説明

スピントルク磁気抵抗構造体

【課題】 従来よりも小さい書込み電流を用いてフリー磁性層の磁気モーメントの方向を変えるように適合された構造体、デバイス、メモリ及びそれらを形成するための方法を提供することである。
【解決手段】 磁気抵抗構造体、デバイス、メモリ、及びそれらを形成するための方法が提示される。例えば、磁気抵抗構造体は、第1の強磁性層と、第1の強磁性層に近接した第1の非磁性スペーサ層と、第1の非磁性スペーサ層に近接した第2の強磁性層と、第2の強磁性層に近接した第1の反強磁性層とを含む。例えば、第1の強磁性層は第1の固定強磁性層を含むことができ、第2の強磁性層はフリー強磁性層を含むことができ、第1の反強磁性層はフリー反強磁性層を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気抵抗構造体、スピントロニクス、メモリ及び集積回路に関する。より具体的には、本発明は、スピントルク・ベースの磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)を含む、スピントルク磁気抵抗構造体及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)は、磁気素子を標準的なシリコン・ベースの超小型電子技術と組み合わせて不揮発性メモリを実現する。例えば、シリコン・ベースの超小型電子技術は、トランジスタ、ダイオード、抵抗器、相互接続、キャパシタ又はインダクタといった電子デバイスを含む。トランジスタは、電界効果トランジスタ及びバイポーラ・トランジスタを含む。MRAMメモリ・セルは、2つのデータ状態(「1」及び「0」)に対応する2つの方向間で反転する(switched)磁気モーメントを記憶する磁気抵抗構造体を含む。MRAMセルにおいて、情報は、フリー磁性層の磁化方向として記憶される。従来のスピン注入型MRAMメモリ・セルにおいては、書込み電流を、MRAMセルを形成する材料層のスタックに直接通すことによって、データ状態が「1」又は「0」にプログラムされる。大まかに言えば、書込み電流は、1つの層を通過することによってスピン分極され、その後に続くフリー磁性層にスピントルクを与える。トルクは、書込み電流の極性に応じて、フリー磁性層の磁化を2つの安定状態間で反転させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来よりも小さい書込み電流を用いてフリー磁性層の磁気モーメントの方向を変えるように適合された構造体、デバイス、メモリ及びそれらを形成するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の原理は、例えば、フリー強磁性層と交換結合する、近接したフリー反強磁性層を提供する。本発明の原理は、フリー反強磁性層と、固定反強磁性層と、フリー反強磁性層と固定反強磁性層との間に配置された巨大磁気抵抗非磁性スペーサ層とを含む、サブ構造体をさらに提供する。サブ構造体は、フリー強磁性層の磁気分極を反転させるためのスピントルクの大部分を与えるように適合される。
【0005】
例えば、本発明の1つの態様によれば、磁気抵抗構造体が提供される。磁気抵抗構造体は、第1の強磁性層と、第1の強磁性層に近接した第1の非磁性スペーサ層と、第1の非磁性スペーサ層に近接した第2の強磁性層と、第2の強磁性層に近接した第1の反強磁性層とを含む。例えば、第1の強磁性層は第1の固定強磁性層を含むことができ、第2の強磁性層はフリー強磁性層を含むことができ、第1の反強磁性層はフリー反強磁性層を含むことができる。
【0006】
本発明の別の態様によれば、磁気抵抗メモリ・デバイスが提供される。磁気抵抗メモリ・デバイスは、第1の強磁性層と、第1の強磁性層に近接した第1の非磁性スペーサ層と、第1の非磁性スペーサ層に近接した第2の強磁性層と、第2の強磁性層に近接した第1の反強磁性層とを含む。例えば、第1の強磁性層は第1の固定強磁性層を含むことができ、第2の強磁性層はフリー強磁性層を含むことができ、第1の反強磁性層はフリー反強磁性層を含むことができる。磁気抵抗メモリ・デバイスは、磁気モーメントの少なくとも2つの方向に対応する少なくとも2つのデータ状態を記憶する。
【0007】
本発明の別の態様によれば、集積回路が提供される。集積回路は、基板と、第1の強磁性層と、第1の強磁性層に近接した第1の非磁性スペーサ層と、第1の非磁性スペーサ層に近接した第2の強磁性層と、第2の強磁性層に近接した第1の反強磁性層とを含む。例えば、第1の強磁性層は第1の固定強磁性層を含むことができ、第2の強磁性層はフリー強磁性層を含むことができ、第1の反強磁性層はフリー反強磁性層を含むことができる。
【0008】
本発明のさらに別の態様によれば、スピントルク・デバイスを形成するための方法が提供される。この方法は、第1の強磁性層を形成すること、第1の強磁性層に近接した第1の非磁性スペーサ層を形成すること、第1の非磁性スペーサ層に近接し、フリー強磁性層を含む第2の強磁性層を形成すること、及び第2の強磁性層に近接した第1の反強磁性層を形成することを含む。第1の反強磁性層は、フリー反強磁性層を含む。
【0009】
本発明の構造体、デバイス、メモリ及び方法は、従来のスピントルク注入型磁気抵抗デバイスのために必要とされる書込み電流よりも小さい書込み電流を用いて、フリー強磁性層の磁気モーメントの方向を変化させるように適合される。磁気抵抗メモリは、本発明のスピントルク注入型磁気抵抗デバイスの実施形態を含む、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)とすることができる。このMRAMは、従来のスピントルクMRAMのために必要とされる書込み電流よりもはるかに小さい書込み電流を用いてデータを書き込むように適合される。本発明の態様は、スピントルク反転ナノ構造体において、より低いスイッチング電流を提供する一方で、熱安定性を提供する。
【0010】
本発明のこれら及び他の特徴、目的及び利点は、添付の図面との関連で解釈されるべき、その例証的な実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来のスピントルク磁気抵抗構造体を示す。
【図2】本発明の実施形態によるスピントルク構造体を示す。
【図3】本発明の実施形態によるスピントルク構造体への書込みを示す。
【図4】本発明の実施形態によるスピントルク構造体を形成するための方法を示す。
【図5】本発明の実施形態による例示的なパッケージ化集積回路を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の原理を、ここで、例示的なスピントルク反転デバイス及びそれを使用するための方法を背景にして説明する。しかしながら、本発明の技術は、ここで図示され、説明されるデバイス及び方法に限定されるものではないことを理解すべきである。本発明の実施形態はむしろ、スピントルク反転デバイスにおいてスイッチング電流を低減するための技術に向けられる。本発明の実施形態は、下記の材料を用いて製作することができるが、他の材料を用いて代替的な実施形態を製作することができる。図面は、一定の縮尺で描かれてはいない。図面によって描かれた種々の層の厚さは、必ずしも本発明の実施形態の層の厚さを示すものではない。分かりやすくするために、幾つかの、当該分野で周知の一般的に用いられている層は図面中には描かれておらず、これには、保護キャップ層、シード層、及び基礎をなす基板が含まれるがそれらに限定されるものではない。基板は、シリコン又は他のいずれかの好適な構造体といった、従来の半導体基板とすることができる。
【0013】
本明細書で用いられる「近接する」又は「〜に(対して)近接する」という用語は、限定ではないが、「当接する」、「接触する」及び「作用可能に接触する」を包含する意味を有する。特に、磁気結合に関しての「近接する」又は「〜に近接する」は、限定ではないが、「作用可能に磁気的に結合している」ことを包含する。本明細書で用いられる「当接する」又は「当接している」は、限定ではないが、「〜に(対して)近接している」ことを包含する意味を有する。
【0014】
「強磁性」材料は、磁場が存在しない場合であっても比較的大きな正味の磁化をもたらす、原子の磁気モーメントの平行整列を示す。平行整列効果は、キュリー温度と呼ばれる特定の臨界温度より低い温度でのみ生じる。
【0015】
強磁性材料内の原子の磁気モーメントは、電子交換力によって生じる非常に強い相互作用を示し、その結果、原子の磁気モーメントの平行整列が生じる。交換力は、非常に大きくなることがあり、例えば、1000テスラのオーダーの磁場に等しいものとなることがある。交換力は、2つの電子のスピンの相対的配向に起因する量子力学的現象である。元素Fe、Ni及びCo、並びにそれらの合金の多くは、典型的な強磁性材料である。強磁性材料の2つの明確な特性は、その自発磁化及び磁気秩序化温度(即ち、キュリー温度)の存在である。強磁性体における電子交換力は非常に大きいとはいえ、最終的には熱エネルギーが交換に打ち勝ち、ランダム化効果を生じさせる。これは、キュリー温度(T)と呼ばれる特定の温度で生じる。キュリー温度より低温において強磁性体は秩序化され、キュリー温度より高温では無秩序化される。飽和磁化は、キュリー温度でゼロになる。
【0016】
「反強磁性」材料は、通常は、反対方向を向いて異なる副格子上で隣接するスピンに対して規則的なパターンで整列する電子のスピンに関連する、原子又は分子の磁気モーメントを有する材料である。一般に、反強磁性秩序は十分な低温において存在し、特定の温度、即ちネール温度以上で消滅する。ネール温度よりも低温において反強磁性体は秩序化され、ネール温度よりも高温で無秩序化する。外部磁場が印加されていない場合、反強磁性材料は、消失した総磁化に対応する。
【0017】
反強磁性体は、例えば、交換異方性として知られる、強磁性体の表面原子を反強磁性体の表面原子に対して整列させる機構(例えば、強磁性膜を反強磁性体上で成長させるとき、又はその後のアニーリングの間のいずれかの場合に整列磁場が印加される)を通じて強磁性体と結合することができる。これは、強磁性膜の配向を「固定する(pin)」能力をもたらす。反強磁性層が、その温度又はそれ以上の温度で、隣接する強磁性層の磁化方向を固定する能力を喪失する温度は、その層のブロッキング温度と呼ばれ、通常はネール温度よりも低い。
【0018】
「巨大磁気抵抗(GMR)」は、例えば、2つの強磁性層とそれらの2つの強磁性層の間に非磁性スペーサ層とを含む構造体のような特定の構造体おいて観察される、量子力学的磁気抵抗効果である。磁気抵抗効果は、2つの磁性層の磁化が平行である場合には、比較的少ない磁気散乱に起因する、顕著に低い構造体の電気抵抗として現れる。2つの磁性層の磁化は、例えば構造体を外部磁場の中に置くことによって平行にすることができる。巨大磁気抵抗効果はさらに、2つの磁性層の磁化が反平行である場合には、比較的高い磁気散乱に起因する、顕著に高い構造体の電気抵抗として現れる。「巨大磁気抵抗スペーサ層」は、2つの強磁性層の間の非磁性スペーサ層であり、これらの層を含む構造体はGMR効果を示す。
【0019】
「トンネル磁気抵抗(TMR)」は、「磁気トンネル接合(MTJ)」において生じる磁気抵抗効果である。MTJは、薄い絶縁体によって分離された2つの磁性体から成る素子である。絶縁層が十分に薄い場合(典型的には数ナノメートル)、電子は、一方の磁性体から他方の磁性体へとトンネルすることができる。このプロセスは、古典物理学では禁制であるので、TMRは厳密に量子力学的現象である。
【0020】
本明細書で用いられる「非磁性金属」という用語は、強磁性ではないもの及び反強磁性ではないものを含めて、磁性ではない金属を意味する。
【0021】
「磁気異方性」は、材料の磁気的性質の方向依存性である。磁気的に「等方性」の材料は、ゼロ磁場において材料の磁気モーメントに対する優先的方向を持たず、一方、磁気的に異方性の材料は、そのモーメントを「磁化容易軸」に対して整列させる傾向がある。磁気異方性には様々な原因があり、例えば、結晶磁気異方性の場合は、結晶の原子構造によって磁化に対する優先方向が導入され、形状異方性の場合は、粒子が完全に球形でないときには反磁場が全ての方向に対して等しくはならないので、1つ又は複数の磁化容易軸が生じ、応力異方性の場合は、張力が磁気的挙動を変化させて磁気異方性をもたらし、交換異方性は、反強磁性材料と強磁性材料とが相互作用するときに生じる。「異方性磁場(H)」は、磁化容易軸から材料の磁化を反転させることができる最も弱い磁場として定義することができる。
【0022】
従来のスピントルク注入型磁気抵抗構造体又はスピントルク磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)は、磁気トンネル接合スタック内に、フリー強磁性層(FM層)111を含むフリー側110と、トンネル障壁層120と、固定FM層131及び固定側反強磁性層(AFM層)132を含む固定側130とを含む、図1に示される2端子デバイス100を含むことができる。トンネル接合は、フリー側110と固定側130との間のトンネル障壁層120を含む。固定FM層131の磁気モーメントの方向は、固定側AFM層132によって(例えば、右向きの)方向に固定される。トンネル接合を通って下向きに流れる電流は、フリーFM層111の磁化を、固定FM層131の磁化に対して平行に、例えば右向きにさせる。トンネル接合を通って上向きに流れる電流は、フリーFM層111の磁化を、固定FM層131の磁化に対して反平行に、例えば左向きにさせる。デバイス100を通って上向き又は下向きに流れる、より小さい電流を用いて、フリーFM層111の磁化と固定FM層131の磁化との相対的配向に依存するデバイス100の抵抗を読み取る。
【0023】
従来のスピントルク注入型磁気抵抗構造体又は従来のスピントルク磁気抵抗MRAMにおいては、フリー磁性層は、反強磁性体ではなく強磁性体又はフェリ磁性体であること、及び、反強磁性層は、フリー層の一部としてではなく固定層の一部として用いられることが認識される。固定層は、方向が固定された磁化を有し、反転しない。
【0024】
従来のスピントルクMRAMには幾つかの課題がある。1つの課題は、MRAMセルを反転させるのに必要とされる書込み電流を低減させる必要性である。本発明は、反強磁性層をフリー層に組み込むことによってこの問題を解決する。
【0025】
比較的小さな反転(書込み)電流は、3つの層を含むスピントルク反強磁性構造体において実現することができる。第1の層は、第1の反強磁性体である。第2の層は、非磁性金属である。第3の層は、第2の反強磁性体である。非磁性金属は、第1の反強磁性体と第2の反強磁性体との間にある。例えば、第1及び第2の反強磁性体はクロム(Cr)を含み、非磁性金属は金(Au)を含む。この反強磁性構造体は、第1及び第2の反強磁性体の代わりに強磁性体を有する強磁性構造体における臨界スイッチング電流よりも100倍小さい臨界スイッチング電流を有することができる。臨界スイッチング電流の低減は、反強磁性体における反磁場が強磁性体の場合と比べて小さいことに起因する。しかしながら、この反強磁性構造体は、構造体の磁化状態を感知する(読み取る)ための既知の方法が存在しないので、MRAMとしては有用でない。本発明の態様は、反強磁性構造体及び反強磁性構造体の低いスイッチング電流を取り入れたにも関わらず、MRAM回路におけるメモリ・セルとして有用な、新規なスピントルク・デバイスである。
【0026】
トンネル磁気抵抗デバイスのようなスピントルク・デバイスは、フリー側と非磁性スペーサ層と固定側とを含む。フリー側は、単一層又は多重層を含むことができ、同様に、固定側は、単一層又は多重層を含むことができる。非磁性スペーサ層は、トンネル障壁層又は金属層のいずれかを含む。トンネル障壁層は電気絶縁材料を含み、このトンネル障壁層に適切にバイアス電圧がかけられたときに電子が通り抜ける。金属層は、導電性の非磁性金属層を含む。トンネル磁気抵抗デバイスの状態を読み取る場合、出力信号は、非磁性スペーサ層を横切る磁気抵抗信号から生成される。磁気抵抗信号は、非磁性スペーサがトンネル障壁層である場合にはトンネル磁気抵抗に起因するものであり、スペーサが金属層である場合には巨大磁気抵抗に起因するものである。
【0027】
図2に示されるように、本発明の実施形態によるスピントルク構造体200は、フリー側210、下部固定側230、上部固定端部250、GMRスペーサ層213及び非磁性スペーサ層220を含む。フリー側210は、フリーAFM層214に当接して強く交換結合した比較的薄いフリーFM層215を含む。フリーFM層215は、非磁性スペーサ層220に当接し、読み出しのための、磁気抵抗又は巨大磁気抵抗に関連付けられる比較的大きな抵抗及び比較的小さな抵抗を可能にする。非磁性スペーサ層220とフリーFM層215との間の界面は、スピントルク構造体200の反転又は書込みを補助するスピントルクを、比較的少量しか生成しない。GMRスペーサ層213は、フリーAFM層214及び上部固定AFM層212に当接し、上部固定AFM層212は、上部固定FM層211に当接して交換結合する。上部固定端部250は、上部固定AFM層212及び上部固定FM層211を含む。MRAMセルのようなスピントルク・デバイスが、例えばスピントルク構造体200を含む。1つ又は複数のMRAMメモリ・セルを含むMRAMは、シリコン、トランジスタ、電界効果トランジスタ、バイポーラ・トランジスタ、金属酸化膜半導体トランジスタ、ダイオード、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、別のメモリ・デバイス、相互接続、アナログ回路及びデジタル回路を含む電子デバイスのような、他の電子デバイス又は構造体をさらに含むことができる。MRAMメモリ・セル内に記憶されるデータは、フリーFM層215の磁気モーメントの方向に対応する。
【0028】
スピントルク構造体200の反転又は書込みを行うためのスピントルクの大部分は、フリーAFM層214の上方の層及び界面から生じる。フリーAFM層214の上方には、反転又は書込みの間にフリーFM層215上に比較的大きなスピントルクを生成する、フリーAFM層214とGMRスペーサ層213との界面、GMRスペーサ層213、GMRスペーサ層213と上部固定層212との界面、及び上部固定AFM層212が存在する。フリーAFM層214、GMRスペーサ層213及び上部固定AFM層212が、フリーFM層215の磁気分極を反転するためのスピントルクの大部分を提供するように適合される。上部固定AFM層212は、フリーAFM層214よりも厚い上部固定AFM層212を有することによって、そしてまた、上部固定AFM層212の上に交換結合された上部固定FM層211を有することによって、固定される。
【0029】
下部固定側230は、下部固定FM層231と、下部固定FM層231に当接し交換結合する下部固定側AFM層232とを含む。上部固定FM層211及び下部固定FM層231のうちの一方又は両方が、例えば、第1のコバルトと鉄との合金(CoFe)を含む第1の2ナノメートル(nm)厚の層と、0.8nmのルテニウム(Ru)層と、第2のコバルトと鉄との合金(CoFe)を含む第2の2nm厚の層とを含む反平行(AP)層を含むことができる。あるいは、上部固定FM層211及び/又は下部固定FM層231は、単純な固定層、例えば、第3のコバルトと鉄との合金(CoFe)の3nm厚の層を含むことができる。非磁性スペーサ層220は、例えば、酸化マグネシウム(MgO)をトンネル障壁層として含むことができる。下部固定側AFM層232は、下部固定FM層231に強く交換結合し、下部固定FM層231を固定する。下部固定側AFM層232を用いて、下部固定FM層231が特定の配列に固定される。
【0030】
フリーFM層215は、比較的薄く、例えば、ちょうど非磁性スペーサ層220を横切る良好な磁気抵抗を得るのに十分な厚さである。フリーFM層215の例示的な厚さは、0.2nmから1nmの間である。フリーFM層215は、例えば、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも1つを含有する、CoFeのような合金を含む。
【0031】
フリーAFM層214は、フリーAFM層214の結晶異方性の効力によって、フリーFM層215の熱安定性を含めたフリー複合層240の熱安定性を提供することができる。フリーAFM層214、下部固定側AFM層232及び上部固定AFM層212のうちのいずれか又は全てが、例えば、イリジウムとマンガンとを含む合金(IrMn)、白金とマンガンとを含む合金(PtMn)、鉄とマンガンとを含む合金(FeMn)、及びニッケルとマンガンとを含む合金(NiMn)のようなマンガン(Mn)合金を含むことができる。あるいは、フリーAFM層214、下部固定側AFM層232及び上部固定AFM層212は、異なるAFM材料を含むことができる。フリーAFM層214は、下部固定側AFM層232における材料及び上部固定AFM層212における材料と同じ材料又は異なる材料のどちらかで構成することができる。フリーAFM層214の厚さは、例えば2nmから20nmまでの範囲内である。下部固定側AFM層232及び/又は上部固定AFM層212と同じ材料で構成される場合には、フリーAFM層214は、下部固定側AFM層232及び/又は上部固定AFM層212よりも薄くするべきである。
【0032】
GMRスペーサ層213は、非磁性金属、例えばCu、Au又はRuを含む。非磁性金属は、フリーAFM層214を上部固定AFM層212から分離するために用いられる。
【0033】
図3は、スピントルク構造体300の書込み動作を示す。スピントルク構造体300は、書込み電流が印加されたスピントルク構造体200を含むものとした。1つの場合において、書込みは、スピントルク構造体200を通って縦方向に駆動される電子の流れを含む上向きの書込み電流310Aによって達成される。太い縦線の矢印の方向は、電子流の方向を指す。スピントルク構造体200のデータ状態を変更するために、書込み電流は、フリーFM層215及びフリーAFM層214の磁気モーメントを一緒に反転させる。下部固定FM層231の磁気モーメント321が例えば左向きの場合には、上向きの書込み電流310A内を流れる電子は左向きにスピン分極され、したがって、フリーFM層215に対して、フリーFM層215の磁気モーメント322Aを左へ反転させるトルクをかけることになる。さらに、フリーAFM層214の表面磁気モーメント323Aも左向きに反転されることになる。上向きの書込み電流310A内を上向きに流れる電子が、これもまた例えば左向きにスピン分極されている上部固定AFM層212に入射すると、幾つかの電子は反射して、左向きのスピン分極を持ってフリーAFM層214及びフリーFM層215へと戻り、それにより、フリーFM層215の磁気モーメント322A及びフリーAFM層214の表面磁気モーメント323Aを左向きに反転させるトルクをさらにかけることになる。データ状態が既に、上向きの書込み電流310Aによって誘起されたであろうデータ状態に対応している場合には、フリーFM層215の磁気モーメント322A及びフリーAFM層214の表面磁気モーメント323Aは既に左向きに設定されており、上向きの書込み電流310Aによって反転されることにはならない。
【0034】
逆に、電子の流れが、下向きの書込み電流310Bの場合のように反対方向(下向き)である場合には、電子は右向きにスピン分極され、フリーFM層215の磁気モーメント322B及びフリーAFM層214の表面磁気モーメント323Bは、データ状態を変更するときに右向きに反転されることになる。データ状態が既に、下向きの書込み電流310Bによって誘起されたであろうデータ状態に対応している場合には、フリーFM層215の磁気モーメント322B及びフリーAFM層214の表面磁気モーメント323Bは既に右向きに設定されており、下向きの書込み電流310Bによって反転されることにはならない。
【0035】
反転は、上部固定AFM層212からGMRスペーサ層213を越えてフリーAFM層214まで媒介されるスピントルクの結果である。下部固定側230から非磁性スペーサ層220を越えて媒介されるスピントルク成分も存在し得る。
【0036】
第1の磁気モーメント321及び上部固定FM層211の第4の磁気モーメント324の方向は、例えば、印加磁場内での高温アニールを用いて設定される。
【0037】
スピントルク構造体200の読み取りを考える。一実施形態において、非磁性スペーサ層220の抵抗を読み取るために、書込み電流よりも小さい読み出し電流が印加される。読み出し電流は、スピントルク構造体200を上部から下部へ、又は下部から上部へと通過して流れるように、スピントルク構造体200を横切って印加される。非磁性スペーサ層220の抵抗は、フリーFM層215と下部固定FM層231との相対的磁気配向(磁気モーメントの方向)に依存する。磁気配向が平行である場合には、非磁性スペーサ層220の抵抗は比較的低い。磁気配向が反平行である場合には、非磁性スペーサ層220の抵抗は比較的高い。前述の通り、非磁性スペーサ層220の抵抗は、非磁性スペーサ層220が電気絶縁体である場合にはトンネル磁気抵抗に起因するものであり、非磁性スペーサ層220が非磁性金属である場合には巨大磁気抵抗に起因するものである。印加された読み取り電流に対応する、スピントルク構造体200の両側での電圧を測定することによって、スピントルク構造体200を横切る抵抗をオームの法則に従って計算することができる。非磁性スペーサ層220の抵抗がスピントルク構造体200内の層の直列抵抗を支配するので、スピントルク構造体200の抵抗を測定することによって、非磁性スペーサ層220の抵抗がある程度の精度で得られる。代替的な実施形態においては、スピントルク構造体200を横切って読み取り電圧を印加して電流を測定し、そこからスピントルク構造体200の抵抗が計算される。多くの実施形態において、GMRスペーサ層213の抵抗は、非磁性スペーサ層220の抵抗との関係において、スピントルク構造体200の抵抗に実質的に寄与しない。さらに、スピントルク構造体200内の非磁性スペーサ層220以外の層の抵抗は、非磁性スペーサ層220の抵抗よりも比較的小さい。
【0038】
本発明の実施形態によるスピントルク構造体(例えば、スピントルク構造体200)の書込み電流を、(i)一方の側に比較構造体非磁性スペーサ層が当接し、他方の側に端子が当接した比較構造体フリー磁気抵抗層と、(ii)比較構造体強磁性層又は別の比較構造体非磁性スペーサ層とを含む、比較例のスピントルク注入型磁気抵抗構造体の比較書込み電流と比較して考察する。発明の態様は、比較書込み電流よりも低い書込み電流である。本発明の実施形態によるスピントルク構造体に関して、フリーFM層(例えば、フリー強磁性層215)の磁気モーメントを反転するために必要とされる書込み電流の大きさは、比較スピントルク注入型磁気抵抗構造体内の比較構造体フリーFM層の比較構造体磁気モーメントを反転するために必要とされる比較書込み電流よりも小さい。本発明のスピントルク構造体のために必要とされる書込み電流は、例えば、比較スピントルク注入型磁気抵抗構造体のために必要とされる書込み電流の10パーセントよりも小さい。
【0039】
図4は、本発明の実施形態によるスピントルク構造体を形成するための方法400を示す。例えば、スピントルク構造体は、スピントルク構造体200又はMRAMメモリ・セルを含む。方法400のステップは、図示された順序以外で行われることもある。
【0040】
第1のステップ410は、第1のFM層を形成することを含む。第1のFM層は、固定層、例えば下部固定FM層231を含む。
【0041】
第2のステップ420は、第1の非磁性スペーサ層を形成することを含む。第1の非磁性スペーサ層は、トンネル障壁又は非磁性金属を含む。例えば、第1の非磁性スペーサ層は、非磁性スペーサ層220を含む。第1の非磁性スペーサ層は、第1のFM層に当接する。
【0042】
第3のステップ430は、第2のFM層を形成することを含む。第2のFM層は、フリーFM層、例えばフリーFM層215を含む。第2のFM層は、第1の非磁性スペーサ層に当接する。
【0043】
第4のステップ440は、第1のAFM層を形成することを含む。第1のAFM層は、第2のFM層に交換結合して当接する、フリー層を含む。例えば、第1のAFM層は、フリーAFM層214を含む。本発明の実施形態、例えばMRAMメモリ・セルにおいて、第2のFM層及び第1のAFM層の磁気モーメントの方向は、適切な極性の書込み電流がスピントルク構造体を横切って印加されると反転する。反転後、第2のFM層及び第1のAFM層の磁気モーメントの方向は平行であり、例えば、MRAMメモリ・セルのデータ状態を記憶する。
【0044】
第5のステップ450は、第2の非磁性スペーサ層を形成することを含む。第2の非磁性スペーサ層は、非磁性金属の層又はGMRスペーサ層を含む。例えば、第2の非磁性スペーサ層は、GMRスペーサ層213を含む。第2の非磁性スペーサ層は、第1のAFM層に当接する。
【0045】
第6のステップ460は、第2のAFM層を形成することを含む。第2のAFM層は、固定AFM層、例えば上部固定AFM層212を含む。第2のAFM層は、第2の非磁性スペーサ層に当接する。第1のAFM層と第2の非磁性スペーサ層と第2のAFM層とが、第2のFM層の磁気分極を反転させるためのスピントルクの大部分を与えるように低号された、比較的小規模の書込み電流を用いて第2のFM層の磁気分極を反転させることを可能にするように適合されたサブ構造体を含む。
【0046】
第7のステップ470は、固定AFM層、例えば下部固定側AFM層232を含む第3のAFM層を形成することを含む。第3のAFM層は、第1のFM層に当接して交換結合する。
【0047】
第8のステップ480は、固定FM層、例えば上部固定FM層211を含む、第3のFM層を形成することを含む。第3のFM層は、第2のAFM層に当接して交換結合する。
【0048】
図5は、本発明の実施形態による例示的なパッケージ化集積回路500を示す断面図である。パッケージ化集積回路500は、リードフレーム502と、リードフレームに取り付けられたダイ504と、プラスチック封入モールド508とを含む。図5は、1つのタイプの集積回路パッケージのみを示すが、本発明は、そのように限定されるものではなく、本発明は、任意のタイプのパッケージに収容された集積回路のダイを含むことができる。
【0049】
ダイ504は、本明細書で説明されたデバイスを含み、他の構造体又は回路を含むことができる。例えば、ダイ504は、本発明の実施形態による少なくとも1つのスピントルク構造体又はMRAM、例えばスピントルク構造体200、及び本発明の方法(例えば、図4の方法)に従って形成された実施形態を含む。例えば、他の構造体又は回路は、シリコン、トランジスタ、電界効果トランジスタ、バイポーラ・トランジスタ、金属酸化膜半導体トランジスタ、ダイオード、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、別のメモリ・デバイス、相互接続、アナログ回路及びデジタル回路を含む電子デバイスを含むことができる。スピントルク構造体又はMRAMは、半導体基板上又はその中に形成することができ、ダイは基板も含む。
【0050】
本発明による集積回路は、アプリケーション、ハードウェア及び/又は電子システム内で使用することができる。本発明を実装するための好適なハードウェア及びシステムは、パーソナル・コンピュータ、通信ネットワーク、電子商取引システム、携帯型通信デバイス(例えば、携帯電話)、固体媒体記憶デバイス、機能回路等を含むことができるが、それらに限定されない。このような集積回路を組み込んだシステム及びハードウェアは、本発明の一部と見なされる。本明細書において提示された本発明の教示があれば、当業者であれば、本発明の技術の他の実装及び応用を企図することが可能である。
【0051】
本発明の例示的な実施形態を添付の図面を参照しながら本明細書において説明してきたが、本発明は、これらの実施形態そのものに限定されるものではなく、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、その中で種々の他の変更及び修正を行うことができることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0052】
100、200、300:スピントルク構造体
310A、310B:書込み電流
321、322A、322B、323A、323B、324:磁気モーメント
500:パッケージ化集積回路
502:リードフレーム
504:ダイ
508:プラスチック封入モールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の強磁性層と、
前記第1の強磁性層に近接した第1の非磁性スペーサ層と、
前記第1の非磁性スペーサ層に近接し、フリー強磁性層を含む第2の強磁性層と、
前記第2の強磁性層に近接する第1の反強磁性層と
を含む磁気抵抗構造体であって、前記第1の反強磁性層がフリー反強磁性層を含む、
磁気抵抗構造体。
【請求項2】
前記第1の反強磁性層に近接した第2の非磁性スペーサ層と、
前記第2の非磁性スペーサ層に近接した第2の反強磁性層と
をさらに含む、請求項1に記載の磁気抵抗構造体。
【請求項3】
前記第2の反強磁性層が第1の固定反強磁性層を含む、請求項2に記載の磁気抵抗構造体。
【請求項4】
前記第2の非磁性スペーサ層が、非磁性金属層及び巨大磁気抵抗層のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の磁気抵抗構造体。
【請求項5】
i)前記第1の反強磁性層がクロムを含むこと、ii)前記第2の反強磁性層がクロムを含むこと、及びiii)前記第2の非磁性スペーサ層が、金、銅及びルテニウムのうちの少なくとも1つを含むこと、のうちの少なくとも1つである、請求項2に記載の磁気抵抗構造体。
【請求項6】
前記第1の反強磁性層、前記第2の非磁性スペーサ層、及び前記第2の反強磁性層のうちの少なくとも1つが、前記第2の強磁性層の磁気分極を反転させるためのスピントルクの大部分を与えるように適合された、請求項2に記載の磁気抵抗構造体。
【請求項7】
前記第1の強磁性層に近接して交換結合した第3の反強磁性層であって、第2の固定反強磁性層を含む第3の反強磁性層と、
前記第2の反強磁性層に近接した第3の強磁性層であって、第2の固定強磁性層を含む第3の強磁性層とをさらに含む、請求項1に記載の磁気抵抗構造体。
【請求項8】
前記第2の反強磁性層が、i)前記第3の強磁性層、及びii)前記第2の反強磁性層が前記第1の反強磁性層よりも厚いこと、のうちの少なくとも1つによって固定される、請求項7に記載の磁気抵抗構造体。
【請求項9】
前記第1の強磁性層及び前記第3の強磁性層のうちの少なくとも1つが、i)コバルトと鉄との合金、及びii)複数のサブ層、のうちの少なくとも一方を含み、前記複数のサブ層のうちの2つが反平行磁気モーメントを有する、請求項7に記載の磁気抵抗構造体。
【請求項10】
前記第1、前記第2及び前記第3の反強磁性層のうちの少なくとも1つが合金を含み、前記合金が、マンガン、イリジウム、ニッケル、白金及び鉄から成る群から選択される少なくとも1つの構成要素を含む、請求項7に記載の磁気抵抗構造体。
【請求項11】
前記第1の強磁性層が第1の固定強磁性層を含む、請求項1乃至10のいずれかに記載の磁気抵抗構造体。
【請求項12】
前記第1の非磁性スペーサ層が、トンネル障壁層、酸化マグネシウム、及び非磁性金属層のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至11のいずれかに記載の磁気抵抗構造体。
【請求項13】
前記第2の強磁性層が、前記第1の反強磁性層と交換結合する、請求項1乃至12のいずれかに記載の磁気抵抗構造体。
【請求項14】
前記第2の強磁性層が、鉄、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも1つを含む合金を含む、請求項1乃至13のいずれかに記載の磁気抵抗構造体。
【請求項15】
前記第2の強磁性層及び前記第1の反強磁性層の両方の磁気モーメントを書込み電流によって反転させるように適合された、請求項1乃至14のいずれかに記載の磁気抵抗構造体。
【請求項16】
前記第2の強磁性層の磁気モーメントを反転させるために必要な書込み電流の大きさが、比較フリー強磁性層を含む比較磁気抵抗構造体における前記比較フリー強磁性層の比較磁気モーメントを反転させるために必要な比較書込み電流よりも小さく、前記比較フリー強磁性層の一方の側には比較非磁性スペーサ層が当接し、他方の側には、デバイス端子、別の比較非磁性スペーサ層及び比較強磁性層のうちの少なくとも1つが当接する、請求項1乃至15のいずれかに記載の磁気抵抗構造体。
【請求項17】
前記第1の反強磁性層が、前記第2の強磁性層に対して熱安定性を与えるように適合された、請求項1乃至16のいずれかに記載の磁気抵抗構造体。
【請求項18】
第1の強磁性層と、
前記第1の強磁性層に近接した第1の非磁性スペーサ層と、
前記第1の非磁性スペーサ層に近接し、フリー強磁性層を含む第2の強磁性層と、
前記第2の強磁性層に近接した第1の反強磁性層と
を含む磁気抵抗メモリ・デバイスであって、前記第1の反強磁性層がフリー反強磁性層を含み、
磁気モーメントの少なくとも2つの方向に対応する少なくとも2つのデータ状態を記憶する、磁気抵抗メモリ・デバイス。
【請求項19】
前記第1の反強磁性層に近接した第2の非磁性スペーサ層と、
前記第2の非磁性スペーサ層に近接した第2の反強磁性層と
をさらに含み、
前記第1の反強磁性層、前記第2の非磁性スペーサ層、及び前記第2の反強磁性層のうちの少なくとも1つが、前記第2の強磁性層の磁気分極を反転させるためのスピントルクの大部分を与えるように適合された、請求項18に記載の磁気抵抗メモリ・デバイス。
【請求項20】
メモリ・セル内に記憶されたデータが、前記第2の強磁性層及び前記第1の反強磁性層のうちの少なくとも1つにおける磁気モーメントの方向に対応する、請求項18又は19に記載の磁気抵抗メモリ・デバイス。
【請求項21】
基板と、
第1の強磁性層と、
前記第1の強磁性層に近接した第1の非磁性スペーサ層と、
前記第1の非磁性スペーサ層に近接し、フリー強磁性層を含む第2の強磁性層と、
前記第2の強磁性層に近接した第1の反強磁性層と
を含む集積回路であって、前記第1の反強磁性層がフリー反強磁性層を含む
集積回路。
【請求項22】
前記第1の反強磁性層に近接した第2の非磁性スペーサ層と、
前記第2の非磁性スペーサ層に近接した第2の反強磁性層と
をさらに含み、
前記第1の反強磁性層、前記第2の非磁性スペーサ層、及び前記第2の反強磁性層のうちの少なくとも1つが、前記第2の強磁性層の磁気分極を反転させるためのスピントルクの大部分を提供するように適合された、請求項21に記載の集積回路。
【請求項23】
スピントルク構造体を形成するための方法であって、
第1の強磁性層を形成するステップと、
前記第1の強磁性層に近接した第1の非磁性スペーサ層を形成するステップと、
前記第1の非磁性スペーサ層に近接し、フリー強磁性層を含む第2の強磁性層を形成するステップと、
前記第2の強磁性層に近接する第1の反強磁性層を形成するステップと
を含む方法であって、前記第1の反強磁性層がフリー反強磁性層を含む、
方法。
【請求項24】
前記第1の反強磁性層に近接した第2の非磁性スペーサ層を形成するステップと、
前記第2の非磁性スペーサ層に近接した第2の反強磁性層を形成するステップと
をさらに含む、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−278442(P2010−278442A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121255(P2010−121255)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】