スタッカークレーン
【課題】本来構成を有効利用して、物品載置体に載置する物品の重量を適切に検出することができるスタッカークレーンを提供する。
【解決手段】走行台車から立設されたマスト13に案内された状態で昇降駆動される昇降台14に、車体横幅方向に出退する屈伸リンク機構30の基端部が連結され、且つ、その屈伸リンク機構30の先端部に、物品載置体29の基端部が連結されて、屈伸リンク機構30の出退作動により、物品載置体29が昇降台側に引退させた引退位置と外方に突出する突出位置とに出退操作されるように構成され、引退位置に位置する物品載置体29の下方側への撓み量を検出する撓み量検出手段Qが設けられ、物品載置体29が物品載置状態で引退位置に位置するときに、その物品載置体29に載置した物品の重量情報として、撓み量検出手段Qが検出する撓み量を取得する撓み量取得手段が設けられている。
【解決手段】走行台車から立設されたマスト13に案内された状態で昇降駆動される昇降台14に、車体横幅方向に出退する屈伸リンク機構30の基端部が連結され、且つ、その屈伸リンク機構30の先端部に、物品載置体29の基端部が連結されて、屈伸リンク機構30の出退作動により、物品載置体29が昇降台側に引退させた引退位置と外方に突出する突出位置とに出退操作されるように構成され、引退位置に位置する物品載置体29の下方側への撓み量を検出する撓み量検出手段Qが設けられ、物品載置体29が物品載置状態で引退位置に位置するときに、その物品載置体29に載置した物品の重量情報として、撓み量検出手段Qが検出する撓み量を取得する撓み量取得手段が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行台車から立設されたマストに案内された状態で昇降駆動される昇降台に、車体横幅方向に出退する屈伸リンク機構の基端部が連結され、且つ、その屈伸リンク機構の先端部に、物品載置体の基端部が連結されて、前記屈伸リンク機構の出退作動により、前記物品載置体が前記昇降台側に引退させた引退位置と外方に突出する突出位置とに出退操作されるように構成されたスタッカークレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるスタッカークレーンは、通常一般に、物品を収納する収納部が縦横に設けられた物品収納棚に対して、物品を収納するのに使用されることになる。
すなわち、走行台車が設定走行経路に沿って走行し、かつ、昇降台が昇降することにより、物品載置体が、物品を収納する収納部が縦横に設けられた物品収納棚における収納部に対する物品移載位置、物品入庫部に対する物品移載位置、及び、物品出庫部に対する物品移載位置に移動されて、主として、物品入庫部に入庫される物品を収納部に収納する入庫作業や、収納部に収納された物品を物品出庫部に出庫する出庫作業を行うのに用いられることになる。
【0003】
ちなみに、物品入庫部に存在する物品や収納部に収納された物品を物品載置体にて載置するには、物品よりも下方側の高さにて物品載置体を突出位置に突出させ、その後、昇降台を上昇させることにより、物品を掬うようにする掬い処理が行われることになり、また、物品載置体に載置した物品を収納部や物品出庫部に卸すには、収納部や物品出庫部の物品載置面よりも上方側の高さにて物品載置体を突出位置に突出させ、その後、昇降台を下降させることにより、収納部や物品出庫部の物品載置面に物品を卸すようにする卸す処理が行われることになる。
【0004】
また、一般には、スタッカークレーンの左右両側に収納棚が装備されることが多いため、昇降台に、旋回枠が備えられ、その旋回枠に、屈伸リンク機構の基端部が連結されて、旋回枠の旋回により、物品載置体を走行台車の左側に突出させるための状態と走行台車の右側に突出させるための状態とに切り替えることができるように構成されることになる。
尚、収納部に収納した物品が、スタッカークレーンの横幅方向に長い場合には、物品載置体を引退位置にて90度旋回させて、物品の長手方向をスタッカークレーンの前後方向に向けた姿勢にして、スタッカークレーンを走行させることが行われる。
つまり、物品の長手方向をスタッカークレーンの前後方向に向けた姿勢にして、走行台車を走行させかつ昇降台を昇降させ、そして、物品移載位置にて、旋回枠を90度旋回させた後、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させることになる。
【0005】
このようなスタッカークレーンが搬送する物品としては、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイに使用するガラス基板を積層状態で収納する容器がある。
ちなみに、近年では、ガラス基板が大型化される傾向にあるため、ガラス基板を積層状態で収納した容器の重量は、例えば500Kgなる等、大重量になる傾向にある。
そして、ガラス基板を積層状態で収納する容器を搬送するスタッカークレーンは、一般に、ダウンフロー式等のクリーンルーム内に装備されることになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に開示されているように、クリーンルーム内に装備されるスタッカークレーンは、走行台車が、左右両端側に走行車輪を備えるように構成され、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられる場合がある。
つまり、マストの上端をも案内レールにて案内支持させるようにすると、その案内支持により塵埃が発生するものとなるため、走行台車の左右両側に備える走行車輪の間隔を極力広げるようにして、物品載置体が突出位置に突出されても走行台車が左右に傾き難いようにすることにより、マストの上端部が、案内レールによって案内支持されない、自由状態となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−184787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スタッカークレーンにおいては、物品載置体に載置した物品の重量を検出することが望まれる。
すなわち、例えば、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においては、物品を載置した物品載置体を引退位置から突出させると、走行台車及びマストが、物品載置体の突出方向に傾くものとなり、そして、その傾き量が物品の重量の大きさにより変化するものとなる。
尚、物品載置体に物品を載置しない状態で物品載置体を引退位置から突出させる場合にも、物品載置体や屈伸リンク機構の重量により、走行台車及びマストが、物品載置体の突出方向に傾く場合があるが、当然ながら、その傾き量は、物品載置体に物品を載置する場合よりも小さくなる。
【0009】
このように、物品載置体に載置した物品を収納部に卸すようにする卸し処理を行う際に、走行台車及びマストが物品載置体の突出方向に傾くことがあっても、物品載置体の出退方向において収納部の適正位置に物品を卸すようにすべく、物品載置体の突出位置、つまり、引退位置から突出位置までの突出量を、物品の重量に応じて定めることが考えられるものであり、このため、物品載置体に載置した物品の重量を検出することが望まれる。
【0010】
尚、卸し処理を行うときに、物品を収納部に対して卸す位置が、物品載置体の出退方向において適正位置から変化すると、掬い処理を行うときに、物品の荷重が物品載置体に作用するまでは、走行台車及びマストが物品載置体の突出方向に傾かない、あるいは、大きく傾かないために、物品が、物品載置体における物品を本来載置すべき位置よりも先端側に外れた位置にて物品載置体にて載置される結果、次に、卸し処理を行うときに、物品が卸される位置が、適正な位置よりも、さらに大きく外れることになり、卸し処理を適正通り行えなくなるトラブルを発生する虞がある。
【0011】
物品載置体に載置した物品の重量を検出する構成として、物品を載置した物品載置体を突出させたときには、伸長状態の屈伸リンク機構が下方側に大きく撓み変形することに鑑みて、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させる途中において、昇降台に対する物品載置体の上下位置を検出して、物品の重量を検出することが考えられる。
【0012】
しかしながら、この構成の場合には、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させる途中においては、伸長状態の屈伸リンク機構が諸々の振動原因により上下や左右に不規則に振動すること起因して、物品載置体が昇降台に対して上下に不規則に振動する傾向にあることや、伸長状態の屈伸リンク機構が下方側に大きく撓み変形して先端側ほど下方に位置する傾斜姿勢になるに伴って、物品載置体も先端側ほど下方に位置する状態に大きく傾斜するため、物品載置体に対する物品の重量の掛かり具合が物品の重量の差異により大きく変化すること等に起因して、物品の重量を適切に検出し難いものとなる。
【0013】
ちなみに、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においては、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が案内レールにて案内支持される形態にて設けられている場合とは異なり、物品を載置した物品載置体を引退位置から突出させると、走行台車及びマストが物品載置体の突出方向に傾くことにより、物品載置体が先端側ほど下方に位置する状態にかなり大きく傾斜する傾向となるため、物品載置体に対する物品の重量の掛かり具合が物品の重量の変化により大きく変化すること等に起因して、物品の重量を一層適切に検出し難いものとなる。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、本来構成を有効利用して、物品載置体に載置する物品の重量を適切に検出することができるスタッカークレーンを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のスタッカークレーンは、走行台車から立設するマストに案内された状態で昇降駆動される昇降台に、車体横幅方向に出退する屈伸リンク機構の基端部が連結され、且つ、その屈伸リンク機構の先端部に、その先端部の上方側に位置させる状態で物品載置体の基端部が連結されて、前記屈伸リンク機構の出退作動により、前記物品載置体が前記昇降台側に引退させた引退位置と外方に突出する突出位置とに出退操作されるように構成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記引退位置に位置する前記物品載置体の下方側への撓み量を検出する撓み量検出手段が設けられ、
前記物品載置体が物品載置状態で前記引退位置に位置するときに、その物品載置体に載置した物品の重量情報として、前記撓み量検出手段が検出する撓み量を取得する撓み量取得手段が設けられている点を特徴とする。
【0016】
すなわち、引退位置に位置する物品載置体の下方側への撓み量が撓み量検出手段にて検出され、そして、撓み量取得手段が、物品載置体が物品載置状態で引退位置に位置するとき、物品載置体に載置した物品の重量情報として、撓み量検出手段が検出する撓み量を取得する。
つまり、物品載置体は、屈伸リンク機構の先端部に、その基端部が連結されているものであるから、物品載置体は、屈伸リンク機構に対して、片持ち状に支持されることになるため、載置される物品の重量により屈伸リンク機構に対して下方に撓み変形することになり、かつ、その撓み量が、物品の重量に応じて増減することになる。
そして、その撓み量が撓み量検出手段にて検出され、撓み量取得手段が、物品載置体が引退位置に位置するとき、物品載置体に載置した物品の重量情報として、撓み量検出手段が検出する撓み量を取得することになる。
【0017】
物品載置体が引退位置に位置するときには、屈伸リンク機構は、屈折して短縮した状態であるため、物品載置体に載置する物品の重量が作用しても、前後や左右に大きく傾斜し難い状態であり、また、屈伸動作を行っていない状態であるから、上下に振動し難い状態である。
したがって、引退位置に位置する物品載置体が、屈伸リンク機構の前後や左右の傾斜によって傾斜されることが抑制され、且つ、屈伸リンク機構の上下振動により上下に振動することが抑制されるため、物品載置状態で引退位置に位置する物品載置体の下方側への撓み量が、物品の重量の変化として適切に現れる傾向となるものであるから、物品の重量の変化として適切に現れる物品載置体の下方側への撓み量を、物品載置体に載置した物品の重量情報として適切に取得できるのである。
【0018】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、物品載置体の基端部が屈伸リンク機構の先端部に連結されるという本来構成を有効利用して、物品載置体に載置する物品の重量を適切に検出することができるスタッカークレーンを提供できる。
【0019】
本発明のスタッカークレーンの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記撓み量検出手段が、前記昇降台に設置されて、前記物品載置体の被検出部の上下位置を検出するレーザー測距手段にて構成されている点を特徴とする。
【0020】
すなわち、撓み量検出手段としてのレーザー測距手段が、物品載置体の被検出部の上下位置を検出することになる。
つまり、物品載置体が物品を載置していないときの被検出部の上下位置と、物品載置体が物品を載置したときの被検出部の上下位置との差を、物品載置体の下方側への撓み量として検出することができる。
【0021】
そして、レーザー測距手段は、物品載置体の下方側への撓み量を非接触状態で検出するものであるから、例えば、物品載置体の裏面に、撓み量検出手段としての歪ゲージを貼着する場合に較べて、物品載置体の撓みにより、レーザー測距手段には負荷が作用しないため、物品載置体の撓みを長期間に亘って良好に検出することができる。
【0022】
しかも、レーザー測距手段は、物品載置体の被検出部の上下位置を、精度良く検出できるものであるから、物品の重量の変化による物品載置体の撓み量の変化を精度良く検出できる。
【0023】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、物品載置体の下方への撓み量を、長期間に亘って良好に、且つ、精度良く検出できるスタッカークレーンを提供できる。
【0024】
本発明のスタッカークレーンの第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記撓み量取得手段が、前記物品載置体が前記突出位置から前記引退位置に引退操作された直後から設定時間経過するまでの計測期間において、前記撓み量検出手段が検出する撓み量を設定サンプリング間隔で繰り返し取得し、取得した複数のサンプリング情報を平均化処理した値を、前記物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量として設定するように構成されている点を特徴とする。
【0025】
すなわち、撓み量取得手段が、物品載置状態の物品載置体が突出位置から引退位置に引退操作されると、その直後から設定時間経過するまでの計測期間において、撓み量検出手段が検出する撓み量を設定サンプリング間隔で繰り返し取得し、そして、取得した複数のサンプリング情報を平均化処理した値を、物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量として設定することになる。
【0026】
このように、物品載置状態の物品載置体が突出位置から引退位置に引退操作された直後からの計測期間が終了すれば、物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量が求められるものであるから、例えば、物品載置体が突出位置から引退位置に引退操作されたのち、撓み量検出手段が検出する撓み量が安定するまで待機し、安定した撓み量を、物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量として設定する場合よりも、物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量を迅速に設定できる。
【0027】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量を迅速に設定できるスタッカークレーンを提供できる。
【0028】
本発明のスタッカークレーンの第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
前記走行台車が、物品を収納する収納部が設けられた物品収納棚に沿って走行するように設けられ、
前記走行台車の走行作動、前記昇降台の昇降作動、及び、前記屈伸リンク機構の出退作動を制御する運転制御手段が、前記物品載置体に載置した物品を前記収納部に収納すべく、前記物品載置体を前記収納部に対する物品移載位置に位置させた状態において、前記物品載置体を突出作動させる前記突出位置を、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量に基づいて設定するように構成されている点を特徴とする。
【0029】
すなわち、運転制御手段が、物品載置体に載置した物品を収納部に収納すべく、物品載置体を収納部に対する物品移載位置に位置させた状態で、物品載置体を突出作動させる突出位置を、つまり、引退位置から突出位置までの突出量を、撓み量取得手段が取得した撓み量に基づいて設定して、物品載置体を引退位置から設定された突出位置に突出させることになる。
【0030】
つまり、例えば、マストの上端部が案内レールにて支持されている場合には、物品載置体が突出したときに、走行台車及びマストの傾きが抑制されるものの、物品の重量により屈伸リンク機構が下方側に撓むことにより、物品載置体を引退位置から一定量突出させた状態においては、物品の重量が大きくて屈伸リンク機構の下方側への撓み量が多くなるほど、物品の突出量が不足する傾向になる。このことから、物品の重量が大きいほど、引退位置からの突出量が大きくなるように突出位置を設定することにより、物品載置体に載置した物品を収納部に卸すようする卸し処理を行う際に、収納部における物品載置体の出退方向での適正位置に物品を卸すことができるのである。
【0031】
また、例えば、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においては、物品を載置した物品載置体を引退位置から突出させると、走行台車及びマストが、物品載置体の突出方向に傾くものとなり、そして、その傾き量が物品の重量が大きいほど大きくなるから、物品載置体を引退位置から一定量突出させた状態においては、物品の重量が大きくて、走行台車及びマストの傾き量が多くなるほど、物品の突出量が過大となる傾向になる。したがって、物品の重量が大きいほど、引退位置からの突出量を小さくなるように突出位置を設定することにより、物品載置体に載置した物品を収納部に卸す処理を行う際に、収納部における物品載置体の出退方向での適正位置に物品を卸すことができるのである。
【0032】
ちなみに、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においても、物品の重量により伸長状態の屈伸リンク機構が下方側に撓むことになり、この撓みにより、物品載置体を引退位置から一定量突出させた状態における物品の位置が変化することになるが、一般には、その変化量よりも、物品の重量や、物品載置体及び屈伸リンク機構の重量により、走行台車及びマストが物品載置体の突出方向に傾くことにより、物品載置体を引退位置から一定量突出させた状態における物品の位置が変化する量が大きいものであるから、マストの下端部が走行台車に支持され且つマストの上端部が自由状態となる形態にて、マストが設けられている場合においては、物品の重量が大きいほど、引退位置からの突出量を小さくなるように突出位置を設定することになるのである。
【0033】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、第1〜第3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、物品収納棚における収納部の物品載置体の出退方向での適正位置に物品を収納することができるスタッカークレーンを提供できる。
【0034】
本発明のスタッカークレーンの第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記走行台車が、左右両端側に走行車輪を備えるように構成され、
前記マストが、その下端部が前記走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられ、
前記運転制御手段が、前記物品載置体に載置した物品を前記収納部に収納すべく、前記収納部に対する前記物品移載位置にて前記物品載置体を突出作動させる前記突出位置を、前記引退位置からの突出量を前記収納部の高さが高いほど少なくするように定める基本情報と、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量とに基づいて、設定するように構成されている点を特徴とする。
【0035】
すなわち、運転制御手段が、物品載置体に載置した物品を収納部に収納すべく、収納部に対する物品移載位置にて物品載置体を突出作動させる突出位置を、引退位置からの突出量を収納部の高さが高いほど少なくするように定める基本情報と、撓み量取得手段が取得した撓み量とに基づいて、設定して、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させることになる。
【0036】
つまり、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においては、物品を載置した物品載置体を引退位置から突出させると、走行台車及びマストが、物品載置体の突出方向に傾くものとなり、そして、走行台車及びマストが物品載置体の突出方向に傾いた状態においては、マストは、その上端部側ほど物品載置体の突出方向に変位するものとなるため、同じ重量の物品を載置した物品載置体を引退位置から一定の突出量にて突出させると、物品載置体が高い位置に位置するほど、物品の突出量が過大となる。
【0037】
そこで、撓み量取得手段が取得した撓み量に基づいて、物品載置体の突出位置を、撓み量が大きいほど、引退位置からの突出量が少なくなるように定めることに加えて、引退位置からの突出量を収納部の高さが高いほど少なくするように定める基本情報に基づいて、物品載置体の突出位置を、収納部の高さが高いほど、引退位置からの突出量が少なくなるように定めることにより、物品を収納部の物品載置体の出退方向での適正位置に卸すことができるのである。
【0038】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、第4特徴構成による作用効果に加えて、高さが異なる収納部に対して、物品載置体の出退方向で適正位置に物品を収納することができるスタッカークレーンを提供できる。
【0039】
本発明のスタッカークレーンの第6特徴構成は、第4又は第5特徴構成に加えて、
前記昇降台に、旋回枠が備えられ、その旋回枠に、前記屈伸リンク機構の基端部が連結され、
前記旋回枠を旋回操作する旋回用駆動モータが、その本体部が前記昇降台に接続された支持体にて支持され、かつ、その出力軸が前記旋回枠に接続された状態で設けられ、
前記運転制御手段が、前記走行台車の左側に前記物品載置体を突出させるときには、前記旋回枠を左側用旋回位置に旋回させ、且つ、前記走行台車の右側に前記物品載置体を突出させるときには、前記旋回枠を右側用旋回位置に旋回させるべく、前記旋回用駆動モータの作動を制御するように構成され、且つ、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量に基づいて前記左側用旋回位置及び前記右側用旋回位置を設定するように構成されている点を特徴とする。
【0040】
すなわち、運転制御手段が、走行台車の左側に物品載置体を突出させるときには、屈伸リンク機構の基端部が連結された旋回枠を左側用旋回位置に旋回させ、且つ、走行台車の右側に物品載置体を突出させるときには、屈伸リンク機構の基端部が連結された旋回枠を右側用旋回位置に旋回させるべく、旋回用駆動モータの作動を制御するように構成されるものであるから、走行台車の左右の両側に物品収納棚が位置する場合においても、それらの収納棚の収納部に対して物品を移載することができるのである。
【0041】
ところで、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させると、物品、物品載置体、及び、屈伸リンク機構の重量により、旋回枠が、昇降台に対して、物品載置体の突出方向に引っ張られる状態になり、そのように引っ張られている旋回枠を支持する昇降台が変形を起こす虞がある。
そして、昇降台の変形状態は、物品載置体が走行台車の左側に突出するときと、物品載置体が走行台車の左側に突出するときとでは、旋回枠が引っ張られる方向が逆方向になることにより、異なるものとなり、また、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させたときに旋回枠に作用する引っ張り力は、物品載置体が支持する物品の重量により変化するものとなるため、昇降台の変形量が、物品載置体が支持する物品の重量により変化することになる。
【0042】
このように、昇降台が変形を起こすと、旋回用駆動モータの本体部を支持する支持枠の姿勢、つまり、その支持枠が昇降台に接続された姿勢が変化する虞があり、その支持枠の姿勢の変化により、旋回用駆動モータの本体部の昇降台に対する出力軸の回転方向における位相が、微小変化を起こす虞があり、しかも、本体部の昇降台に対する出力軸の回転方向における位相が変化する場合には、その位相の変化量が、物品載置体が支持する物品の重量により変化することになる。
【0043】
本第6特徴構成によれば、運転制御手段が、撓み量取得手段が取得した撓み量に基づいて左側用旋回位置及び右側用旋回位置を設定するように構成されているから、物品載置体を突出させたときに、物品載置体が支持する物品の重量の変化により、旋回用駆動モータの本体部の昇降台に対する出力軸の回転方向における位相が変化しても、その変化を相殺することができる位置を、左側用旋回位置及び右側用旋回位置と設定することが可能となり、物品載置体を適正な方向に向けて突出させることができるのである。
【0044】
要するに、本発明の第6特徴構成によれば、第4又は第5特徴構成による作用効果に加えて、走行台車の左右の両側に物品収納棚が位置する場合においても、それらの収納棚の収納部に対して物品を移載することができ、しかも、物品載置体が支持する物品の重量の変化に拘わらず、物品載置体を適正な方向に向けて突出させることができるスタッカークレーンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】自動倉庫の概略平面図
【図2】同倉庫の正面図
【図3】スタッカークレーンの側面図
【図4】屈伸リンク機構の短縮状態を示す側面図
【図5】同機構の伸長状態の側面図
【図6】物品載置体の引退状態を示す概略平面図
【図7】物品載置体の突出状態を示す概略平面図
【図8】左旋回状態の旋回台の支持構造を示す縦断側面図
【図9】同構造を示す概略底面部
【図10】制御構成を示すブロック図
【図11】物品の斜視図
【図12】制御作動を示すフローチャート
【図13】制御作動を示すフローチャート
【図14】撓み量検出手段の検出データを示す図
【図15】撓み量と物品の重量との関係を示す図
【図16】卸し処理及び掬い処理を行うスタッカークレーンの概略正面図
【図17】物品載置体の旋回過程を示す概略平面図
【図18】補正前の卸し処理及び掬い処理を行うスタッカークレーンの概略正面図
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、物品Bを収納する収納部1を縦横に並べて複数備えた物品収納棚2と、物品収納棚2の前方の移動空間3を移動するスタッカークレーン5とが設けられて、スタッカークレーン5によって、収納部1に収納された物品Bを出庫する出庫作業及び収納部1に物品Bを収納する入庫作業を行う自動倉庫が構成されている。
尚、図示は省略するが、この自動倉庫は、ダウンフロー式のクリーンルーム内に設置されている。
【0047】
物品収納棚2が、前方側を互いに向かい合わせた状態で一対設けられ、それらの物品収納棚2の間に、上述の移動空間3が形成されている。
各物品収納棚2は、棚横幅方向に間隔を隔てて立設された前後一対の支柱6と、前後一対の支柱6に亘る状態で支持されて棚上下方向に間隔を隔てて設けられた載置支持部7とから構成されている。そして、各収納部1が、左右一対の載置支持部7により物品Bの棚横幅方向の両端部を載置支持する状態で物品Bを収納するように構成されている。
【0048】
本実施形態においては、物品Bは、図11に示すように、ガラス基板等の板状体を物品保持体4に収納したものである。
物品保持体4は、格子状に形成された上枠体4a及び下枠体4bと、上枠体4a及び下枠体4bの両横側縁部及び後側縁部に配置されて、上枠体4aと下枠体4bとを連結する複数の連結体4cと、上下方向に間隔を隔てて設置されて、水平方向に対向する連結体4c同士を連結するワイヤ状の支持部4dとから構成されている。
そして、物品保持体4は、その前方側の開口を通してガラス基板等の板状体を出し入れされるガラス基板等の板状体を、各支持部4dにて載置支持する状態で、上下方向に間隔を隔てて並べて保持するよう構成され、また、物品保持体4の上面部、下面部、及び、4つの側面部を通して空気が流出入できるように構成されている。
【0049】
図1に示すように、外部から物品収納棚2へ物品Bを搬入する物品入庫部8A、及び、物品収納棚2から外部に物品Bを搬出するための物品出庫部8Bが、一対の物品収納棚2の夫々の横側部に隣接する箇所に振り分け設置されている。物品入庫部8A及び物品出庫部8Bは、例えば、物品Bを載置搬送する搬送コンベヤにて構成されている。
尚、例示はしないが、物品入庫部8A及び物品出庫部8Bおけるスタッカークレーン5との間での物品授受箇所には、物品Bを昇降させる物品昇降部が装備されて、後述する物品載置体29が物品Bの下方に突入する空間を形成するように構成されている。
【0050】
また、図1及び図2に示すように、物品保持体4に保持されるガラス基板等の板状体に対して所定の加工処理を行う物品処理設備9が、一対の物品収納棚2の一方の背部側に設けられ、その物品処理部9に対して物品Bの搬出入を行うための物品搬出入用の物品載置部10が、一対の物品収納棚2のうちの一方の物品収納棚2一部に設けられている。
この物品載置部10は、物品収納棚2における最下段の収納部1にて構成されるものであり、物品処理設備9が、その物品載置部10に隣接するように設けられている。
つまり、スタッカークレーン5が、物品載置部10に対して物品Bの供給や回収を行うように構成されている。尚、物品載置部10には、例示はしないが、供給された物品Bを物品処理設備9に対する授受用適正位置に位置規制する位置規制装置が装備されている。
【0051】
物品処理部9には、物品Bにおけるガラス基板等の板状体を一枚ずつ移載する板状体移載装置が装備されている。
つまり、物品載置部10に物品Bが供給されると、物品処理部9に装備した板状体移載装置が、物品保持体4に収納されたガラス基板を一枚ずつ取り出して、物品処理設備9に供給することになり、また、物品処理設備9による加工処理が終了したガラス基板が、物品処理設備9に備えた板状体移載装置によって、物品保持体4に収納されることになる。
【0052】
一対の物品収納棚2の間の移動空間3の床部には、スタッカークレーン5を案内する左右1対の走行レール11が設けられている。
そして、スタッカークレーン5が、図2及び図3に示すように、走行レール11に沿って走行する走行台車12、その走行台車12に立設されたマスト13に沿って昇降自在な昇降台14、及び、その昇降台14に装着された物品移載装置15を備えて構成されている。
【0053】
マスト13は、走行台車12の前端部と後端部の夫々に1つずつ立設された状態で、前後一対設けられ、そして、一対のマスト13の上端部同士が、上部フレーム16にて連結されている。
つまり、マスト13は、その下端部が走行台車12に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている。
【0054】
昇降台14は、図3に示すように、走行台車12に立設した前後一対のマスト13にて昇降自在に案内支持され、そして、その左右両側に連結した一対の昇降用チェーン17にて吊下げ支持されている。
昇降用チェーン17の夫々は、昇降台14から上方に向けて伸びたのち、マスト13の上部に設けられた案内スプロケット18に巻き掛け案内されて下方に伸び、その後、走行台車12の前後の端部に装備した駆動スプロケット20にて上方に伸びるように巻回されて、その先端部が昇降台14に接続されている。
【0055】
駆動スプロケット20の夫々は、サーボ式の昇降用電動モータ21にて正逆に駆動されるように構成されている。
そして、一対の駆動スプロケット20の夫々に対応して設けた2つの昇降用電動モータ21を同期して正逆に回転駆動することにより、昇降台14を昇降作動させるように構成されている。
【0056】
図3に示すように、走行台車12に、昇降台14の下面に設置された反射板22に向けて昇降台14の昇降方向に沿って測距用のレーザー光を投射して、昇降台14の昇降方向における昇降台14の昇降位置を検出する昇降用レーザー測距計23が設けられている。
つまり、この昇降用レーザー測距計23は、投射した測距用のレーザー光が反射板22にて反射して戻ってくるのを受光することにより、反射板22までの距離を昇降台14の昇降方向における昇降台14の昇降位置として検出するように構成されている。
【0057】
また、図2及び図3に示すように、走行台車12が、その横幅方向の両端部の夫々に、走行レール11の長手方向に間隔を隔てる状態で一対の走行車輪24を備える状態に構成されている。
一対の走行車輪24のうち、一方の走行車輪24が駆動車輪24aとして構成され、他方の走行車輪24が遊転自在な従動車輪24bとして構成されている。
行台車12の横幅方向の両端部に配置された駆動車輪24aの夫々は、サーボ式の走行用電動モータ25にて正逆に駆動されるように構成されている。
そして、左右の駆動車輪24aに対応して設けた2つの走行用電動モータ25を同期して正逆に回転駆動することにより、走行台車12を走行レール11に沿って正逆(前後)に走行させるように構成されている。
尚、本実施形態においては、上記の如く、4つの走行車輪24のうちの2つを駆動車輪24aに構成する場合を例示するが、4つの走行車輪24の全てを駆動車輪24aに構成してもよく、また、4つの走行車輪24のうちの3つを駆動車輪24aに構成する形態で実施してもよい。
【0058】
つまり、走行台車12は、走行レール11によって形成される設定走行経路に沿って正逆に走行することにより、物品収納棚2における各収納部1に対する物品移載箇所、物品入庫部8Aに対する物品移載箇所、物品出庫部8Bに対する物品移載箇所、及び、物品載置部10に対する物品移載箇所に移動するように構成されている
【0059】
図3に示すように、走行台車12には、走行レール11の一端部に設置された反射板26に向けて走行レール11の長手方向に沿って測距用のビーム光を投射して、走行台車12の走行方向における走行位置、つまり、走行台車12の設定走行経路上の位置を検出する走行用レーザー測距計27が設けられている。
この走行用レーザー測距計27は、投射した測距用のレーザー光が反射板26にて反射して戻ってくるのを受光することにより、走行方向における走行台車12までの距離を走行台車12の走行位置として検出するように構成されている。
【0060】
物品移載装置15は、図4〜図7に示すように、昇降台14に対して旋回用上下軸心P0周りに旋回操作自在に支持された旋回枠としての旋回台28、及び、物品Bを載置支持する物品載置体29を旋回台28に対して出退自在に支持する屈伸リンク機構30を一対備えている。
つまり、一対の屈伸リンク機構30の基端部が、昇降台14に備えた旋回台28に連結され、その屈伸リンク機構30の先端部に、その先端部の上方に位置させる状態で、板状の物品載置体29の基端部が連結されている。
そして、屈伸リンク機構30の屈伸作動により、物品載置体29が昇降台側に引退させた引退位置(図4、図6参照)と外方に突出する突出位置(図5、図7参照)とに出退操作されるように構成されている。
【0061】
旋回台28は、図8及び図9にも示すように、旋回台28の下方側に設置された旋回駆動用モータとしてのサーボ式の旋回用電動モータ31の作動により旋回用上下軸心P0周りで旋回作動されるように構成されている。
すなわち、旋回台28の旋回により、走行台車12の左側に物品載置体29を突出させる状態と、走行台車12の右側に物品載置体29を突出させる状態とを選択できるように構成され、さらに、旋回台28の旋回により、物品載置体29を、その長手方向(物品Bの長手方向)をスタッカークレーン5の前後方向に向けた前後向き状態に旋回できるように構成されている(図1参照)。
【0062】
スタッカークレーン5は、移動空間3を走行するときには、物品載置体29を前後向き状態にできるように構成されるものであって、図9及び図17に示すように、旋回台28の旋回基準位置SKが、物品載置29を前後向き状態にする旋回位置に定められている。
また、以下の記載においては、走行台車12の左側に物品載置体29を突出させるときの旋回台28の旋回位置を、左側用旋回位置SLと呼称し、走行台車12の右側に物品載置体29を突出させるときの旋回台28の旋回位置を、右側用旋回位置SRと呼称する。
【0063】
ちなみに、基本的には、走行台車12の左側に物品載置体29を突出させるときには、旋回台28が旋回基準位置SKから左側に向けて90度旋回されることになり、そして、走行台車12の右側に物品載置体29を突出させるときには、旋回台28が旋回基準位置SKから右側に向けて90度旋回されることになるが、後述の通り、物品載置体29に物品Bを載置した状態において、旋回基準位置SKから左側用旋回位置SLに旋回台28を旋回させる角度や、旋回基準位置SKから右側用旋回位置SRに旋回台28を旋回させる角度は、90度よりも大きな旋回角度に設定されることになり、且つ、その旋回角度が、物品Bの重量が大きいほど大きくなるように設定されることになる。
【0064】
屈伸リンク機構30は、旋回台28に対して基端部が第1上下軸心P1周りで回動自在に連結された第1アーム32、及び、その第1アーム32の先端部に対して第2上下軸心P2周りで回動自在に連結された第2アーム33を備えた、いわゆるスカラアームを用いて構成されている。
そして、第2アーム33の先端部に、物品載置体29の基端部が、第3上下軸心P3周りで回動自在に連結されている。
【0065】
図8に示すように、物品載置体29を突出作動及び引退作動させるために、第1アーム32の基端部を旋回台28に対して揺動操作する減速機付の出退用電動モータ34が、旋回台28の下方側箇所に設けられている。
つまり、出退用電動モータ34の本体部34Aが、旋回台28に支持され、出退用電動モータ34の出力軸34Bが、第1アーム32に連結されている。
また、詳細な図示は省略するが、第1アーム32の動きと第2アーム33との動きを連係させるために、第1上下軸心P1における軸部及び第2上下軸心P2における軸部に亘り、チェーン連動機構が掛けわたされている。
【0066】
そして、一対の第1アーム32の夫々に対応して設けられている一対の出退用電動モータ34を同期して作動させることにより、一対の第1アーム32を同期して第1上下軸心P1周りで揺動させ、それに伴って、第2アーム33を第2上下軸心P2周りで揺動させることにより、上述の如く、屈伸リンク機構30が屈伸作動して、物品載置体29を昇降台側に引退させた引退位置(図4、図6参照)と外方に突出する突出位置(図5、図7参照)とに出退操作できるようになっている。
【0067】
図8及び図9に示すように、昇降台14が、平面視形状が4角形の箱状に構成されて、旋回用電動モータ31が、昇降台14に支持された支持体としての支持枠35に支持されている。
すなわち、旋回用電動モータ31の本体部31Aが、支持枠35に支持され、旋回用電動モータ31の出力回転部31Bが、旋回台28に連結されている。
尚、図8示すように、旋回台28が、旋回用軸受36にて昇降台14に対して旋回自在に支持され、屈伸リンク機構30の第1アーム32が、アーム用軸受37にて旋回台28に対して揺動自在に支持されている。
【0068】
昇降台14に対して旋回用電動モータ31を支持する支持枠35は、昇降台14の側壁部のうちの、走行台車12の後方側に相当する後壁部と、旋回用電動モータ31の本体部31Aとに亘る横倒れ姿勢で配置されている。
【0069】
図10に示すように、旋回台28の旋回位置が基準旋回位置SKであることを検出する基準旋回位置検出センサー38が設けられている。
この基準旋回位置検出センサー38は、投受光式のセンサーにて構成されている。つまり、昇降台14に設けた投受光部が、旋回台28に設置された被検出板にて投光した光が遮光されることにより、旋回台28の旋回位置が基準旋回位置SKであることを検出するように構成されている。
また、図8に示すように、旋回用電動モータ31には、基準旋回位置検出センサー38にて基準旋回位置SKを検出してからの旋回台28の旋回量を検出することにより旋回台28の旋回位置を検出する旋回用ロータリエンコーダ39が設けられている。
【0070】
また、図10に示すように、物品載置体29がその出退方向の引退位置に位置していることを検出する引退状態検出センサー40が設けられている。
この引退状態検出センサー37は、基準旋回位置検出センサー38と同様に、投受光式のセンサーにて構成されている。
すなわち、引退状態検出センサー40は、旋回台28に設けた投受光部が、屈伸リンク機構30における第1アーム32の基端部に設置された被検出板にて投光した光が遮光されることにより、物品載置体29が引退位置に位置していることを検出する。
【0071】
図8に示すように、出退用電動モータ34には、引退状態検出センサー37にて物品載置体29の引退位置を検出してからの物品載置体29の突出量を検出するために、出退用電動モータ34の出力軸34Bの回転駆動量を検出する出退用ロータリエンコーダ41が設けられている。
この出退用ロータリエンコーダ41の検出値と物品載置体29の引退位置からの突出量との関係は、予め演算により求められて、スタッカークレーン5の運転を制御する運転制御手段Hの記憶部に記憶されている。
【0072】
図10に示すように、運転制御手段Hは、上述の入庫作業及び出庫作業を行うために、物品収納棚2における収納部1に対する物品移載位置、物品入庫部8Aに対する物品移載位置、物品出庫部8Bに対する物品移載位置、及び、物品載置部10に対する物品移載位置の夫々に、物品移載装置15つまり物品載置体29を移動させるべく、走行台車12の走行作動及び昇降台14の昇降作動を制御し、また、物品移載装置15を物品移載位置に移動させた状態において、物品Bの掬い処理や物品Bの卸し処理を行うべく、物品移載装置15の移載作動及びを昇降台14の昇降作動を制御するように構成されている。
【0073】
すなわち、運転制御手段Hは、走行用電動モータ25を作動させて走行台車12を走行作動させ、走行用レーザー測距計27にて検出される走行台車12の走行位置が走行台車12の走行方向における物品移載位置になると、走行用電動モータ25を作動停止させることにより、走行台車12の走行方向における物品移載位置に物品移載装置15を位置させることになる。
【0074】
また、運転制御手段Hは、昇降用電動モータ21を作動させて昇降台14を昇降作動させ、昇降用レーザー測距計23にて検出される昇降台14の昇降位置が昇降台14の昇降方向における物品移載位置になると、昇降用電動モータ21を作動停止させことにより、昇降台14の昇降方向における物品移載位置に物品移載装置15を位置させることになる。
【0075】
そして、物品移載装置15を昇降させる物品移載位置は、物品Bを掬う掬い処理を行うときには、物品Bよりも下方の高さに物品載置体29を位置させる位置であり、また、物品Bを卸す卸し処理を行うときには、物品Bを卸す箇所の物品載置面よりも上方の高さに物品載置体29を位置させる位置である。
【0076】
掬い処理は、物品入庫部8Aに入庫された物品B、収納棚2の収納部1に収納された物品B、及び、物品載置部10に存在する物品Bを、物品載置体29にて掬う処理であり、具体的には、掬い対象の物品Bよりも下方側の高さにて物品載置体29を突出位置に突出させ、次に、昇降台14を予め設定した目標量上昇させることにより、物品Bを物品載置体29にて載置し、その後、物品載置体29を引退位置に引退させることになる。
【0077】
卸し処理は、物品載置体28にて載置した物品Bを、物品出庫部8B、収納棚2の収納部1、及び、物品載置部10に卸す処理であり、具体的には、物品出庫部8B、収納部1及び物品載置部10の物品載置面よりも上方の高さにて物品載置体29を突出位置に突出させ、次に、昇降台14を予め設定した目標下降させることにより、物品載置体29に載置した物品Bを物品載置面に卸し、その後、物品載置体29を引退位置に引退させることになる。
【0078】
さらに、説明を加えると、運転制御手段Hは、入庫作業及び出庫作業を行うときには、先ず、旋回台28を基準旋回位置SKに位置させた状態で、物品移載装置15を物品移載位置に移動させるべく、走行用電動モータ25及び昇降用電動モータ21の作動を制御することになる。
【0079】
次に、左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRに旋回台28を旋回させるべく、旋回用ロータリエンコーダ38の検出情報に基づいて旋回用電動モータ34の作動を制御して、物品載置体29の出退方向を調整する。
その後、出退用ロータリエンコーダ39の検出情報に基づいて出退用電動モータ34の作動を制御して、物品載置体29を突出位置に突出作動させる。
【0080】
そして、掬い処理を行うときには、物品移載位置に位置する物品載置体29を出退用電動モータ34の作動を制御して突出位置に突出作動させた後、昇降用レーザー測距計23の検出情報に基づいて昇降用電動モータ21を作動させることにより、上昇させる目標量に相当する設定距離だけ昇降台14を上昇させて、掬い対象の物品Bを物品載置体29に載置支持させ、その後、出退用電動モータ34の作動を制御して物品載置体29を引退作動させる。このとき、引退位置検出センサー37にて物品載置体29が引退位置であることを検出すると、物品載置体29の引退作動を停止させることになる。
【0081】
また、卸し処理を行うときには、物品移載位置に位置する物品載置体29を出退用電動モータ34の作動を制御して突出位置に突出作動させた後、昇降用レーザー測距計23の検出情報に基づいて昇降用電動モータ21を作動させることにより、下降させる目標量に相当する設定距離だけ昇降台14を下降させて、掬い対象の物品Bを卸し箇所の物品載置面に載置支持させ、その後、出退用電動モータ34の作動を制御して物品載置体29を引退作動させる。このとき、引退位置検出センサー37にて物品載置体29が引退位置であることを検出すると、物品載置体29の引退作動を停止させることになる。
【0082】
図4に示すように、スタッカークレーン5には、引退位置に位置する物品載置体29の下方側への撓み量を検出する撓み量検出手段Qが設けられている。
そして、運転制御手段Hが、物品載置体29引退位置に位置するときに、その物品載置体29に載置した物品Bの重量情報として、撓み量検出手段Qが検出する撓み量を取得するように構成されている。
つまり、本実施形態では、物品載置体29引退位置に位置するときに、その物品載置体29に載置した物品Bの重量情報として、撓み量検出手段Qが検出する撓み量を取得する撓み量取得手段が、運転制御手段Hを用いて構成されている。
【0083】
撓み量検出手段Qは、昇降台14に設置されて、物品載置体29の被検出部としての光反射体42の上下位置を検出するレーザー測距手段としての撓み量検出用レーザー測距計43にて構成されている。そして、撓み量検出用レーザー測距計43が、旋回台28の左側用旋回位置SLにて物品載置体29を出退操作するときに用いるものと、旋回台28の右側用旋回位置SRにて物品載置体29を出退操作するときに用いるものと、左右一対装備されている。
この撓み量検出用レーザー測距計43は、投射した測距用のレーザー光が光反射体42にて反射して戻ってくるのを受光することにより、光反射体42までの距離を検出するように構成されている。
【0084】
つまり、物品載置体29に物品Bを載置していないときに、撓み量検出用レーザー測距計43が検出した距離と、物品載置体29に物品Bを載置したときに、撓み量検出用レーザー測距計43が検出した距離との差が、物品載置状態の物品載置体29の撓み量となるものであり、本実施形態においては、運転制御手段Hが、掬い処理を開始する直前において、撓み量検出用レーザー測距計43が検出する距離に基づいて初期値Rを求めて記憶しておき、そして、掬い処理を完了した後で、撓み量検出用レーザー測距計43が検出する距離に基づいて物品Bを載置した状態での実計測値Dを求めて、その初期値Rと実計測値Dとの差(R−D)を、物品載置体29に載置した物品Bの重量情報に対応する撓み量として求めるように構成されている。
【0085】
図15に、撓み量(R−D)と物品Bの重量との関係の一例を示す。
この例示図に示されるように、撓み量(R−D)と物品Bの重量とが略正比例関係にあることが分かる。
尚、本実施形態の物品Bに重量は、約190Kgから約500Kgの範囲である。
つまり、ガラス基板等の板状体を収容していない物品保持体4の重量が、約190Kgであり、ガラス基板等の板状体を最大枚数収納した物品保持体4の重量が、約500Kgである。
【0086】
ちなみに、掬い処理を行うごとに初期値Rを求めるようにするに代えて、設備の設置時や設備の起動時に、物品載置体29に物品Bを載置しない状態において、撓み量検出用レーザー測距計43が検出した距離に基づいて初期値Rを求めて、その初期値Rをそれ以降において使用する形態で実施することも可能である。
【0087】
上述した実計測値Dを求める処理について説明すると、図14に示すように、運転制御手段Hは、掬い処理のときに、物品載置状態の物品載置体29が突出位置から引退位置に引退操作された直後から設定時間(例えば、400ms)経過するまでの計測期間において、撓み量検出用レーザー測距計43が検出する検出距離を設定サンプリング間隔(例えば、10ms)で繰り返し取得し、取得した複数のサンプリング情報を平均化処理した値を、実計測値Dとして設定するように構成されている。
【0088】
平均化処理として、本実施形態においては、設定時間内にサンプリングした情報のうちの、最大値と最小値との平均値を求める処理を行うように構成されている。
尚、平均化処理としては、このような処理に代えて、サンプリングした情報の全ての平均値を求めるようにする等、各種の処理を用いることができる。
【0089】
上述した初期値Rを求める処理について説明すると、運転制御手段Hは、掬い処理を行うために、旋回台28を基準旋回位置SKに位置させた状態で、物品移載装置15を掬い対象の物品Bに対する物品移載位置に移動させ、その後、左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRに旋回台28を旋回させたときに、その直後から設定時間(例えば、400ms)経過するまでの計測期間において、撓み量検出手段Qが検出する撓み量を設定サンプリング間隔(例えば、10ms)で繰り返し取得し、取得した複数のサンプリング情報を平均化処理した値を、初期値Rとして記憶するように構成されている。
【0090】
この初期値Rを求めるときの平均化処理としては、本実施形態においては、実計測値Dを求めるときと同様に、設定時間内にサンプリングした情報のうちの、最大値と最小値との平均値を求める処理を行うように構成されている。
尚、平均化処理としては、このような処理に代えて、サンプリングした情報の全ての平均値を求めるようにする等、各種の処理を用いることができる。
【0091】
そして、掬い処理を行うときの物品載置体29の突出位置、つまり、引退位置から突出位置までの物品載置体29の突出量は、物品移載位置の高さに応じて予め定めた異なる突出量に設定されることになる。
また、卸し処理を行うときの物品載置体29の突出位置、つまり、引退位置から突出位置までの物品載置体29の突出量は、物品移載位置の高さに応じて予め定めた異なる突出量に、物品載置体29に載置した物品Bの重量情報に対応する撓み量(R−D)に対応して定めた補正値Eを減算した値に設定されるように構成されている。
この補正値Eは、撓み量(R−D)が大きいほど大きな値となるように定められるものであって、例えば、撓み量(R−D)を複数の段階に区分して、各段階ごとの補正値Eを定めるようにする形態で実施できる。
【0092】
物品移載位置の高さに応じて予め異なる値に定められる突出量は、物品載置体29を物品Bを載置しない状態で、スタッカークレーン5を実験的に作動させて、物品載置体29をその出退方向での適正位置に突出させるのに必要な量を計測して定めたものであり、このようの情報が、基本情報として、運転制御手段Hの記憶部に記憶されている。
【0093】
つまり、マスト13が、その下端部が走行台車12に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においては、物品Bを載置しない状態の物品載置体29を引退位置から突出させるときや、物品Bを載置した状態の物品載置体29を引退位置から突出させたときに、図16及び図18に示すように、走行台車12及びマスト13が、物品載置体29の突出方向に傾くものとなり、そして、その傾き量が物品Bの重量が大きいほど大きくなることになる。
【0094】
したがって、物品載置体29を引退位置から一定量だけ突出させるようにした状態においては、走行台車12及びマスト13が物品載置体29の突出方向に傾いているために、物品載置体29の突出量が、物品Bを載置してない状態においても、物品移載位置の高さが高いほど過大となる傾向になるから、物品Bを載置していない状態における物品載置体29の引退位置から突出量を、上述した基本情報として、運転制御手段Hの記憶部に予め記憶させておくことになる。
つまり、掬い処理においては、基本情報に基づいて求められる突出量にて、物品載置体29が引退位置から突出位置に操作されることになる。
【0095】
また、走行台車12及びマスト13の傾き量は、物品載置体29に載置する物品Bの重量が大きいほど大きくなるから、物品載置体29を引退位置から基準情報に基づいて定められる突出量にて突出させた状態においては、物品Bの重量が大きくて、走行台車12及びマスト13の傾きが大きくなるほど、物品Bの突出量が過大となる傾向になる。
このため、上述の基本情報としての突出量を、物品Bの重量が大きいほど小さくなるように補正することになる。具体的には、物品載置体29に載置した物品Bの重量情報に対応する撓み量(R−D)に対応して補正値Eを定めておき、基本情報における突出量から補正値Eを減算した値に、突出量を定めることになる。
【0096】
つまり、物品載置体29に載置した物品Bを収納部1や物品載置部10に卸す処理を行う際に、単に、基本情報に対応する突出量にて物品載置体を突出させると、図17(a)に示すように、物品Bが卸される位置J1が、設定適正位置J0よりも、物品載置体29の突出方向側に過大となり、次に、掬い処理を行う際に、物品載置体29を、基本情報に対応する突出量にて物品載置体を突出させると、図17(b)に示すように、物品載置体29が、本来載置すべき位置よりも先端側の位置で物品Bを載置する不都合を招くものとなる。
【0097】
これに対して、卸し処理における物品載置体29の突出量を、基本情報における突出量から、物品載置体29に載置した物品Bの重量情報に対応する撓み量(R−D)に対応して定めた補正値Eを減算して補正して、この補正した突出量にて物品載置体29を突出させると、図16(a)に示すように、物品Bが卸される位置J1が設定適正位置J0に近づくのであり、次に、掬い処理を行う際に、物品載置体29を、基本情報に対応する突出量にて物品載置体を突出させると、図16(b)に示すように、物品載置体29が、本来載置すべき位置に物品Bを載置することになる。
【0098】
すなわち、運転制御手段Hが、取得した撓み量(R−D)に基づいて、物品載置体29の突出位置を、撓み量(R−D)が大きいほど、引退位置からの突出量が少なくなるように定めるようにし、加えて、引退位置からの突出量を収納部1の高さが高いほど少なくするように定めることになる基本情報に基づいて、物品載置体29の突出位置を、収納部1の高さが高いほど、引退位置からの突出量が少なくなるように定めることにより、物品Bを収納部1の物品載置体の出退方向での設定適正位置J0に卸すことができるのである。
ちなみに、物品載置部10は、上下に並ぶ収納部1の最下段の収納部1に対応する高さであるから、基本情報のうちの、最下段の収納部1に対応する情報が用いられることになる。
【0099】
また、卸し処理を行うときの左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRが、上述の通り、物品載置体29に載置する物品Bの重量に応じて設定されるように構成されている。
つまり、物品載置体29を引退位置から突出位置に突出させると、物品B、物品載置体29、及び、屈伸リンク機構30の重量により、旋回台28が、昇降台14に対して、物品載置体29の突出方向に引っ張られる状態になり、そのように引っ張られている旋回台28を支持する昇降台14が変形を起こす虞がある。
【0100】
そして、昇降台14の変形状態は、物品載置体29が走行台車12の左側に突出するときと、物品載置体29が走行台車12の右側に突出するときとでは、旋回台28が引っ張られる方向が異なることにより、異なるものとなり、また、物品載置体29を引退位置から突出位置に突出させたときに旋回台28に作用する引っ張り力は、物品載置体29が支持する物品Bの重量により変化するものとなるため、昇降台14の変形量が、物品載置体29が支持する物品の重量により変化することになる。
【0101】
説明を加えると、本実施形態においては、上述の如く、昇降台14に対して旋回用電動モータ31を支持する支持枠35は、昇降台14の側壁部のうちの、走行台車12の後方側に相当する後壁部と、旋回用電動モータ31の本体部31Aとに亘る横倒れ姿勢で配置されている。
このため、図9に示すように、走行台車12の左側に物品載置体29を突出させて、旋回台28を受け止め支持することにより昇降台14の全体が変形と、支持枠35が左側に膨出する弓形になって、旋回用電動モータ31の本体部31Aが、右側に回転するため、物品載置体29の突出方向が旋回基準位置SKの存在する走行台車12の前方側に変動することになる。
尚、図9は底面図であるため、この図9においては、支持枠35が右側に膨出する弓形になって、旋回用電動モータ31の本体部31Aが、左側に回転する状態となる。
【0102】
したがって、物品載置体29に物品Bを載置した状態で、旋回台28を旋回基準位置SKから左側用旋回位置SLに旋回させる角度は、図18に示すように、90度よりも大きな旋回角度に設定されることになり、且つ、その旋回角度が、物品Bの重量が大きいほど大きくなるように設定されることになる。
ちなみに、物品Bの重量に応じた旋回角度は、予め実験等により求めて、定めることになる。
【0103】
また、例示はしないが、走行台車12の左側に物品載置体29を突出させるときと同様に、走行台車12の右側に物品載置体29を突出させると、旋回台28を受け止め支持することにより昇降台14の全体が変形する結果、支持枠14が右側に膨出する弓形になって、旋回用電動モータ31の本体部31Aが、左側に回転するため、物品載置体29の突出方向が旋回基準位置SKの存在する走行台車12の前方側に変動することになる。
【0104】
したがって、物品載置体29に物品Bを載置した状態で、旋回台28を旋回基準位置SKから右側用旋回位置SRに旋回させる角度は、90度よりも大きな旋回角度に設定されることになり、且つ、その旋回角度が、物品Bの重量が大きいほど大きくなるように設定されることになる。
ちなみに、物品Bの重量に応じた旋回角度は、予め実験等により求めて、定めることになる。
【0105】
このように、運転制御手段Hが、物品載置体29の撓み量(R−D)に基づいて左側用旋回位置SL及び右側用旋回位置SRを設定するように構成されているから、物品載置体29を突出させたときに、物品載置体29が支持する物品Bの重量の変化により、旋回用駆動モータ31の本体部31の昇降台14に対する出力軸31Bの回転方向における位相が変化しても、物品載置体29を適正な方向に向けて突出させることができるのである。
【0106】
次に、運転制御手段Hが実行する制御作動のうちの、掬い処理及び卸し処理について、図12及び図13のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、掬い処理について説明する。
この掬い処理は、旋回台28を基準旋回位置SKに位置させた状態で、物品移載装置15を、つまり物品載置体29を、掬い対象の物品Bに対する物品移載位置に移動させ、その後、左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRに旋回台28を旋回させた後に開始されることになる。
【0107】
ちなみに、運転制御手段Hが、掬い処理を行う前に撓み量検出用レーザー測距計43が検出する距離を取得して、上述した初期値Rを求める処理を行うことになる。
また、この掬い処理を行うときの左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRは、基準旋回位置SKから旋回台28を左方や右方に90度旋回させる位置である。
【0108】
まず、物品載置体29の突出作動を開始し(#1)、次に、基本情報に基づいて定めた突出位置に物品載置体29が突出したか否かを判別し(#2)、物品載置体29が突出位置に位置するまで突出作動を継続する。
【0109】
#2にて、物品載置体29が突出位置に突出したことを判別すると、物品載置体29を上昇作動させることを開始し(#3)、次に、設定した目標量を上昇したか否かを判別して(#4)、物品載置体29が設定した目標量を上昇するまで上昇作動を継続する。
【0110】
#4にて、物品載置体29が設定した目標量を上昇したことを判別すると、物品載置体29の引退作動を開始し(#5)、次に、物品載置体29が引退位置に引退したか否かを判別して(#6)、物品載置体29が引退位置に引退するまで引退作動を継続する。
【0111】
#6にて、物品載置体29が引退位置に引退することを判別すると、撓み量検出用レーザー測距計43の検出情報を設定サンプリンク間隔で取得するサンプリングを開始し(#7)、次に、設定時間が経過したか否かを判別して(#8)、設定時間が経過するまでサンプリングを継続する。
【0112】
#8にて、設定時間が経過したことを判別すると、サンプリングした情報に基づいて平均値を求める平均化処理を実行する(#9)。
この平均化処理は、設定時間内にサンプリングした情報のうちの、最大値と最小値との平均値を求める処理であり、その平均化処理にて求めた値が実計測値Dとして記憶されることになる。
【0113】
次に、上述の掬い処理にて物品載置体29に載置した物品Bを卸す卸し処理について説明する。
この卸し処理は、旋回台28を基準旋回位置SKに位置させた状態で、物品移載装置15を、つまり物品載置体29を、卸し処理を行う物品移載位置に移動させ、その後、左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRに旋回台28を旋回させた後に開始されることになる。
尚、卸し処理における左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRは、初期値Rと実計測値Dとを減算して求められる物品載置体29の撓み量(R−D)に基づいて、基準旋回位置SKからの旋回角度が90度よりも大きな角度となる位置に定められる。
【0114】
、
まず、卸し処理を行うときの物品載置体29の突出位置、つまり、引退位置から突出位置までの物品載置体29の突出量を求める突出位置演算処理が行われる(#11)。
この突出位置演算処理は、突出量を物品移載位置の高さに応じて予め定めた基本情報における突出量から、物品載置体29に載置した物品Bの重量情報に対応する撓み量(R−D)に対応して定めた補正値Eを減算する処理である。
【0115】
その後、物品載置体29の突出作動を開始し(#12)、次に、突出位置演算処理の演算結果にて定めた突出位置に物品載置体29が突出したか否かを判別して(#13)、物品載置体29が突出位置に突出するまで突出作動を継続する。
【0116】
#13にて、物品載置体29が突出位置に位置することを判別すると、物品載置体29の下降作動を開始し(#14)、次に、設定した目標量を下降したか否かを判別して(#15)、物品載置体29が設定した目標量を下降するまで下降作動を継続する。
【0117】
#15にて、物品載置体29が設定した目標量を下降したことを判別すると、物品載置体29の引退作動を開始し(#16)、次に、物品載置体29が引退位置に引退したか否かを判別し(#17)、物品載置体29が引退位置に位置するまで引退作動を継続する。
【0118】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、撓み量検出手段として、レーザー測距手段を例示したが、歪ゲージ等の他の手段を用いてもよい。
【0119】
(2)上記実施形態では、マストの上端部が自由状態となる場合を例示したが、マストの上端部を案内レールにて支持する形態で実施してもよい。
この場合、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させた際に、走行台車やマストが物品載置体の突出方向に傾かないものとなるから、屈伸リンク機構の下方への撓みのみを考慮して、物品を載置した物品載置体を突出させる突出位置を、撓み量取得手段が取得した撓み量に基づいて設定するとよい。
【0120】
(3)上記実施形態では、物品載置体が物品を載置していない状態における旋回枠の左側用旋回位置及び右側用旋回位置を、基準旋回位置から90度旋回させた位置に定めるようにしたが、物品載置体に物品を載置しない状態で物品載置体を引退位置から突出位置に突出させたときに、昇降台や旋回用駆動モータの支持枠の変形により、物品載置体の突出方向が適正方向からずれる場合には、物品を載置していない状態における左側用旋回位置及び右側用旋回位置を、基準旋回位置から90度より大きく旋回させた位置に定めるようにして、物品載置体を所望の適正方向に突出させるようにしてもよい。
【0121】
(4)上記実施形態では、物品入庫部と物品出庫部とが各別に設けられる場合を例示したが、物品入庫と物品出庫とに兼用する物品入出庫部を設ける形態で実施してもよい。
【0122】
(5)上記実施形態では、物品が、ガラス基板等の板状体を保持する物品保持体である場合を例示したが、本発明のスタッカークレーンは、そのたの種々の物品を収納する自動倉庫に適用できるものである。
【0123】
(6)上記実施形態では、スタッカークレーンの運転を制御する運転制御手段が、撓み量取得手段を構成する場合を例示したが、撓み量取得手段を、専用の制御装置を用いて構成してもよい。
【0124】
(7)上記実施形態では、収納部が上下方向に4段備える収納棚を例示したが、収納部を上下に並べる段数は各種変更できるものである。
【0125】
(8)上記実施形態では、基本情報における突出量から減算する補正値を、単に、撓み量検出手段にて検出される撓み量のみに基づいて設定する場合を例示したが、収納部の高さに応じて補正値を変更する必要がある場合には、撓み量と収納部の高さに応じて補正値を設定する形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 収納部
2 物品収納棚
8A 物品入庫部
12 走行台車
13 マスト
14 昇降台
24 走行車輪
28 旋回枠
29 物品載置体
30 屈伸リンク機構
42 被検出部
43 レーザー測距手段
Q 撓み量検出手段
H 運転制御手段、撓み量取得手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行台車から立設されたマストに案内された状態で昇降駆動される昇降台に、車体横幅方向に出退する屈伸リンク機構の基端部が連結され、且つ、その屈伸リンク機構の先端部に、物品載置体の基端部が連結されて、前記屈伸リンク機構の出退作動により、前記物品載置体が前記昇降台側に引退させた引退位置と外方に突出する突出位置とに出退操作されるように構成されたスタッカークレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるスタッカークレーンは、通常一般に、物品を収納する収納部が縦横に設けられた物品収納棚に対して、物品を収納するのに使用されることになる。
すなわち、走行台車が設定走行経路に沿って走行し、かつ、昇降台が昇降することにより、物品載置体が、物品を収納する収納部が縦横に設けられた物品収納棚における収納部に対する物品移載位置、物品入庫部に対する物品移載位置、及び、物品出庫部に対する物品移載位置に移動されて、主として、物品入庫部に入庫される物品を収納部に収納する入庫作業や、収納部に収納された物品を物品出庫部に出庫する出庫作業を行うのに用いられることになる。
【0003】
ちなみに、物品入庫部に存在する物品や収納部に収納された物品を物品載置体にて載置するには、物品よりも下方側の高さにて物品載置体を突出位置に突出させ、その後、昇降台を上昇させることにより、物品を掬うようにする掬い処理が行われることになり、また、物品載置体に載置した物品を収納部や物品出庫部に卸すには、収納部や物品出庫部の物品載置面よりも上方側の高さにて物品載置体を突出位置に突出させ、その後、昇降台を下降させることにより、収納部や物品出庫部の物品載置面に物品を卸すようにする卸す処理が行われることになる。
【0004】
また、一般には、スタッカークレーンの左右両側に収納棚が装備されることが多いため、昇降台に、旋回枠が備えられ、その旋回枠に、屈伸リンク機構の基端部が連結されて、旋回枠の旋回により、物品載置体を走行台車の左側に突出させるための状態と走行台車の右側に突出させるための状態とに切り替えることができるように構成されることになる。
尚、収納部に収納した物品が、スタッカークレーンの横幅方向に長い場合には、物品載置体を引退位置にて90度旋回させて、物品の長手方向をスタッカークレーンの前後方向に向けた姿勢にして、スタッカークレーンを走行させることが行われる。
つまり、物品の長手方向をスタッカークレーンの前後方向に向けた姿勢にして、走行台車を走行させかつ昇降台を昇降させ、そして、物品移載位置にて、旋回枠を90度旋回させた後、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させることになる。
【0005】
このようなスタッカークレーンが搬送する物品としては、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイに使用するガラス基板を積層状態で収納する容器がある。
ちなみに、近年では、ガラス基板が大型化される傾向にあるため、ガラス基板を積層状態で収納した容器の重量は、例えば500Kgなる等、大重量になる傾向にある。
そして、ガラス基板を積層状態で収納する容器を搬送するスタッカークレーンは、一般に、ダウンフロー式等のクリーンルーム内に装備されることになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に開示されているように、クリーンルーム内に装備されるスタッカークレーンは、走行台車が、左右両端側に走行車輪を備えるように構成され、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられる場合がある。
つまり、マストの上端をも案内レールにて案内支持させるようにすると、その案内支持により塵埃が発生するものとなるため、走行台車の左右両側に備える走行車輪の間隔を極力広げるようにして、物品載置体が突出位置に突出されても走行台車が左右に傾き難いようにすることにより、マストの上端部が、案内レールによって案内支持されない、自由状態となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−184787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スタッカークレーンにおいては、物品載置体に載置した物品の重量を検出することが望まれる。
すなわち、例えば、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においては、物品を載置した物品載置体を引退位置から突出させると、走行台車及びマストが、物品載置体の突出方向に傾くものとなり、そして、その傾き量が物品の重量の大きさにより変化するものとなる。
尚、物品載置体に物品を載置しない状態で物品載置体を引退位置から突出させる場合にも、物品載置体や屈伸リンク機構の重量により、走行台車及びマストが、物品載置体の突出方向に傾く場合があるが、当然ながら、その傾き量は、物品載置体に物品を載置する場合よりも小さくなる。
【0009】
このように、物品載置体に載置した物品を収納部に卸すようにする卸し処理を行う際に、走行台車及びマストが物品載置体の突出方向に傾くことがあっても、物品載置体の出退方向において収納部の適正位置に物品を卸すようにすべく、物品載置体の突出位置、つまり、引退位置から突出位置までの突出量を、物品の重量に応じて定めることが考えられるものであり、このため、物品載置体に載置した物品の重量を検出することが望まれる。
【0010】
尚、卸し処理を行うときに、物品を収納部に対して卸す位置が、物品載置体の出退方向において適正位置から変化すると、掬い処理を行うときに、物品の荷重が物品載置体に作用するまでは、走行台車及びマストが物品載置体の突出方向に傾かない、あるいは、大きく傾かないために、物品が、物品載置体における物品を本来載置すべき位置よりも先端側に外れた位置にて物品載置体にて載置される結果、次に、卸し処理を行うときに、物品が卸される位置が、適正な位置よりも、さらに大きく外れることになり、卸し処理を適正通り行えなくなるトラブルを発生する虞がある。
【0011】
物品載置体に載置した物品の重量を検出する構成として、物品を載置した物品載置体を突出させたときには、伸長状態の屈伸リンク機構が下方側に大きく撓み変形することに鑑みて、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させる途中において、昇降台に対する物品載置体の上下位置を検出して、物品の重量を検出することが考えられる。
【0012】
しかしながら、この構成の場合には、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させる途中においては、伸長状態の屈伸リンク機構が諸々の振動原因により上下や左右に不規則に振動すること起因して、物品載置体が昇降台に対して上下に不規則に振動する傾向にあることや、伸長状態の屈伸リンク機構が下方側に大きく撓み変形して先端側ほど下方に位置する傾斜姿勢になるに伴って、物品載置体も先端側ほど下方に位置する状態に大きく傾斜するため、物品載置体に対する物品の重量の掛かり具合が物品の重量の差異により大きく変化すること等に起因して、物品の重量を適切に検出し難いものとなる。
【0013】
ちなみに、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においては、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が案内レールにて案内支持される形態にて設けられている場合とは異なり、物品を載置した物品載置体を引退位置から突出させると、走行台車及びマストが物品載置体の突出方向に傾くことにより、物品載置体が先端側ほど下方に位置する状態にかなり大きく傾斜する傾向となるため、物品載置体に対する物品の重量の掛かり具合が物品の重量の変化により大きく変化すること等に起因して、物品の重量を一層適切に検出し難いものとなる。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、本来構成を有効利用して、物品載置体に載置する物品の重量を適切に検出することができるスタッカークレーンを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のスタッカークレーンは、走行台車から立設するマストに案内された状態で昇降駆動される昇降台に、車体横幅方向に出退する屈伸リンク機構の基端部が連結され、且つ、その屈伸リンク機構の先端部に、その先端部の上方側に位置させる状態で物品載置体の基端部が連結されて、前記屈伸リンク機構の出退作動により、前記物品載置体が前記昇降台側に引退させた引退位置と外方に突出する突出位置とに出退操作されるように構成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記引退位置に位置する前記物品載置体の下方側への撓み量を検出する撓み量検出手段が設けられ、
前記物品載置体が物品載置状態で前記引退位置に位置するときに、その物品載置体に載置した物品の重量情報として、前記撓み量検出手段が検出する撓み量を取得する撓み量取得手段が設けられている点を特徴とする。
【0016】
すなわち、引退位置に位置する物品載置体の下方側への撓み量が撓み量検出手段にて検出され、そして、撓み量取得手段が、物品載置体が物品載置状態で引退位置に位置するとき、物品載置体に載置した物品の重量情報として、撓み量検出手段が検出する撓み量を取得する。
つまり、物品載置体は、屈伸リンク機構の先端部に、その基端部が連結されているものであるから、物品載置体は、屈伸リンク機構に対して、片持ち状に支持されることになるため、載置される物品の重量により屈伸リンク機構に対して下方に撓み変形することになり、かつ、その撓み量が、物品の重量に応じて増減することになる。
そして、その撓み量が撓み量検出手段にて検出され、撓み量取得手段が、物品載置体が引退位置に位置するとき、物品載置体に載置した物品の重量情報として、撓み量検出手段が検出する撓み量を取得することになる。
【0017】
物品載置体が引退位置に位置するときには、屈伸リンク機構は、屈折して短縮した状態であるため、物品載置体に載置する物品の重量が作用しても、前後や左右に大きく傾斜し難い状態であり、また、屈伸動作を行っていない状態であるから、上下に振動し難い状態である。
したがって、引退位置に位置する物品載置体が、屈伸リンク機構の前後や左右の傾斜によって傾斜されることが抑制され、且つ、屈伸リンク機構の上下振動により上下に振動することが抑制されるため、物品載置状態で引退位置に位置する物品載置体の下方側への撓み量が、物品の重量の変化として適切に現れる傾向となるものであるから、物品の重量の変化として適切に現れる物品載置体の下方側への撓み量を、物品載置体に載置した物品の重量情報として適切に取得できるのである。
【0018】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、物品載置体の基端部が屈伸リンク機構の先端部に連結されるという本来構成を有効利用して、物品載置体に載置する物品の重量を適切に検出することができるスタッカークレーンを提供できる。
【0019】
本発明のスタッカークレーンの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記撓み量検出手段が、前記昇降台に設置されて、前記物品載置体の被検出部の上下位置を検出するレーザー測距手段にて構成されている点を特徴とする。
【0020】
すなわち、撓み量検出手段としてのレーザー測距手段が、物品載置体の被検出部の上下位置を検出することになる。
つまり、物品載置体が物品を載置していないときの被検出部の上下位置と、物品載置体が物品を載置したときの被検出部の上下位置との差を、物品載置体の下方側への撓み量として検出することができる。
【0021】
そして、レーザー測距手段は、物品載置体の下方側への撓み量を非接触状態で検出するものであるから、例えば、物品載置体の裏面に、撓み量検出手段としての歪ゲージを貼着する場合に較べて、物品載置体の撓みにより、レーザー測距手段には負荷が作用しないため、物品載置体の撓みを長期間に亘って良好に検出することができる。
【0022】
しかも、レーザー測距手段は、物品載置体の被検出部の上下位置を、精度良く検出できるものであるから、物品の重量の変化による物品載置体の撓み量の変化を精度良く検出できる。
【0023】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、物品載置体の下方への撓み量を、長期間に亘って良好に、且つ、精度良く検出できるスタッカークレーンを提供できる。
【0024】
本発明のスタッカークレーンの第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記撓み量取得手段が、前記物品載置体が前記突出位置から前記引退位置に引退操作された直後から設定時間経過するまでの計測期間において、前記撓み量検出手段が検出する撓み量を設定サンプリング間隔で繰り返し取得し、取得した複数のサンプリング情報を平均化処理した値を、前記物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量として設定するように構成されている点を特徴とする。
【0025】
すなわち、撓み量取得手段が、物品載置状態の物品載置体が突出位置から引退位置に引退操作されると、その直後から設定時間経過するまでの計測期間において、撓み量検出手段が検出する撓み量を設定サンプリング間隔で繰り返し取得し、そして、取得した複数のサンプリング情報を平均化処理した値を、物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量として設定することになる。
【0026】
このように、物品載置状態の物品載置体が突出位置から引退位置に引退操作された直後からの計測期間が終了すれば、物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量が求められるものであるから、例えば、物品載置体が突出位置から引退位置に引退操作されたのち、撓み量検出手段が検出する撓み量が安定するまで待機し、安定した撓み量を、物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量として設定する場合よりも、物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量を迅速に設定できる。
【0027】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量を迅速に設定できるスタッカークレーンを提供できる。
【0028】
本発明のスタッカークレーンの第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
前記走行台車が、物品を収納する収納部が設けられた物品収納棚に沿って走行するように設けられ、
前記走行台車の走行作動、前記昇降台の昇降作動、及び、前記屈伸リンク機構の出退作動を制御する運転制御手段が、前記物品載置体に載置した物品を前記収納部に収納すべく、前記物品載置体を前記収納部に対する物品移載位置に位置させた状態において、前記物品載置体を突出作動させる前記突出位置を、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量に基づいて設定するように構成されている点を特徴とする。
【0029】
すなわち、運転制御手段が、物品載置体に載置した物品を収納部に収納すべく、物品載置体を収納部に対する物品移載位置に位置させた状態で、物品載置体を突出作動させる突出位置を、つまり、引退位置から突出位置までの突出量を、撓み量取得手段が取得した撓み量に基づいて設定して、物品載置体を引退位置から設定された突出位置に突出させることになる。
【0030】
つまり、例えば、マストの上端部が案内レールにて支持されている場合には、物品載置体が突出したときに、走行台車及びマストの傾きが抑制されるものの、物品の重量により屈伸リンク機構が下方側に撓むことにより、物品載置体を引退位置から一定量突出させた状態においては、物品の重量が大きくて屈伸リンク機構の下方側への撓み量が多くなるほど、物品の突出量が不足する傾向になる。このことから、物品の重量が大きいほど、引退位置からの突出量が大きくなるように突出位置を設定することにより、物品載置体に載置した物品を収納部に卸すようする卸し処理を行う際に、収納部における物品載置体の出退方向での適正位置に物品を卸すことができるのである。
【0031】
また、例えば、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においては、物品を載置した物品載置体を引退位置から突出させると、走行台車及びマストが、物品載置体の突出方向に傾くものとなり、そして、その傾き量が物品の重量が大きいほど大きくなるから、物品載置体を引退位置から一定量突出させた状態においては、物品の重量が大きくて、走行台車及びマストの傾き量が多くなるほど、物品の突出量が過大となる傾向になる。したがって、物品の重量が大きいほど、引退位置からの突出量を小さくなるように突出位置を設定することにより、物品載置体に載置した物品を収納部に卸す処理を行う際に、収納部における物品載置体の出退方向での適正位置に物品を卸すことができるのである。
【0032】
ちなみに、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においても、物品の重量により伸長状態の屈伸リンク機構が下方側に撓むことになり、この撓みにより、物品載置体を引退位置から一定量突出させた状態における物品の位置が変化することになるが、一般には、その変化量よりも、物品の重量や、物品載置体及び屈伸リンク機構の重量により、走行台車及びマストが物品載置体の突出方向に傾くことにより、物品載置体を引退位置から一定量突出させた状態における物品の位置が変化する量が大きいものであるから、マストの下端部が走行台車に支持され且つマストの上端部が自由状態となる形態にて、マストが設けられている場合においては、物品の重量が大きいほど、引退位置からの突出量を小さくなるように突出位置を設定することになるのである。
【0033】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、第1〜第3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、物品収納棚における収納部の物品載置体の出退方向での適正位置に物品を収納することができるスタッカークレーンを提供できる。
【0034】
本発明のスタッカークレーンの第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記走行台車が、左右両端側に走行車輪を備えるように構成され、
前記マストが、その下端部が前記走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられ、
前記運転制御手段が、前記物品載置体に載置した物品を前記収納部に収納すべく、前記収納部に対する前記物品移載位置にて前記物品載置体を突出作動させる前記突出位置を、前記引退位置からの突出量を前記収納部の高さが高いほど少なくするように定める基本情報と、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量とに基づいて、設定するように構成されている点を特徴とする。
【0035】
すなわち、運転制御手段が、物品載置体に載置した物品を収納部に収納すべく、収納部に対する物品移載位置にて物品載置体を突出作動させる突出位置を、引退位置からの突出量を収納部の高さが高いほど少なくするように定める基本情報と、撓み量取得手段が取得した撓み量とに基づいて、設定して、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させることになる。
【0036】
つまり、マストが、その下端部が走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においては、物品を載置した物品載置体を引退位置から突出させると、走行台車及びマストが、物品載置体の突出方向に傾くものとなり、そして、走行台車及びマストが物品載置体の突出方向に傾いた状態においては、マストは、その上端部側ほど物品載置体の突出方向に変位するものとなるため、同じ重量の物品を載置した物品載置体を引退位置から一定の突出量にて突出させると、物品載置体が高い位置に位置するほど、物品の突出量が過大となる。
【0037】
そこで、撓み量取得手段が取得した撓み量に基づいて、物品載置体の突出位置を、撓み量が大きいほど、引退位置からの突出量が少なくなるように定めることに加えて、引退位置からの突出量を収納部の高さが高いほど少なくするように定める基本情報に基づいて、物品載置体の突出位置を、収納部の高さが高いほど、引退位置からの突出量が少なくなるように定めることにより、物品を収納部の物品載置体の出退方向での適正位置に卸すことができるのである。
【0038】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、第4特徴構成による作用効果に加えて、高さが異なる収納部に対して、物品載置体の出退方向で適正位置に物品を収納することができるスタッカークレーンを提供できる。
【0039】
本発明のスタッカークレーンの第6特徴構成は、第4又は第5特徴構成に加えて、
前記昇降台に、旋回枠が備えられ、その旋回枠に、前記屈伸リンク機構の基端部が連結され、
前記旋回枠を旋回操作する旋回用駆動モータが、その本体部が前記昇降台に接続された支持体にて支持され、かつ、その出力軸が前記旋回枠に接続された状態で設けられ、
前記運転制御手段が、前記走行台車の左側に前記物品載置体を突出させるときには、前記旋回枠を左側用旋回位置に旋回させ、且つ、前記走行台車の右側に前記物品載置体を突出させるときには、前記旋回枠を右側用旋回位置に旋回させるべく、前記旋回用駆動モータの作動を制御するように構成され、且つ、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量に基づいて前記左側用旋回位置及び前記右側用旋回位置を設定するように構成されている点を特徴とする。
【0040】
すなわち、運転制御手段が、走行台車の左側に物品載置体を突出させるときには、屈伸リンク機構の基端部が連結された旋回枠を左側用旋回位置に旋回させ、且つ、走行台車の右側に物品載置体を突出させるときには、屈伸リンク機構の基端部が連結された旋回枠を右側用旋回位置に旋回させるべく、旋回用駆動モータの作動を制御するように構成されるものであるから、走行台車の左右の両側に物品収納棚が位置する場合においても、それらの収納棚の収納部に対して物品を移載することができるのである。
【0041】
ところで、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させると、物品、物品載置体、及び、屈伸リンク機構の重量により、旋回枠が、昇降台に対して、物品載置体の突出方向に引っ張られる状態になり、そのように引っ張られている旋回枠を支持する昇降台が変形を起こす虞がある。
そして、昇降台の変形状態は、物品載置体が走行台車の左側に突出するときと、物品載置体が走行台車の左側に突出するときとでは、旋回枠が引っ張られる方向が逆方向になることにより、異なるものとなり、また、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させたときに旋回枠に作用する引っ張り力は、物品載置体が支持する物品の重量により変化するものとなるため、昇降台の変形量が、物品載置体が支持する物品の重量により変化することになる。
【0042】
このように、昇降台が変形を起こすと、旋回用駆動モータの本体部を支持する支持枠の姿勢、つまり、その支持枠が昇降台に接続された姿勢が変化する虞があり、その支持枠の姿勢の変化により、旋回用駆動モータの本体部の昇降台に対する出力軸の回転方向における位相が、微小変化を起こす虞があり、しかも、本体部の昇降台に対する出力軸の回転方向における位相が変化する場合には、その位相の変化量が、物品載置体が支持する物品の重量により変化することになる。
【0043】
本第6特徴構成によれば、運転制御手段が、撓み量取得手段が取得した撓み量に基づいて左側用旋回位置及び右側用旋回位置を設定するように構成されているから、物品載置体を突出させたときに、物品載置体が支持する物品の重量の変化により、旋回用駆動モータの本体部の昇降台に対する出力軸の回転方向における位相が変化しても、その変化を相殺することができる位置を、左側用旋回位置及び右側用旋回位置と設定することが可能となり、物品載置体を適正な方向に向けて突出させることができるのである。
【0044】
要するに、本発明の第6特徴構成によれば、第4又は第5特徴構成による作用効果に加えて、走行台車の左右の両側に物品収納棚が位置する場合においても、それらの収納棚の収納部に対して物品を移載することができ、しかも、物品載置体が支持する物品の重量の変化に拘わらず、物品載置体を適正な方向に向けて突出させることができるスタッカークレーンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】自動倉庫の概略平面図
【図2】同倉庫の正面図
【図3】スタッカークレーンの側面図
【図4】屈伸リンク機構の短縮状態を示す側面図
【図5】同機構の伸長状態の側面図
【図6】物品載置体の引退状態を示す概略平面図
【図7】物品載置体の突出状態を示す概略平面図
【図8】左旋回状態の旋回台の支持構造を示す縦断側面図
【図9】同構造を示す概略底面部
【図10】制御構成を示すブロック図
【図11】物品の斜視図
【図12】制御作動を示すフローチャート
【図13】制御作動を示すフローチャート
【図14】撓み量検出手段の検出データを示す図
【図15】撓み量と物品の重量との関係を示す図
【図16】卸し処理及び掬い処理を行うスタッカークレーンの概略正面図
【図17】物品載置体の旋回過程を示す概略平面図
【図18】補正前の卸し処理及び掬い処理を行うスタッカークレーンの概略正面図
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、物品Bを収納する収納部1を縦横に並べて複数備えた物品収納棚2と、物品収納棚2の前方の移動空間3を移動するスタッカークレーン5とが設けられて、スタッカークレーン5によって、収納部1に収納された物品Bを出庫する出庫作業及び収納部1に物品Bを収納する入庫作業を行う自動倉庫が構成されている。
尚、図示は省略するが、この自動倉庫は、ダウンフロー式のクリーンルーム内に設置されている。
【0047】
物品収納棚2が、前方側を互いに向かい合わせた状態で一対設けられ、それらの物品収納棚2の間に、上述の移動空間3が形成されている。
各物品収納棚2は、棚横幅方向に間隔を隔てて立設された前後一対の支柱6と、前後一対の支柱6に亘る状態で支持されて棚上下方向に間隔を隔てて設けられた載置支持部7とから構成されている。そして、各収納部1が、左右一対の載置支持部7により物品Bの棚横幅方向の両端部を載置支持する状態で物品Bを収納するように構成されている。
【0048】
本実施形態においては、物品Bは、図11に示すように、ガラス基板等の板状体を物品保持体4に収納したものである。
物品保持体4は、格子状に形成された上枠体4a及び下枠体4bと、上枠体4a及び下枠体4bの両横側縁部及び後側縁部に配置されて、上枠体4aと下枠体4bとを連結する複数の連結体4cと、上下方向に間隔を隔てて設置されて、水平方向に対向する連結体4c同士を連結するワイヤ状の支持部4dとから構成されている。
そして、物品保持体4は、その前方側の開口を通してガラス基板等の板状体を出し入れされるガラス基板等の板状体を、各支持部4dにて載置支持する状態で、上下方向に間隔を隔てて並べて保持するよう構成され、また、物品保持体4の上面部、下面部、及び、4つの側面部を通して空気が流出入できるように構成されている。
【0049】
図1に示すように、外部から物品収納棚2へ物品Bを搬入する物品入庫部8A、及び、物品収納棚2から外部に物品Bを搬出するための物品出庫部8Bが、一対の物品収納棚2の夫々の横側部に隣接する箇所に振り分け設置されている。物品入庫部8A及び物品出庫部8Bは、例えば、物品Bを載置搬送する搬送コンベヤにて構成されている。
尚、例示はしないが、物品入庫部8A及び物品出庫部8Bおけるスタッカークレーン5との間での物品授受箇所には、物品Bを昇降させる物品昇降部が装備されて、後述する物品載置体29が物品Bの下方に突入する空間を形成するように構成されている。
【0050】
また、図1及び図2に示すように、物品保持体4に保持されるガラス基板等の板状体に対して所定の加工処理を行う物品処理設備9が、一対の物品収納棚2の一方の背部側に設けられ、その物品処理部9に対して物品Bの搬出入を行うための物品搬出入用の物品載置部10が、一対の物品収納棚2のうちの一方の物品収納棚2一部に設けられている。
この物品載置部10は、物品収納棚2における最下段の収納部1にて構成されるものであり、物品処理設備9が、その物品載置部10に隣接するように設けられている。
つまり、スタッカークレーン5が、物品載置部10に対して物品Bの供給や回収を行うように構成されている。尚、物品載置部10には、例示はしないが、供給された物品Bを物品処理設備9に対する授受用適正位置に位置規制する位置規制装置が装備されている。
【0051】
物品処理部9には、物品Bにおけるガラス基板等の板状体を一枚ずつ移載する板状体移載装置が装備されている。
つまり、物品載置部10に物品Bが供給されると、物品処理部9に装備した板状体移載装置が、物品保持体4に収納されたガラス基板を一枚ずつ取り出して、物品処理設備9に供給することになり、また、物品処理設備9による加工処理が終了したガラス基板が、物品処理設備9に備えた板状体移載装置によって、物品保持体4に収納されることになる。
【0052】
一対の物品収納棚2の間の移動空間3の床部には、スタッカークレーン5を案内する左右1対の走行レール11が設けられている。
そして、スタッカークレーン5が、図2及び図3に示すように、走行レール11に沿って走行する走行台車12、その走行台車12に立設されたマスト13に沿って昇降自在な昇降台14、及び、その昇降台14に装着された物品移載装置15を備えて構成されている。
【0053】
マスト13は、走行台車12の前端部と後端部の夫々に1つずつ立設された状態で、前後一対設けられ、そして、一対のマスト13の上端部同士が、上部フレーム16にて連結されている。
つまり、マスト13は、その下端部が走行台車12に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている。
【0054】
昇降台14は、図3に示すように、走行台車12に立設した前後一対のマスト13にて昇降自在に案内支持され、そして、その左右両側に連結した一対の昇降用チェーン17にて吊下げ支持されている。
昇降用チェーン17の夫々は、昇降台14から上方に向けて伸びたのち、マスト13の上部に設けられた案内スプロケット18に巻き掛け案内されて下方に伸び、その後、走行台車12の前後の端部に装備した駆動スプロケット20にて上方に伸びるように巻回されて、その先端部が昇降台14に接続されている。
【0055】
駆動スプロケット20の夫々は、サーボ式の昇降用電動モータ21にて正逆に駆動されるように構成されている。
そして、一対の駆動スプロケット20の夫々に対応して設けた2つの昇降用電動モータ21を同期して正逆に回転駆動することにより、昇降台14を昇降作動させるように構成されている。
【0056】
図3に示すように、走行台車12に、昇降台14の下面に設置された反射板22に向けて昇降台14の昇降方向に沿って測距用のレーザー光を投射して、昇降台14の昇降方向における昇降台14の昇降位置を検出する昇降用レーザー測距計23が設けられている。
つまり、この昇降用レーザー測距計23は、投射した測距用のレーザー光が反射板22にて反射して戻ってくるのを受光することにより、反射板22までの距離を昇降台14の昇降方向における昇降台14の昇降位置として検出するように構成されている。
【0057】
また、図2及び図3に示すように、走行台車12が、その横幅方向の両端部の夫々に、走行レール11の長手方向に間隔を隔てる状態で一対の走行車輪24を備える状態に構成されている。
一対の走行車輪24のうち、一方の走行車輪24が駆動車輪24aとして構成され、他方の走行車輪24が遊転自在な従動車輪24bとして構成されている。
行台車12の横幅方向の両端部に配置された駆動車輪24aの夫々は、サーボ式の走行用電動モータ25にて正逆に駆動されるように構成されている。
そして、左右の駆動車輪24aに対応して設けた2つの走行用電動モータ25を同期して正逆に回転駆動することにより、走行台車12を走行レール11に沿って正逆(前後)に走行させるように構成されている。
尚、本実施形態においては、上記の如く、4つの走行車輪24のうちの2つを駆動車輪24aに構成する場合を例示するが、4つの走行車輪24の全てを駆動車輪24aに構成してもよく、また、4つの走行車輪24のうちの3つを駆動車輪24aに構成する形態で実施してもよい。
【0058】
つまり、走行台車12は、走行レール11によって形成される設定走行経路に沿って正逆に走行することにより、物品収納棚2における各収納部1に対する物品移載箇所、物品入庫部8Aに対する物品移載箇所、物品出庫部8Bに対する物品移載箇所、及び、物品載置部10に対する物品移載箇所に移動するように構成されている
【0059】
図3に示すように、走行台車12には、走行レール11の一端部に設置された反射板26に向けて走行レール11の長手方向に沿って測距用のビーム光を投射して、走行台車12の走行方向における走行位置、つまり、走行台車12の設定走行経路上の位置を検出する走行用レーザー測距計27が設けられている。
この走行用レーザー測距計27は、投射した測距用のレーザー光が反射板26にて反射して戻ってくるのを受光することにより、走行方向における走行台車12までの距離を走行台車12の走行位置として検出するように構成されている。
【0060】
物品移載装置15は、図4〜図7に示すように、昇降台14に対して旋回用上下軸心P0周りに旋回操作自在に支持された旋回枠としての旋回台28、及び、物品Bを載置支持する物品載置体29を旋回台28に対して出退自在に支持する屈伸リンク機構30を一対備えている。
つまり、一対の屈伸リンク機構30の基端部が、昇降台14に備えた旋回台28に連結され、その屈伸リンク機構30の先端部に、その先端部の上方に位置させる状態で、板状の物品載置体29の基端部が連結されている。
そして、屈伸リンク機構30の屈伸作動により、物品載置体29が昇降台側に引退させた引退位置(図4、図6参照)と外方に突出する突出位置(図5、図7参照)とに出退操作されるように構成されている。
【0061】
旋回台28は、図8及び図9にも示すように、旋回台28の下方側に設置された旋回駆動用モータとしてのサーボ式の旋回用電動モータ31の作動により旋回用上下軸心P0周りで旋回作動されるように構成されている。
すなわち、旋回台28の旋回により、走行台車12の左側に物品載置体29を突出させる状態と、走行台車12の右側に物品載置体29を突出させる状態とを選択できるように構成され、さらに、旋回台28の旋回により、物品載置体29を、その長手方向(物品Bの長手方向)をスタッカークレーン5の前後方向に向けた前後向き状態に旋回できるように構成されている(図1参照)。
【0062】
スタッカークレーン5は、移動空間3を走行するときには、物品載置体29を前後向き状態にできるように構成されるものであって、図9及び図17に示すように、旋回台28の旋回基準位置SKが、物品載置29を前後向き状態にする旋回位置に定められている。
また、以下の記載においては、走行台車12の左側に物品載置体29を突出させるときの旋回台28の旋回位置を、左側用旋回位置SLと呼称し、走行台車12の右側に物品載置体29を突出させるときの旋回台28の旋回位置を、右側用旋回位置SRと呼称する。
【0063】
ちなみに、基本的には、走行台車12の左側に物品載置体29を突出させるときには、旋回台28が旋回基準位置SKから左側に向けて90度旋回されることになり、そして、走行台車12の右側に物品載置体29を突出させるときには、旋回台28が旋回基準位置SKから右側に向けて90度旋回されることになるが、後述の通り、物品載置体29に物品Bを載置した状態において、旋回基準位置SKから左側用旋回位置SLに旋回台28を旋回させる角度や、旋回基準位置SKから右側用旋回位置SRに旋回台28を旋回させる角度は、90度よりも大きな旋回角度に設定されることになり、且つ、その旋回角度が、物品Bの重量が大きいほど大きくなるように設定されることになる。
【0064】
屈伸リンク機構30は、旋回台28に対して基端部が第1上下軸心P1周りで回動自在に連結された第1アーム32、及び、その第1アーム32の先端部に対して第2上下軸心P2周りで回動自在に連結された第2アーム33を備えた、いわゆるスカラアームを用いて構成されている。
そして、第2アーム33の先端部に、物品載置体29の基端部が、第3上下軸心P3周りで回動自在に連結されている。
【0065】
図8に示すように、物品載置体29を突出作動及び引退作動させるために、第1アーム32の基端部を旋回台28に対して揺動操作する減速機付の出退用電動モータ34が、旋回台28の下方側箇所に設けられている。
つまり、出退用電動モータ34の本体部34Aが、旋回台28に支持され、出退用電動モータ34の出力軸34Bが、第1アーム32に連結されている。
また、詳細な図示は省略するが、第1アーム32の動きと第2アーム33との動きを連係させるために、第1上下軸心P1における軸部及び第2上下軸心P2における軸部に亘り、チェーン連動機構が掛けわたされている。
【0066】
そして、一対の第1アーム32の夫々に対応して設けられている一対の出退用電動モータ34を同期して作動させることにより、一対の第1アーム32を同期して第1上下軸心P1周りで揺動させ、それに伴って、第2アーム33を第2上下軸心P2周りで揺動させることにより、上述の如く、屈伸リンク機構30が屈伸作動して、物品載置体29を昇降台側に引退させた引退位置(図4、図6参照)と外方に突出する突出位置(図5、図7参照)とに出退操作できるようになっている。
【0067】
図8及び図9に示すように、昇降台14が、平面視形状が4角形の箱状に構成されて、旋回用電動モータ31が、昇降台14に支持された支持体としての支持枠35に支持されている。
すなわち、旋回用電動モータ31の本体部31Aが、支持枠35に支持され、旋回用電動モータ31の出力回転部31Bが、旋回台28に連結されている。
尚、図8示すように、旋回台28が、旋回用軸受36にて昇降台14に対して旋回自在に支持され、屈伸リンク機構30の第1アーム32が、アーム用軸受37にて旋回台28に対して揺動自在に支持されている。
【0068】
昇降台14に対して旋回用電動モータ31を支持する支持枠35は、昇降台14の側壁部のうちの、走行台車12の後方側に相当する後壁部と、旋回用電動モータ31の本体部31Aとに亘る横倒れ姿勢で配置されている。
【0069】
図10に示すように、旋回台28の旋回位置が基準旋回位置SKであることを検出する基準旋回位置検出センサー38が設けられている。
この基準旋回位置検出センサー38は、投受光式のセンサーにて構成されている。つまり、昇降台14に設けた投受光部が、旋回台28に設置された被検出板にて投光した光が遮光されることにより、旋回台28の旋回位置が基準旋回位置SKであることを検出するように構成されている。
また、図8に示すように、旋回用電動モータ31には、基準旋回位置検出センサー38にて基準旋回位置SKを検出してからの旋回台28の旋回量を検出することにより旋回台28の旋回位置を検出する旋回用ロータリエンコーダ39が設けられている。
【0070】
また、図10に示すように、物品載置体29がその出退方向の引退位置に位置していることを検出する引退状態検出センサー40が設けられている。
この引退状態検出センサー37は、基準旋回位置検出センサー38と同様に、投受光式のセンサーにて構成されている。
すなわち、引退状態検出センサー40は、旋回台28に設けた投受光部が、屈伸リンク機構30における第1アーム32の基端部に設置された被検出板にて投光した光が遮光されることにより、物品載置体29が引退位置に位置していることを検出する。
【0071】
図8に示すように、出退用電動モータ34には、引退状態検出センサー37にて物品載置体29の引退位置を検出してからの物品載置体29の突出量を検出するために、出退用電動モータ34の出力軸34Bの回転駆動量を検出する出退用ロータリエンコーダ41が設けられている。
この出退用ロータリエンコーダ41の検出値と物品載置体29の引退位置からの突出量との関係は、予め演算により求められて、スタッカークレーン5の運転を制御する運転制御手段Hの記憶部に記憶されている。
【0072】
図10に示すように、運転制御手段Hは、上述の入庫作業及び出庫作業を行うために、物品収納棚2における収納部1に対する物品移載位置、物品入庫部8Aに対する物品移載位置、物品出庫部8Bに対する物品移載位置、及び、物品載置部10に対する物品移載位置の夫々に、物品移載装置15つまり物品載置体29を移動させるべく、走行台車12の走行作動及び昇降台14の昇降作動を制御し、また、物品移載装置15を物品移載位置に移動させた状態において、物品Bの掬い処理や物品Bの卸し処理を行うべく、物品移載装置15の移載作動及びを昇降台14の昇降作動を制御するように構成されている。
【0073】
すなわち、運転制御手段Hは、走行用電動モータ25を作動させて走行台車12を走行作動させ、走行用レーザー測距計27にて検出される走行台車12の走行位置が走行台車12の走行方向における物品移載位置になると、走行用電動モータ25を作動停止させることにより、走行台車12の走行方向における物品移載位置に物品移載装置15を位置させることになる。
【0074】
また、運転制御手段Hは、昇降用電動モータ21を作動させて昇降台14を昇降作動させ、昇降用レーザー測距計23にて検出される昇降台14の昇降位置が昇降台14の昇降方向における物品移載位置になると、昇降用電動モータ21を作動停止させことにより、昇降台14の昇降方向における物品移載位置に物品移載装置15を位置させることになる。
【0075】
そして、物品移載装置15を昇降させる物品移載位置は、物品Bを掬う掬い処理を行うときには、物品Bよりも下方の高さに物品載置体29を位置させる位置であり、また、物品Bを卸す卸し処理を行うときには、物品Bを卸す箇所の物品載置面よりも上方の高さに物品載置体29を位置させる位置である。
【0076】
掬い処理は、物品入庫部8Aに入庫された物品B、収納棚2の収納部1に収納された物品B、及び、物品載置部10に存在する物品Bを、物品載置体29にて掬う処理であり、具体的には、掬い対象の物品Bよりも下方側の高さにて物品載置体29を突出位置に突出させ、次に、昇降台14を予め設定した目標量上昇させることにより、物品Bを物品載置体29にて載置し、その後、物品載置体29を引退位置に引退させることになる。
【0077】
卸し処理は、物品載置体28にて載置した物品Bを、物品出庫部8B、収納棚2の収納部1、及び、物品載置部10に卸す処理であり、具体的には、物品出庫部8B、収納部1及び物品載置部10の物品載置面よりも上方の高さにて物品載置体29を突出位置に突出させ、次に、昇降台14を予め設定した目標下降させることにより、物品載置体29に載置した物品Bを物品載置面に卸し、その後、物品載置体29を引退位置に引退させることになる。
【0078】
さらに、説明を加えると、運転制御手段Hは、入庫作業及び出庫作業を行うときには、先ず、旋回台28を基準旋回位置SKに位置させた状態で、物品移載装置15を物品移載位置に移動させるべく、走行用電動モータ25及び昇降用電動モータ21の作動を制御することになる。
【0079】
次に、左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRに旋回台28を旋回させるべく、旋回用ロータリエンコーダ38の検出情報に基づいて旋回用電動モータ34の作動を制御して、物品載置体29の出退方向を調整する。
その後、出退用ロータリエンコーダ39の検出情報に基づいて出退用電動モータ34の作動を制御して、物品載置体29を突出位置に突出作動させる。
【0080】
そして、掬い処理を行うときには、物品移載位置に位置する物品載置体29を出退用電動モータ34の作動を制御して突出位置に突出作動させた後、昇降用レーザー測距計23の検出情報に基づいて昇降用電動モータ21を作動させることにより、上昇させる目標量に相当する設定距離だけ昇降台14を上昇させて、掬い対象の物品Bを物品載置体29に載置支持させ、その後、出退用電動モータ34の作動を制御して物品載置体29を引退作動させる。このとき、引退位置検出センサー37にて物品載置体29が引退位置であることを検出すると、物品載置体29の引退作動を停止させることになる。
【0081】
また、卸し処理を行うときには、物品移載位置に位置する物品載置体29を出退用電動モータ34の作動を制御して突出位置に突出作動させた後、昇降用レーザー測距計23の検出情報に基づいて昇降用電動モータ21を作動させることにより、下降させる目標量に相当する設定距離だけ昇降台14を下降させて、掬い対象の物品Bを卸し箇所の物品載置面に載置支持させ、その後、出退用電動モータ34の作動を制御して物品載置体29を引退作動させる。このとき、引退位置検出センサー37にて物品載置体29が引退位置であることを検出すると、物品載置体29の引退作動を停止させることになる。
【0082】
図4に示すように、スタッカークレーン5には、引退位置に位置する物品載置体29の下方側への撓み量を検出する撓み量検出手段Qが設けられている。
そして、運転制御手段Hが、物品載置体29引退位置に位置するときに、その物品載置体29に載置した物品Bの重量情報として、撓み量検出手段Qが検出する撓み量を取得するように構成されている。
つまり、本実施形態では、物品載置体29引退位置に位置するときに、その物品載置体29に載置した物品Bの重量情報として、撓み量検出手段Qが検出する撓み量を取得する撓み量取得手段が、運転制御手段Hを用いて構成されている。
【0083】
撓み量検出手段Qは、昇降台14に設置されて、物品載置体29の被検出部としての光反射体42の上下位置を検出するレーザー測距手段としての撓み量検出用レーザー測距計43にて構成されている。そして、撓み量検出用レーザー測距計43が、旋回台28の左側用旋回位置SLにて物品載置体29を出退操作するときに用いるものと、旋回台28の右側用旋回位置SRにて物品載置体29を出退操作するときに用いるものと、左右一対装備されている。
この撓み量検出用レーザー測距計43は、投射した測距用のレーザー光が光反射体42にて反射して戻ってくるのを受光することにより、光反射体42までの距離を検出するように構成されている。
【0084】
つまり、物品載置体29に物品Bを載置していないときに、撓み量検出用レーザー測距計43が検出した距離と、物品載置体29に物品Bを載置したときに、撓み量検出用レーザー測距計43が検出した距離との差が、物品載置状態の物品載置体29の撓み量となるものであり、本実施形態においては、運転制御手段Hが、掬い処理を開始する直前において、撓み量検出用レーザー測距計43が検出する距離に基づいて初期値Rを求めて記憶しておき、そして、掬い処理を完了した後で、撓み量検出用レーザー測距計43が検出する距離に基づいて物品Bを載置した状態での実計測値Dを求めて、その初期値Rと実計測値Dとの差(R−D)を、物品載置体29に載置した物品Bの重量情報に対応する撓み量として求めるように構成されている。
【0085】
図15に、撓み量(R−D)と物品Bの重量との関係の一例を示す。
この例示図に示されるように、撓み量(R−D)と物品Bの重量とが略正比例関係にあることが分かる。
尚、本実施形態の物品Bに重量は、約190Kgから約500Kgの範囲である。
つまり、ガラス基板等の板状体を収容していない物品保持体4の重量が、約190Kgであり、ガラス基板等の板状体を最大枚数収納した物品保持体4の重量が、約500Kgである。
【0086】
ちなみに、掬い処理を行うごとに初期値Rを求めるようにするに代えて、設備の設置時や設備の起動時に、物品載置体29に物品Bを載置しない状態において、撓み量検出用レーザー測距計43が検出した距離に基づいて初期値Rを求めて、その初期値Rをそれ以降において使用する形態で実施することも可能である。
【0087】
上述した実計測値Dを求める処理について説明すると、図14に示すように、運転制御手段Hは、掬い処理のときに、物品載置状態の物品載置体29が突出位置から引退位置に引退操作された直後から設定時間(例えば、400ms)経過するまでの計測期間において、撓み量検出用レーザー測距計43が検出する検出距離を設定サンプリング間隔(例えば、10ms)で繰り返し取得し、取得した複数のサンプリング情報を平均化処理した値を、実計測値Dとして設定するように構成されている。
【0088】
平均化処理として、本実施形態においては、設定時間内にサンプリングした情報のうちの、最大値と最小値との平均値を求める処理を行うように構成されている。
尚、平均化処理としては、このような処理に代えて、サンプリングした情報の全ての平均値を求めるようにする等、各種の処理を用いることができる。
【0089】
上述した初期値Rを求める処理について説明すると、運転制御手段Hは、掬い処理を行うために、旋回台28を基準旋回位置SKに位置させた状態で、物品移載装置15を掬い対象の物品Bに対する物品移載位置に移動させ、その後、左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRに旋回台28を旋回させたときに、その直後から設定時間(例えば、400ms)経過するまでの計測期間において、撓み量検出手段Qが検出する撓み量を設定サンプリング間隔(例えば、10ms)で繰り返し取得し、取得した複数のサンプリング情報を平均化処理した値を、初期値Rとして記憶するように構成されている。
【0090】
この初期値Rを求めるときの平均化処理としては、本実施形態においては、実計測値Dを求めるときと同様に、設定時間内にサンプリングした情報のうちの、最大値と最小値との平均値を求める処理を行うように構成されている。
尚、平均化処理としては、このような処理に代えて、サンプリングした情報の全ての平均値を求めるようにする等、各種の処理を用いることができる。
【0091】
そして、掬い処理を行うときの物品載置体29の突出位置、つまり、引退位置から突出位置までの物品載置体29の突出量は、物品移載位置の高さに応じて予め定めた異なる突出量に設定されることになる。
また、卸し処理を行うときの物品載置体29の突出位置、つまり、引退位置から突出位置までの物品載置体29の突出量は、物品移載位置の高さに応じて予め定めた異なる突出量に、物品載置体29に載置した物品Bの重量情報に対応する撓み量(R−D)に対応して定めた補正値Eを減算した値に設定されるように構成されている。
この補正値Eは、撓み量(R−D)が大きいほど大きな値となるように定められるものであって、例えば、撓み量(R−D)を複数の段階に区分して、各段階ごとの補正値Eを定めるようにする形態で実施できる。
【0092】
物品移載位置の高さに応じて予め異なる値に定められる突出量は、物品載置体29を物品Bを載置しない状態で、スタッカークレーン5を実験的に作動させて、物品載置体29をその出退方向での適正位置に突出させるのに必要な量を計測して定めたものであり、このようの情報が、基本情報として、運転制御手段Hの記憶部に記憶されている。
【0093】
つまり、マスト13が、その下端部が走行台車12に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられている場合においては、物品Bを載置しない状態の物品載置体29を引退位置から突出させるときや、物品Bを載置した状態の物品載置体29を引退位置から突出させたときに、図16及び図18に示すように、走行台車12及びマスト13が、物品載置体29の突出方向に傾くものとなり、そして、その傾き量が物品Bの重量が大きいほど大きくなることになる。
【0094】
したがって、物品載置体29を引退位置から一定量だけ突出させるようにした状態においては、走行台車12及びマスト13が物品載置体29の突出方向に傾いているために、物品載置体29の突出量が、物品Bを載置してない状態においても、物品移載位置の高さが高いほど過大となる傾向になるから、物品Bを載置していない状態における物品載置体29の引退位置から突出量を、上述した基本情報として、運転制御手段Hの記憶部に予め記憶させておくことになる。
つまり、掬い処理においては、基本情報に基づいて求められる突出量にて、物品載置体29が引退位置から突出位置に操作されることになる。
【0095】
また、走行台車12及びマスト13の傾き量は、物品載置体29に載置する物品Bの重量が大きいほど大きくなるから、物品載置体29を引退位置から基準情報に基づいて定められる突出量にて突出させた状態においては、物品Bの重量が大きくて、走行台車12及びマスト13の傾きが大きくなるほど、物品Bの突出量が過大となる傾向になる。
このため、上述の基本情報としての突出量を、物品Bの重量が大きいほど小さくなるように補正することになる。具体的には、物品載置体29に載置した物品Bの重量情報に対応する撓み量(R−D)に対応して補正値Eを定めておき、基本情報における突出量から補正値Eを減算した値に、突出量を定めることになる。
【0096】
つまり、物品載置体29に載置した物品Bを収納部1や物品載置部10に卸す処理を行う際に、単に、基本情報に対応する突出量にて物品載置体を突出させると、図17(a)に示すように、物品Bが卸される位置J1が、設定適正位置J0よりも、物品載置体29の突出方向側に過大となり、次に、掬い処理を行う際に、物品載置体29を、基本情報に対応する突出量にて物品載置体を突出させると、図17(b)に示すように、物品載置体29が、本来載置すべき位置よりも先端側の位置で物品Bを載置する不都合を招くものとなる。
【0097】
これに対して、卸し処理における物品載置体29の突出量を、基本情報における突出量から、物品載置体29に載置した物品Bの重量情報に対応する撓み量(R−D)に対応して定めた補正値Eを減算して補正して、この補正した突出量にて物品載置体29を突出させると、図16(a)に示すように、物品Bが卸される位置J1が設定適正位置J0に近づくのであり、次に、掬い処理を行う際に、物品載置体29を、基本情報に対応する突出量にて物品載置体を突出させると、図16(b)に示すように、物品載置体29が、本来載置すべき位置に物品Bを載置することになる。
【0098】
すなわち、運転制御手段Hが、取得した撓み量(R−D)に基づいて、物品載置体29の突出位置を、撓み量(R−D)が大きいほど、引退位置からの突出量が少なくなるように定めるようにし、加えて、引退位置からの突出量を収納部1の高さが高いほど少なくするように定めることになる基本情報に基づいて、物品載置体29の突出位置を、収納部1の高さが高いほど、引退位置からの突出量が少なくなるように定めることにより、物品Bを収納部1の物品載置体の出退方向での設定適正位置J0に卸すことができるのである。
ちなみに、物品載置部10は、上下に並ぶ収納部1の最下段の収納部1に対応する高さであるから、基本情報のうちの、最下段の収納部1に対応する情報が用いられることになる。
【0099】
また、卸し処理を行うときの左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRが、上述の通り、物品載置体29に載置する物品Bの重量に応じて設定されるように構成されている。
つまり、物品載置体29を引退位置から突出位置に突出させると、物品B、物品載置体29、及び、屈伸リンク機構30の重量により、旋回台28が、昇降台14に対して、物品載置体29の突出方向に引っ張られる状態になり、そのように引っ張られている旋回台28を支持する昇降台14が変形を起こす虞がある。
【0100】
そして、昇降台14の変形状態は、物品載置体29が走行台車12の左側に突出するときと、物品載置体29が走行台車12の右側に突出するときとでは、旋回台28が引っ張られる方向が異なることにより、異なるものとなり、また、物品載置体29を引退位置から突出位置に突出させたときに旋回台28に作用する引っ張り力は、物品載置体29が支持する物品Bの重量により変化するものとなるため、昇降台14の変形量が、物品載置体29が支持する物品の重量により変化することになる。
【0101】
説明を加えると、本実施形態においては、上述の如く、昇降台14に対して旋回用電動モータ31を支持する支持枠35は、昇降台14の側壁部のうちの、走行台車12の後方側に相当する後壁部と、旋回用電動モータ31の本体部31Aとに亘る横倒れ姿勢で配置されている。
このため、図9に示すように、走行台車12の左側に物品載置体29を突出させて、旋回台28を受け止め支持することにより昇降台14の全体が変形と、支持枠35が左側に膨出する弓形になって、旋回用電動モータ31の本体部31Aが、右側に回転するため、物品載置体29の突出方向が旋回基準位置SKの存在する走行台車12の前方側に変動することになる。
尚、図9は底面図であるため、この図9においては、支持枠35が右側に膨出する弓形になって、旋回用電動モータ31の本体部31Aが、左側に回転する状態となる。
【0102】
したがって、物品載置体29に物品Bを載置した状態で、旋回台28を旋回基準位置SKから左側用旋回位置SLに旋回させる角度は、図18に示すように、90度よりも大きな旋回角度に設定されることになり、且つ、その旋回角度が、物品Bの重量が大きいほど大きくなるように設定されることになる。
ちなみに、物品Bの重量に応じた旋回角度は、予め実験等により求めて、定めることになる。
【0103】
また、例示はしないが、走行台車12の左側に物品載置体29を突出させるときと同様に、走行台車12の右側に物品載置体29を突出させると、旋回台28を受け止め支持することにより昇降台14の全体が変形する結果、支持枠14が右側に膨出する弓形になって、旋回用電動モータ31の本体部31Aが、左側に回転するため、物品載置体29の突出方向が旋回基準位置SKの存在する走行台車12の前方側に変動することになる。
【0104】
したがって、物品載置体29に物品Bを載置した状態で、旋回台28を旋回基準位置SKから右側用旋回位置SRに旋回させる角度は、90度よりも大きな旋回角度に設定されることになり、且つ、その旋回角度が、物品Bの重量が大きいほど大きくなるように設定されることになる。
ちなみに、物品Bの重量に応じた旋回角度は、予め実験等により求めて、定めることになる。
【0105】
このように、運転制御手段Hが、物品載置体29の撓み量(R−D)に基づいて左側用旋回位置SL及び右側用旋回位置SRを設定するように構成されているから、物品載置体29を突出させたときに、物品載置体29が支持する物品Bの重量の変化により、旋回用駆動モータ31の本体部31の昇降台14に対する出力軸31Bの回転方向における位相が変化しても、物品載置体29を適正な方向に向けて突出させることができるのである。
【0106】
次に、運転制御手段Hが実行する制御作動のうちの、掬い処理及び卸し処理について、図12及び図13のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、掬い処理について説明する。
この掬い処理は、旋回台28を基準旋回位置SKに位置させた状態で、物品移載装置15を、つまり物品載置体29を、掬い対象の物品Bに対する物品移載位置に移動させ、その後、左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRに旋回台28を旋回させた後に開始されることになる。
【0107】
ちなみに、運転制御手段Hが、掬い処理を行う前に撓み量検出用レーザー測距計43が検出する距離を取得して、上述した初期値Rを求める処理を行うことになる。
また、この掬い処理を行うときの左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRは、基準旋回位置SKから旋回台28を左方や右方に90度旋回させる位置である。
【0108】
まず、物品載置体29の突出作動を開始し(#1)、次に、基本情報に基づいて定めた突出位置に物品載置体29が突出したか否かを判別し(#2)、物品載置体29が突出位置に位置するまで突出作動を継続する。
【0109】
#2にて、物品載置体29が突出位置に突出したことを判別すると、物品載置体29を上昇作動させることを開始し(#3)、次に、設定した目標量を上昇したか否かを判別して(#4)、物品載置体29が設定した目標量を上昇するまで上昇作動を継続する。
【0110】
#4にて、物品載置体29が設定した目標量を上昇したことを判別すると、物品載置体29の引退作動を開始し(#5)、次に、物品載置体29が引退位置に引退したか否かを判別して(#6)、物品載置体29が引退位置に引退するまで引退作動を継続する。
【0111】
#6にて、物品載置体29が引退位置に引退することを判別すると、撓み量検出用レーザー測距計43の検出情報を設定サンプリンク間隔で取得するサンプリングを開始し(#7)、次に、設定時間が経過したか否かを判別して(#8)、設定時間が経過するまでサンプリングを継続する。
【0112】
#8にて、設定時間が経過したことを判別すると、サンプリングした情報に基づいて平均値を求める平均化処理を実行する(#9)。
この平均化処理は、設定時間内にサンプリングした情報のうちの、最大値と最小値との平均値を求める処理であり、その平均化処理にて求めた値が実計測値Dとして記憶されることになる。
【0113】
次に、上述の掬い処理にて物品載置体29に載置した物品Bを卸す卸し処理について説明する。
この卸し処理は、旋回台28を基準旋回位置SKに位置させた状態で、物品移載装置15を、つまり物品載置体29を、卸し処理を行う物品移載位置に移動させ、その後、左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRに旋回台28を旋回させた後に開始されることになる。
尚、卸し処理における左側用旋回位置SL又は右側用旋回位置SRは、初期値Rと実計測値Dとを減算して求められる物品載置体29の撓み量(R−D)に基づいて、基準旋回位置SKからの旋回角度が90度よりも大きな角度となる位置に定められる。
【0114】
、
まず、卸し処理を行うときの物品載置体29の突出位置、つまり、引退位置から突出位置までの物品載置体29の突出量を求める突出位置演算処理が行われる(#11)。
この突出位置演算処理は、突出量を物品移載位置の高さに応じて予め定めた基本情報における突出量から、物品載置体29に載置した物品Bの重量情報に対応する撓み量(R−D)に対応して定めた補正値Eを減算する処理である。
【0115】
その後、物品載置体29の突出作動を開始し(#12)、次に、突出位置演算処理の演算結果にて定めた突出位置に物品載置体29が突出したか否かを判別して(#13)、物品載置体29が突出位置に突出するまで突出作動を継続する。
【0116】
#13にて、物品載置体29が突出位置に位置することを判別すると、物品載置体29の下降作動を開始し(#14)、次に、設定した目標量を下降したか否かを判別して(#15)、物品載置体29が設定した目標量を下降するまで下降作動を継続する。
【0117】
#15にて、物品載置体29が設定した目標量を下降したことを判別すると、物品載置体29の引退作動を開始し(#16)、次に、物品載置体29が引退位置に引退したか否かを判別し(#17)、物品載置体29が引退位置に位置するまで引退作動を継続する。
【0118】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、撓み量検出手段として、レーザー測距手段を例示したが、歪ゲージ等の他の手段を用いてもよい。
【0119】
(2)上記実施形態では、マストの上端部が自由状態となる場合を例示したが、マストの上端部を案内レールにて支持する形態で実施してもよい。
この場合、物品載置体を引退位置から突出位置に突出させた際に、走行台車やマストが物品載置体の突出方向に傾かないものとなるから、屈伸リンク機構の下方への撓みのみを考慮して、物品を載置した物品載置体を突出させる突出位置を、撓み量取得手段が取得した撓み量に基づいて設定するとよい。
【0120】
(3)上記実施形態では、物品載置体が物品を載置していない状態における旋回枠の左側用旋回位置及び右側用旋回位置を、基準旋回位置から90度旋回させた位置に定めるようにしたが、物品載置体に物品を載置しない状態で物品載置体を引退位置から突出位置に突出させたときに、昇降台や旋回用駆動モータの支持枠の変形により、物品載置体の突出方向が適正方向からずれる場合には、物品を載置していない状態における左側用旋回位置及び右側用旋回位置を、基準旋回位置から90度より大きく旋回させた位置に定めるようにして、物品載置体を所望の適正方向に突出させるようにしてもよい。
【0121】
(4)上記実施形態では、物品入庫部と物品出庫部とが各別に設けられる場合を例示したが、物品入庫と物品出庫とに兼用する物品入出庫部を設ける形態で実施してもよい。
【0122】
(5)上記実施形態では、物品が、ガラス基板等の板状体を保持する物品保持体である場合を例示したが、本発明のスタッカークレーンは、そのたの種々の物品を収納する自動倉庫に適用できるものである。
【0123】
(6)上記実施形態では、スタッカークレーンの運転を制御する運転制御手段が、撓み量取得手段を構成する場合を例示したが、撓み量取得手段を、専用の制御装置を用いて構成してもよい。
【0124】
(7)上記実施形態では、収納部が上下方向に4段備える収納棚を例示したが、収納部を上下に並べる段数は各種変更できるものである。
【0125】
(8)上記実施形態では、基本情報における突出量から減算する補正値を、単に、撓み量検出手段にて検出される撓み量のみに基づいて設定する場合を例示したが、収納部の高さに応じて補正値を変更する必要がある場合には、撓み量と収納部の高さに応じて補正値を設定する形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 収納部
2 物品収納棚
8A 物品入庫部
12 走行台車
13 マスト
14 昇降台
24 走行車輪
28 旋回枠
29 物品載置体
30 屈伸リンク機構
42 被検出部
43 レーザー測距手段
Q 撓み量検出手段
H 運転制御手段、撓み量取得手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行台車から立設されたマストに案内された状態で昇降駆動される昇降台に、車体横幅方向に出退する屈伸リンク機構の基端部が連結され、且つ、その屈伸リンク機構の先端部に、物品載置体の基端部が連結されて、前記屈伸リンク機構の出退作動により、前記物品載置体が前記昇降台側に引退させた引退位置と外方に突出する突出位置とに出退操作されるように構成されたスタッカークレーンであって、
前記引退位置に位置する前記物品載置体の下方側への撓み量を検出する撓み量検出手段が設けられ、
前記物品載置体が物品載置状態で前記引退位置に位置するときに、その物品載置体に載置した物品の重量情報として、前記撓み量検出手段が検出する撓み量を取得する撓み量取得手段が設けられているスタッカークレーン。
【請求項2】
前記撓み量検出手段が、前記昇降台に設置されて、前記物品載置体の被検出部の上下位置を検出するレーザー測距手段にて構成されている請求項1記載のスタッカークレーン。
【請求項3】
前記撓み量取得手段が、前記物品載置体が前記突出位置から前記引退位置に引退操作された直後から設定時間経過するまでの計測期間において、前記撓み量検出手段が検出する撓み量を設定サンプリング間隔で繰り返し取得し、取得した複数のサンプリング情報を平均化処理した値を、前記物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量として設定するように構成されている請求項1又は2記載のスタッカークレーン。
【請求項4】
前記走行台車が、物品を収納する収納部が設けられた物品収納棚に沿って走行するように設けられ、
前記走行台車の走行作動、前記昇降台の昇降作動、及び、前記屈伸リンク機構の出退作動を制御する運転制御手段が、前記物品載置体に載置した物品を前記収納部に収納すべく、前記物品載置体を前記収納部に対する物品移載位置に位置させた状態において、前記物品載置体を突出作動させる前記突出位置を、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量に基づいて設定するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のスタッカークレーン。
【請求項5】
前記走行台車が、左右両端側に走行車輪を備えるように構成され、
前記マストが、その下端部が前記走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられ、
前記運転制御手段が、前記物品載置体に載置した物品を前記収納部に収納すべく、前記収納部に対する前記物品移載位置にて前記物品載置体を突出作動させる前記突出位置を、前記引退位置からの突出量を前記収納部の高さが高いほど少なくするように定める基本情報と、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量とに基づいて、設定するように構成されている請求項4記載のスタッカークレーン。
【請求項6】
前記昇降台に、旋回枠が備えられ、その旋回枠に、前記屈伸リンク機構の基端部が連結され、
前記旋回枠を旋回操作する旋回用駆動モータが、前記昇降台に接続された支持体にて支持され、
前記運転制御手段が、前記走行台車の左側に前記物品載置体を突出させるときには、前記旋回枠を左側用旋回位置に旋回させ、且つ、前記走行台車の右側に前記物品載置体を突出させるときには、前記旋回枠を右側用旋回位置に旋回させるべく、前記旋回用駆動モータの作動を制御するように構成され、且つ、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量に基づいて前記左側用旋回位置及び前記右側用旋回位置を設定するように構成されている請求項4又は5記載のスタッカークレーン。
【請求項1】
走行台車から立設されたマストに案内された状態で昇降駆動される昇降台に、車体横幅方向に出退する屈伸リンク機構の基端部が連結され、且つ、その屈伸リンク機構の先端部に、物品載置体の基端部が連結されて、前記屈伸リンク機構の出退作動により、前記物品載置体が前記昇降台側に引退させた引退位置と外方に突出する突出位置とに出退操作されるように構成されたスタッカークレーンであって、
前記引退位置に位置する前記物品載置体の下方側への撓み量を検出する撓み量検出手段が設けられ、
前記物品載置体が物品載置状態で前記引退位置に位置するときに、その物品載置体に載置した物品の重量情報として、前記撓み量検出手段が検出する撓み量を取得する撓み量取得手段が設けられているスタッカークレーン。
【請求項2】
前記撓み量検出手段が、前記昇降台に設置されて、前記物品載置体の被検出部の上下位置を検出するレーザー測距手段にて構成されている請求項1記載のスタッカークレーン。
【請求項3】
前記撓み量取得手段が、前記物品載置体が前記突出位置から前記引退位置に引退操作された直後から設定時間経過するまでの計測期間において、前記撓み量検出手段が検出する撓み量を設定サンプリング間隔で繰り返し取得し、取得した複数のサンプリング情報を平均化処理した値を、前記物品載置体に載置した物品の重量情報に対応する撓み量として設定するように構成されている請求項1又は2記載のスタッカークレーン。
【請求項4】
前記走行台車が、物品を収納する収納部が設けられた物品収納棚に沿って走行するように設けられ、
前記走行台車の走行作動、前記昇降台の昇降作動、及び、前記屈伸リンク機構の出退作動を制御する運転制御手段が、前記物品載置体に載置した物品を前記収納部に収納すべく、前記物品載置体を前記収納部に対する物品移載位置に位置させた状態において、前記物品載置体を突出作動させる前記突出位置を、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量に基づいて設定するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のスタッカークレーン。
【請求項5】
前記走行台車が、左右両端側に走行車輪を備えるように構成され、
前記マストが、その下端部が前記走行台車に支持され、且つ、その上端部が自由状態となる形態にて設けられ、
前記運転制御手段が、前記物品載置体に載置した物品を前記収納部に収納すべく、前記収納部に対する前記物品移載位置にて前記物品載置体を突出作動させる前記突出位置を、前記引退位置からの突出量を前記収納部の高さが高いほど少なくするように定める基本情報と、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量とに基づいて、設定するように構成されている請求項4記載のスタッカークレーン。
【請求項6】
前記昇降台に、旋回枠が備えられ、その旋回枠に、前記屈伸リンク機構の基端部が連結され、
前記旋回枠を旋回操作する旋回用駆動モータが、前記昇降台に接続された支持体にて支持され、
前記運転制御手段が、前記走行台車の左側に前記物品載置体を突出させるときには、前記旋回枠を左側用旋回位置に旋回させ、且つ、前記走行台車の右側に前記物品載置体を突出させるときには、前記旋回枠を右側用旋回位置に旋回させるべく、前記旋回用駆動モータの作動を制御するように構成され、且つ、前記撓み量取得手段が取得した前記撓み量に基づいて前記左側用旋回位置及び前記右側用旋回位置を設定するように構成されている請求項4又は5記載のスタッカークレーン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−166899(P2012−166899A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28978(P2011−28978)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]