説明

センサ

本発明は、制御筐体(2)及び光プローブ(3)で構成されるセンサに関する。制御筐体(2)は、近赤外の測定信号(19)を光プローブ(3)の方向に送信可能とする送信器(4)と、測定信号(19)の送信に応じて、光プローブ(3)を経由した戻り信号(24)を受信可能とする受信器(6)とを備えている。送信器(4)は、近赤外に属さない波長の第2信号を送信可能とする多重波長送信器で、制御筐体(2)が、戻り信号(24)から確定したセンサ(1)の状態に応じて、第2信号の送信の制御を選択的に可能とする処理モジュール(14)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、センサ及びセンサを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバー光学センサは、通常、制御筐体及び制御筐体に接続された光プローブから成る。
【0003】
光学センサの状態の視覚検査を可能にするために、光学センサの制御筐体上に表示ランプ(例、LED)を備えている。
【0004】
センサが、光ファイバー光学センサの場合、センサの操作調整及び検査に困難を伴う。これは光プローブの自由端が、制御筐体からかなりの距離(例、10m)にある時、操作者は、プローブの取付け及び調整中に、表示ランプを見ることができない。例えば、光プローブを検査の作業台に置き、制御筐体を作業台外のデータ取得システム近傍に置いている場合である。
【0005】
同様に、センサを組み込む場合、センサをその場所に設置すると、表示ランプが見えなくなり、後のセンサの正確な操作の検査ができなくなる。従って、操作者が、筐体からセンサを分離せざるを得ず、時間を要し、難しい操作となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前記難点を取り除き、及び、光プローブが制御筐体から離れた距離に設置されている場合でも、光プローブの取付け及び調整を容易にするセンサ及びセンサを操作する方法を提案ことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の主題は、制御筐体と光プローブとを備えるセンサで、制御筐体は、光プローブの方向に近赤外の測定信号を送信可能とする送信器と、測定信号の送信に応じた戻り信号を光プローブを介して受信可能とする受信器とを備え、送信器が、近赤外に属さない波長での第2信号を送信可能とする多重波長送信器で、制御筐体が、戻り信号から測定したセンサの状態により、選択的に第2信号の送信を測定信号として同時に制御可能とする処理モジュールを備えている。
【0008】
好ましくは、光プローブが、一組の光ファイバーを備え、光ファイバーの各端部は、制御筐体に接続されている。
【0009】
好ましくは、第2信号は、可視信号である。
【0010】
好ましくは、第2信号は、紫外線信号である。
【0011】
好ましくは、処理モジュールは、戻り信号の特性に応じて、第2信号の送信を制御する。
【0012】
本発明の更なる主題は、制御筐体及び光プローブを備えるセンサの操作方法である。制御筐体は、送信器及び受信器を備えている。その操作方法は、
a)送信器による光プローブの方向に近赤外の測定信号の送信を制御する工程と、
b)測定信号の送信に応じた戻り信号を光プローブを介して受信器で受信する工程と、 c)戻り信号を処理し、それからセンサの状態を推論する工程と、
d)工程c)で確定したセンサの状態に基づき、送信器による光プローブの方向に近赤外に属さない波長での第2信号の送信を同時に測定信号の送信を制御又は制御しないとする工程とを備えている。
【0013】
発明の更なる理解及び他の目的、詳細、特徴及び利点が、幾つかの実施形態を説明する詳細な記載で一層明白となる。添付した概略図の参照は、純粋に説明的で、限定例となるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態によるセンサの構造概略図である。
【図2】図1のセンサの簡潔な概略斜視図である。
【図3】歯付円板の縁部に沿って設けられたセンサの光プローブの簡潔な概略斜視図である。
【図4】図3に類似した第2実施形態で、センサが遮断モードの光プローブから成り、光プローブを穴のあいた円板の両側に設けている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2は、制御筐体2及び光プローブ3から成る光ファイバー光学センサ1を示す。
【0016】
光プローブ3は、2つの光ファイバー5,7及び端部素子31から成る。端部素子31は、例として、光ファイバー5の端部5a及び光ファイバー7の端部7aを囲む円筒の形状を備えている。
【0017】
制御筐体2は、端部5aの反対側にある光ファイバー5の端部に接続されている送信器4(例、発光ダイオード:LED)を備えている。制御筐体2は、端部7aの反対側にある光ファイバー7の端部に接続されている受信器6(例、光ダイオード又は光トランジスタ)を備えている。光プローブ3の長さ、つまり光ファイバー5,7の長さは、用途に依存するが、相当なもので、約10mの例もある。
【0018】
ダイオード4は、近赤外送信モジュール8及び可視(例、赤色光)送信モジュール9から成る多重波長のダイオードで、実質的に単発の送信器を成している。実質的に単発又は無収差の送信器は半導体で、その素子は互いに十分に近く、光学素子又は光ファイバーでシステムを形成している。システムは、光学用語で実質的に中心に位置し、光ファイバーの場合、正確な結合をもたらしている。多重波長ダイオードは、例として、EP1655814に記載されているため、ここでは詳細を避ける。
【0019】
制御筐体2は、電力供給モジュール10を備え、電力を近赤外送信モジュール8に電力を供給する(矢印11で表示)。電力供給に応じて、近赤外送信モジュール8は、近赤外の光信号を送信する(矢印19で表示)。
【0020】
制御筐体2は、受信器6から生成する信号を増幅する増幅器12を備えている。増幅器12は、受信器6からの出力信号を入力として受け取る(矢印13で表示)。例えば、光学センサ1がアナログセンサの場合、増幅器12の出力信号は、増幅器の入力信号に比例する。
【0021】
制御筐体2は、増幅器12の出力信号を入力として受け取る処理モジュール14を備えている(矢印15で表示)。処理モジュール14は、受け取ったデータを処理し、そこからセンサ1の状態を推論する。光学センサ1の状態に応じて、処理モジュール14は、可視送信モジュール9の電力供給を制御し又は制御しない(矢印16で表示)。電力供給に応じて、可視送信モジュール9は、可視の出力信号(この場合、赤色光線)を送信する(矢印19で表示)。処理モジュール14は、同様に、制御筐体2の表示ランプ17の電力供給を制御する(矢印18で表示)。表示ランプ17は、例として、電力が供給されると可視光を送信する発光ダイオードから成る。
【0022】
図3を参照すればセンサ1の操作の記載が分かる。光プローブ3は近接プローブで、その自由端を歯付円板21の縁部20に沿って設けている。縁部20は、長さ全体に及ぶ交互に配列された凹部22及び歯部23を有する。
【0023】
センサ1の操作中、電力供給モジュール10は、連続して近赤外送信モジュール8に電力を供給する。言い換えれば、ダイオード4は、近赤外の光信号を絶え間なく送信する。従って、近赤外送信モジュール8は、光プローブ3の光ファイバー5を介して測定信号を送信する。
【0024】
この送信の結果は、光プローブ3の光ファイバー7を介した戻り信号24が、受信器6で受信される。戻り光が、光プローブ3に対する円板21の位置関数となる。つまり、凹部22又は歯部23に一致する近赤外送信モジュール8による送信の位置関数である。受信器6は、戻り信号24に対応する電気信号13を増幅器12の入力に送信する。
【0025】
増幅器12は、受信信号13を増幅し、増幅した信号15を処理モジュール14に送信する。処理モジュール14は、信号15を処理し、そこからセンサ1の状態を推論する。処理モジュール14は、センサ1の状態変化の有無を見事に判断する。図3の例では、センサ1の状態変化は、凹部22から歯部23(逆も同様)の光プローブ3の通過に対応する。処理モジュール14は、センサ1の状態の信号25を生成する。図示する実施例では、信号25は切欠き形状で、信号25は、例えば、プローブ3が歯部23に合う時は(1)で、プローブ3が凹部22に合う時は(0)となる。信号25は、例えば、検知装置(図示せず)に送信される。
【0026】
同時に、センサ1が所定状態(例、(1))にあると判断すると、処理モジュール14は、可視送信モジュール9の電力供給を制御する。この結果は、ダイオード4が、近赤外の光信号及び可視の光信号を、同時に、光ファイバー5を介して送信する。
【0027】
従って、光プローブ3の端部が、センサ1の状態を表示する検査表示ランプとなる。特に、これが調整を容易にし、標的に対し光プローブ3の位置の中心合わせ(例、円板21の縁部20)を促進する。これは、可視波長(この場合、赤色)が、動作波長(この場合、近赤外)と同じ光学経路で送信されるためで、操作者は、センサ1の操作が直接に観察でき、調整に表示ランプ17の使用を不要にする。この表示ランプ17は、センサ3に位置している操作者には常に容易に見えない。改良型として、表示ランプ17は除去できる。
【0028】
留意すべき点は、多重波長ダイオードの使用で、近赤外及び可視の信号を、通常に入手できる型の従来光ファイバー5内で送信している。反して、近赤外及び可視信号が、2つの異なるダイオードで送信される場合、第2の信号の送信に光ファイバーを更に必要とするか、使用される光ファイバーは、2つの異なる源から発生する信号の受信に適合する特別な光ファイバーとなる。ダイオード4は、光ファイバの数に依存する光プローブ3の体積の制限、及び、特に光ファイバーの数及び型に依存するセンサ1の費用を制限する。
【0029】
センサ1は、自動化、測定、マイクロ及びナノ技術、医術、防衛、ロボット工学、安全又は他分野で使用できる。特に適しているのは、標的にされていない送信が危険性を有する場合(例、医療分野、組立て又は防衛分野)である。
【0030】
操作者が、センサ1の正確な動作を検証したい時は、光プローブ3の自由端(所謂、光プローブ3の頭部)の前に手を通過させて光線を切るだけで十分である。これで可視送信モジュール9による赤色光のスイッチのオン又はオフの作用を持つセンサ1の状態変化を引き起こす。
【0031】
受信器6で検知される戻り信号24は、特に、光プローブ3の頭部と標的間の距離、及び、標的に平行な面にある光プローブ3の頭部の位置に依存する。受信を最適にするには、光プローブ3の頭部を標的に対し正確に位置させることが重要である。発明の一つの実施形態として、処理モジュール14は、戻り信号24の特性に応じて可視送信モジュール9の電力供給を制御する。従って、操作者が、標的に垂直な軸上で光プローブ3を動かすと、ダイオード4で送信される赤色光線が、受信の特性に応じてスイッチがオン/オフされる。つまり、受信の特性が、所定の閾値を越えると、受信は良好と判断され赤色光線のスイッチが入る。同様に、操作者が、標的に平行な面内で光プローブ3を動かすと、ダイオード4で送信される赤色光線が、受信の特性(例として、明るい印から暗い印への変移)に応じて、スイッチがオン/オフされる。この特徴が、光プローブ3の位置合わせを視認的及び直感的な表示で容易にする。この特徴は、高速で回転する駆動軸の端部に取付けられ一つの面が黒と白の部分を有する円板(図示せず)に沿って、光プローブを設けている場合に特に適している。
【0032】
センサが必ずしも光ファイバー光学センサである必要がないことを留意して欲しい。例えば埋め込みの場合、(例、自動ドア及びエレベータを制御する装置)、光学ヘッドが表面に現れるだけである。光学ヘッドの動作表示の存在が、装置の正確な動作の表示となる。
【0033】
商品及び人の安全と保護の装置の場合、可視送信モジュール9のスイッチのオフは、遠隔で制御できる。この場合、可視送信モジュール9は、調整中に使用され、警告が作用するとスイッチが切れる。
【0034】
ダイオード4の波長の数は限定されず3つ以上でも良い。ダイオード4は、例えば、近赤外送信モジュール8、赤色光送信モジュール9及び緑色光送信モジュール(図示せず)で構成もできる。この場合、近赤外送信モジュール8は、常に光学測定信号を送信し、他のモジュール(特に、モジュール9)は、動作の視認検査となる表示ランプとして使用される。表示ランプを形成する一つ又はそれ以上のモジュールのスイッチのオン又はオフの制御は、センサ1の状態を現す閾値又は信号のアナログ成分に依存する。
【0035】
受信器6は、異なる送信波長に適合する幾つかのバンド帯フィルタを備えても良い。図4は、センサ1の第2実施形態を例として示す。第1実施形態に似ている素子は、同様の参照番号で表示しており、個々では繰り返し記載しない。
【0036】
この場合、センサ1は、遮断モードの光プローブ3から成る。光ファイバー5の一端を、光プローブ3の第1ヘッド3Aに設け、光ファイバー7の一端を、光プローブ3の第2ヘッド3Bに設けている。送信器4が、円板21の孔30に沿って測定信号19を送信し、受信器6は、戻り信号24を受信する。
【0037】
第3実施形態(図示せず)の場合、ダイオード4は、可視送信モジュール9に加えて又はその代わりに紫外送信モジュールを備えている。この場合、近赤外送信モジュール8は、一部分の存在の検知に使用される。紫外送信モジュールは、一部分の存在が検知できた時、自動追跡が可能となる。紫外送信モジュールの出力は、センサ1のアナログ変数で調整される。これは、特に小形の自動追跡及び検知装置を得るのを可能にする。
【0038】
センサ1は、従って、幾つかの波長の利点を小形の装置への組込みを可能にする。例えば、近赤外は、より強力な信号が得られ、周囲の光の干渉をフィルタするのが容易となり、可視での送信の調整を一層容易にする。
【0039】
発明を幾つかの特定の実施形態を参照して記載したが、発明は、それらに限定されず、記載される手段の技術的に等価物及びその組合せの発明も含む。
【符号の説明】
【0040】
1 センサ(光ファイバー光学センサ)
2 制御筐体
3 光プローブ
4 送信器
5 光ファイバー
6 受信器
7 光ファイバー
8 近赤外送信モジュール
9 可視送信モジュール
10 電力供給モジュール
14 処理モジュール
17 表示ランプ
19 測定信号
24 戻り信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御筐体(2)及び光プローブ(3)で構成されるセンサで、
前記制御筐体(2)が、
近赤外の測定信号(19)を光プローブ(3)の方向に送信可能な送信器(4)と、
前記測定信号(19)の送信に応じて、前記光プローブ(3)を経由して、戻り信号(24)を受信可能とする受信器(6)とを備え、
前記送信器(4)が、前記近赤外に属さない波長の第2信号を送信可能とする多重波長送信器で、
前記制御筐体(2)が、前記戻り信号(24)から確定した前記センサ(1)の状態に応じて、測定信号として同時に前記第2信号の送信の制御を選択的に可能とする処理モジュール(14)を備えていることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記光プローブが、一組の光ファイバー(5,7)を備え、前記光ファイバーの各端部が前記制御筐体(2)に接続されていることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記第2信号が、可視信号であることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
【請求項4】
前記第2信号が、紫外線信号であることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
【請求項5】
前記処理モジュール(14)が、前記戻り信号(24)の特性に応じて、前記第2信号の送信を制御することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のセンサ。
【請求項6】
送信器(4)及び受信器(6)を有する制御筐体(2)と、光プローブ(3)とから成るセンサ(1)を操作する方法において、
前記方法が、
a)近赤外の測定信号(19)の前記送信器(4)で、前記光プローブ(3)の方向に送信を制御する工程と、
b)前記測定信号(19)の送信に応じた前記光プローブ(3)を経由した戻り信号(24)を前記受信器(6)に受信する工程と、
c)前記戻り信号(24)を処理し、そこから前記センサ(1)の状態を推論する工程と、
d)工程c)で確定した前記センサ(1)の状態に応じて、前記近赤外に属さない波長の第2信号の前記送信器(4)による前記光プローブの方向での送信を、同時に前記測定信号の送信として制御又は制御しない工程とから成ることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−536023(P2010−536023A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519498(P2010−519498)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051463
【国際公開番号】WO2009/022081
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(510013286)
【Fターム(参考)】