素子に受光される前記発光素子群からの光量は、前記薬剤の減少とともに増加し、前記受光素子は、前記薬剤の減少とともに増加する前記発光素子群からの光量を前記薬剤源情報として検出することを特徴とする。
【0019】
また、請求項12にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記カプセル型筐体は、前記発光素子群を有する発光側部分筐体と、前記受光素子を有する受光側部分筐体と、前記発光側部分筐体と前記受光側部分筐体とを連結する連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記発光素子群と前記受光素子との間に前記薬剤を保持する前記保持手段であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項13にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記検出手段は、前記生体内の体液に前記薬剤を溶解した薬剤溶液の薬剤濃度を前記薬剤源情報として検出する濃度センサであることを特徴とする。
【0021】
また、請求項14にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記保持手段は、前記薬剤を内包するとともに前記カプセル型筐体外から前記生体内の体液を内部に流入し、該体液に前記薬剤を溶解した前記薬剤溶液を貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部に貯蔵された前記薬剤溶液を前記生体内の部位に吐出する吐出管と、を備え、前記濃度センサは、前記吐出管内を流通する前記薬剤溶液の薬剤濃度を検出することを特徴とする。
【0022】
また、請求項15にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、少なくとも前記生体内の体液を採取する採取手段を備え、前記検出手段は、前記採取手段によって採取された体液をもとに前記薬剤源情報を検出することを特徴とする。
【0023】
また、請求項16にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記薬剤は、液状のものであり、前記保持手段は、液状の前記薬剤を内包するとともに、前記生体内の部位に液状の前記薬剤を吐出する吐出手段であり、前記採取手段は、前記保持手段によって吐出された液状の前記薬剤とともに前記生体内の体液を採取することを特徴とする。
【0024】
また、請求項17にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記薬剤を放出した前記生体内の部位を示す部位情報を検出する部位検出手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
また、請求項18にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記生体内の部位に当該カプセル型医療装置を留置する留置手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
また、請求項19にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記部位検出手段は、前記生体内の部位を含む画像を撮像する撮像手段であることを特徴とする。
【0027】
また、請求項20にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記部位検出手段は、前記生体内のpHを検出するpHセンサであることを特徴とする。
【0028】
また、請求項21にかかるカプセル型医療装置は、上記の発明において、前記無線送信手段は、前記薬剤源情報とともに前記部位情報をさらに無線送信することを特徴とする。
【0029】
また、請求項22にかかる薬剤導入システムは、生体内に導入され、薬剤を保持するとともに前記生体内の部位に前記薬剤を放出し、少なくとも前記生体内の部位での前記薬剤の放出状況を示す薬剤源情報を検出するカプセル型医療装置と、前記カプセル型医療装置によって検出された前記薬剤源情報を表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする。
【0030】
また、請求項23にかかる薬剤導入システムは、上記の発明において、前記生体外に受信装置を備え、前記カプセル型医療装置は、前記薬剤源情報を外部に無線送信し、前記受信装置は、前記カプセル型医療装置によって無線送信された前記薬剤源情報を受信し、前記表示装置は、前記受信装置によって受信された前記薬剤源情報を表示することを特徴とする。
【0031】
また、請求項24にかかる薬剤導入システムは、上記の発明において、前記表示装置は、前記薬剤源情報をリアルタイムに表示することを特徴とする。
【0032】
また、請求項25にかかる薬剤導入システムは、上記の発明において、前記カプセル型医療装置は、前記薬剤を放出した前記生体内の部位を示す部位情報をさらに検出し、前記薬剤源情報と前記部位情報とを無線送信し、前記受信装置は、前記薬剤源情報と前記部位情報とを受信し、前記表示装置は、前記受信装置によって受信された前記薬剤源情報と前記部位情報とを表示することを特徴とする。
【0033】
また、請求項26にかかる薬剤導入システムは、上記の発明において、前記生体内から採取した生体内サンプルを分析する分析装置を備え、前記カプセル型医療装置は、前記生体内の部位から前記生体内サンプルを採取することを特徴とする。
【0034】
また、請求項27にかかる薬剤導入システムは、上記の発明において、前記カプセル型医療装置は、前生体内の部位毎に前記生体内サンプルを採取することを特徴とする。
【0035】
また、請求項28にかかる薬剤導入システムは、上記の発明において、前記生体内サンプルは、前記生体内の部位における体液、血液、および生体組織の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、生体内に薬剤が導入されている期間であっても、生体内に対する薬剤の放出状況を確認でき、この結果、生体内の部位に対して薬剤が実際に放出されたか否かを確認できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を参照して、本発明にかかるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0038】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図1,2に示すように、この実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1は、カプセル形状に形成された筐体2と、生体内に導入する薬剤D1を保持する薬剤保持部3と、薬剤保持部3に保持された薬剤D1の画像を撮像する撮像部4と、撮像部4の視野Aを照明する複数の照明部5aとを有する。また、カプセル型医療装置1は、撮像部4によって撮像された画像を含む画像信号を生成する画像処理回路6と、撮像部4によって撮像された画像を無線送信するための無線通信部7およびアンテナ8と、カプセル型医療装置1の各構成部の駆動を制御する制御部9と、カプセル型医療装置1の各構成部に対して駆動電力を供給する電源部10とを有する。
【0039】
筐体2は、生体の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体である。具体的には、筐体2は、カプセル形状に形成されたケース本体2aと、このケース本体2aの前端部に取り付けられる光学ドーム2bとによって実現される。ケース本体2aは、前端側が開口し且つ後端側がドーム状の態様で閉じた筒状のケースであり、カプセル型医療装置1の各構成部を内部に収容する。光学ドーム2bは、光透過性の高いほぼ透明なドーム状部材であり、ケース本体2aの前端に取り付けられるとともに、このケース本体2aの開口端を閉じる。かかるケース本体2aと光学ドーム2bとによって形成される筐体2は、例えば患者等の生体の口から容易に飲み込むことができ、且つ、蠕動運動等によって生体の消化管内を容易に移動できる。
【0040】
薬剤保持部3は、生体内の部位に対して放出可能な状態で薬剤D1を保持する保持手段として機能する。具体的には、薬剤保持部3は、例えば多数の網目が形成された網状部材であり、薬剤D1を内包するとともに光学ドーム2bを覆う態様で筐体2に取り付けられる。この場合、薬剤保持部3は、網目を有する袋または籠の態様に形成され、その開口端を閉じるように筐体2に取り付けられる。このような薬剤保持部3は、薬剤D1と生体内の体液との接触を阻害せずに、撮像部4の視野A内の位置に薬剤D1を保持するとともに、多数の網目を通して薬剤D1周辺の生体内の部位からの反射光を撮像部4に透過する。また、このように保持された薬剤D1は、かかる多数の網目を介して薬剤保持部3の内部に流入した生体内の体液に溶解する。この場合、生体内の体液に薬剤D1を溶解した薬剤溶液が生成され、かかる薬剤溶液は、薬剤保持部3の多数の網目を通って生体内の部位に放出される。このようにして、かかる薬剤保持部3に保持された薬剤D1は、生体内の部位に放出される。なお、薬剤D1は、錠剤等の固体状の薬剤であり、生体内の体液に可溶なものである。
【0041】
撮像部4は、上述した薬剤溶液として生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤D1を含む画像を撮像する撮像手段として機能する。具体的には、撮像部4は、CCDまたはCMOS等の固体撮像素子と、この固体撮像素子の受光面に被写体像を結像する光学系とを用いて実現される。このような撮像部4は、薬剤保持部3によって囲まれた領域(すなわち薬剤保持部3に保持された薬剤D1の位置)を含む視野Aを有し、例えば所定時間が経過する毎に、光学ドーム2bを通して視野A内の被写体の画像を撮像する。この場合、撮像部4は、薬剤保持部3に保持された状態で生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤D1と、薬剤保持部3に形成された多数の網目を通して見える薬剤D1周辺の生体内の部位(すなわち薬剤D1が放出された生体内の部位)とを含む画像を順次撮像する。かかる撮像部4は、薬剤D1からの反射光と、薬剤保持部3の外部から撮像部4に向けて網目を透過した視野Aからの反射光(薬剤D1の周辺部からの反射光)とを受光する。
【0042】
ここで、かかる撮像部4によって撮像された画像は、生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤D1の放出状況と、薬剤D1が放出された生体内の部位とを示すものである。すなわち、医師または看護師等は、このような画像を視認することによって、薬剤D1が生体内の部位に実際に放出された否かを判断できるとともに、薬剤D1が放出された生体内の部位(例えば胃、十二指腸、小腸、大腸等の臓器)を判別することができる。したがって、上述した撮像部4は、生体内の部位に対する薬剤D1の放出状況と薬剤D1が放出された生体内の部位とをともに示す薬剤源情報として、かかる薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを含む画像を撮像する。言い換えれば、撮像部4は、かかる薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを含む画像を撮像することによって、この薬剤源情報を検出する。
【0043】
照明部群5は、撮像部4の視野Aを照明するための複数の照明部5aを有する。照明部5aは、例えばLED等の発光素子を用いて実現され、光学ドーム2bを通して視野Aを照明する照明光を発光する。具体的には、各照明部5aは、視野A内に位置する薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを照明する。
【0044】
画像処理回路6は、撮像部4によって撮像された画像を含む画像信号を生成する。具体的には、画像処理回路6は、撮像部4によって画像データが入力され、この画像データに対して所定の画像処理等を行って、かかる撮像部4によって撮像された画像とホワイトバランス等の各種画像パラメータとを含む画像信号を生成する。画像処理回路6は、このように生成した画像信号を無線通信部7に送信する。
【0045】
無線通信部7およびアンテナ8は、上述した薬剤源情報として撮像部4に撮像された画像を外部に無線送信する無線送信手段として機能する。具体的には、無線通信部7は、画像処理回路6によって入力された画像信号に対して所定の変調処理等を行い、かかる画像信号を含む無線信号を生成する。無線通信部7は、このように生成した無線信号をアンテナ8に出力する。アンテナ8は、例えばループアンテナまたはコイルアンテナであり、無線通信部7によって入力された無線信号を外部に送信する。このようにして、無線通信部7およびアンテナ8は、撮像部4によって撮像された画像を外部に無線送信する。
【0046】
制御部9は、上述したカプセル型医療装置1の各構成部を制御するためのものである。具体的には、制御部9は、撮像部4、照明部群5、画像処理回路6、および無線通信部7の各駆動を制御し、且つ、かかる各構成部の間における各種信号の入出力を制御する。例えば、制御部9は、複数の照明部5aの発光タイミングと撮像部4の撮像タイミングとを同期するよう撮像部4および照明部群5を制御する。また、制御部9は、撮像部4によって撮像される画像に関する各種画像パラメータ(例えばホワイトバランス等)を記憶している。
【0047】
電源部10は、上述した撮像部4、照明部群5、画像処理回路6、無線通信部7、および制御部9に対して駆動電力を供給する。また、電源部10は、例えば外部の磁力によってオンオフの切替動作を行うリードスイッチを有する。かかるリードスイッチのオンオフ切替動作によって、電源部10は、上述したカプセル型内視鏡1の各構成部に対する駆動電力の供給開始と供給停止とを切り替える。
【0048】
つぎに、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1を用いた薬剤導入システムについて説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。図3に示すように、本発明の実施の形態1にかかる薬剤導入システムは、薬剤D1とともに生体100内に導入されるカプセル型医療装置1と、生体100内のカプセル型医療装置1によって無線送信された薬剤源情報を受信する受信装置11と、受信装置11に受信された薬剤源情報を表示するワークステーション13とを有する。
【0049】
受信装置11は、生体100内に導入されたカプセル型医療装置1によって無線送信された薬剤源情報を受信するためのものである。具体的には、受信装置11は、例えば生体100の体表上に分散配置された複数の受信アンテナ12a〜12dが接続され、かかる生体100に携帯される。この場合、受信装置11は、かかる複数の受信アンテナ12a〜12dのいずれかを介して、生体100内のカプセル型医療装置1によって送信された無線信号を順次受信し、受信した無線信号をもとに上述した薬剤源情報(すなわち薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを含む画像)を順次取得する。
【0050】
受信アンテナ12a〜12dは、例えばループアンテナを用いて実現され、カプセル型医療装置1によって送信された無線信号を順次受信するとともに、かかる無線信号を受信装置11に順次送信する。このような受信アンテナ12a〜12dは、図3に示すように、生体100の体表上の所定位置、例えば生体100内におけるカプセル型医療装置1の通過経路(すなわち消化管)に対応する位置に分散配置される。なお、このような受信アンテナは、生体100に対して1以上配置されればよく、その配置数は、特に4つに限定されない。
【0051】
ワークステーション13は、上述したカプセル型医療装置1とともに生体100内に導入された薬剤D1が生体100内の所望部位(薬剤D1の放出を目的とした部位)に実際に放出されたか否かを確認するためのものである。具体的には、ワークステーション13は、例えばケーブル15を介して受信装置11に通信可能に接続され、上述したように受信装置11に受信された薬剤源情報を順次取り込むとともに、得られた薬剤源情報、すなわち薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを含む画像を順次表示部14に表示する。このようにして、ワークステーション13は、生体100内のカプセル型医療装置1によって撮像された画像(薬剤源情報)を表示部14にリアルタイムに表示する。
【0052】
医師または看護師等は、このように薬剤源情報として表示部14に順次表示された一連の画像を視認することによって、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況(すなわち生体100内の部位に対して実際に放出されつつ減少する薬剤D1の減少状態)と薬剤D1が放出された生体100内の部位(例えば胃、十二指腸、小腸、大腸等)とをリアルタイムに確認することができる。この結果、医師または看護師等は、カプセル型医療装置1とともに生体100内に導入した薬剤D1が生体100内の所望部位に実際に放出されたか否かをリアルタイムに確認することができる。
【0053】
なお、ワークステーション13は、カプセル型医療装置1によって撮像された画像(すなわち薬剤源情報)を表示部14にリアルタイムに表示する場合にのみケーブル15を介して受信装置11に接続されればよく、これ以外の場合にはケーブル15を外してもよい。これによって、生体100は、表示部14にリアルタイムに薬剤源情報を表示する場合を除き、自由に行動することができる。また、ワークステーション13は、ケーブル15に限らず、無線LANによって受信装置11に通信可能に接続されてもよい。この場合、無線LANカード等の無線LAN通信部を受信装置11とワークステーション13とに設ければよい。
【0054】
つぎに、生体100内に導入されたカプセル型医療装置1の動作について説明する。図4は、実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1が生体内に導入された状態を例示する模式図である。図5は、実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1によって撮像された画像の一具体例を示す模式図である。以下、図4,5を参照しつつ、カプセル型医療装置1の動作を説明する。
【0055】
上述した薬剤保持部3によって薬剤D1を保持した状態のカプセル型医療装置1は、例えば生体100の口から飲み込まれ、薬剤D1とともに生体100内に導入される。その後、カプセル型医療装置1は、蠕動運動等によって生体100内の部位を連続的または断続的に移動しつつ所定間隔で薬剤源情報としての画像を順次撮像し、かかる薬剤源情報としての画像を外部の受信装置11に順次無線送信する。
【0056】
具体的には、図4に示すように、生体100内に導入されたカプセル型医療装置1は、薬剤保持部3内に保持した薬剤D1と薬剤保持部3の網目を介して流入した生体100内の体液とを接触させて薬剤溶液D2を生成する。この場合、薬剤保持部3内の薬剤D1は、かかる体液に徐々に溶解するとともに、薬剤溶液D2の生成に徐々に消費される。この薬剤溶液D2は、薬剤保持部3の網目から生体100内の部位に放出される。このように、薬剤保持部3内の薬剤D1は、かかる薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ徐々に減少する。
【0057】
ここで、撮像部4の視野Aには、薬剤保持部3に保持された薬剤D1が常時含まれるとともに、この薬剤保持部3を通して見える薬剤D1の周辺部(すなわち薬剤D1が放出された生体100内の部位)が含まれる。したがって、撮像部4は、かかる薬剤D1と薬剤D1の周辺部とを含む画像を撮像することができる。かかる撮像部4によって撮像された画像は、例えば図5に示すように、薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ徐々に減少する薬剤D1と薬剤保持部3越しに見える薬剤D1の周辺部とを示す。すなわち、撮像部4は、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況と薬剤D1が放出された生体100内の部位とをともに示す薬剤源情報として、このような画像を撮像する。
【0058】
カプセル型医療装置1が生体100内に導入されてから生体100外に自然排出されるまでの期間、撮像部4は、所定の時間が経過する毎に、上述した薬剤源情報としての画像を順次撮像する。かかる撮像部4によって撮像された薬剤源情報としての一連の画像は、無線通信部7によってアンテナ8から順次無線送信される。このようにカプセル型医療装置1から無線送信された薬剤源情報としての一連の画像は、上述したように受信装置11に順次受信されるとともに、例えばケーブル15を介してワークステーション13に順次取り込まれる。その後、かかる薬剤源情報としての一連の画像は、ワークステーション13の表示部14にリアルタイムに表示される。
【0059】
このようにして表示部14にリアルタイムに表示された薬剤源情報としての一連の画像は、例えば図5に示したように、生体100内の部位に対して放出されつつ減少する薬剤D1と薬剤D1周辺の生体100内の部位とを示している。したがって、医師または看護師等は、かかる薬剤源情報としての一連の画像を視認することによって、生体100内の部位に対して放出されつつ減少する薬剤D1の減少状態と薬剤D1が実際に放出された生体100内の部位(例えば胃、十二指腸、小腸、大腸等)とをリアルタイムに確認できる。この結果、医師または看護師等は、生体100内にカプセル型医療装置1が導入されている期間であっても、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況をリアルタイムに確認できるとともに、生体100内の所望部位(すなわち薬剤D1の放出を目的とする病変部等の部位)に対して薬剤D1が実際に放出されたか否かをリアルタイムに確認できる。
【0060】
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、生体内の部位に対して放出可能な状態で薬剤を保持し、生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤と該薬剤の周辺部(すなわち薬剤が放出された生体内の部位)とを含む画像を撮像し、かかる薬剤とその周辺部とを含む画像を生体外の受信装置に無線送信するようにカプセル型医療装置を構成した。また、かかる受信装置に受信された画像を表示部に順次表示するように構成した。このため、生体内に薬剤が導入されている期間であっても、かかる表示部に表示された画像を視認することによって、生体内に対する薬剤の放出状況と該薬剤の周辺部とをリアルタイムに確認することができる。この結果、生体内の部位に対して薬剤が実際に放出されたか否かをリアルタイムに確認できるとともに、この薬剤が実際に放出された生体内の部位をリアルタイムに確認できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを実現することができる。
【0061】
また、生体内の部位に対して放出可能に薬剤を保持する網状の薬剤保持部(上述した薬剤保持部3)は、例えばゼラチン等の体液に可溶な部材を用いて形成してもよい。このように体液に可溶な薬剤保持部にすることによって、生体内の部位に対して薬剤が放出(溶解)された後に、この薬剤保持部も生体内において溶解することができる。この結果、生体内に導入されたカプセル型医療装置は、薬剤放出後、生体内の部位を容易に移動できるようになる。
【0062】
さらに、かかる網状の薬剤保持部を糖衣等の水溶性物質によって被覆してもよい。これによって、かかる網状の薬剤保持部を有するカプセル型医療装置を生体内に容易に導入できるようになり、生体にかかる負担を軽減できる。
【0063】
(実施の形態1の変形例1)
つぎに、本発明の実施の形態1の変形例1について説明する。上述した実施の形態1では、網目を有する袋または籠の態様に形成された薬剤保持部3の内部に薬剤D1を保持していたが、この実施の形態1の変形例1では、薬剤D1を収容した薬剤ケースとカプセル型の筐体2とを連結することによって薬剤D1を保持している。
【0064】
図6は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図6に示すように、この実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置1aは、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1の薬剤保持部3に代えて薬剤保持部16を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0065】
薬剤保持部16は、生体内に導入する薬剤D1を生体内の部位に対して放出可能に保持する保持手段として機能する。具体的には、薬剤保持部16は、生体内の部位に対して放出可能に薬剤D1を収容する薬剤ケース16aと、筐体2と薬剤ケース16aとを連結する連結部材16bとを有する。
【0066】
薬剤ケース16aは、生体内の部位に対して薬剤D1を露出させた状態で薬剤D1を収容(保持)する。すなわち、薬剤ケース16aは、生体内の体液と薬剤D1との接触を阻害せずに薬剤D1を保持する。かかる薬剤ケース16aに保持された薬剤D1は、生体内の体液に溶解し、上述した薬剤溶液D2として生体内の部位に徐々に放出されつつ減少する。
【0067】
連結部材16bは、所定の形状記憶特性を有するとともに所定の電気抵抗値を有する形状記憶合金によって形成され、一端が筐体2に接続され且つ他端が薬剤ケース16aに接続される。すなわち、連結部材16bは、薬剤D1を収容した薬剤ケース16aと筐体2とを連結する。このように、連結部材16bは、かかる薬剤ケース16aを介して薬剤D1と筐体2とを連結する。また、連結部材16bは、このような薬剤ケース16aと筐体2との連結状態を維持しつつ変形することができる。具体的には、連結部材16bは、かかる連結状態を維持しつつ、屈曲または捩れ等を形成することができる。このような連結部材16bは、例えば図7に示すように、かかる連結状態を維持しつつ折り畳むことができる。これによって、筐体2と薬剤ケース16aとを近接させることができ、薬剤D1を保持した状態のカプセル型医療装置1aに占有される空間を可能な限り小さくすることができる。
【0068】
また、連結部材16bは、所定の温度条件下で直線形状(すなわち予め記憶した形状)に変化することによって、撮像部4の視野A内の位置に薬剤D1を配置する。具体的には、連結部材16bは、例えば生体内の温度と同等の温度条件下において任意の形状(例えば図7に示す折り畳んだ状態)を形成する。一方、高周波の磁界が印加されることによって連結部材16bに誘導電流が発生し、かかる誘導電力に起因して連結部材16bが所定の温度以上(生体内の温度に比して充分高い温度)に発熱した場合、かかる所定温度以上の連結部材16bは、直線形状に変化するとともに、視野A内の所定位置に薬剤ケース16aを配置するよう作用する。この場合、連結部材16bは、撮像部4による薬剤D1の撮像に好適な距離を薬剤D1と撮像部4との間に形成するように、視野A内の所定位置に薬剤ケース16aを配置する。このようにして、連結部材16bは、所定の温度条件下において、撮像部4の視野A内の撮像に好適な位置に薬剤D1を配置する。上述した撮像部4は、かかる連結部材16bの作用によって視野A内の好適な位置に配置された薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを含む画像(すなわち上述した薬剤源情報としての画像)を撮像する。
【0069】
つぎに、本発明の実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置1aを用いた薬剤導入システムについて説明する。図8は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置1aを用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。図8に示すように、本発明の実施の形態1の変形例1にかかる薬剤導入システムは、上述した実施の形態1にかかる薬剤導入システムのカプセル型医療装置1に代えてカプセル型医療装置1aを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0070】
この実施の形態1の変形例1にかかる薬剤導入システムにおいて、薬剤D1を保持した状態のカプセル型医療装置1aは、例えば図7に示したように折り畳んだ状態で生体100の口から飲込まれ、薬剤D1とともに生体100内に導入される。その後、カプセル型医療装置1aは、蠕動運動等によって生体100内の部位を連続的または断続的に移動しつつ所定間隔で薬剤源情報としての画像を順次撮像し、かかる薬剤源情報としての画像を外部の受信装置11に順次無線送信する。
【0071】
つぎに、生体100内に導入されたカプセル型医療装置1aの動作について説明する。図9は、実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置1aが生体内に導入された状態を例示する模式図である。図10は、実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置1aによって撮像された画像の一具体例を示す模式図である。
【0072】
図9に示すように、生体100内に導入されたカプセル型医療装置1aは、例えば生体100内の所望部位(薬剤D1の放出を目的をした部位)に到達した場合に生体100の外部から高周波磁界が印加され、かかる高周波磁界に起因して撮像部4の視野A内の撮像に好適な位置に薬剤D1を配置する。この場合、連結部材16bは、上述したように高周波磁界に起因して所定温度以上に発熱するとともに直線形状に変化し、撮像部4が薬剤D1を撮像し易い好適な距離を薬剤D1と撮像部4との間に形成するように、視野A内の所定位置に薬剤ケース16aを配置する。
【0073】
このように視野A内の撮像に好適な位置に配置された薬剤D1は、生体100内の体液に徐々に溶解するとともに、上述した薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ徐々に減少する。撮像部4は、このように徐々に減少する薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを含む画像(すなわち上述した薬剤源情報としての画像)を所定間隔で順次撮像する。
【0074】
かかる撮像部4によって撮像された画像は、例えば図10に示すように、薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ徐々に減少する薬剤D1と、薬剤D1を保持する薬剤保持部16の周辺に見える生体100内の部位(すなわち薬剤D1の周辺部)とを示す。すなわち、撮像部4は、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況と薬剤D1が放出された生体100内の部位とをともに示す薬剤源情報として、このような画像を撮像する。
【0075】
かかる撮像部4によって撮像された薬剤源情報としての一連の画像は、上述した実施の形態1の場合と同様に、無線通信部7によってアンテナ8から順次無線送信された後、受信装置11等を介してワークステーション13に順次取り込まれるとともに、ワークステーション13の表示部14にリアルタイムに表示される。
【0076】
このようにして表示部14にリアルタイムに表示された薬剤源情報としての一連の画像は、例えば図10に示したように、生体100内の部位に対して放出されつつ減少する薬剤D1と薬剤D1周辺の生体100内の部位とを示している。したがって、医師または看護師等は、かかる薬剤源情報としての一連の画像を視認することによって、上述した実施の形態1の場合と同様に、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況をリアルタイムに確認できるとともに、生体100内の所望部位(すなわち薬剤D1の放出を目的とする病変部等の部位)に対して薬剤D1が実際に放出されたか否かをリアルタイムに確認できる。
【0077】
以上、説明したように、本発明の実施の形態1の変形例1では、生体内の部位に対して放出可能な状態で薬剤を保持した薬剤ケースとカプセル型筐体とを形状記憶部材である連結部材によって連結し、生体内の所望部位においてこの連結部材を直線形状(すなわちあらかじめ記憶させた形状)に変化させることによって、撮像部の視野内の撮像に好適な位置に薬剤を配置するようにし、生体内の部位に放出されつつ減少するこの薬剤と該薬剤の周辺部とを含む画像を撮像し、かかる薬剤とその周辺部とを含む画像を生体外の受信装置に無線送信するようにカプセル型医療装置を構成した。また、上述した実施の形態1と同様に、かかる受信装置に受信された画像を表示部に順次表示するように構成した。このため、上述した実施の形態1の作用効果に加え、生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤とその周辺部とを含む画像を鮮明に撮像することができる。この結果、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、生体内の部位に対する薬剤の放出状況を容易に確認できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを実現することができる。
【0078】
また、このような薬剤ケースとカプセル型筐体との連結状態を維持しつつ連結部材を所望の形状に変形することができるので、かかる薬剤ケースとカプセル型筐体とを近接させることができる。この結果、この実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置に占有される空間を可能な限り小さくすることができ、かかるカプセル型医療装置を生体内に容易に導入できるようになる。
【0079】
(実施の形態1の変形例2)
つぎに、本発明の実施の形態1の変形例2について説明する。上述した実施の形態1の変形例1では、薬剤D1を収容した薬剤ケース16aとカプセル型の筐体2とを連結部材16bによって連結することによって薬剤D1を保持していたが、この実施の形態1の変形例2では、薬剤D1とカプセル型の筐体2とを糸状部材によって連結することによって薬剤D1を保持している。
【0080】
図11は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図11に示すように、この実施の形態1の変形例2にかかるカプセル型医療装置1bは、上述した実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置1aの薬剤保持部16に代えて糸状の薬剤保持部17を有する。その他の構成は実施の形態1の変形例1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0081】
薬剤保持部17は、生体内の部位に対して放出可能に薬剤D1を保持する保持手段として機能するとともに、薬剤D1とカプセル型の筐体2とを連結する連結手段としても機能する。具体的には、薬剤保持部17は、糸状部材を用いて実現され、一端が筐体2に接続され且つ他端が薬剤D1に接続される。このような薬剤保持部17は、生体内の体液と薬剤D1との接触を阻害せずに薬剤D1を保持する。この場合、薬剤保持部17は、生体内に薬剤D1のみを導入した場合とほぼ同様に、薬剤D1と生体内の体液とを接触させる。また、薬剤保持部17は、かかる薬剤D1と筐体2との連結状態を維持しつつ自由に変形する。このため、薬剤保持部17は、カプセル型医療装置1bに占有される空間を可能な限り小さくして薬剤D1を保持することができる。この結果、薬剤D1とともにカプセル型医療装置1bを生体内に導入する際に生体にかかる負担を軽減することができる。
【0082】
かかる薬剤保持部17に保持された薬剤D1は、生体の消化管内に導入された状態において、薬剤保持部17によって撮像部4の視野A内の位置に配置される。この場合、薬剤D1を保持した状態のカプセル型医療装置1bは、筐体2を先頭にした状態(すなわち筐体2の後に薬剤D1が続く態様)で生体内に導入されることが望ましい。この場合、薬剤保持部17は、かかる後続の薬剤D1を視野A内の撮像に好適な位置に配置することができる。また、かかる薬剤保持部17に保持された薬剤D1は、撮像部4の視野A内において、単独で生体内に導入された場合とほぼ同様に生体内の体液に接触し、かかる体液に溶解するとともに、上述した薬剤溶液D2として生体内の部位に徐々に放出されつつ減少する。
【0083】
つぎに、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるカプセル型医療装置1bを用いた薬剤導入システムについて説明する。図12は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるカプセル型医療装置1bを用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。図12に示すように、本発明の実施の形態1の変形例2にかかる薬剤導入システムは、上述した実施の形態1の変形例1にかかる薬剤導入システムのカプセル型医療装置1aに代えてカプセル型医療装置1bを有する。その他の構成は実施の形態1の変形例1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0084】
この実施の形態1の変形例2にかかる薬剤導入システムにおいて、カプセル型医療装置1bは、糸状の薬剤保持部17によって保持された薬剤D1とともに生体100の口から飲込まれ、生体100内に導入される。その後、カプセル型医療装置1bは、蠕動運動等によって生体100内の部位を連続的または断続的に移動しつつ所定間隔で薬剤源情報としての画像を順次撮像し、かかる薬剤源情報としての画像を外部の受信装置11に順次無線送信する。
【0085】
つぎに、生体100内に導入されたカプセル型医療装置1bの動作について説明する。図13は、実施の形態1の変形例2にかかるカプセル型医療装置1bが生体内に導入された状態を例示する模式図である。図14は、実施の形態1の変形例2にかかるカプセル型医療装置1bによって撮像された画像の一具体例を示す模式図である。
【0086】
図13に示すように、生体100内に導入されたカプセル型医療装置1bは、薬剤保持部17の作用によって、撮像部4の視野A内の位置(例えば撮像部4から撮像に好適な距離だけ離れた位置)に薬剤D1を配置する。このように視野A内の位置に配置された薬剤D1は、単独で生体100に飲み込まれた場合とほぼ同様の状態で生体100内の体液に接触し、かかる体液に徐々に溶解するとともに、上述した薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ徐々に減少する。撮像部4は、このように徐々に減少する薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを含む画像(すなわち上述した薬剤源情報としての画像)を所定間隔で順次撮像する。
【0087】
かかる撮像部4によって撮像された画像は、例えば図14に示すように、薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ徐々に減少する薬剤D1(薬剤保持部17に保持された薬剤D1)と、薬剤D1の周辺部(薬剤D1が放出された生体100内の部位)とを示す。すなわち、撮像部4は、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況と薬剤D1が放出された生体100内の部位とをともに示す薬剤源情報として、このような画像を撮像する。
【0088】
かかる撮像部4によって撮像された薬剤源情報としての一連の画像は、上述した実施の形態1の変形例1の場合と同様に、無線通信部7によってアンテナ8から順次無線送信された後、受信装置11等を介してワークステーション13に順次取り込まれるとともに、ワークステーション13の表示部14にリアルタイムに表示される。
【0089】
このようにして表示部14にリアルタイムに表示された薬剤源情報としての一連の画像は、例えば図14に示したように、生体100内の部位に対して放出されつつ減少する薬剤D1と薬剤D1周辺の生体100内の部位とを示している。したがって、医師または看護師等は、かかる薬剤源情報としての一連の画像を視認することによって、上述した実施の形態1の変形例1の場合と同様に、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況をリアルタイムに確認できるとともに、生体100内の所望部位(すなわち薬剤D1の放出を目的とする病変部等の部位)に対して薬剤D1が実際に放出されたか否かをリアルタイムに確認できる。
【0090】
以上、説明したように、本発明の実施の形態1の変形例2では、カプセル型筐体と薬剤とを糸状の連結部材によって連結し、かかる連結部材によって連結(保持)された視野内の薬剤と該薬剤の周辺部とを含む画像を撮像し、生体内の部位に放出されつつ減少するこの薬剤とその周辺部とを含む画像を生体外の受信装置に無線送信するようにカプセル型医療装置を構成した。また、上述した実施の形態1の変形例1と同様に、かかる受信装置に受信された画像を表示部に順次表示するように構成した。このため、上述した実施の形態1の変形例1の作用効果に加え、生体内に薬剤のみを導入した場合とほぼ同様の状態で薬剤と生体内の体液とを接触させることができる。この結果、上述した実施の形態1の変形例1の作用効果を享受するとともに、生体内に薬剤のみを導入した場合に近い状態で生体内の部位に放出される薬剤の放出状況(すなわち体液に対する薬剤の溶解状況)を確認できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを実現することができる。
【0091】
また、このような薬剤とカプセル型筐体との連結状態を維持しつつ連結部材を所望の形状に変形することができるので、かかる薬剤とともにカプセル型医療装置を生体内に導入する際に生体にかかる負担を軽減することができる。
【0092】
(実施の形態1の変形例3)
つぎに、本発明の実施の形態1の変形例3について説明する。上述した実施の形態1では、網目を有する袋または籠の態様に形成された薬剤保持部3の内部に薬剤D1を保持していたが、この実施の形態1の変形例3では、複数の透明板の間に薬剤D1を挟みこむ態様で薬剤D1を保持している。
【0093】
図15は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図15に示すように、この実施の形態1の変形例3にかかるカプセル型医療装置1cは、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1の薬剤保持部3に代えて薬剤保持部18を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0094】
薬剤保持部18は、生体内に導入する薬剤D1を生体内の部位に対して放出可能に保持する保持手段として機能する。具体的には、薬剤保持部18は、生体内の部位に対して放出可能な状態で薬剤D1を挟み込む2枚の保持板18a,18bと、この薬剤D1に対する保持板18a,18bの押圧力を生成するバネ18cと、保持板18aと筐体2とを連結する連結部材18dとを有する。
【0095】
保持板18a,18bは、光透過性の高い透明部材を用いて形成され、互いに対向する面の間に薬剤D1を挟み込むとともに、この薬剤D1を押圧しつつ保持する。このような保持板18a,18bは、薬剤D1に対して面接触するとともに、薬剤D1の外周部と生体内の体液との接触を阻害せずに薬剤D1を保持する。かかる保持板18a,18bによって保持された薬剤D1は、生体内の体液に接触するとともに、その外周部から中心部に向けて徐々に体液に溶解する。
【0096】
また、保持板18a,18bは、上述したように透明部材であるため、撮像部4の視野Aを遮断せずに、この視野A内の位置に薬剤D1を保持する。この場合、撮像部4は、かかる保持板18a,18bを通して見える薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを含む画像を撮像する。
【0097】
かかる薬剤D1に対する保持板18a,18bの押圧力は、バネ18cによって生成される。バネ18cは、一端が保持板18aに接続され且つ他端が保持板18bに接続される。このようなバネ18cは、保持板18a,18bを連結するとともに、かかる保持板18a,18bの間に挟み込まれた薬剤D1に印加する押圧力を生成する。この場合、バネ18cは、例えば筐体2側に配置された保持板18aに対して保持板18bを近づける方向に弾性力(押圧力)を付勢するよう機能する。
【0098】
連結部材18dは、上述したように薬剤D1を保持する保持板18a,18bのいずれか一方(例えば筐体2側に配置された保持板18a)と筐体2とを連結する。この場合、連結部材18dは、撮像部4の視野A内の所定位置に薬剤D1を配置する態様で保持板18a,18bを支持する。
【0099】
このような構成を有する薬剤保持部18は、生体内の部位に対して放出可能な状態で薬剤D1を保持するとともに、撮像部4の視野Aを遮ることなく、視野A内の略一定の位置(例えば撮像部4による薬剤D1の撮像に好適な位置)に、この薬剤D1を配置する。かかる薬剤保持部18に保持された薬剤D1は、その外周部から中心部に向けて徐々に生体内の体液に溶解し、上述した薬剤溶液D2として生体内の部位に徐々に放出されつつ減少する。上述した撮像部4は、かかる薬剤保持部18の保持板18a,18bを通して見える薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを含む画像(すなわち上述した薬剤源情報としての画像)を撮像する。
【0100】
つぎに、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるカプセル型医療装置1cを用いた薬剤導入システムについて説明する。図16は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるカプセル型医療装置1cを用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。図16に示すように、本発明の実施の形態1の変形例3にかかる薬剤導入システムは、上述した実施の形態1にかかる薬剤導入システムのカプセル型医療装置1に代えてカプセル型医療装置1cを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0101】
この実施の形態1の変形例3にかかる薬剤導入システムにおいて、カプセル型医療装置1cは、保持板18a,18bの間に薬剤D1を挟み込んだ状態で生体100の口から飲込まれ、この薬剤D1とともに生体100内に導入される。その後、カプセル型医療装置1cは、蠕動運動等によって生体100内の部位を連続的または断続的に移動しつつ所定間隔で薬剤源情報としての画像を順次撮像し、かかる薬剤源情報としての画像を外部の受信装置11に順次無線送信する。
【0102】
つぎに、生体100内に導入されたカプセル型医療装置1cの動作について説明する。図17は、実施の形態1の変形例3にかかるカプセル型医療装置1cが生体内に導入された状態を例示する模式図である。図18は、実施の形態1の変形例3にかかるカプセル型医療装置1cによって撮像された画像の一具体例を示す模式図である。
【0103】
図17に示すように、生体100内に導入されたカプセル型医療装置1cは、薬剤保持部18によって撮像部4の視野A内の一定位置(例えば撮像に好適な位置)に薬剤D1を保持するとともに、かかる薬剤D1の外周部に対して生体100内の体液を接触させる。このように保持された薬剤D1は、その外周部から中心部に向けて生体100内の体液に徐々に溶解するとともに、上述した薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ徐々に減少する。この場合、薬剤保持部18は、外周部から中心部に向けて徐々に減少する薬剤D1を視野A内の一定位置に保持し続ける。撮像部4は、かかる薬剤保持部18の保持板18a,18bを通して、外周部から徐々に減少する薬剤D1と薬剤D1周辺の生体内の部位とを含む画像(すなわち上述した薬剤源情報としての画像)を所定間隔で順次撮像する。
【0104】
かかる撮像部4によって撮像された画像は、例えば図18に示すように、視野A内の略一定位置に保持された状態で外周部から徐々に減少する薬剤D1と、この薬剤D1の周辺部(すなわち薬剤D1が放出された生体100内の部位)とを示す。すなわち、撮像部4は、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況と薬剤D1が放出された生体100内の部位とをともに示す薬剤源情報として、このような画像を撮像する。
【0105】
かかる撮像部4によって撮像された薬剤源情報としての一連の画像は、上述した実施の形態1の場合と同様に、無線通信部7によってアンテナ8から順次無線送信された後、受信装置11等を介してワークステーション13に順次取り込まれるとともに、ワークステーション13の表示部14にリアルタイムに表示される。
【0106】
このようにして表示部14にリアルタイムに表示された薬剤源情報としての一連の画像は、例えば図18に示したように、生体100内の部位に対して放出されつつ減少する薬剤D1と薬剤D1周辺の生体100内の部位とを示している。したがって、医師または看護師等は、かかる薬剤源情報としての一連の画像を視認することによって、上述した実施の形態1の場合と同様に、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況をリアルタイムに確認できるとともに、生体100内の所望部位(すなわち薬剤D1の放出を目的とする病変部等の部位)に対して薬剤D1が実際に放出されたか否かをリアルタイムに確認できる。
【0107】
また、かかる薬剤源情報としての一連の画像は、略一定の位置に薬剤D1を示している。したがって、かかる薬剤源情報としての一連の画像に示される各薬剤D1の状態を視認することによって、生体100内の部位に放出されつつ減少する薬剤D1の減少状況(すなわち薬剤D1の溶解状況)を容易に確認できるとともに、上述した薬剤溶液D2として放出されつつ減少した薬剤D1の減少量を容易に把握することができる。例えば、図18に示すように、薬剤源情報としての画像に示される薬剤D1の幅W1と、その後に撮像された薬剤源情報としての画像に示される薬剤D1の幅W2とを比較することによって、生体100内における薬剤D1の減少状況と実際の減少量とを容易に把握することができる。
【0108】
以上、説明したように、本発明の実施の形態1の変形例3では、薬剤の外周部と生体内の体液との接触を阻害しない態様で透明な保持板の間に薬剤を保持し、撮像部の視野内の略一定な位置に、かかる保持板の間に保持された薬剤を配置するようにし、かかる透明な保持板越しに、生体内の部位に放出されつつ減少するこの薬剤と該薬剤の周辺部とを含む画像を撮像し、かかる薬剤とその周辺部とを含む画像を生体外の受信装置に無線送信するようにカプセル型医療装置を構成した。また、上述した実施の形態1と同様に、かかる受信装置に受信された画像を表示部に順次表示するように構成した。このため、上述した実施の形態1の作用効果に加え、生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤の減少状態を容易に確認できる一連の画像を撮像することができる。この結果、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、生体内の部位に対する薬剤の減少状況および減少量を容易に把握できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを実現することができる。
【0109】
また、撮像部の視野内における一定位置に、上述した薬剤を挟み込んだ保持板を支持するように構成したので、薬剤とともに生体内に導入されたカプセル型医療装置が生体の外部に排出されるまでの期間、かかる視野内のうちの撮像に好適な一定位置に薬剤を保持することができる。この結果、生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤とその周辺部とを含む画像をより鮮明に撮像することができ、生体内の部位に対する薬剤の放出状況を容易に確認できるようになる。
【0110】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、薬剤D1と薬剤D1の周辺部とを含む画像を薬剤源情報として撮像していたが、この実施の形態2では、筐体内に保持した薬剤D1を体液に溶解した薬剤溶液D2を筐体内から生体内の部位に向けて吐出し、このように吐出される薬剤溶液D2の薬剤濃度を上述した薬剤源情報として検出している。
【0111】
図19は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図20は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図19,20に示すように、この実施の形態2にかかるカプセル型医療装置21は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1の薬剤保持部3に代えて薬剤保持部23を有し、制御部9に代えて制御部29を有する。また、カプセル型医療装置21は、上述した薬剤源情報を検出する濃度センサ24をさらに有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0112】
薬剤保持部23は、生体内の部位に対して放出可能に薬剤D1を保持する保持手段として機能する。具体的には、薬剤保持部23は、薬剤D1を保持しつつ生体内の体液に薬剤D1を溶解した薬剤溶液D2を貯蔵する貯蔵部23aと、貯蔵部23aに貯蔵した薬剤溶液D2を吐出する吐出管23bとを有する。
【0113】
貯蔵部23aは、筐体2の内部に設けられ、薬剤D1を内包するための薬剤保持空間S1を形成する。また、貯蔵部23aは、筐体2の外部から薬剤保持空間S1内に生体内の体液を流入し、かかる体液に薬剤D1を溶解した薬剤溶液D2を薬剤保持空間S1内に貯蔵する。このような貯蔵部23aは、かかる薬剤保持空間S1と筐体2の内部空間とを隔てる壁部材23cと、筐体2(具体的にはケース本体2a)の外壁の一部分を形成する半透膜23dとによって形成される。
【0114】
壁部材23cは、かかる薬剤保持空間S1を形成する壁の一つであり、筐体2の内部空間と薬剤保持空間S1とを隔てるとともに、かかる両空間の液密を確保する。また、壁部材23cの一部分には開口部が形成され、かかる壁部材23cの開口部に吐出管23bの一端が接続される。このように壁部材23cに設けられた吐出管23bは、薬剤保持空間S1に連通する。
【0115】
半透膜23dは、かかる薬剤保持空間S1を形成する壁の一つであるとともにケース本体2aの外壁の一部分を形成し、薬剤D1および薬剤溶液D2を通さずに生体内の体液のみを通過させる。このような半透膜23dは、浸透圧によって薬剤保持空間S1内に生体内の体液を流入するとともに、半透膜23dを介した薬剤D1および薬剤溶液D2の入出を阻止する。
【0116】
吐出管23bは、壁部材23cの開口部に一端が接続され且つ他端が筐体2の外部(例えば光学ドーム2bの近傍)に配置される。この場合、吐出管23bは、上述した薬剤保持空間S1に連通するとともに、かかる薬剤保持空間S1において生成された薬剤溶液D2を生体内の部位(すなわち筐体2の外部)に吐出する。
【0117】
濃度センサ24は、生体内の部位に対して放出される薬剤D1の放出状況を示す薬剤源情報を検出する検出手段として機能する。具体的には、濃度センサ24は、例えば吐出管23bの吐出口近傍に設けられ、薬剤保持空間S1から吐出管23bを流通して生体内の部位に吐出(放出)される薬剤溶液D2の薬剤濃度を検出する。ここで、薬剤保持空間S1に貯蔵される薬剤溶液D2は、上述したように、半透膜23dを介して流入した生体内の体液に薬剤D1を溶解して生成される。このため、かかる薬剤溶液D2に含まれる薬剤D1の濃度、すなわち薬剤溶液D2の薬剤濃度は、薬剤保持空間S1内において体液に溶解しつつ減少する薬剤D1の減少量に対応する。したがって、かかる薬剤溶液D2の薬剤濃度は、薬剤溶液D2として生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤D1の放出状況および減少量を示す薬剤源情報になる。すなわち、濃度センサ24は、このような薬剤源情報として薬剤溶液D2の薬剤濃度を検出する。濃度センサ24は、検出した薬剤溶液D2の薬剤濃度すなわち薬剤源情報を制御部29に送信する。
【0118】
制御部29は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1の制御部9とほぼ同様に、撮像部4、照明部群5、画像処理回路6、および無線通信部7の各駆動を制御し、さらに、濃度センサ24の駆動を制御する。この場合、制御部29は、吐出管23bから吐出される薬剤溶液D2の薬剤濃度を検出するよう濃度センサ24を制御するとともに、かかる濃度センサ24による薬剤濃度の検出処理に同期して照明部群5および撮像部4を制御する。
【0119】
かかる制御部29の制御に基づいて、照明部群5は、撮像部4の視野Aを照明し、これに同期して、撮像部4は、かかる照明部群5によって照明された視野A内に位置する被写体の画像を撮像する。この場合、撮像部4は、吐出管23bから薬剤溶液D2が吐出された生体内の部位、すなわち薬剤溶液D2として薬剤D1が放出された生体内の部位の画像を撮像する。かかる撮像部4によって撮像された画像は、薬剤溶液D2として薬剤D1が実際に放出された生体内の部位を示す部位情報になる。撮像部4は、かかる部位情報としての画像を順次撮像する。
【0120】
制御部29は、濃度センサ24によって検出された薬剤源情報としての薬剤濃度を取得するとともに、かかる薬剤濃度の検出処理に同期して撮像された部位情報としての画像とこの薬剤源情報としての薬剤濃度とを対応付けて無線送信するよう無線通信部7を制御する。かかる制御部29の制御に基づいて、無線通信部7は、かかる薬剤源情報としての薬剤濃度と部位情報としての画像とを含む無線信号を生成し、生成した無線信号をアンテナ8から送信する。このようにして、かかる薬剤源情報としての薬剤濃度と部位情報としての画像とを含む無線信号は、生体外に順次送信される。
【0121】
つぎに、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置21を用いた薬剤導入システムについて説明する。図21は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置21を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。図21に示すように、本発明の実施の形態2にかかる薬剤導入システムは、上述した実施の形態1にかかる薬剤導入システムのカプセル型医療装置1に代えてカプセル型医療装置21を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0122】
この実施の形態2にかかる薬剤導入システムにおいて、カプセル型医療装置21は、上述した薬剤保持部23の薬剤保持空間S1内に薬剤D1を保持した状態で生体100の口から飲み込まれ、生体100内に導入される。かかるカプセル型医療装置21は、蠕動運動等によって生体100内の部位を連続的または断続的に移動しつつ、薬剤保持空間S1内の薬剤D1と体液との混合溶液である薬剤溶液D2を生体100内の部位に吐出(放出)する。この場合、カプセル型医療装置21は、かかる薬剤溶液D2の薬剤濃度(薬剤D1の放出状況および減少量を示す薬剤源情報)を検出するとともに、かかる薬剤溶液D2を吐出した生体100内の部位の画像(薬剤溶液D2として薬剤D1を放出した生体100内の部位を示す部位情報)を取得する。カプセル型医療装置21は、かかる薬剤源情報としての薬剤濃度と部位情報としての画像とを順次取得し、取得した薬剤源情報としての薬剤濃度と部位情報としての画像とを順次無線送信する。
【0123】
受信装置11は、受信アンテナ12a〜12dのいずれかを介して、かかるカプセル型医療装置21からの薬剤源情報としての薬剤濃度と部位情報としての画像とを順次受信する。ワークステーション13は、例えばケーブル15を介して、かかる受信装置11に受信された薬剤源情報としての薬剤濃度と部位情報としての画像とを順次取り込み、表示部14に薬剤源情報としての薬剤濃度と部位情報としての画像と順次表示する。このようにして、ワークステーション13は、生体100内のカプセル型医療装置21によって検出された一連の薬剤源情報(薬剤濃度)および部位情報(画像)を表示部14にリアルタイムに表示する。
【0124】
つぎに、生体100内に導入されたカプセル型医療装置21の動作について説明する。図22は、実施の形態2にかかるカプセル型医療装置21が生体内に導入された状態を例示する模式図である。図23は、実施の形態2にかかるカプセル型医療装置21によって撮像された画像の一具体例を示す模式図である。
【0125】
図22に示すように、生体100内に導入されたカプセル型医療装置21は、半透膜23dを介して貯蔵部23a内(すなわち薬剤保持空間S1内)に生体100内の体液を流入し、このように流入した体液に薬剤D1を溶解した薬剤溶液D2を貯蔵部23a内で生成する。このように生成された貯蔵部23a内の薬剤溶液D2は、吐出管23b内を流通して吐出管23bから生体100内の部位に吐出(放出)される。この場合、貯蔵部23a内の薬剤D1は、半透膜23dを介して貯蔵部23a内に流入した体液に徐々に溶解するとともに、薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ徐々に減少する。
【0126】
このように薬剤溶液D2が生体100内の部位に吐出された場合、濃度センサ24は、かかる薬剤溶液D2の薬剤濃度を検出する。これに同期して、撮像部4は、かかる薬剤溶液D2が吐出された生体100内の部位の画像を撮像する。ここで、かかる濃度センサ24によって検出された薬剤濃度は、吐出管23bから生体100内の部位に吐出される薬剤溶液D2に含まれる薬剤D1の濃度であり、かかる薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ減少する薬剤D1の放出状況および減少量を示す薬剤源情報である。また、かかる撮像部4によって撮像された画像は、例えば図23に示すように、薬剤D1を含有する薬剤溶液D2が吐出(放出)された生体100内の部位を示す部位情報である。
【0127】
カプセル型医療装置21が生体100内に導入されてから生体100外に自然排出されるまでの期間、濃度センサ24は、吐出管23bから薬剤溶液D2が吐出される毎に、あるいは所定の時間が経過する毎に、上述した薬剤源情報としての薬剤濃度を順次検出する。かかる濃度センサ24の検出処理に同期して、撮像部4は、上述した部位情報としての画像を順次撮像する。このような薬剤源情報としての薬剤濃度および部位情報としての画像は、無線通信部7によってアンテナ8から順次無線送信される。
【0128】
このようにカプセル型医療装置21から順次無線送信された薬剤源情報(薬剤濃度)および部位情報(画像)は、上述したように受信装置11に順次受信されるとともに、例えばケーブル15を介してワークステーション13に順次取り込まれる。その後、かかる薬剤源情報としての薬剤濃度と部位情報としての画像は、互いに対応付けられた状態でワークステーション13の表示部14にリアルタイムに表示される。
【0129】
このようにして表示部14にリアルタイムに表示された一連の薬剤源情報(薬剤濃度)は、薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出された薬剤D1の放出状況および減少量を示し、かかる一連の薬剤源情報のそれぞれに対応付けて表示された部位情報(画像)は、例えば図23に示したように、薬剤D1を含有する薬剤溶液D2が吐出された生体100内の部位を示している。したがって、医師または看護師等は、このような薬剤源情報としての薬剤濃度と部位情報としての画像とを順次視認することによって、生体100内の部位に対して放出されつつ減少する薬剤D1の減少状態と薬剤D1が実際に放出された生体100内の部位(例えば胃、十二指腸、小腸、大腸等)とをリアルタイムに確認できる。この結果、医師または看護師等は、生体100内にカプセル型医療装置21が導入されている期間であっても、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況をリアルタイムに確認できるとともに、生体100内の所望部位(すなわち薬剤D1の放出を目的とする病変部等の部位)に対して薬剤D1が実際に放出されたか否かをリアルタイムに確認できる。
【0130】
また、かかる薬剤源情報としての薬剤濃度を視認することによって、例えば図23に示したような撮像部4による画像のみでは把握が困難な薬剤D1の減少量(すなわち薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出された薬剤D1の放出量)を容易に把握することができる。
【0131】
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、薬剤を保持する薬剤保持空間内に生体内の体液を流入して体液に薬剤を溶解した薬剤溶液を生成し、この薬剤保持空間内の薬剤溶液を生体内の部位に吐出するとともに、かかる薬剤溶液に含まれる薬剤濃度を検出し、且つ、かかる薬剤溶液が吐出された生体内の部位の画像を撮像し、かかる薬剤濃度と生体内の画像とを対応付けた状態で外部の受信装置に無線送信するようにカプセル型医療装置を構成した。また、かかる受信装置に受信された一対の薬剤濃度および画像を表示部に順次表示するように構成した。このため、生体内に薬剤が導入されている期間であっても、かかる表示部に順次表示された一対の薬剤濃度および画像を視認することによって、生体内に対する薬剤の放出状況と、放出された際の薬剤の減少量と、薬剤が放出された生体内の部位とをリアルタイムに確認することができる。この結果、生体内の部位に対して薬剤が実際に放出されているか否かをリアルタイムに確認できるとともに、この薬剤が実際に放出された生体内の部位と放出された際の薬剤の減少量とをリアルタイムに確認できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを実現することができる。
【0132】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1では、薬剤D1と薬剤D1の周辺部とを含む画像を薬剤源情報として撮像していたが、この実施の形態3では、発光素子群の発光面と受光素子の受光面との間に薬剤D1を保持し、かかる発光素子群から受光素子に受光された光量をもとに、この薬剤D1の放出状況を示す薬剤源情報を検出している。
【0133】
図24は、本発明の実施の形態3にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図25は、カプセル型の筐体を分解した状態の一例を示す模式図である。図26は、本発明の実施の形態3にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【0134】
この実施の形態3にかかるカプセル型医療装置は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1のように薬剤源情報としての画像を取得する代わりに、薬剤D1を挟む態様で配置された発光素子群と受光素子とを用いて薬剤源情報としての光量を検出し、また、薬剤D1を放出した生体内の部位を示す体液のpH値を部位情報として検出する。
【0135】
すなわち図24〜26に示すように、この実施の形態3にかかるカプセル型医療装置31は、薬剤D1を保持する薬剤保持空間33が形成された筐体32と、薬剤D1の状態を検出する薬剤状態検出部36と、生体内の体液のpH値を検出するpHセンサ37と、カプセル型医療装置31の各構成部の駆動を制御する制御部39とを有する。この薬剤状態検出部36は、薬剤D1を挟んで対向する発光素子群34と受光素子35とによって構成される。また、カプセル型医療装置31は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1と同様に、無線通信部7と、アンテナ8と、カプセル型医療装置31の各構成部に対して駆動電力を供給する電源部10とを有する。
【0136】
筐体32は、生体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、カプセル型医療装置31の各構成部、例えば、薬剤状態検出部36、pHセンサ37、制御部39、無線通信部7、アンテナ8、および電源部10を収容する。また、筐体32は、薬剤D1を保持するための薬剤保持空間33を形成する。このような筐体32は、薬剤D1を間に挟む2つの部分筐体32a,32bと、かかる部分筐体32a,32bを連結する連結部材32cとを用いて形成される。このような筐体32は、例えば生体の口から容易に飲込むことができ、且つ、蠕動運動等によって生体の消化管内を容易に移動できる。
【0137】
部分筐体32a,32bは、カプセル型の筐体32を2つに分割したものであって、連結部材32cによって連結される。具体的には、部分筐体32bは、発光素子群34が設けられた発光側部分筐体であり、部分筐体32aは、受光素子35が設けられた受光側部分筐体である。このような部分筐体32a,32bは、それぞれに設けられた発光素子群34の各発光面と受光素子35の受光面とが互いに対向する態様に配置され、且つ連結部材32cによって連結される。
【0138】
連結部材32cは、部分筐体32a,32bを連結する連結手段として機能するとともに、かかる部分筐体32a,32bの間に薬剤D1を保持する保持手段として機能する。具体的には、連結部材32cは、例えば図25に示すように、薬剤D1の中央部分に形成された貫通孔に挿通した状態で部分筐体32a,32bを連結する。かかる連結部材32cによって連結された部分筐体32a,32bは、上述したように発光素子群34の各発光面と受光素子35の受光面とを対向させるとともに、かかる発光素子群34と受光素子35とによって挟まれた薬剤保持空間33を形成する。連結部材32cは、かかる部分筐体32a,32bに挟まれた薬剤保持空間33内に薬剤D1を保持する。この場合、薬剤D1は、生体内の部位に対して放出可能な状態で連結部材32cに保持される。
【0139】
薬剤状態検出部36は、薬剤保持空間33内に保持された薬剤D1を挟んで対向する発光素子群34と受光素子35とによって構成され、かかる薬剤D1の状態を検出する。このような薬剤状態検出部36は、生体内の部位に対する薬剤D1の放出状況を示す薬剤源情報を光学的に検出する検出手段として機能する。
【0140】
具体的には、発光素子群34は、複数の発光素子34aを有する。複数の発光素子34aは、例えばLED等を用いて実現され、薬剤D1を挟んで受光素子35の受光面に対向するように部分筐体32bに設けられる。この場合、複数の発光素子34aは、かかる受光素子35の受光面に対向する面上に、列状、十文字状、または格子状に配置される。このような複数の発光素子34aは、生体内の部位に対する薬剤D1の放出状況に応じて、その発光面に対向する薬剤D1または受光素子35の受光面に対して所定光量の光をそれぞれ発光する。すなわち、かかる複数の発光素子34aによって発光された各光は、薬剤保持空間33内の薬剤D1がほぼ放出されていない状態である場合、この薬剤D1によって遮断される。その後、この薬剤D1が生体内の部位に放出されつつ減少するとともに、受光素子35に対して直接対向する発光素子34aの数が増加する。したがって、かかる受光素子35に受光される発光素子群34からの光量は、このような薬剤D1の減少に伴って徐々に増加する。
【0141】
受光素子35は、例えばフォトダイオードまたはCCD等を用いて実現され、薬剤D1を挟んで発光素子群34の各発光面に対向するように部分筐体32aに設けられる。このような受光素子35は、かかる発光素子群34の各発光素子34aによって発光された光を受光し、かかる発光素子34aから受光した光の受光面積(すなわち受光量)を検出する。ここで、受光素子35は、生体内の部位に対する薬剤D1の放出状況に応じて、発光素子群34から受光する光の受光面積を変化させる。具体的には、かかる受光素子35の受光面積、すなわち受光素子35の受光量は、薬剤保持空間33内の薬剤D1が生体内の部位に放出されつつ減少するとともに徐々に増加する。このため、かかる受光素子35の受光量は、生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤D1の減少量に対応する。したがって、かかる受光素子35の受光量は、薬剤溶液D2として生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤D1の放出状況および減少量を示す薬剤源情報になる。すなわち、受光素子35は、このような薬剤源情報として、発光素子群34から発光された光の受光量を検出する。受光素子35は、検出した受光量すなわち薬剤源情報を制御部39に送信する。
【0142】
pHセンサ37は、薬剤溶液D2として薬剤D1が放出された生体内の部位を検出する部位検出手段として機能する。具体的には、pHセンサ37は、例えば部分筐体32aの外壁面近傍に設けられ、生体内の体液のpH値を検出する。かかる体液のpH値は、生体内の部位に対応して異なる。例えば、かかる体液のpH値は、胃において強酸を示す値であり、小腸において中性を示す値である。すなわち、pHセンサ37は、薬剤溶液D2として薬剤D1が放出された生体内の部位を示す部位情報として、生体内の体液のpH値を検出する。pHセンサ37は、検出したpH値すなわち部位情報を制御部39に送信する。
【0143】
制御部39は、上述した発光素子群34の各発光素子34a、受光素子35、pHセンサ37、および無線通信部7の各駆動を制御する。この場合、制御部39は、例えば所定の時間が経過する毎に、各発光素子34aが光を発光するように制御するとともに、受光素子35が薬剤源情報としての受光量を検出するように制御する。これに同期して、制御部39は、pHセンサ37が部位情報としてのpH値を検出するように制御する。
【0144】
かかる制御部39の制御に基づいて、複数の発光素子34aが所定間隔で発光するとともに、受光素子35は、所定間隔で薬剤源情報としての受光量を順次検出し、得られた薬剤源情報としての受光量を制御部39に順次送信する。これに同期して、pHセンサ37は、部位情報としてのpH値を順次検出し、得られた部位情報としてのpH値を制御部39に順次送信する。
【0145】
制御部39は、かかる受光素子35によって検出された薬剤源情報としての受光量を取得するとともに、かかるpHセンサ37によって検出された部位情報としてのpH値を取得し、得られた薬剤源情報としての薬剤濃度と部位情報としてのpH値とを対応付けて無線送信するよう無線通信部7を制御する。かかる制御部39の制御に基づいて、無線通信部7は、かかる薬剤源情報としての受光量と部位情報としてのpH値とを含む無線信号を生成し、生成した無線信号をアンテナ8から送信する。このようにして、かかる薬剤源情報としての受光量と部位情報としてのpH値とを含む無線信号は、生体外に順次送信される。
【0146】
つぎに、本発明の実施の形態3にかかるカプセル型医療装置31を用いた薬剤導入システムについて説明する。図27は、本発明の実施の形態3にかかるカプセル型医療装置31を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。図27に示すように、本発明の実施の形態3にかかる薬剤導入システムは、上述した実施の形態1にかかる薬剤導入システムのカプセル型医療装置1に代えてカプセル型医療装置31を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0147】
この実施の形態3にかかる薬剤導入システムにおいて、カプセル型医療装置31は、上述した薬剤保持空間33内に薬剤D1を保持した状態で生体100の口から飲み込まれ、生体100内に導入される。かかるカプセル型医療装置31は、蠕動運動等によって生体100内の部位を連続的または断続的に移動しつつ、薬剤溶液D2として薬剤保持空間33内の薬剤D1を生体100内の部位に放出する。この場合、カプセル型医療装置31は、かかる薬剤D1の減少に伴って増加する受光素子35の受光量(薬剤D1の放出状況および減少量を示す薬剤源情報)を所定間隔で検出するとともに、薬剤溶液D2として薬剤D1を放出した生体100内の部位における体液のpH値(薬剤D1が放出された生体100内の部位を示す部位情報)を検出する。カプセル型医療装置31は、かかる薬剤源情報としての受光量と部位情報としてのpH値とを順次取得し、取得した薬剤源情報としての受光量と部位情報としてのpH値とを順次無線送信する。
【0148】
受信装置11は、受信アンテナ12a〜12dのいずれかを介して、かかるカプセル型医療装置31からの薬剤源情報としての受光量と部位情報としてのpH値とを順次受信する。ワークステーション13は、例えばケーブル15を介して、かかる受信装置11に受信された薬剤源情報としての受光量と部位情報としてのpH値とを順次取り込み、表示部14に薬剤源情報としての受光量と部位情報としてのpH値と順次表示する。このようにして、ワークステーション13は、生体100内のカプセル型医療装置31によって検出された一連の薬剤源情報(受光素子35の受光量)および部位情報(生体内の体液のpH値)を表示部14にリアルタイムに表示する。
【0149】
つぎに、生体100内に導入されたカプセル型医療装置31の動作について説明する。図28は、実施の形態3にかかるカプセル型医療装置31が生体内に導入された状態を例示する模式図である。図28に示すように、生体100内に導入されたカプセル型医療装置31は、薬剤保持空間33内に薬剤D1を保持するとともに、かかる薬剤D1と生体100内の体液とを接触させる。この場合、薬剤D1は、その外周部から中心部に向けて生体100内の体液に徐々に溶解するとともに、上述した薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ徐々に減少する。
【0150】
複数の発光素子34aのそれぞれは、このように放出されつつ徐々に減少する薬剤D1または受光素子35の受光面に対し、所定間隔で光を発光する。受光素子35は、複数の発光素子34aによって発光された光のうちの薬剤D1に遮断されなかった光を受光し、受光した光の受光量を検出する。これに同期して、pHセンサ37は、薬剤溶液D2として薬剤D1が放出された生体100内の部位における体液のpH値を検出する。
【0151】
ここで、かかる受光素子35によって検出された受光量は、薬剤保持空間33内に保持された薬剤D1の減少に伴って増加するものであって、薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出されつつ減少する薬剤D1の放出状況および減少量を示す薬剤源情報である。また、かかるpHセンサ37によって検出されたpH値は、薬剤溶液D2として薬剤D1が放出された生体100内の部位を示す部位情報である。
【0152】
カプセル型医療装置31が生体100内に導入されてから生体100外に自然排出されるまでの期間、受光素子35は、所定の時間が経過する毎に、上述した薬剤源情報としての受光量を順次検出する。かかる受光素子35の検出処理に同期して、pHセンサ37は、上述した部位情報としてのpH値を順次検出する。このような薬剤源情報としての受光量および部位情報としてのpH値は、無線通信部7によってアンテナ8から順次無線送信される。
【0153】
このようにカプセル型医療装置31から順次無線送信された薬剤源情報(受光素子35の受光量)および部位情報(体液のpH値)は、上述したように受信装置11に順次受信されるとともに、例えばケーブル15を介してワークステーション13に順次取り込まれる。その後、かかる薬剤源情報としての受光量と部位情報としてのpH値は、互いに対応付けられた状態でワークステーション13の表示部14にリアルタイムに表示される。
【0154】
このようにして表示部14にリアルタイムに表示された一連の薬剤源情報(受光素子35の受光量)は、薬剤溶液D2として生体100内の部位に放出された薬剤D1の放出状況および減少量を示し、かかる一連の薬剤源情報のそれぞれに対応付けて表示された部位情報(体液のpH値)は、薬剤D1が放出された生体100内の部位を示している。したがって、医師または看護師等は、このような薬剤源情報としての受光量と部位情報としてのpH値とを順次視認することによって、生体100内の部位に対して放出されつつ減少する薬剤D1の減少量と薬剤D1が実際に放出された生体100内の部位(例えば胃、十二指腸、小腸、大腸等)とをリアルタイムに確認できる。この結果、医師または看護師等は、生体100内にカプセル型医療装置21が導入されている期間であっても、生体100内の部位に対する薬剤D1の放出状況をリアルタイムに確認できるとともに、生体100内の所望部位(すなわち薬剤D1の放出を目的とする病変部等の部位)に対して薬剤D1が実際に放出されたか否かをリアルタイムに確認できる。
【0155】
以上、説明したように、本発明の実施の形態3では、発光面と受光面とを対向させた発光素子群と受光素子との間に薬剤を保持し、かかる薬剤の減少に伴って増加する受光素子の受光量を検出し、且つ、かかる薬剤が放出された生体内の部位における体液のpH値を検出し、かかる受光素子の受光量と体液のpH値とを対応付けた状態で外部の受信装置に無線送信するようにカプセル型医療装置を構成した。また、かかる受信装置に受信された一対の受光量およびpH値を表示部に順次表示するように構成した。このため、生体内に薬剤が導入されている期間であっても、かかる表示部に順次表示された一対の受光量および体液のpH値を視認することによって、生体内に対する薬剤の放出状況と、放出された際の薬剤の減少量と、薬剤が放出された生体内の部位とをリアルタイムに確認することができる。この結果、生体内の部位に対して薬剤が実際に放出されているか否かをリアルタイムに確認できるとともに、この薬剤が実際に放出された生体内の部位と放出された際の薬剤の減少量とをリアルタイムに確認できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを簡易な構成で実現することができる。
【0156】
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1では、薬剤D1と薬剤D1の周辺部とを含む画像を薬剤源情報として撮像していたが、この実施の形態4では、生体内の体液を採取するようにし、採取した体液をもとに、生体内の部位に対する薬剤の放出状況を示す薬剤源情報を検出している。
【0157】
図29は、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図30は、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。この実施の形態4にかかるカプセル型医療装置41は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1のように薬剤源情報としての画像を取得する代わりに、生体内の部位における体液を採取し、採取した体液をもとに、生体内の部位に対する薬剤の放出状況を示す薬剤源情報を検出する。また、このカプセル型医療装置41は、薬剤を放出した生体内の部位を示す体液のpH値を部位情報として検出する。
【0158】
すなわち図29,30に示すように、このカプセル型医療装置41は、カプセル型の筐体42と、液状の薬剤D3を保持し且つ吐出する薬剤保持部43と、生体内の体液を採取する体液採取部44と、体液採取部44によって採取された体液中の例えば菌の濃度を検出する濃度センサ45と、生体内の体液のpH値を検出するpHセンサ46と、カプセル型医療装置41の各構成部の駆動を制御する制御部49とを有する。また、カプセル型医療装置41は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1と同様に、無線通信部7と、アンテナ8と、カプセル型医療装置41の各構成部に対して駆動電力を供給する電源部10とを有する。
【0159】
筐体42は、生体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、カプセル型医療装置41の各構成部、例えば、薬剤保持部43、体液採取部44、濃度センサ45、pHセンサ46、制御部49、無線通信部7、アンテナ8、および電源部10を収容する。このような筐体42は、例えば生体の口から容易に飲込むことができ、且つ、蠕動運動等によって生体の消化管内を容易に移動できる。
【0160】
薬剤保持部43は、液状の薬剤D3を保持する保持手段として機能するとともに、この薬剤D3を生体内の部位に吐出(放出)する薬剤吐出手段として機能する。具体的には、薬剤保持部43は、薬剤D3を保持するとともに自身の収縮力によって薬剤D3を吐出するバルーン43aと、バルーン43aから吐出された薬剤D3を筐体42の外部(すなわち生体内の部位)に流通する吐出管43bと、かかるバルーン43aと吐出管43bとの連通状態を調整する弁43cとを有する。
【0161】
バルーン43aは、ゴム等の弾性部材によって実現され、液状の薬剤D3が注入されることによって膨張し、このように膨張した状態を維持しつつ薬剤D3を内包する。この場合、バルーン43aは、このように膨張した状態において潜在する自身の収縮力によって、この内包する薬剤D3を吐出するよう機能する。
【0162】
吐出管43bは、一端がバルーン43aに接続され且つ他端が筐体42の開口部に挿通される。このような吐出管43bは、弁43cが開駆動を行った場合、バルーン43a内(すなわち薬剤D3が保持された内部空間)と筐体42の外部とを連通するとともに、バルーン43aによって吐出された薬剤D3を筐体42の外部、すなわち生体内の部位に放出する。
【0163】
弁43cは、上述したバルーン43aと吐出管43bとの連通状態を調整する。具体的には、弁43cは、制御部49の制御に基づいて開駆動することによって、かかるバルーン43aと吐出管43bとを連通させる。この場合、バルーン43aは、自身の収縮力によって薬剤D3に圧力を加えることによって薬剤D3を吐出する。かかるバルーン43aによって吐出された薬剤D3は、吐出管43bおよび弁43cを通って生体内の部位に放出される。一方、弁43cは、制御部49の制御に基づいて閉駆動することによって、かかるバルーン43aと吐出管43bとの連通を遮断する。この場合、バルーン43aは、薬剤D3の吐出動作を停止する。
【0164】
体液採取部44は、生体内の部位に対する薬剤D3の放出状況を示す薬剤源情報を検出するための生体内の体液を採取する。具体的には、体液採取部44は、生体内の部位から体液を吸引(採取)するポンプ44aと、ポンプ44aによって吸引された体液を貯蔵する体液貯蔵部44bと、ポンプ44aによって吸引された体液を体液貯蔵部44b内に流通する吸引管44cとを有する。
【0165】
ポンプ44aは、制御部49の制御に基づいて生体内の部位における体液を吸引(採取)する。吸引管44cは、一端が体液貯蔵部44bに接続され且つ他端が筐体42の開口部に挿通される。このような吸引管44cは、ポンプ44aによって吸引された体液を体液貯蔵部44bに流通する。体液貯蔵部44bは、かかる吸引管44cを介して生体内の体液を取得し、取得した体液を貯蔵する。
【0166】
濃度センサ45は、体液採取部44によって採取された生体内の体液をもとに、生体内の部位に対する薬剤D3の放出状況を示す薬剤源情報を検出する検出手段として機能する。具体的には、濃度センサ45は、例えば体液貯蔵部44bに設けられ、体液貯蔵部44b内に貯蔵された生体内の体液に含まれる菌の濃度(体液中の菌濃度)を検出する。ここで、上述した薬剤保持部43が生体内の部位に薬剤D3を放出した場合、例えば、この生体内の部位における体液は殺菌され、かかる体液中に含まれる菌の濃度が減少する。体液採取部44は、このような生体内の体液を採取する。すなわち、上述した薬剤保持部43が生体内の部位に薬剤D3を放出した場合、体液貯蔵部44bは、薬剤D3の殺菌作用によって菌の濃度が低下した体液を貯蔵する。この場合、かかる体液貯蔵部44b内の体液中の菌濃度は、バルーン43aによって吐出されつつ減少する薬剤D3の減少量に対応する。したがって、かかる体液中の菌濃度は、バルーン43aから生体内の部位に放出されつつ減少する薬剤D1の放出状況を示す薬剤源情報になる。すなわち、濃度センサ45は、このような薬剤源情報として体液中の菌濃度を検出する。濃度センサ45は、検出した体液中の菌濃度すなわち薬剤源情報を制御部49に送信する。
【0167】
pHセンサ46は、薬剤D3が放出された生体内の部位を検出する部位検出手段として機能する。具体的には、pHセンサ46は、例えば筐体42の外壁面近傍に設けられ、生体内の体液のpH値を検出する。かかる体液のpH値は、上述したように、生体内の部位に対応して異なる。すなわち、pHセンサ46は、薬剤D3が放出された生体内の部位を示す部位情報として、生体内の体液のpH値を検出する。pHセンサ46は、検出したpH値すなわち部位情報を制御部49に送信する。
【0168】
制御部49は、上述した薬剤保持部43の弁43c、体液採取部44のポンプ44a、濃度センサ45、pHセンサ46、および無線通信部7の各駆動を制御する。この場合、制御部49は、例えば所定の時間が経過する毎に弁43cの開閉駆動を制御する。かかる弁43cの開駆動に同期して、制御部49は、部位情報としてのpH値を検出するようpHセンサ46を制御する。つぎに、制御部49は、生体内の体液を吸引(採取)するようポンプ44aを制御し、その後、薬剤源情報としての体液中の菌濃度を検出するよう濃度センサを制御する。
【0169】
かかる制御部49の制御に基づいて、弁43cは、所定間隔で開閉駆動を繰り返し、pHセンサ46は、かかる弁43cの開駆動に同期して生体内の体液のpH値を順次検出するとともに、得られた部位情報としてのpH値を制御部49に順次送信する。この場合、バルーン43aは、かかる弁43cの開閉駆動に基づいて、所定間隔で生体内の部位に薬剤D3を吐出する。また、かかる制御部49の制御に基づいて、ポンプ44aは、生体内の体液を体液貯蔵部44bに吸引し、濃度センサ45は、この体液貯蔵部44b内に貯蔵された体液中の菌濃度を順次検出するとともに、得られた体液中の菌濃度(薬剤源情報)を制御部49に順次送信する。
【0170】
制御部49は、かかる濃度センサ45によって検出された薬剤源情報としての菌濃度を取得するとともに、かかるpHセンサ46によって検出された部位情報としてのpH値を取得し、得られた薬剤源情報としての菌濃度と部位情報としてのpH値とを対応付けて無線送信するよう無線通信部7を制御する。かかる制御部49の制御に基づいて、無線通信部7は、かかる薬剤源情報としての菌濃度と部位情報としてのpH値とを含む無線信号を生成し、生成した無線信号をアンテナ8から送信する。このようにして、かかる薬剤源情報としての菌濃度と部位情報としてのpH値とを含む無線信号は、生体外に順次送信される。
【0171】
つぎに、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型医療装置41を用いた薬剤導入システムについて説明する。図31は、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型医療装置41を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。図31に示すように、本発明の実施の形態4にかかる薬剤導入システムは、上述した実施の形態1にかかる薬剤導入システムのカプセル型医療装置1に代えてカプセル型医療装置41を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0172】
この実施の形態4にかかる薬剤導入システムにおいて、カプセル型医療装置41は、上述したバルーン43a内に液状の薬剤D3を保持した状態で生体100の口から飲み込まれ、生体100内に導入される。かかるカプセル型医療装置41は、蠕動運動等によって生体100内の部位を連続的または断続的に移動しつつ、所定間隔で生体100内の部位にバルーン43a内の薬剤D3を吐出(放出)する。この場合、カプセル型医療装置41は、生体100内の部位における体液のpH値(薬剤D3が放出された生体100内の部位を示す部位情報)を検出する。また、カプセル型医療装置41は、薬剤D3が放出された生体100内の部位における体液を採取するとともに、採取した体液中に含まれる菌濃度(薬剤D1の放出状況を示す薬剤源情報)を検出する。カプセル型医療装置41は、かかる薬剤源情報としての菌濃度と部位情報としてのpH値とを順次取得し、取得した薬剤源情報としての菌濃度と部位情報としてのpH値とを順次無線送信する。
【0173】
受信装置11は、受信アンテナ12a〜12dのいずれかを介して、かかるカプセル型医療装置41からの薬剤源情報としての菌濃度と部位情報としてのpH値とを順次受信する。ワークステーション13は、例えばケーブル15を介して、かかる受信装置11に受信された薬剤源情報としての菌濃度と部位情報としてのpH値とを順次取り込み、表示部14に薬剤源情報としての菌濃度と部位情報としてのpH値と順次表示する。このようにして、ワークステーション13は、生体100内のカプセル型医療装置41によって検出された一連の薬剤源情報(採取した体液中の菌濃度)および部位情報(生体内の部位における体液のpH値)を表示部14にリアルタイムに表示する。
【0174】
つぎに、生体100内に導入されたカプセル型医療装置41の動作について説明する。図32は、実施の形態4にかかるカプセル型医療装置41が生体内に導入された状態を例示する模式図である。図32に示すように、生体100内に導入されたカプセル型医療装置41は、弁43cの開駆動によって、バルーン43a内に保持した薬剤D3を所定間隔で吐出する。かかるバルーン43aによって吐出された薬剤D3は、吐出管43bおよび弁43cを通って生体100内の部位に放出される。この場合、バルーン43a内の薬剤D3は、生体100内の部位に放出されつつ徐々に減少する。また、かかる薬剤D3が放出された生体100内の部位では、この薬剤D3の殺菌作用によって体液中の菌濃度が低下する。
【0175】
また、上述した弁43cの開駆動に同期して、pHセンサ46は、薬剤D3が放出された生体100内の部位における体液のpH値を検出する。かかるpHセンサ46によって検出されたpH値は、上述したように薬剤D3が放出された生体100内の部位を示す部位情報である。pHセンサ46は、上述した弁43cの開駆動に同期して、かかる部位情報としてのpH値を順次検出する。
【0176】
一方、上述したように薬剤D3が生体100内の部位に放出された場合、ポンプ44aは、かかる薬剤D3によって殺菌された生体100内の体液を吸引する。かかるポンプ44aによって吸引された体液は、吸引管44cを通って体液貯蔵部44b内に貯蔵される。この場合、体液貯蔵部44b内に貯蔵された体液は、薬剤D3の殺菌作用によって菌濃度が低下したものである。濃度センサ45は、かかる体液貯蔵部44b内に貯蔵された体液中の菌濃度を検出する。ここで、かかる濃度センサ45によって検出された菌濃度は、バルーン43aから生体100内の部位に放出された薬剤D3によって殺菌された体液中の菌濃度であり、生体100内の部位に放出されつつ減少する薬剤D3の放出状況を示す薬剤源情報である。
【0177】
カプセル型医療装置41が生体100内に導入されてから生体100外に自然排出されるまでの期間、濃度センサ45は、薬剤D3が生体100内の部位に放出される毎に、すなわち弁43cの開駆動が行われる毎に、上述した薬剤源情報としての菌濃度を順次検出する。このような薬剤源情報としての菌濃度および上述した部位情報としてのpH値は、無線通信部7によってアンテナ8から順次無線送信される。
【0178】
このようにカプセル型医療装置41から順次無線送信された薬剤源情報(採取した体液中の菌濃度)および部位情報(生体内の部位における体液のpH値)は、上述したように受信装置11に順次受信されるとともに、例えばケーブル15を介してワークステーション13に順次取り込まれる。その後、かかる薬剤源情報としての菌濃度と部位情報としてのpH値は、互いに対応付けられた状態でワークステーション13の表示部14にリアルタイムに表示される。
【0179】
このようにして表示部14にリアルタイムに表示された一連の薬剤源情報(菌濃度)は、生体100内の部位に放出された薬剤D3の放出状況を示し、かかる一連の薬剤源情報のそれぞれに対応付けて表示された部位情報(pH値)は、薬剤D3が放出された生体100内の部位を示している。したがって、医師または看護師等は、このような薬剤源情報としての菌濃度と部位情報としてのpH値とを順次視認することによって、生体100内の部位に対して放出されつつ減少する薬剤D3の減少状態と薬剤D3が実際に放出された生体100内の部位(例えば胃、十二指腸、小腸、大腸等)とをリアルタイムに確認できる。この結果、医師または看護師等は、生体100内にカプセル型医療装置41が導入されている期間であっても、生体100内の部位に対する薬剤D3の放出状況をリアルタイムに確認できるとともに、生体100内の所望部位(すなわち薬剤D3の放出を目的とする病変部等の部位)に対して薬剤D3が実際に放出されたか否かをリアルタイムに確認できる。
【0180】
以上、説明したように、本発明の実施の形態4では、薬剤保持部内に保持した液状の薬剤を生体内の部位に放出するとともに、この薬剤が放出された生体内の部位における体液を採取し、採取した体液をもとに、生体内の部位に対する薬剤の放出状況を示す薬剤源情報(例えば採取した体液中の菌濃度)を検出し、且つ、かかる薬剤が放出された生体内の部位における体液のpH値(すなわち生体内の部位を示す部位情報)を検出し、かかる薬剤源情報と部位情報とを対応付けた状態で外部の受信装置に無線送信するようにカプセル型医療装置を構成した。また、かかる受信装置に受信された一対の薬剤源情報(菌濃度)および部位情報(pH値)を表示部に順次表示するように構成した。このため、生体内に薬剤が導入されている期間であっても、かかる表示部に順次表示された一対の薬剤源情報および部位情報を視認することによって、生体内に対する薬剤の放出状況と、薬剤が放出された生体内の部位とをリアルタイムに確認することができる。この結果、生体内の部位に対して薬剤が実際に放出されているか否かをリアルタイムに確認できるとともに、この薬剤が実際に放出された生体内の部位をリアルタイムに確認できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを実現することができる。
【0181】
また、生体内の体液を採取し、本実施の形態4にかかるカプセル型医療装置の体液貯蔵部に生体内の体液を貯蔵するので、かかる体液貯蔵部に貯蔵された体液を回収し分析することによって、生体内の症状または菌の状態等を詳細に把握することができる。
【0182】
(実施の形態5)
つぎに、本発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5にかかるカプセル型医療装置は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1と同様の構成を有し、さらに、生体内の体液を採取する体液採取手段を有する。また、この実施の形態5にかかる薬剤導入システムは、上述した実施の形態1にかかる薬剤導入システムと同様の構成に加え、カプセル型医療装置によって採取された生体内の体液を分析する分析装置をさらに有している。
【0183】
図33は、本発明の実施の形態5にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図34は、本発明の実施の形態5にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図33,34に示すように、この実施の形態5にかかるカプセル型医療装置51は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1の制御部9に代えて制御部59を有し、さらに、生体内の体液を採取する体液採取部54を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0184】
体液採取部54は、制御部59の制御に基づいて生体内の体液を採取する体液採取手段として機能する。具体的には、体液採取部54は、生体内の部位から体液を吸引(採取)するポンプ54aと、ポンプ54aによって吸引された体液を貯蔵する体液貯蔵部54bと、ポンプ54aによって吸引された体液を体液貯蔵部54b内に流通する吸引管44cとを有する。
【0185】
ポンプ54aは、制御部59の制御に基づいて生体内の任意の部位における体液を吸引(採取)する。吸引管54cは、一端が体液貯蔵部54bに接続され且つ他端が筐体2(具体的にはケース本体2a)の開口部に挿通される。このような吸引管54cは、ポンプ54aによって吸引された体液を体液貯蔵部54bに流通する。体液貯蔵部54bは、かかる吸引管54cを介して生体内の体液を取得し、取得した体液を貯蔵する。
【0186】
制御部59は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1の制御部9と同様の機能を有する。これに加えて、制御部59は、体液採取部54のポンプ54aの駆動を制御する。この場合、制御部59は、例えば予め設定された所望のタイミングでポンプ54aの駆動を制御する。かかる制御部59の制御に基づいて、ポンプ54aは、生体内の任意の部位(例えば薬剤D1が放出される所望部位)における体液を体液貯蔵部54b内に吸引(採取)する。
【0187】
つぎに、本発明の実施の形態5にかかるカプセル型医療装置51を用いた薬剤導入システムについて説明する。図35は、本発明の実施の形態5にかかるカプセル型医療装置51を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。図35に示すように、本発明の実施の形態5にかかる薬剤導入システムは、上述した実施の形態1にかかる薬剤導入システムのカプセル型医療装置1に代えてカプセル型医療装置51を有し、カプセル型医療装置51によって採取された生体100内の体液を分析する分析装置90をさらに有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0188】
この実施の形態5にかかる薬剤導入システムにおいて、カプセル型医療装置51は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1と同様に、生体100の口から飲み込まれ、蠕動運動等によって生体100内の部位を連続的または断続的に移動しつつ薬剤D1を放出する。これと同時に、生体100内のカプセル型医療装置51は、上述したカプセル型医療装置1と同様に、薬剤源情報としての画像を順次撮像し、撮像した薬剤源情報としての画像を外部の受信装置11に順次無線送信する。
【0189】
一方、この生体100内のカプセル型医療装置51は、生体100内の任意の部位において体液を採取し、採取した生体100内の体液を貯蔵する。その後、かかる体液を貯蔵した状態のカプセル型医療装置51は、生体100の外部に自然排出される。この生体100から自然排出されたカプセル型医療装置51は回収され、このカプセル型医療装置51内に貯蔵された生体100内の体液は、分析装置90によって分析される。
【0190】
分析装置90は、付属の容器91に採取した生体内のサンプルを分析する。具体的には、生体100から自然排出されたカプセル型医療装置51の体液貯蔵部54bから生体100内の体液を回収し、回収した生体100内の体液を容器91に注入する。かかる生体100内の体液が注入された容器91は、分析装置90に入れられる。分析装置90は、かかる容器91内のサンプル(すなわち生体100内の体液)を分析する。この場合、分析装置90は、かかる生体100内の体液の分析結果として、例えば、生体100内の症状、生体100内に導入された薬剤D1の効能および作用、生体100内の菌の状態等を出力する。
【0191】
つぎに、生体100内の体液を採取するカプセル型医療装置51の動作について説明する。図36は、実施の形態5にかかるカプセル型医療装置51が生体内の体液を採取する状態を例示する模式図である。図36に示すように、生体100内に導入されたカプセル型医療装置51は、蠕動運動等によって連続的または断続的に生体100内の部位を移動し、その後、生体100内の任意の部位において体液を採取する。
【0192】
具体的には、体液採取部54は、上述した制御部59の制御に基づいて、生体100内の任意の部位における体液を採取する。この場合、ポンプ54aは、生体100内の任意の部位における体液(例えば薬剤D1が放出された部位における体液)を吸引する。かかるポンプ54aによって吸引された体液は、吸引管54cを通って体液貯蔵部54b内に貯蔵される。体液貯蔵部54bは、上述したように容器91等に回収されるまで、かかる採取した生体100内の体液を保持する。
【0193】
以上、説明したように、本発明の実施の形態5では、上述した実施の形態1と同様の機能および構成を有し、さらに、生体内の任意の部位における体液を採取し、採取した体液を貯蔵するようにし、かかる採取した生体内の体液を分析するように構成した。このため、上述した実施の形態1の作用効果に加え、薬剤が放出された生体内の部位における体液を採取し、かかる薬剤が放出された部位の体液を分析することができる。この結果、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、生体内の症状、薬剤の作用(効能)、および菌の状態等の生体に関する医学的情報を取得できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを実現することができる。
【0194】
(実施の形態6)
つぎに、本発明の実施の形態6について説明する。上述した実施の形態5では、生体内の任意の一部位において体液を採取していたが、この実施の形態6では、複数の体液採取部をカプセル型医療装置に設け、生体内の任意の一部位において複数回に分けて体液を採取し、このように採取した複数の体液を複数の体液貯蔵部のそれぞれに分けて貯蔵するように構成した。
【0195】
図37は、本発明の実施の形態6にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図38は、本発明の実施の形態6にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図37,38に示すように、この実施の形態6にかかるカプセル型医療装置61は、上述した実施の形態5にかかるカプセル型医療装置51の体液採取部54に代えて複数の体液採取部64〜67を有し、制御部59に代えて制御部69を有し、さらに、生体内の任意の一部位に留まるための留置部68を有する。その他の構成は実施の形態5と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0196】
複数の体液採取部64〜67は、生体内の任意の一部位における体液を複数回に分けて採取するためのものであり、体液採取部64〜67のそれぞれは、上述した実施の形態5にかかるカプセル型医療装置51の体液採取部54とほぼ同様に構成される。具体的には、体液採取部64はポンプ64aと体液貯蔵部64bと吸引管64cとを有し、体液採取部65はポンプ65aと体液貯蔵部65bと吸引管65cとを有し、体液採取部66はポンプ66aと体液貯蔵部66bと吸引管66cとを有し、体液採取部67はポンプ67aと体液貯蔵部67bと吸引管67cとを有する。なお、かかる体液採取部64〜67に例示される体液採取部は、カプセル型医療装置61に複数設けられればよく、その配置数は特に4つに限定されない。
【0197】
ポンプ64a〜67aは、制御部69の制御に基づいて、生体内の任意の一部位における体液を複数回に分けてそれぞれ吸引(採取)する。吸引管64c〜67cは、ポンプ64a〜67aによってそれぞれ吸引された生体内の各体液を体液貯蔵部64b〜67b内にそれぞれ流通する。この場合、吸引管64cは一端が体液貯蔵部64bに接続され且つ他端がケース本体2aの開口部に挿通され、吸引管65cは一端が体液貯蔵部65bに接続され且つ他端がケース本体2aの開口部に挿通され、吸引管66cは一端が体液貯蔵部66bに接続され且つ他端がケース本体2aの開口部に挿通され、吸引管67cは一端が体液貯蔵部67bに接続され且つ他端がケース本体2aの開口部に挿通される。
【0198】
体液貯蔵部64b〜67bは、生体内の任意の一部位において複数回に分けて吸引(採取)した各体液をそれぞれ個別に貯蔵する。具体的には、体液貯蔵部64bは、ポンプ64aによって吸引された体液を貯蔵し、体液貯蔵部65bは、ポンプ65aによって吸引された体液を貯蔵し、体液貯蔵部66bは、ポンプ66aによって吸引された体液を貯蔵し、体液貯蔵部67bは、ポンプ67aによって吸引された体液を貯蔵する。
【0199】
留置部68は、上述した体液採取部64〜67によって体液が採取される生体内の任意の一部位にカプセル型医療装置61を留置するためのものである。具体的には、留置部68は、ケース本体2a内の外壁部近傍に設けられ、かかる生体内の一部位に突き刺すとともに係止するフック68aと、フック68aを突き出す駆動部68bとを有する。
【0200】
フック68aは、ケース本体2aに形成された開口部を通ってケース本体2aの外部に突出し、生体内の部位に打ち込まれるとともに、この部位に対してカプセル型医療装置61を留置する。駆動部68bは、例えばフック68aを突き出すための弾性部材等を用いて実現される。かかる駆動部68bは、ケース本体2a内にフック68aを留めるとともに、制御部69の制御に基づいてフック68aを解放し、例えば弾性部材の弾性力を用いてフック68aをケース本体2aの外部に突き出す。このようにして、駆動部68bは、かかる生体内の一部位にフック68aを打ち込む。
【0201】
制御部69は、上述した実施の形態5にかかるカプセル型医療装置51の制御部59とほぼ同様の機能を有する。すなわち、制御部69は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置1の制御部9と同様の機能を有し、さらに、ポンプ64a〜67aおよび駆動部68bの各駆動を制御する。この場合、制御部69は、例えば予め設定された所望のタイミングで駆動部を制御し、その後、所定の時間が経過する毎にポンプ64a〜67aを順次制御する。
【0202】
このような制御部69の制御に基づいて、駆動部68bは、生体内の任意の一部位(例えば薬剤D1が放出された所望部位)にフック68aを打ち込み、その後、ポンプ64a〜67aは、かかるフック68aによってカプセル型医療装置61を留置した生体内の任意の一部位において所定時間毎に体液を順番に吸引(採取)する。このように、ポンプ64a〜67aによって複数回に分けて吸引された所定時間毎の各体液は、上述した複数の体液貯蔵部64b〜67bにそれぞれ貯蔵される。
【0203】
つぎに、本発明の実施の形態6にかかるカプセル型医療装置61を用いた薬剤導入システムについて説明する。図39は、本発明の実施の形態6にかかるカプセル型医療装置61を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。図39に示すように、本発明の実施の形態6にかかる薬剤導入システムは、上述した実施の形態5にかかる薬剤導入システムのカプセル型医療装置51に代えてカプセル型医療装置61を有する。その他の構成は実施の形態5と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0204】
この実施の形態6にかかる薬剤導入システムにおいて、カプセル型医療装置61は、上述した実施の形態5にかかるカプセル型医療装置51と同様に、生体100の口から飲み込まれ、蠕動運動等によって生体100内の部位を連続的または断続的に移動しつつ薬剤D1を放出する。これと同時に、生体100内のカプセル型医療装置61は、上述したカプセル型医療装置51と同様に、薬剤源情報としての画像を順次撮像し、撮像した薬剤源情報としての画像を外部の受信装置11に順次無線送信する。
【0205】
一方、この生体100内のカプセル型医療装置61は、生体100内の任意の一部位に留置されるとともに、かかる一部位の体液を複数回に分けて順次採取し、採取した複数の体液をそれぞれ個別に貯蔵する。このように複数の体液を貯蔵した状態のカプセル型医療装置61は、かかる生体100内の一部位に対する留置状態が解除され、その後、生体100の外部に自然排出される。この生体100から自然排出されたカプセル型医療装置61は回収され、このカプセル型医療装置61内に個別に貯蔵された複数の体液は、付属の容器91a〜91dにそれぞれ注入される。かかる容器91a〜91dにそれぞれ注入された生体100内の各体液は、上述した実施の形態5の場合と同様に、分析装置90によってそれぞれ分析される。この場合、分析装置90は、生体内の部位に放出した薬剤の作用を継続的に分析(評価)した結果を出力できる。
【0206】
つぎに、生体100内の任意の一部位における体液を複数回に分けて採取するカプセル型医療装置61の動作について説明する。図40は、実施の形態6にかかるカプセル型医療装置61が生体内の一部位における体液を複数回に分けて採取する状態を例示する模式図である。図40に示すように、生体100内に導入されたカプセル型医療装置61は、蠕動運動等によって連続的または断続的に生体100内の部位を移動し、その後、生体100内の任意の一部位に留まるとともに、かかる任意の一部位おける体液を複数回に分けて採取する。
【0207】
具体的には、駆動部68bは、生体100内の任意の一部位(例えば薬剤D1が放出された部位)にフック68aを打ち込む。かかるフック68aは、この生体100内の任意の一部にカプセル型医療装置61を留置する。つぎに、ポンプ64a〜67aは、このようにカプセル型医療装置61が留置された生体100内の一部位において所定時間毎に体液を順番に吸引(採取)する。
【0208】
この場合、まず、ポンプ64aが、この生体100内の一部位における体液を体液貯蔵部64b内に吸引する。かかるポンプ64aが体液を吸引し始めてから所定時間が経過した後、ポンプ65aが、この生体100内の一部位における体液を体液貯蔵部65b内に吸引する。かかるポンプ65aが体液を吸引し始めてから所定時間が経過した後、ポンプ66aが、この生体100内の一部位における体液を体液貯蔵部66b内に吸引する。かかるポンプ66aが体液を吸引し始めてから所定時間が経過した後、ポンプ67aが、この生体100内の一部位における体液を体液貯蔵部67b内に吸引する。
【0209】
このようにして、かかるポンプ64a〜67aによって複数回に分けて吸引された所定時間毎の各体液(例えば薬剤D1を放出した部位から異なる時間に順次採取した複数の体液)は、複数の体液貯蔵部64b〜67bにそれぞれ貯蔵される。体液貯蔵部64b〜67bは、上述したように容器91a〜91d等に回収されるまで、かかる採取した生体100内の体液をそれぞれ保持する。
【0210】
以上、説明したように、本発明の実施の形態6では、上述した実施の形態1と同様の機能および構成を有し、さらに、生体内の任意の一部位における体液を複数回に分けて順次採取し、採取した複数の体液を個別に貯蔵するようにし、かかる採取した複数の体液をそれぞれ分析するように構成した。このため、上述した実施の形態1の作用効果に加え、薬剤が放出された生体内の部位における体液を異なる時間に順次採取し、かかる薬剤が放出された部位の所定時間毎の各体液をそれぞれ分析することができる。この結果、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、生体内の症状、薬剤の作用(効能)、および菌の状態等の生体に関する医学的情報を取得でき、特に、生体内の部位に放出した薬剤の作用を継続的に分析(評価)できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを実現することができる。
【0211】
(実施の形態7)
つぎに、本発明の実施の形態7について説明する。上述した実施の形態6では、生体内の任意の一部位において複数回に分けて体液を採取し、このように採取した複数の体液を複数の体液貯蔵部のそれぞれに分けて貯蔵していたが、この実施の形態7では、生体内の部位毎に体液を採取し、かかる部位毎の体液を複数の体液採取部のそれぞれに分けて貯蔵するように構成している。
【0212】
図41は、本発明の実施の形態7にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図42は、本発明の実施の形態7にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図41,42に示すように、この実施の形態7にかかるカプセル型医療装置71は、上述した実施の形態6にかかるカプセル型医療装置61の留置部68に代えてpHセンサ76を有し、制御部69に代えて制御部79を有する。その他の構成は実施の形態6と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0213】
pHセンサ76は、生体内の各部位を判断するための体液のpH値を順次検出する。具体的には、pHセンサ76は、例えばケース本体2aの外壁面近傍に設けられ、カプセル型医療装置71が順次移動する生体内の各部位における体液のpH値を順次検出する。pHセンサ76は、検出した部位毎のpH値を制御部79に順次送信する。
【0214】
制御部79は、上述した実施の形態6にかかるカプセル型医療装置61の制御部69とほぼ同様の機能を有する。この場合、制御部79は、上述した留置部76に代えてpHセンサ76の駆動を制御する。また、制御部79は、生体内の部位が変わる毎にポンプ64a〜67aを順次制御する。
【0215】
このような制御部79は、生体内の現在の部位を判断する部位判断部79aを有する。部位判断部79aは、pHセンサ76によって順次検出されたpH値をもとに、カプセル型医療装置71が存在する現在の部位(例えば胃、十二指腸、小腸、大腸等)を判断する。制御部79は、かかる部位判断部79aの判断結果に基づいて、ポンプ64a〜67aを順次制御する。
【0216】
このような制御部79の制御に基づいて、pHセンサ76は、生体内の部位を特定する体液のpH値を順次検出し、検出したpH値を制御部79に順次送信する。その後、ポンプ64a〜67aは、かかるpH値をもとに判断された部位が変わる毎に体液を順番に吸引(採取)する。この場合、ポンプ64aは、例えば胃の体液を体液貯蔵部64b内に吸引し、ポンプ65aは、例えば十二指腸の体液を体液貯蔵部65b内に吸引し、ポンプ66aは、例えば小腸の体液を体液貯蔵部66b内に吸引し、ポンプ67aは、例えば大腸の体液を体液貯蔵部67b内に吸引する。このように、ポンプ64a〜67aによって部位毎に吸引された各部位の体液は、複数の体液貯蔵部64b〜67bにそれぞれ貯蔵される。
【0217】
つぎに、本発明の実施の形態7にかかるカプセル型医療装置71を用いた薬剤導入システムについて説明する。図43は、本発明の実施の形態7にかかるカプセル型医療装置71を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。図43に示すように、本発明の実施の形態7にかかる薬剤導入システムは、上述した実施の形態6にかかる薬剤導入システムのカプセル型医療装置61に代えてカプセル型医療装置71を有する。その他の構成は実施の形態6と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0218】
この実施の形態7にかかる薬剤導入システムにおいて、カプセル型医療装置71は、上述した実施の形態6にかかるカプセル型医療装置61と同様に、生体100の口から飲み込まれ、蠕動運動等によって生体100内の部位を連続的または断続的に移動しつつ薬剤D1を放出する。これと同時に、生体100内のカプセル型医療装置71は、上述したカプセル型医療装置61と同様に、薬剤源情報としての画像を順次撮像し、撮像した薬剤源情報としての画像を外部の受信装置11に順次無線送信する。
【0219】
一方、この生体100内のカプセル型医療装置71は、生体100内の部位毎に体液を採取し、採取した各部位の体液をそれぞれ個別に貯蔵する。その後、生体100内の各部位の体液を貯蔵した状態のカプセル型医療装置71は、生体100の外部に自然排出される。この生体100から自然排出されたカプセル型医療装置71は回収され、このカプセル型医療装置71内に個別に貯蔵された各部位の体液は、付属の容器91a〜91dにそれぞれ注入される。かかる容器91a〜91dにそれぞれ注入された生体100内の各部位の体液は、上述した実施の形態6の場合と同様に、分析装置90によってそれぞれ分析される。この場合、分析装置90は、生体内の各部位に放出した薬剤の作用を部位毎に分析(評価)した結果を出力できる。
【0220】
つぎに、生体100内の部位毎に体液を採取するカプセル型医療装置71の動作について説明する。図44は、実施の形態7にかかるカプセル型医療装置71が生体内の部位毎に体液を採取する状態を例示する模式図である。生体100内に導入されたカプセル型医療装置71は、蠕動運動等によって連続的または断続的に生体100内の部位を移動しつつ、生体100内の各部位の体液を個別に採取する。
【0221】
例えば図44に示すように、カプセル型医療装置71が生体100の胃、十二指腸を経て小腸に到達した場合、pHセンサ76は、この生体100内の部位(小腸)における体液のpH値を検出し、検出したpH値を制御部79に送信する。この場合、部位判断部79aは、かかるpHセンサ76によって検出されたpH値をもとに、現在の部位が小腸である(すなわち十二指腸から小腸に移行した)と判断する。制御部79は、かかる部位判断部79aの判断結果に基づいてポンプ66aを制御する。ポンプ66aは、かかる制御部79の制御に基づいて、生体100内の現在の部位(小腸)における体液を吸引(採取)する。体液貯蔵部66bは、かかるポンプ66aによって吸引された体液(例えば小腸の体液)を貯蔵する。なお、この時点において、体液貯蔵部64bは、例えば生体100の胃の体液を既に貯蔵し、体液貯蔵部65bは、例えば生体100の十二指腸の体液を既に貯蔵している。
【0222】
その後、カプセル型医療装置71が生体100内の小腸から大腸に移動した場合、上述した小腸の場合と同様に、pHセンサ76は、生体100の大腸における体液のpH値を検出し、ポンプ67aは、制御部79の制御に基づいて、生体100内の現在の部位(大腸)における体液を吸引(採取)する。この場合、体液貯蔵部67bは、かかるポンプ67aによって吸引された体液(例えば小腸の体液)を貯蔵する。
【0223】
このようにして、かかるポンプ64a〜67aによって生体100内の部位毎に吸引された各部位の体液は、複数の体液貯蔵部64b〜67bにそれぞれ貯蔵される。体液貯蔵部64b〜67bは、上述したように容器91a〜91d等に回収されるまで、かかる採取した各部位の体液をそれぞれ保持する。
【0224】
以上、説明したように、本発明の実施の形態7では、上述した実施の形態1と同様の機能および構成を有し、さらに、生体内の部位毎に体液を順次採取し、採取した各部位の体液を個別に貯蔵するようにし、かかる採取した各部位の体液をそれぞれ分析するように構成した。このため、上述した実施の形態1の作用効果に加え、薬剤が放出された生体内の各部位における体液を順次採取し、かかる薬剤が放出された各部位の体液をそれぞれ分析することができる。この結果、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、生体内の症状、薬剤の作用(効能)、および菌の状態等の生体に関する医学的情報を取得でき、特に、生体内の各部位に放出した薬剤の作用を部位毎に分析(評価)できるカプセル型医療装置およびこれを用いた薬剤導入システムを実現することができる。
【0225】
なお、上述した実施の形態1,5,6,7では、網状部材を用いて形成された薬剤保持部3の内部に薬剤D1を保持していたが、これ限らず、薬剤溶液D2として薬剤D1を放出可能な複数の孔が形成された多孔性部材を用いて薬剤保持部を形成してもよい。かかる多孔性部材を用いた薬剤保持部は、上述した網状の薬剤保持部3と同様に筐体2に設けられ、撮像部4の視野A内の位置に薬剤D1を保持するとともに、薬剤D1周辺の生体内の部位からの反射光を撮像部4に対して透過する。この場合、かかる多孔性部材は、撮像部4に対して生体内の部位からの反射光を透過可能な大きさの孔が多数形成されたものであってもよいし、透明なものであってもよい。
【0226】
また、かかる多孔性部材を用いた薬剤保持部は、撮像部4の視野A内の位置に薬剤D1を保持していれば、生体内の部位に対する撮像部4の視野を遮断してもよい。この場合、撮像部4の代わりに生体内の部位を示す部位情報を検出する部位検出手段をカプセル型医療装置に追加すればよい。
【0227】
さらに、これらの網状部材または多孔質部材を用いた薬剤保持部は、カプセル型医療装置に着脱可能に形成されてもよい。この場合、生体内を観察(検査)するために生体内に導入されるカプセル内視鏡等の診断用のカプセル型医療装置に対して上述した薬剤保持部を取り付けることができる。これによって、本発明にかかるカプセル型医療装置を容易に構成することができる。
【0228】
また、上述した実施の形態1の変形例3では、2枚の透明な保持板の間に薬剤D1を挟みこんでいたが、これに限らず、かかる薬剤D1を間に挟みこむ2枚の保持板のうち、撮像部4に対向する筐体側の保持板を透明にすればよく、残りの保持板は不透明なものであってもよい。この場合、撮像部4の代わりに生体内の部位を示す部位情報を検出する部位検出手段をカプセル型医療装置に追加すればよい。
【0229】
さらに、上述した実施の形態1およびその変形例1〜3と実施の形態5〜7とでは、生体内の部位に対する薬剤D1の放出状況を示す薬剤源情報として少なくとも薬剤D1を含む画像を撮像する撮像部4を用いていたが、これに限らず、かかる薬剤源情報を検出する検出手段は、撮像部4に代えて、保持した薬剤の重さを計測する重さ計測部、薬剤保持部と薬剤とのギャップを測定するギャップ測定部、保持した薬剤までの距離をもとに薬剤の寸法を検出する距離センサ、および、保持した薬剤に対して超音波を発振して薬剤の寸法および形状を検出する超音波センサのいずれを用いてもよいし、生体内の体液のpH値を検出するpHセンサ、保持した薬剤の周辺部の温度を測定する温度測定部、生体内の体液の導電率を測定する導電率測定部、および、生体内の体液の粘度を測定する粘度測定部のいずれを用いてもよい。なお、この重さ計測部は、例えば、保持した薬剤に振動を加え、かかる薬剤に対する振動の共振周波数をもとに薬剤の重さを算出する。
【0230】
また、上述した実施の形態1およびその変形例1〜3と実施の形態2〜7とでは、薬剤が放出された生体内の部位を示す部位情報を検出する部位検出手段として撮像部またはpHセンサを用いていたが、これに限らず、かかる部位検出手段は、少なくとも薬剤を含む画像を撮像する撮像部、生体内の体液のpH値を検出するpHセンサ、カプセル型医療装置が生体組織から受ける圧力を検出する圧力センサ、カプセル型医療装置の周辺部の空間広さを測定する空間測定部、カプセル型医療装置の周辺部における体内細菌の分布を測定する細菌分布測定部、および、カプセル型医療装置の周辺部に存在する酵素を検出する酵素検出部のいずれであってもよい。
【0231】
あるいは、生体の体表上に分散配置した複数の受信アンテナによって受信されるカプセル型医療装置からの無線信号の受信強度をもとに、生体内におけるカプセル型医療装置の位置(すなわち薬剤が放出されている生体内の部位)を検出する位置検出部を生体外の受信装置11に設けてもよい。この場合、受信装置11が、カプセル型医療装置によって無線送信された薬剤源情報を受信するとともに、かかる位置検出部が、複数の受信アンテナのうちの最も大きい受信強度で薬剤源情報を受信した受信アンテナを検出し、この特定した受信アンテナの位置に対応する生体内の部位をカプセル型医療装置の位置として特定する。受信装置11は、かかるカプセル型医療装置からの薬剤源情報と位置検出部によって特定された部位を示す部位情報とを対応付けてワークステーション13に送信し、または蓄積する。
【0232】
さらに、上述した実施の形態1およびその変形例1〜3と実施の形態2〜7とでは、生体内に導入したカプセル型医療装置から無線送信された薬剤源情報および部位情報を表示部にリアルタイムに表示していたが、これに限らず、かかる薬剤源情報および部位情報は、表示部にリアルタイムに表示されなくてもよい。この場合、生体内のカプセル型医療装置によって無線送信された薬剤源情報および部位情報を生体外の受信装置11に順次蓄積させ、その後、ケーブル、無線LAN、または携帯型記録媒体等を用いて、かかる受信装置11に蓄積された薬剤源情報および部位情報をワークステーション13に取り込ませ、所望の時期に薬剤源情報および部位情報を表示部14に表示させてもよい。
【0233】
あるいは、上述した実施の形態4〜7に例示されるように、カプセル型医療装置に設けた体液採取部に生体内の体液を採取させる場合、カプセル型医療装置が生体から自然排出された後に、かかるカプセル型医療装置の体液採取部から生体内の体液を回収し、回収した体液を分析することによって、上述した薬剤源情報および部位情報を取得してもよい。この場合、採取した生体内の体液を分析することによって検出される薬剤源情報および部位情報は、例えば、体液中の菌の濃度、体液中の細菌分布状態、体液のpH値、体液中の酵素、体液の導電率、および、体液の粘度等が挙げられる。このように、体液採取部から回収した生体内の体液をもとに薬剤源情報および部位情報を検出する場合、カプセル型医療装置に無線通信部を設けなくてもよい。
【0234】
また、上述した実施の形態4では、濃度センサ4は、体液貯蔵部44b内に貯蔵された生体内の体液の菌濃度を薬剤源情報として検出していたが、これに限らず、濃度センサ4は、かかる生体内体液中に含まれる薬剤D1の濃度を薬剤源情報として検出してもよい。
【0235】
さらに、上述した実施の形態4では、所定の時間が経過する毎に薬剤D3を生体内の部位に放出し、これに同期して、かかる生体内の部位における体液のpH値を検出していたが、これに限らず、生体内の部位毎に薬剤D3を順次放出してもよい。この場合、まず、pHセンサ46が生体内の体液のpH値を検出し、この検出したpH値をもとに制御部49が現在の部位を判断する。かかる制御部49に判断された生体内の部位が変わる毎に、薬剤保持部43が薬剤D3を生体内の部位に放出する。
【0236】
また、上述した実施の形態5〜7では、生体内に導入されたカプセル型医療装置は生体内の体液を採取していたが、これに限らず、かかるカプセル型医療装置は、生体内の体液、血液、および生体組織の少なくとも一つを採取してもよく、また、分析装置は、採取された生体内の体液、血液、および生体組織の少なくとも一つを分析してもよい。この場合、上述した体液採取部のようにポンプの吸引力によって生体内の体液、血液、および生体組織の少なくとも一つを採取する採取部を用いてもよいし、生体内の部位に対して採取針を出し入れすることによって生体内の体液、血液、および生体組織の少なくとも一つを採取針に付着させ、採取する採取部を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図4】実施の形態1にかかるカプセル型医療装置が生体内に導入された状態を例示する模式図である。
【図5】実施の形態1にかかるカプセル型医療装置によって撮像された画像の一具体例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図7】連結部材を折り畳んだ状態の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図9】実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置が生体内に導入された状態を例示する模式図である。
【図10】実施の形態1の変形例1にかかるカプセル型医療装置によって撮像された画像の一具体例を示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態1の変形例2にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図12】本発明の実施の形態1の変形例2にかかるカプセル型医療装置を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図13】実施の形態1の変形例2にかかるカプセル型医療装置が生体内に導入された状態を例示する模式図である。
【図14】実施の形態1の変形例2にかかるカプセル型医療装置によって撮像された画像の一具体例を示す模式図である。
【図15】本発明の実施の形態1の変形例3にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図16】本発明の実施の形態1の変形例3にかかるカプセル型医療装置を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図17】実施の形態1の変形例3にかかるカプセル型医療装置が生体内に導入された状態を例示する模式図である。
【図18】実施の形態1の変形例3にかかるカプセル型医療装置によって撮像された画像の一具体例を示す模式図である。
【図19】本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図20】本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図21】本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図22】実施の形態2にかかるカプセル型医療装置が生体内に導入された状態を例示する模式図である。
【図23】実施の形態2にかかるカプセル型医療装置によって撮像された画像の一具体例を示す模式図である。
【図24】本発明の実施の形態3にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図25】カプセル型の筐体を分解した状態の一例を示す模式図である。
【図26】本発明の実施の形態3にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図27】本発明の実施の形態3にかかるカプセル型医療装置を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図28】実施の形態3にかかるカプセル型医療装置が生体内に導入された状態を例示する模式図である。
【図29】本発明の実施の形態4にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図30】本発明の実施の形態4にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図31】本発明の実施の形態4にかかるカプセル型医療装置を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図32】実施の形態4にかかるカプセル型医療装置が生体内に導入された状態を例示する模式図である。
【図33】本発明の実施の形態5にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図34】本発明の実施の形態5にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図35】本発明の実施の形態5にかかるカプセル型医療装置を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図36】実施の形態5にかかるカプセル型医療装置が生体内の体液を採取する状態を例示する模式図である。
【図37】本発明の実施の形態6にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図38】本発明の実施の形態6にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図39】本発明の実施の形態6にかかるカプセル型医療装置を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図40】実施の形態6にかかるカプセル型医療装置が生体内の一部位における体液を複数回に分けて採取する状態を例示する模式図である。
【図41】本発明の実施の形態7にかかるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図42】本発明の実施の形態7にかかるカプセル型医療装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図43】本発明の実施の形態7にかかるカプセル型医療装置を用いた薬剤導入システムの一構成例を示す模式図である。
【図44】実施の形態7にかかるカプセル型医療装置が生体内の部位毎に体液を採取する状態を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0238】
1,1a,1b,1c,21,31,41,51,61,71 カプセル型内視鏡
2,32,42 筐体
2a ケース本体
2b 光学ドーム
3,16,17,18,23,43 薬剤保持部
4 撮像部
5 照明部群
5a 照明部
6 画像処理回路
7 無線通信部
8 アンテナ
9,29,39,49,59,69,79 制御部
10 電源部
11 受信装置
12a〜12d 受信アンテナ
13 ワークステーション
14 表示部
15 ケーブル
16a 薬剤ケース
16b 連結部材
18a,18b 保持板
18c バネ
18d 連結部材
23a 貯蔵部
23b 吐出管
23c 壁部材
23d 半透膜
24 濃度センサ
32a,32b 部分筐体
32c 連結部材
33 薬剤保持空間
34 発光素子群
34a 発光素子
35 受光素子
36 薬剤状態検出部
37,46,76 pHセンサ
43a バルーン
43b 吐出管
43c 弁
44,54,64,65,66,67 体液採取部
44a,54a,64a,65a,66a,67a ポンプ
44b,54b,64b,65b,66b,67b 体液貯蔵部
44c,54c,64c,65c,66c,67c 吸引管
45 濃度センサ
68 留置部
68a フック
68b 駆動部
79a 部位判断部
90 分析装置
91,91a,91b,91c,91d 容器
100 生体
D1,D3 薬剤
D2 薬剤溶液
S1 薬剤保持空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に導入可能なカプセル型筐体を有し、前記生体内の部位に薬剤を導入するカプセル型医療装置において、
前記生体内の部位に対して放出可能に前記薬剤を保持する保持手段と、
少なくとも前記生体内の部位に対する前記薬剤の放出状況を示す薬剤源情報を検出する検出手段と、
を備えたことを特徴とするカプセル型医療装置。
【請求項2】
前記薬剤源情報を外部に無線送信する無線送信手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型医療装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記生体内の部位に放出されつつ減少する前記薬剤と該薬剤周辺の前記生体内の部位とを含む画像を前記薬剤源情報として撮像する撮像手段であることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置。
【請求項4】
前記保持手段は、前記撮像手段の視野内の位置に前記薬剤を内包する網状部材であることを特徴とする請求項3に記載のカプセル型医療装置。
【請求項5】
前記保持手段は、前記薬剤を放出可能な複数の孔が形成された多孔性部材であって、前記撮像手段の視野内の位置に前記薬剤を内包するとともに、前記視野から前記撮像手段に受光される光を透過することを特徴とする請求項3に記載のカプセル型医療装置。
【請求項6】
前記保持手段は、
前記生体内の部位に対して放出可能に前記薬剤を収容する薬剤ケースと、
前記カプセル型筐体と前記薬剤ケースとを連結する連結部材と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のカプセル型医療装置。
【請求項7】
前記保持手段は、前記カプセル型筐体に対して着脱可能に形成されることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置。
【請求項8】
前記連結部材は、所定の形状を記憶した形状記憶部材であり、所定の温度条件下で前記所定の形状に変化することによって前記撮像手段の視野内の位置に前記薬剤ケースを配置することを特徴とする請求項6に記載のカプセル型医療装置。
【請求項9】
前記保持手段は、前記カプセル型筐体と前記薬剤とを連結する連結部材であることを特徴とする請求項3に記載のカプセル型医療装置。
【請求項10】
前記保持手段は、
前記撮像手段の視野内の所定位置で前記薬剤を挟み込む複数の透明板と、
前記複数の透明板を互いに連結するとともに前記薬剤に対する前記複数の透明板の押圧力を生成する弾性部材と、
前記複数の透明板のうちの一つと前記カプセル型筐体とを連結する連結部材と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のカプセル型医療装置。
【請求項11】
前記検出手段は、
所定光量の光をそれぞれ発光する発光素子群と、
前記発光素子群によって発光された光を受光する受光素子と、
を備え、
前記保持手段は、前記発光素子群と前記受光素子との間に前記薬剤を保持し、
前記受光素子に受光される前記発光素子群からの光量は、前記薬剤の減少とともに増加し、
前記受光素子は、前記薬剤の減少とともに増加する前記発光素子群からの光量を前記薬剤源情報として検出することを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置。
【請求項12】
前記カプセル型筐体は、
前記発光素子群を有する発光側部分筐体と、
前記受光素子を有する受光側部分筐体と、
前記発光側部分筐体と前記受光側部分筐体とを連結する連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、前記発光素子群と前記受光素子との間に前記薬剤を保持する前記保持手段であることを特徴とする請求項11に記載のカプセル型医療装置。
【請求項13】
前記検出手段は、前記生体内の体液に前記薬剤を溶解した薬剤溶液の薬剤濃度を前記薬剤源情報として検出する濃度センサであることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置。
【請求項14】
前記保持手段は、
前記薬剤を内包するとともに前記カプセル型筐体外から前記生体内の体液を内部に流入し、該体液に前記薬剤を溶解した前記薬剤溶液を貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に貯蔵された前記薬剤溶液を前記生体内の部位に吐出する吐出管と、
を備え、
前記濃度センサは、前記吐出管内を流通する前記薬剤溶液の薬剤濃度を検出することを特徴とする請求項13に記載のカプセル型医療装置。
【請求項15】
少なくとも前記生体内の体液を採取する採取手段を備え、
前記検出手段は、前記採取手段によって採取された体液をもとに前記薬剤源情報を検出することを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置。
【請求項16】
前記薬剤は、液状のものであり、
前記保持手段は、液状の前記薬剤を内包するとともに、前記生体内の部位に液状の前記薬剤を吐出する吐出手段であり、
前記採取手段は、前記保持手段によって吐出された液状の前記薬剤とともに前記生体内の体液を採取することを特徴とする請求項15に記載のカプセル型医療装置。
【請求項17】
前記薬剤を放出した前記生体内の部位を示す部位情報を検出する部位検出手段を備えたことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置。
【請求項18】
前記生体内の部位に当該カプセル型医療装置を留置する留置手段を備えたことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置。
【請求項19】
前記部位検出手段は、前記生体内の部位を含む画像を撮像する撮像手段であることを特徴とする請求項17に記載のカプセル型医療装置。
【請求項20】
前記部位検出手段は、前記生体内のpHを検出するpHセンサであることを特徴とする請求項17に記載のカプセル型医療装置。
【請求項21】
前記無線送信手段は、前記薬剤源情報とともに前記部位情報をさらに無線送信することを特徴とする請求項17に記載のカプセル型医療装置。
【請求項22】
生体内に導入され、薬剤を保持するとともに前記生体内の部位に前記薬剤を放出し、少なくとも前記生体内の部位での前記薬剤の放出状況を示す薬剤源情報を検出するカプセル型医療装置と、
前記カプセル型医療装置によって検出された前記薬剤源情報を表示する表示装置と、
を備えたことを特徴とする薬剤導入システム。
【請求項23】
前記生体外に受信装置を備え、
前記カプセル型医療装置は、前記薬剤源情報を外部に無線送信し、
前記受信装置は、前記カプセル型医療装置によって無線送信された前記薬剤源情報を受信し、
前記表示装置は、前記受信装置によって受信された前記薬剤源情報を表示することを特徴とする請求項22に記載の薬剤導入システム。
【請求項24】
前記表示装置は、前記薬剤源情報をリアルタイムに表示することを特徴とする請求項23に記載の薬剤導入システム。
【請求項25】
前記カプセル型医療装置は、前記薬剤を放出した前記生体内の部位を示す部位情報をさらに検出し、前記薬剤源情報と前記部位情報とを無線送信し、
前記受信装置は、前記薬剤源情報と前記部位情報とを受信し、
前記表示装置は、前記受信装置によって受信された前記薬剤源情報と前記部位情報とを表示することを特徴とする請求項23または24に記載の薬剤導入システム。
【請求項26】
前記生体内から採取した生体内サンプルを分析する分析装置を備え、
前記カプセル型医療装置は、前記生体内の部位から前記生体内サンプルを採取することを特徴とする請求項22〜25のいずれか一つに記載の薬剤導入システム。
【請求項27】
前記カプセル型医療装置は、前生体内の部位毎に前記生体内サンプルを採取することを特徴とする請求項26に記載の薬剤導入システム。
【請求項28】
前記生体内サンプルは、前記生体内の部位における体液、血液、および生体組織の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項26または27に記載の薬剤導入システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2007−312850(P2007−312850A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143186(P2006−143186)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】