シート状被搬送物搬送装置及び画像形成装置
【課題】周囲からの熱的影響などを受けて駆動ロールに外径変動が発生した場合であっても、駆動ローラとシート状被搬送物供給装置のロール状部材との、被搬送物の搬送速度があらかじめ規定された範囲の速度条件を満たす。
【解決手段】外径の変動要因によって無端状ベルト17を駆動する駆動ロール19及びシート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材25、26の外径が変動した場合であっても、シート状被搬送物供給手段のシート状被搬送物搬送速度と、前記無端状ベルトのシート状被搬送物搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定。
【解決手段】外径の変動要因によって無端状ベルト17を駆動する駆動ロール19及びシート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材25、26の外径が変動した場合であっても、シート状被搬送物供給手段のシート状被搬送物搬送速度と、前記無端状ベルトのシート状被搬送物搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシート状被搬送物搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2000−147911号公報
【特許文献2】特開2000−330353号公報
【特許文献3】特開2003−15431号公報
【0003】
従来、電子写真方式等を採用したプリンターや複写機等の画像形成装置のうち、カラー画像を形成可能な画像形成装置としては、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の複数色のトナー像を、用紙搬送ベルト上に保持された状態で搬送される転写用紙上に多重に転写した後、当該イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の複数色のトナー像が多重に転写された転写用紙を、用紙搬送ベルトから分離して定着処理を施すことにより、カラー画像を形成するように構成したものがある。
【0004】
また、上記カラー画像を形成可能な画像形成装置としては、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の複数色のトナー像を、中間転写ベルト上に多重に一次転写した後、当該中間転写ベルト上に多重に一次転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の複数色のトナー像を、一括して転写用紙上に二次転写して定着処理を施すことにより、カラー画像を形成するように構成したものがある。
【0005】
かかる画像形成装置では、用紙搬送ベルトや中間転写ベルトに対して、当該用紙搬送ベルトによって搬送される転写用紙上に転写されるトナー像や、中間転写ベルトに多重に転写されたトナー像と同期させた状態で、レジストロールにより転写用紙を所定のタイミングで給紙する必要がある。その際、上記画像形成装置の場合には、用紙搬送ベルトによる転写用紙の搬送速度や、中間転写ベルトの移動速度が、レジストロールによる転写用紙の給紙速度よりも速いと、用紙搬送ベルトや中間転写ベルトによって搬送される転写用紙を引っ張ってしまうことになり、当該用紙搬送ベルトによって搬送される転写用紙や、中間転写ベルトから転写用紙上に転写されるトナー像が擦られて滲む、所謂“スミア" と呼ばれる画像欠陥が発生する。
【0006】
また、上記画像形成装置の場合には、用紙搬送ベルトによる転写用紙の搬送速度や、中間転写ベルトの移動速度が、レジストロールによる転写用紙の給紙速度よりも遅いと、用紙搬送ベルトや中間転写ベルトによって搬送される転写用紙を後方から押し込むことになり、当該用紙搬送ベルトによって搬送される転写用紙や、中間転写ベルトから転写用紙上に転写されるトナー像が圧縮される画像欠陥が発生する。
【0007】
そこで、これらの問題点を解決し得る技術としては、特開2000−147911号公報、特開2000−330353号公報、特開2003−15431号公報等に開示された技術が既に提案されている。
【0008】
上記特開2003−15431号公報に画像形成装置は、画像情報を用紙上に印字する手段として、前記画像情報を静電潜像ならびに可視化像とすることが可能な静電潜像担持手段と、可視化手段と、前記可視化された画像情報を前記用紙上に転写するための転写手段とを有する画像形成装置において、前記転写手段を構成する転写ベルトの環境変化あるいは履歴変化によって変動する前記転写ベルトの駆動負荷変動を吸収する負荷変動吸収部材を備えており、該負荷変動吸収部材は前記環境変化あるいは履歴変化に連動した作動を転写ベルトの回転軸に作用するようにされているものである。
【0009】
また、上記特開2000−330353号公報に係るカラー画像形成装置は、回転駆動源により駆動される駆動ローラと該駆動ローラの回転に伴い回転する少なくとも一つの従動ローラとに搬送ベルトを懸け回して構成され、画像記録媒体を搬送する搬送機構と、前記画像記録媒体の搬送方向に沿って配置され、該画像記録媒体上に異なる単色画像をそれぞれ形成する複数の画像形成ユニットとを有し、各単色画像を前記画像記録媒体上で重ね合わせてカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、前記駆動ローラおよび前記従動ローラのそれぞれの回転角速度の差を検出する回転角速度差検出手段と、前記回転角速度差検出手段により検出される回転角速度の差を最小化するように前記回転駆動源の回転速度を制御する制御手段とを備えるように構成したものである。
【0010】
さらに、上記特開2000−147911号公報に係る画像形成装置は、転写材を担持搬送する転写材搬送ベルトと、前記転写材搬送ベルトの転写材を担持する側とは反対側を支持する支持手段と、前記転写材搬送ベルトに担持された転写材に像を形成する像形成手段と、を有する画像形成装置において、前記支持手段は、前記転写材搬送ベルトによる転写材の搬送面を構成しない位置に設けられ、前記転写材搬送ベルトに駆動力を伝達する駆動ローラと、前記像形成手段により像形成終了後、前記転写材搬送ベルトから転写材が分離される位置に設けられる従動ローラと、を備えるように構成したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、装置を小型化した場合に無端状ベルトを駆動する駆動ロールが周囲からの熱的影響などを受けて当該駆動ロールに外径変動が発生した場合であっても、駆動ローラとシート状被搬送物供給装置のロール状部材との、被搬送物の搬送速度があらかじめ規定された範囲の速度条件を満たすようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、請求項1に記載された発明は、駆動ロールを含む複数のロール間に張架されて循環し移動しつつ、シート状被搬送物を搬送する無端状ベルトと、
前記無端状ベルトに対してシート状被搬送物を供給する互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材からなるシート状被搬送物供給手段とを備え、
前記シート状被搬送物供給手段のシート状被搬送物搬送速度と、前記無端状ベルトのシート状被搬送物搬送速度との間に、前記シート状被搬送物供給手段の方が規定値の範囲内だけ速度が速いか又は等しい速度となる速度条件を満たすように設定し、
かつ、外径の変動要因によって前記無端状ベルトを駆動する駆動ロール及びシート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の外径が変動した場合であっても、前記シート状被搬送物供給手段のシート状被搬送物搬送速度と、前記無端状ベルトのシート状被搬送物搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定したことを特徴とするシート状被搬送物搬送装置である。
【0013】
また、請求項2に記載された発明は、前記駆動ロールと前記シート状被搬送物材供給手段は、同一の駆動源によって駆動されることを特徴とする請求項1に記載のシート状被搬送物搬送装置である。
【0014】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記駆動ロール及び前記シート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の温度に対する外径の変化率を略同一に設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート状被搬送物搬送装置である。
【0015】
又、請求項4に記載された発明は、前記駆動ロール及び前記シート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の温度に対する外径の変化率が、1℃あたり±2.0×10-6以内であることを特徴とする請求項3に記載のシート状被搬送物搬送装置である。
【0016】
更に、請求項5に記載された発明は、トナー画像を形成する現像装置と、
駆動ロールを含む複数のロール間に張架されて循環し移動しつつ、前記現像装置により形成されたトナー像が転写される転写材を搬送する無端状ベルトと、
前記無端状ベルトに対して転写材を供給する互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材からなる転写材供給手段とを備え、
前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に、前記転写材供給手段の方が規定値の範囲内だけ速度が速いか又は等しい速度となる速度条件を満たすように設定し、
かつ、外径の変動要因によって前記無端状ベルトを駆動する駆動ロール及び転写材供給手段を構成するロール状部材の外径が変動した場合であっても、前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定したことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、装置を小型化した場合に、駆動ロールが周囲から熱的影響などを受けても駆動ロールとシート状被搬送物供給装置のロール状部材の、被搬送物の搬送速度があらかじめ規定された範囲の速度条件を満たすことができる。
【0018】
また、請求項2に記載された発明によれば、本発明を有しない場合に比較して、駆動系を簡略化することができる。
【0019】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、本発明を有しない場合に比較して、環境温度が変動した場合であっても、被搬送物の搬送速度をあらかじめ規定された範囲の速度条件を満たすことができる。
【0020】
又、請求項4に記載された発明によれば、本発明を有しない場合に比較して、環境温度が変動した場合であっても、被搬送物の搬送速度があらかじめ規定された範囲の速度条件を満たすことができる。
【0021】
更に、請求項5に記載された発明によれば、画像形成装置を小型化した場合に、転写材を吸着して搬送する無端状ベルトを駆動する駆動ロールが周囲から熱的影響などを受けても、駆動ロールとシート状被搬送物供給装置のロール状部材の、被搬送物の搬送速度があらかじめ規定された範囲の速度条件を満たすことができるので、画像欠陥の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
実施の形態1
図2はこの発明の実施を画像形成装置に適用した実施の形態のうち、用紙直接転写方式を採用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンタに適用したものを実施の形態1として説明する。ここで本発明は、画像形成装置に限定されず、シート状に加工された被搬送物を搬送する場合にも適用可能である。このフルカラープリンタは、例えば、パーソナルコンピュータやスキャナー等から送られてくる画像データに基づいてプリント動作を実行するように構成されている。
【0024】
図2において、1はタンデム型のフルカラープリンタの本体を示すものであり、このフルカラープリンタ本体1の内部には、その略中央部に、画像形成ユニット2が上下方向に沿って配設されている。また、フルカラープリンタ本体1の内部には、画像形成ユニット2の一側(図示例では、右側)に、画像形成ユニット2で形成された複数色のトナー像が転写される転写材を吸着した状態で搬送する用紙搬送ベルトユニット3が配設されているとももに、当該画像形成ユニット2の他側(図示例では、左側)には、制御回路等を備えた制御ユニット4が、画像形成ユニット2の斜め上方に、高圧電源回路等を備えた電源回路ユニット5が、それぞれ配設されている。また、上記フルカラープリンタ本体1内の底部には、転写材としての転写用紙18等を給紙する給紙装置6が配設されている。
【0025】
上記画像形成ユニット2は、下から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン (C)、ブラック(B)の各色のトナー像を形成する4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Bを備えており、これらの4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Bは、上下方向に沿って一定の間隔を隔てて直列的に配設されている。
【0026】
これらの4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Bは、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、大別して、図2に示すように、矢印方向に沿って所定の回転速度で回転する感光体ドラム8と、この感光体ドラム8の表面を一様に帯電する一次帯電用の帯電ロール9と、当該感光体ドラム8の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光装置10と、感光体ドラム8上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像装置11と、感光体ドラム8上に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置12と、現像装置11にトナーを補給するトナー補給装置13とから構成されている。
【0027】
上記現像装置11は、図2に示すように、内部に収容された二成分又は一成分の現像剤を攪拌しつつ現像ロール14へと供給し、当該現像ロール14に供給された現像剤の層厚を規制しながら、感光体ドラム8と対向する現像領域へと搬送し、当該感光体ドラム8の表面に形成された静電潜像を所定の色のトナーで現像するように構成されている。
【0028】
また、上記クリーニング装置12は、図2に示すように、感光体ドラム8の表面に残留した転写残トナーを、クリーニングブレード15によって除去し、除去された転写残トナーをクリーニング装置12の内部に搬送して収容するようになっている。
【0029】
さらに、上記フルカラープリンタ本体1の内部には、図2に示すように、制御ユニット4が配設されており、この制御ユニット4には、例えば、画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置16が設けられている。この画像処理装置16からは、露光装置10にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色の画像データが順次出力され、この露光装置10から画像データに応じて出射される4本のレーザービームLBが、それぞれの感光体ドラム8Y、8M、8C、8B上に走査露光されて静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム8Y、8M、8C、8B上に形成された静電潜像は、現像装置11Y、11M、11C、11Bによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像として現像される。
【0030】
また、上記用紙搬送ベルトユニット3は、図2に示すように、無端状ベルトとして、切れ目が無く循環し移動する用紙搬送ベルト17を備えており、当該用紙搬送ベルト17は、各画像形成部7Y、7M、7C、7Bで形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像が転写される転写材としての転写用紙18を静電的に吸着した状態で搬送するように構成されている。
【0031】
上記用紙搬送ベルト17は、図3に示すように、鉛直方向に沿って配設された張架ロールとしての駆動ロール19と従動ロール20との間に、所定の張力で張架されており、後述するように、駆動モータ21によって回転駆動される駆動ロール19によって、所定の速度で時計周り方向に沿って循環移動するように構成されている。上記駆動ロール19は、鉛直方向に沿った下方の位置に、従動ロール20は、鉛直方向に沿った上方の位置に配設されており、結果的に、駆動ロール19は、後述する用紙先端位置合わせロールの近傍に位置するように、従動ロール20よりも用紙先端位置合わせロール側に配設されている。
【0032】
上記駆動ロール19と従動ロール20との距離は、例えば、A3サイズの転写用紙18の長さと略等しい長さに設定されているが、これに限らず、駆動ロール19と従動ロール20との距離は、任意に設定して良いことは勿論である。上記用紙搬送ベルト17としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0033】
上記各画像形成部7Y、7M、7C、7Bの感光体ドラム8Y、8M、8C、8B上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像は、図2に示すように、用紙搬送ベルト17の表面に吸着された状態で搬送される転写用紙18上に、転写ロール23Y、23M、23C、23Bによって互いに重ね合わされた状態で多重に転写される。なお、上記転写ロール23Y、23M、23C、23Bは、用紙搬送ベルトユニット3に一体的に取り付けられている。
【0034】
上記転写用紙18は、図2に示すように、プリンタ本体1の底部に配設された給紙装置6から給紙される。この給紙装置6は、所望のサイズや材質の転写用紙18を収容した用紙トレイ24を備えており、当該用紙トレイ24からは、所望のサイズや材質の転写用紙18が給送ロール25によって給送されるとともに、捌きロール26によって1枚ずつ分離された状態で給紙され、シート状被搬送物供給手段としての用紙先端位置合わせロール27を介して所定のタイミングで用紙搬送ベルト17上の吸着位置へと搬送されるようになっている。
【0035】
なお、上記転写用紙18としては、シート状部材であって、例えば、A4サイズやA3サイズ、あるいはB5サイズやB4サイズなど種々のサイズ、及び、普通紙、コート紙等の厚紙や、OHPシートなど、種々の材質のものが用いられる。また、転写用紙18は、普通紙など同じ材質であっても、高温高湿環境下や低温低湿環境下などの保管される環境によっても、紙の剛性や表面状態、あるいは反りの発生など特性が変化することがあり、転写用紙37は、材質や剛性、表面状態、あるいは反りなどの特性によって搬送性が異なる場合がある。
【0036】
そして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像が多重に転写された転写用紙18は、図2に示すように、当該転写用紙18自身が有する剛性(所謂、コシ)によって用紙搬送ベルト17から分離された後、搬送経路28に沿って定着装置29へと搬送され、定着装置29によって熱及び圧力で、各色のトナー像が転写用紙18上に定着される。上記用紙搬送ベルト17と定着装置29は、近接して配設されており、用紙搬送ベルト17から分離された転写用紙18は、用紙搬送ベルト17の搬送力によって定着装置29へと搬送される。この定着装置29は、加熱ロール30と加圧ベルト31を互いに圧接した状態で回転駆動し、これら加熱ロール30と加圧ベルト31の間に形成されるニップ部に転写用紙18を通過させることにより、熱及び圧力で定着処理を施すように構成されている。その後、各色のトナー像が定着された転写用紙18は、排出ロール32によって、フルカラープリンタ本体1の上部に設けられた排出トレイ33上にプリント面を下にした状態で排出され、プリント動作が終了する。
【0037】
なお、上記フルカラープリンタでは、フルカラーの画像に限らず、モノクロなど所望の色の画像をプリントすることが可能となっており、プリントする画像の色に応じて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)のすべて、又は一部の画像形成部7Y、7M、7C、7Bによってトナー像が形成される。
【0038】
なお、図2中、符号34は給紙トレイ24から給紙される転写用紙18を検知する用紙検知センサーの変換装置を示しており、この変換装置34は、給紙トレイ24から給紙される転写用紙18によって矢印方向に沿って回転し、図示しない光学センサーをオン状態とすることにより、転写用紙18の給紙を検知するように構成されている。
【0039】
ところで、この実施の形態では、駆動ロールを含む複数のロール間に張架されて循環し移動しつつ、像が転写される転写材を搬送する無端状ベルトと、
前記無端状ベルトに対して転写材を供給する互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材からなる転写材供給手段とを備え、
前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に、前記転写材供給手段の方が規定値の範囲内だけ速度が速いか又は等しい速度となる速度条件を満たすように設定し、
かつ、外径の変動要因によって前記無端状ベルトを駆動する駆動ロール及び転写材供給手段を構成するロール状部材の外径が変動した場合であっても、前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定するように構成されている。
【0040】
すなわち、この実施の形態では、図1に示すように、転写用紙18を用紙搬送ベルトへと搬送する転写材供給手段としての用紙先端位置合わせロール27が、互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材としての第1の用紙先端位置合わせロール27aと第2の用紙先端位置合わせロール27bとから構成されている。上記第1の用紙先端位置合わせロール27aは、図6(a)に示すように、ステンレス等の金属製芯金50の外周に、ゴム材料等からなる弾性体層51を厚く被覆して構成されている。上記弾性体層51は、図5に示すように、金属製芯金50の軸方向に沿って複数に分割されて設けられている。また、上記第2の用紙先端位置合わせロール27bは、図6(b)に示すように、円柱形状の金属製ロール52のみから構成されている。上記第2の用紙先端位置合わせロール27bは、図5に示すように、金属製ロール52の外径が小さく形成された両端部52aが、ベアリング48によって回転自在に支持されているとともに、当該ベアリング48を介して付勢手段としてのスプリング49によって、第1の用紙先端位置合わせロール27aに圧接されている。
【0041】
また、この実施の形態では、図1に示すように、転写用紙18を用紙搬送ベルト17へと搬送する用紙先端位置合わせロール27と、用紙搬送ベルト17を駆動する駆動ロール19とが、同一の駆動源としての駆動モータ40によって回転駆動されるように構成されている。上記駆動モータ40の回転軸41には、図4及び図5に示すように、駆動ギア42が取り付けられており、この駆動ギア42には、直径の大きな第1の中間ギア43が噛み合わされているとともに、当該第1の中間ギア43には、第2の中間ギア44を介して、用紙先端位置合わせロール27のうち、一方のロール27aの端部に取り付けられた第1の従動ギア45が噛み合わされている。そして、用紙先端位置合わせロール27aは、駆動モータ40によって、駆動ギア42、第1の中間ギア43、第2の中間ギア44及び第1の従動ギア45を介して、所定の回転速度で駆動されるようになっている。
【0042】
また、上記第1の中間ギア43には、第3の中間ギア46を介して、用紙搬送ベルト17を駆動する駆動ロール19の端部に取り付けられた第2の従動ギア47が噛み合わされている。そして、用紙搬送ベルト17を駆動する駆動ロール19は、駆動モータ40によって、駆動ギア42、第1の中間ギア43、第3の中間ギア46及び第2の従動ギア47を介して、所定の回転速度で駆動されるようになっている。
【0043】
さらに、上記用紙先端位置合わせロール27の回転速度(周速)は、通常の環境下、つまり常温常湿環境(25℃、65%RH)下において、駆動ロール19によって回転駆動される用紙搬送ベルト17の移動速度より、規定値(例えば、0.5%程度)の範囲内だけ速度が速いか、又は等しい速度で回転駆動されるように設定されており、当該用紙先端位置合わせロール27によって用紙搬送ベルト17へ搬送される転写用紙18は、用紙搬送ベルト17の手前で所定量の弛みを形成するようになっている。なお、上記規定値は、例えば、0.5%程度に設定されるが、これに限定されるものではなく、当該0.5%より大きくても小さくても良いことは勿論である。
【0044】
上記用紙先端位置合わせロール27のうち、転写用紙18の表面側に接触するロール27aは、図6(a)に示すように、円柱状に形成された金属製芯金50の表面に弾性体層51を厚く被覆して構成されている。また、上記用紙先端位置合わせロールのうち、転写用紙18の裏面側に接触するロール27bは、図6(b)に示すように、ステンレスや鉄等の金属によって円柱形状に形成された金属製芯金52の表面に弾性体層53を薄く被覆して構成されている。弾性体層53の材質としては、例えば、NBRやEPDMなどが用いられる。ロール27bとしては、金属製芯金52のみからなるものを用いても良い。なお、上記用紙先端位置合わせロール27のうち、ロール27bが上述したように回転駆動されるため、転写用紙18に対する搬送速度は、ロール27bによって決定される。また、他方のロール27aは、ロール27bに従動駆動されるようになっている。
【0045】
また、駆動ロール19は、図7に示すように、円柱状に形成された金属製芯金54の表面に弾性体層55を薄く被覆して構成されている。上記金属製芯金54は、例えば、表面がニッケル(Ni)によってメッキされたSUM等の金属によって構成されているが、後述する条件を満たすように選択された他の材料を使用しても勿論良い。また、弾性体層55の材質としては、例えば、NBRやEPDMなどが用いられる。
【0046】
そころで、上記用紙先端位置合わせロール27や駆動ロール19は、図2に示すように、フルカラープリンタ本体1の内部において、当該フルカラープリンタ本体1内の上部に配設された定着装置29から比較的離れた位置、つまりフルカラープリンタ本体1内の下部に配設されているが、フルカラープリンタ本体1自体が小型化されているため、連続プリント時等においては、フルカラープリンタ本体1の内部温度が上昇し易い傾向にある。
【0047】
そのため、上記フルカラープリンタにおいて連続プリントを行った場合など、主として定着装置29が発する熱的な影響を受けて、フルカラープリンタ本体1内の温度が上昇する場合がある。すると、フルカラープリンタ本体1の内部に配設された用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19は、フルカラープリンタ本体1内の温度上昇に伴って熱膨張し、これら用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径が変化し、当該レジストロール27及び駆動ロール19によって搬送される転写用紙18や用紙搬送ベルト17の搬送速度が変動することになる。なお、フルカラープリンタ本体1内の温度が下降した場合も、同様に用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径が変化する。
【0048】
その際、上記用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19は、フルカラープリンタ本体1内の温度が上昇した場合に、当該用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径が変化する傾向や変化量が大きく異なると、用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19による転写用紙及び用紙搬送ベルト17の搬送速度が大幅に異なることになる。この場合には、図8に示すように、用紙先端位置合わせロール27によって搬送される転写用紙18と、駆動ロール19によって駆動される用紙搬送ベルト17によって搬送される転写用紙18の搬送速度の間に、大きくな速度差が発生し、規定値の範囲から外れる虞れがある。
【0049】
そこで、本発明者らは、図2に示すようなプリンタを試作し、用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19を構成する金属製芯金の直径、及び弾性体層の肉厚を種々異ならせたものを使用して、これら用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径の変化率及び色ずれやスミアの発生状況等を確認する実験を行った。
【0050】
上記用紙先端位置合わせロール27としては、金属製芯金52の直径が8mm、弾性体層53の肉厚が2mmのものを使用した。また、駆動ロール19としては、その外径を13.92mmに設定し、金属製芯金54の直径を、9mm、9.5mm、10mm、10.5mm、11mm、11.5mm、12mm、12.5mm、13mmのニッケルメッキを施したSUM製のものと、外径を13mmに設定したアルニンウム(Al)製のものを使用した。
【0051】
また、上記駆動ロール19の弾性体層55としては、その外径が13.92mmとなるように、その肉厚を2.46mm、2.21mm、1.96mm、1.71mm、1.46mm、1.21mm、0.96mm、0.71mm、0.46mmにそれぞれ研摩等によって調整したものを用いた。
【0052】
上記実験は、低温低湿環境下(10℃、15%RH)、常温常湿環境下(22℃、55%RH)、高温高湿環境下(28℃、85%RH)、並びに30℃、85%RHでそれぞれ行い、環境条件を低温低湿環境下(10℃、15%RH)から高温高湿環境下(28℃、85%RH)まで変化させて、上述した実験を行った。
【0053】
上記用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径は、各ロールを所定の環境下に48時間放置した後、キーエンス社製のレーザー式の外径測定器を使用して測定した。
【0054】
図9及び図10は上記実験の結果を示した図表である。なお、図9において、色ずれの発生程度は、色ずれの発生が5μm未満であった場合を" ○" 、色ずれの発生が5μm以上、10μm未満であった場合を" △" 、色ずれの発生が10μm以上であった場合を" ×" として評価した。また、スミアに関しては、発生の有無について出力画像により評価した。
【0055】
上記図9から明らかなように、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19の外径変化率の差が、2.0(%/℃×10-6)以下であれば、色ずれ及びスミアの発生程度を、5μm未満に抑えることができ、画像欠陥の発生を満足の行く程度に抑制することができることがわかった。
【0056】
また、図10に示すように、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19の外径公差の設置値を±0.02に設定した場合、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19との線速差が、最大0.04%となる可能性がある。
【0057】
本実施の形態では、外径変動要因によって用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径が変動した場合でも、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19との間で、0.5%以内の速度差に収まるように構成したものであり、許容できる速度差0.5%から線速差の変動量の最大値である0.04%を減算すると、
0.5−0.44=0.06 (%)
となり、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19との外径変化による周速差が0.06以下となるように、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19を構成する素材を設定する必要がある。
【0058】
そのため、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19との外径変化による周速差が0.06以下となる範囲は、図9に示すように、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19の外径変化率の差が、2.0(%/℃×10-6)以下であれば良いことがわかる。
【0059】
したがって、用紙先端位置合わせロール27として、金属製芯金52の直径が8mm、弾性体層53の肉厚が2mmのものを使用した場合には、駆動ロール19として、金属製芯金54の材質、及び弾性体層55の材質が同じであり、しかも、金属製芯金54の直径を、10.5mm〜11.5mmに設定し、弾性体層55の肉厚を1.21mm〜1.71mmにそれぞれ設定することにより、色ずれ及びスミアの発生程度を、5μm未満に抑えることができ、画像欠陥の発生を満足の行く程度に抑制することができることがわかる。
【0060】
なお、上記用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19とは、金属製芯金及び弾性体層の材質が同じである必要は必ずしもないが、同一材質のものを使用した場合には、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19の外径変化率の差を所定の範囲内に設定することが容易であり、望ましい。また、上記用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19とは、金属製芯金及び弾性体層の材質として、異なった材質のものを使用する場合であっても、熱膨張係数が近い材質のものを使用することが望ましい。
【0061】
なお、上記用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19とは、その外径が同一である必要はないが、両者の外径が近い値である場合には、やはり、両ロールの外径変化率の差を所定の範囲内に設定することが容易であり、望ましい。
【0062】
また、上記実験例では、用紙先端位置合わせロール27を固定して、駆動ロール19の金属製芯金の直径及び弾性体層の肉厚を種々変化させたが、逆に、駆動ロール19を固定して、用紙先端位置合わせロール27の金属製芯金の直径及び弾性体層の肉厚を種々変化させて、両ロールの外径変化率の差が所定の範囲内を満たすように設定しても良いことは勿論である。
【0063】
実施の形態2
図11はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態6では、無端状ベルトとして、複数のロール間に張架されて循環移動しつつ、転写材に転写すべき複数色のトナー像が転写される中間転写ベルトを用いるように構成されている。
【0064】
すなわち、この実施の形態2では、図11に示すように、フルカラープリンタ本体1の内部に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Kが、斜めに傾斜した状態で配設されており、これらの4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Kの上部には、中間転写ベルト200が張架されている。
【0065】
上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部7Y、7M、7C、7Kは、形成するトナー像の色以外はすべて同様に形成されており、矢印方向に沿って所定の速度で回転駆動される感光体ドラム8と、感光体ドラム8の表面を一様に帯電する帯電ロール9と、画像データに応じて画像露光を行うLED露光装置10と、現像装置11と、クリーニング装置12とから構成されている。
【0066】
また、上記中間転写ベルト200は、駆動ロール201と、バックアップロール202と、従動ロール203との間に所定のテンションで張架されており、駆動ロールに201よって所定の速度で循環移動するように構成されている。
【0067】
そして、上記各画像形成部7Y、7M、7C、7Kによって形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、一次転写ロール204によって中間転写ベルト200上に多重に転写された後、二次転写ロール205によって転写用紙18上に一括して二次転写されるようになっている。
【0068】
ところで、この実施の形態2では、図11に示すように、フルカラープリンタ本体1が小型に構成されており、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール201が同一の駆動源によって駆動されるように構成されている。また、用紙先端位置合わせロール27の転写材搬送速度と、中間転写ベルト200の移動速度との間には、用紙先端位置合わせロール27の転写材搬送速度の方が規定値(例えば、0.5%程度)だけ速くなるように設定された速度条件を満たすように構成されている。
【0069】
また、この実施の形態2では、図11に示すように、外径の変動要因によって中間転写ベルト200を駆動する駆動ロール201及び用紙先端位置合わせロール27の外径が変動した場合であっても、用紙先端位置合わせロール27の転写材搬送速度と、中間転写ベルト200の移動速度との間に設定された速度条件を満たすように、駆動ロール201及び用紙先端位置合わせロール27の少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定するように構成されている。
【0070】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る用紙直接転写方式を採用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンタの要部を示す構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る用紙直接転写方式を採用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンタを示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係る用紙直接転写方式を採用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンタの用紙搬送ベルトを示す構成図である。
【図4】図4は用紙搬送ベルト及び用紙先端位置合わせロールの駆動手段を示す構成図である。
【図5】図5は用紙搬送ベルト及び用紙先端位置合わせロールの駆動手段を示す構成図である。
【図6】図6は用紙先端位置合わせロールを示す断面構成図である。
【図7】図7は駆動ロールを示す断面構成図である。
【図8】図8は用紙搬送ベルト及び用紙先端位置合わせロールにおける用紙の搬送状態を示す構成図である。
【図9】図9は実験例の結果を示すグラフである。
【図10】図10は実験例の結果を示すグラフである。
【図11】図11はこの発明の実施の形態2に係るタンデム型のフルカラープリンタを示す構成図である。
【符号の説明】
【0072】
17:用紙搬送ベルト、18:転写用紙、19:駆動ロール、27:用紙先端位置合わせロール。
【技術分野】
【0001】
この発明はシート状被搬送物搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2000−147911号公報
【特許文献2】特開2000−330353号公報
【特許文献3】特開2003−15431号公報
【0003】
従来、電子写真方式等を採用したプリンターや複写機等の画像形成装置のうち、カラー画像を形成可能な画像形成装置としては、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の複数色のトナー像を、用紙搬送ベルト上に保持された状態で搬送される転写用紙上に多重に転写した後、当該イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の複数色のトナー像が多重に転写された転写用紙を、用紙搬送ベルトから分離して定着処理を施すことにより、カラー画像を形成するように構成したものがある。
【0004】
また、上記カラー画像を形成可能な画像形成装置としては、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の複数色のトナー像を、中間転写ベルト上に多重に一次転写した後、当該中間転写ベルト上に多重に一次転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の複数色のトナー像を、一括して転写用紙上に二次転写して定着処理を施すことにより、カラー画像を形成するように構成したものがある。
【0005】
かかる画像形成装置では、用紙搬送ベルトや中間転写ベルトに対して、当該用紙搬送ベルトによって搬送される転写用紙上に転写されるトナー像や、中間転写ベルトに多重に転写されたトナー像と同期させた状態で、レジストロールにより転写用紙を所定のタイミングで給紙する必要がある。その際、上記画像形成装置の場合には、用紙搬送ベルトによる転写用紙の搬送速度や、中間転写ベルトの移動速度が、レジストロールによる転写用紙の給紙速度よりも速いと、用紙搬送ベルトや中間転写ベルトによって搬送される転写用紙を引っ張ってしまうことになり、当該用紙搬送ベルトによって搬送される転写用紙や、中間転写ベルトから転写用紙上に転写されるトナー像が擦られて滲む、所謂“スミア" と呼ばれる画像欠陥が発生する。
【0006】
また、上記画像形成装置の場合には、用紙搬送ベルトによる転写用紙の搬送速度や、中間転写ベルトの移動速度が、レジストロールによる転写用紙の給紙速度よりも遅いと、用紙搬送ベルトや中間転写ベルトによって搬送される転写用紙を後方から押し込むことになり、当該用紙搬送ベルトによって搬送される転写用紙や、中間転写ベルトから転写用紙上に転写されるトナー像が圧縮される画像欠陥が発生する。
【0007】
そこで、これらの問題点を解決し得る技術としては、特開2000−147911号公報、特開2000−330353号公報、特開2003−15431号公報等に開示された技術が既に提案されている。
【0008】
上記特開2003−15431号公報に画像形成装置は、画像情報を用紙上に印字する手段として、前記画像情報を静電潜像ならびに可視化像とすることが可能な静電潜像担持手段と、可視化手段と、前記可視化された画像情報を前記用紙上に転写するための転写手段とを有する画像形成装置において、前記転写手段を構成する転写ベルトの環境変化あるいは履歴変化によって変動する前記転写ベルトの駆動負荷変動を吸収する負荷変動吸収部材を備えており、該負荷変動吸収部材は前記環境変化あるいは履歴変化に連動した作動を転写ベルトの回転軸に作用するようにされているものである。
【0009】
また、上記特開2000−330353号公報に係るカラー画像形成装置は、回転駆動源により駆動される駆動ローラと該駆動ローラの回転に伴い回転する少なくとも一つの従動ローラとに搬送ベルトを懸け回して構成され、画像記録媒体を搬送する搬送機構と、前記画像記録媒体の搬送方向に沿って配置され、該画像記録媒体上に異なる単色画像をそれぞれ形成する複数の画像形成ユニットとを有し、各単色画像を前記画像記録媒体上で重ね合わせてカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、前記駆動ローラおよび前記従動ローラのそれぞれの回転角速度の差を検出する回転角速度差検出手段と、前記回転角速度差検出手段により検出される回転角速度の差を最小化するように前記回転駆動源の回転速度を制御する制御手段とを備えるように構成したものである。
【0010】
さらに、上記特開2000−147911号公報に係る画像形成装置は、転写材を担持搬送する転写材搬送ベルトと、前記転写材搬送ベルトの転写材を担持する側とは反対側を支持する支持手段と、前記転写材搬送ベルトに担持された転写材に像を形成する像形成手段と、を有する画像形成装置において、前記支持手段は、前記転写材搬送ベルトによる転写材の搬送面を構成しない位置に設けられ、前記転写材搬送ベルトに駆動力を伝達する駆動ローラと、前記像形成手段により像形成終了後、前記転写材搬送ベルトから転写材が分離される位置に設けられる従動ローラと、を備えるように構成したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、装置を小型化した場合に無端状ベルトを駆動する駆動ロールが周囲からの熱的影響などを受けて当該駆動ロールに外径変動が発生した場合であっても、駆動ローラとシート状被搬送物供給装置のロール状部材との、被搬送物の搬送速度があらかじめ規定された範囲の速度条件を満たすようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、請求項1に記載された発明は、駆動ロールを含む複数のロール間に張架されて循環し移動しつつ、シート状被搬送物を搬送する無端状ベルトと、
前記無端状ベルトに対してシート状被搬送物を供給する互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材からなるシート状被搬送物供給手段とを備え、
前記シート状被搬送物供給手段のシート状被搬送物搬送速度と、前記無端状ベルトのシート状被搬送物搬送速度との間に、前記シート状被搬送物供給手段の方が規定値の範囲内だけ速度が速いか又は等しい速度となる速度条件を満たすように設定し、
かつ、外径の変動要因によって前記無端状ベルトを駆動する駆動ロール及びシート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の外径が変動した場合であっても、前記シート状被搬送物供給手段のシート状被搬送物搬送速度と、前記無端状ベルトのシート状被搬送物搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定したことを特徴とするシート状被搬送物搬送装置である。
【0013】
また、請求項2に記載された発明は、前記駆動ロールと前記シート状被搬送物材供給手段は、同一の駆動源によって駆動されることを特徴とする請求項1に記載のシート状被搬送物搬送装置である。
【0014】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記駆動ロール及び前記シート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の温度に対する外径の変化率を略同一に設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート状被搬送物搬送装置である。
【0015】
又、請求項4に記載された発明は、前記駆動ロール及び前記シート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の温度に対する外径の変化率が、1℃あたり±2.0×10-6以内であることを特徴とする請求項3に記載のシート状被搬送物搬送装置である。
【0016】
更に、請求項5に記載された発明は、トナー画像を形成する現像装置と、
駆動ロールを含む複数のロール間に張架されて循環し移動しつつ、前記現像装置により形成されたトナー像が転写される転写材を搬送する無端状ベルトと、
前記無端状ベルトに対して転写材を供給する互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材からなる転写材供給手段とを備え、
前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に、前記転写材供給手段の方が規定値の範囲内だけ速度が速いか又は等しい速度となる速度条件を満たすように設定し、
かつ、外径の変動要因によって前記無端状ベルトを駆動する駆動ロール及び転写材供給手段を構成するロール状部材の外径が変動した場合であっても、前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定したことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、装置を小型化した場合に、駆動ロールが周囲から熱的影響などを受けても駆動ロールとシート状被搬送物供給装置のロール状部材の、被搬送物の搬送速度があらかじめ規定された範囲の速度条件を満たすことができる。
【0018】
また、請求項2に記載された発明によれば、本発明を有しない場合に比較して、駆動系を簡略化することができる。
【0019】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、本発明を有しない場合に比較して、環境温度が変動した場合であっても、被搬送物の搬送速度をあらかじめ規定された範囲の速度条件を満たすことができる。
【0020】
又、請求項4に記載された発明によれば、本発明を有しない場合に比較して、環境温度が変動した場合であっても、被搬送物の搬送速度があらかじめ規定された範囲の速度条件を満たすことができる。
【0021】
更に、請求項5に記載された発明によれば、画像形成装置を小型化した場合に、転写材を吸着して搬送する無端状ベルトを駆動する駆動ロールが周囲から熱的影響などを受けても、駆動ロールとシート状被搬送物供給装置のロール状部材の、被搬送物の搬送速度があらかじめ規定された範囲の速度条件を満たすことができるので、画像欠陥の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
実施の形態1
図2はこの発明の実施を画像形成装置に適用した実施の形態のうち、用紙直接転写方式を採用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンタに適用したものを実施の形態1として説明する。ここで本発明は、画像形成装置に限定されず、シート状に加工された被搬送物を搬送する場合にも適用可能である。このフルカラープリンタは、例えば、パーソナルコンピュータやスキャナー等から送られてくる画像データに基づいてプリント動作を実行するように構成されている。
【0024】
図2において、1はタンデム型のフルカラープリンタの本体を示すものであり、このフルカラープリンタ本体1の内部には、その略中央部に、画像形成ユニット2が上下方向に沿って配設されている。また、フルカラープリンタ本体1の内部には、画像形成ユニット2の一側(図示例では、右側)に、画像形成ユニット2で形成された複数色のトナー像が転写される転写材を吸着した状態で搬送する用紙搬送ベルトユニット3が配設されているとももに、当該画像形成ユニット2の他側(図示例では、左側)には、制御回路等を備えた制御ユニット4が、画像形成ユニット2の斜め上方に、高圧電源回路等を備えた電源回路ユニット5が、それぞれ配設されている。また、上記フルカラープリンタ本体1内の底部には、転写材としての転写用紙18等を給紙する給紙装置6が配設されている。
【0025】
上記画像形成ユニット2は、下から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン (C)、ブラック(B)の各色のトナー像を形成する4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Bを備えており、これらの4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Bは、上下方向に沿って一定の間隔を隔てて直列的に配設されている。
【0026】
これらの4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Bは、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、大別して、図2に示すように、矢印方向に沿って所定の回転速度で回転する感光体ドラム8と、この感光体ドラム8の表面を一様に帯電する一次帯電用の帯電ロール9と、当該感光体ドラム8の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光装置10と、感光体ドラム8上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像装置11と、感光体ドラム8上に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置12と、現像装置11にトナーを補給するトナー補給装置13とから構成されている。
【0027】
上記現像装置11は、図2に示すように、内部に収容された二成分又は一成分の現像剤を攪拌しつつ現像ロール14へと供給し、当該現像ロール14に供給された現像剤の層厚を規制しながら、感光体ドラム8と対向する現像領域へと搬送し、当該感光体ドラム8の表面に形成された静電潜像を所定の色のトナーで現像するように構成されている。
【0028】
また、上記クリーニング装置12は、図2に示すように、感光体ドラム8の表面に残留した転写残トナーを、クリーニングブレード15によって除去し、除去された転写残トナーをクリーニング装置12の内部に搬送して収容するようになっている。
【0029】
さらに、上記フルカラープリンタ本体1の内部には、図2に示すように、制御ユニット4が配設されており、この制御ユニット4には、例えば、画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置16が設けられている。この画像処理装置16からは、露光装置10にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色の画像データが順次出力され、この露光装置10から画像データに応じて出射される4本のレーザービームLBが、それぞれの感光体ドラム8Y、8M、8C、8B上に走査露光されて静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム8Y、8M、8C、8B上に形成された静電潜像は、現像装置11Y、11M、11C、11Bによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像として現像される。
【0030】
また、上記用紙搬送ベルトユニット3は、図2に示すように、無端状ベルトとして、切れ目が無く循環し移動する用紙搬送ベルト17を備えており、当該用紙搬送ベルト17は、各画像形成部7Y、7M、7C、7Bで形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像が転写される転写材としての転写用紙18を静電的に吸着した状態で搬送するように構成されている。
【0031】
上記用紙搬送ベルト17は、図3に示すように、鉛直方向に沿って配設された張架ロールとしての駆動ロール19と従動ロール20との間に、所定の張力で張架されており、後述するように、駆動モータ21によって回転駆動される駆動ロール19によって、所定の速度で時計周り方向に沿って循環移動するように構成されている。上記駆動ロール19は、鉛直方向に沿った下方の位置に、従動ロール20は、鉛直方向に沿った上方の位置に配設されており、結果的に、駆動ロール19は、後述する用紙先端位置合わせロールの近傍に位置するように、従動ロール20よりも用紙先端位置合わせロール側に配設されている。
【0032】
上記駆動ロール19と従動ロール20との距離は、例えば、A3サイズの転写用紙18の長さと略等しい長さに設定されているが、これに限らず、駆動ロール19と従動ロール20との距離は、任意に設定して良いことは勿論である。上記用紙搬送ベルト17としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0033】
上記各画像形成部7Y、7M、7C、7Bの感光体ドラム8Y、8M、8C、8B上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像は、図2に示すように、用紙搬送ベルト17の表面に吸着された状態で搬送される転写用紙18上に、転写ロール23Y、23M、23C、23Bによって互いに重ね合わされた状態で多重に転写される。なお、上記転写ロール23Y、23M、23C、23Bは、用紙搬送ベルトユニット3に一体的に取り付けられている。
【0034】
上記転写用紙18は、図2に示すように、プリンタ本体1の底部に配設された給紙装置6から給紙される。この給紙装置6は、所望のサイズや材質の転写用紙18を収容した用紙トレイ24を備えており、当該用紙トレイ24からは、所望のサイズや材質の転写用紙18が給送ロール25によって給送されるとともに、捌きロール26によって1枚ずつ分離された状態で給紙され、シート状被搬送物供給手段としての用紙先端位置合わせロール27を介して所定のタイミングで用紙搬送ベルト17上の吸着位置へと搬送されるようになっている。
【0035】
なお、上記転写用紙18としては、シート状部材であって、例えば、A4サイズやA3サイズ、あるいはB5サイズやB4サイズなど種々のサイズ、及び、普通紙、コート紙等の厚紙や、OHPシートなど、種々の材質のものが用いられる。また、転写用紙18は、普通紙など同じ材質であっても、高温高湿環境下や低温低湿環境下などの保管される環境によっても、紙の剛性や表面状態、あるいは反りの発生など特性が変化することがあり、転写用紙37は、材質や剛性、表面状態、あるいは反りなどの特性によって搬送性が異なる場合がある。
【0036】
そして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像が多重に転写された転写用紙18は、図2に示すように、当該転写用紙18自身が有する剛性(所謂、コシ)によって用紙搬送ベルト17から分離された後、搬送経路28に沿って定着装置29へと搬送され、定着装置29によって熱及び圧力で、各色のトナー像が転写用紙18上に定着される。上記用紙搬送ベルト17と定着装置29は、近接して配設されており、用紙搬送ベルト17から分離された転写用紙18は、用紙搬送ベルト17の搬送力によって定着装置29へと搬送される。この定着装置29は、加熱ロール30と加圧ベルト31を互いに圧接した状態で回転駆動し、これら加熱ロール30と加圧ベルト31の間に形成されるニップ部に転写用紙18を通過させることにより、熱及び圧力で定着処理を施すように構成されている。その後、各色のトナー像が定着された転写用紙18は、排出ロール32によって、フルカラープリンタ本体1の上部に設けられた排出トレイ33上にプリント面を下にした状態で排出され、プリント動作が終了する。
【0037】
なお、上記フルカラープリンタでは、フルカラーの画像に限らず、モノクロなど所望の色の画像をプリントすることが可能となっており、プリントする画像の色に応じて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)のすべて、又は一部の画像形成部7Y、7M、7C、7Bによってトナー像が形成される。
【0038】
なお、図2中、符号34は給紙トレイ24から給紙される転写用紙18を検知する用紙検知センサーの変換装置を示しており、この変換装置34は、給紙トレイ24から給紙される転写用紙18によって矢印方向に沿って回転し、図示しない光学センサーをオン状態とすることにより、転写用紙18の給紙を検知するように構成されている。
【0039】
ところで、この実施の形態では、駆動ロールを含む複数のロール間に張架されて循環し移動しつつ、像が転写される転写材を搬送する無端状ベルトと、
前記無端状ベルトに対して転写材を供給する互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材からなる転写材供給手段とを備え、
前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に、前記転写材供給手段の方が規定値の範囲内だけ速度が速いか又は等しい速度となる速度条件を満たすように設定し、
かつ、外径の変動要因によって前記無端状ベルトを駆動する駆動ロール及び転写材供給手段を構成するロール状部材の外径が変動した場合であっても、前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定するように構成されている。
【0040】
すなわち、この実施の形態では、図1に示すように、転写用紙18を用紙搬送ベルトへと搬送する転写材供給手段としての用紙先端位置合わせロール27が、互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材としての第1の用紙先端位置合わせロール27aと第2の用紙先端位置合わせロール27bとから構成されている。上記第1の用紙先端位置合わせロール27aは、図6(a)に示すように、ステンレス等の金属製芯金50の外周に、ゴム材料等からなる弾性体層51を厚く被覆して構成されている。上記弾性体層51は、図5に示すように、金属製芯金50の軸方向に沿って複数に分割されて設けられている。また、上記第2の用紙先端位置合わせロール27bは、図6(b)に示すように、円柱形状の金属製ロール52のみから構成されている。上記第2の用紙先端位置合わせロール27bは、図5に示すように、金属製ロール52の外径が小さく形成された両端部52aが、ベアリング48によって回転自在に支持されているとともに、当該ベアリング48を介して付勢手段としてのスプリング49によって、第1の用紙先端位置合わせロール27aに圧接されている。
【0041】
また、この実施の形態では、図1に示すように、転写用紙18を用紙搬送ベルト17へと搬送する用紙先端位置合わせロール27と、用紙搬送ベルト17を駆動する駆動ロール19とが、同一の駆動源としての駆動モータ40によって回転駆動されるように構成されている。上記駆動モータ40の回転軸41には、図4及び図5に示すように、駆動ギア42が取り付けられており、この駆動ギア42には、直径の大きな第1の中間ギア43が噛み合わされているとともに、当該第1の中間ギア43には、第2の中間ギア44を介して、用紙先端位置合わせロール27のうち、一方のロール27aの端部に取り付けられた第1の従動ギア45が噛み合わされている。そして、用紙先端位置合わせロール27aは、駆動モータ40によって、駆動ギア42、第1の中間ギア43、第2の中間ギア44及び第1の従動ギア45を介して、所定の回転速度で駆動されるようになっている。
【0042】
また、上記第1の中間ギア43には、第3の中間ギア46を介して、用紙搬送ベルト17を駆動する駆動ロール19の端部に取り付けられた第2の従動ギア47が噛み合わされている。そして、用紙搬送ベルト17を駆動する駆動ロール19は、駆動モータ40によって、駆動ギア42、第1の中間ギア43、第3の中間ギア46及び第2の従動ギア47を介して、所定の回転速度で駆動されるようになっている。
【0043】
さらに、上記用紙先端位置合わせロール27の回転速度(周速)は、通常の環境下、つまり常温常湿環境(25℃、65%RH)下において、駆動ロール19によって回転駆動される用紙搬送ベルト17の移動速度より、規定値(例えば、0.5%程度)の範囲内だけ速度が速いか、又は等しい速度で回転駆動されるように設定されており、当該用紙先端位置合わせロール27によって用紙搬送ベルト17へ搬送される転写用紙18は、用紙搬送ベルト17の手前で所定量の弛みを形成するようになっている。なお、上記規定値は、例えば、0.5%程度に設定されるが、これに限定されるものではなく、当該0.5%より大きくても小さくても良いことは勿論である。
【0044】
上記用紙先端位置合わせロール27のうち、転写用紙18の表面側に接触するロール27aは、図6(a)に示すように、円柱状に形成された金属製芯金50の表面に弾性体層51を厚く被覆して構成されている。また、上記用紙先端位置合わせロールのうち、転写用紙18の裏面側に接触するロール27bは、図6(b)に示すように、ステンレスや鉄等の金属によって円柱形状に形成された金属製芯金52の表面に弾性体層53を薄く被覆して構成されている。弾性体層53の材質としては、例えば、NBRやEPDMなどが用いられる。ロール27bとしては、金属製芯金52のみからなるものを用いても良い。なお、上記用紙先端位置合わせロール27のうち、ロール27bが上述したように回転駆動されるため、転写用紙18に対する搬送速度は、ロール27bによって決定される。また、他方のロール27aは、ロール27bに従動駆動されるようになっている。
【0045】
また、駆動ロール19は、図7に示すように、円柱状に形成された金属製芯金54の表面に弾性体層55を薄く被覆して構成されている。上記金属製芯金54は、例えば、表面がニッケル(Ni)によってメッキされたSUM等の金属によって構成されているが、後述する条件を満たすように選択された他の材料を使用しても勿論良い。また、弾性体層55の材質としては、例えば、NBRやEPDMなどが用いられる。
【0046】
そころで、上記用紙先端位置合わせロール27や駆動ロール19は、図2に示すように、フルカラープリンタ本体1の内部において、当該フルカラープリンタ本体1内の上部に配設された定着装置29から比較的離れた位置、つまりフルカラープリンタ本体1内の下部に配設されているが、フルカラープリンタ本体1自体が小型化されているため、連続プリント時等においては、フルカラープリンタ本体1の内部温度が上昇し易い傾向にある。
【0047】
そのため、上記フルカラープリンタにおいて連続プリントを行った場合など、主として定着装置29が発する熱的な影響を受けて、フルカラープリンタ本体1内の温度が上昇する場合がある。すると、フルカラープリンタ本体1の内部に配設された用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19は、フルカラープリンタ本体1内の温度上昇に伴って熱膨張し、これら用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径が変化し、当該レジストロール27及び駆動ロール19によって搬送される転写用紙18や用紙搬送ベルト17の搬送速度が変動することになる。なお、フルカラープリンタ本体1内の温度が下降した場合も、同様に用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径が変化する。
【0048】
その際、上記用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19は、フルカラープリンタ本体1内の温度が上昇した場合に、当該用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径が変化する傾向や変化量が大きく異なると、用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19による転写用紙及び用紙搬送ベルト17の搬送速度が大幅に異なることになる。この場合には、図8に示すように、用紙先端位置合わせロール27によって搬送される転写用紙18と、駆動ロール19によって駆動される用紙搬送ベルト17によって搬送される転写用紙18の搬送速度の間に、大きくな速度差が発生し、規定値の範囲から外れる虞れがある。
【0049】
そこで、本発明者らは、図2に示すようなプリンタを試作し、用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19を構成する金属製芯金の直径、及び弾性体層の肉厚を種々異ならせたものを使用して、これら用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径の変化率及び色ずれやスミアの発生状況等を確認する実験を行った。
【0050】
上記用紙先端位置合わせロール27としては、金属製芯金52の直径が8mm、弾性体層53の肉厚が2mmのものを使用した。また、駆動ロール19としては、その外径を13.92mmに設定し、金属製芯金54の直径を、9mm、9.5mm、10mm、10.5mm、11mm、11.5mm、12mm、12.5mm、13mmのニッケルメッキを施したSUM製のものと、外径を13mmに設定したアルニンウム(Al)製のものを使用した。
【0051】
また、上記駆動ロール19の弾性体層55としては、その外径が13.92mmとなるように、その肉厚を2.46mm、2.21mm、1.96mm、1.71mm、1.46mm、1.21mm、0.96mm、0.71mm、0.46mmにそれぞれ研摩等によって調整したものを用いた。
【0052】
上記実験は、低温低湿環境下(10℃、15%RH)、常温常湿環境下(22℃、55%RH)、高温高湿環境下(28℃、85%RH)、並びに30℃、85%RHでそれぞれ行い、環境条件を低温低湿環境下(10℃、15%RH)から高温高湿環境下(28℃、85%RH)まで変化させて、上述した実験を行った。
【0053】
上記用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径は、各ロールを所定の環境下に48時間放置した後、キーエンス社製のレーザー式の外径測定器を使用して測定した。
【0054】
図9及び図10は上記実験の結果を示した図表である。なお、図9において、色ずれの発生程度は、色ずれの発生が5μm未満であった場合を" ○" 、色ずれの発生が5μm以上、10μm未満であった場合を" △" 、色ずれの発生が10μm以上であった場合を" ×" として評価した。また、スミアに関しては、発生の有無について出力画像により評価した。
【0055】
上記図9から明らかなように、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19の外径変化率の差が、2.0(%/℃×10-6)以下であれば、色ずれ及びスミアの発生程度を、5μm未満に抑えることができ、画像欠陥の発生を満足の行く程度に抑制することができることがわかった。
【0056】
また、図10に示すように、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19の外径公差の設置値を±0.02に設定した場合、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19との線速差が、最大0.04%となる可能性がある。
【0057】
本実施の形態では、外径変動要因によって用紙先端位置合わせロール27及び駆動ロール19の外径が変動した場合でも、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19との間で、0.5%以内の速度差に収まるように構成したものであり、許容できる速度差0.5%から線速差の変動量の最大値である0.04%を減算すると、
0.5−0.44=0.06 (%)
となり、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19との外径変化による周速差が0.06以下となるように、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19を構成する素材を設定する必要がある。
【0058】
そのため、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19との外径変化による周速差が0.06以下となる範囲は、図9に示すように、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19の外径変化率の差が、2.0(%/℃×10-6)以下であれば良いことがわかる。
【0059】
したがって、用紙先端位置合わせロール27として、金属製芯金52の直径が8mm、弾性体層53の肉厚が2mmのものを使用した場合には、駆動ロール19として、金属製芯金54の材質、及び弾性体層55の材質が同じであり、しかも、金属製芯金54の直径を、10.5mm〜11.5mmに設定し、弾性体層55の肉厚を1.21mm〜1.71mmにそれぞれ設定することにより、色ずれ及びスミアの発生程度を、5μm未満に抑えることができ、画像欠陥の発生を満足の行く程度に抑制することができることがわかる。
【0060】
なお、上記用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19とは、金属製芯金及び弾性体層の材質が同じである必要は必ずしもないが、同一材質のものを使用した場合には、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19の外径変化率の差を所定の範囲内に設定することが容易であり、望ましい。また、上記用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19とは、金属製芯金及び弾性体層の材質として、異なった材質のものを使用する場合であっても、熱膨張係数が近い材質のものを使用することが望ましい。
【0061】
なお、上記用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール19とは、その外径が同一である必要はないが、両者の外径が近い値である場合には、やはり、両ロールの外径変化率の差を所定の範囲内に設定することが容易であり、望ましい。
【0062】
また、上記実験例では、用紙先端位置合わせロール27を固定して、駆動ロール19の金属製芯金の直径及び弾性体層の肉厚を種々変化させたが、逆に、駆動ロール19を固定して、用紙先端位置合わせロール27の金属製芯金の直径及び弾性体層の肉厚を種々変化させて、両ロールの外径変化率の差が所定の範囲内を満たすように設定しても良いことは勿論である。
【0063】
実施の形態2
図11はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態6では、無端状ベルトとして、複数のロール間に張架されて循環移動しつつ、転写材に転写すべき複数色のトナー像が転写される中間転写ベルトを用いるように構成されている。
【0064】
すなわち、この実施の形態2では、図11に示すように、フルカラープリンタ本体1の内部に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Kが、斜めに傾斜した状態で配設されており、これらの4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Kの上部には、中間転写ベルト200が張架されている。
【0065】
上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部7Y、7M、7C、7Kは、形成するトナー像の色以外はすべて同様に形成されており、矢印方向に沿って所定の速度で回転駆動される感光体ドラム8と、感光体ドラム8の表面を一様に帯電する帯電ロール9と、画像データに応じて画像露光を行うLED露光装置10と、現像装置11と、クリーニング装置12とから構成されている。
【0066】
また、上記中間転写ベルト200は、駆動ロール201と、バックアップロール202と、従動ロール203との間に所定のテンションで張架されており、駆動ロールに201よって所定の速度で循環移動するように構成されている。
【0067】
そして、上記各画像形成部7Y、7M、7C、7Kによって形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、一次転写ロール204によって中間転写ベルト200上に多重に転写された後、二次転写ロール205によって転写用紙18上に一括して二次転写されるようになっている。
【0068】
ところで、この実施の形態2では、図11に示すように、フルカラープリンタ本体1が小型に構成されており、用紙先端位置合わせロール27と駆動ロール201が同一の駆動源によって駆動されるように構成されている。また、用紙先端位置合わせロール27の転写材搬送速度と、中間転写ベルト200の移動速度との間には、用紙先端位置合わせロール27の転写材搬送速度の方が規定値(例えば、0.5%程度)だけ速くなるように設定された速度条件を満たすように構成されている。
【0069】
また、この実施の形態2では、図11に示すように、外径の変動要因によって中間転写ベルト200を駆動する駆動ロール201及び用紙先端位置合わせロール27の外径が変動した場合であっても、用紙先端位置合わせロール27の転写材搬送速度と、中間転写ベルト200の移動速度との間に設定された速度条件を満たすように、駆動ロール201及び用紙先端位置合わせロール27の少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定するように構成されている。
【0070】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る用紙直接転写方式を採用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンタの要部を示す構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る用紙直接転写方式を採用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンタを示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係る用紙直接転写方式を採用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンタの用紙搬送ベルトを示す構成図である。
【図4】図4は用紙搬送ベルト及び用紙先端位置合わせロールの駆動手段を示す構成図である。
【図5】図5は用紙搬送ベルト及び用紙先端位置合わせロールの駆動手段を示す構成図である。
【図6】図6は用紙先端位置合わせロールを示す断面構成図である。
【図7】図7は駆動ロールを示す断面構成図である。
【図8】図8は用紙搬送ベルト及び用紙先端位置合わせロールにおける用紙の搬送状態を示す構成図である。
【図9】図9は実験例の結果を示すグラフである。
【図10】図10は実験例の結果を示すグラフである。
【図11】図11はこの発明の実施の形態2に係るタンデム型のフルカラープリンタを示す構成図である。
【符号の説明】
【0072】
17:用紙搬送ベルト、18:転写用紙、19:駆動ロール、27:用紙先端位置合わせロール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ロールを含む複数のロール間に張架されて循環し移動しつつ、シート状被搬送物を搬送する無端状ベルトと、
前記無端状ベルトに対してシート状被搬送物を供給する互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材からなるシート状被搬送物供給手段とを備え、
前記シート状被搬送物供給手段のシート状被搬送物搬送速度と、前記無端状ベルトのシート状被搬送物搬送速度との間に、前記シート状被搬送物供給手段の方が規定値の範囲内だけ速度が速いか又は等しい速度となる速度条件を満たすように設定し、
かつ、外径の変動要因によって前記無端状ベルトを駆動する駆動ロール及びシート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の外径が変動した場合であっても、前記シート状被搬送物供給手段のシート状被搬送物搬送速度と、前記無端状ベルトのシート状被搬送物搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定したことを特徴とするシート状被搬送物搬送装置。
【請求項2】
前記駆動ロールと前記シート状被搬送物材供給手段は、同一の駆動源によって駆動されることを特徴とする請求項1に記載のシート状被搬送物搬送装置。
【請求項3】
前記駆動ロール及び前記シート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の温度に対する外径の変化率を略同一に設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート状被搬送物搬送装置。
【請求項4】
前記駆動ロール及び前記シート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の温度に対する外径の変化率が、1℃あたり±2.0×10-6以内であることを特徴とする請求項3に記載のシート状被搬送物搬送装置。
【請求項5】
トナー画像を形成する現像装置と、
駆動ロールを含む複数のロール間に張架されて循環し移動しつつ、前記現像装置により形成されたトナー像が転写される転写材を搬送する無端状ベルトと、
前記無端状ベルトに対して転写材を供給する互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材からなる転写材供給手段とを備え、
前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に、前記転写材供給手段の方が規定値の範囲内だけ速度が速いか又は等しい速度となる速度条件を満たすように設定し、
かつ、外径の変動要因によって前記無端状ベルトを駆動する駆動ロール及び転写材供給手段を構成するロール状部材の外径が変動した場合であっても、前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
駆動ロールを含む複数のロール間に張架されて循環し移動しつつ、シート状被搬送物を搬送する無端状ベルトと、
前記無端状ベルトに対してシート状被搬送物を供給する互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材からなるシート状被搬送物供給手段とを備え、
前記シート状被搬送物供給手段のシート状被搬送物搬送速度と、前記無端状ベルトのシート状被搬送物搬送速度との間に、前記シート状被搬送物供給手段の方が規定値の範囲内だけ速度が速いか又は等しい速度となる速度条件を満たすように設定し、
かつ、外径の変動要因によって前記無端状ベルトを駆動する駆動ロール及びシート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の外径が変動した場合であっても、前記シート状被搬送物供給手段のシート状被搬送物搬送速度と、前記無端状ベルトのシート状被搬送物搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定したことを特徴とするシート状被搬送物搬送装置。
【請求項2】
前記駆動ロールと前記シート状被搬送物材供給手段は、同一の駆動源によって駆動されることを特徴とする請求項1に記載のシート状被搬送物搬送装置。
【請求項3】
前記駆動ロール及び前記シート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の温度に対する外径の変化率を略同一に設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート状被搬送物搬送装置。
【請求項4】
前記駆動ロール及び前記シート状被搬送物供給手段を構成するロール状部材の温度に対する外径の変化率が、1℃あたり±2.0×10-6以内であることを特徴とする請求項3に記載のシート状被搬送物搬送装置。
【請求項5】
トナー画像を形成する現像装置と、
駆動ロールを含む複数のロール間に張架されて循環し移動しつつ、前記現像装置により形成されたトナー像が転写される転写材を搬送する無端状ベルトと、
前記無端状ベルトに対して転写材を供給する互いに圧接された状態で回転する一対のロール状部材からなる転写材供給手段とを備え、
前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に、前記転写材供給手段の方が規定値の範囲内だけ速度が速いか又は等しい速度となる速度条件を満たすように設定し、
かつ、外径の変動要因によって前記無端状ベルトを駆動する駆動ロール及び転写材供給手段を構成するロール状部材の外径が変動した場合であっても、前記転写材供給手段の転写材搬送速度と、前記無端状ベルトの転写材搬送速度との間に設定された速度条件を満たすように、前記駆動ロール及び前記ロール状部材のうち、少なくとも一方を構成する構成部材の径及び/又は材質を設定したことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−129533(P2008−129533A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317433(P2006−317433)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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