シャッター装置
【課題】多大な時間と費用を要することなく、簡易に設置することが可能なシャッター装置を提供すること。
【解決手段】シャッター装置は、建物躯体の開口部に対応する開口部を有する枠体と、枠体の開口部を開閉するシャッターカーテンと、太陽光の入射方向を検知する第1のセンサ31と、互いに直交する3つの軸からなる直交座標系での方位を検知する第2のセンサ32と、を備えている。第1のセンサ31は、太陽光の入射領域を制限するための開口40が形成されたアパーチャ38と、光感応領域41を有すると共に該光感応領域41がアパーチャ38の開口40に対向するように配置された2次元位置検出素子39と、を有している。第1及び第2のセンサ31,32が所定の位置関係にて枠体に設けられており、シャッターカーテンの作動状態が第1及び第2のセンサ31,32からの出力に基づいて変更される。
【解決手段】シャッター装置は、建物躯体の開口部に対応する開口部を有する枠体と、枠体の開口部を開閉するシャッターカーテンと、太陽光の入射方向を検知する第1のセンサ31と、互いに直交する3つの軸からなる直交座標系での方位を検知する第2のセンサ32と、を備えている。第1のセンサ31は、太陽光の入射領域を制限するための開口40が形成されたアパーチャ38と、光感応領域41を有すると共に該光感応領域41がアパーチャ38の開口40に対向するように配置された2次元位置検出素子39と、を有している。第1及び第2のセンサ31,32が所定の位置関係にて枠体に設けられており、シャッターカーテンの作動状態が第1及び第2のセンサ31,32からの出力に基づいて変更される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッター装置として、太陽位置に基づいてスラットの昇降及び角度を自動制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のシャッター装置では、ディップスイッチにシャッター装置が設置される窓面の地球上の位置及び方位を設定し、所定の時間間隔で、窓面の緯度、経度、方位の設定値及び日時に基づいて窓面に対する太陽位置を計算し、太陽位置計算値に基づいてスラット角度を計算し、スラット角度計算値に基づいてスラット角度調整制御を行なっている。
【特許文献1】特開2006−161309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のシャッター装置を住居等の複数の窓にそれぞれ設置する際には、シャッター装置毎に各ディップスイッチを操作して窓面の地球上の位置及び方位を設定しなければならない。このため、各シャッター装置での窓面の地球上の位置及び方位の設定に手間が掛かり、また、設置作業に関する作業者への教育や作業者の熟練度が要求され、設置作業に多大な時間と費用を要する。
【0004】
本発明は、多大な時間と費用を要することなく、簡易に設置することが可能なシャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、建物躯体の開口部の屋外側に設けられるシャッター装置であって、建物躯体に取り付けられ、建物躯体の開口部に対応する開口部を有する枠体と、枠体の開口部を開閉するシャッターカーテンと、太陽光の入射方向を検知する第1のセンサと、方位を検知する第2のセンサと、を備え、第1のセンサは、太陽光の入射領域を制限するための開口が形成された部材と、光感応領域を有すると共に該光感応領域が部材の開口に対向するように配置された2次元位置検出素子と、を有しており、第1及び第2のセンサが所定の位置関係にて枠体に設けられており、シャッターカーテンの作動状態が第1及び第2のセンサからの出力に基づいて変更されることを特徴とする。
【0006】
本発明では、太陽光の入射方向を検知する第1のセンサと方位を検知する第2のセンサとが所定の位置関係にて枠体に設けられており、第1及び第2のセンサからの出力に基づいてシャッターカーテンの作動状態が変更されるので、シャッター装置を設置する際に、特許文献1に記載のシャッター装置のように、シャッター装置毎に各ディップスイッチを操作して地球上の位置や方位等を設定する必要はない。このため、多大な時間と費用を要することなく、シャッター装置を簡易に設置することができる。
【0007】
ところで、第1のセンサは、光感応領域が水平となるように配置されることが好ましい。光感応領域が水平となっていると、太陽光が、開口を通して光感応領域に適切に入射することとなり、2次元位置検出素子から、光感応領域に入射した太陽光の位置に基づく信号が安定して出力されることとなる。これにより、シャッターカーテンの作動状態を変更したいという要求が高い時間帯において、太陽光の入射方向をより一層精度良く検知することができる。
【0008】
しかしながら、シャッター装置を設置した際に、設置位置のばらつき等により、光感応領域が水平となるように第1のセンサが配置されないこともある。本発明では、第2のセンサが、互いに直交する3つの軸からなる直交座標系での方位を検知するので、光感応領域が水平となるように第1のセンサが配置されない場合でも、第1のセンサの出力を第2のセンサからの出力を用いて補正することで、光感応領域が水平となるように第1のセンサが配置されている場合と同様に、太陽光の入射方向を精度良く検知することができる。
【0009】
好ましくは、シャッターカーテンが、上下方向に併置された複数のスラットを有しており、複数のスラットが揺動自在であり、その作動状態として各スラットの角度が変更される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多大な時間と費用を要することなく、簡易に設置することが可能なシャッター装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0012】
図1を参照して、本実施形態に係るシャッター装置Sの構成を説明する。図1は、本実施形態に係るシャッター装置の概略構成を示す斜視図である。シャッター装置Sは、図1に示されるように、枠体1と、シャッターカーテン10と、駆動部20と、センサ部30と、制御部50とを備えている。シャッター装置Sは、建物躯体Bの窓W(開口部)の屋外側に設けられている。
【0013】
枠体1は、建物躯体Bに取り付けられており、上枠部3、下枠部5、及び、一対の縦枠部7を有している。各縦枠部7は、上枠部3及び下枠部5の対応する端部を連結するように配置されている。上枠部3は、巻き取られたシャッターカーテン10を収容する収容部(シャッターケース)として機能する。各縦枠部7は、シャッターカーテン10の左右両端部をガイドするガイドレールとして機能する。枠体1は、上枠部3、下枠部5、及び、一対の縦枠部7により画成される開口部9を有する。枠体1は、開口部9が窓Wに対応して位置するように、建物躯体Bに取り付けられている。
【0014】
シャッターカーテン10は、上下方向に併置され且つ一対の縦枠部7の間にわたるように伸びている複数のスラット11を有しており、枠体1の開口部9を開閉する。各スラット11は、揺動自在に支持されている。
【0015】
駆動部20は、シャッターカーテン10の作動状態を変更させる駆動手段であって、上枠部3内に設けられている。駆動部20は、シャッターカーテン10を巻き上げる及び繰り出すための巻取軸21と、巻取軸21を回転駆動する駆動モータ23等を有している。駆動部20は、シャッターカーテン10を巻き上げるあるいは繰り出すことにより、上記作動状態として、シャッターカーテン10の開閉範囲を変更させる。更に、駆動部20は、各スラット11を揺動させることにより、上記作動状態として、各スラット11の角度を変更させる。
【0016】
枠体1、シャッターカーテン10、及び駆動部20の構成及び動作は、当該技術分野では既知であり(例えば、特開2004−84387号公報、特開2006−132149号公報、特開2004−3251号公報、及び、特開2001−271574号公報等に記載されている。)、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0017】
センサ部30は、図1に示されるように、上枠部3内に設けられている。上枠部3には、センサ部30に太陽光が入射するように、開口4が形成されている。開口4は、太陽光を透過させる保護窓にて覆われていてもよい。
【0018】
センサ部30は、図2〜図4に示されるように、太陽光の入射状態(本実施形態では、太陽光の入射方向及び日射量)を検知するための第1のセンサ31と、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸、及びZ軸)からなる直交座標系での方位を検知する第2のセンサ32と、外気温を検知する第3のセンサ33と、回路基板34と、防水機能を有するハウジング35と、を有している。図2は、センサ部の構成を示す平面図である。図3は、センサ部の構成を説明するための模式図である。図4は、本実施形態に係るシャッター装置の制御システム系の構成を説明するためのブロック図である。
【0019】
ハウジング35には、開口35aが形成されていると共に、太陽光を透過させる保護窓36が開口35aを覆うように設けられている。第1のセンサ31と第2のセンサ32とは、回路基板34に配置された状態で、ハウジング35内に配置されている。ハウジング35には、回路基板34からの出力信号をセンサ部30の外部に取り出す、及び、センサ部30(第1のセンサ31、第2のセンサ32、第3のセンサ33、及び回路基板34)に電力を供給するための防水コネクタ37が設けられている。保護窓36は、ガラスやポリカーボネイト等により構成することができる。回路基板34には、信号処理部34aが設けられている。
【0020】
第1のセンサ31は、アパーチャ38と、2次元位置検出素子(2次元PSD)39とを有している。アパーチャ38は、ハウジング35の開口35aに対応するように、保護窓36におけるハウジング35の内側面に配置されている。アパーチャ38には、開口40が形成されており、この開口40により、太陽光の入射領域を制限される。
【0021】
2次元位置検出素子39は、光感応領域41を有しており、光感応領域41に入射したときの該光感応領域41上の2次元入射位置を検出する。すなわち、2次元位置検出素子39は、開口40を通して光感応領域41に入射する太陽光の位置、すなわち太陽光の入射位置に基づく信号を出力する。2次元位置検出素子39は、光感応領域41がアパーチャ38に平行且つ所定の間隔を有した状態でアパーチャ38に形成された開口40に対向するように、回路基板34の一方の主面上に配置されている。ここで、「太陽光」とは、太陽からの直接光のみならず、隣接する建築物等による反射光又は拡散光、雲による拡散光といった間接光も含む。
【0022】
2次元位置検出素子39の構成は、既知であり(例えば、特開平4−104019号公報等)、詳細な説明は省略するが、光感応領域41と、4つの信号取出電極とを有しており、光感応領域41に入射した光の二次元位置を、4つの信号取出電極(アノード電極)からの各出力電流に基づいて検知することができる。第1のセンサ31(2次元位置検出素子39)の各出力電流は、電流電圧変換部(図示せず)により電圧信号に変換されて、信号処理部34aに入力される。
【0023】
上記電流電圧変換部は、ゲインを切り換えられるように構成されており、信号処理部34aからの切り換え信号に基づいて、そのゲインが切り換えられる。具体的には、太陽光の入射角度が低い時間帯では、日射量自体が減少して、第1のセンサ31からの各出力電流が小さくなるため、ゲインを大きい値に切り換える。信号処理部34aからの切り換え信号の出力は、例えば、内蔵された時計による時刻に基づいて行うことができる。
【0024】
第2のセンサ32は、例えば、既知の3軸型の電子コンパス等を用いることができる。第2のセンサ32は、回路基板34の他方の主面上に配置されている。本実施形態では、図5の(a)及び(b)に示されるよう、2次元位置検出素子39と第2のセンサ32とは、2次元位置検出素子39のX軸及びY軸と第2のセンサ32のX軸及びY軸とが同軸であり且つ第2のセンサ32のZ軸が2次元位置検出素子39の光感応領域41と直交するように、配置されている。第2のセンサ32の出力信号は、信号処理部34aに入力される。第2のセンサ32は、3軸型の電子コンパス以外にも、2軸型の電子コンパスにて構成してもよく、また、複数の一軸型の電子コンパスにて構成してもよい。
【0025】
信号処理部34aは、マイクロコンピュータ等により構成され、第1のセンサ31からの出力に基づいて、太陽光の入射方向(仰角及び入射角)及び日射量を得る。太陽光の入射位置に基づいて太陽光の入射方向を得る手法は、既知であり(例えば、特開平4−104019号公報又は特開平6−123654号公報等)、図6及び図7を参照して、簡潔に説明する。
【0026】
開口40を通して2次元位置検出素子39(光感応領域41)に入射した太陽光の位置(x,y)は、4つの信号取出電極からの各出力電流Ix1,Ix2,Iy1,Iy2との関係において、それぞれ下記(1)式及び(2)式にて表される。ただし、光感応領域41の各辺の長さ(2次元位置検出素子39の受光面長)を「L」とする。
【0027】
【数1】
【0028】
仰角θは、上記位置(x,y)との関係において、下記(3)式にて表される。ここで、「d」は光感応領域41とアパーチャ38との間隔である。
【0029】
【数2】
【0030】
入射角φは、位置(x,y)との関係において、下記(4)〜(6)式にて表される。
【0031】
【数3】
【0032】
日射量は、各電圧信号を合算して得られた信号を、予め定められた特性に基づいて換算することにより演算することができる。ここで、予め定められた特性とは、例えば、CIE標準光源A(色温度2856K)による全放射照度の実測値から求められる特性であり、この場合、日射量は照度として表されることとなる。
【0033】
信号処理部34aは、上述した入射角φと第2のセンサ32の出力とに基づいて、太陽方位を得る。この太陽方位は、絶対方位上での太陽の位置(太陽光の入射方向)であり、2次元位置検出素子39(光感応領域41)における基準軸(例えば、Y軸)の絶対方位上における方位を第2のセンサ32の出力に基づいて求めておき、入射角φを絶対方位にて表すことにより得る。信号処理部34aは、上述したようにして得た太陽光の仰角及び太陽方位を、信号として出力する。ここでは、太陽方位の算出絶対方位を真北を0°として東、南、西回りに360°と定義する。
【0034】
信号処理部34aは、第3のセンサ33の出力に基づいて、外気温を演算し、外気温に関する信号を出力する。
【0035】
制御部50は、シャッターカーテン10の作動状態(本実施形態においては、スラット11の角度や、シャッターカーテン10の巻き上げ及び繰り出し等)を変更させるように駆動部20を制御する制御手段であって、マイクロコンピュータ等により構成されている。センサ部30の出力は制御部50に接続されており、制御部50には、太陽光の仰角に関する信号、太陽方位に関する信号、日射量に関する信号、及び外気温に関する信号が入力される。制御部50は、上枠部3内に設けられている。
【0036】
制御部50は、入力された太陽光の仰角に関する信号、太陽方位に関する信号、日射量に関する信号、及び外気温に関する信号に基づいてスラット11の角度を求め、スラット11の角度が求めた角度となるように、駆動部20(駆動モータ23)に制御信号を出力する。
【0037】
図8を参照して、センサ部30及び制御部50における処理動作について説明する。図8は、センサ部30及び制御部50における処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0038】
処理動作が開始すると、まず、センサ部30の信号処理部34aは、2次元位置検出素子39の出力から日射量(照度)を得て、日射量に関する信号を制御部50に出力する(S101)。
【0039】
制御部50は、センサ部30からの日射量に関する信号に基づいて、照度が100lx未満、100lux以上且つ1000lux未満、1000lux以上であるか否かを判断する(S103)。照度が100lux未満である場合、制御部50は、シャッターカーテン10を繰り出してシャッターカーテン10を閉じるように駆動部20に制御信号を出力する(S105)。
【0040】
照度が100lux以上且つ1000lux未満である場合、制御部50は、時刻情報を参照して、時刻が日出時刻から約1.5時間後であるか、又は、日没時刻の約1.5時間前であるかを判定する(S107)。日出時刻から約1.5時間以内、又は、日没時刻の約1.5時間以内である場合、S105に進み、制御部50はシャッターカーテン10を閉じるように駆動部20に制御信号を出力する。時刻が日出時刻から約1.5時間後である、又は、日没時刻の約1.5時間前である場合、制御部50は、シャッターカーテン10を巻き上げてシャッターカーテン10を開けるように駆動部20に信号を制御出力する(S109)。上述した日出及び日没時刻は、実際の日出及び日没時刻に限られず、使用者が適宜設定した時刻であってもよい。また、S103での判定に使用した100luxや1000lux等の照度も、使用者が適宜設定した照度であってもよい。
【0041】
次に、センサ部30の信号処理部34aは、2次元位置検出素子39の出力から太陽光の入射方向(仰角及び入射角)を得ると共に、第2のセンサ32の出力から絶対方位を得る(S111〜S115)。S111では、信号処理部34aは、太陽光の仰角に関する信号を制御部50に出力する。
【0042】
また、信号処理部34aは、2次元位置検出素子39からの太陽光の入射角及び第2のセンサ32からの絶対方位に基づいて、太陽方位を得て、太陽方位に関する信号を制御部50に出力する(S117)。このとき、信号処理部34aは、第2のセンサ32からの出力に基づいて、枠体1が向いている方位に関する信号も制御部50に出力する。
【0043】
また、信号処理部34aは、第3のセンサ33から外気温を得て、外気温に関する信号を制御部50に出力する(S119)。
【0044】
制御部50は、日射量に関する信号、太陽光の仰角に関する信号、太陽方位に関する信号、枠体1が向いている方位に関する信号、及び外気温に関する信号を得ると、これらの信号に基づいて、スラット11の角度を演算する(S121)。そして、制御部50は、演算したスラット11の角度となるように、駆動部20に制御信号を出力する(S123)。これにより、スラット11の角度が所望の角度に調整されることとなる。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、2次元位置検出素子39と第2のセンサ32とが所定の位置関係にて枠体1に設けられており、2次元位置検出素子39と第2のセンサ32からの出力に基づいてシャッターカーテン10の作動状態が変更されるので、シャッター装置Sを設置する際に、特許文献1に記載のシャッター装置のように、シャッター装置毎に各ディップスイッチを操作して地球上の位置や方位等を設定する必要はない。このため、多大な時間と費用を要することなく、シャッター装置Sを簡易に設置することができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0047】
上述した実施形態では、2次元位置検出素子39と第2のセンサ32との配置位置は、上述した実施形態での配置位置に限られない。
【0048】
例えば、図9の(a)及び(b)に示されるように、2次元位置検出素子39のZ軸と第2のセンサ32のZ軸とが同軸であり、2次元位置検出素子39のXY軸が第2のセンサ32のXY軸に対し所定角度(θxy)回転して配置されていてもよい。また、図10の(a)及び(b)に示されるように、2次元位置検出素子39が第2のセンサ32に対し、XY軸方向に所定距離(m,n)平行移動して配置されていてもよい。また、図11の(a)及び(b)に示されるように、2次元位置検出素子39が第2のセンサ32に対し、XY軸方向に所定距離(m,n)平行移動し且つ2次元位置検出素子39のXY軸が第2のセンサ32のXY軸に対し所定角度(θxy)回転して配置されていてもよい。
【0049】
図9〜図11に示された位置関係において、2次元位置検出素子39(光感応領域41)に入射した太陽光の位置(x,y,z)は、下記(7)式により補正される。
【数4】
【0050】
第2のセンサ32は、図12の(a)及び(b)に示されるように、回路基板34の一方の主面側に、一方の主面と第2のセンサ32のY軸が直交するように配置されていてもよい。もちろん、第2のセンサ32は、一方の主面と第2のセンサ32のX軸が直交するように配置されていてもよい。これらの場合、上記(7)式に角度90°分の補正を行えばよい。
【0051】
ところで、2次元位置検出素子39は、光感応領域41が水平となるように配置されることが好ましい。光感応領域41が水平となっていると、太陽光が、開口を通して光感応領域に適切に入射することとなり、2次元位置検出素子39から、光感応領域41に入射した太陽光の位置に基づく信号が安定して出力されることとなる。これにより、シャッターカーテン10の作動状態を変更したいという要求が高い時間帯(例えば、南中時刻±3〜4時間程度の範囲)、すなわち太陽の仰角の所望の範囲において、太陽光の入射方向をより一層精度良く検知することができる。
【0052】
しかしながら、シャッター装置Sを設置した際に、設置位置のばらつき等により、光感応領域41が水平となるように2次元位置検出素子39が配置されないこともある。本実施形態では、第2のセンサ32が、互いに直交する3つの軸からなる直交座標系での方位を検知するので、図13の(a)〜(c)に示されるように、光感応領域41が水平となるように2次元位置検出素子39が配置されない場合でも、2次元位置検出素子39の出力を第2のセンサ32からの出力を用いて補正することで、光感応領域41が水平となるように2次元位置検出素子39が配置されている場合と同様に、太陽光の入射方向を精度良く検知することができる。
【0053】
図13の(a)〜(c)に示されるように、Z軸が角度θxz傾いている場合、X軸方向での移動距離はm・sinθxzで表され、Z軸が角度θyz傾いている場合、Y軸方向での移動距離はn・sinθyzで表される。このため、2次元位置検出素子39(光感応領域41)に入射した太陽光の位置(x,y,z)は、下記(8)式により補正される。
【0054】
【数5】
【0055】
本実施形態においては、センサ部30が上枠部3内に設けられているが、これに限られない。例えば、センサ部30は、上枠部3上に設けられていてもよい。また、センサ部30は、上枠部3以外の、下枠部5や縦枠部7等に設けられていてもよい。
【0056】
制御部50は、日射量に関する信号、太陽光の仰角に関する信号、太陽方位に関する信号、枠体1が向いている方位に関する信号、及び外気温に関する信号に基づいて、シャッターカーテン10の停止位置を求め、シャッターカーテン10の停止位置が求めた位置となるように、駆動部20に制御信号を出力してもよい。この場合、シャッターカーテン10の開閉範囲が、自動的に調整されることとなる。
【0057】
アパーチャ38に形成された開口40の形状は、真円に限られることなく、楕円、矩形、星型、×形状等、重心が中心に位置する点対称な形状であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態に係るシャッター装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】センサ部の構成を示す平面図である。
【図3】センサ部の構成を説明するための模式図である。
【図4】本実施形態に係るシャッター装置の制御システム系の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】2次元位置検出素子と第2のセンサとの位置関係を示す図である。
【図6】太陽光の入射位置の算出原理を説明するための図である。
【図7】太陽光の仰角の算出原理を説明するための図である。
【図8】センサ部及び制御部における処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】2次元位置検出素子と第2のセンサとの位置関係を示す図である。
【図10】2次元位置検出素子と第2のセンサとの位置関係を示す図である。
【図11】2次元位置検出素子と第2のセンサとの位置関係を示す図である。
【図12】2次元位置検出素子と第2のセンサとの位置関係を示す図である。
【図13】光感応領域41が水平面から傾斜している場合における、太陽光の入射位置の算出原理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
1…枠体、9…開口部、10…シャッターカーテン、11…スラット、20…駆動部、23…駆動モータ、30…センサ部、31…第1のセンサ、32…第2のセンサ、34…回路基板、34a…信号処理部、38…アパーチャ、39…2次元位置検出素子、40…開口、41…光感応領域、50…制御部、B…建物躯体、S…シャッター装置、W…窓。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッター装置として、太陽位置に基づいてスラットの昇降及び角度を自動制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のシャッター装置では、ディップスイッチにシャッター装置が設置される窓面の地球上の位置及び方位を設定し、所定の時間間隔で、窓面の緯度、経度、方位の設定値及び日時に基づいて窓面に対する太陽位置を計算し、太陽位置計算値に基づいてスラット角度を計算し、スラット角度計算値に基づいてスラット角度調整制御を行なっている。
【特許文献1】特開2006−161309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のシャッター装置を住居等の複数の窓にそれぞれ設置する際には、シャッター装置毎に各ディップスイッチを操作して窓面の地球上の位置及び方位を設定しなければならない。このため、各シャッター装置での窓面の地球上の位置及び方位の設定に手間が掛かり、また、設置作業に関する作業者への教育や作業者の熟練度が要求され、設置作業に多大な時間と費用を要する。
【0004】
本発明は、多大な時間と費用を要することなく、簡易に設置することが可能なシャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、建物躯体の開口部の屋外側に設けられるシャッター装置であって、建物躯体に取り付けられ、建物躯体の開口部に対応する開口部を有する枠体と、枠体の開口部を開閉するシャッターカーテンと、太陽光の入射方向を検知する第1のセンサと、方位を検知する第2のセンサと、を備え、第1のセンサは、太陽光の入射領域を制限するための開口が形成された部材と、光感応領域を有すると共に該光感応領域が部材の開口に対向するように配置された2次元位置検出素子と、を有しており、第1及び第2のセンサが所定の位置関係にて枠体に設けられており、シャッターカーテンの作動状態が第1及び第2のセンサからの出力に基づいて変更されることを特徴とする。
【0006】
本発明では、太陽光の入射方向を検知する第1のセンサと方位を検知する第2のセンサとが所定の位置関係にて枠体に設けられており、第1及び第2のセンサからの出力に基づいてシャッターカーテンの作動状態が変更されるので、シャッター装置を設置する際に、特許文献1に記載のシャッター装置のように、シャッター装置毎に各ディップスイッチを操作して地球上の位置や方位等を設定する必要はない。このため、多大な時間と費用を要することなく、シャッター装置を簡易に設置することができる。
【0007】
ところで、第1のセンサは、光感応領域が水平となるように配置されることが好ましい。光感応領域が水平となっていると、太陽光が、開口を通して光感応領域に適切に入射することとなり、2次元位置検出素子から、光感応領域に入射した太陽光の位置に基づく信号が安定して出力されることとなる。これにより、シャッターカーテンの作動状態を変更したいという要求が高い時間帯において、太陽光の入射方向をより一層精度良く検知することができる。
【0008】
しかしながら、シャッター装置を設置した際に、設置位置のばらつき等により、光感応領域が水平となるように第1のセンサが配置されないこともある。本発明では、第2のセンサが、互いに直交する3つの軸からなる直交座標系での方位を検知するので、光感応領域が水平となるように第1のセンサが配置されない場合でも、第1のセンサの出力を第2のセンサからの出力を用いて補正することで、光感応領域が水平となるように第1のセンサが配置されている場合と同様に、太陽光の入射方向を精度良く検知することができる。
【0009】
好ましくは、シャッターカーテンが、上下方向に併置された複数のスラットを有しており、複数のスラットが揺動自在であり、その作動状態として各スラットの角度が変更される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多大な時間と費用を要することなく、簡易に設置することが可能なシャッター装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0012】
図1を参照して、本実施形態に係るシャッター装置Sの構成を説明する。図1は、本実施形態に係るシャッター装置の概略構成を示す斜視図である。シャッター装置Sは、図1に示されるように、枠体1と、シャッターカーテン10と、駆動部20と、センサ部30と、制御部50とを備えている。シャッター装置Sは、建物躯体Bの窓W(開口部)の屋外側に設けられている。
【0013】
枠体1は、建物躯体Bに取り付けられており、上枠部3、下枠部5、及び、一対の縦枠部7を有している。各縦枠部7は、上枠部3及び下枠部5の対応する端部を連結するように配置されている。上枠部3は、巻き取られたシャッターカーテン10を収容する収容部(シャッターケース)として機能する。各縦枠部7は、シャッターカーテン10の左右両端部をガイドするガイドレールとして機能する。枠体1は、上枠部3、下枠部5、及び、一対の縦枠部7により画成される開口部9を有する。枠体1は、開口部9が窓Wに対応して位置するように、建物躯体Bに取り付けられている。
【0014】
シャッターカーテン10は、上下方向に併置され且つ一対の縦枠部7の間にわたるように伸びている複数のスラット11を有しており、枠体1の開口部9を開閉する。各スラット11は、揺動自在に支持されている。
【0015】
駆動部20は、シャッターカーテン10の作動状態を変更させる駆動手段であって、上枠部3内に設けられている。駆動部20は、シャッターカーテン10を巻き上げる及び繰り出すための巻取軸21と、巻取軸21を回転駆動する駆動モータ23等を有している。駆動部20は、シャッターカーテン10を巻き上げるあるいは繰り出すことにより、上記作動状態として、シャッターカーテン10の開閉範囲を変更させる。更に、駆動部20は、各スラット11を揺動させることにより、上記作動状態として、各スラット11の角度を変更させる。
【0016】
枠体1、シャッターカーテン10、及び駆動部20の構成及び動作は、当該技術分野では既知であり(例えば、特開2004−84387号公報、特開2006−132149号公報、特開2004−3251号公報、及び、特開2001−271574号公報等に記載されている。)、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0017】
センサ部30は、図1に示されるように、上枠部3内に設けられている。上枠部3には、センサ部30に太陽光が入射するように、開口4が形成されている。開口4は、太陽光を透過させる保護窓にて覆われていてもよい。
【0018】
センサ部30は、図2〜図4に示されるように、太陽光の入射状態(本実施形態では、太陽光の入射方向及び日射量)を検知するための第1のセンサ31と、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸、及びZ軸)からなる直交座標系での方位を検知する第2のセンサ32と、外気温を検知する第3のセンサ33と、回路基板34と、防水機能を有するハウジング35と、を有している。図2は、センサ部の構成を示す平面図である。図3は、センサ部の構成を説明するための模式図である。図4は、本実施形態に係るシャッター装置の制御システム系の構成を説明するためのブロック図である。
【0019】
ハウジング35には、開口35aが形成されていると共に、太陽光を透過させる保護窓36が開口35aを覆うように設けられている。第1のセンサ31と第2のセンサ32とは、回路基板34に配置された状態で、ハウジング35内に配置されている。ハウジング35には、回路基板34からの出力信号をセンサ部30の外部に取り出す、及び、センサ部30(第1のセンサ31、第2のセンサ32、第3のセンサ33、及び回路基板34)に電力を供給するための防水コネクタ37が設けられている。保護窓36は、ガラスやポリカーボネイト等により構成することができる。回路基板34には、信号処理部34aが設けられている。
【0020】
第1のセンサ31は、アパーチャ38と、2次元位置検出素子(2次元PSD)39とを有している。アパーチャ38は、ハウジング35の開口35aに対応するように、保護窓36におけるハウジング35の内側面に配置されている。アパーチャ38には、開口40が形成されており、この開口40により、太陽光の入射領域を制限される。
【0021】
2次元位置検出素子39は、光感応領域41を有しており、光感応領域41に入射したときの該光感応領域41上の2次元入射位置を検出する。すなわち、2次元位置検出素子39は、開口40を通して光感応領域41に入射する太陽光の位置、すなわち太陽光の入射位置に基づく信号を出力する。2次元位置検出素子39は、光感応領域41がアパーチャ38に平行且つ所定の間隔を有した状態でアパーチャ38に形成された開口40に対向するように、回路基板34の一方の主面上に配置されている。ここで、「太陽光」とは、太陽からの直接光のみならず、隣接する建築物等による反射光又は拡散光、雲による拡散光といった間接光も含む。
【0022】
2次元位置検出素子39の構成は、既知であり(例えば、特開平4−104019号公報等)、詳細な説明は省略するが、光感応領域41と、4つの信号取出電極とを有しており、光感応領域41に入射した光の二次元位置を、4つの信号取出電極(アノード電極)からの各出力電流に基づいて検知することができる。第1のセンサ31(2次元位置検出素子39)の各出力電流は、電流電圧変換部(図示せず)により電圧信号に変換されて、信号処理部34aに入力される。
【0023】
上記電流電圧変換部は、ゲインを切り換えられるように構成されており、信号処理部34aからの切り換え信号に基づいて、そのゲインが切り換えられる。具体的には、太陽光の入射角度が低い時間帯では、日射量自体が減少して、第1のセンサ31からの各出力電流が小さくなるため、ゲインを大きい値に切り換える。信号処理部34aからの切り換え信号の出力は、例えば、内蔵された時計による時刻に基づいて行うことができる。
【0024】
第2のセンサ32は、例えば、既知の3軸型の電子コンパス等を用いることができる。第2のセンサ32は、回路基板34の他方の主面上に配置されている。本実施形態では、図5の(a)及び(b)に示されるよう、2次元位置検出素子39と第2のセンサ32とは、2次元位置検出素子39のX軸及びY軸と第2のセンサ32のX軸及びY軸とが同軸であり且つ第2のセンサ32のZ軸が2次元位置検出素子39の光感応領域41と直交するように、配置されている。第2のセンサ32の出力信号は、信号処理部34aに入力される。第2のセンサ32は、3軸型の電子コンパス以外にも、2軸型の電子コンパスにて構成してもよく、また、複数の一軸型の電子コンパスにて構成してもよい。
【0025】
信号処理部34aは、マイクロコンピュータ等により構成され、第1のセンサ31からの出力に基づいて、太陽光の入射方向(仰角及び入射角)及び日射量を得る。太陽光の入射位置に基づいて太陽光の入射方向を得る手法は、既知であり(例えば、特開平4−104019号公報又は特開平6−123654号公報等)、図6及び図7を参照して、簡潔に説明する。
【0026】
開口40を通して2次元位置検出素子39(光感応領域41)に入射した太陽光の位置(x,y)は、4つの信号取出電極からの各出力電流Ix1,Ix2,Iy1,Iy2との関係において、それぞれ下記(1)式及び(2)式にて表される。ただし、光感応領域41の各辺の長さ(2次元位置検出素子39の受光面長)を「L」とする。
【0027】
【数1】
【0028】
仰角θは、上記位置(x,y)との関係において、下記(3)式にて表される。ここで、「d」は光感応領域41とアパーチャ38との間隔である。
【0029】
【数2】
【0030】
入射角φは、位置(x,y)との関係において、下記(4)〜(6)式にて表される。
【0031】
【数3】
【0032】
日射量は、各電圧信号を合算して得られた信号を、予め定められた特性に基づいて換算することにより演算することができる。ここで、予め定められた特性とは、例えば、CIE標準光源A(色温度2856K)による全放射照度の実測値から求められる特性であり、この場合、日射量は照度として表されることとなる。
【0033】
信号処理部34aは、上述した入射角φと第2のセンサ32の出力とに基づいて、太陽方位を得る。この太陽方位は、絶対方位上での太陽の位置(太陽光の入射方向)であり、2次元位置検出素子39(光感応領域41)における基準軸(例えば、Y軸)の絶対方位上における方位を第2のセンサ32の出力に基づいて求めておき、入射角φを絶対方位にて表すことにより得る。信号処理部34aは、上述したようにして得た太陽光の仰角及び太陽方位を、信号として出力する。ここでは、太陽方位の算出絶対方位を真北を0°として東、南、西回りに360°と定義する。
【0034】
信号処理部34aは、第3のセンサ33の出力に基づいて、外気温を演算し、外気温に関する信号を出力する。
【0035】
制御部50は、シャッターカーテン10の作動状態(本実施形態においては、スラット11の角度や、シャッターカーテン10の巻き上げ及び繰り出し等)を変更させるように駆動部20を制御する制御手段であって、マイクロコンピュータ等により構成されている。センサ部30の出力は制御部50に接続されており、制御部50には、太陽光の仰角に関する信号、太陽方位に関する信号、日射量に関する信号、及び外気温に関する信号が入力される。制御部50は、上枠部3内に設けられている。
【0036】
制御部50は、入力された太陽光の仰角に関する信号、太陽方位に関する信号、日射量に関する信号、及び外気温に関する信号に基づいてスラット11の角度を求め、スラット11の角度が求めた角度となるように、駆動部20(駆動モータ23)に制御信号を出力する。
【0037】
図8を参照して、センサ部30及び制御部50における処理動作について説明する。図8は、センサ部30及び制御部50における処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0038】
処理動作が開始すると、まず、センサ部30の信号処理部34aは、2次元位置検出素子39の出力から日射量(照度)を得て、日射量に関する信号を制御部50に出力する(S101)。
【0039】
制御部50は、センサ部30からの日射量に関する信号に基づいて、照度が100lx未満、100lux以上且つ1000lux未満、1000lux以上であるか否かを判断する(S103)。照度が100lux未満である場合、制御部50は、シャッターカーテン10を繰り出してシャッターカーテン10を閉じるように駆動部20に制御信号を出力する(S105)。
【0040】
照度が100lux以上且つ1000lux未満である場合、制御部50は、時刻情報を参照して、時刻が日出時刻から約1.5時間後であるか、又は、日没時刻の約1.5時間前であるかを判定する(S107)。日出時刻から約1.5時間以内、又は、日没時刻の約1.5時間以内である場合、S105に進み、制御部50はシャッターカーテン10を閉じるように駆動部20に制御信号を出力する。時刻が日出時刻から約1.5時間後である、又は、日没時刻の約1.5時間前である場合、制御部50は、シャッターカーテン10を巻き上げてシャッターカーテン10を開けるように駆動部20に信号を制御出力する(S109)。上述した日出及び日没時刻は、実際の日出及び日没時刻に限られず、使用者が適宜設定した時刻であってもよい。また、S103での判定に使用した100luxや1000lux等の照度も、使用者が適宜設定した照度であってもよい。
【0041】
次に、センサ部30の信号処理部34aは、2次元位置検出素子39の出力から太陽光の入射方向(仰角及び入射角)を得ると共に、第2のセンサ32の出力から絶対方位を得る(S111〜S115)。S111では、信号処理部34aは、太陽光の仰角に関する信号を制御部50に出力する。
【0042】
また、信号処理部34aは、2次元位置検出素子39からの太陽光の入射角及び第2のセンサ32からの絶対方位に基づいて、太陽方位を得て、太陽方位に関する信号を制御部50に出力する(S117)。このとき、信号処理部34aは、第2のセンサ32からの出力に基づいて、枠体1が向いている方位に関する信号も制御部50に出力する。
【0043】
また、信号処理部34aは、第3のセンサ33から外気温を得て、外気温に関する信号を制御部50に出力する(S119)。
【0044】
制御部50は、日射量に関する信号、太陽光の仰角に関する信号、太陽方位に関する信号、枠体1が向いている方位に関する信号、及び外気温に関する信号を得ると、これらの信号に基づいて、スラット11の角度を演算する(S121)。そして、制御部50は、演算したスラット11の角度となるように、駆動部20に制御信号を出力する(S123)。これにより、スラット11の角度が所望の角度に調整されることとなる。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、2次元位置検出素子39と第2のセンサ32とが所定の位置関係にて枠体1に設けられており、2次元位置検出素子39と第2のセンサ32からの出力に基づいてシャッターカーテン10の作動状態が変更されるので、シャッター装置Sを設置する際に、特許文献1に記載のシャッター装置のように、シャッター装置毎に各ディップスイッチを操作して地球上の位置や方位等を設定する必要はない。このため、多大な時間と費用を要することなく、シャッター装置Sを簡易に設置することができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0047】
上述した実施形態では、2次元位置検出素子39と第2のセンサ32との配置位置は、上述した実施形態での配置位置に限られない。
【0048】
例えば、図9の(a)及び(b)に示されるように、2次元位置検出素子39のZ軸と第2のセンサ32のZ軸とが同軸であり、2次元位置検出素子39のXY軸が第2のセンサ32のXY軸に対し所定角度(θxy)回転して配置されていてもよい。また、図10の(a)及び(b)に示されるように、2次元位置検出素子39が第2のセンサ32に対し、XY軸方向に所定距離(m,n)平行移動して配置されていてもよい。また、図11の(a)及び(b)に示されるように、2次元位置検出素子39が第2のセンサ32に対し、XY軸方向に所定距離(m,n)平行移動し且つ2次元位置検出素子39のXY軸が第2のセンサ32のXY軸に対し所定角度(θxy)回転して配置されていてもよい。
【0049】
図9〜図11に示された位置関係において、2次元位置検出素子39(光感応領域41)に入射した太陽光の位置(x,y,z)は、下記(7)式により補正される。
【数4】
【0050】
第2のセンサ32は、図12の(a)及び(b)に示されるように、回路基板34の一方の主面側に、一方の主面と第2のセンサ32のY軸が直交するように配置されていてもよい。もちろん、第2のセンサ32は、一方の主面と第2のセンサ32のX軸が直交するように配置されていてもよい。これらの場合、上記(7)式に角度90°分の補正を行えばよい。
【0051】
ところで、2次元位置検出素子39は、光感応領域41が水平となるように配置されることが好ましい。光感応領域41が水平となっていると、太陽光が、開口を通して光感応領域に適切に入射することとなり、2次元位置検出素子39から、光感応領域41に入射した太陽光の位置に基づく信号が安定して出力されることとなる。これにより、シャッターカーテン10の作動状態を変更したいという要求が高い時間帯(例えば、南中時刻±3〜4時間程度の範囲)、すなわち太陽の仰角の所望の範囲において、太陽光の入射方向をより一層精度良く検知することができる。
【0052】
しかしながら、シャッター装置Sを設置した際に、設置位置のばらつき等により、光感応領域41が水平となるように2次元位置検出素子39が配置されないこともある。本実施形態では、第2のセンサ32が、互いに直交する3つの軸からなる直交座標系での方位を検知するので、図13の(a)〜(c)に示されるように、光感応領域41が水平となるように2次元位置検出素子39が配置されない場合でも、2次元位置検出素子39の出力を第2のセンサ32からの出力を用いて補正することで、光感応領域41が水平となるように2次元位置検出素子39が配置されている場合と同様に、太陽光の入射方向を精度良く検知することができる。
【0053】
図13の(a)〜(c)に示されるように、Z軸が角度θxz傾いている場合、X軸方向での移動距離はm・sinθxzで表され、Z軸が角度θyz傾いている場合、Y軸方向での移動距離はn・sinθyzで表される。このため、2次元位置検出素子39(光感応領域41)に入射した太陽光の位置(x,y,z)は、下記(8)式により補正される。
【0054】
【数5】
【0055】
本実施形態においては、センサ部30が上枠部3内に設けられているが、これに限られない。例えば、センサ部30は、上枠部3上に設けられていてもよい。また、センサ部30は、上枠部3以外の、下枠部5や縦枠部7等に設けられていてもよい。
【0056】
制御部50は、日射量に関する信号、太陽光の仰角に関する信号、太陽方位に関する信号、枠体1が向いている方位に関する信号、及び外気温に関する信号に基づいて、シャッターカーテン10の停止位置を求め、シャッターカーテン10の停止位置が求めた位置となるように、駆動部20に制御信号を出力してもよい。この場合、シャッターカーテン10の開閉範囲が、自動的に調整されることとなる。
【0057】
アパーチャ38に形成された開口40の形状は、真円に限られることなく、楕円、矩形、星型、×形状等、重心が中心に位置する点対称な形状であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態に係るシャッター装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】センサ部の構成を示す平面図である。
【図3】センサ部の構成を説明するための模式図である。
【図4】本実施形態に係るシャッター装置の制御システム系の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】2次元位置検出素子と第2のセンサとの位置関係を示す図である。
【図6】太陽光の入射位置の算出原理を説明するための図である。
【図7】太陽光の仰角の算出原理を説明するための図である。
【図8】センサ部及び制御部における処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】2次元位置検出素子と第2のセンサとの位置関係を示す図である。
【図10】2次元位置検出素子と第2のセンサとの位置関係を示す図である。
【図11】2次元位置検出素子と第2のセンサとの位置関係を示す図である。
【図12】2次元位置検出素子と第2のセンサとの位置関係を示す図である。
【図13】光感応領域41が水平面から傾斜している場合における、太陽光の入射位置の算出原理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
1…枠体、9…開口部、10…シャッターカーテン、11…スラット、20…駆動部、23…駆動モータ、30…センサ部、31…第1のセンサ、32…第2のセンサ、34…回路基板、34a…信号処理部、38…アパーチャ、39…2次元位置検出素子、40…開口、41…光感応領域、50…制御部、B…建物躯体、S…シャッター装置、W…窓。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部の屋外側に設けられるシャッター装置であって、
建物躯体に取り付けられ、建物躯体の開口部に対応する開口部を有する枠体と、
前記枠体の前記開口部を開閉するシャッターカーテンと、
太陽光の入射方向を検知する第1のセンサと、
互いに直交する3つの軸からなる直交座標系での方位を検知する第2のセンサと、を備え、
前記第1のセンサは、太陽光の入射領域を制限するための開口が形成された部材と、光感応領域を有すると共に該光感応領域が前記部材の前記開口に対向するように配置された2次元位置検出素子と、を有しており、
前記第1及び第2のセンサが所定の位置関係にて前記枠体に設けられており、前記シャッターカーテンの作動状態が前記第1及び第2のセンサからの出力に基づいて変更されることを特徴とするシャッター装置。
【請求項2】
前記シャッターカーテンが、上下方向に併置された複数のスラットを有しており、
前記複数のスラットが揺動自在であり、前記作動状態として前記各スラットの角度が変更されることを特徴とする請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項1】
建物躯体の開口部の屋外側に設けられるシャッター装置であって、
建物躯体に取り付けられ、建物躯体の開口部に対応する開口部を有する枠体と、
前記枠体の前記開口部を開閉するシャッターカーテンと、
太陽光の入射方向を検知する第1のセンサと、
互いに直交する3つの軸からなる直交座標系での方位を検知する第2のセンサと、を備え、
前記第1のセンサは、太陽光の入射領域を制限するための開口が形成された部材と、光感応領域を有すると共に該光感応領域が前記部材の前記開口に対向するように配置された2次元位置検出素子と、を有しており、
前記第1及び第2のセンサが所定の位置関係にて前記枠体に設けられており、前記シャッターカーテンの作動状態が前記第1及び第2のセンサからの出力に基づいて変更されることを特徴とするシャッター装置。
【請求項2】
前記シャッターカーテンが、上下方向に併置された複数のスラットを有しており、
前記複数のスラットが揺動自在であり、前記作動状態として前記各スラットの角度が変更されることを特徴とする請求項1に記載のシャッター装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−77719(P2010−77719A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248619(P2008−248619)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
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