説明

シフトレジスタ回路

【課題】トランジスタのしきい値電圧の制御を行いながら、ゲート電極の電位は変動させず、バックゲート電極の電位のみを変動させることで、入力信号に応じた信号を出力することが可能な論理回路を有するシフトレジスタ回路を提供する。
【解決手段】同じ導電型の第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路、を含むシフトレジスタ回路において、第1のトランジスタの第1のゲート電極を、第1のトランジスタのソース電極またはドレイン電極に接続し、第1のトランジスタの第2のゲート電極に入力信号を供給し、第2のトランジスタのゲート電極にクロック信号を供給し、第1のゲート電極と、ゲート電極とは、同じ層とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトレジスタ回路に関する。または、画素部と同じ基板に形成されるシフトレジスタ回路を有する表示装置に関する。または、当該表示装置を具備する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビなどの表示装置は、今後さらなる普及を図る上で、より製造コストの小さい製品が求められており、開発が進められている。特に、画素部と同じ基板に走査線駆動回路などの駆動回路を薄膜トランジスタ(TFT)を用いて形成する技術は、開発がさかんである。
【0003】
画素部と同じ基板に用いることのできる駆動回路の構成としては、同じ導電型(単極性)のトランジスタを組み合わせた回路構成がある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−164802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
単極性のトランジスタで構成される駆動回路では、異なる導電型のトランジスタを組み合わせて駆動回路を構成する場合に比べて、トランジスタの作製工程におけるドーピング工程等を削減することができるため、製造コストを小さくすることができる。
【0006】
また、異なる導電型のトランジスタを組み合わせて駆動回路を構成する場合、pチャネル型のトランジスタとnチャネル型のトランジスタの移動度が異なるためにレイアウトを異ならせる必要があり、結果としてレイアウト面積の増大が問題となる。そのため、移動度が同じ単極性のトランジスタで構成される駆動回路とすることで、レイアウト面積の縮小を図ることができる。
【0007】
一方で、同じ導電型のトランジスタで構成される駆動回路では、トランジスタのしきい値電圧の変動に起因して、ディプレッション型(ノーマリーオンともいう)のトランジスタとエンハンスメント型(ノーマリーオフともいう)が混在する問題が顕在化する。ノーマリーオンのトランジスタが混在することで、回路内の貫通電流が増加し、消費電力が増加してしまう。従って、トランジスタのしきい値電圧の変動の抑制する構成を追加することが必要である。
【0008】
しきい値電圧を制御するためには、ゲート電極(第1のゲート電極)を有するトランジスタの構成にバックゲート電極(第2のゲート電極)を追加し、バックゲート電極の電位を変動させることで、ノーマリーオンとノーマリーオフとの切り替えが可能なトランジスタとする構成が有効である。しかしながら、バックゲート電極の電位を変動させた状態でゲート電極にも信号を入力する構成では、ゲート電極及びバックゲート電極の双方の電位を変動させる構成となり、ゲート電極及びバックゲート電極の双方の電位を変動させることに伴う消費電力が増加することにもなる。
【0009】
そこで本発明の一態様は、トランジスタのしきい値電圧の制御を行いながら、ゲート電極の電位は変動させず、バックゲート電極の電位のみを変動させることで、入力信号に応じた信号を出力することが可能な論理回路を有するシフトレジスタ回路を提供することが課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、同じ導電型の第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路、を含むシフトレジスタ回路において、第1のトランジスタの第1のゲート電極を、第1のトランジスタのソース電極またはドレイン電極に接続し、第1のトランジスタの第2のゲート電極に入力信号を供給し、第2のトランジスタのゲート電極にクロック信号を供給し、第1のゲート電極と、ゲート電極とは、同じ層とする。
【0011】
本発明の一態様は、同じ導電型の第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路、を含むシフトレジスタ回路を有し、第1のトランジスタの第1のゲート電極は、第1のトランジスタのソース電極またはドレイン電極に電気的に接続され、第1のトランジスタの第2のゲート電極は、入力信号が供給される配線に電気的に接続され、第2のトランジスタのゲート電極は、クロック信号が供給される配線に電気的に接続され、第1のゲート電極と、ゲート電極とは、同じ層に設けられているシフトレジスタ回路である。
【0012】
本発明の一態様は、同じ導電型の第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路、を含むシフトレジスタ回路を有し、第1のトランジスタは第1のゲート電極、第1のゲート電極上の第1の半導体膜、及び第1の半導体膜上の第2のゲート電極を有し、第1のゲート電極が第1のトランジスタのソース電極またはドレイン電極に電気的に接続するよう設けられ、第1のトランジスタの第2のゲート電極は、入力信号が供給される配線に電気的に接続され、第2のトランジスタは、ゲート電極、及びゲート電極上の第2の半導体膜を有し、第2のトランジスタのゲート電極は、クロック信号が供給される配線に電気的に接続され、第1のゲート電極と、ゲート電極とは、同じ層に設けられているシフトレジスタ回路である。
【0013】
本発明の一態様は、同じ導電型の第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路、を含むシフトレジスタ回路を有し、第1のトランジスタは第1のゲート電極、第1のゲート電極上のゲート絶縁膜、ゲート絶縁膜上の第1の半導体膜、第1の半導体膜上のソース電極及びドレイン電極、ソース電極及びドレイン電極上の層間絶縁膜、並びに層間絶縁膜上の第2のゲート電極を有し、第1のゲート電極がソース電極またはドレイン電極に電気的に接続するよう設けられ、第1のトランジスタの第2のゲート電極は、入力信号が供給される配線に電気的に接続され、第2のトランジスタは、ゲート電極、ゲート電極上のゲート絶縁膜、及びゲート絶縁膜上の第2の半導体膜を有し、第2のトランジスタのゲート電極は、クロック信号が供給される配線に電気的に接続され、第1のゲート電極と、ゲート電極とは、同じ層に設けられているシフトレジスタ回路である。
【0014】
本発明の一態様において、ゲート絶縁膜の膜厚は、層間絶縁膜の膜厚より小さいシフトレジスタ回路が好適である。
【0015】
本発明の一態様において、第1の半導体膜及び第2の半導体膜は、同じ層に設けられているシフトレジスタ回路が好適である。
【0016】
本発明の一態様において、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタは、nチャネル型のトランジスタであるシフトレジスタ回路が好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様により、トランジスタのしきい値電圧の制御を行いながら、ゲート電極の電位は変動させず、バックゲート電極の電位のみを変動させることで、入力信号に応じた信号を出力することが可能な論理回路を有するシフトレジスタ回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1の構成を説明する図。
【図2】実施の形態1の構成を説明する図。
【図3】実施の形態1の構成を説明する図。
【図4】実施の形態1の構成を説明する図。
【図5】実施の形態1で説明した回路の上面図の一例を示す図。
【図6】実施の形態1で説明した回路の断面図の一例を示す図。
【図7】表示部及び駆動回路部を具備する表示装置のブロック図。
【図8】画素部の断面図の一例を示す図。
【図9】電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じ物を指し示す符号は異なる図面間において共通とする。
【0020】
なお、各実施の形態の図面等において示す各構成の、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されて表記している場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0021】
なお本明細書にて用いる第1、第2、第3、乃至第N(Nは2以上の自然数)という用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0022】
(実施の形態1)
まずシフトレジスタ回路を構成する第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路の回路構成について説明する。
【0023】
図1(A)に示す論理回路10は、第1のトランジスタ11及び第2のトランジスタ12を有する。
【0024】
なお本実施の形態では、第1のトランジスタ11及び第2のトランジスタ12を、共にnチャネル型のトランジスタであるとして説明を行う。第1のトランジスタ11及び第2のトランジスタ12は、pチャネル型のトランジスタであってもよい。
【0025】
第1のトランジスタ11に着目し、第1のゲート電極をg1、ソース電極をs、ドレイン電極をd、第2のゲート電極をg2と略称を付すと、図1(A)に示すように表すことができる。第1のトランジスタ11の第1のゲート電極は、第1のトランジスタ11のソース電極に接続されている。第1のトランジスタ11の第2のゲート電極は、配線13に接続されている。第1のトランジスタ11のドレイン電極は、配線16に接続されている。
【0026】
第2のトランジスタ12に着目し、ゲート電極をg、ソース電極をs、ドレイン電極をdと略称を付すと、図1(A)に示すように表すことができる。第2のトランジスタ12のゲート電極は、配線14に接続されている。第2のトランジスタ12のドレイン電極は、第1のトランジスタ11のソース電極及び配線15に接続されている。第2のトランジスタ12のソース電極は、配線17に接続されている。
【0027】
なお、ソース電極とドレイン電極とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース電極またはドレイン電極であるかを限定することが困難な場合もある。そのため、ソース電極及びドレイン電極を、それぞれ第1の電極、第2の電極と表記することもある。
【0028】
なお、配線16は高電源電位VDDが供給される配線である。配線17は低電源電位VSSが供給される配線である。配線13は、入力信号INが供給される配線である。配線14はクロック信号CLKが供給される配線である。配線15は出力信号OUTが出力される配線である。
【0029】
なお配線13に供給される入力信号INは、例えば、シフトレジスタ回路におけるスタートパルス、または前段の回路より出力された信号である。また配線14に供給されるクロック信号CLKは、例えば、クロック信号生成回路等により生成される一定のデューティ比を有する信号である。
【0030】
図1(B)では、第1のトランジスタ11のドレイン電流Idとゲートとソースの間にかかる電圧(ゲートソース間電圧Vgs)の関係についてグラフを示す。ノーマリーオンのトランジスタでは、図1(B)中の曲線21のような関係となる。一方、ノーマリーオフのトランジスタでは、図1(B)中の曲線22のような関係となる。
【0031】
上述したように論理回路10では、第1のトランジスタ11の第1のゲート電極とソース電極とを接続する構成としている。そのため、ゲートとソースの間にかかる電圧(ゲートソース間電圧Vgs)は0となる。
【0032】
一方で、第1のトランジスタ11のノーマリーオンとノーマリーオフとを切り替える場合は、第2のゲート電極の電位によって制御することができる。すなわち第2のゲート電極の電位をプラスシフトさせることで、第1のトランジスタ11をノーマリーオンに切り替え、第2のゲート電極の電位をマイナスシフトさせることで、第1のトランジスタ11をノーマリーオフに切り替えることができる。第2のゲート電極の電位によってノーマリーオンとノーマリーオフとを切り替えることで、Vgsが0のときのドレイン電流Idの大きさを調整することができる。
【0033】
よって、第1のゲート電極の電位を外部から変動させることなく、第2のゲート電極の電位である入力信号により、第1のトランジスタ11に流れる電流を制御することができる。従って本実施の形態の構成では、第1のゲート電極の電位を変動させない分の消費電力の低減を図ることができる。
【0034】
また第1のトランジスタ11の断面構造としては、一例として図1(C)に示す構造が挙げられる。図1(C)に示す第1のトランジスタ11は、基板31上に第1のゲート電極32が設けられ、第1のゲート電極32上にゲート絶縁膜33が設けられ、ゲート絶縁膜33上に半導体膜34が設けられ、半導体膜34上を部分的に覆って導電膜でなるソース電極35A、ドレイン電極35Bが設けられ、半導体膜34、ソース電極35A、及びドレイン電極35Bを覆って層間絶縁膜36が設けられ、層間絶縁膜36上に第2のゲート電極37が設けられる構造である。
【0035】
なお、図1(C)で、半導体膜34がシリコンの場合、半導体膜34と、ソース電極35A及びドレイン電極35Bとの間に、リンが添加された不純物半導体膜を形成する構成としてもよい。なお、半導体膜34と、ソース電極35A及びドレイン電極35Bとがオーミックコンタクトをする場合は、不純物半導体膜を形成しなくともよい。
【0036】
前述したように本実施の形態の構成でノーマリーオンとノーマリーオフとを切り替える場合は、第2のゲート電極の電位によって制御する。仮に、図1(C)に示す第1のゲート電極32の電位によりノーマリーオンとノーマリーオフとを切り替える構成とする場合、該電位は図1(C)に示すゲート絶縁膜33を介して半導体膜34のチャネル形成領域に印加されるものとなる。半導体膜34のチャネル形成領域に十分電界が印加されない場合、ノーマリーオンとノーマリーオフとの切り替えが十分行えないことになるが、ゲート絶縁膜33は他の領域(例えば画素領域)のトランジスタと同じ構成で作製するため膜厚の調整が困難である。そのため、ノーマリーオンとノーマリーオフとを切り替えるための第1のゲート電極32の電位は、高くなってしまうことになる。
【0037】
本実施の形態の構成では、ノーマリーオンとノーマリーオフとの切り替えは、図1(C)に示す第2のゲート電極37の電位によって制御する。図1(C)に示す第2のゲート電極37の電位によりノーマリーオンとノーマリーオフとを切り替える構成とする場合、該電位は図1(C)に示す層間絶縁膜36を介して半導体膜34のチャネル形成領域に印加されるものとなる。半導体膜34のチャネル形成領域に十分電界が印加されない場合、ノーマリーオンとノーマリーオフとの切り替えが十分行えないことになるが、層間絶縁膜36は他の領域(例えば画素領域)のトランジスタがあっても膜厚の調整が容易である。そのため、第2のゲート電極37の電位を固定した場合には、層間絶縁膜36の膜厚を調整し、ノーマリーオンとノーマリーオフとを切り替えを行う構成とすることができる。
【0038】
よって、第2のゲート電極の電位を高くすることなく、第1のトランジスタ11のノーマリーオンとノーマリーオフとの切り替えを制御することができる。従って本実施の形態の構成では、第2のゲート電極の電位を高くしない分の消費電力の低減を図ることができる。
【0039】
以上説明したように、本発明の一態様により、トランジスタのしきい値電圧の制御を行いながら、第1のゲート電極の電位は変動させず、第2のゲート電極の電位のみを変動させることで、入力信号に応じた信号を出力することができる。そして、ノーマリーオンとノーマリーオフとの切り替えの際の消費電力を低減することができる。
【0040】
次いで図1(A)に示した第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路の動作について図2(A)乃至(D)で説明する。図1(A)で示した論理回路は入力端子として、入力信号INが供給される配線13、クロック信号CLKが供給される配線14があり、出力端子として出力信号OUTが供給される配線15がある。そこで図2(A)乃至(D)では、入力信号INがHレベルまたはLレベルの場合、クロック信号CLKがHレベルまたはLレベルの場合について、場合分けをして説明を行う。
【0041】
なお図2(A)乃至(D)中、Hレベルの信号について「H」、Lレベルの信号について「L」と略記して表す。
【0042】
また第1のトランジスタ11と第2のトランジスタ12は、電流供給能力が異なるトランジスタとしておくことが好ましい。具体的には、第2のトランジスタ12の電流供給能力は、第1のトランジスタ11の電流供給能力よりも大きくしておくことが好ましい。第1のトランジスタ11の電流供給能力と第2のトランジスタ12の電流供給能力とを異ならせることで、第1のトランジスタ11と第2のトランジスタ12とが共に導通状態となった際に、出力信号OUTをLレベルに確定することができる。
【0043】
なお、第1のトランジスタ11と第2のトランジスタ12とで電流供給能力を異ならせるためには、第1のトランジスタ11のL/W比を、第2のトランジスタ12のL/W比より大きくしておけばよい。
【0044】
まず図2(A)では、入力信号INがHレベル、クロック信号CLKがLレベルの場合について説明する。入力信号INがHレベルの場合、第1のトランジスタ11は、しきい値電圧がマイナスシフトし、ノーマリーオンのトランジスタとなり、導通状態(ON)となる。クロック信号CLKがLレベルの場合、第2のトランジスタ12は、非導通状態(OFF)となる。
【0045】
第1のトランジスタ11が導通状態、第2のトランジスタ12が非導通状態となることで、出力信号OUTは、高電源電位VDDに基づく信号となりHレベルとなる。
【0046】
図2(B)では、入力信号INがLレベル、クロック信号CLKがHレベルの場合について説明する。入力信号INがLレベルの場合、第1のトランジスタ11は、しきい値電圧がプラスシフトし、ノーマリーオフのトランジスタとなり、非導通状態となる。クロック信号CLKがHレベルの場合、第2のトランジスタ12は、導通状態となる。
【0047】
第1のトランジスタ11が非導通状態、第2のトランジスタ12が導通状態となることで、出力信号OUTは、低電源電位VSSに基づく信号となりLレベルとなる。
【0048】
図2(C)では、入力信号INがHレベル、クロック信号CLKがHレベルの場合について説明する。入力信号INがHレベルの場合、第1のトランジスタ11は、しきい値電圧がマイナスシフトし、ノーマリーオンのトランジスタとなり、導通状態となる。クロック信号CLKがHレベルの場合、第2のトランジスタ12は、導通状態となる。
【0049】
第1のトランジスタ11が導通状態、第2のトランジスタ12が導通状態となることで、出力信号OUTは、第1のトランジスタ11と第2のトランジスタ12との電流供給能力によって決まり、上述したように、低電源電位VSSに基づく信号となりLレベルとなる。
【0050】
図2(D)では、入力信号INがLレベル、クロック信号CLKがLレベルの場合について説明する。入力信号INがLレベルの場合、第1のトランジスタ11は、しきい値電圧がプラスシフトし、ノーマリーオフのトランジスタとなり、非導通状態となる。クロック信号CLKがLレベルの場合、第2のトランジスタ12は、非導通状態となる。
【0051】
第1のトランジスタ11が非導通状態、第2のトランジスタ12が非導通状態となることで、出力信号OUTを出力する端子は電気的に浮遊状態となる。そのため、出力信号OUTは前の期間の電位を保持した信号(図中、Zで表記)となる。
【0052】
以上説明したように、本発明の一態様により、トランジスタのしきい値電圧の制御を行いながら、第1のゲート電極の電位は変動させず、第2のゲート電極の電位のみを変動させることで、入力信号INに応じた信号を出力することが可能な論理回路とすることできる。そして、ノーマリーオンとノーマリーオフとの切り替えの際の消費電力を低減することができる。
【0053】
次いで図1(A)に示した第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路を具備する複数段のパルス出力回路で構成されるシフトレジスタ回路の構成について図3(A)、(B)を参照して説明する。本実施の形態で示すシフトレジスタ回路では、スイッチとして機能するトランジスタ、及び複数の論理回路によって構成される。
【0054】
図3(A)で示すシフトレジスタ回路100は、クロック信号CLKが供給される配線101、反転クロック信号CLKBが供給される配線102、複数段にわたって設けられるパルス出力回路103、入力信号INが供給される配線104を有している。
【0055】
なお図3(A)のシフトレジスタ回路100は、N段(Nは2以上の自然数)のパルス出力回路によって構成されている。そのため、図3(A)で示すシフトレジスタ回路100は、一例として、OUT1乃至OUTN列分のパルス信号を出力する回路である。
【0056】
なお図3(A)で示すシフトレジスタ回路100は、他にも走査方向を切り替えるための走査方向切り替え信号等を入力する構成としても良い。また本実施の形態では、クロック信号(CLK)、反転クロック信号(CLKB)の2相のクロック信号により駆動する例を示すが、2相以外のクロック信号の入力によりシフトレジスタ回路を駆動する構成としてもよい。
【0057】
図3(A)に示すシフトレジスタ回路が走査線駆動回路に設けられる場合には、例えば、バッファ回路等がパルス出力回路の各出力端子に接続される回路構成となる。また図3(A)に示すシフトレジスタ回路が信号線駆動回路に設けられる場合には、例えば、映像信号をサンプリングするためのサンプリングスイッチ、ラッチ回路等がパルス出力回路の各出力端子に接続される構成となる。
【0058】
なおシフトレジスタ回路100を構成する各トランジスタの半導体膜には、例えば元素周期表における第14族の半導体(シリコンなど)を含有する半導体膜を用いることができる。このとき、半導体膜は、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜、微結晶半導体膜、又は非晶質半導体膜であってもよい。またトランジスタの半導体膜として、酸化物半導体を用いる構成としてもよい。
【0059】
次いで、パルス出力回路103の構成について図3(B)に示す。パルス出力回路103は、一例として、第1の論理回路111、第2の論理回路112、第3の論理回路113、第4の論理回路114、第1のスイッチ115、第2のスイッチ116、及び第3のスイッチ117を有する。図3(B)に示す回路図において、点線で示したブロックが1段分のパルス信号を出力するパルス出力回路103である。
【0060】
図3(B)において、第1の論理回路111は、第1のトランジスタ121及び第2のトランジスタ122を有する。第2の論理回路112は、第3のトランジスタ123及び第4のトランジスタ124を有する。第3の論理回路113は、第5のトランジスタ125及び第6のトランジスタ126を有する。第4の論理回路114は、第7のトランジスタ127及び第8のトランジスタ128を有する。
【0061】
図3(B)に示す第1の論理回路111、第2の論理回路112及び第4の論理回路114は、図1(A)で説明した論理回路と同じ接続関係である。また第3の論理回路113は、図1(A)で説明した論理回路とは一部接続関係が異なるものである。
【0062】
具体的には、第1のトランジスタ121の第1のゲート電極は、第1のトランジスタ121のソース電極に接続されている。第1のトランジスタ121の第2のゲート電極は、入力信号INが供給される配線に接続されている。第1のトランジスタ121のドレイン電極は、高電源電位VDDが供給される配線に接続されている。第2のトランジスタ122のゲート電極は、クロック信号CLKが供給される配線に接続されている。第2のトランジスタ122のドレイン電極は、第1のトランジスタ121のソース電極及び第1のスイッチ115の第1端子に接続されている。第2のトランジスタ122のソース電極は、低電源電位VSSが供給される配線に接続されている。
【0063】
また、第3のトランジスタ123の第1のゲート電極は、第3のトランジスタ123のソース電極に接続されている。第3のトランジスタ123の第2のゲート電極は、第1のスイッチ115の第2端子に接続されている。第3のトランジスタ123のドレイン電極は、高電源電位VDDが供給される配線に接続されている。第4のトランジスタ124のゲート電極は、反転クロック信号CLKBが供給される配線に接続されている。第4のトランジスタ124のドレイン電極は、第3のトランジスタ123のソース電極及び第2のスイッチ116の第1端子及び第6のトランジスタ126のゲート電極に接続されている。第4のトランジスタ124のソース電極は、低電源電位VSSが供給される配線に接続されている。
【0064】
また、第5のトランジスタ125の第1のゲート電極は、第5のトランジスタ125のソース電極に接続されている。第5のトランジスタ125の第2のゲート電極は、第5のトランジスタ125のドレイン電極及び高電源電位VDDが供給される配線に接続されている。第6のトランジスタ126のドレイン電極は、第5のトランジスタ125のソース電極及び第3のスイッチ117の第1端子に接続されている。第6のトランジスタ126のソース電極は、低電源電位VSSが供給される配線に接続されている。
【0065】
また、第7のトランジスタ127の第1のゲート電極は、第7のトランジスタ127のソース電極に接続されている。第7のトランジスタ127の第2のゲート電極は、第2のスイッチ116の第2端子に接続されている。第7のトランジスタ127のドレイン電極は、高電源電位VDDが供給される配線に接続されている。第8のトランジスタ128のゲート電極は、第3のスイッチ117の第2端子に接続されている。第8のトランジスタ128のドレイン電極は、第7のトランジスタ127のソース電極及び出力信号OUT1が供給される配線に接続されている。第8のトランジスタ128のソース電極は、低電源電位VSSが供給される配線に接続されている。
【0066】
なお図3(B)において第1のスイッチ115乃至第3のスイッチ117として機能するトランジスタは、nチャネル型のトランジスタであるとして説明を行う。具体的には、クロック信号CLKがHレベルのとき第2のスイッチ116及び第3のスイッチ117は導通状態となり、反転クロック信号CLKBがHレベルのとき第1のスイッチ115は導通状態となる。一方、クロック信号CLKがLレベルのとき第2のスイッチ116及び第3のスイッチ117は非導通状態となり、反転クロック信号CLKBがLレベルのとき第1のスイッチ115は非導通状態となる。
【0067】
第1のスイッチ115は、反転クロック信号CLKBが供給される配線の電位によって導通状態または非導通状態が制御される。また第2のスイッチ116は、クロック信号CLKが供給される配線の電位によって導通状態または非導通状態が制御される。また第3のスイッチ117は、クロック信号CLKが供給される配線の電位によって導通状態または非導通状態が制御される。
【0068】
図3(B)において、第1の論理回路111、第2の論理回路112及び第4の論理回路114は、図1(A)で説明した論理回路である。従って、トランジスタのしきい値電圧の制御を行いながら、第1のゲート電極の電位は変動させず、第2のゲート電極の電位のみを変動させることで、入力信号INに応じた信号を出力することが可能な論理回路を有するシフトレジスタ回路とすることできる。そして、ノーマリーオンとノーマリーオフとの切り替えの際の消費電力を低減することができる。
【0069】
次いで、図3(B)のパルス出力回路を具備するシフトレジスタ回路の動作について図4(A)、(B)を用いて説明する。なお図4(A)には、図3(B)におけるパルス出力回路の各ノードに符号を付した回路図を示しており、図4(B)には、シフトレジスタ回路のタイミングチャートを示している。
【0070】
図4(A)で各ノードに付した符号で、ノードAは第1のスイッチ115の第1端子に相当する。またノードBは、第1のスイッチ115の第2端子に相当する。またノードCは、第2のスイッチ116の第1端子に相当する。またノードDは、第2のスイッチ116の第2端子に相当する。またノードEは、第3のスイッチ117の第1端子に相当する。またノードFは、第3のスイッチ117の第2端子に相当する。
【0071】
図4(B)のタイミングチャートに示すように、クロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBが供給された状態で入力信号INを供給し、ノードAでは、第1の論理回路111により、入力信号INの波形の前半部分を切り欠いた形状の、タイミングチャートに示す波形の信号を得る。ノードBでは、図4(B)に示す波形の信号を得る。ノードCでは、第2の論理回路112により、ノードBの信号の波形の前半部分を切り欠いた形状の、タイミングチャートに示す波形の信号を得る。ノードDでは、図4(B)に示す波形の信号を得る。ノードEでは、第3の論理回路113により、ノードCの信号が反転した形状の、タイミングチャートに示す波形の信号を得る。ノードFでは、図4(B)に示す波形の信号を得る。そして出力信号OUT1は、第4の論理回路114により、入力信号INの波形からクロック信号CLKの1波長分シフトした形状の、タイミングチャートに示す波形の信号を得ることができる。なお、ノードDで得られる波形は出力信号OUT1の波形と同じであり、第3の論理回路113、第4の論理回路114、及び第3のスイッチ117を省略することが可能である。
【0072】
以上説明した本実施の形態のシフトレジスタ回路は、トランジスタのしきい値電圧の制御を行いながら、第1のゲート電極の電位は変動させず、第2のゲート電極の電位のみを変動させることで、入力信号INに応じた信号を出力することが可能な論理回路を有する。そして、ノーマリーオンとノーマリーオフとの切り替えの際の消費電力を低減することができる。
【0073】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0074】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したシフトレジスタ回路の上面図及び断面図、特に論理回路を構成する第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの上面図及び断面図について説明する。また本実施の形態で説明するシフトレジスタ回路を具備する表示装置は、液晶表示装置に適用することができる。なお他にも、有機EL等の発光素子を具備する表示装置に適用することができる。また、上記実施の形態で説明したシフトレジスタ回路は電気泳動素子を具備する電子ペーパーの駆動回路として適用することが可能である。なお、表示装置の駆動回路に限らず、光センサ用駆動回路等の他の装置にも適用可能である。
【0075】
図5は、上記実施の形態1の図1(A)で説明した第1のトランジスタ11及び第2のトランジスタ12で構成される論理回路10の上面図である。図6は、第1のトランジスタ11及び第2のトランジスタ12の断面図である。また、図6に示す第1のトランジスタ11及び第2のトランジスタ12の断面図は、図5に示す論理回路10の上面図における線分A−B、C−D、E−Fに対応している。なお本実施の形態においては特に半導体膜をシリコンで形成する際の薄膜トランジスタの形成方法の一例について説明する。
【0076】
まず、基板901に下地膜902を成膜する。次いで下地膜902上に導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程によりゲート電極層903A、903Bを形成する。
【0077】
基板901としては、ガラス基板、セラミック基板の他、耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。
【0078】
下地膜902は、基板901からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。
【0079】
ゲート電極層903A、903Bを形成する導電膜としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム、ニッケル等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層でまたは積層して形成することができる。
【0080】
次いで、ゲート電極層903A、903B上にゲート絶縁膜904を形成する。
【0081】
ゲート絶縁膜904は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層を単層で又は積層して形成することができる。
【0082】
なお、ここでは、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward scattering Spectrometry)を用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。ただし、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
【0083】
次いで、フォトリソグラフィ工程によりゲート絶縁膜904を選択的にエッチングしてゲート電極層903Bに達するコンタクトホールを形成する。
【0084】
次いで、ゲート絶縁膜904上に、半導体膜を形成する。半導体膜に適用可能な半導体としては、例えば元素周期表における第14族の元素(シリコンなど)を含有する半導体を用いることができる。例えば、シリコンの半導体膜は、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜、微結晶半導体膜、又は非晶質半導体膜であってもよい。なお図6の断面図においては、半導体膜として非晶質半導体膜を用いる例を挙げて説明することとする。
【0085】
なお、半導体膜に適用可能な半導体としては、In系酸化物(例えば酸化インジウムなど)、Sn系酸化物(例えば酸化スズなど)、又はZn系酸化物(例えば酸化亜鉛など)などの金属酸化物などの酸化物半導体を用いてもよい。
【0086】
次いで、半導体膜上に、不純物半導体膜を形成する。不純物半導体膜は、リンが添加された非晶質シリコン等で形成する。なお、トランジスタとして、pチャネル型トランジスタを形成する場合は、不純物半導体膜は、ボロンが添加された非晶質シリコン等で形成する。なお、半導体膜と、電極層906とがオーミックコンタクトをする場合は、不純物半導体膜を形成しなくともよい。
【0087】
次いで、半導体膜及び不純物半導体膜をフォトリソグラフィ工程により、島状の半導体膜905A、半導体膜905B、不純物半導体膜907に加工する。
【0088】
次いで、ゲート絶縁膜904、半導体膜905A、半導体膜905B、及び不純物半導体膜907上に、導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行って電極層906を形成する。導電膜としては、アルミニウム、銅、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデン、クロム、タンタル若しくはタングステン等により単層で、または積層して形成することができる。
【0089】
次いで、ゲート絶縁膜904、半導体膜905A、半導体膜905B、電極層906上に絶縁層908を形成する。絶縁層908は、少なくとも1nm以上の膜厚とし、ゲート絶縁膜904と同様に形成することができる。また、絶縁層908は、有機樹脂層を用いて形成することができる。有機樹脂層としては、例えばアクリル、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン系樹脂などを用いることができる。また、シロキサンポリマーを用いることができる。
【0090】
次いで、絶縁層908上に、導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行って、バックゲート電極層909を形成する。バックゲート電極層909となる導電膜は、電極層906と同様に形成することができる。また、バックゲート電極層909は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、または酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等を用いて形成することができる。
【0091】
以上の工程により、第1のトランジスタ11、第2のトランジスタ12を作製することができる。
【0092】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0093】
(実施の形態3)
本実施の形態では、同一基板上に、シフトレジスタ回路を具備する走査線駆動回路及び/または信号線駆動回路の一部と、画素部に配置するトランジスタとを設ける例について以下に説明する。
【0094】
アクティブマトリクス型表示装置のブロック図の一例を図7(A)に示す。表示装置の基板5300上には、画素部5301、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303、信号線駆動回路5304を有する。画素部5301には、複数の信号線が信号線駆動回路5304から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路5302、及び第2の走査線駆動回路5303から延伸して配置されている。なお走査線と信号線との交差領域には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に配置されている。また、表示装置の基板5300はFPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路5305(コントローラ、制御ICともいう)に接続されている。
【0095】
図7(A)では、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303、信号線駆動回路5304は、画素部5301と同じ基板5300上に形成される。そのため、外部に設ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板5300外部に駆動回路を設けた場合、配線を延伸させる必要が生じ、配線間の接続数が増える。同じ基板5300上に駆動回路を設けた場合、その配線間の接続数を減らすことができ、信頼性の向上、又は歩留まりの向上を図ることができる。
【0096】
なお、タイミング制御回路5305は、第1の走査線駆動回路5302に対し、一例として、第1の走査線駆動回路用スタート信号(GSP1)、走査線駆動回路用クロック信号(GCLK1)を供給する。また、タイミング制御回路5305は、第2の走査線駆動回路5303に対し、一例として、第2の走査線駆動回路用スタート信号(GSP2)(スタートパルスともいう)、走査線駆動回路用クロック信号(GCLK2)を供給する。信号線駆動回路5304に、信号線駆動回路用スタート信号(SSP)、信号線駆動回路用クロック信号(SCLK)、ビデオ信号用データ(DATA)(単にビデオ信号ともいう)、ラッチ信号(LAT)を供給するものとする。なお各クロック信号は、周期のずれた複数のクロック信号でもよいし、クロック信号を反転させた信号(CLKB)とともに供給されるものであってもよい。なお、第1の走査線駆動回路5302と第2の走査線駆動回路5303との一方を省略することが可能である。
【0097】
図7(B)では、駆動周波数が低い回路(例えば、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303)を画素部5301と同じ基板5300に形成し、信号線駆動回路5304を画素部5301とは別の基板に形成する構成について示している。当該構成により、単結晶半導体を用いたトランジスタと比較すると電界効果移動度が小さいトランジスタによって、基板5300に形成するシフトレジスタ回路を具備する駆動回路を構成することができる。したがって、表示装置の大型化、工程数の削減、コストの低減、又は歩留まりの向上などを図ることができる。
【0098】
本実施の形態で示す表示装置は、上記実施の形態で説明したシフトレジスタ回路を具備する走査線駆動回路及び/または信号線駆動回路を備えた表示装置である。従って本実施の形態で示す表示装置は、トランジスタのしきい値電圧の制御を行いながら、ゲート電極の電位は変動させず、バックゲート電極の電位のみを変動させることで、入力信号に応じた信号を出力することができる。
【0099】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0100】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示装置を、有機EL等の発光素子を具備する表示装置とする場合の、各画素が具備する発光素子の構成について説明する。
【0101】
図8は、トランジスタに接続された発光素子の断面構造の一形態について示したものである。発光素子は、第1電極511、発光層を有するEL層513、第2電極514が順に積層して設けられている。第1電極511または第2電極514の一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。発光素子は、陽極から注入される正孔及び陰極から注入される電子がEL層に含まれる発光層で再結合して、発光する。発光素子の第1電極511は、基板503上に形成されたトランジスタ501に接続する。また、トランジスタ501のソース電極またはドレイン電極及び第1電極511を覆うように隔壁502が設けられる。また、第1電極511上の隔壁502の開口部に、EL層513が設けられ、EL層513や隔壁502を覆うように第2電極514が設けられる。
【0102】
第1電極511または第2電極514は、金属、合金、または電気伝導性化合物を用いて形成する。
【0103】
例えば、第1電極511または第2電極514は、仕事関数の大きい(仕事関数が4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物などを用いることできる。代表的には、酸化インジウム−酸化スズ(Indium Tin Oxide)、シリコン若しくは酸化シリコンを含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等の透光性を有する導電性金属酸化物層がある。
【0104】
また、第1電極511または第2電極514は、仕事関数の小さい(代表的には、仕事関数が3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物などを用いることができる。代表的には、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウムやセシウム等のアルカリ金属、及びカルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム及びこれらを含む合金(アルミニウム、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムの合金)、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類金属及びこれらを含む合金等がある。
【0105】
アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びこれらを含む合金は、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成する。また、銀ペーストなどをインクジェット法により吐出し焼成して形成することも可能である。また、第1電極511及び第2電極514は、単層に限らず、積層して形成することもできる。
【0106】
なお、EL層513で発光する光を外部に取り出すため、第1電極511または第2電極514のいずれか一方或いは両方を、EL層513からの発光を透過するように形成する。第1電極511のみが透光性を有する電極である場合、光は、矢印方向500に示すように第1電極511を通って、信号線から入力されるビデオ信号に応じた輝度で基板503側から取り出される。また、第2電極514のみが透光性を有する電極である場合、光は第2電極514を通って信号線から入力されるビデオ信号に応じた輝度で封止基板516側から取り出される。第1電極511及び第2電極514がいずれも透光性を有する電極である場合、光は第1電極511及び第2電極514を通って、信号線から入力されるビデオ信号に応じた輝度で基板503側及び封止基板516側の両方から取り出される。
【0107】
透光性を有する電極は、例えば、透光性を有する導電性金属酸化物を用いて形成するか、或いは、銀、アルミニウム等を数nm乃至数十nmの厚さとなるように形成する。また、膜厚を薄くした銀、アルミニウムなどの金属層と、透光性を有する導電性金属酸化物層との積層構造とすることもできる。
【0108】
陽極として機能する第1電極511または第2電極514の一方は、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物などを用いることが好ましい。また、陰極として機能する第1電極511または第2電極514の他方は、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物などを用いることが好ましい。代表的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びこれらを含む合金や化合物、並びに希土類金属を含む遷移金属を用いて形成することができる。
【0109】
EL層513は、発光層を有する。また、EL層513は、発光層のほかに、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層を有してもよい。正孔輸送層は、陽極と発光層の間に設けられる。また、正孔注入層は陽極と発光層との間、或いは陽極と正孔輸送層との間に設けられる。一方、電子輸送層は、陰極と発光層との間に設けられる。電子注入層は陰極と発光層との間、或いは陰極と電子輸送層との間に設けられる。なお、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層は全ての層を設ける必要はなく、適宜求める機能等に応じて選択して設ければよい。
【0110】
発光層は発光性の物質を含む。発光性の物質としては、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0111】
発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層は、蒸着法、塗布法等により形成することができる。
【0112】
また、第2電極514及び隔壁502上にパッシベーション層515をスパッタリング法やCVD法により形成してもよい。パッシベーション層515を設けることで、外部から発光素子への水分や酸素の侵入による発光素子の劣化を低減することができる。さらには、パッシベーション層515及び封止基板516の空間に窒素を封入し、さらに乾燥剤を配置してもよい。または、パッシベーション層515及び封止基板516の間を、透光性を有し、且つ吸水性の高い有機樹脂で充填してもよい。
【0113】
発光素子が白色の発光を示す場合、カラーフィルター、または色変換層などを、基板503または封止基板516に設けることによってフルカラー表示を行なうことができる。
【0114】
本実施の形態で示す有機EL等の発光素子を具備する表示装置は、上記実施の形態で説明したシフトレジスタ回路を具備する走査線駆動回路及び/または信号線駆動回路を備えた表示装置である。従って本実施の形態で示す有機EL等の発光素子を具備する表示装置は、トランジスタのしきい値電圧の制御を行いながら、ゲート電極の電位は変動させず、バックゲート電極の電位のみを変動させることで、入力信号に応じた信号を出力することができる。
【0115】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0116】
(実施の形態5)
本実施形態においては、上記実施の形態で説明した表示装置を表示部に具備する電子機器の例について説明する。
【0117】
上記実施の形態の各々の図で述べた内容(一部でもよい)を様々な電子機器に適用することができる。具体的には、電子機器の表示部に適用することができる。そのような電子機器として、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0118】
図9(A)は、電子書籍の一例を示している。図9(A)に示す電子書籍は、筐体1700及び筐体1701の2つの筐体で構成されている。筐体1700及び筐体1701は、蝶番1704により一体になっており、開閉動作を行うことができる。このような構成により、書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0119】
筐体1700には表示部1702が組み込まれ、筐体1701には表示部1703が組み込まれている。表示部1702及び表示部1703は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図9(A)では表示部1702)に文章を表示し、左側の表示部(図9(A)では表示部1703)に画像を表示することができる。
【0120】
また、図9(A)では、筐体1700に操作部等を備えた例を示している。例えば、筐体1700は、電源入力端子1705、操作キー1706、スピーカ1707等を備えている。操作キー1706により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングディバイス等を備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能な端子等)、記録媒体挿入部等を備える構成としてもよい。さらに、図9(A)に示す電子書籍は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0121】
図9(B)は、本明細書に開示するEL表示装置を用いたデジタルフォトフレームの一例を示している。例えば、図9(B)に示すデジタルフォトフレームは、筐体1711に表示部1712が組み込まれている。表示部1712は、各種画像を表示することが可能であり、例えば、デジタルカメラ等で撮影した画像を表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0122】
なお、図9(B)に示すデジタルフォトフレームは、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブル等の各種ケーブルと接続可能な端子等)、記録媒体挿入部等を備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像を記憶したメモリを挿入して画像を取り込み、取り込んだ画像を表示部1712に表示させることができる。
【0123】
図9(C)は、EL表示装置を用いたテレビジョン装置の一例を示している。図9(C)に示すテレビジョン装置は、筐体1721に表示部1722が組み込まれている。表示部1722により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド1723により筐体1721を支持した構成を示している。表示部1722は、上記実施の形態に示したEL表示装置を適用することができる。
【0124】
図9(C)に示すテレビジョン装置の操作は、筐体1721が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。リモコン操作機が備える操作キーにより、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部1722に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0125】
図9(D)は、本明細書に開示するEL表示装置を用いた携帯電話機の一例を示している。図9(D)に示す携帯電話機は、筐体1731に組み込まれた表示部1732の他、操作ボタン1733、操作ボタン1737、外部接続ポート1734、スピーカ1735、及びマイク1736等を備えている。
【0126】
図9(D)に示す携帯電話機は、表示部1732がタッチパネルになっており、指等の接触により、表示部1732の表示内容を操作することができる。また、電話の発信、或いはメールの作成等は、表示部1732を指等で接触することにより行うことができる。
【0127】
本実施の形態で示す電子機器は、上記実施の形態で説明したシフトレジスタ回路を具備する表示装置を用いた電子機器である。従って本実施の形態で示す電子機器は、トランジスタのしきい値電圧の制御を行いながら、ゲート電極の電位は変動させず、バックゲート電極の電位のみを変動させることで、入力信号INに応じた信号を出力することができる。
【0128】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0129】
10 論理回路
11 第1のトランジスタ
12 第2のトランジスタ
13 配線
14 配線
15 配線
16 配線
17 配線
21 曲線
22 曲線
31 基板
32 ゲート電極
33 ゲート絶縁膜
34 半導体膜
35A ソース電極
35B ドレイン電極
36 層間絶縁膜
37 ゲート電極
100 シフトレジスタ回路
101 配線
102 配線
103 パルス出力回路
104 配線
111 第1の論理回路
112 第2の論理回路
113 第3の論理回路
114 第4の論理回路
115 第1のスイッチ
116 第2のスイッチ
117 第3のスイッチ
121 第1のトランジスタ
122 第2のトランジスタ
123 第3のトランジスタ
124 第4のトランジスタ
125 第5のトランジスタ
126 第6のトランジスタ
127 第7のトランジスタ
128 第8のトランジスタ
500 矢印方向
501 トランジスタ
502 隔壁
503 基板
511 電極
513 EL層
514 電極
515 パッシベーション層
516 封止基板
901 基板
902 下地膜
903A ゲート電極層
903B ゲート電極層
904 ゲート絶縁膜
905A 半導体膜
905B 半導体膜
906 電極層
907 不純物半導体膜
908 絶縁層
909 バックゲート電極層
1700 筐体
1701 筐体
1702 表示部
1703 表示部
1704 蝶番
1705 電源入力端子
1706 操作キー
1707 スピーカ
1711 筐体
1712 表示部
1721 筐体
1722 表示部
1723 スタンド
1731 筐体
1732 表示部
1733 操作ボタン
1734 外部接続ポート
1735 スピーカ
1736 マイク
1737 操作ボタン
5300 基板
5301 画素部
5302 第1の走査線駆動回路
5303 第2の走査線駆動回路
5304 信号線駆動回路
5305 タイミング制御回路
CLK クロック信号
CLKB 反転クロック信号
IN 入力信号
VDD 高電源電位
VSS 低電源電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ導電型の第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路、を含むシフトレジスタ回路を有し、
前記第1のトランジスタの第1のゲート電極は、前記第1のトランジスタのソース電極またはドレイン電極に電気的に接続され、
前記第1のトランジスタの第2のゲート電極は、入力信号が供給される配線に電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのゲート電極は、クロック信号が供給される配線に電気的に接続され、
前記第1のゲート電極と、前記ゲート電極とは、同じ層に設けられているシフトレジスタ回路。
【請求項2】
同じ導電型の第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路、を含むシフトレジスタ回路を有し、
前記第1のトランジスタは第1のゲート電極、前記第1のゲート電極上の第1の半導体膜、及び前記第1の半導体膜上の第2のゲート電極を有し、前記第1のゲート電極が第1のトランジスタのソース電極またはドレイン電極に電気的に接続するよう設けられ、
前記第1のトランジスタの前記第2のゲート電極は、入力信号が供給される配線に電気的に接続され、
前記第2のトランジスタは、ゲート電極、及び前記ゲート電極上の第2の半導体膜を有し、
前記第2のトランジスタの前記ゲート電極は、クロック信号が供給される配線に電気的に接続され、
前記第1のゲート電極と、前記ゲート電極とは、同じ層に設けられているシフトレジスタ回路。
【請求項3】
同じ導電型の第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有する論理回路、を含むシフトレジスタ回路を有し、
前記第1のトランジスタは第1のゲート電極、前記第1のゲート電極上のゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜上の第1の半導体膜、前記第1の半導体膜上のソース電極及びドレイン電極、前記ソース電極及び前記ドレイン電極上の層間絶縁膜、並びに前記層間絶縁膜上の第2のゲート電極を有し、前記第1のゲート電極が前記ソース電極または前記ドレイン電極に電気的に接続するよう設けられ、
前記第1のトランジスタの前記第2のゲート電極は、入力信号が供給される配線に電気的に接続され、
前記第2のトランジスタは、ゲート電極、前記ゲート電極上の前記ゲート絶縁膜、及び前記ゲート絶縁膜上の第2の半導体膜を有し、
前記第2のトランジスタの前記ゲート電極は、クロック信号が供給される配線に電気的に接続され、
前記第1のゲート電極と、前記ゲート電極とは、同じ層に設けられているシフトレジスタ回路。
【請求項4】
請求項3において、
前記ゲート絶縁膜の膜厚は、前記層間絶縁膜の膜厚より小さいシフトレジスタ回路。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一において、
前記第1の半導体膜及び前記第2の半導体膜は、同じ層に設けられているシフトレジスタ回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、nチャネル型のトランジスタであるシフトレジスタ回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載のシフトレジスタ回路を具備する表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の表示装置を具備する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−84333(P2013−84333A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−207695(P2012−207695)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】