クラッチ操作装置
【課題】クラッチレバーの保持力を軽減でき、かつ、クラッチレバーをクラッチオフ位置に確実・迅速に戻すことができるクラッチ操作装置を提供する。
【解決手段】クラッチ操作装置24は、メインクラッチレバーがクラッチオン位置に配置された状態でメイン支軸33の近傍まで牽引されるクラッチケーブル59と、サブクラッチレバー71を保持位置に配置した状態でクラッチオン位置のメインクラッチレバーに係合可能な係合手段と、サブクラッチレバー71を解放位置P3に戻す際にメインクラッチレバーをクラッチオフ位置に向けて付勢するハンマー部92とを備えている。
【解決手段】クラッチ操作装置24は、メインクラッチレバーがクラッチオン位置に配置された状態でメイン支軸33の近傍まで牽引されるクラッチケーブル59と、サブクラッチレバー71を保持位置に配置した状態でクラッチオン位置のメインクラッチレバーに係合可能な係合手段と、サブクラッチレバー71を解放位置P3に戻す際にメインクラッチレバーをクラッチオフ位置に向けて付勢するハンマー部92とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチにクラッチ連結部材を介してクラッチレバーが連結され、このクラッチレバーをクラッチオン位置に移動してクラッチ連結部材を牽引することでクラッチを接続状態に切替可能なクラッチ操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型作業機のクラッチ操作装置は、通常、クラッチレバーが支軸を軸にスイング移動自在に設けられ、クラッチレバーにクラッチ連結部材(以下、クラッチケーブルという)を介してメインクラッチが連結されている。
このクラッチ操作装置のなかには、クラッチレバーが支軸を軸にしてクラッチオン位置に保持された状態において、クラッチケーブルを支軸の中心に配置するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−336238号公報
【0003】
特許文献1のクラッチ操作装置によれば、クラッチケーブルを支軸の中心に配置することで、クラッチケーブルの反力は支軸の中心に作用する。
よって、クラッチケーブルの反力は、クラッチレバーをクラッチオン位置からクラッチオフ位置に復帰させようとする力として作用しない。
これにより、クラッチレバーをクラッチオン位置に保持するための保持力を軽減させることが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、クラッチ操作装置は製造公差や組立公差などの影響でクラッチケーブルの位置がずれることが考えられる。
クラッチケーブルの位置がずれた場合、クラッチケーブルを支軸の中心に配置した状態で、クラッチケーブルが支軸の中心を超えて(いわゆる、支点越えが生じて)クラッチオフ位置の反対側にずれる虞がある。
【0005】
クラッチケーブルがクラッチオフ位置の反対側にずれた場合、クラッチレバーをクラッチオフ位置に戻す際に、クラッチケーブルをクラッチオフ位置の反対側からクラッチオフ位置まで戻す必要がある。
このため、クラッチレバーをクラッチオフ位置に戻す際に大きな操作力が要求され、クラッチレバーをクラッチオン位置からクラッチオフ位置に迅速に戻すことが難くなることが考えられる。
【0006】
本発明は、クラッチレバーをクラッチオン位置に保持する保持力を軽減でき、さらに、クラッチレバーをクラッチオン位置からクラッチオフ位置に確実に、かつ、迅速に戻すことができるクラッチ操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、クラッチを接続状態にするクラッチオン位置およびクラッチを切断状態にするクラッチオフ位置に支軸を介して揺動自在に設けられた第1クラッチレバーと、前記第1クラッチレバーに前記クラッチを連結し、かつ、前記第1クラッチレバーが前記クラッチオン位置に配置された状態で、前記支軸の近傍まで牽引されるクラッチ連結部材と、前記第1クラッチレバーが前記クラッチオン位置に配置された状態で保持位置に配置可能で、かつ、前記第1クラッチレバーが前記クラッチオフ位置に配置された状態で解放位置に配置可能に揺動自在に設けられた第2クラッチレバーと、前記第2クラッチレバーに連動し、前記第2クラッチレバーを前記保持位置に配置した状態で前記クラッチオン位置の前記第1クラッチレバーに係合可能な係合手段と、前記第2クラッチレバーに連動し、前記第2クラッチレバーを前記解放位置に戻す際に、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオフ位置に向けて付勢する付勢手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記係合手段は、前記第1クラッチレバーを収容可能な収容凹部と、前記収容凹部に前記第1クラッチレバーを導くように退避可能で、かつ、前記収容凹部から前記第1クラッチレバーが抜け出すことを阻止するように突出可能なラチェット機構と、を備え、前記第2クラッチレバーを前記保持位置に配置した状態において、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオン位置に移動する際に、前記ラチェット機構が退避して前記第1クラッチレバーを前記収容凹部に導入可能とし、前記第2クラッチレバーを前記解放位置に配置した状態において、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオン位置に移動し、前記第1クラッチレバーの移動に対応させて前記第2クラッチレバーを前記保持位置に移動する際に、前記第1クラッチレバーを前記係合手段に係合可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、第1クラッチレバーでクラッチ連結部材を支軸の近傍まで牽引することでクラッチオン状態に切替可能とした。
クラッチ連結部材を支軸の近傍まで牽引することで、牽引により発生するクラッチ連結部材の反力のうち、クラッチレバーをクラッチオフ位置に復帰させようとする分力を小さく抑えることができる。
これにより、クラッチレバーをクラッチオン位置に保持するための保持力を軽減させることができる。
【0010】
さらに、第2クラッチレバーを解放位置に戻す際に、第1クラッチレバーをクラッチオフ位置に向けて付勢(押圧)する付勢手段を備えた。
このように、第1クラッチレバーがクラッチオフ位置へ移動するように付勢手段で付勢することで、クラッチレバーをクラッチオン位置からクラッチオフ位置に確実に、かつ、迅速に戻すことができる。
【0011】
請求項2に係る発明では、第2クラッチレバーを保持位置に配置した状態において、第1クラッチレバーをクラッチオン位置に移動する際に、ラチェット機構が退避して第1クラッチレバーを収容凹部に導入可能とした。
よって、第2クラッチレバーを解放位置から保持位置に移動した後、第1クラッチレバーをクラッチオン位置に移動する操作手順(以下、「第1操作手順」という)で第1クラッチレバーをクラッチオン状態に保持することができる。
【0012】
さらに、第2クラッチレバーを解放位置に配置した状態において、第1クラッチレバーをクラッチオン位置に移動し、第1クラッチレバーの移動に対応させて第2クラッチレバーを保持位置に移動する際に、第1クラッチレバーを係合手段に係合可能とした。
よって、第1クラッチレバーをクラッチオン位置に移動した後、第2クラッチレバーを保持位置に保持する操作手順(以下、「第2操作手順」という)で第1クラッチレバーをクラッチオン状態に保持することができる。
【0013】
これにより、第1クラッチレバーをクラッチオン状態に保持する際に、その操作手順を第1、第2の操作手順から任意に選択することができる。
したがって、第1クラッチレバーをクラッチオン状態に保持する際に、クラッチレバーの操作性を高めることができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は操作者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
なお、本実施の形態では歩行型作業機として自走式運搬車を例示するが、歩行型作業機はこれに限定するものではない。
【0015】
図1は本発明に係る自走式運搬車を示す側面図、図2は本発明に係る自走式運搬車を示す斜視図である。
自走式運搬車10は、機体フレーム11の左右側に設けられた左右のクローラ走行装置12と、機体フレーム11の上部に設けられた荷台13と、機体フレーム11の後部に設けられたエンジン14および伝動装置15と、伝動装置15から後方に向けて上り勾配に延出された左右のハンドル16,17と、左右のハンドル16,17に亘って設けられたクロスバー18と、左右のハンドル16,17の後端部16a,17aにそれぞれ設けられた左右のグリップ部21,22と、左右のハンドル16,17に設けられたクラッチ操作装置(歩行型作業機のクラッチ操作装置)24とを備えている。
【0016】
クラッチ操作装置24は、左右のハンドル16,17に設けられたメインクラッチ操作機構(第1クラッチ機構)26と、クロスバー18に設けられたサブ操作機構(第2クラッチ機構)28とを備えている。
【0017】
メインクラッチ操作機構26は、左右のハンドル16,17にそれぞれ設けられた左右の取付ブラケット31,32と、左右の取付ブラケット31,32に左右のメイン支軸(支軸)33,34を介して回動自在に設けられたメインクラッチレバー(第1クラッチレバー)35と、メインクラッチレバー35に設けられたメインクラッチ操作手段36(図3も参照)とを備えている。
【0018】
メインクラッチレバー35は、左右の端部にボス41,42がそれぞれ設けられ、左右のボス41,42(左ボス41は図3参照)が左右のメイン支軸33,34にそれぞれ回転自在に支持されている。
よって、メインクラッチレバー35は、左右のハンドル16,17に亘って設けられ、左右のメイン支軸33,34を軸にして上下方向(図2の矢印方向に)にスイング移動可能に支持されている。
【0019】
このメインクラッチレバー35は、左ボス41(図4参照)に設けられた左L形ロッド部43と、右ボス42に設けられた右L形ロッド部44と、左右のL形ロッド部43,44を連結する略コ字形のロッド部45と、左L形ロッド部43に設けられたクラッチ用連結部54(図4参照)とを備えている。
【0020】
左L形ロッド部43は略水平に配置された左把持部43aを有し、右L形ロッド部44は略水平に配置された右把持部44aを有する。
左右の把持部43a,44aは、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1、クラッチオフ位置P2(図3参照)に切り替える際に把持する部位である。
【0021】
クラッチ用連結部54は、図4に示すように、左L形ロッド部43に設けられた脚部55と、脚部55の端部から機体フレーム中心に向けて延出された水平延出部56と備え、脚部55および水平延出部56で略L字状に形成されたロッド部である。
このクラッチ用連結部54は、図4に示すように、水平延出部56の基部(以下、「保持ロッド部」という)56aがサブ操作機構28に係合可能に形成されている。
【0022】
図3は図2の3矢視図、図4は本発明に係るクラッチ操作装置(第1実施の形態)を示す斜視図である。
メインクラッチ操作手段36は、左ボス41に設けられたブレーキ操作部46と、左L形ロッド部43に設けられたクラッチ操作部47とを備えている。
ブレーキ操作部46は、左ボス41に設けられた略L字状のブレーキ用連結部51と、ブレーキ用連結部51の先端部に設けられたブレーキスプリングホルダ52と、ブレーキスプリングホルダ52に設けられたブレーキスプリング53およびブレーキロッド(図示せず)と、ブレーキロッドをブレーキ(図示せず)に連結するブレーキケーブル57とを備えている。
【0023】
クラッチ操作部47は、クラッチ用連結部54(詳しくは、水平延出部56の先端部)に設けられたメイン復帰ばね58と、水平延出部56の略中央にケーブルホルダ61を介して連結されたクラッチケーブル(クラッチ連結部材)59とを備えている。
【0024】
クラッチケーブル59は、クラッチとしてのメインクラッチ60(図1参照)に連結されている。
このクラッチケーブル59は、側面視においてメイン復帰ばね58と重なるように略平行に配置されている。
【0025】
メインクラッチ操作機構26によれば、メインクラッチレバー35がクラッチオン位置P1に配置された際に、クラッチケーブル59を牽引してメインクラッチ60をオン状態に切り替え可能である。
一方、メインクラッチレバー35がクラッチオフ位置P2に配置された際に、クラッチケーブル59の牽引を解除してメインクラッチ60をオフ状態に切り替え可能である。
【0026】
サブ操作機構28は、クロスバー18に設けられた内外の支持ブラケット62,63と、内外の支持ブラケット62,63に内外のブッシュ64,65を介して回転自在に設けられたサブ支軸66と、サブ支軸66に設けられたカラー67と、カラー67に設けられた連結バー68と、連結バー68に設けられたサブクラッチレバー(第2クラッチレバー)71と、サブ支軸66に設けられてサブクラッチレバー71と連動する係合/付勢手段72と、サブクラッチレバー71を解放位置P3に付勢するサブ復帰ばね(弾性部材)74とを備えている。
【0027】
図5は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置を示す分解斜視図である。
内外の支持ブラケット62,63は、所定間隔をおいて、クロスバー18に設けられ、同軸上に取付孔62a,63aがそれぞれ開口されている。
カラー67は、サブ支軸66に嵌入された筒状体である。カラー67がサブ支軸66に嵌入された状態で、カラー67の取付孔67cおよびサブ支軸66の貫通孔66cにスプリングピン76が差し込まれることで、カラー67がサブ支軸66に一体に連結されている。
サブ支軸66は、カラー67の内端部67aから内端部66aが突出され、カラー67の外端部67bから外端部66bが突出されている。
【0028】
カラー67の内端部67aから突出した内端部66aは、内支持ブラケット62の取付孔62aに内ブッシュ64を介して回動自在に支持されている。
カラー67の外端部67bから突出した外端部66bは、外支持ブラケット63の取付孔63aに外ブッシュ65を介して回動自在に支持されている。
【0029】
また、サブ支軸66の外端部66b近傍にはロックピン77が、サブ支軸66の軸線方向に対して直交する方向に貫通され、両端部77aがサブ支軸66から突出されている。
ロックピン77の両端部77aに係合/付勢手段72の係止溝78,78が係合され、係合/付勢手段72がサブ支軸66とともに回転するように連結されている。
【0030】
なお、係合/付勢手段72とカラー67との間には、スラストワッシャ81がサブ支軸66に嵌合された状態で配置されている。
さらに、係合/付勢手段72と外ブッシュ65との間には、スラストワッシャ82がサブ支軸66に嵌合された状態で配置されている。
【0031】
図4に戻って、連結バー68は、カラー67の略中央部から上方に向けて連結脚部84が立ち上げられ、連結脚部84の上端から連結水平部85が左ハンドル16の上方まで折り曲げられている。
この連結バー68は、連結脚部84および連結水平部85で略L字状に形成されている。
【0032】
連結水平部85の端部85aにサブクラッチレバー71の前端部71aが設けられている。
サブクラッチレバー71は、左グリップ部21の外周に沿うように断面略湾曲状に形成され、左グリップ部21の上方に配置されている。
このサブクラッチレバー71は、左グリップ部21の上方の解放位置P3(図3参照)と、左グリップ部21の上部に重ね合わせた保持位置P4(図3参照)とに移動可能に支えられている。
【0033】
サブ復帰ばね74は、カラー67に嵌合され、一端部74aが内支持ブラケット62に係止され、他端部74bが連結バー68(具体的には、連結脚部84)に係止されたコイルばねである。
このサブ復帰ばね74で連結バー68を前方に向けて付勢することで、サブクラッチレバー71を解放位置P3(図3参照)に復帰(退避)させることが可能である。
【0034】
ここで、図6および図7に基づいてメインクラッチレバー35およびサブクラッチレバー71の作動を説明する。
図6は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のクラッチオフ状態を示す側面図、図7は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のクラッチオン状態を示す側面図である。
メインクラッチレバー35が左右のメイン支軸33,34(右メイン支軸34は図2参照)を軸にしてクラッチオフ位置P2からクラッチオン位置P1まで矢印Aの如くスイング移動する。
【0035】
メインクラッチレバー35がスイング移動することで、クラッチケーブル59が矢印Bの如く牽引されてメインクラッチ60(図1参照)がオン状態に切り替えられる。
図7に示すように、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持した状態において、クラッチケーブル59が左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
【0036】
ここで、クラッチケーブル59は、図3に示すように、側面視においてメイン復帰ばね58と重なるように略平行に配置されている。
よって、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持した状態において、メイン復帰ばね58(図3参照)も左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
【0037】
一方、サブクラッチレバー71がサブ支軸66を軸にして解放位置P3から矢印Cの如く保持位置P4までスイング移動する。
サブクラッチレバー71がスイング移動することで、係合/付勢手段72がサブ支軸66を軸にして矢印Dの如くスイング移動する。
サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持した状態で、係合/付勢手段72で、メインクラッチレバー35の保持ロッド部56aが保持される(図7参照)。
これにより、メインクラッチレバー35がクラッチオン位置P1に保持される。
つぎに、係合/付勢手段72の構成を図8および図9に基づいて詳しく説明する。
【0038】
図8は第1実施の形態に係る係合/付勢手段を示す斜視図、図9は第1実施の形態に係る係合/付勢手段を示す分解斜視図である。
係合/付勢手段72は、サブ支軸66に嵌合された状態でロックピン77に係止可能なハンマーブラケット86と、ハンマーブラケット86に設けられたラチェット機構88とを備えている。
【0039】
ハンマーブラケット86は、基部91aがサブ支軸66に嵌合されたブラケット本体91と、ブラケット本体91の基部91aから突出されたハンマー部(付勢手段)92とを備えている。
ブラケット本体91は、基部91aに嵌合孔94が形成され、嵌合孔94に係止溝78,78が形成され、先端部91bにスタッドボルト95およびストッパピン96がそれぞれ設けられている。
スタッドボルト95およびストッパピン96は、機体フレーム中心に向けてそれぞれ突出されている。
【0040】
ストッパピン96は、後述するロックばね102の一端102aを支える平坦部96aを有することで断面略半月状に形成されている。
ハンマー部92は、ブラケット本体91の基部91aから下方に向けて突出された突起部である。
このハンマー部92は、サブクラッチレバー71を解放位置P3に戻す際に、メインクラッチレバー35をクラッチオフ位置P2に向けて付勢(押圧)する部位である。
【0041】
ハンマー部92および基部91aで、図7に示すメインクラッチレバー35(保持ロッド部56a)を収容可能な略く字状の収容凹部98が形成されている。
このハンマーブラケット86は、ブラケット本体91の嵌合孔94がサブ支軸66に嵌合され、係止溝78,78がロックピン77の両端部77aに係合されている。
【0042】
ここで、係止溝78は、一端78aと他端78bとが所定角θ1をおいて形成されている。そして、ロックピン77の両端部77aが一端78a,78aに当接する位置と他端78b,78bに当接する位置の間で、ハンマーブラケット86がサブ支軸66を軸にして所定角θ2の範囲で揺動自在に取り付けられている。
【0043】
また、ロックピン77の両端部77aが一端78a,78aに当接した状態で、サブ支軸66が矢印の如く時計回り方向に回動する際に、サブ支軸66と一体にハンマーブラケット86が矢印の如く時計回り方向に回転可能に取り付けられている。
【0044】
このように、ハンマーブラケット86を所定角θ2の範囲で揺動自在に取り付けることで、後述する第1、第2の操作手順でメインクラッチレバー35(保持ロッド部56a)をハンマーブラケット86の収容凹部98に確実に収容することができる(図11(a)、図14(b)参照)。
【0045】
ハンマーブラケット86の先端部91bにスタッドボルト95を介してラチェット機構88が回動自在に取り付けられている。
ラチェット機構88は、ハンマーブラケット86のスタッドボルト95に回動自在に取り付けられたラチェット101と、ラチェット101を係合位置P5に保持するロックばね102と、ロックばね102を覆うラチェットカバー103と、スタッドボルト95にねじ結合されたナット104と、ラチェット101および先端部91b間に介在されたスラストワッシャ105とを備えている。
【0046】
ラチェット101は、スタッド嵌合孔107およびばね収納部108が形成されたラチェット本体106と、ラチェット本体106から突出されたラチェット爪109とを備えている。
ラチェット本体106は、略三角形に形成され、頂部106aにスタッド嵌合孔107が形成され、頂部に対向する辺106bに沿ってばね収納部108が形成されている。
【0047】
ばね収納部108は、ロックばね102やストッパピン96を収納可能に形成された長孔状の開口部で、一端部108aがストッパピン96を受入可能に湾曲状に形成され、他端部108bがロックばね102の他端102bを支持可能に直線状に形成されている。
ラチェット爪109は、ラチェット本体106のうち、ばね収納部108の他端部108b近傍からハンマーブラケット86のハンマー部92に向けて突出されている。
【0048】
このラチェット機構88は、スタッドボルト95にスラストワッシャ105およびラチェット101が嵌合されることで、ばね収納部108の一端部108a側にストッパピン96が差し込まれている。
さらに、ばね収納部108内にグリースが充填された状態でロックばね102が収納されている。
ロックばね102は、ストッパピン96の平坦部96aに一端102aが接し、ばね収納部108の他端部108bに他端102bが接した状態に保持されている。
【0049】
ラチェットカバー103がスタッドボルト95に嵌合されることで、ラチェットカバー103がラチェット本体106に重ねられる。
よって、ラチェットカバー103でばね収納部108(すなわち、ロックばね102)が覆われている。
ラチェットカバー103から突出したスタッドボルト95のねじ部95aにナット104がねじ結合されている。
【0050】
このラチェット機構88は、スタッドボルト95を軸にして矢印E−F方向(図8参照)にスイング移動(揺動)自在に支持されている。
よって、ラチェット機構88を、収容凹部98に保持ロッド部56aを導入可能な退避位置P6(図11(a)も参照)と、収容凹部98の保持ロッド部56aが抜出不能な係合位置P5とにスイング移動させることができる。
【0051】
以下、ラチェット機構88の作動を詳しく説明する。
ラチェット機構88は、ロックばね102の付勢力(ばね力)で矢印E方向に付勢され、ストッパピン96がばね収納部108の一端部108aに当接されている。この状態で、ラチェット爪109が係合位置P5に突出した状態(すなわち、略く字状の収容凹部98側に突出した状態)に保持されている。
よって、ラチェット爪109の先端部109aがハンマー部92に対して所定間隔をおいて対向するように配置されている。
【0052】
ラチェット爪109の先端部109aがハンマー部92に対向することで、略く字状の収容凹部98および先端部109aで断面略コ字状の係合溝部114が形成されている。
係合溝部114は、保持ロッド部56aをクラッチオン位置に保持可能な溝部である。
すなわち、係合溝部114に保持ロッド部56aを係合させることで、係合溝部114から保持ロッド部56aが抜け出さないように係合手段113で保持できる。
係合手段113は、保持ロッド部56aを収容可能な収容凹部98と、係合溝部114の一部壁面を形成するラチェット機構88とで構成されている。
【0053】
ここで、ラチェット爪109の先端面109aは、図7に示すように、保持ロッド部56aが係合溝部114から抜け出すことを阻止可能に傾斜状に形成されている。よって、ラチェット爪109の先端面109aで保持ロッド部56aを一層良好に支えることができる。
これにより、係合手段113は、保持ロッド部56aが係合溝部114から抜け出すことを防いで、保持ロッド部56aを係合溝部114に確実に係合(保持)することができる。
【0054】
一方、ラチェット機構88は、ラチェット爪109に荷重F1が矢印の如く作用した際に、ラチェット101がロックばね102のばね力に抗して矢印Fの如く収容凹部98から退避するようにスイング移動する。
よって、ラチェット爪109がハンマーブラケット86に重なる退避位置P6に配置される。
これにより、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に向けて移動する際に、保持ロッド部56aでラチェット爪109を押圧することで退避位置P6に退避させ、保持ロッド部56aを係合溝部114に導く(導入する)ことができる。
【0055】
図6、図7に戻って、ハンマー部92および係合手段113について詳しく説明する。
ハンマー部92は、サブクラッチレバー71がサブ復帰ばね74のばね力で保持位置P4から解放位置P3にスイング移動(退避)する際に、サブクラッチレバー71に連動して矢印G(図7参照)の如くスイング移動する部位である。
【0056】
ハンマー部92が矢印Gの如くスイング移動することで、ハンマー部92で保持ロッド部56aを押圧することができる。
これにより、クラッチオン位置P1のメインクラッチレバー35がクラッチオフ位置P2にスイング移動することをハンマー部92で補助(アシスト)することが可能である。
【0057】
係合手段113の係合溝部114は、図6に示すように、サブクラッチレバー71を解放位置P3に配置した状態において、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に矢印Aの如くスイング移動する際に、保持ロッド部56aを受入可能(収容可能)に構成されている。
【0058】
また、係合手段113の係合溝部114は、図7に示すように、サブクラッチレバー71を保持位置P4に配置した状態において、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に矢印Aの如くスイング移動する際に、保持ロッド部56aがラチェット爪109を押圧して、ラチェット爪109をロックばね102のばね力に抗して退避位置P6まで退避可能に構成されている。
ラチェット爪109を退避位置P6まで退避させることで、収容凹部98に保持ロッド部56aを導く(導入する)ことができる。
【0059】
図3に戻って、クラッチ操作装置24は、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1まで揺動させてメインクラッチ60(図1参照)をオン状態に切り替えるようにした。
そして、サブクラッチレバー71を保持位置P4に揺動させて係合手段113でメインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持するようにした。
【0060】
このように、クラッチ操作装置24にメインクラッチレバー35およびサブクラッチレバー71の2本のレバーを備えることで、それぞれのレバー35,71を操作し易い部位に設けることが可能になる。
これにより、メインクラッチレバー35およびサブクラッチレバー71の操作性を高めることができる。
【0061】
加えて、クラッチ操作装置24は、サブクラッチレバー71を保持位置P4から解放位置P3に退避させる(付勢する)サブ復帰ばね74を備えている。
よって、サブクラッチレバー71から操作力(保持力)を解除することで、サブクラッチレバー71をサブ復帰ばね74で保持位置P4から解放位置P3に退避させることができる。
【0062】
サブクラッチレバー71が保持位置P4から退避することで、係合手段113によるメインクラッチレバー35の保持が解除され、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1から解放できる。
これにより、操作者はサブクラッチレバー71から手を離すだけで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1から解放することができるので、操作性をさらに高めることができる。
【0063】
ここで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1まで揺動させる際には、メインクラッチレバー35にメインクラッチ60(図1参照)を連結するクラッチケーブル59を強く牽引する必要がある。
さらに、メイン復帰ばね58を左メイン支軸33の中心33a(図7参照)近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引する必要がある。
このため、メインクラッチレバー35をクラッチオフ位置P2からクラッチオン位置P1まで揺動させる際に比較的大きな操作力を必要とする。
【0064】
また、左右のハンドル16,17は、通常操作者の腰部近傍の高さに配置されている。
ここで、操作者は、一般に手を腰部の下方から上方に持ち上げる際に、大きな引上力を比較的容易に作用させることが可能である。
そこで、メインクラッチレバー35を左右のハンドル16,17の下方に設け、クラッチオン位置P1まで上方に向けて操作するようにした。
【0065】
よって、操作者は腰部の下方に手を下げてクラッチオフ位置P2のメインクラッチレバー35を握り、クラッチオン位置P1まで手で上方に引き上げることができる。
これにより、操作者はメインクラッチレバー35を比較的容易にクラッチオン位置P1まで揺動させる(引き上げる)ことができ、メインクラッチレバー35の操作性を高めることができる。
【0066】
一方、自走式運搬車10を駆動する間(すなわち、比較的長い時間)、サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持する必要がある。
このため、サブクラッチレバー71を保持位置P4に比較的容易に保持できることが好ましい。
そこで、サブクラッチレバー71を左右のハンドル16,17の上方に設け、保持位置P4まで下方に向けて操作するようにした。
【0067】
よって、操作者はサブクラッチレバー71に手を載せた状態で、サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持することができる。
これにより、サブクラッチレバー71を保持位置P4に比較的容易に保持でき、サブクラッチレバー71の操作性を高めることができる。
【0068】
つぎに、クラッチ操作装置10のサブクラッチレバー71を保持位置P4に保持した状態で、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する例を図10〜図13に基づいて説明する。
なお、図10〜図13においては作用の理解を容易にするために左右のメイン支軸33,34のうち左メイン支軸33のみを図示する。
図10(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のサブクラッチレバーを保持位置に保持する例を説明する図である。
(a)において、メインクラッチレバー35がメイン復帰ばね58のばね力でクラッチオフ位置P2に配置されている。
サブクラッチレバー71がサブ復帰ばね74のばね力で左グリップ部21上方の解放位置P3に配置されている。
【0069】
操作者の左手でサブクラッチレバー71に操作力F2を作用させる。サブクラッチレバー71がサブ支軸66を軸にして左グリップ部21に向けて矢印Hの如くスイング移動する。
サブクラッチレバー71がスイング移動することで、サブ復帰ばね74が弾性変形するとともにサブ支軸66が反時計回り方向に回動する。
サブ支軸66が回動することで、係合/付勢手段72がサブ支軸66を軸にしてロック解除位置P7から矢印Iの如く前方に向けてスイング移動する。
【0070】
(b)において、サブクラッチレバー71が保持位置P4に保持され、サブクラッチレバー71が左グリップ部21の上部に重ね合わされる。
また、係合/付勢手段72がロック位置P8に配置される。
この状態で、操作者の右手でメインクラッチレバー35に操作力F3を作用させる。メインクラッチレバー35が左メイン支軸33を軸にして矢印Jの如く後方に向けてスイング移動する。
メインクラッチレバー35がスイング移動することで、メイン復帰ばね58が弾性変形するとともに、クラッチケーブル59(図6参照)が牽引される。
【0071】
図11(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
(a)において、メインクラッチレバー35が矢印Jの如く継続してスイング移動することで、保持ロッド部56aがラチェット爪109に当接する。
保持ロッド部56aがラチェット爪109に当接した後、保持ロッド部56aがメインクラッチレバー35とともに矢印Jの如く継続して移動することで、保持ロッド部56aでラチェット爪109をブラケット本体91側に押圧する。
【0072】
ラチェット爪109が、ロックばね102のばね力に抗して、スタッドボルト95を軸にして矢印Kの如く収容凹部98から退避する。
ここで、ハンマーブラケット86は所定角θ2(図8参照)の範囲で揺動自在に取り付けられている。
よって、ラチェット爪109を退避させるとともにハンマーブラケット86(すなわち、係合/付勢手段72)を揺動させることで、保持ロッド部56aを収容凹部98に向けて矢印Jの如く移動させることができる。
【0073】
(b)において、保持ロッド部56aがラチェット爪109を通過して収容凹部98まで移動する。
ラチェット爪109が、ロックばね102のばね力で矢印Lの如く収容凹部98側に突出する。突出したラチェット爪109の先端面109aおよび収容凹部98で係合溝部114が形成され、係合溝部114に保持ロッド部56aが抜出不能に係合(保持)される。
【0074】
図12(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
(a)において、保持ロッド部56aが係合溝部114から抜出不能に保持されることで、メインクラッチレバー35から操作力F3(図11(b)参照)を除去した状態で(メインクラッチレバー35から操作者の右手を離した状態で)、メインクラッチレバー35がクラッチオンP1に保持される。
よって、操作者の左手でサブクラッチレバー71に保持力F2を作用させるだけで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持することができる。
【0075】
(b)において、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持した状態において、クラッチケーブル59が左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
よって、牽引により発生するクラッチケーブル59の反力F4のうち、左メイン支軸33の中心33aに向けて作用する分力F5が大きくなり、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1からクラッチオフ位置P2(図10(a)参照)に復帰させようとする復帰分力F6を小さく抑えることができる。
【0076】
この状態において、図10に示すメイン復帰ばね58も左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
これにより、メインクラッチレバー35と同様に、メイン復帰ばね58の復帰力のうち、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1からクラッチオフ位置P2(図10(a)参照)に復帰させようとする復帰分力を小さく抑えることができる。
【0077】
このように、メインクラッチレバー35の復帰分力F6およびメイン復帰ばね58の復帰分力を小さく抑えることで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持するための保持力F2(図12(a)参照)を軽減させることができる。
【0078】
図13(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオフ位置に復帰させる例を説明する図である。
(a)において、メインクラッチレバー35をクラッチオフ位置P2に戻す際には、サブクラッチレバー71から操作力F2(図12(a)参照)を除去する。
サブクラッチレバー71がサブ復帰ばね74のばね力で保持位置P4から解放位置P3に向けて矢印Mの如くスイング移動する。
【0079】
サブクラッチレバー71がスイング移動することでサブ支軸66が時計回り方向に回動する。
サブ支軸66が回動することで、図8に示すように、ロックピン77の両端部77aが係止溝78,78の一端78a,78aに当接する。
この状態から、サブ支軸66が継続して回動することで、係合/付勢手段72がサブ支軸66を軸にしてロック位置P8から矢印Nの如く後方に向けてスイング移動する。
【0080】
係合/付勢手段72のハンマー部92が矢印Oの如くスイング移動することで、ハンマー部92が保持ロッド部56aに当接する。
ハンマー部92が矢印Oの如く継続して移動することで、ハンマー部92が保持ロッド部56aを押付力F7で矢印の如く押圧する。
【0081】
ハンマー部92が保持ロッド部56aを押圧することで、保持ロッド部56aを矢印Pの如く確実に移動することができる。
保持ロッド部56aを矢印Pの如く移動するとともに、係合/付勢手段72が矢印Nの如く継続して移動することで、係合溝部114の開口部が下方(すなわち、保持ロッド部56aの移動方向)を向く。
【0082】
(b)において、係合溝部114の開口部から保持ロッド部56aが外側に抜け出して矢印Qの如くクラッチオフ位置P2に向けて移動する。
保持ロッド部56aが矢印Qの如く移動することで、クラッチケーブル59(図12(b)参照)を左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)からクラッチオフ位置P2側に確実に離すことができる。
【0083】
これにより、メインクラッチレバー35がメイン復帰ばね58の復帰力で左メイン支軸33を軸にしてクラッチオフ位置P2まで矢印Qの如くスイング移動する。
【0084】
このように、係合/付勢手段72にハンマー部92を設けることで、サブクラッチレバー71を解放位置P3に戻す際に、メインクラッチレバー35がクラッチオフ位置P2へ移動するようにハンマー部92で補助(アシスト)することができる。
これにより、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1からクラッチオフ位置P2に確実に、かつ、迅速に戻すことができる。
【0085】
図10〜図13で説明したように、サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持した状態において、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に移動する際に、ラチェット機構88(ラチェット爪109)が退避して保持ロッド部56aを係合溝部114に収容可能とした。
よって、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する際に、サブクラッチレバー71を解放位置P3から保持位置P4に移動した後、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に移動する操作手順(以下、「第1操作手順」という)を適用することができる。
【0086】
ついで、クラッチ操作装置10のサブクラッチレバー71を解放位置P3に保持した状態で、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する例を図14〜図15に基づいて説明する。
なお、図14〜図15においては作用の理解を容易にするために左右のメイン支軸33,34のうち左メイン支軸33のみを図示する。
図14(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のサブクラッチレバーを保持位置に保持する例を説明する図である。
(a)において、メインクラッチレバー35がメイン復帰ばね58のばね力でクラッチオフ位置P2に配置されている。
サブクラッチレバー71がサブ復帰ばね74のばね力で左グリップ部21上方の解放位置P3に配置されている。
【0087】
操作者の右手でメインクラッチレバー35に操作力F3を作用させる。メインクラッチレバー35が左メイン支軸33を軸にして矢印Rの如く後方に向けてスイング移動する。
メインクラッチレバー35がスイング移動することでメイン復帰ばね58が弾性変形するとともに、クラッチケーブル59(図6参照)が牽引される。
【0088】
(b)において、保持ロッド部56aがハンマー部92に当接する。
ここで、ハンマーブラケット86は所定角θ2(図8参照)の範囲で揺動自在に取り付けられている。
よって、保持ロッド部56aに対応させてハンマーブラケット86(すなわち、係合/付勢手段72)を揺動させることで、保持ロッド部56aをハンマー部92に確実に当接させることができる。
この状態で、メインクラッチレバー35を矢印Rの如く継続してスイング移動することで、保持ロッド部56aがハンマー部92を押付力F9で矢印の如く押圧する。
【0089】
図15(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
(a)において、保持ロッド部56aがハンマー部92を押圧することで、ハンマー部92(すなわち、係合/付勢手段72)がサブ支軸66を軸にして矢印Sの如くスイング移動する。
よって、サブ支軸66が回動して、サブクラッチレバー71がサブ支軸66を軸にして解放位置P3から矢印Tの如く保持位置P4に向けてスイング移動する。
【0090】
(b)において、メインクラッチレバー35がクラッチオン位置P1までスイング移動することで、メインクラッチレバー35にサブクラッチレバー71が追従する。
すなわち、メインクラッチレバー35のスイング移動の際に、サブクラッチレバー71がメインクラッチレバー35に連動して保持位置P4(すなわち、サブクラッチレバー71が左グリップ部21の上部に重ね合わされる位置)までスイング移動(揺動)する。
保持位置P4までスイング移動したサブクラッチレバー71に保持力F2を作用させることで、サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持する。
【0091】
この状態で、係合溝部114に保持ロッド部56aが抜出不能に係合(収容)される。
よって、メインクラッチレバー35から操作力F3(図15(a)参照)を除去しても、サブクラッチレバー71に保持力F2を作用させるだけで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持することができる。
すなわち、メインクラッチレバー35から操作者の右手を離して、操作者の左手でサブクラッチレバー71に保持力F2を作用させるだけで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持することができる。
【0092】
メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持した状態において、クラッチケーブル59が左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
よって、図12(b)に示すように、牽引により発生するクラッチケーブル59の反力F4のうち、左メイン支軸33の中心33aに向けて作用する分力F5が大きくなり、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1からクラッチオフ位置P2に復帰させようとする復帰分力F6を小さく抑えることができる。
【0093】
この状態において、図14(a)に示すメイン復帰ばね58も左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
これにより、メインクラッチレバー35と同様に、メイン復帰ばね58の復帰力のうち、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1からクラッチオフ位置P2(図14(a)参照)に復帰させようとする復帰分力を小さく抑えることができる。
【0094】
このように、メインクラッチレバー35の復帰分力F6(図12(b)参照)およびメイン復帰ばね58の復帰分力を小さく抑えることで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持するための保持力F2を軽減させることができる。
【0095】
また、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1にスイング移動(揺動)する際に、メインクラッチレバー35に追従してサブクラッチレバー71を保持位置P4まで連動するようにした。
これにより、サブクラッチレバー71を操作者の手で保持位置P4までスイング移動(揺動)させる必要がないので、操作性を一層高めることができる。
【0096】
メインクラッチレバー35をクラッチオフ位置P2に復帰させる動作は、図13で説明した動作と同じであり、メインクラッチレバー35の復帰動作の説明を省略する。
【0097】
図14〜図15で説明したように、サブクラッチレバー71を解放位置P3に配置した状態において、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に移動する際に、メインクラッチレバー35を係合溝部114に係合可能(収容可能)とした。
よって、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する際に、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に移動した後、サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持する操作手順(以下、「第2操作手順」という)を適用することができる。
【0098】
これにより、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する際に、図10〜図13で説明した第1操作手順や、図14〜図15で説明した第2操作手順を任意に選択することができる。
したがって、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する際の操作性を高めることができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【0099】
以上説明したように、本発明に係るクラッチ操作装置24は、メインクラッチ操作機構26とサブ操作機構28とで構成されている。
よって、例えば、既存の自走式運搬車10にメインクラッチ操作機構26を備えている場合には、サブ操作機構28を備えるだけでクラッチ操作装置24を得ることができる。
【0100】
図16は本発明に係るクラッチ操作装置(第2実施の形態)を示す斜視図である。
第2実施の形態のクラッチ操作装置120は、第1実施の形態のクラッチ操作装置24に加えて、右側のサブ操作機構121が設けられたもので、その他の構成は第1実施の形態と同様である。
右側のサブ操作機構121は、第1実施の形態のサブ操作機構28と左右対称の部材であり、各構成部材に同じ符号を付して説明を省略する。
【0101】
第2実施の形態のクラッチ操作装置120によれば、左右のハンドル16,17に左右側のサブクラッチレバー(第2クラッチレバー)71が備えられている。
よって、左側のサブクラッチレバー71を左手で操作することができ、右側のサブクラッチレバー71を右手で操作することができる。
これにより、左右の手のうち、どちらの手でもサブクラッチレバー71を操作することが可能になり操作性の向上を図ることができる。
【0102】
なお、本発明に係るクラッチ操作装置は、前述した実施の形態に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施の形態では、歩行型作業機として自走式運搬車を例示したが、歩行型作業機はこれに限定するものではなく、耕耘機や芝刈機などの他の作業機に適用することも可能である。
【0103】
また、前記実施の形態では、クラッチ連結部材としてクラッチケーブル59を例示したが、ケーブルに限らないで、クラッチロッドなどの他の部材を使用することも可能である。
【0104】
さらに、前記実施の形態では、サブクラッチレバー71を解放位置P3に付勢する弾性部材としてサブ復帰ばね(コイルばね)74を例示したが、これに限らないで、板ばねなどの他の弾性部材を用いることも可能である。
【0105】
また、前記実施の形態では、係合手段113にラチェット機構88を備え、ラチェット爪109の先端部109aで係合溝部114の一部壁面を形成する構成について例示したが、ラチェット機構88を備えないで係合溝部114を形成することも可能である。
【0106】
さらに、前記実施の形態で示した左右のメイン支軸33,34、メインクラッチレバー35、保持ロッド部56a、クラッチケーブル59、メインクラッチ60、サブクラッチレバー71、ラチェット機構88、ハンマー部92、収容凹部98および係合手段113などは例示した形状に限定するものではなく、適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、クラッチレバーを移動してクラッチ連結部材を牽引することでクラッチを接続状態に切替可能なクラッチ操作装置を備えた歩行型作業機への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明に係る自走式運搬車を示す側面図である。
【図2】本発明に係る自走式運搬車を示す斜視図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】本発明に係るクラッチ操作装置(第1実施の形態)を示す斜視図である。
【図5】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置を示す分解斜視図である。
【図6】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のクラッチオフ状態を示す側面図である。
【図7】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のクラッチオン状態を示す側面図である。
【図8】第1実施の形態に係る係合/付勢手段を示す斜視図である。
【図9】第1実施の形態に係る係合/付勢手段を示す分解斜視図である。
【図10】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のサブクラッチレバーを保持位置に保持する例を説明する図である。
【図11】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
【図12】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
【図13】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオフ位置に復帰させる例を説明する図である。
【図14】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のサブクラッチレバーを保持位置に保持する例を説明する図である。
【図15】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
【図16】本発明に係るクラッチ操作装置(第2実施の形態)を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0109】
10…自走式運搬車(歩行型作業機)、24…クラッチ操作装置(歩行型作業機のクラッチ操作装置)、33,34…左右のメイン支軸(支軸)、35…メインクラッチレバー(第1クラッチレバー)、56a…保持ロッド部、59…クラッチケーブル(クラッチ連結部材)、60…メインクラッチ(クラッチ)、71…サブクラッチレバー(第2クラッチレバー)、88…ラチェット機構、92…ハンマー部(付勢手段)、98…収容凹部、113…係合手段、P1…クラッチオン位置、P2…クラッチオフ位置、P3…解放位置、P4…保持位置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチにクラッチ連結部材を介してクラッチレバーが連結され、このクラッチレバーをクラッチオン位置に移動してクラッチ連結部材を牽引することでクラッチを接続状態に切替可能なクラッチ操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型作業機のクラッチ操作装置は、通常、クラッチレバーが支軸を軸にスイング移動自在に設けられ、クラッチレバーにクラッチ連結部材(以下、クラッチケーブルという)を介してメインクラッチが連結されている。
このクラッチ操作装置のなかには、クラッチレバーが支軸を軸にしてクラッチオン位置に保持された状態において、クラッチケーブルを支軸の中心に配置するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−336238号公報
【0003】
特許文献1のクラッチ操作装置によれば、クラッチケーブルを支軸の中心に配置することで、クラッチケーブルの反力は支軸の中心に作用する。
よって、クラッチケーブルの反力は、クラッチレバーをクラッチオン位置からクラッチオフ位置に復帰させようとする力として作用しない。
これにより、クラッチレバーをクラッチオン位置に保持するための保持力を軽減させることが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、クラッチ操作装置は製造公差や組立公差などの影響でクラッチケーブルの位置がずれることが考えられる。
クラッチケーブルの位置がずれた場合、クラッチケーブルを支軸の中心に配置した状態で、クラッチケーブルが支軸の中心を超えて(いわゆる、支点越えが生じて)クラッチオフ位置の反対側にずれる虞がある。
【0005】
クラッチケーブルがクラッチオフ位置の反対側にずれた場合、クラッチレバーをクラッチオフ位置に戻す際に、クラッチケーブルをクラッチオフ位置の反対側からクラッチオフ位置まで戻す必要がある。
このため、クラッチレバーをクラッチオフ位置に戻す際に大きな操作力が要求され、クラッチレバーをクラッチオン位置からクラッチオフ位置に迅速に戻すことが難くなることが考えられる。
【0006】
本発明は、クラッチレバーをクラッチオン位置に保持する保持力を軽減でき、さらに、クラッチレバーをクラッチオン位置からクラッチオフ位置に確実に、かつ、迅速に戻すことができるクラッチ操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、クラッチを接続状態にするクラッチオン位置およびクラッチを切断状態にするクラッチオフ位置に支軸を介して揺動自在に設けられた第1クラッチレバーと、前記第1クラッチレバーに前記クラッチを連結し、かつ、前記第1クラッチレバーが前記クラッチオン位置に配置された状態で、前記支軸の近傍まで牽引されるクラッチ連結部材と、前記第1クラッチレバーが前記クラッチオン位置に配置された状態で保持位置に配置可能で、かつ、前記第1クラッチレバーが前記クラッチオフ位置に配置された状態で解放位置に配置可能に揺動自在に設けられた第2クラッチレバーと、前記第2クラッチレバーに連動し、前記第2クラッチレバーを前記保持位置に配置した状態で前記クラッチオン位置の前記第1クラッチレバーに係合可能な係合手段と、前記第2クラッチレバーに連動し、前記第2クラッチレバーを前記解放位置に戻す際に、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオフ位置に向けて付勢する付勢手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記係合手段は、前記第1クラッチレバーを収容可能な収容凹部と、前記収容凹部に前記第1クラッチレバーを導くように退避可能で、かつ、前記収容凹部から前記第1クラッチレバーが抜け出すことを阻止するように突出可能なラチェット機構と、を備え、前記第2クラッチレバーを前記保持位置に配置した状態において、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオン位置に移動する際に、前記ラチェット機構が退避して前記第1クラッチレバーを前記収容凹部に導入可能とし、前記第2クラッチレバーを前記解放位置に配置した状態において、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオン位置に移動し、前記第1クラッチレバーの移動に対応させて前記第2クラッチレバーを前記保持位置に移動する際に、前記第1クラッチレバーを前記係合手段に係合可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、第1クラッチレバーでクラッチ連結部材を支軸の近傍まで牽引することでクラッチオン状態に切替可能とした。
クラッチ連結部材を支軸の近傍まで牽引することで、牽引により発生するクラッチ連結部材の反力のうち、クラッチレバーをクラッチオフ位置に復帰させようとする分力を小さく抑えることができる。
これにより、クラッチレバーをクラッチオン位置に保持するための保持力を軽減させることができる。
【0010】
さらに、第2クラッチレバーを解放位置に戻す際に、第1クラッチレバーをクラッチオフ位置に向けて付勢(押圧)する付勢手段を備えた。
このように、第1クラッチレバーがクラッチオフ位置へ移動するように付勢手段で付勢することで、クラッチレバーをクラッチオン位置からクラッチオフ位置に確実に、かつ、迅速に戻すことができる。
【0011】
請求項2に係る発明では、第2クラッチレバーを保持位置に配置した状態において、第1クラッチレバーをクラッチオン位置に移動する際に、ラチェット機構が退避して第1クラッチレバーを収容凹部に導入可能とした。
よって、第2クラッチレバーを解放位置から保持位置に移動した後、第1クラッチレバーをクラッチオン位置に移動する操作手順(以下、「第1操作手順」という)で第1クラッチレバーをクラッチオン状態に保持することができる。
【0012】
さらに、第2クラッチレバーを解放位置に配置した状態において、第1クラッチレバーをクラッチオン位置に移動し、第1クラッチレバーの移動に対応させて第2クラッチレバーを保持位置に移動する際に、第1クラッチレバーを係合手段に係合可能とした。
よって、第1クラッチレバーをクラッチオン位置に移動した後、第2クラッチレバーを保持位置に保持する操作手順(以下、「第2操作手順」という)で第1クラッチレバーをクラッチオン状態に保持することができる。
【0013】
これにより、第1クラッチレバーをクラッチオン状態に保持する際に、その操作手順を第1、第2の操作手順から任意に選択することができる。
したがって、第1クラッチレバーをクラッチオン状態に保持する際に、クラッチレバーの操作性を高めることができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は操作者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
なお、本実施の形態では歩行型作業機として自走式運搬車を例示するが、歩行型作業機はこれに限定するものではない。
【0015】
図1は本発明に係る自走式運搬車を示す側面図、図2は本発明に係る自走式運搬車を示す斜視図である。
自走式運搬車10は、機体フレーム11の左右側に設けられた左右のクローラ走行装置12と、機体フレーム11の上部に設けられた荷台13と、機体フレーム11の後部に設けられたエンジン14および伝動装置15と、伝動装置15から後方に向けて上り勾配に延出された左右のハンドル16,17と、左右のハンドル16,17に亘って設けられたクロスバー18と、左右のハンドル16,17の後端部16a,17aにそれぞれ設けられた左右のグリップ部21,22と、左右のハンドル16,17に設けられたクラッチ操作装置(歩行型作業機のクラッチ操作装置)24とを備えている。
【0016】
クラッチ操作装置24は、左右のハンドル16,17に設けられたメインクラッチ操作機構(第1クラッチ機構)26と、クロスバー18に設けられたサブ操作機構(第2クラッチ機構)28とを備えている。
【0017】
メインクラッチ操作機構26は、左右のハンドル16,17にそれぞれ設けられた左右の取付ブラケット31,32と、左右の取付ブラケット31,32に左右のメイン支軸(支軸)33,34を介して回動自在に設けられたメインクラッチレバー(第1クラッチレバー)35と、メインクラッチレバー35に設けられたメインクラッチ操作手段36(図3も参照)とを備えている。
【0018】
メインクラッチレバー35は、左右の端部にボス41,42がそれぞれ設けられ、左右のボス41,42(左ボス41は図3参照)が左右のメイン支軸33,34にそれぞれ回転自在に支持されている。
よって、メインクラッチレバー35は、左右のハンドル16,17に亘って設けられ、左右のメイン支軸33,34を軸にして上下方向(図2の矢印方向に)にスイング移動可能に支持されている。
【0019】
このメインクラッチレバー35は、左ボス41(図4参照)に設けられた左L形ロッド部43と、右ボス42に設けられた右L形ロッド部44と、左右のL形ロッド部43,44を連結する略コ字形のロッド部45と、左L形ロッド部43に設けられたクラッチ用連結部54(図4参照)とを備えている。
【0020】
左L形ロッド部43は略水平に配置された左把持部43aを有し、右L形ロッド部44は略水平に配置された右把持部44aを有する。
左右の把持部43a,44aは、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1、クラッチオフ位置P2(図3参照)に切り替える際に把持する部位である。
【0021】
クラッチ用連結部54は、図4に示すように、左L形ロッド部43に設けられた脚部55と、脚部55の端部から機体フレーム中心に向けて延出された水平延出部56と備え、脚部55および水平延出部56で略L字状に形成されたロッド部である。
このクラッチ用連結部54は、図4に示すように、水平延出部56の基部(以下、「保持ロッド部」という)56aがサブ操作機構28に係合可能に形成されている。
【0022】
図3は図2の3矢視図、図4は本発明に係るクラッチ操作装置(第1実施の形態)を示す斜視図である。
メインクラッチ操作手段36は、左ボス41に設けられたブレーキ操作部46と、左L形ロッド部43に設けられたクラッチ操作部47とを備えている。
ブレーキ操作部46は、左ボス41に設けられた略L字状のブレーキ用連結部51と、ブレーキ用連結部51の先端部に設けられたブレーキスプリングホルダ52と、ブレーキスプリングホルダ52に設けられたブレーキスプリング53およびブレーキロッド(図示せず)と、ブレーキロッドをブレーキ(図示せず)に連結するブレーキケーブル57とを備えている。
【0023】
クラッチ操作部47は、クラッチ用連結部54(詳しくは、水平延出部56の先端部)に設けられたメイン復帰ばね58と、水平延出部56の略中央にケーブルホルダ61を介して連結されたクラッチケーブル(クラッチ連結部材)59とを備えている。
【0024】
クラッチケーブル59は、クラッチとしてのメインクラッチ60(図1参照)に連結されている。
このクラッチケーブル59は、側面視においてメイン復帰ばね58と重なるように略平行に配置されている。
【0025】
メインクラッチ操作機構26によれば、メインクラッチレバー35がクラッチオン位置P1に配置された際に、クラッチケーブル59を牽引してメインクラッチ60をオン状態に切り替え可能である。
一方、メインクラッチレバー35がクラッチオフ位置P2に配置された際に、クラッチケーブル59の牽引を解除してメインクラッチ60をオフ状態に切り替え可能である。
【0026】
サブ操作機構28は、クロスバー18に設けられた内外の支持ブラケット62,63と、内外の支持ブラケット62,63に内外のブッシュ64,65を介して回転自在に設けられたサブ支軸66と、サブ支軸66に設けられたカラー67と、カラー67に設けられた連結バー68と、連結バー68に設けられたサブクラッチレバー(第2クラッチレバー)71と、サブ支軸66に設けられてサブクラッチレバー71と連動する係合/付勢手段72と、サブクラッチレバー71を解放位置P3に付勢するサブ復帰ばね(弾性部材)74とを備えている。
【0027】
図5は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置を示す分解斜視図である。
内外の支持ブラケット62,63は、所定間隔をおいて、クロスバー18に設けられ、同軸上に取付孔62a,63aがそれぞれ開口されている。
カラー67は、サブ支軸66に嵌入された筒状体である。カラー67がサブ支軸66に嵌入された状態で、カラー67の取付孔67cおよびサブ支軸66の貫通孔66cにスプリングピン76が差し込まれることで、カラー67がサブ支軸66に一体に連結されている。
サブ支軸66は、カラー67の内端部67aから内端部66aが突出され、カラー67の外端部67bから外端部66bが突出されている。
【0028】
カラー67の内端部67aから突出した内端部66aは、内支持ブラケット62の取付孔62aに内ブッシュ64を介して回動自在に支持されている。
カラー67の外端部67bから突出した外端部66bは、外支持ブラケット63の取付孔63aに外ブッシュ65を介して回動自在に支持されている。
【0029】
また、サブ支軸66の外端部66b近傍にはロックピン77が、サブ支軸66の軸線方向に対して直交する方向に貫通され、両端部77aがサブ支軸66から突出されている。
ロックピン77の両端部77aに係合/付勢手段72の係止溝78,78が係合され、係合/付勢手段72がサブ支軸66とともに回転するように連結されている。
【0030】
なお、係合/付勢手段72とカラー67との間には、スラストワッシャ81がサブ支軸66に嵌合された状態で配置されている。
さらに、係合/付勢手段72と外ブッシュ65との間には、スラストワッシャ82がサブ支軸66に嵌合された状態で配置されている。
【0031】
図4に戻って、連結バー68は、カラー67の略中央部から上方に向けて連結脚部84が立ち上げられ、連結脚部84の上端から連結水平部85が左ハンドル16の上方まで折り曲げられている。
この連結バー68は、連結脚部84および連結水平部85で略L字状に形成されている。
【0032】
連結水平部85の端部85aにサブクラッチレバー71の前端部71aが設けられている。
サブクラッチレバー71は、左グリップ部21の外周に沿うように断面略湾曲状に形成され、左グリップ部21の上方に配置されている。
このサブクラッチレバー71は、左グリップ部21の上方の解放位置P3(図3参照)と、左グリップ部21の上部に重ね合わせた保持位置P4(図3参照)とに移動可能に支えられている。
【0033】
サブ復帰ばね74は、カラー67に嵌合され、一端部74aが内支持ブラケット62に係止され、他端部74bが連結バー68(具体的には、連結脚部84)に係止されたコイルばねである。
このサブ復帰ばね74で連結バー68を前方に向けて付勢することで、サブクラッチレバー71を解放位置P3(図3参照)に復帰(退避)させることが可能である。
【0034】
ここで、図6および図7に基づいてメインクラッチレバー35およびサブクラッチレバー71の作動を説明する。
図6は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のクラッチオフ状態を示す側面図、図7は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のクラッチオン状態を示す側面図である。
メインクラッチレバー35が左右のメイン支軸33,34(右メイン支軸34は図2参照)を軸にしてクラッチオフ位置P2からクラッチオン位置P1まで矢印Aの如くスイング移動する。
【0035】
メインクラッチレバー35がスイング移動することで、クラッチケーブル59が矢印Bの如く牽引されてメインクラッチ60(図1参照)がオン状態に切り替えられる。
図7に示すように、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持した状態において、クラッチケーブル59が左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
【0036】
ここで、クラッチケーブル59は、図3に示すように、側面視においてメイン復帰ばね58と重なるように略平行に配置されている。
よって、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持した状態において、メイン復帰ばね58(図3参照)も左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
【0037】
一方、サブクラッチレバー71がサブ支軸66を軸にして解放位置P3から矢印Cの如く保持位置P4までスイング移動する。
サブクラッチレバー71がスイング移動することで、係合/付勢手段72がサブ支軸66を軸にして矢印Dの如くスイング移動する。
サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持した状態で、係合/付勢手段72で、メインクラッチレバー35の保持ロッド部56aが保持される(図7参照)。
これにより、メインクラッチレバー35がクラッチオン位置P1に保持される。
つぎに、係合/付勢手段72の構成を図8および図9に基づいて詳しく説明する。
【0038】
図8は第1実施の形態に係る係合/付勢手段を示す斜視図、図9は第1実施の形態に係る係合/付勢手段を示す分解斜視図である。
係合/付勢手段72は、サブ支軸66に嵌合された状態でロックピン77に係止可能なハンマーブラケット86と、ハンマーブラケット86に設けられたラチェット機構88とを備えている。
【0039】
ハンマーブラケット86は、基部91aがサブ支軸66に嵌合されたブラケット本体91と、ブラケット本体91の基部91aから突出されたハンマー部(付勢手段)92とを備えている。
ブラケット本体91は、基部91aに嵌合孔94が形成され、嵌合孔94に係止溝78,78が形成され、先端部91bにスタッドボルト95およびストッパピン96がそれぞれ設けられている。
スタッドボルト95およびストッパピン96は、機体フレーム中心に向けてそれぞれ突出されている。
【0040】
ストッパピン96は、後述するロックばね102の一端102aを支える平坦部96aを有することで断面略半月状に形成されている。
ハンマー部92は、ブラケット本体91の基部91aから下方に向けて突出された突起部である。
このハンマー部92は、サブクラッチレバー71を解放位置P3に戻す際に、メインクラッチレバー35をクラッチオフ位置P2に向けて付勢(押圧)する部位である。
【0041】
ハンマー部92および基部91aで、図7に示すメインクラッチレバー35(保持ロッド部56a)を収容可能な略く字状の収容凹部98が形成されている。
このハンマーブラケット86は、ブラケット本体91の嵌合孔94がサブ支軸66に嵌合され、係止溝78,78がロックピン77の両端部77aに係合されている。
【0042】
ここで、係止溝78は、一端78aと他端78bとが所定角θ1をおいて形成されている。そして、ロックピン77の両端部77aが一端78a,78aに当接する位置と他端78b,78bに当接する位置の間で、ハンマーブラケット86がサブ支軸66を軸にして所定角θ2の範囲で揺動自在に取り付けられている。
【0043】
また、ロックピン77の両端部77aが一端78a,78aに当接した状態で、サブ支軸66が矢印の如く時計回り方向に回動する際に、サブ支軸66と一体にハンマーブラケット86が矢印の如く時計回り方向に回転可能に取り付けられている。
【0044】
このように、ハンマーブラケット86を所定角θ2の範囲で揺動自在に取り付けることで、後述する第1、第2の操作手順でメインクラッチレバー35(保持ロッド部56a)をハンマーブラケット86の収容凹部98に確実に収容することができる(図11(a)、図14(b)参照)。
【0045】
ハンマーブラケット86の先端部91bにスタッドボルト95を介してラチェット機構88が回動自在に取り付けられている。
ラチェット機構88は、ハンマーブラケット86のスタッドボルト95に回動自在に取り付けられたラチェット101と、ラチェット101を係合位置P5に保持するロックばね102と、ロックばね102を覆うラチェットカバー103と、スタッドボルト95にねじ結合されたナット104と、ラチェット101および先端部91b間に介在されたスラストワッシャ105とを備えている。
【0046】
ラチェット101は、スタッド嵌合孔107およびばね収納部108が形成されたラチェット本体106と、ラチェット本体106から突出されたラチェット爪109とを備えている。
ラチェット本体106は、略三角形に形成され、頂部106aにスタッド嵌合孔107が形成され、頂部に対向する辺106bに沿ってばね収納部108が形成されている。
【0047】
ばね収納部108は、ロックばね102やストッパピン96を収納可能に形成された長孔状の開口部で、一端部108aがストッパピン96を受入可能に湾曲状に形成され、他端部108bがロックばね102の他端102bを支持可能に直線状に形成されている。
ラチェット爪109は、ラチェット本体106のうち、ばね収納部108の他端部108b近傍からハンマーブラケット86のハンマー部92に向けて突出されている。
【0048】
このラチェット機構88は、スタッドボルト95にスラストワッシャ105およびラチェット101が嵌合されることで、ばね収納部108の一端部108a側にストッパピン96が差し込まれている。
さらに、ばね収納部108内にグリースが充填された状態でロックばね102が収納されている。
ロックばね102は、ストッパピン96の平坦部96aに一端102aが接し、ばね収納部108の他端部108bに他端102bが接した状態に保持されている。
【0049】
ラチェットカバー103がスタッドボルト95に嵌合されることで、ラチェットカバー103がラチェット本体106に重ねられる。
よって、ラチェットカバー103でばね収納部108(すなわち、ロックばね102)が覆われている。
ラチェットカバー103から突出したスタッドボルト95のねじ部95aにナット104がねじ結合されている。
【0050】
このラチェット機構88は、スタッドボルト95を軸にして矢印E−F方向(図8参照)にスイング移動(揺動)自在に支持されている。
よって、ラチェット機構88を、収容凹部98に保持ロッド部56aを導入可能な退避位置P6(図11(a)も参照)と、収容凹部98の保持ロッド部56aが抜出不能な係合位置P5とにスイング移動させることができる。
【0051】
以下、ラチェット機構88の作動を詳しく説明する。
ラチェット機構88は、ロックばね102の付勢力(ばね力)で矢印E方向に付勢され、ストッパピン96がばね収納部108の一端部108aに当接されている。この状態で、ラチェット爪109が係合位置P5に突出した状態(すなわち、略く字状の収容凹部98側に突出した状態)に保持されている。
よって、ラチェット爪109の先端部109aがハンマー部92に対して所定間隔をおいて対向するように配置されている。
【0052】
ラチェット爪109の先端部109aがハンマー部92に対向することで、略く字状の収容凹部98および先端部109aで断面略コ字状の係合溝部114が形成されている。
係合溝部114は、保持ロッド部56aをクラッチオン位置に保持可能な溝部である。
すなわち、係合溝部114に保持ロッド部56aを係合させることで、係合溝部114から保持ロッド部56aが抜け出さないように係合手段113で保持できる。
係合手段113は、保持ロッド部56aを収容可能な収容凹部98と、係合溝部114の一部壁面を形成するラチェット機構88とで構成されている。
【0053】
ここで、ラチェット爪109の先端面109aは、図7に示すように、保持ロッド部56aが係合溝部114から抜け出すことを阻止可能に傾斜状に形成されている。よって、ラチェット爪109の先端面109aで保持ロッド部56aを一層良好に支えることができる。
これにより、係合手段113は、保持ロッド部56aが係合溝部114から抜け出すことを防いで、保持ロッド部56aを係合溝部114に確実に係合(保持)することができる。
【0054】
一方、ラチェット機構88は、ラチェット爪109に荷重F1が矢印の如く作用した際に、ラチェット101がロックばね102のばね力に抗して矢印Fの如く収容凹部98から退避するようにスイング移動する。
よって、ラチェット爪109がハンマーブラケット86に重なる退避位置P6に配置される。
これにより、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に向けて移動する際に、保持ロッド部56aでラチェット爪109を押圧することで退避位置P6に退避させ、保持ロッド部56aを係合溝部114に導く(導入する)ことができる。
【0055】
図6、図7に戻って、ハンマー部92および係合手段113について詳しく説明する。
ハンマー部92は、サブクラッチレバー71がサブ復帰ばね74のばね力で保持位置P4から解放位置P3にスイング移動(退避)する際に、サブクラッチレバー71に連動して矢印G(図7参照)の如くスイング移動する部位である。
【0056】
ハンマー部92が矢印Gの如くスイング移動することで、ハンマー部92で保持ロッド部56aを押圧することができる。
これにより、クラッチオン位置P1のメインクラッチレバー35がクラッチオフ位置P2にスイング移動することをハンマー部92で補助(アシスト)することが可能である。
【0057】
係合手段113の係合溝部114は、図6に示すように、サブクラッチレバー71を解放位置P3に配置した状態において、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に矢印Aの如くスイング移動する際に、保持ロッド部56aを受入可能(収容可能)に構成されている。
【0058】
また、係合手段113の係合溝部114は、図7に示すように、サブクラッチレバー71を保持位置P4に配置した状態において、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に矢印Aの如くスイング移動する際に、保持ロッド部56aがラチェット爪109を押圧して、ラチェット爪109をロックばね102のばね力に抗して退避位置P6まで退避可能に構成されている。
ラチェット爪109を退避位置P6まで退避させることで、収容凹部98に保持ロッド部56aを導く(導入する)ことができる。
【0059】
図3に戻って、クラッチ操作装置24は、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1まで揺動させてメインクラッチ60(図1参照)をオン状態に切り替えるようにした。
そして、サブクラッチレバー71を保持位置P4に揺動させて係合手段113でメインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持するようにした。
【0060】
このように、クラッチ操作装置24にメインクラッチレバー35およびサブクラッチレバー71の2本のレバーを備えることで、それぞれのレバー35,71を操作し易い部位に設けることが可能になる。
これにより、メインクラッチレバー35およびサブクラッチレバー71の操作性を高めることができる。
【0061】
加えて、クラッチ操作装置24は、サブクラッチレバー71を保持位置P4から解放位置P3に退避させる(付勢する)サブ復帰ばね74を備えている。
よって、サブクラッチレバー71から操作力(保持力)を解除することで、サブクラッチレバー71をサブ復帰ばね74で保持位置P4から解放位置P3に退避させることができる。
【0062】
サブクラッチレバー71が保持位置P4から退避することで、係合手段113によるメインクラッチレバー35の保持が解除され、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1から解放できる。
これにより、操作者はサブクラッチレバー71から手を離すだけで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1から解放することができるので、操作性をさらに高めることができる。
【0063】
ここで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1まで揺動させる際には、メインクラッチレバー35にメインクラッチ60(図1参照)を連結するクラッチケーブル59を強く牽引する必要がある。
さらに、メイン復帰ばね58を左メイン支軸33の中心33a(図7参照)近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引する必要がある。
このため、メインクラッチレバー35をクラッチオフ位置P2からクラッチオン位置P1まで揺動させる際に比較的大きな操作力を必要とする。
【0064】
また、左右のハンドル16,17は、通常操作者の腰部近傍の高さに配置されている。
ここで、操作者は、一般に手を腰部の下方から上方に持ち上げる際に、大きな引上力を比較的容易に作用させることが可能である。
そこで、メインクラッチレバー35を左右のハンドル16,17の下方に設け、クラッチオン位置P1まで上方に向けて操作するようにした。
【0065】
よって、操作者は腰部の下方に手を下げてクラッチオフ位置P2のメインクラッチレバー35を握り、クラッチオン位置P1まで手で上方に引き上げることができる。
これにより、操作者はメインクラッチレバー35を比較的容易にクラッチオン位置P1まで揺動させる(引き上げる)ことができ、メインクラッチレバー35の操作性を高めることができる。
【0066】
一方、自走式運搬車10を駆動する間(すなわち、比較的長い時間)、サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持する必要がある。
このため、サブクラッチレバー71を保持位置P4に比較的容易に保持できることが好ましい。
そこで、サブクラッチレバー71を左右のハンドル16,17の上方に設け、保持位置P4まで下方に向けて操作するようにした。
【0067】
よって、操作者はサブクラッチレバー71に手を載せた状態で、サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持することができる。
これにより、サブクラッチレバー71を保持位置P4に比較的容易に保持でき、サブクラッチレバー71の操作性を高めることができる。
【0068】
つぎに、クラッチ操作装置10のサブクラッチレバー71を保持位置P4に保持した状態で、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する例を図10〜図13に基づいて説明する。
なお、図10〜図13においては作用の理解を容易にするために左右のメイン支軸33,34のうち左メイン支軸33のみを図示する。
図10(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のサブクラッチレバーを保持位置に保持する例を説明する図である。
(a)において、メインクラッチレバー35がメイン復帰ばね58のばね力でクラッチオフ位置P2に配置されている。
サブクラッチレバー71がサブ復帰ばね74のばね力で左グリップ部21上方の解放位置P3に配置されている。
【0069】
操作者の左手でサブクラッチレバー71に操作力F2を作用させる。サブクラッチレバー71がサブ支軸66を軸にして左グリップ部21に向けて矢印Hの如くスイング移動する。
サブクラッチレバー71がスイング移動することで、サブ復帰ばね74が弾性変形するとともにサブ支軸66が反時計回り方向に回動する。
サブ支軸66が回動することで、係合/付勢手段72がサブ支軸66を軸にしてロック解除位置P7から矢印Iの如く前方に向けてスイング移動する。
【0070】
(b)において、サブクラッチレバー71が保持位置P4に保持され、サブクラッチレバー71が左グリップ部21の上部に重ね合わされる。
また、係合/付勢手段72がロック位置P8に配置される。
この状態で、操作者の右手でメインクラッチレバー35に操作力F3を作用させる。メインクラッチレバー35が左メイン支軸33を軸にして矢印Jの如く後方に向けてスイング移動する。
メインクラッチレバー35がスイング移動することで、メイン復帰ばね58が弾性変形するとともに、クラッチケーブル59(図6参照)が牽引される。
【0071】
図11(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
(a)において、メインクラッチレバー35が矢印Jの如く継続してスイング移動することで、保持ロッド部56aがラチェット爪109に当接する。
保持ロッド部56aがラチェット爪109に当接した後、保持ロッド部56aがメインクラッチレバー35とともに矢印Jの如く継続して移動することで、保持ロッド部56aでラチェット爪109をブラケット本体91側に押圧する。
【0072】
ラチェット爪109が、ロックばね102のばね力に抗して、スタッドボルト95を軸にして矢印Kの如く収容凹部98から退避する。
ここで、ハンマーブラケット86は所定角θ2(図8参照)の範囲で揺動自在に取り付けられている。
よって、ラチェット爪109を退避させるとともにハンマーブラケット86(すなわち、係合/付勢手段72)を揺動させることで、保持ロッド部56aを収容凹部98に向けて矢印Jの如く移動させることができる。
【0073】
(b)において、保持ロッド部56aがラチェット爪109を通過して収容凹部98まで移動する。
ラチェット爪109が、ロックばね102のばね力で矢印Lの如く収容凹部98側に突出する。突出したラチェット爪109の先端面109aおよび収容凹部98で係合溝部114が形成され、係合溝部114に保持ロッド部56aが抜出不能に係合(保持)される。
【0074】
図12(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
(a)において、保持ロッド部56aが係合溝部114から抜出不能に保持されることで、メインクラッチレバー35から操作力F3(図11(b)参照)を除去した状態で(メインクラッチレバー35から操作者の右手を離した状態で)、メインクラッチレバー35がクラッチオンP1に保持される。
よって、操作者の左手でサブクラッチレバー71に保持力F2を作用させるだけで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持することができる。
【0075】
(b)において、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持した状態において、クラッチケーブル59が左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
よって、牽引により発生するクラッチケーブル59の反力F4のうち、左メイン支軸33の中心33aに向けて作用する分力F5が大きくなり、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1からクラッチオフ位置P2(図10(a)参照)に復帰させようとする復帰分力F6を小さく抑えることができる。
【0076】
この状態において、図10に示すメイン復帰ばね58も左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
これにより、メインクラッチレバー35と同様に、メイン復帰ばね58の復帰力のうち、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1からクラッチオフ位置P2(図10(a)参照)に復帰させようとする復帰分力を小さく抑えることができる。
【0077】
このように、メインクラッチレバー35の復帰分力F6およびメイン復帰ばね58の復帰分力を小さく抑えることで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持するための保持力F2(図12(a)参照)を軽減させることができる。
【0078】
図13(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオフ位置に復帰させる例を説明する図である。
(a)において、メインクラッチレバー35をクラッチオフ位置P2に戻す際には、サブクラッチレバー71から操作力F2(図12(a)参照)を除去する。
サブクラッチレバー71がサブ復帰ばね74のばね力で保持位置P4から解放位置P3に向けて矢印Mの如くスイング移動する。
【0079】
サブクラッチレバー71がスイング移動することでサブ支軸66が時計回り方向に回動する。
サブ支軸66が回動することで、図8に示すように、ロックピン77の両端部77aが係止溝78,78の一端78a,78aに当接する。
この状態から、サブ支軸66が継続して回動することで、係合/付勢手段72がサブ支軸66を軸にしてロック位置P8から矢印Nの如く後方に向けてスイング移動する。
【0080】
係合/付勢手段72のハンマー部92が矢印Oの如くスイング移動することで、ハンマー部92が保持ロッド部56aに当接する。
ハンマー部92が矢印Oの如く継続して移動することで、ハンマー部92が保持ロッド部56aを押付力F7で矢印の如く押圧する。
【0081】
ハンマー部92が保持ロッド部56aを押圧することで、保持ロッド部56aを矢印Pの如く確実に移動することができる。
保持ロッド部56aを矢印Pの如く移動するとともに、係合/付勢手段72が矢印Nの如く継続して移動することで、係合溝部114の開口部が下方(すなわち、保持ロッド部56aの移動方向)を向く。
【0082】
(b)において、係合溝部114の開口部から保持ロッド部56aが外側に抜け出して矢印Qの如くクラッチオフ位置P2に向けて移動する。
保持ロッド部56aが矢印Qの如く移動することで、クラッチケーブル59(図12(b)参照)を左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)からクラッチオフ位置P2側に確実に離すことができる。
【0083】
これにより、メインクラッチレバー35がメイン復帰ばね58の復帰力で左メイン支軸33を軸にしてクラッチオフ位置P2まで矢印Qの如くスイング移動する。
【0084】
このように、係合/付勢手段72にハンマー部92を設けることで、サブクラッチレバー71を解放位置P3に戻す際に、メインクラッチレバー35がクラッチオフ位置P2へ移動するようにハンマー部92で補助(アシスト)することができる。
これにより、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1からクラッチオフ位置P2に確実に、かつ、迅速に戻すことができる。
【0085】
図10〜図13で説明したように、サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持した状態において、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に移動する際に、ラチェット機構88(ラチェット爪109)が退避して保持ロッド部56aを係合溝部114に収容可能とした。
よって、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する際に、サブクラッチレバー71を解放位置P3から保持位置P4に移動した後、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に移動する操作手順(以下、「第1操作手順」という)を適用することができる。
【0086】
ついで、クラッチ操作装置10のサブクラッチレバー71を解放位置P3に保持した状態で、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する例を図14〜図15に基づいて説明する。
なお、図14〜図15においては作用の理解を容易にするために左右のメイン支軸33,34のうち左メイン支軸33のみを図示する。
図14(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のサブクラッチレバーを保持位置に保持する例を説明する図である。
(a)において、メインクラッチレバー35がメイン復帰ばね58のばね力でクラッチオフ位置P2に配置されている。
サブクラッチレバー71がサブ復帰ばね74のばね力で左グリップ部21上方の解放位置P3に配置されている。
【0087】
操作者の右手でメインクラッチレバー35に操作力F3を作用させる。メインクラッチレバー35が左メイン支軸33を軸にして矢印Rの如く後方に向けてスイング移動する。
メインクラッチレバー35がスイング移動することでメイン復帰ばね58が弾性変形するとともに、クラッチケーブル59(図6参照)が牽引される。
【0088】
(b)において、保持ロッド部56aがハンマー部92に当接する。
ここで、ハンマーブラケット86は所定角θ2(図8参照)の範囲で揺動自在に取り付けられている。
よって、保持ロッド部56aに対応させてハンマーブラケット86(すなわち、係合/付勢手段72)を揺動させることで、保持ロッド部56aをハンマー部92に確実に当接させることができる。
この状態で、メインクラッチレバー35を矢印Rの如く継続してスイング移動することで、保持ロッド部56aがハンマー部92を押付力F9で矢印の如く押圧する。
【0089】
図15(a),(b)は第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
(a)において、保持ロッド部56aがハンマー部92を押圧することで、ハンマー部92(すなわち、係合/付勢手段72)がサブ支軸66を軸にして矢印Sの如くスイング移動する。
よって、サブ支軸66が回動して、サブクラッチレバー71がサブ支軸66を軸にして解放位置P3から矢印Tの如く保持位置P4に向けてスイング移動する。
【0090】
(b)において、メインクラッチレバー35がクラッチオン位置P1までスイング移動することで、メインクラッチレバー35にサブクラッチレバー71が追従する。
すなわち、メインクラッチレバー35のスイング移動の際に、サブクラッチレバー71がメインクラッチレバー35に連動して保持位置P4(すなわち、サブクラッチレバー71が左グリップ部21の上部に重ね合わされる位置)までスイング移動(揺動)する。
保持位置P4までスイング移動したサブクラッチレバー71に保持力F2を作用させることで、サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持する。
【0091】
この状態で、係合溝部114に保持ロッド部56aが抜出不能に係合(収容)される。
よって、メインクラッチレバー35から操作力F3(図15(a)参照)を除去しても、サブクラッチレバー71に保持力F2を作用させるだけで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持することができる。
すなわち、メインクラッチレバー35から操作者の右手を離して、操作者の左手でサブクラッチレバー71に保持力F2を作用させるだけで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持することができる。
【0092】
メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持した状態において、クラッチケーブル59が左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
よって、図12(b)に示すように、牽引により発生するクラッチケーブル59の反力F4のうち、左メイン支軸33の中心33aに向けて作用する分力F5が大きくなり、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1からクラッチオフ位置P2に復帰させようとする復帰分力F6を小さく抑えることができる。
【0093】
この状態において、図14(a)に示すメイン復帰ばね58も左メイン支軸33の中心33a近傍の位置(すなわち、支点越え近傍の位置)まで牽引される。
これにより、メインクラッチレバー35と同様に、メイン復帰ばね58の復帰力のうち、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1からクラッチオフ位置P2(図14(a)参照)に復帰させようとする復帰分力を小さく抑えることができる。
【0094】
このように、メインクラッチレバー35の復帰分力F6(図12(b)参照)およびメイン復帰ばね58の復帰分力を小さく抑えることで、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持するための保持力F2を軽減させることができる。
【0095】
また、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1にスイング移動(揺動)する際に、メインクラッチレバー35に追従してサブクラッチレバー71を保持位置P4まで連動するようにした。
これにより、サブクラッチレバー71を操作者の手で保持位置P4までスイング移動(揺動)させる必要がないので、操作性を一層高めることができる。
【0096】
メインクラッチレバー35をクラッチオフ位置P2に復帰させる動作は、図13で説明した動作と同じであり、メインクラッチレバー35の復帰動作の説明を省略する。
【0097】
図14〜図15で説明したように、サブクラッチレバー71を解放位置P3に配置した状態において、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に移動する際に、メインクラッチレバー35を係合溝部114に係合可能(収容可能)とした。
よって、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する際に、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に移動した後、サブクラッチレバー71を保持位置P4に保持する操作手順(以下、「第2操作手順」という)を適用することができる。
【0098】
これにより、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する際に、図10〜図13で説明した第1操作手順や、図14〜図15で説明した第2操作手順を任意に選択することができる。
したがって、メインクラッチレバー35をクラッチオン位置P1に保持する際の操作性を高めることができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【0099】
以上説明したように、本発明に係るクラッチ操作装置24は、メインクラッチ操作機構26とサブ操作機構28とで構成されている。
よって、例えば、既存の自走式運搬車10にメインクラッチ操作機構26を備えている場合には、サブ操作機構28を備えるだけでクラッチ操作装置24を得ることができる。
【0100】
図16は本発明に係るクラッチ操作装置(第2実施の形態)を示す斜視図である。
第2実施の形態のクラッチ操作装置120は、第1実施の形態のクラッチ操作装置24に加えて、右側のサブ操作機構121が設けられたもので、その他の構成は第1実施の形態と同様である。
右側のサブ操作機構121は、第1実施の形態のサブ操作機構28と左右対称の部材であり、各構成部材に同じ符号を付して説明を省略する。
【0101】
第2実施の形態のクラッチ操作装置120によれば、左右のハンドル16,17に左右側のサブクラッチレバー(第2クラッチレバー)71が備えられている。
よって、左側のサブクラッチレバー71を左手で操作することができ、右側のサブクラッチレバー71を右手で操作することができる。
これにより、左右の手のうち、どちらの手でもサブクラッチレバー71を操作することが可能になり操作性の向上を図ることができる。
【0102】
なお、本発明に係るクラッチ操作装置は、前述した実施の形態に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施の形態では、歩行型作業機として自走式運搬車を例示したが、歩行型作業機はこれに限定するものではなく、耕耘機や芝刈機などの他の作業機に適用することも可能である。
【0103】
また、前記実施の形態では、クラッチ連結部材としてクラッチケーブル59を例示したが、ケーブルに限らないで、クラッチロッドなどの他の部材を使用することも可能である。
【0104】
さらに、前記実施の形態では、サブクラッチレバー71を解放位置P3に付勢する弾性部材としてサブ復帰ばね(コイルばね)74を例示したが、これに限らないで、板ばねなどの他の弾性部材を用いることも可能である。
【0105】
また、前記実施の形態では、係合手段113にラチェット機構88を備え、ラチェット爪109の先端部109aで係合溝部114の一部壁面を形成する構成について例示したが、ラチェット機構88を備えないで係合溝部114を形成することも可能である。
【0106】
さらに、前記実施の形態で示した左右のメイン支軸33,34、メインクラッチレバー35、保持ロッド部56a、クラッチケーブル59、メインクラッチ60、サブクラッチレバー71、ラチェット機構88、ハンマー部92、収容凹部98および係合手段113などは例示した形状に限定するものではなく、適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、クラッチレバーを移動してクラッチ連結部材を牽引することでクラッチを接続状態に切替可能なクラッチ操作装置を備えた歩行型作業機への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明に係る自走式運搬車を示す側面図である。
【図2】本発明に係る自走式運搬車を示す斜視図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】本発明に係るクラッチ操作装置(第1実施の形態)を示す斜視図である。
【図5】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置を示す分解斜視図である。
【図6】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のクラッチオフ状態を示す側面図である。
【図7】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のクラッチオン状態を示す側面図である。
【図8】第1実施の形態に係る係合/付勢手段を示す斜視図である。
【図9】第1実施の形態に係る係合/付勢手段を示す分解斜視図である。
【図10】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のサブクラッチレバーを保持位置に保持する例を説明する図である。
【図11】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
【図12】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
【図13】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオフ位置に復帰させる例を説明する図である。
【図14】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のサブクラッチレバーを保持位置に保持する例を説明する図である。
【図15】第1実施の形態に係るクラッチ操作装置のメインクラッチレバーをクラッチオン位置に保持する例を説明する図である。
【図16】本発明に係るクラッチ操作装置(第2実施の形態)を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0109】
10…自走式運搬車(歩行型作業機)、24…クラッチ操作装置(歩行型作業機のクラッチ操作装置)、33,34…左右のメイン支軸(支軸)、35…メインクラッチレバー(第1クラッチレバー)、56a…保持ロッド部、59…クラッチケーブル(クラッチ連結部材)、60…メインクラッチ(クラッチ)、71…サブクラッチレバー(第2クラッチレバー)、88…ラチェット機構、92…ハンマー部(付勢手段)、98…収容凹部、113…係合手段、P1…クラッチオン位置、P2…クラッチオフ位置、P3…解放位置、P4…保持位置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチを接続状態にするクラッチオン位置およびクラッチを切断状態にするクラッチオフ位置に支軸を介して揺動自在に設けられた第1クラッチレバーと、
前記第1クラッチレバーに前記クラッチを連結し、かつ、前記第1クラッチレバーが前記クラッチオン位置に配置された状態で、前記支軸の近傍まで牽引されるクラッチ連結部材と、
前記第1クラッチレバーが前記クラッチオン位置に配置された状態で保持位置に配置可能で、かつ、前記第1クラッチレバーが前記クラッチオフ位置に配置された状態で解放位置に配置可能に揺動自在に設けられた第2クラッチレバーと、
前記第2クラッチレバーに連動し、前記第2クラッチレバーを前記保持位置に配置した状態で前記クラッチオン位置の前記第1クラッチレバーに係合可能な係合手段と、
前記第2クラッチレバーに連動し、前記第2クラッチレバーを前記解放位置に戻す際に、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオフ位置に向けて付勢する付勢手段と、
を備えたことを特徴とするクラッチ操作装置。
【請求項2】
前記係合手段は、
前記第1クラッチレバーを収容可能な収容凹部と、
前記収容凹部に前記第1クラッチレバーを導くように退避可能で、かつ、前記収容凹部から前記第1クラッチレバーが抜け出すことを阻止するように突出可能なラチェット機構と、を備え、
前記第2クラッチレバーを前記保持位置に配置した状態において、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオン位置に移動する際に、前記ラチェット機構が退避して前記第1クラッチレバーを前記収容凹部に導入可能とし、
前記第2クラッチレバーを前記解放位置に配置した状態において、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオン位置に移動し、前記第1クラッチレバーの移動に対応させて前記第2クラッチレバーを前記保持位置に移動する際に、前記第1クラッチレバーを前記係合手段に係合可能としたことを特徴とする請求項1記載のクラッチ操作装置。
【請求項1】
クラッチを接続状態にするクラッチオン位置およびクラッチを切断状態にするクラッチオフ位置に支軸を介して揺動自在に設けられた第1クラッチレバーと、
前記第1クラッチレバーに前記クラッチを連結し、かつ、前記第1クラッチレバーが前記クラッチオン位置に配置された状態で、前記支軸の近傍まで牽引されるクラッチ連結部材と、
前記第1クラッチレバーが前記クラッチオン位置に配置された状態で保持位置に配置可能で、かつ、前記第1クラッチレバーが前記クラッチオフ位置に配置された状態で解放位置に配置可能に揺動自在に設けられた第2クラッチレバーと、
前記第2クラッチレバーに連動し、前記第2クラッチレバーを前記保持位置に配置した状態で前記クラッチオン位置の前記第1クラッチレバーに係合可能な係合手段と、
前記第2クラッチレバーに連動し、前記第2クラッチレバーを前記解放位置に戻す際に、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオフ位置に向けて付勢する付勢手段と、
を備えたことを特徴とするクラッチ操作装置。
【請求項2】
前記係合手段は、
前記第1クラッチレバーを収容可能な収容凹部と、
前記収容凹部に前記第1クラッチレバーを導くように退避可能で、かつ、前記収容凹部から前記第1クラッチレバーが抜け出すことを阻止するように突出可能なラチェット機構と、を備え、
前記第2クラッチレバーを前記保持位置に配置した状態において、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオン位置に移動する際に、前記ラチェット機構が退避して前記第1クラッチレバーを前記収容凹部に導入可能とし、
前記第2クラッチレバーを前記解放位置に配置した状態において、前記第1クラッチレバーを前記クラッチオン位置に移動し、前記第1クラッチレバーの移動に対応させて前記第2クラッチレバーを前記保持位置に移動する際に、前記第1クラッチレバーを前記係合手段に係合可能としたことを特徴とする請求項1記載のクラッチ操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−146505(P2010−146505A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326256(P2008−326256)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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