説明

カーナビゲーション装置およびその表示方法

【課題】カーナビゲーション装置の表示方法において、限られた表示画面内であっても視認性の高いユーザインタフェースを提供して、瞬時に道路区間の渋滞状況と速度差異が理解できるようにする。
【解決手段】カーナビゲーション装置は、センサから自車の現在位置を取得し、車両外部から無線通信により交通情報を受信し、無線通信により車両外部から交通情報を受信し、受信した交通情報に基づき道路区間ごとの交通量と車両通行速度とを生成する。そして、各道路上の交通状況は、道路上の点列で表すものとし、地図画像に、道路区間ごとの交通量に応じた点列密度と車両通行速度に基づく単位移動量に応じた点列の単位移動量と求めて、交通量による混雑度を点列密度により表現し、車両通行速度を点列が移動するアニメーションの点列の移動速度により、比喩的に表現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置およびその表示方法に係り、道路交通情報の視認に優れ、目的地の選択を適切におこなう地図画像を表示するのに好適なカーナビゲーション装置およびその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のカーナビゲーション装置では、VICS(Vehicle Information and Commnication System)などの、無線を利用した通信手段によって、道路の混雑状況などの交通情報を取得することが可能となっている。
【0003】
また、カーナビゲーション装置内部のHDDにあらかじめ過去の交通情報を蓄積しておき、統計的に交通状況をドライバーに提示することも可能になっている。
【0004】
これら交通情報は、カーナビゲーション装置の画面上地図に重畳表示することができる。既存のカーナビゲーション装置では、例えば、交通情報は画面上に表示された道路の脇に矢印で示され、混み具合により渋滞なら赤、混雑なら黄、順調なら緑で塗り分けられる。混雑区間は矢印の線分の長さで表示され、混雑区間が短ければ線分は道路に沿って短く、混雑区間が長ければ線分は道路に沿って長く表示される。
【0005】
この表示法では道路1本ごとに双方向に2本の交通情報表示線を表示するため、道路が込み入った都市部などで表示すると画面表示が煩雑になる。カーナビゲーション装置の画面表示領域、画面解像度は限られているため、視認性が大きく低下する。
【0006】
また、都市部においては、広範囲の道路が混雑と表示される場合があり、どの道路がより速く流れているのか判別がつかないという問題がある。
【0007】
また、順調と表示されている道路であっても、その道路を実際に走行する車の走行速度を知ることはできないという問題がある。
【0008】
このような問題を解決するため、以下の特許文献1には、渋滞表示を数分毎に記憶しておき、渋滞の経時変化をアニメーション表示する方法が開示されている。この方法では、ある路線が渋滞傾向にあるか解消傾向にあるかを一瞥して理解できる。
【0009】
また、以下の特許文献2には、道路区間の移動速度を、例えば「30km/h」と表記する方法が提案されている。これにより道路の流れの速度を正確に理解することができる。
【0010】
【特許文献1】特許平8−287392号公報
【特許文献2】特開2001−289649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来技術の特許文献1に係るカーナビゲーション装置は、渋滞情報の経時的変化を把握することができるが、各車両の移動状況を、一瞥して理解することができないという問題がある。また、特許文献2では、道路区間ごとの速度を理解するためには地図上の数字が書かれた箇所を探す必要があるため、長時間画面を注視しなくてはいけないという問題がある。さらに、上記従来技術は、目的地を示して、瞬時に道路区間の渋滞状況と速度差異が理解できるようにして、その目的地に到達するための最適の経路を選択することをサポートする技術は開示されていない。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、限られた表示画面内であっても視認性の高いユーザインタフェースを提供して、瞬時に道路区間の渋滞状況と速度差異が理解できるカーナビゲーション装置の表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のカーナビゲーション装置では、センサから自車の現在位置を取得し、車両外部から無線通信により交通情報を受信する。カーナビゲーション装置で表示される地図画像には、自車の現在位置を表すマークが重畳して表示される。
【0014】
本発明のカーナビゲーション装置は、無線通信により車両外部から交通情報を受信し、受信した交通情報に基づき道路区間ごとの交通量と車両通行速度とを生成する。
【0015】
各道路上の交通状況は、道路上の点列で表すものとする。そして、地図画像に、道路区間ごとの交通量に応じた点列密度と車両通行速度に基づく単位移動量に応じた点列の単位移動量と求めて、交通量による混雑度を点列密度により表現し、車両通行速度を点列が移動するアニメーションの点列の移動速度により、比喩的に表現する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、限られた表示画面内であっても視認性の高いユーザインタフェースを提供して、瞬時に道路区間の渋滞状況と速度差異が理解できるカーナビゲーション装置の表示方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る各実施形態を、図1ないし図20を用いて説明する。
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明に係る第一の実施形態を、図1ないし図13を用いて説明する。
【0019】
先ず、図1および図5を用いて本発明の第一の実施形態に係るカーナビゲーション装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るカーナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
図2は、ナビ情報生成部400の内部構成を示すブロック図である。
図3は、画像情報生成部700の内部構成を示すブロック図である。
【0020】
本発明のカーナビゲーション装置1000は、図1に示されるように、車両(図1では、自車500として表示)に載せられる装置であって、無線受信部100、交通情報生成部200、ナビ情報生成部400、表示部600、画像情報生成部700よりなる。
【0021】
無線受信部100は、外部の交通情報を管理するサーバなどから道路の交通情報を受信する。すなわち、無線受信部100は、道路の交通情報として、「道路区間ID」、その道路区間IDに対応する道路を走行するための所要時間、その道路区間IDに対応する道路の交通量を受信する。
【0022】
交通情報生成部200は、無線受信部100で受信した交通情報に基づいて、ある道路区間IDに対応する画像表示のために点列速度を生成するための交通速度と、点列密度を生成するための交通量を生成する。この交通情報生成部200が生成する点列密度を生成するための交通量は、無線受信部100が受信した交通量をそのまま用いてもよいし、道路の車線数で割るなどの加工処理をおこなってもよい。
【0023】
ナビ情報生成部400は、センサ情報から自車速度、自車位置、地図情報を生成する。表示部600は、例えば、LCDディスプレイで代表される表示装置である。そして、画像情報生成部700は、ナビ情報生成部400で取得した地図情報と、無線通信部100および交通情報生成部200から取得した交通情報を重畳して表示部600に表示する。
【0024】
ナビ情報生成部400は、図2に示されるように、車速センサ401、GPS(Global Positioning System)402、ジャイロセンサ403、地図情報記録部404、情報生成部405、バッファ406よりなる。
【0025】
車速センサ401は、車速を求めるために車両の車輪回転数を測定する。GPS402は、 例えば、人工衛星を利用して自車が地球上のどこにいるのか場所情報を取得する。ジャイロセンサ403は、車の進行方向を検出する装置である。地図情報記録部404は、現在地や目的地を表示するための地図情報を記録している。情報生成部405は、自車速度の取得や自車位置の取得、表示画面データを取得する。バッファ406は、情報生成部405が車速センサ401から検出したセンサ情報と、GPS402から取得した位置情報を一時記憶しておく領域である。
【0026】
画像情報生成部700は、図3に示されるように、地図情報記憶部701、交通情報記憶部702、画面上移動量テーブル記憶部703は、点列密度テーブル記憶部704、自車情報記憶部705、画像生成部706、描画用バッファ707、点列表示情報記憶部708よりなる。
【0027】
地図情報記憶部701は、ナビ情報生成部400から取得した自車位置周辺地図情報を格納する。交通情報記憶部702は、交通情報生成部200で生成した道路区間ごとの交通速度と道路区間ごとの交通量を格納する。
【0028】
画面上移動量テーブル記憶部703には、交通速度から、表示する点列の画面上移動量が設定される。点列密度テーブル記憶部704には、画像生成のための点列密度を設定用テーブルが記憶される。自車情報記憶部705は、ナビ情報生成部400にて生成された自車情報を記憶する。画像生成部706は、取得した情報から表示部600に表示する画像情報を生成する。描画用バッファ707は、描画データを一時記憶する領域である。点列表示情報記憶部708には、画像生成部706にて生成された点列表示情報が記憶される。この点列表示情報記憶部708には、点列の移動表示をおこなう場合に使用する点列移動表示回数および点列表示切替時間などのパラメータも格納される。
【0029】
次に、図4ないし図6を用いて本発明の第一の実施形態に係るカーナビゲーション装置のデータ構造を説明する。
図4は、地図情報記憶部701に記憶する地図データのデータ構造を示す図である。
図5は、交通情報記憶部702に記憶する交通情報データのデータ構造を示す図である。
図6は、自車情報記憶部705が記憶する自車情報データの構造を示す図である。
【0030】
地図データは、地図情報記憶部701に記憶され、図4に示されるように、道路区間ごとに、道路区間IDと、始点座標、終点座標を要素として持つ。始点座標、終点座標は、その道路が2次元座標上のどこに位置するかを示す位置情報である。
【0031】
交通情報データは、交通情報記憶部702に記憶され、図5に示されように、道路区間ごとに、道路区間ID、交通速度情報、交通量情報を要素として持つ。
【0032】
自車情報データは、自車情報記憶部705に記憶され、図6に示されるように、要素として、自車位置座標、道路区間位置、速度、方角を有する。
【0033】
次に、図7ないし図13を用いて本発明の第一の実施形態に係るカーナビゲーション装置の処理について説明する。
【0034】
先ず、図7を用いてナビ情報生成部400が、地図上の自車位置を生成する処理について説明する。
【0035】
図7は、ナビ情報生成部400が、地図上の自車位置を生成する処理を示すフローチャートである。
【0036】
以下に示される手順により、図2に示されるナビ情報生成部400の車速センサ401と、GPS402と、ジャイロセンサ403は、定期的に自車500に関する情報を取得し、情報生成部のバッファ406に記憶する。
【0037】
最初に情報生成部405は、検出したGPS情報から自車位置座標を算出する(ステップS410)。
【0038】
次に、自車速度を車速センサ401から取得する(ステップS420)。
【0039】
次に、ジャイロセンサ403から自車走行方角を取得する(ステップS430)。
【0040】
次に、自車位置周辺の道路地図情報を地図情報記憶部404より取得する(ステップS440)。
【0041】
次に、バッファ406に記憶されている自車500の軌跡と周辺道路地図情報から、自車500が走行している道路上の位置を算出する。算出にはパターンマッチング処理を用いる。算出した位置を道路地図上の自車位置とする(ステップS450)。
【0042】
ステップS410からステップS450は、走行中毎秒数回程度の頻度で実行される。
【0043】
そして、図6に示した自車情報データが図3に示した画像情報生成部700の自車情報記憶部705に記憶される。
【0044】
次に、図7、図10ないし図13を用いて画像生成部の処理について説明する。
【0045】
先ず、図12および図13を用いて画像生成部の処理の概要について説明する。
図12は、画像生成部706が、表示部600に点列移動表示切替時間毎に切り替え表示した画面例である。
図13は、画像生成部706が、表示部600に表示する画面例を説明するための交通情報と地図の例である。
【0046】
図3に示した画像生成部706は、交通情報生成部200から取得した交通情報より表示部600に表示する地図画像に混雑箇所を検出すると、混雑状況を図12に示したように点列で表示する。
【0047】
また、対応する区間の速度と、交通量は、図13に示されるようになっているとする。
【0048】
すなわち、自車500が区間d5−d6に停車中に、区間d1−d2の交通速度がM〔km/h〕、交通量がx〔台/h〕とし、区間d3−d4の交通速度がN〔km/h〕、交通量がy〔台/h〕、区間d5−d6の交通速度がL〔台/h〕、交通量がz台/hとなっており、M>L>N、x>yの関係があるものとする。
【0049】
このとき、交通量が多い区間d1−d2周辺は、図12の表示(a)P1のように、点列密度が多くなるように表示し、交通量が少ないd3−d4周辺は、図12の表示(a)P2のように、点列の密度が少なくなるように表示する。
【0050】
また、画像生成部706は図12の表示(a)、(b)、(c)を切り替えて連続表示することにより、点列が移動して見えるように表示部600に表示する。
【0051】
点列の移動速度が速い場合はその道路を走る車両の速度が速く、遅い場合はその道路を走る車両は混雑等により走行速度が遅いことを示している。このときには、図12の表示(b)で、点列の単位時間の移動量W1>W2が成り立っている。
【0052】
次に、図8、図10、図11を用いて画像生成部706の画像生成の処理について順を追って説明する。
図8は、画像生成部706の画像生成の処理を示すフローチャートである。
図10は、画面上移動量テーブル上の速度と移動量の関係を示すグラフである。
図11は、点列密度テーブル上の交通量と点列密度の関係を示すグラフである。
【0053】
先ず、図3に示される画像生成部706は、地図情報記憶部701から、表示部600に表示する画面サイズに合わせて必要箇所を矩形の画像データとして切り出す(ステップS701)。以下の処理にて生成する点列画像は、本画像に重畳表示する。
【0054】
次に、画像生成部706が、交通情報記憶部に格納されている交通情報から区間情報を取得する処理S702について説明する。
【0055】
先ず、画像生成部706の処理S702の前に、交通情報生成部200が以下の処理をおこなう。
【0056】
無線受信部100から外部の交通サーバなどから送信されてきた交通情報を受信すると、交通情報生成部200は、道路区間を特定する道路区間IDと、所要時間を示す区間所要時間情報を取得する。そして、交通情報生成部200は、道路区間IDに対応する区間距離と所要時間から、受信した道路区間における交通速度を算出し、算出した交通速度を道路区間IDとともに交通情報記憶部702に記憶する。
【0057】
なお、道路区間IDに対応する区間距離は、交通情報生成部200が、図4に示した画像情報生成部700の中の地図情報記憶部701の地図情報を読み出し、それから算出するようにしてもよいし、外部から道路区間IDに対応する区間距離を受信して交通情報記憶部702の中に道路区間IDと対応させて保持することにしてもよい。
【0058】
また、交通情報生成部200は、無線受信部100から車両交通量情報を受信し、道路区間IDごとの交通量情報として交通情報記憶部702に記憶する。
【0059】
そして、画像生成部706は、交通情報記憶部702から求める道路区間に対応する道路区間IDに対応する交通速度情報および交通量情報を読み出す(ステップS702)。
【0060】
次に、画像生成部706は、地図情報記憶部701、交通情報記憶部702、画面上移動量テーブル記憶部703、点列密度テーブル記憶部704、自車情報記憶部705の情報に基づき点列画像を生成する。
【0061】
画像生成部706は、交通情報記憶部702から読み出した交通量情報に基づいて、図11に示されるような関係を有する点列密度テーブルを参照し、表示するための点列密度を設定する(ステップS703)。
【0062】
例えば、区間d1−d2における点列密度は、区間d1−d2の交通量x〔台/h〕なので、図11に示されるように、P1と求まり、区間d3−d4の点列密度は、区間d3−d4の交通量y〔台/h〕より、図11からP2と求まる。
【0063】
次に、図12の表示(a)、図12の表示(b)に示した点列の表示切替をおこなう場合の点列移動表示切替時間あたりの移動量W1、W2を算出する(ステップS704)。
【0064】
ステップS704の処理は、画像生成部706が基準速度取得処理により取得した基準速度と、区間速度との差を求め、図10に示されるような関係を有する画面上移動量テーブルに基づき、算出する。基準速度取得処理は、後に図9を用いて詳細に説明する。
【0065】
基準速度と区間速度が得られたときには、図10より横軸の基準速度と交通速度の差は、以下の(式1)の通りとなり、区間d1−d2の移動量W1が求まる。
|基準速度−区間交通速度|=|L−M|=r …(式1)
同様に、区間d3−d4の移動量W2も、基準速度と交通速度の差分rから求まる。
【0066】
次に、算出された密度と移動量は区間IDとともに、それぞれ画面上移動量テーブル記憶部703、点列密度テーブル記憶部704に記憶する(ステップS705)。
【0067】
次に、設定した区間ごとの点列密度と、地図情報メモリに格納された区間情報とを元に、点列を表示部600に表示した地図上に重畳する(ステップS706)。
【0068】
表示内容は、図12の表示(a)に示すように、区間d1−d2では間隔の狭い点列が、d3−d4では広い間隔の点列が表示される。表示した点列の位置情報は、次画面生成のため点列表示情報記憶部708に記憶される(ステップS707)。
【0069】
画像生成部706は、点列移動回数をカウントアップし(ステップS708)、指定回数の次画面生成をおこなったか否かをチェックする(ステップS709)。
【0070】
指定回数に達していなかった場合は、表示した点列位置を移動する(ステップS710)。指定回数に達していた場合は点列移動回数をリセットし、点列位置を初期表示位置に設定する(ステップS711)。
【0071】
次画面の表示は、点列表示情報記憶部708に記憶された点列の位置情報を用い、その点列を移動させることで表示する。各区間での移動量は、ステップS704にて設定した値(W1、W2)を使う。
【0072】
表示タイミングは、図12の表示(a)の表示後、予め点列表示情報記憶部708に設定した点列移動表示切替時間経過後に次画面の表示をおこなう。
【0073】
このように単位時間毎に表示する画像を切り替え表示することで、点列が移動して表示される。
【0074】
最後に、新規交通情報があるか否かを問い合わせ、あればステップS702処理に戻る。なければステップS706の処理に戻り、図12の表示(a)、図12の表示(b)、図12の表示(c)を繰り返す(ステップS712)。
【0075】
次に、図9を用いて画像生成部706がおこなう基準速度取得処理について説明する。
図9は、画像生成部706がおこなう基準速度取得処理を示すフローチャートである。
【0076】
先ず、図3に示した画像生成部706は、自車情報記憶部705から自車速度を取得し、停車中か否かを調査する(ステップS031)。
【0077】
走行中ならば、基準速度として自車速度を設定する(ステップS032)。
【0078】
停車中ならば、無線通信部100から受信した情報に現在走行中区間d5−d6の交通情報が提供されているか調査する(ステップS033)。
【0079】
提供されていた場合、現在走行中の区間の交通速度を基準速度と設定する(ステップS035)。
【0080】
提供されていなかった場合、現在走行中の近傍の区間での交通速度を取得する。
【0081】
次に、図12(b)に示す移動量W1、W2を求める。自車停止中の場合、基準速度は現在走行中区間の交通速度となるのでL〔km/h〕となる。
【0082】
以上説明したように、本発明の第一の実施形態によれば、道路の通行速度と通行量とから交通量と道路の流れを簡単に把握できるようになり、ドライバーは適切な経路選択をおこなうことが可能となる。
【0083】
また、画像生成部706が点列移動を表示する場合、点列の移動量W1、W2は表示する地図画像の縮尺に応じて変更してもよい。すなわち、広域表示の時は、表示する地図上の道路の区間長も短くなるため点列移動量も小さく設定し、拡大表示の時は点列移動量を大きく設定することで表示倍率に応じた点列の移動表示が可能となる。
【0084】
また、本実施形態の図9のフローチャートの処理により取得する基準速度は、自車500が停止中の場合は、走行中の路線の交通速度かその近傍区間での交通速度になり、また、自車500が走行中の場合の基準速度は走行中の自車速度となって、点列表示をおこなう場合の移動量は(式1)から自車速度と区間交通速度の相対速度により求まる。したがって、運転しているときには、画面から判断のために適切な速度がカーナビゲーション装置から提示される。
【0085】
〔実施形態2〕
以下、本発明に係る第二の実施形態を、図14ないし図20を用いて説明する。
【0086】
本実施形態のカーナビゲーション装置は、第一の実施形態のカーナビゲーション装置に、目的地を選択して適切な経路を選択する機能を付け加えたものである。
【0087】
以下では、主に第一の実施形態のカーナビゲーション装置と異なる構成と処理を取り上げて説明する。
【0088】
先ず、図14を用いて本発明の第二の実施形態に係るナビ情報生成部410の構成について説明する。
図14は、本発明の第二の実施形態のナビ情報生成部410の構成を示すブロック図である。
【0089】
本実施形態のナビ情報生成部410は、図14に示されるように、車速センサ401、GPS402、ジャイロセンサ403、地図情報記録部404、情報生成部405、バッファ406に加えて、経路情報記憶部407、目的地設定部408よりなる。
【0090】
401から406は、図2に示した第一の実施形態のナビ情報生成部410と同一の機能を有する。経路情報記憶部407は、自車両位置から目的地までの経路を記録する。また、目的地設定部408は、入力された目的地を設定する。
【0091】
先ず、図15、図17、図20を用いて画像生成部200が、ナビ情報生成部410に経路再探索要求を出す処理について説明する。
図15は、画像生成部706が再経路探索要求を発行するまでの処理フローである。
図17は、ナビ情報生成部410が生成する経路誘導情報を表示した画面例である。
図20は、画像生成部706が表示部600に表示する画面例を説明するための交通情報と地図の例である。
【0092】
目的地は予めドライバーが目的地設定部408を用いて図20上の地点Gに設定し、目的地までの経路は、ナビ情報生成部410により図20上の地点d5−d6,d1−d2,d9−d10を経由する内容の経路情報が経路情報記憶部407に記憶されている。目的地設定時に取得した交通情報は図20に示す通りであり、d1−d2,d9−d10の所要時間は、それぞれg分、f分、区間d7−d8、d3−d4の所要時間をそれぞれj分、h分とし、(g+f)<(j+h)とする。図17(a)は、d5−d6,d1−d2の経路を通ることが最短の経路であることを示している。
【0093】
画像生成部706は、交通情報生成部200から道路区間IDと、区間所要時間情報を受信すると(ステップS201)、受信した交通情報が交通情報が更新されているかをタイムスタンプを参照し判別する(ステップS202)。
【0094】
交通情報が更新されたデータであった場合、各道路区間IDごとに、区間所要時間情報を比較する。比較した結果、それぞれの区間で予め設定した閾値A分以上変化していないか調査する(ステップS203)。
【0095】
ここで、区間d1−d2、d9−d10、d7−d8、d3−d4がそれぞれg′分、f′分、j′分、h′分に変化したことを検出すると、交通情報記憶部702を更新し(ステップS204)、ナビ情報生成部410に再経路探索処理要求をおこなう(ステップS205)。
【0096】
次に、図16ないし図19を用いてナビ情報生成部410が、最短経路案内をドライバーにおこなうための再経路探索処理を説明するナビ情報生成部410がおこなう最経路探索処理について説明する。
図16は、ナビ情報生成部410がおこなう最経路探索処理を示すフローチャートである。
図18は、ナビ情報生成部410が生成したリルート情報と、画像生成部706が生成する点列を地図上に重畳表示した画面例である。
図19は、ナビ情報生成部410が生成するリルート情報と画像生成部706が生成するカーマークを、表示部600に単位時間毎に切り替え表示した画面例である。
【0097】
先ず、図14に示した情報生成部405は、画像生成部706より再経路探索処理要求を受信すると、区間所要時間情報が変化した道路区間IDの交通情報を取得する(ステップS401)
次に、情報生成部405は、変化道路区間が自車500を誘導している経路上にあるか否かを調査し(ステップS402)、存在する場合は、再経路探索をおこなう(ステップS403)。目的地が交通情報提供範囲外だった場合、経路探索は交通情報にて情報取得した範囲に対しておこない、提供範囲外の経路は以前のままのものを利用する。
【0098】
再経路探索の結果、図20に示す道路区間の各区間所要時間が、(g+f)<(j+h)から(g′+f′)>(j′+h′)へ変化し、最短経路の経由がd1−d2、d9−d10からd7−d8、d3−d4に変化し、最短経路が図17(a)から図17(b)となる。
【0099】
次に、情報生成部405は、前記ステップS403にて経路探索をおこなった結果と、経路情報記憶部407とを比較し、最短経路に変化があったか否かを調査する(ステップS404)。
【0100】
前記ステップS404にて最短経路に変更があった場合には、リルート候補情報として画像生成部706に通知する(ステップS405)。
【0101】
画像生成部706は、情報生成部405からリルート情報を受信すると、第一の実施形態で説明した画像生成処理を実施して、リルート候補の経路(d7−d8、d3−d4)と元の経路(d1−d2、d9−d10)に対して点列の移動表示をおこなう。さらに、経路変更をドライバに促すダイアログを表示する。すなわち、図18に示される画面例のように、交通状況が変化して、最短経路に変更があった場合には、点列を移動するアニメーションと共に、ダイアログを表示して、経路変更をドライバに促すようにする。
【0102】
本実施形態では、道路交通情報の変化を各道路区間の所要時間によって検出したが、比較方法は絶対時間ではなく、平均速度10%減など、速度を利用しても構わない。
【0103】
また、図18の例では重畳表示する画像は点列としたが、図19に示すように、カーマークを経路毎に表示し、目的地までの所要時間に応じて、図19の表示(a)、図19の表示(b)、図19の表示(c)を切り替え表示することによりアニメーション表示させてもよい。
【0104】
以上説明したように、本発明の第二の実施形態によれば、交通状況の変化により最短経路が変わった場合、道路の通行速度と通行量とから変更前経路と変更後経路の所要時間の差を簡単に把握できるようになり、ドライバーは適切な経路選択をおこなうことが可能となる。
【0105】
本実施形態では、画像生成部706は交通状況の変化により最短経路が変化したことを検出した場合に、目的地設定した経路とリルート候補の経路に対して点列移動表示を行うように動作したが、ドライバーの目的地設定により、候補ルートを設定する場合に点列移動表示をおこなうようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るカーナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】ナビ情報生成部400の内部構成を示すブロック図である。
【図3】画像情報生成部700の内部構成を示すブロック図である。
【図4】地図情報記憶部701に記憶する地図データのデータ構造を示す図である。
【図5】交通情報記憶部702に記憶する交通情報データのデータ構造を示す図である。
【図6】自車情報記憶部705が記憶する自車情報データの構造を示す図である。
【図7】ナビ情報生成部400が、地図上の自車位置を生成する処理を示すフローチャートである。
【図8】画像生成部706の画像生成の処理を示すフローチャートである。
【図9】画像生成部706がおこなう基準速度取得処理を示すフローチャートである。
【図10】画面上移動量テーブル上の速度と移動量の関係を示すグラフである。
【図11】点列密度テーブル上の交通量と点列密度の関係を示すグラフである。
【図12】画像生成部706が、表示部600に点列移動表示切替時間毎に切り替え表示した画面例である。
【図13】本発明の第一の実施形態で、画像生成部706が、表示部600に表示する画面例を説明するための交通情報と地図の例である。
【図14】本発明の第二の実施形態のナビ情報生成部410の構成を示すブロック図である。
【図15】画像生成部706が再経路探索要求を発行するまでの処理フローである。
【図16】ナビ情報生成部410がおこなう最経路探索処理を示すフローチャートである。
【図17】ナビ情報生成部410が生成する経路誘導情報を表示した画面例である。
【図18】ナビ情報生成部410が生成したリルート情報と、画像生成部706が生成する点列を地図上に重畳表示した画面例である。
【図19】ナビ情報生成部410が生成するリルート情報と画像生成部706が生成するカーマークを、表示部600に単位時間毎に切り替え表示した画面例である。
【図20】本発明の第二の実施形態で、画像生成部706が表示部600に表示する画面例を説明するための交通情報と地図の例である。
【符号の説明】
【0107】
100…無線通信部
200…交通情報生成部
400…ナビ情報生成部(その一)
500…自車
600…表示部
700…画像情報生成部
1000…カーナビゲーション装置
401…車速センサ
402…GPS
403…ジャイロセンサ
404…地図情報記録部
405…情報生成部
406…バッファ
407…経路情報記憶部
408…目的地設定部
410…ナビ情報生成部(その二)
701…地図情報記憶部
702…交通情報記憶部
703…画面上移動量テーブル記憶部
704…点列密度テーブル記憶部
705…自車情報記憶部
706…画像生成部
707…描画用バッファ
708…点列表示情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ情報から自車の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
道路地図情報を記憶する道路地図記憶手段と、
前記道路地図記憶手段から取得した地図情報と前記現在位置取得手段で取得した自車の現在位置を表すマークとを重畳した地図画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された地図画像を表示する表示手段と、
無線通信により車両外部から交通情報を受信する通信手段と、
前記通信手段から交通情報を受信し、道路区間ごとの車両通行速度を生成する交通情報生成手段とを有し、
前記画像生成手段は、前記交通情報生成手段が生成した車両通行速度から道路区間毎の速度情報を示す画像パターンを生成し、前記地図画像の道路上に重畳し道路区間ごとの車両通行速度を表示することを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記画像生成手段は、前記交通情報生成手段が生成した車両通行速度から、表示画面における道路区間毎の車両の単位時間移動量を算出し、前記単位時間移動量を表示する複数枚の地図画像を一定時間ごとに切り替え、前記地図画像の道路上に重畳し道路区間毎の車両通行速度を動的に表示することを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記画像生成手段が算出する単位時間移動量は、前記表示手段が表示する地図画面の縮尺に応じて算出することを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記画像生成手段が前記表示手段に表示する道路区間毎に車両の移動を示す複数枚の地図画像は、道路区間毎の単位時間移動量に応じた移動量を有する点列を表示した画像であることを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
センサ情報から自車の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
道路地図情報を記憶する道路地図記憶手段と、
前記道路地図記憶手段から取得した地図情報と前記現在位置取得手段で取得した自車の現在位置を表すマークとを重畳した地図画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された地図画像を表示する表示手段と、
無線通信により車両外部から交通情報を受信する通信手段と、
前記通信手段から交通情報を受信し、道路区間ごとの交通量を生成する交通情報生成手段とを有し、
前記画像生成手段は、前記交通情報生成手段が生成した交通量から画像パターンを生成し、前記地図画像の道路上に重畳し道路区間ごとの交通量を表示することを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記画像生成手段が前記表示手段に表示する地図画像は、道路区間毎の交通量に応じた点列密度を有する点列を表示した画像であることを特徴とする請求項5記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
さらに、目的地を設定する目的地入力手段と、
前記現在位置取得手段で取得した現在位置から前記目的地入力手段より入力された目的地までの経路情報を生成する経路設定手段とを有し、
目的地設定時に前記経路設定手段が生成した経路上の道路に、前記画像表示手段が道路区間毎の車両の単位移動量を、複数枚の画像を切り替えて前記表示手段に動的に表示することを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項8】
走行中経路上の道路区間において、前記交通情報生成手段が交通状況の変化を検出した場合に、前記経路設定手段に経路探索要求をおこない、現在の経路とは別の新規経路情報を取得した場合は、
前記画像表示手段は、新規経路情報を有す道路と、現在の経路上の道路に、道路区間毎の車両の単位移動量を、複数枚の地図画像を切り替えて前記表示手段に動的に表示することを特徴とする請求項7記載のカーナビゲーション装置。
【請求項9】
前記新規経路情報を有する道路と、前記現在の経路上の道路とに、自車が前記道路区間毎の車両の単位移動量に基づいて進んだときのそれぞれある時刻における位置をマークとして対比して示すことを特徴とする請求項7記載のカーナビゲーション装置。
【請求項10】
センサから自車の現在位置を取得し、車両外部から交通情報を受信し、自車の現在位置を表すマークを地図画像に重畳して表示するカーナビゲーション装置の表示方法において、
前記センサから自車の現在位置を取得するステップと、
前記無線通信により車両外部から前記交通情報を受信するステップと、
前記受信した交通情報に基づき前記道路区間ごとの交通量と車両通行速度とを生成するステップと、
前記地図画像に、前記道路区間ごとの交通量に応じた点列密度と前記車両通行速度に基づく単位移動量に応じた点列の単位移動量とを有する点列を各々道路区間ごとに表示するステップと、
複数毎の前記地図画像を動的に切り替えて表示するステップとを有することを特徴とするカーナビゲーション装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−39678(P2008−39678A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217024(P2006−217024)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501348139)株式会社 エイチ・シー・エックス (86)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】