説明

ステアリドン酸を取り込む食物組成物

本発明は、植物由来のステアリドン酸の高められた利用を介する食物アイテムの改善に関する。多くの長鎖脂肪酸がオメガ3であるとして分類されており、心臓の健康を含む幾つかの健康上の恩恵を提供することが示されている。本発明により、高められたレベルのステアリドン酸を含むダイズから加工した油または粉のいずれかを用いることによって、植物由来のステアリドン酸(18:4ω3)が広範な食品に取り込まれる。これらの食品は油ベースの食品(サラダドレッシング、マヨネーズ)から乳製品(ミルク、チーズ)、調理済み食品(アントレー、付けあわせ料理)の範囲である。改善された健康上の恩恵に加えて、本発明は高められた貯蔵および/または貯蔵寿命特徴を有するオメガ-3脂肪酸に富む食物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性食品の開発における形質転換的に由来するステアリドン酸の利用に関する。より詳細には、本発明は、トランスジェニック植物由来のステアリドン酸の使用を介した食品の栄養品質および貯蔵寿命の両方の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、植物由来のステアリドン酸(「SDA」)の利用を介した食材の改良方法に指向される。より詳細には、本発明者らは、栄養品質を改善する食材における植物由来のSDAを利用する技術および方法を提供する。過去の食事療法においては、脂肪は価値のないまたは有害な食事成分であるとさえ考えられてきた。多くの研究により、食事脂肪と肥満症およびアテローム性動脈硬化症のような他の病理との間に生理学的な連鎖が作成された。低栄養価のこの認識により、脂肪の消費は医療施設の多くによって反対されている。
【0003】
しかしながら、最近の研究により、その比較的単純な生物学的構造にもかかわらず、幾つかの方法で身体機能を改善するようであり、事実、ある種の生理学的プロセスに必須となり得る幾つかの型の脂肪が存在することが決定されている。脂肪分子のより広いクラスには、脂肪酸、イソプレノール、ステロイド、他の脂質および油溶性ビタミンが含まれる。これらの中には脂肪酸が存在する。脂肪酸は、その炭化水素構造に種々の数の不飽和を含むかまたは含まない、その「骨格」に2ないし26の炭素を有するカルボン酸である。それは一般的に約4.5の解離定数(pKa)を有し、このことは正常な身体条件(7.4の生理pH)においては大部分が解離した形態で存在することを示している。
【0004】
脂肪、特に脂肪酸についての栄養発達における改善をもって、食品産業における多くは食品製造のための新たな焦点として脂肪酸および脂質技術に焦点を合わせ始めた。この焦点は、オメガ−3脂肪酸の製造およびその食餌への取込みに特に強く行われている。オメガ−3脂肪酸は、3番目の炭素原子で始まる第1の二重結合(「不飽和」)を有する長鎖のポリ不飽和脂肪酸(鎖長で18-22炭素原子)である。それらの分子はその炭化水素鎖中に2またはそれを超える二重結合「不飽和」を有するため、「ポリ不飽和」と呼ばれている。それらの炭素骨格は少なくとも18の炭素原子を有するため、それらは「長鎖」脂肪酸と命名されている。ステアリドン酸「SDA」に加えて、脂肪酸のオメガ−3ファミリーには、アルファ−リノレン酸(「ALA」)、エイコサペンタエン酸(「EPA」)およびドコサヘキサエン酸(「DHA」)が含まれる。ALAは「基本的」オメガ−3脂肪酸であり、それからEPAおよびDHAがSDAの生成を含む一連の酵素反応を介して身体中で作られる。大部分の栄養学者は、最も生理学的に重要なオメガ−3脂肪酸としてDHAおよびEPAを挙げる。ALAからのこの合成プロセスは「伸長」(新たな炭素原子を取り込むことによって分子が長くなる)および「脱飽和」(新たな二重結合が生成する)と各々呼ばれる。天然においては、ALAはある種の植物種子(例えば、アマ)に主に見出され、一方でEPAおよびDHAは寒流捕食魚(例えば、マグロ、マス、サーディンおよびサケ)の組織中、およびそれらの餌となる海藻または微生物に大部分が生じる。
【0005】
オメガ-3を収穫するための寒流海洋魚および食品としてのそれらの用途が、実際には実質的なオメガ-3PUFA、EPAおよびDHAを生成しないことも広く知られていない。むしろ、長鎖PUFAは微生物または藻によって生合成され、食物連鎖に通され、捕食種の組織に収集される。最近は、合衆国企業−Martekによって製造されるDHAに富む2の市販されている海洋単細胞油が存在する。一方は他力栄養渦鞭毛虫(クリプテコジニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii))からのものであり、他方は海洋スラウストキトリウム科(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))からもものである。残念なことには、製造コストは単純に大きすぎて大規模製造を商業的に正当化することができず、商業的供給は小さいままである。
【0006】
オメガ-3脂肪酸の供給を単純に保証する困難さに加えて、オメガ-3脂肪酸を食品に加工するコストが問題である。収穫した後でさえ、これらのコストも食品企業には禁止的である。さらなる加工コストの理由は、EPAおよびDHAの相対的な化学的不安定性である。これらのオメガ-3脂肪酸は迅速に酸化して、望ましくない臭いおよび風味につながる。したがって、酸化の程度を減少するために、食品加工機により油を凍結条件で分配するかまたは望ましい脂肪酸をカプセル化するかのいずれかを行わなければならず、各々、加工コストおよび消費者に対するその後のコストを大幅に上昇する。この高い費用にもかかわらず、食品企業は、信頼し得る供給を開発できれば健康に関心のある消費者が改善された食餌に小さな価値を支払う意思があり得ると考えているため、オメガ-3脂肪酸を供給することに関心を持っている。
【0007】
健康的な食餌における重要な成分として必須の脂肪および油を開発する食品企業の動きに沿って、政府は食餌におけるPUFAの適用を後押しする規則を開発し始めている。これらの要望を供給することの困難性は、成長する市場の需要と並べて、オメガ-3の大きく十分な供給を開発することが不可能となっている。すでに言及したように、オメガ-3脂肪酸は最も高い価値があるとみなされており、EPAおよびDHAも時間が限られた市場アクセスにわたって非常に迅速に化学的に分解する。重要なことには、EPAおよびDNA酸化の迅速なプロセスの間にこれらの長鎖脂肪酸は悪臭または単純に不満足な感覚特性を発し、それらは商業上の受入れ見通しから多くの食材にそれらを入れることを困難もしくは不可能にしている。また、オメガ-3脂肪酸に対する増大した需要により、すでに涸渇した地球上の魚ストックはオメガ-3に対する将来のヒトの栄養要求におけるいずれの重大な成長にも合致し得ないことに気付いてきた。供給、安定性および入手源に対するこれらの制限は、コストを大幅に増大し、それに対応して食餌療法オメガ-3の入手可能性を制限する。
【0008】
したがって、商業上入手可能な方法で食品および飼料処方に含め得るオメガ-3脂肪酸またはそれへの重要な前駆体の大規模な安定供給を提供する必要性が存在する。本発明は、オメガ-3脂肪酸を供給してきた魚または微生物のこの代替法を提供し、トランスジェニック植物由来の、中性の味、コスト的に有利な生産および豊富な供給を提供する供給源として比較的に化学的に安定なオメガ-3脂肪酸、SDAをそのように利用する。SDAはα-リノール酸(「ALA」)の中間代謝産物であり、一旦身体中に入ると容易にEPAに代謝される。需要を供給し得るであろう植物群に具体的に含まれる植物種は:ダイズ、トウモロコシおよびキャノーラであるが、必要な場合は他の植物も含まれ得る。一旦生成したら、本発明のSDAを用いて、非常に多くの種々の食品の健康特徴を改善し得る。この生成は必要に応じて大規模化することもでき、野生の魚ストックを収穫することおよび水産養殖作業用の必須脂肪酸成分を提供することの必要の両方を減少し、各々、世界中の水産業に対する圧力を容易にする。
【0009】
重要なことには、最近の技術水準は、商業的販売および消費者消費用の食物および/または飲料に処方化した場合、α−リノレン酸を含む食物組成物が生理学的に顕著な程度までEPAに変換されないことを示唆している。ここにおける困難は、消費者食材の妥当な体積に対するALAの必要とされる体積である。生理学的に適切な量のEPAまたはDHAを得る伝統的な手段には、臭気および低い安定性のマイナスの寄与を有する魚油または藻油の添加が含まれる。身体中で生理学的に顕著な濃度のEPAおよびDHAに通じる濃度のALAを含むためには過剰量のALAが必要であり、単純に実施できない食品および部分サイズを処方することにおける困難に通じる。
【0010】
驚くべきことに、本発明者らは、本発明のトランスジェニック植物起源からのSDAの濃度が、生理学的に重要であるべき所定の食品または飲料生成物においてはるかに低い濃度しか必要せず、これらの範囲は典型的な食品について許容し得る体積パラメータ内に十分入ることを見出した。魚油のようなDHAを含有する油の直接的な添加のような同様の利点を得る他の手段と比較して高められた風味および安定というさらなる利点を見出した。このように、本発明のSDA組成物は健康および安定な食物組成物の両方のための唯一好適な脂肪酸である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、末端消費者の健康を改善するための食品に使用するための顕著な量のステアリドン酸(18:4ω3)を含有するよう設計したトランスジェニック・ダイズからの油の生成を包含する。十分な量のSDAに富むダイズを成長させて、実質的なSDA成分を含むダイズ油の送達を許容する。この「SDA油」は、いずれのオメガ-3油と比較しても、初期の食用に適した風味、長い貯蔵寿命安定性および高められた栄養品質を提供する。貯蔵の間に油の品質を維持する手段も開発した。SDA油から製造した幾つかの食品も製造し、ダイズ油のような従来の油から製造した製品と比較して同様の味および感覚特性を有することを見出した。
【0012】
また、本発明によれば、食品の貯蔵寿命試験も行い、植物由来のSDA油は他のオメガ-3含有生成物と比較して実質的に改善された貯蔵寿命特性を有する。したがって、本発明の好ましい形態は、ヒト消費用の食品の製造におけるトランスジェニック植物によって生成したSDA油の用法である。
【0013】
栄養学的な研究により、アルファ-リノレン酸と比較してSDAはイン・ビボ(in vivo)でEPAに約5倍効率的に変換されることが示された。したがって、本発明のもう1の形態において、植物由来のSDAは、ある種の病理状態についてのニュートラシューティカル・サプリメントまたは食餌療法添加剤として利用し得る。
【0014】
詳細には、本発明は、許容し得る食品がステアリドン酸を用いて製造することができ、その貯蔵寿命を匹敵するPUFA油のものを超えて増大することができることを示す。
【0015】
また、本発明の方法は、食用油、加工油または油組成物、豆乳処方に使用する全豆抽出物の形態でまたは部分抽出粉型の組成物としての、末端消費者における健康改善を最適化する最適化食物処方も提供する。
【0016】
本発明のさらなる形態において、トランスジェニック植物によって生成されたSDS油は水産養殖で上がった魚の食餌および/またはそれら魚からの生成物の基礎を形成し得る。
【0017】
本発明のさらなる形態において、トランスジェニック植物によって生成されたSDA油は、ウシおよび/またはウシ生成物の栄養特徴を改善するための畜牛の食餌の基礎を形成し得る。本発明のさらなる形態は、生殖機能も改善し得る。
【0018】
本発明のさらなる形態において、トランスジェニック植物によって生成されたSDA油は、ブタおよび/またはブタ生成物の栄養特徴を改善するためのブタの食餌の基礎を形成し得る。本発明のさらなる形態は、生殖機能も改善し得る。
【0019】
本発明のさらなる形態において、トランスジェニック植物によって生成されたSDA油は、ニワトリおよび/またはニワトリ生成物の栄養特徴を改善するためのニワトリの食餌の基礎を形成し得る。本発明のさらなる形態は、生殖機能も改善し得る。
【0020】
本発明の他の特徴および利点は、添付する図面に参照しつつ、本発明の好ましい形態の以下の詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1はPUFA代謝の生合成経路を示す。
【図2】図2はイタリアンドレッシングA-Eについての感覚情報のTime Point試験を示す。
【図3】図3はランチドレッシングA-Eについての感覚情報のTime Point試験を示す。
【図4】図4はマヨネーズA-Dについての感覚情報のTime Point試験を示す。
【図5】図5は豆乳A-Bについての感覚情報のTime Point試験を示す。
【図6】図6はフルーツスムージA-Cについての感覚情報のTime Point試験を示す。
【図7】図7はオメガ-3脂肪酸の相対生体活性を表すグラフである。
【図8】図8は豆乳製造用の加工フロー図を示す。
【図9】図9はバニラ豆乳製造用の加工フロー図を示す。
【図10】図10はマーガリン製造用の加工フロー図を示す。
【図11】図11はステアリドン酸のモデルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の略語は本明細書において示した意味を有する:
略語のキー:
AA アラキドン酸
ALA α−リノレン酸
DHA ドコサヘキサエン酸
DNA デオキシリボ核酸
EPA エイコサペンタン酸
GLA γ−リノレン酸
LA リノール酸
mRNA メッセンジャーリボ核酸
PUFA ポリ−不飽和脂肪酸
SDA ステアリドン酸
【0023】
用語の説明:
発現−対応するmRNAを生成する遺伝子の転写およびこのmRNAが対応する遺伝子産物(すなわち、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質)を生成する翻訳のプロセス。

飼料−限定するものではないが飼草、飼料および濃縮物を含む動物に飼料を与えるのに有用な材料。

食物−ヒトによって摂取され、代謝されてエネルギーを生成し得る栄養を含む物質。

遺伝子−ペプチド、ポリペプチド、タンパク質またはRNA分子をコードする染色体DNA、プラスミドDNA、cDNA、合成DNAまたは他のDNA。

宿主または宿主生物−細菌細胞、菌類、動物および動物細胞、植物および植物細胞、またはプロトプラスト、カルス、根、塊茎、種子、茎、葉、幼植物、胚および花粉を含むいずれかの植物の部分または組織。

口あたり−物質がヒトの口の中でどのように感じられるかの意味。味覚試験プロフィールに関して、これは、試験する物質の粘性、テクスチャーおよびなめらかさをいう。

栄養食品バー−本明細書中で用いる「栄養食品バー」とは健康を促進するように設計された食品バーを意味する。

形質転換−受容宿主への核酸の導入をいう。

トランスジーン−技術によって細胞またはその祖先に挿入され、その細胞から発達した植物または動物のゲノムの一部分となる一片の核酸分子。かかるトランスジーンには、トランスジェニック植物または動物に対して部分的または完全に外因(すなわち、外来)となる遺伝子が含まれ得、あるいは植物または動物の内因性遺伝子に対して同一性を有する遺伝子を表し得る。

トランスジェニック−技術によって細胞またはその祖先に挿入され、その細胞から発達した植物または動物のゲノムの一部分になる核酸分子を含むいずれかの細胞。
【0024】
本発明は、ステアリドン酸の生成の改善された方法のためのシステムおよびヒトの健康を改善する努力におけるヒトおよび家畜の食餌にそれを取り込むことに関する。この生成は、食品への商業的取込みを許容する高収量でSDAを生成するように設計されたトランスジェニック植物の利用を介する。本発明の目的のために、脂肪酸、例えば酪酸および酪酸塩、アラキドン酸およびアラキドン酸塩のような脂肪酸の酸および塩形態は、相互変化可能な化学形態と考えられる。
【0025】
図1に転じて、すべての高等植物は主な18炭素のPUFA、LAおよびALAを合成する能力を有し、幾つかの場合はSDA(C18:4n3、SDA)を合成する能力を有するが、これらをさらに伸長および脱飽和してAA、EPAまたはDHAを生成することができるものはほとんど存在しない。したがって、高等植物におけるEPAおよび/またはDHAの合成には、LAをAAに、またはALAをEPAおよびDHAに変換することが要求されるすべての生合成酵素をコードする幾つかの遺伝子の導入が要求される。ヒトの健康におけるPUFAの重要性を考慮すると、本発明によるトランスジェニック脂肪種子におけるPUFA(特にn-3クラス)の首尾よい生成は食餌用途のこれらの必須脂肪酸の持続可能な源を提供し得る。大部分のPUFA−合成真核生物において作動する「従来の」好気性の経路は、LAおよびALAの両方のΔ6脱飽和で出発してγ−リノレン酸(GLA、18:3n6)およびSDAを得る。
【0026】
油の組成の確立
表1aに転じて、それは本発明の油組成物に関して「正常な」範囲の油組成物を構成するものの基礎を提供するために重要である。非常に重要な食用の油および脂肪の基本組成基準を確立するために用いられる重要なデータ源は、Ministry of AgricultureのFisheries and Food(MAFF)および英国におけるLeatherhead Food Research Association facilityのFederation of Oils, Seeds and Fats Associations(FOSFA)である。
【0027】
意義のある標準データを確立するためには、代表的な地理的起源から十分な試料を収集することおよび油が純粋であることが極めて重要である。MAFF/FOSFAでは、公知の起源および履歴、一般的には10の異なる地理学的起源の植物脂肪種子の600を超える真正な商業的試料が各々11の植物油について実験された。抽出した油を分析してそれらの全脂肪組成(「FAC」)が決定された。トリグリセリド、ステロールおよびトコフェロール組成の2-位のFAC、トリグリセリド炭素数およびヨー素価、油中のタンパク質値、融点および固体脂肪含量を適当に決定する。
【0028】
1981年よりも前は、FACデータは、十分な質のデータが入手できなかったため公開された標準に含められていなかった。1981年に強制的な組成基準としてFACの範囲を含んだ標準が適用された。MAFF/FOSFAの業績は、これらの範囲にその後の修正を提供した。
【0029】
一般的に、より多くのデータが入手可能になるに従い、より狭い範囲の脂肪酸を提唱し、その結果として1981年に採用されたものよりもより詳細にすることが可能であった。表1aは、1981年にCodex Alimentarius Commission(CAC)によって採用された油のFACの例を示し、1993年に開催されたCodex Committee on Fats and oil(CCFO)で提唱された同じ油について変動している。
【0030】
【表1a】

入手元: CODEX ALIMENTARIUS COMMISSION, 1983および1993.
【0031】
上述のように、本発明によれば、組換え脂肪種子植物において産生されたSDAに富む油は、食品製造業者に以前は入手できなかった油組成を提供する。それは、本発明より前に典型的な植物油中に測定できるほどの量で存在していなかった食品中のオメガ-3油の取込みを提供する。また、このオメガ-3油の使用は、かかる油が魚または藻類起源から送達される場合は、食物の感覚的品質または貯蔵期間に関する伝統的な関心なしに可能である。油を送達した後、それを採取し、焼いた製品、日常品、スプレッド(spread)、マーガリン、スポーツ製品、栄養バーおよび乳幼児用のミルク、飼料、水産養殖、ニュートラシューティカルおよび医薬用途の生産に利用することができる。各々が高められた栄養含量を有する。
【0032】
表1bに転じて、本発明の有用性を説明するために、広範な範囲の食物カテゴリーを代表する種々の食品を選択して、製品味覚および貯蔵寿命に対するSDAおよび他のオメガ-3油の影響を決定した。
【0033】
受け入れた貯蔵寿命感覚試験によって測定した酸化安定性は、脂肪および油の有用な寿命および香味特徴を決定する重要なPUFA特徴である。脂肪および油の酸化的な劣化は、過酸化値(一次酸化から生じる過酸化物を測定する、PV)およびp-アニシジン値(二次酸化から生じる2-アルケナールを主に測定する、AV)のような湿潤化学法、あるいは食物においては感覚試食試験によって評価することができる。選択した食物カテゴリーおよび食品は、以下のとおりである:
【0034】
【表1b】

【0035】
本実験により、トランスジェニックSDAを取り込む食品の開発は幾つかの処方および方法を提供した。さらなる開発および研究は、香味最適化および貯蔵寿命特徴の向上のために行った。例えば、本発明のSDA組成物を含み得る食品または飲料には、焼いた製品および焼いた製品の混合物(例えば、ケーキ、ぶどうパン、マフィン、クッキー、練り粉菓子、パイおよびパイの皮)、ショートニングおよび油生成物(例えば、ショートニング、マーガリン、揚げ油(frying oil)、調理油およびサラダ油、ポップコーン油、サラダドレッシング、およびマヨネーズ)、油中で揚げた食物(例えば、ポテトチップ、コーンチップ、トルティヤチップ、他の揚げた澱粉質のスナック食品、フレンチフライ、ドーナッツおよびフライドチキン)、乳製品および人工乳製品(例えば、バター、アイスクリームおよび他の脂肪を含む冷凍デザート、ヨーグルト、およびナチュラルチーズ、プロセスチーズ、クリームチーズ、コテージチーズ、チーズ食品およびチーズスプレッド、ミルク、クリーム、サワークリーム、バターミルクおよびコーヒークリーマー)、肉食品(例えば、ハンバーガー、ホットドッグ、フランクフルトソーセージ、ソーセージ、ボローニャソーセージおよび他のランチョンミート、パスタ/肉製品、シチュー、サンドイッチスプレッドおよび缶詰めの魚を含む缶詰めの肉)、肉類似物、豆腐および種々のタンパク質スプレッド、甘味製品および糖菓(例えば、キャンディー、チョコレート、チョコレート菓子、粉砂糖をかけた菓子、および砂糖ごろも菓子、シロップ、クリームが詰まった菓子および果実が詰まった菓子)、木の実で造った代用バターおよび種々のスープ、クリームソース、ソースおよびグレービーソースが含まれる。前記の例の各々は、本発明の異なる形態を含む。
【0036】
本発明は、各食品について標的レベルのオメガ-3油に対するその処方を基礎としている。これらのレベルはSDA製品の生体内利用率等価性に基づいて同定した。表2aの以下の情報は、供給当たりベースの標的化したオメガ-3レベルを同定する:
【0037】
【表2a】

【0038】
この情報に基づいて、本発明のSDAの好ましい処方を適当なレベルのステアリドン酸を用いて開発して供給ベース当たりの標的化したレベルを送達する。添加した量は、供給サイズが異なることにより異なる適用間で変動した。
【0039】
以下の表2b-dは、本発明のSDA油組成物の範囲を反映している。
【0040】
【表2b】

【0041】
【表2c−1】

【0042】
【表2c−2】

【0043】
【表2d−1】

【0044】
【表2d−2】

【0045】
本発明について、ステアリドン酸の主たる源は高レベルのステアリドン酸を生成するように設計したトランスジェニック・ダイズから抽出した油であった。ダイズは油加工設備で加工し、油は米国特許出願2006/0111578および2006/0111254に記載された方法に従って抽出した。油に加えて、粉は完全に肥育したダイズ粉を加工する産業実施の典型的なトランスジェニックおよび対照ダイズから生成した。本発明のSDAを利用する食物処方の1の例は、以下の表3a−3cおよび図2a−2eに見出される。本発明の好ましい形態に係るイタリアンスタイルのドレッシングの一般的属性を表4a−4cに示す。
【0046】
【表3a−1】

【0047】
【表3a−2】

【0048】
【表3b−1】

【0049】
【表3b−2】

【0050】
【表3c】

【0051】
【表4a】

【0052】
【表4b】

【0053】
【表4c】

【0054】
本発明の方法によれば、種々のサラダドレッシングの試料を、本発明の種々の形態の確認実験および分析のために契約食品研究所に提出した。貯蔵寿命試験の一般的なアプローチは、5の属性パネリストにドレッシングを試食し、各ドレッシングについての属性および強さ(15ポイントのスケール−0は存在しない、15は極めて)に関して合意を生じた。パネリストによって同定した属性のリストは添付する書類にある。さらなる属性は保証として同定した。属性試験の特徴を以下の表5に提供し、種々の時点での感覚試験からのデータを一緒に表6に提供する。
【0055】
【表5】

【0056】
実施例1 サラダドレッシング
上記の表は、本発明の好ましい形態のために開発したデータを表す。4ヶ月まで出力したデータのグラフ表示のための図2a−2eも参照されたい。本明細書に提供するデータによれば、SDAを含有する試料は対応する魚および藻のオメガ-3油処方よりも顕著に風味がなく、実質的な短い貯蔵寿命および限定された安定性なしにオメガ-3処方の存在の恩恵を提供する。刺激風味および極めて深いな臭いにより、魚および藻由来の油は単純に試験できず、3ヶ月加速評価期間から外したが、本発明のSDA組成物はそうでなかった。全体として、本発明のSDA組成物は、食餌に遊離なオメガ-3を送達するのと結合した商業的利用のための改善された安定性、低下した分解およびその結果としての高められた貯蔵寿命を証明する。
【0057】
特定のサラダドレッシング態様に関して、本発明のSDA組成物は、6ヶ月の室温保存後に魚および藻油よりも長い風味プロフィールを維持する高められたランチドレッシングに利用するために開発した。イタリアンドレッシングに関して、より複雑な香味系が幾分かのマスキングを呈したが、ここでも本発明のSDAを含有するドレッシングは匹敵するベースの魚/藻ドレッシングよりもより少ない不快な臭いであった。
【0058】
イタリアン・サラダドレッシング:
本発明によれば、室温での貯蔵寿命実験および加速実験は4ヶ月で終了した。各試料は室温にて0、2および4ヶ月ならびに1、2および3ヶ月に加速温度(95°F)にて食品研究所で訓練した属性のパネルによって評価した。ランチドレッシングに関しては、魚および藻油試料を2ヶ月時点での高い不快な臭いおよび特徴のため、3ヶ月のみ嗅いだ。本発明のSDAを含有するものを含むすべての他の試料は、3ヶ月に評価した。これは、加速貯蔵寿命評価の典型である。
【0059】
本発明の方法によれば、イタリアンドレッシングは他のオメガ-3含有試験対象物と比較して風味の観点で顕著な安定性を示した。加速試験は95°Fでの4ヶ月の試験を通して完了した。この時点では、すべての生成物が不快な臭いを示し、魚油は不快な注記で最高値を示した。重要なことに、本発明のSDA処方はダイズ油参照に似ていた。
【0060】
本発明の方法によれば、ランチスタイルのドレッシングは、他のオメガ-3を含有する魚油および藻油処方と比較して感覚パラメータに関して顕著な改善を示した。また、本発明により、加速試験が完了した。高い強さの不快な臭いが2ヶ月で魚および藻試料で発生したが、本発明のSDA油および参照ダイズ油は3ヶ月の感覚パラメータに従って評価し得た。参照およびアマ試料はより特徴的な風味を示し、本発明のSDA油よりも小さい不快な臭いであった。本発明のSDA油は魚および藻試料よりもより特徴的な風味および小さな不快な臭いを示した。このことは、SDAが魚および藻油に対して改善された貯蔵寿命を有することを示している。また、室温試験は4ヶ月を通して本発明にかかる処方について完了した。結果は、本発明のSDA試料が、本発明のSDA生成物が魚および藻油を含む他のオメガ-3源と比べて不快な臭いおよび気持ち悪い臭いについて顕著に低い特性を有することを示すことを示す。
【0061】
イタリアンおよびランチタイプのドレッシングの両方のデータおよび評価のための特徴を示すチャートを、表1-11および図2および3に添付する。
【0062】
実施例2 ランチタイプ・ドレッシング
【0063】
【表6a−1】

【0064】
【表6a−2】

【0065】
【表6b】

【0066】
【表7a】

【0067】
【表7b】

【0068】
【表7c】

【0069】
貯蔵寿命試験への一般的アプローチは、5の訓練した属性パネリストにドレッシングを試食させ、各ドレッシングについての属性および強度(15スケール、−0は不存在、15は最高)に関して同意を生じさせる。さらなる属性を保証のために同定する。
【0070】
本実施例に関して、上記の表は風味および稠度に対する重要なデータを提供している。ランチドレッシングの場合においては、そのより敏感な風味のために、SDAおよび競合する対照物で生成したドレッシングの間の差異はより明白である。上記の表は、本発明の好ましい形態について明らかにしたデータを表す。ランチドレッシングを用いたデータのグラフ表示については、図3a−3hも参照されたい。本明細書に提供するデータによれば、SDAを含有する試料は魚および藻油を含有するものよりも顕著に低い不快な臭いである。刺激風味および極めて気持ち悪い臭いにより、魚および藻由来の油は3ヶ月の加速評価期間から単純に除いたが、SDAは除かなかった。改善された安定性、減少した分解およびその結果として高められた貯蔵寿命を示している。
【0071】
実施例3 マヨネーズ
本発明により、マヨネーズを調製し、本発明のオメガ-3を含有する油を用いて試験し、得られたデータを種々の方法(コロイド・ミル、フライ・ミルほか)で生成したすべてのマヨネーズおよびスプーンに取ることができるサラダドレッシング変形に適用した。
【0072】
【表8a】

【0073】
【表8b】

【0074】
【表8c】

【0075】
【表8d】

【0076】
【表9a】

【0077】
【表9b】

【0078】
本発明によれば、貯蔵寿命試験の一般的アプローチは、5の訓練した属性パネリストにドレッシングを試食させ、各ドレッシングについて属性および強さ(15ptのスケールで−0は不存在、15は最高)に関して同意を生じさせる。さらなる属性を保証のために同定する。
【0079】
【表9c】

【0080】
本発明により、最初の評価後に以下のデータを生じた。サラダドレッシングの例と同様に、SDAを含有するマヨネーズの初期の風味は対照と同様であった。アマ試料は比較した他のものから最も異なっていた。
【0081】
本発明の方法によれば、貯蔵寿命実験、室温および加速貯蔵条件の2ヶ月の実験を行った。加速温度実験におけるすべての試料は顕著な不快な臭いを有していたが、藻油試料は最高の不快な特徴を含んでいた。SDAは他のオメガ-3を含有する油源よりも良好に発揮した。室温実験については、藻油は本発明のSDA油よりも遙かに高いレベルの不快な臭いを示した。表12-14および図4a-4eの上記データを参照されたい。
【0082】
実施例4 豆乳
本発明によれば、豆乳は2の異なる方法で調製し得る。第1のものは、SDAに富むダイズの外皮をとり、薄片にし、ついで十分に肥ったダイズ粉にする。豆乳は、最初にダイズ粉を水に溶解し、混合し、加工して酵素を不活性化することによって処方化する。ダイズベースを濾過してさらなる固形物を除去し、脱気する。残りの成分を添加し、混合し、ついで生成物を2ステージ・ホモジナイザーでホモジナイズし、ついで超高温(UHT)高温プロセシングユニットを通して加工する。得られた生成物は、12週の典型的な貯蔵寿命で梱包および冷蔵する。以下に示すのは表10に提供した処方であり、プロセスフロー図については図6も参照されたい。
【0083】
【表10】

【0084】
用いた例は異なるタイプの均質および熱処理ユニット(直接蒸気、間接蒸気ほか)にも適用することができる。プレーン、チョコレート、リンゴ、オレンジ、ベリー他を含む異なる豆乳香味料は同様にして調製することができる。
【0085】
得られた生成物は、本発明のSDA向上を含まない以外は同様にして処理した粉から製造した豆乳と比較して許容し得る香味および口あたりを有することが判明した。9ヶ月貯蔵寿命後の本発明の追跡で明らかにされたデータによれば、トランスジェニックSDA組成物で高められた本発明の形態とオメガ-3脂肪酸を含まない非トランスジェニック・ダイズ油を含む対照組成物との間には味覚において僅かな相違しか存在しない。このことは豆乳および果実スムージーの両方について同様であった。これらは冷蔵保存し、大部分の商業的設計においては3ヶ月の貯蔵寿命しか有しないことを特記しておく。
【0086】
この実施例に対する第2のアプローチは、単離したダイズタンパク質を用いること、およびSDAに富むダイズ油を添加して新たな生成物組成物を達成することである。下記は図7の対応するフロー図を有する表11に提供する処方である。
【0087】
【表11】

【0088】
本発明によれば、上記で用いた提供した試料は異なるタイプの均質化および高温プロセシングユニットにも適用し得る(直接スチーム、間接スチームほか)。プレイン、チョコレート、リンゴ、オレンジ、ベリーほかを含む異なる豆乳風味を同様にして調製することができる。得られた生成物は、精製し、漂白し、脱臭したダイズ油で製造した豆乳と比較して許容し得る風味および口あたりを有することが判明した。
【0089】
【表12】

【0090】
実施例5 フルーツ・スムージ
本発明の好ましい形態によれば、豆乳からフルーツ・スムージを生じる。別の態様において、他の源のSDA油をフルーツ・スムージの開発のために使用し得る。本発明によれば、フルーツ・スムージの製造のために開発した方法を健康および栄養を高めるためのSDA油のユニークな特性を考慮する。2のスムージ型の生成物を開発し、両方の生成物は延長された貯蔵寿命特性を有することが決定された。超高低温殺菌、冷蔵保存の利用を含む方法の間は、典型的に12週の貯蔵寿命の他の冷蔵飲料を含む。混合したベリープロトタイプを本明細書に記載するが、イチゴ、ブドウ、クランベリー、オレンジ、レモン、リンゴ、パイナップル、マンゴー、イチゴ−バナナを含む他の風味およびいずれか他の果実の風味の組み合わせを開発することができる。
【0091】
第1のアプローチにおいて、豆乳はSDAに富んだダイズ粉を利用する実施例4の最初の部分に記載したように調製する。安定化剤、香味料および果実を含むさらなる成分は均質化の前に添加する。下記は生成物に使用した処方である:
【0092】
【表13】

【0093】
実施例4に記載した方法に従ってダイズベース部分を調製した。生成物の残りの製法を以下に記載する:
【0094】
【表14】

【0095】
本発明によって開発した第2のアプローチは、SDAに富む油を単離したダイズタンパク質を含有する処方に添加する場合である。この形態においては、混合ベリー生成物を開発したが上記したさらなるフレーバーに拡大し得る。下記するのは、本発明の形態で用いた基本処方である:
【0096】
【表15】

【0097】
生成物は本発明の方法に従って開発し、以下の処方を有する:
【0098】
【表16】

【0099】
本実施例の両方のアプローチから得られた生成物は、本発明のために開発した12ヶ月の冷蔵貯蔵寿命を有する本発明の典型的な果実風味のスムージー態様であった。
【0100】
上記のデータおよび技術は、本発明の方法による豆乳からの混合ベリースムージーの生成を示す。本発明の態様により、本発明のSDAは他のオメガ-3含有試料に対して実質的な差異を提供する。データを表17-21に示し、結果を示すグラフは図6a-6bである。
【0101】
【表17】

【0102】
実施例6
マーガリンタイプのスプレッド
【0103】
【表18】

【0104】
本発明の好ましい形態によれば、典型的なマーガリン製法は、水、塩、安息香酸ナトリウムおよびバターフレーバーを水性相として混合する。図9に転じて、ホエー粉、カゼインナトリウム塩または粉乳のようなミルク成分を水性相に加えることができる。油、レシチン、モノおよびジグリセリド、ビタミンおよび調味料を混合し、水性相と合して混合する。混合した乳化物を一連の削った表面熱交換器、ピンミキサーおよび休止管(各々、A、BおよびCユニット)を通過させて望ましい満足する温度および稠度を達成した。
【0105】
実施例7 クッキー生地
本発明により、本発明のSDA油をクッキーを含む食品に展開することもできる。下記にかかる利用のための1の処方を提供する。
【0106】
【表19】

【0107】
組換え植物の作製
関心のあるタンパク質を組換え的に産生する1の方法として、トランスジェニックタンパク質をコードする核酸を宿主細胞に導入し得る。組換え宿主細胞を用いてトランスジェニックタンパク質を生成することができ、それには標的植物の種子、莢または他の部分に分泌または保持し得るSDAのような望ましい脂肪酸が含まれる。トランスジェニックタンパク質をコードする核酸は、例えば相同性組換えによって宿主細胞に導入することができる。大部分の場合、関心のあるトランスジェニックタンパク質をコードする核酸は、組換え発現ベクターに組み込む。
【0108】
特に本発明は、5'から3'の方向で、異種構造核酸配列に作動可能に連結したプロモーターを含むトランスジェニック植物および形質転換宿主細胞にも指向される。さらなる核酸配列も、プロモーターおよび構造核酸配列と一緒に植物または宿主細胞に導入することができる。これらのさらなる配列には、3'転写ターミネーター、3'ポリアデニル化シグナル、他の非翻訳核酸配列、輸送または標的化配列、選択マーカー、エンハンサーおよびオペレーターが含まれ得る。
【0109】
組換えベクター、構造核酸配列、プロモーターおよび他の調節要素を含む本発明の好ましい核酸配列は前記したものである。かかる組換えベクターを調製する方法は当該技術分野でよく知られている。例えば、植物形質転換に特に適した組換えベクターを作製する方法は米国特許第4,940,835号および第4,757,011号に記載されている。
【0110】
細胞および高等植物において核酸を発現するのに有用な典型的なベクターは当該技術分野でよく知られており、それにはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の癌腫誘導(Ti)プラスミドに由来するベクターが含まれる。植物形質転換に有用な他の組換えベクターは刊行物にも記載されている。
【0111】
形質転換宿主細胞は、一般的に、本発明と和合性であるいずれの細胞ともできる。形質転換宿主細胞は、原核動物、より好ましくは細菌細胞であり、なおより好ましくはアグロバクテリウム(Agrobacterium)、バチルス(Bacillus)、エスシェリキア(Escherichia)、シュードモーナス(Pseudomonas)細胞であり、最も好ましくはエスシェリキア・コリ(Escherichia coli)細胞である。あるいは、形質転換宿主細胞は、好ましくは真核生物であり、より好ましくは植物、酵母または菌類細胞である。好ましい酵素細胞は、サッカロミセス・セレビシア(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)またはピチア・パストリス(Pichia pastoris)である。好ましい植物細胞は、アルファルファ、リンゴ、バナナ、オオムギ、インゲンマメ、ブロッコリ、キャベツ、キャノーラ、ニンジン、キャッサバ、セロリー、柑橘類、クローバー、ココヤシ、コーヒーノキ、トウモロコシ、ワタ、キュウリ、ニンニク、ブドウ、アマニ、メロン、エンバク、オリーブ、タマネギ、ヤシ、エンドウ、ラッカセイ、コショウ、ジャガイモ、ダイコン、ナタネ(非−キャノーラ)、イネ、ライムギ、サトウモロコシ、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、タバコ、トマト、またはコムギの細胞である。形質転換宿主細胞は、好ましくはキャノーラ、トウモロコシまたはダイズ細胞であり;最も好ましくはダイズ細胞である。ダイズ細胞は好ましくは優良なダイズ・セルラインである。「優良なライン」とは、優れた農業的能力についての育種および選抜から得られたいずれかの系統である。
【0112】
本発明のトランスジェニック植物は、好ましくはアルファルファ、リンゴ、バナナ、オオムギ、インゲンマメ、ブロッコリ、キャベツ、キャノーラ、ニンジン、キャッサバ、セロリー、柑橘類、クローバー、ココヤシ、コーヒーノキ、トウモロコシ、ワタ、キュウリ、ニンニク、ブドウ、アマニ、メロン、エンバク、オリーブ、タマネギ、ヤシ、エンドウ、ラッカセイ、コショウ、ジャガイモ、ダイコン、ナタネ(非−キャノーラ)、イネ、ライムギ、ベニバナ、サトウモロコシ、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、タバコ、トマトまたはコムギ植物である。形質転換宿主植物は、最も好ましくはキャノーラ、トウモロコシまたはダイズ細胞であり;これらの中で最も好ましくはダイズ植物である。
【0113】
トランスジェニック植物を調製する方法
さらに、本発明は、5'から3'方向で、異種構造核酸配列に作動可能に連結したプロモーターを含む実質量のSDAを産生することができるトランスジェニック植物を調製する方法にも指向される。核酸配列はSDAの配列を含み、アミノ酸形態に転写および翻訳される。他の構造核酸配列は、プロモーターおよび構造核酸配列と一緒に植物に導入し得る。これらの他の構造核酸配列には、3'転写ターミネーター、3'ポリアデニル化シグナル、他の非翻訳核酸配列、輸送または標的化配列、選択マーカー、エンハンサーおよびオペレーターが含まれ得る。
【0114】
一般的に、方法には、適当な植物細胞を選択し、植物細胞を組換えベクターで形質転換し、形質転換宿主細胞を得、植物を生成するのに有効な条件下で形質転換宿主細胞を培養することを含む。
【0115】
一般的に、本発明のトランスジェニック植物はいずれのタイプの植物であってもよく、好ましくは農業学的、園芸学的、観賞植物的、経済的または商業的な価値を有するものであり、より好ましくはアルファルファ、リンゴ、バナナ、オオムギ、ビート、ブロッコリ、キャベツ、キャノーラ、ニンジン、ヒマ、セロリ、柑橘類、クローバー、ココヤシ、コーヒーノキ、トウモロコシ、ワタ、キュウリ、米マツ、ユーカリノキ、ニンニク、ブドウ、テーダマツ、アマニ、メロン、エンバク、オリーブ、タマネギ、ヤシ、パースニップ、エンドウ、ラッカセイ、コショウ、ポプラ、ジャガイモ、ダイコン、ラジアータマツ、ナタネ(非−キャノーラ)、イネ、ライムギ、ベニバナ、サトウモロコシ、ダイオウマツ、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、モミジバフウ、チャノキ、タバコ、トマト、シバまたはコムギ植物である。形質転換植物はより好ましくはキャノーラ、トウモロコシまたはダイズ細胞であり;最も好ましくはダイズ植物である。ダイズ植物は好ましくは優良なダイズ植物である。優良な植物とは優良な系統からのいずれかの植物である。優良な系統は前記した。
【0116】
形質転換植物プロトプラストまたは外植片からの植物の再生、発達および栽培は当該技術分野でよく教示されている(Gelvinら,PLANT MOLECULAR BIOLOGY MANUAL, (1990);ならびにWeissbachおよびWeissbach,METHODS FOR PLANT MOLECULAR BIOLOGY (1989)。この方法においては、形質転換体は一般的に選択培地の存在下で培養し、該培地は首尾よく形質転換した細胞を選択し、望ましい植物シュートの再生を誘導する。これらのシュートは典型的に2ないし4ヶ月以内に得る。
【0117】
ついで、シュートを細菌の増殖を防ぐための選択剤および抗生物質を含有する適当な根−誘導培地に移す。多くのシュートが根を発達する。ついで、これらを土壌または他の培地に移植して根のつづく発達を許容する。一般的に、概説したような方法は利用する特定の植物株に依存して変化するであろう。
【0118】
好ましくは、再生したトランスジェニック植物は自家受粉させて同型接合体トランスジェニック植物を提供する。あるいは、再生したトランスジェニック植物から得た花粉を非−トランスジェニック植物、好ましくは経済学的に重要な種の同系繁殖体系統と交配し得る。逆に、非−トランスジェニック植物からの花粉を用いて再生したトランスジェニック植物を受粉し得る。
【0119】
トランスジェニック植物は、関心のあるタンパク質をコードする核酸配列をその子孫に伝えることができる。トランスジェニック植物は好ましくは関心のあるタンパク質をコードする核酸について同型接合であり、有性生殖の結果としてそのすべての子孫にその配列を伝達する。子孫はトランスジェニック植物によって生成された種から生育することができる。ついで、これらのさらなる植物は自家受粉させて真の育種系統の植物を創製することができる。
【0120】
これらの植物からの子孫を特に遺伝子発現について評価する。遺伝子発現は幾つかの一般的な方法(例えば、ウェスタンブロッティング、免疫沈降およびELISA)によって検出し得る。
【0121】
調節配列には、多くのタイプの宿主細胞中でのヌクレオチド配列の構造発現を指示するもの、ある種の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織−特異的調節配列)および調節可能な様式(例えば、誘導剤の存在下でのみ)で発現を指示するものが含まれる。発現ベクターの設計は形質転換すべき宿主細胞の選択、望まれるトランスジェニックタンパク質の発現レベルなどのような因子に依存し得ることは当業者によって理解されている。トランスジェニックタンパク質発現ベクターは宿主細胞に導入し、それによって核によってコードされるトランスジェニックタンパク質を生成することができる。
【0122】
本明細書中で用いる「形質転換」および「トランスフェクション」なる用語は、外来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入する種々の当該技術分野で認識されている技術をいい、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストラン−媒介トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクションおよびウイルス媒介トランスフェクションが含まれる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトする好適な方法は、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory press (1989))および他のラボラトリーマニュアルで見出すことができる。
【0123】
当業者であれば、本明細書中で論じた公知の技術または等価な技術の詳細な記載について一般的な参考テキストを参照することができる。これらのテキストには:Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology(編者John Wiley & Sons, N.Y. (1989));Birrenら,Genome Analysis: A Laboratory Manual 1: Analyzing DNA (Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1997));Clark, Plant Molecular Biology: A Laboratory Manual (Clark, Springer-Verlag, Berlin, (1987));およびMaligaら, Methods in Plant Molecular Biology, (Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Hrbor, N.Y.(1995))が含まれる。もちろん、これらのテキストは本発明の態様をなしまたはそれを用いるために参照することもできる。本発明のいずれの剤も実質的に精製することができ、および/または生物学的に活性であり、および/または組換え体とすることができる。
【0124】
リノール酸の減少
オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸は、ヒトの栄養に必要である脂肪酸であることは知られている。オメガ-6脂肪酸には、リノール酸およびその誘導体が含まれる。これらの油はヒトの栄養に必須であると考えられている。なぜなら、これらの脂肪酸は食餌で消費しなければならず、ヒトはそれらを他の食餌脂肪または栄養から製造することができず、しかもそれらは体内に貯蔵できないからである。この類の脂肪酸はエネルギーを提供し、神経細胞、細胞膜の成分でもあり、プロスタグランジンとして知られているホルモン様物質に変換される。
【0125】
図1を見ると、リノール酸は2の二重結合を含む18−炭素の長鎖ポリ不飽和脂肪酸である。その1番目の二重結合はオメガ末端から6番目の炭素に生じ、それをオメガ-6油として分類している。リノール酸はヒト体内に吸収され代謝され、誘導脂肪酸、ガンマ・リノール酸(GLA)に変換され、これはジ−ホモ−ガンマ・リノール酸(DGLA)およびアラキドン酸(AA)に変換される。ついで、DGLAおよびAAは2の炭素分子が加わり、水素分子が除去されることによって2のタイプのプロスタグランジンに変換される。3のファミリーのプロスタグランジン、PGE1、PGE2およびPGE3が存在する。DGLAはPGE1に変換され、一方でAAはPGE2に変換される。PGE3はオメガ-3脂肪酸の変換によって生成する。
【0126】
ヒトにおいて、オメガ-3油の消費と比べたオメガ-6の過剰な消費は、炎症−生成プロスタグランジン(PGE2)の過剰生成および非−炎症性プロスタグランジン(PGE1およびPGE2)の不足につながる場合がある。代わってこのことは、種々の他の健康問題につながる場合がある。さらにすすむと、現在市販されている一般的な調理植物油および加工食品にオメガ-6脂肪酸が存在することに起因して、消費者によるオメガ-6脂肪酸の日消費が過剰になる場合がある。オメガ-3脂肪酸消費に対するオメガ-6脂肪酸消費の比は、西洋食においては20:1に達する場合もある。より望ましい比を達成するために、本発明の形態はトランスジェニック脂肪種子植物においてSDAの生成を増大させる一方でLAの生成を減少する。得られる油は低レベルのLAを含有する一方で著量のSDAの生成を提供し、調理油から食品成分までの食品産業における種々の役割に使用することができる。
【0127】
上昇するトコフェロールレベル
トコフェロールは植物油に見出される天然の抗酸化剤であり、食餌中の必須の栄養である。これらの抗酸化剤は細胞膜および他の身体の脂溶性部分、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを障害から保護する。また、それは心血管疾患およびある種の形態の癌から身体を保護し、免疫向上効果が示されている。本発明によれば、トランスジェニック種子油植物の油中のトコフェロールの存在の向上は、油の消費者に有益であろう。本発明の目的に比して、現在の種々の形態で存在する高濃度のトコフェロールは油生成物の部分として有益であり、SDAの酸化を低下することもできる。
【0128】
前記の発明は理解の目的のために説明および例によって幾分詳細に記載しているが、ある種の変化および修飾を行い得ることは当業者に明らかであろう。したがって、記載および例は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでなく、それは添付する特許請求の範囲によって明確に描写される。
【0129】
したがって、本明細書において食品において利用するためのSDAの改善された供給源を提供する本発明の形態は特定の例に限定してはならないことは理解されるべきである。これらの例は、本発明の膨大な範囲の食品アイテムへの一般的な適用を説明するものである。SDAを含めることにより、これらのアイテムは、ヒトの消費用に製造される食物の栄養品質を顕著に高めながら、同一またはより良好な感覚品質でもって製造することができる。
【0130】
また、本明細書に提供する例は本発明の原理を適用する単なる説明である。開示した植物由来の要素の形態、使用方法および適用を変化する前記の記載は、ヒトの消費に直接的に関連しない適用に使用し得る。この分野に含まれるのは、一般的に限定されるものではないが:牛肉製造;鶏肉製造;豚肉製造;および/または水産養殖を含む動物製造産業に使用する栄養学的に高められた飼料の開発のための植物由来のSDAの使用である。これらの変形の使用は、本発明から逸脱することなく、または添付する特許請求の範囲から逸脱することなく訴えることができる。
【0131】
出典明示して本明細書の一部とみなす文献:
これらの参考文献は、それらが提供する手順または他の詳細を補充することに関して具体的に出典明示して本明細書の一部とみなす。

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【0132】
引用および出典明示して本明細書の一部とみなす出願:
特許:
Abbruzzese, 2002,米国特許第6,387,883号
Akasheら, 2006,米国特許第7,037,547号
Barclay ら, 1999,米国特許第5,985,348号
Barclay ら, 1997,米国特許第5,656,319号
Barclay ら, 1994,米国特許第5,340,594号
Dartey ら, 2002,米国特許第6,399,137号
Dartey ら, 2000,米国特許第6,123,978号
Knutzon ら, 2002,米国特許第6,459,018号
Schroeder ら, 1990,米国特許第4,913,921号
Wintersdorff ら, 1972,米国特許第3,676,157号

出願:
Fillatti J.,ら,米国出願公開No.2004/0107460A1, June 3, 2004, Nucleic Acid Constructs and Methods for Producing Altered Seed Oil Compositions.
Myhreら,米国出願公開No.2003/0082275A1, May 1, 2003, Drinkable Omega-3 Preparation and Storage Stabilization.
Palmerら,米国出願公開No.2005/0181019A1, Aug 18, 2005, Nutrition Bar.
Perlmanら,米国出願公開No.2005/0244564A1, November 3, 2005, Oxidative Stabilization of Omega-3 Fatty Acids in Low Linoleic Acid-Containing Peanut Butter.
Shiiba,ら,米国出願公開No.2006/006888A1, March 23, 2004, Acidic Oil-In- Water Emulsion Compositions.
Siew,ら,米国出願公開No.2004/0224071A1, November 11,2004, Process for Obtaining an Oil Composition and the Oil Composition Obtained Therefrom.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香味料分解に対して延長された貯蔵寿命を示すステアリドン酸を含む食品であって、ここに該ステアリドン酸がトランスジェニック植物に由来する該食品。
【請求項2】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも5%長い貯蔵寿命を含む請求項1記載の食品。
【請求項3】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約10%長い貯蔵寿命を含む請求項1記載の食品。
【請求項4】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約15%長い貯蔵寿命を含む請求項1記載の食品。
【請求項5】
さらに、高められた安定性を示す請求項1記載の食品。
【請求項6】
さらに、トコフェロールを含む請求項1記載の食品。
【請求項7】
さらに、少なくとも約5ppmのトコフェロールを含む請求項6記載の食品。
【請求項8】
該ステアリドン酸が該食品の0.1%〜80%で含まれる請求項1記載の食品。
【請求項9】
さらに、ダイズタンパク質を含む請求項2記載の食品。
【請求項10】
該食品が約40%未満のLAを含む請求項2記載の食品。
【請求項11】
さらに、該ステアリドン酸が脂肪種子植物からの油画分の一部分であることを含む請求項1記載の食品。
【請求項12】
該脂肪種子植物の画分が、植物が生成した種子および/またはフラグメントを潰して該油画分を放出させた後の該脂肪種子植物油の2%ないし50%からなる請求項3記載の食品。
【請求項13】
該脂肪種子植物が、植物が生成した種子および/またはフラグメントを潰して該油画分を放出させた後の該脂肪種子植物油の少なくとも20%からなる請求項3記載の食品。
【請求項14】
さらに、a)水分含有成分;およびb)食品が安定なエマルジョンになるようなエマルジョンを形成する十分な安定化剤を含む請求項1記載の食品。
【請求項15】
さらに、キレート試薬を含む請求項6記載の食品。
【請求項16】
さらに、乳成分を含む請求項7記載の食品。
【請求項17】
該食品がマヨネーズである請求項6、7または8のいずれか1項に記載の食品。
【請求項18】
該水分含有成分が乳成分である請求項6記載の食品。
【請求項19】
該乳成分が該食品の重量の25%〜80%で含まれる請求項10記載の食品。
【請求項20】
該食品がヨーグルトである請求項11記載の食品。
【請求項21】
該食品が冷凍されている請求項11記載の食品。
【請求項22】
該食品がアイスクリームである請求項13記載の食品。
【請求項23】
該食品がマーガリンである請求項11記載の食品。
【請求項24】
該エマルジョンが水中油型のものであって、該水性相が該食品の10重量%〜80重量%で含まれる請求項6記載の食品。
【請求項25】
該水性相が水を含む請求項16記載の食品。
【請求項26】
該食品がサラダドレッシングである請求項17記載の食品。
【請求項27】
該食品が冷蔵した場合に安定である請求項12、14、15または18のいずれか1項に記載の食品。
【請求項28】
食品の調製にいずれの熱処理も含まない請求項1記載の食品。
【請求項29】
該トランスジェニック植物が作物植物である請求項1記載の食品。
【請求項30】
該トランスジェニック植物が脂肪種子植物である請求項1記載の食品。
【請求項31】
該トランスジェニック植物が、キャノーラ、トウモロコシ、アマおよびダイズよりなる群から選択される請求項1記載の食品。
【請求項32】
該食品が、焼いた製品、乳製品、スプレッド(spread)、マーガリン、スポーツ製品、栄養バーおよび乳幼児用のミルクよりなる群から選択される請求項1記載の食品。
【請求項33】
延長された製品寿命を示すステアリドン酸を含有する動物飼料生成物であって、ここにステアリドン酸がトランスジェニック植物に由来し、該飼料生成物が家畜および/または水産養殖用の動物飼料として利用し得る該動物飼料生成物。
【請求項34】
該家畜がウシである請求項33記載の飼料生成物。
【請求項35】
該家畜がブタである請求項33記載の飼料生成物。
【請求項36】
該家畜が家禽である請求項33記載の飼料生成物。
【請求項37】
該家畜がニワトリである請求項33記載の飼料生成物。
【請求項38】
該水産養殖動物がサケである請求項33記載の飼料生成物。
【請求項39】
該水産養殖動物がマスである請求項33記載の飼料生成物。
【請求項40】
該水産養殖動物がナマズである請求項33記載の飼料生成物。
【請求項41】
該水産養殖動物がテラピアである請求項33記載の飼料生成物。
【請求項42】
該水産養殖動物が甲殻類動物である請求項33記載の飼料生成物。
【請求項43】
該水産養殖動物がサバである請求項33記載の飼料生成物。
【請求項44】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも5%長い貯蔵寿命を含む請求項33記載の生成物。
【請求項45】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約10%長い貯蔵寿命を含む請求項33記載の生成物。
【請求項46】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約15%長い貯蔵寿命を含む請求項33記載の生成物。
【請求項47】
さらに、高められた安定性を示す請求項33記載の生成物。
【請求項48】
さらにトコフェロールを含む請求項33記載の生成物。
【請求項49】
さらに少なくとも約5ppmのトコフェロールを含む請求項48記載の生成物。
【請求項50】
該ステアリドン酸が該飼料生成物の0.1%〜80%で含まれる請求項33記載の生成物。
【請求項51】
さらに、ダイズタンパク質を含む請求項50記載の生成物。
【請求項52】
該飼料生成物が約40%未満のLAを含む請求項50記載の生成物。
【請求項53】
高められた安定性および香味料分解に対して延長された貯蔵寿命を示すステアリドン酸を含む生成物であって、ここに該ステアリドン酸がトランスジェニック植物に由来し、ニュートラシューティカルとして利用される該生成物。
【請求項54】
香味料分解に対して延長された貯蔵寿命を示すステアリドン酸を含むニュートラシューティカルであって、ここに該ステアリドン酸がトランスジェニック植物に由来する該ニュートラシューティカル。
【請求項55】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも5%より長い貯蔵寿命を含む請求項54記載のニュートラシューティカル。
【請求項56】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約10%より長い貯蔵寿命を含む請求項54記載のニュートラシューティカル。
【請求項57】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約15%より長い貯蔵寿命を含む請求項54記載のニュートラシューティカル。
【請求項58】
さらに、高められた安定性を示す請求項54記載のニュートラシューティカル。
【請求項59】
さらにトコフェロールを含む請求項54記載のニュートラシューティカル。
【請求項60】
さらに少なくとも約5ppmのトコフェロールを含む請求項59記載のニュートラシューティカル。
【請求項61】
さらに、該ステアリドン酸が該飼料生成物の0.1%〜80%で含まれる請求項54記載のニュートラシューティカル。
【請求項62】
さらにダイズタンパク質を含む請求項61記載のニュートラシューティカル。
【請求項63】
該飼料生成物が約40%未満のLAを含む請求項61記載のニュートラシューティカル。
【請求項64】
食品、医療食品、乳製品補充物、乳幼児用のミルクおよび医薬よりなる群から選択される生成物を製造する方法であって、ここに該生成物にステアリドン酸が補充される該方法。
【請求項65】
さらに、ステアリドン酸以外の脂肪酸のレベルを減少することを含む請求項64記載の方法。
【請求項66】
さらに、トコフェロールを補充することを含む請求項64記載の方法。
【請求項67】
該ステアリドン酸が該食品の0.1%〜80%で含まれる請求項64記載の方法。
【請求項68】
さらに、ダイズタンパク質を含む請求項67記載の方法。
【請求項69】
該生成物が延長された貯蔵寿命を示す請求項64記載の方法。
【請求項70】
該ステアリドン酸がトランスジェニックダイズ由来である請求項64記載の方法。
【請求項71】
さらに、ALA、DHA、EPAまたはオレイン酸の群から選択される脂肪酸を補充することを含む請求項67記載の方法。
【請求項72】
トランスジェニック植物由来のステアリドン酸と飼料栄養分とを合することを含む動物飼料を補充する方法。
【請求項73】
該飼料栄養分がタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、無機物および核酸よりなる群から選択される請求項72記載の方法。
【請求項74】
さらにトコフェロールを補充することを含む請求項72記載の方法。
【請求項75】
該ステアリドン酸が該食品の0.1%〜80%で含まれる請求項72記載の方法。
【請求項76】
さらに、ダイズタンパク質を含む請求項75記載の方法。
【請求項77】
該生成物が延長された貯蔵寿命を示す請求項72記載の方法。
【請求項78】
該ステアリドン酸がトランスジェニックダイズに由来する請求項72記載の方法。
【請求項79】
ヒトまたは動物によって消費可能または使用可能な形態でトランスジェニック植物由来のステアリドン酸を含むステアリドン酸に富む食餌補充物をヒトまたは動物に提供する方法。
【請求項80】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約10%長い貯蔵寿命を含む請求項79記載の生成物。
【請求項81】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約15%長い貯蔵寿命を含む請求項79記載の生成物。
【請求項82】
さらに、高められた安定性を示す請求項79記載の生成物。
【請求項83】
さらにトコフェロールを含む請求項79記載の生成物。
【請求項84】
さらに少なくとも約5ppmのトコフェロールを含む請求項83記載の生成物。
【請求項85】
該ステアリドン酸が該食餌補充物の0.1%〜80%で含まれる請求項79記載の生成物。
【請求項86】
さらにダイズタンパク質を含む請求項80記載の生成物。
【請求項87】
トランスジェニックダイズ油を含む食物成分であって、該トランスジェニックダイズ油が組成物中の脂肪酸またはその誘導体の合計重量に基づいて少なくとも約0.2%のSDAおよび最大約40%のLAを含み、該ダイズ油が少なくとも約400ppmのトコフェロールを含む該食物成分。
【請求項88】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約10%長い貯蔵寿命を含む請求項87記載の生成物。
【請求項89】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約15%長い貯蔵寿命を含む請求項87記載の生成物。
【請求項90】
さらに、高められた安定性を示す請求項87記載の生成物。
【請求項91】
さらにトコフェロールを含む請求項87記載の生成物。
【請求項92】
さらに少なくとも約5ppmのトコフェロールを含む請求項91記載の生成物。
【請求項93】
該ステアリドン酸が該食品の0.1%〜80%で含まれる請求項87記載の生成物。
【請求項94】
さらにダイズタンパク質を含む請求項88記載の生成物。
【請求項95】
トランスジェニックダイズ油が、クエン酸、t-ブチルヒドロキノン、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピルおよびそれらの組合せよりなる群から選択される少なくとも1の安定化剤を含む請求項94記載の食物成分。
【請求項96】
トランスジェニックダイズ油が同レベルのSDAを含む第2のトランスジェニックダイズ油と比較して高められた安定性を示し、ここに該第2のトランスジェニックダイズ油が添加された安定化剤を含まず、約400ppm未満のトコフェロールを含む請求項94記載の食品成分。
【請求項97】
該トランスジェニックダイズ油が、さらに組成物中の脂肪酸またはその誘導体の合計重量に基づいて少なくとも10%のSDAおよび最大約35%のLAを含み、該ダイズ油が少なくとも約400ppmのトコフェロールを含む請求項94記載の食品成分。
【請求項98】
該トランスジェニックダイズ油が、対応する濃度のDHAと比較して延長された貯蔵寿命を示す請求項94記載の食品成分。
【請求項99】
トランスジェニック植物油が、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の合計重量に基づいて少なくとも約0.2%のSDAおよび約10%未満のLAを含み、該油が少なくとも約400ppmのトコフェロールを含むトランスジェニック植物油。
【請求項100】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約10%長い貯蔵寿命を含む請求項99記載の生成物。
【請求項101】
該延長された貯蔵寿命が、対応する濃度のEPAよりも少なくとも約15%長い貯蔵寿命を含む請求項99記載の生成物。
【請求項102】
さらに高められた安定性を示す請求項99記載の生成物。
【請求項103】
さらにトコフェロールを含む請求項99記載の生成物。
【請求項104】
さらに少なくとも約5ppmのトコフェロールを含む請求項103記載の生成物。
【請求項105】
該ステアリドン酸が該食品の0.1%〜80%で含まれる請求項100記載の生成物。
【請求項106】
さらに、ダイズタンパク質を含む請求項100記載の生成物。
【請求項107】
該トランスジェニックダイズ油が、対応する濃度のDHAと比較して延長された貯蔵寿命を示す請求項99記載の食品成分。
【請求項108】
食品から選択される組成物が
a)ダイズ粗挽き粉;
b)ダイズ粉;
c)脱脂ダイズ粉;
d)豆乳;
e)噴霧乾燥豆乳;
f)ダイズタンパク質濃縮物;
g)特定のきめを出したダイズタンパク質濃縮物;
h)加水分解ダイズタンパク質;
i)ダイズタンパク質単離物;および
j)噴霧乾燥豆腐
よりなる群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項109】
食品が、さらにスクロース、炭酸カルシウム、香味料、塩、ガムおよびビタミンを含む液体飲料または乾燥飲料混合物である請求項1記載の食品。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−516230(P2010−516230A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544918(P2009−544918)
【出願日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/000052
【国際公開番号】WO2008/085841
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】