説明

ダイヤモンドワイヤーソーと共に使用する水性切削液

硬質脆性材料、例えばシリコンインゴットを切断又は他の方法で処理するために使用される、ダイヤモンドワイヤーソーと共に使用するための水性切削液は、
A.水溶性ポリマー分散剤、典型的には、ポリカルボキシレート、
B.任意的に湿潤剤、
C.任意的に脱泡剤、
D.任意的に腐食防止剤、
E.任意的にキレート化剤、
F.任意的に殺生物剤及び
G.水
を含む。典型的には、水は、この液の少なくとも50重量%を構成し、ポリカルボキシレートは、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールによってグラフト化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は切削液に関する。一つの面に於いて、本発明は水性切削液に関し、別の面に於いて、本発明はダイヤモンドワイヤーソーと共に使用する水性切削液に関する。更に別の面に於いて、本発明は、ポリアルキレングリコール(PAG)によってグラフト化されたポリカルボキシレートを含む水性切削液に関し、更に別の面に於いて、本発明は、脆性材料、例えばシリコンインゴットを処理する水性切削液の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーソー及び類似の装置は、硬質脆性材料、例えばシリコンインゴットを切断して、ウェーハ及びその他の切断片(これらは、次いで、種々の工業、例えば半導体工業に於いて使用される)を製造するために使用される。これらの脆性材料を効率的に切断するために、ワイヤーソーが、切削液と共に使用される。これらの液はスラリー系であり、例えばこれらは、懸濁された研磨粒子、例えば炭化ケイ素(SiC)と組み合わせた懸濁液からなり、これらは、ワイヤーソーと脆性材料、即ち加工品との界面で、ワイヤーソーに適用される。研磨粒子は、切削液中に充分に分布されて、ワイヤーソーが充分に性能を発揮するために、これらがワイヤーソーの周りに充分に分散できるようにすることが必要である。研磨粒子の良好な分散及び懸濁のための鍵は、切削液の粘度である。切削液は、典型的に、ワイヤーソーに付属するリザーバータンク内に保持されており、このタンクから加工品に、ポンプによってスプレーノズルを通って移される。
【0003】
加工品、例えばシリコンインゴットの切断によって、加工品から、典型的には微細な粉末の形で、削り屑、即ち切断破片が作られる。しばしば、この削り屑、例えばシリコンインゴットからのシリコン粉末は価値を有するが、これは、前もって切削液中に存在する研磨材料、例えばSiCと緊密に混合しているので、再利用することが、不可能ではないにしても困難である。その結果、通常、このスラリーは、1回又は2回の切断毎の後に、新しいスラリーで置き換えられる。
【0004】
ダイヤモンドワイヤーソー技術は、特に、削り屑を再利用することに関して、従来のワイヤーソー技術を数レベル越えた利点を提供する。ダイヤモンドワイヤーソー技術に於いて、研磨粒子は切削液中に懸濁されているのではなくて、ワイヤー自体の上に埋められている。これは、より低い粘度を有する切削液を使用できることを意味し、次いで、これは、より速い切断速度を使用できることを意味する。しかしながら、これは、ワイヤーソー/加工品界面でより多くの熱が発生することを意味し、次いで、これは、従来の切削液で見られるものよりも良い冷却効率を有する切削液の使用を必要とする。
【0005】
より低い粘度を有し、研磨粒子を含有しない切削液の使用は、ワイヤーソーの操作及び削り屑の再利用に対して一定の利点を与えるが、これらは、削り屑の懸濁及び分散も受け入れなくてはならない。削り屑の凝集はノズル閉塞及び頻繁な切削液交換になり得る。
【0006】
切削液は幾つかの他の重要な特性も示さなくてはならない。例えば切削液は、削り屑がダイヤモンドワイヤーソー及び加工品の両方から容易に除去され得るように、削り屑を充分に濡らし、懸濁しなくてはならないが、なお、再利用される粒子上に、あったとしても僅かな残渣を残すように、削り屑から容易に除去できなくてはならない。切削液は、ポンプの損傷又はワイヤーソーの操作の中断のおそれがないように、あったとしても僅かな発泡も示さなくてはならない。なお更に、切削液は難燃性でなくてはならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様に於いて、本発明は、
A.水溶性ポリマー分散剤、典型的にはポリカルボキシレート、
B.任意的に、湿潤剤、
C.任意的に、脱泡剤、
D.任意的に、腐食防止剤、
E.任意的に、キレート化剤、
F.任意的に、殺生物剤及び
G.水
を含んでなる切削液である。本発明の或る種の態様に於いては、切削液は、これらの任意の成分の1種、2種、3種又は4種全部を含む。この切削液は水性である、即ちこれは、少なくとも50、典型的には少なくとも60、更に典型的には少なくとも80、なお更に典型的には少なくとも90重量パーセント(重量%)の水を含む。典型的には、この切削液は、98よりも少ない、更に典型的に97重量%よりも少ない水を含む。この水源泉は、広範囲に変化させることができ、典型的には、この水は、粒子状物質又は他の汚染物質を含有していない。典型的には、この水は、脱塩及び/又は脱イオンされている。このポリカルボキシレートは、典型的には、PAG、典型的にはポリエチレングリコール(PEG)によって、グラフト化されている。
【0008】
本発明の切削液は、低い粘度、良好な冷却効率、良好な削り屑懸濁及び分散、削り屑粒子(特にシリコン粒子)の良好な濡れ及びダイヤモンドワイヤーソーのクリーニング並びに低い発泡を示し、一般的に、金属イオンに対して非感受性であり、難燃性である。本発明の切削液は、高い温度で非常に安定でもあり、比較的長い寿命を有する。例えば典型的には、液は、多くの現在の切削液では1個又はそれ以上の加工品(を切断するの)とは対照的に、それを交換することが必要になる前に、10個又はそれ以上の加工品を切断するのに使用することができる。なお更に、シリコン削り屑上の任意の残留切削液も容易に除去して、削り屑の容易な再利用を助長する。
【0009】
一つの態様に於いて、本発明は、水性切削液と共に使用されるワイヤーソーによる硬質脆性材料の切断プロセスであって、このプロセスが、この材料を、切断条件下でワイヤーソー及び切削液と接触させる工程を含み、この切削液が、
A.水溶性ポリマー分散剤、典型的にはポリカルボキシレート、
B.任意的に、湿潤剤、
C.任意的に、脱泡剤、
D.任意的に、腐食防止剤、
E.任意的に、キレート化剤、
F.任意的に、殺生物剤及び
G.水
を含むプロセスである。この切削液はワイヤーソー、典型的にはダイヤモンドワイヤーソーに、典型的には、この材料とこのワイヤーソーとの接触点、即ち界面で又はその直前で適用される。
【0010】
一つの態様に於いて、本発明は、
A.水溶性ポリマー分散剤、典型的には、ポリカルボキシレート、
B.任意的に、湿潤剤、
C.任意的に、脱泡剤、
D.任意的に、腐食防止剤、
E.任意的に、キレート化剤及び
F.任意的に、殺生物剤
を含んでなる切削液プレミックスである。この態様に於いて、このプレミックスは、水の添加によって切削液に転換される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は23℃及びゼロ分での異なった研究サンプルの懸濁結果の写真である。
【0012】
【図2】図2は23℃及び60分での異なった研究サンプルの懸濁結果の写真である。
【0013】
【図3】図3は60℃及び60分での異なった研究サンプルの懸濁結果の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当該技術分野に於ける背景又は慣行とは反対に記載しない限り、全ての部及びパーセントは重量基準であり、全ての試験方法は、この開示の出願日現在のものである。米国特許手続の目的のために、任意の参照された特許、特許出願又は刊行物の内容は、特に、合成技術の開示、定義(この開示中に特に与えられる任意の定義と矛盾しない範囲まで)及び当該技術分野に於ける一般的知識に関して、それらの全部が参照されて含められる(又は、その対応する米国版が、参照によりそのように含められる)。
【0015】
この開示中の数値範囲は近似値であり、従って、他の方法で示さない限り、範囲外の値を含むことができる。数値範囲は、任意の低い値と任意の高い値との間に、少なくとも2単位の分離が存在するという条件で、1単位の増分で低い値から高い値まで及びこれらの値を含めて、全ての値を含む。例えば組成、物理的又は他の特性、例えば分子量、粘度、メルトインデックス等が、100〜1,000である場合、全ての個々の値、例えば100、101、102等及びサブ範囲、例えば100〜144、155〜170、197〜200等は、明示的に列挙されることが意図される。1よりも小さい値を含む又は1よりも大きい分数(例えば1.1、1.5等)を含む範囲について、1単位は、適宜0.0001、0.001、0.01又は0.1であると考えられる。10よりも小さい単一の数字を含む範囲(例えば1〜5)について、1単位は典型的には0.1であると考えられる。これらは特に意図される例に過ぎず、列挙される最低値と最高値との間の数値の全ての可能性のある組合せは、この開示中に明示的に記載されていると考えられるべきである。数値範囲は、この開示中に、とりわけ、切削液及びスラリーの成分量並びに種々のプロセスパラメーターについて示される。
【0016】
「切削液の他の成分と相容性である」及び類似の用語は、切削液の特定の成分、例えば湿潤剤、脱泡剤、腐食防止剤等が、切削液の他の成分の性能を阻止又は著しく妨げないことを意味する。
【0017】
分散剤
本発明の実施に於いて使用されるポリマー分散剤は、水中で解離した後、1個又はそれ以上の負に帯電した基を含有する水溶性ポリマーである。負に帯電した基の例には、カルボキシリック、スルホニック、スルフィニック及びホスホリックが含まれる。このポリマーの例には、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、多糖類、ポリカルボキシレートとして集合的に公知である、アクリル酸、メタクリル酸、アルケニルスルホン酸、芳香族アルケニルスルホン酸、アクリルアミドスルホン酸及びマレイン酸のホモポリマー及びコポリマーが含まれる。このポリマーには、このポリマーの充分な水溶性を維持できる量で、水不溶性コモノマー、例えばスチレン、アルキルスチレン、アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキル(ここで、アルキル基上の水素は、フッ素、塩素、ヒドロキシル又は他の原子若しくは基によって置換されていてよく、このアルキル基は1個又はそれ以上の酸素、硫黄又はケイ素原子を含有していてよい)並びにアクリル酸アリール又はメタクリル酸アリールからの単位が含まれてよい。上記同定されたポリカルボン酸系ポリマー化合物の中で、特に適切に使用される化合物には、アクリル酸のホモポリマー及び/又はアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーのアルカリ金属塩及び/又はオニウム塩が含まれる。ポリカルボン酸系ポリマー化合物及び/又は塩の重量平均分子量(Mw)は、典型的には1,000〜1,000,000、更に典型的には1,000〜100,000、なお更に典型的には10,000〜30,000である。
【0018】
これらのポリマー又はこれらのポリマー中の負に帯電した繰り返し単位は、1個又はそれ以上の水溶性ポリマー、例えばポリアルキレングリコール(PAG)、特にポリエチレングリコール(PEG)によって、異なったグラフト化結合、例えばエステル、エーテル又は炭素−炭素結合を通して、グラフト化されていてよく、好ましくはグラフト化されている。本発明の実施に於いて使用されるポリアルキレングリコールは公知の化合物であり、これらは、当該技術分野で公知の反応条件(例えば“Alkylene Oxides and Their Polymers”、Surfactant Science Series、第35巻参照)下で、水及び一価、二価又は多価化合物の1種又はそれ以上によって開始され、触媒によって促進される、アルキレンオキシドモノマー又はアルキレンオキシドモノマーの混合物の重合によって製造される。
【0019】
一つの態様に於いて、この開始剤は、エチレン若しくはプロピレングリコール又はこれらの1種のオリゴマーである。一つの態様に於いて、この開始剤は、式:
1O−(CHR2CH2O)m−R3
(式中、R1及びR3は、独立に、線状若しくは枝分かれ構造を有し、1個若しくはそれ以上の不飽和結合を含有してよいC1〜C20の脂肪族若しくは芳香族基又は水素であり、但し、R1及びR3の少なくとも1個は水素であり、それぞれのR2は、独立に、水素、メチル又はエチルであり、mは0〜20の正数である)
の化合物である。一つの態様に於いて、始動剤化合物は、3個又はそれ以上のヒドロキシル基を含有する炭化水素化合物、例えばグリセロール又はソルビトールである。
【0020】
一つの態様に於いて、前記触媒は、塩基、典型的には、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物若しくは炭酸塩、脂肪族アミン、芳香族アミン又は複素環式アミンの少なくとも1種である。一つの態様に於いて、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムは塩基触媒である。
【0021】
前記重合に於けるモノマーとして使用されるアルキレンオキシドはC2〜C8オキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキセンオキシド又はオクテンオキシドである。一つの態様に於いて、前記アルキレンオキシドはエチレンオキシド又はプロピレンオキシドである。重合の完結時に、反応混合物を排気し、次いで、1種又はそれ以上の酸の添加によって中和する。中和されたポリアルキレングリコール生成物は4.0〜8.5のpH値を有する。
【0022】
本発明の一つの態様に於いて、ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド又はエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)との水溶性コポリマー若しくはこれらの1種のモノメチル、エチル、プロピル若しくはブチルエーテル又はグリセロールによって開始されたポリエチレンオキシド若しくはEOとPOとのコポリマーである。一つの態様に於いて、このポリアルキレングリコールは、100〜1,000、更に典型的には200〜600の分子量を有する。
【0023】
PAG−g−ポリカルボキシレート中の全ポリアルキレンオキシド単位の重量%は、典型的には少なくとも40%又は更に典型的には少なくとも50、60、70%又はなお更に典型的には80%よりも高い。
【0024】
前記PAG単位は、エーテル、エステル、C−C結合、アミド又はイミドによってポリカルボキシレート構造又はカルボキシレート単位に結合されていてよい。より良い加水分解安定性を与えるために、エーテル及びC−C結合連結が好ましい。
【0025】
前記PAG−g−ポリカルボキシレートは、不飽和モノマーとラジカル的に重合性である炭素−炭素二重結合によって結合されている、ポリエチレンオキシド又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー(ランダム若しくはブロック)を有するポリカルボキシレートを製造する際に、前記列挙したような1種又はそれ以上のモノマーを共重合することによって製造することができる。適切なマクロマー(macromer)の例には、ポリオキシエチレン又はポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート及びアリルエーテル等並びにこれらの化合物の2種又はそれ以上の混合物が含まれる。適切なマクロマーは、好ましくは、500〜10,000、更に好ましくは600〜5,000の範囲内の数平均分子量を有する。ポリオキシエチレン又はポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)アリルエーテルマクロマーは、例えば開始剤としてアリルアルコールを使用するアルコキシル化によって製造することができる。ポリオキシエチレン又はポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)(メタ)アクリレートマクロマーは、公知の技術を使用して、ポリアルキレングリコールのモノアルキルエーテル若しくはモノアリールエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させることによって製造することができ又は(欧州特許第EP1,012,203号明細書)に記載されているようにヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートのアルコキシル化によって製造することができる。PAG−g−ポリカルボキシレートは、ポリカルボキシレートを、ポリアルキレングリコールのモノアルキルエーテル又はモノアリールエーテルによって処理することによって製造することもできる。更に、PAG−g−ポリカルボキシレートは、米国特許第4,528,334号明細書に記載されているように、PAGを、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸又は2−アクリルアミド−2−メチルプロピルスルホン酸によって、ラジカル重合条件下で処理することによって製造することもできる。
【0026】
一つの態様に於いて、PAGは、ポリカルボキシレートにグラフト化されて、PAG−g−ポリカルボキシレートを形成することができる。一つの態様に於いて、PAG−g−ポリカルボキシレートは、(メチル)PEG−g−ポリカルボキシレート、特に、アクリル酸、メタクリル酸、アルケニルスルホン酸、芳香族アルケニルスルホン酸、アクリルアミドスルホン酸又はマレイン酸のホモポリマー又はコポリマーである。理論による制約にとらわれず、PAG−g−ポリカルボキシレートは、削り屑粒子、特にシリコン粒子の表面に強く付着し、これは、削り屑粒子に高い立体的及び静電的反発力の組合せを与える。次いで、これは、切削液媒体中のこの粒子の懸濁及び分散に於いて非常に助けになる。
【0027】
切削液の全重量基準での切削液中のPAG−g−ポリカルボキシレートの量は、少なくとも、典型的には0.05、更に典型的には0.1重量%である。切削液中のPAG−g−ポリカルボキシレートの最大量は、主として経済性及び便利性の問題であるが、典型的には、これは5、更に典型的には3重量%を越えない。
【0028】
典型的に、単独又は互いとの組合せで使用されるが、PAG−g−ポリカルボキシレートは、削り屑粒子の表面に付着し、この粒子に高い立体的及び/又は静電気反撥特性を与えることができる1種又はそれ以上の他の分散剤、例えばポリアクリル酸及び/又はその誘導体との組合せで使用することができる。この例に於いて、典型的には、PAG−g−ポリカルボキシレートは、分散剤の少なくとも50又は60又は70又は80又は90重量%を構成する。
【0029】
この実施で使用される分散剤はアニオン性若しくは非イオン性界面活性剤又はこれらの2種の混合物であってもよい。分散剤として使用することができる好ましい非イオン性界面活性剤は12よりも大きいHLB(親水親油バランス)を有する。例には、TERGITON 15−21、15、20及び40、TERGITON NP−9〜70、TERGITOL XH、XL、XD、TERGITOL 26−Lシリーズ等が含まれる。アニオン性界面活性剤には、室温(23℃)で水中に可溶性であるものが含まれる。
【0030】
湿潤剤
切削液の他の成分と相溶性であり、水性配合物、例えば切削液の表面張力を有効に減少させ、従って加工品及びワイヤーソーの表面を有効に濡らすことができる任意の化合物を、本発明の実施に於いて使用することができる。この湿潤剤は、水中に可溶性又は分散性であり、典型的には電荷に於いてアニオン性、ノニオン性又は両性イオン性である界面活性剤又は界面活性剤混合物である。
【0031】
アニオン性湿潤剤の例には、カルボン酸塩系界面活性剤、例えば脂肪酸、アクリル化アミノ酸、アクリル化ポリペプチド及びポリオキシアルキレン化脂肪アルコールカルボキシレートのナトリウム、カリウム又はアミン塩;スルホン酸塩系界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、第二級n−アルカンスルホン酸塩、N−アシル−n−アルキルタウレート、アリールアルカンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩、スルホコハク酸エステル、アルキルナフタレンスルホン酸塩及びイセチオン酸塩;硫酸エステル塩系界面活性剤、例えば硫酸化アルコール、硫酸化ポリオキシアルキレン化アルコール、硫酸化トリグリセリドオイル、脂肪酸モノエタノールアミドスルフェート、シリコン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン化脂肪酸モノエタノールアミドスルホン酸塩並びにリン酸エステル又はポリリン酸エステルが含まれる。アニオン性界面活性剤に於いて、疎水性物は、線状又は枝分かれ炭化水素鎖、線状又は枝分かれアルキルアリール、線状又は枝分かれアルキルフェノールであってよく、この炭化水素鎖は、不飽和炭素−炭素結合を含有していてよく又は部分的に若しくは完全にフッ素化されていてよい。
【0032】
湿潤剤として使用するのに適しているノニオン性界面活性剤の例には、線状又は枝分かれの第一級又は第二級アルコールエトキシレート又はアルコキシレート(ここで、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)又はより高級アルキレンオキシド単位は、異なった様式で、例えばブロック共重合、ランダム共重合又は末端封止(end capping)により含まれてよく、炭化水素鎖は、不飽和炭素−炭素結合を含有していてよく又は部分的に若しくは完全にフッ素化されていてよい);アミンアルコキシレート;アルキルフェノールエトキシレート;エチレン及びプロピレンオキシド又はブチレンオキシドのブロックコポリマー;長鎖カルボン酸エステル、例えば脂肪酸のグリセリル及びポリグリセリルエステル、ソルビトール又はポリオキシエチレンソルビトールエステル;アルキルポリグリコシド;エトキシル化アセチレンジオール並びにシロキサン界面活性剤が含まれる。ノニオン性界面活性剤に於いて、末端ヒドロキシル基は、部分的に又は完全に「封止された(capped)」界面活性剤として、塩素、アルキルエーテル、アリルエーテル、ベンジルエーテル、アセテート又はアセタールによって置換されていてよい。
【0033】
湿潤剤として使用するのに適している両性イオン性界面活性剤の例には、アルキルベタイン、コカミドプロピルベタイン(cocamidopropyl betaine)、ヒドロキシスルタイアン(hydroxysultaiane)、レシチン及びラウロアンフォ酢酸ナトリウムが含まれる。追加の両性イオン性界面活性剤は、米国特許第4,301,044号明細書及びその中に引用されている文献に記載されている。
【0034】
好ましい界面活性剤又は界面活性剤組合せは、切削液に、45mN/mよりも小さい表面張力を与える。典型的には、界面活性剤又は界面活性剤組合せの選択は、配合物の発泡無し、低い発泡又は不安定な発泡になる。好ましくは、この界面活性剤は、OECD301方法によって決定したとき、容易に生物分解性である。TERGITOL(登録商標)TMNのような、第二級アルコール又は高枝分かれ第二級アルコールエトキシレート(SAE)をベースにする低い表面張力を有する界面活性剤が好ましい。
【0035】
切削液中の湿潤剤の量は、液の全重量基準で、少なくとも、典型的には0.01、更に典型的には0.1重量%である。切削液中の湿潤剤の最大量は、主として経済性及び便利性の問題であるが、これは、典型的には3、更に典型的には1重量%を越えない。
【0036】
脱泡剤
切削液の他の成分と相溶性であり、この液体が、貯蔵、例えばダイヤモンドワイヤーソー装置のリザーバータンク内に保持されており、使用する際に、例えばこのタンクからポンプ輸送され、ワイヤーソー及び加工品表面に適用される間に、切削液の発泡を最小にする又は除く任意の化合物を、本発明の実施に於いて使用することができる。代表的な脱泡剤には、有機変性ポリシロキサン及びポリエーテルが含まれる。代表的な脱泡剤には、アルキルポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジプロピルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、ジオクチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルプロピルポリシロキサン、ジブチルポリシロキサン及びジドデシルポリシロキサン;有機リン化合物、例えばリン酸n−トリ−ブチル、リン酸n−トリブトキシエチル若しくは亜リン酸トリフェニル又はこれらの混合物並びにポリアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド)のコポリマーが含まれる。好ましくは、米国特許第4,024,072号明細書及びその中に引用されている文献に記載されているような、水分散性又は可溶性脱泡剤である。
【0037】
典型的には、本発明の切削液は脱泡剤を含む。切削液中の脱泡剤の量は、液の全重量基準で、典型的にはゼロよりも大きく、少なくとも、更に典型的には0.01、なお更に典型的には0.1重量%である。切削液中の湿潤剤の最大量は、主として経済性及び便利性の問題であるが、これは典型的には、2、更に典型的には1重量%を越えない。
【0038】
腐食防止剤
切削液の他の成分と相溶性であり、切削液が、その通常の貯蔵及び使用時に接触状態になるダイヤモンドワイヤーソー装置の表面の腐食を防止又は排除する任意の化合物を、本発明の実施に於いて使用することができる。代表的な腐食防止剤には、アルカノールアミン、ホウ酸エステル、アミンジカルボキシレート及びトリアゾールが含まれる。代表的な腐食防止剤には、リン含有化学薬品、例えばオルトリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩;ヒドロキシカルボン酸及びそれらの塩、例えばグルコン酸、グルカル酸;アルカノールアミン;ニトリル;カルボキシレート;ケイ酸塩;ホスホン酸塩並びにアゾール化合物、例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール及びハロゲン化アゾールが含まれる。更に好ましくは、米国特許第6,572,789号明細書及びその中に引用されている文献に記載されているような、流動条件下で基体に対して良好な接着を示す水分散性又は可溶性腐食防止剤である。
【0039】
典型的には、本発明の切削液は腐食防止剤を含む。切削液中の腐食防止剤の量は、液の全重量基準で、典型的にはゼロよりも大きく、少なくとも、更に典型的には0.01、なお更に典型的には0.1重量%である。切削液中の湿潤剤の最大量は、主として経済性及び便利性の問題であるが、これは、典型的には2、更に典型的には1重量%を越えない。
【0040】
キレート化剤
切削液の他の成分と相溶性であり、加工品又は配合物の処理、切削液の輸送又は貯蔵のために、切削液中に存在する削り屑粒子又は他の粒子に結合する又は他の方法で付着する任意の化合物を、本発明の実施に於いて使用することができる。代表的なキレート化剤には、エチレンジアミン N’N’−四酢酸(EDTA)並びにその塩及び誘導体;ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)並びにその塩及び誘導体;メチル−グリシン−二酢酸(MGDA)並びにその塩及び誘導体並びにグルタミン−N,N−二酢酸(GLDA)並びにその塩及び誘導体が含まれる。それらの生物分解性のために、HEIDA、MGDA及びGLDAがしばしば好ましい。
【0041】
典型的には、本発明の切削液はキレート化剤を含む。切削液中のキレート化剤の量は、液の全重量基準で、典型的にはゼロよりも大きく、少なくとも、更に典型的には0.01、なお更に典型的には0.1重量%である。切削液中の湿潤剤の最大量は、主として経済性及び便利性の問題であるが、これは、典型的には2、更に典型的には1重量%を越えない。
【0042】
殺生物剤
切削液の他の成分と相溶性であり、切削液中の細胞成長物、例えば細菌、藻類等を有効に最小にする又は除去する任意の化合物を、本発明の実施に於いて使用することができる。切削液は、しばしば、その使用よりも前に充分に配合され、しばしば、それが使用される装置、例えばダイヤモンドワイヤーソーのリザーバータンク内に長期間貯蔵される。切削液中の細胞成長物の存在は、この液の性能を低下させ、装置内の障害物になり、例えばスプレーノズルを詰まらせ得る。代表的な殺生物剤には、トリアジン、オキサゾリジン、オマジンナトリウム及びヨードカルバメートが含まれる。
【0043】
典型的には、本発明の切削液は殺生物剤を含む。切削液中の殺生物剤の量は、液の全重量基準で、典型的にはゼロよりも大きく、少なくとも、更に典型的には0.01、なお更に典型的には0.1重量%である。切削液中の湿潤剤の最大量は、主として経済性及び便利性の問題であるが、これは、典型的には、1、更に典型的には0.8重量%を越えない。
【0044】
添加剤
本発明の切削液は、他の成分又は材料、例えば極性溶媒(例えばアルコール、アミド、エステル、エーテル、ケトン、グリコールエーテル又はスルホキシド)、増粘剤(例えばキサンタンガム、ラムサンガム(rhamsan gum)又はアルキルセルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、染料、フレグランス等を同様に含有することができる。これらの他の材料は、公知の方法で、公知の量で使用される。存在する場合、切削液中の添加剤の全量は、典型的には0.01〜10、更に典型的には0.05〜5、なお更に典型的には0.1〜3重量パーセント(重量%)である。
【0045】
切削液の配合
本発明の切削液は、公知の装置及び公知の技術を使用して配合する。種々の成分を、典型的には、互いに対して、撹拌を与えて、成分の良好な混合を促進して、均質な混合物又はブレンドを製造するための一般的な混合装置を使用して、任意の順序で、室温、例えば23℃で又は低い加熱、例えば30℃〜40℃で添加する。水が、完全に配合された液の主たる成分である場合、典型的には他の成分は水に添加する。
【0046】
一つの態様に於いて、切削液は、脱泡剤、腐食防止剤、キレート化剤又は殺生物剤の少なくとも1種を含む。一つの態様に於いて、切削液は、脱泡剤、腐食防止剤、キレート化剤又は殺生物剤の少なくとも2種を含む。一つの態様に於いて、切削液は、脱泡剤、腐食防止剤、キレート化剤又は殺生物剤の少なくとも3種を含む。一つの態様に於いて、切削液は、脱泡剤、腐食防止剤、キレート化剤又は殺生物剤の4種全部を含む。
【0047】
一つの態様に於いて、切削液は、製造施設で完全に配合し、包装し、中間貯蔵され又はされずに、最終使用者に輸送する。最終使用者は、使用する前にそれを更に貯蔵するか又は貯蔵しないであろう。
【0048】
一つの態様に於いて、切削液は、水の全補足物(例えば水は、コンセントレートの50又は40又は30又は20又は10重量%未満を構成するか又はコンセントレート中に存在しない)以外の材料の、全部ではないにしても大部分を含む、プレミックス又はコンセントレート配合物である。この態様に於いて、配合物の水でない成分は、少量の水有り又は無しで、一般的な混合装置及び技術を使用して混合して、プレミックス又はコンセントレートを形成させ、これは、次いで、包装し、中間貯蔵され又はされずに、最終使用者に輸送する。最終使用者は、使用する前にそれを更に貯蔵するか又は貯蔵しないであろう。このコンセントレートは、典型的には、最小で、切削液が完全に配合されたとき、それらのそれぞれの所望の濃度を与えるために充分な量で、少量の水中に溶解された、PAG−g−ポリカルボキシレート、湿潤剤及びキレート化剤を含む。使用する準備ができたとき、プレミックス又はコンセントレートは、所望の強度まで水によって単純に稀釈する。
【0049】
別の態様に於いて、切削液は、現場(on-site)配合物として単純に混合する。
【0050】
切削液の使用
本発明の切削液は、公知の方法で使用する。典型的には、これは、加工品がワイヤーと接触状態になったとき、切断ワイヤー上にスプレーする。切断ワイヤーは、ワイヤーソー又はワイヤーウエブとして一般的に知られている切断装置の一部であり、これは、通常、互いに平行で、固定されたピッチで配列された微細なワイヤーの列である。加工品は、互いと平行で同じ方向に走っている、これらの微細なワイヤー(典型的には0.1〜0.2ミリメートル(mm)の直径を有する)に対して押し付け、その間に、切削液を加工品とワイヤーとの間に供給し、加工品は、摩耗研削作用によってウェーハにスライスする。これらのワイヤーソーは、米国特許第3,478,732号明細書、米国特許第3,525,324号明細書、米国特許第5,269,275号明細書及び米国特許第5,270,271号明細書に一層完全に記載されている。ダイヤモンドワイヤーソーについては、研磨粒子が、移動するウエブ又はワイヤーの上に埋められている。
【0051】
本発明の切削液は、硬質脆性材料、例えばシリコン、ヒ化ガリウム(GaAs)又はリン化ガリウム(GaP)のインゴット、結晶若しくはウェーハの他の処理に於いて使用することができる。これらの他の処理には、限定無しに、研削、エッチング及び研磨が含まれる。これらの液は、研磨粒子が、基体、例えばワイヤー、セラミック等の上に埋められている用途に於いて特によく作動する。
【0052】
下記の実施例は、本発明の或る態様の例示である。全ての部及びパーセンテージは、他の方法で示される場合を除いて重量基準である。
具体的な態様
【0053】
化学薬品及び装置
本発明の切削液は、表1に記載した成分から製造し、表2に報告したような組成を有していた。比較例の切削液は、全て商業的に入手した。比較例の切削液のいずれもPAG−g−ポリカルボキシレートを含有していない。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
性能試験
【0057】
表面張力
切削液の表面張力は、KRUSSからのモデルK12−MK6張力計で試験した。その結果を表3に報告する。低い表面張力(30mN/m未満)を有する溶液は、汚れを濡らすことができ、汚染したワイヤーからの汚れの容易な除去で助けになることができる。全ての切削液は、比較CF−3を除いて、30mN/mよりも低い表面張力を示す。
【0058】
【表3】

【0059】
発泡
泡を形成し、保持する傾向を、ロスマイルス法(ASTM D1173)を使用して試験した。その結果を表4に報告する。
【0060】
【表4】

【0061】
懸濁能力
異なった時間及び温度での、本発明の切削液サンプル及び比較切削液サンプルについての懸濁結果を、図1〜3に示す。左から右へのサンプル順序は、比較CF−3、比較CF−3、比較CF−1、比較CF−1、本発明CF、本発明CF、比較CF−2及び比較CF−2である。シリコン削り屑の載積量は10重量%であった。
【0062】
削り屑粒子は、切削液サンプル中に分散して、開始時に均一なスラリーを形成する(図1)。室温で、スラリーを更に1時間放置した後、シリコン削り屑の大部分は、比較CF−1及び2サンプルのバイアルの底に沈降し、それらの水性相は全体的に透明になった。本発明のCF(2.5重量%のPEG−g−ポリカルボキシレートを含有していた)及び比較CF−3について、大部分のシリコン削り屑粒子は、バイアル中になおも良く懸濁している(図3)。60℃で、全てのサンプルの懸濁挙動は、室温でのものと同様である。
【0063】
これらの結果は、室温及び60℃での異なった切削液についての分散能が、下記の通り、即ち本発明のCF=CF−3>>CF−1及びCF−2であることを示している。2.5重量%のPEG−g−ポリカルボキシレートでの本発明のCFは、シリコン削り屑のための優れた懸濁能力を示す。
【0064】
分散剤として非イオン性界面活性剤、例えばTERGITOL NP−9(EO成分の重量%を5で割ることによって決定した、12.9の計算HLB値)を使用するとき、Si削り屑の分散物は、室温で1時間安定に放置した後、なおも良く分散されている(図4)。
【0065】
本発明を、前記の具体的な態様によりある程度詳細に説明したが、この詳細は、例示の主目的のためである。多くの変形及び修正を、当業者によって、下記の特許請求の範囲に記載した本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削液の重量基準での重量%で、少なくとも、
A.0.05%の、水中での解離の際に負に帯電される1種又はそれ以上の基を含む、水溶性ポリマー分散剤、
B.任意的に、0.01%の湿潤剤、
C.任意的に、0.01%の脱泡剤、
D.任意的に、0.01%の腐食防止剤、
E.任意的に、0.01%のキレート化剤、
F.任意的に、0.01%の殺生物剤及び
G.50%の水
を含んでなる切削液。
【請求項2】
A.0.05〜5%のポリカルボキシレート分散剤、
B.0.01〜3%の湿潤剤、
C.0.01〜2%の脱泡剤、
D.0.01〜2%の腐食防止剤、
E.0.01〜2%のキレート化剤、
F.0.01〜1%の殺生物剤及び
G.80%の水
を含む請求項1に記載の切削液。
【請求項3】
A.ポリカルボキシレート分散剤がPAG−g−ポリカルボキシレートであり、PAG−g−ポリカルボキシレートのポリカルボキシレートがアクリル酸から誘導された単位を含み、
B.湿潤剤が第二級アルコールアルコキシレートであり、
C.脱泡剤が有機変性ポリシロキサン又はポリエーテルであり、
D.腐食防止剤がアルカノールアミン、ホウ酸エステル、アミンジカルボキシレート又はトリアゾールの少なくとも1種であり、
E.キレート化剤がエチレンジアミン N’N’−四酢酸(EDTA)並びにその塩及び誘導体;ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)並びにその塩及び誘導体;メチル−グリシン−二酢酸(MGDA)並びにその塩及び誘導体又はグルタミン−N,N−二酢酸(GLDA)並びにその塩及び誘導体の少なくとも1種であり、そして
F.殺生物剤がトリアジン、オキサゾリジン、オマジンナトリウム又はヨードカルバメートの少なくとも1種である、
請求項2に記載の切削液。
【請求項4】
水性切削液と共に使用されるワイヤーソーによる硬質脆性材料の切断プロセスであって、このプロセスが、前記材料を、切断条件下でワイヤーソー及び切削液と接触させる工程を含み、この切削液が、
A.0.05%の、水中での解離の際に負に帯電される1種又はそれ以上の基を含む、水溶性ポリマー分散剤、
B.任意的に、0.01%の湿潤剤、
C.任意的に、0.01%の脱泡剤、
D.任意的に、0.01%の腐食防止剤、
E.任意的に、0.01%のキレート化剤、
F.任意的に、0.01%の殺生物剤及び
G.50%の水
を含むプロセス。
【請求項5】
前記切削液が、
A.0.05〜5%のポリカルボキシレート分散剤、
B.0.01〜3%の湿潤剤、
C.0.01〜2%の脱泡剤、
D.0.01〜2%の腐食防止剤、
E.0.01〜2%のキレート化剤、
F.0.01〜1%の殺生物剤及び
G.80%の水
を含む請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記切削液が、
A.PAG−g−ポリカルボキシレート及びPAG−g−ポリカルボキシレートのポリカルボキシレートがアクリル酸から誘導された単位を含み、
B.湿潤剤が第二級アルコールアルコキシレートであり、
C.脱泡剤が有機変性ポリシロキサン又はポリエーテルであり、
D.腐食防止剤がアルカノールアミン、ホウ酸エステル、アミンジカルボキシレート又はトリアゾールの少なくとも1種であり、
E.キレート化剤がエチレンジアミン N’N’−四酢酸(EDTA)並びにその塩及び誘導体;ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)並びにその塩及び誘導体;メチル−グリシン−二酢酸(MGDA)並びにその塩及び誘導体又はグルタミン−N,N−二酢酸(GLDA)並びにその塩及び誘導体の少なくとも1種であり、そして
F.殺生物剤がトリアジン、オキサゾリジン、オマジンナトリウム又はヨードカルバメートの少なくとも1種、
を含んでなる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記硬質脆性材料がシリコン、GaAs又はGaPを含む請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
ワイヤーソーがダイヤモンドワイヤーソーである請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
A.PAG−g−ポリカルボキシレート分散剤、
B.任意的に、湿潤剤、
C.任意的に、脱泡剤、
D.任意的に、腐食防止剤、
E.任意的に、キレート化剤及び
F.任意的に、殺生物剤
を含む切削液コンセントレート。
【請求項10】
湿潤剤、脱泡剤、腐食防止剤、キレート化剤及び殺生物剤が存在し、
A.前記PAG−g−ポリカルボキシレートのPAGがPEGであり、PAG−g−ポリカルボキシレートのポリカルボキシレートが、アクリル酸から誘導された単位を含み、
B.湿潤剤が第二級アルコールアルコキシレートであり、
C.脱泡剤が有機変性ポリシロキサン又はポリエーテルであり、
D.腐食防止剤がアルカノールアミン、ホウ酸エステル、アミンジカルボキシレート又はトリアゾールの少なくとも1種であり、
E.キレート化剤がエチレンジアミン N’N’−四酢酸(EDTA)並びにその塩及び誘導体;ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)並びにその塩及び誘導体;メチル−グリシン−二酢酸(MGDA)並びにその塩及び誘導体又はグルタミン−N,N−二酢酸(GLDA)並びにその塩及び誘導体の少なくとも1種であり、そして
F.殺生物剤がトリアジン、オキサゾリジン、オマジンナトリウム又はヨードカルバメートの少なくとも1種である、
請求項9に記載の切削液コンセントレート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−507490(P2013−507490A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533453(P2012−533453)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/CN2009/001151
【国際公開番号】WO2011/044718
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】