説明

ディスプレイパネル及びその製造方法

【課題】ディスプレイパネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】マトリクス形状で設置されたアクティブ素子を有する複数の画素セルを含む画素アレイ域を含み、前記画素セル中の第一画素セルの第一アクティブ素子の相対位置は、前記画素セル中の第二画素セルの第二アクティブ素子と異なるディスプレイパネルを採用する。特に、前記アクティブ素子として、薄膜トランジスタを用いるディスプレイパネルに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネルに関し、特に、低温ポリシリコンプロセスを用いたディスプレイパネル関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)の薄膜トランジスタ(TFT)は、画素の制御部材として機能する。一般に、TFTは、アモルファスシリコンTFTと、ポリシリコンTFTの二つの種類に分けることができる。ポリシリコンTFTは、その高電子移動度、高密度の集積回路及び低漏電流により、一般には、高速回路と大型LCDに用いられる。ほとんどのLCDでは、ポリシリコンTFTは、低温ポリシリコン(LTPS)から形成されるため、ポリシリコンTFTのサイズは減少し、開口率は増加する。
【0003】
図1は、従来のディスプレイパネルの概略図である。ディスプレイパネル10は、マトリクス方式で配列された複数の画素セル12を含む。多結晶半導体膜は、低温ポリシリコンプロセスによって画素セル12の上に先に形成される。次にレーザーで各行の画素セル12に対応する多結晶半導体膜を照射し、多結晶半導体膜からポリシリコン半導体膜を形成する。最後に、ポリシリコン薄膜トランジスタ14がその他のプロセスによって各画素セル12に形成される。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6555422号
【特許文献2】米国特許第6555420号
【特許文献3】米国特許第6524877号
【特許文献4】米国特許第6522066号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レーザー光のサイズが制限されていることから、レーザーは、一度に一つの行の画素セルしか照射せず、続いてステップによって、次の行の画素セルを照射する。よって、同一行の画素セルの特性は同じである。しかし、各レーザー光の密度が異なるため、異なるレーザー光で照射された画素セルは、不均一な特性のポリシリコンTFTを形成する。一つの行の画素セルの特性がその他の行の画素の特性と異なる時、ディスプレイパネルに不均一性をもたらす。この不均一性は、望ましくないムラ(mura)欠陥を招く。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ディスプレイパネルを提供する。ディスプレイパネルの実施例は、マトリクス形状で設置されたアクティブ(能動)素子を有する複数の画素セルを含む画素アレイ域を含む。前記画素セル中の第一画素セルの第一アクティブ素子の相対位置は、前記画素セル中の第二画素セルの第二アクティブ素子と異なるディスプレイパネル。
【0007】
ディスプレイパネルの製造方法が提供される。製造方法の実施例は、次のステップを含む。ディスプレイパネルは、マトリクス形状で設置されたアクティブ素子域を有する複数の画素セルの画素アレイ域を含む。行方向と列方向は、前記画素アレイ域に定義される。前記ディスプレイパネルの上に多結晶半導体膜が形成され、レーザー光によって前記多結晶半導体膜が照射され、前記多結晶半導体膜からポリシリコン半導体を形成する。前記レーザー光によって同期照射された前記画素セルの少なくとも一つのアクティブ素子は、前記レーザー光によって照射されない。各アクティブ素子域に少なくとも一つのアクティブ素子を形成する。
【0008】
ディスプレイ及びその製造方法は、下記に示す詳細な説明及び添付図面により充分に理解できるであろう。しかし、これらは本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ディスプレイパネルが提供される。いくつかの実施例では、行又は列の画素セルのTFTの相対位置が変えられるため、レーザー光が行又は列の全ての画素セルを照射する時、少なくとも一つのTFTは、レーザー光に照射されない。
【0010】
図2に示すように、実施例では、ディスプレイパネル20は、画素アレイ域22を含む。画素アレイ域22は、マトリクス形状で配列された複数の画素セル12を含む。図2に示す実施例では、3×10の画素アレイ域が例として挙げられる。
【0011】
画素セルP1−1〜P10−3は、それぞれ、例えばTFT等のアクティブ素子D1−1〜D10−3を有する。一つの行の画素セルのアクティブ素子の相対位置は、その他の行の画素セルのアクティブ素子の相対位置と同じ、又は異なることができる。図2に示すように、第一行の画素セルのアクティブ素子の相対位置は、第二と第三行のと同じである。例えば、表示セルP1−1のアクティブ素子D1−1の相対位置と表示セルP1−2のアクティブ素子D1−2の相対位置と表示セルP1−3のアクティブ素子D1−3の相対位置は同じである。
【0012】
しかし、同一行の画素セルでは、各画素セルのアクティブ素子の相対位置は、隣接する画素セルのアクティブ素子の相対位置と異なる。例えば、図2を参照されたい。第一行の画素セルP1−1〜P10−1では、アクティブ素子の相対位置は、先のアクティブ素子の相対位置に従って右にシフトされ、シフト動作は、アクティブ素子D1−1からアクティブ素子D10−1の方向で行われる。同一行のいずれの二つの隣接する画素セルのアクティブ素子の相対位置の間の距離は、一定値を有する。
【0013】
図3に示ように、いくつかの実施例では、全ての液晶セルP1−1〜P10−3は、6つのグループG1〜G6に分けられる。一つのグループの画素セルのアクティブ素子の相対位置は、その他のグループのと同じ、又は異なることができる。図3では、グループG1の画素セルのアクティブ素子の相対位置は、グループG2〜G6の相対位置と同じである。
【0014】
しかし、同じグループの画素セルでは、各画素セルのアクティブ素子の相対位置は、隣接する画素セルのアクティブ素子の相対位置と異なる。図3に示された実施例では、一つのグループの画素セルのアクティブ素子の相対位置は、特定方向で配列される。例えば、図3を参照されたい。グループG1では、アクティブ素子の相対位置は、先のアクティブ素子の相対位置に従って左にシフトされ、シフト動作は、上から下の方向で行われる。同一グループのいずれの二つの隣接する画素セルのアクティブ素子の相対位置の間の距離は、一定値を有する。
【0015】
図4に示ように、実施例では、全ての液晶セルP1−1〜P10−3は、6つのグループG1〜G6に分けられる。図3に示されたディスプレイパネルの実施例と比べ、図4の各画素の画素セルは、不規則に設置されている。
【0016】
図5に示ように、実施例では、一つの行の画素セルのアクティブ素子の相対位置は、その他の行の画素セルのアクティブ素子の相対位置と同じである。しかし、同じ列の画素セルでは、各画素セルのアクティブ素子の相対位置は、隣接するアクティブ素子の相対位置と異なる。図5を参照されたい。同じ列の画素セルでは、アクティブ素子の相対位置は、先のアクティブ素子の相対位置に従って上にシフトされ、シフト動作は、左から右の方向で行われる。
【0017】
図6は、ディスプレイパネルの製造方法の実施例のフロー図を示している。先ず、図2と図6を参照されたい。画素アレイ域22は、ディスプレイパネル20に定義されたマトリクス形状の複数の画素セルP1−1〜P10−3を含む(ステップS110)。
【0018】
アクティブ素子域R1−1〜R10−3は、それぞれ画素セルP1−1〜P10−3に定義される(ステップS120)。図2に示すように、同一行の同じセルでは、各画素セルのアクティブ素子の相対位置は、隣接する画素セルのアクティブ素子域の相対位置と異なる。例えば、第一行の画素セルP1−1〜P10−1では、アクティブ素子域の相対位置は、先のアクティブ素子域の相対位置に従って右にシフトされ、シフト動作は、アクティブ素子域R1−1からアクティブ素子域R10−1の方向で行われる。同一行のいずれの二つの隣接する画素セルのアクティブ素子域の相対位置の間の距離は、一定値である。
【0019】
LTPSプロセスでは、多結晶半導体膜が画素アレイ域22の上に形成される(ステップS130)。レーザーは、画素セル12の一部の上の多結晶半導体膜を照射し(ステップS140)、多結晶半導体膜からポリシリコン半導体膜を形成する。
【0020】
図2に示される画素アレイ域22は、例として挙げられる。先ず、レーザーは、行方向の画素アレイ域22の領域24に従って多結晶半導体膜を照射し、同期処理(syn−process)方向として機能する。この時、領域24は、レーザーの同期処理域として機能する。
【0021】
レーザーが領域24に対応する多結晶半導体膜を照射した後、レーザーは、ステップによって右に移動する。レーザーが最小20μm移動するとした場合、
同一行のいずれの二つの隣接する画素セルのアクティブ素子域の相対位置の間の距離は、20μmに設定される。
【0022】
レーザーは、領域24から右に20μm移動し、領域26に対応した多結晶半導体膜を照射する。この時、レーザーの同期処理域は、領域26に変えられる。
【0023】
領域26に対応した多結晶半導体膜を照射した後、レーザーは、続いて右に移動し、残りの多結晶半導体膜を照射する。画素セルのアクティブ素子域の相対位置が互いに異なることから、レーザーは、同時に異なるアクティブ素子域を照射する。
【0024】
良好な結晶品質を得るために、レーザーは、繰返し、多結晶半導体膜を照射することができる。レーザー光の幅が400μmとした場合、各アクティブ素子は、20回照射されることができる。二つの隣接するアクティブ素子域が少なくとも一回同時に照射されないことから、アクティブ素子域の液晶品質は、同じでない。
【0025】
最後に、例えば、TFT又はその他のアクティブ素子等のアクティブ素子は、マスキングとエッチングによってアクティブ素子域に形成される(ステップS150)。アクティブ素子域の結晶品質が同じでないことから、同一行のアクティブ素子域のTFTの特性は互いに異なる。
【0026】
図2では、レーザーの同期処理方向は、行方向である。また、レーザーの同期処理方向は、列方向であることもできる。図5に示すように、レーザーは、領域54に対応した多結晶半導体膜を照射する。レーザーは続いて、一定距離、下に移動し、その他の領域に対応する多結晶半導体膜を照射する。
【0027】
図1に示す従来のディスプレイパネルを参照されたい。同じ行では、画素セルのTFTが同じレーザー光によって照射されることから、TFTの特性は同じである。レーザー光の強度が異なる時、望ましくないムラ効果がディスプレイパネルのある行に発生する。
【0028】
図2に示すようにいくつかの実施例では、レーザーが同一行の画素セルの全てのアクティブ素子域を同時に照射できないことから、同一行のアクティブ素子の特性は、一様でない。よって、望ましくないムラ効果がある行で発生せず、ディスプレイパネルをラインムラから防ぐ。
【0029】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することは可能である。従って、本発明が保護を請求する範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、従来のディスプレイパネルを示している。
【図2】図2は、ディスプレイパネルの実施例を示している。
【図3】図3は、ディスプレイパネルの実施例を示している。
【図4】図4は、ディスプレイパネルの実施例を示している。
【図5】図5は、ディスプレイパネルの実施例を示している。
【図6】図6は、ディスプレイパネルの製造方法の実施例のフロー図を示している。
【符号の説明】
【0031】
10、20 ディスプレイパネル
12 画素セル(従来法)
14 TFT
22 画素アレイ域
1−1〜P10−3 画素セル
1−1〜D10−1 アクティブ素子
G1〜G6 グループ
1−1〜R10−3 アクティブ素子域
24、26、54 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス形状で設置されたアクティブ素子を有する複数の画素セルを含む画素アレイ域を含み、
前記画素セル中の第一画素セルの第一アクティブ素子の相対位置は、前記画素セル中の第二画素セルの第二アクティブ素子と異なる位置に配置したディスプレイパネル。
【請求項2】
前記アクティブ素子は、薄膜トランジスタである請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項3】
前記第一画素セルは、前記第二画素セルと隣接する請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項4】
同期処理方向では、二つの隣接する画素セルの一つの前記アクティブ素子の前記相対位置は、二つの隣接する画素セルのもう一つの前記アクティブ素子と異なる請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項5】
前記同期処理方向では、前記二つの隣接する画素セルの前記相対位置の間の距離は、一定値である請求項4に記載のディスプレイパネル。
【請求項6】
前記一定値は、20μmより大きい請求項5に記載のディスプレイパネル。
【請求項7】
少なくとも二つのレーザー同期処理域は、前記画素アレイ域に定義され、前記第一と前記第二アクティブ素子は、同じレーザー同期処理域に設置されない請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項8】
マトリクス形状で設置されたアクティブ素子域を有する複数の画素セルの画素アレイ域を含み、行方向と列方向は、前記画素アレイ域に定義されるディスプレイパネルの製造方法であって、
前記ディスプレイパネルの上に多結晶半導体膜を形成するステップ、
レーザー光によって前記多結晶半導体膜を照射し、前記多結晶半導体膜からポリシリコン半導体を形成し、前記レーザー光によって同期照射された前記画素セルの少なくとも一つのアクティブ素子は、前記レーザー光によって照射されないステップ、及び
各アクティブ素子域に少なくとも一つのアクティブ素子を形成するステップを含む製造方法。
【請求項9】
第一画素セルの第一アクティブ素子の相対位置は、第二画素セルの第二アクティブ素子と異なる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザー光は、行方向に前記多結晶半導体膜を照射する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記レーザー光は、列方向に前記多結晶半導体膜を照射する請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−18294(P2006−18294A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−192132(P2005−192132)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(304060520)友達光電股▲ふん▼有限公司 (15)
【Fターム(参考)】