説明

ガスバリアフィルムおよびその製造方法

【課題】ガラスに替わる電極フィルムとしての、耐熱性、透明性、カール、寸法変化、耐久性をすべて兼ね備えたガスバリアフィルムを提供する。
【解決手段】環状オレフィンとエチレンとの共重合比率が、80:20〜90:10であり、ガラス転移温度が170℃以上の環状オレフィンの付加(共)重合体よりなるフィルムシート10の少なくとも片面に、プラズマ化学気相成長法によって厚み30〜300nmの酸化珪素膜12を形成することによって、水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下にされたガスバリアフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)、電子ペーパー等のディスプレイに用いられるガスバリアフィルムに関するものであり、より特定的には、ガラスに替わる電極フィルムとして、耐熱性、透明性、カール、寸法変化、耐久性をすべて兼ね備えるように改良されたガスバリアフィルムに関する。本発明は、またそのようなガスバリアフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD、有機EL、電子ペーパー等のディスプレイは従来からガラスを電極基板として用いている。図1に従来のガラス基板を用いた有機EL素子の構造を示す。ガラス基板1の上に、上部電極3と下部電極2に挟まれた有機EL素子部4が設けられている。有機EL素子部4は、封止用メタル缶5で、封止されている。封止用メタル缶5内には、乾燥剤6が入れられている。
【0003】
図2に、樹脂基板7を用いた有機EL素子の構造を示す。樹脂基板7の上に、酸素及び水蒸気をバリアし、有機ELを保護する防湿バリア膜(ガスバリア層ともいう)8が形成され、その上に上部電極3と下部電極2に挟まれた有機EL素子部4が設けられている。有機EL素子部4は、封止用保護膜9で被覆されている。
【0004】
ガラス基板の替わりに、樹脂基板を用いることによって、素子をより薄く、軽くすることができる。樹脂であるがゆえの柔軟性を生かして、これまでの枠にとらわれない様々の形状のディスプレイを実現することができる。軽量、割れない、フレキシブルなディスプレイという新たな市場ニーズもある。それに対応すべく、各種耐熱フィルムが検討されてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、一般に樹脂基板として知られているポリイミドフィルムは耐熱性が高いために、LCDの製造工程内での高温プロセスに耐えるというメリットがある。しかし、一方で透明性が悪いという問題がある。PETフィルムにスパッタリング法を用いて、ガスバリア層を形成したフィルムは透明性が優れているが、PETフィルムの吸水率が高いために、加湿環境や乾熱環境での寸法変化が大きいことから、特に加湿化での耐久性が低い問題がある等課題があり、ガラスに替わる電極フィルムとしては、耐熱性、透明性、カール、寸法変化、耐久性をすべて兼ね備えたフィルムはなかった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、ガラスに替わる電極フィルムとしての、耐熱性、透明性、カール、寸法変化、耐久性をすべて兼ね備えたガスバリアフィルムを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、そのようなガスバリアフィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、吸水率が低く透明性の高い、ガラス転移温度の高い環状オレフィンの付加(共)重合体よりなるフィルムに、プラズマ化学気相成長法で酸化珪素膜を形成することにより、相乗効果的に水蒸気バリア性を高められることを見出したことによりなされたものである。発明者らは、得られたガスバリアフィルムが、電極基板としての好適な耐熱性、透明性、カール、寸法変化、耐久性を兼ね備えていることを見出した。
【0009】
本発明に係るガスバリアフィルムは、環状オレフィンとエチレンとの共重合比率が、80:20〜90:10であり、ガラス転移温度が170℃以上の環状オレフィンの付加(共)重合体よりなるフィルムシートの少なくとも片面に、プラズマ化学気相成長法によって厚み30〜300nmの酸化珪素膜を形成することによって、水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下にされてなる。
【0010】
上記酸化珪素膜の上面に形成された、紫外線硬化型のアクリル樹脂を主成分とした耐薬品性および鉛筆硬度がHB以上の表面硬度を有するハードコート層をさらに備え、該のハードコート層の表面粗さが算術平均でRa=10nm以下にされているのが好ましい。
【0011】
上記フィルムシートは、その両面に、紫外線硬化型のアクリル樹脂を主成分とした耐薬品性および鉛筆硬度がHB以上の表面硬度を有するハードコート層をさらに有し、160℃環境下で30分間放置した後の、カール値が5mm以下にされているのが好ましい。
【0012】
上記ハードコート層の上に、表面抵抗値500Ω/□以下の透明電極が形成される。
【0013】
より好ましくは、上記ガスバリアフィルムは、モコン法による40℃×100%での測定環境において、24hr経過時の水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下であり、48hr経過時の水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下であり、かつ160℃環境下で30分間放置した後のモコン法による40℃×100%での測定環境において、24hr経過時の水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下であり、48hr経過時の水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下にされる。
【0014】
このようなガスバリアフィルムは、ディスプレイまたは太陽電池に好ましく用いられる。
【0015】
本発明の他の局面に従う方法は、水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下であるガスバリアフィルムの製造方法に係る。まず、環状オレフィンとエチレンとの共重合比率が、80:20〜90:10であり、ガラス転移温度が170℃以上の環状オレフィンの付加(共)重合体よりなるフィルムシートを準備する。上記環状オレフィンの付加(共)重合体よりなるフィルムシートとの初期密着強度が、30g/10mm以下であり、かつ120℃×10min熱処理後の密着強度が、30g/10mm以下である、厚みが60μm以下の粘着フィルムを準備する。上記フィルムシートと上記粘着フィルムを貼合した状態で、その裏面にプラズマ化学気相成長法によって厚み30〜300nmの酸化珪素膜を形成する。
【0016】
上記自己粘着フィルムは、環状オレフィンフィルムに酸化珪素膜を形成する際に、裏面へのキズが入るのを防止する目的と、フィルムが破断しないように補助する目的(環状オレフィンフィルムはフィルムがもろいためにロールtoロールでのプラズマ化学気相成長による酸化珪素膜を形成する装置で破断しやすい)と、加工したフィルムにブロッキングやしわを発生させないで巻き上げるため、の3つの目的で使用される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のガスバリアフィルムによれば、電極基板としての好適な耐熱性、透明性、カール、寸法変化、耐久性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のガラス基板を用いた有機EL素子の構造を示す図である。
【図2】樹脂基板を用いた有機EL素子の構造を示す図である。
【図3】実施例1に係るガスバリアフィルムの製造方法の工程を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ガラスに替わる電極フィルムとしての、耐熱性、透明性、カール、寸法変化、耐久性をすべて兼ね備えたガスバリアフィルムを得るという目的を、吸水率が低く透明性の高い、ガラス転移温度の高い環状オレフィンの付加(共)重合体よりなるフィルムに、プラズマ化学気相成長法で酸化珪素膜を形成することによって実現した。以下、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0020】
ノルボルネンとエチレンとの共重合比率が、82:18であり、ガラス転移温度180℃の共重合体を、溶融押出法により、厚みが100μmになるように押し出し、フィルムを作成した。次いで、図3(A)を参照して、得られたフィルム10の片面に厚み50μmのポリエチレンを主成分とした自己粘着フィルム11を貼合した。密着強度は、12g/10mmであった。
【0021】
次いでこれをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、自己粘着フィルム11を貼合した面とは反対の面に、下記条件にて、厚さ150nmの酸化珪素膜12を形成して、透明ガスバリア性フィルムを得た。得られた透明ガスバリア性フィルムの水蒸気透過率の値を、表1に記載する。次いで、自己粘着フィルム11を剥がした。自己粘着フィルム11を剥がす際の密着強度は、22g/10mmであった。
【0022】
(成膜条件)
・成膜速度;30m/min
・プラズマパワー;14kW
・反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素:ヘリウム=1:3:1
・真空チャンバー内真空度;0.3Pa
【0023】
次に、図3(B)を参照して、酸化珪素膜12の上面に138W・min/m2の処理電力でコロナ処理を施し、その酸化珪素膜12の上面に、紫外線硬化型のアクリル樹脂を主成分としたハードコート剤を塗布し、紫外線照射装置にて硬化させることによって、厚みが5μmのハードコート層13を設けた。その表面の鉛筆硬度はH、表面粗さの算術平均でRa=0.6nmであった。
【0024】
裏面にも138W・min/m2の処理電力でコロナ処理を施し、その上面に紫外線硬化型のアクリル樹脂を主成分としたハードコート剤を塗布し、紫外線照射装置にて硬化させることによって、厚みが3μmのハードコート層14を設けた。その表面の鉛筆硬度はH、表面粗さの算術平均でRa=0.6nmであった。得られたフィルムを160℃環境下で30分間放置した後の、カール値は3mmであった。得られた電極フィルムの全光線透過率は、92.5%、ヘイズは0.15%であった。
【0025】
さらに、図3(C)を参照して、酸化珪素膜12、ハードコート層13と積層された上面に、スパッタリング装置を用い、表面抵抗値が250Ω/□になるようにITO膜(透明導電膜、酸化インジウムスズ)15を形成した。得られた電極フィルムを160℃環境下で30分間放置した際の収縮率は、MD/TD=0.08/0.05%であった。
【0026】
さらにITO表面にパターンを形成するためウェットエッチングを行った。5%塩酸、25%苛性ソーダを用いたエッチング工程において、外観等の不具合は発生しなかった。さらに、キシレンに5分間浸漬し、次いでトルエンに5分間浸漬した後乾燥した。外観等の不具合は発生しなかった。得られたフィルムの水蒸気透過率の値を表2に記載する。
【実施例2】
【0027】
ノルボルネンとエチレンとの共重合比率が、82:18であり、ガラス転移温度180℃の環状オレフィンとエチレンとの共重合を溶融押出法にて厚みが150μmになるようにフィルムを作成した。次いで片面に厚み30μmのポリエチレンを主成分とした自己粘着フィルムを貼合した。密着強度は、10g/10mmであった。
【0028】
次いでこれをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、自己粘着フィルムを貼合した面とは反対の面に、下記条件にて厚さ180nmの酸化珪素膜を形成して、実施例にかかる透明ガスバリア性フィルムを得た。得られた透明ガスバリア性フィルムの水蒸気透過率の値を表1に記載する。次いで、自己粘着フィルムを剥がした。自己粘着フィルムを剥がす際の密着強度は、15g/10mmであった。
【0029】
(成膜条件)
・成膜速度;30m/min
・プラズマパワー;16kW
・反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素:ヘリウム=1:3:3
・真空チャンバー内真空度;0.2Pa
【0030】
次に、酸化珪素膜の上面に138W・min/m2の処理電力でコロナ処理を施し、その上面に紫外線硬化型のアクリル樹脂を主成分としたハードコート剤を塗布し、紫外線照射装置にて硬化させることによって厚みが5μmのハードコート層を設けた。その表面の鉛筆硬度はH、表面粗さの算術平均でRa=0.8nmであった。
【0031】
裏面にも138W・min/m2の処理電力でコロナ処理を施し、その上面に紫外線硬化型のアクリル樹脂を主成分としたハードコート剤を塗布し、紫外線照射装置にて硬化させることによって厚みが3μmのハードコート層を設けた。その表面の鉛筆硬度はH、表面粗さの算術平均でRa=0.9nmであった。得られたフィルムを160℃環境下で30分間放置した後の、カール値は4mmであった。得られた電極フィルムの全光線透過率は、92.1%、ヘイズは0.40%であった。
【0032】
さらに、酸化珪素膜、ハードコート層と積層された面とは反対の面に、スパッタリング装置を用い、表面抵抗値が300Ω/□になるようにITO膜を形成した。得られた電極フィルムを160℃環境下で30分間放置した際の収縮率は、MD/TD=0.10/0.08%であった。
【0033】
さらにITO表面に線巾10mmのストライプ状のパターンを形成するためウェットエッチングを行った。5%塩酸、25%苛性ソーダを用いたエッチング工程において、外観等の不具合は発生しなかった。さらに、キシレンに5分間浸漬し、次いでトルエンに5分間浸漬した後乾燥した。外観等の不具合は発生しなかった。得られたフィルムの水蒸気透過率の値を表2に記載する。
[比較例1]
【0034】
ノルボルネンとエチレンとの共重合比率が、77:23であり、ガラス転移温度140℃の環状オレフィンとエチレンとの共重合を溶融押出法にて厚みが100μmになるようにフィルムを作成した。次いで片面に厚み30μmのポリエチレンを主成分とした自己粘着フィルムを貼合した。密着強度は、10g/10mmであった。
【0035】
次いでこれをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、上記実施例1と同一条件にて酸化珪素膜を形成して、本比較例にかかる透明ガスバリア性フィルムを得た。次いで、自己粘着フィルムを剥がした。自己粘着フィルムを剥がす際の密着強度は、11g/10mmであった。
[比較例2]
【0036】
厚さ100μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡社製E5100)を使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、同フィルムのコロナ処理面に上記実施例1と同一条件にて酸化珪素膜を形成して、透明ガスバリア性フィルムを得た。
【表1】

【表2】

【0037】
(環状オレフィンとエチレンとの共重合体)
本発明で使用する環状オレフィンとエチレンとの共重合体の吸水率(23℃/24時間)は、通常、0.005〜0.1%程度であるのが好ましい。吸水率が、0.1%を超えると、得られる基板の寸法安定性が低下する傾向にある。
本発明で使用する環状オレフィンとエチレンとの共重合体の屈折率は、通常、1.49〜1.55程度であり、光線透過率は、93.0〜90.8%程度である。
環状オレフィンとエチレンとの共重合体には紫外線吸収剤、無機や有機のアンチブロッキング剤、滑剤、静電気防止剤、安定剤等各種公知の添加剤を合目的に添加してもよい。
【0038】
(製造方法)
環状オレフィンとエチレンとの共重合体からフィルムを得る方法は特に限定はなく、例えば溶液流延法、押出し法、カレンダー法等が例示できる。
【0039】
(フィルム厚み)
環状オレフィンとエチレンとの共重合体からフィルムは、20〜300μmが好ましく、さらに好ましくは、40〜200μmである。薄すぎるとフィルム強度が不足する傾向にあり、フィルム強度が十分であれば必要以上に厚くする必要はない。
【0040】
(表面処理)
環状オレフィンとエチレンとの共重合フィルム表面の濡れ性及び接着性を向上させるために、フレーム処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、イトロ処理、プライマー処理、化学薬品処理などの表面改質処理を行ってもよい。コロナ放電処理及び紫外線照射処理は、空気中、窒素ガス中、希ガス中等で行うことができる。このような表面改質処理によって、環状オレフィン系樹脂フィルム表面の濡れ張力を、450μN/cm(23℃)以上とすることが好ましく、500μN/cm(23℃)以上とすることがより好ましい。
【0041】
(延伸)
環状オレフィンとエチレンとの共重合体フィルムを延伸することによって、リタデーションを制御することができる。手法は特に限定はなく、例えばロール延伸法、テンタークリップ延伸法、圧延法等が例示できる。
【0042】
(ハードコート)
本発明の環状オレフィンとエチレンとの共重合体フィルムの片面または両面に設けるハードコートに使用する塗料の種類に特に制限はない。光学特性を損なわない性能を有したアクリル系、ウレタン系、シリコン系等の熱硬化型あるいは紫外線硬化型のハードコート用塗料が適している。
またハードコート層には、屋外で使用する際の外光の映り込みを防止する目的等で必要に応じてアンチグレア性能を付与させることができる。アンチグレア性能を付与させる手段に特に制限はなく、例えばシリカ粒子または有機系微粒子等を前述の塗料に適量混合させハードコート層を形成する方法や、ハードコート層の表面に凹凸形状を転写する方式などが使用できる。
【0043】
(収縮率)
収縮率の測定は、100×100mmのサイズに切り出したフィルムの4辺の長さを速長機を用い、0.001mm単位で測定し、次いで測定したフィルムを160℃に設定したオーブンに30分間投入した後取りだし、再度フィルムの4辺の長さを速長機を用い、0.001mm単位で測定し、4辺の長さのそれぞれの変化量を求めた。2枚ずつ測定し、MD方向、TD方向それぞれについて平均値を求め収縮率とした。値がマイナスの場合は収縮を意味し、プラスの場合は膨張を意味する。
【0044】
(カール)
100×100mmサイズに切り取ったフィルムを凸面が上になるように、平坦なステージの上において、中心部がステージから浮いている距離を測定した。
【0045】
(表面抵抗値)
ITO膜の表面抵抗値は、三菱化学アナリテック社製の抵抗率計「ロレスタ」を用い、4端子4探針方により測定した。
【0046】
(水蒸気透過率)
【0047】
MOCON社製PERMATRAN 3/31を用いて40℃、100%RHの条件にて測定を行った。
【0048】
なお、測定は、24時間経過後、48時間経過後、160℃環境下で30分間放置した後、24時間経過後、48時間経過後で実施した。
【0049】
(酸化珪素膜の膜厚測定)
リガク製蛍光X線分析装置RIX−2000を用いて単位膜中のSi強度を測定し、ピーク強度から検量線により酸化珪素膜の膜厚換算を行った。
【0050】
(表面粗さ)
表面粗さは、島津製作所製SPMを用いコンタクトモードにて、10×10μm角面積内のRa値を測定した。
【0051】
(表面硬度)
JIS-K5600−5−4に準じて測定した。荷重750gfで測定した。
【0052】
(密着強度)
粘着フィルムの密着強度は、HEIDON社製剥離試験機を用いて、180度剥離によって測定した。
【0053】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係るガスバリアフィルムは、透明性、耐熱性、ガスバリア性に優れるために、フレキシブルデバイスの透明基板等に好適なロールtoロールで加工可能となり、ディスプレイまたは太陽電池に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ガラス基板
2 下部電極
3 上部電極
4 有機EL素子部
5 封止用メタル缶
6 乾燥剤
7 樹脂基板
8 ガスバリア層
9 封止用保護膜
10 フィルム
11 自己粘着フィルム
12 酸化珪素膜
13,14 ハードコート層
15 ITO膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オレフィンとエチレンとの共重合比率が、80:20〜90:10であり、ガラス転移温度が170℃以上の環状オレフィンの付加(共)重合体よりなるフィルムシートの少なくとも片面に、プラズマ化学気相成長法によって厚み30〜300nmの酸化珪素膜を形成することによって、水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下にされたガスバリアフィルム。
【請求項2】
前記酸化珪素膜の上面に形成された、紫外線硬化型のアクリル樹脂を主成分とした耐薬品性および鉛筆硬度がHB以上の表面硬度を有するハードコート層をさらに備え、該ハードコート層の表面粗さが算術平均でRa=10nm以下にされている、請求項1に記載のガスバリアフィルム。
【請求項3】
前記フィルムシートは、その両面に、紫外線硬化型のアクリル樹脂を主成分とした耐薬品性および鉛筆硬度がHB以上の表面硬度を有するハードコート層をさらに有し、160℃環境下で30分間放置した後の、カール値が5mm以下にされている、請求項1に記載のガスバリアフィルム。
【請求項4】
前記ハードコート層の上に形成された、表面抵抗値500Ω/□以下の透明電極を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
【請求項5】
モコン法による40℃×100%での測定環境において、24hr経過時の水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下であり、48hr経過時の水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下であり、かつ160℃環境下で30分間放置した後のモコン法による40℃×100%での測定環境において、24hr経過時の水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下であり、48hr経過時の水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下にされた請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
【請求項6】
請求項1〜5に記載のガスバリアフィルムを用いたディスプレイまたは太陽電池。
【請求項7】
水蒸気透過度が0.3g/m2・day以下であるガスバリアフィルムの製造方法であって、
環状オレフィンとエチレンとの共重合比率が、80:20〜90:10であり、ガラス転移温度が170℃以上の環状オレフィンの付加(共)重合体よりなるフィルムシートを準備する工程と、
前記フィルムシートとの初期密着強度が、30g/10mm以下であり、かつ120℃×10min熱処理後の密着強度が30g/10mm以下である、厚みが60μm以下の粘着フィルムを準備する工程と、
前記フィルムシートと前記粘着フィルムを貼合した状態で、その裏面にプラズマ化学気相成長法によって厚み30〜300nmの酸化珪素膜を形成する工程と、を備えたガスバリアフィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−79219(P2011−79219A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233227(P2009−233227)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】