ダミーパターンの設計方法
【課題】金属配線パターンの寄生抵抗を低減可能なダミーパターンの設計方法を提供する。
【解決手段】切り欠きパターン2を一及び逆方向に各所定値Δx1だけ縮小して縮小図形4を生成した後、各所定値Δx1だけ拡大してダミーパターン5を生成し、その外形を抽出して矩形図形6を生成した後、各所定値Δx1だけ縮小して縮小図形7を生成し、ダミーパターン5から縮小図形7を論理減算して切り欠き図形8及び矩形図形9を生成し、切り欠き図形8を抽出してダミーパターン5から論理減算して矩形図形10を生成した後、各所定値Δx1だけ縮小して縮小図形11を生成し、矩形図形10から縮小図形11を論理減算して第1,第2のビア配置領域12,13を生成し、各ビア配置領域12,13にビア14をそれぞれ配置する。
【解決手段】切り欠きパターン2を一及び逆方向に各所定値Δx1だけ縮小して縮小図形4を生成した後、各所定値Δx1だけ拡大してダミーパターン5を生成し、その外形を抽出して矩形図形6を生成した後、各所定値Δx1だけ縮小して縮小図形7を生成し、ダミーパターン5から縮小図形7を論理減算して切り欠き図形8及び矩形図形9を生成し、切り欠き図形8を抽出してダミーパターン5から論理減算して矩形図形10を生成した後、各所定値Δx1だけ縮小して縮小図形11を生成し、矩形図形10から縮小図形11を論理減算して第1,第2のビア配置領域12,13を生成し、各ビア配置領域12,13にビア14をそれぞれ配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線構造を有する半導体集積回路装置におけるダミーパターンの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置は、通常、複数の金属配線層と複数の絶縁層とが交互に積層された多層配線構造を有している。
このような多層配線構造を有する半導体集積回路装置では、金属配線パターンの面積や配置密度の違いによって複数の金属配線層が積層されている領域とそうでない領域とが混在しており、多層配線構造部における厚さのばらつきが生じる。
厚さのばらつきが大きいと、その段差部における絶縁層及び金属配線層の厚さが薄くなる。絶縁層の厚さが薄くなっている部分では絶縁性が悪化するため、積層方向における金属配線層間でショート不良が発生する場合がある。金属配線層の厚さが薄くなっている部分ではその部分の金属配線パターンが断線する場合がある。
そこで、金属配線層上に成膜された絶縁層の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing :化学的機械的研磨)法を用いて平坦化することが行われる。
【0003】
しかしながら、金属配線層上に成膜された絶縁層の表面の段差が大きいと、平坦化するまでの研磨時間が長くなるので生産性を悪化させる要因となったり、下層の金属配線層を露出させてしまう場合がある。下層の金属配線層が露出した状態で平坦化された絶縁膜上に上層の金属配線層を形成すると、上層の金属配線層と下層の金属配線層とが露出した部分で短絡してしまう場合がある。
【0004】
そこで、金属配線層に回路構成とは無関係なダミーパターンを設けることにより、その金属配線層における金属配線パターンの配置密度のばらつきをダミーパターンで低減することが行われている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−115905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているようなダミーパターンは、一般的に、DRC(design rule check)を用いたCAD(Computer aided design)処理により、金属配線パターンが形成されていない領域に、金属配線パターンの密度のばらつきを低減する目的で一律にデータ生成される。
【0007】
ところで、半導体プロセスの微細化技術の発達により、半導体集積回路の高密度化及び大規模化が進んでいる。これにより、金属配線パターンは、線幅が細く、かつ配線長が長くなる傾向にあり、金属配線パターンの寄生抵抗が回路の遅延に大きな影響を与えており、回路を誤動作させる要因の1つになっている。
また、電源配線用の金属配線パターンの寄生抵抗の効果は電源配線に流れる電流と相まって、個々の回路に供給される電圧の低下を引き起こす。この電圧の低下はIRドロップと称され、このIRドロップにより、タイミング遅延が発生し、半導体集積回路装置が動作不良を起こす場合がある。回路を安定的に動作させるためには、電源配線及びGND配線の線幅をそれぞれできるだけ太くして寄生抵抗を下げることが望ましい。しかしながら、電源配線及びGND配線の線幅を太くするとチップ面積が増大し、チップ面積に応じてチップコストが増大してしまうため、現実的に難しいのが実状である。
【0008】
そこで、本発明は、チップ面積の増大を抑えつつ半導体集積回路装置の金属配線パターンの寄生抵抗に起因する動作不良を抑制することが可能な、ダミーパターンの設計方法、特に、角部が切り欠き形状を有するダミーパターンの設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は次のダミーパターンの設計方法を提供する。
一方向に延在するパターンを含む配線パターンを有する第1の配線層の積層方向に配置される第2の配線層に、前記配線パターンにビアを介して接続するダミーパターンを生成するためのダミーパターンの設計方法において、
前記配線パターン(1)に対応する領域に、角部に切り欠き(3)を有するダミーパターン生成用パターン(2)を生成するダミーパターン生成用パターン生成ステップと、前記ダミーパターン生成用パターン(2)を前記一方向及び前記一方向とは逆方向にそれぞれ所定の値(Δx1)だけ縮小して第1の縮小図形(4)を生成する第1の縮小図形生成ステップと、前記第1の縮小図形(4)を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値(Δx1)だけ拡大してダミーパターン(5)を生成するダミーパターン生成ステップと、前記ダミーパターン(5)の外形を抽出して前記ダミーパターン(5)の外周の辺を一辺とする第1の矩形図形(6)を生成する第1の矩形図形生成ステップと、前記第1の矩形図形(6)を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値(Δx1)だけ縮小して第2の縮小図形(7)を生成する第2の縮小図形生成ステップと、前記ダミーパターン(5)から前記第2の縮小図形(7)を論理減算して、角部に切り欠き(3)を有する切り欠き図形(8)、及び第2の矩形図形(9)をそれぞれ生成する、切り欠き図形及び矩形図形生成ステップと、前記切り欠き図形(8)及び前記第2の矩形図形(9)のうち、矩形形状を有さない前記切り欠き図形(8)を抽出する切り欠き図形抽出ステップと、前記ダミーパターン(5)から前記切り欠き図形(8)を論理減算して第3の矩形図形(10)を生成する第3の矩形図形生成ステップと、前記第3の矩形図形(10)を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値(Δx1)だけ縮小して第3の縮小図形(11)を生成する第3の縮小図形生成ステップと、前記第3の矩形図形(10)から前記第3の縮小図形(11)を論理減算して、互いに離間して配置される第1のビア配置領域(12)及び第2のビア配置領域(13)を生成するビア配置領域生成ステップと、前記第1のビア配置領域(12)に前記ビア(14)が配置されたビアセル及び前記第2のビア配置領域(13)に前記ビア(14)が配置されたビアセルを生成するビアセル生成ステップと、を含むことを特徴とするダミーパターンの設計方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特に、角部が切り欠き形状を有するダミーパターンの設計方法において、チップ面積の増大を抑えつつ半導体集積回路装置の金属配線パターンの寄生抵抗に起因する動作不良を抑制することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図2】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図3】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図4】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図5】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図6】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図7】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図8】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図9】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図10】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図11】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図12】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図13】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面透視図である。
【図14】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図15】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図16】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図17】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図18】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図19】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図20】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図21】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図22】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図23】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図24】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図25】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図26】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図27】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図28】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図29】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図30】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図30を用いて説明する。
【0013】
<第1の実施の形態>
本発明に係るダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態について図1〜図13を用いて説明する。
【0014】
まず、複数の金属配線パターンからなる第1金属配線層の「第1金属配線層データ」を作成する。
「第1金属配線層データ」には、例えば図1に示す金属配線パターン1のデータが含まれている。
【0015】
次に、第1金属配線層に対して積層方向に位置する第2金属配線層の「第2金属配線層データ」を作成する。
【0016】
一般的に、自動配線処理を行うCAD(Computer aided design)では、所定の金属配線層では所定の方向のみに配線を行うようにルール化されている場合が多い。この配線方法は、積層間の金属配線層同士の配線ショートの発生を抑制して効率的に配線する方法である。例えば、第1金属配線層ではX方向のみに配線を行い、第2金属配線層ではY方向のみに配線を行い、第1金属配線層の金属配線パターンと第2金属配線層の金属配線パターンとの立体交差している箇所や重なり合ってビアが配置されている箇所以外は金属配線パターンのないデッドスペースとなっている場合が多い。
なお、このデッドスペースには、通常、CAD処理によって、金属配線パターンの密度のばらつきを低減する目的で一律にダミーパターンが生成される。
【0017】
第1の実施の形態では、第2金属配線層における、金属配線パターン1に対応する領域が金属配線パターンのないデッドスペースとなっている場合、従来のように一律にダミーパターンを生成するのではなく、金属配線パターン1の形状に基づいてダミーパターンを生成する。
【0018】
しかしながら、実際には、他の金属配線パターンの形状や配置の影響により、金属配線パターン1と同じ形状で基礎となるダミーパターン生成用パターンを生成することができない場合があり、例えば、図2に示すように、角部に切り欠き3を有するダミーパターン生成用パターン2が生成される。
しかしながら、従来の、DRCルールに則ったビアの配置ルールでは、このような角部に切り欠き3を有するダミーパターン生成用パターン2に対応できていないので、DRCエラーが発生する場合がある。
【0019】
そこで、第1の実施の形態におけるダミーパターンの設計方法を以下に示す。
【0020】
図3に示すように、第2金属配線層におけるダミーパターン生成用パターン2を、X方向(図3における左右方向)にΔx1(例えば4.01μm)ずつ縮小する。
この縮小により、X方向の幅が「2×Δx1」よりも小さい(例えば8.00μm)図形は消滅する。
例えば、図2のダミーパターン生成用パターン2は、X方向の縮小により、図3の縮小図形4になる。
【0021】
図4に示すように、縮小図形4を、X方向(図4における左右方向)に同じくΔx1ずつ拡大する。
このX方向の拡大により、図3の縮小図形4は、図4の拡大図形5になる。
この拡大図形5は、第2金属配線層において、第1金属配線層の金属配線パターン1に対応するダミーパターン5となる。
【0022】
一般的、DRCルールに則ったビアの配置ルールでは、矩形領域にビアを最大数、配置できるように、ビアの行数及び列数を決定する。従って、ビアの配置領域は、原則、矩形形状であることが必要とされる。
そこで、上述した第1金属配線層の金属配線パターン1と第2金属配線層のダミーパターン5とを積層方向に接続するビアセルの生成方法を第1の実施の形態として以下に示す。
【0023】
図4に示すダミーパターン5の外形を抽出し、ダミーパターン5の外周の辺を一辺とする矩形図形6を生成する(図5参照)。
【0024】
図6に示すように、矩形図形6を、X方向(図6における左右方向)に同じくΔx1ずつ縮小して、縮小図形7とする。
【0025】
図4に示すダミーパターン(拡大図形)5から、図6に示す縮小図形7を論理減算することによって、図7に示す、切り欠き3を有する切り欠き図形8、及び矩形図形9を生成する。
【0026】
図8に示すように、生成した切り欠き図形8及び矩形図形9から、矩形形状を有さない図形を抽出する。図8においては、矩形形状を有さない切り欠き図形8を抽出する。
【0027】
図4に示すダミーパターン(拡大図形)5から、図8に示す切り欠き図形8を論理減算することによって、図9に示す、矩形図形10を生成する。
【0028】
図9に示す矩形図形10を、X方向(図10における左右方向)に同じくΔx1ずつ縮小して、図10に示す縮小図形11とする。
【0029】
図9に示す矩形図形10から、図10に示す縮小図形11を論理減算することによって、図11に示す、ビア配置領域12,13を生成する。
【0030】
図12に示すように、DRCルールに則ったビア配置ルールに基づいて、ビア配置領域12,13にビア14がそれぞれ最大数、配置されるように、ビアセルを生成する。
【0031】
図13に、第1金属配線層の金属配線パターン1と、第2金属配線層のダミーパターン5と、金属配線パターン1とダミーパターン5とを積層方向に電気的に接続するビア14と、の積層方向の位置関係を模式的に示す。
例えば、電流が図13の右側から左側に流れる場合、電流は、第1金属配線層の金属配線パターン1を流れると共に、ビア14を介して第2金属配線層のダミーパターン5にも流れるので、実質的に電流が流れる金属配線パターンの断面積が大きくなった状態と同じになるため、金属配線パターン抵抗を小さくすることができる。
【0032】
なお、上述した第2金属配線層において、角部が切り欠き形状を有するダミーパターン5の他に、角部が切り欠き形状を有さないダミーパターンが配置されている場合は、角部が切り欠き形状を有さないダミーパターンについては図8〜図11の工程を省略することができる。
【0033】
上述した手順により、特に、角部が切り欠き形状を有するダミーパターンの設計方法において、チップ面積の増大を抑えつつ半導体集積回路装置の金属配線パターンの寄生抵抗に起因する動作不良を抑制することが可能になる。
【0034】
また、上述した手順によれば、ダミーパターンの形状、特にダミーパターンの切り欠き形状に応じて最適なビア配置領域を生成して配置し、このビア配置領域内に、DRCルールに則ったビア配置ルールに基づいてビア配置を行うため、DRCエラーの発生を防止することができる。
【0035】
また、上述した手順によれば、同じ大きさで同じ形状のビア配置領域が複数ある場合、生成した1つのビアセルを共通に用いることができるので、ビアレイアウトのデータ数を減らすことができる。
【0036】
<第2の実施の形態>
本発明に係るダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態について図14〜図30を用いて説明する。
なお、説明をわかりやすくするために、第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0037】
まず、複数の金属配線パターンからなる第1金属配線層の「第1金属配線層データ」を作成する。
「第1金属配線層データ」には、例えば図14に示す金属配線パターン1のデータが含まれている。
【0038】
次に、第1金属配線層に対して積層方向に位置する第2金属配線層の「第2金属配線層データ」を作成する。
【0039】
一般的に、自動配線処理を行うCAD(Computer aided design)では、所定の金属配線層では所定の方向のみに配線を行うようにルール化されている場合が多い。この配線方法は、積層間の金属配線層同士の金属配線ショートの発生を抑制して効率的に配線する方法である。例えば、第1金属配線層ではX方向のみに配線を行い、第2金属配線層ではY方向のみに配線を行い、第1金属配線層の金属配線パターンと第2金属配線層の金属配線パターンとの立体交差している箇所や重なり合ってビアが配置されている箇所以外は金属配線パターンのないデッドスペースとなっている場合が多い。
なお、このデッドスペースには、通常、CAD処理によって、金属配線パターンの密度のばらつきを低減する目的で一律にダミーパターンが生成される。
【0040】
第2の実施の形態では、第2金属配線層における、金属配線パターン1に対応する領域が金属配線パターンのないデッドスペースとなっている場合、従来のように一律にダミーパターンを生成するのではなく、金属配線パターン1の形状に基づいてダミーパターンを生成する。
【0041】
しかしながら、実際には、他の金属配線パターンの形状や配置の影響により、金属配線パターン1と同じ形状で基礎となるダミーパターン生成用パターンを生成することができない場合があり、例えば、図15に示すように、角部に切り欠き3を有するダミーパターン生成用パターン2が生成される。
しかしながら、従来の、DRCルールに則ったビアの配置ルールでは、このような角部に切り欠き3を有するダミーパターン生成用パターン2に対応できていないので、DRCエラーが発生する場合がある。
【0042】
そこで、第2の実施の形態におけるダミーパターンの設計方法を以下に示す。
【0043】
図16に示すように、第2金属配線層におけるダミーパターン生成用パターン2を、X方向(図16における左右方向)にΔx1(例えば4.01μm)ずつ縮小する。
この縮小により、X方向の幅が「2×Δx1」よりも小さい(例えば8.00μm)図形は消滅する。
例えば、図15のダミーパターン生成用パターン2は、X方向の縮小により、図16の縮小図形4になる。
【0044】
図17に示すように、縮小図形4を、X方向(図17における左右方向)に同じくΔx1ずつ拡大する。
このX方向の拡大により、図16の縮小図形4は、図17の拡大図形5になる。
この拡大図形5は、第2金属配線層において、第1金属配線層の金属配線パターン1に対応するダミーパターン5となる。
【0045】
一般的、DRCルールに則ったビアの配置ルールでは、矩形領域にビアを最大数、配置できるように、ビアの行数及び列数を決定する。従って、ビアの配置領域は、原則、矩形形状であることが必要とされる。
そこで、上述した第1金属配線層の金属配線パターン1と第2金属配線層のダミーパターン5とを積層方向に接続するビアセルの生成方法を第2の実施の形態として以下に示す。
【0046】
図17に示すダミーパターン5の外形を抽出し、ダミーパターン5の外周の辺を一辺とする矩形図形6を生成する(図18参照)。
【0047】
図19に示すように、矩形図形6を、X方向(図19における左右方向)に同じくΔx1ずつ縮小して、縮小図形7とする。
【0048】
図17に示すダミーパターン(拡大図形)5から、図19に示す縮小図形7を論理減算することによって、図20に示す、切り欠き3を有する切り欠き図形8、及び矩形図形9を生成する。
【0049】
図21に示すように、生成した切り欠き図形8及び矩形図形9から、矩形形状を有さない図形を抽出する。図21においては、矩形形状を有さない切り欠き図形8を抽出する。
【0050】
図21に示す切り欠き図形8の外形を抽出し、切り欠き図形8の外周の辺を一辺とする矩形図形21を生成する(図22参照)。
【0051】
図21の切り欠き図形8の外形と図22の矩形図形21の外形とを比較して、切り欠き3の各端辺22を抽出する(図23参照)。
【0052】
図24に示すように、Y方向(図24における上下方向)に延在するX端辺23をさらに抽出する。
【0053】
図25に示すように、X端辺23を一辺とし、Y方向に延在する、上述したΔx1よりも長いY辺を他辺とする矩形図形24を生成する。
【0054】
図21に示す矩形図形8から、図25に示す矩形図形24を論理減算することによって、図26に示す、矩形図形25を生成する。
【0055】
図20に示す、切り欠き3を有する切り欠き図形8、及び矩形図形9から、矩形形状を有さない図形を抽出して削除する。図27においては、図20に示す、切り欠き3を有する切り欠き図形8、及び矩形図形9から、図21に示す切り欠き図形8を論理減算することによって、矩形図形9を残す。
【0056】
図26の矩形図形25と図27の矩形図形9を論理加算することによって、図28に示す、ビア配置領域26,27を生成する。
【0057】
図29に示すように、DRCルールに則ったビア配置ルールに基づいて、ビア配置領域26,27にビア28がそれぞれ最大数、配置されるように、ビアセルを生成する。
【0058】
図30に、第1金属配線層の金属配線パターン1と、第2金属配線層のダミーパターン5と、金属配線パターン1とダミーパターン5とを積層方向に電気的に接続するビア28と、の積層方向の位置関係を模式的に示す。
例えば、電流が図30の右側から左側に流れる場合、電流は、第1金属配線層の金属配線パターン1を流れると共に、ビア28を介して第2金属配線層のダミーパターン5にも流れるので、実質的に電流が流れる金属配線パターンの断面積が大きくなった状態と同じになるため、金属配線パターン抵抗を小さくすることができる。
【0059】
上述した手順により、特に、角部が切り欠き形状を有するダミーパターンの設計方法において、チップ面積の増大を抑えつつ半導体集積回路装置の金属配線パターンの寄生抵抗に起因する動作不良を抑制することが可能になる。
【0060】
なお、上述した第2金属配線層において、角部が切り欠き形状を有するダミーパターン5の他に、角部が切り欠き形状を有さないダミーパターンが配置されている場合は、角部が切り欠き形状を有さないダミーパターンについては図21〜図28の工程を省略することができる。
【0061】
また、上述した手順によれば、ダミーパターンの形状、特にダミーパターンの切り欠き形状に応じて最適なビア配置領域を生成して配置し、このビア配置領域内に、DRCルールに則ったビア配置ルールに基づいてビア配置を行うため、DRCエラーの発生を防止することができる。
【0062】
また、上述した手順によれば、同じ大きさで同じ形状のビア配置領域が複数ある場合、生成した1つのビアセルを共通に用いることができるので、ビアレイアウトのデータ数を減らすことができる。
【0063】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0064】
上述した第1及び第2の実施の形態ではX方向(図1〜図30における各左右方向)に延在するダミーパターンの設計方法について説明したが、Y方向(図1〜図30における各上下方向)に延在するダミーパターンに対しても、X方向をY方向に替えて同様の処理を行うことができる。
【0065】
また、上述した第1及び第2の実施の形態では比較的配線幅の狭い金属配線パターンに対してダミーパターンを設計する例を挙げて説明したが、比較的配線幅の広い、又はベタパターンの電源配線又はGND配線に対してダミーパターンを生成する場合にも適用可能である。
【0066】
また、上述した第1及び第2の実施の形態では金属配線層について説明したが、これに限定させるものではなく、例えばポリシリコン配線層同士、又はポリシリコン配線層と金属配線層とをコンタクト接続(ビア接続に対応する)する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 金属配線パターン
2 ダミーパターン生成用パターン
3 切り欠き部
4,7,11 縮小図形
5 ダミーパターン(拡大図形)
6,9,10,21,24,25 矩形図形
8 切り欠き図形
12,13,26,27 ビア配置領域
14,28 ビア
22 各端辺
23 X端辺
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線構造を有する半導体集積回路装置におけるダミーパターンの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置は、通常、複数の金属配線層と複数の絶縁層とが交互に積層された多層配線構造を有している。
このような多層配線構造を有する半導体集積回路装置では、金属配線パターンの面積や配置密度の違いによって複数の金属配線層が積層されている領域とそうでない領域とが混在しており、多層配線構造部における厚さのばらつきが生じる。
厚さのばらつきが大きいと、その段差部における絶縁層及び金属配線層の厚さが薄くなる。絶縁層の厚さが薄くなっている部分では絶縁性が悪化するため、積層方向における金属配線層間でショート不良が発生する場合がある。金属配線層の厚さが薄くなっている部分ではその部分の金属配線パターンが断線する場合がある。
そこで、金属配線層上に成膜された絶縁層の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing :化学的機械的研磨)法を用いて平坦化することが行われる。
【0003】
しかしながら、金属配線層上に成膜された絶縁層の表面の段差が大きいと、平坦化するまでの研磨時間が長くなるので生産性を悪化させる要因となったり、下層の金属配線層を露出させてしまう場合がある。下層の金属配線層が露出した状態で平坦化された絶縁膜上に上層の金属配線層を形成すると、上層の金属配線層と下層の金属配線層とが露出した部分で短絡してしまう場合がある。
【0004】
そこで、金属配線層に回路構成とは無関係なダミーパターンを設けることにより、その金属配線層における金属配線パターンの配置密度のばらつきをダミーパターンで低減することが行われている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−115905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているようなダミーパターンは、一般的に、DRC(design rule check)を用いたCAD(Computer aided design)処理により、金属配線パターンが形成されていない領域に、金属配線パターンの密度のばらつきを低減する目的で一律にデータ生成される。
【0007】
ところで、半導体プロセスの微細化技術の発達により、半導体集積回路の高密度化及び大規模化が進んでいる。これにより、金属配線パターンは、線幅が細く、かつ配線長が長くなる傾向にあり、金属配線パターンの寄生抵抗が回路の遅延に大きな影響を与えており、回路を誤動作させる要因の1つになっている。
また、電源配線用の金属配線パターンの寄生抵抗の効果は電源配線に流れる電流と相まって、個々の回路に供給される電圧の低下を引き起こす。この電圧の低下はIRドロップと称され、このIRドロップにより、タイミング遅延が発生し、半導体集積回路装置が動作不良を起こす場合がある。回路を安定的に動作させるためには、電源配線及びGND配線の線幅をそれぞれできるだけ太くして寄生抵抗を下げることが望ましい。しかしながら、電源配線及びGND配線の線幅を太くするとチップ面積が増大し、チップ面積に応じてチップコストが増大してしまうため、現実的に難しいのが実状である。
【0008】
そこで、本発明は、チップ面積の増大を抑えつつ半導体集積回路装置の金属配線パターンの寄生抵抗に起因する動作不良を抑制することが可能な、ダミーパターンの設計方法、特に、角部が切り欠き形状を有するダミーパターンの設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は次のダミーパターンの設計方法を提供する。
一方向に延在するパターンを含む配線パターンを有する第1の配線層の積層方向に配置される第2の配線層に、前記配線パターンにビアを介して接続するダミーパターンを生成するためのダミーパターンの設計方法において、
前記配線パターン(1)に対応する領域に、角部に切り欠き(3)を有するダミーパターン生成用パターン(2)を生成するダミーパターン生成用パターン生成ステップと、前記ダミーパターン生成用パターン(2)を前記一方向及び前記一方向とは逆方向にそれぞれ所定の値(Δx1)だけ縮小して第1の縮小図形(4)を生成する第1の縮小図形生成ステップと、前記第1の縮小図形(4)を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値(Δx1)だけ拡大してダミーパターン(5)を生成するダミーパターン生成ステップと、前記ダミーパターン(5)の外形を抽出して前記ダミーパターン(5)の外周の辺を一辺とする第1の矩形図形(6)を生成する第1の矩形図形生成ステップと、前記第1の矩形図形(6)を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値(Δx1)だけ縮小して第2の縮小図形(7)を生成する第2の縮小図形生成ステップと、前記ダミーパターン(5)から前記第2の縮小図形(7)を論理減算して、角部に切り欠き(3)を有する切り欠き図形(8)、及び第2の矩形図形(9)をそれぞれ生成する、切り欠き図形及び矩形図形生成ステップと、前記切り欠き図形(8)及び前記第2の矩形図形(9)のうち、矩形形状を有さない前記切り欠き図形(8)を抽出する切り欠き図形抽出ステップと、前記ダミーパターン(5)から前記切り欠き図形(8)を論理減算して第3の矩形図形(10)を生成する第3の矩形図形生成ステップと、前記第3の矩形図形(10)を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値(Δx1)だけ縮小して第3の縮小図形(11)を生成する第3の縮小図形生成ステップと、前記第3の矩形図形(10)から前記第3の縮小図形(11)を論理減算して、互いに離間して配置される第1のビア配置領域(12)及び第2のビア配置領域(13)を生成するビア配置領域生成ステップと、前記第1のビア配置領域(12)に前記ビア(14)が配置されたビアセル及び前記第2のビア配置領域(13)に前記ビア(14)が配置されたビアセルを生成するビアセル生成ステップと、を含むことを特徴とするダミーパターンの設計方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特に、角部が切り欠き形状を有するダミーパターンの設計方法において、チップ面積の増大を抑えつつ半導体集積回路装置の金属配線パターンの寄生抵抗に起因する動作不良を抑制することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図2】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図3】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図4】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図5】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図6】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図7】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図8】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図9】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図10】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図11】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図12】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図13】本発明のダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態を説明するための模式的平面透視図である。
【図14】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図15】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図16】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図17】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図18】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図19】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図20】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図21】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図22】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図23】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図24】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図25】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図26】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図27】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図28】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図29】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面図である。
【図30】本発明のダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態を説明するための模式的平面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図30を用いて説明する。
【0013】
<第1の実施の形態>
本発明に係るダミーパターンの設計方法の第1の実施の形態について図1〜図13を用いて説明する。
【0014】
まず、複数の金属配線パターンからなる第1金属配線層の「第1金属配線層データ」を作成する。
「第1金属配線層データ」には、例えば図1に示す金属配線パターン1のデータが含まれている。
【0015】
次に、第1金属配線層に対して積層方向に位置する第2金属配線層の「第2金属配線層データ」を作成する。
【0016】
一般的に、自動配線処理を行うCAD(Computer aided design)では、所定の金属配線層では所定の方向のみに配線を行うようにルール化されている場合が多い。この配線方法は、積層間の金属配線層同士の配線ショートの発生を抑制して効率的に配線する方法である。例えば、第1金属配線層ではX方向のみに配線を行い、第2金属配線層ではY方向のみに配線を行い、第1金属配線層の金属配線パターンと第2金属配線層の金属配線パターンとの立体交差している箇所や重なり合ってビアが配置されている箇所以外は金属配線パターンのないデッドスペースとなっている場合が多い。
なお、このデッドスペースには、通常、CAD処理によって、金属配線パターンの密度のばらつきを低減する目的で一律にダミーパターンが生成される。
【0017】
第1の実施の形態では、第2金属配線層における、金属配線パターン1に対応する領域が金属配線パターンのないデッドスペースとなっている場合、従来のように一律にダミーパターンを生成するのではなく、金属配線パターン1の形状に基づいてダミーパターンを生成する。
【0018】
しかしながら、実際には、他の金属配線パターンの形状や配置の影響により、金属配線パターン1と同じ形状で基礎となるダミーパターン生成用パターンを生成することができない場合があり、例えば、図2に示すように、角部に切り欠き3を有するダミーパターン生成用パターン2が生成される。
しかしながら、従来の、DRCルールに則ったビアの配置ルールでは、このような角部に切り欠き3を有するダミーパターン生成用パターン2に対応できていないので、DRCエラーが発生する場合がある。
【0019】
そこで、第1の実施の形態におけるダミーパターンの設計方法を以下に示す。
【0020】
図3に示すように、第2金属配線層におけるダミーパターン生成用パターン2を、X方向(図3における左右方向)にΔx1(例えば4.01μm)ずつ縮小する。
この縮小により、X方向の幅が「2×Δx1」よりも小さい(例えば8.00μm)図形は消滅する。
例えば、図2のダミーパターン生成用パターン2は、X方向の縮小により、図3の縮小図形4になる。
【0021】
図4に示すように、縮小図形4を、X方向(図4における左右方向)に同じくΔx1ずつ拡大する。
このX方向の拡大により、図3の縮小図形4は、図4の拡大図形5になる。
この拡大図形5は、第2金属配線層において、第1金属配線層の金属配線パターン1に対応するダミーパターン5となる。
【0022】
一般的、DRCルールに則ったビアの配置ルールでは、矩形領域にビアを最大数、配置できるように、ビアの行数及び列数を決定する。従って、ビアの配置領域は、原則、矩形形状であることが必要とされる。
そこで、上述した第1金属配線層の金属配線パターン1と第2金属配線層のダミーパターン5とを積層方向に接続するビアセルの生成方法を第1の実施の形態として以下に示す。
【0023】
図4に示すダミーパターン5の外形を抽出し、ダミーパターン5の外周の辺を一辺とする矩形図形6を生成する(図5参照)。
【0024】
図6に示すように、矩形図形6を、X方向(図6における左右方向)に同じくΔx1ずつ縮小して、縮小図形7とする。
【0025】
図4に示すダミーパターン(拡大図形)5から、図6に示す縮小図形7を論理減算することによって、図7に示す、切り欠き3を有する切り欠き図形8、及び矩形図形9を生成する。
【0026】
図8に示すように、生成した切り欠き図形8及び矩形図形9から、矩形形状を有さない図形を抽出する。図8においては、矩形形状を有さない切り欠き図形8を抽出する。
【0027】
図4に示すダミーパターン(拡大図形)5から、図8に示す切り欠き図形8を論理減算することによって、図9に示す、矩形図形10を生成する。
【0028】
図9に示す矩形図形10を、X方向(図10における左右方向)に同じくΔx1ずつ縮小して、図10に示す縮小図形11とする。
【0029】
図9に示す矩形図形10から、図10に示す縮小図形11を論理減算することによって、図11に示す、ビア配置領域12,13を生成する。
【0030】
図12に示すように、DRCルールに則ったビア配置ルールに基づいて、ビア配置領域12,13にビア14がそれぞれ最大数、配置されるように、ビアセルを生成する。
【0031】
図13に、第1金属配線層の金属配線パターン1と、第2金属配線層のダミーパターン5と、金属配線パターン1とダミーパターン5とを積層方向に電気的に接続するビア14と、の積層方向の位置関係を模式的に示す。
例えば、電流が図13の右側から左側に流れる場合、電流は、第1金属配線層の金属配線パターン1を流れると共に、ビア14を介して第2金属配線層のダミーパターン5にも流れるので、実質的に電流が流れる金属配線パターンの断面積が大きくなった状態と同じになるため、金属配線パターン抵抗を小さくすることができる。
【0032】
なお、上述した第2金属配線層において、角部が切り欠き形状を有するダミーパターン5の他に、角部が切り欠き形状を有さないダミーパターンが配置されている場合は、角部が切り欠き形状を有さないダミーパターンについては図8〜図11の工程を省略することができる。
【0033】
上述した手順により、特に、角部が切り欠き形状を有するダミーパターンの設計方法において、チップ面積の増大を抑えつつ半導体集積回路装置の金属配線パターンの寄生抵抗に起因する動作不良を抑制することが可能になる。
【0034】
また、上述した手順によれば、ダミーパターンの形状、特にダミーパターンの切り欠き形状に応じて最適なビア配置領域を生成して配置し、このビア配置領域内に、DRCルールに則ったビア配置ルールに基づいてビア配置を行うため、DRCエラーの発生を防止することができる。
【0035】
また、上述した手順によれば、同じ大きさで同じ形状のビア配置領域が複数ある場合、生成した1つのビアセルを共通に用いることができるので、ビアレイアウトのデータ数を減らすことができる。
【0036】
<第2の実施の形態>
本発明に係るダミーパターンの設計方法の第2の実施の形態について図14〜図30を用いて説明する。
なお、説明をわかりやすくするために、第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0037】
まず、複数の金属配線パターンからなる第1金属配線層の「第1金属配線層データ」を作成する。
「第1金属配線層データ」には、例えば図14に示す金属配線パターン1のデータが含まれている。
【0038】
次に、第1金属配線層に対して積層方向に位置する第2金属配線層の「第2金属配線層データ」を作成する。
【0039】
一般的に、自動配線処理を行うCAD(Computer aided design)では、所定の金属配線層では所定の方向のみに配線を行うようにルール化されている場合が多い。この配線方法は、積層間の金属配線層同士の金属配線ショートの発生を抑制して効率的に配線する方法である。例えば、第1金属配線層ではX方向のみに配線を行い、第2金属配線層ではY方向のみに配線を行い、第1金属配線層の金属配線パターンと第2金属配線層の金属配線パターンとの立体交差している箇所や重なり合ってビアが配置されている箇所以外は金属配線パターンのないデッドスペースとなっている場合が多い。
なお、このデッドスペースには、通常、CAD処理によって、金属配線パターンの密度のばらつきを低減する目的で一律にダミーパターンが生成される。
【0040】
第2の実施の形態では、第2金属配線層における、金属配線パターン1に対応する領域が金属配線パターンのないデッドスペースとなっている場合、従来のように一律にダミーパターンを生成するのではなく、金属配線パターン1の形状に基づいてダミーパターンを生成する。
【0041】
しかしながら、実際には、他の金属配線パターンの形状や配置の影響により、金属配線パターン1と同じ形状で基礎となるダミーパターン生成用パターンを生成することができない場合があり、例えば、図15に示すように、角部に切り欠き3を有するダミーパターン生成用パターン2が生成される。
しかしながら、従来の、DRCルールに則ったビアの配置ルールでは、このような角部に切り欠き3を有するダミーパターン生成用パターン2に対応できていないので、DRCエラーが発生する場合がある。
【0042】
そこで、第2の実施の形態におけるダミーパターンの設計方法を以下に示す。
【0043】
図16に示すように、第2金属配線層におけるダミーパターン生成用パターン2を、X方向(図16における左右方向)にΔx1(例えば4.01μm)ずつ縮小する。
この縮小により、X方向の幅が「2×Δx1」よりも小さい(例えば8.00μm)図形は消滅する。
例えば、図15のダミーパターン生成用パターン2は、X方向の縮小により、図16の縮小図形4になる。
【0044】
図17に示すように、縮小図形4を、X方向(図17における左右方向)に同じくΔx1ずつ拡大する。
このX方向の拡大により、図16の縮小図形4は、図17の拡大図形5になる。
この拡大図形5は、第2金属配線層において、第1金属配線層の金属配線パターン1に対応するダミーパターン5となる。
【0045】
一般的、DRCルールに則ったビアの配置ルールでは、矩形領域にビアを最大数、配置できるように、ビアの行数及び列数を決定する。従って、ビアの配置領域は、原則、矩形形状であることが必要とされる。
そこで、上述した第1金属配線層の金属配線パターン1と第2金属配線層のダミーパターン5とを積層方向に接続するビアセルの生成方法を第2の実施の形態として以下に示す。
【0046】
図17に示すダミーパターン5の外形を抽出し、ダミーパターン5の外周の辺を一辺とする矩形図形6を生成する(図18参照)。
【0047】
図19に示すように、矩形図形6を、X方向(図19における左右方向)に同じくΔx1ずつ縮小して、縮小図形7とする。
【0048】
図17に示すダミーパターン(拡大図形)5から、図19に示す縮小図形7を論理減算することによって、図20に示す、切り欠き3を有する切り欠き図形8、及び矩形図形9を生成する。
【0049】
図21に示すように、生成した切り欠き図形8及び矩形図形9から、矩形形状を有さない図形を抽出する。図21においては、矩形形状を有さない切り欠き図形8を抽出する。
【0050】
図21に示す切り欠き図形8の外形を抽出し、切り欠き図形8の外周の辺を一辺とする矩形図形21を生成する(図22参照)。
【0051】
図21の切り欠き図形8の外形と図22の矩形図形21の外形とを比較して、切り欠き3の各端辺22を抽出する(図23参照)。
【0052】
図24に示すように、Y方向(図24における上下方向)に延在するX端辺23をさらに抽出する。
【0053】
図25に示すように、X端辺23を一辺とし、Y方向に延在する、上述したΔx1よりも長いY辺を他辺とする矩形図形24を生成する。
【0054】
図21に示す矩形図形8から、図25に示す矩形図形24を論理減算することによって、図26に示す、矩形図形25を生成する。
【0055】
図20に示す、切り欠き3を有する切り欠き図形8、及び矩形図形9から、矩形形状を有さない図形を抽出して削除する。図27においては、図20に示す、切り欠き3を有する切り欠き図形8、及び矩形図形9から、図21に示す切り欠き図形8を論理減算することによって、矩形図形9を残す。
【0056】
図26の矩形図形25と図27の矩形図形9を論理加算することによって、図28に示す、ビア配置領域26,27を生成する。
【0057】
図29に示すように、DRCルールに則ったビア配置ルールに基づいて、ビア配置領域26,27にビア28がそれぞれ最大数、配置されるように、ビアセルを生成する。
【0058】
図30に、第1金属配線層の金属配線パターン1と、第2金属配線層のダミーパターン5と、金属配線パターン1とダミーパターン5とを積層方向に電気的に接続するビア28と、の積層方向の位置関係を模式的に示す。
例えば、電流が図30の右側から左側に流れる場合、電流は、第1金属配線層の金属配線パターン1を流れると共に、ビア28を介して第2金属配線層のダミーパターン5にも流れるので、実質的に電流が流れる金属配線パターンの断面積が大きくなった状態と同じになるため、金属配線パターン抵抗を小さくすることができる。
【0059】
上述した手順により、特に、角部が切り欠き形状を有するダミーパターンの設計方法において、チップ面積の増大を抑えつつ半導体集積回路装置の金属配線パターンの寄生抵抗に起因する動作不良を抑制することが可能になる。
【0060】
なお、上述した第2金属配線層において、角部が切り欠き形状を有するダミーパターン5の他に、角部が切り欠き形状を有さないダミーパターンが配置されている場合は、角部が切り欠き形状を有さないダミーパターンについては図21〜図28の工程を省略することができる。
【0061】
また、上述した手順によれば、ダミーパターンの形状、特にダミーパターンの切り欠き形状に応じて最適なビア配置領域を生成して配置し、このビア配置領域内に、DRCルールに則ったビア配置ルールに基づいてビア配置を行うため、DRCエラーの発生を防止することができる。
【0062】
また、上述した手順によれば、同じ大きさで同じ形状のビア配置領域が複数ある場合、生成した1つのビアセルを共通に用いることができるので、ビアレイアウトのデータ数を減らすことができる。
【0063】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0064】
上述した第1及び第2の実施の形態ではX方向(図1〜図30における各左右方向)に延在するダミーパターンの設計方法について説明したが、Y方向(図1〜図30における各上下方向)に延在するダミーパターンに対しても、X方向をY方向に替えて同様の処理を行うことができる。
【0065】
また、上述した第1及び第2の実施の形態では比較的配線幅の狭い金属配線パターンに対してダミーパターンを設計する例を挙げて説明したが、比較的配線幅の広い、又はベタパターンの電源配線又はGND配線に対してダミーパターンを生成する場合にも適用可能である。
【0066】
また、上述した第1及び第2の実施の形態では金属配線層について説明したが、これに限定させるものではなく、例えばポリシリコン配線層同士、又はポリシリコン配線層と金属配線層とをコンタクト接続(ビア接続に対応する)する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 金属配線パターン
2 ダミーパターン生成用パターン
3 切り欠き部
4,7,11 縮小図形
5 ダミーパターン(拡大図形)
6,9,10,21,24,25 矩形図形
8 切り欠き図形
12,13,26,27 ビア配置領域
14,28 ビア
22 各端辺
23 X端辺
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延在するパターンを含む配線パターンを有する第1の配線層の積層方向に配置される第2の配線層に、前記配線パターンにビアを介して接続するダミーパターンを生成するためのダミーパターンの設計方法において、
前記配線パターンに対応する領域に、角部に切り欠きを有するダミーパターン生成用パターンを生成するダミーパターン生成用パターン生成ステップと、
前記ダミーパターン生成用パターンを前記一方向及び前記一方向とは逆方向にそれぞれ所定の値だけ縮小して第1の縮小図形を生成する第1の縮小図形生成ステップと、
前記第1の縮小図形を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値だけ拡大してダミーパターンを生成するダミーパターン生成ステップと、
前記ダミーパターンの外形を抽出して前記ダミーパターンの外周の辺を一辺とする第1の矩形図形を生成する第1の矩形図形生成ステップと、
前記第1の矩形図形を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値だけ縮小して第2の縮小図形を生成する第2の縮小図形生成ステップと、
前記ダミーパターンから前記第2の縮小図形を論理減算して、角部に切り欠きを有する切り欠き図形、及び第2の矩形図形をそれぞれ生成する、切り欠き図形及び矩形図形生成ステップと、
前記切り欠き図形及び前記第2の矩形図形のうち、矩形形状を有さない前記切り欠き図形を抽出する切り欠き図形抽出ステップと、
前記ダミーパターンから前記切り欠き図形を論理減算して第3の矩形図形を生成する第3の矩形図形生成ステップと、
前記第3の矩形図形を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値だけ縮小して第3の縮小図形を生成する第3の縮小図形生成ステップと、
前記第3の矩形図形から前記第3の縮小図形を論理減算して、互いに離間して配置される第1のビア配置領域及び第2のビア配置領域を生成するビア配置領域生成ステップと、
前記第1のビア配置領域に前記ビアが配置されたビアセル及び前記第2のビア配置領域に前記ビアが配置されたビアセルを生成するビアセル生成ステップと、
を含むことを特徴とするダミーパターンの設計方法。
【請求項1】
一方向に延在するパターンを含む配線パターンを有する第1の配線層の積層方向に配置される第2の配線層に、前記配線パターンにビアを介して接続するダミーパターンを生成するためのダミーパターンの設計方法において、
前記配線パターンに対応する領域に、角部に切り欠きを有するダミーパターン生成用パターンを生成するダミーパターン生成用パターン生成ステップと、
前記ダミーパターン生成用パターンを前記一方向及び前記一方向とは逆方向にそれぞれ所定の値だけ縮小して第1の縮小図形を生成する第1の縮小図形生成ステップと、
前記第1の縮小図形を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値だけ拡大してダミーパターンを生成するダミーパターン生成ステップと、
前記ダミーパターンの外形を抽出して前記ダミーパターンの外周の辺を一辺とする第1の矩形図形を生成する第1の矩形図形生成ステップと、
前記第1の矩形図形を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値だけ縮小して第2の縮小図形を生成する第2の縮小図形生成ステップと、
前記ダミーパターンから前記第2の縮小図形を論理減算して、角部に切り欠きを有する切り欠き図形、及び第2の矩形図形をそれぞれ生成する、切り欠き図形及び矩形図形生成ステップと、
前記切り欠き図形及び前記第2の矩形図形のうち、矩形形状を有さない前記切り欠き図形を抽出する切り欠き図形抽出ステップと、
前記ダミーパターンから前記切り欠き図形を論理減算して第3の矩形図形を生成する第3の矩形図形生成ステップと、
前記第3の矩形図形を前記一方向及び前記逆方向にそれぞれ前記所定の値だけ縮小して第3の縮小図形を生成する第3の縮小図形生成ステップと、
前記第3の矩形図形から前記第3の縮小図形を論理減算して、互いに離間して配置される第1のビア配置領域及び第2のビア配置領域を生成するビア配置領域生成ステップと、
前記第1のビア配置領域に前記ビアが配置されたビアセル及び前記第2のビア配置領域に前記ビアが配置されたビアセルを生成するビアセル生成ステップと、
を含むことを特徴とするダミーパターンの設計方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2013−114295(P2013−114295A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257216(P2011−257216)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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