説明

カンナビネルジック脂質リガンド

本発明の1態様は、一般に、エンドカンナビノイド系における多様な影響、例えば、CB1及びCB2受容体の調節又はエンドカンナビノイド系内での他の生物巨大分子の抑制を発揮する脂質化合物に関する。化合物のいくつかは、改善された受容体結合親和性、及び/又は改善された受容体サブタイプ選択性、及び改善された生物選択性を示す。化合物のいくつかは、内在カンナビノイドの生物除去を抑制する酵素、例えば、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)を調節する活性を発揮する。化合物のいくつかは、アナンダミドトランスポーターを阻害する活性を発揮する。本発明の他の態様は、これらリガンドを使用する医薬組成物及び前記組成物を治療上有効な量で投与して生理学的影響を発揮させる方法にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、脂肪酸類似体に関し、さらに詳しくは、内在性カンナビノイドシステムにおいて、その効力を発揮する脂質リガンド、これら類似体を使用する医薬調製物及び調製物を治療に有効な量で投与して、生理的影響を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(−)-Δ-テトラヒドロカンナビノール(Δ-THC)で表されるカンナビノイドは、大麻(マリワナ)の活性成分であり、行動及び生理的影響を発揮すること及び各種の領域、例えば、中枢神経系、心臓血管系、免疫系及び内分泌系における治療上の特性を有していることが知られている。
【0003】
カンナビノイドの作用の多くは、特殊な高親和性受容体との相互作用によるものである。現在、2つのカンナビノイド受容体、すなわち、CB1及びCB2が特定されている。これらの受容体の特徴付けは、作動薬WIN 55212-2(アミノアルキルインドール)及びCP55,940(非古典的カンナビノイド)の如き特殊な合成リガンドの開発によって可能になった。
【0004】
CB1カンナビノイド受容体は、主に、中枢神経系(CNS)において、及びそれほどではないにしても、下垂体、免疫細胞、生殖器、胃腸組織、上頸神経節、心臓、肺、膀胱及び副腎の如き周辺組織において検出されている。CB1受容体の中心分布パターンは、認知及び記憶の阻害及び運動機能の制御の変性、及びカンナビノイドの向精神作用及び他の神経行動学作用の仲介の如きカンナビノイドのいくつかの重要な薬理学的特性の原因である。CB1の活性化は、カンナビノイドにおいて見られる多くの治療上の指標、例えば、痛覚欠除、嘔吐、不安、採食行動、神経防護作用、運動障害、緑内障、ガン及び心循環器疾患に結び付けられている。
【0005】
これに対して、CB2カンナビノイド受容体は、CSN内において検出されるようには思われないが、主に、免疫系において発現される。多量のCB2は、ヒト扁桃腺、白血球、及び脾臓において検知されている。ヒト白血球では、CB2受容体は、B-細胞、ナチュラルキラー細胞及びマクロファージにおいて特に高い濃度で認められた。免疫系におけるカンナビノイド受容体CB2サブタイプの高度の存在は、CB2受容体が、カンナビノイドの免疫統制作用を仲介する最も有望なカンナビノイド受容体であろうということを示唆している。カンナビノイドの免疫調整作用は広範囲であり、免疫細胞増殖及び機能の変性、抗体形成の変性及びサイトカイン生成の変性を含む。
【0006】
カンナビノイド受容体の発見に続いて、その内在性リガンドの同定が行われた。これまでのところ、哺乳類の脳及び特定の他の組織において発見された内在性エイコサノイドの5個について、Δ9-THCの薬理活性と類似していること及びカンナビノイド受容体に結合することが確認されている。これらの内在性カンナビネルジック(cannabinergic)エイコサノイドは、アナンダミド(アラキドノイルエタノールアミド)、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)、ホモ-γ-リノレノイルエタノールアミド及びドコサテトラエノイルエタノールアミド、及びnoladineエーテルを含む。これらの化合物(集合として、エンドカンナビノイドと称される)は、要求に応じて、細胞によって合成され、分極−誘導の際に放出される。エンドカンナビノイドは、一般に、2段階の酵素反応:1)N-アシルトランスフェラーゼによるホスファチジルエタノールアミン(セファリン)のN-アシル化を介するN-アシル-ホスファチジルエタノールアミン(NAPE)の生成、及び2)N-アシル-ホスファチジルエタノールアミン特異性ホスホリパーゼD(NAPE-PLD)によるNAPEの開裂からのN-アシルエチルアミンの形成を介する、膜リン脂質前駆体の刺激依存性開裂によって生成される。これらのエンドカンナビノイドの中で、アナンダミド及び2-AGが、これまで最も研究されてきた。アナンダミド及び2-AGが神経修飾物質又は神経伝達物質として作動できるとの指摘がある。
【0007】
一般に、エンドカンナビノイドは、Δ9-THCよりも多少能力が劣ることが認められている。迅速な作用開始性を有しているにもかかわらず、迅速な不活性化(その生物学的作用を停止するためには必要である)のため、これら分子の作用の強さ及び持続性は比較的短い。アナンダミドの不活性化は、2段階工程であると思われる。初めに、アナンダミドは、細胞へのキャリヤー−促進再取り込み及び受動的拡散によって、細胞外液側から再配置され、ついで、加水分解(酵素である脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)によって触媒作用を受ける)によって分解される。
【0008】
高親和性アナンダミドトランスポーターは、ラットの皮質ノイロン及び星状細胞において特徴付けられているが、未だ、単離又はクローン化されていない。この「アナンダミドトランスポーター」は、プロスタグランジン取り込みシステムと類似した(ただし、区別可能である)脂質取り込みタンパク質であると思われる。アナンダミドのトランスポートは、インビボ及びインビトロの両方のアナンダミドの生物学的不活性化における律速段階を構成することが認められている。化合物N-4-ヒドロキシフェニルアラキドニルアミド(AM404)は、カンナビノイド受容体に結合することなく、又はアナンダミドの加水分解に影響を及ぼすことなく、このようなトランスポートを選択的及び強力に阻害することが証明されている。阻害剤AM404は、アナンダミドのトランスポーター介在作用を増大することが示されており、これは、トランスポーターの遮断による治療上の関与に関する可能性を示唆する。
【0009】
再取り込み後、アナンダミド及び2-AGは、膜結合タンパク質である脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)によって処理される。FAAHは、1996年にクローン化された。その結晶構造は、最近、決定されている。FAAHはpH依存性であり、不可逆性阻害剤PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオライド)に対して選択的かつ感受性である。
【0010】
一方、アミダーゼ(FAAHから区別されるが、酸性pHにおいて、アナンダミド及び他のN-アシルエタノールアミンを加水分解する)は、ヒト巨核芽球細胞及びラットの臓器、例えば、肺及び脾臓において同定されている。2-AGの加水分解について、公知のモノアシルグリセロール(MAG)リパーゼに加えて、他のエステラーゼ及びFAAHが関係する。FAAH阻害剤による前処置に続くアナンダミドの脳レベルと、薬理活性との間には明らかな一致があり、これにより、FAAH阻害剤はカンナビノイド受容体の活性化の間接的なソースであると推論できる。
【0011】
シクロオキシゲナーゼ(COX)が、アラキドン酸のプロスタグランジンへの転化に対して触媒活性を発揮する酵素であることも公知である。これまでのところ、2つのイソ型、COX1及びCOX2が知られている。COX1は、本質的に、多くの組織において発現され、COX2は、炎症性及び腫瘍性組織において発現される。実験による研究では、シクロオキシゲナーゼ2(COX2)は、腫瘍の発生及び進行に関与することが示されている。従って、腫瘍の成長を遮断するCOX2の選択的阻害剤(coxibs)は、潜在的な抗癌剤として使用される。加えて、COX2の阻害剤は抗炎症剤としても使用される。
【0012】
エンドカンナビノイドの生合成、機能及び分解に関与する酵素と共に、CB1及びCB2受容体、及びアナンダミドトランスポーターは、治療上の介入のための新規なターゲットとして浮上してきた。2つのCB1作動薬、Marinol及びCesametが、それぞれ、AIDS及びガン患者に見られる食欲不振、及び化学療法に伴う嘔吐の治療用の制御された/非制御の医薬品として市販されている。現在、CB1逆作動薬(SR141716A)は、摂食障害の治療に関して臨床テスト中である。カンナビノイド受容体の作動薬は広範な薬理作用を発揮するが、CB1作動薬の向精神特性は、カンナビノイド系医薬品の発展を強く制限していた。これらの制限を克服するため、多くのアプローチ、例えば、CB1逆作動薬、CB2選択的作動薬、水溶性CB1/CB2作動薬、非向精神性カンナビノイドの開発、CB1作動薬と、作用増強剤及びCB1及びCB2を間接的に刺激する薬剤としての他の公知の医薬品との同時投与がなされてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
エンドカンナビノイドの合成類似体は、一般に、内在性カンナビノイドシステムに対して、異なった機能(増大された親和性又は生体安定性を持つカンナビノイド受容体CB1及びCB2への結合、酵素FAAHの阻害又はエンドカンナビノイドの生合成に関与する酵素の調節と共に、「アナンダミドトランスポーター」の阻害を含む)を発揮する。これらの明確な特徴は、めったに、1分子中には共存しないことである。FAAH、MAGリパーゼ又はアナンダミドトランスポーターの阻害剤は、アナンダミドのデノボレベルを維持又は上昇させ、従って、カンナビノイド受容体を活性化するために間接的薬剤として作動することによって、CB1及びCB2受容体を間接的に刺激する能力を有する。上述の特徴を有するエンドカンナビノイド類似体は、CB1受容体を直接的に活性化するリガンドよりも、副作用が少なく、エンドカンナビノイドシステムに伴う病状、例えば、痛み、精神運動障害、多発性硬化症、嘔吐、不安、採食行動、緑内障、神経変性、心循環器疾患及び免疫不全に対する新規な治療アプローチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
新たに、内在性カンナビノイドのある種の類似体が、エンドカンナビノイドシステムに対して、多様な作用、例えば、CB1及びCB2受容体の調節又はエンドカンナビノイドシステム内の他の生物巨大分子の緩和を発揮するとの知見を得た。本発明は、内在性カンナビノイドの新規な類似体、及びその生物学的に許容される塩に関する。本発明による化合物のいくつかは、改善された受容体結合親和性、及び/又は改善された受容体サブタイプ選択性、及び改善された生体安定性を発揮する。本発明による化合物のいくつかは、内在性カンナビノイドの生体処理を緩和する酵素、例えば、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)を調整する活性を発揮する。本発明による化合物のいくつかは、アナンダミドを阻害する活性を発揮する。本発明の個々の化合物は薬理特性において異なるが、その構造は、式I又は式II(これらの構造において、要素FAは、後述のように定義される長鎖炭化水素でなる分子骨格を表す)によって表される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
式I
Ra-FA-M-Rb
式中、FAは、炭素2‐22個及び二重結合0‐6個を含有する長鎖炭化水素である。二重結合は、共役系又は非共役系のいずれでもよい。長鎖炭化水素FAは、いずれかの可能な位置において、低級アルキル、ジ-低級アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基にて、任意に置換される。長鎖炭化水素FAは、メチレン、(CH3)2C、O、NH、N-アルキル環状又は複素環式基又はアリール基が割り込んでいるか、又はこれらの基を含んでいてもよい。
【0016】
Mは、X-Y-Z
[式中、Xは、任意に存在し、存在する場合には、NH、N-低級アルキル、O、CHNHR(ここで、Rは、H、Boc又はサイズ的にBocと類似する他の基である)であり;Yは、C=O、C=S、C=NH、S=O、SO2、SO3、O=C-C=O又はCHNH2であり;Zは、任意に存在し、存在する場合には、O、NH、N-低級アルキル、NQ1Q2(ここで、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、H又はアルキル基であるか、又はQ1及びQ2は、一緒になって、フタルイミド基、又は3−約7個の環メンバーを有し、任意に、O、N、Sから選ばれる1つの追加のヘテロ原子を持つ複素環式環の一部を構成する)である]である。
【0017】
aは、E1-X1-E2-T1又はE1-E2-T1
(式中、E1及びE2は、それぞれ独立して、炭素原子0‐10個を有し、任意に、低級アルキル又はジ-低級アルキルにて置換されたアルキル、アルケニル又はアルキニルであり;X1は、NH、N-低級アルキル又はOであり;T1は、アリール、炭素環式環、二環状環、三環式環、複素環、ヘテロ二環式環、ヘテロ三環式環、ヘテロ芳香族環、OH、SH、ハロゲン、C(ハロゲン)3、CH(ハロゲン)2、O-アルキル、N3、CN、NCS、NH2、アルキルアミノ及びジアルキルアミノ又は後述のように定義される置換基である)である。
【0018】
bは、-(CH2)m-(C(CH3)2)p-(CH2)n-T2-T3、-(CH2)m-(CH(CH3))q-(CH2)n-T2-T3
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、0‐6から選ばれる整数であり;p及びqは、それぞれ独立して、0‐1から選ばれる整数であり;T2は、任意に存在し、存在する場合には、アリール、炭素環式環、二環式環、三環式環、複素環、ヘテロ二環式環、ヘテロ三環式環、ヘテロ芳香族環、1-又は2-グリセロール、1-又は2-環状グリセロール、アルキル、アルケニル、アルキニルであり;T3は、H、OH、SH、ハロゲン、C(ハロゲン)3、CH(ハロゲン)2、O-アルキル、N3、CN、NCS、NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又は後述のように定義される置換基である)である。
【0019】
有利な1変形例では、FAは、炭素原子12‐22個及びメチレン-割り込みシス二重結合4個を含有する長鎖炭化水素であり;及びRaのX1は、NH又はN-低級アルキルである。
【0020】
有利な1変形例では、FAは、炭素原子12‐22個及びメチレン-割り込みシス二重結合4個を含有する長鎖炭化水素であり;及びRaは、E1-E2-T1
(式中、T1は、アリール、ヘテロ芳香族環、炭素環式環、二環式環、三環式環、複素環、ヘテロ二環式環又はヘテロ三環式環である)である。
【0021】
有利な1変形例では、FAは、炭素原子12‐22個及びメチレン-割り込みシス二重結合4個を含有する長鎖炭化水素であり;及びRaは、E1-E2-T1
(式中、T1は、OH、SH、C(ハロゲン)3、CH(ハロゲン)2、O-アルキル、N3、CN、NCS、NH2、アルキルアミノ又はジアルキルアミノである)である。
【0022】
式II
R-M-R'
式中、Rは、炭素16‐24個を含有する脂肪酸テール残基又は炭素16‐24個を含有するアルキル置換脂肪酸テール残基である。
【0023】
Mは、X-Y-Z
[式中、Xは、任意に存在し、存在する場合には、NH、N-低級アルキル、O及びCHNHR(ここで、Rは、H、Boc又はサイズ的にBocと類似する他の基である)であり;Yは、C=O、C=S、C=NH、S=O、SO2、SO3、O=C-C=O又はCHNH2であり;Zは、任意に存在し、存在する場合には、O、NH、N-低級アルキル、NQ1Q2(ここで、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、H又はアルキル基であるか、又はQ1及びQ2は、一緒になって、フタルイミド基、又は3−約7個の環メンバーを有し、任意に、O、N、Sから選ばれる1つの追加のヘテロ原子を含む複素環の一部を構成する)である]である。
【0024】
R'は、-(CH2)m-(C(CH3)2)p-(CH2)n-T2-T3又は-(CH2)m-(CH(CH3))q-(CH2)n-T2-T3
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、0‐6から選ばれる整数であり;p及びqは、それぞれ独立して、0又は1であり;T2は、任意に存在し、存在する場合には、アリール、炭素環式環、二環式環、三環式環、複素環、ヘテロ二環式環、ヘテロ三環式環、ヘテロ芳香族環、1-又は2-グリセロール、1-又は2-環状グリセロール、アルキル、アルケニル、アルキニルであり;T3は、H、OH、SH、ハロゲン、C(ハロゲン)3、CH(ハロゲン)2、O-アルキル、N3、CN、NCS、NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又は後述のように定義される他の置換基である)である。
【0025】
式IIの変形例では、次の但し書きが適用される:
−MがO-C(O)-NHであり、Rがアラキドン酸のテール残基である場合には、R'は、エチル、イソブチル及びプロピル以外である。
−MがNH-C(O)-NHであり、Rがアラキドン酸のテール残基である場合には、R'は、メチル、イソプロピル、プロピル、イソブチル、CH2CH2F、CH2CH2OH、及びCH2CH2OCH3以外である。
−MがNH-C(O)-Oであり、Rがアラキドン酸のテール残基である場合には、R'は、エチル、イソプロピル及びCH2CH2F以外である。
−MがNH-C(S)-NHであり、Rがアラキドン酸のテール残基である場合には、R'は、4-メチル-2-メトキシ-フェノール及び4-メチル-2-クロロ-フェノール以外である。
【0026】
本発明による化合物は、各種の及びすべての可能な異性体、立体異性体及び鏡像異性体を含む、一般に、本発明の組成物は、ここに記載の各種の好適な成分を含有する、好適な成分でなる、又は本質的に好適な成分でなるように各種処方される。本発明の組成物は、必須的に又は選択的に、従来技術による組成物において使用されている各種の成分、物質、補助剤又は化学種又は本発明の機能及び/又は目的の達成には必ずしも必要がないものを含まない、又は実質的にフリーの処方とされる。
【0027】
明細書において用語「約」を使用する場合、これは、この用語が修飾する量又は条件が、発明の利点が実現される限りにおいて、限度を多少超えても変動可能であることを意味している。実際のところ、発明におけるパラメーターのすべてを極めて厳密に決定するには、発明が製品化される際に適正であることを証明するよりも多大の努力を必要とするため、利用できる時間及び資材は充分には存在しない。当業者であれば、これは理解できることであり、発明の開示された結果は、少なくとも多少は、開示された限度の1以上を越えて拡張できることが予測するであろう。後に、発明の開示により、及び開示された発明者が知っている最良の形態を含む発明の概念及び具体例を理解することによって、発明者等は、発明が限度を越えても実現されるかどうかを決定するために、特段の努力を必要とすることなく、開示された限度を越えて検討することができ、具体例が予測できないような特徴を持たないものと思われる場合には、これらの具体例は、ここで使用する用語「約」の意味の範囲内にある。このような具体例が予測されたものであるか、又は結果又は1以上の特徴が発明者によって報告されたものよりも有意に良好であるため、このような具体例が驚くべきものであり、このようにして、自明でない教示が当分野における更なる進歩をもたらすものであるかを決定するは、当業者にとって困難なことではない。
【0028】
現段階において好適な本発明の具体例(説明のためのものである)についての後述の詳細な記載から、本発明の良好な理解が達成されるであろう。
【0029】
他に特に定義しない限り、「アシル」は、一般式「-C(O)アルキル」で表される。
【0030】
他に特に定義しない限り、「アシロキシ」は、一般式「-O-アシル」で表される。
【0031】
他に特に定義しない限り、「アルコール」は、一般式「アルキル-OH」で表され、1級、2級及び3級のものを含む。
【0032】
他に特に定義しない限り、「アルキル」又は「低級アルキル」は、直鎖状、分枝状又は環状の炭素原子1−約16個、有利には約1−約6個を有するアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、イソプロピル、イソブチル、3級ブチル、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロオクチル、ビニル及びアリルを含む。他に特に定義しない限り、アルキル基は、飽和又は不飽和である。他に特に限定しない限り、アルキル基は、未置換であるか、又は、いずれか可能な位置において、置換基によって、モノ置換又は多置換されていてもよい。他に特に限定しない限り、環状アルキル基としては、単環式、二環式、三環式、四環式及び多環式環、例えば、ノルボルニル、アダマンチル及び関連するテルペンを含む。
【0033】
他に特に定義しない限り、「アルケニル」又は「低級アルケニル」は、直鎖状、分枝状又は環状の炭素原子1−約16個、有利には、炭素原子約1−約6個、及び鎖中の炭素原子間に少なくとも1個の二重結合を有する炭素鎖である。例としては、例えば、エチレル、アレン、ブテン、ブタジエン、ヘキセン、ヘキサジエン、5,5-ジメチル-1-ヘキセン及びシクロヘキセンがある。他に特に限定しない限り、アルキレン基は、未置換であるか、又は、いずれか可能な位置において、置換基によって、モノ置換又は多置換されていてもよい。
【0034】
他に特に定義しない限り、「アルコキシ」は、一般式「-O-アルキル」で表される。
【0035】
他に特に定義しない限り、「アルキルメルカプト」は、一般式「-S-アルキル」で表される。
【0036】
他に特に定義しない限り、「アルキルアミノ」は、一般式「-(NH)-アルキル」で表される。
【0037】
他に特に定義しない限り、「ジアルキルアミノ」は、一般式「-N-(アルキル)」で表される。他に特に限定しない限り、ジアルキルアミノは、ピペリジン及びモルホリンの如き環状アミン化合物を含む。
【0038】
他に特に定義しない限り、「アルキニル」又は「低級アルキニル」は、直鎖状、分枝状又は環状の炭素原子1−約16個、有利には、炭素原子約1−約6個、及び鎖中の炭素原子間に少なくとも1個の二重結合を有する炭素鎖である。例としては、例えば、エチン、ブチン、及びヘキシンを含む。他に特に定義しない限り、アルキニル基は、未置換であるか、又は、いずれか可能な位置において、置換基によって、モノ置換又は多置換されていてもよい。
【0039】
他に特に限定しない限り、芳香環は、環メンバー約5−約7個を有し、環原子として炭素のみを含む不飽和環構造体である。他に特に定義しない限り、芳香環は、未置換であるか、又は、いずれか可能な位置において、置換基によって、モノ置換又は多置換されていてもよい。
【0040】
他に特に定義しない限り、「アリール」は、環原子として炭素のみを含む芳香環系、例えば、フェニル、ビフェニル又はナフチルを示す。他に特に限定しない限り、アリール基は、未置換であるか、又は、いずれか可能な位置において、置換基によりモノ置換又は多置換されていてもよい。
【0041】
他に特に定義しない限り、「アロイル」は、一般式「-C(=O)-アリール」で表される。
【0042】
他に特に定義しない限り、二環式環構造体は、環原子として炭素のみを含む2つの融合又は橋架けした環でなる。二環式環構造体は、飽和又は不飽和である。他に特に限定しない限り、二環式環構造体は、未置換であるか、又は、いずれか可能な位置において、置換基によりモノ置換又は多置換されていてもよい。個々の環は、同一のタイプであるか、又は同一のタイプでなくてもよい。二環式環構造体の例としては、ジメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン、デカヒドロ-ナフタレン及びビシクロオクタンがある。
【0043】
他の特に定義しない限り、Bosは、一般式
【化1】

で表される。
【0044】
他に特に定義しない限り、炭素環式環は、環原子として炭素のみを含む約3−約8環メンバーを有する飽和又は不飽和の非芳香族環構造体、例えば、シクロヘキサジエン又はシクロヘキサンである。他に特に限定しない限り、炭素環式環構造体は、未置換であるか、又は、いずれか可能な位置において、置換基によりモノ置換又は多置換されていてもよい。
【0045】
他に特に定義しない限り、環状グリセロールは、3個の水酸基の内の2個が結合して5−8員環を形成し、第3の水酸基が、例えば、エステル又はエーテルの形に置換されているものを含む。環状グリセロール環は、代表的には飽和である(ただし、いつもではない)。環状グリセロールは、いずれか可能な位置において、1以上の置換基によって置換されていてもよい。環状グリセロールの例としては、
【化2】

(式中、nは1−3から選ばれる整数である)が含まれる。
【0046】
他に特に定義しない限り、「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選ばれる原子を示す。
【0047】
他に特に定義しない限り、ヘテロ芳香環は、環原子として、炭素原子及び1以上のへテロ原子(酸素、窒素及び/又はイオウを含む)を含有する環メンバー約5−約8個の不飽和環構造体、例えば、ピリジン、フラン、キノリン及びそれらの誘導体である。他に特に限定しない限り、ヘテロ芳香環は、未置換であるか、又はいずれか可能な位置において、置換基によりモノ置換又は多置換されていてもよい。
【0048】
他に特に定義しない限り、ヘテロ二環式環構造体は、環原子として、炭素及び1以上のへテロ原子(酸素、窒素及び/又はイオウを含む)を含む2つの融合又は橋架けした環を含むものである。ヘテロ二環式環構造体は、飽和又は不飽和である。ヘテロ二環式環構造体は、未置換であるか、又はいずれか可能な位置において、置換基によりモノ置換又は多置換されていてもよい。個々の環は、同一のタイプであるか、又は同一のタイプでなくてもよい。ヘテロ二環式環構造体の例としては、トロパン、キヌクリジン及びテトラヒドロベンゾフランがある。
【0049】
他に特に定義しない限り、複素環は、環原子として、炭素原子及び1以上のへテロ原子(酸素、窒素及び/又はイオウを含む)を含有する環メンバー約3−約8個の飽和環構造体、例えば、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、チオモルホリン、テトラヒドロピリジン及びそれらの誘導体である。複素環は、未置換であるか、又はいずれか可能な位置において、置換基によりモノ置換又は多置換されていてもよい。
【0050】
他に特に定義しない限り、ヘテロ三環式環構造体は、融合又は橋架けされた又はその両方であり、環原子として、炭素及び1以上のへテロ原子(酸素、窒素及び/又はイオウを含む)を有する3つの環を含むものである。ヘテロ三環式環構造体は、飽和又は不飽和である。ヘテロ三環式環構造体は、未置換であるか、又はいずれか可能な位置において、置換基によりモノ置換又は多置換されていてもよい。個々の環は、同一のタイプであるか、又は同一のタイプでなくてもよい。ヘテロ三環式環構造体の例としては、2,4,10-トリオキサアダマンタン、テトラデカヒドロ-フェナントロリンがある。
【0051】
他に特に定義しない限り、ヘテロ多環式環構造体は、融合又は橋架けされた又はその両方である、環原子として、炭素及び1以上のへテロ原子(酸素、窒素及び/又はイオウを含む)を有する3つ以上の環を含むものである。ヘテロ多環式環構造体は、飽和又は不飽和である。ヘテロ多環式環構造体は、未置換であるか、又はいずれか可能な位置において、置換基によりモノ置換又は可能であれば多置換されていてもよい。個々の環は、同一のタイプであるか、又は同一のタイプでなくてもよい。ヘテロ多環式環構造体の例としては、アザアダマンチン、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキサミドがある。
【0052】
他に特に定義しない限り、用語「フェナシル」は、一般式「-フェニル-アシル」を示す。
【0053】
他に特に定義しない限り、フタルイミドは、一般式
【化3】

を有する。
【0054】
他に特に定義しない限り、多環式環構造体は、融合又は橋架けされた又はその両方である、環原子として炭素を有する3以上の環を含むものである。多環式環構造体は、飽和又は不飽和である。他に特に限定しない限り、多環式環構造体は、未置換であるか、又はいずれか可能な位置において、置換基によりモノ置換又は多置換されていてもよい。個々の環は、同一のタイプであるか、又は同一のタイプでなくてもよい。多環式環構造体の例としては、アダマンチン、ビシクロオクタン、ノルボルナン及びビシクロノナンである。
【0055】
他に特に定義しない限り、スピロ環は、ただ1個の原子が2個の環の唯一の共通メンバーである環システムを示す。スピロ環は、環メンバー約3−約8個を含有する飽和炭素環式環、環原子の約3個以下がN、S又はO又はこれらの組合せである約3−約8個の環原子を含有する複素環を含有する。
【0056】
他に特に定義しない限り、三環式環構造体は、融合又は橋架けされた又はその両方であり、環原子として炭素を含む3つの環を含むものである。三環式環構造体は、飽和又は不飽和である。三環式環構造体は、未置換であるか、又はいずれか可能な位置において、置換基によりモノ置換又は可能であれば多置換されていてもよい。個々の環は、同一のタイプであるか、又は同一のタイプでなくてもよい。三環式環構造体の例としては、フルオレン及びアントラセンがある。
【0057】
他に特に定義しない限り、脂肪酸テール残基は、対象の脂肪酸のカルボン酸ヘッド基を持たない炭化水素残基である。
【0058】
他に特に限定しない限り、用語「置換」は、いずれか可能な位置において、少なくとも1個の後述の置換基によって置換されることを意味する。本発明において有用な上記モイエティーに関する置換基は、本発明による化合物の生物活性を有意には低減させない基である。本発明の化合物の生物活性を有意には低減させない置換基としては、例えば、H、ハロゲン、N3、NCS、CN、NO2、NX1X2、OX3、C(X3)3、OAc、O-アシル、O-アロイル、NH-アシル、NH-アロイル、NHCOアルキル、CHO、C(ハロゲン)3、COOX3、SO3H、PO3H2、SO2NX1X2、CONX1X2、COCF3、アルキル、アルコール、アルコキシ、アルキルメルカプト、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、スルホンアミド又はチオアルコキシ(ここで、X及びXは、それぞれ独立して、H又はアルキルであるか、又は、X及びXは、一緒になって、環メンバー約4−約7個及び任意にO、N又はSから選ばれる付加的ヘテロ原子1個を有する複素環の一部を形成するか、又は、X及びXは、一緒になって、約5−約6員のイミド環の一部を形成し;及びXは、H、アルキル、低級アルキルヒドロキシ、又はアルキル-NX1X2である)がある。他に特に限定しない限り、置換基は、いずれか可能な位置に存在する。
【0059】
ここで使用するように、化合物の「治療上有効な量」とは、ヒト又は動物に投与される際、ヒト又は動物において、当該化合物が充分に高いレベルにあり、これにより、カンナビノイド受容体の刺激における識別可能な増大又は減少を生ずるような化合物の量である。カンナビノイド受容体の刺激から生ずる生理的影響としては、痛覚欠除、化学療法から生ずる吐き気の低減、鎮静及び食欲の増進が含まれる。カンナビノイド受容体の刺激によって生ずる他の生理的影響としては、緑内障の患者の眼圧の軽減及び免疫系の抑制が含まれる。
【0060】
ここに記載の化合物、及びその生理学的に許容される塩は、治療上有効な量で投与される際に、痛み;末梢の痛み;緑内障;癲癇、ガン化学療法に伴うもののような嘔吐;AIDS消耗症候群;ガン;多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病及びアルツハイマー病を含む神経変性疾患の治療に有効な生理的影響を提供する高度の能力を有する。このように、本発明の他の態様は、生理的影響を提供するために、本発明の化合物又はその生理学的に許容される塩の、治療上有効な量での、ヒトへの投与にある。代表的には、化合物の「治療上有効な量」は約10−約1,000mg/日の範囲である。
【0061】
ここで使用するように、「ヒト」とは人間をいう。「動物」とは、例えば、犬、猫、馬等の如き獣動物、及び牛、豚等の如き家畜をいう。
【0062】
本発明の化合物は、例えば、経口、直腸又は非経口(例えば、筋肉内、静脈内、皮下、鼻内又は局所)ルートを含む各種の公知の方法によって投与される。投与される化合物の剤形は、投与ルートによって決定される。このような剤形としては、カプセル及び錠剤処方(経口及び直腸内投与用)、液体処方(経口、静脈内、筋肉内、皮下、眼内、鼻内、吸入又は経皮投与用)及び遅放出性マイクロキャリヤー(直腸内、筋肉内又は静脈内投与用)が含まれる。処方は、生理学的に許容されるビヒクル及び任意の補助剤、香味料、着色料及び保存料を含むことができる。好適な生理学的に許容されるビヒクルとしては、例えば、生理食塩水、滅菌水、リンゲル液及び等張食塩水が含まれる。有効成分の特殊な用量レベルは、例えば、特殊な調製物の生理活性、治療されるヒトの年齢、体重、性別及び一般的健康状態を含む多数のファクターに左右される。
【0063】
表1及び表2において示す下記の実施例は、本発明が充分に理解されるように、説明を目的としてのみ例示したものである。これら実施例は、他に特に示さない限り、本発明の精神を限定するものではない。
【0064】
本発明の類似体のいくつかを、CB2受容体結合親和性及びCB1受容体親和性についてテストした(選択性を測定するため)。ここで使用するように、「結合親和性」は、受容体の総数(Bmax)の50%を占めるために要求される類似体の濃度と関連する阻害定数であるK値によって表される。K値が小さければ小さいほど、結合親和性は大きい。ここで使用するように、類似体は、1つの受容体に関して、他の受容体と比べて大きい結合親和性を有していれば、「結合選択性」を有すると言える。例えば、CB2について0.1nM及びCB1ついて10nMのKを有するカンナビノイド類似体は、CB2受容体について100倍選択的である。CB1受容体結合性に関する調査では、P.R. Doddら, シナプトソームの迅速調製法:他の操作法との比較, Brain Res., 107-118(1981) に従って、ラットの前脳膜から膜を調製した。新規な類似体のCB1カンナビノイド受容体への結合を、W.A. Devaneら, ラットの脳におけるカンナビノイド受容体の決定及び特徴付け, Mol. Pharmacol., 34, 605-613(1988) 及びA. Charalambousら, 5'-アジドΔ-THC:カンナビノイド受容体用の新規な光親和性ラベル, J. Med. Chem., 35, 3076-3079(1992) に記載に従い、下記の変更を加えて評価した。前記文献を参考として、ここに組み込む。
【0065】
予め−80℃で凍結した膜を氷上で解凍した。撹拌した懸濁液に、pH7.4のTME(25mM Tris-HCl緩衝液、5mM MgCl2及び1mM EDTA)3容を添加した。懸濁液を、4℃で30分間インキュベートした。インキュベーションの終了時、膜をペレット化し、TMEにて3回洗浄した。
【0066】
ついで、処理した膜を、下記の結合アッセイに使用した。膜約30μgを、シラン処理した96穴ミクロ滴定プレートにおいて、本質的に脂肪酸フリーの0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.8nM [3H]CP-55,940及び各種の濃度のテスト物質を含有するTME(最終容量200μL)と共にインキュベートした。テストサンプルを30℃において1時間インキュベートし、ついで、直ちに、Packard Filtermate 196 ハーベスター及びWhatman GF/C フィルタープレートを使用して濾過し、0.5%BSAを含有する洗浄緩衝液(TME)にて洗浄した。MicroScint 20 シンチレーションカクテルを使用し、これを乾燥したフィルタープレートに直接添加して放射能を検出し、Packard Instruments Top-Countを使用して、このフィルタープレートをカウントした。100nM CP-55,940を使用して、非特異的結合を調査した。二重測定にて実施した3つの独立した実験から集めたデータを、[3H]CP-55,940についての特異結合性100%から0%(緩衝液及び100nM CP-55,940を使用して測定)の範囲で正規化した。IC50値を求めるため、正規化したデータを、4パラメーター非線形論理式を使用して分析した。二重で実施した少なくとも2つの独立した実験からのデータを使用してIC50値を算定し、Chengら, 阻害定数(K)と酵素反応の50%阻害(IC50)を生ずる阻害剤の濃度との関係, Biochem. Pharmacol., 22, 3099-3102, (1973) の仮説を使用して、IC50値をK値に変換した。
【0067】
CB2受容体結合性に関する調査のため、凍結したマウスの脾臓から、P.R. Doddら, シナプトソームの迅速調製法:他の操作法との比較, Brain Res., 226, 107-118(1981) に従って膜を調製した。吸着による受容体のロスを最少とするため、シラン処理した遠心分離管を、全体を通して使用した。CB2結合アッセイを、CB1結合アッセイと同様にして実施した。結合親和性(K)はナノモル(nM)で表される。
【0068】
FAAHアッセイ及びトランスポーターアッセイ
FAAHスクリーニング
FAAH(脂肪酸アミドヒドロラーゼ)酵素調製物を、Lang及びMakriyanniesら, ラット脳ミクロソームにおけるアナンダミドアミダーゼ活性の高速液体クロマトグラフィー, Analytical Biochemistry (238): 40-45, 1996の方法に従って得た。
【0069】
すべての化合物溶液を、DMSO中において濃度10mMとした。各化合物について、3種のテスト:加水分解(酵素が存在しないアッセイ条件下における化合物の安定性を測定するため);代謝(酵素の存在下における化合物の安定性を測定するため);及びアナンダミド(天然物質)のアラキドン酸への代謝の阻害、を行った。
【0070】
酵素アッセイ条件下における化合物の安定性をテストするため、TMF緩衝液中において、化合物25ナノモルを、0.1% BSA(25mM Tris塩基、5mM MgCl2、1mM EDTA、pH7.4;最終容量250μL)と共に、37℃において15分間インキュベートした。アッセイの開始時にサンプル(100μL)を採取し、15分後に、アセトニトリルにて1:5で希釈し、遠心分離(20,000 RCF、5分間、室温)して、タンパク質を沈殿させた。得られた上清液をHPLCに注入した。化合物の残留率を決定するための計算式は、下記の等式で表される。
R(%)=ピークの面積(T15)/ピークの面積(T0)
【0071】
化合物がFAAHの良好な基質である否かを測定するため、化合物25ナノモルを、TME緩衝液中において、0.1% BSA(最終容量250μL)と共に、酵素調製物75μgとインキュベートした。上記と同様に、反応混合物を処理した。外部基準を使用して、アナンダミン(AEA)及びアラキドン酸(AA)を算定した。AAの形成率を、下記の等式を使用して計算した。
率=(T15−T0)/15分/45μg
【0072】
化合物25ナノモルを、TME緩衝液中、0.1% BSA(最終容量250μL)と共に酵素調製物75μgと混合することによって、AEA代謝の阻害を測定した。この場合も、上記と同様にして、反応混合物を処理し、外部基準を使用して、AEA及びAAの濃度を算定した。阻害率(%)を、下記の等式を使用して計算した。
阻害率(%)=(AA15−AA0)i/(AA15−AA0)s
(ここで、(AA15−AA0)iは、阻害剤の存在下、AEAから15分間で形成されたアラキドン酸の量であり、(AA15−AA0)sは、阻害剤の不存在下で、AEAから15分間で形成されたアラキドン酸の量である。)40%以上の阻害率を示した化合物を、IC50テスト(各種濃度の化合物を、TME緩衝液(最終容量250μL)中、AEA25ナノモル、及び酵素調製物75μgと共にインキュベートする)においてテストした。反応混合物を上記のように処理し、形成されたAAの量を算定した。IC50及びKiを計算するため、ソフトウエアパッケージGraphPad Prismを使用した。
【0073】
HPLCの条件:
Beckmanから入手したUltrasphere ODS Precolumn(4.6×45mm)を使用して、クロマトグラフ分離を行った。ハードウエアは、20μL注入ループを備えたWaters Millennium HPLCシステムからなるものであった。移動相は、8.5%オルト-リン酸:アセトニトリル(3:7)からなり、定組成的に流速1mL/分で流動し、及び204 nmで検出される。総流動時間は8分間であり、AEAは2.2分で溶出し、AAは6.0分で溶出した。
【0074】
[3H]アナンダミドトランスポーター競合アッセイ:
ヒトCCF-STG1星状細胞腫細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション)を、2mM L-グルタミン、4.5g/Lグルコース、10mM HEPES及び1.0mMピルビン酸ナトリウム、10%FBS培地を含有するRPMI 1640培養基において、5%CO2を供給して、37℃で生育させた。標準の競合アッセイのため、24穴プレートにおいて生育した融合性細胞をすすぎ、アッセイ緩衝液(0.1%DMSO、10mM HEPESを含有するHanks緩衝塩類溶液)+テスト化合物(その最終濃度0.01−100μM)中で、37℃において10分間プレインキュベートした。プレインキュベーション培養基を廃棄した後、細胞を、10nM [3H]アナンダミド(137.6 Ci/ミリモル,New England Nuclear)+テスト化合物を含有するアッセイ緩衝液0.2mLにおいて4分間インキュベートした。インキュベーション培養基を除去し、細胞を、0.1%脂肪酸フリーウシ血清アルブミン(sigma)を含有する氷冷却HBSS緩衝液0.5mLにて3回すすぐことによって反応を停止させた。Triton X-100細胞抽出物中の放射性物質を、液体シンチレーション係数によって測定した。各化合物について、最大値の半分の阻害(IC50)を生ずるために必要な濃度を限定するために、6回繰返しで行う最小限3つの独立した実験を使用した。PRIZMソフトウエェアパッケージを使用し、データの非線形回帰分析によって、IC50値を得た。データは平均値±SEMとして表される。
【0075】
MAG-リパーゼの阻害に関するアッセイ
すべての化合物溶液を、DMSO中、濃度10mMとした。各化合物について、3つのテスト:加水分解(アッセイ条件下、酵素の存在なしでの化合物の安定性を測定するため);代謝(酵素の存在下での化合物の安定性を測定するため)及び2-アラキドニルグリセロール(天然の基質)のアラキドン酸への代謝の阻害を行った。
【0076】
酵素アッセイ条件下における化合物の安定性をテストするため、化合物30ナノモルを、TME緩衝液(25m Tris塩基、5mM MgCl2、1mM EDTA、pH 7.4;最終容量300μL)中、37℃において、20分間インキュベートした。アッセイの開始時にサンプル(100μL)を採取し、20分後、アセトンにて1:5で希釈し、遠心分離(20,000 RCF、5分間、室温)してタンパク質を沈殿させた。得られた上清液をHPLC上に注入した。残留する化合物の割合を決定するための計算は、下記の等式に記載する:
R(%)=ピーク面積(T20)/ピーク面積(T0)
【0077】
化合物がMag-リパーゼのための良好な基質であるか否かを決定するため、化合物30ナノモルを、TME緩衝液(最終容量300μL)中、酵素調製物(アナンダミンアミダーゼ調製物における最終スピンからの上清液)30μgと共にインキュベートした。反応混合物を、上記と同様にして処理した。外部基準を使用して、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)及びアラキドン酸の濃度を算定した。AA形成率を、下記の等式を使用して算定した:
率=(T20−T0)/20分/10μg
【0078】
TME緩衝液(最終容量300μL)において、化合物30ナノモルを、2-AG30ナノモル及び酵素調製物30μgと混合することによって、2-AG代謝の阻害を測定した。この場合にも、反応混合物を上記と同様に処理し、外部基準を使用して、2-AG及びAAの濃度を算定した。下記の等式を使用して、阻害率を算定した:
阻害率(%)=(AA20−AA0)i/(AA20−AA0)s
ここで、(AA20−AA0)iは、阻害剤の存在下、2-AGから20分間で形成されたアラキドン酸の量であり、及び(AA20−AA0)sは、阻害剤の不存在下、2-AGから20分間で形成されたアラキドン酸の量である。40%以上の阻害率を示す化合物をIC50試験(各種濃度の化合物を、TME緩衝液(最終容量300μL)中、2-AG 30ナノモル及び酵素調製物30μgと共にインキュベートする)。反応混合物を上記のように処理し、形成されたAAの量を算定した。IC50及びKiの算定のため、ソフトウエアパッケージGraphPad Prismを使用した。
【0079】
HPLC条件:
Beckmanから入手したUltrasphere ODS Precolumn(4.6×45mm)を使用して、クロマトグラフ分離を行った。ハードウエアは、20μL注入ループを備えたWaters Millennium HPLCシステムからなるものであった。移動相は、8.5%オルト-リン酸:アセトニトリル(3:7)からなり、定組成的に流速1mL/分で流動し、204nmにおいて検出される。総流動時間は8分であり、3.0分の時点で2-AGが、6.0分の時点でAAが溶出された。
【0080】
COXの阻害に関するアッセイ:
すべての化合物溶液を、DMSO中、濃度10mMとした。各化合物について、3種のテスト:加水分解(アッセイ条件下、酵素なしで、化合物の安定性を測定するため);代謝(酵素の存在下における化合物の安定性を測定するため);及びアラキドン酸(AA)の代謝の阻害、を行った。
【0081】
酵素アッセイ条件下における化合物の安定性をテストするため、アッセイ緩衝液(0.1M Tris-HCl(pH8.0)、2mMフェノール、5mM EDTA、0.1%BSA;最終容量250μL)中において、100μMヘマチン12.5μLと共に、25℃において2分間インキュベートした。アッセイの開始時にサンプル(100μL)を採取し、2分後に、アセトニトリルにて1:5で希釈し、遠心分離(20,000 RCF、5分間、室温)して、タンパク質を沈殿させた。得られた上清液をHPLCに注入した。化合物の残留割合を決定するための計算式は、下記の等式で表される。
R(%)=ピークの面積(T2)/ピークの面積(T0
【0082】
化合物がCOXの良好な基質である否かを測定するため、化合物25ナノモルを、アッセイ緩衝液(最終容量250μL)中において、酵素COX(Cayman Chemicalsから入手)12.5μL及び5μMヘマチンと共にインキュベートした。上記と同様にして、反応混合物を処理した。外部基準を使用して、AAの濃度を算定した。AAの代謝率を、下記の等式を使用して計算した。
率=(T0−T2)/2分/5μL
【0083】
化合物25ナノモルを、アッセイ緩衝液(最終容量250μL)中、ヘマチン5μMと共に、AA25ナノモル及び酵素COX(Cayman Chemicalから入手)12.5μLと混合することによって、AA代謝の阻害を測定した。この場合も、上記と同様にして、反応混合物を処理し、外部基準を使用して、AAの濃度を算定した。阻害率(%)を、下記の等式を使用して計算した。
阻害率(%)=(AA0−AA2)i/(AA0−AA2)s
ここで、(AA0−AA2)iは、阻害剤の存在下、2分間で代謝されたアラキドン酸の量であり、(AA0−AA2)sは、阻害剤の不存在下で、2分間で代謝されたアラキドン酸の量である。40%以上の阻害率を示した化合物を、IC50テスト(各種濃度の化合物を、アッセイ緩衝液(最終容量250μL)中、AA25ナノモル、及び酵素COX(Cayman Chemicalから入手)12.5μL及びヘマチン5μMと共にインキュベートする)においてテストした。反応混合物を上記のように処理し、代謝されたAAの量を算定した。IC50及びKiを計算するため、ソフトウエアパッケージGraphPad Prismを使用した。
【0084】
HPLCの条件:
Beckmanから入手したUltrasphere ODS Precolumn(4.6×45mm)を使用して、クロマトグラフ分離を行った。ハードウエアは、20μL注入ループを備えたWaters Millennium HPLCシステムからなるものであった。移動相は、8.5%オルト-リン酸:アセトニトリル(3:7)からなり、定組成的に流速1mL/分で流動し、及び204 nmで検出される。総流動時間は8分間であり、AAは6.0分で溶出した。
【0085】
合成スキーム及び実験の詳細
アナンダミド類似体(M7)の一般的な中間体に関する合成ルート
【化4】

【0086】
化合物M3:
無水DMF10mL中にCuI(57.4ミリモル)、NaI(57.4ミリモル)及びK2CO3(43ミリモル)の各塩を含む懸濁液に、アルゴン雰囲気下、4-クロロ-2-ブチニル-1-オール(M1)(28.7ミリモル)及び5-ヘキシン酸(hex-5-ynoic acid)メチルエステル(M2)(28.7ミリモル)を添加した。混合物を室温において一夜撹拌し、反応を飽和NH4Clにて停止させ、親油性生成物をEt2Oにて抽出した。合わせた有機抽出液を水及び塩水にて洗浄し、Na2SO4にて乾燥した。溶媒を回転蒸発させた後、残渣をシリカゲル上でクロマトグラフ処理して、題記の純粋な化合物M3 24.4ミリモルを得た(収率85%)。
【0087】
化合物M4:
PPh3(26.8ミリモル)の乾燥CH2Cl2(15mL)溶液を、M3(24.4ミリモル)及びCBr4(26.8ミリモル)の乾燥CH2Cl2(15mL)溶液に、0℃において、撹拌しながら、滴加した。ついで、混合物を、0℃において、さらに1.5時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣をEt2Oにて希釈し、セライトの短いパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、M4 20.7ミリモルをオイルとして得た(収率85%)。
【0088】
化合物M6:
M4(20.7ミリモル)を2-プロピン-1-オール(M5)(24.9ミリモル)と反応させて化合物M6を合成し、ついで、化合物M3について記載した方法によって処理して、13-ヒドロキシル-5,8,11-トリデカトリイン酸メチルエステル(M6)16.6ミリモルを淡黄色のオイルとして得た(収率80%)。
【0089】
化合物M7:
化合物M6(16.6ミリモル)及びCBr4(18.3ミリモル)から化合物M7を調製し、ついで、化合物M4について記載した方法によって処理して、題記化合物M7 13.6ミリモルを淡黄色のオイルとして得た(収率82%)。
【0090】
化合物A1−A4の調製:
【化5】

【0091】
化合物M10:
M7(10ミリモル)を各アルキル(M9)(12ミリモル)と反応させて化合物M10を合成し、ついで、化合物M3について記載した方法によって処理して、M10 8ミリモルを淡黄色のオイルとして得た(収率80%)。
【0092】
化合物M11:
Lindlar触媒1.5gを収容するフラスコ(250 mL)に、Et2O 20mLを添加した。室温において、混合物をH2にて飽和し、H2流下、M10(1g)のTHF(15mL)溶液及びキノリン(200 mg)を添加した。反応を1H NMRにて監視した。水素化が終了した後、混合物を濾過し、2N HCl水溶液及び塩水にて洗浄し、Na2SO4にて乾燥した。溶媒を留去し、残渣を、シリカゲル上でクロマトグラフ処理して、M11 0.77gを無色のオイルとして得た(収率75%)。
【0093】
化合物M12:
化合物M11(2.1ミリモル)のTHF(10mL)溶液に、Ar雰囲気下、室温において1M LiOH(5.6mL)を添加した。撹拌をさらに48時間続けた。反応混合物を2N HClにて酸性化して、pH5.5とし、親油性生成物をEt2Oによって抽出した。真空下、溶媒を留去して、黄色がかった油状残渣を得た。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、M12を無色のオイルとして得た(1.68ミリモル;収率80%)。
【0094】
化合物A1−A4:
CH2Cl2 5mL中に酸M12(0.1ミリモル)及びDMF(0.01 mL)を含有する溶液に、0℃において、塩化オキサリル(0.1mL;0.2ミリモル)を1滴ずつ添加した。反応混合物を、0℃において、さらに1.5時間撹拌した。ついで、0℃において、各アミン1.0ミリモルを前記混合物に非常にゆっくりと添加した。室温において、撹拌をさらに一夜続けた。Et2Oによって希釈し、水及び塩水にて洗浄し、Na2SO4にて乾燥した。真空下、溶媒を除去して、粗製生成物を得た。シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、A1−A4をオイルとして得た(収率70−90%)。
【0095】
化合物A5−A16の調製:
【化6】

【0096】
化合物M14:
M7(13.6ミリモル)をM13(16.3ミリモル)と反応させることによって化合物M14を合成し、ついで、化合物M3について記載した方法によって処理して、M14を淡黄色のオイルとして得た(11.6ミリモル;収率85%)。
【0097】
化合物M15:
Lindlar触媒5.67gを収容するフラスコ(250 mL)に、Et2O 20mLを添加した。室温において、混合物をH2にて飽和し、H2流下、M15(11.6ミリモル)のTHF(15mL)溶液及びキノリン(300 mg)を添加した。反応を1H NMRにて監視した。水素化が終了した後、混合物を濾過し、2N HCl及び塩水にて洗浄し、Na2SO4にて乾燥した。溶媒を留去し、残渣を、シリカゲル上でクロマトグラフ処理して、M15 9.6ミリモルを無色のオイルとして得た(収率83%)。
【0098】
化合物M16:
無水のトルエン20mL中に20-ヒドロキシ-5,8,11,14-イコステトラエン酸メチルエステルM15(9.6ミリモル)及びPPh3(19.2ミリモル)を含有する溶液に、ZnN6 2Py(7.7ミリモル)を懸濁させた。室温において、撹拌しながら、この混合物に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(19.2ミリモル)を1滴ずつ添加した。M15の完全な消費が確認されるまで(TLC監視)、撹拌を続けた。不均質な混合物をセライトパッドを通して濾過し、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋なM16を、無色のオイルとして得た(8.4ミリモル;収率87%)。
【0099】
化合物M17:
化合物M16(2.8ミリモル)のTHF(10mL)溶液に、Ar雰囲気下、室温において、1M LiOH(5.6mL)を添加した。さらに48時間、撹拌を続けた。2N HClにて反応混合物を酸性化して、pH5.5とし、親油性生成物をEt2Oにて抽出した。合わせた有機抽出物を水及び塩水にて洗浄し、Na2SO4によって乾燥した。真空下で、溶媒を留去して、黄色がかった油状残渣を得た。シリカゲル上でのクロマトグラフィーを行って、M17を無色のオイルとして得た(2.24ミリモル;収率80%)。
【0100】
化合物A5−A9、A13−A15:
CH2Cl2 5mL中に酸M24(0.29ミリモル)及びDMF(0.02 mL)を含有する溶液に、0℃において、塩化オキサリル(0.29 mL;0.58ミリモル)を1滴ずつ添加した。反応混合物を、0℃において、さらに1.5時間撹拌した。ついで、0℃において、各アミン2.9ミリモルを前記混合物に非常にゆっくりと添加した。周囲温度において、撹拌をさらに一夜続けた。Et2Oによって希釈し、水及び塩水にて洗浄し、Na2SO4にて乾燥した。真空下、溶媒を除去して、粗製生成物を得た。シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、A5−A9及びA13−A15をオイルとして得た(収率70−90%)。
【0101】
化合物A10−A12及びA16:
各アジド化合物(0.13ミリモル)の無水THF(2mL)溶液に、室温において、PPh3(0.2ミリモル)を一度に添加した。ついで、この混合物に、二硫化炭素(1.3ミリモル)を添加した。反応混合物を、室温において、48時間撹拌し、続いて、真空下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋なA10−A12をオイルとして得た(収率60−80%)。
【0102】
A17−A20の調製:
【化7】

【0103】
化合物A17:
AlCl3(5ミリモル)の無水CH2Cl2(2mL)懸濁液に、0℃において、各アミン(6ミリモル)を1滴ずつ添加した。10分後、M15(0.5ミリモル)の無水CH2Cl2(1mL)溶液を、前記懸濁液に添加した。撹拌を一夜続けた。ついで、Et2Oにて希釈し、不均質な混合物を、セライトパッドを通して濾過した。濾液を真空下で濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製して、純粋なA17をオイルとして得た(0.4ミリモル;収率80%)。
【0104】
化合物A18:
PPh3(0.22ミリモル)の乾燥CH2Cl2(1.5mL)溶液を、撹拌下、0℃において、乾燥CH2Cl2(1.5mL)中にA17(0.2ミリモル)及びCBr4(0.22ミリモル)を含有する溶液に、1滴ずつ添加した。ついで、0℃において、混合物をさらに1.5時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣をEt2Oにて希釈し、セライトの短いパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、A18をオイルとして得た(0.16ミリモル;収率80%)。
【0105】
化合物M18:
PPh3(0.60ミリモル)の乾燥CH2Cl2(3mL)溶液を、撹拌下、0℃において、乾燥CH2Cl2(1.5mL)中にM15(0.5ミリモル)及びCCl4(1.0ミリモル)を含有する溶液に、1滴ずつ添加した。ついで、周囲温度において、混合物をさらに24時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣をEt2Oにて希釈し、セライトの短いパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、M18をオイルとして得た(0.43ミリモル;収率85%)。
【0106】
化合物A20:
AlC13(4ミリモル)の無水CH2Cl2(2mL)懸濁液に、0℃において、各アミン(4.8ミリモル)を滴加した。10分後、前記懸濁液に、M18(0.4ミリモル)の無水CH2Cl2(1mL)溶液を添加した。撹拌を一夜続けた。ついで、Et2Oにて希釈し、不均質の混合物をセライトのパッドを通して濾過した。濾液を真空下で濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフによって精製して、純粋なA20をオイルとして得た(0.34ミリモル;収率85%)。
【0107】
化合物M19:
PPh3(1.2ミリモル)の乾燥CH2Cl2(3mL)溶液を、撹拌下、0℃において、乾燥CH2Cl2(2mL)中にM15(1ミリモル)及びCBr4(1.2ミリモル)を含有する溶液に、1滴ずつ添加した。ついで、0℃において、混合物をさらに2時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣をEt2Oにて希釈し、セライトの短いパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、M19をオイルとして得た(0.85ミリモル;収率85%)。
【0108】
化合物M20:
M19(0.85ミリモル)の無水THF(2mL)溶液に、室温において、TMSCN(1.3ミリモル)を添加した。ついで、前記反応混合物に、TBAFのTHF溶液(1M)1.3mLを1滴ずつ添加した。撹拌を一夜続けた。MeOHによって反応を停止し、溶媒を真空下で留去した。反応混合物をEt2O中に再溶解し、水及び塩水にて洗浄し、Na2SO4にて乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲル上でクロマトグラフィー処理して、純粋なM20をオイルとして得た(0.68ミリモル;収率80%)。
【0109】
化合物A19:
AlC13(5ミリモル)の無水CH2Cl2(2mL)懸濁液に、0℃において、各アミン(6ミリモル)を滴加した。10分後、前記懸濁液に、M20(0.5ミリモル)の無水CH2Cl2(1mL)溶液を添加した。撹拌を一夜続けた。ついで、Et2Oにて希釈し、不均質の混合物をセライトのパッドを通して濾過した。濾液を真空下で濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフによって精製して、純粋なA19をオイルとして得た(0.35ミリモル;収率70%)。
【0110】
A21の調製:
【化8】

【0111】
化合物M21:
M7(10ミリモル)を2-プロピン-1-オール(M5)(12ミリモル)と反応させて化合物M21を合成し、ついで、化合物M3について記載した方法によって処理して、M213.8gを、淡黄色のオイルとして得た(8ミリモル;収率80%)。
【0112】
化合物M22:
Lindlar触媒3.24gを収容するフラスコ(250 mL)に、Et2O 20mLを添加した。室温において、混合物をH2にて飽和し、H2流下、M21(21.6ミリモル;8ミリモル)のTHF(15mL)溶液及びキノリン(100 mg)を添加した。反応を1H NMRにて監視した。水素化が終了した後、混合物を濾過し、2N HCl及び塩水にて洗浄し、Na2SO4にて乾燥した。溶媒を留去し、残渣を、シリカゲル上でクロマトグラフ処理して、M22 1.85gを無色のオイルとして得た(6.64ミリモル;収率83%)。
【0113】
化合物M23:
化合物M22(6.64ミリモル)及びCBr4(7.3ミリモル)から化合物M23を調製し、続いて、化合物M4について記載した方法によって処理して、化合物M23を淡黄色のオイルとして得た(5.44ミリモル;収率82%)。
【0114】
化合物M25:
無水のDMF3.5mL中にK2CO3(2.65ミリモル)及び化合物M23(0.89ミリモル)を含有する懸濁液に、室温において、メチルフェニルアミン(M24)(0.979ミリモル)を添加した。反応混合物を80℃に加熱し、さらに12時間撹拌した。ついで、室温に冷却し、Et2Oにて希釈し、水及び塩水にて洗浄し、Na2SO4にて乾燥して。溶媒を留去し、残渣をシリカゲル上でクロマトグラフ処理して、純粋なM25をオイルとして得た(0.6ミリモル;収率67%)。
【0115】
化合物A21:
AlC13(5ミリモル)の無水CH2Cl2(2mL)懸濁液に、0℃において、シクロプロピルアミン(6ミリモル)を滴加した。10分後、前記懸濁液に、M25(0.5ミリモル)の無水CH2Cl2(1mL)溶液を添加した。撹拌を一夜続けた。ついで、Et2Oにて希釈し、不均質の混合物をセライトのパッドを通して濾過した。濾液を真空下で濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフによって精製して、純粋なA21をオイルとして得た(収率75%)。
【0116】
化合物A22−A27の調製:
【化9】

【0117】
化合物M26:
M25(1ミリモル)の無水Et2O(5mL)溶液に、0℃において、H4AlLiの1M Et2O溶液1.5mLを添加した。周囲温度において、撹拌をさらに6時間続けた。それぞれ、水0.06 mL、15%NaOH 0.06ミリモル及び水0.18ミリモルによって反応を停止した。セライトのパッドを通して不均質な混合物を濾過し、真空下で濃縮して、純粋なM26をオイルとして得た(0.95ミリモル;収率95%)。
【0118】
化合物M27:
無水トルエン5mL中にM26(0.95ミリモル)及びPPh3(1.9ミリモル)を含有する溶液に、ZnN6・2Py(0.76ミリモル)を懸濁させた。室温において撹拌しながら、この混合物に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(1.9ミリモル)を滴加した。M26の完全な消費が観察されるまで(TLC監視)、撹拌を続けた。セライトのパッドを通して、不均質な混合物を濾過し、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋なM27をオイルとして得た(0.78ミリモル;収率82%)。
【0119】
化合物M28:
M27(0.78ミリモル)の無水Et2O(3mL)溶液に、0℃において、H4AlLiの1M Et2O溶液1.3mLを添加した。周囲温度において、撹拌を一夜続けた。それぞれ、水0.05 mL、15%NaOH 0.05ミリモル及び水0.15ミリモルによって反応を停止した。セライトのパッドを通して不均質な混合物を濾過し、真空下で濃縮して、純粋なM28をオイルとして得た(0.62ミリモル;収率80%)。
【0120】
化合物A22−A23及びA26:
無水CH2Cl2 1mL中にM28(0.2ミリモル)及びEt3N(1.6ミリモル)を含有する溶液に、0℃において、各酸塩化物(0.25ミリモル)を添加した。周囲温度において、撹拌をさらに5時間続けた。ついで、反応混合物をEt2Oにて希釈し、水及び塩水にて洗浄し、Na2SO4にて乾燥した。真空下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製して、最終化合物A22−A23及びA26を得た(収率75−90%)。
【0121】
化合物A24−A25及びA27:
A22、A23又はA26(0.1ミリモル)の無水Et2O(0.5mL)溶液に、HCl・Et2O(1M)0.1mLを添加した。周囲温度において、撹拌をさらに20分間続けた。溶媒を留去した後、題記化合物A24、A25又はA27を得た。
【0122】
B1−B12の調製:
【化10】

【0123】
化合物B1−B8及びB12:
方法A:
CO(イミダゾール)2(1.5ミリモル)の無水THF(3mL)懸濁液に、0℃において、M8(1ミリモル)のTHF(1mL)溶液を添加した。周囲温度において、撹拌をさらに2時間続けた。ついで、反応混合物を、再度、0℃に冷却し、各アミン(2ミリモル)を添加し、一夜撹拌した。真空下、THFを除去し、残渣をEt2Oにて希釈した。セライトのパッドを通して不均質な混合物を濾過し、それぞれ、2N HCl、飽和NaHCO3及び塩水にて濾液を洗浄し、Na2SO4にて乾燥した。真空下で、溶媒を除去し、残渣をシリカゲル上でクロマトグラフ処理して、純粋なB1−B8をオイルとして得た(0.6−0.9ミリモル;収率60−90%)。
【0124】
化合物B9−B12:
方法B:
無水THF 3mL中に、M8(1ミリモル)及び活性炭(0.1ミリモル)を含有する懸濁液に、0℃において、ジホスゲン(0.75ミリモル)を添加した。0℃において、撹拌をさらに2時間続けた。ついで、前記反応混合物に、THF(1mL)中に各アミン(2ミリモル)及びEt3N(6ミリモル)含有する溶液を添加し、撹拌を一夜続けた。Et2Oにて希釈し、セライトのパッドを通して不均質な混合物を濾過した。水及び塩水にて濾液を洗浄し、Na2SO4にて乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をクロマトグラフ処理して、純粋なB9−B11をオイルとして得た(0.82−0.90ミリモル;収率82−90%)。
【0125】
化合物M29:
M27の合成法に従ってM29を合成した。
【0126】
化合物M30:
M28の合成法に従ってM30を合成した。
【0127】
B13−B15の調製:
【化11】

【0128】
化合物B13−B15:
B13−B15の調製は、B1−B8の調製法に従って、対応する市販のアルコールから行うことができる。
【0129】
B16の調製:
【化12】

【0130】
化合物M31:
(S)-1,2-プロパンジオール(5ミリモル)の無水CH2Cl2(5mL)溶液に、室温において、2-メチル-1-ブテン(5.5ミリモル)及びBF3・エーテル化合物(0.5ミリモル)を添加した。撹拌をさらに24時間続けた。真空下、溶媒を除去し、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製し、中間体をオイルとして得た(4ミリモル;収率80%)。ついで、無水THF(6mL)中に前記中間体及びイミダゾール(6ミリモル)を含有する溶液に、0℃において、TBDMSCl(1M THF溶液)4.8mLを添加した。真空下、溶媒を除去し、残渣をEt2O中に再溶解した。セライトのパッドを通して、不均質な混合物を濾過した。1N HCl、水及び塩水にて濾液を洗浄し、Na2SO4にて乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をクロマトグラフ処理して、純粋なM31をオイルとして得た(0.34ミリモル;収率85%)。
【0131】
化合物M32:
M31(3ミリモル)の無水CH2Cl2(3mL)溶液に、室温において、TBDMSOTf(0.3ミリモル)を添加し、得られた溶液を24時間撹拌した。ついで、飽和NaHCO3を添加し、溶液をAcOEtにて抽出した。合わせた有機相をNa2SO4にて乾燥し、真空下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製して、M32をオイルとして得た(1.8ミリモル;収率60%)。
【0132】
化合物B16:
B16は2工程で調製される。第1の工程はカップリングであり、B1−B8の調製法と同様の方法に従って行われ、収率は83%であった。第2の工程はTBAFによる脱保護化である。カップリング生成物(1ミリモル)のTHF(2mL)溶液に、室温において、TBAF(1M THF溶液)1.2mLを添加した。撹拌をさらに1.5時間続けた。ついで、真空下で、THFを除去し、得られた混合物をEt2O中に再溶解した。得られた溶液を水及び塩水にて洗浄し、Na2SO4にて乾燥し、真空下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製して、B16をオイルとして得た(0.8ミリモル;収率80%)。
【0133】
化合物A28−30の調製:
【化13】

【化14】

【化15】

【0134】
【表1−1】

【0135】
【表1−2】

【0136】
【表1−3】

【0137】
【表1−4】

【0138】
【表1−5】

【0139】
【表1−6】

【0140】
【表1−7】

【0141】
【表2−1】

【0142】
【表2−2】

【0143】
【表2−3】

【0144】
当業者であれば、ここに記載の本発明の特別な具体例の多数の均等物を認識でき、又は単なる日常の実験によって解明できるであろう。このような均等物は、本発明の範囲に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式I又はIIで表される化合物(可能な異性体、立体異性体及び鏡像異性体及びその生理学上許容される塩を含む)。
式I:
Ra-FA-M-Rb
式中、
FAは、炭素2‐22個及び二重結合0‐6個を含有する長鎖炭化水素であり、前記二重結合は、共役系又は非共役系のいずれでもよく、長鎖炭化水素FAは、いずれかの可能な位置において、低級アルキル、ジ-低級アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基の1以上にて、任意に、置換され、又は、長鎖炭化水素FAは、メチレン、(CH3)2C、O、NH、N-アルキル、環状基、複素環又はアリール基の1以上が、任意に、割り込んでいるか又はこれらの基を含んでいてもよく;
Mは、X-Y-Z
[式中、Xは、任意に存在し、存在する場合には、NH、N-低級アルキル、O、CHNHR(ここで、Rは、H、Boc又はサイズ的にBocと類似する他の基である)であり;Yは、C=O、C=S、C=NH、S=O、SO2、SO3、O=C-C=O又はCHNH2であり;Zは、任意に存在し、存在する場合には、O、NH、N-低級アルキル、NQ1Q2(ここで、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、H又はアルキル基であるか、又はQ1及びQ2は、一緒になって、フタルイミド基、又は3−約7個の環メンバーを有し、任意に、O、N、Sから選ばれる1つの追加のヘテロ原子を含む複素環の一部を構成する)である]であり;
aは、E1-X1-E2-T1又はE1-E2-T1
(式中、E1及びE2は、それぞれ独立して、炭素原子0‐10個を有し、任意に、低級アルキル又はジ-低級アルキルにて置換されたアルキル、アルケニル又はアルキニルであり;X1は、NH、N-低級アルキル又はOであり;T1は、アリール、炭素環式環、二環式環、三環式環、複素環、ヘテロ二環式環、ヘテロ三環式環、ヘテロ芳香族環、OH、SH、ハロゲン、C(ハロゲン)3、CH(ハロゲン)2、O-アルキル、N3、CN、NCS、NH2、アルキルアミノ及びジアルキルアミノ又は置換基である)であり;
bは、-(CH2)m-(C(CH3)2)p-(CH2)n-T2-T3又は-(CH2)m-(CH(CH3))q-(CH2)n-T2-T3
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、0‐6から選ばれる整数であり;p及びqは、それぞれ独立して、0‐1から選ばれる整数であり;T2は、任意に存在し、存在する場合には、アリール、炭素環式環、二環式環、三環式環、複素環、ヘテロ二環式環、ヘテロ三環式環、ヘテロ芳香族環、1-又は2-グリセロール、1-又は2-環状グリセロール、アルキル、アルケニル、アルキニルであり;T3は、H、OH、SH、ハロゲン、C(ハロゲン)3、CH(ハロゲン)2、O-アルキル、N3、CN、NCS、NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又は置換基である)である。
式II:
R-M-R'
式中、
Rは、炭素16‐24個を含有する脂肪酸テール残基又は炭素16‐24個を含有するアルキル置換脂肪酸テール残基であり;
Mは、X-Y-Z
[式中、Xは、任意に存在し、存在する場合には、NH、N-低級アルキル、O及びCHNHR(ここで、Rは、H、Boc又はサイズ的にBocと類似する他の基である)であり;Yは、C=O、C=S、C=NH、S=O、SO2、SO3、O=C-C=O又はCHNH2であり;Zは、任意に存在し、存在する場合には、O、NH、N-低級アルキル、又はNQ1Q2(ここで、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、H又はアルキル基であるか、又はQ1及びQ2は、一緒になって、フタルイミド基、又は3−約7個の環メンバーを有し、任意に、O、N、Sから選ばれる1つの追加のヘテロ原子を含む複素環式環の一部を構成する)である]であり;
R'は、-(CH2)m-(C(CH3)2)p-(CH2)n-T2-T3又は-(CH2)m-(CH(CH3))q-(CH2)n-T2-T3
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、0‐6から選ばれる整数であり;p及びqは、それぞれ独立して、0又は1であり;T2は、任意に存在し、存在する場合には、アリール、炭素環式環、二環式環、三環式環、複素環、ヘテロ二環式環、ヘテロ三環式環、ヘテロ芳香族環、1-又は2-グリセロール、1-又は2-環状グリセロール、アルキル、アルケニル、アルキニルであり;T3は、H、OH、SH、ハロゲン、C(ハロゲン)3、CH(ハロゲン)2、O-アルキル、N3、CN、NCS、NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又は置換基である)である。
ただし、式IIで表される化合物について、
MがO-C(O)-NHであり、Rがアラキドン酸のテール残基である場合には、R'は、エチル、イソブチル、又はプロピル以外であり;
MがNH-C(O)-NHであり、Rがアラキドン酸のテール残基である場合には、R'は、メチル、イソプロピル、プロピル、イソブチル、CH2CH2F、CH2CH2OH、又は及びCH2CH2OCH3以外であり;
MがNH-C(O)-Oであり、Rがアラキドン酸のテール残基である場合には、R'は、エチル、イソプロピル、又はCH2CH2F以外であり;
MがNH-C(S)-NHであり、Rがアラキドン酸のテール残基である場合には、R'は、4-メチル-2-メトキシ-フェノール、又は4-メチル-2-クロロ-フェノール以外である。
【請求項2】
FAが、炭素12‐22個及びメチレン割り込みシス二重結合4個を含有する長鎖炭化水素であり;及びRaのX1が、NH又はN-低級アルキルあるか;又は
FAが、炭素12‐22個及びメチレン割り込みシス二重結合4個を含有する長鎖炭化水素であり;及びRaがE1-E2-T1(式中、T1は、アリール、ヘテロ芳香族環、炭素環式環、二環式環、三環式環、複素環、ヘテロ二環式環、又はヘテロ三環式環である)であるか;又は
FAが、炭素12‐22個及びメチレン割り込みシス二重結合4個を含有する長鎖炭化水素であり;及びRaが、E1-E2-T1(式中、T1が、OH、SH、ハロゲン、C(ハロゲン)3、CH(ハロゲン)2、O-アルキル、N3、CN、NCS、NH2、アルキルアミノ又はジアルキルアミノである)である、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の化合物又はその生理学上許容される塩を、治療上有効な量で含有することを特徴とする、医薬組成物。
【請求項4】
ヒト又は動物においてカンナビノイド受容体を刺激する方法であって、ヒト又は動物に、請求項1又は2記載の化合物又はその生理学上許容される塩を、治療上有効な量で投与すること特徴とする、カンナビノイド受容体の刺激法。
【請求項5】
ヒト又は動物において生理学的影響を提供する方法であって、ヒト又は動物に、請求項1又は2記載の化合物又はその生理学上許容される塩を、治療上有効な量で投与すること特徴とする、生理学的影響の提供法。
【請求項6】
生理学的状態を持つヒト又は動物において前記生理学的状態を処置する方法であって、ヒト又は動物に、請求項1又は2記載の化合物又はその生理学上許容される塩を、治療上有効な量で投与すること特徴とする、生理学的状態の処置法。
【請求項7】
疾患を持つヒト又は動物において前記疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とするヒト又は動物に、請求項1又は2記載の化合物又はその生理学上許容される塩を、治療上有効な量で投与すること特徴とする、疾患の治療法。
【請求項8】
ヒト又は動物においてCB1又はCB2カンナビノイド受容体の一方を、CB1又はCB2カンナビノイド受容体の他方を同程度まで刺激することなく、優先的に刺激する方法であって、ヒト又は動物に、請求項1又は2記載の化合物又はその生理学上許容される塩を、治療上有効な量で投与すること特徴とする、カンナビノイド受容体の刺激法。
【請求項9】
ヒト又は動物においてアナンダミドのトランスポートを阻害する方法であって、ヒト又は動物に、請求項1又は2記載の化合物又はその生理学上許容される塩を、治療上有効な量で投与すること特徴とする、アナンダミドのトランスポート阻害法。
【請求項10】
ヒト又は動物においてカンナビノイドの生物除去を抑制する酵素を阻害する方法であって、ヒト又は動物に、請求項1又は2記載の化合物又はその生理学上許容される塩を、治療上有効な量で投与すること特徴とする、酵素の阻害法。

【公表番号】特表2008−515978(P2008−515978A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536806(P2007−536806)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/036524
【国際公開番号】WO2006/044381
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(501315876)ユニバーシティ オブ コネチカット (22)
【Fターム(参考)】