説明

シヌクレイノパチーを治療する方法

シヌクレイノパチー(例えば、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症)を治療する方法が提供されており、該方法は、シヌクレイノパチー被験体に、ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を投与する工程を包含する。一局面において、本発明は、治療有効量のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物を含む組成物を投与することにより、シヌクレイノパチー被験体を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、この組成物は、本明細書で開示され、参考として援用される1つ以上のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物およびそのアナログ、または1つ以上のその立体異性形態、または1つ以上のその薬学的に受容可能な酸付加塩の形態もしくは塩基付加塩の形態を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、35 U.S.C.119(e)に基づいて、USSN 60/555,092(これは、2004年3月18日に出願された)の出願日から優先権を主張しており、その全開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0002】
(連邦政府が後援した研究に関する記載)
本発明は、NIH(National Institutes of Health)の助成第NS38375号に基づいて、政府の援助を受けた。政府は、本発明の一定の権利を有し得る。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、シヌクレイノパチー(例えば、パーキンソン病(PD)、びまん性レヴィー小体病(Diffuse Lewy Body Disease)(DLBD)および多系統萎縮症(Multiple System Atrophy)(MSA)を治療する療法アプローチに関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
シヌクレイノパチー(synucleinopathy)は、ニューロンおよびグリアの選択的に傷つきやすい集団における、不溶性α−シヌクレイン(synuclein)タンパク質の凝集体を含む一般的な病理学的病変を共有する、神経変性障害の多様な群である。特定の証拠は、異常な線維状凝集体の形成を、臨床症状の発症および進行ならびに神経変性障害(パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症が挙げられる)における、罹患した脳の領域の変性につなげる。これらの疾患の臨床処置としては、カルビドパ−レボドパ、抗コリン作動薬および対症状薬剤が挙げられるが、いくつかのシヌクレイノパチー(例えば、びまん性レヴィー小体病)に対して、特定の治療は存在しない。最初はレボドパに良好に応答する、大半のパーキンソン病被験体は、5年以内に、運動の揺らぎ(motor fluctuation)と「短縮する(wearing−off)」現象とを発症する。これらの障害の重度に衰弱させる性質とこれらの有病率とを考えると、当該分野において、これらの疾患を処置および管理することへの新規のアプローチに対する明らかな必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(本発明の要旨)
本発明は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物での処置による、シヌクレイノパチー(例えば、パーキンソン病(PD)、びまん性レヴィー小体病(DLBD)および多系統萎縮症(MSA))の処置への治療アプローチに関する。
【0006】
一局面において、本発明は、治療有効量のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物を含む組成物を投与することにより、シヌクレイノパチー被験体を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、この組成物は、本明細書で開示され、参考として援用される1つ以上のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物およびそのアナログ、または1つ以上のその立体異性形態、または1つ以上のその薬学的に受容可能な酸付加塩の形態もしくは塩基付加塩の形態を含む。一実施形態において、この組成物は、図5の1つ以上のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物、またはその立体異性形態、またはその薬学的に受容可能な酸付加塩の形態もしくは塩基付加塩の形態を含む。
【0007】
別の局面において、本発明は、治療有効量のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物と第二の治療化合物との両方を投与することにより、シヌクレイノパチー被験体を処置するための方法を提供する。これらの2つの化合物は、両方の化合物を含む併用組成物として、投与され得る。あるいは、これらの2つの化合物は、本明細書に記載されるように、同時的または連続的のいずれかで、個別に(例えば、2つの異なる組成物として)投与され得る。いくつかの実施形態において、このファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤組成物は、本明細書で開示される、1つ以上のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物あるいは、1つ以上のその立体異性形態、または1つ以上のその薬学的に受容可能な酸付加塩の形態もしくは塩基付加塩の形態を含む。一実施形態において、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤組成物は、図5の1つ以上のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物あるいは、その立体異性形態、またはその薬学的に受容可能な酸付加塩の形態もしくは塩基付加塩の形態を含む。いくつかの実施形態において、第二の治療化合物としては、ドーパミンアゴニスト(例えば、プラミペキソールおよびメマンチン)、アリセプトおよび他のアセチルコリンエステラーゼ(acetycholinesterase)阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
本発明にしたがって、FTI−277は、COS−7細胞においてシヌクレインレベルを低下させ、そしてSH−SY5Y細胞においてシヌクレインの毒性を抑制する。これらの細胞は、ドーパミン作用性神経芽腫細胞であり、そしてパーキンソン病の病原を分析するために有用であり得る。
【0009】
1つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤と関連して本明細書に記載される、本発明の局面および実施形態はまた、2種以上(例えば、2種と50種との間、2種と25種との間、2種と10種との間、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種または9種)のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤を使用して実施され得ることが認識されるべきである。同様に、1つの他の化合物と関連して本明細書に記載される、本発明の局面および実施形態はまた、2種以上(例えば、2種と50種との間、2種と25種との間、2種と10種との間、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種または9種)の他の化合物を使用して実施され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(詳細な説明)
本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法、組成物および製品を提供する。本発明の方法は、α−シヌクレイン(その蓄積は、シヌクレイノパチーを発病させる)の分解を加速するのに有用である。本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法を提供し、該方法は、該シヌクレイノパチー被験体に、ファルネシル転移酵素阻害剤化合物または該化合物の治療製剤、組成物または処方物(例えば、本明細書中で記述したもの(請求項、図面および本明細書中で載せた特許および刊行物のものを含めて))の治療有効量を投与する工程を包含する。好ましい実施形態では、このシヌクレイノパチー被験体は、ヒトである。
【0011】
1実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩を投与する工程を包含する:
【0012】
【化20】

他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0013】
【化21】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
は、水素、C1〜12アルキル、Ar、Ar1〜6アルキル、キノリニルC1〜6アルキル、ピリジルC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−C(=O)−R、−Alk−S(O)−Rまたは−Alk−S(O)−Rであって、ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルであり、
は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、アミノ、C1〜8アルキルアミノまたは置換C1〜8アルキルアミノであり、該置換C1〜8アルキルアミノは、C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されている;
、RおよびR16は、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、4,4−ジメチルオキサゾリルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、トリハロメチル、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノであるか、または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−2);
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、カルボキシC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、イミダゾリル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、
−N−R1112 (b−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13−または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜12アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、天然アミノ酸、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
17は、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Arである;
18は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
19は、水素またはC1〜6アルキルである;
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている;そして
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている。
【0014】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0015】
【化22】

ここで、R、RおよびR16は、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、4,4−ジメチルオキサゾリルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、トリハロメチル、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノであるか、または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−2);
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、カルボキシC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、イミダゾリル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、
−N−R1112 (b−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13−または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜12アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、天然アミノ酸、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
17は、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Arである;
18は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
19は、水素またはC1〜6アルキルである。
【0016】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0017】
【化23】

ここで、R、RおよびR16は、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、4,4−ジメチルオキサゾリルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、トリハロメチル、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノであるか、または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−2);
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、カルボキシC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、イミダゾリル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、
−N−R1112 (b−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13−または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜12アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、天然アミノ酸、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
17は、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Arである;
18は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
19は、水素またはC1〜6アルキルである。
【0018】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0019】
【化24】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
は、水素、C1〜12アルキル、Ar、Ar1〜6アルキル、キノリニルC1〜6アルキル、ピリジルC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−C(=O)−R、−Alk−S(O)−Rまたは−Alk−S(O)−Rであって、ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルであり、
は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、アミノ、C1〜8アルキルアミノまたは置換C1〜8アルキルアミノであり、該置換C1〜8アルキルアミノは、C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されている;
、RおよびR16は、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、4,4−ジメチルオキサゾリルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
は、水素またはC1〜6アルキルである;
は、水素である;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、トリハロメチル、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノであるか、または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−2);
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、カルボキシC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、イミダゾリル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、
−N−R1112 (b−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13−または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜12アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、天然アミノ酸、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
17は、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Arである;
18は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
19は、水素またはC1〜6アルキルである;
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている;そして
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、シヌクレイノパチー被験体に、ファルネシル転移酵素阻害剤、またはそれらの薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩を投与する工程を包含し、該ファルネシル転移酵素阻害剤化合物は、+22.86°(c=49.22mg/5mL、メタノール)のα20値を有する6−(アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル)−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノンという鏡像異性体である。
【0021】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0022】
【化25】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、トリハロメチルまたはトリハロメトキシである;
は、水素、ハロ、C1〜6アルキル、シアノ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノ1〜6アルキル、Ar、Ar1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル;または次式のラジカルである:
−O−R10 (a−1)、
−S−R10 (a−2)、
−N−R1112 (a−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
は、次式のラジカルである:
【0023】
【化26】

ここで、
16は、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
17は、水素、C1〜6アルキルまたはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルである;
は、水素またはC1〜6アルキルであるが、このとき該点線は、結合を表わさない;
は、水素、C1〜6アルキルまたはArCHまたはHetCHである;
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;または
およびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成する:
−CH=CH− (c−1)
−CH−CH− (c−2)
−CH−CH−CH− (c−3)
−CH−O− (c−4)、または
−CH−CH−O− (c−5)
Arは、フェニル;または1個または2個の置換基で置換されたフェニルであり、該置換基は、それぞれ別個に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはトリフルオロメチルから選択される;
Arは、フェニル;または1個または2個の置換基で置換されたフェニルであり、該置換基は、それぞれ別個に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはトリフルオロメチルから選択される;そして
Hetは、ピリジニル;または1個または2個の置換基で置換されたピリジニルであり、該置換基は、それぞれ別個に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはトリフルオロメチルから選択される。
【0024】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0025】
【化27】

ここで、nは、2または3であり、そしてR、R、R、RおよびRは、先に定義したとおりである。
【0026】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0027】
【化28】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
−A−は、次式の二価ラジカルである:
−CH=CH− (a−1)、
−CH−CH− (a−2)、
−CH−CH−CH− (a−3)、
−CH−O− (a−4)、
−CH−CH−O− (a−5)、
−CH−S− (a−6)、
−CH−CH−S− (a−7)、
−CH=N− (a−8)、
−N=N− (a−9)、または
−CO−NH− (a−10);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar−C1〜6アルキル、Ar−オキシ、Ar−C1〜6アルキルオキシ;または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (b−1)、
−O−CH−CH−O− (b−2)、
−O−CH=CH− (b−3)、
−O−CH−CH− (b−4)、
−O−CH−CH−CH− (b−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (b−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、Ar−オキシ、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、トリハロメチル、トリハロメトキシであるか、または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、
−O−CH−CH−O− (c−2)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−3);
は、次式のラジカルである:
【0028】
【化29】

ここで、R13は、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;R14は、水素、C1〜6アルキルまたはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルである;
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、シアノ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキル、アミノカルボニル−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、Ar、Ar−C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル;または次式のラジカルである:
−O−R (e−1)、
−S−R (e−2)、または
−N−R (e−3);
ここで、
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−OR10または−Alk−NR1112
は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr−C1〜6アルキルである;
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル−C1〜6アルキル、Ar−カルボニル、Ar−C1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR10または−Alk−NR1112
ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr−C1〜6アルキルである;
11は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar10またはAr10−C1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、Ar11またはAr11−C1〜6アルキルである;そして
Ar〜Ar11は、それぞれ別個に、フェニル;または置換フェニルから選択され、該置換フェニルは、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはトリフルオロメチルで置換されている。
【0029】
1実施形態では、前記点線は、任意の結合を表わす;
Xは、OまたはSである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、トリハロメチルまたはトリハロメトキシから選択される;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、トリハロメチルまたはトリハロメトキシから選択される;
は、式(d−1)のラジカルであり、ここで、R13は、水素であるか、またはRは、式(d−2)のラジカルであり、ここで、R13は、水素またはC1〜6アルキルであり、そしてR14は、水素またはC1〜6アルキルである;
は、水素、ヒドロキシ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、または式−NRのラジカルであり、ここで、Rは、水素またはC1〜6アルキルであり、そしてRは、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニルである。
【0030】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0031】
【化30】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;ここで、X、−A−、R、R、RおよびRは、先に定義したとおりである。
【0032】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0033】
【化31】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
は、水素、C1〜12アルキル、Ar、Ar1〜6アルキル、キノリニルC1〜6アルキル、ピリジルC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−C(=O)−R、−Alk−S(O)−Rまたは−Alk−S(O)−Rであって、ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルであり、
は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、アミノ、C1〜8アルキルアミノまたは置換C1〜8アルキルアミノであり、該置換C1〜8アルキルアミノは、C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されている;
、RおよびR16は、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、4,4−ジメチルオキサゾリルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、トリハロメチル、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノであるか、または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−2);
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、カルボキシC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)−アミノC1〜6アルキル、イミダゾリル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ−C1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、
−N−R1112 (b−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜12アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、天然アミノ酸、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル−カルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
17は、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6−アルキルオキシカルボニル、Arである;
18は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
19は、水素またはC1〜6アルキルである;
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている;そして
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている。
【0034】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩を投与する工程を包含する:
【0035】
【化32】

ここで、
=X−X−X−は、次式の三価ラジカルである:
=N−CR=CR− (x−1)、
=N−N=CR− (x−2)、
=N−NH−C(=O)− (x−3)、
=N−N=N− (x−4)、
=N−CR=N− (x−5)、
=CR−CR=CR− (x−6)、
=CR−N=CR− (x−7)、
=CR−NH−C(=O)− (x−8)、または
=CR−N=N− (x−9);
ここで、各R、RおよびRは、別個に、水素、C1〜4アルキル、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ、アリールオキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜4アルキル、シアノ、アミノ、チオ、C1〜4アルキルチオ、アリールチオまたはアリールである;
>Y−Yは、次式の三価ラジカルである:
>CH−CHR− (y−1)、
>C=N− (y−2)、
>CH−NR− (y−3)、または
>C=CR− (y−4);
ここで、各Rは、別個に、水素、ハロ、ハロカルボニル、アミノカルボニル、ヒドロキシC1〜4アルキル、シアノ、カルボキシル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシ、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシカルボニル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノ、モノ−またはジ(C1〜4アルキル)アミノC1〜4アルキル、またはアリールである;
rおよびsは、それぞれ別個に、0、1、2、3、4または5である;
tは、0、1、2または3である;
各RおよびRは、別個に、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、アリール、アリールC1〜6アルキル、アリールオキシまたはアリールC1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノカルボニル、またはモノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルである;または
該フェニル環上の互いに隣接した2個のRまたはRは、別個に、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成する:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O=CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
は、水素、ハロ、C1〜6アルキル、シアノ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキル、アミノカルボニル、C1〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アリール、アリールC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル;または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、または
−NR1112 (b−3)、
ここで、R10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、アリール、アリールC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカル−Alk−OR13または−Alk−NR1415である;
11は、水素、C1〜6アルキル、アリールまたはアリールC1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、アリール、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、アリールC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニル、アリールカルボニル、ハロC1〜6アルキルカルボニル、アリールC1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノカルボニルであり、ここで、該アルキル部分は、必要に応じて、1個以上の置換基で置換され得、該置換基は、別個に、アリールまたはC1〜3アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、または次式のラジカル−Alk−OR13または−Alk−NR1415から選択される;
ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アリールまたはアリールC1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、アリールまたはアリールC1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、アリールまたはアリールC1〜6アルキルである;
は、次式のラジカルである:
【0036】
【化33】

ここで、R16は、水素、ハロ、アリール、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、モノ−またはジ(C1〜4アルキル)アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
17は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アリールC1〜6アルキル、トリフルオロエチルまたはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルである;
は、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;アリールは、フェニル、ナフタレニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、1個以上の置換基で置換されており、該置換基は、それぞれ別個に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはトリフルオロメチルから選択される;但し、R16が式(c−1)または(c−2)のイミダゾール環内の窒素原子の1個に結合されているとき、R16は、水素、アリール、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである。
【0037】
1実施形態では、各RおよびRは、別個に、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、アリール、アリールC1〜6アルキル、アリールオキシまたはアリールC1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、またはC1〜6アルキルオキシカルボニルである;または
前記フェニル環上で互いに隣接する2個のRまたはR置換基は、別個に、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成する:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O=CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
17は、水素、C1〜6アルキル、トリフルオロメチルまたはジ(C1〜6アルキル)アミノスルホニルである;
但し、R16が式(c−1)の前記イミダゾール環内の窒素原子の1個に結合されているとき、R16は、水素、アリール、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである。
【0038】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0039】
【化34】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
は、水素、C1〜12アルキル、Ar、Ar1〜6アルキル、キノリニルC1〜6アルキル、ピリジルC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−C(=O)−R、−Alk−S(O)−Rまたは−Alk−S(O)−Rであって、ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルであり、
は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、アミノ、C1〜8アルキルアミノまたは置換C1〜8アルキルアミノであり、該置換C1〜8アルキルアミノは、C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されている;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシまたはC2〜6アルケニルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはArオキシである;
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、ヒドロキシカルボニルC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、Ar、Ar1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキルである;
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
11は、水素またはC1〜6アルキルである;
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている;そして
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている。
【0040】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【0041】
【化35】

ここで、ラジカルR、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は、上で定義したとおりである。
【0042】
他の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、該方法は、治療有効用量および頻度で、該シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態アを投与する工程を包含する:
【0043】
【化36】

ここで、ラジカルR、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は、上で定義したとおりである。
【0044】
本発明の方法において、用語「シヌクレイノパチー被験体」は、シヌクレイノパチーおよび/または病理学的なシヌクレイン凝集体により特徴付けられる任意の神経変性障害に罹患しているか、またはその発症の危険にある(例えば、シヌクレイノパチーを発症しやすい(例えば、遺伝学的に罹り易い))被験体をいう。パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病(DLBD)および多系統萎縮症(MSA)を含む、数種の神経変性障害は、集合的にシヌクレイノパチーとして分類される。
【0045】
シヌクレインは、酸性のカルボキシ末端領域における、ポリペプチドのアミノ末端の半分のほぼ全般にわたって分布する、配列番号:8(KTKEGV)の繰り返される不完全反復により特徴付けられる、小タンパク質(123アミノ酸〜143アミノ酸)である。α、βおよびγと呼ばれる、3つのヒトシヌクレインタンパク質が存在し、これらは、それぞれ染色体4221.3−q22、5q23および10q23.2−q23.3にマッピングされる別個の遺伝子によりコードされる。最近、クローン化されたシヌクレインタンパク質シノレチン(synoretin)は、γ−シヌクレインに対して高い相同性を有し、そして網膜内に主に発現される。α−シヌクレイン(老人性斑前駆体タンパク質の非アミロイド成分(NACP)、SYN1またはシネルフィン(synelfin)とも呼ばれる)は、機能がほとんど規定されていない、耐熱性、「もともと本質的には折りたたまれない」タンパク質である。これは、中枢神経系(CNS)のニューロンにおいて主に発現され、そこにおいてシナプス前部の末端に局在される。電子顕微鏡研究は、軸索末端でのシナプス小胞に極めて近接する局在化α−シヌクレインを突きとめ、神経伝達またはシナプス組織におけるα−シヌクレインの役割を示唆した。そして、生化学的分析は、α−シヌクレインの小画分が小胞膜と会合し得るが、大半のα−シヌクレインは細胞質にあることを明らかにした。
【0046】
遺伝学的かつ組織病理学的証拠は、α−シヌクレインが、特定の神経変性疾患に特有な数種のタンパク質様の封入体の主要成分であるという考えを支持する。β−シヌクレインおよびγ−シヌクレインが、これらの封入体中に検出されなかったので、病理学的なシヌクレイン凝集体は、α−シヌクレインのアイソフォームに限定される。α−シヌクレイン陽性の凝集体の存在は、疾患特異的である。パーキンソン病(PD)およびびまん性レヴィー小体病(DLBD)の組織病理学的特徴である、レヴィー小体(ニューロンの線維性細胞質封入体)は、α−シヌクレインに対する抗体により強力に標識される。PD病理に関連する、ユビキチン陽性のジストロフィ性神経炎(レヴィー神経炎(LN)およびCA2/CA3ユビキチン神経炎と呼ばれる)もまた、α−シヌクレイン陽性である。さらに、淡蒼球(pale body)、LBの推定前駆体、わずかに腫れたニューロンの神経細胞形質内の糸状構造およびLB疾患を有する患者の中脳内のグリアの銀陽性封入体はまた、α−シヌクレインについて免疫反応性である。α−シヌクレインは、MSAおよびハレルフォルデン−シュパッツ病(脳の鉄蓄積の1型)におけるグリア細胞封入体(GCI)および神経細胞質封入体の主要成分のようである。α−シヌクレインの免疫反応性は、アルツハイマー病における老人性斑での、数例のジストロフィ性神経炎において存在するが、ピック小体の神経細線維もつれ(NFT)、神経向性糸(neurophil thread)または、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、運動ニューロン疾患およびトリヌクレオチドリピート病の固有の神経封入体もしくはグリア封入体において検出されない。
【0047】
さらに、証拠は、α−シヌクレインがLB、LNおよびGCIの原線維成分の実際の構築物であるという概念を支持する。免疫電子顕微鏡法研究は、これらの原線維が、インサイチュにおいてα−シヌクレイン抗体で強く標識されることを証明した。直線形態およびねじれた形態を有するサルコシル不溶性α−シヌクレインフィラメントはまた、DLBD脳およびMSA脳の抽出物において観察され得る。さらに、α−シヌクレインは、インサイチュで可視化されるサルコシル−不溶性の原線維またはフィラメントと同等な幅を有する、伸長したホモポリマーを、インビトロで構築し得る。ポリマー化は、これらのフィラメントのチオフラビンS反応性と一致する、二次構造におけるランダムコイルから逆平行βシート構造への同時変化を伴う。さらに、組換えA53Tα−シヌクレインが、野生型α−シヌクレインよりも高く、ポリマー化する傾向を有するので、α−シヌクレイン突然変異(A53T)とのPD関連性は、このプロセスを加速し得る。この突然変異はまた、このポリマーの超微細構造に影響する;2つのプロトフィラメントから構築されたかのように、これらのフィラメントは、外見において、わずかに幅広で、そしてよりねじれている。A30P突然変異はまた、α−シヌクレインのポリマー化する傾向をそこそこ増加させ得るが、この突然変異の病理学的影響は、その小胞への結合の低下に関連し得る。興味深いことに、カルボキシル末端切断型α−シヌクレインは、その全長タンパク質よりもフィラメントを形成しやすくあり得る。
【0048】
本発明にしたがって、α−シヌクレインのプロテオソーム性分解は、パーキンと神経のユビキチンC末端加水分解酵素(UCH−L1)とにより媒介される。パーキンは、α−シヌクレインをユビキチン化し、それにより分解のためにα−シヌクレインにタグ付けするE3リガーゼである。UCH−L1は、正常神経組織において、ポリユビキチン化タンパク質のプロテオソーム性分解の産物である、ユビキチン化タンパク質を切断するように働く。
【0049】
本発明は、ファルネシルトランスフェラーゼの阻害剤を使用して、シヌクレイノパチー障害を処置するための方法を提供する。ここでは、インビボで、UCH−L1がファルネシル化されることが発見された。UCH−L1は膜と会合し、そしてこの膜会合は、ファルネシル化により媒介される。ファルネシル化UCH−L1はまた、α−シヌクレインの蓄積を安定化する。本発明は、UCH−L1の膜解離とα−シヌクレインの分解の加速とをもたらし得る、UCH−L1のファルネシル化の防止または阻害に関する。α−シヌクレイン蓄積はPD、DLBDおよびMSAにおいて病原性であるので、α−シヌクレインの分解の増大および/またはα−シヌクレイン蓄積の阻害は、α−シヌクレインの病原性蓄積に関連する毒性を改善する。
【0050】
ファルネシル基によるタンパク質の修飾は、多くのタンパク質の機能に対して重要な影響を与え得る。ファルネシル化タンパク質は、代表的に、C末端の3アミノ酸のタンパク質分解性の除去とC末端のシスチンのカルボキシメチル化とを含む、さらなるC末端修飾の事象を受ける。これらのC末端修飾は、タンパク質−膜会合とタンパク質−タンパク質相互作用とを促進する。ファルネシル化は、プロテインファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)(基質タンパク質のC末端に存在するCAAXモチーフを認識するヘテロ2量体酵素)により触媒される。FTaseは、ファルネシルピロリン酸からファルネシル基を移送し、ファルネシル残基とCAAXモチーフ内のシスチン残基との間にチオエステル結合を形成する。FTaseの多くの阻害剤が開発され、それらは、当該分野において公知である。しかしながら、本発明は、α−シヌクレイン蓄積に関連する症状を有する被験体を処置する、特定のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤を使用するための新規の方法を提供する。
【0051】
本発明の方法において、用語「シヌクレイノパチー」は、α−シヌクレインの病理学的蓄積により特徴付けられる、神経障害をいう。この群の障害としては、PD、DLBDおよびMSAが挙げられる。
【0052】
パーキンソン病(PD)は、運動緩徐、引きずり歩行、姿勢の不安定、振せんおよび自動運動の喪失により特徴付けられる神経障害である。これは、ドーパミン含有黒質細胞の喪失のためである。症状が現れる前に、約50%のこれらの細胞がなくなる必要があるようである。関連する症状は、しばしば、硬直、運動を開始する困難(difficulty initiating movement)(運動不能症)、小さな字体(small handwriting)(小書症)、脂漏症、起立性高血圧、排尿困難、便秘症、リンパ痛、うつ病、認知症(患者のうちの1/3まで)、嗅覚障害(初期に発生する)を含む。起立性高血圧は、この疾患と関連して生じ得るか、または薬物適用の合併症として生じ得る。パーキンソン症候群を有する患者は、PDを有さない一般的な集団と比較して、約2倍高い死亡率を有する。このことは、より著しい脆弱性または運動性の低下に起因する。
【0053】
用語「シヌクレイノパチー被験体」は、PDに罹患しているか、またはその発症の危険にある被験体を包含する。これらの被験体は、症候の診断または遺伝子スクリーニング、脳スキャン、SPEC、PETイメージングなどによって、当業者により容易に同定され得る。
【0054】
PDの診断は、主に臨床的であり、そして先に列挙される臨床知見に基づく。パーキンソン症候群と間違えられ得る多くの状態が存在する。その中でも最も一般的なものは、薬物の副作用(主に、ハルドール(Haldol)のような主要なトランキライザ)、脳幹神経節に関する脳卒中、変性障害(例えば、進行性核上性麻痺(PSP)、オリーブ橋小脳変性(OPCD)、MSAおよびハンティングトン病)である。PD病理学的特徴は、黒質の罹患したニューロン内の細胞質内封入体である、レヴィー小体である。最近、α−シヌクレインは、散発性パーキンソン症候群における、レヴィー小体の主要成分として同定された。
【0055】
パーキンソン病は、大半の部分について数個の個体における遺伝因子、ウイルス、脳卒中または毒素まで明確に追跡され得るが、任意の特定の場合におけるパーキンソン病の原因は未知である(これは、散発性PDと呼ばれる)。環境的な影響としては、水をよく飲むこと、農業をすること、重金属(鉄、亜鉛、銅、水銀、マグネシウムおよびマンガン)への産業的な暴露、アルキル化リン酸塩およびオルト(orthonal)塩素が挙げられる。パラクアット(除草剤)は、パーキンソン症候群の有病率の上昇と関連しており、喫煙は、発生率の低下に関連する。現在のコンセンサスは、パーキンソン症候群が高い遺伝感受性と組み合わせた一般的でない毒素によってか、または比較的低い遺伝感受性と組み合わせた一般的な毒素によって生じ得ることである。
【0056】
PDを発症する危険にある被験体は、例えば、遺伝子分析により同定され得る。PDに関連する遺伝因子について良好な証拠が存在する。常染色体性の優勢遺伝型PDの広範な家系が報告された。α−シヌクレインの一つの突然変異は、一家系の原因である。
【0057】
本発明の方法は、1つ以上の代替的な薬物適用(シヌクレイノパチー、あるいはこの疾患または上記の薬物適用の副作用として生じる症状を処置するために、現在使用される薬物適用が挙げられる)と併用して使用され得る。
【0058】
例えば、本発明の方法は、PDを処置するための薬物適用と併用して使用され得る。主にカルボドパおよびレボドパ(SynematおよびSynemat CR)を含む併用製品の形態でのレボドパは、処置の要であり、そしてPDの処置のための最も有効な薬剤である。レボドパは、ドーパミン前駆体(脳内で酵素によりドーパミンへ変換される物質)である。カルボドパは、副作用を防止し、全体の投薬必要量の総量を低下させる、末梢性ジカルボキシラーゼ阻害剤である。Synematの開始用量は、毎食前、125/100錠剤である。使用者の維持用量は、それより低い。ジスキネジーが、過剰用量から生じ得、それはまた、長期(例えば、数年)の使用後に共通して見られる。直接作用性ドーパミンアゴニストは、より少ない、この副作用を有し得る。起立性高血圧は、カルボドパの増加に応答し得る。約15%の患者は、レボドパに応答しない。ドーパミンは、潜在的に無毒の遊離ラジカルへ代謝される。そして、幾人かは、直接作用性ドーパミンアゴニストが、ドーパミンアゴニストを補充するために初期に使用されるべきであると感じる。Stalevo(カルボドパ、レボドパおよびエンタカポン(entacapone))は、「短縮する」徴候および症状を経験する患者に対する、新規の組み合わせ錠剤である。この錠剤は、カルボドパと、レボドパ(PDに対する最も広範な薬剤)とエンタカポンとを組み合わせ、カルボドパがレボドパの副作用を軽減する一方で、エンタカポンは、レボドパが脳内で活性である時間を10%まで、延長する。
【0059】
アマンタジン(Amantidine)(シンメトレル)は、シナプス前ニューロンへのドーパミンの再取り込みをブロックすることにより働くと考えられる低刺激性の薬剤である。これはまた、貯蔵部位からのドーパミンの放出を活性化し、グルタミン酸レセプターをブロックする活性を有する。これは、初期単独治療として広範に使用され、そして投薬は、毎日200mg〜300mgである。アマンタジンは、顕著な振せんを有する患者において特に役立つ。副作用としては、足根関節の腫れおよび紅斑が挙げられる。不幸なことに、より進行したPDにおける、この効果はしばしば長続きせず、患者は「脱落効果(fallout effect)」を報告する。
【0060】
抗コリン作動薬(トリヘキシフェニジル、メシル酸ベンズトロピン、プロシクリジン、アーテン、コゲンチン)は、ドーパミン作用系に対して直接作用しない。直接作用性ドーパミンアゴニストとしては、ブロモクリプチン(Parlodel)、ペルゴリド(Permax)、ロピニロール(Requip)およびプラミペキソール(Mirapex)が挙げられる。これらの薬剤は、議論の余地のある付加利益とともに、実質的にレボドパ(Synemat)よりも高額である。どのドーパミンレセプターが刺激されているかに依存して、DlアゴニストおよびD2アゴニスト(例えば、Ergolide)は、D1レセプターおよびD2レセプターを刺激することにより抗パーキンソン効果を発揮し得る。MirapexおよびRequipは、より新規の薬剤である。両者は、D2レセプターに対して最も高い親和性で、ドーパミンレセプターのために幾分選択され、そしてD3レセプターにおいて活性も有する。一般的に、直接ドーパミンアゴニストは、レボドパよりも多く、有害な神経精神医学的な副作用(例えば、錯乱)を生成するようである。レボドパとは異なり、直接的なドーパミンアゴニストは、ドーパミンへの変換を受けず、それゆえ潜在的な毒性代謝産物を生成しない。直接ドーパミンアゴニストの初期の使用は、ドーパミンの後期の合併症(例えば、「オン−オフ」効果)の発症から防御し得ることも起こり得る。
【0061】
低用量で服用されるモノアミンオキシダーゼ−B阻害剤(MAO)(例えば、セレジリン(DiprenylまたはEldepryl)は、初期に、パーキンソン症候群の進行を低下させ得る。これらの化合物は、付加的な薬物適用として使用され得る。研究は、セレジリンが、大体3ヶ月、レボドパに対する必要性を遅らせることを証明した。
【0062】
カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤(COMT)もまた、本発明の併用処置において使用され得る。カテコール−O−メチルトランスフェラーゼは、レボドパを分解する酵素であり、この分解の速度を低下させるために阻害剤が使用され得る。エンタカポン(entocapone)は、本発明の特定の方法および組成物において使用され得る、末梢作用性COMT阻害剤である。TasmarまたはTolcapone(1997年にFDAにより認可された)もまた、本発明の特定の方法および組成物において使用され得る。PD薬物適用により誘導される精神医学的な有害な副作用としては、精神病、錯乱、動揺、幻覚および妄想が挙げられる。これらは、ドーパミン薬物適用を低下させることによってか、抗コリン作動薬、アマンタジンもしくはセレジリンを減らすこともしくは打ち切ることによってか、またはクロザピン(clozipine)(例えば、一日あたり6.25mg〜50mgの用量で)を使用することによって、処置され得る。
【0063】
本発明の方法はまた、PDの処置のための外科治療と併用して使用され得る。外科処置は、現在、PDの医療管理に失敗した者に推奨される。片側視床切開術−振せんを減少させるために使用され得る。これは、薬物適用に応答しない、片側性の振せんを有する患者のために考慮される。この改善は、時間とともに消える。両側の手順は、勧められない。片側淡蒼球切断術は、対側性のレボドーパミン性のジスキネジーを減少させるために有効な技術である。振せんに対する、視床の片側の脳深部の刺激はまた、振せんに対して有効であり得る。神経移植は、最早有効な処置ではないと考えられる。ガンマナイフ手術−視床切開術または淡蒼球切断術−放射線を集中することにより実施され得る。手術および薬物適用に加えて、パーキンソン症候群における理学療法は、筋肉の正常状態、柔軟性を維持し、姿勢および歩行を改善する。
【0064】
本発明にしたがって、用語「シヌクレイノパチー被験体」はまた、DLBDに罹患しているか、またはその発症の危険にある被験体も包含する。これらの被験体は、症候の診断または遺伝子スクリーニング、脳スキャン、SPEC、PETイメージングなどによって、当業者により容易に同定され得る。
【0065】
DLBDは、高齢者における、神経変性型認知症の二番目に一般的な原因であり、これは、65歳より年長の一般的集団の7%、80歳より年長では30%に影響する。これは、シナプスタンパク質α−シヌクレインの正常な凝集体の神経症の病理学の根底を共有する、臨床症状の範囲の一部である。DLBDは、パーキンソン病の過程で生じる、認知症の多くの臨床特徴および病理学的特徴を有する。「一年ルール(one year rule)」は、PDからDLBDを区別するために使用され得る。このルールにしたがうと、パーキンソン症候群の12ヶ月以内の認知症の発症は、DLBDとして認定し、一方で12ヶ月間より長いパーキンソン症候群の後の認知症の発症は、PDとして認定する。DLBDの中心的な特徴としては、正常な社会機能および職業上の機能を妨害するのに十分な程度の進行性の認知低下が挙げられる。顕著かつ持続性の記憶障害は、必ずしも、初期段階で生じるわけではないが、大半の場合において進行とともに明らかである。注意力の試験ならびに前頭皮質の技能および視覚の空間能力の試験における欠乏は、特に顕著であり得る。
【0066】
中心となる診断特徴(このうち2つは、十分に起こりそうなDLBDの診断に対して必須であり、1つは、予定されるDLBDに対して必須である)は、注意力および機敏さにおいて明白な変化を伴う認識の上下変動、代表的に十分に形成され詳細にわたる反復性の視覚的幻覚、ならびにパーキンソン症候群の自発的特徴である。さらに、いくつかの支持的な特徴(例えば、反復性の転倒(repeated fall)、失神、意識の一過的な喪失、精神遮断薬感受性、体系妄想、幻覚および他の種々の感覚、REM睡眠挙動の障害、ならびにうつ病)が存在し得る。DLBDを有する患者は、言語記憶の試験において、アルツハイマー病を有する患者よりは良いが、視覚能力試験においては悪い。このプロフィールは、疾患の重症度の範囲にわたって維持され得るが、全般的な困難のためにより後期段階において認識するのに難くなり得る。DLBDは、代表的に、進行性悪化を背景として、錯乱の再発性エピソードを伴って現れる。DLBDを有する患者は、皮質性および皮質下性の神経心理学的な障害と、実質的な注意欠如および顕著な前頭皮質下機能不全および視覚特異的機能不全との組み合わせを示す。これらは、この障害をアルツハイマー病から区別するのに役立つ。
【0067】
急速眼球運動(REM)睡眠行動疾患は、REM睡眠中の単純または複雑な運動挙動を伴う、鮮明かつ恐ろしい夢により明示される、錯眠である。この障害は、しばしば、シヌクレイノパチー、DLBD、PDおよびMSAと関連するが、これは、アミロイドパシー(amyloidopathy)およびタウパシー(taupathy)において稀にしか生じない。REM睡眠行動疾患/認知症における障害の神経心理学的パターンは、DLBDにおいて報告されるものと同様であり、アルツハイマー病において報告されるものとは性質上異なる。神経変性障害に関連するREM睡眠行動疾患の神経病理学的研究は、レヴィー小体病または多系統萎縮症を示した。ナルコレプシーの特徴であるREM睡眠覚醒解離(REM睡眠行動疾患、日中の過度の傾眠(daytime hypersomnolence)、幻覚、カタプレキシー)は、DLBDおよびPDのいくつかの特徴を説明し得る。睡眠障害は、DLBDに代表的な変動に寄与し得ず、これらの処置は、変動と生活の質とを改善し得る。DLBDを発症する危険にある被験体は、同定され得る。反復性の転倒、失神、意識の一過的な喪失およびうつ病は、認知障害を有する高齢者において一般的であり、これらは、DLBDの可能性診断に対する(赤旗(red flag))としての役割を果たし得る。対照的に、REM睡眠行動疾患における睡眠薬感受性は、DLBDについて高度に予兆的となり得る。これらの検出は、感知の多くの指標を有し、適切なスクリーニング質問を訊ねる臨床家に依存する。
【0068】
LBDに罹患しているか、またはその発症の危険にあるシヌクレイノパチー被験体の臨床診断は、神経イメージング(neuroimaging)検査により支持され得る。DLBDに関連する変化としては、海馬の保存ならびにMRI上における中側頭葉(medialtemperalobe)容積およびSPECTにおける棘状突起(sipital)の過剰なシグナルが挙げられる。他の特徴(例えば、全身性萎縮、白質の中間変化(white medichange)および脳全体の萎縮の進行速度)は、鑑別診断においては役立たない。尾状核および被殻における、ドーパミン輸送の損失(黒質線状体の分解のマーカー)は、ドーパミン作用性(dopomenergic)SPECTにより検出され得、そして臨床鑑別診断において役立ち得る。83%の感度および100%の特異性が、DLBDの検死診断による異常さのスキャンについて報告された。
【0069】
DLBDを診断するためのコンセンサス診断基準としては、レヴィー小体の同定についてのユビキチン免疫組織化学が挙げられ、これは、レヴィー小体の数および分布に依存して以下3つのカテゴリに段階分けされる:脳幹に顕著、脳辺縁系、または新皮質。最近開発されたα−シヌクレイン免疫組織化学は、より多くのレヴィー小体を可視化する、より良好なマーカーであり、以前には神経症病理学(レヴィー神経炎と呼ばれる)の認識下にあって、より良好な供給源でもあり得る。α−シヌクレインに対する抗体の使用は、多くのDLBD症例についての診断評価を、脳幹群および脳辺縁系群から新皮質群に移動させる。
【0070】
DLBDを有する大半の患者において、α−シヌクレイン遺伝子においても他のパーキンソン病遺伝子においても遺伝子の突然変異は存在しない。mRNA発現の増加に起因する、正常な野生型α−シヌクレインの病理学的アップレギュレーションは、可能性のある機構である、または、いくつかの理由のために、α−シヌクレインが不溶性になるか、またはより凝集し得るようになるので、レヴィー小体が形成し得る。別の可能性は、α−シヌクレインが、例えば、プロテオソーム系の機能不全により異常にプロセシングされ、それにより、毒性「プロトフィブリル」が生成されることである。これらの毒性原線維をレヴィー小体へ隔離することは、ニューロンが単に神経変性細片になることではなく、細胞内の生物学的ストレスと戦うニューロンによる尽力を反映し得る。
【0071】
DLBDの正確さについての標的症状としては、錐体外路運動特徴、認知障害、神経精神医学的特徴(幻覚、うつ病、睡眠障害および関連する行動障害が挙げられる)または自律神経の機能不全が挙げられ得る。
【0072】
本発明の方法は、DLBDを処置するための1つ以上の代替的な薬物適用と組み合わせて使用され得る。例えば、受容可能な最低用量のレボドパが、DLBDを処置するために使用され得る。D2−レセプターアンタゴニスト(特に、伝統的な精神遮断因子)は、DLBD被験体において重篤な感受性反応を引き起こし得、死亡率において2倍〜3倍の増加を伴い得る。上記に議論されるコリンエステラーゼ阻害剤もまた、DLBDの処置において使用される。
【0073】
本発明にしたがって、用語「シヌクレイノパチー被験体」はまた、MSAに罹患しているか、またはその発症の危険にある被験体も包含する。これらの被験体は、症候の診断または遺伝子スクリーニング、脳スキャン、SPEC、PETイメージングなどによって、当業者により容易に同定され得る。
【0074】
MSAは、以下の症状の組み合わせにより特徴付けられる神経変性疾患である:運動、血圧および他の身体機能への影響、それゆえ、標識「多系統萎縮症」である。MSAの原因は、未知である。MSAの症状は、発症の分布および重症度において人ごとに異なる。このことから、以下の3つの異なる疾患が、この症状の範囲を達成するために、初めのうち記載された:シャイ−ドレーガー症候群、線条体黒質変性(SD)およびオリーブ橋小脳萎縮(OPCA)。
【0075】
シャイ−ドレーガー症候群において、最も顕著な症状は、自律神経系(血圧、尿機能、および意識の制御を伴わない他の機能)を含む症状である。線条体黒質変性は、パーキンソン症候群の症状(例えば、運動の低下および硬直)を引き起こすが、OPCAは、主として平衡、協調および発語に影響する。MSAについての症状としてはまた、起立性高血圧、雄性不能、排尿困難、便秘症、発語および嚥下困難ならびに視野のぼやけが挙げられ得る。
【0076】
MSAの初期診断は、通常患者を注意深く問診し、健康診断を実施することによりなされる。いくつかの型の脳イメージング(コンピュータ組織断層撮影(histomography)、スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)および陽電子断層撮影法(PET)が挙げられる)が使用される。薬理学的負荷試験(種々の型の運動が存在する患者に特定の薬物を投与すること)もまた、代表的なパーキンソン症候群の徴候を有する患者において助けとなり得る。ドーパミン置換治療(例えば、Sinemet)に対する、不完全かつ比較的芳しくない応答は、MSAが存在する手がかりであり得る。複数の脳の系の特徴的な関与は、MSAを規定する特徴であり、一つは検死が診断を確認するものである。MSAを有する患者は、同様に、特定の型の脳細胞においてグリアの細胞質封入体の存在を有し得る。レヴィー小体は、MSAにおいて存在しない。パーキンソン病との比較において、Sinemetへの芳しくない応答に加えて、MSAが示唆される、いくつかの他の観察(例えば、起立状態における低血圧、排尿に伴う困難、車椅子の使用、大いびきまたは騒々しい呼吸、および頻繁な夜尿)が存在する。
【0077】
本発明の方法は、MSAを処置するための1つ以上の他の薬物適用と併用して使用され得る。代表的に、MSAの種々の症状を処置するために使用され得る薬物は、この疾患が進行するにつれ有効でなくなる。PDを処置するレボドパおよびドーパミンアゴニストは、時折、MSAの緩慢および硬直に対して有効である。起立性高血圧は、コルチゾン、ミドドリンまたは血圧を上昇させる他の薬物により改善され得る。雄性不能は、陰茎インプラントまたは薬物により処置され得る。失禁は、薬物適用またはカテーテル法により処置され得る。便秘症は、食事性線維の増大または緩下薬により改善され得る。
【0078】
本発明にしたがって、用語「処置」は、予防および治療を包含し、そして、これは、シヌクレイノパチー被験体の症状を管理すること、およびシヌクレイノパチーの進行を停止させることを包含する。処置は、シヌクレイノパチーもしくは関連する障害を有するか、またはそれらを発症する危険にある被験体において、シヌクレイノパチーの発症および/またはシヌクレイノパチーに関連する特定の症状の発症を予防すること、遅延させること、停止させることあるいは逆転させること(例えば、治癒すること)を含む。治療は、シヌクレイノパチーを有する被験体において、α−シヌクレインの蓄積を予防すること、遅延させること、停止させることあるいは逆転させること(例えば、治癒すること)を含む。治療はまた、シヌクレイノパチーを有する被験体において、蓄積されるα−シヌクレインの量を減少させることも含む。
【0079】
本明細書で使用される、句「治療有効量」は、合理的な利益/危険比で任意の内科療法に適用可能である、被験体において、いくつかの所望の治療効果を生成するのに有効な、化合物、物質または本発明の化合物を含む組成物の量を意味する。したがって、治療有効量は、シヌクレイノパチーに関連する疾患の進行を予防するか、最小限にするか、または逆転させる。疾患の進行は、当業者に明らかな臨床観察、研究室検査および神経イメージング検査によってモニタリングされ得る。治療有効量は、単回用量または複数回用量治療の一部として有効である量(例えば、2回以上の用量または長期的に投与される量で投与される量)において有効である量であり得る。
【0080】
本明細書中で言及する「薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩」とは、これらの化合物が形成できる治療活性のある非毒性酸および非毒性塩基付加塩を含むことを意味する。塩基性を有する化合物は、その塩基形態を適当な酸で処理することにより、それらの薬学的に受容可能な酸付加塩に変換できる。適当な酸には、例えば、無機酸(例えば、ハロゲン化水素酸(hydrohalic acids)(例えば、塩酸または臭化水素酸);硫酸;硝酸;リン酸および類似の酸);または有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸および類似の酸)が挙げられる。
【0081】
酸性を有する化合物は、その酸形態を適当な有機または無機塩基で処理することにより、それらの薬学的に受容可能な塩基付加塩に変換できる。適当な塩基形態には、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩など)、有機塩基との塩(例えば、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン(hydrabamine)塩)、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩が挙げられる。
【0082】
酸および塩基付加塩との用語はまた、これらの化合物が形成できる水和物および溶媒付加形態を含む。このような形態の例には、例えば、水和物、アルコラートなどがある。
【0083】
本明細書中で使用する「化合物の立体異性体形態」との用語は、これらの化合物が有し得る異なる三次元構造(それらは、交換可能ではない)を有すること以外は、同じ配列の結合により結合された同じ原子から構成される全ての可能な化合物を含む。別な様に言及されるかまたは示されない限り、化合物の化学的表示は、その化合物がとり得るすべての可能な立体化学的異性体形態の混合物を包含する。その混合物は、その化合物の基本となる分子構造のすべてのジアステレオマーおよび/または鏡像異性体を含み得る。これらの化合物の全ての立体異性体形態は、純粋形態で、または互いに混合して、両方共に、本発明の範囲内に包含されると解釈される。
【0084】
これらの化合物のいくつかはまた、それらの互変異性形態で存在し得る。このような形態は、上式では明白には示されていないものの、本発明の範囲内に含まれると解釈される。
【0085】
本発明の化合物および組成物に関連して本明細書中で記述した方法および構造はまた、これらの化合物および組成物の薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩および全ての立体異性体形態に当てはまる。
【0086】
本発明の化合物および組成物において、「アルキル」との用語は、飽和脂肪族基のラジカルを意味し、これらの基には、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基が挙げられる。好ましい実施形態では、直鎖または分枝鎖アルキルは、その骨格内に、12個またはそれより少ない炭素原子(例えば、直鎖についてC〜C12、分枝鎖についてC〜C12)、さらに好ましくは、6個またはそれより少ない炭素原子、さらにより好ましくは、4個またはそれより少ない炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、それらの環構造内に、3個〜10個の炭素原子を有し、さらに好ましくは、それらの環構造内に、5個、6個または7個の炭素を有する。
【0087】
炭素数を特に明記しない限り、本明細書中で使用する「低級アルキル」とは、その骨格構造内に、1個〜10個の炭素、さらに好ましくは、1個〜6個の炭素原子、さらにより好ましくは、その骨格構造内に、1個〜4個の炭素原子を有すること以外は、上で定義したアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、類似の鎖長を有する。好ましいアルキル基は、低級アルキルである。好ましい実施形態では、アルキルとして本明細書中で指定された置換基は、低級アルキルである。
【0088】
本明細書中で使用する「ハロゲン」との用語は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを表わす;「スルフヒドリル」との用語は、−SHを意味する;そして「ヒドロキシル」との用語は、−OHを意味する。
【0089】
「メチル」との用語は、一価ラジカル−CHを意味し、そして「メトキシル」との用語は、一価ラジカル−CHOHを意味する。
【0090】
本明細書中で使用する「アラルキル」または「アリールアルキル」との用語は、アリール基で置換されたアルキル基(例えば、芳香族またはヘテロ芳香族基)を意味する。
【0091】
「アルケニル」および「アルキニル」とは、それぞれ、少なくとも1個の二重結合または三重結合を有すること以外は、長さおよび可能な置換の点で上記アルキルと類似している不飽和脂肪族基を意味する。
【0092】
本明細書中で使用する「アリール」との用語は、0個〜4個のヘテロ原子を含み得る5員、6員および7員の単環状芳香族基(例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなど)を含む。その環構造内にヘテロ原子を有するアリール基はまた、「アリール複素環」または「ヘテロ芳香族」と呼ばれ得る。その芳香環は、1つ以上の環位置で、上記のような置換基(例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族部分またはヘテロ芳香族部分、−CF、−CNなど)で置換できる。「アリール」との用語は、2個以上の環式環を有する多環式環系(そこでは、2個以上の炭素は、2個の隣接環に共通している)(これらの環は、「縮合環」である)を含み、ここで、これらの環の少なくとも1個は、芳香族であり、例えば、他の環状環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る。
【0093】
「オルト」、「メタ」および「パラ」との用語は、それぞれ、1,2−、1,3−および1,4−二置換ベンゼンに適用する。例えば、1,2−ジメチルベンゼンおよびオルト−ジメチルベンゼンとの名称は、同義である。
【0094】
「ヘテロシクリル」または「複素環式基」または「ヘテロアリール」とは、3員〜10員環構造、さらに好ましくは、3員〜7員環を意味し、これらの環構造は、1個〜4個のヘテロ原子を含む。複素環はまた、多環であり得る。ヘテロシクリル基には、例えば、チオフェン、ベンゾチオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチン(phenoxathiin)、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム(例えば、アゼチジノンおよびピロリジノン)、スルタム、スルトンなどが挙げられる。この複素環は、1つ以上の位置で、上記のような置換基(例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−CF、−CNなど)で置換できる。
【0095】
本明細書中で使用する各表現(例えば、アルキル、m、nなど)の定義は、任意の構造内で1回より多く起こるとき、同じ構造内の他の場所での定義とは無関係であると解釈される。
【0096】
「置換」または「で置換された」とは、このような置換が置換された原子および置換基の許容される原子価に従っていること、および置換によって安定な化合物(これは、例えば、転位、環化、脱離などにより、自発的な変換を受けることがない)を生じるという暗黙の条件を含むことが理解される。
【0097】
本明細書中で使用する「置換された」との用語は、有機化合物の全ての許容できる置換基を含むと意図される。広義の局面では、許容できる置換基は、有機化合物の非環式および環式、分枝および非分枝、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基を含む。例証的な置換基には、例えば、上記のものが挙げられる。許容できる置換基は、適当な有機化合物に対して、1種以上であり得、また、同一または異なり得る。本発明の目的のために、窒素のようなヘテロ原子は、水素置換基および/または本明細書中で記述した有機化合物の任意の許容できる置換基(これは、これらのヘテロ原子の原子価を満たす)を有し得る。本発明は、有機化合物の許容できる置換基によって限定されるとは決して解釈されない。
【0098】
本発明の特定の化合物は、特定の幾何異性または立体異性形態で存在し得る。本発明は、全てのこのような化合物を企図しており、これらには、シス−およびトランス−異性体、R−およびS−鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、それらのラセミ混合物、およびそれらの他の混合物が挙げられ、それらは、本発明の範囲内に入る。アルキル基のような置換基には、追加の非対称炭素が存在し得る。全てのこのような異性体だけでなく、それらの混合物は、本発明に含まれると解釈される。特定の実施形態では、本発明は、本明細書中で概説された構造のいずれかで表わされる化合物に関し、ここで、この化合物は、単一の立体異性体である。
【0099】
もし、例えば、本発明の化合物の特定の鏡像異性体が望ましいなら、それは、不斉合成により、またはキラル補助剤を使う誘導により調製され得、この場合、得られたジアステレオマー混合物は、分離され、その補助基は、開裂されて、純粋な所望鏡像異性体が得られる。あるいは、その分子が塩基性官能基(例えば、アミノ)または酸性官能基(例えば、カルボキシル)を含有する場合、ジアステレオマー塩は、適当な光学活性酸または塩基で形成され、続いて、それにより形成されたジアステレオマーは、当該技術分野で周知の分別結晶化またはクロマトグラフィー手段により分割され、引き続いて、純粋な鏡像異性体が回収される。
【0100】
上記の化合物の意図された等価物には、その化合物の効力に悪影響を与えない置換基の1つ以上の簡単な変更が行われた点以外ではそれに対応した化合物であって、それと同じ特性(例えば、抗シヌクレイノパチーファルネシル転移酵素阻害剤化合物としての機能)を有する化合物が挙げられる。一般に、本発明の化合物は、容易に利用可能な出発物質、試薬および通常の合成手順を使用して、例えば、下記のような一般的な合成スキームにより、またはそれらの改良により、調製され得る。これらの反応では、また、変種を利用することも可能であり、これらは、それ自体公知であるが、ここでは言及しない。
【0101】
本発明の目的のために、化学元素は、the Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,67th Ed.,1986−87(内表紙)に従って、同定される。
【0102】
他の局面では、本発明は、「薬学的に受容可能な」組成物を提供し、これらは、本明細書中で記述した化合物の1種以上の治療有効量を含有し、1種以上の薬学的に受容可能な担体(添加剤)および/または希釈剤と共に処方される。詳述するように、本発明の医薬組成物は、固体形態または液体形態で投与するために特別に処方され得、これには、以下に適合させたものが挙げられる:経口投与(例えば、ドレンチ(水性または非水性溶液または懸濁液)、錠剤(例えば、口内、舌下および全身吸収を標的にしたもの)、巨丸剤、粉剤、顆粒、舌に適用するペースト;非経口投与(例えば、皮下、筋肉内、静脈内または硬膜外注射(例えば、滅菌溶液または懸濁液、または徐放処方)による);局所塗布素(例えば、皮膚、肺または口腔に塗布されるクリーム、軟膏、または徐放パッチまたはスプレー);膣内または直腸内(例えば、ペッサリー、クリームまたは泡剤として);舌下;眼内;経皮;または鼻内、肺および他の粘膜表面へ。
【0103】
「薬学的に受容可能な」との語句は、本明細書中にて、信頼できる医学的判断の範囲内にて、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題または合併症なしで、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適当であり、合理的な利益/危険度比と釣り合った化合物、物質、組成物および/または剤形を意味するように、使用される。
【0104】
本明細書中で使用する「薬学的に受容可能な担体」との語句は、薬学的に受容可能な物質、組成物または媒体(例えば、液状または固形充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒カプセル化材料)であって、対象化合物を、ある臓器または身体部分から他の臓器または身体部分へと運搬または輸送することに関与しているものを意味する。各担体は、処方の他の成分と相溶性であり患者に有害ではないという意味で、「受容可能」でなければならない。薬学的に受容可能な担体として供することができる物質の一部の例には、以下が挙げられる:糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;滑石;賦形剤(例えば、カカオバターおよび座薬ワックス);オイル(例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油);グリコール(例えば、プロピレングリコール);ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル);寒天;緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質不含水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝液;ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;および医薬処方で使用される他の無毒の相溶性物質。
【0105】
本明細書中で記述するように、本発明の化合物の特定の実施形態は、塩基性官能基(例えば、アミノまたはアルキルアミノ)を含有し得、それゆえ、薬学的に受容可能な酸と薬学的に受容可能な塩を形成できる。「薬学的に受容可能な塩」との用語は、この点で、本発明の化合物の比較的に非毒性の無機酸および有機酸付加塩を意味する。これらの塩は、その投与ビヒクルまたは剤形製造プロセスにて、その場で調製でき、または本発明の精製した化合物を、その遊離塩基形態で、適当な有機酸または無機酸と別々に反応させることにより、そして引き続いた精製中にて、そのように形成された塩を単離することにより、調製できる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシレート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などが挙げられる(例えば、Bergeら、(1977) 「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.,66:1−19を参照のこと)。
【0106】
対象化合物の薬学的に受容可能な塩には、この化合物の通常の無毒塩または四級アンモニウム塩(例えば、無毒の有機酸または無機酸に由来のもの)が挙げられる。例えば、このような通常の無毒塩には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など)から誘導されたもの;および有機酸(酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸など)から調製された塩が挙げられる。
【0107】
言い換えれば、本発明の化合物は、1個以上の酸性官能基を含有し得、それゆえ、薬学的に受容可能な塩基と共に薬学的に受容可能な塩を形成できる。「薬学的に受容可能な塩」との用語は、これらの場合、本発明の化合物の比較的に非毒性の無機および有機塩基付加塩を意味する。これらの塩は、同様に、その投与ビヒクルまたは剤形製造プロセスにて、その場で調製でき、または精製した化合物を、その遊離酸形態で、適当な塩基(例えば、薬学的に受容可能な金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩)、アンモニア、または薬学的に受容可能な有機第一級、第二級または第三級アミンと別々に反応させることにより、その投与ビヒクルまたは剤形製造プロセスにて、その場で調製できる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびアルミニウム塩などが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる。(例えば、Bergeら(上記)を参照のこと)。
【0108】
湿潤剤、乳化剤および潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)だけでなく、着色剤、離型剤、被覆剤、甘味料、矯味矯臭剤および香料、防腐剤および酸化防止剤もまた、これらの組成物中に存在できる。
【0109】
薬学的に受容可能な酸化防止剤の例には、以下が挙げられる:水可溶性酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど);油溶性酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど);および金属キレート化剤(例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など)。
【0110】
本発明の処方物には、経口投与、鼻内投与、局所投与(口腔内投与および舌下投与を含めて)、直腸投与、膣内投与および/または非経口投与に適当なものが挙げられる。これらの処方は、好都合には、単位剤形で提供され得、そして薬学分野で周知の任意の方法により、調製され得る。単位剤形を生成するために担体物質と配合できる活性成分の量は、治療される宿主、および特定の投与様式に依存して、変わる。単位剤形を生成するために担体物質と配合できる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量である。一般に、この量は、約1%〜約99%、好ましくは、約5%〜約70%、最も好ましくは、約10%〜約30%の活性成分の範囲である。
【0111】
特定の実施形態では、本発明の処方物は、シクロデキストリン、リポソーム、ミセル形成剤(例えば、胆汁酸)および重合体担体(例えば、ポリエステルおよびポリ無水物)からなる群から選択される賦形剤と、本発明の化合物とを含有する。特定の実施形態では、前記処方は、本発明の化合物を経口的に利用可能にする。
【0112】
これらの処方物または組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、この担体および必要に応じて、1種以上の補助成分と会合させる工程を包含する。一般に、これらの処方物は、本発明の化合物を液状担体または細かく分割した固形担体またはそれらの両方と均一かつ密接に会合させることにより、次いで、必要なら、その生成物を成形することにより、調製される。
【0113】
経口投与に適当な本発明の処方は、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、薬用ドロップ(味付け基材(通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)を使用する)、粉剤、顆粒の形態であるか、または水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液、または水中油型または油中水型乳濁液、またはエリキシル剤またはシロップ、または香錠(不活性基材(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア)を使用する)および/またはうがい薬などであり得、各々は、活性成分として、所定量の本発明の化合物を含有する。本発明の化合物はまた、巨丸剤、舐剤またはペーストとして、投与され得る。
【0114】
経口投与用の本発明の固形剤形(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉剤、顆粒など)では、その活性成分は、1種以上の薬学的に受容可能な担体(例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または以下のいずれかと混合される:充填剤または増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸);結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシア);加湿剤(例えば、グリセリン);崩壊剤(例えば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウム);溶液遅延剤(例えば、パラフィン);吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物);湿潤剤(例えば、セチルアルコール、グリセロールモノステアレート、および非イオン性界面活性剤);吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土);潤滑剤(例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物);および着色剤。カプセル、錠剤および丸薬の場合、これらの医薬組成物はまた、緩衝剤を含有し得る。類似の形式の固形組成物はまた、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤だけでなく高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟殻および硬殻ゼラチンカプセルにおいて、充填剤として、使用され得る。
【0115】
錠剤は、必要に応じて、1種以上の補助成分と共に、圧縮または成形により、製造され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプンまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を使用して、調製され得る。成形錠剤は、粉末化化合物の混合物が不活性液状希釈剤で湿らされる適当な機械にて、製造され得る。
【0116】
本発明の医薬組成物の錠剤および他の固形剤形(例えば、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒)は、必要に応じて、刻み目をつけられるか、または被覆および外殻(例えば、腸溶性被覆、および製薬処方分野で周知の他の被覆)と共に調製され得る。それらはまた、例えば、(所望の放出プロフィールを得るために様々な割合の)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他の高分子マトリックス、リポソームおよび/または微小球体を使用して、その中の活性成分の遅い放出、すなわち、徐放を生じるように、処方され得る。それらは、急速放出用に処方され得る(例えば、凍結乾燥)。それらは、例えば、細菌保持フィルターで濾過することにより、または使用直前に滅菌固形組成物(これらは、滅菌水、または他のある種の無菌注射可能媒体に溶解できる)の形態で滅菌剤と混合することにより、滅菌され得る。これらの組成物はまた、必要に応じて、不透明化剤を含有し得、活性成分を消化管のみで放出する組成物であり得るか、または必要に応じて、遅延様式で、消化管の一部で優先的に放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが挙げられる。この活性成分はまた、もし適当なら、1種以上の上記賦形剤とのマイクロカプセル化形態であり得る。
【0117】
本発明の化合物を経口投与する液状剤形には、薬学的に受容可能な乳濁液、マイクロ乳濁液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。上記成分に加えて、これらの液状剤形は、当該技術分野で通常使用される不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒)、可溶化剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、オイル(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフラニルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物)を含有し得る。
【0118】
不活性希釈剤のほかに、これらの経口組成物はまた、補助剤、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、矯味矯臭剤、着色剤、香料および防腐剤を含有できる。
【0119】
これらの活性化合物に加えて、懸濁液は、懸濁剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天−寒天およびトラガカント、およびそれらの混合物を含有し得る。
【0120】
直腸投与または膣内投与用の本発明の医薬組成物の処方物は、座薬として提供され得、これは、1種以上の本発明の化合物と、1種以上の適当な非刺激性賦形剤または担体(これは、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、座薬ワックスまたはサリチル酸塩を含有する)と混合することにより調製され得、室温で固体であるが、体温では、液状となり、従って、直腸腔または膣腔で融けて、この活性成分を放出する。
【0121】
膣内投与に適当な製剤には、また、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡剤または噴霧製剤が挙げられ、これらは、当該技術分野で公知の適当な担体を含有する。
【0122】
本発明の化合物を局所投与または経皮投与する剤形には、粉剤、噴霧剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が挙げられる。この活性化合物は、無菌条件下にて、薬学的に受容可能な担体、および必要であり得る任意の防腐剤、緩衝剤または推進剤と混合され得る。
【0123】
これらの軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性成分に加えて、賦形剤(例えば、動物性脂肪および植物性脂肪、オイル、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、滑石および酸化亜鉛、またはそれらの混合物)を含有し得る。
【0124】
粉剤および噴霧剤は、本発明の化合物に加えて、賦形剤(例えば、ラクトース、滑石、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物)を含有し得る。噴霧剤は、さらに、通例の推進剤(例えば、クロロフルオロハイドロカーボンおよび揮発性非置換炭化水素(例えば、ブタンおよびプロパン))を含有できる。
【0125】
経皮パッチは、さらに、本発明の化合物を体内に制御送達するという利点がある。この化合物を適当な媒体に溶解または分散すると、このような剤形が製造できる。この化合物が皮膚を横切る流量を高めるために、吸収向上剤もまた、使用できる。速度制御膜を提供するか、またはこの活性化合物を高分子マトリックスまたはゲルに分散するか、いずれかにより、このような流量速度が制御できる。
【0126】
眼科処方物、眼軟膏、粉剤、溶液などもまた、本発明の範囲内であると企図される。
【0127】
非経口投与に適当な本発明の医薬組成物は、以下と組み合わせて、1種以上の本発明の化合物を含有する:1種以上の薬学的に受容可能な無菌等張性水性または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、または無菌粉末であって、これは、使用直前に、無菌注射可能溶液または分散液に再構成され得、糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、溶質(これは、その処方を、予定した受容者の血液と等張性にする)または懸濁剤または増粘剤を含有し得る。
【0128】
本発明の医薬組成物中で使用され得る適当な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適当な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、および注射可能有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられる。適当な流動性は、例えば、被覆物質(例えば、レシチン)を使用することにより、分散液の場合、適当な粒径を維持することにより、また、界面活性剤を使用することにより、維持できる。
【0129】
これらの組成物はまた、補助剤(例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤)を含有し得る。対象化合物に対する微生物の作用の阻止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など)を含有させることにより、保証され得る。これらの組成物に等張剤(例えば、糖、塩化ナトリウムなど)を含有させることもまた、望まれ得る。それに加えて、注射可能医薬品形態の長期間にわたる吸収は、吸収を遅らせる試薬(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を含有させることにより、引き起こされ得る。
【0130】
ある場合には、薬剤の効果を長くするために、皮下注射または筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性に乏しい結晶性物質または非晶質物質の液状懸濁液を使用することにより、達成され得る。次いで、この薬剤の吸収速度は、その溶解速度に依存しており、これは、今度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与した薬剤形態の遅延吸収は、その薬剤をオイル媒体に溶解または懸濁することにより、達成される。
【0131】
注射可能デポー形態は、生分解性重合体(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中にて、対象化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより、製造される。薬剤と重合体との比、および使用する特定の重合体の性質に依存して、その薬剤放出速度は、制御できる。他の生分解性重合体の例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能処方はまた、この薬物をリポソームまたはマイクロ乳濁液(これらは、体組織と適合性である)に取り込むことにより、調製される。
【0132】
特定の実施形態では、化合物または医薬製剤は、経口投与される。他の実施形態では、この化合物または医薬製剤は、静脈内投与される。代替投与経路には、舌下、筋肉内および経皮投与が挙げられる。
【0133】
本発明の化合物は、医薬品としてヒトおよび動物に投与するとき、それ自体で、または医薬組成物(これは、例えば、薬学的に受容可能な担体と組み合わせて、0.1〜99.5%(さらに好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を含有する)として、投与できる。
【0134】
本発明の製剤は、経口的、非経口的、局所的または直腸的に、投与され得る。それらは、もちろん、各投与経路に適当な形態により、投与される。例えば、それらは、錠剤またはカプセル形態で、注射、注入または吸入による注射、吸入、眼ローション、軟膏、座薬などの投与により、ローションまたは軟膏により局所的に、また、座薬により直腸的に、投与される。経口投与が好ましい。
【0135】
本明細書中で使用する「非経口投与」および「非経口的に投与する」との語句は、通常、注射による経腸投与および局所投与以外の投与様式を意味し、これには、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経胸腔、皮下、表皮下、関節内、角質下、くも膜下、脊髄内および胸骨内への注射および注入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
本明細書中で使用する「全身投与」および「全身的に投与する」、「末梢投与」および「末梢的に投与する」との語句は、化合物、薬物または他の物質の中枢神経系への直接投与以外への投与を意味し、その結果、それは、患者の系に入り、それゆえ、代謝および他の類似のプロセスを受ける(例えば、皮下投与)。
【0137】
これらの化合物は、治療用に、任意の適当な投与経路により、ヒトおよび動物に投与され得、これには、例えば、経口的に、鼻内的(例えば、噴霧による)、直腸的、膣内的、非経口的、大槽内的および局所的(口腔内および舌下を含めて、粉末、軟膏または点眼液により)に、投与され得る。
【0138】
選択した投与経路にかかわらず、本発明の化合物(これは、適当な水和形態および/または本発明の医薬組成物で、使用され得る)は、当業者に公知の通常の方法により、薬学的に受容可能な剤形に処方される。
【0139】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の患者、組成物および投与様式に対して、その患者に有害となることなく、所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るために、変えられ得る。
【0140】
選択される投薬量レベルは、種々の要因に依存しており、これには、使用する本発明の特定の化合物、それらのエステル、塩またはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用する特定の化合物の排泄または代謝速度、治療の継続期間、使用する特定の化合物と併用される他の薬剤、化合物および/または物質、治療する患者の年齢、性別、体重、病気、一般的な健康状態および病歴、および医学分野で周知の類似の要因が挙げられる。
【0141】
通常の技術を有する医師または獣医師は、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定して処方できる。例えば、医師または獣医師は、その医薬組成物で使用される本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を得るために必要な量より少ないレベルで開始でき、所望の効果が達成されるまで、その投薬量を徐々に多くできる。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物または医薬組成物は、シヌクレイノパチー被験体に、長期にわたって、供給される。長期治療には、長期間にわたるいずれかの様式の繰り返し投与(例えば、1ヶ月以上、1ヶ月と1年の間、1年以上、またはそれより長期にわたる繰り返し投与)が挙げられる。多くの実施形態では、長期治療は、本発明の化合物または医薬組成物を、シヌクレイノパチー被験体の生涯にわたって、繰り返し投与することを含む。好ましい長期治療は、例えば、1日1回以上、1週間に1回以上、または1ヶ月に1回以上の規則正しい投与を含む。一般に、本発明の化合物の適当な用量(例えば、毎日用量)は、治療効果を生じるのに有効な最低の用量である化合物の量である。このような有効用量は、一般に、上記要因に依存している。一般に、患者に対する本発明の化合物の用量は、指示した効果のために使用するとき、約0.0001〜約100mg/体重1kg/日である。好ましくは、その毎日用量は、0.001〜50mgの化合物/体重1kg、さらにより好ましくは、0.01〜10mgの化合物/体重1kgである。しかしながら、それより少ない量または多い量は、使用できる。いくつかの実施形態では、被験体に投与される用量は、年齢、疾患の進行、体重または他の要因が原因で被験体の生理機能が変化すると共に、変えられ得る。
【0143】
もし望ましいなら、この活性化合物の有効毎日用量は、必要に応じて、単位剤形で、その日全体にわたって、適当な間隔で、別々に投与される2個、3個、4個、5個、6個以上の副用量として、投与され得る。
【0144】
本発明の化合物を単独で投与することは可能であるものの、その化合物を上記のように医薬処方(組成物)として投与することが好ましい。
【0145】
本発明に従った化合物は、他の医薬から類推して、ヒトまたは動物の医薬で使用する任意の便利な様式で投与するように、処方され得る。
【0146】
本発明にしたがって、神経状態または神経疾患を処置するための化合物は、この化合物が血液脳関門(BBB)を通過することを助ける方法を使用して、処方または投与され得る。脊椎動物の脳[およびCNS]は、身体内のいかなる他の器官におけるものとも似ていない、特有の毛細管系を有する。特有の毛細管系は、血液脳関門(BBB)を構成する形態学的特徴を有する。血液脳関門は、血液から脳組織内空間を分離する全系的な(system−wide)細胞膜として働く。
【0147】
BBBを構築する脳の毛細管の特有の形態学的特徴は、(a)脳の毛細管の内皮を事実上全て一緒に固定化する、上皮様の高耐性接着結合、および(b)わずかなピノサイトーシスまたは経内皮チャネル(末梢器官内皮において豊富である)である。血液脳関門の特有の特徴のため、身体内の他の組織に容易に接近し得る親水性の薬物およびペプチドは、脳への侵入が妨害されるか、またはその脳内侵入速度ならびに/もしくは脳内蓄積速度が非常に低い。
【0148】
本発明の一局面において、BBBを通過するファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物は、シヌクレイノパチーを処置するために特に有用である。一実施形態において、非荷電(例えば、正に荷電していない)および/または非脂肪親和性であるファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、荷電した(例えば、正に荷電した)化合物および/または脂肪親和性化合物よりも高い有効性で、BBBを通過し得ることが期待される。それゆえ、本発明の化合物のいくつかは、容易にBBBを通過し得ることが当業者により認識される。あるいは、本発明の化合物は、例えば、これらをより低い親水性にさせ、そしてより容易にBBBを通過させ得る種々の置換基(substitutuent)の付加により、改変され得る。
【0149】
種々の戦略が、その他の方法では血液脳関門を通過し得ない薬物を脳に導入するために開発されてきた。広範に使用される戦略は、薬物が直接脳に送達される、侵襲性手順を含む。1つのこのような手順は、血液脳関門をバイパスし、そして脳に直接薬物を送達するための、脳室系へのカテーテルの移植である。これらの手順は、髄膜に対する偏向を有する脳疾患(例えば、脳への白血病の関与(米国特許第4,902,505号、その全体が参考として本明細書において援用される))の処置において使用されてきた。
【0150】
脳室への薬物の直接送達のための侵襲性手順は数例の成功を収めたが、これらは、脳組織の皮相領域にのみ、薬物を分布させ得、脳内の深部の構造には分布させ得ないことに限定される。さらに侵襲性手順は、患者に有害である可能性がある。
【0151】
血液脳関門を迂回する他のアプローチは、薬物の潜在化(latentiation)または脂溶性薬物への親水性薬物の変換を含む薬理学ベースの手順を利用する。潜在化アプローチの大部分は、薬物をより脂溶性にさせ、その結果より容易に血液脳関門を通過し得るように、薬物上のヒドロキシル基、カルボキシル基および第一級アミン基をブロックする工程を包含する。
【0152】
薬物に対するBBBの透過性を増加させる別のアプローチは、血液脳関門を一過的に開け、親水性薬物の通過を可能にする高浸透圧物質の動脈内注入を含む。しかしながら、高浸透圧物質は、潜在的に毒性であり、血液脳関門を損傷させ得る。
【0153】
本発明のペプチド組成物は、親水性ペプチド薬物が輸送可能なペプチドに結合され、親水性ペプチド単体に比べ非常に高い速度で、トランスサイトーシスにより血液脳関門を通過し得るキメラのペプチドを使用して投与され得る。適切な輸送可能なペプチドとしては、ヒストン、インスリン、トランスフェリン、インスリン様成長因子I(IGF−I)、インスリン様成長因子II (IGF−II)、塩基性アルブミンおよびプロラクチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
抗体は、本発明の組成物の送達のための別の方法である。例えば、脳の毛細管内皮細胞上に存在するトランスフェリンレセプターと反応性である抗体は、神経薬学的(neuropharmaceutical)因子と結合され得、抗体−神経薬学的因子結合体(米国特許第5,004,697号、その全体が参考として本明細書において援用される)を生成し得る。この方法は、この抗体が脳の毛細管内皮細胞上のトランスフェリンレセプターに結合し、そして神経薬学的因子が、薬学的な活性形態で血液脳関門を越えて輸送される条件下で実施される。脳への抗体の取り込みまたは輸送はまた、この抗体のカチオン化して、約8.0〜約11.0の間の等電点を有するカチオン化抗体を形成することにより大幅に増大され得る(米国特許第5,527,527号、その全体が参考として本明細書において援用される)。
【0155】
リガンド−神経薬学的因子融合タンパク質は、宿主への組成物の送達のために有用な別の方法である(米国特許第5,977,307号、その全体が参考として本明細書において援用される)。リガンドは、脳の毛細管内皮細胞レセプターと反応性である。この方法は、このリガンドが脳の毛細管内皮細胞上のレセプターに結合し、そして神経薬学的因子が、薬学的な活性形態で血液脳関門を越えて輸送される条件下で実施される。いくつかの実施形態において、リガンド−神経薬学的因子融合タンパク質(リガンド結合特徴と神経薬学的特徴との両方を有する)は、遺伝子工学技術を使用することにより、連続した一続きのタンパク質として生成され得る。血液脳関門を通過して送達されるべきタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードするDNAに融合させた、リガンドをコードするDNAを含む遺伝子構築物が調製され得る。リガンドをコードする配列およびこの因子をコードする配列は、所望の融合タンパク質の適切な発現に適した様式で、発現ベクターに挿入される。遺伝子融合は、リガンド部分と神経薬学的因子部分との両方を含む連続した一続きのタンパク質分子として発現される。
【0156】
血液脳関門の透過性は、血液脳関門アゴニスト(例えば、ブラジキニン(米国特許第5,112,596号、その全体が参考として本明細書において援用される)またはレセプター媒介性透過剤(permeabilizer)(RMP)と呼ばれるポリペプチド(米国特許第5,268,164号、その全体が参考として本明細書において援用される)を投与することにより増大され得る。外因性分子は、皮下注射、静脈内注射または筋内注射によってか、あるいは身体組織(例えば、消化管、呼吸器系または皮膚)を介した吸収によって非経口的に宿主の血流へ投与され得る。この分子が投与される形態(例えば、カプセル、錠剤、溶液、乳剤)は、少なくとも一部において、それが投与される経路に依存する。宿主の血流への外因性分子の投与および血液脳関門透過性アゴニストの静脈内注射は、同時にか、または正しい周期で連続的に生じ得る。例えば、治療薬物は、錠剤形態で経口投与され得、一方で血液脳関門透過性アゴニストの静脈内投与は、後で(例えば、30分後と数時間後との間)与えられる。このことは、アゴニストが投与されて薬物に対する血液脳関門の透過性を増大させる前に、薬物が胃腸管において吸収され、そして血流により取り込まれる時間を与える。他方では、血液脳関門透過性アゴニスト(例えば、ブラジキニン)は、薬物の静脈内注射の前にか、またはそれと同時に投与され得る。それゆえ、用語「同時投与」は、本明細書において、血液脳関門の透過性を増大させることと血液から中枢神経系の細胞への外因性分子の最大限の通過を可能にすることとの同時の効果を生じるための、血液内において有意な濃度を達成する時機に、血液脳関門のアゴニストおよび外因性分子が投与されることを意味するように使用される。
【0157】
他の実施形態において、本発明の化合物は、脂肪酸キャリアと共に(そして、必要に応じて別の神経刺激薬物と共に)プロドラッグとして処方され得る。プロドラッグは、胃および血流の両方の環境において安定であり、そして消化によって送達され得る。プロドラッグは、容易に血液脳関門を通過する。プロドラッグは、好ましくは、薬物単独での脳浸透指数(brain penetration index)の少なくとも2倍の脳浸透指数を有する。一旦、中枢神経系に入ると、プロドラッグ(好ましくは不活性である)は、脂肪酸キャリアとファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤と(必要に応じて、別の薬物と)に加水分解される。キャリアは、好ましくは中枢神経系の正常な成分であり、そして不活性かつ無毒性である。一旦、脂肪酸キャリアから放出されると、化合物および/または薬物は活性になる。好ましくは、脂肪酸キャリアは、約16個と約26個の間の炭素原子、より好ましくは、約20個と約24個の間の炭素原子を有する、部分的に飽和した直鎖分子である。脂肪酸キャリアの例は、米国特許第4,939,174号、同第4,933,324号、同第5,994,932号、同第6,107,499号、同第6,258,836号および同第6,407,137号(これらの開示は、その全体について参考として、本明細書において援用される)において提供される。
【0158】
本発明の因子の投与は、予防目的または治療目的のためであり得る。予防的に提供される場合、この因子は、アルツハイマー病の症状のような疾患症状より先に提供される。この因子の予防的な投与は、症状の発症を防止またはその発症率を軽減する役割を果たす。治療的に提供される場合、この因子は、実際の疾患の症状の出現の際に(またはその直後に)提供される。いくつかの実施形態において、この因子の治療投与は、アルツハイマー病の重症度と持続期間とを軽減する役割を果たす。
【0159】
本発明のこれらの実施形態および他の実施形態の機能および利点は、以下に記載される実施例から、より十分に理解される。以下の実施例は、本発明の利益を例示するために意図され、本発明の全範囲を実証するものではない。
【実施例】
【0160】
(実験手順)
組織培養:全ての細胞株を、ATCCから取得した。SH−SY5YおよびCos−7を、10% FBS DMEM(Sigma)で増殖させた。細胞を、実験(トランスフェクション、代謝の標識および薬物処理を含む)の前日に分けた。
【0161】
タンパク質および抗体:UCH−L1改変体を、公開手順にしたがって精製した。シヌクレイン抗体(SYN−1)を、Signal Transduction Labから購入した。アクチン抗体およびFLAG抗体(M2)は、Sigmaから購入した。UCH−L1抗体(抗PGP 9.5)は、Chemiconから購入した。
【0162】
化学薬品:FTI−277およびラクタシスチン(lactacystin)を、Calbiochemから購入した。架橋試薬DEは、Pierceから購入した。DMEMおよびMEMを、Gibcoから購入した。全ての他の物質を、Sigmaから購入した。
【0163】
プラスミド:C220S cDNAを、PCR 部位特異的突然変異誘発により生成した。PCRのために、5’プライマーは、uchforw、配列番号1(CTAAAGCTTATGCAGCTCAAGCCGATGGAG)であり、そして3’プライマーは、uchc220s、配列番号2(CTAAGACTCGAGTTAGGCTGCCTTGCTGAGAGC)であった。Wt UCH−L1を、テンプレートとして扱った。PCRフラグメントを、pcDNAベクターに挿入した。S18YC220S変異体のために、S18Y UCH−L1を、PCRにおけるテンプレートとして扱った。FLAGタグ付きUCH−L1のために、5’プライマーは、FLAGuchforw、配列番号3(CTAAAGCTTATGGACTACAAGGATGACGACGACAAAGATGCAGCTCAAGCCGATGGAG)であり、そして3’プライマーは、uchrev、配列番号4(ATCCTCGAGTTAGGCTGCCTTGACGAGAGC)であった。Wt UCH−L1またはC220Sを、テンプレートとして扱った。PCRフラグメントを、精製し、pcDNAベクターに挿入した。FLAGタグ付きUCH−L3のために、5’プライマーは、L3HindIII、配列番号5(CTAAAGCTTATGGACTACAAGGATGACGACGACAAAGATGGAGGGTCAACGCTGGCTG)であり、3’プライマーは、L3XhoISAA、配列番号6(ATCCTCGAGCTATGCTGCAGAAAGAGCAATCGCA)であった。UCH−L3 CKAA改変体のために、5’プライマーは、L3 HindIIIであり、3’プライマーは、L3XhoICKAA、配列番号7(ATCCTCGAGCTATGCTGCCTTAGAAAGAGCAATCGCATTAAATC)であった。
【0164】
α−シヌクレイン分解アッセイ:リフィタミン(Liphitamine)2000を、InvitrogenのプロトコールにしたがってCOS−7細胞をトランスフェクトするために使用した。トランスフェクトした細胞を、37℃で48時間培養し、次に35μM ラクタシスチンまたはDMSOで処理した。24時間のインキュベーション後、細胞をTris緩衝液(50mM Tris、2% SDS、0.1% NP−40)で溶解し、そしてSDS−PAGE、続いて定量的ウェスタンブロットに供した。
【0165】
SV画分の塩処理および界面活性剤処理:SV画分を、他に記載されるように調製した。SVを、氷上で30分間、意図された濃度での種々の塩または1% Triton X−100または塩および界面活性剤を含まないコントロールと共にインキュベートした。処置したSVを、30分間、100,000gでペレット化した。上清およびペレットを、SDS−PAGEおよびウェスタンブロットに供した。
【0166】
膜の分画:細胞を、スクレーピングにより回収し、PBSで洗浄した。細胞のペレットを、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)を補充した溶解緩衝液(50mM Tris−HC1、1mM EDTA)中に懸濁し、26G針に10回通過させることによりホモジェナイズした。懸濁物を、5分間、600gで回転することにより清澄化した。清澄化した懸濁物を、2時間、100,000gで超遠心し、膜と細胞質ゾルとに分離した。膜画分を、洗浄緩衝液(50mM Tris−HCl、1mM EDTA、1M NaCl)で洗浄し、各回、卓上遠心機でペレット化した。
【0167】
2D電気泳動:細胞の全タンパク質の単離のために、上記のように維持した培養SH−SY5Y細胞を、氷冷PBSでリンスした。細胞を、プロテアーゼ阻害剤カクテルを補充した1ml dSDS緩衝液(50mM Tris−HCl pH8.0、0.1% SDS)により溶解した。溶解物を、3分間煮沸し、そして、記載されるようにDnaseとRnaseとで処理した。溶解物を、少なくとも2時間、氷冷アセトンで沈殿させ、ペレットを、2Dサンプル緩衝液(8M 尿素、0.5% CHAPS、0.2% DTT、0.5% IPG緩衝液、0.002% ブロモフェノールブルー)により再懸濁した。2D電気泳動を、製造者(Amersham Life Science)のプロトコールにしたがって実行した。7cm pH 4−7 ストリップを使用した。SH−SY5Y膜画分については、培養SH−SY5Y細胞を、冷PBSでリンスし、溶解緩衝液(50mM Tris−HCl pH8.0、1mM ZnAc2、250mM ショ糖)で回収した。溶解物を、25G針に数回通過させ、5分間、1000gで回転させた。上清を、2時間、200,000gで遠心分離した。ペレットを、溶解緩衝液で頻繁に洗浄し、冷アセトンで抽出した。ペレットを、2Dサンプル緩衝液により再懸濁した。
【0168】
ウイルス感染:SH−SY5Y細胞におけるウイルス感染およびMTTアッセイ:公開手順にしたがって、ウイルスを増幅させ、精製した。SH−SY5Y細胞を、100mmペトリ皿上で増殖させ、75のM.I.Oでのウイルス感染の前に、3〜5日間、l00nM RAで誘導した。ウイルスを、所望のM.I.Oまで、DPBSで希釈した。4時間のインキュベーション後、10mlの増殖培地を添加した。第二日目に、細胞を、96ウェルプレートに分け、続く48時間、化合物で処理した。各ウェルにおける増殖培地を、5μg/ml MTTを含む増殖培地で置換した。培地を3時間のインキュベーション後に除去し、200μ1 イソプロパノール(0.04N HCl)を、各ウェルに添加した。シグナルを、570nmで読み取った。
【0169】
生存細胞の計数:記載される時点で、SH−SY5Y細胞を、1分間、100μ1 トリプシン−EDTAでトリプシン処理し、400μl増殖培地で中和化した。細胞懸濁物を、増殖培地中の0.2mlの細胞、0.3mlのHBSSおよび0.5mlの0.4% トリパンブルー溶液を混合することにより作製した。生存細胞数を、標準的な細胞計数チャンバーにより数えた。
【0170】
ウェスタンブロット:NCメンブレンへのSDSゲルの移送に続いて、全てのメンブレンを、TBST(50mM Tris−HC1 pH7.4、150mM NaCl、0.1% Tween 20)中の5% 脱脂乳でブロッキングした。これらのメンブレンを、TBST中の1% BSAとともに一次抗体で一晩インキュベートし、TBSTで3回洗浄し、そしてホースラディシュペルオキシダーゼ結合二次抗体(Promega)で1時間インキュベートした。結合した抗体を、増強された化学発光(NEM)を使用して検出した。
【0171】
(実施例1:UCH−L1は、インビボおよび細胞培養物内でファルネシル化される)
UCH−L1配列は、そのC末端において、配列CXXX(コンセンサスのファルネシル化部位)を含む。この配列は、UCH−L3において存在しない。この配列がインビボで修飾される可能性を調べた。まず、以前に報告されたラット脳由来のUCH−L1とシナプス小胞との会合の化学的な性質を、調査した。
【0172】
この結果を図1、パネル(A)に示す:SVからのシナプシンI、シナフィシン(synaphysin)およびUCH−L1の解離に対する、種々の量の塩および非イオン性界面活性剤の影響を、KCl、NaCl、MgClまたは1% Triton X−l00のいずれかを用いて、SV画分のアリコートを処理することにより分析した。膜画分および可溶性画分を、遠心分離により分離し、各画分をSDS−PAGE、それに続くウェスタンブロットに供した。a(シナプシンI)、c(シナフィシン)およびe(UCH−L1)は、ペレット由来であり、そしてb(シナプシン1)、d(シナフィシン)およびf(UCH−L1)は、上清画分である。シナプシン(図1、パネルA、列aおよび列b)と異なり(これは内在性膜タンパク質ではない)、そしてシナプトフィシン(列cおよび列d)と同様に、UCH−L1(列eおよび列f)は、塩濃度を上昇させても、小胞画分から分離され得なかった。界面活性剤による処理のみが、UCH−L1を十分に可溶化した。このことは、そのファルネシル化と矛盾しない。
【0173】
2次元SDS−PAGEゲル電気泳動によるSH−SY5Y神経芽腫細胞由来の種々の画分の分析(ラット脳から同様の結果、示さず)は、全ホモジネートにおいて、2つの主要な種および2つの微量な種、ならびに膜会合画分において1種を示した(図1、パネル(B):SH−SY5Y細胞において2D電気泳動分析、それに続くウェスタンブロットを使用して検出される、2つより多いUCH−L1の形態が存在した(ゲルa)。これらのうちの1つ(白抜きの矢印)のみが、膜に会合する(ゲルb)。FTI−277によるSH−SY5Y細胞の処理(ゲルd)は、DMSO(ゲルc)により処置した細胞と比較して、細胞質ゾルのUCH−L1(黒塗りの矢印)の量に影響することなく、膜に結合するUCH−L1(白抜きの矢印)の量において有意な低下をもたらす。この種は、おそらく、完全にプロセシングされた種(ファルネシル化、切断およびC末端メチル化された種)であった。
【0174】
この仮定と矛盾することなく、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤FTI−277による細胞の処理は、膜に会合した種の量を低下させた。さらに、UCH−L1を含む種は、全細胞の溶解物から、抗ファルネシル抗体(Calbiochem)により免疫沈降された。最終的に、14C−メバロン酸または3H−ファルネソールによる細胞の処理は、UCH−L1への放射標識の取り込みをもたらした(図1、パネル(C))。UCH−L1は、インビボで[14C]メバロン酸塩(ゲルa)および[H]ファルネソール(ゲルb)により修飾された(b)。COS−7細胞へのC220S変異体のトランスフェクションは、放射性取り込み(radioincorporation)を防止し、膜に会合した種をなくした(示さず)。図1、パネル(D)は、C220S改変体ではなくWT UCH−L1が、UCH−L1改変体のいずれかによりトランスフェクトされたCOS−7細胞の膜画分において検出されたことを示す。
【0175】
(実施例2:ファルネシル化部位の除去は、UCH−L1のインビトロ酵素活性にも凝集特性にも影響を与えない)
C220S変異体を、公開された方法を使用して、E.coli中で発現させ、そして精製した。UCH−L1の構造モデルの試験から想定されたように、点突然変異は、インビトロ加水分解酵素活性(図2、パネルA)にもインビトロリガーゼ活性(パネルB)にも影響を与えなかった。(A)UCH−L1 WT(黒塗りの円)またはC220S(白抜きの円)のいずれかに対して滴定された種々の量のUb−AMCのミカエリス−メンテンのプロットは、同等な加水分解活性を示した。(B)突然変異は、UCH−L1のインビトロリガーゼ活性に影響しない。さらに、C220S突然変異は、S18のオリゴマー形成する傾向をなくさなかった。この知見は、細胞培養におけるC220Sの影響を調べる方法を明らかにした。
【0176】
(実施例3:UCH−L1のファルネシル化および膜会合は、COS−7細胞においてα−シヌクレインの蓄積を促進するために必要とされる)
C220S突然変異は、COS−7細胞において、S18がα−シヌクレイン蓄積を促進する能力をなくしたが、S18Y多型(polymorph)に影響しなかった(図2、パネル(C):16kDa α−シヌクレインの相対量を、UCH−L1改変体の存在下でのトランスフェクトされたCOS−7細胞中のアクチンの量に対して定量化および正規化した。α−シヌクレインの100%の蓄積を、プロテオソーム阻害剤、ラクタシステイン(lactacysteine)により処理された細胞において達成した)。この知見は、UCH−L1のファルネシル化および膜接着は、両方とも必要とされることを示唆した。後者の可能性を分離するために、UCH−L1のファルネシル化配列をUCH−L3のC末端に付加した、UCH−L3の変異体形態を構築した。このタンパク質は、α−シヌクレインの蓄積を引き起こさなかった(パネル(D)、α−シヌクレインの相対量を、UCH−L1およびUCH−L3改変体によりトランスフェクトされたCOS−7細胞の間で比較した)が、これはファルネシル化され、膜に取り込まれた(示さず)。したがって、活性な加水分解酵素の膜接着は、α−シヌクレインの蓄積を引き起こすのに不十分であった。
【0177】
(実施例4:ファルネシル化の阻害は、SH−SY5Y細胞において、α−シヌクレインの過剰発現により引き起こされる細胞死を救う)
α−シヌクレインの神経毒性は用量依存的であるので、UCH−L1ファルネシル化により引き起こされるα−シヌクレインの蓄積は、その毒性を促進するはずである。発明者らは、このことが哺乳動物神経芽腫SH−SY5Y細胞において事実であることを証明した。このドーパミン作用性細胞株は、パーキンによるα−シヌクレインの毒性の救済(初代ドーパミン作用性培養物においても証明された影響)を証明するために使用されてきた。これらの細胞は、高い内在性レベルのUCH−L1を発現する。α−シヌクレイン遺伝子を、アデノウイルスベクターによる感染を介して過剰発現(内在性レベルと比較して)させ、そして毒性を、トリパンブルーアッセイ(図3)およびMTTアッセイ(図4)により証明した。図3は、DMSO(A)、FTI−277(B)、LDN57414(C)、FTI−277およびLDN57414(D)により処理された、α−シヌクレイン発現アデノウイルスにより感染させたSH−SY5Y細胞を示す。(E)生存細胞数を、DMSO(暗灰色の円)、FTI−277(明灰色の円)、LDN57414(白三角)またはLDN57414 およびFTI−277(黒三角)(これらはトリパンブルーで染色しなかった)のいずれかで処置した細胞を数えることにより、定量化した。y軸の単位は、10/mlである。(F)細胞の生存率を、MTTアッセイを使用して、代謝活性の量により評価した。図4は以下を示す:(A)DMSO(黒塗りの三角)またはFTI−277(白抜きの三角)の処理後のα−シヌクレイン発現アデノウイルスにより感染させたSH−SY5Y細胞の生存率、およびDMSO(黒塗りの円)またはFTI−277(白抜きの円)の処理後のlacZ発現アデノウイルスにより感染させた細胞の生存率、およびDMSO(黒塗りの四角)またはFTI−277(白抜きの四角)の処理後の空のアデノウイルスにより感染させた細胞の生存率を、MTTアッセイを使用して評価した。α−シヌクレイン発現アデノウイルスにより感染させたSH−SY5Yにおけるα−シヌクレイン蓄積に対するFTI−277の効果を、ウェスタンブロットにより分析し(B)、そしてα−シヌクレインの量(C)を、NIH Imageプログラムを使用して定量化し、アクチンの量に対して正規化した。
【0178】
市販の低分子ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤FTI−277(以前に、膜に会合し、ファルネシル化した種の量を低下させることが示された(図1、パネルB、列d))は、細胞の損失の有意な軽減(図3、パネルAに対してパネルBを比較して)をもたらした。この神経保護効果は、低分子UCH−L1阻害剤の同時投与により解消され(示さず)、FTIの効果が、主にそのUCH−L1に対する効果のためであることを示唆した。FTI−277による処理は、SH−SY5Y細胞におけるUCH−L1の総量を減少させ、そしてそのターンオーバーの速度を増加させ(パルス−チェイス実験、示さず)、さらに膜に会合したタンパク質の量を減少させた。この処理はまた、これらの細胞においてα−シヌクレインの量を減少させた(図4、パネルBおよびパネルC)。
【0179】
以下の公開は、有用なファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物、その構造的なアナログおよび機能的なアナログおよび組成物ならびに関連する合成方法を記載する:米国特許第6,545,020号、同第6,458,800号、同第6,451,812号、同第6,420,387号、同第6,187,786号、同第6,177,432号、同第6,169,096号、同第6,037,350号および同第5,968,952号ならびにWO 2002085364、WO 2002064142、WO 2002043733、WO 2001064252、US 2003212008、WO 2001064246、US 2003022918、WO 2001064226、US 2003027808、WO 2001064218、US 2003125326、WO 2001064217、US 2003078281、WO 2001064199、US 2003181473、WO 2001064198、US 2003050323、WO 2001064197、US 2003125268、WO 2001064196、US 2003060480、WO 2001064195、US 2003186925、WO 2001064194、US 2003100553、WO 2001062234、US 2003060450、WO 2001056552、US 2003027839、WO 2000001411、US 6545020、WO 2000001386、US 6451812、WO 9855124、US 6365600、US 2002091138、WO 9721701、US 6169096、US 6420387、WO 2002024687、US 2003199547、WO 2002024686、US 2003207887、WO 2002024683、WO 2002072574、US 6358961およびWO 03/080058。これらの開示ならびに全ての特許、特許公開および科学刊行物は、本明細書中で、その全体が参考として援用される。
【0180】
ここで、本発明の実例となるいくつかの実施形態を説明してきたが、上記のものは実例にすぎず、限定せずかつ、一例としてのみ、提示されたことが当業者に明白であるべきである。多くの改変および他の実例となる実施形態が、当業者の範囲内にあり、本発明の範囲内にあると意図される。特に、本明細書において提示された多くの実施例が、方法の行為または系の要素の特定の組み合わせを含むが、同一の目的を達成するための他の方法により、これらの行為およびこれらの要素が組み合わせられ得ることが理解されるべきである。一実施形態のみに関連して議論された行為、要素および特徴は、他の実施形態における同様の役割から除外されることを意図しない。さらに、以下の請求の範囲において列挙される1つ以上の手段と機能との限定について、これらの手段は、列挙された機能を実施するために本明細書で開示された手段に限定されることを意図せず、これらは、列挙された機能を実施するための、現在公知または今後開発されるあらゆる手段を範囲に収めることを意図する。請求の範囲の要素を改変するための、請求の範囲における序数の用語(例えば、「第一」、「第二」、「第三」など)の使用は、それら自体、別の一請求の範囲の要素に及ぶような、一請求の範囲の要素のいかなる優先度も優位性も順序も、また方法の行為が実施される時間的順序も意味せず、請求の範囲の要素を区別するために、特定の名称を有する一請求の範囲の要素を、同一の名称(この序数の用語の使用がなければ)を有する別の要素から区別するための標識としてのみ使用される。同様に、a)、b)など、またはi)、ii)などの使用は、それら自体、請求の範囲における工程のいかなる優先度も優位性も順序も意味しない。同様に、本明細書における、これらの用語の使用は、それら自体、必要とされるいかなる優先度も優位性も順序も意味しない。
【0181】
前述の明細書は、当業者が本発明を実施できるのに十分であると考えられる。本発明の範囲は、提供された実施例には限定されない。これらの実施例は、本発明の1局面の単一の例示として意図されており、他の機能的に等価な実施形態は、本発明の範囲内であるからである。本明細書中で示し記述したものに加えて、本発明の種々の改良は、前述の記述から、当業者に明らかとなり、これらは、添付の請求の範囲の範囲内に入る。本発明の利点および目的は、必ずしも、本発明の各実施形態に含まれている訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】図1は、UCH−L1膜会合が、そのファルネシル化により調節されることを示す。
【図2】図2は、C220S変異が、α−シヌクレイン分解に対するUCH−L1 WTの阻害効果をなくすことを示す。
【図3−1】図3A〜Dは、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、感染SH−SY5Y細胞において、α−シヌクレインの毒性から救い得ることを示す。
【図3−2】図3E〜Fは、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、感染SH−SY5Y細胞において、α−シヌクレインの毒性から救い得ることを示す。
【図4】図4は、FTI−277が、SH−SY5Y細胞において、α−シヌクレイン蓄積量を減少させることによりα−シヌクレインの毒性から救うことを示す。
【図5】図5は、化合物R115777の式を示す。
【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する、方法:
【化1】

【請求項2】
前記シヌクレイノパチー被験体が、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症からなる群から選択されるシヌクレイノパチーに罹っている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被験体が、ヒトである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記有効量が、1日1回から1ヶ月に1回までの投与頻度で、約10ng/体重1kg〜約1000mg/体重1kgを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記被験体に、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を投与する工程を包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、メマンチン、アリセプト、および他のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
包装材料と、請求項1に記載のファルネシル転移酵素阻害剤化合物とを含む製品であって、ここで、該製品は、さらに、ラベルまたは添付文書を含み、該ラベルまたは添付文書は、該ファルネシル転移酵素阻害剤化合物がシヌクレイノパチーを治療するために被験体に投与できることを表示する、製品。
【請求項9】
前記シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症からなる群から選択される、請求項8に記載の製品。
【請求項10】
さらに、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を含む、請求項9に記載の製品。
【請求項11】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項10に記載の製品。
【請求項12】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【化2】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
は、水素、C1〜12アルキル、Ar、Ar1〜6アルキル、キノリニルC1〜6アルキル、ピリジルC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−C(=O)−R、−Alk−S(O)−Rまたは−Alk−S(O)−Rであって、ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルであり、
は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、アミノ、C1〜8アルキルアミノまたは置換C1〜8アルキルアミノであり、該置換C1〜8アルキルアミノは、C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されている;
、RおよびR16は、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、4,4−ジメチルオキサゾリルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、トリハロメチル、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノであるか、または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−2);
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、カルボキシC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、イミダゾリル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、
−N−R1112 (b−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13−または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜12アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、天然アミノ酸、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
17は、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Arである;
18は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
19は、水素またはC1〜6アルキルである;
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている;そして
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている、
方法。
【請求項13】
Xが、酸素である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記点線が、結合を表わす、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
が、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルまたはモノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
が、水素であり、そしてRが、ハロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、トリハロメトキシまたはヒドロキシC1〜6アルキルオキシである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
が、水素、ヒドロキシ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、イミダゾリル、式−NR1112のラジカルであり、ここで、R11が、水素またはC1〜12アルキルであり、R12が、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、または式−Alk−OR13のラジカルであり、そしてR13が、水素またはC1〜6アルキルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、
6−[アミノ(4−クロロフェニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−5−イルメチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン;
4−(3−クロロフェニル)−6−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシ(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−1−メチル−2(1H)−キノリノン、
6−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシ(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−エトキシフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン;
6−[(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−エトキシフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン 一塩酸塩一水和物;
6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−エトキシフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、および
6−アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−1−メチル−4−(3−プロピルフェニル)−2(1H)−キノリノン;
あるいはそれらの立体異性体、またはそれらの薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、
(B)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン;
またはそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩を投与する工程を包含する:
【化3】

ここで、R、RおよびR16は、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、4,4−ジメチルオキサゾリルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、トリハロメチル、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノであるか、または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−2);
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、カルボキシC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、イミダゾリル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、
−N−R1112 (b−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13−または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜12アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、天然アミノ酸、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
17は、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Arである;
18は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
19は、水素またはC1〜6アルキルである、
方法。
【請求項21】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【化4】

ここで、R、RおよびR16は、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、4,4−ジメチルオキサゾリルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、トリハロメチル、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノであるか、または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−2);
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、カルボキシC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、イミダゾリル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、
−N−R1112 (b−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13−または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜12アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、天然アミノ酸、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
17は、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Arである;
18は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
19は、水素またはC1〜6アルキルである、
方法。
【請求項22】
前記有効量が、1日1回から1ヶ月に1回までの投与頻度で、約10ng/体重1kg〜約1000mg/体重1kgを含む、請求項12〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
さらに、前記被験体に、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を投与する工程を包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項B12に記載の方法。
【請求項25】
包装材料と、請求項12〜21のいずれか1項に記載のファルネシル転移酵素阻害剤化合物とを含む製品であって、ここで、該製品は、さらに、ラベルまたは添付文書を含み、該ラベルまたは添付文書は、該ファルネシル転移酵素阻害剤化合物がシヌクレイノパチーを治療するために被験体に投与できることを表示する、製品。
【請求項26】
前記シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症からなる群から選択される、請求項24に記載の製品。
【請求項27】
さらに、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を含む、請求項26に記載の製品。
【請求項28】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項27に記載の製品。
【請求項29】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【化5】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
は、水素、C1〜12アルキル、Ar、Ar1〜6アルキル、キノリニルC1〜6アルキル、ピリジルC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−C(=O)−R、−Alk−S(O)−Rまたは−Alk−S(O)−Rであって、ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルであり、
は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、アミノ、C1〜8アルキルアミノまたは置換C1〜8アルキルアミノであり、該置換C1〜8アルキルアミノは、C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されている;
、RおよびR16は、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、4,4−ジメチルオキサゾリルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
は、水素またはC1〜6アルキルである;
は、水素である;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、トリハロメチル、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノであるか、または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−2);
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、カルボキシC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、イミダゾリル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、
−N−R1112 (b−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13−または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜12アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、天然アミノ酸、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
17は、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Arである;
18は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
19は、水素またはC1〜6アルキルである;
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている;そして
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている、
方法。
【請求項30】
Xが、酸素である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
が、C1〜6アルキルまたはハロである;そしてRが、水素である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
が、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、または式−Alk−C(=O)−Rのラジカル−であり、ここで、Alkが、メチレンであり、そしてRが、C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されたC1〜8アルキルアミノである;
が、ハロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、トリハロメトキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシまたはArである;
が、水素である;
が、前記イミダゾールの3−位にある窒素に結合されたメチルである;
が、水素である;
が、クロロである;
が、水素である;
が、水素、ヒドロキシ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、イミダゾリル、または式−NR1112のラジカルであり、ここで、R11が、水素またはC1〜12アルキルであり、そしてR12が、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、または式−Alk−OR13のラジカルであり、ここで、R13が、C1〜6アルキルである;
17が、水素である;そして
18が、水素である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
以下から選択される、請求項32に記載の化合物、あるいはそれらの立体異性体、またはそれらの薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩:
【化6】

【化7】

【請求項34】
前記有効量が、1日1回から1ヶ月に1回までの投与頻度で、約10ng/体重1kg〜約1000mg/体重1kgを含む、請求項29〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
さらに、前記被験体に、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を投与する工程を包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
包装材料と、請求項29〜33のいずれかに記載のファルネシル転移酵素阻害剤化合物とを含む製品であって、ここで、該製品は、さらに、ラベルまたは添付文書を含み、該ラベルまたは添付文書は、該ファルネシル転移酵素阻害剤化合物がシヌクレイノパチーを治療するために被験体に投与できることを表示する、製品。
【請求項38】
前記シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症からなる群から選択される、請求項37に記載の製品。
【請求項39】
さらに、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を含む、請求項38に記載の製品。
【請求項40】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項39に記載の製品。
【請求項41】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、ファルネシル転移酵素阻害剤、またはそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩を投与する工程を包含し、該ファルネシル転移酵素阻害剤は、+22.86°(c=49.22mg/5mL、メタノール)のα20値を有する6−(アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル)−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノンという鏡像異性体である、方法。
【請求項42】
前記有効量が、1日1回から1ヶ月に1回までの投与頻度で、約10ng/体重1kg〜約1000mg/体重1kgを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
さらに、前記被験体に、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を投与する工程を包含する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
包装材料と、請求項41に記載のファルネシル転移酵素阻害剤化合物とを含む製品であって、ここで、該製品は、さらに、ラベルまたは添付文書を含み、該ラベルまたは添付文書は、該ファルネシル転移酵素阻害剤化合物がシヌクレイノパチーを治療するために被験体に投与できることを表示する、製品。
【請求項46】
前記シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症からなる群から選択される、請求項45に記載の製品。
【請求項47】
さらに、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を含む、請求項46に記載の製品。
【請求項48】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項47に記載の製品。
【請求項49】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【化8】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、トリハロメチルまたはトリハロメトキシである;
は、水素、ハロ、C1〜6アルキル、シアノ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノ1〜6アルキル、Ar、Ar1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル;または次式のラジカルである:
−O−R10 (a−1)、
−S−R10 (a−2)、
−N−R1112 (a−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−OR13−または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル−C1〜6アルキル、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
は、次式のラジカルである:
【化9】

ここで、
16は、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
17は、水素、C1〜6アルキルまたはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルである;
は、水素またはC1〜6アルキルであるが、このとき該点線は、結合を表わさない;
は、水素、C1〜6アルキルまたはArCHまたはHetCHである;
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;または
およびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成する:
−CH=CH− (c−1)
−CH−CH− (c−2)
−CH−CH−CH− (c−3)
−CH−O− (c−4)、または
−CH−CH−O− (c−5)
Arは、フェニル;または1個または2個の置換基で置換されたフェニルであり、該置換基は、それぞれ別個に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはトリフルオロメチルから選択される;
Arは、フェニル;または1個または2個の置換基で置換されたフェニルであり、該置換基は、それぞれ別個に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはトリフルオロメチルから選択される;そして
Hetは、ピリジニル;または1個または2個の置換基で置換されたピリジニルであり、該置換基は、それぞれ別個に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはトリフルオロメチルから選択される、
方法。
【請求項50】
およびRが、それぞれ別個に、水素、ハロまたはC1〜4アルキルから選択され、RおよびRが、それぞれ別個に、水素、ハロまたはC1〜4アルキルから選択され、Rが、水素、ヒドロキシ、ハロまたはアミノである;Rが、式(b−1)または(b−2)のラジカルであり、ここで、R16が、水素またはC1〜4アルキルであり、そしてR17が、C1〜4アルキルである;前記点線が結合を表わさない場合、Rが、水素またはC1〜4アルキルである;Rが、水素;C1〜4アルキルまたはHetCHである;そしてRが、水素である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
Xが、酸素であり、Rが、3−クロロであり、Rが、水素であり、Rが、4−クロロであり、Rが、水素であり、Rが、水素、C1〜2アルキル、ハロまたはアミノである;Rが、式(b−1)または(b−2)のラジカルであり、ここで、R16が、水素であり、そしてR17が、C1〜2アルキルである;そして前記点線が結合を表わさない場合、Rが、水素またはC1〜2アルキルである;Rが、水素;C1〜2アルキルまたはHetCHである;そしてRが、水素である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記化合物が、
6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キナゾリノン;または
6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−3,4−ジヒドロ−1,3−ジメチル−2(1H)−キナゾリノン;
あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸付加塩である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩を投与する工程を包含する:
【化10】

ここで、nは、2または3であり、そしてR、R、R、RおよびRは、請求項E1で定義したとおりである、
方法。
【請求項54】
前記有効量が、1日1回から1ヶ月に1回までの投与頻度で、約10ng/体重1kg〜約1000mg/体重1kgを含む、請求項49〜53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
さらに、前記被験体に、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を投与する工程を包含する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
包装材料と、請求項49〜53のいずれかに記載のファルネシル転移酵素阻害剤化合物とを含む製品であって、ここで、該製品は、さらに、ラベルまたは添付文書を含み、該ラベルまたは添付文書は、該ファルネシル転移酵素阻害剤化合物がシヌクレイノパチーを治療するために被験体に投与できることを表示する、製品。
【請求項58】
前記シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症からなる群から選択される、請求項57に記載の製品。
【請求項59】
さらに、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を含む、請求項58に記載の製品。
【請求項60】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項59に記載の製品。
【請求項61】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【化11】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
−A−は、次式の二価ラジカルである:
−CH=CH− (a−1)、
−CH−CH− (a−2)、
−CH−CH−CH− (a−3)、
−CH−O− (a−4)、
−CH−CH−O− (a−5)、
−CH−S− (a−6)、
−CH−CH−S− (a−7)、
−CH=N− (a−8)、
−N=N− (a−9)、または
−CO−NH− (a−10);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar−C1〜6アルキル、Ar−オキシ、Ar−C1〜6アルキルオキシ;または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (b−1)、
−O−CH−CH−O− (b−2)、
−O−CH=CH− (b−3)、
−O−CH−CH− (b−4)、
−O−CH−CH−CH− (b−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (b−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、Ar−オキシ、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、トリハロメチル、トリハロメトキシであるか、または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、
−O−CH−CH−O− (c−2)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−3);
は、次式のラジカルである:
【化12】

ここで、R13は、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;R14は、水素、C1〜6アルキルまたはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルである;
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、シアノ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキル、アミノカルボニル−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、Ar、Ar−C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル;または次式のラジカルである:
−O−R (e−1)、
−S−R (e−2)、または
−N−R (e−3);
ここで、
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−OR10または−Alk−NR1112
は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr−C1〜6アルキルである;
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル−C1〜6アルキル、Ar−カルボニル、Ar−C1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR10または−Alk−NR1112
ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr−C1〜6アルキルである;
11は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar10またはAr10−C1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、Ar11またはAr11−C1〜6アルキルである;そして
Ar〜Ar11は、それぞれ別個に、フェニル;または置換フェニルから選択され、該置換フェニルは、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはトリフルオロメチルで置換されている、
方法。
【請求項62】
前記点線が、任意の結合を表わす;
Xが、OまたはSである;
およびRが、それぞれ別個に、水素、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、トリハロメチルまたはトリハロメトキシから選択される;
およびRが、それぞれ別個に、水素、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、トリハロメチルまたはトリハロメトキシから選択される;
が、式(d−1)のラジカルであり、ここで、R13が、水素であるか、またはRが、式(d−2)のラジカルであり、ここで、R13が、水素またはC1〜6アルキルであり、そしてR14が、水素またはC1〜6アルキルである;
が、水素、ヒドロキシ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、または式−NRのラジカルであり、ここで、Rが、水素またはC1〜6アルキルであり、そしてRが、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニルである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
Xが、酸素である;前記点線が、結合を表わす;Rが、3−ハロである;Rが、水素である;Rが、4−ハロである;Rが、水素である;Rが、式(d−1)のラジカルであり、ここで、R13が、水素であるか、またはRが、式(d−2)のラジカルであり、ここで、R13が、水素であり、そしてR14が、C1〜4アルキルである;Rが、水素、ハロ、ヒドロキシまたはアミノである;そして−A−が、(a−1)、(a−2)または(a−3)である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記化合物が、
7−(3−クロロフェニル)−9−[(4−クロロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イルメチル]−2,3−ジヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−5−オン;
7−(3−クロロフェニル)−9−[(4−クロロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,−ij]キノリン−4−オン;
8−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−6−(3−クロロフェニル)−1,2−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−4−オン;または
8−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−6−(3−クロロフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−5−オン;
あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸付加塩である、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、以下の構造を有するか、それらの酸付加塩または立体異性体形態である、請求項61に記載の方法:
【化13】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;ここで、X、−A−、R、R、RおよびRは、請求項61で定義したとおりである、方法。
【請求項66】
前記有効量が、1日1回から1ヶ月に1回までの投与頻度で、約10ng/体重1kg〜約1000mg/体重1kgを含む、請求項66〜65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
さらに、前記被験体に、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を投与する工程を包含する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
包装材料と、請求項61〜65のいずれかに記載のファルネシル転移酵素阻害剤化合物とを含む製品であって、ここで、該製品は、さらに、ラベルまたは添付文書を含み、該ラベルまたは添付文書は、該ファルネシル転移酵素阻害剤化合物がシヌクレイノパチーを治療するために被験体に投与できることを表示する、製品。
【請求項70】
前記シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症からなる群から選択される、請求項69に記載の製品。
【請求項71】
さらに、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を含む、請求項70に記載の製品。
【請求項72】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項71に記載の製品。
【請求項73】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【化14】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
は、水素、C1〜12アルキル、Ar、Ar1〜6アルキル、キノリニルC1〜6アルキル、ピリジルC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−C(=O)−R、−Alk−S(O)−Rまたは−Alk−S(O)−Rであって、ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルであり、
は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、アミノ、C1〜8アルキルアミノまたは置換C1〜8アルキルアミノであり、該置換C1〜8アルキルアミノは、C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されている;
、RおよびR16は、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、4,4−ジメチルオキサゾリルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、Ar、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、Arオキシ、トリハロメチル、C1〜6アルキルチオ、ジ(C1〜6アルキル)アミノであるか、または
隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (c−1)、または
−CH=CH−CH=CH− (c−2);
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、カルボキシC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、イミダゾリル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、
−N−R1112 (b−3)、
ここで、
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、次式のラジカルである:−Alk−OR13−または−Alk−NR1415
11は、水素、C1〜12アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、C1〜16アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、Ar、Ar1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、天然アミノ酸、Arカルボニル、Ar1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、または次式のラジカルである:−Alk−OR13または−Alk−NR1415
ここで、
Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ArまたはAr1〜6アルキルである;
17は、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Arである;
18は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
19は、水素またはC1〜6アルキルである;
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている;そして
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている、
方法。
【請求項74】
前記ファルネシル転移酵素阻害剤が、式(I)の化合物であり、そしてXが、酸素である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記ファルネシル転移酵素阻害剤が、式(I)の化合物であり、そして前記点線が、結合を表わす、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記ファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤が、式(I)の化合物であり、そしてRが、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルまたはモノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルである、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記ファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤が、式(I)の化合物であり、Rが、水素であり、そしてRが、ハロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、トリハロメトキシまたはヒドロキシC1〜6アルキルオキシである、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記ファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤が、式(I)の化合物であり、Rが、水素、ヒドロキシ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、イミダゾリル、式−NR1112のラジカルであり、ここで、R11が、水素またはC1〜12アルキルであり、R12が、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、または式−Alk−OR13のラジカルであり、そしてR13が、水素またはC1〜6アルキルである、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
前記化合物が、4−(3−クロロフェニル)−6−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシ(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−1−メチル−2(1H)−キノリノン、6−[アミノ(4−クロロフェニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−5−イルメチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン;6−[(4−クロロフェニル)ヒドロキシ(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−エトキシ−フェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン;6−[(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−エトキシフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン一塩酸塩一水和物;6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−エトキシフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、および6−アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−1−メチル−4−(3−プロピルフェニル)−2(1H−キノリノン;あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩である、請求項73に記載の方法。
【請求項80】
前記化合物が、(+)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロ−フェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン;または薬学的に受容可能な酸付加塩である、請求項73に記載の方法。
【請求項81】
前記有効量が、1日1回から1ヶ月に1回までの投与頻度で、約10ng/体重1kg〜約1000mg/体重1kgを含む、請求項73〜80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
さらに、前記被験体に、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を投与する工程を包含する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
包装材料と、請求項73〜80のいずれか1項に記載のファルネシル転移酵素阻害剤化合物とを含む製品であって、ここで、該製品は、さらに、ラベルまたは添付文書を含み、該ラベルまたは添付文書は、該ファルネシル転移酵素阻害剤化合物がシヌクレイノパチーを治療するために被験体に投与できることを表示する、製品。
【請求項85】
前記シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症からなる群から選択される、請求項84に記載の製品。
【請求項86】
さらに、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を含む、請求項85に記載の製品。
【請求項87】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項864に記載の製品。
【請求項88】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩を投与する工程を包含する:
【化15】

ここで、
=X−X−X−は、次式の三価ラジカルである:
=N−CR=CR− (x−1)、
=N−N=CR (x−2)、
=N−NH−C(=O)− (x−3)、
=N−N=N− (x−4)、
=N−CR=N− (x−5)、
=CR−CR=CR (x−6)、
=CR−N=CR− (x−7)、
=CR−NH−C(=O)− (x−8)、または
=CR−N=N− (x−9);
ここで、各R、RおよびRは、別個に、水素、C1〜4アルキル、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ、アリールオキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜4アルキル、シアノ、アミノ、チオ、C1〜4アルキルチオ、アリールチオまたはアリールである;
>Y−Yは、次式の三価ラジカルである:
>CH−CHR− (y−1)、
>C=N− (y−2)、
>CH−NR− (y−3)、または
>C=CR− (y−4);
ここで、各Rは、別個に、水素、ハロ、ハロカルボニル、アミノカルボニル、ヒドロキシC1〜4アルキル、シアノ、カルボキシル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシ、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシカルボニル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノ、モノ−またはジ(C1〜4アルキル)アミノC1〜4アルキル、またはアリールである;
rおよびsは、それぞれ別個に、0、1、2、3、4または5である;
tは、0、1、2または3である;
各RおよびRは、別個に、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、アリール、アリールC1〜6アルキル、アリールオキシまたはアリールC1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノカルボニル、またはモノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルである;または
該フェニル環上の互いに隣接した2個のRまたはRは、別個に、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成する:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O=CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
は、水素、ハロ、C1〜6アルキル、シアノ、ハロC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキル、アミノカルボニル、C1〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アリール、アリールC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル;または次式のラジカルである:
−O−R10 (b−1)、
−S−R10 (b−2)、または
−NR1112 (b−3)、
ここで、R10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、アリール、アリールC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、または次式のラジカル−Alk−OR13または−Alk−NR1415である;
11は、水素、C1〜6アルキル、アリールまたはアリールC1〜6アルキルである;
12は、水素、C1〜6アルキル、アリール、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、アリールC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルキルカルボニル、アミノカルボニル、アリールカルボニル、ハロC1〜6アルキルカルボニル、アリールC1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノカルボニルであり、ここで、該アルキル部分は、必要に応じて、1個以上の置換基で置換され得、該置換基は、別個に、アリールまたはC1〜3アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニルカルボニル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニル、または次式のラジカル−Alk−OR13または−Alk−NR1415から選択される;
ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルである;
13は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アリールまたはアリールC1〜6アルキルである;
14は、水素、C1〜6アルキル、アリールまたはアリールC1〜6アルキルである;
15は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、アリールまたはアリールC1〜6アルキルである;
は、次式のラジカルである:
【化16】

ここで、R16は、水素、ハロ、アリール、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、モノ−またはジ(C1〜4アルキル)アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
17は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アリールC1〜6アルキル、トリフルオロメチルまたはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルである;
は、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;アリールは、フェニル、ナフタレニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、1個以上の置換基で置換されており、該置換基は、それぞれ別個に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはトリフルオロメチルから選択される;但し、R16が式(c−1)または(c−2)のイミダゾール環内の窒素原子の1個に結合されているとき、R16は、水素、アリール、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである、
方法。
【請求項89】
各RおよびRが、別個に、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、アリール、アリールC1〜6アルキル、アリールオキシまたはアリールC1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、またはC1〜6アルキルオキシカルボニルである;または
前記フェニル環上で互いに隣接する2個のRまたはR置換基が、別個に、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成する:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O=CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
17が、水素、C1〜6アルキル、トリフルオロメチルまたはジ(C1〜6アルキル)アミノスルホニルである;
但し、R16が式(c−1)の前記イミダゾール環内の窒素原子の1個に結合されているとき、R16が、水素、アリール、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
=X−X−Xが、式(x−1)、(x−2)、(x−3)、(x−4)または(x−9)の三価ラジカルであり、ここで、各Rが、別個に、水素、C1〜4アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノまたはアリールであり、そしてRが、水素である;>Y−Y−が、式(y−1)、(y−2)、(y−3)または(y−4)の三価ラジカルであり、ここで、各Rが、別個に、水素、ハロ、カルボキシル、C1〜4アルキルまたはC1〜4アルキルオキシカルボニルである;rが、0、1または2である;sが、0または1である;tが、0である;Rが、ハロ、C1〜6アルキルであるか、または前記フェニル環上の互いにオルトにある2個のR置換基が、別個に、一緒になって、式(a−1)の二価ラジカルを形成する;Rが、ハロである;Rが、ハロまたは式(b−1)または(b−3)のラジカルであり、ここで、R10が、水素または式−Alk−OR13のラジカルであり、R11が、水素であり、R12が、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシまたはモノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルカルボニルであり、Alkが、C1〜6アルカンジイルであり、そしてR13が、水素である;Rが、式(c−1)または(c−2)のラジカルであり、ここで、R16が、水素、ハロまたはモノ−またはジ(C1〜4アルキル)アミノである;R17が、水素またはC1〜6アルキルである;アリールが、フェニルである、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
=X−X−Xが、式(x−1)の三価ラジカルであり、>Y−Yが、式(y−4)の三価ラジカルであり、rが、0または1であり、sが、1であり、tが、0であり、Rが、3−クロロであり、Rが、4−クロロまたは4−フルオロであり、Rが、水素または式(b−1)または(b−3)のラジカルであり、Rが、式(c−1)または(c−2)のラジカルであり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、Rが、水素であり、R10が、水素であり、R11が、水素であり、そしてR12が、水素である、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
=X−X−Xが、式(x−2)または(x−3)の三価ラジカルであり、>Y−Yが、式(y−2)、(y−3)または(y−4)の三価ラジカルであり、rおよびsが、1であり、tが、0であり、Rが、3−クロロまたは3−メチルであり、Rが、4−クロロであり、Rが、式(b−1)または(b−3)のラジカルであり、Rが、式(c−2)のラジカルであり、Rが、C1〜4アルキルであり、Rが、水素であり、R10およびR11が、水素であり、そしてR12が、水素またはヒドロキシである、請求項88に記載の方法。
【請求項93】
前記ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、以下から選択される、請求項88に記載の方法:
7−[(4−フルオロフェニル)(1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−5−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノリン;α−(4−クロロフェニル)−α−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−5−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノリン−7−メタノール;5−(3−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−α−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−イミダゾール[1,2−a]キノリン−7−メタノール;5−(3−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−α−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)イミダゾール[1,2−a]キノリン−7−メタンアミン;5−(3−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−α−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)テトラゾロ[1,5−a]キノリン−7−メタンアミン;5−(3−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−1−メチル−α−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]キノリン−7−メタノール;5−(3−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−α−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)テトラゾロ[1,5−a]キノリン−7−メタンアミン;5−(3−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−α−(l−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)テトラゾロ[1,5−a]キナゾリン−7−メタノール;5−(3−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−α−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)テトラゾロ[1,5−a]キナゾリン−7−メタノール;5−(3−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−α−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)テトラゾロ[1,5−a]キナゾリン−7−メタンアミン;5−(3−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−N−ヒドロキシ−α−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)テトラヒドロ[1,5−a]キノリン−7−メタンアミン;α−(4−クロロフェニル)−α−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−5−(3−メチルフェニル)テトラゾロ[1,5−a]キノリン−7−メタンアミン;それらの薬学的に受容可能な酸付加塩および立体異性体形態。
【請求項94】
前記有効量が、1日1回から1ヶ月に1回までの投与頻度で、約10ng/体重1kg〜約1000mg/体重1kgを含む、請求項88〜93のいずれかに記載の方法。
【請求項95】
さらに、前記被験体に、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を投与する工程を包含する、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
包装材料と、請求項88〜93のいずれかに記載のファルネシル転移酵素阻害剤化合物とを含む製品であって、ここで、該製品は、さらに、ラベルまたは添付文書を含み、該ラベルまたは添付文書は、該ファルネシル転移酵素阻害剤化合物がシヌクレイノパチーを治療するために被験体に投与できることを表示する、製品。
【請求項98】
前記シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症からなる群から選択される、請求項97に記載の製品。
【請求項99】
さらに、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を含む、請求項97に記載の製品。
【請求項100】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項99に記載の製品。
【請求項101】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【化17】

ここで、該点線は、任意の結合を表わす;
Xは、酸素または硫黄である;
は、水素、C1〜12アルキル、Ar、Ar1〜6アルキル、キノリニルC1〜6アルキル、ピリジルC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、または次式のラジカルである:−Alk−C(=O)−R、−Alk−S(O)−Rまたは−Alk−S(O)−Rであって、ここで、Alkは、C1〜6アルカンジイルであり、
は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、アミノ、C1〜8アルキルアミノまたは置換C1〜8アルキルアミノであり、該置換C1〜8アルキルアミノは、C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されている;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルオキシ、アミノC1〜6アルキルオキシ、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキルオキシ、Ar、Ar1〜6アルキル、Arオキシ、Ar1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、トリハロメチル、トリハロメトキシまたはC2〜6アルケニルである;
または隣接位置にあるとき、RおよびRは、一緒になって、次式の二価ラジカルを形成し得る:
−O−CH−O− (a−1)、
−O−CH−CH−O− (a−2)、
−O−CH=CH− (a−3)、
−O−CH−CH− (a−4)、
−O−CH−CH−CH− (a−5)、または
−CH=CH−CH=CH− (a−6);
およびRは、それぞれ別個に、水素、Ar、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルS(O)C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルS(O)1〜6アルキルである;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはArオキシである;
は、水素、C1〜6アルキル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルC1〜6アルキル、シアノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキル、ヒドロキシカルボニルC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノ−またはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、ハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、アミノカルボニルC1〜6アルキル、Ar、Ar1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC1〜6アルキルである;
10は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシまたはハロである;
11は、水素またはC1〜6アルキルである;
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている;そして
Arは、フェニルまたは置換フェニルであり、該置換フェニルは、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1〜6アルキルオキシまたはハロで置換されている、
方法。
【請求項102】
Xが、酸素である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
が、水素、C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルである、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
が、水素であり、そしてRが、ハロである、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
が、水素、C1〜6アルキルまたはヒドロキシ−C1〜6アルキルである、請求項101に記載の方法。
【請求項106】
前記化合物が、
4−(3−クロロフェニル)−6−[(4−クロロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イルメチル]−1−メチル−2(1H)−キノリノン;
4−(3−クロロフェニル)−6−[(4−クロロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イルメチル]−2(1H)−キノリノン;
6−[1−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−1−(1H−イミダゾール−1−イル)エチル]−1−メチル−4−フェニル−2(1H)−キノリノン;
4−(3−クロロフェニル)−6−[1−(4−クロロフェニル)−1−(1H−イミダゾール−1−イル)エチル]−1−メチル−2(1)−キノリノン;
4−(3−クロロフェニル)−6−[1−(4−クロロフェニル)−1−(5−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)エチル]−1−メチル−2(1H)−キノリノン;
4−(3−クロロフェニル)−6−[1−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−1−(1H−イミダゾール−1−イル)エチル]−1−メチル−2(1H)−キノリノン;
4−(3−クロロフェニル)−6−[(4−クロロフェニル)(1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1−(2−メトキシエチル)−2(1H)−キノリノンエタンジオエート(2:3)一水和物;
6−[(4−クロロフェニル)(1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−メチル−2(1H)−キノリノンエタンジオエート(1:1);
またはそれらの立体異性体形態、またはそれらの薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩。
【請求項107】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩形態を投与する工程を包含する:
【化18】

ここで、ラジカルR、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は、請求項4で定義したとおりである、
方法。
【請求項108】
シヌクレイノパチー被験体を治療する方法であって、治療有効量で、シヌクレイノパチー被験体に、次式のファルネシル転移酵素阻害剤、あるいはそれらの立体異性体、または薬学的に受容可能な酸または塩基付加塩を投与する工程を包含する:
【化19】

ここで、ラジカルR、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は、請求項4で定義したとおりである、
方法。
【請求項109】
前記有効量が、1日1回から1ヶ月に1回までの投与頻度で、約10ng/体重1kg〜約1000mg/体重1kgを含む、請求項101〜108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
さらに、前記被験体に、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を投与する工程を包含する、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
包装材料と、請求項101〜108のいずれか1項に記載のファルネシル転移酵素阻害剤化合物とを含む製品であって、ここで、該製品は、さらに、ラベルまたは添付文書を含み、該ラベルまたは添付文書は、該ファルネシル転移酵素阻害剤化合物がシヌクレイノパチーを治療するために被験体に投与できることを表示する、製品。
【請求項113】
前記シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、びまん性レヴィー小体病および多系統萎縮症からなる群から選択される、請求項112に記載の製品。
【請求項114】
さらに、神経障害を治療するのに有効な量の1種以上の非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物を含む、請求項113に記載の製品。
【請求項115】
各非ファルネシル転移酵素阻害剤化合物が、ドーパミンアゴニスト、DOPA脱炭酸酵素阻害剤、ドーパミン前駆体、モノアミン酸化酵素遮断薬、カテコールO−メチル転移酵素阻害剤、抗コリン作動薬、およびNMDAアンタゴニストからなる群から選択される、請求項114に記載の製品。

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3−2】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−538004(P2007−538004A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504171(P2007−504171)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/009235
【国際公開番号】WO2005/089504
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(504412945)ザ ブライハム アンド ウイメンズ ホスピタル, インコーポレイテッド (54)
【Fターム(参考)】