説明

スピンドルモータおよびこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置

【課題】流体動圧軸受の組立による軸受部材の変形を抑え、軸受性能を安定化させ、信頼性を向上させ、小型・薄型化を可能としたスピンドルモータおよびそれを用いたディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】軸受部材8が固着された軸受保持部材11をシャーシ15に固定する際、軸受保持部材11を介して固定するように構成し、かつその軸受保持部材11の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材8と軸受保持部材11とシャーシ15の各素材のそれぞれの線膨張係数の値が異なる材質をそれぞれ用いた構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばHDD装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、磁気ディスク装置、ポリゴンミラー等に装着される動圧軸受を備えたスピンドルモータ、およびこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク等のディスク状記録媒体を回転するディスク装置において使用されるスピンドルモータの軸受において、シャフトと軸受部材とを相対的に回転自在に支持するために、両者の間に介在させたオイル等の潤滑流体の流体圧力を利用する動圧軸受が種々提案されている。
【0003】
このような動圧軸受を使用するスピンドルモータに関し、簡略な構造および所望の軸受剛性を維持しつつ、オイル内に負圧が発生することを防止し、更なる薄型化並びに低コスト化が可能なスピンドルモータおよびこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置が提案されている。
【0004】
また、一方で装置を薄型化するために、シャーシの強度の向上と同時に電磁シールド性をシャーシに持たせることを目的として、シャーシの材質をマルテンサイト系の鉄鋼材料に変更する傾向にある。
【0005】
動圧軸受を使用するスピンドルモータにおいて、軸受部材とハウジング(シャーシ)とを接着するにあたり、接着強度を大きく、かつばらつきの少ない締結強度を確保するために、接着剤の粘度に合わせて接着隙間を設定し、その接着隙間に接着溝を設け、その接着溝は0.4mm以下で、総合接着溝幅比は0.4以下として接着剤を塗布あるいは充填することによって、軸受部材とハウジング(シャーシ)を接着した構造が示されている。これにより、接着強度を大きくでき、かつばらつきを減少できるとしている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、軸受間隙の全てがオイルで満たされているフルフィル構造の動圧軸受を備えたスピンドルモータにおいて、ロータを回転自在に支持する軸受部材を、軸受部材、軸受部材の上部外周面に固定されたプレート状部材、および軸受部材とプレート状部材とを保持する略カップ状の軸受ハウジングから構成し、この軸受部材とプレート状部材を軸受ハウジングに接着する構造も示されている。これにより、ラジアル軸受部とスラスト軸受部の直角度を良好に保ち、スピンドルモータの小型化、薄型化および低消費電力化を実現できるとしている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−250562号公報(第7頁、第1図)
【特許文献2】特開2004−316680号公報(第11頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記第1の例では、軸受部材とハウジング(シャーシ)の線膨張係数が略同一の場合は、大きな問題は発生しない。例えば、軸受部材の材質が黄銅で、ハウジングの材質の場合がアルミニウムの場合、これらの線膨張係数は、黄銅が20.9×10−6/℃であり、アルミニウムが23.9×10−6/℃であるので、軸受部材とハウジングを接着する際、熱硬化性の接着剤を用いても線膨張係数の差が小さいので問題にならない。
【0008】
しかし、近年、軸受部材の材質としてマルテンサイト系の鉄鋼材料を採用する例が増えてきている。さらに、ディスク装置を薄型にするためハウジングの厚みが同じでも強度を大きくすることやハウジングの厚みを薄くしても大きな剛性を得るために、ハウジングの材質をアルミニウムからマルテンサイト系の鉄鋼材料を採用する例が増えてきている。ここで、マルテンサイト系の鉄鋼材料の場合、線膨張係数が10.4×10−6/℃であることから、接着強度を大きくするために、接着剤の粘度に合わせて、接着隙間を設定した従来構成においても、以下のような課題があった。すなわち、例えば軸受部材の材質が黄銅で、ハウジングの材質がマルテンサイト系の鉄鋼材料を用いた場合、軸受部材とハウジングを熱硬化性の接着剤で固定すると、加熱硬化後には、線膨張係数の差が大きいため軸受部材とハウジングの隙間が大きくなり、接着強度が落ちるという課題があった。
【0009】
一方、軸受部材の材質がマルテンサイト系の鉄鋼材料で、ハウジングがアルミニウムの場合も同様に、軸受部材とハウジングを熱硬化性の接着剤で固定すると、加熱硬化後には、軸受部材の外周部の収縮よりハウジングの内周部の収縮の方が大きいため、軸受部材の内周径が小さくなり、回転負荷が大きくなるので、電流値が大きくしなければならない。このため、消費電力が大きくなるという課題があった。
【0010】
さらに、軸受部材の外周部とハウジングの内周部の高さ方向の対向位置において、例えば、軸受部材の外周部の高さ位置が、ハウジングよりも高い場合は、ハウジングと対向している高さ位置部分の軸受部材の軸穴の内径が縮小するので、軸受部材の軸穴の内周径が高さ方向において変化することになり、ラジアル軸受内の圧力バランスが崩れるという課題があった。
【0011】
また、上記第2の例においても同様に、軸受のハウジングの素材をアルミニウム合金、銅、銅合金等からなる薄板状金属材とし、軸受部材の材質をオイルが含浸された多孔質焼結体としているので、ボス部(シャーシ)の材質がマルテンサイト系の鉄鋼材料の場合、ボス部と軸受ハウジングの接着強度が落ちるという課題があった。
【0012】
さらに、この第2の例においては、連通溝を設けるためにスラスト軸受であるプレート状の部材を軸受部材の一端外周部に接着により固定している。しかし、特に装置を薄型にする場合、プレート状部材の厚みが薄くなり、充分な接着強度を得られないとともに、軸受部材の内周面とプレート状の部材の直角度を出すことが難しく、スピンドルモータの軸方向の面振れ成分が悪化するという課題もあった。
【0013】
本発明は、上記課題を解決し、軸受部材、軸受保持部材およびシャーシの接着固定によって発生する軸受部の歪みの発生を抑制するとともに、接着強度を高め、安定した軸受性能を有するスピンドルモータおよびそれを用いたディスク駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために本発明のスピンドルモータは、回転軸と、ディスク受け部を有し回転軸をその中心部に固着したハブと回転軸に同芯状にハブに固着された回転磁石とからなる回転体と、回転軸を軸支する軸受部材と、回転磁石に対向するとともに回転磁石との間で回転軸の中心軸を中心として回転力を発生する電機子と、軸受部材を保持する軸受保持部材と、電機子と軸受保持部材とを固定するシャーシとからなる構成において、軸受保持部材の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材と軸受保持部材とシャーシのそれぞれの各素材のそれぞれの線膨張係数の値が異なる材質をそれぞれ用いるようにした構成を有する。
【0015】
また、上記構成において、軸受部材の下部を閉塞し、かつ回転軸の一方の端面と対向するように軸受部材の下部に固着されたスラストプレートとをさらに有し、回転軸には、その外周面とそれに対向する軸受部材の内周面のうち少なくともいずれか一方に動圧発生用の溝が設けられており、スラストプレートとスラストプレートに対向する回転軸の一方の端面のうち少なくともいずれか一方に、回転体の回転時にオイルに対して径方向内方側に作用する圧力を付与する形状の動圧発生溝が設けられていてもよい。
【0016】
この構成によって、スピンドルモータを組み立てる際の軸受部材と軸受保持部材およびその軸受保持部材とシャーシとの接着における接着硬化後に発生する軸受部材の歪みが少なくなり、ラジアル軸受およびスラスト軸受の軸受性能を安定化させることができるとともに、シャーシと軸受保持部材の接着強度の劣化を抑えることができる。さらに、保存温度等の変化による接着強度の劣化、また使用温度の変化による軸受部材の形状の変化を少なくすることができる。
【0017】
また、本発明のスピンドルモータは、回転軸と、ディスク受け部を有し回転軸をその中心部に固着したハブと回転軸と同芯状にハブに固着された回転磁石とからなる回転体と、回転軸を軸支する軸受部材と、回転磁石に対向するとともに回転磁石との間で回転軸の中心軸を中心として回転力を発生する電機子と、軸受部材を保持する軸受保持部材と、電機子と軸受保持部材とを固定するシャーシとからなる構成において、軸受保持部材と軸受部材の線膨張係数の値が略等しい材質をそれぞれ用いた構成からなる。
【0018】
また、上記構成において、軸受部材の下部を閉塞し、かつ回転軸の一方の端面と対向するように軸受部材の下部に固着されたスラストプレートとをさらに有し、回転軸には、その外周面とそれに対向する軸受部材の内周面のうち少なくともいずれか一方に動圧発生用の溝が設けられており、スラストプレートとスラストプレートに対向する回転軸の一方の端面のうち少なくともいずれか一方に、回転体の回転時にオイルに対して径方向内方側に作用する圧力を付与する形状の動圧発生溝が設けられていてもよい。
【0019】
この構成によって、スピンドルモータを組み立てる際の軸受部材と軸受保持部材およびその軸受保持部材とシャーシとの接着における接着硬化後に発生する軸受部材の歪みが少なくなり、ラジアル軸受およびスラスト軸受の軸受性能を安定化させることができるとともに、シャーシと軸受保持部材の接着強度の劣化を抑えることができる。さらに、保存温度等の変化による接着強度の劣化、また使用温度の変化による軸受部材の形状の変化を少なくすることができる。
【0020】
また、本発明のスピンドルモータは、回転軸と、ディスク受け部を有し回転軸をその中心部に固着したハブと回転軸と同芯状に固定した回転磁石と抜け止め部材とからなる回転体と、回転軸を軸支する軸受部材と、回転磁石に対向するとともに回転磁石との間で回転軸の中心軸を中心として回転力を発生する電機子と、回転軸の端面と軸方向に対向する閉塞端面を有した一方開口形状を有し、かつ軸受部材を保持する軸受保持部材と、電機子と軸受保持部材とを固定するシャーシとからなる構成において、回転軸の外周面とそれに対向する軸受部材の内周面のうち少なくともいずれか一方に動圧発生用の溝が設けられているラジアル軸受と、軸受部材の上端面と上端面に対向するハブの平面のうち少なくともいずれか一方に、回転体の回転時にオイルに対して径方向内方側に作用する圧力を付与する形状の動圧発生溝が設けられたスラスト軸受とからなる流体動圧軸受を配設した構成を有する。
【0021】
また、上記構成において、ハブには、環状リング部材が一体的に形成されており、環状リング部材の内周部と軸受保持部材の外周部とは、半径方向に所定の距離を持って対向し、軸受保持部材の外周部は環状リング部材の内周部と所定の距離離間対向する曲面を有し、曲面の下側部分において閉塞端面方向に近づくにしたがって外径が小さくなるようにテーパー面が形成され、環状リング部材とテーパー面が対向する部分の一部までオイルが充填されていてもよい。
【0022】
さらに、上記構成において、軸受保持部材の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材、軸受保持部材およびシャーシの各素材のそれぞれの線膨張係数の値が異なる材質をそれぞれ用いた構成としてもよい。
【0023】
この構成によって、スラスト軸受を構成する軸受部材の上端面とそれに対向するハブの平面部との対向面積を大きくすることができ、またスラスト軸受の位置を回転軸の軸心より半径方向に離れた位置に配置することができ、軸受剛性を大きくすることができる。さらに、ハブの環状リング部材の内周部と軸受保持部材のテーパー面において、オイルの表面張力と外気圧とがバランスされ、オイルと空気との間に界面が形成される。その界面の位置を確認することによって、軸受ユニットを組み立てる際に、オイル注油後、軸受ユニットにオイルが充填されていることを確認することができる。したがって、工程管理や性能管理がしやすくなる。
【0024】
さらに、スピンドルモータを組み立てる際の軸受部材と軸受保持部材およびその軸受保持部材とシャーシとの接着における接着硬化後に発生する軸受部材の歪みが少なくなり、ラジアル軸受およびスラスト軸受の軸受性能の安定化が可能となる。さらに、シャーシと軸受保持部材の接着強度の劣化も少なくなる。さらに、保存温度等の変化による接着強度の劣化、また使用温度の変化による軸受部材の形状の変化を少なくすることもできる。
【0025】
さらに、上記構成において、軸受部材の材質として黄銅材料、軸受保持部材の材質としてオーステナイト系の鉄鋼材料、シャーシの材質としてマルテンサイト系もしくはフェライト系の鉄鋼材料をそれぞれ用いた構成としてもよい。
【0026】
あるいは、軸受部材の材質としてマルテンサイト系もしくはフェライト系の鉄鋼材料、軸受保持部材の材質としてオーステナイト系の鉄鋼材料、シャーシの材質としてアルミニウム材料をそれぞれ用いた構成としてもよい。
【0027】
あるいは、軸受部材の材質として黄銅材料、軸受保持部材の材質として黄銅アルミニウム材料、シャーシの材質としてマルテンサイト系もしくはフェライト系の鉄鋼材料をそれぞれ用いた構成としてもよい。
【0028】
あるいは、軸受部材の材質としてマルテンサイト系もしくはフェライト系の鉄鋼材料、軸受保持部材の材質としてマルテンサイト系もしくはフェライト系の鉄鋼材料、シャーシの材質としてアルミニウム材料をそれぞれ用いた構成としてもよい。
【0029】
この構成によって、スピンドルモータを構成する部品点数を増加させることなく、回転磁石に対向するシャーシと回転磁石との間に発生する磁気吸引力によって、それらの間に流体動圧軸受としてのスラスト軸受に必要なスラスト力を発生させることができ、安定した軸受性能を有するスピンドルモータを実現することができる。
【0030】
さらに、上記構成において、回転磁石と対向するシャーシの位置に、マルテンサイト系の鉄鋼材料からなる磁気吸引板を設けた構成としてもよい。
【0031】
この構成によって、アルミニウム材料で形成されたシャーシに対して、シャーシに固着された磁気吸引板によって、回転磁石に対向するシャーシと回転磁石との間に磁気吸引力を発生させることができる。その磁気吸引力によって、それらの間に流体動圧軸受としてのスラスト軸受に必要なスラスト力を発生させることができ、安定した軸受性能を有するスピンドルモータを実現することができる。
【0032】
さらに、本発明のディスク駆動装置は、情報を記録できるディスク状記録媒体が装着される装置において、ハウジングと、ハウジングの内部に固定され、ディスク状記録媒体を回転させるスピンドルモータと、ディスク状記録媒体の所要の位置に情報を書き込みまたは読み出すための情報アクセス手段とを有する装置であって、スピンドルモータが上記のいずれかに記載のスピンドルモータである構成からなる。
【0033】
この構成によって、高い信頼性を有し、かつ小型化、薄型化されたディスク駆動装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明のスピンドルモータは、軸受保持部材の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材と軸受保持部材とシャーシの各素材のそれぞれの線膨張係数の値が異なる材質を用いて、軸受部材、軸受保持部材およびシャーシを形成、あるいは軸受保持部材と軸受部材の線膨張係数が略等しい材質を用いて軸受保持部材および軸受部材を形成した構成からなる。
【0035】
このような構成とすることによって、スピンドルモータを組み立てる際の軸受部材と軸受保持部材およびその軸受保持部材とシャーシとの接着における接着硬化後に発生する軸受部材の歪みが少なくなる。したがって、ラジアル軸受およびスラスト軸受の軸受性能の安定化が可能となるとともに、シャーシと軸受保持部材の接着強度の劣化が少なくなる。さらに、保存温度等の変化による接着強度の劣化、また使用温度の変化による軸受部材の形状の変化を少なくすることができるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素については同じ符号を付しており、説明を省略する場合がある。
【0037】
(第1の実施の形態)
図1〜図4は、本発明の第1の実施の形態におけるスピンドルモータおよびそれを用いたディスク駆動装置を説明するための図である。図1はスピンドルモータの構成を示す断面図である。図2は図1に示されたスピンドルモータにおける軸受部近傍を示す拡大断面図である。図3は、ディスク駆動装置の構成を示す模式図である。図4は、本実施の形態の他の一例におけるスピンドルモータの軸受部近傍を示す拡大断面図である。
【0038】
図1および図2において、その外周部に円筒面と平面部とからなるディスク受け部2uを有しているハブ2と、ハブ2の中央部には、回転軸4の一方の端部が外嵌固定されている。回転軸4を回転自在に支持し、黄銅からなる中空円筒状の軸受部材8と、軸受部材8の下部を閉塞し、かつ回転軸4の一方の端面4wと対向する面に、ハブ2の回転時にオイルに対して半径方向内方に向かう圧力を誘起する動圧発生溝であるポンプインのスパイラルグルーブ(図示せず)が動圧発生用の溝として形成されたスラストプレート40が接着等の手段により軸受部材8の下部に固着されている。そして、回転軸4の端面4wとスラストプレート40によってスラスト軸受23を構成する。
【0039】
ここで、回転軸4の段差部4vを含む平面と軸受部材8の上端面との空隙距離は、回転軸4の端面4wとスラストプレート40のスパイラルグルーブが形成されている面との距離より大きくなるように構成されている。
【0040】
さらに、ハブ2には、その外周が回転軸4の外周と同芯状になるように回転磁石16が接着等の手段により固着され、回転軸4、ハブ2および回転磁石16によって回転体13を構成している。
【0041】
軸受部材8の外周部には、軸受保持部材11が接着等の手段により固定されている。その軸受保持部材11の下端部をシャーシ15に設けた穴部に挿入して、かしめ加工等の機械加工、もしくは接着等の手段により、軸受保持部材11をシャーシ15に嵌着している。また、回転磁石16の外周面と半径方向に所定の空隙を介して対向するとともに、回転磁石16との間で回転軸4の中心軸を中心として回転磁石16に回転力を発生させる電機子14が、シャーシ15に固定されている。
【0042】
回転軸4の外周面と軸受部材8の内周面との間およびこれに連続する回転軸4の端面4wとスラストプレート40のスパイラルグルーブが形成されている面との間には、一連の微小間隙が形成されており、この微小間隙中にはオイルが途切れることなく連続して保持されており、いわゆるフルフィル構造の動圧軸受を構成している。
【0043】
また、シャーシ15の材質をマルテンサイト系、もしくはフェライト系の鉄鋼材料にすることによって、回転磁石16に対向するシャーシ15と回転磁石16との間に発生する磁気吸引力によって、それらの間にスラスト軸受23に必要なスラスト力が発生するように構成されている。
【0044】
ここで、軸受部材8の内周面には、ハブ2の回転時にオイルに流体動圧を誘起する、回転方向に対して相反する方向に傾斜する一対のスパイラル溝を連結して構成される略「く」の字状のヘリングボーングルーブ(図示せず)が動圧発生用の溝として形成されており、回転軸4の外周面との間でラジアル軸受22が構成される。
【0045】
さらに、軸受部材8の上端部には、回転体13が回転軸4の軸心方向に抜けるのを防ぐために、回転軸4に設けた段差部4vと離間対向するように抜け止め部材19が接着、圧入等の手段により固着されている。
【0046】
ラジアル軸受22では、回転体13の回転に伴い、ヘリングボーングルーブによるポンピング力が高まり、流体動圧が生じ、回転軸4は、軸受部材8によって軸支される。
【0047】
同様に、回転体13の回転に伴い、ポンプインのスパイラルグルーブによって、オイルに半径方向内方に向かう圧力が誘起される。この半径方向内方に向かう圧力によって、オイルの流動が促され、オイルの内圧が高められ、ハブ2の浮上方向に作用する流体動圧が回転軸4の端面4wとスラストプレート40との間に発生する。
【0048】
ここで、軸受部材8、軸受保持部材11およびシャーシ15を構成する要素の代表的な素材の線膨張係数は、黄銅が20.9×10−6/℃であり、オーステナイト系鉄鋼材料が17.3×10−6/℃で、マルテンサイト系鉄鋼材料が10.4×10−6/℃である。したがって、軸受部材8、軸受保持部材11およびシャーシ15の各構成要素に対してそれぞれの材質の組合せを変え、各構成要素を熱硬化性の接着剤で固定した時の軸受部材8の内周径の変化を構造解析で求めた結果を(表1)に示す。ここで、軸受部材8の形状は、外周径を4.1mm、内周径を3mm、全長を1.1mmとし、接着温度を95℃として95℃下で接着硬化し、その後、常温(25℃)に戻した時の軸受部材8のラジアル軸受22としての内周径の上端部の半径に対する下端部の半径の変化(差)を計算している。ここで、(表1)に示す半径差はラジアル軸受22の上端部と下端部のそれぞれの半径の差であり、半径差が正の値の場合には、下端部の半径の方が大きいことを示している。
【0049】
【表1】

【0050】
(表1)から明らかなように、軸受部材8の材質を黄銅とし、シャーシ15の材質をマルテンサイト系にした場合、軸受保持部材11の材質により、軸受部材8のラジアル軸受22の上端部の半径に対する下端部の半径の変化量(差)が変化することがわかる。
【0051】
ディスク装置の小型化、薄型化により、回転軸4の外周面と軸受部材8の内周面の半径方向の隙間は、通常2μmから3μmに設定されている。軸受部材8の材質を黄銅、シャーシ15の材質をマルテンサイトおよび軸受保持部材11の材質をマルテンサイト系の鉄鋼材料で構成し、半径方向の隙間の設計中心値を3μmとした場合、ラジアル軸受22の上端部と下端部の半径方向の隙間の差が1μm変化することから、ラジアル軸受22上端部の半径方向の隙間が2.5μm、軸受下端部の半径方向の隙間が3.5μmとなり、ラジアル軸受22の下部における動圧が設計値より低くなり、軸受剛性として所望の値が得られなくなる。
【0052】
一方、本実施の形態のように、軸受保持部材11の材質の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材8と軸受保持部材11とシャーシ15の各材質の線膨張係数の値がそれぞれ異なる材質で構成する場合、例えば軸受保持部材11の材質をオーステナイト系鉄鋼材料とし、軸受部材8の材質を黄銅、シャーシ15をマルテンサイト系鉄鋼材料とした場合には、軸受部材8と軸受保持部材11とシャーシ15を熱硬化性の接着剤で硬化することによって発生するラジアル軸受22の上端部と下端部の半径方向の隙間の差を非常に小さくできることが表1から理解される。また、軸受保持部材11と軸受部材8のそれぞれの材質の線膨張係数を同じあるいは略等しい材質で構成する場合、例えば、軸受保持部材11の材質を黄銅とし、軸受部材8の材質も黄銅とした場合でも、同様に軸受部材8と軸受保持部材11とシャーシ15を熱硬化性の接着剤で硬化することによって発生するラジアル軸受22の上端部と下端部の半径方向の隙間の差を非常に小さくできる。
【0053】
したがって、軸受保持部材11の素材の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材8と軸受保持部材11とシャーシ15の各素材の線膨張係数の値がそれぞれ異なる材質を用いて、軸受部材8と軸受保持部材11を接着し、軸受部材8が接着された軸受保持部材11をシャーシ15に接着した構成、あるいは、軸受部材8と軸受保持部材11とを同じ材質あるいは軸受部材8と軸受保持部材11の素材としてそれぞれの線膨張係数が略等しい材質を用いて接着し、軸受部材8が接着された軸受保持部材11をシャーシ15に接着した構成とすることによって、スピンドルモータ、特に動圧軸受を組み立てる際に発生する軸受部材8の歪みが抑制され、軸受性能が安定化する。さらに、シャーシ15と軸受保持部材11との間において強い接着強度が得られる。さらに、保存温度あるいは動作時の温度上昇等の温度変化に対しても接着強度は劣化することがない。また、ラジアル軸受22としての形状の変化も抑制することができる。
【0054】
図3に、本発明の実施の形態のスピンドルモータを用いたディスク駆動装置50の構成を説明するための模式図を示す。ハウジング51の内部は塵埃等が極度に少ないクリーンな空間を形成しており、その内部に情報を記憶する円板状のディスク板53が装着されたスピンドルモータ52が設置されている。加えてハウジング51の内部には、ディスク板53に対して情報を読み書きするための情報アクセス手段であるヘッド移動機構57が配置されている。このヘッド移動機構57は、ディスク板53上の情報を読み書きするヘッド56、このヘッド56を支えるアーム55、およびヘッド56とアーム55とをディスク板53上の所要の位置に移動させるアクチュエータ54により構成されている。
【0055】
このようなディスク駆動装置50のスピンドルモータ52として、図1に示されるようなスピンドルモータを使用することによって、所望の回転精度を得ると同時に、ディスク駆動装置50の薄型化および低コスト化を実現できる。
【0056】
上述の本実施の形態においては、シャーシ15の材質をマルテンサイト系の鉄鋼材料で構成しているが、シャーシ15の材質をアルミニウムで形成してもよい。この場合、図4に示すように、マルテンサイト系の鉄鋼材料からなる磁気吸引板17をシャーシ15の回転磁石16と対向する位置に接着等により固定し、回転磁石16とシャーシ15との間にスラスト力を発生させるように構成する。
【0057】
シャーシ15の材質をアルミニウムとし、軸受部材8の材質をマルテンサイト系あるいはフェライト系の鉄鋼材料で構成した場合について、上述の(表1)と同様の条件で、構造解析を行った結果を(表2)に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
(表2)から明らかなように、軸受部材8の材質をマルテンサイト系の鉄鋼材料、シャーシ15の材質をアルミニウムおよび軸受保持部材11の材質を黄銅で構成し、回転軸4の外周面と軸受部材8の内周面における半径方向の隙間の設計中心値を3μmとした場合、ラジアル軸受22の上端部と下端部の半径方向の隙間の差が−1.1μm変化することから、ラジアル軸受22上端部における半径方向の隙間が3.55μm、軸受下端部における半径方向の隙間が2.45μmとなり、ラジアル軸受22上部の動圧が設計値より低くなり、軸受剛性として所望の値が得られなくなる。
【0060】
一方、(表2)の結果から理解できるように、軸受保持部材11の素材の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材8と軸受保持部材11とシャーシ15の各素材の線膨張係数の値がそれぞれ異なる材質で構成する場合、例えば軸受保持部材11の材質をオーステナイト系鉄鋼材料とし、軸受部材8の材質をマルテンサイト系もしくはフェライト系の鉄鋼材料、シャーシ15の材質をアルミニウムとした場合には、軸受部材8と軸受保持部材11とシャーシ15を熱硬化性の接着剤で硬化することによって発生するラジアル軸受22の上端部と下端部の半径方向の隙間を非常に小さくすることができる。
【0061】
あるいは、軸受保持部材11と軸受部材8のそれぞれの線膨張係数を同じあるいは略等しい材質で構成する場合、例えば軸受保持部材11の材質をマルテンサイト系鉄鋼材料、軸受部材8の材質をマルテンサイト系鉄鋼材料およびシャーシ15の材質をアルミニウムとした場合にも、軸受部材8と軸受保持部材11とシャーシ15を熱硬化性の接着剤で硬化することによって発生するラジアル軸受22の上端部と下端部の半径方向の隙間を非常に小さくすることができる。
【0062】
したがって、軸受保持部材11の素材の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材8と軸受保持部材11とシャーシ15の各素材の線膨張係数の値がそれぞれ異なる材質を用いて、軸受部材8と軸受保持部材11を接着し、軸受部材8が接着された軸受保持部材11をシャーシ15に接着した構成、あるいは、軸受部材8と軸受保持部材11とを同じ材質あるいは軸受部材8と軸受保持部材11の素材としてそれぞれの線膨張係数が略等しい材質を用いて接着し、軸受部材8が接着された軸受保持部材11をシャーシ15に接着した構成とすることによって、上述の本実施の形態の図1に示されたスピンドルモータと同様に、軸受部材8の歪みが抑制され、軸受性能が安定化するとともに、シャーシ15と軸受保持部材11との間において強い接着強度が得られる。さらに、保存温度あるいは動作時の温度上昇等の温度変化に対しても接着強度は劣化することがない。また、ラジアル軸受22としての形状の変化も抑制することができる。
【0063】
なお、上述の本実施の形態においては、ラジアル軸受22およびスラスト軸受23をオイル等の流体による流体動圧軸受として説明した。しかし、周知のように、回転軸4と軸受部材8との間に回転軸の軸方向に所定の距離を有して離間した2個のボールベアリング等の回転軸受用部材を設けた構成とし、その回転軸受用部材を介して回転軸を軸受部材に軸支してもよい。このような構成においても、軸受部材、軸受保持部材およびシャーシの各構成要素を熱硬化性の接着剤で固定した時の軸受部材の内周径の軸方向の変化は、上述の本実施の形態と同じとなる。すなわち、軸受部材の内周径の変化を小さくすることによって、上側の回転軸受用部材と下側の回転軸受用部材を軸受部材の内周径が締め付ける力が大きく変化することがなく、軸受性能に悪影響を与えるようなことはない。
【0064】
以上のように本実施の形態によれば、スピンドルモータを組み立てる際、特にラジアル軸受を構成する軸受部材と軸受保持部材との接着およびその軸受保持部材とシャーシとの接着によって組み立てる際に、軸受部材に発生する歪みが抑制され、軸受性能が安定化するとともに、シャーシと軸受保持部材との間において強い接着強度が得られる。さらに、保存温度あるいは動作時の温度上昇等の温度変化に対しても接着強度は劣化することがない。また、ラジアル軸受としての形状の変化も抑制することができ、高い安定性および信頼性を有したスピンドルモータを実現することができる。
【0065】
さらに、このようなスピンドルモータを搭載することによって、信頼性が高く、かつ、小型、薄型化されたディスク駆動装置を実現することができる。
【0066】
(第2の実施の形態)
図5〜図7は、本発明の第2の実施の形態にかかるスピンドルモータを説明するための図である。図5はスピンドルモータの構成を示す断面図である。図6は図5に示されたスピンドルモータにおける軸受部近傍を示す拡大断面図である。図7は、他の一例のスピンドルモータにおける軸受部近傍を示す拡大断面図である。
【0067】
本実施の形態にかかるスピンドルモータの構成が第1の実施の形態にかかるスピンドルモータと異なる主な点は、以下の2点である。まず、第1の実施の形態においては、回転軸4の端面4wとそれに対向するスラストプレート40によってスラスト軸受23を構成しているのに対して、本実施の形態においては、軸受部材63におけるハブ64に対向する上端面63aとハブ64における軸受部材63の上端面63aに対向する平面部64xによってスラスト軸受23を構成している点である。さらに、第1の実施の形態においては、スラストプレート40が軸受部材8の下部と回転軸4の端面4wに対向する面を閉塞する構成に対して、本実施の形態においては、軸受保持部材61に設けられた閉塞端61wが軸受部材63の下部と回転軸62の端面62wと対向する面を閉塞する構成とした点である。
【0068】
以下、本実施の形態におけるスピンドルモータについて、図5および図6を用いて具体的に説明する。
【0069】
図5および図6において、軸受保持部材61は、回転軸62を回転自在に支持する中空円筒状の軸受部材63を保持し、軸受部材63の下部と回転軸62の端面62wと対向する面を閉塞している。さらに、軸受保持部材61の外周上端部61aは、回転軸62の軸方向に垂下するようにしてハブ64と一体的に形成された環状リング部材64aの内周部64bと半径方向に所定の距離を持って対向する曲面を有している。さらに、その曲面の一部、すなわち下側部分において、軸方向に閉塞端61w側に向かって外径が小さくなるように、テーパー面61bが形成されており、テーパー面61bの一部までオイルを充填している。
【0070】
さらに、軸受保持部材61のテーパー面61bの下部には、切り欠き部61cが設けられている。この切り欠き部61cと対向し、非接触状態で遊嵌するように、ハブ64の環状リング部材64aの下方内周部に接着等の手段により抜け止め部材65を固定することにより、ハブ64が回転軸62の軸方向に抜けるのを防止しており、回転軸62、ハブ64、回転磁石16および抜け止め部材65によって回転体66を構成している。
【0071】
また、軸受部材63の上端面63aには、ハブ64の回転時にオイルに対して半径方向内方(回転軸62側)に向かう圧力を誘起する動圧発生溝であるポンプインのスパイラルグルーブ(図示せず)が形成されている。回転磁石16と磁性材からなるシャーシ15間に働く磁気吸引力により、ハブ64は、シャーシ15方向に付勢され、ハブ64の平面部64xとスパイラルグルーブが設けられた軸受部材63の上端面63aとで、スラスト軸受23を構成する。なお、回転軸62の端部62wと閉塞部61wとの間の空隙距離は、スラスト軸受23の空隙距離、すなわちハブ64の平面部64xとスパイラルグルーブが形成されている軸受部材63の上端面63aとの空隙距離より大きくなるように構成されている。
【0072】
ここで、ハブ64における環状リング部材64aの内周部64bと軸受保持部材61のテーパー面61bとの間、軸受部材63の上端面63aとハブ64における軸受部材63の上端面63aに対向する平面部64xとの間、回転軸62の外周面と軸受部材63の内周面との間およびこれに連続する回転軸62の端面62wと軸受保持部材61の閉塞部61wの面との間には、一連の微小間隙が形成されており、この微小間隙中にはオイルが途切れることなく連続して保持されており、いわゆるフルフィル構造の流体動圧軸受を構成している。
【0073】
ここで、ラジアル軸受22は、第1の実施の形態と同様に、ヘリングボーングルーブ(図示せず)が形成された軸受部材63の内周面と回転軸62の外周面との間で形成され、回転軸62の回転に伴い、動圧発生用の溝であるヘリングボーングルーブによるポンピング力が高まり、軸受部材63の内周面と回転軸62の外周面との間で流体動圧が生じ、回転軸62は軸受部材63によって軸支される。
【0074】
同様に、ハブ64の回転に伴い、ポンプインのスパイラルグルーブによって、オイルに半径方向内方に向かう圧力が誘起される。この半径方向内方に向かう圧力によって、オイルの流動が促され、オイルの内圧が高められ、ハブ64の浮上方向に作用する流体動圧が発生する。
【0075】
したがって、ハブ64の平面部64xと軸受部材63の上端面63aとでスラスト軸受23を構成しているため、スラスト軸受23を構成するハブ64の平面部64xと軸受部材63の上端面63aとの対向面積を大きくすることができる。また、スラスト軸受23の位置を回転軸62の軸心より半径方向に離れた位置に配置することができる。これにより、軸受剛性を大きくできる。さらに、ハブ64における環状リング部材64aの内周部64bと軸受保持部材61のテーパー面61bにおいて、オイルの表面張力と外気圧とがバランスされ、オイルと空気との間に界面(テーパーシール)が形成される。
【0076】
また、軸受ユニットを組み立てる際に、オイル注油後、その界面の位置を確認することによって、軸受ユニットにオイルが充填されていることを確認することができる。したがって、小型、薄型化をしても工程管理および性能管理がしやすくなるので、スピンドルモータを組み込んだディスク装置の軸受性能の安定化を図ることが可能となる。その後、抜け止め部材65をハブ64の環状リング部材64aの内周部64bに固定すればよい。
【0077】
さらに、環状リング部材64aの内周部64bとテーパー面61bとの間に形成されたテーパーシール部はオイルリザーバとして機能し、テーパーシール内に保持されるオイル量に応じて界面の形成位置が適宜移動可能である。よって、オイルの保持量が減少した場合には、毛細管力によって、テーパーシールに保持されているオイルが流体動圧軸受を構成しているそれぞれの部分に供給されることとなる。逆に、動圧軸受を構成する各部に保持されるオイルが温度上昇等により体積膨張した場合、オイルの界面がテーパーシール部に形成されたテーパー状の空間内より隙間寸法が拡大する方向に移動する。これにより、この体積増加した分のオイルがテーパーシール部内に収容される。
【0078】
このように、表面張力を利用したテーパーシール部を構成することによって、テーパーシール部を動圧軸受を構成する各部よりも大きい径を有する部分に配置することができる。さらに、テーパーシール部の軸心方向寸法も比較的に大きくすることができる。したがって、テーパーシール部内の容積が増大し、フルフィル構造の動圧軸受に多量に保持されるオイルの熱膨張に対しても充分に追随可能となる。
【0079】
ここで、接着、あるいは使用環境における軸受面変形について説明する。ラジアル軸受22については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略し、ここでは、スラスト軸受23についてのみ説明する。また、流体軸受の方式、並びにグルーブを形成する面等の説明は、第1の実施の形態と同様であるので省略する。
【0080】
第1の実施の形態と同様に、構成要素を熱硬化性の接着剤で固定した時の軸受部材63のスラスト面の内周面と外周面の高さ変化を構造解析で求めた結果を、(表3)に示す。ここで、軸受部材63の形状は、その上端面63aにおけるスラスト軸受23を形成する部分であるスラスト面の外周径を5.1mm、内周径を3.4mm、上端部におけるつば部の厚みを0.5mm、軸受保持部材61に嵌着する部分の切り欠き部の外周径を4.1mm、ラジアル軸受22を構成する内周径を3mm、全長を1.1mmとし、95℃下で熱硬化性の接着剤で接着硬化し、その後、常温(25℃)に戻した時の軸受部材63のスラスト面の内周側部分と外周側部分との高さ変化を構造解析で求めている。(表3)において、傘状、つまり内周側が高く、外周側が低くなる時の値を正としている。また、(表3)は、動圧軸受における軸受部材63、軸受保持部材61およびシャーシ15の各構成要素に対してそれぞれの材質の組合せを変え、各構成要素を熱硬化性の接着剤で固定した時の軸受部材63におけるスラスト面の内周側部分と外周側部分との高さ変化を示している。
【0081】
【表3】

【0082】
(表3)から明らかなように、軸受部材63の材質を黄銅、シャーシ15の材質をマルテンサイト系にした場合、軸受保持部材61の材質により、接着硬化後の軸受部材63におけるスラスト面の内周側部分と外周側部分との高さ変化(高低差)が変化することがわかる。また、接着硬化後の軸受部材63のスラスト面は、傘状になっており、スラスト軸受23で発生する圧力のピーク値が内周側に移動することになる。そのため、スラスト軸受23に発生するスラスト方向の動圧において、設計値としての動圧が発生する位置が設計値より内周側となり、スラスト軸受23に発生する動圧による回転体66を支持するスラスト方向の動圧の作用位置が、内周側に移動することになり、スラスト軸受23でのスラスト方向の動圧の設計値を示す位置が、内周側に移動すればする程、軸受剛性は低下することになる。
【0083】
また、(表3)から明らかなように、軸受部材63の材質を黄銅、シャーシ15の材質をマルテンサイトおよび軸受保持部材61の材質をマルテンサイト系の鉄鋼材料で構成した場合、接着硬化後の軸受部材63におけるスラスト面の内周側部分と外周側部分との高さ変化(高低差)は、1μmと大きな数値を示し、軸受剛性として所望の値が得られなくなる。
【0084】
一方、本実施の形態では、軸受保持部材61の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材63と軸受保持部材61とシャーシ15の各素材の線膨張係数の値がそれぞれ異なる材質で構成する場合、例えば軸受保持部材61の材質をオーステナイト系鉄鋼材料とし、軸受部材63の材質を黄銅、シャーシ15をマルテンサイト系鉄鋼材料とした場合には、軸受部材63、軸受保持部材61およびシャーシ15を熱硬化性の接着剤で硬化することによって発生するスラスト軸受23におけるスラスト面の内周側と外周側との高さの変化を非常に小さくすることができる。この結果、スラスト軸受23としての軸受剛性の低下を抑制することができ、スラスト軸受23の安定化を図ることができる。
【0085】
あるいは、軸受保持部材61と軸受部材63を同一材質で形成するか、あるいは軸受保持部材61と軸受部材63のそれぞれの線膨張係数を略等しい材質で構成する場合、例えば軸受保持部材61の材質を黄銅、軸受部材63の材質も黄銅とした場合でも同様に、軸受部材63、軸受保持部材61およびシャーシ15を熱硬化性の接着剤で硬化することによって発生するスラスト軸受23におけるスラスト面の内周側と外周側との高さの変化を非常に小さくすることができる。この結果、スラスト軸受23としての軸受剛性の低下を抑制することができ、スラスト軸受23の安定化を図ることができる。
【0086】
また、上述の本実施の形態においては、シャーシ15の材質をマルテンサイト系の鉄鋼材料で構成しているが、シャーシ15の材質をアルミニウムで形成してもよい。この場合、図7に示すように、マルテンサイト系の鉄鋼材料からなる磁気吸引板17をシャーシ15の回転磁石16と対向する位置に接着等により固定し、回転磁石16とシャーシ15との間に磁気吸引板17を介してスラスト力を発生させるように構成する。
【0087】
シャーシ15の材質をアルミニウムとし、軸受部材63の材質をマルテンサイト系、あるいはフェライト系の鉄鋼材料で構成した場合、上述の(表3)と同様の条件で、構造解析を行った結果を(表4)に示す。
【0088】
【表4】

【0089】
(表4)から明らかなように、接着硬化後の軸受部材63におけるスラスト軸受23のスラスト面は、擂り鉢状になっており、スラスト軸受23で発生する圧力のピーク値が外周側に移動することになる。そのため、スラスト軸受23に発生するスラスト方向の動圧において、設計値としての動圧が発生する位置が設計値より外周側となる。
【0090】
その結果、回転体66の回転によって発生するスラスト方向の動圧の圧力バランスが、設計値と異なることになる。スラスト軸受23を構成する軸受部材63の上端面63aに設けられた動圧発生溝の形状が、スパイラルグルーブの場合、本来、回転軸62の中心軸に向かうにつれて、スラスト軸受23に発生する圧力が上がり、スラスト軸受23として充分なスラスト軸受剛性を得ることができ、回転体66に対し充分な浮上量を得ることになる。しかし、スラスト軸受23を構成する軸受部材63の上端面63aにおけるスラスト面の形状が、擂り鉢状形状になることによって、内周側の圧力増加が少なくなるため、充分なスラスト軸受剛性を得ることができず、しかも充分な浮上量を得ることができなくなる。
【0091】
したがって、(表4)に示す本実施の形態の場合のように、軸受保持部材61の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材63と軸受保持部材61とシャーシ15の各素材のそれぞれの線膨張係数の値が異なる材質で構成する場合、例えば軸受保持部材61の材質をオーステナイト系鉄鋼材料とし、軸受部材63の材質をマルテンサイト、シャーシ15の材質をアルミニウムとした構成の場合には、軸受部材63、軸受保持部材61およびシャーシ15を熱硬化性の接着剤で硬化することによって発生するスラスト軸受23のスラスト面の内周側と外周側の高さの変化を非常に小さくすることが可能となり、スラスト軸受23としての軸受剛性の低下を抑制することができ、スラスト軸受23の安定化を図ることができる。
【0092】
したがって、軸受保持部材61の素材の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材63と軸受保持部材61とシャーシ15の各素材の線膨張係数の値がそれぞれ異なる材質を用いて、軸受部材63と軸受保持部材61を接着し、軸受部材63が接着された軸受保持部材61をシャーシ15に接着した構成とすることによって、上述の本実施の形態の図5に示されたスピンドルモータと同様に、軸受部材63における上端面63aの内周側と外周側との高低差の発生が抑制され、スラスト軸受23としての軸受剛性の低下を抑制することができる。これにより、軸受性能が安定化するとともに、シャーシ15と軸受保持部材61との間において強い接着強度が得られる。さらに、保存温度あるいは動作時の温度上昇等の温度変化に対しても接着強度は劣化することがない。また、スラスト軸受23としての軸受部材63の上端面63aの形状の変化も抑制することができる。
【0093】
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、本発明にかかるスピンドルモータ並びにディスク駆動装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形あるいは修正が可能である。例えば、スラスト軸受としての軸受部材の上端面あるいはスラストプレートに設けられるグルーブにおいて、オイルに対して軸受部材の半径方向内方に作用する圧力を発生させる手段としては、上述の説明におけるポンプインタイプのスパイラルグルーブに換えて、半径方向にアンバランスな形状を有するヘリングボーングルーブとすることも可能である。この場合、半径方向外方側に位置するスパイラルグルーブによるポンピング力が、半径方向内方側に位置するスパイラルグルーブによるポンピング力を上回るよう設定することで、これらのスパイラルグルーブ間のポンピング力のアンバランス量が、オイルに対して半径方向内方に作用する圧力となる。
【0094】
また、各軸受のグルーブを形成している面を対向する面同士でどちらにグルーブを形成してもよい。すなわち、ラジアル軸受としての回転軸の外周面と軸受部材の内周面のうち少なくともいずれか一方、また、スラスト軸受としての回転軸の下端面とスラストプレートの回転軸に対向する面のうち少なくともいずれか一方、あるいは、軸受部材の上端面とそれに対向するハブの平面のうち少なくともいずれか一方にグルーブを形成すればよい。
【0095】
以上のように第2の実施の形態によれば、スピンドルモータを組み立てる際、特にスラスト軸受を構成する軸受部材と軸受保持部材との接着およびその軸受保持部材とシャーシとの接着によって組み立てる際に、軸受部材に発生する歪みが抑制され、軸受性能が安定化するとともに、シャーシと軸受保持部材との間において強い接着強度が得られる。さらに、保存温度あるいは動作時の温度上昇等の温度変化に対しても接着強度は劣化することがなく、また、スラスト軸受としてのスラスト面形状の変化も抑制することができ、高い安定性および信頼性を有した優れたスピンドルモータを実現することができる。
【0096】
さらに、このようなスピンドルモータを搭載することによって、小型、薄型化された優れたディスク駆動装置を実現することができる。例えば、外径が1インチのハードディスクを駆動する小型ディスク駆動装置において好適である。さらに、ハードディスク等のディスク駆動装置だけでなく、光磁気ディスク駆動装置や光ディスク駆動装置等にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明にかかるスピンドルモータによれば、軸受保持部材の線膨張係数の値を中心とし、軸受部材と軸受保持部材とシャーシの各素材のそれぞれの線膨張係数の値が異なる材質を用いて、軸受部材、軸受保持部材およびシャーシを形成した構成としたものである。
【0098】
このようなスピンドルモータ構成とすることによって、スピンドルモータを組み立てる際の軸受部材と軸受保持部材およびその軸受保持部材とシャーシとの接着における接着硬化後に発生する軸受部材の歪みが小さくなり、ラジアル軸受およびスラスト軸受の軸受性能の安定化が可能となる。さらに、シャーシと軸受保持部材の接着強度の劣化も小さくなる。さらに、保存温度等の変化による接着強度の劣化や使用温度の変化による軸受形状の変化を少なくすることができるので、ディスク装置やポリゴンミラーの回転装置等の分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるスピンドルモータの構成を示す断面図
【図2】同実施の形態にかかるスピンドルモータにおいて、軸受部近傍を示す拡大断面図
【図3】同実施の形態にかかるスピンドルモータにおいて、ディスク駆動装置の構成を示す模式図
【図4】同実施の形態の他の一例におけるスピンドルモータの軸受部近傍を示す拡大断面図
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかるスピンドルモータの構成を示す断面図
【図6】同実施の形態にかかるスピンドルモータにおいて、図5に示されたスピンドルモータにおける軸受部近傍を示す拡大断面図
【図7】同実施の形態にかかるスピンドルモータにおいて、他の一例のスピンドルモータにおける軸受部近傍を示す拡大断面図
【符号の説明】
【0100】
2,64 ハブ
2u ディスク受け部
4,62 回転軸
4v 段差部
4w,62w 端面
8,63 軸受部材
11,61 軸受保持部材
13,66 回転体
14 電機子
15 シャーシ
16 回転磁石
17 磁気吸引板
19,65 抜け止め部材
22 ラジアル軸受
23 スラスト軸受
40 スラストプレート
50 ディスク駆動装置
51 ハウジング
52 スピンドルモータ
53 ディスク板
54 アクチュエータ
55 アーム
56 ヘッド
57 ヘッド移動機構
61a 外周上端部
61b テーパー面
61c 切り欠き部
61w 閉塞端(閉塞部)
63a 上端面
64a 環状リング部材
64b 内周部
64x 平面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
ディスク受け部を有し、前記回転軸をその中心部に固着したハブと前記回転軸に同芯状に前記ハブに固着された回転磁石とからなる回転体と、
前記回転軸を軸支する軸受部材と、
前記回転磁石に対向するとともに、前記回転磁石との間で前記回転軸の中心軸を中心として回転力を発生する電機子と、
前記軸受部材を保持する軸受保持部材と、
前記電機子と前記軸受保持部材とを固定するシャーシとを含むスピンドルモータにおいて、
前記軸受保持部材の線膨張係数の値を中心として、前記軸受部材、前記軸受保持部材および前記シャーシの各素材の線膨張係数の値が異なる材質をそれぞれ用いた構成を有することを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項2】
前記軸受部材の下部を閉塞し、かつ前記回転軸の一方の端面と対向するように、前記軸受部材の下部に固着されたスラストプレートとをさらに有し、
前記回転軸には、その外周面とそれに対向する前記軸受部材の内周面のうち少なくともいずれか一方に動圧発生用の溝が設けられており、
前記スラストプレートと前記スラストプレートに対向する前記回転軸の前記一方の端面のうち少なくともいずれか一方に、前記回転体の回転時にオイルに対して径方向内方側に作用する圧力を付与する形状の動圧発生溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
回転軸と、
ディスク受け部を有し、前記回転軸をその中心部に固着したハブと、前記回転軸と同芯状に前記ハブに固着された回転磁石とからなる回転体と、
前記回転軸を軸支する軸受部材と、
前記回転磁石に対向するとともに、前記回転磁石との間で前記回転軸の中心軸を中心として回転力を発生する電機子と、
前記軸受部材を保持する軸受保持部材と、
前記電機子と前記軸受保持部材とを固定するシャーシとからなるスピンドルモータにおいて、
前記軸受保持部材と前記軸受部材の線膨張係数の値が略等しい材質をそれぞれ用いた構成を有することを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項4】
前記軸受部材の下部を閉塞し、かつ前記回転軸の一方の端面と対向するように、前記軸受部材の下部に固着されたスラストプレートとをさらに有し、
前記回転軸には、その外周面とそれに対向する前記軸受部材の内周面のうち少なくともいずれか一方に動圧発生用の溝が設けられており、
前記スラストプレートと前記スラストプレートに対向する前記回転軸の前記一方の端面のうち少なくともいずれか一方に、前記回転体の回転時にオイルに対して径方向内方側に作用する圧力を付与する形状の動圧発生溝が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のスピンドルモータ。
【請求項5】
回転軸と、
ディスク受け部を有し、前記回転軸をその中心部に固着したハブと、前記回転軸と同芯状に固定した回転磁石と、抜け止め部材とからなる回転体と、
前記回転軸を軸支する軸受部材と、
前記回転磁石に対向するとともに、前記回転磁石との間で前記回転軸の中心軸を中心として回転力を発生する電機子と、
前記回転軸の端面と軸方向に対向する閉塞端面を有した一方開口形状を有し、かつ、前記軸受部材を保持する軸受保持部材と、
前記電機子と前記軸受保持部材とを固定するシャーシとからなるスピンドルモータにおいて、
前記回転軸の外周面とそれに対向する前記軸受部材の内周面のうち少なくともいずれか一方に動圧発生用の溝が設けられているラジアル軸受と、
前記軸受部材の上端面と前記上端面に対向する前記ハブの平面のうち少なくともいずれか一方に、前記回転体の回転時にオイルに対して径方向内方側に作用する圧力を付与する形状の動圧発生溝が設けられたスラスト軸受とからなる流体動圧軸受を配設した構成を有することを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項6】
前記ハブには、環状リング部材が一体的に形成されており、前記環状リング部材の内周部と前記軸受保持部材の外周部とは、半径方向に所定の距離を持って対向し、前記軸受保持部材の外周部は、前記環状リング部材の内周部と所定の距離離間対向する曲面を有し、前記曲面の下側部分において閉塞端面方向に近づくにしたがって外径が小さくなるようにテーパー面が形成され、前記環状リング部材と前記テーパー面が対向する部分の一部まで前記オイルが充填されていることを特徴とする請求項4に記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
前記軸受保持部材の線膨張係数の値を中心とし、前記軸受部材、前記軸受保持部材および前記シャーシの各素材のそれぞれの線膨張係数の値が異なる材質をそれぞれ用いた構成を有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のスピンドルモータ。
【請求項8】
前記軸受部材の材質として黄銅材料、前記軸受保持部材の材質としてオーステナイト系の鉄鋼材料、前記シャーシの材質としてマルテンサイト系もしくはフェライト系の鉄鋼材料をそれぞれ用いた構成を有することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項7のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項9】
前記軸受部材の材質としてマルテンサイト系、もしくはフェライト系の鉄鋼材料、前記軸受保持部材の材質としてオーステナイト系の鉄鋼材料、前記シャーシの材質としてアルミニウム材料をそれぞれ用いた構成を有することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項6のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項10】
前記軸受部材の材質として黄銅材料、前記軸受保持部材の材質として黄銅アルミニウム材料、前記シャーシの材質としてマルテンサイト系、もしくはフェライト系の鉄鋼材料をそれぞれ用いた構成を有することを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項11】
前記軸受部材の材質としてマルテンサイト系、もしくはフェライト系の鉄鋼材料、前記軸受保持部材の材質としてマルテンサイト系、もしくはフェライト系の鉄鋼材料、前記シャーシの材質としてアルミニウム材料をそれぞれ用いた構成を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のスピンドルモータ。
【請求項12】
前記回転磁石と対向する前記シャーシの位置に、マルテンサイト系の鉄鋼材料からなる磁気吸引板を設けた構成を有することを特徴とする請求項9または請求項11に記載のスピンドルモータ。
【請求項13】
情報を記録できるディスク状記録媒体が装着されるディスク駆動装置において、
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に固定され、前記ディスク状記録媒体を回転させるスピンドルモータと、
前記ディスク状記録媒体の所要の位置に情報を書き込みまたは読み出すための情報アクセス手段とを有するディスク駆動装置であって、
前記スピンドルモータが、請求項1から請求項12のいずれかに記載のスピンドルモータであることを特徴とするディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−325329(P2006−325329A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146232(P2005−146232)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】