説明

ズームレンズ

【課題】本発明は、1.5倍以上のズーム倍率を実現しつつ2.4以上のバックフォーカス量を実現し得るズームレンズを提供する。
【解決手段】本発明のズームレンズ1は、拡大側より順に全体として負の光学的パワーの第1レンズ群11と全体として正の光学的パワーの第2ないし第4レンズ群12〜14とを備え、変倍の際に、第2および第3レンズ群12、13が光軸AXに沿って移動し、第1レンズ群11は、最も拡大側に凸の正レンズ111と3枚の負レンズ112、113、114とを備え、第2レンズ群12は、正の単レンズ121から成り、第3レンズ群13は、最も拡大側から順に負レンズ131と正レンズ132と正レンズ133とを有し、変倍の際に移動し、そして、第3レンズ群13の焦点距離をf3、広角端でのレンズ全体の焦点距離をfw、空気換算のバックフォーカス長をbfとする場合に7<f3/fw<9かつ2.4<bf/fw<3.5を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倍率を変更することができるズームレンズに関し、特に、比較的長いバックフォーカス量を実現するとともに、比較的高いズーム倍率を実現することができるズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
倍率の可変なズームレンズは、例えば撮像装置(例えばスチルカメラやビデオカメラ等のカメラ)や、投影装置(例えば液晶表示ユニットの映像を拡大投影する液晶プロジェクタ等)や、映像表示装置(例えば反射型映像表示ユニットを用いたリアプロジェクションテレビ等)等の様々な装置における光学系に活用されており、これまでに様々なタイプが提案されている。このズームレンズとして、例えば、特許文献1ないし特許文献3に開示されている。
【0003】
前記特許文献1に開示のズームレンズは、拡大側より順に、負のパワーを有する第1群と、正のパワーを有する第2群と、正のパワーを有する第3群と、正のパワーを有する第4群とから成る4群構成のズームレンズであって、前記第1群および前記第4群が固定群であり、望遠端から広角端へのズーミングにおいて、前記第1群と前記第2群との間隔が単調に増加するとともに、前記第3群と前記第4群との間隔が単調に減少するものである。このような構成により、特許文献1には、高性能でコンパクトなズームレンズが提供される、と記載されている。
【0004】
また、前記特許文献2に開示のズームレンズは、拡大側から順に、変倍に際して固定で、フォーカシングを行うための負の屈折力を有する第1レンズ群、連続変倍およびその連続変倍によって生じる像面移動補正のため、相互に関係を持って移動する正の屈折力を有する第2レンズ群および正の屈折力を有する第3レンズ群、変倍に際して固定の正の屈折力を有する第4レンズ群を配列してなり、第2レンズ群の結像倍率と第3レンズ群の結像倍率との積が−2.2より大きいものである。この構成により、特許文献2には、小型軽量化を図るとともに、バックフォーカスが十分に長く、諸収差が十分に補正され、さらにテレセントリック性を有する明るいズームレンズが提供される、と記載されている。
【0005】
また、前記特許文献3に開示のズームレンズは、負、正、正、正の4群構成とされ、拡大側から順に、変倍に際して固定で、フォーカシングを行うための負の屈折力を有する第1レンズ群G1、連続変倍および連続変倍によって生じる画像移動の補正のため、相互に関係を持って移動する正の屈折力を有する第2レンズ群Gおよび正の屈折力を有する第3レンズ群G3、変倍に際して固定の正の屈折力を有する第4レンズ群G4を配列して成り、広角端におけるレンズ系全体の焦点距離をfwとし、広角端と望遠端との間の変倍時における第2レンズ群の移動距離をG2tとし、広角端と望遠端との間の変倍時における第3レンズ群の移動距離をG3tとする場合に、0.2<G2t/fw<0.5かつ0.2<G3t/fw<0.5を満たすものである。この構成により、特許文献3には、変倍に際して2つのレンズ群が移動する4群構成のレンズ系として小型軽量化を図るとともに、レンズ枚数を増やすこと無しに諸収差を良好に補正することができるズームレンズが提供される、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−124989号公報
【特許文献2】特開2000−275519号公報
【特許文献3】特開2006−039033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、これら特許文献1ないし特許文献3に記載の各ズームレンズの性能を調べるために、これら各特許文献1ないし特許文献3に記載されている各コンストラクションデータを用いてシミュレーションを実施した。この結果、前記特許文献1に開示のズームレンズは、高性能でコンパクトな点で優れているが、バックフォーカス量bf/fwが約1.2であるため、例えばダイクロイックミラーやダイクロイックプリズム等から成る色分解合成光学系を配置するような装置には、適していない。
【0008】
そして、前記特許文献2に開示のズームレンズも、実際には、バックフォーカス量bf/fwが約1であり、また、ズーム倍率が約1.2倍であり、前記特許文献1に開示のズームレンズと同様に、前記色合成光学系を配置するような前記装置には、適していない。
【0009】
さらに、前記特許文献3に開示のズームレンズも、実際には、バックフォーカス量bf/fwが約1.056(特許文献3の実施例4)〜1.252(特許文献3の実施例1ないし実施例3)であり、また、ズーム倍率が約1.2倍であり、前記特許文献1に開示のズームレンズと同様に、前記色合成光学系を配置するような前記装置には、適していない。
【0010】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、収差を補正しつつ、従来より高倍率である1.5倍以上の充分に高いズーム倍率を実現することができるとともに、2.4以上の充分に長いバックフォーカス量bf/fwを実現することができるズームレンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下のような構成を有するズームレンズを提供するものである。なお、以下の説明において使用されている用語は、本明細書においては、次の通り定義されているものとする。
(a)屈折率は、d線の波長(587.56nm)に対する屈折率である。
(b)アッベ数は、d線、F線(波長486.13nm)、C線(波長656.28nm)に対する屈折率を各々nd、nF、nC、アッベ数をνdとした場合に、
νd=(nd−1)/(nF−nC)
の定義式で求められるアッベ数νdをいうものとする。
(c)レンズについて、「凹」、「凸」または「メニスカス」という表記を用いた場合、これらは光軸近傍(レンズの中心付近)でのレンズ形状を表しているものとする。
(d)接合レンズを構成している各単レンズにおける光学的パワー(屈折力、焦点距離の逆数)の表記は、単レンズのレンズ面の両側が空気である場合におけるパワーである。
【0012】
本発明の一態様にかかるズームレンズは、拡大側より順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群、全体として正の光学的パワーを有する第3レンズ群、および、全体として正の光学的パワーを有する第4レンズ群を少なくとも備え、変倍の際に、少なくとも2つのレンズ群が光軸に沿って移動し、前記第1レンズ群は、最も拡大側に凸の正レンズと、少なくとも3枚以上の負レンズとを備え、前記第2レンズ群は、拡大側より順に負、正の並びのレンズまたは正の単レンズから成り、前記第3レンズ群は、最も拡大側から順に、負レンズ、正レンズおよび正レンズを有し、変倍の際に移動し、下記(1)および(2)の各条件式を満たすことを特徴とする。
7<f3/fw<9 ・・・(1)
2.4<bf/fw<3.5 ・・・(2)
ただし、f3は、第3レンズ群の焦点距離であり、bfは、空気換算のバックフォーカス長であり、fwは、広角端におけるレンズ全体の焦点距離である。
【0013】
このような構成のズームレンズでは、第1レンズ群が少なくとも3枚以上の負レンズを備えるので、各収差を良好に補正することができ、この負レンズによる歪曲収差も最も拡大側に正レンズを備えるので、小さく抑えることができる。また、変倍の際に、少なくとも2つのレンズ群が光軸に沿って移動するので、設計の自由度が増す。そして、全体として正の光学的パワーを有する第3レンズ群が変倍の際に移動することで、所定のズーム倍率を確保しつつ、この第3レンズ群が2枚の正レンズによって構成されているので、1枚の正レンズによって構成される場合に較べて焦点距離をより短くすることができ、ズームレンズ1全体の小型化(コンパクト化)を実現でき、そして、第3レンズ群の拡大側に負レンズが配置されているので、球面収差を小さく抑えることができる。全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群は、レンズ全体におけるバックフォーカス量の変動の補正に寄与するが、第2レンズ群が単レンズから成る場合には、ズームレンズのコストを抑えることができ、また、第2レンズ群が拡大側より順に負レンズおよび正レンズから成る場合には、さらに倍率色収差等の諸収差をより良好に補正することができる。さらに、最も縮小側に配置される第4レンズ群が正の光学的パワーを有することによって、より適切なバックフォーカス量を確保することができ、より良好なテレセントリック性を確保することができる。
【0014】
そして、前記条件式(1)の上限を上回ると、移動量が増加し、ズームレンズが巨大化し、コスト高に繋がって好ましくない。そして、移動量を抑え、ズームレンズの大型化を避けるためには、第1レンズ群の光学的パワーが大きくなり、歪曲収差の発生を抑えることが困難になって好ましくない。一方、前記条件式(1)の下限を下回ると、第3レンズ群の移動により、望遠端と広角端との間における像面位置の変動が大きくなり、像面位置のバランスを取るのが困難となり、球面収差、非点収差が大きくなり収差補正が困難となって、好ましくない。
【0015】
また、前記条件式(2)の下限を下回ると、最も縮小側に配置されるレンズ群の焦点距離が短くなり、ズームレンズの後(縮小側)に例えば色分解合成プリズム等の光学素子を配置するためのスペース(空間)が小さくなって前記光学素子を配置することができなってしまい、好ましくない。一方、前記条件式(2)の上限を上回ると、最も縮小側に配置されるレンズ群の焦点距離が長くなり過ぎ、バックフォーカス長bfが長くなり過ぎる。この結果、ズームレンズ全体の全長が長くなって、ズームレンズが巨大化しコスト高に繋がり、好ましくない。
【0016】
また、他の一態様では、上述のズームレンズにおいて、好ましくは、第4レンズ群の縮小側に、正の光学的パワーを有する第5レンズ群をさらに備えることである。
【0017】
この構成によれば、このような第5レンズ群を第4レンズ群の縮小側にさらに配置することによって、移動レンズ群が増えることで、望遠端から広角端までの各ズーム位置での収差補正が容易になる。また、最も縮小側のレンズ群が正の光学的パワーを持つため、収差補正性能を確保したままで、容易にテレセントリック性を確保することができる。
【0018】
また、他の一態様では、上述のズームレンズにおいて、好ましくは、第4レンズ群の縮小側に、負の光学的パワーを有する第5レンズ群と、正の光学的パワーを有する第6レンズ群をさらに備えることである。
【0019】
この構成によれば、このような第5および第6レンズ群を前記第4レンズ群の縮小側にさらに配置することによって、移動レンズ群が増えることで、望遠端から広角端までの各ズーム位置での収差補正が容易になる。また、最も縮小側のレンズ群が正の光学的パワーを持つため、収差補正性能を確保したままで、容易にテレセントリック性を確保することができる。
【0020】
また、他の一態様では、これら上述のズームレンズにおいて、好ましくは、前記第3レンズ群が広角端から望遠端への変倍の際に縮小側より拡大側への移動量が最も大きいレンズ群であって下記(3)の条件式を満たす硝材を含むことである。
Pg,F+0.00181Vd>0.652 ・・・(3)
ただし、Pg,Fは、レンズ硝材の部分分散比であり、Vdは、レンズ硝材の分散である。
【0021】
前記条件式(3)は、異常分散性がランゲであることを意味している。このため、絞り前に配置されるレンズに正レンズを用いることによって、望遠端での倍率色収差をプラス方向に補正することが可能となり、逆に、絞り前に配置されるレンズに負レンズを用いることによって、広角端での倍率色収差をマイナスに補正することも可能となり、この結果、望遠端と広角端との双方で倍率色収差を小さくすることが可能である。なお、前記プラス方向は、縮小側の像面において、像光が大きくなる方向である。
【0022】
また、他の一態様では、これら上述のズームレンズにおいて、好ましくは、最も拡大側のレンズ群と最も縮小側のレンズ群とは、変倍の際に固定群とされることである。
【0023】
この構成によれば、最も拡大側に配置されるレンズ群が変倍の際に固定群とされているので、ズームレンズは、ズーミング機能を備えていても小型化することができる。また、最も縮小側に配置されるレンズ群が変倍の際に固定群とされているので、1群繰り出しによるフォーカシング方式を採用する場合に、最も拡大側に配置されるレンズ群のレンズ径を小さくすることが可能となる。
【0024】
また、他の一態様では、これら上述のズームレンズにおいて、好ましくは、下記(4)の条件式を満たすことである。
−3<f1/fw<−1 ・・・(4)
ただし、f1は、第1レンズ群の焦点距離であり、fwは、広角端におけるレンズ全体の焦点距離である。
【0025】
前記条件式(4)の下限を下回ると、第1レンズ群の焦点距離が長くなり過ぎて好ましくない。また、第1レンズ群のレンズ径も大型化する。一方、前記条件式(4)の上限を上回ると、第1レンズ群の焦点距離が短くなり過ぎ、収差(特に歪曲収差)を抑えるのが困難になって好ましくない。
【0026】
また、他の一態様では、これら上述のズームレンズにおいて、好ましくは、下記(5)の条件式を満たすことである。
4<f2/fw<8 ・・・(5)
ただし、f2は、第2レンズ群の焦点距離であり、fwは、広角端におけるレンズ全体の焦点距離である。
【0027】
前記条件式(5)の下限を下回ると、第2レンズ群の焦点距離が短くなり過ぎ、収差(特に球面収差)や望遠端と広角端との間における像面の変動を抑えることが困難となって好ましくない。一方、前記条件式(5)の上限を上回ると、第2レンズ群の焦点距離が長くなり過ぎ、変倍時における移動量が増大するとともに、レンズ径やレンズ長が大きくなりコスト高に繋がり、好ましくない。
【0028】
また、他の一態様では、これら上述のズームレンズにおいて、好ましくは、下記(6)の条件式を満たすことである。
2<fx/fw<4 ・・・(6)
ただし、fxは、最も縮小側のレンズ群の焦点距離であり、fwは、広角端におけるレンズ全体の焦点距離である。
【0029】
前記条件式(6)の下限を下回ると、最も縮小側に配置されるレンズ群の焦点距離が短くなるので、ズームレンズの後(縮小側)に例えば色合成プリズム等の光学素子を配置するためのスペース(空間)が小さくなって配置することができなってしまい、好ましくない。一方、前記条件式(6)の上限を上回ると、最も縮小側に配置されるレンズ群の焦点距離が長くなるので、バックフォーカスが長くなり過ぎてしまう。この結果、ズームレンズ1全体の全長が増大し、最も縮小側に配置されるレンズ群の径の大型化を招き、好ましくない。
【発明の効果】
【0030】
本発明にかかるズームレンズは、1.5倍以上の充分に高いズーム倍率を実現しつつ、2.4以上の充分に長いバックフォーカス量bf/fwを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態におけるズームレンズの説明のための、その構成を模式的に示したレンズ断面図である。
【図2】実施形態のズームレンズを用いた投射型表示装置の構成を模式的に示した断面図である。
【図3】実施例1におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図4】実施例1のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。
【図5】実施例2におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図6】実施例2のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。
【図7】実施例3におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図8】実施例3のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。
【図9】実施例4におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図10】実施例4のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。
【図11】実施例5におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図12】実施例5のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。
【図13】実施例6におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図14】実施例6のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。
【図15】実施例1の広角端におけるレンズ群の収差図である。
【図16】実施例1の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【図17】実施例2の広角端におけるレンズ群の収差図である。
【図18】実施例2の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【図19】実施例3の広角端におけるレンズ群の収差図である。
【図20】実施例3の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【図21】実施例4の広角端におけるレンズ群の収差図である。
【図22】実施例4の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【図23】実施例5の広角端におけるレンズ群の収差図である。
【図24】実施例5の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【図25】実施例6の広角端におけるレンズ群の収差図である。
【図26】実施例6の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。また、接合レンズにおけるレンズ枚数は、接合レンズ全体で1枚ではなく、接合レンズを構成する単レンズの枚数で表すこととする。
<実施形態のズームレンズの説明>
図1は、実施形態におけるズームレンズの説明のための、その構成を模式的に示したレンズ断面図である。
【0033】
図1において、このズームレンズ1は、最も拡大側より順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群11と、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群12と、全体として正の光学的パワーを有する第3レンズ群13と、全体として正の光学的パワーを有する第4レンズ群とを少なくとも備え、広角端から望遠端への変倍の際(変倍時)に、少なくとも2つのレンズ群が光軸に沿って移動してなる光学系である。図1に示す例では、第1ないし第4レンズ群11〜14の4群構成であり、変倍の際に、第1および第4レンズ群11、14が固定群であり、第2レおよび第3ンズ群12、13が移動群である。なお、図1で例示したズームレンズ1は、後述する実施例1のズームレンズ1A(図3)と同じ構成である。
【0034】
なお、本明細書の説明において、ズームレンズ1のレンズ全体における焦点距離が短くなるレンズ位置を広角端(WIDE、ワイド、W)と定義し、前記焦点距離が長くなるレンズ位置を望遠端(TELE、テレ、T)と定義する。
【0035】
第1レンズ群11は、最も拡大側に凸の正レンズと、少なくとも3枚以上の負レンズを備えて成る。図1に示す例では、第1レンズ群11は、前記変倍において固定し、拡大側より順に、拡大側に凸の正メニスカスレンズ111と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ112と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ113と、両凹の負レンズ114とから構成されて成る。
【0036】
第2レンズ群12は、拡大側より順に負、正の並びのレンズ、または、正の単レンズを備えて成る。図1に示す例では、第2レンズ群12は、前記変倍において移動し、正の単レンズ121から構成されて成る。
【0037】
第3レンズ群13は、拡大側より順に負レンズ、正レンズおよび正レンズを備えて成り、変倍において移動するものである。図1に示す例では、第3レンズ群13は、前記変倍において移動し、拡大側より順に、拡大側に凹の負メニスカスレンズ131と、縮小側に凸の正メニスカスレンズ132と、両凸の正レンズ133とから構成されて成る。
【0038】
ここで、第2レンズ群12は、前記変倍において、第3レンズ群13の移動量よりも相対的に小さくされており、そして、第3レンズ群13は、広角端において最も縮小側に移動するように構成されている。すなわち、第3レンズ群13は、第1ないし第4レンズ群11〜14のなかで前記変倍において最も移動量が大きいレンズ群である。
【0039】
第4レンズ群14は、図1に示す例では、前記変倍において固定し、拡大側より順に、拡大側に凸の負メニスカスレンズ141と、両凸の正レンズ142と、光学絞り16と、両凹の負レンズ143と、両凸の正レンズ144と、両凹の負レンズ145と、両凸の正レンズ146と、両凸の正レンズ147と、両凹の負レンズ148と、両凸の正レンズ149と、両凸の正レンズ150とから構成されて成る。
【0040】
そして、ズームレンズ1には、光学絞り16が光路中において第4レンズ群14の正レンズ142と負レンズ143との間に配設されている。光学絞り16は、例えば、開口絞りであってよく、また例えば、メカニカルシャッタであってもよい。
【0041】
そして、この実施形態にかかるズームレンズ1では、第3レンズ群13の焦点距離をf3とし、空気換算のバックフォーカス長をbfとし、広角端におけるレンズ全体の合成焦点距離をfwとする場合に、下記(1)および(2)の条件式を満足するものである。
7<f3/fw<9 ・・・(1)
2.4<bf/fw<3.5 ・・・(2)
【0042】
さらに、このズームレンズ1には、前記第4レンズ群14の縮小側には、拡大側より純に、プリズム(プリズムブロック)17、カバーガラス18および映像表示素子19が配置される。映像表示素子19は、複数の画素を備え、これら各画素において、さらに赤光用画素(R)、緑光用画素(G)および青光用画素(B)の各画素(サブ画素)を有し、RGBごとに図略の映像信号生成回路からの映像信号に応じて強度変調することによって映像を生成する装置である。このような映像表示素子19は、種々の装置が開発されており、例えば、2次元平面配列された複数の微小ミラーを備えたDMD装置(Digital Mirror Device)や、反射型LCD装置(反射型液晶表示装置)や、透過型LCD装置(透過型液晶表示装置)等を利用することができる。この映像表示素子19は、図略の光源からの光を前記強度変調することによって映像光を生成する。この映像光は、映像表示素子19からカバーガラス18およびプリズム17を介して第4レンズ群14に入射し、第4ないし第1レンズ群14、13、12、11をその光軸AXに沿って適宜なズーム倍率で進行し、第1レンズ群11から射出され、ズームレンズ1の拡大側に適宜な距離で配置された図略のスクリーンに拡大投影される。
【0043】
このようなズームレンズ1では、従来より高倍率である1.5倍以上の充分に高いズーム倍率を実現しつつ、2.4以上の充分に長いバックフォーカス量bf/fwを実現することができる。
【0044】
特に、空気換算のバックフォーカス量bf/fwが2.4を下回ると、最も縮小側に配置されるレンズ群(図1に示す例では第4レンズ群14)の焦点距離が短くなり、ズームレンズ1の後(縮小側)に例えば色合成プリズム等の光学素子を配置するためのスペース(空間)が小さくなって前記光学素子を配置することができなってしまい、好ましくない。一方、空気換算のバックフォーカス量bf/fwが3.5を上回ると、最も縮小側に配置されるレンズ群の焦点距離が長くなり過ぎ、バックフォーカス長bfが長くなり過ぎる。この結果、ズームレンズ1全体の全長が長くなって、ズームレンズ1が巨大化しコスト高に繋がり、好ましくない。このような観点から、ズームレンズ1は、下記(2’)の条件式を満たすことがより好ましい。
2.7<bf/fw<3.3 ・・・(2’)
【0045】
後述の実施例1ないし実施例6におけるズームレンズ1A〜1Fでは、2.96≦bf/fw≦3.22である。
【0046】
また、前記条件式(1)は、前記変倍時に移動量の最も大きい第3レンズ群13の焦点距離を規定している。前記条件式(1)の上限を上回ると、移動量が増加し、ズームレンズ1が巨大化し、コスト高に繋がって好ましくない。一方、前記条件式(1)の下限を下回ると、第3レンズ群13は、望遠端と広角端との間における移動量が大きいので、望遠端と広角端との間における像面位置の変動が大きくなり、像面位置のバランスを取るのが困難となり、球面収差、非点収差が大きくなり収差補正が困難となって、好ましくない。
【0047】
また、このような観点から、ズームレンズ1は、下記(1’)の条件式を満たすことがより好ましい。
7<f3/fw<8.7 ・・・(1’)
【0048】
後述の実施例1ないし実施例6におけるズームレンズ1A〜1Fでは、7.02≦f3/fw≦8.63である。
【0049】
また、このズームレンズ1において、第1レンズ群11は、最も拡大側に凸の正レンズと、少なくとも3枚以上の負レンズを備えて成っている。一般的に広角側のズームレンズは、望遠側よりも倍率色収差と歪曲を小さく抑えることが困難である。そのため、その光学的パワーと形状とは、重要である。ズームレンズ1の最も拡大側の第1レンズ群11に3枚以上の負レンズを含むことによって、各収差を良好に補正することができる。ここで、第1レンズ群11の負レンズは、大きく歪曲収差をマイナスにしてしまうが、本実施形態のズームレンズ1のように、最も拡大側に凸の正レンズ(図1に示す例では正メニスカスレンズ)111を配置することによって、歪曲収差を初めとする各収差の過剰補正を小さく抑えることができる。
【0050】
また、このズームレンズ1において、第2および第3レンズ群12、13は、変倍において移動し、第2レンズ群12の移動量は、最も移動量の大きい第3レンズ群の移動量と比較すると小さくされている。変倍は、第3レンズ群13の移動で実現され、ズームレンズ1のレンズ全体におけるバックフォーカス量は、これにより変動するが、第2レンズ群12の移動でこのバックフォーカス量の補正を行うので、このズームレンズ1は、2.4以上の充分に長いバックフォーカス量bf/fwを実現することができる。このように移動群の数を2つ以上とすることによって、設計の自由度が向上し、光学的性能を向上させることが可能となる。また、この図1に示す例のズームレンズ1において、第2レンズ群12は、単レンズから構成されて成るので、コストを小さく抑えることが可能となる。なお。第2レンズ群12は、さらに倍率色収差などの諸収差をさらに良好に補正する観点から、拡大側より順に負、正の並びの光学的パワー配列としてもよい。
【0051】
また、このズームレンズ1において、第3レンズ群13は、変倍において移動するが、広角端において最も縮小側に移動するように構成されている。一般にズームレンズにおけるレンズ全体の焦点距離に大きな影響を与える広角端において、正の光学的パワーを有する第3レンズ群13がこのように移動するので、ズームレンズ1におけるレンズ全体の焦点距離を短くすることができる。また、第3レンズ群13のレンズ配置は、負、正、正(図1に示す例では負メニスカスレンズ131、正メニスカスレンズ132、正レンズ133)から構成されて成っている。このように2枚の正レンズから成るレンズ配置とすることによって、1枚の正レンズから成るレンズ配置の場合に較べてより焦点距離を短くすることができ、このズームレンズ1は、小型化(コンパクト化)が可能となる。そして、負レンズをその拡大側に備えることによって、このズームレンズ1は、球面収差を小さく抑えることができる。
【0052】
また、このズームレンズ1において、第4レンズ群14は、正の光学的パワーを有している。このため、このズームレンズ1は、適切なバックフォーカス量bf/fwを確保することができる。
【0053】
また、このズームレンズ1では、最も拡大側に配置されるレンズ群(図1に示す例では第1レンズ群11)が変倍の際に固定群とされている。このため、このズームレンズ1は、ズーミング機能を備えていても小型化することができる。また、このズームレンズ1では、最も縮小側に配置されるレンズ群(図1に示す例では第4レンズ群14)が変倍の際に固定群とされている。このため、フォーカシングの際には、1個のレンズ群を繰り出すことでフォーカシングを行う方式(1群繰り出しによるフォーカシング方式)を採用する場合では、最も拡大側に配置されるレンズ群(図1に示す例では第1レンズ群11)のレンズ径(例えば正メニスカスレンズ111のレンズ径)を小さくすることが可能となる。このようにズームレンズ1は、最も拡大側に配置されるレンズ群(図1に示す例では第1レンズ群11)と最も縮小側に配置されるレンズ群(図1に示す例では第4レンズ群14)とは、変倍の際に固定群とされている。
【0054】
なお、上述の実施形態にかかるズームレンズ1において、レンズ硝材の部分分散比をPg,Fとし、レンズ硝材の分散をVdとする場合に、下記(3)の条件式を満たす硝材を含むことが好ましい。さらに、下記(3)の条件式を満たす硝材を含むレンズ群は、ズームレンズ1を構成する各レンズ群11〜14のうち、広角端から望遠端までの変倍時に最も移動量の大きいレンズ群であることが好ましい。このような前記変倍時に最も移動量の大きいレンズ群は、図1に示す例では、第3レンズ群13である。
Pg,F+0.00181Vd>0.652 ・・・(3)
【0055】
異常分散性を持つガラスを使用することによって、光学系における倍率色収差を補正する方法が従来より広く知られている。多くの光学ガラスは、部分分散比/分散のグラフがほぼ直線に乗るが、この異常分散性を持つガラスは、部分分散比/分散のグラフが直線に乗らずに直線から大きく外れる。
【0056】
ここで、部分分散比と分散とは、g線の屈折率をngとし、F線の屈折率をnFとし、C線の屈折率をnCとし、d線の屈折率をndとする場合に、下記(A)および(B)の各条件式でそれぞれ表される。
Pg,F=(ng−nF)/(nF−nC) ・・・(A)
Vd=(nd−1)/(nF−nC) ・・・(B)
【0057】
そして、そのうち緑光の屈折率に対して赤光や青光の屈折率の比が、平均的な分散特性を持つガラスよりも大きな値を持つガラスが一般に「ランゲ」と呼ばれ、その逆のガラスが一般に「クルツ」と呼ばれる。より具体的に述べると、異常分散性を持つガラスは、次の効果を奏する。すなわち、第1に、絞り後(絞りに対し縮小側あるいは像側)に配置される正レンズにランゲを使用した場合では、倍率色収差がマイナスに来る。第2に、絞り前(絞りに対し拡大側あるいは物体側)に配置される正レンズにランゲを使用した場合では、倍率色収差がプラスに来る。第3に、絞り後に配置される負レンズにランゲを使用した場合では、倍率色収差がプラスに来る。第4に、絞り前に配置された負レンズにランゲを使用した場合では、倍率色収差がマイナスに来る。前記ランゲに代えクルツを使用した場合では、前記第1ないし第4の各効果は、その逆になる。通常、これらの特性を用いることによって、レンズ全系の倍率色収差が補正される。
【0058】
ズームレンズ、特に比較的高倍率なズームレンズでは、ズーム倍率を大きくすると、広角端と望遠端との双方で倍率色収差を小さくするために最適なガラス配置を得ることが、通常、難しくなる。このため、倍率色収差を補正するためにレンズ枚数を増やす必要があり、コスト高に繋がってしまう。
【0059】
このズーム倍率が大きい場合において各レンズ成分の働きを考えると、レンズ全系の光学的パワーの大きい広角端ではレンズ成分の正の光学的パワーを大きく使うことになるので、仮に、望遠端において最適なガラス配置とすると、テレセン変動を防ぐ観点から移動群を絞り前に配置した場合では、正レンズによる補正が過剰になる結果、倍率色収差がプラス側に来ることになる。望遠端では、その逆になる。したがって、原理的には、広角端において倍率色収差がプラス側に、望遠端で倍率色収差がマイナス側に来やすくなる。このため、広角端と望遠端とにおける倍率色収差の補正に対する効き度(倍率色収差の補正に作用する程度)を変え、広角端と望遠端とを独立に倍率色収差の補正を行うことが好ましい。より具体的には、ズームレンズ1において、異常分散性の大きいレンズを前記変倍時に移動量の大きいレンズ群に配置することである。さらにより具体的には、ズームレンズ1において、前記変倍時に最も移動量の大きいレンズ群が正の屈折力を有する少なくとも1つのレンズ成分を持ち、そのレンズ群が望遠端から広角端への変倍時において、絞りに近づくように動き、かつそのレンズ成分およびレンズ群が前記条件式(3))を満たすことである。
【0060】
また、一般に、ズームレンズでは、望遠端と広角端との間の変倍による明るさの変化が小さいことが好ましく、そのため、焦点距離の長い望遠端の方が、光束幅が大きくなる。光束幅の小さい広角端で倍率色収差を補正しようとすると、周辺ほど補正量が大きくなるため、画面の中心に近い部分に倍率色収差が残ってしまう。このため、望遠端で倍率色収差の補正を行うことが好ましい。前記条件式(3)は、異常分散性がランゲであることを意味している。このため、絞り前に配置されるレンズに正レンズを用いることによって、望遠端での倍率色収差をプラス方向に補正することが可能となる。逆に、絞り前に配置されるレンズに負レンズを用いることによって、広角端での倍率色収差をマイナスに補正することも可能である。
【0061】
条件式(3)を満たす硝材で形成される絞り前に配置される正レンズは、正メニスカスレンズ132および正レンズ133である。この前記変倍時に最も移動量の大きい第3レンズ群13において、望遠側で光線通過位置が高く、広角側で光線通過位置が低くなる。このため、望遠端での軸外光の屈折効果が軸外に向けて少しずつ大きくなっていくため、倍率色収差の補正効果も軸外に向けて漸次大きくなり、中帯でも充分な補正効果が得られる。
【0062】
また、条件式(3)を満たす硝材で形成される絞り前に配置される負レンズは、負メニスカスレンズ112である。この最も拡大側の第1レンズ群11の負レンズにおいて、望遠側で光線通過位置が低く、広角側で光線通過位置が高くなる。このため、広角端での軸外光の屈折効果が軸外に向けて少しずつ大きくなっていくため、倍率色収差の補正効果も軸外に向けて漸次大きくなり、中帯でも充分な補正効果が得られる。
【0063】
また、これら上述の態様におけるズームレンズ1において、第1レンズ群11の焦点距離をf1とし、広角端におけるレンズ全体の焦点距離をfwとする場合に、下記(4)の条件式を満たすことが好ましい。
−3<f1/fw<−1 ・・・(4)
【0064】
この条件式(4)は、第1レンズ群11の焦点距離を規定している。前記条件式(4)の下限を下回ると、第1レンズ群11の焦点距離が長くなり過ぎて好ましくない。焦点距離が長くなると、レンズの光学的パワーは、弱くなるので、1群繰り出しによるフォーカシング方式では、フォーカス時の移動量が大きくなる。このため、望遠端と広角端との間における収差変動が大きくなり、収差バランスをとることが困難となる。また、第1レンズ群のレンズ径も大型化する。一方、前記条件式(4)の上限を上回ると、第1レンズ群11の焦点距離が短くなり過ぎ、収差(特に歪曲収差)を抑えるのが困難になって好ましくない。
【0065】
また、このような観点から、ズームレンズ1は、下記(4’)の条件式を満たすことがより好ましい。
−2.5<f1/fw<−1.2 ・・・(4’)
【0066】
後述の実施例1ないし実施例6におけるズームレンズ1A〜1Fでは、−2.15≦f1/fw≦−1.55である。
【0067】
また、これら上述の態様におけるズームレンズ1において、第2レンズ群12の焦点距離をf2とし、広角端におけるレンズ全体の焦点距離をfwとする場合に、下記(5)の条件式を満たすことが好ましい。
4<f2/fw<8 ・・・(5)
【0068】
この条件式(5)は、第2レンズ群12の焦点距離を規定している。変倍時に移動する第2レンズ群12は、前記条件式(5)の下限を下回ると、第2レンズ群12の焦点距離が短くなり過ぎ、収差(特に球面収差)や望遠端と広角端との間における像面の変動を抑えることが困難となって好ましくない。一方、前記条件式(5)の上限を上回ると、第2レンズ群12の焦点距離が長くなり過ぎ、変倍時における移動量が増大するとともに、レンズ径やレンズ長が大きくなりコスト高に繋がり、好ましくない。
【0069】
また、このような観点から、ズームレンズ1は、下記(5’)の条件式を満たすことがより好ましい。
4.5<f2/fw<7.5 ・・・(5’)
【0070】
後述の実施例1ないし実施例6におけるズームレンズ1A〜1Fでは、4.86≦f2/fw≦7.39である。
【0071】
また、これら上述の態様におけるズームレンズ1において、最も縮小側のレンズ群(図1に示す例では第4レンズ群14)の焦点距離をfxとし、広角端におけるレンズ全体の焦点距離をfwとする場合に、下記(6)の条件式を満たすことが好ましい。
2<fx/fw<4 ・・・(6)
【0072】
この条件式(6)は、最も縮小側に配置されるレンズ群の焦点距離を規定している。前記条件式(6)の下限を下回ると、最も縮小側に配置されるレンズ群の焦点距離が短くなるので、ズームレンズ1の後(縮小側)に例えば色分解合成プリズム等の光学素子を配置するためのスペース(空間)が小さくなって配置することができなってしまい、好ましくない。一方、前記条件式(6)の上限を上回ると、最も縮小側に配置されるレンズ群の焦点距離が長くなるので、バックフォーカスが長くなり過ぎてしまう。この結果、ズームレンズ1全体の全長が増大し、最も縮小側に配置されるレンズ群の径の大型化を招き、好ましくない。
【0073】
また、このような観点から、ズームレンズ1は、下記(6’)の条件式を満たすことがより好ましい。
2.5<fx/fw<3.7 ・・・(6’)
【0074】
後述の実施例1ないし実施例6におけるズームレンズ1A〜1Fでは、2.62≦fx/fw≦3.52である。
【0075】
また、これら上述の態様におけるズームレンズ1において、第4レンズ群14の縮小側に、正の光学的パワーを有する第5レンズ群をさらに備えてもよい。このように正の光学的パワーを持つ第5レンズ群を第4レンズ群14の縮小側にさらに配置することによって、ズームレンズ1は、移動レンズ群が増えることで、望遠端から広角端までの各ズーム位置での収差補正が容易になる。また、最も縮小側のレンズ群が正の光学的パワーを持つため、収差補正性能を確保したままで、容易にテレセントリック性を確保することができる。さらに、この第5レンズ群に前記条件式(3)を満たす硝材を含むように第5レンズ群を構成する場合には、球面収差、非点収差、軸上色収差および倍率色収差等の諸収差をより良好に補正することが可能となる。
【0076】
また、上述の態様におけるズームレンズ1において、第4レンズ群の縮小側に、負の光学的パワーを有する第5レンズ群と、正の光学的パワーを有する第6レンズ群をさらに備えてもよい。このように負および正の光学的パワーを持つ第5および第6レンズ群を前記第4レンズ群の縮小側にさらに配置することによって、ズームレンズ1は、移動レンズ群が増えることで、望遠端から広角端までの各ズーム位置での収差補正が容易になる。また、最も縮小側のレンズ群が正の光学的パワーを持つため、収差補正性能を確保したままで、容易にテレセントリック性を確保することができる。さらに、この第6レンズ群に前記条件式(3)を満たす硝材を含むように第6レンズ群を構成する場合には、球面収差、非点収差、軸上色収差および倍率色収差等の諸収差をさらにより良好に補正することが可能となる。
【0077】
<ズームレンズを組み込んだ投射型画像表示装置の説明>
本実施形態にかかるズームレンズ1は、例えばスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置(カメラ)や、例えば液晶表示ユニットの映像を拡大投影する液晶プロジェクタ等の投影装置や、例えば反射型映像表示ユニットを用いたリアプロジェクションテレビ等の映像表示装置等の様々な装置における光学系に利用することができる。
【0078】
例えば、撮像装置に組み込まれる場合では、撮像装置は、例えば、ズームレンズ1と、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子(例えば、CCD型イメージセンサやCMOS型イメージセンサ等)とを備え、ズームレンズ1が前記撮像素子の受光面上に物体(被写体)の光学像を形成可能とされているものである。そして、ズームレンズ1は、物体側より像側へ順に、第1レンズ群11と、第2レンズ群12と、第3レンズ群13と、第4レンズ群14とを備えて構成される。
【0079】
また例えば、投影装置や映像表示装置等の投射型表示装置は、所定の波長の光を発光する光源(例えば白色光を発光する例えばランプやLED等の光源や赤光(R光),緑光(G光)および青光(B光)の各色光をそれぞれ発光する例えばLEDや有機EL等の光源)と、映像を表示する映像表示素子と、前記光源からの光を前記映像表示素子に導く照明光学系と、ズームレンズ1とを備え、ズームレンズ1が、前記照明光学系によって導かれた前記光源からの光を前記映像表示素子で変調することによって生成された映像光を拡大投影するものである。そして、ズームレンズ1は、拡大側より順に、第1レンズ群11と、第2レンズ群12と、第3レンズ群13と、第4レンズ群14とを備えて構成される。
【0080】
一具体例として、投射型表示装置に前記実施形態のズームレンズ1を組み込んだ場合について、以下に、説明する。投射型表示装置の構成は、種々の構成が提案されているが、例えば、特開2004−333829号公報等に開示されている。
【0081】
図2は、実施形態のズームレンズを用いた投射型表示装置の構成を模式的に示した断面図である。図2において、この投射型表示装置3は、光源31と、インテグレータ光学系32と、色分解光学系33と、リレー光学系34と、映像表示素子35と、色合成光学系36と、ズームレンズ1とを備えて構成されている。
【0082】
光源31は、少なくとも赤光(R)、緑光(G)および青光(B)の各波長成分光を含む光を放射する装置である。例えば、光源31は、例えばキセノンランプ等のランプ301aと、放物面鏡301bとを備えている。この光源31は、ランプ301aが放物面鏡301bの焦点位置に配置されており、ランプ301aが発光するとその発光光が放物面鏡301bで反射され、光軸Oにほぼ平行な光束を開口部301cから射出する。
【0083】
インテグレータ光学系32は、複数のレンズセルがアレイ状に配列されて成る第1および第2レンズアレイ302、303および重ね合わせレンズ304を備えて構成される。光源31から射出された光束は、インテグレータ光学系32に入射され、第1レンズアレイ302、第2レンズアレイ303および重ね合わせレンズ304を順次に通過する。これよって光源31の光束は、各映像表示素子35の有効開口上に効率よくかつ略均一にそれぞれ照射される。光源31およびインテグレータ光学系32は、それらの光軸が一致するように配置され、光源31から射出された光束は、光軸に沿って進行する。
【0084】
色分解光学系33は、光源31からインテグレータ光学系32を介して入射された光束を所定の波長毎に分離する光学系である。色分解光学系33は、例えば、第1ダイクロイックミラー305および第2ダイクロイックミラー306を備えて構成されており、図2に示す例では、第1ダイクロイックミラー305から射出された光束をその光路を曲げ第2ダイクロイックミラー306へ導光するために、ミラー308をさらに備えている。第1ダイクロイックミラー305は、2枚の第11ダイクロイックミラー305aおよび第12第クロイックミラー305bを備えて構成されている。これら第11および第12ダイクロイックミラー305a、305bは、それらの反射面が光源31の光軸に対してそれぞれ45゜の角度を成すように互いに直交しており、この交差部分で光源31の光軸が交差するように配置されている。図2に示す例では、第11ダイクロイックミラー305aは、青光の波長範囲と赤光および緑光の波長範囲とに色分解し、この青光の波長範囲の青光束を、光源31の光軸に対し+90゜の方向に沿った図面上方向に反射するとともに、第12ダイクロイックミラー305bは、赤光および緑光の波長範囲の赤緑光束を光源31の光軸に対し−90゜の方向に沿った図面下方向に反射する。ミラー308は、光源31の光軸に対し−90゜の前記方向に対しその反射面が45゜の角度を成すように配置される。第12第クロイックミラー305bから射出された赤緑光束は、ミラー308によってその進行方向が略90゜曲げられて前記光源31の光軸に対し0゜の方向に沿った図面左方向に進行し、第2ダイクロイックミラー306へ入射する。第2ダイクロイックミラー306は、前記光源31の光軸と平行な前記方向に対しその反射面が45゜の角度を成すように配置され、赤光の波長範囲と緑光の波長範囲とに色分解し、この赤光の波長範囲の赤光束を透過させるとともに、この緑光の波長範囲の緑光束を前記図面左方向に対し+90゜の方向に沿った図面上方向に反射する。
【0085】
リレー光学系34は、色分解光学系33で各色に色分解された青光束、緑光束および赤光束の各光束を各色用の映像表示素子312、313、314に導くための光学系である。リレー光学系34は、例えば、ミラー307、第1ないし第3偏光ビームスプリッタ309、310、311および第1ないし第3フィールドレンズ317、318、319を備えて構成される。なお、前記ミラー308をリレー光学系34に含めてもよい。ミラー307は、前記図面上方向に対しその反射面が45゜の角度を成すように配置される。
【0086】
第11ダイクロイックミラー305aで分離された青光束は、ミラー307に入射し、ミラー307によってその進行方向が略90゜曲げられて前記光源31の光軸に対し0゜の方向に沿った図面左方向に進行し、第3フィールドレンズ317を介して、第1偏光ビームスプリッタ309へ入射する。第1偏光ビームスプリッタ309は、その反射面が前記図面左方向に対して45゜の角度を成すように配置される。第2ダイクロイックミラー306で分離された緑光束は、第2フィールドレンズ318を介して第2偏光ビームスプリッタ310へ入射する。第2偏光ビームスプリッタ310は、その反射面が前記図面上方向に対し−45゜の角度を成すように配置される。第2ダイクロイックミラー306で分離された赤光束は、第3フィールドレンズ319を介して第3偏光ビームスプリッタ311へ入射する。第3偏光ビームスプリッタ311は、その反射面が前記図面左方向に対し−45゜の角度を成すように配置される。第1フィールドレンズ317は、このようにミラー307と第1偏光ビームスプリッタ309の光路中に配置され、光源31からの光束をテレセントリックな光束として、後述のスクリーン等に投影される像の誤差を小さく(抑制)するために設けられている。第2および第3フィールドレンズ318、319も同様である。
【0087】
これら光源31、インテグレータ光学系32、色分解光学系33およびリレー光学系34は、各色用の各映像表示素子312、313、314をそれぞれ照明する照明光学系を構成しており、光源31からの光束を各映像表示素子312、313、314上にそれぞれ収束させている。
【0088】
映像表示素子35は、所定の映像を表示して入射光を変調し、映像光を生成する装置である。図2に示す例では、R、G、Bの各色成分を個別に変調するため、映像表示素子35は、青光用の映像表示素子312、緑光用の映像表示素子313および赤光用の映像表示素子314の3個の装置を備えて構成されている。
【0089】
第1偏光ビームスプリッタ309でその進行方向を略90゜曲げられて前記図面上方向に反射した青光束は、青光用の映像表示素子312へ入射する。この第1偏光ビームスプリッタ309では、この青光束の反射の際に、映像表示素子312にとって不要な偏光成分を除去する。映像表示素子312は、例えば反射型LCD装置であり、この入射された青光束をその表示面に表示した映像に従って強度を変調して反射し、進行方向を逆転させて再び第1偏光ビームスプリッタ309へ入射させる。この映像表示素子312で強度変調を受けた青光束は、第1偏光ビームスプリッタ309を通過し、第11偏光ビームスプリッタ321を介して色合成光学系36に入射する。また、第2偏光ビームスプリッタ310でその進行方向を略90゜曲げられて前記光源31の光軸に対し−180゜の図面右方向に反射した緑光束は、緑光用の映像表示素子313へ入射する。この第2偏光ビームスプリッタ310では、この緑光束の反射の際に、映像表示素子313にとって不要な偏光成分を除去する。映像表示素子313は、例えば反射型LCD装置であり、この入射された緑光束をその表示面に表示した映像に従って強度を変調して反射し、進行方向を逆転させて再び第2偏光ビームスプリッタ310へ入射させる。この映像表示素子313で強度変調を受けた緑光束は、第2偏光ビームスプリッタ310を通過し、第12偏光ビームスプリッタ322を介して色合成光学系36に入射する。そして、第3偏光ビームスプリッタ311でその進行方向を略90゜曲げられて前記図面下方向に反射した赤光束は、赤光用の映像表示素子314へ入射する。この第3偏光ビームスプリッタ311では、この赤光束の反射の際に、映像表示素子314にとって不要な偏光成分を除去する。映像表示素子314は、例えば反射型LCD装置であり、この入射された赤光束をその表示面に表示した映像に従って強度を変調して反射し、その進行方向を逆転させて再び第3偏光ビームスプリッタ311へ入射させる。この映像表示素子314で強度変調を受けた赤光束は、第3偏光ビームスプリッタ311を通過し、第13偏光ビームスプリッタ323を介して色合成光学系36に入射する。これらそれぞれ変調された青光束、緑光束および赤光束は、それぞれ、再び、第1ないし第3偏光ビームスプリッタ309、310、311を通過する際に、スクリーン投影に不要な偏光成分が除去される。また、前記第11ないし第13偏光ビームスプリッタ321、322、323は、これら第1ないし第3偏光ビームスプリッタ309、310、311で完全に除去されなかった不要な偏光成分を除去し、よりコントラストを向上させるものである。
【0090】
色合成光学系36は、赤光束、緑光束および青光束を合成する光学系であり、例えば、クロスダイクロイックプリズム315を備えて構成される。クロスダイクロックプリズム315は、互いに直交する2個の反射面315a、315bを有している。クロスダイクロイックプリズム315には、図面上から青光束が入射され、図面右から緑光束が入射され、図面下から赤光束が入射される。クロスダイクロイックプリズム315の反射面315aは、青光束の進行方向に対して45゜の角度を成すように配置され、図面上から入射された青光束を略90゜曲げてズームレンズ1方向に反射する。クロスダイクロイックプリズム315の反射面315bは、赤光束の進行方向に対して45゜の角度を成すように配置され、図面上から入射された赤光束を略90゜曲げてズームレンズ1方向に反射する。そして、クロスダイクロイックプリズム315に図面右から入射された緑光束は、これら反射面315a、315bを透過して直進する。このため、クロスダイクロイックプリズム315に入射した青光束、緑光束および赤光束の各光束は、色合成され、ズームレンズ1へ入射され、ズームレンズ1のズーム倍率で拡大され、図略のスクリーンに投影される。
【0091】
このような構成の投射型表示装置3では、上述のズームレンズ1を用いているので、2.4以上の充分に長いバックフォーカス量bf/fwが確保されているため、充分なスペースがあり、インテグレータ光学系32、色分解光学系33、リレー光学系34、映像表示素子35および色合成光学系36の光学系を適切な位置で配置することが可能となる。また、ズームレンズ1が従来より高倍率な1.5倍以上のズーム倍率ft/fwを有しているため、投射型表示装置3と図略のスクリーンとの距離を維持したまま従来より拡大投影することができる。
【0092】
<ズームレンズのより具体的な形態の説明>
以下、ズームレンズ1のより具体的な構成を、図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0093】
図3は、実施例1におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。図4は、実施例1のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。図4(A)は、広角端(W)の場合を示し、図4(B)は、望遠端(T)の場合を示している。図15は、実施例1の広角端(W)におけるレンズ群の収差図である。図16は、実施例1の望遠端(T)におけるレンズ群の収差図である。
【0094】
実施例1のズームレンズ1Aは、図3に示すように、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4が拡大側から縮小側へ順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群Gr1と、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群Gr2と、全体として正の光学的パワーを有する第3レンズ群Gr3と、全体として正の光学的パワーを有する第4レンズ群Gr4とから構成されて成る負・正・正・正の4成分ズーム構成であり、広角端(W)から望遠端(T)へのズーミングの際(変倍時)には、図4に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2および第3レンズ群Gr2、Gr3は、光軸AXに沿って移動し、そして、第4レンズ群Gr4は、固定される。光学絞りSTは、第4レンズ群Gr4内に配置され、固定される。
【0095】
より詳しくは、実施例1のズームレンズ1Aは、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4が拡大側から縮小側へ順に、次のように構成されている。
【0096】
第1レンズ群Gr1は、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第1レンズ)L1と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第2レンズ)L2と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第3レンズ)L3と、両凹の負レンズ(第4レンズ)L4とから構成されて成る。この負メニスカスレンズ(第2レンズ)L2は、前記条件式(3)を満たす硝材で形成される。第2レンズ群Gr2は、縮小側に凸の正メニスカスレンズ(第5レンズ)L5から成り、正の単レンズで構成されている。第3レンズ群Gr3は、拡大側に凹の負メニスカスレンズ(第6レンズ)L6と、縮小側に凸の正メニスカスレンズ(第7レンズ)L7と、両凸の正レンズ(第8レンズ)L8とから構成されて成る。これら正メニスカスレンズ(第7レンズ)L7および正レンズ(第8レンズ)L8は、前記条件式(3)を満たす硝材で形成される。第4レンズ群Gr4は、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第9レンズ)L9と、両凸の正レンズ(第10レンズ)L10と、光学絞りSTと、両凹の負レンズ(第11レンズ)L11と、両凸の正レンズ(第12レンズ)L12と、両凹の負レンズ(第13レンズ)L13と、両凸の正レンズ(第14レンズ)L14と、両凸の正レンズ(第15レンズ)L15と、両凹の負レンズ(第16レンズ)L16と、両凸の正レンズ(第17レンズ)L17と、両凸の正レンズ(第18レンズ)L18とから構成されて成る。
【0097】
そして、第4レンズ群Gr4の縮小側には、プリズムPRおよびカバーガラスCGを介して映像表示素子DPの表示面が配置されている。
【0098】
図2において、各レンズ面に付されている番号ri(i=1,2,3,・・・)は、拡大側から数えた場合のi番目のレンズ面(ただし、レンズの接合面は1つの面として数えるものとする。)である。なお、光学絞りST、プリズムPR、カバーガラスCGの両面および映像表示素子DPの表示面も1つの面として扱っている。このような取り扱いおよび符号の意義は、後述の実施例2ないし実施例6についても同様である(図5、図7、図9、図11および図13)。ただし、全く同一のものであるという意味ではなく、例えば、各実施例1〜6の各図3、図5、図7、図9、図11および図13を通じて、最も拡大側に配置されるレンズ面には、同じ符号(r1)が付されているが、これらの曲率などが各実施例1〜6を通じて同一であるという意味ではない。
【0099】
このような構成の下で、映像表示素子DPからカバーガラスCGおよびプリズムPRを介して第4レンズ群Gr4に入射した光線は、光軸AXに沿って、順に第4レンズ群Gr4(途中、光学絞りSTを含む)、第3レンズ群Gr3、第2レンズ群Gr2および第1レンズ群Gr1を通過し、第1レンズ群Gr1から射出され、ズームレンズ1Aの拡大側に適宜な距離で配置された図略のスクリーンに拡大投影される。
【0100】
この実施例1のズームレンズ1Aでは、広角端(WIDE)から望遠端(TELE)への変倍時に、図4に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2レンズ群Gr2は、望遠端で最も縮小側に近づくように拡大側から縮小側へ光軸AXに沿って移動され、第3レンズ群Gr3は、望遠端で最も拡大側に近づくように縮小側から拡大側へ光軸AXに沿って直線的に移動され、第4レンズ群Gr4は、固定される。このように広角端から望遠端への変倍において、第3レンズ群Gr3が最も移動量の大きいレンズ群となっている。また、広角端から望遠端への変倍時に、第3レンズ群Gr3と第4レンズ群Gr4との間隔が単調に増加するように、ズームレンズ1Aが構成されている。
【0101】
実施例1のズームレンズ1Aにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0102】
数値実施例1
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
スクリーン面 ∞ ∞
1 48.705 7.536 1.517 64.198
2 522.698 0.122
3 44.612 2.040 1.497 81.608
4 22.433 7.850
5 133.743 1.346 1.623 58.122
6 28.488 6.719
7 -50.434 1.346 1.673 32.171
8 41.257 可変
9 -321.066 2.859 1.713 53.939
10 -43.263 可変
11 -27.325 1.581 1.581 40.891
12 -93.875 0.955
13 -130.113 4.383 1.497 81.608
14 -31.577 0.122
15 87.617 3.740 1.497 81.608
16 -65.869 可変
17 284.796 0.734 1.497 81.608
18 16.367 3.096
19 28.417 2.092 1.673 32.171
20 -82.038 1.256
21(絞り) ∞ 1.986
22 -28.191 0.816 1.497 81.608
23 29.202 8.935
24 60.659 3.104 1.623 58.122
25 -26.043 12.104
26 -39.815 0.979 1.806 40.734
27 27.777 1.343
28 34.490 3.467 1.497 81.608
29 -32.917 0.122
30 36.410 3.810 1.497 81.608
31 -27.052 0.122
32 -45.180 1.142 1.806 40.734
33 25.107 1.412
34 30.923 3.137 1.497 81.608
35 -81.589 0.122
36 35.973 3.479 1.497 81.608
37 -48.687 6.242
38 ∞ 34.680 1.517 64.198
39 ∞ 0.408
40 ∞ 1.224 1.487 70.441
41 ∞ 1.832
表示面 ∞
Variable Distance
広角端 望遠端
第8面と第9面間 18.606 19.772
第10面と第11面間 45.459 4.759
第16面と第17面間 1.224 40.758
レンズ群データ
群 始面 終面
1 1 8
2 9 10
3 11 16
4 17 37
【0103】
上記の面データにおいて、面番号は、図3に示した各レンズ面に付した符号ri(i=1,2,3,…)の番号iが対応する。
【0104】
また、“r”は、各面の曲率半径(単位はmm)、“d”は、無限遠合焦状態での光軸上の各レンズ面の間隔(軸上面間隔)、“nd”は、各レンズのd線(波長587.56nm)に対する屈折率、“νd”は、アッベ数をそれぞれ示している。なお、光学絞りST、プリズムPRの両面、カバーガラスCGの両面および映像表示素子DPの表示面の各面は、平面であるために、それらの曲率半径は、∞(無限大)である。
【0105】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例1のズームレンズAにおける各収差を図15および図16に示す。図15(A)および図16(A)は、球面収差(LONGITUDINAL SPHERICAL ABERRATION)を示し、図15(B)および図16(B)は、非点収差(ASTIGMATISM FIELD CURVER)を示し、図15(C)および図16(C)は、歪曲収差(DISTORTION)を示し、そして、図15(D)および図16(D)は、倍率色収差を示す。球面収差の横軸は、焦点位置のずれをmm単位で表しており、その縦軸は、最大入射高で規格化した値で表している。非点収差の横軸は、焦点位置のずれをmm単位で表しており、その縦軸は、像高をmm単位で表している。歪曲収差の縦軸は、実際の像高を理想像高に対する割合(%)で表しており、横軸は、その像高をmm単位で表している。倍率色収差の縦軸は、焦点位置のずれをmm単位で表しており、その縦軸は、像高をmm単位で表している。これらは、縮小側の像面上での値である。また、球面収差の図中、実線は、d線(波長587.56nm)の結果を表し、1点鎖線(−・−・−)は、g線(波長435.84nm)の結果を表し、そして、2点鎖線(−・・−・・−)は、C線(波長656.28nm)の結果を表している。非点収差の図中、実線は、d線でのサジタル(SAGITAL、DS、ラディアル)面、1点鎖線は、g線でのサジタル面、2点差線は、C線でのサジタル面における結果をそれぞれ表し、最も短い線長の破線は、d線でのタンジェンシャル(TANGENTIAL、DT、メリディオナル)面、次に短い線長の破線は、g線でのタンジェンシャル面、最も長い線長の破線は、C線でのタンジェンシャル面における結果をそれぞれ表している。歪曲収差の図は、上記d線を用いた場合の結果である。球面収差の図中、実線は、d線を基準としたg線の結果(1点鎖線)を表し、破線は、d線を基準としたC線の結果(2点鎖線)を表している。
【0106】
以上のような扱いは、以下に示す実施例2〜6にかかるコンストラクションデータ、各収差を示す図17ないし図26においても同様である。
【実施例2】
【0107】
図5は、実施例2におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。図6は、実施例2のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。図6(A)は、広角端(W)の場合を示し、図6(B)は、望遠端(T)の場合を示している。図17は、実施例2の広角端におけるレンズ群の収差図である。図18は、実施例2の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【0108】
実施例2のズームレンズ1Bは、図5に示すように、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4、Gr5が拡大側から縮小側へ順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群Gr1と、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群Gr2と、全体として正の光学的パワーを有する第3レンズ群Gr3と、全体として正の光学的パワーを有する第4レンズ群Gr4と、全体として正の光学的パワーを有する第5レンズ群Gr5とからなる負・正・正・正・正の5成分ズーム構成であり、広角端から望遠端へのズーミングの際には、図6に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2ないし第4レンズ群Gr2、Gr3、Gr4は、光軸AXに沿って移動し、そして、第5レンズ群Gr5は、固定される。光学絞りSTは、第5レンズ群Gr5における最も拡大側に配置され、固定される。
【0109】
より詳しくは、実施例2のズームレンズ1Bは、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4、gr5が拡大側から縮小側へ順に、次のように構成されている。
【0110】
第1レンズ群Gr1は、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第1レンズ)L1と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第2レンズ)L2と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第3レンズ)L3と、両凹の負レンズ(第4レンズ)L4とから構成されて成る。この負メニスカスレンズ(第2レンズ)L2は、前記条件式(3)を満たす硝材で形成される。第2レンズ群Gr2は、縮小側に凸の正メニスカスレンズ(第5レンズ)L5から成り、正の単レンズで構成されている。第3レンズ群Gr3は、拡大側に凹の負メニスカスレンズ(第6レンズ)L6と、縮小側に凸の正メニスカスレンズ(第7レンズ)L7と、両凸の正レンズ(第8レンズ)L8とから構成されて成る。これら正メニスカスレンズ(第7レンズ)L7および正レンズ(第8レンズ)L8は、前記条件式(3)を満たす硝材で形成される。第4レンズ群Gr4は、縮小側に凹の負メニスカスレンズ(第9レンズ)L9と、両凸の正レンズ(第10レンズ)L10と、光学絞りSTとから構成されて成る。第5レンズ群Gr5は、両凹の負レンズ(第11レンズ)L11と、両凸の正レンズ(第12レンズ)L12と、両凹の負レンズ(第13レンズ)L13と、両凸の正レンズ(第14レンズ)L14と、両凸の正レンズ(第15レンズ)L15と、両凹の負レンズ(第16レンズ)L16と、両凸の正レンズ(第17レンズ)L17と、両凸の正レンズ(第18レンズ)L18とから構成されて成る。
【0111】
そして、第5レンズ群Gr5の縮小側には、プリズムPRおよびカバーガラスCGを介して映像表示素子DPの表示面が配置されている。
【0112】
この実施例2のズームレンズ1Bでは、広角端(WIDE)から中間点(MIDDLE)を経て望遠端(TELE)への変倍時に、図6に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2レンズ群Gr2は、略中間点で最も縮小側に近づくように前記略中間点で縮小側に凸となる曲線を描くように光軸AXに沿って移動され、第3レンズ群(Gr3)は、望遠端で最も拡大側に近づくように縮小側から拡大側へ光軸AXに沿って直線的に移動され、第4レンズ群Gr4は、略中間点で最も縮小側に近づくように前記略中間点で縮小側に凸となる曲線を描くように光軸AXに沿って移動され、第5レンズ群Gr5は、固定される。このように広角端から望遠端への変倍において、第2ないし第4レンズ群Gr2、Gr3、Gr4は、移動し、第3レンズ群Gr3が最も移動量の大きいレンズ群となっている。また、広角端から望遠端への変倍時に、第3レンズ群Gr3と第4レンズ群Gr4との間隔が単調に増加するように、ズームレンズ1Bが構成されている。
【0113】
なお、実施例2のズームレンズ1Bは、実施例1のズームレンズ1Aにおける第4レンズ群Gr4を構成する各レンズのうち、最も拡大側に配置されている負レンズおよび正レンズをズーム群として独立させて可動させ、残余の各レンズを固定の第5レンズ群Gr5としたものである。
【0114】
実施例2のズームレンズ1Bにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0115】
数値実施例2
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
スクリーン面 ∞ ∞
1 51.723 6.318 1.517 64.198
2 325.764 0.123
3 46.090 1.634 1.497 81.608
4 21.201 6.584
5 110.388 1.348 1.623 58.122
6 23.086 5.649
7 -115.460 1.348 1.673 32.171
8 41.666 可変
9 -162.119 2.572 1.713 53.939
10 -40.031 可変
11 -27.360 1.759 1.581 40.891
12 -136.218 0.998
13 -178.421 4.529 1.497 81.608
14 -28.158 0.123
15 60.746 3.400 1.497 81.608
16 -95.809 可変
17 230.425 0.735 1.497 81.608
18 16.064 2.778
19 25.869 2.115 1.673 32.171
20 -117.113 可変
21(絞り) ∞ 1.971
22 -29.431 0.817 1.497 81.608
23 28.435 8.513
24 54.547 3.090 1.623 58.122
25 -26.638 11.117
26 -37.491 0.980 1.806 40.734
27 28.591 1.344
28 35.667 3.286 1.497 81.608
29 -32.831 0.123
30 36.213 3.640 1.497 81.608
31 -26.643 0.123
32 -46.329 1.144 1.806 40.734
33 24.501 1.437
34 30.874 2.972 1.497 81.608
35 -83.822 0.123
36 34.685 3.310 1.497 81.608
37 -50.897 5.862
38 ∞ 34.680 1.517 64.198
39 ∞ 0.408
40 ∞ 1.225 1.487 70.441
41 ∞ 1.834
表示面 ∞
Variable Distance
広角端 望遠端
第8面と第9面間 19.118 19.053
第10面と第11面間 39.130 4.244
第16面と第17面間 1.225 36.618
第22面と第23面間 0.564 0.123
レンズ群データ
群 始面 終面
1 1 8
2 9 10
3 11 16
4 17 20
5 21 37
【0116】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例2のズームレンズ1Bにおける球面収差(正弦条件)、非点収差、歪曲収差および横収差を図17および図18に示す。
【実施例3】
【0117】
図7は、実施例3におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。図8は、実施例3のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。図8(A)は、広角端(W)の場合を示し、図8(B)は、望遠端(T)の場合を示している。図19は、実施例3の広角端におけるレンズ群の収差図である。図20は、実施例3の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【0118】
実施例3のズームレンズ1Cは、図7に示すように、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4が拡大側から縮小側へ順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群Gr1と、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群Gr2と、全体として正の光学的パワーを有する第3レンズ群Gr3と、全体として正の光学的パワーを有する第4レンズ群Gr4とからなる負・正・正・正の4成分ズーム構成であり、広角端から望遠端へのズーミングの際には、図8に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2および第3レンズ群Gr2、Gr3は、光軸AXに沿って移動し、そして、第4レンズ群Gr4は、固定される。光学絞りSTは、第4レンズ群Gr4内における第11レンズL11と第12レンズL12との間であって、その中央より第11レンズL11寄りに配置され、固定される。
【0119】
より詳しくは、実施例3のズームレンズ1Cは、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4が拡大側から縮小側へ順に、次のように構成されている。
【0120】
第1レンズ群Gr1は、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第1レンズ)L1と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第2レンズ)L2と、両凹の負レンズ(第3レンズ)L3と、両凹の負レンズ(第4レンズ)L4とから構成されて成る。この負レンズ(第4レンズ)L4は、前記条件式(3)を満たす硝材で形成される。第2レンズ群Gr2は、両凹の負レンズ(第5レンズ)L5と、両凸の正レンズ(第6レンズ)L6とから構成されて成る。第3レンズ群Gr3は、両凹の負レンズ(第7レンズ)L7と、両凸の正レンズ(第8レンズ)L8と、両凸の正レンズ(第9レンズ)L9とから構成されて成る。この正レンズ(第9レンズ)L9は、前記条件式(3)を満たす硝材で形成される。第4レンズ群Gr4は、両凹の負レンズ(第10レンズ)L10と、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第11レンズ)L11と、光学絞りSTと、縮小側に凸の負メニスカスレンズ(第12レンズ)L12と、拡大側に凹の正メニスカスレンズ(第13レンズ)L13と、両凸の正レンズ(第14レンズ)L14と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第15レンズ)L15と、両凸の正レンズ(第16レンズ)L16と、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第17レンズ)L17とから構成されて成る。
【0121】
そして、第4レンズ群Gr4の縮小側には、プリズムPRおよびカバーガラスCGを介して映像表示素子DPの表示面が配置されている。
【0122】
この実施例3のズームレンズ1Cでは、広角端(WIDE)から望遠端(TELE)への変倍時に、図8に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2レンズ群Gr2は、望遠端で最も縮小側に近づくように拡大側から縮小側へ光軸AXに沿って移動され、第3レンズ群Gr3は、望遠端で最も拡大側に近づくように縮小側から拡大側へ光軸AXに沿って直線的に移動され、第4レンズ群Gr4は、固定される。このように広角端から望遠端への変倍において、第3レンズ群Gr3が最も移動量の大きいレンズ群となっている。また、広角端から望遠端への変倍時に、第3レンズ群Gr3と第4レンズ群Gr4との間隔が単調に増加するように、ズームレンズ1Cが構成されている。
【0123】
実施例3のズームレンズ1Cにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0124】
数値実施例3
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
スクリーン面 ∞ ∞
1 45.532 6.143 1.517 64.198
2 233.636 0.726
3 36.614 1.920 1.603 60.695
4 18.808 7.570
5 -395.182 1.435 1.713 53.939
6 22.932 5.497
7 -55.667 1.669 1.497 81.608
8 39.357 可変
9 -1296.025 1.941 1.620 36.301
10 59.585 0.922
11 53.123 6.980 1.517 64.198
12 -26.891 可変
13 -38.467 1.741 1.581 40.891
14 147.487 3.282
15 397.483 3.822 1.487 70.441
16 -34.886 0.112
17 54.524 2.820 1.497 81.608
18 -162.339 可変
19 -149.104 0.777 1.497 81.608
20 27.179 0.699
21 26.002 1.900 1.673 32.171
22 208.868 6.261
23(絞り) ∞ 22.765
24 -16.083 0.737 1.806 40.734
25 -123.418 0.500
26 -2888.754 2.749 1.497 81.608
27 -19.764 0.112
28 59.670 2.922 1.497 81.608
29 -32.199 0.112
30 69.861 0.954 1.806 40.734
31 20.552 1.193
32 22.924 3.540 1.497 81.608
33 -76.673 0.262
34 29.674 2.209 1.497 81.608
35 161.195 6.030
36 ∞ 31.795 1.517 64.198
37 ∞ 1.122
38 ∞ 1.122 1.487 70.441
39 ∞ 0.923
表示面 ∞
Variable Distance
広角端 望遠端
第8面と第9面間 8.289 10.128
第12面と第13面間 46.026 9.180
第18面と第19面間 1.137 36.145
レンズ群データ
群 始面 終面
1 1 8
2 9 12
3 13 18
4 19 35
【0125】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例3のズームレンズ1Cにおける球面収差(正弦条件)、非点収差、歪曲収差および横収差を図19および図20に示す。
【0126】
このような構成の実施例3のズームレンズ1Cでは、各レンズ群Gr1〜Gr4の並びにおいて、最も拡大側に負の光学的パワーを持たせることによって軸外の光線と光軸中心とのなす角度を大きく取ることができ、このようなズームレンズ1Cは、比較的広角なズームレンズであってもレンズ径を小さく設計することができる。そして、このズームレンズ1Cは、最も拡大側のレンズ群Gr1より後に配置される第2ないし第4レンズ群Gr2〜Gr4が持つ光学的パワーを全て正とすることによって、短い焦点距離を必要とする比較的広角なズームレンズを少ないレンズ枚数で実現することができる。
【実施例4】
【0127】
図9は、実施例4におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。図10は、実施例4のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。図10(A)は、広角端(W)の場合を示し、図10(B)は、望遠端(T)の場合を示している。図20は、実施例4の広角端におけるレンズ群の収差図である。図21は、実施例4の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【0128】
実施例4のズームレンズ1Dは、図9に示すように、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4、Gr5が拡大側から縮小側へ順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群Gr1と、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群Gr2と、全体として正の光学的パワーを有する第3レンズ群Gr3と、全体として正の光学的パワーを有する第4レンズ群Gr4と、全体として正の光学的パワーを有する第5レンズ群Gr5とからなる負・正・正・正・正の5成分ズーム構成であり、広角端から望遠端へのズーミングの際には、図10に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2ないし第4レンズ群Gr2、Gr3、Gr4は、光軸AXに沿って移動し、そして、第5レンズ群Gr5は、固定される。光学絞りSTは、第5レンズ群Gr5内における第12レンズL12の拡大側に所定の間隔を空けて配置され、固定される。
【0129】
より詳しくは、実施例4のズームレンズ1Dは、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4、Gr5が拡大側から縮小側へ順に、次のように構成されている。
【0130】
第1レンズ群Gr1は、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第1レンズ)L1と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第2レンズ)L2と、両凹の負レンズ(第3レンズ)L3と、両凹の負レンズ(第4レンズ)L4とから構成されて成る。この負レンズ(第4レンズ)L4は、前記条件式(3)を満たす硝材で形成される。第2レンズ群Gr2は、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第5レンズ)L5と、両凸の正レンズ(第6レンズ)L6とから構成されて成る。第3レンズ群Gr3は、両凹の負レンズ(第7レンズ)L7と、両凸の正レンズ(第8レンズ)L8と、両凸の正レンズ(第9レンズ)L9とから構成されて成る。第4レンズ群Gr4は、両凹の負レンズ(第10レンズ)L10と、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第11レンズ)L11と、光学絞りSTとから構成されて成る。第5レンズ群Gr5は、縮小側に凸の負メニスカスレンズ(第12レンズ)L12と、拡大側に凹の正メニスカスレンズ(第13レンズ)L13と、両凸の正レンズ(第14レンズ)L14と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第15レンズ)L15と、両凸の正レンズ(第16レンズ)L16と、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第17レンズ)L17とから構成されて成る。
【0131】
そして、第5レンズ群Gr5の縮小側には、プリズムPRおよびカバーガラスCGを介して映像表示素子DPの表示面が配置されている。
【0132】
この実施例4のズームレンズ1Dでは、広角端(WIDE)から望遠端(TELE)への変倍時に、図10に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2レンズ群Gr2は、望遠端で最も縮小側に近づくように光軸AXに沿って略直線的に移動され、第3レンズ群Gr3は、望遠端で最も拡大側に近づくように縮小側から拡大側へ光軸AXに沿って直線的に移動され、第4レンズ群Gr4は、望遠端で最も縮小側に近づくように光軸AXに沿って略直線的に移動され、第5レンズ群Gr5は、固定される。このように広角端から望遠端への変倍において、第3レンズ群Gr3が最も移動量の大きいレンズ群となっている。また、広角端から望遠端への変倍時に、第3レンズ群Gr3と第4レンズ群Gr4との間隔が単調に増加するように、ズームレンズ1Dが構成されている。
【0133】
なお、実施例4のズームレンズ1Dは、実施例3のズームレンズ1Cにおける第4レンズ群Gr4を構成する各レンズのうち、最も拡大側に配置されている負レンズおよび正レンズをズーム群として独立させて可動させ、残余の各レンズを固定の第5レンズ群Gr5としたものである。
【0134】
実施例4のズームレンズ1Dにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0135】
数値実施例4
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
スクリーン面 ∞ ∞
1 46.150 6.157 1.517 64.198
2 274.921 0.112
3 39.435 3.004 1.603 60.695
4 19.463 7.956
5 -257.259 1.383 1.713 53.939
6 24.146 5.802
7 -52.281 1.233 1.497 81.608
8 39.028 可変
9 26082.420 1.978 1.620 36.301
10 60.294 0.901
11 53.813 6.343 1.517 64.198
12 -27.224 可変
13 -38.687 1.983 1.581 40.891
14 146.007 3.328
15 470.533 3.960 1.487 70.441
16 -35.913 0.112
17 54.255 2.891 1.497 81.608
18 -138.113 可変
19 -132.850 0.747 1.497 81.608
20 27.419 0.409
21 25.701 1.889 1.673 32.171
22 212.251 可変
23(絞り) ∞ 24.898
24 -15.791 0.749 1.806 40.734
25 -111.277 0.417
26 -343.205 2.862 1.497 81.608
27 -19.332 0.112
28 54.128 3.192 1.497 81.608
29 -32.003 0.112
30 75.724 0.747 1.806 40.734
31 20.904 1.244
32 23.540 3.669 1.497 81.608
33 -80.997 0.112
34 30.312 2.438 1.497 81.608
35 297.676 6.024
36 ∞ 31.795 1.517 64.198
37 ∞ 1.121
38 ∞ 1.121 1.487 70.441
39 ∞ 0.927
表示面 ∞
Variable Distance
広角端 望遠端
第8面と第9面間 8.182 10.116
第12面と第13面間 46.434 10.158
第18面と第19面間 1.128 35.799
第23面と第24面間 3.143 2.814
レンズ群データ
群 始面 終面
1 1 8
2 9 12
3 13 18
4 19 23
5 24 35
【0136】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例4のズームレンズ1Dにおける球面収差(正弦条件)、非点収差、歪曲収差および横収差を図21および図22に示す。
【実施例5】
【0137】
図11は、実施例5におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。図12は、実施例5のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。図12(A)は、広角端(W)の場合を示し、図12(B)は、望遠端(T)の場合を示している。図22は、実施例5の広角端におけるレンズ群の収差図である。図23は、実施例5の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【0138】
実施例5のズームレンズ1Eは、図11に示すように、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4、Gr5、Gr6が拡大側から縮小側へ順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群Gr1と、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群Gr2と、全体として正の光学的パワーを有する第3レンズ群Gr3と、全体として正の光学的パワーを有する第4レンズ群Gr4と、全体として負の光学的パワーを有する第5レンズ群Gr5と、全体として正の光学的パワーを有する第6レンズ群Gr6とからなる負・正・正・正・負・正の6成分ズーム構成であり、広角端から望遠端へのズーミングの際には、図12に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2ないし第5レンズ群Gr2、Gr3、Gr4、Gr5は、光軸AXに沿って移動し、そして、第6レンズ群Gr6は、固定される。光学絞りSTは、第5レンズ群Gr5内における第12レンズL12の拡大側に所定の間隔を空けて配置され、固定される。
【0139】
より詳しくは、実施例5のズームレンズ1Eは、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4、Gr5、Gr6が拡大側から縮小側へ順に、次のように構成されている。
【0140】
第1レンズ群Gr1は、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第1レンズ)L1と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第2レンズ)L2と、両凹の負レンズ(第3レンズ)L3と、両凹の負レンズ(第4レンズ)L4とから構成されて成る。この負レンズ(第4レンズ)L4は、前記条件式(3)を満たす硝材で形成される。第2レンズ群Gr2は、両凹の負レンズ(第5レンズ)L5と、両凸の正レンズ(第6レンズ)L6とから構成されて成る。第3レンズ群Gr3は、両凹の負レンズ(第7レンズ)L7と、両凸の正レンズ(第8レンズ)L8と、両凸の正レンズ(第9レンズ)L9とから構成されて成る。第4レンズ群Gr4は、両凹の負レンズ(第10レンズ)L10と、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第11レンズ)L11と、光学絞りSTとから構成されて成る。第5レンズ群Gr5は、縮小側に凸の負メニスカスレンズ(第12レンズ)L12と、拡大側に凹の正メニスカスレンズ(第13レンズ)L13とから構成されて成る。第6レンズ群Gr6は、両凸の正レンズ(第14レンズ)L14と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第15レンズ)L15と、両凸の正レンズ(第16レンズ)L16と、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第17レンズ)L17とから構成されて成る。
【0141】
そして、第6レンズ群Gr6の縮小側には、プリズムPRおよびカバーガラスCGを介して映像表示素子DPの表示面が配置されている。
【0142】
この実施例5のズームレンズ1Eでは、広角端(WIDE)から望遠端(TELE)への変倍時に、図12に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2レンズ群Gr2は、望遠端で最も縮小側に近づくように光軸AXに沿って略直線的に移動され、第3レンズ群Gr3は、望遠端で最も拡大側に近づくように縮小側から拡大側へ光軸AXに沿って直線的に移動され、第4レンズ群Gr4は、望遠端で最も縮小側に近づくように光軸AXに沿って略直線的に移動され、第5レンズ群Gr5は、望遠端で最も縮小側に近づくように光軸AXに沿って略直線的に移動され、第6レンズ群Gr5は、固定される。このように広角端から望遠端への変倍において、第3レンズ群Gr3が最も移動量の大きいレンズ群となっている。また、広角端から望遠端への変倍時に、第3レンズ群Gr3と第4レンズ群Gr4との間隔が単調に増加するように、ズームレンズ1Eが構成されている。
【0143】
なお、実施例5のズームレンズ1Eは、実施例4のズームレンズ1Dにおける第5レンズ群Gr5を構成する各レンズのうち、最も拡大側に配置されている負レンズおよび正レンズをズーム群として独立させて可動させ、残余の各レンズを固定の第6レンズ群Gr6としたものである。
【0144】
実施例5のズームレンズ1Eにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0145】
数値実施例5
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
スクリーン面 ∞ ∞
1 51.160 5.532 1.517 64.198
2 365.577 0.112
3 38.703 3.841 1.603 60.695
4 19.538 7.407
5 -221.419 1.383 1.713 53.939
6 24.951 5.302
7 -54.555 1.233 1.497 81.608
8 38.410 可変
9 -2087.029 2.134 1.620 36.301
10 65.285 0.744
11 55.205 6.361 1.517 64.198
12 -27.831 可変
13 -37.170 2.737 1.581 40.891
14 109.061 3.384
15 196.565 4.350 1.487 70.441
16 -35.727 0.112
17 56.701 3.376 1.497 81.608
18 -119.236 可変
19 -106.553 0.747 1.497 81.608
20 28.611 1.195
21 26.834 1.937 1.673 32.171
22 372.506 可変
23(絞り) ∞ 26.243
24 -16.077 0.747 1.806 40.734
25 -149.915 0.217
26 -315.036 2.707 1.497 81.608
27 -19.394 可変
28 51.234 3.123 1.497 81.608
29 -30.606 0.112
30 81.967 0.747 1.806 40.734
31 20.853 1.257
32 23.689 3.393 1.497 81.608
33 -90.442 0.112
34 30.269 2.458 1.497 81.608
35 1321.301 6.024
36 ∞ 31.761 1.517 64.198
37 ∞ 1.121
38 ∞ 1.121 1.487 70.441
39 ∞ 0.927
表示面 ∞
Variable Distance
広角端 望遠端
第8面と第9面間 8.209 10.010
第12面と第13面間 45.599 10.908
第18面と第19面間 1.145 34.363
第23面と第24面間 1.366 1.196
第27面と第28面間 0.285 0.127
レンズ群データ
群 始面 終面
1 1 8
2 9 12
3 13 18
4 19 23
5 24 27
6 28 35
【0146】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例5のズームレンズ1Eにおける球面収差(正弦条件)、非点収差、歪曲収差および横収差を図23および図24に示す。
【実施例6】
【0147】
図13は、実施例6におけるズームレンズにおけるレンズ群の配列を示す断面図である。図14は、実施例6のズームレンズの変倍における各レンズ群の移動の様子を示す図である。図14(A)は、広角端(W)の場合を示し、図14(B)は、望遠端(T)の場合を示している。図24は、実施例6の広角端におけるレンズ群の収差図である。図25は、実施例6の望遠端におけるレンズ群の収差図である。
【0148】
実施例6のズームレンズ1Fは、図13に示すように、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4が拡大側から縮小側へ順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群Gr1と、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群Gr2と、全体として正の光学的パワーを有する第3レンズ群Gr3と、全体として正の光学的パワーを有する第4レンズ群Gr4とからなる負・正・正・正の4成分ズーム構成であり、広角端から望遠端へのズーミングの際には、図14に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2および第3レンズ群Gr2、Gr3は、光軸AXに沿って移動し、そして、第4レンズ群Gr4は、固定される。光学絞りSTは、第4レンズ群Gr4内における第12レンズL12と第13レンズL13との間であって、その中央より第12レンズL12寄りに配置され、固定される。
【0149】
より詳しくは、実施例6のズームレンズ1Fは、各レンズ群Gr1、Gr2、Gr3、Gr4が拡大側から縮小側へ順に、次のように構成されている。
【0150】
第1レンズ群Gr1は、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第1レンズ)L1と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第2レンズ)L2と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第3レンズ)L3と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第4レンズ)L4と、両凹の負レンズ(第5レンズ)L5とから構成されて成る。第2レンズ群Gr2は、両凹の負レンズ(第6レンズ)L6と、両凸の正レンズ(第7レンズ)L7とから構成されて成る。この負レンズ(第6レンズ)L6は、前記条件式(3)を満たす硝材で形成される。第3レンズ群Gr3は、両凹の負レンズ(第8レンズ)L8と、両凸の正レンズ(第9レンズ)L9と、両凸の正レンズ(第10レンズ)L10とから構成されて成る。この正レンズ(第9レンズ)L9は、前記条件式(3)を満たす硝材で形成される。第4レンズ群Gr4は、両凹の負レンズ(第11レンズ)L11と、拡大側に凸の正メニスカスレンズ(第12レンズ)L12と、光学絞りSTと、両凹の負レンズ(第13レンズ)L13と、両凸の正レンズ(第14レンズ)L14と、両凸の正レンズ(第15レンズ)L15と、拡大側に凸の負メニスカスレンズ(第16レンズ)L16と、両凸の正レンズ(第17レンズ)L17と、両凸の正レンズ(第18レンズ)L18とから構成されて成る。
【0151】
そして、第4レンズ群Gr4の縮小側には、プリズムPRおよびカバーガラスCGを介して映像表示素子DPの表示面が配置されている。
【0152】
この実施例6のズームレンズ1Fでは、広角端(WIDE)から望遠端(TELE)への変倍時に、図14に示すように、第1レンズ群Gr1は、固定され、第2レンズ群Gr2は、望遠端で最も縮小側に近づくように光軸AXに沿って略直線的に移動され、第3レンズ群Gr3は、望遠端で最も拡大側に近づくように縮小側から拡大側へ光軸AXに沿って直線的に移動され、第4レンズ群Gr4は、固定される。このように広角端から望遠端への変倍において、第3レンズ群Gr3が最も移動量の大きいレンズ群となっている。また、広角端から望遠端への変倍時に、第3レンズ群Gr3と第4レンズ群Gr4との間隔が単調に増加するように、ズームレンズ1Fが構成されている。
【0153】
なお、実施例6のズームレンズ1Fは、実施例3のズームレンズ1Cにおける第1レンズ群Gr1を構成する3枚の負レンズにさらに1枚の負レンズを加えて4枚の負レンズとしたものである。これにより実施例3のズームレンズ1Cに較べて、実施例6のズームレンズ1Fは、変倍時の可動群を増やすことなく、光学性能を向上することができる。
【0154】
実施例6のズームレンズ1Fにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0155】
数値実施例6
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
スクリーン面 ∞ ∞
1 66.093 3.06084 1.51680 64.1983
2 229.946 0.07502
3 39.553 1.87853 1.58913 61.2526
4 19.311 4.83584
5 48.313 1.52433 1.60311 60.6946
6 22.490 4.08993
7 159.806 1.34939 1.69680 55.4597
8 32.820 4.36357
9 -47.961 2.05176 1.49700 81.6084
10 76.417 可変
11 -269.288 2.40570 1.67270 32.1705
12 66.463 0.79324
13 59.590 5.07902 1.69680 55.4597
14 -33.115 可変
15 -30.422 2.28445 1.56732 42.8418
16 114.847 2.12770
17 169.547 4.49152 1.48749 70.4412
18 -29.403 0.07574
19 53.409 3.00159 1.49700 81.6084
20 -147.873 可変
21 -187.237 0.77384 1.49700 81.6084
22 19.493 0.82205
23 20.365 1.76206 1.64769 33.8406
24 307.584 4.89327
25(絞り) ∞ 19.04095
26 -18.262 0.81634 1.80611 40.7344
27 78.750 0.85604
28 98.830 2.73579 1.49700 81.6084
29 -23.192 0.07502
30 54.575 3.24660 1.49700 81.6084
31 -27.220 0.07502
32 136.354 1.06269 1.80611 40.7344
33 23.671 0.90439
34 26.882 3.44644 1.49700 81.6084
35 -53.068 0.26257
36 28.403 2.40201 1.49700 81.6084
37 -808.192 5.7390
38 ∞ 31.761 1.51680 64.1983
39 ∞ 1.12530
40 ∞ 1.12530 1.48749 70.4412
41 ∞ 0.9402
表示面 ∞
Variable Distance
広角端 望遠端
第10面と第11面間 5.568762 6.813326
第14面と第15面間 38.20521 5.077231
第21面と第22面間 1.125297 33.00871
レンズ群データ
群 始面 終面
1 1 10
2 11 14
3 15 20
4 21 37
【0156】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例6のズームレンズ1Fにおける球面収差(正弦条件)、非点収差、歪曲収差および横収差を図25および図26に示す。
【0157】
上記に列挙した実施例1〜6のズームレンズ1A〜1Fに、上述した条件式(1)〜(6)を当てはめた場合のそれぞれの数値およびこれら各数値の場合における空気換算のバックフォーカス量bf/fwと焦点距離ft/fwとを、表1に示す。
【0158】
【表1】

【0159】
以上、説明したように、上記実施例1〜6におけるズームレンズ1A〜1Fは、本発明に係る要件を満足している結果、各収差図から諸収差が良好に補正されており、そして、従来より高倍率な1.5倍以上の充分に高いズーム倍率ft/fwを実現しつつ、2.4以上の充分に長いバックフォーカス量bf/fwを実現することができる。特に、実施例1のズームレンズ1は、1.64倍のズーム倍率ft/fwを実現しつつ、3.22のバックフォーカス量bf/fwを実現しており、実施例2のズームレンズ1は、1.64倍のズーム倍率ft/fwを実現しつつ、3.18のバックフォーカス量bf/fwを実現している。したがって、上記実施例1〜6におけるズームレンズ1A〜1Fは、特に、色合成光学系を配置するような前記装置に好適である。
【0160】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0161】
AX 光軸
1、1A〜1F ズームレンズ
3 投射型表示装置
11、Gr1 第1レンズ群
12、Gr2 第2レンズ群
13、Gr3 第3レンズ群
14、Gr4 第4レンズ群
Gr5 第5レンズ群
Gr6 第6レンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大側より順に、全体として負の光学的パワーを有する第1レンズ群、全体として正の光学的パワーを有する第2レンズ群、全体として正の光学的パワーを有する第3レンズ群、および、全体として正の光学的パワーを有する第4レンズ群を少なくとも備え、
変倍の際に、少なくとも2つのレンズ群が光軸に沿って移動し、
前記第1レンズ群は、最も拡大側に凸の正レンズと、少なくとも3枚以上の負レンズとを備え、
前記第2レンズ群は、拡大側より順に負、正の並びのレンズまたは正の単レンズから成り、
前記第3レンズ群は、最も拡大側から順に、負レンズ、正レンズおよび正レンズを有し、変倍の際に移動し、
下記(1)および(2)の各条件式を満たすことを特徴とするズームレンズ。
7<f3/fw<9 ・・・(1)
2.4<bf/fw<3.5 ・・・(2)
ただし、
f3;第3レンズ群の焦点距離
bf;空気換算のバックフォーカス長
fw;広角端におけるレンズ全体の焦点距離
【請求項2】
第4レンズ群の縮小側に、正の光学的パワーを有する第5レンズ群をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
第4レンズ群の縮小側に、負の光学的パワーを有する第5レンズ群と、正の光学的パワーを有する第6レンズ群をさらに備えること
を特徴とする請求項2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記第3レンズ群は、広角端から望遠端への変倍の際に、縮小側より拡大側への移動量が最も大きいレンズ群であって、下記(3)の条件式を満たす硝材を含むこと
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
Pg,F+0.00181Vd>0.652 ・・・(3)
ただし、
Pg,F;レンズ硝材の部分分散比
Vd;レンズ硝材の分散
【請求項5】
最も拡大側のレンズ群と最も縮小側のレンズ群とは、変倍の際に固定群とされること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
下記(4)の条件式を満たすこと
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
−3<f1/fw<−1 ・・・(4)
ただし、
f1;第1レンズ群の焦点距離
fw;広角端におけるレンズ全体の焦点距離
【請求項7】
下記(5)の条件式を満たすこと
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
4<f2/fw<8 ・・・(5)
ただし、
f2;第2レンズ群の焦点距離
fw;広角端におけるレンズ全体の焦点距離
【請求項8】
下記(6)の条件式を満たすこと
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のズームレンズ。
2<fx/fw<4 ・・・(6)
ただし、
fx;最も縮小側のレンズ群の焦点距離
fw;広角端におけるレンズ全体の焦点距離

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−123351(P2011−123351A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281644(P2009−281644)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】