シリンダ錠の保護装置
【課題】閉塞位置にあるシャッターのロック解除の操作性を向上させて容易且つスムーズにロック解除を行わせることができるとともに、適用される車両の形態に応じて最適な操作が可能な位置にアクセススイッチを配設することができるシリンダ錠の保護装置を提供する。
【解決手段】シャッター２と、閉塞位置にあるシャッター２をロックするソレノイドと、トランスポンダと、認証コードを受信可能なアンテナと、その認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段と、認証を開始させるアクセススイッチ４とを具備し、正規の認証コードが受信された場合に限りソレノイドによるロックを解除し、シャッター２を開放位置まで移動可能な状態とするシリンダ錠の保護装置であって、アクセススイッチの操作手段４は、ハウジング１の外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされている。
【解決手段】シャッター２と、閉塞位置にあるシャッター２をロックするソレノイドと、トランスポンダと、認証コードを受信可能なアンテナと、その認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段と、認証を開始させるアクセススイッチ４とを具備し、正規の認証コードが受信された場合に限りソレノイドによるロックを解除し、シャッター２を開放位置まで移動可能な状態とするシリンダ錠の保護装置であって、アクセススイッチの操作手段４は、ハウジング１の外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、二輪車などが具備するシリンダ錠の破壊等を防止し得るシリンダ錠の保護装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、第三者によるはさみやドライバ等のキー孔への差し込みで二輪車などのシリンダ錠がいたずらされて破壊されるのを防止するために、例えば特許文献１で開示されたようなシリンダ錠の保護装置が提案されている。かかる保護装置は、キー孔を閉状態とする閉塞位置から当該キー孔を開状態とする開放位置まで摺動可能なシャッターと、該シャッターを開放位置と閉塞位置との間で摺動自在に保持するハウジングと、シャッターを閉塞位置に保持することによりキー孔を閉塞して施錠するマグネット錠と、磁石の磁気によりマグネット錠を解錠するマグネットキーを具備していた。
【０００３】
上記シリンダ錠の保護装置によれば、ハウジングから突出したシャッターの一部を当該ハウジング内に押し込む操作を行うことによりキー孔を閉塞しつつ、その位置でマグネット錠にて施錠することができる。即ち、シャッターを閉塞位置とするための操作部が形成されており、運転者が当該操作部を操作することによってシャッターを閉塞位置とし、キー孔を覆ってシリンダ錠を保護し得る構成とされているのである。
【特許文献１】特開平１１−４４１３２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記従来のシリンダ錠の保護装置においては、閉塞位置にあるシャッターを開放位置まで動作させるには、マグネットキーをマグネット錠に挿通させつつ操作して当該マグネット錠を解錠する必要があり、操作が面倒であるという問題があった。特に、夜間等の暗闇においては、マグネットキーをマグネット錠に挿通させる動作に困難性が生じてしまうという問題があった。
【０００５】
本出願人は、上記問題を解決すべく、認証コードを送信可能な送信手段と、該送信手段が近接されることにより当該送信手段からの認証コードを非接触にて受信可能な受信手段と、該受信手段にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段とを具備し、当該認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、シャッターを閉塞位置に保つロック手段によるロックを解除し、当該シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするシリンダ錠の保護装置を検討するに至った。
【０００６】
然るに、上記の如きシリンダ錠の保護装置においては、認証手段による認証を開始させるアクセススイッチが実用上必要となるが、かかるアクセススイッチの操作手段は認証の都度、操作が必要とされることから、その操作性の良否は重要な問題となる。即ち、適用される車両の形態（二輪車、雪上車或いはＡＴＶ等の種々形態）によって最適な操作を可能とするアクセススイッチの操作手段の配設位置が異なるので、例えば保護装置の筐体であるハウジングに当該アクセススイッチの操作手段を形成した場合、当該アクセススイッチの操作手段のみを任意位置に配設することができず、操作性が悪くなってしまう可能性がある。
【０００７】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、閉塞位置にあるシャッターのロック解除の操作性を向上させて容易且つスムーズにロック解除を行わせることができるとともに、適用される車両の形態に応じて最適な操作が可能な位置にアクセススイッチの操作手段を配設することができるシリンダ錠の保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
請求項１記載の発明は、車両におけるシリンダ錠のキー孔の上方に設けられたハウジングと、該ハウジング内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、閉塞位置で前記キー孔を塞ぐとともに開放位置で当該キー孔を開放するシャッターと、閉塞位置にある前記シャッターをロックして開放位置への移動を規制するロック手段と、運転者が携帯可能とされ、認証コードを送信可能な送信手段と、該送信手段が近接されることにより当該送信手段からの認証コードを非接触にて受信可能な受信手段と、該受信手段にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段と、前記認証手段による認証を開始させるアクセススイッチの操作手段とを具備し、当該認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、前記ロック手段によるロックを解除し、シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするシリンダ錠の保護装置であって、前記アクセススイッチの操作手段は、前記ハウジングの外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされたことを特徴とする。
【０００９】
請求項２記載の発明は、請求項１記載のシリンダ錠の保護装置において、前記アクセススイッチの操作手段は、車両のハンドルバーに固定されたハンドルスイッチケースに配設されたことを特徴とする。
【００１０】
請求項３記載の発明は、請求項２記載のシリンダ錠の保護装置において、前記アクセススイッチの操作手段は、前記ハンドルスイッチケースに形成されて車両が具備する所定電装品を操作するための操作スイッチの操作手段と兼用されたことを特徴とする。
【００１１】
請求項４記載の発明は、請求項３記載のシリンダ錠の保護装置において、前記操作スイッチの操作手段は、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段、又は車両のシフトアップ又はシフトダウンを制御するためのモードスイッチの操作手段から成ることを特徴とする。
【００１２】
請求項５記載の発明は、請求項３又は請求項４記載のシリンダ錠の保護装置において、前記操作スイッチは、操作により微弱な電気信号を送信し得るとともに防水が施されたマイクロスイッチから成ることを特徴とする。
【００１３】
請求項６記載の発明は、請求項１記載のシリンダ錠の保護装置において、前記アクセススイッチは、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバーの操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ若しくはクラッチスイッチ、運転者の足で操作するフットブレーキのブレーキスイッチ、又は車両が具備するスタンドを上げることによりスイッチング可能なスイッチを兼用させて成ることを特徴とする。
【００１４】
請求項７記載の発明は、請求項１記載のシリンダ錠の保護装置において、前記アクセススイッチの操作手段は、前記キー孔近傍の位置に配設されたことを特徴とする。
【００１５】
請求項８記載の発明は、請求項１〜７の何れか１つに記載のシリンダ錠の保護装置において、前記送信手段は、イグニッションキーの把持部に内蔵されたトランスポンダから成るとともに、前記認証コードは、車両固有のＩＤコードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１６】
請求項１の発明によれば、送信手段を受信手段に近接させることにより認証手段による認証が行われた後、正規の認証コードを受信したことを条件としてロック手段によるロックが解除され、シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするので、閉塞位置にあるシャッターを開放位置まで動作させる際、当該シャッターのロック解除の操作性を向上させて容易且つスムーズにロック解除を行わせることができる。
【００１７】
また、送信手段を受信手段に近接させることにより認証手段による認証を行わせ、ロック手段によるロックを解除可能としたので、不用意なロック解除を回避することができる。即ち、ロックの解除を行わせるためには、運転者が意識して送信手段を受信手段に近接させる動作が必要であることから、意図しないで不用意にロックが解除されてしまうのを防止することができるのである。
【００１８】
更に、アクセススイッチの操作手段は、ハウジングの外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされたので、適用される車両の形態に応じて最適な操作が可能な位置に当該アクセススイッチの操作手段を配設することができる。
【００１９】
請求項２の発明によれば、アクセススイッチの操作手段は、車両のハンドルバーに固定されたハンドルスイッチケースに配設されたので、当該ハンドルスイッチケースに形成された種々操作スイッチと略同様の操作性が得られ、操作性をより向上させることができる。
【００２０】
請求項３の発明によれば、アクセススイッチの操作手段は、ハンドルスイッチケースに形成されて車両が具備する所定電装品を操作するための操作スイッチの操作手段と兼用されたので、当該ハンドルスイッチケースに対して別個新たにアクセススイッチの操作手段を設けるものに比べ、ハンドルスイッチケースの大型化及び部品点数の増加を回避することができる。
【００２１】
請求項４の発明によれば、操作スイッチの操作手段は、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段、又は車両のシフトアップ又はシフトダウンを制御するためのモードスイッチの操作手段から成るので、当該スタータスイッチの操作手段又はモードスイッチの操作手段とアクセススイッチの操作手段とを兼用させることができる。特に、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段をアクセススイッチの操作手段と兼用させれば、エンジン始動操作とアクセススイッチの操作手段の操作とを同時に行わせることができ、操作性を更に向上させることができる。
【００２２】
請求項５の発明によれば、操作スイッチは、操作により微弱な電気信号を送信し得るとともに防水が施されたマイクロスイッチから成るので、その操作スイッチとアクセススイッチとを兼用させることにより、当該アクセススイッチの防水を別途図ることが不要となる。
【００２３】
請求項６の発明によれば、アクセススイッチは、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバーの操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ若しくはクラッチスイッチ、運転者の足で操作するフットブレーキのブレーキスイッチ、又は車両が具備するスタンドを上げることによりスイッチング可能なスイッチを兼用させて成るので、操作レバー、フットブレーキ又はスタンドをアクセススイッチの操作手段として兼用させることができる。特に、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバーの操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチをアクセススイッチと兼用させれば、エンジン始動操作の際の安全動作（ブレーキ操作を行うことによりエンジン始動時の不用意な車両の発進の回避動作）とアクセススイッチの操作手段の操作とを同時に行わせることができ、操作性を更に向上させることができる。
【００２４】
請求項７の発明によれば、アクセススイッチの操作手段は、キー孔近傍の位置に配設されたので、ハウジングの近傍に位置することとなり、当該アクセススイッチの操作手段を操作することによる認証開始がなされた後、シャッターが開放位置まで移動してキー孔に車両のキーを挿通するまでの動作をスムーズに行わせることができる。
【００２５】
請求項８の発明によれば、送信手段は、イグニッションキーの把持部に内蔵されたトランスポンダから成るとともに、認証コードは、車両固有のＩＤコードであるので、トランスポンダから受信手段に対して車両固有のＩＤコードを送信し、そのＩＤコードが正規のものである場合に限りエンジン始動を許可するイモビライザシステムのＩＤコードと認証コードとを共用させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第１の実施形態に係るシリンダ錠の保護装置は、スクータ等の二輪車が具備するシリンダ錠のキー孔上方に設けられ、当該キー孔を外側から開閉可能とすることによりシリンダ錠を保護し得るもので、図１〜図９で示すように、ハウジング１と、シャッター２と、ロック手段としてのソレノイド３と、アクセススイッチの操作手段４と、付勢手段としてのコイルスプリング５と、送信手段としてのトランスポンダ６と、受信手段としてのアンテナ７と、認証手段８とから主に構成されている。
【００２７】
ハウジング１は、シリンダ錠Ｓのキー孔Ａの上方に設けられたもので、本保護装置の筐体を成すものである。このハウジング１には、略中央にキー孔Ａを外部に臨ませる貫通孔１ａが形成されるとともに、シャッター２を摺動自在に収容させる収容部１ｂが形成されている。尚、シリンダ錠Ｓを構成するシリンダボディ内には、複数のタンブラ（不図示）を内在したロータＲが配設されるとともに、キー孔Ａが形成されてイグニッションキーＩＫ（図８参照）を抜き差しし得るよう構成されている。
【００２８】
シャッター２は、ハウジング１内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、閉塞位置（図１０〜１２参照）でキー孔Ａを塞ぐとともに開放位置（図４〜６）で当該キー孔Ａを外部に臨ませて開放するものである。より具体的には、シャッター２は、ハウジング１内で摺動自在とされており、一方の摺動端で閉塞位置となってキー孔Ａを塞ぎ、他方の摺動端で開放位置となって当該キー孔Ａを開放するよう構成されている。
【００２９】
また、シャッター２には、その上面端部に上方に突出形成された凸部２ａと、裏面側に形成されて閉塞位置でプランジャ３ａと係合し得る凹部２ｂとが形成されており、凸部２ａを摘んでシャッター２を摺動操作（特に、開放位置から閉塞位置への動作）すると、凹部２ｂがソレノイド３のプランジャ３ａと対向した位置となるよう構成されている。
【００３０】
ロック手段としてのソレノイド３は、閉塞位置にあるシャッター２をロックして開放位置への移動を規制するためのものであり、通電により出没（図中上下動）し得るプランジャ３ａを具備している。即ち、シャッター２が閉塞位置にあるとき、プランジャ３ａが突出状態となり、その先端３ａａをシャッター２の凹部２ｂに係合させることによりロックして開放位置への移動を規制するとともに、当該プランジャ３ａを没入状態とすることにより、シャッター２のロックが解除され、閉塞位置から開放位置への動作が許容され得るよう構成されているのである。
【００３１】
より詳しくは、プランジャ３ａは、図示しないスプリング等により常時上方へ付勢されており、シャッター２が開放位置にあるとき、その裏面に押されて没入位置とされるとともに、当該シャッター２が閉塞位置に至ると、その裏面の凹部２ｂ内で突出して当該凹部２ｂ内壁面と係合してシャッター２をロックし得るようになっている。この状態で、ソレノイド３に通電させると、プランジャ３ａは下降して没入し、係合が解かれてシャッター２のロックが解除されるようになっている。
【００３２】
送信手段としてのトランスポンダ６は、運転者が携帯可能とされ、認証コードを無線にて送信可能なもので、図８に示すように、イグニッションキーＩＫの把持部に内蔵されて車両側に配設されたアンテナ７（受信手段）（図７参照）との間で通信可能とされて成るものである。より詳しくは、イグニッションキーＩＫに内蔵したトランスポンダ６は、アンテナ７から送信される無線信号に基づいて動作し、その無線信号に対して回答となる信号（認証コード及び車両固有のＩＤコード）を送信するものである。
【００３３】
然るに、かかるトランスポンダ６には、アンテナ７側から送られる無線信号を受信し及び当該トランスポンダ６側で生成した情報を送信するためのアンテナ、受信した無線信号を復調するための高周波回路、トランスポンダ６の制御を行う認証コード生成ＩＣ、イグニッションキーＩＫ固有（即ち、車両固有）の情報を格納すべく不揮発性記憶手段から成るＥＥＰＲＯＭ及びコンデンサ等が配設されており、アンテナ７側からの電波にて励磁されて電力供給がなされるよう構成されている。即ち、乾電池やバッテリ等の電源を具備していないのである。
【００３４】
受信手段としてのアンテナ７は、イグニッションキーＩＫと共にトランスポンダ６が近接されることにより当該トランスポンダ６からの認証コード（ＩＤコード）を非接触にて受信可能なものであり、例えばハウジング１内に配設されたコイルから成るものである。即ち、アンテナ７とトランスポンダ６との間で電波の送受信が可能範囲（電波到達範囲）までイグニッションキーＩＫを近づけることにより、アンテナ７による認証コード（ＩＤコード）の受信が可能とされるのである。
【００３５】
然るに、本実施形態においては、上述したように、アンテナ７側からの電波にて励磁されてトランスポンダ６の電力供給がなされるので、アンテナ７とトランスポンダ６とを極めて近い位置まで近接させた状態にてアンテナ７が認証コードを受信し得るようになっている。アンテナ７は、認証手段８と電気的に接続されており、アンテナ７で受信した認証コード（ＩＤコード）を認証手段８に送信し得るよう構成されている。
【００３６】
認証手段８は、アンテナ７（受信手段）にて受信した認証コード（ＩＤコード）が正規のものであるか否かを認証するためのものであり、図７に示すように、ロック手段としてのソレノイド３と電気的に接続されている。而して、シャッター２が閉塞位置にてロックされた状態において、認証手段８にて正規の認証コードが受信されたと認証されると、ソレノイド３のプランジャ３ａを没入（下降）させて当該シャッター２との係合が解かれてロックが解除される一方、認証手段８による正規の認証コードの認証がないと、プランジャ３ａによる係合が維持されてロックは解除されない。
【００３７】
即ち、認証手段８により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、ソレノイド３（ロック手段）によるロックを解除し、シャッター２を閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするのである。尚、認証手段８は、二輪車のエンジンを制御するためのＥＣＵ９と電気的に接続されており、イグニッションキーＩＫがキー孔Ａに挿通されつつ回動操作された状態においては、認証手段８により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、エンジン始動が許可されるようになっている。
【００３８】
また、閉塞位置にあるシャッター２を常時開放位置へ付勢するコイルスプリング５（付勢手段）がハウジング１内に配設されており、ソレノイド３（ロック手段）によるロックが解除されると当該コイルスプリング５による付勢力にてシャッター２が閉塞位置から開放位置まで自然に移動するよう構成されている。即ち、開放位置から閉塞位置までシャッター２を摺動操作すると、図１２に示すように、コイルスプリング５を押圧して圧縮せしめ、付勢力（開放位置へ向かう付勢力）を得ることができるのである。
【００３９】
更に、本実施形態においては、認証手段８により認証コードが正規のものであると認証したことを条件に点灯して報知する報知手段（具体的にはＬＥＤ１０）がハウジング１に形成されている。これにより、運転者に対し、正規の認証コードの受信が良好に行われたか否かを把握させることができるとともに、認証コードが受信されるとロックが解除されてコイルスプリング５にてシャッター２が開放位置となるので、暗闇でもシャッター２が開放位置にあるか否かが分かるようになっている。
【００４０】
尚、本実施形態においては、図９に示すように、ハウジング１内にキー孔Ａを照らす照明手段（具体的にはＬＥＤ１１）が配設されており、認証コードが受信されてロックが解除され、コイルスプリング５にてシャッター２が開放位置となると、ＬＥＤ１１が点灯し、キー孔ＡへのイグニッションキーＩＫの差し込み動作を容易とすることができるよう構成されている。即ち、照明手段としてのＬＥＤ１１は、シャッターが閉塞位置から開放位置に移動したことを条件に点灯してキー孔Ａを照らすので、夜間や車庫内等、車両の周囲が暗い場合においても、キー孔ＡへのイグニッションキーＩＫの差し込み動作を容易とすることができるのである。
【００４１】
ここで、本実施形態においては、押圧操作によりオンし、認証手段８による認証を開始させるアクセススイッチの操作手段４が、図１及び図７に示すように、ハウジング１の外部に別体として配設され、二輪車の任意位置に取り付け可能とされている。より具体的には、二輪車のハンドルバーＨに固定されたハンドルスイッチケース１２には、車両が具備する所定電装品を操作するための操作スイッチが複数形成されており、本実施形態においては、そのうちのモードスイッチ（二輪車が搭載するトランスミッションを制御するためのコントローラ１３（図３参照）に電気信号を送信し、シフトアップ又はシフトダウンを手動操作にて行わせるもの）の操作手段がアクセススイッチの操作手段４を兼ねている。
【００４２】
アクセススイッチの操作手段４は、図２、３に示すように、揺動軸Ｌ１を中心に揺動するスイッチノブを有するとともに、一方（「＋」なる表示がある方向）へ揺動させると押圧される作動軸４ａａを有したマイクロスイッチ４ａと、他方（「−」なる表示がある方向）へ揺動させると押圧される作動軸４ｂａを有したマイクロスイッチ４ｂとから成るものである。この場合、マイクロスイッチ４ａ又はマイクロスイッチ４ｂが「アクセススイッチ」を構成する。然るに、アクセススイッチの操作手段４としてのスイッチノブを一方又は他方へ揺動操作すると、マイクロスイッチ４ａ又はマイクロスイッチ４ｂがオンし、その電気信号が配線Ｃを介して認証手段８に送られ、当該認証手段８による認証を開始させるよう構成されている。
【００４３】
一方、認証手段８による認証が終了してシャッター２を開放位置まで移動させ、キー孔ＡへのイグニッションキーＩＫの挿通及び回動操作によりエンジンが始動した後においては、アクセススイッチの操作手段４は本来のモードスイッチの操作手段として機能することとなり、スイッチノブを一方又は他方へ揺動操作すると、マイクロスイッチ４ａ又はマイクロスイッチ４ｂがオンし、その電気信号が配線Ｃを介してコントローラ１３に送られ、二輪車が搭載するトランスミッションを制御して強制的にシフトアップ又はシフトダウンさせることとなる。
【００４４】
尚、マイクロスイッチ４ａ、４ｂは、作動軸４ａａ、４ｂａが押圧操作されることにより微弱な電気信号を送信し得るとともに防水が施されたマイクロスイッチ（所謂、防水マイクロスイッチ）から成るものである。このように、モードスイッチとしての操作スイッチは、操作により微弱な電気信号を送信し得るとともに防水が施されたマイクロスイッチから成るので、その操作スイッチとアクセススイッチ（操作手段４によりスイッチングされるもの）とを兼用させることにより、当該アクセススイッチの防水を別途図ることが不要となる。
【００４５】
また、マイクロスイッチ４ａ、４ｂから配線Ｃを介して認証手段８に送られる電気信号は、所定周期のパルス信号とするのが好ましい。これにより、盗難等を意図とした第三者がハンドルスイッチケース１２を故意に破壊し、アクセススイッチを不正に短絡させて電気的に導通させたとしても、認証手段８側にはパルス信号が送信されず、認証を行わせないようにすることができる。
【００４６】
次に、上記構成のシリンダ錠の保護装置における動作について説明する。
まず、駐車時においては、イグニッションキーＩＫをキー孔Ａから抜き取った後、開放位置にあるシャッター２の凸部２ａを摘みつつ閉塞位置まで押し込んで摺動させる。このような開放位置から閉塞位置への摺動の過程で、図１２に示すように、シャッター２がコイルスプリング５を圧縮し、閉塞位置に至ったシャッター２が常時開放位置側へ付勢された状態となる。
【００４７】
また、シャッター２が閉塞位置に至ると、図１０、１１に示すように、ソレノイド３のプランジャ３ａが当該シャッター２と係合し、開放位置へ向かう摺動動作を規制してロックするとともに、シャッター２がキー孔Ａの上方を覆ってキー等を差し込むことができない状態となる。これにより、第三者がキー孔Ａに他のキーやハサミ等を差し込んでいたずら等がなされてしまうのを防止することができる。
【００４８】
一方、閉塞位置にあるシャッター２を開放位置まで摺動させてキー孔Ａを外部に臨ませるには、ハンドルスイッチケース１２に配設されたアクセススイッチの操作手段４を一方又は他方に揺動させてマイクロスイッチ４ａ又は４ｂをオンさせる。これにより、イモビライザシステムを含む車両の電源がオンするとともに、認証手段８による認証が開始されることとなる。このとき、ＬＥＤ１０（報知手段）が点灯して運転者に電源がオンされたことを報知可能となっている。
【００４９】
その後、イグニッションキーＩＫをハウジング１に近づけ、内蔵されたトランスポンダ６をハウジング１内のアンテナ７に近接させる。これにより、トランスポンダ６とアンテナ７との間で無線による通信が行われ、アンテナ７にトランスポンダ６から認証コード（ＩＤコード）が送信される。この認証コード（ＩＤコード）が、予め定められた正規のものか否かを認証手段８が認証し、正規のものである場合は、ソレノイド３のプランジャ３ａを没入（下降）させて当該シャッター２との係合を解き、ロックが解除される。プランジャ３ａとシャッター２との係合が解かれてロックが解除されると、コイルスプリング５による付勢力にてシャッター２が閉塞位置から開放位置まで自然に移動する。
【００５０】
こうして、シャッター２が開放位置に至ると、キー孔Ａが外部に臨んだ状態となるので、イグニッションキーＩＫを当該キー孔Ａに挿通して所定方向へ回転操作すれば、エンジンが始動され走行可能な状態となる。然るに、イグニッションキーＩＫがキー孔Ａに挿通した状態においても、トランスポンダ６とアンテナ７との間で通信による通信を行わせ、アンテナ７にトランスポンダ６から認証コード（ＩＤコード）を送信する。この認証コード（ＩＤコード）が、予め定められた正規のものか否かを認証手段８が認証し、正規のものである場合に限り、エンジンの始動が許可されるようになっている。
【００５１】
尚、エンジンが始動した後においては、アクセススイッチの操作手段４を揺動操作すると、マイクロスイッチ４ａ又はマイクロスイッチ４ｂがオンし、その電気信号が配線Ｃを介してコントローラ１３に送られ、二輪車が搭載するトランスミッションを制御して強制的にシフトアップ又はシフトダウンさせることとなり、本来のモードスイッチとして機能することとなる。
【００５２】
上記実施形態によれば、トランスポンダ６（送信手段）をアンテナ７（受信手段）に近接させることにより認証手段８による認証が行われた後、正規の認証コードを受信したことを条件としてソレノイド３（ロック手段）によるロックが解除され、シャッター２を閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするので、閉塞位置にあるシャッター２を開放位置まで動作させる際、従来の如きマグネット錠を用いるものに比べ、当該シャッター２のロック解除の操作性を向上させて容易且つスムーズにロック解除を行わせることができる。
【００５３】
また、トランスポンダ６（送信手段）をアンテナ７（受信手段）に近接させることにより認証手段８による認証を行わせ、ソレノイド３（ロック手段）によるロックを解除可能としたので、不用意なロック解除を回避することができる。即ち、ロックの解除を行わせるためには、運転者が意識してトランスポンダ６をアンテナ７に近接させる動作が必要であることから、意図しないで不用意にロックが解除されてしまうのを防止することができるのである。
【００５４】
特に、本実施形態においては、イグニッションキーＩＫの把持部にトランスポンダ６が内蔵されているので、イグニッションキーＩＫをハウジング１に近接させてトランスポンダ６からの認証コード（ＩＤコード）を認証させ、シャッター２を開放位置まで摺動させた後、そのイグニッションキーＩＫをそのままキー孔Ａに差し込むことができ、一連の動作を連続して行わせることができる。
【００５５】
加えて、アクセススイッチの操作手段４がハウジング１の外部に別体として配設され、二輪車の任意位置（本実施形態においてはハンドルスイッチケース１２）に取り付け可能とされたので、適用される車両の形態に応じて最適な操作が可能な位置に当該アクセススイッチの操作手段４を配設することができる。アクセススイッチの操作手段４は、車両のハンドルバーＨに固定されたハンドルスイッチケース１２に配設されたので、当該ハンドルスイッチケース１２に形成された種々操作スイッチと略同様の操作性が得られ、操作性をより向上させることができる。
【００５６】
然るに、本実施形態に係るアクセススイッチの操作手段４は、ハンドルスイッチケース１２に形成されて車両が具備する所定電装品を操作するための操作スイッチ（本実施形態においてはモードスイッチ）の操作手段と兼用されたので、当該ハンドルスイッチケース１２に対して別個新たにアクセススイッチの操作手段４を設けるものに比べ、ハンドルスイッチケース１２の大型化及び部品点数の増加を回避することができる。尚、本実施形態においては、アクセススイッチの操作手段４がモードスイッチの操作手段と兼用されているが、他の操作スイッチの操作手段と兼用させてもよい。
【００５７】
例えば、アクセススイッチの操作手段４と兼用される操作スイッチの操作手段として、図１３に示すように、ハンドルスイッチケース１４に形成されて二輪車のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段１５としてもよい。更に、アクセススイッチ（操作手段４にてスイッチングされるもの）は、ハンドルスイッチケース１４に形成されたものの他、例えば図１４に示すように、把持グリップ（不図示）近傍に取り付けられた操作レバー１６の操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ１７（又はクラッチスイッチ）から成るものであってもよい。
【００５８】
尚、図１４中符号Ｌ２は、操作レバー１６の揺動軸、符号１７ａはブレーキスイッチ１７（又はクラッチスイッチ）の作動軸を示している。而して、揺動軸Ｌ２を中心として操作レバー１６を揺動操作することによりブレーキスイッチ１７（又はクラッチスイッチ）をオンさせることができるよう構成されるとともに、アクセススイッチとして機能する際は、当該ブレーキスイッチ１７がオンすることによる電気信号が配線Ｃを介して認証手段８に送られ、認証が開始させるようになっている。
【００５９】
このように、アクセススイッチの操作手段を兼用させる操作スイッチの操作手段として、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段１５、又は車両のシフトアップ又はシフトダウンを制御するためのモードスイッチの操作手段から成るので、当該スタータスイッチの操作手段１５又はモードスイッチの操作手段とアクセススイッチの操作手段４とを兼用させることができる。
【００６０】
特に、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段１５をアクセススイッチの操作手段４と兼用させれば、エンジン始動操作とアクセススイッチの操作手段４の操作とを同時に行わせることができ、操作性を更に向上させることができる。また、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバー１６の操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ１７をアクセススイッチと兼用させれば、エンジン始動操作の際の安全動作（ブレーキ操作を行うことによりエンジン始動時の不用意な車両の発進の回避動作）とアクセススイッチの操作手段４の操作とを同時に行わせることができ、操作性を更に向上させることができる。
【００６１】
また更に、アクセススイッチは、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバー１６の操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ１７若しくはクラッチスイッチの他、運転者の足で操作するフットブレーキのブレーキスイッチ、又は車両が具備するスタンドを上げることによりスイッチング可能なスイッチ（何れも不図示）を兼用させて成るものとしてもよい。
【００６２】
一方、本実施形態によれば、送信手段は、イグニッションキーＩＫの把持部に内蔵されたトランスポンダ６から成るとともに、認証コードは、車両固有のＩＤコードであるので、トランスポンダ６からアンテナ７（受信手段）に対して車両固有のＩＤコードを送信し、そのＩＤコードが正規のものである場合に限りエンジン始動を許可するイモビライザシステムのＩＤコードと認証コードとを共用（共通化）させることができる。
【００６３】
また更に、ソレノイド３から成るロック手段によるロックが解除されるとコイルスプリング５から成る付勢手段による付勢力にてシャッター２が閉塞位置から開放位置まで移動するので、閉塞位置にあるシャッター２を開放位置まで運転者が操作する必要がなく、ロック解除からキー孔Ａ開放までの一連の操作性をより向上させることができる。
【００６４】
次に、本発明に係る第２の実施形態について説明する。
本実施形態に係るシリンダ錠の保護装置は、第１の実施形態と同様、スクータ等の二輪車が具備するシリンダ錠のキー孔上方に設けられ、当該キー孔を外側から開閉可能とすることによりシリンダ錠を保護し得るもので、図１５で示すように、シャッター２及びロック手段としてのソレノイド３等が配設されたハウジング１と、該ハウジング１の外部に別体として配設される押しボタン式の操作手段から成るアクセススイッチの操作手段１８とから構成されている。尚、当該ソレノイド３、付勢手段としてのコイルスプリング５、送信手段としてのトランスポンダ６、受信手段としてのアンテナと、認証手段８等は、第１の実施形態と同様なものであり、それらの詳細な説明を省略することとする。
【００６５】
アクセススイッチ（操作手段１８でスイッチングされるスイッチ）は、配線Ｃを介して認証手段８と電気的に接続されるとともに、二輪車の任意位置に取り付け可能とされたものである。かかるアクセススイッチの操作手段１８は、例えば、図１６、１７に示すように、二輪車のハンドルバーＨに固定されたハンドルスイッチケース１９に取り付け可能とされたマイクロスイッチ１８ａを有したものとされる。そして、アクセススイッチの操作手段１８としての押しボタンをリターンスプリング２０の付勢力に抗して押圧操作すると、操作軸１８ａａが押圧されてマイクロスイッチ１８ａ（「アクセススイッチ」に相当）がオンし、配線Ｃを介して電気信号が認証手段８に送られるようになっている。これにより、認証手段８による認証が開始されることとなる。この場合、当該ハンドルスイッチケース１９に形成された種々操作スイッチと略同様の操作性が得られ、操作性をより向上させることができる。
【００６６】
また、アクセススイッチの操作手段１８を、例えば、図１８、１９に示すように、二輪車のキー孔Ａ近傍の位置（例えばハウジング１と隣接させた位置等）におけるフロントパネル２１内に配設するようにしてもよい。かかるマイクロスイッチ１８の押しボタンをリターンスプリング２２の付勢力に抗して押圧操作すると、操作軸１８ａａが押圧されてマイクロスイッチ１８ａがオンし、配線Ｃを介して電気信号が認証手段８に送られるようになっている。これにより、認証手段８による認証が開始されることとなる。この場合、アクセススイッチの操作手段１８がハウジング１の近傍に位置することとなり、当該アクセススイッチの操作手段４による認証開始がなされた後、シャッター２が開放位置まで移動してキー孔Ａに車両のキーを挿通するまでの動作をスムーズに行わせることができる。
【００６７】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アクセススイッチの操作手段がハウジング１の外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされたものであれば、他の位置に形成されたものであってもよい。
【００６８】
然るに、アクセススイッチの操作手段を、ハンドルスイッチケースに形成された操作スイッチの操作手段と兼用する場合、車両のエンジンが始動するまでは操作されない操作スイッチの操作手段（即ち、専らエンジンが駆動中において操作されるもの）と兼用させるのが好ましく、当該アクセススイッチは、防水が施された操作スイッチと兼用させるのが更に好ましい。
【００６９】
また、運転者が携帯可能とされ、認証コードを送信可能な送信手段は、本実施形態の如くイモビライザシステムを構成するトランスポンダに限定されず、他の送信手段（例えばイグニッションキーＩＫとは別個独立した携帯型のもの等）としてもよい。この場合、イモビライザシステムを具備していない車両にも適用できる。また、ロック手段は、本実施形態の如くソレノイド３から成るものに限らず、モータやシリンダ等で駆動し得るもの等としてもよい。更には、二輪車の他、四輪車やバギー、雪上車等他の車両におけるシリンダ錠の保護装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【００７０】
認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、ロック手段によるロックを解除し、シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするものであって、アクセススイッチの操作手段は、ハウジングの外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされたシリンダ錠の保護装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００７１】
【図１】本発明の第１の実施形態に係るシリンダ錠の保護装置を示す斜視図
【図２】同シリンダ錠の保護装置におけるアクセススイッチの操作手段を示す断面模式図
【図３】同シリンダ錠の保護装置におけるアクセススイッチと他の構成要素との電気的接続関係を示すブロック図
【図４】同シリンダ錠の保護装置のハウジング（シャッターが開放位置）を示す上面図
【図５】図４におけるＶ−Ｖ線断面図
【図６】同シリンダ錠の保護装置（ハウジングを取り外して当該ハウジングの内部構成が分かる状態としたもの）を示す側面図
【図７】同シリンダ錠の保護装置全体を示すブロック図
【図８】同シリンダ錠の保護装置において適用されるイグニッションキーを示す模式図
【図９】図４におけるＩＸ−ＩＸ線断面図
【図１０】同シリンダ錠の保護装置のハウジング（シャッターが開放位置）を示す上面図
【図１１】図１０の状態におけるシリンダ錠の保護装置を示す縦断面図
【図１２】図１０の状態におけるシリンダ錠の保護装置（ハウジングを取り外して当該ハウジングの内部構成が分かる状態としたもの）を示す側面図
【図１３】同シリンダ錠の保護装置においてアクセススイッチの操作手段を他の操作スイッチの操作手段（スタータスイッチ）と兼用させたものを示す模式図
【図１４】同シリンダ錠の保護装置においてアクセススイッチを他の操作スイッチ（ブレーキスイッチ）と兼用させたものを示す模式図
【図１５】本発明の第２の実施形態に係るシリンダ錠の保護装置を示す斜視図
【図１６】同シリンダ錠の保護装置におけるアクセススイッチの操作手段をハンドルスイッチケースに配設させたものを示す模式図
【図１７】同アクセススイッチの操作手段及びその近傍を示す断面模式図
【図１８】同シリンダ錠の保護装置におけるアクセススイッチの操作手段をキー孔近傍に配設させたものを示す模式図
【図１９】同アクセススイッチの操作手段及びその近傍を示す断面模式図
【符号の説明】
【００７２】
１ ハウジング
２ シャッター
３ ソレノイド（ロック手段）
４ アクセススイッチの操作手段
５ コイルスプリング（付勢手段）
６ トランスポンダ（送信手段）
７ アンテナ（受信手段）
８ 認証手段
９ ＥＣＵ
１０ ＬＥＤ（報知手段）
１１ ＬＥＤ（照明手段）
１２ ハンドルスイッチケース
１３ コントローラ
１４ ハンドルスイッチケース
１５ スタータスイッチ
１６ 操作レバー
１７ ブレーキスイッチ
１８ アクセススイッチの操作手段
１９ ハンドルスイッチケース
２０ リターンスプリング
２１ フロントパネル
２２リターンスプリング
Ａ キー孔
Ｓ シリンダ錠
Ｃ 配線
【技術分野】
【０００１】
本発明は、二輪車などが具備するシリンダ錠の破壊等を防止し得るシリンダ錠の保護装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、第三者によるはさみやドライバ等のキー孔への差し込みで二輪車などのシリンダ錠がいたずらされて破壊されるのを防止するために、例えば特許文献１で開示されたようなシリンダ錠の保護装置が提案されている。かかる保護装置は、キー孔を閉状態とする閉塞位置から当該キー孔を開状態とする開放位置まで摺動可能なシャッターと、該シャッターを開放位置と閉塞位置との間で摺動自在に保持するハウジングと、シャッターを閉塞位置に保持することによりキー孔を閉塞して施錠するマグネット錠と、磁石の磁気によりマグネット錠を解錠するマグネットキーを具備していた。
【０００３】
上記シリンダ錠の保護装置によれば、ハウジングから突出したシャッターの一部を当該ハウジング内に押し込む操作を行うことによりキー孔を閉塞しつつ、その位置でマグネット錠にて施錠することができる。即ち、シャッターを閉塞位置とするための操作部が形成されており、運転者が当該操作部を操作することによってシャッターを閉塞位置とし、キー孔を覆ってシリンダ錠を保護し得る構成とされているのである。
【特許文献１】特開平１１−４４１３２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記従来のシリンダ錠の保護装置においては、閉塞位置にあるシャッターを開放位置まで動作させるには、マグネットキーをマグネット錠に挿通させつつ操作して当該マグネット錠を解錠する必要があり、操作が面倒であるという問題があった。特に、夜間等の暗闇においては、マグネットキーをマグネット錠に挿通させる動作に困難性が生じてしまうという問題があった。
【０００５】
本出願人は、上記問題を解決すべく、認証コードを送信可能な送信手段と、該送信手段が近接されることにより当該送信手段からの認証コードを非接触にて受信可能な受信手段と、該受信手段にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段とを具備し、当該認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、シャッターを閉塞位置に保つロック手段によるロックを解除し、当該シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするシリンダ錠の保護装置を検討するに至った。
【０００６】
然るに、上記の如きシリンダ錠の保護装置においては、認証手段による認証を開始させるアクセススイッチが実用上必要となるが、かかるアクセススイッチの操作手段は認証の都度、操作が必要とされることから、その操作性の良否は重要な問題となる。即ち、適用される車両の形態（二輪車、雪上車或いはＡＴＶ等の種々形態）によって最適な操作を可能とするアクセススイッチの操作手段の配設位置が異なるので、例えば保護装置の筐体であるハウジングに当該アクセススイッチの操作手段を形成した場合、当該アクセススイッチの操作手段のみを任意位置に配設することができず、操作性が悪くなってしまう可能性がある。
【０００７】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、閉塞位置にあるシャッターのロック解除の操作性を向上させて容易且つスムーズにロック解除を行わせることができるとともに、適用される車両の形態に応じて最適な操作が可能な位置にアクセススイッチの操作手段を配設することができるシリンダ錠の保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
請求項１記載の発明は、車両におけるシリンダ錠のキー孔の上方に設けられたハウジングと、該ハウジング内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、閉塞位置で前記キー孔を塞ぐとともに開放位置で当該キー孔を開放するシャッターと、閉塞位置にある前記シャッターをロックして開放位置への移動を規制するロック手段と、運転者が携帯可能とされ、認証コードを送信可能な送信手段と、該送信手段が近接されることにより当該送信手段からの認証コードを非接触にて受信可能な受信手段と、該受信手段にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段と、前記認証手段による認証を開始させるアクセススイッチの操作手段とを具備し、当該認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、前記ロック手段によるロックを解除し、シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするシリンダ錠の保護装置であって、前記アクセススイッチの操作手段は、前記ハウジングの外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされたことを特徴とする。
【０００９】
請求項２記載の発明は、請求項１記載のシリンダ錠の保護装置において、前記アクセススイッチの操作手段は、車両のハンドルバーに固定されたハンドルスイッチケースに配設されたことを特徴とする。
【００１０】
請求項３記載の発明は、請求項２記載のシリンダ錠の保護装置において、前記アクセススイッチの操作手段は、前記ハンドルスイッチケースに形成されて車両が具備する所定電装品を操作するための操作スイッチの操作手段と兼用されたことを特徴とする。
【００１１】
請求項４記載の発明は、請求項３記載のシリンダ錠の保護装置において、前記操作スイッチの操作手段は、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段、又は車両のシフトアップ又はシフトダウンを制御するためのモードスイッチの操作手段から成ることを特徴とする。
【００１２】
請求項５記載の発明は、請求項３又は請求項４記載のシリンダ錠の保護装置において、前記操作スイッチは、操作により微弱な電気信号を送信し得るとともに防水が施されたマイクロスイッチから成ることを特徴とする。
【００１３】
請求項６記載の発明は、請求項１記載のシリンダ錠の保護装置において、前記アクセススイッチは、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバーの操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ若しくはクラッチスイッチ、運転者の足で操作するフットブレーキのブレーキスイッチ、又は車両が具備するスタンドを上げることによりスイッチング可能なスイッチを兼用させて成ることを特徴とする。
【００１４】
請求項７記載の発明は、請求項１記載のシリンダ錠の保護装置において、前記アクセススイッチの操作手段は、前記キー孔近傍の位置に配設されたことを特徴とする。
【００１５】
請求項８記載の発明は、請求項１〜７の何れか１つに記載のシリンダ錠の保護装置において、前記送信手段は、イグニッションキーの把持部に内蔵されたトランスポンダから成るとともに、前記認証コードは、車両固有のＩＤコードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１６】
請求項１の発明によれば、送信手段を受信手段に近接させることにより認証手段による認証が行われた後、正規の認証コードを受信したことを条件としてロック手段によるロックが解除され、シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするので、閉塞位置にあるシャッターを開放位置まで動作させる際、当該シャッターのロック解除の操作性を向上させて容易且つスムーズにロック解除を行わせることができる。
【００１７】
また、送信手段を受信手段に近接させることにより認証手段による認証を行わせ、ロック手段によるロックを解除可能としたので、不用意なロック解除を回避することができる。即ち、ロックの解除を行わせるためには、運転者が意識して送信手段を受信手段に近接させる動作が必要であることから、意図しないで不用意にロックが解除されてしまうのを防止することができるのである。
【００１８】
更に、アクセススイッチの操作手段は、ハウジングの外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされたので、適用される車両の形態に応じて最適な操作が可能な位置に当該アクセススイッチの操作手段を配設することができる。
【００１９】
請求項２の発明によれば、アクセススイッチの操作手段は、車両のハンドルバーに固定されたハンドルスイッチケースに配設されたので、当該ハンドルスイッチケースに形成された種々操作スイッチと略同様の操作性が得られ、操作性をより向上させることができる。
【００２０】
請求項３の発明によれば、アクセススイッチの操作手段は、ハンドルスイッチケースに形成されて車両が具備する所定電装品を操作するための操作スイッチの操作手段と兼用されたので、当該ハンドルスイッチケースに対して別個新たにアクセススイッチの操作手段を設けるものに比べ、ハンドルスイッチケースの大型化及び部品点数の増加を回避することができる。
【００２１】
請求項４の発明によれば、操作スイッチの操作手段は、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段、又は車両のシフトアップ又はシフトダウンを制御するためのモードスイッチの操作手段から成るので、当該スタータスイッチの操作手段又はモードスイッチの操作手段とアクセススイッチの操作手段とを兼用させることができる。特に、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段をアクセススイッチの操作手段と兼用させれば、エンジン始動操作とアクセススイッチの操作手段の操作とを同時に行わせることができ、操作性を更に向上させることができる。
【００２２】
請求項５の発明によれば、操作スイッチは、操作により微弱な電気信号を送信し得るとともに防水が施されたマイクロスイッチから成るので、その操作スイッチとアクセススイッチとを兼用させることにより、当該アクセススイッチの防水を別途図ることが不要となる。
【００２３】
請求項６の発明によれば、アクセススイッチは、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバーの操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ若しくはクラッチスイッチ、運転者の足で操作するフットブレーキのブレーキスイッチ、又は車両が具備するスタンドを上げることによりスイッチング可能なスイッチを兼用させて成るので、操作レバー、フットブレーキ又はスタンドをアクセススイッチの操作手段として兼用させることができる。特に、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバーの操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチをアクセススイッチと兼用させれば、エンジン始動操作の際の安全動作（ブレーキ操作を行うことによりエンジン始動時の不用意な車両の発進の回避動作）とアクセススイッチの操作手段の操作とを同時に行わせることができ、操作性を更に向上させることができる。
【００２４】
請求項７の発明によれば、アクセススイッチの操作手段は、キー孔近傍の位置に配設されたので、ハウジングの近傍に位置することとなり、当該アクセススイッチの操作手段を操作することによる認証開始がなされた後、シャッターが開放位置まで移動してキー孔に車両のキーを挿通するまでの動作をスムーズに行わせることができる。
【００２５】
請求項８の発明によれば、送信手段は、イグニッションキーの把持部に内蔵されたトランスポンダから成るとともに、認証コードは、車両固有のＩＤコードであるので、トランスポンダから受信手段に対して車両固有のＩＤコードを送信し、そのＩＤコードが正規のものである場合に限りエンジン始動を許可するイモビライザシステムのＩＤコードと認証コードとを共用させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第１の実施形態に係るシリンダ錠の保護装置は、スクータ等の二輪車が具備するシリンダ錠のキー孔上方に設けられ、当該キー孔を外側から開閉可能とすることによりシリンダ錠を保護し得るもので、図１〜図９で示すように、ハウジング１と、シャッター２と、ロック手段としてのソレノイド３と、アクセススイッチの操作手段４と、付勢手段としてのコイルスプリング５と、送信手段としてのトランスポンダ６と、受信手段としてのアンテナ７と、認証手段８とから主に構成されている。
【００２７】
ハウジング１は、シリンダ錠Ｓのキー孔Ａの上方に設けられたもので、本保護装置の筐体を成すものである。このハウジング１には、略中央にキー孔Ａを外部に臨ませる貫通孔１ａが形成されるとともに、シャッター２を摺動自在に収容させる収容部１ｂが形成されている。尚、シリンダ錠Ｓを構成するシリンダボディ内には、複数のタンブラ（不図示）を内在したロータＲが配設されるとともに、キー孔Ａが形成されてイグニッションキーＩＫ（図８参照）を抜き差しし得るよう構成されている。
【００２８】
シャッター２は、ハウジング１内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、閉塞位置（図１０〜１２参照）でキー孔Ａを塞ぐとともに開放位置（図４〜６）で当該キー孔Ａを外部に臨ませて開放するものである。より具体的には、シャッター２は、ハウジング１内で摺動自在とされており、一方の摺動端で閉塞位置となってキー孔Ａを塞ぎ、他方の摺動端で開放位置となって当該キー孔Ａを開放するよう構成されている。
【００２９】
また、シャッター２には、その上面端部に上方に突出形成された凸部２ａと、裏面側に形成されて閉塞位置でプランジャ３ａと係合し得る凹部２ｂとが形成されており、凸部２ａを摘んでシャッター２を摺動操作（特に、開放位置から閉塞位置への動作）すると、凹部２ｂがソレノイド３のプランジャ３ａと対向した位置となるよう構成されている。
【００３０】
ロック手段としてのソレノイド３は、閉塞位置にあるシャッター２をロックして開放位置への移動を規制するためのものであり、通電により出没（図中上下動）し得るプランジャ３ａを具備している。即ち、シャッター２が閉塞位置にあるとき、プランジャ３ａが突出状態となり、その先端３ａａをシャッター２の凹部２ｂに係合させることによりロックして開放位置への移動を規制するとともに、当該プランジャ３ａを没入状態とすることにより、シャッター２のロックが解除され、閉塞位置から開放位置への動作が許容され得るよう構成されているのである。
【００３１】
より詳しくは、プランジャ３ａは、図示しないスプリング等により常時上方へ付勢されており、シャッター２が開放位置にあるとき、その裏面に押されて没入位置とされるとともに、当該シャッター２が閉塞位置に至ると、その裏面の凹部２ｂ内で突出して当該凹部２ｂ内壁面と係合してシャッター２をロックし得るようになっている。この状態で、ソレノイド３に通電させると、プランジャ３ａは下降して没入し、係合が解かれてシャッター２のロックが解除されるようになっている。
【００３２】
送信手段としてのトランスポンダ６は、運転者が携帯可能とされ、認証コードを無線にて送信可能なもので、図８に示すように、イグニッションキーＩＫの把持部に内蔵されて車両側に配設されたアンテナ７（受信手段）（図７参照）との間で通信可能とされて成るものである。より詳しくは、イグニッションキーＩＫに内蔵したトランスポンダ６は、アンテナ７から送信される無線信号に基づいて動作し、その無線信号に対して回答となる信号（認証コード及び車両固有のＩＤコード）を送信するものである。
【００３３】
然るに、かかるトランスポンダ６には、アンテナ７側から送られる無線信号を受信し及び当該トランスポンダ６側で生成した情報を送信するためのアンテナ、受信した無線信号を復調するための高周波回路、トランスポンダ６の制御を行う認証コード生成ＩＣ、イグニッションキーＩＫ固有（即ち、車両固有）の情報を格納すべく不揮発性記憶手段から成るＥＥＰＲＯＭ及びコンデンサ等が配設されており、アンテナ７側からの電波にて励磁されて電力供給がなされるよう構成されている。即ち、乾電池やバッテリ等の電源を具備していないのである。
【００３４】
受信手段としてのアンテナ７は、イグニッションキーＩＫと共にトランスポンダ６が近接されることにより当該トランスポンダ６からの認証コード（ＩＤコード）を非接触にて受信可能なものであり、例えばハウジング１内に配設されたコイルから成るものである。即ち、アンテナ７とトランスポンダ６との間で電波の送受信が可能範囲（電波到達範囲）までイグニッションキーＩＫを近づけることにより、アンテナ７による認証コード（ＩＤコード）の受信が可能とされるのである。
【００３５】
然るに、本実施形態においては、上述したように、アンテナ７側からの電波にて励磁されてトランスポンダ６の電力供給がなされるので、アンテナ７とトランスポンダ６とを極めて近い位置まで近接させた状態にてアンテナ７が認証コードを受信し得るようになっている。アンテナ７は、認証手段８と電気的に接続されており、アンテナ７で受信した認証コード（ＩＤコード）を認証手段８に送信し得るよう構成されている。
【００３６】
認証手段８は、アンテナ７（受信手段）にて受信した認証コード（ＩＤコード）が正規のものであるか否かを認証するためのものであり、図７に示すように、ロック手段としてのソレノイド３と電気的に接続されている。而して、シャッター２が閉塞位置にてロックされた状態において、認証手段８にて正規の認証コードが受信されたと認証されると、ソレノイド３のプランジャ３ａを没入（下降）させて当該シャッター２との係合が解かれてロックが解除される一方、認証手段８による正規の認証コードの認証がないと、プランジャ３ａによる係合が維持されてロックは解除されない。
【００３７】
即ち、認証手段８により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、ソレノイド３（ロック手段）によるロックを解除し、シャッター２を閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするのである。尚、認証手段８は、二輪車のエンジンを制御するためのＥＣＵ９と電気的に接続されており、イグニッションキーＩＫがキー孔Ａに挿通されつつ回動操作された状態においては、認証手段８により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、エンジン始動が許可されるようになっている。
【００３８】
また、閉塞位置にあるシャッター２を常時開放位置へ付勢するコイルスプリング５（付勢手段）がハウジング１内に配設されており、ソレノイド３（ロック手段）によるロックが解除されると当該コイルスプリング５による付勢力にてシャッター２が閉塞位置から開放位置まで自然に移動するよう構成されている。即ち、開放位置から閉塞位置までシャッター２を摺動操作すると、図１２に示すように、コイルスプリング５を押圧して圧縮せしめ、付勢力（開放位置へ向かう付勢力）を得ることができるのである。
【００３９】
更に、本実施形態においては、認証手段８により認証コードが正規のものであると認証したことを条件に点灯して報知する報知手段（具体的にはＬＥＤ１０）がハウジング１に形成されている。これにより、運転者に対し、正規の認証コードの受信が良好に行われたか否かを把握させることができるとともに、認証コードが受信されるとロックが解除されてコイルスプリング５にてシャッター２が開放位置となるので、暗闇でもシャッター２が開放位置にあるか否かが分かるようになっている。
【００４０】
尚、本実施形態においては、図９に示すように、ハウジング１内にキー孔Ａを照らす照明手段（具体的にはＬＥＤ１１）が配設されており、認証コードが受信されてロックが解除され、コイルスプリング５にてシャッター２が開放位置となると、ＬＥＤ１１が点灯し、キー孔ＡへのイグニッションキーＩＫの差し込み動作を容易とすることができるよう構成されている。即ち、照明手段としてのＬＥＤ１１は、シャッターが閉塞位置から開放位置に移動したことを条件に点灯してキー孔Ａを照らすので、夜間や車庫内等、車両の周囲が暗い場合においても、キー孔ＡへのイグニッションキーＩＫの差し込み動作を容易とすることができるのである。
【００４１】
ここで、本実施形態においては、押圧操作によりオンし、認証手段８による認証を開始させるアクセススイッチの操作手段４が、図１及び図７に示すように、ハウジング１の外部に別体として配設され、二輪車の任意位置に取り付け可能とされている。より具体的には、二輪車のハンドルバーＨに固定されたハンドルスイッチケース１２には、車両が具備する所定電装品を操作するための操作スイッチが複数形成されており、本実施形態においては、そのうちのモードスイッチ（二輪車が搭載するトランスミッションを制御するためのコントローラ１３（図３参照）に電気信号を送信し、シフトアップ又はシフトダウンを手動操作にて行わせるもの）の操作手段がアクセススイッチの操作手段４を兼ねている。
【００４２】
アクセススイッチの操作手段４は、図２、３に示すように、揺動軸Ｌ１を中心に揺動するスイッチノブを有するとともに、一方（「＋」なる表示がある方向）へ揺動させると押圧される作動軸４ａａを有したマイクロスイッチ４ａと、他方（「−」なる表示がある方向）へ揺動させると押圧される作動軸４ｂａを有したマイクロスイッチ４ｂとから成るものである。この場合、マイクロスイッチ４ａ又はマイクロスイッチ４ｂが「アクセススイッチ」を構成する。然るに、アクセススイッチの操作手段４としてのスイッチノブを一方又は他方へ揺動操作すると、マイクロスイッチ４ａ又はマイクロスイッチ４ｂがオンし、その電気信号が配線Ｃを介して認証手段８に送られ、当該認証手段８による認証を開始させるよう構成されている。
【００４３】
一方、認証手段８による認証が終了してシャッター２を開放位置まで移動させ、キー孔ＡへのイグニッションキーＩＫの挿通及び回動操作によりエンジンが始動した後においては、アクセススイッチの操作手段４は本来のモードスイッチの操作手段として機能することとなり、スイッチノブを一方又は他方へ揺動操作すると、マイクロスイッチ４ａ又はマイクロスイッチ４ｂがオンし、その電気信号が配線Ｃを介してコントローラ１３に送られ、二輪車が搭載するトランスミッションを制御して強制的にシフトアップ又はシフトダウンさせることとなる。
【００４４】
尚、マイクロスイッチ４ａ、４ｂは、作動軸４ａａ、４ｂａが押圧操作されることにより微弱な電気信号を送信し得るとともに防水が施されたマイクロスイッチ（所謂、防水マイクロスイッチ）から成るものである。このように、モードスイッチとしての操作スイッチは、操作により微弱な電気信号を送信し得るとともに防水が施されたマイクロスイッチから成るので、その操作スイッチとアクセススイッチ（操作手段４によりスイッチングされるもの）とを兼用させることにより、当該アクセススイッチの防水を別途図ることが不要となる。
【００４５】
また、マイクロスイッチ４ａ、４ｂから配線Ｃを介して認証手段８に送られる電気信号は、所定周期のパルス信号とするのが好ましい。これにより、盗難等を意図とした第三者がハンドルスイッチケース１２を故意に破壊し、アクセススイッチを不正に短絡させて電気的に導通させたとしても、認証手段８側にはパルス信号が送信されず、認証を行わせないようにすることができる。
【００４６】
次に、上記構成のシリンダ錠の保護装置における動作について説明する。
まず、駐車時においては、イグニッションキーＩＫをキー孔Ａから抜き取った後、開放位置にあるシャッター２の凸部２ａを摘みつつ閉塞位置まで押し込んで摺動させる。このような開放位置から閉塞位置への摺動の過程で、図１２に示すように、シャッター２がコイルスプリング５を圧縮し、閉塞位置に至ったシャッター２が常時開放位置側へ付勢された状態となる。
【００４７】
また、シャッター２が閉塞位置に至ると、図１０、１１に示すように、ソレノイド３のプランジャ３ａが当該シャッター２と係合し、開放位置へ向かう摺動動作を規制してロックするとともに、シャッター２がキー孔Ａの上方を覆ってキー等を差し込むことができない状態となる。これにより、第三者がキー孔Ａに他のキーやハサミ等を差し込んでいたずら等がなされてしまうのを防止することができる。
【００４８】
一方、閉塞位置にあるシャッター２を開放位置まで摺動させてキー孔Ａを外部に臨ませるには、ハンドルスイッチケース１２に配設されたアクセススイッチの操作手段４を一方又は他方に揺動させてマイクロスイッチ４ａ又は４ｂをオンさせる。これにより、イモビライザシステムを含む車両の電源がオンするとともに、認証手段８による認証が開始されることとなる。このとき、ＬＥＤ１０（報知手段）が点灯して運転者に電源がオンされたことを報知可能となっている。
【００４９】
その後、イグニッションキーＩＫをハウジング１に近づけ、内蔵されたトランスポンダ６をハウジング１内のアンテナ７に近接させる。これにより、トランスポンダ６とアンテナ７との間で無線による通信が行われ、アンテナ７にトランスポンダ６から認証コード（ＩＤコード）が送信される。この認証コード（ＩＤコード）が、予め定められた正規のものか否かを認証手段８が認証し、正規のものである場合は、ソレノイド３のプランジャ３ａを没入（下降）させて当該シャッター２との係合を解き、ロックが解除される。プランジャ３ａとシャッター２との係合が解かれてロックが解除されると、コイルスプリング５による付勢力にてシャッター２が閉塞位置から開放位置まで自然に移動する。
【００５０】
こうして、シャッター２が開放位置に至ると、キー孔Ａが外部に臨んだ状態となるので、イグニッションキーＩＫを当該キー孔Ａに挿通して所定方向へ回転操作すれば、エンジンが始動され走行可能な状態となる。然るに、イグニッションキーＩＫがキー孔Ａに挿通した状態においても、トランスポンダ６とアンテナ７との間で通信による通信を行わせ、アンテナ７にトランスポンダ６から認証コード（ＩＤコード）を送信する。この認証コード（ＩＤコード）が、予め定められた正規のものか否かを認証手段８が認証し、正規のものである場合に限り、エンジンの始動が許可されるようになっている。
【００５１】
尚、エンジンが始動した後においては、アクセススイッチの操作手段４を揺動操作すると、マイクロスイッチ４ａ又はマイクロスイッチ４ｂがオンし、その電気信号が配線Ｃを介してコントローラ１３に送られ、二輪車が搭載するトランスミッションを制御して強制的にシフトアップ又はシフトダウンさせることとなり、本来のモードスイッチとして機能することとなる。
【００５２】
上記実施形態によれば、トランスポンダ６（送信手段）をアンテナ７（受信手段）に近接させることにより認証手段８による認証が行われた後、正規の認証コードを受信したことを条件としてソレノイド３（ロック手段）によるロックが解除され、シャッター２を閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするので、閉塞位置にあるシャッター２を開放位置まで動作させる際、従来の如きマグネット錠を用いるものに比べ、当該シャッター２のロック解除の操作性を向上させて容易且つスムーズにロック解除を行わせることができる。
【００５３】
また、トランスポンダ６（送信手段）をアンテナ７（受信手段）に近接させることにより認証手段８による認証を行わせ、ソレノイド３（ロック手段）によるロックを解除可能としたので、不用意なロック解除を回避することができる。即ち、ロックの解除を行わせるためには、運転者が意識してトランスポンダ６をアンテナ７に近接させる動作が必要であることから、意図しないで不用意にロックが解除されてしまうのを防止することができるのである。
【００５４】
特に、本実施形態においては、イグニッションキーＩＫの把持部にトランスポンダ６が内蔵されているので、イグニッションキーＩＫをハウジング１に近接させてトランスポンダ６からの認証コード（ＩＤコード）を認証させ、シャッター２を開放位置まで摺動させた後、そのイグニッションキーＩＫをそのままキー孔Ａに差し込むことができ、一連の動作を連続して行わせることができる。
【００５５】
加えて、アクセススイッチの操作手段４がハウジング１の外部に別体として配設され、二輪車の任意位置（本実施形態においてはハンドルスイッチケース１２）に取り付け可能とされたので、適用される車両の形態に応じて最適な操作が可能な位置に当該アクセススイッチの操作手段４を配設することができる。アクセススイッチの操作手段４は、車両のハンドルバーＨに固定されたハンドルスイッチケース１２に配設されたので、当該ハンドルスイッチケース１２に形成された種々操作スイッチと略同様の操作性が得られ、操作性をより向上させることができる。
【００５６】
然るに、本実施形態に係るアクセススイッチの操作手段４は、ハンドルスイッチケース１２に形成されて車両が具備する所定電装品を操作するための操作スイッチ（本実施形態においてはモードスイッチ）の操作手段と兼用されたので、当該ハンドルスイッチケース１２に対して別個新たにアクセススイッチの操作手段４を設けるものに比べ、ハンドルスイッチケース１２の大型化及び部品点数の増加を回避することができる。尚、本実施形態においては、アクセススイッチの操作手段４がモードスイッチの操作手段と兼用されているが、他の操作スイッチの操作手段と兼用させてもよい。
【００５７】
例えば、アクセススイッチの操作手段４と兼用される操作スイッチの操作手段として、図１３に示すように、ハンドルスイッチケース１４に形成されて二輪車のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段１５としてもよい。更に、アクセススイッチ（操作手段４にてスイッチングされるもの）は、ハンドルスイッチケース１４に形成されたものの他、例えば図１４に示すように、把持グリップ（不図示）近傍に取り付けられた操作レバー１６の操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ１７（又はクラッチスイッチ）から成るものであってもよい。
【００５８】
尚、図１４中符号Ｌ２は、操作レバー１６の揺動軸、符号１７ａはブレーキスイッチ１７（又はクラッチスイッチ）の作動軸を示している。而して、揺動軸Ｌ２を中心として操作レバー１６を揺動操作することによりブレーキスイッチ１７（又はクラッチスイッチ）をオンさせることができるよう構成されるとともに、アクセススイッチとして機能する際は、当該ブレーキスイッチ１７がオンすることによる電気信号が配線Ｃを介して認証手段８に送られ、認証が開始させるようになっている。
【００５９】
このように、アクセススイッチの操作手段を兼用させる操作スイッチの操作手段として、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段１５、又は車両のシフトアップ又はシフトダウンを制御するためのモードスイッチの操作手段から成るので、当該スタータスイッチの操作手段１５又はモードスイッチの操作手段とアクセススイッチの操作手段４とを兼用させることができる。
【００６０】
特に、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段１５をアクセススイッチの操作手段４と兼用させれば、エンジン始動操作とアクセススイッチの操作手段４の操作とを同時に行わせることができ、操作性を更に向上させることができる。また、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバー１６の操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ１７をアクセススイッチと兼用させれば、エンジン始動操作の際の安全動作（ブレーキ操作を行うことによりエンジン始動時の不用意な車両の発進の回避動作）とアクセススイッチの操作手段４の操作とを同時に行わせることができ、操作性を更に向上させることができる。
【００６１】
また更に、アクセススイッチは、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバー１６の操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ１７若しくはクラッチスイッチの他、運転者の足で操作するフットブレーキのブレーキスイッチ、又は車両が具備するスタンドを上げることによりスイッチング可能なスイッチ（何れも不図示）を兼用させて成るものとしてもよい。
【００６２】
一方、本実施形態によれば、送信手段は、イグニッションキーＩＫの把持部に内蔵されたトランスポンダ６から成るとともに、認証コードは、車両固有のＩＤコードであるので、トランスポンダ６からアンテナ７（受信手段）に対して車両固有のＩＤコードを送信し、そのＩＤコードが正規のものである場合に限りエンジン始動を許可するイモビライザシステムのＩＤコードと認証コードとを共用（共通化）させることができる。
【００６３】
また更に、ソレノイド３から成るロック手段によるロックが解除されるとコイルスプリング５から成る付勢手段による付勢力にてシャッター２が閉塞位置から開放位置まで移動するので、閉塞位置にあるシャッター２を開放位置まで運転者が操作する必要がなく、ロック解除からキー孔Ａ開放までの一連の操作性をより向上させることができる。
【００６４】
次に、本発明に係る第２の実施形態について説明する。
本実施形態に係るシリンダ錠の保護装置は、第１の実施形態と同様、スクータ等の二輪車が具備するシリンダ錠のキー孔上方に設けられ、当該キー孔を外側から開閉可能とすることによりシリンダ錠を保護し得るもので、図１５で示すように、シャッター２及びロック手段としてのソレノイド３等が配設されたハウジング１と、該ハウジング１の外部に別体として配設される押しボタン式の操作手段から成るアクセススイッチの操作手段１８とから構成されている。尚、当該ソレノイド３、付勢手段としてのコイルスプリング５、送信手段としてのトランスポンダ６、受信手段としてのアンテナと、認証手段８等は、第１の実施形態と同様なものであり、それらの詳細な説明を省略することとする。
【００６５】
アクセススイッチ（操作手段１８でスイッチングされるスイッチ）は、配線Ｃを介して認証手段８と電気的に接続されるとともに、二輪車の任意位置に取り付け可能とされたものである。かかるアクセススイッチの操作手段１８は、例えば、図１６、１７に示すように、二輪車のハンドルバーＨに固定されたハンドルスイッチケース１９に取り付け可能とされたマイクロスイッチ１８ａを有したものとされる。そして、アクセススイッチの操作手段１８としての押しボタンをリターンスプリング２０の付勢力に抗して押圧操作すると、操作軸１８ａａが押圧されてマイクロスイッチ１８ａ（「アクセススイッチ」に相当）がオンし、配線Ｃを介して電気信号が認証手段８に送られるようになっている。これにより、認証手段８による認証が開始されることとなる。この場合、当該ハンドルスイッチケース１９に形成された種々操作スイッチと略同様の操作性が得られ、操作性をより向上させることができる。
【００６６】
また、アクセススイッチの操作手段１８を、例えば、図１８、１９に示すように、二輪車のキー孔Ａ近傍の位置（例えばハウジング１と隣接させた位置等）におけるフロントパネル２１内に配設するようにしてもよい。かかるマイクロスイッチ１８の押しボタンをリターンスプリング２２の付勢力に抗して押圧操作すると、操作軸１８ａａが押圧されてマイクロスイッチ１８ａがオンし、配線Ｃを介して電気信号が認証手段８に送られるようになっている。これにより、認証手段８による認証が開始されることとなる。この場合、アクセススイッチの操作手段１８がハウジング１の近傍に位置することとなり、当該アクセススイッチの操作手段４による認証開始がなされた後、シャッター２が開放位置まで移動してキー孔Ａに車両のキーを挿通するまでの動作をスムーズに行わせることができる。
【００６７】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アクセススイッチの操作手段がハウジング１の外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされたものであれば、他の位置に形成されたものであってもよい。
【００６８】
然るに、アクセススイッチの操作手段を、ハンドルスイッチケースに形成された操作スイッチの操作手段と兼用する場合、車両のエンジンが始動するまでは操作されない操作スイッチの操作手段（即ち、専らエンジンが駆動中において操作されるもの）と兼用させるのが好ましく、当該アクセススイッチは、防水が施された操作スイッチと兼用させるのが更に好ましい。
【００６９】
また、運転者が携帯可能とされ、認証コードを送信可能な送信手段は、本実施形態の如くイモビライザシステムを構成するトランスポンダに限定されず、他の送信手段（例えばイグニッションキーＩＫとは別個独立した携帯型のもの等）としてもよい。この場合、イモビライザシステムを具備していない車両にも適用できる。また、ロック手段は、本実施形態の如くソレノイド３から成るものに限らず、モータやシリンダ等で駆動し得るもの等としてもよい。更には、二輪車の他、四輪車やバギー、雪上車等他の車両におけるシリンダ錠の保護装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【００７０】
認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、ロック手段によるロックを解除し、シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするものであって、アクセススイッチの操作手段は、ハウジングの外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされたシリンダ錠の保護装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００７１】
【図１】本発明の第１の実施形態に係るシリンダ錠の保護装置を示す斜視図
【図２】同シリンダ錠の保護装置におけるアクセススイッチの操作手段を示す断面模式図
【図３】同シリンダ錠の保護装置におけるアクセススイッチと他の構成要素との電気的接続関係を示すブロック図
【図４】同シリンダ錠の保護装置のハウジング（シャッターが開放位置）を示す上面図
【図５】図４におけるＶ−Ｖ線断面図
【図６】同シリンダ錠の保護装置（ハウジングを取り外して当該ハウジングの内部構成が分かる状態としたもの）を示す側面図
【図７】同シリンダ錠の保護装置全体を示すブロック図
【図８】同シリンダ錠の保護装置において適用されるイグニッションキーを示す模式図
【図９】図４におけるＩＸ−ＩＸ線断面図
【図１０】同シリンダ錠の保護装置のハウジング（シャッターが開放位置）を示す上面図
【図１１】図１０の状態におけるシリンダ錠の保護装置を示す縦断面図
【図１２】図１０の状態におけるシリンダ錠の保護装置（ハウジングを取り外して当該ハウジングの内部構成が分かる状態としたもの）を示す側面図
【図１３】同シリンダ錠の保護装置においてアクセススイッチの操作手段を他の操作スイッチの操作手段（スタータスイッチ）と兼用させたものを示す模式図
【図１４】同シリンダ錠の保護装置においてアクセススイッチを他の操作スイッチ（ブレーキスイッチ）と兼用させたものを示す模式図
【図１５】本発明の第２の実施形態に係るシリンダ錠の保護装置を示す斜視図
【図１６】同シリンダ錠の保護装置におけるアクセススイッチの操作手段をハンドルスイッチケースに配設させたものを示す模式図
【図１７】同アクセススイッチの操作手段及びその近傍を示す断面模式図
【図１８】同シリンダ錠の保護装置におけるアクセススイッチの操作手段をキー孔近傍に配設させたものを示す模式図
【図１９】同アクセススイッチの操作手段及びその近傍を示す断面模式図
【符号の説明】
【００７２】
１ ハウジング
２ シャッター
３ ソレノイド（ロック手段）
４ アクセススイッチの操作手段
５ コイルスプリング（付勢手段）
６ トランスポンダ（送信手段）
７ アンテナ（受信手段）
８ 認証手段
９ ＥＣＵ
１０ ＬＥＤ（報知手段）
１１ ＬＥＤ（照明手段）
１２ ハンドルスイッチケース
１３ コントローラ
１４ ハンドルスイッチケース
１５ スタータスイッチ
１６ 操作レバー
１７ ブレーキスイッチ
１８ アクセススイッチの操作手段
１９ ハンドルスイッチケース
２０ リターンスプリング
２１ フロントパネル
２２リターンスプリング
Ａ キー孔
Ｓ シリンダ錠
Ｃ 配線
【特許請求の範囲】
【請求項１】
車両におけるシリンダ錠のキー孔の上方に設けられたハウジングと、
該ハウジング内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、閉塞位置で前記キー孔を塞ぐとともに開放位置で当該キー孔を開放するシャッターと、
閉塞位置にある前記シャッターをロックして開放位置への移動を規制するロック手段と、
運転者が携帯可能とされ、認証コードを送信可能な送信手段と、
該送信手段が近接されることにより当該送信手段からの認証コードを非接触にて受信可能な受信手段と、
該受信手段にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段と、
前記認証手段による認証を開始させるアクセススイッチの操作手段と、
を具備し、当該認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、前記ロック手段によるロックを解除し、シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするシリンダ錠の保護装置であって、
前記アクセススイッチの操作手段は、前記ハウジングの外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされたことを特徴とするシリンダ錠の保護装置。
【請求項２】
前記アクセススイッチの操作手段は、車両のハンドルバーに固定されたハンドルスイッチケースに配設されたことを特徴とする請求項１記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項３】
前記アクセススイッチの操作手段は、前記ハンドルスイッチケースに形成されて車両が具備する所定電装品を操作するための操作スイッチの操作手段と兼用されたことを特徴とする請求項２記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項４】
前記操作スイッチの操作手段は、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段、又は車両のシフトアップ又はシフトダウンを制御するためのモードスイッチの操作手段から成ることを特徴とする請求項３記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項５】
前記操作スイッチは、操作により微弱な電気信号を送信し得るとともに防水が施されたマイクロスイッチから成ることを特徴とする請求項３又は請求項４記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項６】
前記アクセススイッチは、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバーの操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ若しくはクラッチスイッチ、運転者の足で操作するフットブレーキのブレーキスイッチ、又は車両が具備するスタンドを上げることによりスイッチング可能なスイッチを兼用させて成ることを特徴とする請求項１記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項７】
前記アクセススイッチの操作手段は、前記キー孔近傍の位置に配設されたことを特徴とする請求項１記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項８】
前記送信手段は、イグニッションキーの把持部に内蔵されたトランスポンダから成るとともに、前記認証コードは、車両固有のＩＤコードであることを特徴とする請求項１〜７の何れか１つに記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項１】
車両におけるシリンダ錠のキー孔の上方に設けられたハウジングと、
該ハウジング内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、閉塞位置で前記キー孔を塞ぐとともに開放位置で当該キー孔を開放するシャッターと、
閉塞位置にある前記シャッターをロックして開放位置への移動を規制するロック手段と、
運転者が携帯可能とされ、認証コードを送信可能な送信手段と、
該送信手段が近接されることにより当該送信手段からの認証コードを非接触にて受信可能な受信手段と、
該受信手段にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段と、
前記認証手段による認証を開始させるアクセススイッチの操作手段と、
を具備し、当該認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、前記ロック手段によるロックを解除し、シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするシリンダ錠の保護装置であって、
前記アクセススイッチの操作手段は、前記ハウジングの外部に別体として配設され、車両の任意位置に取り付け可能とされたことを特徴とするシリンダ錠の保護装置。
【請求項２】
前記アクセススイッチの操作手段は、車両のハンドルバーに固定されたハンドルスイッチケースに配設されたことを特徴とする請求項１記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項３】
前記アクセススイッチの操作手段は、前記ハンドルスイッチケースに形成されて車両が具備する所定電装品を操作するための操作スイッチの操作手段と兼用されたことを特徴とする請求項２記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項４】
前記操作スイッチの操作手段は、車両のエンジンを始動するためのスタータスイッチの操作手段、又は車両のシフトアップ又はシフトダウンを制御するためのモードスイッチの操作手段から成ることを特徴とする請求項３記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項５】
前記操作スイッチは、操作により微弱な電気信号を送信し得るとともに防水が施されたマイクロスイッチから成ることを特徴とする請求項３又は請求項４記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項６】
前記アクセススイッチは、把持グリップ近傍に取り付けられた操作レバーの操作によりスイッチング可能なブレーキスイッチ若しくはクラッチスイッチ、運転者の足で操作するフットブレーキのブレーキスイッチ、又は車両が具備するスタンドを上げることによりスイッチング可能なスイッチを兼用させて成ることを特徴とする請求項１記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項７】
前記アクセススイッチの操作手段は、前記キー孔近傍の位置に配設されたことを特徴とする請求項１記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項８】
前記送信手段は、イグニッションキーの把持部に内蔵されたトランスポンダから成るとともに、前記認証コードは、車両固有のＩＤコードであることを特徴とする請求項１〜７の何れか１つに記載のシリンダ錠の保護装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【公開番号】特開２０１０−３７８３４（Ｐ２０１０−３７８３４Ａ）
【公開日】平成２２年２月１８日（２０１０．２．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２０２８６０（Ｐ２００８−２０２８６０）
【出願日】平成２０年８月６日（２００８．８．６）
【出願人】（０００２１３９５４）朝日電装株式会社 (184)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年２月１８日（２０１０．２．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年８月６日（２００８．８．６）
【出願人】（０００２１３９５４）朝日電装株式会社 (184)
【Ｆターム（参考）】
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