説明

タイヤ形状検査装置、及びタイヤ形状検査方法

【課題】ショルダ部を含めてタイヤの表面形状を検出することができるようにする。
【解決手段】タイヤ形状検査装置は、タイヤのトレッド部8に対してライン光を照射する第1ライン光照射手段10と、タイヤのサイドウォール部7に対してライン光を照射する第2ライン光照射手段12と、タイヤのショルダ部9から当該ショルダ部9を超えた領域までライン光を照射する第3ライン光照射手段13と、第1ライン光照射手段10、第2照射手段及び第3ライン光照射手段13が照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像する撮像手段16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤのサイドウォール部、ショルダ部及びトレッド部を含む表面に照射されたライン光を撮像し、このライン光の撮像画像に基づいてタイヤの表面形状を検出するタイヤ形状検査装置、及びタイヤ形状検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤの製造を行うにあたって、最終工程であるタイヤ加硫後の検査工程では、タイヤの外形を検査する形状検査を行っているのが一般的である。タイヤは、ゴム製品であるため形状検査は必要不可欠であるが、精度良く形状を製造することは難しい。この形状検査では、人手による目視+触手検査が一般的であったが、近年、レーザやカメラ等を用いて自動化の試みが活発化していきている。
【0003】
タイヤの形状検査において自動で行うにあたっては、まず、タイヤのサイドウォール部にライン光を照射し、照射したライン光をカメラにて撮像し、光切断法によってサイドウォール部の三次元形状を測定する。ここで、サイドウォール部の三次元形状を測定する際は、撮像したサイドウォール部の画像において、文字・ロゴ等を画像処理により認識し、これら文字・ロゴ等の正常な凹凸形状の影響を除去し、サイドウォール部における局部的な凹凸不良等も含めて形状を求めている。
【0004】
また、最近では、トレッド部の幅広化等に伴って当該トレッド部の形状検査を行う技術も開発されつつあり、トレッド部とサイドウォール部の間に存在するショルダ部を含めた形状検査も行われている。
ショルダ部の形状検査を行う技術として、特許文献1や特許文献2に示すものがある。
特許文献1では、タイヤクラウン部(ショルダ部)にスリット光を照射する投光手段とスリット光の照射部を撮影する撮像手段とを備えた撮影手段とタイヤとを相対的に移動させながらタイヤクラウン部のスリット像を撮影するとともに、この撮影されたタイヤクラウン部の凹凸に起因する上記スリット像の輝度データを用いて算出されたタイヤクラウン部の形状データを用いて、当該タイヤの周方向形状の中心軸からのずれの大きさであるRROを算出している。
【0005】
特許文献2では、相対的に回転するタイヤの表面に照射したライン光の像を撮像し、その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによってタイヤの表面形状を検出するタイヤ形状検出装置であって、タイヤの表面に一の光切断線が形成されるように、該光切断線における検出高さ方向とは異なる方向から複数のライン光を連ねて照射するライン光照射手段と、タイヤの表面に照射された複数のライン光の像を、該複数のライン光それぞれの主光線がタイヤの表面に対して正反射する方向において撮像する撮像手段とを具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−185511号公報
【特許文献2】特開2008−221896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、センサヘッド(カメラ)を多くすることによってショルダ部の形状を検査することができるものの、コストが高価になると共にメンテナンス等も大変であり実用化には難しい。また、特許文献2では、ライン光を複数にすることによってカメラを少なくすることができ、特許文献1に示すような問題を低減することができる。
しかしながら、特許文献2では、例えば、ショルダ部であればショルダ部のみに対してライン光を照射し、トレッド部であればトレッド部のみに対してライン光を照射するという方式をとっている。その故、幅広のタイヤの形状を検査する場合は必然的にライン光を照射するための機器が多くなり、その結果、幅広のタイヤの形状検査は難しいという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、ショルダ部を含めてタイヤの表面形状を検出することができるタイヤ形状検査装置、及びタイヤ形状検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の技術的手段は、タイヤのサイドウォール部、ショルダ部及びトレッド部を含む表面に照射されたライン光を撮像し、該ライン光の撮像画像に基づいて前記タイヤの表面形状を検出するタイヤ形状検査装置において、前記タイヤのトレッド部に対してライン光を照射する第1ライン光照射手段と、前記タイヤのサイドウォール部に対してライン光を照射する第2ライン光照射手段と、前記タイヤのショルダ部から当該ショルダ部を超えた領域までライン光を照射する第3ライン光照射手段と、前記第1ライン光照射手段、第2ライン光照射手段及び第3ライン光照射手段が照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像する撮像手段と、を備えている点にある。
【0010】
第1ライン光照射手段、第2ライン光照射手段及び第3ライン光照射手段の少なくとも2つ以上から照射されたライン光は、重なり合って同一線上となっていることが好ましい。
前記撮像手段は、第1撮像手段と第2撮像手段とを有しており、前記第1撮像手段と第1ライン光照射手段とを備える第1センサユニットが、前記タイヤのトレッド部に対面して配置され、前記第2撮像手段と第2ライン光照射手段と第3ライン光照射手段とを備える第2センサユニットが、前記タイヤのサイドウォール部に対面して配置されていて、前記第2センサユニット内の第2撮像手段は、第2ライン光照射手段が照射してタイヤ表面で反射したライン光及び第3ライン光照射手段から照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するように配備されていることが好ましい。
【0011】
前記撮像手段は、第1撮像手段と第2撮像手段とを有しており、前記第1撮像手段と第1ライン光照射手段と第3ライン光照射手段とを備える第1センサユニットが、前記タイヤのトレッド部に対面して配置され、前記第2撮像手段と第2ライン光照射手段とを備える第2センサユニットが、前記タイヤのサイドウォール部に対面して配置されていて、前記第1センサユニット内の第1撮像手段は、第1ライン光照射手段が照射してタイヤ表面で反射したライン光及び第3ライン光照射手段から照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するように配備されていることが好ましい。
【0012】
前記撮像手段は、第1撮像手段と第2撮像手段とを有しており、前記第1撮像手段と第1ライン光照射手段とを備える第1センサユニットが、前記タイヤのトレッド部に対面して配置され、前記第2撮像手段と第2ライン光照射手段とを備える第2センサユニットが、前記タイヤのサイドウォール部に対面して配置されていて、前記第1センサユニットと第2センサユニットとは別の位置に前記第3ライン光照射手段が配備されていて、前記第1センサユニット内の第1撮像手段と第2センサユニット内の第2撮像手段との少なくとも一方が、第3ライン光照射手段が照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するように配備されていることが好ましい。
【0013】
前記第3ライン光照射手段は、当該第3ライン光照射手段の設置位置を可変とする支持機構で支持されていることが好ましい。
前記撮像手段は、前記ライン光を検出する検出器と、前記検出器に前記ライン光の像を結像させる複数のレンズと、前記レンズによって捉える撮像領域を設定する領域設定ミラーと、を備えていることが好ましい。
【0014】
前記領域設定ミラーは2つ以上備えられており、各領域設定ミラーは、前記複数のレンズが捉える前記撮像領域がそれぞれ互いに重複せず且つ不連続となるように設定することが好ましい。
複数のレンズのうち一のレンズは前記タイヤのトレッド部を捉えるように撮像領域が設定され、他のレンズは前記タイヤのショルダ部を捉えるように前記撮像領域が設定されていることが好ましい。
【0015】
複数のレンズのうち一のレンズは前記タイヤのサイドウォール部を捉えるように撮像領域が設定され、他のレンズは前記タイヤのショルダ部を捉えるように前記撮像領域が設定されていることが好ましい。
前記各レンズは、レンズアレイから構成されていることことが好ましい。
前記各レンズのそれぞれの光学系倍率を補正する補正レンズを備えることが好ましい。
【0016】
本発明の他の技術的手段は、タイヤのサイドウォール部、ショルダ部及びトレッド部を含む表面に照射されたライン光を撮像し、該ライン光の撮像画像に基づいて前記タイヤの表面形状を検出するタイヤ形状検査方法において、前記タイヤのトレッド部と前記タイヤのサイドウォール部とのそれぞれにライン光を照射すると共に、タイヤのショルダ部から当該ショルダ部を超えた領域までライン光を照射し、タイヤ表面で反射した前記ライン光を撮像することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、タイヤ表面検査においてショルダ部を含めた広範囲を容易に検出することができる。そのため、大型、幅広のタイヤの表面形状を確実に検査可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態におけるタイヤ形状検査装置の概略図である。
【図2】(a)は、第1実施形態におけるセンサユニットの周りの拡大図であり、(b)は(a)の変形例の拡大図である。
【図3】第2実施形態におけるセンサユニット周りの拡大図である。
【図4】第3実施形態における撮像手段の第1変形例を示す図である。
【図5】撮像手段の変形例を示す図である。
【図6】撮像手段の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
[第1実施形態]
近年、タイヤのサイドウォール部、トレッド部に加え、ショルダ部も含めた形状検査、言い換えれば幅広タイヤの全面検査が望まれている。係る要望に対応すべく、本発明のタイヤ形状検査装置は、タイヤのサイドウォール部、トレッド部及びショルダ部の表面形状の検出が可能となっている。
【0020】
以下、本実施形態のタイヤ形状検査装置について詳しく説明する。
図1に示すように、タイヤ形状検査装置1は、タイヤ回転機2と、センサユニット3と、測定器4と、画像処理装置5とを備えている。
タイヤ回転機2は、形状検査の対象であるタイヤTをその回転軸を中心に回転させるモータ等を備えた回転装置である。タイヤ回転機2は、例えば60rpmの回転速度でタイヤTを回転させる。この回転中にセンサユニット3によって、タイヤTの表面形状が撮像される。
【0021】
センサユニット3は、タイヤTの表面形状を撮像するためのもので、タイヤTの周りに複数設けられている。図1に示す如く、この実施形態では、タイヤTをタイヤ回転機2に装着した状態において、トレッド部(タイヤTの右側)に対面して1台のセンサユニット(第1センサユニット3a)が配置され、サイドウォール部(タイヤTの上下面)に対面してそれぞれ1台ずつのセンサユニット(第2センサユニット3b)が配置されている。
【0022】
測定器4は、タイヤT(タイヤ回転機2)の回転数を検出するものでエンコーダで構成されている。このエンコーダ4は、タイヤ回転機2の回転軸の回転角度を検出し、その結果を検出信号として出力するものである。検出信号は、第1センサユニット3a、第2センサユニット3bにおいてタイヤTの表面形状を撮像する際に、そのタイミングを制御するのに用いられる。
【0023】
例えば、画像処理装置5は、60rpmの速度で回転するタイヤTが所定の角度で回転するたびにエンコーダ4から出力される検出信号を受信し、検出信号の受信タイミングに合わせて第1センサユニット3a、第2センサユニット3bの撮像を制御する。
この画像処理装置5は、入力されたタイヤ表面の1ライン画像に対して光切断法を適用することによって、ライン光が照射された部分の高さ分布情報を得ることができるようになっている。なお、画像処理装置5は、例えばパーソナルコンピュータなどで構成され、光切断法によってタイヤTの表面の凹凸形状(タイヤ表面の変化)を取得することができるものであれば何でもよく、特に限定されない。
【0024】
以下、第1センサユニット3a、第2センサユニット3bについて詳しく説明する。
図2(a)に示すように、タイヤTのトレッド部8に対面して配置された第1センサユニット3aには、トレッド部8に向けてライン光(光切断線)を照射するライン光照射手段(第1ライン光照射手段という)10が備えられている。
第1ライン光照射手段10はLED、ハロゲンランプ等で構成され、第1センサユニット3a内には2個の第1ライン光照射手段10a,10bが設けられている。各第1ライン光照射手段10a,10bの光軸(出力軸)は、タイヤTを設置した状態においてトレッド部8に向けられている。詳しくは、一方の第1ライン光照射手段10aは、タイヤTのトレッド部8とショルダ部9との境界部11からタイヤTの幅方向に向けてトレッド部8の中心部付近までライン光を照射するようになっている。
【0025】
また、他方の第1ライン光照射手段10bは、一方の第1ライン光照射手段10aとは反対側において境界部11からトレッド部8の幅方向に向けてタイヤTの中心部付近までライン光を照射するようになっている。
つまり、一方の第1ライン光照射手段10aにおけるライン光と他方の第1ライン光照射手段10bのライン光とは、タイヤTのトレッド部8で1本の光切断線として重なりあうようになっていて、2つの第1ライン光照射手段10a,10bによってタイヤTのトレッド部8のみにライン光を照射するようになっている。なお、第1ライン光照射手段10(10a,10b)の個数は限定されず、例えば、1つの第1ライン光照射手段10によってタイヤTのトレッド部8のみにライン光を照射してもよい。
【0026】
タイヤTのサイドウォール部7に対面して配置された第2センサユニット3bには、サイドウォール部7に向けてライン光を照射するライン光照射手段(第2ライン光照射手段という)12と、ショルダ部9に向けてライン光を照射するライン光照射手段(第3ライン光照射手段)13とが備えられている。
第2ライン光照射手段12はLED、ハロゲンランプ等で構成され、1つの第2ライン光照射手段12が第2センサユニット3bに設けられている。第2ライン光照射手段12の光軸(出力軸)はタイヤTを設置した状態においてサイドウォール部7に向けられている。第2ライン光照射手段12はサイドウォール部7の一部にライン光を照射するようになっている。この第2ライン光照射手段12はサイドウォール部7の全域にライン光を照射するものであってもよい。言い換えれば、第2ライン光照射手段12は、トレッド部8、サイドウォール部7、ショルダ部9のうちサイドウォール部7のみにライン光を照射するようになっている。
【0027】
第3ライン光照射手段13は、第2ライン光照射手段12とは別にLED、ハロゲンランプ等で構成され、1つの第3ライン光照射手段13が第2センサユニット3bに設けられている。第3ライン光照射手段13の光軸(出力軸)はタイヤTを設置した状態において、ショルダ部9に向けられている。第3ライン光照射手段13は、ショルダ部9の全域及びサイドウォール部7の一部にライン光を照射する。即ち、第3ライン光照射手段13は、ショルダ部9から、当該ショルダ部9とサイドウォール部7との境界部を越えた領域までライン光を照射する。
【0028】
この実施形態では、第2ライン光照射手段12のライン光と第3ライン光照射手段13のライン光とは、タイヤのサイドウォール部7で1本の光切断線として重なりあうようになっていて、この両者によってライドウォール部の全域にライン光が照射されるようになっている。また、第3ライン光照射手段13によってショルダ部9のみにライン光が照射される。
【0029】
第1ライン光照射手段10によるライン光と、第2ライン光照射手段12によるライン光と、第3ライン光照射手段13から照射されたライン光とは同一線上となるようタイヤに対する各ライン光照射手段の位置が設定されている。即ち、第1ライン光照射手段10、第2ライン光照射手段12及び第3ライン光照射手段13によって一斉にライン光を照射し、タイヤ表面から反射するライン光を撮像したとき、同一断面(タイヤの幅方向における同一断面)にてタイヤの輪郭が現れるように、第1ライン光照射手段10、第2ライン光照射手段12、第3ライン光照射手段13の位置が設定されている。
【0030】
なお、平面視において、上述した第1ライン光照射手段10、第2ライン光照射手段12、第3ライン光照射手段13におけるタイヤに対する設置位置(設置角度)は、照射する部分に合わせて適宜設定すればよい。また、第1センサユニット3a、第2センサユニット3bにそれぞれ支持機構15を設けて、この支持機構15によって第1センサユニット3a、第2センサユニット3bをタイヤに対して近接離反(近づけたり遠ざけたり)することのよって、タイヤ表面に対するライン光の照射範囲を調整可能とすることは非常に好ましい。
【0031】
さて、第1センサユニット3a、第2センサユニット3bには、上述したような第1ライン光照射手段10、第2照射手段及び第3ライン光照射手段13が照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像する撮像手段16が備えられている。
詳しくは、撮像手段16は、第1センサユニット3aに設けられて少なくともタイヤTのトレッド部8から反射したライン光(反射光)を撮像する第1カメラ17(第1撮像手段)と、第2センサユニット3bに設けられて少なくともタイヤTのサイドウォール部7から反射したライン光を撮像する第2カメラ18(第2撮像手段)とから構成されている。
【0032】
具体的には、第1カメラ17はCCDなどの半導体イメージセンサを搭載したカメラで構成され、トレッド部8の全域及びショルダ部9の一部におけるライン光(反射光)を撮像するものとされている。なお、第1カメラ17はショルダ部9の全域におけるライン光(反射光)を撮像してもよい。即ち、第1カメラ17は、第3ライン光照射手段13が照射してタイヤ表面で反射したライン光と、第1ライン光照射手段10から照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するものとなっている。
【0033】
また、第2カメラ18は第1カメラ17と同様にCCDカメラで構成され、サイドウォール部7の全域及びショルダ部9の一部におけるライン光(反射光)を撮像するものとされている。なお、第2カメラ18はショルダ部9の全域に照射されたライン光(反射光)を撮像してもよい。即ち、第2カメラ18は、第3ライン光照射手段13が照射してタイヤ表面で反射したライン光と、第2ライン光照射手段12から照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するものとなっている。ショルダ部9から反射したライン光は、第1カメラ17と第2カメラ18との両方を用いて撮像してもよいし、第1カメラ17又は第2カメラ18のいずれか一方を用いてもよい。
【0034】
上述したタイヤ形状検査装置1によって、タイヤの表面形状を検出するためには、まず、第1ライン光照射手段10によってトレッド部8に対してライン光を照射する。また、これと同時に第2ライン光照射手段12によってサイドウォール部7に対してライン光を照射する。さらには、第3ライン光照射手段13によってショルダ部9からサイドウォール部7に亘ってライン光を照射する。
【0035】
そして、タイヤ表面(トレッド部8、ショルダ部9、サイドウォール部7)で反射したライン光を第1カメラ17及び第2カメラ18で撮像する。
次に、画像処理装置5にて、撮像した画像(撮像画像)を三角測量法の原理に基づき処理することによって、タイヤの表面の凹凸形状(3次元形状)を検出することができる。
そのため、トレッド部8やサイドウォール部7はもちろんのこと、ショルダ部9における表面形状を確実に検出することができる。特に、第3ライン光照射手段13によって、ショルダ部9とサイドウォール部7とに跨がってライン光を照射するようになっているため、サイドウォール部7が大きなタイヤであっても、ライン光を照射するための機器を増加させることなく、サイドウォール部7やショルダ部9の表面形状を撮像することができる。
【0036】
なお、第3ライン光照射手段13は、ショルダ部9を超えてトレッド部8の範囲までライン光を照射するものである。具体的には、図2(b)に示すように、第3ライン光照射手段13を第1センサユニット3aに設け、当該第3ライン光照射手段13を、ショルダ部9の全域及びトレッド部8の一部にライン光を照射するものとする。第3ライン光照射手段13はショルダ部9の全域ではなく一部にライン光を照射するものであってもよい。
【0037】
このようにすれば、第3ライン光照射手段13によって、トレッド部8の一部とショルダ部9とに跨がってライン光を照射することができる。そのため、近年、増加してきているスーパーシングルタイヤと呼ばれるタイヤ2本を1本にしたような超幅広なタイヤであっても、ライン光を照射するための機器を増加させることなく、トレッド部8やショルダ部9の表面形状を撮像することができる。
【0038】
以上まとめれば、図2(a)に示すタイヤ形状検査装置1では、第1カメラ17と第1ライン光照射手段10とを備え第1センサユニット3aがトレッド部8に対面して配置され、第2カメラ18と第2ライン光照射手段12と第3ライン光照射手段13とを備える第2センサユニット3bが、サイドウォール部9に対面して配置されている。
また、タイヤ形状検査装置1では、第2センサユニット3b内の第2カメラ18は、第2ライン光照射手段12が照射してタイヤ表面で反射したライン光及び第3ライン光照射手段13から照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するように配備されている。
【0039】
この構成を備えるため、図2(a)に示すタイヤ形状検査装置1では、ショルダ部9からサイドウォール部7を確実に検査することができる。
一方、図2(b)に示すタイヤ形状検査装置1では、第1カメラ17と第1ライン光照射手段10と第3ライン光照射手段13とを備える第1センサユニット3aがトレッド部8に対面して配置され、第2カメラ18と第2ライン光照射手段12とを備える第2センサユニット3bがサイドウォール部7に対面して配置されている。
【0040】
また、タイヤ形状検査装置1では、第1センサユニット3a内の第1カメラ17は、第1ライン光照射手段10が照射してタイヤ表面で反射したライン光及び第3ライン光照射手段13から照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するように配備されている。
この構成を備えるため、図2(b)に示すタイヤ形状検査装置1では、トレッド部8からショルダ部9までの範囲を確実に検査することができる。
【0041】
加えて、図2(b)のタイヤ形状検査装置1においては、第1ライン光照射手段10は、第3ライン光照射手段13が照射しきれないトレッド部8にライン光を投光するものとなっている。この第1ライン光照射手段10及び第3ライン光照射手段13により、幅広のトレッド部を確実にカバーすることができる。
同様に、図2(a)のタイヤ形状検査装置1においては、第2ライン光照射手段12は、第3ライン光照射手段13が照射しきれないサイドウォール部7にライン光を投光するものとなっている。この第2ライン光照射手段12及び第3ライン光照射手段13により、幅広のサイドウォール部7を確実にカバーすることができる。
【0042】
すなわち、発明によれば、大型、幅広のタイヤにあっても、ショルダ部9を含めて広い範囲でタイヤTの表面形状を容易に検出することができるようになる。
[第2実施形態]
上述した第1実施形態では、第3ライン光照射手段13をセンサユニット3(第1センサユニット3a又は第2センサユニット3b)に設けていたが、この第2実施形態では、第3ライン光照射手段13をこれらセンサユニット3a、3bの外側に別に設けたものである。
【0043】
図3に示すように、第1センサユニット3aと第2センサユニット3bの間に第3ライン光照射手段13が配置され、当該第3ライン光照射手段13の光軸中心はショルダ部9に向けられている。
具体的には、第3照射手段はトレッド部8から当該トレッド部8とショルダ部9との境界部を跨いでライン光を照射すると共に、ショルダ部9から当該ショルダ部9とサイドウォール部7とを跨いでライン光を照射するようになっている。言い換えれば、第3ライン光照射手段13は、ショルダ部9の全域とトレッド部8の一部及びサイドウォール部7の一部にライン光を照射するものとなっている。
【0044】
なお、第3ライン光照射手段13には、この第3ライン光照射手段13の設置位置を可変とする支持機構15を設けて、この支持機構15によって第3ライン光照射手段13をタイヤに対して近接離反(近づけたり遠ざけたり)することのよって、タイヤ表面に対するライン光の照射範囲を調整してもよい。
また、この実施形態では、第3ライン光照射手段13は、トレッド部8とサイドウォール部7との両方にライン光を照射するものとなっているが、ショルダ部9を跨がるものであれば、どちから一方であってもよい。タイヤの両側に配置された第2センサユニット3bには、複数(2個)の第2ライン光照射手段12が設けられ、この2つの第2ライン光照射手段12によってサイドウォール部7の全域にライン光が照射されるようになっている。
【0045】
以上まとめれば、図3に示すタイヤ形状検査装置1では、第1カメラ17と第1ライン光照射手段10とを備える第1センサユニット3aがトレッド部8に対面して配置され、第2カメラ18と第2ライン光照射手段12とを備える第2センサユニット3bがサイドウォール部7に対面して配置されている。その上で、第1センサユニット3aと第2センサユニット3bとは別の位置に第3ライン光照射手段13が配備されている。
【0046】
このタイヤ形状検査装置1では、さらに、第1センサユニット3a内の第1カメラ17、又は第2センサユニット3b内の第2カメラ18が、第3ライン光照射手段13が照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するように配備されている。
この実施形態によれば、第3ライン光照射手段13の働きにより、ショルダ部を含めた幅広い範囲のタイヤの表面形状を確実に検出することができる。また、第3ライン光照射手段13をセンサユニット3とは別に独立させることによって、センサユニット3を小さくすることができる。
【0047】
なお、第2実施形態における第1カメラ17及び第2カメラ18の働き、画像処理装置5の処理内容は、第1実施形態と略同様であるため、ここではその詳細説明を省略する。
また、タイヤ形状検査装置1が、複数のライン光照射手段(第1ライン光照射手段10、第2ライン光照射手段12、第3ライン光照射手段13)を有することにより奏する作用効果も第1実施形態と略同様であるため、その詳細説明を省略する。
[第3実施形態]
上述した第1実施形態や第2実施形態における撮像手段16(第1カメラ17、第2カメラ18)は、通常のCCDカメラを採用することが可能であり、その構成に関しては特に限定されていない。
【0048】
しかしながら、第3実施形態で採用する撮像手段16は、複数の単焦点レンズを備えるといった特有の構成を有している。なお、説明の便宜上、タイヤ表面から反射したライン光のことを反射光という。
図4に示すように、第1カメラ17は、ライン光を検出(撮像)するCCD素子等から構成された検出器20と、検出器20にライン光の像を結像させる複数(例えば、3個)のレンズ21と、レンズ21によって捉える撮像領域を設定する領域設定ミラー22とを備えている。
【0049】
各レンズ21は単焦点レンズ21とされ、それぞれのレンズ21は所定の間隔を空けつつ検出器20と並ぶ方向で、第1カメラ17のケース内に配置されている。即ち、第1カメラ17のケースの中央側に1つのレンズ21(中央レンズ21aという)が配置され、中央レンズ21aの両側に2つのレンズ21(左側方レンズ21b、右側方レンズ21c)が配置されている。
【0050】
領域設定ミラー22は、各レンズ21(中央レンズ21a、左側レンズ21b、右側レンズ21c)にて撮像する領域(撮像領域)が、それぞれ互いに重複せず且つ不連続となるように、反射光を各レンズ21に案内するものである。
具体的には、左側レンズ21b及び右側レンズ21cの前側(検出器20とは反対側)にそれぞれ領域設定ミラー22a、22bが配置され、左側の領域設定ミラー22aは左側レンズ21bに反射光を案内し、右側の領域設定ミラー22bは右側レンズ21cに反射光を案内するものとなっている。
【0051】
さらに詳しくは、中央レンズ21a(一のレンズ21)はトレッド部8からの反射光を捉えるように撮像領域Sが設定され、左側レンズ21b(他のレンズ21)は、左側の領域設定ミラー22によって左側のショルダ部9からの反射光を捉えるように設定され、右側レンズ21cは(他のレンズ21)は、右側の領域設定ミラー22によって右側のショルダ部9からの反射光を捉えるように設定されている。なお、撮像領域Sを増減させる場合は、レンズ21と領域設定ミラー22との数を増減すればよい。
【0052】
上述した第1カメラ17によれば、トレッド部8の一部の反射光が中央レンズ21aに取り込まれ、ショルダ部9の一部の反射光、全域の反射光が左レンズ21や右レンズ21に取り込まれ、検出器20に入射するため、タイヤTの表面検査において検査が必要な部分だけ、選択的に撮像画像を得られることができる。
なお、第1カメラ17について説明したが、第2カメラ18も第1カメラ17と同様に、検出器20と、複数(例えば、2個)のレンズ21と、領域設定ミラー22とにより構成してもよい。即ち、第2カメラ18においては、第1カメラ17と撮像する部分が異なるため、一のレンズ21によってサイドウォール部7の反射光を捉えられるようにし、他のレンズ21によってショルダ部9の反射光を捉えるようにする。このとき、領域設定ミラー22は、一のレンズ21又は他のレンズ21のどちらか一方に配置して、撮像領域をサイドウォール部7とショルダ部9との2つにすることが好ましい。
【0053】
以上の構成により、タイヤTの表面を幅広く検査可能となって、大型、幅広のタイヤにあっても、ショルダ部9を含めて広い範囲でタイヤの表面形状を容易に検出することができるようになる。
図5は、撮像手段16の変形例(図4の変形例)を示したものである。
図5に示すように、各レンズ21を、レンズ21が幅方向に連続的に連なって構成されたフライアイレンズ(レンズアレイ)としてもよい。こうすることによって、複数のレンズ21を簡単に製造することができると共に、メンテナンスも行い易い。
【0054】
図6は、撮像手段16の他の変形例(図4の他の変形例)を示したものである。
図6に示すように、レンズ21の光学系倍率を変更して補正する補正レンズ23を、領域設定ミラー22とレンズ21との間に設けてもよい。タイヤと検出器20との間の光軸距離(図中LcenterおよびLside)が撮像領域Sによって変わり、距離の差が大きくなった場合には撮像領域Sによって分解能、撮像範囲Sの差が顕著となる。ここで、上述したように、補正レンズ23を設けることによって、撮像範囲Sの差や分解能の差などを補正することができ、撮像範囲Sに依らず同じ倍率を維持することが可能である。なお、補正レンズ23を設置する位置は、検出器20とレンズ21との間でもよい。
【0055】
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【符号の説明】
【0056】
1 タイヤ形状検査装置
2 タイヤ回転機
3 センサユニット
4 測定器
5 画像処理装置
7 サイドウォール部
8 トレッド部
9 ショルダ部
10 第1ライン光照射手段
11 境界部
12 第2ライン光照射手段
13 第3ライン光照射手段
15 支持機構
16 撮像手段
17 第1カメラ(第1撮像手段)
18 第2カメラ(第2撮像手段)
20 検出器
21 レンズ
22 領域設定ミラー
23 補正レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのサイドウォール部、ショルダ部及びトレッド部を含む表面に照射されたライン光を撮像し、該ライン光の撮像画像に基づいて前記タイヤの表面形状を検出するタイヤ形状検査装置において、
前記タイヤのトレッド部に対してライン光を照射する第1ライン光照射手段と、
前記タイヤのサイドウォール部に対してライン光を照射する第2ライン光照射手段と、
前記タイヤのショルダ部から当該ショルダ部を超えた領域までライン光を照射する第3ライン光照射手段と、
前記第1ライン光照射手段、第2ライン光照射手段及び第3ライン光照射手段が照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像する撮像手段と、
を備えることを特徴とするタイヤ形状検査装置。
【請求項2】
第1ライン光照射手段、第2ライン光照射手段及び第3ライン光照射手段の少なくとも2つ以上から照射されたライン光は、重なり合って同一線上となっていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、第1撮像手段と第2撮像手段とを有しており、
前記第1撮像手段と第1ライン光照射手段とを備える第1センサユニットが、前記タイヤのトレッド部に対面して配置され、
前記第2撮像手段と第2ライン光照射手段と第3ライン光照射手段とを備える第2センサユニットが、前記タイヤのサイドウォール部に対面して配置されていて、
前記第2センサユニット内の第2撮像手段は、第2ライン光照射手段が照射してタイヤ表面で反射したライン光及び第3ライン光照射手段から照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するように配備されていることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、第1撮像手段と第2撮像手段とを有しており、
前記第1撮像手段と第1ライン光照射手段と第3ライン光照射手段とを備える第1センサユニットが、前記タイヤのトレッド部に対面して配置され、
前記第2撮像手段と第2ライン光照射手段とを備える第2センサユニットが、前記タイヤのサイドウォール部に対面して配置されていて、
前記第1センサユニット内の第1撮像手段は、第1ライン光照射手段が照射してタイヤ表面で反射したライン光及び第3ライン光照射手段から照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するように配備されていることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、第1撮像手段と第2撮像手段とを有しており、
前記第1撮像手段と第1ライン光照射手段とを備える第1センサユニットが、前記タイヤのトレッド部に対面して配置され、
前記第2撮像手段と第2ライン光照射手段とを備える第2センサユニットが、前記タイヤのサイドウォール部に対面して配置されていて、
前記第1センサユニットと第2センサユニットとは別の位置に前記第3ライン光照射手段が配備されていて、
前記第1センサユニット内の第1撮像手段と第2センサユニット内の第2撮像手段との少なくとも一方が、第3ライン光照射手段が照射してタイヤ表面で反射したライン光を撮像するように配備されていることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項6】
前記第3ライン光照射手段は、当該第3ライン光照射手段の設置位置を可変とする支持機構で支持されていることを特徴とする請求項5に記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、
前記ライン光を検出する検出器と、
前記検出器に前記ライン光の像を結像させる複数のレンズと、
前記レンズによって捉える撮像領域を設定する領域設定ミラーと、
を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項8】
前記領域設定ミラーは2つ以上備えられており、各領域設定ミラーは、前記複数のレンズが捉える前記撮像領域がそれぞれ互いに重複せず且つ不連続となるように設定することを特徴とする請求項7に記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項9】
複数のレンズのうち一のレンズは前記タイヤのトレッド部を捉えるように撮像領域が設定され、他のレンズは前記タイヤのショルダ部を捉えるように前記撮像領域が設定されていることを特徴とする請求項8に記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項10】
複数のレンズのうち一のレンズは前記タイヤのサイドウォール部を捉えるように撮像領域が設定され、他のレンズは前記タイヤのショルダ部を捉えるように前記撮像領域が設定されていることを特徴とする請求項8に記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項11】
前記各レンズは、レンズアレイから構成されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項12】
前記各レンズのそれぞれの光学系倍率を補正する補正レンズを備えることを特徴とする請求項11に記載のタイヤ形状検査装置。
【請求項13】
タイヤのサイドウォール部、ショルダ部及びトレッド部を含む表面に照射されたライン光を撮像し、該ライン光の撮像画像に基づいて前記タイヤの表面形状を検出するタイヤ形状検査方法において、
前記タイヤのトレッド部と前記タイヤのサイドウォール部とのそれぞれにライン光を照射すると共に、タイヤのショルダ部から当該ショルダ部を超えた領域までライン光を照射し、タイヤ表面で反射した前記ライン光を撮像することを特徴とするタイヤ形状検査方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−193990(P2012−193990A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56782(P2011−56782)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】