説明

ダイボンディングペースト用エポキシ樹脂組成物

【課題】低粘度でありながら結晶性が低く、変異原性の低いエポキシ樹脂を含有し、ダイボンディングペースト用途に有用なエポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】式(1)
【化1】


(式中、nは平均値を示し、0〜1の実数である。Xは、それぞれ独立して単結合、炭素数1〜7の炭化水素基または硫黄原子、酸素原子、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−または−Si(CH−を示す。Yは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基またはアリル基を示し、全体の13〜25%はアリル基である。)で表されるエポキシ樹脂及び硬化剤を含有するダイボンディングペースト用エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高信頼性半導体封止用を始めとする電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を始めとする各種複合材料用、ダイボンディングペースト用を始めとする各種接着剤、塗料等に有用なエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂の製造法、該エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂はその作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、近年電気・電子分野においてはその発展に伴い、高純度化をはじめフィラー高充填のための低粘度性、硬化物の耐熱性、耐湿性、密着性等の諸特性の一層の向上が求められている。また、構造材としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途などにおいて軽量で機械物性の優れた材料であることと同時に、作業性の向上のために低粘度の樹脂が求められている。これらの要求に応えるために、一般的にビスフェノールAやビスフェノールF等の液状エポキシ樹脂が用いられているが、低温で結晶化してしまう、生体に対する変異原性が最近問題となり始めている、更なる低粘度化が求められている等の検討事項がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは低粘度でありながら結晶性が低く、変異原性の低い(エームズ試験において陰性)エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物について鋭意研究の結果、本発明を完成した。即ち、本発明は、(1)式(1)
【0005】
【化1】

【0006】
(式中、nは平均値を示し、0〜1の実数である。Xは、それぞれ独立して単結合、炭素数1〜7の炭化水素基または硫黄原子、酸素原子、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−または−Si(CH−を示す。Yは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基またはアリル基を示し、全体の13〜25%はアリル基である。)で表されるエポキシ樹脂及び硬化剤を含有するダイボンディングペースト用エポキシ樹脂組成物、
(2)エポキシ樹脂が式(1)において、−X−が炭素数1〜2の炭化水素基である樹脂である、上記(1)記載のエポキシ樹脂組成物、
(3)エポキシ樹脂が式(1)において、−X−がメチレン基、エチリデン基またはイソプロピリデン基である樹脂である、上記(1)記載のエポキシ樹脂組成物
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエポキシ樹脂は低粘度でありながら、低温での結晶性が極めて低く、変異原性も低い。また、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、接着性、低吸湿性に優れていてる。更に、本発明の製造法で得られる全ハロゲン量が少ない本発明のエポキシ樹脂を用いた本発明のエポキシ樹脂組成物は半導体を始めとする電子・電気分野用途において、きわめて作業性に優れ、且つ高信頼性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のエポキシ樹脂組成物が含有するエポキシ樹脂(以下、本発明のエポキシ樹脂という)は、下記式(2)
【0009】
【化2】

(式中X及びRは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)で表される化合物とエピハロヒドリン類とを反応させて(エポキシ化反応)得ることができる。式(2)の化合物は、各種ビスフェノール類にアリルハライドを反応させ、アリルエーテル化した後にアリル基をクライゼン転位させることにより得られ、原料のビスフェノール類、モノアリルビスフェノール類、ジアリルビスフェノール類、トリアリルビスフェノール類、テトラアリルビスフェノール類の単独または混合物であり、Rの平均値が13〜25%となるものである。前記のビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビフェノール、シクロヘキシリデンビスフェノール、ビスフェノールS、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、4,4’−(ジメチルシリレン)ビスフェノール、4,4’−オキシビスフェノール等が挙げられる。式(2)の化合物のうちXが炭素数1〜2の炭化水素基であるものが好ましい。また、式(2)の化合物として、上記の様なビスフェノール類を単独でアリル化した化合物だけでなく、2種以上を同一系内でアリル化した化合物を用いても良いし、単独でアリル化した化合物を2種以上混合して用いても良い。
【0010】
エポキシ化反応に使用されるエピハロヒドリン類の用いうる具体例としては、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、β−メチルエピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン、β−エチルエピクロルヒドリン等が挙げられるが、工業的に入手し易く安価なエピクロルヒドリンもしくはエピブロムヒドリンが好ましい。
【0011】
反応は、例えば式(2)の化合物とエピハロヒドリン類の混合物に触媒として水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体を一括添加または徐々に添加しながら20〜120℃で0.5〜10時間反応させる。この際アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物を連続的に添加すると共に反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ更に分液し水は除去しエピハロヒドリン類は反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい(尚、固形アルカリ金属水酸化物を使用するときも減圧脱水してもよい)。また、全ハロゲン量の低いエポキシ樹脂を得る場合は、アルカリ金属水酸化物は徐々に添加し、反応系内の温度は20〜50℃に保つことが好ましい。反応系内の水分は、エピハロヒドリンに対して0.5〜10重量%に保つことが好ましい。0.5重量%以下だと反応が進み難くなり、10重量%以上だと全ハロゲン量が多くなる傾向がある。
【0012】
上記の反応においてエピハロヒドリン類の使用量は式(2)の化合物の水酸基1当量に対して、多ければ多いほど繰り返し単位数(n)が小さくなって低粘度になるが、製造効率を考えれば通常1.0〜20モル、好ましくは2.0〜15モル、より好ましくは3.0〜10モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量は式(2)の化合物の水酸基1当量に対し通常0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.2モルである。
【0013】
また、式(2)の化合物としてはXが炭素数1〜2炭化水素基であるものが好ましく、水酸基のオルト位にアリル基が置換されているものが特に好ましい。この場合、水酸基とエピハロヒドリンの反応性が、通常のフェノール類やクレゾール類の水酸基に比較すると悪い。従って、反応は非プロトン性極性溶媒、アルコール類等の触媒能のある溶媒を使用して行うのが好ましい。用いうる非プロトン性極性溶媒の具体例としては、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒の使用量はエピハロヒドリン類の重量に対し通常5〜200重量%、好ましくは10〜150重量%である。用いうるアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール等が挙げられる。アルコール類の使用量はエピハロヒドリン類の重量に対し通常5〜100重量%、好ましくは5〜50重量%である。アルコール類を使用することによって反応は進み易くなり、全ハロゲン量も非プロトン性極性溶媒を使用した場合よりは多いが、これら溶媒を使用しないときよりは少なくなる。特に、得られたエポキシ樹脂を半導体を始めとする電子電気部品用途に使用する場合は、全ハロゲン量が0.000023mol/g以下であることが好ましく、このようなエポキシ樹脂を得るためには非プロトン性極性溶媒を使用して製造することが好ましい。
【0014】
また、反応に際してテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩を触媒として使用することもできる。この場合の第四級アンモニウム塩の使用量は式(2)の化合物の水酸基1当量に対して通常0.001〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.1モルである。これらは、上記の溶媒と併用してもよい。
【0015】
通常、これらの反応生成物は水洗後、または水洗無しに加熱減圧下過剰のエピハロヒドリン類や、その他使用した溶媒等を除去した後、トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて再び反応を行うことにより全ハロゲン量の低いエポキシ樹脂を得ることが出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量は式(2)の化合物の水酸基1当量に対して通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.15モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。反応終了後副生した塩をろ過、水洗などにより除去し、さらに加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の溶媒を留去することにより本発明のエポキシ樹脂を得ることができる。
【0016】
このようにして得られた本発明のエポキシ樹脂は、その全ハロゲン量が通常0.00005mol/g以下、好ましい条件下で得られたものは0.000023mol/g以下である。尚、全ハロゲン量は、エポキシ樹脂のブチルカルビトール溶液に1N−KOHプロピレングリコール溶液を添加し、10分間還流することにより遊離するハロゲン量(モル)を硝酸銀滴定法により測定し、エポキシ樹脂の重量で除した値である。また、上記式(1)におけるnの値は通常1.0以下、好ましくは0.2以下である。
【0017】
次に本発明のエポキシ樹脂組成物につき説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物において本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂と併用しうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、ビフェノール類、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂臭素化エポキシ樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、変異原性の低いものが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0019】
本発明のダイボンディングペースト用エポキシ樹脂組成物(以下、単に本発明のエポキシ樹脂組成物という)は、硬化剤を含有する。硬化剤としてはアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが使用できる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、もしくはビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、ビフェノール類及びこれらの変性物、式(2)の化合物や前記フェノール類化合物のアリル化物等の多価フェノール類化合物、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるが、変異原性の低い化合物が好ましい。特に電子・電気分野用に使用する場合、フェノール系や酸無水物系硬化剤が好ましい。硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して通常0.5〜1.5当量、好ましくは0.6〜1.2当量である。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。特に、常温で液状である多価フェノール類化合物を用いることが組成物の粘度、保存安定性及び硬化物の密着性、低吸湿性の点から好ましい。
【0020】
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物などが挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてシリカ、アルミナ、タルク、銀粉末等の充填材やシランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができるが、三酸化アンチモンのような変異原性の高い物質は好ましくは混合しないほうがよい。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を所定の割合で均一に混合することにより得られ、ダイボンディングペースト用として用いられる。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば本発明のエポキシ樹脂と好ましくは硬化剤、並びに必要により硬化促進剤、充填材、及び配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ等を用いて均一になるまで充分に混合して本発明のエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を、溶融注型法あるいはトランスファ−成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成形し、必要により80〜200℃で、0.001〜20時間加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
【0022】
また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して本発明の硬化物を得ることもできる。
【0023】
その際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と溶剤の合計重量に対し溶剤の占める割合が、通常10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%となる量使用する。
【実施例】
【0024】
以下本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
4,4’−イソプロピリデンビス(2−アリルフェノール)154重量部、エピクロルヒドリン(ECH、以下同様)650重量部、ジメチルスルホキシド(DMSO、以下同様)400重量部を反応容器に仕込、加熱、撹拌、溶解後、45℃を保持しながら、反応系内を45Torrに保って、40%水酸化ナトリウム水溶液105重量部を4時間かけて連続的に滴下した。この際共沸により留出してくるECHと水を冷却、分液した後、有機層であるECHだけを反応系内に戻しながら反応を行った。水酸化ナトリウム水溶液滴下完了後、引続き減圧下で45℃で2時間、70℃で30分更に反応を行った。ついで水洗を繰り返し、生成塩とDMSOを除去した後、油層から加熱減圧下において過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物に500重量部のメチルイソブチルケトン(MIBK、以下同様)を添加し溶解した。更に、このMIBKの溶液を70℃に加熱し30%水酸化ナトリウム水溶液15重量部を添加し、2時間反応させた後、溶液の洗浄液が中性となるまで水洗を繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてMIBKを留去することにより本発明のエポキシ樹脂(E1)228重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(E1)はエームズ試験において陰性であった。
【0026】
実施例2
実施例1において、4,4’−イソプロピリデンビス(2−アリルフェノール)を4,4’−エチリデンビス(2−アリルフェノール)149重量部に代えた以外は同様の操作を行い、本発明のエポキシ樹脂(E2)187重量部を得た。
【0027】
実施例3
実施例1において、4,4’−イソプロピリデンビス(2−アリルフェノール)をジアリルビスフェノールF(純度85%)138重量部に代えた以外は同様の操作を行い、本発明のエポキシ樹脂(E3)175重量部を得た。
【0028】
比較例1
実施例1において、4,4’−イソプロピリデンビス(2−アリルフェノール)を、ビスフェノールA114重量部に、DMSOを使用せず代わりにテトラメチルアンモニウムクロライド(以下TMAC)1重量部を加えた以外は同様の操作を行いエポキシ樹脂(R1)160重量部を得た。
【0029】
比較例2
比較例1において、ビスフェノールAを、4,4’−エチリデンビスフェノール107重量部に変えた以外は同様の操作を行いエポキシ樹脂(R2)155重量部を得た。
【0030】
比較例3
比較例1において、ビスフェノールAを、ビスフェノールF100重量部に変えた以外は同様の操作を行いエポキシ樹脂(R3)149重量部を得た。
【0031】
前記実施例、比較例におけるエポキシ樹脂の物性を測定した結果を表1に示す。尚、物性値の測定は以下の方法で行った。
・全塩素量試料のブチルカルビトール溶液に1N−KOHプロピレングリコール溶液を添加し、10分間還流することにより遊離する塩素量(モル)を硝酸銀滴定法により測定し、試料の重量で除した値・エポキシ当量JIS K−7236に準じた方法で測定した値・粘度E型回転粘度計(25℃)
【0032】
【表1】

【0033】
実施例4〜6、比較例4〜6
実施例1〜3で得られたエポキシ樹脂(E1)〜(E3)及び比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂(R1)〜(R3)を使用し、これらエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(150℃におけるICI粘度0.1ポイズ、軟化点62℃、水酸基当量105g/eq;以下PN)を1水酸基当量配合し、更に硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)をエポキシ樹脂100重量部当り1重量部をホットプレート状で手早く溶融混合し、これを金型に流し込んで160℃で2時間、更に180℃で8時間で硬化させた。
【0034】
このようにして得られた硬化物の物性を測定した結果を表2の硬化物の物性の欄に示す。尚、物性値の測定は以下の方法で行った。
・銅箔剥離強度:180℃剥離試験測定温度;30℃引っ張り速度;200mm/min銅箔;日鉱グールド(株)製 JTC箔 厚さ70μm・吸湿率:直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を、85℃・85%RHの条件下で24時間加湿した前後の重量増加率(%)
【0035】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式中、nは平均値を示し、0〜1の実数である。Xは、それぞれ独立して単結合、炭素数1〜7の炭化水素基または硫黄原子、酸素原子、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−または−Si(CH−を示す。Yは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基またはアリル基を示し、全体の13〜25%はアリル基である。)で表されるエポキシ樹脂及び硬化剤を含有するダイボンディングペースト用エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
エポキシ樹脂が式(1)において、−X−が炭素数1〜2の炭化水素基である樹脂である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
エポキシ樹脂が式(1)において、−X−がメチレン基、エチリデン基またはイソプロピリデン基である樹脂である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。

【公開番号】特開2007−146171(P2007−146171A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−408(P2007−408)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【分割の表示】特願平9−320539の分割
【原出願日】平成9年11月7日(1997.11.7)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】