説明

シート材の欠陥検査方法、及びそれに用いる検査用治具

【課題】表面に微細な凹凸形状等の地合パターンを有するシート材の欠陥を、迅速かつ再現性良く検査する方法を提供する。
【解決手段】焦点調整用シート材を欠陥検査位置に載置し、カメラの焦点を合わせる第1のフォーカス工程、前記焦点調整用シート材から当該カメラの焦点をずらすように調整する第1のデフォーカス工程、第1のフォーカス工程における焦点位置Aから第1のデフォーカス工程における焦点位置Bまでの距離dを計測及び記録する工程、被検査シート材を第1のフォーカス工程と同一又は異なる欠陥検査位置に載置し、その地合パターンにカメラの焦点を合わせる第2のフォーカス工程、及び当該カメラの焦点を、第2のフォーカス工程における焦点位置A’から、前記距離d分ずらした焦点位置B’に合わせる第2のデフォーカス工程、及び焦点位置B’に焦点を合わせたカメラで被検査シート材の欠陥を検査する工程、を含むことを特徴とする欠陥検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材の欠陥検査方法、及びその検査に用いる検査用治具に関し、特に表面に微細な凹凸形状等の地合パターンを有するシート材に生じる異物欠陥、気泡欠陥、塊状欠陥等を再現性良く検査する方法、及び検査用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製フィルム、特に透明又は半透明の樹脂製フィルム等のシート材を製造する際、原料の品質又は製造プロセス等に起因する異物欠陥、気泡欠陥又は塊状欠陥等の欠陥が生じる場合がある。これらの欠陥は、最終製品の性能を低下させる原因となり得るため、シート材の製造工程においてオンライン検査し、製造工程にフィードバックしたり、製品検査工程において検査し、不良品を排除したりする必要がある。一般に、シート材の表面や内部に生じた異物欠陥、気泡欠陥、塊状欠陥等の欠陥を検査する場合、被検査シート材に光を照射し、その透過光又は反射光をカメラ等で受光し、被検査シート材の欠陥を光の明暗等として検出し判断する方法が良く用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、シート材の中には、例えば、特許文献2に記載されたエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAともいう)等からなる太陽電池用封止膜のように、表面に微細な凹凸形状の地合パターンを有する透明樹脂製シート材がある。このような地合パターンを有するシート材について欠陥を検査する場合、シート表面に焦点を合わせた場合、地合パターンの模様が欠陥として認識されてしまい、欠陥の有無が判断し難くなることになる。この場合、目視検査を行う方法もあるが、迅速な検査を行うことは困難である。
【0004】
特許文献3には、光学的に均一でない透明シートの欠陥検査法として、シート表面の光学画像をデフォーカス(焦点をずらすことをいう)して検出し、所定の処理をし、欠陥部に対応した明暗抽出用のしきい値に基づいて透明シートの欠陥を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−242006号公報
【特許文献2】特開2010−192804号公報
【特許文献3】特開平06−235624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、表面に微細な凹凸形状等の地合パターンを有する透明樹脂製シート材等の欠陥を検査する際に、シート表面からデフォーカスして欠陥を検出する場合、どの程度、焦点を調整するかについては、操作者によってバラつきがあり、同一条件で検査する再現性を担保することが困難であった。また、複数の検査装置を用いて検査する場合、検査装置の機差もあるため、同一条件に設定することも困難であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、表面に微細な凹凸形状等の地合パターンを有するシート材における欠陥を、迅速に且つ再現性良く検査する方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、その方法に用いる検査用治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、地合パターンを有する被検査シート材に光を照射し、カメラにより被検査シート材の光学画像を検出することにより、被検査シート材の欠陥を検査する方法であって、
被検査シート材と同様な地合パターン及び地合パターン中に欠陥を有する焦点調整用シート材を欠陥検査位置に載置し、前記地合パターンに、カメラの焦点を合わせる第1のフォーカス工程、前記地合パターンの画像をぼかし、前記欠陥の画像を検出できるように、前記地合パターンから当該カメラの焦点をずらすように調整する第1のデフォーカス工程、第1のフォーカス工程における焦点位置(A)から第1のデフォーカス工程における焦点位置(B)までの距離(d)を計測及び記録する工程、被検査シート材を第1のフォーカス工程と同一又は異なる欠陥検査位置に載置し、その地合パターンにカメラの焦点を合わせる第2のフォーカス工程、当該カメラの焦点を、第2のフォーカス工程における焦点位置(A’)から、前記距離(d)分ずらした焦点位置(B’)に合わせる第2のデフォーカス工程、及び焦点位置(B’)に焦点を合わせたカメラで被検査シート材の欠陥を検査する工程、を含むことを特徴とする欠陥検査方法によって達成される。これにより、焦点調整用シート材を用いて、一度、第1のデフォーカス工程を行い、焦点位置の移動距離(d)を記録すれば、操作者や検査装置が変わっても同一のデフォーカス条件で、被検査シート材の欠陥検査を迅速に行うことができる。
【0010】
本発明の欠陥検査方法の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記距離(d)を計測及び記録する工程が、第1のフォーカス工程後における、前記欠陥検査位置に、カメラの焦点移動方向に移動自在で、カメラの焦点位置に合わせることが可能な位置合わせ部材と、該位置合わせ部材の移動距離を計測する計測手段とを有する検査用治具を載置し、焦点位置(A)に前記位置合わせ部材を合わせる工程、及び第1のデフォーカス工程後における、前記欠陥検査位置に、前記検査用治具を載置し、焦点位置(B)まで前記位置合わせ部材を移動し、焦点位置(A)から焦点位置(B)までの距離(d)を計測する工程を含む。これにより、距離(d)を記録する工程において、実際の欠陥検査位置における焦点の移動距離を実測することができるので、どのような検査装置であっても、精確に距離(d)を計測することができる。
(2)(1)において、第2のデフォーカス工程が、第2のフォーカス工程後、前記欠陥検査位置に、前記検査用治具を載置し、焦点位置(A’)に前記位置合わせ部材を合わせる工程、及び前記位置合わせ部材を焦点位置(A’)から前記距離(d)分ずらした焦点位置(B’)に調整し、カメラの焦点を前記位置合わせ部材に合わせる工程を含む。これにより、どのような検査装置であっても、第2のデフォーカス工程において、実測した距離(d)を精確に再現することができるので、異なる検査装置間のデフォーカス条件をより一致させることができる。
【0011】
また、上記目的は、本発明の欠陥検査方法に用いる検査用治具であって、カメラの焦点移動方向に移動自在で、カメラの焦点位置に合わせることが可能な位置合わせ部材と、該位置合わせ部材の移動距離を計測する計測手段とを有する検査用治具によって達成される。
【0012】
本発明の検査用治具の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記計測手段が、前記位置合わせ部材と連動してスライドするスケールにより計測する手段である。これにより、どのような検査装置であっても容易に計測することができる。
(2)前記位置合わせ部材が、糸状部材である。これにより、カメラの焦点を容易に合わせることができる。
(3)前記糸状部材が、カメラの焦点移動方向と直交する方向に配置された一対の支持部の間に張られている。
(4)(3)において、カメラの焦点を合わせる糸状部材に対して、該糸状部材が張られた方向と直交する方向の前後に、前記カメラに近い位置と、遠い位置の補助用糸状部材が少なくとも1本ずつ張られている。補助用糸状部材を設けることにより、より精確に糸状部材にカメラの焦点を合わせることができる。
(5)(4)において、前記糸状部材及び補助用糸状部材の前記カメラの焦点移動方向の位置の差が、0.2〜10mmである。
(6)(4)又は(5)において、前記糸状部材及び補助用糸状部材の前記糸状部材が張られた方向と直交する方向の位置の差が、5〜20mmである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の欠陥検査方法によれば、表面に微細な凹凸形状等の地合パターンを有するシート材における欠陥検査において、適切なデフォーカス条件をカメラの焦点位置の移動距離として記録して、精確に再現できるので、検査装置の操作者や検査装置が変わっても、同一のデフォーカス条件で、シート材の欠陥検査を迅速に行うことができる。 また、本発明の検査用治具は、本発明の欠陥検査方法における距離(d)を記録する工程、及びデフォーカス条件を再現する第2のデフォーカス工程に有効な検査用治具である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明に係るシート材の欠陥検査方法の一例(前半、工程(a)〜(d))を示す概略図である。
【図2】図2は、図1から続く、本発明に係るシート材の欠陥検査方法の一例(後半、工程(e)〜(h))を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明のシート材の欠陥検査方法に用いる検査用治具の一例を示す概略図であり、図3(a)が概略平面図であり、図3(b)が概略正面図であり、図3(c)が概略側面図である。
【図4】図4は、図3の検査用治具を用いて、カメラの焦点位置を合わせた際のモニタ波形を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、微細な凹凸パターン等の地合パターンを有する被検査シート材に光を照射し、カメラにより被検査シート材の光学画像を取得することで、被検査シート材の欠陥を検査する方法である。以下に、本発明の欠陥検査方法について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1及び図2は、本発明の欠陥検査方法の一例を示す概略図である。欠陥検査装置は、カメラ41、欠陥検査台51、及び光源61を有する。カメラ41は、どのようなものでも良く。通常のラインセンサカメラやエリアセンサカメラ等を使用することができる。欠陥検査台51は、通常、シート材を搬送する搬送装置の一部に組み込まれて設けられる。光源61は、欠陥を検出できる程度の明るさがあれば良い。必要に応じて、偏光処理やスリットを通した光源を用いても良い。図1及び2では透過光を用いているが、反射光で欠陥を検出しても良い。
【0017】
まず被検査シート材と同様な地合パターン22及び地合パターン22中に異物欠陥等の欠陥(モデル)23を有する焦点調整用シート材21を、欠陥検査台51に載置する。この際、被検査シート材の欠陥を検査する欠陥検査位置に精確に載置する。焦点調整用シート材21の欠陥(モデル)23は、被検査シート材に生じる欠陥の代表的なものであり、シート材の種類によって、適宜用意することができる。その状態で、カメラ41の焦点を、地合パターン22に合わせる(第1のフォーカス工程、図1(a1))。このときの焦点位置を焦点位置(A)とする。図1(a2)は、地合パターン22に焦点を合わせたときのカメラ41の画像を示したものである。図に示す通り、地合パターン22の画像22’が、明瞭に映し出されるため、欠陥23の画像23’が検出し難くなっている。
【0018】
次に、この焦点位置(A)を記録するため、検査用治具31を欠陥検査台51の欠陥検査位置に精確に載置する。検査用治具31は、カメラ41の焦点移動方向に移動自在で、カメラ41の焦点位置に合わせることができる糸状部材等の位置合わせ部材32、位置合わせ部材32を支持する支持部33、及び位置合わせ部材32の移動距離を計測する計測手段としてスケール34を有する。位置合わせ部材32は焦点位置に精確に合わせることができるピーク部分を有していれば、糸状部材でなくても良く、平板状部材に直線状の細線が形成されたもの等でも良い。スケール34は、例えば、固定目盛りと、位置合わせ部材32の位置の移動と連動してスライドする移動目盛りを有し、位置合わせ部材32の移動距離を実測できるものである。
【0019】
そして、検査用治具31の位置合わせ部材32の位置を移動し、カメラ41の焦点が位置合わせ部材32に合うように調節する。この位置のスケール34の値を記録することで、焦点位置(A)の位置を記録する(図1(b))。
【0020】
次に、再度、焦点調整用シート材21を欠陥検査位置に精確に載置し、図1(c2)に示したカメラ41の画像のように、地合パターン22の画像22’をぼかし、欠陥23の画像23’を検出し易くするため、地合パターン22からカメラ41の焦点をずらすように調整する(第1のデフォーカス工程、図1(c1))。この際、カメラ41の光学画像を確認して、欠陥23の画像23’が検出し易い最適な位置に調整する。このときの焦点位置を焦点位置(B)とする。
【0021】
次に、図1(b)と同様に検査用治具31を、欠陥検査位置に精確に載置し、位置合わせ部材32の位置を移動し、カメラ41の焦点が位置合わせ部材32に合うように調節する。この焦点位置(B)のスケール34の値と、図1(b)で記録した焦点位置(A)の値との差を算出することにより、焦点位置(A)から焦点位置(B)までの距離(d)を精確に計測することができる。
【0022】
そして、実際に欠陥検査を行う被検査シート材11を欠陥検査台51の欠陥検査位置に精確に載置する。この欠陥検査台51は、第1のフォーカス工程を行った同一の検査装置のものでも、異なる検査装置のものでも良い。同一の検査装置であり、第1のデフォーカス工程を行った直後であれば、当然、そのデフォーカス条件で欠陥検査を行うことができる。本発明においては、同一の検査装置であっても別の検査を実施してカメラの焦点を変更した場合や、異なる検査装置を用いて同一の検査を行う場合に効果を発揮する。それらの場合、カメラ41の焦点を、第1のフォーカス工程と同様に、被検査シート11の地合パターン12に合わせる(第2のフォーカス工程、図2(e1))。このときの焦点位置を焦点位置(A’)とする。図2(e2)は、地合パターン12に焦点を合わせたときのカメラ41の画像を示したものである。図に示す通り、地合パターン12の画像12’が、明瞭に映し出されている。
【0023】
次に、図1(b)と同様に検査用治具31を、欠陥検査位置に精確に載置し、位置合わせ部材32の位置を移動し、カメラ41の焦点が位置合わせ部材32に合うように調節する(図2(f))。そして、第1のデフォーカス工程で記録した焦点の移動距離(d)分の焦点位置をずらした焦点位置(B’)へ検査用治具31の位置合わせ部材32を移動させる。その後、カメラ41の焦点を位置合わせ部材32に合わせる(第2のデフォーカス工程、図2(g))。この状態で、再度、被検査シート材11を欠陥検査台51の欠陥検査位置に精確に載置し、欠陥検査を実施する(図2(h1))。これにより、図2(h2)に示したカメラ41の画像のように、地合パターン12の画像をぼかした、第1のデフォーカス工程で設定したデフォーカス条件を精確に再現して、欠陥検査を行うことができる。即ち、焦点調整用シート材を用いて、一度、第1のデフォーカス工程を行い、焦点位置の移動距離(d)を記録すれば、操作者や検査装置が変わっても同一のデフォーカス条件で、被検査シート材の欠陥検査を迅速に行うことができる。
【0024】
本発明において、第1のフォーカス工程における焦点位置(A)から第1のデフォーカス工程における焦点位置(B)までの距離(d)を計測及び記録する工程は、検査用治具31を用いなくても良い。例えば、カメラや検出器における各種パラメータの値の変化量を記録することで算出しても良く、レーザ距離センサ等でシート材の位置の移動距離を実測して距離(d)を記録しても良い。シート材の欠陥検査装置全体の機差等を考慮すると、実際に欠陥検査位置における焦点の移動距離を実測することが好ましく、コストを考慮すると、検査用治具31を用いることが好ましい。また、第2のデフォーカス工程においても同様に、検査用治具31を用いなくても良く、記録した焦点位置(A)から焦点位置(B)までの距離を上述のような別の手段で再現しても良い。どのような検査装置であっても、距離(d)を精確に再現することができるので、検査用治具31を用いることが好ましい。これにより、異なる検査装置間のデフォーカス条件をより一致させることができる。
【0025】
[欠陥検査用治具]
本発明の欠陥検査用治具は、本発明の欠陥検査方法において、カメラの焦点の移動距離の計測及び記録に使用するものである。従って、カメラの焦点移動方向に移動自在で、カメラの焦点位置に合わせることが可能な位置合わせ部材と、位置合わせ部材の移動距離を計測する計測手段とを有していれば、どのような治具でも良い。
【0026】
図3は、本発明の検査用治具の一例を示す概略図であり、図3(a)が概略平面図であり、図3(b)が概略正面図であり、図3(c)が概略側面図である。図3に示した検査用治具は、欠陥検査装置の欠陥検査位置に配置でき、カメラの焦点移動方向に、上下方向が一致する検査用治具本体101と、本体101に接して配置され上下方向(矢印方向)にスライド可能な支持部材103とから構成される。そして、支持部材103には、本体101の上下方向と直交する方向(即ちカメラの焦点移動方向と直交する方向)に一対の支持部112が設けられ、位置合わせ部材としての糸状部材102が、支持部112の間に張られている。支持部材103のスライド移動は、位置合わせ用調節部105(図示していないギア等を有する)により移動停止自在に調節できる。また、支持部材103には、そのスライド移動(即ち、糸状部材102の移動)と連動してスライドするスケール104が接続され、スケール104の目盛りと、本体101の固定スケールの目盛りとから、支持部材103の移動距離(即ち、糸状部材102の移動距離)を精確に計測することができる。スケール104は、デジタルスケールを組み込んだものでも良い。
【0027】
糸状部材102は白色、黒色等の不透明な糸状で、カメラの焦点を合わせることができる直径を有していれば、どのようなものでも良い。また、糸状部材でなくても、焦点を合わせることができる直線等の光学的なピーク部分があれば、平板状や三角柱又は多角柱状でも良い。糸状部材の直径(その他の場合の直線等の幅)は0.05〜0.3mmが好ましい。
【0028】
更に、図3の検査用治具には、糸状部材102に対して、糸状部材102が張られた方向と直交する方向の前方側及び後方側に、それぞれカメラに近い位置と遠い位置の補助用糸状部材106が張られている。各補助用糸状部材106は、支持部材103に設けられた、各一対の補助用糸状部材支持部116の間に張られている。
【0029】
図4は、図3に示した検査用治具を用い、カメラの焦点位置を合わせた際のモニタ波形を示した図である。図示のように、補助用糸状部材106のモニタ波形を参照することにより、糸状部材102のもモニタ波形のピークを明瞭に把握することができる。
【0030】
本発明において、補助用糸状部材106は無くても良いが、上述のように、より精確に糸状部材102にカメラの焦点を合わせることができるため、補助用糸状部材106を設けることが好ましい。補助用糸状部材106を設ける場合は、糸状部材102に対して、カメラに近い位置と遠い位置に、少なくとも、1本ずつ張られていれば良く、各位置に複数本張られていても良い。
【0031】
糸状部材102と補助用糸状部材106の上下方向(即ち、カメラの焦点移動方向)の位置の差(H)には、特に制限は無く、焦点位置を合わせる際に参照し易い間隔に設定する。好ましくは、0.2〜10mmであり、更に好ましくは0.2〜2mm。である。また、糸状部材102と補助用糸状部材106の糸状部材102が張られた方向と直交する方向の位置の差(W)には、特に制限はない。好ましくは5〜20mmであり、更に好ましくは。5〜10mmである。
【0032】
なお、本発明は上記の実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明により、表面に微細な凹凸形状等の地合パターンを有するシート材の製造工程又は製品検査における欠陥検査を、精確に行うことができ、高品質のシート材を提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
11 被検査シート材
12、22 地合パターン
12’、22’ 地合パターン画像
21 焦点調整用シート材
23 欠陥(モデル)
23’ 欠陥(モデル)画像
31 欠陥検査用治具
32 位置合わせ部材(糸状部材)
33 支持部
34 スケール
41 カメラ
51 欠陥検査台(搬送装置)
61 光源
102 糸状部材
103 支持部材
104 スケール
105 位置合わせ用調節部
106 補助用糸状部材
112 糸状部材支持部
116 補助用糸状部材支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地合パターンを有する被検査シート材に光を照射し、カメラにより被検査シート材の光学画像を検出することにより、被検査シート材の欠陥を検査する方法であって、
被検査シート材と同様な地合パターン及び地合パターン中に欠陥を有する焦点調整用シート材を欠陥検査位置に載置し、前記地合パターンに、カメラの焦点を合わせる第1のフォーカス工程、
前記地合パターンの画像をぼかし、前記欠陥の画像を検出できるように、前記地合パターンから当該カメラの焦点をずらすように調整する第1のデフォーカス工程、
第1のフォーカス工程における焦点位置(A)から第1のデフォーカス工程における焦点位置(B)までの距離(d)を計測及び記録する工程、
被検査シート材を第1のフォーカス工程と同一又は異なる欠陥検査位置に載置し、その地合パターンにカメラの焦点を合わせる第2のフォーカス工程、
当該カメラの焦点を、第2のフォーカス工程における焦点位置(A’)から、前記距離(d)分ずらした焦点位置(B’)に合わせる第2のデフォーカス工程、及び
焦点位置(B’)に焦点を合わせたカメラで被検査シート材の欠陥を検査する工程、
を含むことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
前記距離(d)を計測及び記録する工程が、第1のフォーカス工程後における、前記欠陥検査位置に、カメラの焦点移動方向に移動自在で、カメラの焦点位置に合わせることが可能な位置合わせ部材と、該位置合わせ部材の移動距離を計測する計測手段とを有する検査用治具を載置し、焦点位置(A)に前記位置合わせ部材を合わせる工程、及び
第1のデフォーカス工程後における、前記欠陥検査位置に、前記検査用治具を載置し、焦点位置(B)まで前記位置合わせ部材を移動し、焦点位置(A)から焦点位置(B)までの距離(d)を計測する工程を含む請求項1に記載の欠陥検査方法。
【請求項3】
第2のデフォーカス工程が、第2のフォーカス工程後、前記欠陥検査位置に、前記検査用治具を載置し、焦点位置(A’)に前記位置合わせ部材を合わせる工程、及び
前記位置合わせ部材を焦点位置(A’)から前記距離(d)分ずらした焦点位置(B’)に調整し、カメラの焦点を前記位置合わせ部材に合わせる工程を含む請求項2に記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の欠陥検査方法に用いる検査用治具であって、
カメラの焦点移動方向に移動自在で、カメラの焦点位置に合わせることが可能な位置合わせ部材と、該位置合わせ部材の移動距離を計測する計測手段とを有する検査用治具。
【請求項5】
前記計測手段が、前記位置合わせ部材と連動してスライドするスケールにより計測する手段である請求項4に記載の検査用治具。
【請求項6】
前記位置合わせ部材が、糸状部材である請求項4又は5に記載の検査用治具。
【請求項7】
前記糸状部材が、カメラの焦点移動方向と直交する方向に配置された一対の支持部の間に張られている請求項6に記載の検査用治具。
【請求項8】
カメラの焦点を合わせる糸状部材に対して、該糸状部材が張られた方向と直交する方向の前後に、前記カメラに近い位置と、遠い位置の補助用糸状部材が少なくとも1本ずつ張られている請求項7に記載の検査用治具。
【請求項9】
前記糸状部材及び補助用糸状部材の前記カメラの焦点移動方向の位置の差が、0.2〜10mmである請求項8に記載の検査用治具。
【請求項10】
前記糸状部材及び補助用糸状部材の前記糸状部材が張られた方向と直交する方向の位置の差が、5〜20mmである請求項8又は9に記載の検査用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−202713(P2012−202713A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64850(P2011−64850)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】