説明

カラーフィルタ用樹脂、感光性樹脂組成物、及びカラーフィルタ

【課題】十分な色純度を有する着色層、及び十分な光遮蔽性を有するブラックマトリクスがパターン精度良く形成され、着色層及びブラックマトリクスの微細化が可能なカラーフィルタを得る。
【解決手段】加熱処理を施すことにより、その一部が解離して揮発し、その重量が加熱処理前の重量に対し、80重量%以下に減少する樹脂を含有する樹脂組成物を用いて、着色層及びブラックマトリクスを形成し、加熱処理を施すことによって、その体積を加熱処理前の体積に対し85体積%以下に減少させ、着色剤濃度を高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル、及びカラービデオカメラ等に使用されるカラーフィルタ、このカラーフィルタに使用可能な感光性樹脂、感光性樹脂の製造方法、及び感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性樹脂組成物は、紫外線あるいは電子線等を照射することにより重合硬化させることができるので、例えば光硬化性インキ、感光性印刷版、プリント配線板、各種フォトレジスト、及びカラーフィルタ等の用途に使用されている。
【0003】
近年、電子機器のさらなる軽量化、薄型化が求められており、カラーフィルタにおいては、十分な開口率で、十分な色純度及びコントラストを維持しつつ、微細なパターンを有する着色層及びブラックマトリクスを精度良くパターン加工し得る感光性樹脂組成物が望まれている。
【0004】
このような感光性樹脂組成物として、例えばアルカリ現像性感光性樹脂組成物中に、顔料及び染料等の着色剤を高濃度で配合させた組成物を使用する手法がある。しかしながら、着色剤量の増加により光が遮蔽されるため、感光性樹脂組成物の感度が低下して、十分な効果に必要な露光時間が長くなり、生産性が悪くなるという問題があった。
【0005】
また、感光性樹脂組成物として、着色剤を高濃度で配合させ、かつアルカリ可溶性不飽和樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物を使用する手法がある(例えば特許文献1ないし5参照)。しかしながら、これらの組成物を使用しても、十分な感度が得られず、着色層及びブラックマトリクスの微細なパターン加工はできなかった。
【特許文献1】特許3148429号公報
【特許文献2】特許3509269号公報
【特許文献3】特開平8−278629号公報
【特許文献4】特開平8−314131号公報
【特許文献5】特開平11−84126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、カラーフィルタ用の着色感光性樹脂組成物に適用することにより、十分な色純度を有する着色層、及び十分な光遮蔽性を有するブラックマトリクスがパターン精度良く形成され、着色層及びブラックマトリクスの微細化が可能なカラーフィルタ用樹脂を提供することにある。
【0007】
また、本発明の目的は、高感度であり、カラーフィルタ用の着色感光性樹脂組成物に適用することにより、十分な色純度を有する着色層、及び十分な光遮蔽性を有するブラックマトリクスがパターン精度良く形成され、着色層及びブラックマトリクスの微細化が可能な感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
さらにまた、本発明の目的は、十分な色純度を有する着色層、及び十分な光遮蔽性を有するブラックマトリクスがパターン精度良く形成され、着色層及びブラックマトリクスの微細化が可能なカラーフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカラーフィルタ用樹脂は、下記式(1)で表され、かつ加熱処理を施すことにより、その一部が解離して揮発し、その重量が加熱処理前の重量に対し、85重量%以下に減少することを特徴とする。
【化4】

【0010】
式中、Xは、下記式(2)で表されるエチレン性不飽和化合物の重合体の主骨格部分、または下記式(3)で表される芳香族化合物の縮合体の主骨格部分であり、
【化5】

【化6】

【0011】
nは、1ないし2の整数
mは、10ないし1000の整数、
lは、1ないし50の整数、
1は、水素またはメチル基、
2は、炭素数2ないし8の直鎖または分枝鎖を有するアルキレン基
3は、炭素数1ないし18の直鎖または分枝鎖を有するアルキレン基、脂環式骨格を有するを有するアルキレン基、不飽和結合を1つ以上もつ脂環式骨格を有するアルキレン基、及び芳香族骨格を有する炭化水素基からなる群から選択される基、
4は、水素、−CH2CH2OR6(R6は、炭素数2ないし8の直鎖または分枝鎖を有するアルキル基、及びヒドロキシアルキル基)、及び環状エーテル基からなる群から選択される基、及び
5は、水素、アクリロイルオキシ基、及びメタクリロイルオキシ基からなる群から選択される基である。
【0012】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、上記カラーフィルタ用樹脂と、光重合性モノマーと、光重合開始剤とを含有し、加熱処理を施すことによって、その体積が加熱処理前の体積に対し85体積%以下に減少することを特徴とする。
【0013】
さらにまた、本発明のカラーフィルタは、基板と、該基板上に形成されたブラックマトリクスと、該ブラックマトリクスが設けられた基板表面上に形成された着色層とを具備するカラーフィルタにおいて、該着色層及び該ブラックマトリクスのうち少なくとも1つは、請求項1に記載のカラーフィルタ用樹脂及び着色剤を含む樹脂組成物をパターン加工し、その後加熱処理を施すことにより形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加熱処理により、加熱前の体積よりもその体積が小さくなるカラーフィルター用樹脂を用いることにより、パターン加工後に加熱処理を施された着色層及びブラックマトリクス中の着色剤濃度を、加熱処理前の着色剤濃度よりも濃くせしめ、パターン精度が良好で、その色純度及び光遮蔽層等の特性を損なうことなく、着色層及びブラックマトリクスの微細化及び薄膜化が可能な高品質なカラーフィルタを容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のカラーフィルタ用樹脂は、上記式(1)で表され、かつ加熱処理を施すことにより、その重量が加熱処理前の重量に対し、85重量%以下に減少する。
【0016】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、上記カラーフィルタ用樹脂と、光重合性モノマーと、光重合開始剤とを含有し、加熱処理を施すことによって、その体積が加熱処理前の体積に対し85体積%以下に減少する。
【0017】
さらにまた、本発明のカラーフィルタは、上記感光性樹脂組成物を用いたもので、基板と、基板上に形成されたブラックマトリクスと、ブラックマトリクスが設けられた基板表面上に、形成された着色層とを有し、この着色層は、上記感光性樹脂組成物及び着色剤を含む着色感光性樹脂組成物を露光、及び現像することによりパターン加工され、その後加熱処理を施すことにより形成される。
【0018】
好ましくは、上記ブラックマトリクスは、上記カラーフィルタ用樹脂を用いて例えばフォトリソグラフィーあるいは印刷等により形成され得る。印刷方法としては、例えば反転印刷等があげられる。
【0019】
本発明によれば、加熱処理により、その重量が加熱処理前の重量に対し、85重量%以下に減少するカラーフィルター用樹脂を含む組成物を用いて樹脂層を形成し、加熱処理を施すと、得られた樹脂層の重量及び体積が減少する。
【0020】
また、このカラーフィルター用樹脂を感光性樹脂組成物に配合し、感光性樹脂層を形成して加熱処理を施すと、得られた樹脂層の重量及び体積が減少する。
【0021】
さらに、この感光性樹脂組成物に着色剤を配合し、着色感光性樹脂層を形成して加熱処理を施すと、得られた感光性樹脂層の重量及び体積が減少し、その結果、その着色剤濃度が、加熱処理前の着色剤濃度よりも濃くなる。このことを利用して、パターン加工時の着色感光性樹脂組成物中の着色剤濃度を露光光に対し高感度な濃度に調整し、加熱処理後の着色剤濃度を十分な色純度を有する着色層が得られる濃度、あるいは十分な光遮蔽性を有するブラックマトリクスが得られる濃度に調整することができる。
【0022】
また、本発明によれば、加熱処理により、その重量が加熱処理前の重量に対し、85重量%以下に減少するカラーフィルター用樹脂を含む組成物例えばインキ組成物を調製し、例えば印刷によりブラックマトリクスをパターン加工して、その後加熱処理を行うことができる。これにより、印刷によるパターン加工時のインキ組成物中の着色剤濃度よりも、加熱処理後の着色剤濃度を濃くすることができ、十分な光遮蔽性を有するブラックマトリクスが得られる。
【0023】
このように、本発明を用いると、パターン精度が良好で、その色純度及び光遮蔽層等の特性を損なうことなく、着色層及びブラックマトリクスの微細化が可能なカラーフィルタを容易に得ることができる。
【0024】
また、本発明の感光性樹脂組成物においては、加熱後の体積の減少が加熱前の体積に対し、85体積%以下、好ましくは85体積%ないし65体積%である。85体積%を超えると、着色層中の顔料濃度を濃くすることができないという不利点がある。65体積%未満であると、着色層膜の薬品耐性や、耐光、耐熱性が悪くなる傾向がある。
【0025】
さらに、本発明に使用されるカラーフィルタ用樹脂、及びそれを含む組成物を加熱する温度は、好ましくは100℃ないし300℃である。100℃未満であると、樹脂の分解が十分に進まず、遮光性が不十分となる傾向があり、300℃を超えると、残存樹脂が設定以上に分解し、膜の薬品耐性や、耐光、耐熱性が悪くなる傾向がある。
【0026】
このカラーフィルター用樹脂おいては、固形分中の酸無水物の重量比が10ないし50重量%であることが好ましく、より好ましくは15ないし30重量%である。感光性樹脂固形分中の酸無水物の重量比が10重量%未満であると、加熱処理前の樹脂の体積に対す
る加熱後の樹脂の体積が85体積%を超える傾向があり、50重量%より大きくなると、酸無水物付加反応の進行が困難になる傾向がある。
【0027】
また、本発明に係るカラーフィルター用樹脂においては、その酸価が固形分換算で1な
いし150であることが好ましく、より好ましくは5ないし50である。
【0028】
酸価が150を超えると、アルカリ現像において現像性が高くなり過ぎ、現像速度が速過ぎたり、露光部分の表面が現像液で浸食される等の不具合が生じやすくなる。
【0029】
本発明のカラーフィルタ用樹脂を得るためには例えばアクリル系樹脂、ノボラック系樹脂を用いることができる。
【0030】
ノボラック系樹脂として例えばフェノールノボラックエポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック系エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0031】
これらのノボラック系エポキシ樹脂に、カルボキシル基合有化合物として(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸を付加することにより、感光性の多価水酸基含有樹脂を得ることができる。
【0032】
アクリル系樹脂の材料は、単量体として、例えば(メタ)アクリル酸や、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートペンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等を使用した重合体があげられる。なお、これらの単量体は、単独で、または、2種以上を併用して使用することができる。さらに、これらアクリレートと共重合可能なスチレン、シクロヘキシルマレイミド、及びフェニルマレイミド等の化合物を共重合させることができる。
【0033】
また、例えばヒドロキシエチルアクリレート等、水酸基を有する(メタ)アクリレートの単重合またはそれらとその他の(メタ)アクリレートの共重合により、非感光性であり、複数の水酸基を有する樹脂を得ることがあげられる。
【0034】
また、例えば(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸を単重合または共重合し、得られた樹脂とグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有化合物を反応させて、感光性であり、複数の水酸基を有する樹脂を得ることができる。
【0035】
さらに例えばグリシジルメタクリレート等のエポキシ、含有(メタ)アクリレートの単重合またはそれらとその他の(メタ)アクリレートの共重合の樹脂に(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有化合物を付加させることで、感光性であり、複数の水酸基を有する樹脂を得ることができる。
【0036】
また、それぞれのアクリル系樹脂の重合については、スチレン、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド等の化合物と共重合を行うことができる。アクリル系重合体にエチレン性不飽和基を導入し、感光性樹脂とすることもできる。
【0037】
さらに、例えばヒドロキシメタアクリレート等をモノマーとする水酸基を有する樹脂にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有する化合物を未反応の水酸基を残すよう反応させ、感光性であり、複数の水酸基を有する樹脂を得ることができる。
【0038】
このように調製された複数の水酸基を有する樹脂の水酸基と、多塩基酸無水物を反応させて、樹脂にカルボキシル基を導入し、カルボキシル基を有する樹脂とすることができるが、その製造方法は上記記載の方法のみに限るものではない。
【0039】
上記の反応に用いる酸無水物の例として、例えばマロン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、及びトリメリト酸無水物等が挙げられる。
【0040】
この樹脂の有するカルボキシル基に、可逆的に反応する化合物を反応させて、酸価を調整し、本発明のカラーフィルタ用樹脂が得られる。例えばこのカルボン酸と可逆的に反応する化合物は、加熱処理によってカラーフィルタ用樹脂の骨格から解離し、蒸発することし、樹脂の体積を減少し得る。
【0041】
カルボン酸と可逆的に反応する化合物の例として、イソブチルビニルエーテル、ヒドロキシェルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジヒドロピラン、及びテトラヒドロフラニルクロライド等が挙げられる。
【0042】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上述したカラーフィルタ用樹脂に加えて、少なくとも光重合性モノマーと光重合開始剤を含有するものである。
【0043】
光重合性モノマーの添加量は、カラーフィルタ用樹脂100重量部に対し300ないし3重量部であることが好ましい。3重量部未満であると、十分な感度を得られない傾向があり、300重量部を超えると、85体積%以下の変化が得られない傾向がある。
【0044】
光重合開始剤の添加量は、カラーフィルタ用樹脂100重量部に対して、0.1ないし30重量部が好ましい。0.1重量部未満では、光重合の速度が遅くなって感度が低下する傾向があり、30重量部よりも多いと、基板等との密着性が低下する傾向がある。
【0045】
光重合性モノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマー、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類があげられ、これらを単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0046】
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2、2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフエノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類ベンゾフェノン、例えば2−クロロベンゾフェノン、p,p−ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンジル、ペンゾイン、ペンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のペンゾインエーテル類、例えばベンジルジメチルケタール、テオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン等の硫黄化合物、例えば2−エチルアントラキノンオクタメチルアントラキノン、1、2−ベンズアントラキノン、2、3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類、例えば2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシフェニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシナフチル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン類、例えばアゾピスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物、例えば2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトペンゾオキサゾール、2−メルカプトペンゾチアゾール等のチオール化合物等が挙げられ、これらを単独で、または、2種以上混合して使用することができる。
【0047】
また、単独では光重合開始剤として機能しないが、上記化合物と組合せて使用することで光重合開始剤の能力を増大させる化合物を、必要に応じて添加することができる。そのような化合物として、例えばベンゾフェノンと組合せて使用すると効果のあるトリエタノールアミン等の3級アミンを挙げることができる。
【0048】
本発明に係る感光性樹脂組成物に、着色剤を添加して、カラーフィルタの画素部を構成する着色層に使用することができる。また、上記感光性樹脂組成物に、黒色の着色剤を添加して、画素部間に設けられたブラックマトリックスに使用することができる。着色剤としては顔料及び染料等があげられる。耐熱性、耐光性の面から顔料を好適に使用できる。顔料としては、赤色(Red)として、C.I.No9、97、122、123、149、168、177、180、192、215など、緑色(Green)としてC.I.Pig.7、36、青色(Blue)としてC.I.No.15、22、60、64など、黄色(Yellow)としてC.I.No.20、24、83、86、93、109、117、139、153など、紫色(Violet)としては、C.I.No19、23、29、30、40、50など、黒色(Black)としてはC.I.No7などが一般的に用いられる。
【0049】
本発明の感光性樹脂組成物には、更に分散時の作業性を向上させるため、溶剤を添加して希釈することができる。
【0050】
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチルセロソルブ、エチルセロソルプアセテート、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、ジグライム、シクロヘキサノン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸イソアミル、酢酸nアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール、トリエチリングリコールモノメチルエーテル、トリエチリングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、液体ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エステル、及びエチルエトキシプロピオネートなどが挙げられ、これらを単独で、あるいは2種以上混合して使用することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、各種の添加剤等を配合することができる。
【0051】
上記感光性樹脂組成物及び着色剤を基板上に適用するために、これらを含む分散液を調製することができる。上述したこれらの材料は、2本ロールミル、3本ロールミル、サンドミル、及びペイントコンディジョナー等の分散機を用いて混練することができる。
【0052】
図1に、本発明のカラーフィルタの一例の構成を表す断面図を示す。
【0053】
本発明のカラーフィルタ10は、基板1と、基板1上に所定のパターンで配列した複数色の着色層2例えば赤色着色層2R、緑色着色層2G、及び青色着色層2Bから構成される複数色の画素部と、隣接する着色層2間を遮光するブラックマトリックス3とを有し、その着色層2及びブラックマトリクス3の少なくとも一部が本発明のカラーフィルタ用樹脂を使用して形成されている。
【0054】
これら画素部とブラックマトリックス上には、任意に、これらを保護するためのオーバーコ一ト層4を形成することができる。
【0055】
本発明のカラーフィルタに用いることのできる基板は、ある程度の剛性と平滑性を有するものが好ましく、カラーフィルタが透過型として用いられる場合には、さらに透明性を有しているものが選択される。
【0056】
基板としては、例えばガラス基板、シリコン基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、芳香族ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、Al基板、GaAs基板等の表面が平坦な基板などが挙げられる。
【0057】
これらの基板には、シランカップリング剤などの薬品による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング処理、スパッタリング処理、気相反応処理、真空蒸着処理などの前処理を施すことができる。
【0058】
基板としてシリコン基板を用いる場合、シリコン基板などの表面には電荷結合素子(CCD)、薄膜トランジスタ(TFT)等を形成することができる。
【0059】
ブラックマトリクスは、本発明のカラーフィルタ用樹脂を含むインキを用いて印刷により、あるいは本発明のカラーフィルタ用樹脂を含む感光性樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィーにより、あるいはそれ以外の感光性樹脂組成物、またはクロム等の金属等に基板上に形成され得る。
【0060】
以下に、フォトリソグラフィーを用いた本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を図2ないし図を用いて説明する。
【0061】
まず、図2に示すように、上記ブラックマトリクス3が形成された例えばガラス等の透明基板5を用意する。
【0062】
次に、例えば赤、緑、及び青色等の着色層に応じて、各色の着色剤と本発明の感光性樹脂組成物を含む着色感光性樹脂組成物を調製し、そのうち例えば図3に示すように、緑色感光性樹脂組成物を、スピンコート法で塗布した後、必要に応じて加熱たとえば100℃で3分間加熱して溶剤などの揮発成分を乾燥させ(プリベーク)、緑色感光性樹脂層6を形成する。
【0063】
着色感光性樹脂組成物の塗布方法としては、例えばスプレーコート法、スピンコート法、ロールコート法、及びカーテンコート法等の公知の方法を使用することができる。
【0064】
次いで、冷却後、図4に示すように、この緑色感光性樹脂層6に、所定のパターンのフォトマスク9を介して、光源として例えば超高圧水銀ランプを用いて活性エネルギー線を露光する。
【0065】
その後、未露光部を、アルカリ現像液例えば2、5%炭酸ナトリウム水溶液で現像後、よく水洗し、さらに水洗乾燥する。このようにして、図5に示すように、ブラックマトリクス3が形成された透明基板5上に、パターン加工された緑色着色層11Gを得る。この現像液には必要に応じて消泡剤や界面活性剤を添加することができる。現像後、例えば230℃で60分間加熱処理を行い、本硬化(ポストベーク)する。これを所望の色数の画素部が形成されるまで繰り返して着色層のパターン加工を行うことにより、例えば青色感光性樹脂組成物を用いてパターン加工された青色着色層を、赤色感光性樹脂組成物を用いてパターン加工された赤色着色層を得る。このようにして、本発明のカラーフィルタを得ることができる。
【0066】
アルカリ現像液のアルカリ成分としては、例えば水酸化ナトリウム、及び炭酸ナトリウム等を使用することができる。
【0067】
図6に得られたカラーフィルタの構成を表す断面図を示す。
【0068】
図示するように、このカラーフィルタ20は、透明基板5と所定のパターンで配列した着色層2例えば赤色着色層11R、緑色着色層11G、及び青色着色層11Bから構成される複数色の画素部と、隣接する各着色層11R、11G、及び11B間を遮光するブラックマトリックス3とを有する。
【0069】
この方法は画素部の形成だけではなく、ブラックマトリックスを設ける際に適用することもできる。
【0070】
また、着色感光性樹脂組成物を、一旦転写胴(いわゆるブランケット)や転写フィルム等の転写支持部材上へ塗布して上記パターン加工を行い、その後、基板へ転写することができる。
【0071】
露光に用いられる活性光の光源としては、紫外線電子線等波長300〜450nmの光を用いることができ、例えば、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等から照射される光を用いることができる。
【0072】
本発明の着色感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタは、用途に応じて異なる構成要素を持ち、その構成に制限はないが、一般的には、透明基板とこの透明碁板上にパターン化されて配列された複数色の画素部とで構成され、これら画素部に入射した白色光をその画素部の色彩に着色するものである。そして、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル等においては、入射光としてディスプレイに内蔵された光源からの光やディスプレイの画面に入射する太陽光等が利用され、カラーフィルタを透過した着色光によりカラー画面の豪示を可能としている。また、カラービデオカメラやデジタルカメラ等においては、固体撮像素子の構成部品として設けられ、撮影対象から入射した光を分光する役目を果たし得る。ここで、分光された光は、受光素子で電気信号に変換され、これを記録することでカラー画像の撮影を可能としている。
【0073】
ブラックマトリクスに使用される黒色着色剤としては、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラッ久シアニンブラック、及びチタンブラック等が挙げられる。遮光性、画像特性等の面から、カーボンブラックが好ましい。具体的には、例えば、三菱化学社製 商品名「MA7」、「MA8」、「MA11」、「MA100」、「MA220」、「MA230」、「#52」、「#50」、「#47」、「#45」、「#2700」、「#2650」、「#2200」、「#1000」、「#990」、及び「#900」等、テグサ社製 商品名「Printex95」、「Printex90」、「Printex85」、「Printex75」、「Printex55」、「Printex45」、「Printex40」、「Printex30」、「Printex3」、「PrintexA」、「PrintexG」、「SpecialBlack550」、「SpecialBlack350」、「SpecialBlack250」、及び「SpecialBlack100」等、キャボット社製 商品名「Monarch460」、「Monarch430」、「Monarch280」、「Monarch120」、「Monarch800」、「Monarch4630」、「REGAL99」、「REGAL99R」、「REGAL415」、「REGAL415R」、「REGAL250」、「REGAL250R」、「REGAL330」、「BLACK PEARLS480」、及び「BLACK PEARLS130」等、コロンビアンカーボン社製 商品名「RAVEN11、「RAVEN15」、「RAVEN30」、「RAVEN35」、「RAVEN40」、「RAVEN410」、「RAVEN420」、「RAVEN450」、「RAVEN500」、「RAVEN780」、「RAVEN850」、「RAVEN890H」、「RAVEN1000」、「RAVENl020」、「RAVEN1040」等が挙げられる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0075】
実施例1
複数のカルボキシル基を有する樹脂の合成
内容量が2リットルの5つ口反応容器を用意し、この容器内に、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)486g、ノボラック系エポキシ樹脂として、クレゾールノボラックエポキシ樹脂(東都化成社製「YDCN−704」エポキシ当量:205)264g、カルボキシル基含有化合物としてアクリル酸969、メトキノン(MQ)0.07g、及びトリフェニルフォスフィン(TPP)1.8gを加え、空気を吹き込みながら100℃で35時間加熱し、多価アルコール化合物であり、感光性を有するノボラック樹脂のアクリル酸付加物溶液を得た。
【0076】
更に、得られたノボラック樹脂のアクリル酸付加物溶液に、多塩基性カルボン酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物136gを加え、70℃で24時間加熱し、酸無水物付加物溶液を得た。
【0077】
更に、可逆的に反応するカルボン酸と可逆的に反応する化合物として、イソブチルビニルエーテル69gを加え、70℃で15時間加熱し、上記式(1)と同様の構造を有し、但し、式(1)中、nは1、xは上記式(3)で表され、lは5ないし40の整数、R1はメチル基、R2はプロピレン基、R3はシクロヘキセン環、R4は−CH2CH2OR6で、R5はアクリロイルオキシ基、R6はイソブチル基である感光性樹脂を得た。
【0078】
得られた感光性樹脂10mgを230℃で60分加熱し、その重量変化測定(窒素ガス雰囲気下)を行ったところ、加熱前の感光性樹脂に対し、重量変化は30重量%減であった。
【0079】
感光性樹脂組成物の調製
得られた感光性樹脂6.5gに対し、光重合性モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサア1クリレート2.5g、光重合開始剤として、ベンゾフェノン1.8gを加え、感光性樹脂組成物を得た。
【0080】
着色感光性樹脂組成物の調製
得られた感光性樹脂組成物に、着色剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 EX−2777)48、3g及び溶剤として、エチルセロソルブ27gを加えてよく撹拌し、黒色の着色感光性樹脂組成物を得た。
【0081】
着色感光性樹脂組成物を用いたパターン加工
基板上にr−グリシドキシプロビルメチルエトキシシランをスピンコートしてよくスピン乾燥させた後、上記着色感光性樹脂組成物をスピンコート(800rpm、40秒間)し、乾燥させた。100℃で3分間加熱を行った後、画素サイズ30μm×100μmのマスクを用い、光源として超高圧水銀ランプを用いて露光した。次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で現像後よく水洗し、さらに乾燥後、230℃で60分加熱処理してパターンを定着させ、ブラックマトリクスとして、パターン加工された黒色着色層を基板上に形成した。
【0082】
試験及び評価
得られた着色感光性樹脂組成物を用いて、以下のような試験、評価を行った。
【0083】
遮光性の測定
遮光性は、OD値で表引OD値は物質が光を吸収する程度を表わす値であり、光路長が一定のとき、OD値が大きいほど着色剤の濃度が高いことを示す。厚さ1.1mmのガラス板上に、上記着色感光性樹脂組成物を用いて厚さ約1μmの皮膜を形成させ、その塗膜をマクベス(登録商標)濃度計(TR−927オルソマチックタイプ)を用いて測定し、OD値を求めた。その結果を下記表1に示す。
【0084】
感度の測定
得られた着色感光性樹脂組成物について、超高圧水銀ランプを用い、露光量100mJ/cm2で3秒程度露光し、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で現像することにより、十分に光硬化されたかどうか確認した。このとき効果が十分であったものをaと評価した。また、100mJ/cm2では光硬化が不十分で、露光量200mJ/cm2で6秒程度露光し、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で現像したところ十分に光硬化されたものをbと評価した。その結果を下記表1に示す。
【0085】
残膜率の測定及び評価
着色感光性樹脂組成物を基板上にスピンコートしてよくスピン乾燥させた後、塗布された着色感光性樹脂層の膜厚Aを測定した。更に、光源として超高圧水銀ランプを用い、露光量200mJ/cm2で露光した。次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で現像後、よく水洗し、さらに乾燥した後、230℃で1時間ベークし、パターンを定着させ、得られた着色層の膜厚Bを測定した。この膜厚A、Bの変化率(A÷B×100)が85%以下の場合を○、85%以上の場合を×とした。
【0086】
現像時の密着性試験
基板上に膜厚1.2μmの着色感光性樹脂組成物を塗布し、得られた塗布膜に線幅6.0μmのマスクを用い、光源として超高圧水銀ランプを用いて、露光量200mJ/cm2で露光を行った。次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液を現像後、良く水洗した。得られた着色感光性樹脂層について、パターンのハガレ具合を調べた。現像時間を+10秒、+20秒、+30秒、+40秒と変化したとき20秒以上密着しているものを○、それ以下のものをXとした。
【0087】
実施例2
複数のカルボキシル基を有する樹脂の合成
内容量が2リットルの5つ口反応容器を用意し、溶剤として、シクロヘキサノン686g、エポキシ基含有化合物として、グリシジルメタクリレート(GMA)332g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)6.6gを加え、窒素を吹き込みながら80℃で6時間加熱し、GMAのポリマー溶液を得た。
【0088】
次に、得られたGMAのポリマー溶液に、カルボン酸含有化合物としてアクリル酸(AA)172g、メトキノン(MQ)0.05g、トリフェニルフォスフィン(TPP)0.5gを加え、空気を吹き込みながら100℃で24時間加熱し、多価アルコール化合物であり、感光性を有するGMA樹脂のアクリル酸付加物溶液を得た。
【0089】
更に、得られたGMA樹脂のアクリル酸付加物溶液に、多塩基性カルボン酸無水物としてテトラヒドロフタル酸無水物186gを加え、70℃で10時間加熱し、酸無水物付加物溶液を得た。
【0090】
続いて、カルボン酸と可逆的に反応する化合物として、ヒドロキシエチルビニルエーテル75gを加え、70℃で15時間加熱し、上記式(1)と同様の構造を有し、但し、式中、nは1,xは式(2)で表され、mは10ないし100の整数、R1はメチル基、R2はプロピレン基、R3はシクロヘキセン環、R4は−CH2CH2OR6で、R5は アクリロイルオキシ基、R6はヒドロキシエチル基である感光性樹脂を得た。
【0091】
得られた感光性樹脂について実施例1と同様に重量変化測定を行ったところ、重量変化は28重量%減であった。
【0092】
感光性樹脂組成物の調製
得られた感光性樹脂10.5gに対し、光重合性モノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレート0、8g、光重合開始剤として、ベンゾフェノン1.4gを加え、感光性樹脂組成物を得た。
【0093】
着色感光性樹脂組成物の調製
得られた、感光性樹脂組成物に、着色剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 EX−2901)48、3g、及び溶剤としてエチルセロソルブ27gを加えてよく撹拌し、黒色の着色感光性樹脂組成物を得た。
【0094】
得られた着色感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてパターン加工された黒色着色層を基板上に形成した。
【0095】
試験及び評価
得られた黒色の着色感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に、試験、評価を行った。得られた結果を下記表1に示す
実施例3
複数のカルボキシル基を有する樹脂の合成
内容量が2リットルの5つ口反応容器内を用意し、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)800g、アクリル系重合体のモノマーとしてメチルメタクリレート(MMA)30g、アクリル系重合体の他のモノマーとしてブチルメタクリレート(BMA)140g、水酸基含有モノマーとしてヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)60g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)4gを加え、窒素を吹き込みながら80℃で8時間加熱し、多価アルコール化合物であり、感光性のないアクリル樹脂系ポリマー溶液を得た。
【0096】
更に、得られたポリマー溶液に、多塩基カルボン酸無水物としてフタル酸無水物74gを加え、70℃で10時間加熱し、酸無水物付加物溶液を得た。
【0097】
また、更に、カルボン酸と可逆的に反応する化合物として、ジエチレングリコールモノビニルエーテル52gを加え、70℃で10時間加熱し、上記式(1)と同様の構造を有し、但し、式(1)中、nは1、xは上記式(2)で表され、mは20ないし1000、R1はメチル基、R2はエチレン基、R3はベンゼン環、R4は−CH2CH2OR6で、R5は水素、R6はヒドロキシエトキシエチル基である。
【0098】
である感光性樹脂を含む溶液を得た。
【0099】
得られた感光性樹脂について実施例1と同様に重量変化測定を行ったところ、加熱前の感光性樹脂に対し、重量変化は25重量%減であった。
【0100】
感光性樹脂組成物の調製
得られた感光性樹脂21gに対し、光重合性モノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレート0、8g、光重合開始剤として、2,2’−ジエトキシアセトフェノン2.0gを加え、感光性樹脂組成物を得た。
【0101】
着色感光性樹脂組成物の調製
得られた、感光性樹脂組成物に、着色剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 EX−2901)48.3g、及び溶剤としてエチルセロソルブ27gを加えてよく撹拌し、黒色の着色感光性樹脂組成物を得た。
【0102】
得られた着色感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてパターン加工された黒色着色層を基板上に形成した。
【0103】
試験及び評価
得られた黒色の着色感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に、試験、評価を行った。得られた結果を下記表1に示す
比較例1
実施例1と同様にしてノボラック樹脂のアクリル酸付加物溶液を得た。実施例1とは異なり、多塩基性カルボン酸無水物及びカルボン酸と可逆的に反応する化合物は添加しなかった。
【0104】
得られた感光性樹脂について実施例1と同様に重量変化測定を行ったところ、重量変化は4.6重量%減であった。
【0105】
実施例1の感光性樹脂の代わりに、上記ノボラック樹脂のアクリル酸付加物溶液を用いること以外は、実施例1と同様にして着色感光性樹脂組成物を調製した。
【0106】
試験及び評価
得られた黒色の着色感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に、試験、評価を行った。得られた結果を下記表1に示す
比較例2
実施例2の感光性樹脂の代わりに、上記ノボラック樹脂のアクリル酸付加物溶液を用いること以外は、実施例2と同様にして着色感光性樹脂組成物を調製した。
【0107】
試験及び評価
得られた黒色の着色感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に、試験、評価を行った。得られた結果を下記表1に示す
比較例3
実施例3の感光性樹脂の代わりに、上記ノボラック樹脂のアクリル酸付加物溶液を用いること以外は、実施例3と同様にして着色感光性樹脂組成物を調製した。
【0108】
試験及び評価
得られた黒色の着色感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に、試験、評価を行った。得られた結果を下記表1に示す
【表1】

【0109】
表1に示すように、実施例1ないし3の感光性樹脂組成物は感度が高く、高い遮光性であり、現像密着性の良好であることがわかった。一方、比較例1ないし3の感光性樹脂組成物は感度が高いものの、遮光性及び、現像密着性が劣ることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル、及びカラービデオカメラ等のカラーフィルタの作成に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例の構成を表す断面図
【図2】本発明に係るカラーフィルタの製造方法の一例を説明するための図
【図3】本発明に係るカラーフィルタの製造方法の一例を説明するための図
【図4】本発明に係るカラーフィルタの製造方法の一例を説明するための図
【図5】本発明に係るカラーフィルタの製造方法の一例を説明するための図
【図6】本発明に係るカラーフィルタの製造方法の一例を説明するための図
【符号の説明】
【0112】
1,5…基板、2,2R,2G,2B,11R,11G,11B…着色層、3…ブラックマトリクス、4…保護層、6…着色感光性樹脂層、9…マスク、10,20…カラーフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱処理を施すことにより、その一部が解離して揮発し、その重量が加熱処理前の重量に対し、85重量%以下に減少することを特徴とするカラーフィルタ用樹脂。
【請求項2】
下記式(1)で表され、加熱処理を施すことにより、その重量が加熱処理前の重量に対し、85重量%以下に減少することを特徴とするカラーフィルタ用樹脂。
【化1】

但し、式中、Xは、下記式(2)で表されるエチレン性不飽和化合物の重合体の主骨格部分、または下記式(3)で表される芳香族化合物の縮合体の主骨格部分であり、
【化2】

【化3】

nは、1ないし2の整数
mは、10ないし1000の整数、
lは、1ないし50の整数、
1は、水素またはメチル基、
2は、炭素数2ないし8の直鎖または分枝鎖を有するアルキレン基
3は、炭素数1ないし18の直鎖または分枝鎖を有するアルキレン基、脂環式骨格を有するアルキレン基、不飽和結合を1つ以上もつ脂環式骨格を有するアルキレン基、及び芳香族骨格を有する炭化水素基からなる群から選択される基、
4は、水素、−CH2CH2OR6(R6は、炭素数2ないし8の直鎖または分枝鎖を有するアルキル基、及びヒドロキシアルキル基)、及び環状エーテル基からなる群から選択される基、及び
5は、水素、アクリロイルオキシ基、及びメタクリロイルオキシ基からなる群から選択される基である。
【請求項3】
請求項1に記載のカラーフィルタ用樹脂と、光重合性モノマーと、光重合開始剤とを含有し、加熱処理を施すことによって、その体積が加熱処理前の体積に対し85体積%以下に減少することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項4】
基板と、該基板上に形成されたブラックマトリクスと、該ブラックマトリクスが設けられた基板表面上に形成された着色層とを具備するカラーフィルタにおいて、該着色層及び該ブラックマトリクスのうち少なくとも1つは、請求項1に記載のカラーフィルタ用樹脂及び着色剤を含む樹脂組成物をパターン加工し、その後加熱処理を施すことにより形成されたことを特徴とするカラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−184332(P2006−184332A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374998(P2004−374998)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000205638)大阪有機化学工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】