説明

カードリーダ無線端末を用いた入退場管理システム

【課題】IDチェックのみの一次認証と大型顔写真を含む認証フルデータによる二次認証を並用し、入退場者が多い場合も少ない場合も認証処理を臨機応変に捌いてゲートを通過させることが可能なカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システムを提供する。
【解決手段】無線端末10はICカードを読み込み、無線LAN-AP20、LAN40を経由して入退管理サーバ30に読み込んだICカード識別情報を基に個人情報の照会を行なう。この照会によりICカード識別情報に対応する個人情報があるか否かの結果を入退管理サーバ30に戻す。そして入退管理サーバ30は、コントローラ50に無線LAN-AP20、LAN/シリアルコンバータ61、シリアル/LONコンバータ62、固定据付型ICカードリーダ63経由でコントローラ50が固定カードリーダ63に対するのと同じプロトコルでもって当該ICカードについての入退場要求を差し向ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICカードを非接触で読み取るカードリーダ無線端末を用いて入退場管理を行なう入退場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カードリーダ無線端末を用いて入退室管理を行う従来の方式は、非接触ICカードなどを非接触で読み取るカードリーダ無線端末に認証データを保存しておき、非接触ICカードを認証する方式が採用されているのが普通である。
【0003】
非接触ICカードを認証する場合、非接触ICカードに登録されている個人を識別するための識別情報が正当なものであるか否かを認証する。そのために、下記特許文献1に示される技術は、リーダライタ装置が非接触ICカードと無線通信して非接触ICカードに記憶されている識別情報を読み取り、LANに接続されたカード認証装置で読み取った識別情報が正当か否かを判定することを開示している。
【0004】
また下記特許文献2に示される技術は、本人を特定するための顔画像を無線端末装置に表示させるものにおいて、表示された顔画像を適宜、拡大或いは解像度調整して表示し、本人を特定するための視認性を向上させることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-167306号公報
【特許文献2】特開2002-024445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の方式のうち、非接触ICカードなどを非接触で読み取るカードリーダ無線端末に認証データを保存しておくのでは、カードリーダ無線端末のメモリ容量が大きくする必要があり、入退場者が多い場合には対応しきれないという課題がある。
【0007】
上記した特許文献1に示される従来の方式では、非接触ICカードに記憶されている識別情報を読み取り、LANに接続されたカード認証装置で読み取った識別情報が正当か否かを判定するので、入退場管理をするカード認証装置に大きな負荷が掛かり、入退場者が多い場合にはこの方式では対応しきれないという課題がある。
【0008】
また上記した特許文献2に示される従来の方式は、顔写真による本人確認を行なうもので、適宜拡大した写真や解像度を調整可能とするもので、入退場者が多い場合にはこの方式も対応しきれないという課題がある。
【0009】
そこで本発明は、IDチェックのみの一次認証と大型顔写真を含む認証フルデータによる二次認証を並用し、入退場者が多い場合も少ない場合も認証処理を臨機応変に捌いてゲートを通過させることが可能なカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、非接触ICカードの情報を非接触で読み取るカードリーダ無線端末と構内への入退場を管理する入退管理サーバとからなる入退場管理システムであって、オペレータが所持する前記カードリーダ無線端末を無線LANアクセスポイントを介してLANに接続させると共に該LANを介して入退管理サーバに接続されるよう構成し、前記入退管理サーバは入退場者の個人情報をデータベースで管理すると共に前記個人情報に紐付く顔写真情報を保持する写真ファイルを管理し、前記カードリーダ無線端末が前記非接触ICカードの情報を読み取ったときには、該情報を前記入退管理サーバに送信し、該入退管理サーバは、前記非接触ICカードの一次認証を行なうために、前記情報内のICカード識別情報について固定式カードリーダによるICカードの認証を行なうコントローラに前記ICカード識別情報の登録の有無に基づく一次認証を行なわせ、該一次認証結果を前記カードリーダ無線端末に返信して入退場の可否を表示させ、次いで前記個人情報についての二次認証を行なうために、前記カードリーダ無線端末で読み取った前記個人情報にかかる項目を前記入退管理サーバが前記入退場データベースを用いて二次認証を行ない、前記カードリーダ無線端末に二次認証したカード個人情報及び顔写真を前記二次認証結果として返信して表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、IDチェックのみの一次認証と大型顔写真を含む認証フルデータによる二次認証を並用するので、入退場における認証処理を臨機応変に捌いてゲートを通過させることができ、また認証フルデータを端末に表示させることで確実に入退場者をチェックすることができる。
【0012】
また、カードリーダ無線端末に個人情報を残さないようにするので、カードリーダ無線端末のメモリ容量を少なくすることができ、かつ個人情報の取扱に関してセキュリティを向上させることができる。
【0013】
さらに、カードリーダ無線端末専用の入退管理システムとせずに固定式カードリーダと協働するシステム構成としているので、入退場データベースを含めシステム構築のコストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る入退場管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカードリーダ無線端末の構造を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカードリーダ無線端末における画面遷移の様子を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係るカードリーダ無線端末におけるメニュー画面例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る入退場(詳細表示なし)の処理概要を説明するシーケンスブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る入退場(詳細表示あり)の処理概要を説明するシーケンスブロック図である。
【図7】図6に示した入退場(詳細表示あり)の処理時のカードリーダ無線端末における画面例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る拡大写真表示処理の概要を説明するシーケンスブロック図である。
【図9】本発明の実施形態に係る入退場指示画面例を示す図である。
【図10】図3に示した検索処理時のカードリーダ無線端末における画面例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る強制入退場処理の概要を説明するシーケンスブロック図である。
【図12】本発明の実施形態に係るオペレータ情報、個人情報、入退場履歴情報の各データテーブル例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る入退場管理システムの構成を示すブロック図であり、本発明の実施形態においてはカードリーダ無線端末(特に断らない限り、以下では単に“無線端末”と称する)を用いることで非接触ICカードなどに記憶されているICカード識別情報をキーにして入退場管理システムを構築するものであり、固定式のカードリーダ装置による非接触ICカード認証による入退場管理システムと連携してシステム構築を可能としたものである。
【0016】
図1においてカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システムを稼動させるためには、無線端末10(図1では3つの無線端末11〜13を例示)を所持したオペレータ(取扱者)(図示せず)がまずオペレータ自身が所持する非接触ICカード(図示せず)を無線端末10の背面(図示せず)に設けられた非接触ICカードリーダ(図示せず)にタッチ又は近づけることで、ログイン要求を行なう。ログイン要求では権限もったオペレータかどうかを認証するために、非接触ICカードリーダ(図示せず)で読み取ったICカード識別情報を無線端末10から無線LAN-AP(アクセスポイント)20(図1では2つの無線LAN-AP21,22を例示)経由で入退管理サーバ30の無線端末認証サービスデータベース(以下、データベースを“DB”と略記する)31に照会し、ICカード識別情報により権限をもったオペレータであることの認証を行う。無線端末認証サービスDB31に格納されているオペレータ情報に関するデータ構造は、図12(a)に示されるように、ユーザID、ICカード識別情報、氏名などによって構成される。
【0017】
そしてオペレータ(図示せず)は無線端末10を持って入退場口、たとえば正門、における入場確認又は退場確認のための業務に就く。いま、車両を入構又は出構させるために運転者や同乗者等が所持する非接触ICカード(図示せず)を無線端末10の背面(図示せず)に設けられた非接触ICカードリーダ(図示せず)にタッチ又は近づけると、無線端末10はICカード(図示せず)を読み込み、無線LAN-AP20、LAN40を経由して入退管理サーバ30に読み込んだICカード識別情報を基に個人情報の照会を行なう。個人情報に関するデータ構造は、図12(b)に示されるように、ユーザID、ICカード識別情報、氏名、・・、写真ファイル名などによって構成される。この照会によりICカード識別情報に対応する個人情報があるか否かの結果を入退管理サーバ30に戻す。そして入退管理サーバ30は、シリアルI/F60(後述する)に入退場要求を送信する。つまり、コントローラ50に無線LAN-AP20、LAN/シリアルコンバータ61、シリアル/LONコンバータ62、固定据付型ICカードリーダ63経由でコントローラ50が固定カードリーダ63に対するのと同じプロトコルでもって当該非接触ICカード(図示せず)についての入退場要求を差し向けるようにする。ここで、LAN/シリアルコンバータ61、シリアル/LONコンバータ62、固定据付型ICカードリーダ63、CPEV(ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)でコントローラに接続された電気錠64、コントローラ50はシリアルインタフェース(I/F)60を構成するものである。つまり、RS232CやLON(Local Operating Networks)(なお、LONは米国Echelon社の登録商標である)はシリアル形式のデータを取り扱っているためにこのように呼んでいるものである。
【0018】
ところで、固定カードリーダ63で入退場者が所持する非接触ICカードを扱うケースでは、入退場者が所持する非接触ICカードを非接触ICカードリーダ63にタッチ又は近づけることで、ICカード識別情報を読み込んでLONを用いたプロトコルによりコントローラ50に照会する。コントローラ50は、入退管理サーバ30に付属する入退場DB(32)のレプリカをコントローラ50内に保持しており、コントローラ50は、入退場DBレプリカ51を参照することにより直ちに、カード認証を行なうことが可能である。カード認証結果は、非接触ICカードリーダ63に設置されるカード認証結果通知器(図示せず)によりLED(緑ならOK,赤ならNG)やブザー(警報音の有無)にて通報するとともに、カード認証OKなら直ちに併設する電気錠64を開錠する。NGならICカード使用による入退場を断る。そして必要なら所定部署に案内して入構又は出構のための手続を行なわせる。
【0019】
このようにして入退管理サーバ30は、コントローラを含むシリアルI/F60に対して、入退場要求(入門又は出門要求)を送信する。この操作は、上述した固定カードリーダで入退場者が所持する非接触ICカードのカード認証を行なうケースと同じインタフェースにしてカード認証の一元化を図っている。コントローラ50は、入退場DBレプリカ51を参照してカード認証を行ない、カード認証結果を、LON/シリアルコンバータ62、シリアル/LANコンバータ61、無線LAN-AP20経由で固定カードリーダ63に対するのと同じプロトコルでもって、無線端末10に返送する。その一方、カード認証OKなら直ちに電気錠64を開錠する。NGならICカード使用による入退場を断る。そして、コントローラ50は、コントローラ50内の入退場DBレプリカ51に入出門結果を入退場履歴として上述のICカード識別情報に紐付けて格納する。これについては後述する。
【0020】
その一方、無線端末10に表示する個人情報(名前、所属、所定サイズの顔写真等)を入退管理サーバ30に付属する入退場管理DB32からICカード識別情報をキーにして検索を実行して取得し、カード認証結果とあわせて、個人情報を無線端末10に表示する。これについては後で詳しく説明する。なお、顔写真について拡大顔写真を必要とする場合には、オペレータが要求ボタン(写真表示ボタン)を押すことにより入退管理サーバ30に付属する写真ファイル33から抽出し、所定の大きさの顔写真データに変換して無線端末10の所定の表示位置(図2参照)に表示する。これについても後で詳しく説明する。
【0021】
上記では車両の運転者などの入場確認又は退場確認のために正門配置した無線端末11を例にして説明したが、裏門配置した無線端末13や、社員専用門、又は臨時開設門などに適宜無線端末を配置して対応することができる。社員専用門には、固定カードリーダを配置して入退場管理を行なうようにしているが、これと並用することができる。また、無線端末10は本来、入退場のいずれにも用いることができるが、入場専用に無線端末11、退場専用に無線端末12を用いるようにすることができる。なお無線LAN-AP20は、無線LANとして標準化されているIEEE802.11b/gを装備している。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係るカードリーダ無線端末の構造を示す正面図である。図2において、無線端末10は、オペレータが可搬できる大きさに構成されており、正面中央部にインジケータ表示部102、状態表示部103、メッセージ表示部104、ボタン表示部105、時計表示部106を備え、正面上部に状態表示LED101、正面下部に正面ファンクションキー108、電源キー109、カーソル移動キー110、テンキー111、OKキー112、クリアキー113、アスタリスクキー114を備え、左側面にファンクションキー107が設けられている。図示例は、実使用における個人情報を状態表示部103とメッセージ表示部104の間に表示させた例を示しており、これらの表示部は、液晶表示装置LCD(図示せず)により構成されるため、表示位置、表示の大きさ、表示内容等を変更することが可能である。後述する各種画面例では、この表示部に各種の操作情報を表示する例が示されている。なお、各種画面例において、例えば、インジケータ表示部102、状態表示部(ゲート名,入退場(点灯表示により入場、退場のいずれかを表示),カード種別(社員証,通門証など),オペレータ名)103、メッセージ表示部104、ボタン表示部(各種画面によりその内容は異なる)105、時計表示部106などは表示位置がほぼ固定されている。これについては後述する各種画面例で再説する。また、後述する各種画面例では、状態表示LED101や、正面ファンクションキー108を初めとする各種キーについては図示省略されている。
【0023】
図3は、本発明の実施形態に係るカードリーダ無線端末における画面遷移の様子を説明する図である。図3において、無線端末は、電源オンで起動され、ログイン画面120に遷移する。図4は、ログイン画面においてオペレータの操作によって表示されるメニュー画面例を示すものである。図3のログイン画面120において、オペレータ(図示せず)が、自身が所持する非接触ICカード(図示せず)を無線端末の背面(図示せず)に設けられた非接触ICカードリーダ(図示せず)にタッチ又は近づけることで、ログイン要求を行なう。ログイン要求では、上述したようにログインしたオペレータが権限のある無線端末のオペレータであるか否かをICカード(図示せず)から読み取ったICカード識別情報を基に認証する。そして認証結果をログイン結果として返送する。ログインしたオペレータが権限のある無線端末のオペレータであれば、画面がメニュー画面130に遷移する。
【0024】
図4に示すメニュー画面130でオペレータがなすべき操作として、まず環境設定およびゲート選択を実行する。すなわち、図4に示すメニュー画面上の設定ボタン131を押すことにより、環境設定画面(図示せず)に遷移する。環境設定画面においては、バックライトの輝度、ブザー音量、入退場画面での詳細表示あり・なしを設定する。また設定エラーの際に、エラーメッセージを表示する。環境設定画面における設定が終了した場合には、環境設定画面における設定ボタン(図示せず)を押すことによりメニュー画面130に戻る。
【0025】
次いで、ゲート選択を実行する。ゲート選択は、図4に示すメニュー画面130上におけるゲート選択ボタン132を押すことによりゲート選択画面(図示せず)に遷移する。ゲート選択画面においては、入退場の対象ゲート、正門や裏門など、を選択する。この選択はゲート選択画面表示時に、選択可能なゲート名が表示されておりそれに付属するラジオボタン(図示せず)をクリックすることでゲート選択を行なうことができる。ゲート選択画面における設定が終了した場合には、ゲート選択画面における設定ボタン(図示せず)を押すことによりメニュー画面130に戻る。
【0026】
オペレータが図4に示すメニュー画面130で環境設定およびゲート選択を実行することにより、無線端末を使用した実際の業務に従事することが可能となる。すなわち、実際の業務の例としては、図3及び図4に、入退場、照会、検索の三つが示されている。これらは図4に示す入退場ボタン133、照会ボタン134、検索ボタン135を押すことによりそれぞれの画面に遷移し、各画面において各業務が実行される。
【0027】
図5は、本発明の実施形態に係る入退場(詳細表示なし)の処理概要を説明するシーケンスブロック図である。図5は、上述した図4における環境設定により予め入退場画面において詳細表示なしが選択された後に、入退場ボタン133が押された場合における処理である。すなわち、車両を入構又は出構させるために運転者や同乗者等が所持する非接触ICカード(図示せず)をオペレータが所持する無線端末10の背面(図示せず)に設けられた非接触ICカードリーダ(図示せず)にタッチ又は近づけると、無線端末10はICカード(図示せず)を読み込み、コントローラ50を含むシリアルI/F60に対して、入退場要求(入門又は出門要求)を送信する。この操作は、上述した固定カードリーダ63で入退場者が所持する非接触ICカードのカード認証を行なうケースと同じインタフェースにしてカード認証の一元化して行なうためである。コントローラ50を含むシリアルI/F60では、コントローラ50内の入退場DBレプリカ51を参照してカード認証を行ない、カード認証結果、すなわち入退場結果(OK/NG)を無線端末10に直ちに返送する。無線端末10では入退場結果(OK/NG)を表示する。カード認証OKなら直ちに電気錠64を開錠する。NGならICカード使用による入退場を断る。そしてコントローラ50を含むシリアルI/F60は、コントローラ50内の入退場DBレプリカ51に、入出門結果を入退場履歴として上述のICカード識別情報に紐付けて格納する。
【0028】
図6は、本発明の実施形態に係る入退場(詳細表示あり)の処理概要を説明するシーケンスブロック図である。図6は、図4におけるメニュー画面130で環境設定により予め入退場画面において詳細表示ありを選択した後に、入退場ボタン133が押された場合における処理である。すなわち、車両を入構又は出構させたい運転者や同乗者等が所持する非接触ICカードをオペレータが所持する無線端末10の背面に設けられた非接触ICカードリーダにタッチ又は近づけると、無線端末10はICカード(図示せず)を読み込み、無線LAN-AP20、LAN40を経由して入退管理サーバ30の入退場DB32に無線端末10が読み込んだICカード識別情報を基に個人情報の照会を行なう。入退場DB32における個人情報に関するデータ構造は、図12(b)に示されるように、ユーザID、ICカード識別情報、氏名、・・、写真ファイル名などによって構成される。この照会によりICカード識別情報に対応する個人情報があるか否かの結果を入退管理サーバ30に戻す。そして入退管理サーバ30は、シリアルI/F60に入退場要求を送信する。つまり、無線端末10から、無線LAN-AP20、LAN/シリアルコンバータ61、シリアル/LONコンバータ62、固定据付型ICカードリーダ63経由でコントローラ50に固定カードリーダ63に対するのと同じプロトコルでもって当該非接触ICカード(図示せず)についての入退場要求を差し向けるようにする。コントローラ50は、入退場DBレプリカ51を参照してカード認証を行ない、カード認証結果を、シリアルI/F60から入退管理サーバ30に戻す。コントローラ50を含むシリアルI/F60は、コントローラ50内の入退場DBレプリカ51に、入出門結果を入退場履歴として上述のICカード識別情報に紐付けて格納する。入退場DB32における入退場履歴情報に関するデータ構造は、図12(c)に示されるように、日時、ICカード識別情報、ゲート名、入場(結果)、退場(結果)などによって構成される。そしてカード認証OKであれば、入退管理サーバ30は、個人情報データとして展開されている写真ファイル名を元に検索を行ない、無線端末10の個人情報表示欄に表示する顔写真データ(小)(図2参照)を取得する。
【0029】
ここで、もし無線端末10の個人情報表示欄に表示する顔写真データ(小)が存在しないときは、登録写真ファイル35にファイリングされている情報から写真ファイル(小)を生成して、生成した写真ファイル(小)から上述した無線端末10の個人情報表示欄に表示する顔写真データ(小)を取得するよう構成する。
【0030】
入退管理サーバ30は、上述のようにして得た入退場結果を無線端末10にカード情報(社員ID,氏名,所属,会社名など)、および、顔写真(小)として通知して表示させる。
【0031】
図7は、図6に示した入退場(詳細表示あり)処理時のカードリーダ無線端末における画面例を示す図である。図7は、図4におけるメニュー画面130で環境設定により予め入退場画面において詳細表示ありを選択した場合に、メニュー画面130の入退場ボタン133を押下することにより遷移するものである。図7のボタン表示部141には、メニューボタン、入場→退場ボタンの外に、「詳細表示」ボタン144が示されている。図7において、入退場を行なう場合には、「入退場」ボタン142をクリックすることで、図9に示される入退場指示画面200に遷移することができる。これについては後述する。そして「入退場」ボタン142が使用可能な場合には、「入退場」ボタン142を囲む枠143を緑色で表示し、枠143の下に“カードをタッチしてください”のメッセージを表示する。一方、「入退場」ボタン142が使用不可能な場合には、「入退場」ボタン142を囲む枠143を赤色で表示し、枠143の下に“カードリーダは停止しています”(図示せず)のメッセージを表示する。
【0032】
「入退場」ボタン142が使用可能な場合に、社員証または通門証を無線端末10の背面(図示せず)に設けられた非接触カードリーダ(図示せず)にタッチ又は近づけることで入退場要求を行なう。ICカードの読み取りが成功したら、”カードを読み取りました”(図示せず)と表示させることができる。そして上述したように、無線LAN-AP20、LAN40を経由して入退管理サーバ30の入退場DB32に読み込んだICカード識別情報を基に個人情報の照会を行なう。この照会によりICカード識別情報に対応する個人情報があるか否かの結果を入退管理サーバ30に戻す。そして入退管理サーバ30は、コントローラ50を含むシリアルI/F60に入退場要求を送信する。コントローラ50は、入退場DBレプリカ51を参照してカード認証を行ない、カード認証結果、すなわち入退場結果(OK/NG)を、シリアルI/F60から入退管理サーバ30に戻す。カード認証OKであれば、入退管理サーバ30は、テーブル展開されている個人情報の写真ファイル名を元に検索を行ない、無線端末10の個人情報表示域に表示する顔写真データ(小)(図2参照)を取得する。入退管理サーバ30は、上述のようにして得た入退場結果を無線端末10にカード情報(ユーザID,氏名,所属,会社名など)、および、顔写真(小)として通知して表示させる(図3の個人情報表示画面150参照)。
【0033】
無線端末10の画面に上述したカード情報および顔写真(小)を表示させると、図2に示したような個人情報表示が可能になる。図2の画面において、ボタン表示部105の「写真表示」を押せば、拡大写真を表示させる(図3の拡大写真表示画面160参照)ことができる。これについては後述する。
【0034】
図7に示したボタン表示部141のメニューボタンを押すと「メニュー」画面130を表示し、ボタン表示部141の入退場切替ボタンは、入場モードのとき「入場→退場」表示を行ない、押下にて退場モードに切り替える。退場モードのとき「退場→入場」表示を行ない、押下にて入場モードに切り替える。「確認⇔連続モード切替」ボタン145が図示のように「確認モード」であるときには、写真を含む個人情報を1件毎確認して入退場確認が行なえるようになり、また「連続モード」であるときには、個人情報の取得を止め、カードタッチが連続して可能になり、カード認証結果NGのみが通知されるようにして入退場確認の迅速化を図ることができる。
【0035】
図8は、本発明の実施形態に係る拡大写真表示処理の概要を説明するシーケンスブロック図である。図8は、図2に示すような個人情報表示画面において、ボタン表示部105の「写真表示」ボタンを押すことで写真(小)が付加された個人情報表示画面から拡大写真表示画面に遷移するものである。これを詳しく説明すると、図8において、無線端末10の表示画面において、ボタン表示部105の「写真表示」ボタンを押すと、拡大写真取得要求が入退管理サーバ30になされ、入退管理サーバ30は写真ファイル33に該当する拡大写真がファイルされているかを検索し、ファイルされていれば該当拡大写真を取得し、これを所定のサイズに変換して無線端末10に返信する。無線端末10はこれを受け取って拡大写真を画面表示する。一方、入退管理サーバ30に該当する拡大写真が写真ファイル33にファイルされていなければ、登録写真ファイル35から該当する拡大写真ファイルを生成する。そして生成された該当拡大写真を取得して上記したと同様に所定のサイズに変換して無線端末10に返信する。無線端末10はこれを受け取って拡大写真を画面表示する。拡大写真表示画面から元の個人情報表示画面の戻るには、ボタン表示部105の「確認」ボタンを押す。なお、拡大写真表示は、図3に示すように入退場、照会、検索における個人情報表示画面から遷移して表示させることができる。上述の説明では、個人情報表示画面150から拡大写真表示画面160に遷移するケースを説明したが、他のケースでも同様であるためその説明を省略する。
【0036】
図9は、本発明の実施形態に係る入退場指示画面例を示す図である。図9は、図7に示した個人情報表示画面において、「入退場」ボタン142を押すことで画面遷移するものである。図9に示す入退場指示画面200では、図7に示した個人情報表示画面に表示している社員または通門者の入退場を行なわせる。図9において、「入場」ボタン210は、無線端末10から入退管理サーバ30に入場要求を行ない、その後、本画面を閉じる。また「退場」ボタン220は、無線端末10から入退管理サーバ30に退場要求を行ない、その後、本画面を閉じる。「閉じる」ボタン230は、入退場を行なわずに、本画面を閉じさせるために使用する。「対象ゲート表示」ラベル240は、入退場の対象ゲートを表示するものである。
【0037】
図10は、図3に示した検索処理時のカードリーダ無線端末における画面例を示す図である。図10に示す検索画面170は、図4におけるメニュー画面130で検索ボタン135を押下することにより遷移するものである。そして図10に示す検索画面170では、個人ID、氏名カナを入力して、個人情報の検索を行なう。図10のボタン表示部171には、メニューボタン、検索ボタン、表示ボタンが示されている。ボタン表示部171のメニューボタンを押すと、「メニュー」画面を表示する。「個人ID」入力ボックス172に「個人ID」が入力されている場合に、または、「氏名カナ」入力ボックス173に「氏名カナ」が入力されている場合に、ボタン表示部171の検索ボタンを押すと、検索要求が入退管理サーバ30に出されて検索が実行される。検索結果の一覧を「検索結果一覧」表示部174に表示し、該当件数をメッセージ表示部175に表示する。検索結果の一覧には、行番号、個人ID、氏名(漢字)、氏名(カナ)を表示する。前方一致でヒットした結果件数が多すぎて表示部174に表示できない場合は、“該当件数が多すぎます”(図示せず)というメッセージを表示する。ボタン表示部171の表示ボタンは、表示部174の検索結果一覧の中で選択した個人情報を「個人情報表示」画面180に表示する。「個人情報表示」画面180からの拡大写真表示画面または入退場指示画面への遷移は上述したのと同様であるので、ここでの説明は割愛する。なお、図10に示す検索画面170では、カードリーダ使用可否表示176を不可にする。
【0038】
図11は、本発明の実施形態に係る強制入退場処理の概要を説明するシーケンスブロック図である。図11は、図3や図4に示す、入退場、照会、検索における無線端末10の個人情報表示画面において、強制的に入退場させるために入退場ボタンを押して強制入退場要求を入退管理サーバ30に処理させるものである。入退管理サーバ30は強制入退場要求を受けると、入退場要求をコントローラ50を含むシリアルI/F60に送信する。コントローラ50は、強制入退場を受け入れるために入退場DB51に強制入退場に係る入退場履歴情報を生成してそれを格納する。そしてコントローラ50を含むシリアルI/F60から強制入退場に係る入退場承認/不承認(OK/NG)を入退管理サーバ30に返信する。入退管理サーバ30は、強制入退場結果を無線端末10に返信し、無線端末10は強制入退場結果を画面に表示する。
【符号の説明】
【0039】
10〜13 カードリーダ無線端末
20〜22 無線LAN−AP(Access Point)
30 入退管理サーバ
31 無線端末認証サービスDB(Database)
32 入退場DB
33 写真ファイル
35 登録写真ファイル
40 LAN(Local Area Network)
50 コントローラ
51 入退場DB(レプリカ)
60 シリアルI/F(interface)
61 LAN/シリアルコンバータ
62 シリアル/LONコンバータ
63 カードリーダ(据付型)
64 電気錠
101 状態表示LED
102 インジケータ表示部
103 状態表示部
104 メッセージ表示部
105 ボタン表示部
106 時計表示部
107 左側面ファンクションキー
108 正面ファンクションキー
109 電源キー
110 カーソル移動キー
111 テンキー
112 OKキー
113 クリアキー
114 アスタリスクキー
120 ログイン画面
130 メニュー画面
131 設定ボタン
132 ゲート選択ボタン
133 入退場ボタン
134 照会ボタン
135 検索ボタン
140 入退場画面
141 ボタン表示部
142 「入退場」ボタン
143 枠
144 「詳細表示」ボタン
145 「確認⇔連続モード切替」ボタン
150 個人情報表示画面
160 拡大写真表示画面
170 検索画面
171 ボタン表示部
172 「個人ID」入力ボックス
173 「氏名カナ」入力ボックス
174 「検索結果一覧」表示部
175 メッセージ表示部
180 個人情報表示画面
200 入退場指示画面
210 入場ボタン
220 退場ボタン
230 「閉じる」ボタン
240 「対象ゲート表示」ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触ICカードの情報を非接触で読み取るカードリーダ無線端末と構内への入退場を管理する入退管理サーバとからなる入退場管理システムであって、
オペレータが所持する前記カードリーダ無線端末を無線LANアクセスポイントを介してLANに接続させると共に該LANを介して入退管理サーバに接続されるよう構成し、
前記入退管理サーバは入退場者の個人情報をデータベースで管理すると共に前記個人情報に紐付く顔写真情報を保持する写真ファイルを管理し、
前記カードリーダ無線端末が前記非接触ICカードの情報を読み取ったときには、該情報を前記入退管理サーバに送信し、該入退管理サーバは、前記非接触ICカードの一次認証を行なうために、前記情報内のICカード識別情報について固定式カードリーダによるICカードの認証を行なうコントローラに前記ICカード識別情報の登録の有無に基づく一次認証を行なわせ、該一次認証結果を前記カードリーダ無線端末に返信して入退場の可否を表示させ、次いで前記個人情報についての二次認証を行なうために、前記カードリーダ無線端末で読み取った前記個人情報にかかる項目を前記入退管理サーバが前記入退場データベースを用いて二次認証を行ない、前記カードリーダ無線端末に二次認証したカード個人情報及び顔写真を前記二次認証結果として返信して表示させることを特徴とするカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システム。
【請求項2】
前記カードリーダ無線端末の起動時に、前記オペレータが所持する非接触ICカードの情報を読み取り、前記カードリーダ無線端末を操作するオペレータが権限を有する者であることを認証することを特徴とする請求項1に記載のカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システム。
【請求項3】
前記カードリーダ無線端末が権限を有するオペレータが認証されたとき、前記カードリーダ無線端末にメニュー画面を表示し、該メニュー画面に表示される設定ボタンを押下して、前記カードリーダ無線端末を介して行なう入退場業務の環境設定を行なうことを特徴とする請求項2に記載のカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システム。
【請求項4】
前記環境設定は、前記オペレータが位置する入退場ゲート名、前記カードリーダ無線端末への詳細表示の有無、或いは、入場または退場のいずれへの着任、を設定可能としたことを特徴とする請求項3に記載のカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システム。
【請求項5】
前記環境設定で前記カードリーダ無線端末に詳細表示なしを設定した場合には、前記カードリーダ無線端末に前記ICカード識別情報による一次認証結果のみを表示して入退場させることを特徴とする請求項4に記載のカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システム。
【請求項6】
前記環境設定で前記カードリーダ無線端末に詳細表示ありを設定した場合には、前記カードリーダ無線端末に前記入退管理サーバから顔写真が個人情報と共に返信され、該顔写真について前記オペレータが前記入退管理サーバに拡大を要求した場合には、前記入退管理サーバは前記写真ファイルを検索して前記カードリーダ無線端末に拡大写真データを送付することを特徴とする請求項4に記載のカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システム。
【請求項7】
入退場時に前記非接触ICカードを所持しない旨の申出があったときは、前記個人情報にかかる所定項目を前記カードリーダ無線端末からデータ入力して前記入退管理サーバに送信し、該入退管理サーバは前記個人情報にかかる所定項目について前記コントローラに当該申出に基づく個人情報の検索を行なわせ、一致するものがあれば入退場履歴情報を生成させるとともに前記申出に基づく入退場承認/不承認を前記コントローラから前記入退管理サーバ経由で前記カードリーダ無線端末の画面に表示させることを特徴とする請求項1に記載のカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システム。
【請求項8】
前記カードリーダ無線端末の画面に表示された内容が前記申出に基づく入退場を承認するものであった場合には、前記オペレータが前記カードリーダ無線端末の入退場ボタンを押して強制入退場させることを特徴とする請求項7に記載のカードリーダ無線端末を用いた入退場管理システム。

【図5】
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【図6】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−163798(P2010−163798A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7071(P2009−7071)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(500230808)富士電機ITセンター株式会社 (3)
【Fターム(参考)】