説明

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療のための薬物併用

1つ以上の式(I)の化合物を、1つ以上の補助的薬剤と共に含む(又は本質的になる)組み合わせ、該組み合わせを製造するための方法に、及び該組み合わせの種々の治療的使用。また、組み合わせを含む医薬組成物、並びに組み合わせを使用するデュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療の方法が提供される。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、本明細書に定義したとおりの式(1)の1つ以上の化合物を、1つ以上の補助的薬剤と共に含む(又は本質的になる)組み合わせに、該組み合わせを製造する方法に、及び該組み合わせの種々の治療的使用に関する。また、組み合わせを含む医薬組成物、並びに組み合わせを使用するデュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療の方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、フランスの神経科医のDuchenne de Boulogneによって150年以上前に最初に記述され、彼の後に疾患が名付けられた、筋肉機能の進行性の悪化と関連する遺伝性神経筋疾患である。DMDは、ジストロフィン遺伝子の突然変異によって引き起こされる、3,500人の男性に1人が冒されるX連鎖劣性障害として特徴づけられた。該遺伝子は、ヒトゲノムにおいて最も大きく、2,600,000塩基対のDNAを包含し、かつ79のエキソンを含む。ジストロフィン突然変異のおよそ60%が、フレームシフトエラーを下流に引き起こす大きな挿入、又は欠失であるが、およそ40%は、点突然変異、又は小さなフレームシフト再構成である。大多数のDMD患者は、ジストロフィンタンパク質を欠いている。ベッカー型筋ジストロフィーは、ジストロフィンタンパク質の量の減少、又はサイズの変化によって生じるDMDのうち非常に軽度の形態である。DMDの高発生率(10,000個の精子、又は卵子に1個)、遺伝子スクリーニングにより、決して疾患を除去することないであろうし、そのため、有効な療法が非常に望まれる。
【0003】
DMDの多数の天然、及び操作された動物モデルが存在し、前臨床試験のためのメーンステーを提供する(Allamand, V. & Campbell, K. P. 筋ジストロフィーのための動物モデル:療法の開発のための有益なツール。(Animal models for muscular dystrophy: valuable tools for the development of therapies.) Hum. Mol. Genet. 9, 2459-2467 (2000))。マウス、ネコ、及びイヌモデルのうち、全てがDMD遺伝子に突然変異を有しており、ヒトにおいて見られるものと同様の生化学的ジストロフィン疾患(dystrophinopathy)を示し、これらは、これらの表現型に関して驚くべき、及びかなりの変動を示す。ヒトのように、イヌ(ゴールデンレトリーバ筋ジストロフィー、及びドイツショートヘアポインター)モデルは、重篤な表現型を有し;これらのイヌは、典型的には心不全で死亡する。イヌは、ヒト疾患のために最高の表現型模写を提供し、前臨床試験のための高ベンチマークと考えられる。残念なことに、これらの動物を繁殖させることは、費用がかかり、かつ困難であり、臨床的時間経過は、同腹子の中で可変であり得る。
【0004】
mdxマウスは、利用能、短い妊娠時間、成熟時間、及び比較的低コストであるため、最も広く使用されているモデルである(Buifield, G., Siller, W. C1 Wight, P. A. & Moore, K. J. マウスにおける染色体連鎖筋ジストロフィー(mdx)(X chromosome-linked muscular dystrophy (mdx) in the mouse.) Proc. Natl Acad. Sci. USA 81 , 1 189-1192 (1984))。
【0005】
約20年前のDMD遺伝子の発見以来、DMDの治療において様々な成功の程度が、前臨床動物試験において達成されており、その幾つかがヒトにおいて経過観察されている。現在の治療ストラテジーは、概して3つの群に分けることができ:第1に、遺伝子療法アプローチ;第2に、細胞療法;及び最後に、薬理学的療法がある。遺伝子、及び細胞に基づいた療法は、特に疾患の初期に開始される場合、別々に二次的欠陥/病態(例えば、拘縮)を補正する必要を無くすという基本的利点を提供する。残念なことに、これらのアプローチは、多数の技術的困難に直面する。ウイルスベクター、筋芽細胞、及び新しく合成されたジストロフィンに対する免疫応答が、毒性、安定な発現の欠如、及び送達の困難性に加えて、報告されている。
【0006】
筋ジストロフィーの治療のための薬理学的アプローチは、欠損した遺伝子、及び/又はタンパク質のいずれかを送達するようにデザインされていない点で、遺伝子、及び細胞に基づいたアプローチとは異なる。一般に、薬理学的ストラテジーでは、炎症を減少させること、カルシウムホメオスタシスを改善すること、及び筋肉前駆体増殖、又はコミットメントを増加させることなどの手段によって表現型を改善することを試みて、薬物/分子を使用する。これらのストラテジーは、これらが全身送達するのが容易であり、かつベクター、及び細胞に基づいた療法に関連した免疫学的、及び/又は毒性の問題の多くを回避することができるという利点を提供する。炎症を減少させるための副腎皮質ステロイド、及びクロモグリケートナトリウム、カルシウムホメオスタシスを維持するためのダントロレン、及び筋力を増大するためのクレンブテロールでの研究では、有望な結果を生じたが、これらの潜在的療法単独では、いずれもDMDを治療するのに有効なことは、いまだ示されていない。
【0007】
代わりの薬理学的アプローチは、アップレギュレーション療法である。アップレギュレーション療法は、欠陥のある遺伝子を置換するために代わりの遺伝子の発現を増加させることに基づいており、以前に存在しないタンパク質に対して免疫応答を開始するときに、特に有益である。ジストロフィンの常染色体パラログであるユートロフィンのアップレギュレーションが、DMDのための潜在的療法として提唱された(Perkins & Daviesの文献、 Neuromuscul Disord, S1: S78- S89 (2002), Khurana & Daviesの文献、Nat Rev Drug Discov 2:379-390 (2003))。ユートロフィンがトランスジェニックmdxマウスにおいて過剰発現されるときに、これは、筋肉細胞の筋細胞膜に局在化されて、ジストロフィン関連タンパク質複合体(DAPC)の成分を修復して、ジストロフィーの発症を防止し、次に骨格筋の機能的改善を引き起こす。イヌにおけるユートロフィンのアデノウイルス送達は、病態を妨げることが示された。マウスモデルにおける出生直後のユートロフィン発現の増加の開始は、有効であり得るし、ユートロフィンが遍在性に発現されたときに、毒性は観察されず、ヒトに対するこの療法の移行の見込みがある。病態を減少させるのに十分なレベルへの内因性ユートロフィンのアップレギュレーションが、小さな拡散性化合物の送達によって達成されるかもしれない。
【0008】
(補助的薬剤)
多種多様な補助的薬剤は、以下に詳細に記載したように、本発明の組み合わせにおける適用がわかる。
【発明の概要】
【0009】
(発明の要旨)
本発明者らは、現在、予測的なスクリーンにおける内因性ユートロフィンをアップレギュレートし、及び従って、DMDの治療において有用であり得る一群の化合物を見いだした。
本発明に従って、本発明者らは、(任意にデュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療的、及び/又は予防的処置のための)補助的薬剤と以下の式(I)の化合物、又は、その医薬として許容し得る塩とを含む(又は本質的になる)組み合わせを提供する:
【0010】
【化1】

式中、
A1、A2、A3、及びA4は、同じでも、又は異なってもよく、N、又はCR1を表し、
X、はO、S(O)n、C=W、NR4、NC(=O)R5、及びCR6R7から選択される二価の基であり、
Wは、O、S、NR20であり、
Yは、N、又はCR8であり、
R4、R5、R6、R8、R9、及びNR20の1つは、-L-R3を表し、式中Lは、単結合、又はリンカー基であり、
加えて、R3-R9は、同じでも、又は異なってもよく、独立して水素、又は置換基を表し、かつR20は、水素、ヒドロキシル、アリールによって任意に置換されたアルキル、アリールによって任意に置換されたアルコキシ、アリール、CN、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアルカノイル、任意に置換されたアロイル、NO2、NR30R31を表し、式中R30、及びR31は、同じでも、又は異なってもよく、水素、任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたアリールを表し; 加えて、R30、及びR31の1つは、任意に置換されたアルカノイル、又は任意に置換されたアロイルを表してもく、
nは、整数0〜2を表し、
加えて、
A1-A4の隣接するペアがそれぞれCR1を表すときに、それらの隣接する炭素原子は、置換基と共に、環Bを形成してもよく、
XがCR6R7であるときに、R6、及びR7は、これらが付着される炭素原子と共に、環Cを形成してもよく、A1-A4の1つがCR1であり、かつR1がCOR16を表すときに、R16は、好ましくはアルコキシ、又はNR10R11である。
【0011】
式Iの化合物は、互変異性、鏡像異性、及びジアステレオ異性の形態で存在してもよく、その全てが本発明の範囲内に含まれる。式Iの化合物の全ては、従来法によって作製してもよい。複素環式芳香族化合物環系を作製する方法は、当該技術分野において周知である。特に、合成の方法は、包括的複素環化学(Comprehensive Heterocyclic Chemistry)、第1巻(編:Ar Katritzky、AR Katritzky, CW Rees)、Pergamon Press, Oxford, 1984、及び包括的複素環化学II:文献1982-1995複素環化合物の構造、反応、合成、及び使用の総説(Comprehensive Heterocyclic Chemistry II:A Review of the Literature 1982-1995 The Structure, Reactions, Synthesis, and Uses of Heterocyclic Compounds)、 Alan R. Katritzky (Editor), Charles W. Rees (編集者), E.F.V. Scriven (Editor), Pergamon Pr, June 1996において考察されている。関心対象の化合物の合成を補助するであろうその他の一般的供給源には、Marchの高度有機化学:反応、メカニズム、及び構造(March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure)、 Wiley-lnterscience; 第5版(January 15, 2001)を含む。合成の方法は、特に関連のある、WO 2006/044503で考察されている。いくつかの一般的な合成の方法は、以下の通りである。
【0012】
式Iのベンゾオキサゾール、又はその医薬として許容し得る塩は、式IIの化合物から調製してもよい。
【0013】
【化2】

スキーム1
反応条件:
i. R9CO2H(又はR9COCl)、PPA、加熱;又はR9COCl、ジオキサン、μ波、次いでNaOH
ii.R9COCl、ピリジン、室温
iii.TsOH、キシレン
iv.R9CO2H、HATU、ピリジン、DMF
v. PPA、加熱
vi.HATU、DMF、iPR2Net、アルキルNH2、室温。
【0014】
ベンゾオキサゾールIの形成は、上に例示したように、種々の方法で実施することができる。
【0015】
例えば、式Ilの化合物の、酸、又は酸クロリドなどのアシル誘導体との反応、及び適切な溶媒中かつ適切な温度での、酸触媒、例えばポリリン酸の存在下における加熱。これは、工程(i)として上で例示してある。
【0016】
反応は、非プロトン溶媒中、好ましくは極性、非プロトン溶媒、例えばテトラヒドロフラン、及び-10℃〜+150℃の温度で実施してもよい。一般に、反応は、常圧における溶媒の還流温度にて実施してもよい。
【0017】
或いは、式IIの化合物を、アシル化が酸素、及び窒素の両方で起こるように、最初に過剰のアシル誘導体R9COX(式中、Xは、例えばClである)と反応させてもよい。これは、例えば、室温におけるピリジンの反応によってもたらすることができる(工程ii)。次いで、式IIの化合物を形成するための閉環を、その後の閉環工程において行うことができ、この工程では、例えば、二重アシル化された生成物をスルホン酸などの酸触媒の存在下においてキシレン中で加熱する(工程iii)。
【0018】
式Iの化合物の形成の別の例示的な例は、工程iv、及びvによって示される。最初に、アミンを、ペプチドカップリング試薬を使用して、酸に結合させる。利用できるカップリング試薬は、当業者に周知であり、HBTU、TBTU、及びHATUを含む。適切なカップリング試薬の存在下におけるアミド形成は、例えばDMF中で、ピリジンなどの求核性触媒の存在下において生じる。
【0019】
R1 = CO2Hであるときは、この酸を、工程(vi)で示すように、アミンと結合させてもよい。適切なカップリング条件には、室温にてiPR2NEt、R16NH2の存在下における、DMF中のHATUの使用を含む。
【0020】
6員環がアミド誘導体で置換されている化合物は、特に興味がもたれる。これらは、中間体アミン誘導体IIIから生成してもよい。
【0021】
【化3】

スキーム2
反応条件:
i.(i)に関しては;スキーム1
ii.R17COCl、ピリジン(又はNEt3、DCM);又はR9CO2H、HATU、ピリジン、DMF
iii.(i)に関しては;スキーム1
iv.SnCl2、EtOH、加熱;又はPd/C、H2、IMS;又はFe、NH4Cl、IMS/水、加熱
v. R9NCO、DCM、室温
vi.NaBH(OAc)3、R10CHO、DCE、室温
vii.R14SO2Cl、ピリジン、DCM、室温。
【0022】
中間体アミンIIIは、式中R1 = NH2の、スキーム1工程(i)において概説した方法を使用するか、又は或いは、スキーム2の工程(iii)、及び(iv)によって定義したとおりの2工程プロセスでの、いずれかで合成してもよい。ニトロ置換されたベンゾオキサゾール誘導体Vは、スキーム1、工程1によって例証したものと類似の方法でニトロ置換されたフェニル誘導体IVから生成し、次いで、ニトロベンゾオキサゾール誘導体Vをその後の工程において還元させて、中間体アミンIIIを与える。当業者であれば、アミンを与えるためにニトロ基を還元させるための適切な方法をよく知っているであろう。NO2をNH2へ還元するための選択的方法には、0℃〜80℃の温度にて、適切な溶媒、例えばエタノール中の、Sn/HCl、若しくはH2/Pd/C、又は鉄の存在下における工業用変性アルコール/水中のNH4Clの加熱を含む。
【0023】
次いで、中間体アミンIIIを、必要に応じて結合カップリングさせることができる。
【0024】
式VIのアミド誘導体は、アミンIIIをアシル誘導体とカップリングすることによって生成することができる。これは、例えば、ピリジン中、又はCH2Cl2中のいずれかの、適切な酸クロリドの反応(工程ii)によって達成することができる。
【0025】
スルホンアミド誘導体VIIは、室温にて、ピリジンの存在下において、適切な塩化スルホニル、例えばCH2Cl2とアミンIIIの反応によって生成することができる。
【0026】
アミン誘導体VIIlは、適切な還元アミノ化ストラテジーを使用することによって生成することができる。還元アミノ化の方法は、当該技術分野において周知である。これらには、例えば1,2-ジクロロエタン中における、適切なアルデヒド、及びナトリウムトリアセトキシホウ化水素とのアミンの反応を含む。
【0027】
式IXの尿素誘導体は、例えば室温にてCH2Cl2中の、例えば適切なイソシアネートとの、アミンIIの反応によって生成することができる。
【0028】
式Xのベンゾチアゾール、又はその医薬として許容し得る塩は、式Xlの化合物から調製してもよい。
【0029】
【化4】

スキーム3
反応条件:
i. R9COCl、ピリジン、室温
ii.NA2S、S8、IMS、加熱
iii.Fe、NH4Cl、IMS、加熱
iv.R17COCl、ピリジン(又はNEt3、DCM);又はR17CO2H、HATU、ピリジン、DMF。
【0030】
式Xlの化合物は、例えば、ピリジン中での適切な酸クロリドとの反応によって(工程(i))、又は適切なペプチドカップリング試薬を使用することにより、対応するアミドに変換することができる。このような方法は、先に論議したように、当業者に周知である。
【0031】
次いで、アミドを、工業用変性アルコール中で高温にて、NA2S、S8との反応を含むワンポット手順で式XIIのニトロベンゾチアゾールに変換することができる。ニトロ誘導体XIIは、以前に論議したように還元することができ、生じる一級アミンは、スキーム2、工程(ii)、(v)、(vi)、及び(vii)における一級アミンと類似の様式で操作することができる。
【0032】
【化5】

スキーム4
反応条件:
i. R9CO2H、PPA、加熱;又はR9COCl、ピリジン;次いでPPA、加熱
ii.SnCl2、IMS、加熱;又はPd/C、H2、IMS
iii.R17COCl、ピリジン、その他(スキーム1に従って)
iv.R4NH2、DMSO、塩基、加熱
v.ナトリウムジチオナイト、THF/水;(ii)も参照されたい。
【0033】
ベンゾイミダゾール誘導体XIIは、スキーム4に従って生成することができる。酸触媒、例えばポリリン酸の存在下において適切な溶媒中、及び適切な温度にて、酸、又は酸クロリドなどの、アシル誘導体と式XIIIのジアミノフェニル誘導体の反応により、式XIIのベンズイミダゾール誘導体を生成する。これは、工程(i)として上に例証してある。次いで、ニトロ基を、先に論議したように還元させて、その他の官能性を生じるように操作してもよい。
【0034】
或いは、ベンズイミダゾールを、式中Xが脱離基、好ましくは塩素、又はフッ素などのハロゲンを表す式XIVのジニトロ化合物を、例えば塩基の存在下において高温にてDMSO中で、アミンと反応することによって生成してもよい。次いで、THF/水中の亜ジチオン酸ナトリウムを使用する1つのニトロ基のその後の選択還元を起して、式XVのジアミンを与えることができる。次いで、ベンズイミダゾールを形成するための閉環、及びニトロ基の操作を、例示したように、及び以前に論議したように進行することができる。
【0035】
【化6】

スキーム5
反応条件:
i. NA2S水和物、MeOH、NH4Cl、水;又はNa2S2O4/EtOH;又はSnCl2、EtOH
ii.(i)に関しては、スキーム1;又はR9COCl、ピリジン;次いでPPA、加熱
iii. SnCl2、EtOH、加熱
iv.R1B(OH)2、Pd(PPh34、K2CO3、ジオキサン/水、μ波
v. R17COCl、ピリジン、室温
vi.EtOC(S)SK、ピリジン、加熱
vii.SOCl2;又はPOCl3
viii.R3B(OH)2、Pd(PPh34、K2CO3、溶媒
ix.PPA、R2CO2H、加熱。
【0036】
式XVIのベンゾオキサゾールは、以前に論議したものと類似の方法によって作製することができる。例えば、上の例示した方法(ix)には、酸触媒、及び適切なアシル誘導体、例えばカルボン酸の存在下における、適切な溶媒中の式XVIIの化合物の加熱を含む。
【0037】
式XVIII、及びXIXのベンゾオキサゾールは、式XXの適切なニトロ化合物から合成することができる。ニトロ化合物XXの還元により、対応するアミノアルコールXXIを与える(例えば、Sn/HCl、又は当業者に周知のその他の適切な方法のいずれかを使用する)。次いで、適切なアシル誘導体とのアミノアルコールの反応を経たベンゾオキサゾール形成は、先に開示した方法のいずれかを使用して達成することができる。
【0038】
次いで、X= Brである式XXIIIのオキサゾールについては、スズキカップリング反応を使用して、さらなる誘導体を与えることができる。適切な条件の例は、式XIXのベンゾオキサゾールを生じる、R1B(OH)2、Pd(PPh34、K2CO3、ジオキサン/水、μ波である。当業者であれば、スズキカップリング反応をよく知っており、多種多様な化合物を生成するための条件を容易に操作することができる。
【0039】
X = NO2である工程(ii)によって生成されるオキサゾールについては、ニトロ基を、先に論議した当業者に周知の任意の方法を使用して、対応するアミンに還元させることができる。次いで、例えば上記スキーム2において論議した方法のいずれかを使用して、アミンを操作して、例えば式XVIIIの化合物を与え得る。
【0040】
或いは、式XVIIIのベンゾオキサゾールは、式XXの化合物をピリジン中でEtOC(S)SKと共に加熱することによって生成される、チオカルバマートXXIIを介して、式XXの化合物からも作製することができる。式XXIIの化合物は、SOCl2、又はPOCl3などの周知の試薬を使用することによって、例えば式XVIIIの塩化物に変換することができる。例えば、上記の工程viiiによって例証した条件を使用するスズキカップリングにより、式XVIIIのベンゾオキサゾールを与える。
【0041】
上記の方法において、出発材料に存在する任意の官能基、例えばヒドロキシ、又はアミノ基に対して、保護することが必要かもしれず、従って、一つ以上の保護基を除去して、式Iの化合物を生成することが必要であろう。
【0042】
適切な保護基、又はこれらを除去する方法は、例えばT. Greene、及びP. G. M. Wutts、John Wiley and Sons Inc., 1991による「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」に記述されている。ヒドロキシ基は、例えば、フェニルメチル、ジフェニルメチル、又はトリフェニルメチルなどのアリールメチル基; アセチル、トリクロロアセチル、又はトリフルオロアセチルなどのアシル基;又はテトラヒドロピラニル誘導体などによって保護してもよい。適切なアミノ保護基には、ベンジル、(R,S)-α-フェニルエチル、ジフェニルメチル、又はトリフェニルメチルなどのアリールメチル基、及びアセチル、トリクロロアセチル、又はトリフルオロアセチルなどのアシル基を含む。水素化分解、酸、若しくは塩基加水分解、又は光分解を含む、脱保護の従来法を使用してもよい。アリールメチル基は、例えば、金属触媒、例えば木炭上のパラジウムの存在下における水素化分解によって除去してもよい。テトラヒドロピラニル基は、酸性条件下での加水分解によって切断してもよい。アシル基は、水酸化ナトリウム、又は炭酸カリウムなどの塩基での加水分解によって除去してもよく、又はトリクロロアセチルなどの基は、例えば亜鉛、及び酢酸での還元によって除去してもよい。
【0043】
式Iの化合物、及びその塩は、従来技術を使用してこれらの反応混合物から単離してもよい。
【0044】
式Iの化合物の塩は、遊離酸、若しくはその塩、又は遊離塩基、又はその塩、若しくは誘導体を、適切な塩基、又は酸の1つ以上の同等物と反応することによって形成してもよい。反応は、塩が不溶性である溶媒、又は媒体中で、又は塩が可溶性である溶媒、例えばエタノール、テトラヒドロフラン、又はジエチルエーテル中で実施してもよく、これらは、真空中で、又は凍結乾燥法によって除去してもよい。また、反応は、複分解過程であってもく、又はこれは、イオン交換樹脂上で実施してもよい。
【0045】
式Iの化合物の医薬として許容し得る塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、及びカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩、及びマグネシウム塩;第III群元素、例えばアルミニウム塩;及びアンモニウム塩を含む。適切な有機塩基との塩、例えばヒドロキシルアミンとの塩;低級アルキルアミン、例えばメチルアミン、又はエチルアミン;置換された低級アルキルアミン、例えばヒドロキシ置換されたアルキルアミンとの;又は単環式窒素複素環化合物、例えばピペリジン、又はモルホリンとの塩;及びアミノ酸との塩、例えばアルギニン、リジンなど、若しくはこれらのNアルキル誘導体などとの塩;又はアミノ糖、例えばNメチル-D-グルカミン、又はグルコサミンとの塩。無毒の生理的に許容し得る塩が好ましいが、その他の塩も、例えば生成物を単離し、又は精製する際に有用である。
【0046】
ジアステレオアイソマーは、従来技術、例えばクロマトグラフィー、又は微小結晶化を使用して分離してもよい。種々の光学異性体を、従来の、例えば微小結晶化、又はHPLC技術を使用してラセミ化合物、又は化合物のその他の混合物の分離によって単離していてもよい。或いは、所望の光学異性体を、ラセミ化を生じさせないであろう条件下で、適切な光学活性な出発材料の反応によって作製してもよい。
【0047】
アルキルを表してもよい置換基には、例えば、メチル、エチル、ブチル、例えばsecブチルを含む。ハロゲンは、F、Cl、Br、及びI、特にClを表してもよい。
【0048】
式1の化合物のR3が表してもよい置換基の例には、1つ以上の、好ましくは同じでも、又は異なってもよい1〜3個の置換基R2によってそれぞれ任意に置換された、アルキル、アルコキシ、又はアリールを含む。
【0049】
加えて、Lが単結合であるときに、R3は、アルキルによって任意に置換されたチオアルキル、又は任意に置換されたアリール、アリールが任意に置換されたチオアリール、任意に置換されたアリール、ヒドロキシル、NO2、CN、NR10R11、ハロゲン、SO2R12、NR13SO2R14、C(=W)R15、OC(=W)NR10R11、NR15C(=W)R17、P(=O)OR40R41、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R15、R17、R40、及びR41を表し、これらは、同じであってもよく、又はこれらは同じでも、若しくは異なってもよく、水素、任意に置換されたアリールによって任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリールを表し、
加えて、NR10R11は、これらが付着される窒素と共に環を形成してもよく、
R12は、NR10R11と同じ意味を有してもよく、
R17がNR10R11を表すときに、そのR10、及びR11は、同じでも、又は異なってもよく、水素、COアルキル、及びCO任意に置換されたアリールを表してもよく、
R16、及びR17は、同じでも、又は異なってもよく、それぞれ、
1つ以上のハロゲン、アルコキシ任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたアリールによって置換されたアルキル、
任意に置換されたアリールオキシ、
アリール、又はNR10R11を表し、
かつR16、又はR17がNR10R11を表すときに、R10、及びR11の一方は、加えて、任意に置換されたCOアルキル、又は任意に置換されたCOアリールを表してもよく、
かつR17と共有される定義に加えて、R16は、ヒドロキシを表してもよい。
【0050】
R1、及びR2が表してもよい置換基の例は、同じでも、又は異なってもよく:
1つ以上のハロゲン、アルコキシ、又は任意に置換されたアリール、チオアリール、若しくはアリールオキシ、アルキル若しくは任意に置換されたアリールによって任意に置換されたアルコキシ、ヒドロキシル、OC(=W)NR10R11、任意に置換されたアリール、アルキル若しくは任意に置換されたアリールによって置換されたチオアルキル、アリールが任意に置換されているチオアリール、NO2、CN、NR10R11、ハロゲン、SO2R12、NR13SO2R14、C(=W)R16、NR15C(=W)R17、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17によって任意に置換されたアルキルを含み、これらは、同じでも、又は異なってもよく、水素、任意に置換されたアリールによって任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリールを表し、
加えて、
NR10R11は、これらが付着される窒素と共に環を形成してもよく、
R12は、NR10R11と同じ意味を有してもよく、
R17がNR10R11を表すときに、そのR10、及びR11は、同じでも、又は異なってもよく、水素、COアルキル、及びCO任意に置換されたアリールを表してもよく、
R16は、ヒドロキシ、アルコキシ、又はNR10R11を表してもよく、
R17は、ハロゲン、アルコキシ、任意に置換されたアリール、又はNR10R11の1つ以上によって置換されたアルキルを表してもよく、
かつR17がNR10R11を表すときに、そのNR10R11は、水素、COアルキル、及びCO任意に置換されたアリールを表してもよい。
【0051】
Lがリンカー基を表すとき、Lが表してもよいリンカー基の例には、以下を含む:
O、S、(CO)nNR18
アルキレン、アルケニレン、アルキニレン(これらのそれぞれは、1つ以上のO、S、NR18、又は一つ以上のC-C一重、二重、若しくは三重結合によって任意に中断されていてもよい)、
-N-N-単結合、又は二重結合、
R18は、水素、アルキル、COR16を表す。
【0052】
Lが(CO)nNR18であるとき、nは、O、1、又は2を表してもよく、nが1、又は2であるときに、R18は、好ましくは水素を表す。
【0053】
R4、R5、R6、R7、及びR8の変動の範囲は、大きいが、好ましくは、R4、R5、R6、R7、及びR8は、水素、アルキル、又は任意に置換されたアリールを表す。
【0054】
好ましくは、Yは、Nを表し、かつXは、O、S、又はNR4を表す。すなわち好ましくは、式Iに記載の化合物は、ベンゾオキサゾール、ベンズチアゾール、又はベンズイミダゾールである。
【0055】
R4、R6、R8、又はR9のいずれか1つは、-L-R3-を表してもよいが、好ましい化合物において、R9は、-L-R3を表す。
【0056】
アルキルは、任意のアルキル鎖を表してもよい。アルキルには、直線、及び分枝の、飽和、及び不飽和のアルキル、並びにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルなどの環状アルキルを含む。しかし、好ましくは、置換基のいずれかがアルキルを表すときに、アルキルは、飽和した、直鎖、又は分枝であり、かつ1〜10炭素原子、好ましくは1〜8炭素原子、及びより好ましくは、1〜6炭素原子を有する。置換基のいずれかがアルキルを表すときに、特に好ましい基は、シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルである。
【0057】
アリールは、任意の芳香族系を表してもよい。好ましくは、式Iの化合物において、アリールは、芳香族炭化水素、又は炭素の他に環成分として酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選択される1〜4ヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族複素環である。本発明者らは、1つ、又は2つのヘテロ原子を含む複素環を好む。言及してもよい芳香族複素環には、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジンを含む。
【0058】
特に好ましくは、アリールが芳香族炭化水素であるときに、アリールは、6〜10員の単環式、又は二環式の系、例えばフェニル、又はナフタレンを表す。
【0059】
言及してもよい、飽和、及び不飽和の複素環は、好ましくはN、S、及びOから選択される1〜2ヘテロ原子を含む、4〜7環原子、好ましくは5、又は6環原子を含む複素環を含む。言及してもよい複素環には、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、ピペラジン、及びモルホリンを含む。N含有複素環は、NR10R11が複素環を形成するときに、特に好ましい。
【0060】
上で詳述したように、A1-A4の隣接するペアが、それぞれCR1を表すときに、隣接する炭素原子は、これらの置換基と共に、環環Bを形成してもよい。また、XがCR6R7であるときに、R6、及びR7は、これらが付着される炭素と共に、環Cを形成してもよい。好ましくは、環B、及び/又は環Cは、飽和、又は不飽和の3〜10員の炭素環、又は複素環である。
【0061】
特に好ましくは、環Bは、ベンゼン環である。
【0062】
特に好ましくは、環Cは、3〜10員の飽和、又は不飽和の炭素環である。
【0063】
本発明者らは、特に少なくとも1つのR1がNR15C(=W)R17を表す化合物、より詳細には基NR15COR17を好む。
【0064】
また、本発明者らは、少なくとも1つのR1がCONR10R11を表す化合物を好む。
【0065】
特に好ましい化合物の1つの基について、少なくとも1つのR1は、R17が以下から選択されるアミド基NHCOR17を表す:
アルキルC1-C6
フェニルによって置換されたアルキルC1-C6
アルコキシC1-C6によって置換されたアルキルC1-C6
ハロアルキルC1-C6
パーフルオロアルキルC1-C6
1つ以上のハロゲン、アルキルC1-C6、アルコキシC1-C6、アミノ、(アルキルC1-C6)アミノ、ジ(アルキルC1-C6)アミノ、又はフェニルによって任意に置換されたフェニル、
CH:CHフェニル、
ナフチル、ピリジニル、チオフェニル、及びフラニル。
【0066】
本発明者らは、R1、及びR2の一方、又は両方が-COOH以外である化合物を好む。
【0067】
特に好ましい化合物の別の基については、少なくとも1つのR1が基NR15CONR10R11を表し、次いでR10、及びR11は、同じでも、又は異なってもよく、任意に置換されたアリール、アルキル、及び任意に置換されたCOアリールから選択される。特に好ましい基は、R1の少なくとも1つがNHCONHR15を表してもよく、かつR15が1つ以上のハロゲンによって任意に置換されたフェニル、アルキルC1-C6及びCOフェニルから選択される。
【0068】
特に好ましい化合物の別の基については、少なくとも1つのR1が、フェニル、又はN、S、及びOから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5、若しくは6員の飽和、又は不飽和の複素環によって任意に置換されたアルキルC1-C6を表す。
【0069】
特に好ましい化合物の別の基については、少なくとも1つのR1が、COR16を表し、かつR16が、アルコキシC1-C6、アミノ、(アルキルC1-C6)アミノ、又はジ(アルキルC1-C6)アミノである。
【0070】
特に好ましい化合物の別の基については、少なくとも1つのR1が以下表す:
NO2
ハロゲン、
アルキルC1〜C6が、フェニル、又は5、若しくは6員の飽和、又は不飽和の複素環によって任意に置換されたアミノ、又は(アルキルC1-C6)アミノ、又はジ(アルキルC1-C6)アミノ
NHSO2アルキルC1-C6、NHSO2フェニル、
SO2アルキルC1-C6
C1-C6アルコキシC1-C6によって任意に置換されたフェニル、
5〜10員の飽和、又は不飽和の、N、S、及びOから選択される1-3つのヘテロ原子を含む単環、又は二環式複素環。
【0071】
また、基R3の変動については、広範囲である。好ましくは、R3は、アリールを表し、かつ同じでも、又は異なってもよい1〜3個の置換基R2によって任意に置換される。特に好ましくは、R3は、5〜10員の芳香族単環、又は二環式の系、特に炭化水素5〜10員の芳香族単環、又は二環式の系、例えばベンゼン、又はナフタレンである。或いは、5〜10員の芳香族単環、又は二環式の系は、N、O、及びSから選択される3つまでのヘテロ原子を含む複素環式系、例えばチオフェン、フラン、ピリジン、又はピロールであってもよい。
【0072】
好ましくは、置換基(群)R2は、以下から選択される:
それぞれ任意にハロゲンによって置換された、任意にチオフェニル、又はフェノキシによって置換されたアルキルC1-C6
アルコキシC1-C6
フェニル
チオアルキルC1-C6
ハロゲンによって任意に置換されたチオフェニル
NO2
CN、
NR10R11、式中、R10、及びR11は、同じでも、又は異なっていてもよく、水素、アルキルC1-C6を表すか、又はこれらが付着する窒素と共に5〜7員環を形成し、これは、N、O、及びSから選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含んでいてもよく、
ハロゲン、
SO2R12、式中R12は、5〜7の員環を表し、これは、N、O、及びSから選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含んでいてもよく、
NHCOR17、式中R17は、以下を表す:
以下によって任意に置換されたアルキルC1-C6
フェニル、若しくはハロゲン、又は、
アルコキシC1-C6、カルボキシ、若しくはハロゲンによって任意に置換されたフェニル、又は、
5、若しくは6員の飽和、又は不飽和の複素環、
フェニル、又はハロゲン、アルコキシC1-C6、カルボキシ、若しくは基SO2NR10R11によって任意に置換された5、若しくは6員の飽和、又は不飽和の複素環。
【0073】
特に好ましくは、R2がNR10R11を表すときに、NR10R11は、N-ピロール、N-ピペリジン、N'(C1-C6)アルキル、Nピペラジン、又はN-モルホリンを表す。
【0074】
好ましくは、リンカー基Lは、以下を表す:
-NH.NH-
-CH=CH
-NCOR16、式中R16は、ハロゲン、アルコキシC1-C6、カルボキシによって任意に置換された5、若しくは6員の飽和、又は不飽和の複素環を表す。
【0075】
A1-A4は、N、又はCR1を表してもよい。結果的に、ベンゾオキサゾール6員環は、1、2、3、又は4つの窒素原子を含んでいてもよい。A1-A4のうちの2つが窒素を表し、A1-A4の1つが窒素を表し、及びA1-A4の全てがCR1を表す、本発明の実施態様が存在する。
【0076】
任意にデュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療的、及び/又は予防的処置のための、特に好ましい化合物の群、又はこれらの医薬として許容し得る塩において:
A1、A2、A3、及びA4は、同じでも、又は異なってもよく、N、又はCR1を表し、
Xは、O、S(O)n、C=W、NR4、NC(=O)R5、及びCR6R7から選択される二価の基であり、
Wは、O、S、NR20であり、
Yは、N、又はCR8であり、
R4、R5、R6、R8、R9、及びNR20のうちの1つは、Lが単結合、又はリンカー基である-L-R3を表し、
加えて、R4-R9は、同じでも、又は異なってもよく独立して、水素、又は置換基を表し、かつR20は、水素、ヒドロキシル、アリールによって任意に置換されたアルキル、アリールによって任意に置換されたアルコキシ、アリール、CN、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアルカノイル、任意に置換されたアロイル、NO2、NR30R31を表し、式中、R30、及びR31は、同じでも、又は異なってもよく、水素、任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたアリールを表し;加えて、R30、及びR31の一方は、任意に置換されたアルカノイル、又は任意に置換されたアロイルを表してもよく、nは、整数O〜2を表し、
R3は、同じでも、又は異なっていてもよい、1〜3個の置換基R2によってそれぞれ任意に置換されたアルキル、アルコキシ、又はアリールを表し、
R1、及びR2は、同じでも、又は異なってもよく、以下を表し:
1つ以上のハロゲン、アルコキシ、又は任意に置換されたアリール、チオアリール、若しくはアリールオキシによって任意に置換されたアルキル、
アルキル、又は任意に置換されたアリールによって任意に置換されたアルコキシ、
ヒドロキシル、
OC(=W)NR10R11
任意に置換されたアリール
アルキル、又は任意に置換されたアリールによって任意に置換されたチオアルキル、
アリールが任意に置換されているチオアリール、
NO2
CN、
NR10R11
ハロゲン、
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
NR15C(=W)R17
R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17、これらは、同じでも、又は異なってもよく、水素、任意に置換されたアリールによって任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリールを表し、
加えて、
NR10R11は、これらが付着される窒素と共に環を形成してもよく、
R12は、NR10R11と同じ意味を有してもよく、
R17がNR10R11を表すときに、そのNR10R11は、水素、COアルキル、及びCO任意に置換されたアリールを表してもよく、
R16は、ヒドロキシ、アルコキシ、又はNR10R11を表してもよく、
R17は、ハロゲン、アルコキシ、任意に置換されたアリール、又はNR10R11の1つ以上によって置換されるアルキルを表してもよく、
及びR17がNR10R11を表すときに、そのNR10R11は、水素、COアルキル、及びCO任意に置換されたアリールを表してもよく、
及び加えて、
A1−A4の隣接するペアがそれぞれCR1を表すときは、隣接する炭素原子は、これらの置換基と共に環Bを形成してもよく、
Xが、CR6R7であるときに、R8、及びR7は、これらが付着される炭素原子と共に環Cを形成していてもよい。
【0077】
また、本発明者らは、その必要のある患者における、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療、又は予防のための方法であって、患者に本発明の組み合わせの有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0078】
(一般的な優先度、及び定義)
本発明の組み合わせは、別々に投与されたときに、個別の化合物の治療効果と比較して、治療的に有効な効果を生じるであろう。
【0079】
「有効な」という用語は、相加作用、相乗作用、副作用の減少、毒性の減少、疾患進行時間の増加、生存期間の増加、別の薬剤に対するある薬剤の感作、又は再感作、又は反応速度の改善などの有益な効果を含む。好都合には、有効な効果により、患者に投与される各成分、又はいずれかの成分のより低い用量が可能になり、これにより化学療法の毒性を減少させ、一方で同じ治療効果を生じ、及び/又は維持する。
【0080】
本状況における「相乗」効果は、個々に存在したときの組み合わせの成分の治療有効性の合計よりも大きい、組み合わせによって生じる治療効果をいう。
【0081】
本状況における「相加」効果は、個々に存在したときの任意の組み合わせの成分の治療効果よりも大きい、組み合わせによって生じる治療効果をいう。
【0082】
「医薬組成物」は、その投与により、所望の生理学的変化を誘発することができる、患者(例えば、ヒト、又は動物患者)に投与するために適した形態、濃度、及び純度のレベルの固体、又は液体の組成物である。医薬組成物は、典型的には無菌、及び/又は非発熱性である。本発明の医薬組成物に適用される非発熱性という用語は、患者に投与されたときに、望ましくない炎症反応を誘発しない組成物を定義する。
【0083】
本明細書に使用される、動員薬、及び動員という用語は、骨髄から末梢血へのCD34+細胞、幹細胞、前駆体細胞、及び/又は前駆細胞の遊走を促進するために役に立つ薬剤、及び治療をいう技術用語である(総説については、例えばCottier-Foxらの文献、(2003) Stem cell mobilization Hematology: 419-437を参照されたい)。本発明に従った使用に適する動員のための現在の標準的薬剤は、G-CSF(Filgrastim(商標)、Amgen)、GM-CSF(Sargramostim(商標)、Berlex、Richmond、Ca)、及びエリスロポエチン(これは、いくらか動員活性w.r.t.CD34+細胞を有する)を含む。代わりの薬剤には、幹細胞因子(SCF)(これは、G-CSFと組み合わせて使用したときに特に有効である)、並びにG-CSF(Pegfilgrastim(商標)、Amgen)、及びエリスロポエチン(Darbopoietin(商標)、Amgen)の種々の誘導体を含む。後者の薬剤は、半減期が延長されたことによる利益を受け、そして収集のために利用できる時間ウィンドウを増加させる。間質由来因子(SDF-1a)の、その同族受容体CXCR4に対する結合の可逆的阻害剤であるAMD3100(AnorMed(商標)、Vancouver、Canada)は、現在動員薬として臨床試験中である。その他の薬剤には、ドセタキセルを含む(例えば、Princeらの文献(2000) Bone Marrow Transplantation 26:483-487を参照されたい)。
【0084】
本明細書に使用される「ユートロフィンのアップレギュレーション」という用語は、遺伝子増幅(すなわち、複数遺伝子コピー)、及び転写効果による発現増加を含むユートロフィンの高発現、又は過剰発現、並びに突然変異による活性化を含むユートロフィンの機能亢進、及び活性化を含む。「ユートロフィンアップレギュレート薬」という用語は、これに従って解釈されるべきである。従って、ユートロフィンのアップレギュレーションは、コードするDNAのレベル、並びに転写、翻訳、又は翻訳後レベルでのユートロフィン活性の増加を包含する。式(I)の好ましい化合物は、ユートロフィン アップレギュレーター(本明細書に開示したとおり)である。
【0085】
本明細書に使用される、2つ以上の化合物、及び/又は薬剤(また、本明細書において、成分とも称される)に適用される、「組み合わせ」という用語は、2つ以上の化合物/薬剤が会合されている材料を定義することが意図される。本文脈において、「組み合わせた」、及び「組み合わせること」という用語は、これに従って解釈されるべきである。
【0086】
組み合わせにおける2つ以上の化合物/薬剤の会合は、物理的でも、又は非物質的でもよい。物理的に会合した組み合わせた化合物/薬剤の例は、以下を含む:
・混合物中に(例えば、同じ単位投与量内に)2つ以上の化合物/薬剤を含む組成物(例えば、一体的製剤);
・2つ以上の化合物/薬剤が化学的に/物理化学的に連結されている(例えば、共通の媒体部分に対する架橋、分子凝集、又は結合による)材料を含む組成物;
・2つ以上の化合物/薬剤が化学的に/物理化学的に共にパックされた(例えば、脂質媒体、粒子(例えば、微粒子、又はナノ粒子)、若しくは乳剤小滴上に、又は内に配置された)材料を含む組成物;
・2つ以上の化合物/薬剤が共にパックされ、又は共に提示された(例えば、単位投与量のアレイの一部としての)医薬品キット、医薬品パック、又は患者パック;
【0087】
非物理的に会合した組み合わせた化合物/薬剤の例には、以下を含む:
・2つ以上の化合物/薬剤の物理的会合を形成するための、少なくとも1つの化合物/薬剤のその場での会合のための説明書と共に、2つ以上の化合物/薬剤の少なくとも1つのを含む材料(例えば、非一体的製剤);
・2つ以上の化合物/薬剤での併用療法のための説明書と共に、2つ以上の化合物/薬剤の少なくとも1つを含む材料(例えば、非一体的製剤);
・2つ以上の化合物/薬剤の少なくとも1つを、2つ以上の化合物/薬剤のその他のものが投与された(又は、される)患者集団に対する投与のための説明書と共に含む材料;
・2つ以上の化合物/薬剤の少なくとも1つを、2つ以上の化合物/薬剤のその他のものとの組み合わせに使用するために特異的に適応された量で、又は形態で含む材料。
【0088】
本明細書に使用される「併用療法」という用語は、2つ以上の化合物/薬剤(上記記載のとおり)の組み合わせの使用を含む療法を定義することが意図される。従って、本出願における、「併用療法」、「組み合わせ」、及び「組み合わせの」化合物/薬剤の使用に対する言及は、同じ全体的治療計画の一部として投与される化合物/薬剤をいってもよい。従って、2つ以上の化合物/薬剤のそれぞれの薬量学は、異なってもよく:それぞれ、同時に、又は異なる時間に投与されてもよい。従って、組み合わせの化合物/薬剤は、同じ医薬品製剤において(すなわち、共に)、又は異なる医薬品製剤において(すなわち、別々に)、いずれかで、連続して(例えば、前に、又は後に)、又は同時に投与してもよいことが認識されるであろう。同じ製剤において同時では、一体的製剤としてであるが、異なる医薬品製剤において同時では、非一体的である。また、併用療法における2つ以上の化合物/薬剤のそれぞれの薬量学は、投与の経路に関して異なっていてもよい。
【0089】
本明細書に使用される「医薬品キット」という用語は、任意に全てが共通の外側パッケージング内に含まれた、投薬手段(例えば、測定装置)、及び/又は分配手段(例えば、吸入器、又は注射器)と共に、医薬組成物の1つ以上の単位投与量のアレイを定義する。2つ以上の化合物/薬剤の組み合わせを含む医薬品キットにおいて、個別の化合物/薬剤は、一体的製剤、又は非一体的製剤であってもよい。単位投与量は、ブリスター包装内に含まれていてもよい。医薬品キットは、任意に使用説明書を更に含んでいてもよい。
【0090】
本明細書に使用される「医薬品パック」という用語は、任意に共通の外側パッケージング内に含まれた、医薬組成物の1つ以上の単位投与量のアレイを定義する。2つ以上の化合物/薬剤の組み合わせを含む医薬品パックにおいて、個別の化合物/薬剤は、一体的製剤、又は非一体的製剤であってもよい。単位投与量は、ブリスター包装内に含まれていてもよい。医薬品パックは、任意に使用説明書を更に含んでいてもよい。
【0091】
本明細書に使用される「患者パック」という用語は、治療の全経過のための医薬組成物を含む患者に処方されるパッケージを定義する。患者パックは、通常1つ以上のブリスター包装(類)を含む。患者パックは、従来の処方箋を上回る利点を有し、この場合、薬剤師は、バルク供給からの医薬品の患者供給を分けてあり、患者が常に患者パックに含まれる添付文書にアクセスするという点で、通常患者の処方箋が無くなる。添付文書を包含することにより、医師の指導による患者のコンプライアンスを改善することが示された。
【0092】
本発明の組み合わせは、別々に投与されたときに、個別の化合物/薬剤の治療効果と比較して、治療的に有効な効果を生じるであろう。
【0093】
本明細書に使用される「補助的薬剤」という用語は、本明細書で定義したとおりの式(1)の化合物と組み合わせたときに、(本明細書に定義したような)有効な組み合わせを生じる化合物/薬剤を定義するであろう。従って、補助的薬剤は、本明細書で定義したとおりの式(1)の化合物に対する補助として作用するであろうし、又はさもなければ、組み合わせの有効性に寄与するであろう(例えば、本明細書に定義したように、相乗効果、又は相加作用を生じること、又は反応速度を改善することによる)。
【0094】
本明細書に使用される「抗体」という用語は、抗体全体(ポリクローナル抗体、及びモノクローナル抗体(Mabs)を含む)を定義する。また、本明細書に使用される本用語は、F(ab)、F(ab')、F(ab')2、Fv、Fc3、及び単鎖抗体(及びこれらの組み合わせ)を含む抗体断片をいい、これは、組換えDNA技術によって、又は無処置の抗体の酵素的、若しくは化学的切断によって産生してもよい。また、「抗体」という用語は、2つの異なる重鎖/軽鎖対、及び2つの異なる結合部位を有する合成ハイブリッド抗体である二重特異的、又は二価抗体を包含するために本明細書において使用される。二重特異的抗体は、ハイブリドーマの融合、又はFab‘断片の連結を含む種々の方法によって産生することができる。また、キメラ抗体(1つ以上の非ヒト可変抗体免疫グロブリンドメイン、又はその断片に結合されたヒト定常抗体免疫グロブリンドメインを有する抗体)も「抗体」という用語に包含される。従って、このようなキメラ抗体には、「ヒト化」抗体を含む。ミニボディー(分ibodies)(WO 94/09817を参照されたい)、単鎖Fv-Fc融合抗体、及びトランスジェニック動物によって産生されるヒト抗体抗体も「抗体」という用語に包含される。また、「抗体」という用語には、多量体抗体、及びタンパク質の高次複合体(例えば、ヘテロ二量体抗体)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0095】
なし
【発明を実施するための形態】
【0096】
(本発明に従って使用するための補助的薬剤)
多種多様な補助的薬剤を、本発明の組み合わせに使用してもよい。好ましくは、本明細書に記述したとおりの本発明の組み合わせに使用するための補助的薬剤は、以下のクラスから選択される:
1. 抗炎症薬;
2. プロテアーゼ阻害剤;
3. ミオスタチンアンタゴニスト;
4. サイトカイン、及び動員薬;
5. 副腎皮質ステロイド;
6. アナボリックステロイド;
7. TGF-β アンタゴニスト
8. 抗酸化剤、及びミトコンドリア補助薬;
9. ジストロフィン発現増強薬;
10. 遺伝子置換/修復薬;
11. 細胞に基づいた組成物;
12. クレアチン;
13. 抗骨粗鬆症薬;
14. 補助的ユートロフィンアップレギュレート薬;
15. cGMPシグナリングモジュレーター;及び、
16. 前述のクラスの2つ以上の組み合わせ。
【0097】
本明細書における特定の補助的薬剤に対する言及には、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N-オキシド、エステル、プロドラッグ、同位元素、及び保護された形態(好ましくは、その塩、又は互変異性体、又は異性体、又はN-オキシド、又は溶媒和物、及びより好ましくは、塩、又は互変異性体、又はN-オキシド、又は溶媒和物)を含むことが意図される。
【0098】
(1. 抗炎症薬)
DMDによって影響を受ける筋肉は、豊富なマクロファージを含む炎症の徴候を示す。従って、後述するように、広範囲にわたる抗炎症薬を筋ジストロフィーの治療に使用することができる。
【0099】
(1.1 β2アドレナリン作動性受容体アゴニスト)
本発明の一つの実施態様において、補助的薬剤は、β2アドレナリン作動性受容体アゴニスト(例えば、アルブテロール)である。
【0100】
定義、及び技術的背景:β2アドレナリン作動性受容体アゴニストという用語は、β2アドレナリン作動性受容体に対して作用して、これにより、気管支の通過の拡張を生じる平滑筋弛緩、筋肉及び肝臓における血管拡張、子宮筋の弛緩、及びインスリンの放出を生じさせる薬物のクラスを定義するために本明細書において使用される。本発明に従った使用のための好ましいβ2アドレナリン作動性受容体アゴニストは、喘息患者のために吸入薬形態において広く使用されている免疫抑制薬物のアルブテロールである。アルブテロールは、マクロファージ、及び炎症性組織喪失に寄与するその他の免疫細胞の浸潤を抑制することによって疾患進行を遅らせると考えられる。また、アルブテロールは、いくつかのタンパク質同化効果を有して、筋組織の成長を促進するようである。また、アルブテロールは、(おそらくカルパイン阻害を介して)タンパク質分解を抑制し得る。
【0101】
(1.2 nNOS刺激物質)
ジストロフィンの喪失は、膜の破壊を引き起こして、通常は一酸化窒素(NO)を産生するタンパク質である、ニューロン一酸化窒素シンターゼ(nNOS)を不安定にする。DMD患者において観察される筋肉変性の少なくとも一部では、筋肉膜関連ニューロン一酸化窒素シンターゼの産生を減少するであろうと考えられる。この減少は、血管収縮反応の制御障害、及び最終的な筋肉損傷障害を引き起こし得る。
【0102】
(1.3 核因子κ-B阻害剤)
本発明の組み合わせに使用するために適した抗炎症薬の好ましいクラスは、核因子κ-B(NF-kb)阻害剤である。NF-kBは、細胞免疫、炎症性反応、及び増殖性反応を調整する主要な転写因子である。NF-kBは、活性化マクロファージにおいて機能して、炎症、及び筋肉壊死を促進し、及び骨格筋線維において筋肉前駆体細胞の阻害を介して再生を制限する。DMDにおけるこの因子の活性化は、疾患病態に寄与する。従って、NF-kBは、筋ジストロフィーの進行において重要な役割を果たし、IKK/NF-Bシグナリング経路は、DMDの治療のための潜在的な治療標的である。NF-kBの阻害剤(例えば、IRFI 042、ビタミンE類似体)は、筋肉機能を寛解させ、血清CKレベル、及び筋肉壊死を減少させて、筋肉再生を増強する。更にまた、NF-kB/IKKを媒介したシグナリングの特異的阻害も、同様の利益を有する。
【0103】
(1.4 TNFαアンタゴニスト)
TNFαは、炎症反応をトリガーし、及び持続する重要なサイトカインである。本発明の一つの実施態様において、補助的薬剤は、TNF-αアンタゴニスト(例えば、インフリキシマブ)である。
【0104】
優先度、及び具体的実施態様;本発明に従った使用のための好ましいTNF-αアンタゴニストは、マウスVK、及びVHドメイン、並びにヒト定常Fcドメインを含むキメラモノクローナル抗体であるインフリキシマブ(Remicade(商標))を含む。本薬物は、それに結合すること、及びそれが細胞表面上のTNFαのための受容体のシグナル伝達を妨げることによってTNFαの作用を遮断する。本発明に従った使用のための別の好ましいTNF-αアンタゴニストは、アダリムマブ(Humira(商標))である。アダリムマブは、完全ヒトモノクローナル抗体である。本発明に従った使用のための別の好ましいTNF-αアンタゴニストは、エタナーセプト(Enbrei(商標))である。エタナーセプトは、IgG1のFc部分に連結された可溶性ヒトTNF受容体を含む二量体の融合タンパク質である。これは、TNFαに結合し、そしてTNFαの作用を遮断する大分子である。エタナーセプトは、天然に存在する可溶性TNF受容体の阻害作用を模倣するが、しかし、融合タンパク質として、これは血流において非常に延長された半減期を有し、従ってより強く、かつ持続性の阻害作用を有する。エンブレルは、25mgバイアル中の凍結乾燥された粉末として市場に出されており、これは、典型的には自宅の患者によって、希釈剤で再構成されて、次いで皮下に注射されなければならない。
【0105】
本発明に従った使用のための好ましい別のTNF-αアンタゴニストは、ペントキシフィリン(Trental(商標))、化学名1-(5-オキソヘキシル)-3,7-ジメチルキサンチンである。徐放性錠剤形態の常用量は、食事と共に1日に3回の1錠(400mg)である。
【0106】
薬量学:レミケードは、典型的には2ヵ月の間隔にて、静脈内注入によって投与される。推奨される用量は、静脈内注入として与えられる3mg/kg、続いて最初の注入の2、及び6週間後に、次いでその後に8週毎にさらなる同様の用量である。不完全な反応を有する患者については、10mg/kgまでの用量を調整するか、又は4週毎と同程度で治療することがなされることを考慮してもよい。ヒュミラ(Humira)は、プレロードされた0.8mlの注射器に、及びプレロードされたペン装置の両方で市場に出されており、典型的には両方とも自宅の患者により皮下に注射される。エタナーセプトは、25mg(毎週2回)、又は50mg(毎週1回)の用量にて投与することができる。
【0107】
(1.5 シクロスポリン)
本発明の一つの実施態様において、抗炎症薬は、シクロスポリンである。本薬物の主要形態であるシクロスポリンAは、真菌トリポクラジウム・インフラツム(Tolypocladiu分flatum)によって産生される11アミノ酸の環状非リボソームペプチドである。シクロスポリンは、免疫適格性リンパ球(特に、T-リンパ球)のサイトゾルタンパク質サイクロフィリン(イムノフィリン)に結合することと考えられる。シクロスポリン、及びシクロフィリンのこの複合体は、カルシニューリンを阻害して、これは通常の環境下でインターロイキン-2の転写を活性化する役割を果たす。また、これは、リンホカイン産生、及びインターロイキン放出を阻害し、従ってエフェクターT細胞の機能の減少を引き起こす。これは、細胞増殖抑制作用に影響を及ぼさない。また、これは、ミトコンドリアに対しても効果を有し、ミトコンドリアPT孔が開口部を形成するのを妨げ、従って、チトクロムC放出(強力なアポトーシスの刺激因子)を阻害する。シクロスポリンは、1-10mg/kg/日の用量にて投与してもよい。
【0108】
(2. プロテアーゼ阻害剤)
骨格筋のタンパク質は、少なくとも3つの異なるタンパク質分解経路によって分解される:(a)リソソームプロテアーゼ(例えば、カテプシン);(b)非リソソームCa2+-依存的プロテアーゼ(例えば、カルパイン);及び(c)非リソソームATP-ユビキチン依存的プロテアーゼ(例えば、多触媒性プロテアーゼ複合体、又はプロテアソーム)。いくつかの証拠の系統では、タンパク質分解経路の活性化の増強が筋ジストロフィーの病原性の基礎をなすことが示唆された。従って、プロテアーゼ阻害剤は、後述するように、筋ジストロフィーの治療に使用することができる。
【0109】
本発明に従った使用のための好ましいプロテアーゼ阻害剤は、上記の3つの分解経路の1つを特異的にターゲットするであろう。特に好ましくは、後述するように非リソソームCa2+-依存的経路をターゲットするプロテアーゼ阻害剤である(カルパイン阻害剤)、又は非リソソームATP-ユビキチン依存的経路(プロテアソーム阻害剤)である:
【0110】
(2.1 カルパイン阻害剤)
本発明の一つの実施態様において、補助的薬剤は、カルパイン阻害剤である。
【0111】
定義、及び技術的背景:「カルパイン阻害剤」という用語は、カルパインの活性を阻害することができる任意の薬剤を定義するために本明細書に使用される。カルパインは、多くの細胞骨格タンパク質、及びミエリンタンパク質を切断する遍在性のカルシウム依存的システインプロテアーゼである。カルパインは、いくつかの外傷、又は虚血イベント、及び/又は遺伝子欠損の結果として増加した膜透過性によってCa2+の異常な量が細胞に入るときに、活性が促進されるCa2+活性化細胞内プロテアーゼのファミリーに属する。カルパインは、プログラム細胞死、又はアポトーシスを促進する際の活性であるシステインプロテアーゼの比較的小さなファミリーの1つである。これは、壊死性細胞死、及びアポトーシス細胞死の開始に関係していた。カルパインが異常にアップレギュレーションされると、分解促進プロセスが細胞、及び組織を、これらが回復するよりも急速に壊し、いくつかの深刻な神経筋、及び神経変性疾患を生じる。カルパインは、筋ジストロフィー(DMDを含む)と関連する組織破壊の促進に関係していた。カルパインを活性化するトリガーは、細胞に漏れるCa2+イオンであり、そこでのレベルは、一般に非常に低い。ジストロフィン遺伝子は、膜統合性を維持することに関与しており、これが変異されたときは、膜は、カルシウムイオンに対してより浸透性となる。従って、DMD患者の筋肉におけるカルパイン活性の阻害は、筋肉統合性を保存して、筋肉変性を妨げ、又は遅らせることができる。
【0112】
優先度、及び具体的実施態様:本発明に従った使用のためのカルパイン阻害剤は、好ましくは担体(これは、筋組織にカルパイン阻害部分のターゲティングを促進するように作用する)に連結された(又は担体と結合された)カルパイン阻害部分を含む。ターゲティング部分は、カルパイン阻害部分に対して化学的に連結してもよく、又はそれと物理的に会合させてもよい(リポソーム担体)。好ましいターゲティング部分には、カルニチン、又はアミノカルニチンを含む。カルパイン阻害部分は、ロイペプチンであってもよい。特に好ましくは、Ceptor's Myodur(商標)であってもよい。その他のこのようなカルパイン阻害剤は、WO2005124563(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記述されている。その他の適切なカルパイン阻害剤は、WO 2004/078908(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたα-ケトカルボニルであるカルパイン阻害剤である。WO 2004/078908に記述されたカルパイン阻害剤のうち、好ましくは、カルパイン、及びプロテアソームをターゲットするものであってもよい。
【0113】
本発明に従った使用のためのカルパイン阻害剤は、カルパイン阻害部分がROS阻害剤に結合された(例えば、と組み合わせた、同時投与された、又は共有結合で連結された)キメラ化合物、又は組み合わせであってもよい。このような薬剤は、カルパインを媒介した筋肉組織破壊の減少と酸化的ストレスの軽減を組み合わせる。適切な二重作用カルパイン/ROS阻害剤は、例えばWO01/32654、WO2007/045761、WO2005/056551、及びWO2002/40016(これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0114】
その他の適切なカルパイン阻害剤は、市販のアッセイキット(例えば、Oncogene Research Products, San Diego, CAからの蛍光発生基質に基づいたカルパイン活性キット)を使用して同定することができる。このアッセイでは、カルパインが合成基質Suc-LLVY-AMCを消化する能力を測定し:遊離AMCは、360-380nmの励起、及び440-460nmの発光にて蛍光発生測定することができる。
【0115】
(2.2 プロテアソーム阻害剤)
定義、及び技術的背景:本発明の組み合わせに使用するために適した補助的薬剤の別のクラスは、プロテアソーム阻害剤である。プロテアソームは、多くの短命な生物学的プロセスの半減期を制御する。骨格筋線維の原形質膜にて、ジストロフィンは、糖タンパク質複合体(DGC)と称される多量体タンパク質複合体と会合する。この複合体のタンパク質メンバーは、通常ジストロフィン欠損した骨格筋線維に存在せず、又は非常に減少されており、プロテアソーム分解経路の阻害は、ジストロフィン関連タンパク質の発現、及び細胞下局在化を救出する。従って、プロテアソーム阻害剤は、DMDの治療のための潜在的治療として最近同定された(Bonuccelliらの文献、(2003) Am J Pathot. October; 163(4): 1663-1675を参照されたい)。本明細書に使用される「プロテアソーム阻害剤」という用語は、直接、又は間接的にプロテアソーム(その他の細胞のタンパク質の代謝回転に関与する巨大タンパク質複合体)の作用を混乱させ、崩壊させ、遮断し、調整し、又は阻害する化合物をいう。また、本用語は、上記の通り、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N-オキシド、エステル、プロドラッグ、同位元素、及び保護された形態(好ましくは、その塩、又は互変異性体、又は異性体、又はN-オキシド、又は溶媒和物、及びより好ましくは、その塩、又は互変異性体、又はN-オキシド、又は溶媒和物)を包含する。
【0116】
優先度、及び具体的実施態様:ペプチドアルデヒド(MG-132など)、及びプロテアソームのより特異的な阻害剤であるジペプチジルボロン酸ボルテジミブ(bortezimib)(Velcade(商標);以前にPS-341として公知)を含む、本発明の組み合わせに使用するために適した適切なプロテアソーム阻害剤のいくつかのクラスがある。従って、本発明に従って使用するための好ましいプロテアソーム阻害剤は、ボルテジミブ([(1R)-3-メチル-1-[[(2S)-1-オキソ-3-フェニル-2-[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]-ボロン酸)を含む。ボルテジミブは、例えば商品名Velcadeの下でMillennium Pharmaceuticals incから市販されており、又は例えばPCT特許明細書番号WO 96/13266に記載されているように、若しくはそれに類似の方法によって調製してもよい。ボルテジミブは、プロテアソームの触媒部位内の重要なアミノ酸、すなわちスレオニンと特異的に相互作用する。本発明の組み合わせに使用するための別の好ましいプロテアソーム阻害剤は、細胞透過性プロテアソーム阻害剤CBZ-ロイシル-ロイシル-ロイシナル(MG-132)である(Bonuccelliらの文献(2003) Am J Pathol. October; 163(4): 1663-1675に記載されているとおり、この化合物に関連する内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。その他の阻害剤は、MG-132に構造的に関連したものを含み、MG-115(CBZ-ロイシル-ロイシル-ノルバリナル)、及びALLN(N-アセチル-ロイシル-ロイシル-ノルロイシナル)を含む(また、Bonuccelliらの文献(2003) Am J Pathol. October; 163(4): 1663-1675に記載されているとおり、この化合物に関連する内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0117】
薬量学:プロテアソーム阻害剤(ボルテジミブなど)は、100〜200mg/m2などの投薬量で投与することができる。これらの投薬量は、例えば治療の経過につき、1回、2回、又はそれ以上投与してもよく、これは、例えば7、14、21、又は28日毎に繰り返されてもよい。MG-132は、10μg/kg/日の用量にて投与することができる。
【0118】
(3. ミオスタチンアンタゴニスト)
定義、及び技術的背景:本発明の組み合わせに使用するために適した補助的薬剤の別のクラスは、ミオスタチンアンタゴニストである。ミオスタチンは、成長/分化因子8(GDF-8)としても知られ、骨格筋質量の制御に関与する形質転換成長因子-β(TGF-β)ファミリーメンバーである。TGF-β-GDFファミリーの大部分のメンバーは、広く発現されており、多面的であるが:しかし、ミオスタチンは、主にそれがネガティブに骨格筋成長を制御する骨格筋組織において発現される。ミオスタチンは、タンパク質分解性切断によって活性化される不活性プレプロタンパクとして合成される。前駆体タンパク質は、切断されて、約25kDaのホモ二量体の形態の、成熟された、活性型である、およそ109アミノ酸COOH-末端タンパク質を生じる。成熟した二量体は、不活性な潜在的複合体がプロペプチドに結合したときに、血液において循環するようである。本明細書に使用される「ミオスタチンアンタゴニスト」という用語は、ミオスタチンの少なくとも1つの活性を阻害し、若しくは遮断する、又は或いは、ミオスタチン、又はその受容体の発現を遮断し、若しくは減少させる(例えば、ミオスタチンのその受容体に対する結合を干渉すること、及び/又はミオスタチンの結合からその受容体へ生じるシグナル伝達を遮断することによって)薬剤のクラスを定義する。従って、このような薬剤には、ミオスタチンそれ自体に、又はその受容体に結合する薬剤を含む。
【0119】
優先度、及び具体的実施態様:本発明に従った使用のためのミオスタチンアンタゴニストには、以下を含む:GDF-8に対する抗体;GDF-8受容体に対する抗体;可溶性GDF-8受容体、及びその断片(例えば、ActRIIBが、免疫グロブリンのFc部分に連結された可溶性ActRIIB受容体を含む、US10/689,677に記載されているようなActRIIB融合ポリペプチド);GDF-8プロペプチド、及びその修飾形態(例えば、GDF-8プロペプチドが免疫グロブリンのFc部分に連結された形態、及び/又はGDF-8がアスパラギン酸(asp)残基、例えばマウスGDF-8プロペプチドのasp-99、及びヒトGDF-8プロペプチドのasp-100にて変異されている形態)を含む、WO02/068650、又はUS10/071499に記載されているとおり);GDF-8の小分子阻害剤;フォリスタチン(例えば、US6,004,937に記載されているとおり)、又はフォリスタチン-ドメイン含有タンパク質(例えば、US10/369,736、及びUS10/369,738に記載されているような、GASP-1、又はその他のタンパク質);及びUS10/662,438に記載されているような、GDF-8活性化に影響を及ぼすメタロプロテアーゼ活性のモジュレーター。
【0120】
好ましいミオスタチンアンタゴニストは、ミオスタチン(単量体、又は二量体の形態の、ミオスタチンプロタンパク質、及び/又は成熟タンパク質を含む)に結合し、阻害し、又は中和するミオスタチン抗体を含む。ミオスタチン抗体は、好ましくは哺乳動物、若しくは非哺乳動物由来抗体、例えばサメ由来IgNAR抗体、又はヒト化抗体、又は抗体に由来する機能的断片を含む。このような抗体は、例えば、WO2004/0142383、WO2003/1038422、WO2005/094446、及びWO2006/116269(これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記述されている。また、ミオスタチン抗体は、ミオスタチンプロタンパク質に結合し、及び成熟した活性型への切断を妨げるものを含む。本発明の組み合わせに使用するための特に好ましいミオスタチン抗体は、Wyethのスタムルマブ(Stamulumab)(MYO029)である。MYO029は、結合して、ミオスタチンの活性を阻害する組換えヒト抗体である。その他の好ましい抗体アンタゴニストは、US6096506、及びUS6468535(参照により本明細書に組み込まれる)に記述された抗体を含む。一部の実施態様において、GDF-8阻害剤は、その受容体に対するGDF-8結合を遮断するモノクローナル抗体、又はこれらの断片である。その他の例示の実施態様には、マウスモノクローナル抗体JA-16(US2003/0138422に記載されているとおり(ATCC寄託番号PTA-4236));US2004/0142382に記述され、本明細書に組み込まれたような、そのヒト化誘導体、及び完全ヒトモノクローナル抗-GDF-8抗体(例えば、Myo-29、Myo-28、及びMyo-22、それぞれ、ATCC寄託番号PTA-4741、PTA-4740、及びPTA-4739、又はその誘導体)を含む。
【0121】
その他の好ましいミオスタチンアンタゴニストは、ミオスタチンに結合し、及びその少なくとも1つの活性を阻害する可溶性受容体を含む。「可溶性受容体」という用語は、本明細書において、ミオスタチンに特異的に結合し、これによりミオスタチンシグナル伝達を遮断し、若しくは阻害する、ミオスタチン受容体の切断されたバージョン、又は断片を含む。ミオスタチン受容体の切断されたバージョンは、例えば天然に存在する可溶性ドメイン、並びにN、又はC末端のタンパク質分解によって同化されたバリエーションを含む。可溶性ドメインは、受容体の細胞外ドメインの全部、又は一部を、単独で、又はさらなるペプチド、若しくはその他の部分に付着されて、いずれかで含む。ミオスタチンは、アクチビン受容体(アクチビンIEB型受容体(ActRHB)、及びアクチビンHA型受容体(ActRHA)を含む)に結合するので、アクチビン受容体は、可溶性受容体アンタゴニストの基礎を形成することができる。また、可溶性受容体Fc(US2004/0223966、及びWO2006/012627(両方の内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)を含む、可溶性受容体融合タンパク質を使用することができる。
【0122】
ミオスタチン受容体に基づいたその他の好ましいミオスタチンアンタゴニストは、ALK-5、及び/又はALK-7阻害剤である(例えば、WO2006025988、及びWO2005084699(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。TGF-βサイトカインとして、ミオスタチンは、一回膜貫通セリン/スレオニンキナーゼ受容体のファミリーを介してシグナルを伝達する。これらの受容体は、2つのクラス、I型、又はアクチビン様キナーゼ(ALK)受容体、及びII型受容体において分けることができる。ALK受容体は、(a)セリン/スレオニンリッチな細胞内尾部を欠如し、(b)I型受容体間で非常に相同的であるセリン/スレオニンキナーゼドメインを有し、及び(c)グリシン、及びセリン残基においてリッチな領域からなるGSドメインと呼ばれる共通配列モチーフを共有する点で、ALK受容体のII型受容体から区別される。GSドメインは、細胞内キナーゼドメインのアミノ末端にあり、II型受容体による活性化のために重要であると考えられる。TGF-βシグナリングには、ALK(I型)、及びII型受容体の両方に必要であることが、いくつかの研究で示された。具体的には、II型受容体は、TGF-βの存在下において、TGF-βALK5のためのI型受容体のGSドメインをリン酸化する。次に、ALK5は、細胞質タンパク質smad2、及びsmad3を2つのカルボキシ末端セリンにてリン酸化する。一般に、多くの種において、II型受容体が細胞増殖を調節すると考えられ、I型受容体は、マトリックス産生を調節する。種々のALK5受容体阻害剤は、記述された(例えばUS6,465,493、US2003/0149277、US2003/0166633、US20040063745、及びUS2004/0039198(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。従って、本発明に従った使用のためのミオスタチンアンタゴニストには、ALK5、及び/又はALK7受容体のミオスタチン結合ドメインを含んでいてもよい。
【0123】
その他の好ましいミオスタチンアンタゴニストは、ミオスタチン受容体に対する結合について、ミオスタチンと競合する可溶性リガンドアンタゴニストを含む。「可溶性リガンドアンタゴニスト」という用語は、本明細書において、ミオスタチン受容体(例えば、アクチビン型HB受容体(ActRHA))に非生産的に結合し、これによりミオスタチン-受容体シグナル伝達を競合的に遮断することができる可溶性ペプチド、ポリペプチド、又はペプチド擬態をいう。可溶性リガンドアンタゴニストには、ミオスタチンの変異体を含み、またミオスタチンと相同性を有するが、ミオスタチンの活性を有さない「ミオスタチン類似体」をいう。このような類似体には、切断(このようなN-、又はC末端切断、アミノ酸配列の置換、欠失、及び非アミノ酸置換を有する変異体などのその他の変化)を含む。
【0124】
その他の好ましいミオスタチンアンタゴニストには、ポリヌクレオチドアンタゴニストを更に含む。これらのアンタゴニストは、標的mRNA(センス)、又はDNA(アンチセンス)配列に結合することができる一本鎖ポリヌクレオチド配列(RNA、又はDNA)を含むアンチセンス、又はセンスオリゴヌクレオチドを含む。本発明に従った使用のためのアンチセンス、又はセンスオリゴヌクレオチドは、ミオスタチン、若しくはその受容体、転写因子、又はミオスタチン、若しくはその受容体の発現に関与するその他のポリヌクレオチドをコードするターゲットされるポリヌクレオチド配列の断片を含む。このような断片は、一般に少なくとも約14ヌクレオチド、典型的には約14〜約30ヌクレオチドを含む。アンチセンス、又はセンスオリゴヌクレオチドは、修飾された糖-ホスホジエステル骨格(又はWO91/06629に記述されたものなどのその他の糖結合)を有するオリゴヌクレオチドを更に含み、この場合、このような糖結合は、内因性ヌクレアーゼに耐性である。耐性の糖結合をもつこのようなオリゴヌクレオチドは、インビボで安定であるが、標的ヌクレオチド配列に結合することができる配列特異性を保持する。センス、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドのその他の例には、WO90/10448に記述されたものなどの共有結合で有機部分に連結されているオリゴヌクレオチド、及び標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増加するその他の部分、例えばポリ-(L)-リジン、及びモルホリノを含む。更に、エリプチシン(ellipticine)などの挿入剤、及びアルキル化薬、又は金属錯体をセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドに付着させ、標的ヌクレオチド配列のためのアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの結合特異性を修飾することができる。従って、特異的な短鎖干渉RNA(siRNA)の導入によって産生されるRNA干渉(RNAi)を使用して、活性を阻害する、又は除去することもできる。
【0125】
特に好ましいミオスタチンアンタゴニストには、フォリスタチン、ミオスタチンプロドメイン、成長及び分化因子11(GDF-11)プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト抗体、アクチビンIEB型受容体に結合するアンタゴニスト抗体又は抗体断片、可溶性アクチビンIHB型受容体、可溶性アクチビンIEB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体(可溶性リガンド)、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド擬態、及びミオスタチン結合剤を含むが、限定されない。抗ミオスタチン抗体を開示する。その他の好ましいアンタゴニストには、US6369201、及びWO01/05820(参照により本明細書に組み込まれる)に記述されたペプチド免疫源、並びに免疫応答を誘発し、これによりミオスタチン活性を遮断することができるミオスタチン多量体、及び免疫複合体を含む。その他の好ましいアンタゴニストには、WO02/085306(及び参照により本明細書に組み込まれる)に記述されたミオスタチンのタンパク質阻害剤を含み、これには、切断されたアクチビンII型受容体、ミオスタチンプロドメイン、及びフォリスタチンを含む。その他のミオスタチン阻害剤には、ミオスタチンを過剰発現する細胞から培養に放出されたもの(WO00/43781を参照されたい)、ピエモンテ対立遺伝子を含むミオスタチンのドミナント・ネガティブ(WO01/53350を参照されたい)、及びアミノ酸335〜375位に、又はその間のいずれかの位置にてC末端切断を有する成熟ミオスタチンペプチドを含む。また、アミノ酸配列WMCPPを含むUS2004/0181033(参照により本明細書に組み込まれる)に記述された小ペプチドは、本発明の組み合わせに使用するために適している。
【0126】
(4. サイトカイン、及び動員薬)
定義、及び技術的背景:本発明の組み合わせに使用するために適した補助的薬剤の別のクラスは、サイトカイン、及び特にタンパク同化性サイトカイン、及びインスリン様増殖因子(例えば、IGF-1、又はIGF-2)である。筋肉に対するIGF-1のタンパク同化性効果は、非常に十分に確立されている。筋ジストロフィーにおいて、衛星細胞の増殖能力漸減が生じ、この増殖能力の喪失は、IGF-1での治療によって寛解されるであろう。従って、IGF-1(及びサイトカインのこのクラスのその他のメンバー)は、休止中の衛星細胞の活性化を増強することによってジストロフィン症(dystrophinopathies)の進行度を遅らせるのを補助し得る。インスリン様増殖因子(IGF)は、インスリン、IGF-I、IGF-II、リラキシン、前胸腺ホルモン(PTTH)、及び軟体動物のインスリン関連ペプチドを含む高度に多様なインスリン遺伝子ファミリーのメンバーである。IGFは、インビトロ、及びインビボの両方において、成長、分化、代謝、及び再生を刺激するのに重要な役割を有する、循環分裂促進ペプチドホルモンである。
【0127】
優先度、及び具体的実施態様:本発明に従った使用のための好ましいサイトカインには、IGF-1、及びIGF-2を含む。健康な個体におけるおよそ99%のIGF-1は、IGFBP-3に結合して、血流において循環し、これが、酸に不安定なタンパク質(ALS)との会合後に大きな三元の150kDの複合体サブユニットを形成する。三元複合体は、血管内皮による循環に限定され、従って、IGF-1の循環の貯蔵所として役立つ。従って、本発明に従った治療的適用にのためには、IGF-1は、好ましくは複合体の形態で投与される。例えば、本発明の組み合わせに使用するための好ましいサイトカインは、IPLEX(商標)(インスリン様増殖因子-1(IGF-1)、及びその最も大量に結合するタンパク質であるインスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3))の組換えタンパク質複合体)である。別の適切なサイトカインは、G-CSF(又は本明細書において定義したようなその他の動員薬、例えばGM-CSF)であり、これは、骨髄由来の幹細胞を動員することによって筋肉再生を補助することができる。その他の好ましいサイトカインには、WO2006056885(この内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、全長IGF-1の機能、及び特に、その再生能の適切なサブセットを有する、IGF-1誘導体(IGF-1Eペプチド)を含む。従って、好ましい実施態様において、本発明の組み合わせは、IGF-I Eaペプチド(すなわち、IGF-Iプロペプチドの一部としてIGF-I遺伝子のエキソン4、及び5の部分から翻訳され、翻訳後プロセシングの間に、切断された35アミノ酸C末端ペプチド)、及び/又はIGF-I Ebペプチド(すなわち、IGF-Iプロペプチドの一部としてIGF-I遺伝子のうちエキソン4、5、及び6部分から翻訳され、翻訳後プロセシングの間に、切断された41アミノ酸C末端ペプチド)を含む。
【0128】
薬量学:IPLEX(商標)は、0.5mg/kgの初回量にて、皮下注射を介して投与することができ、1〜2mg/kgの治療用量範囲内で増加され、1日1回与えられる。IPLEX(商標)は、朝に、又は夕方に与えることができるが、毎日およそ同じ時間に投与されるべきである。IPLEX(商標)に対する耐用性を確立するために、グルコースモニタリングが、治療開始、又は用量が増加した時に考慮されるべきである。頻繁な低血糖、又は重篤な低血糖の症候が生じる場合、摂食前のグルコースモニタリングを続けるべきである。グルコースモニタリングは、最近、無症候性、又は症候性の低血糖の発生があった患者のために勧められる。低血糖の証拠が、投薬時に存在する場合、用量は、抑えられるべきである。
【0129】
投薬量は、前の用量の8〜18時間後に得られるIGF-1レベルの測定に基づいて、毎日最高2mg/kgまでで滴定することができる。投薬量は、有害作用(低血糖を含む)のイベントの下方に、及び/又はIGF-1のための正常な基準範囲を上回って3標準偏差以上であるIGF-1レベルに調整されるべきである。
【0130】
(5. 副腎皮質ステロイド)
本発明の一つの実施態様において、補助的薬剤は、副腎皮質ステロイドである。
【0131】
定義、及び生物活性:本明細書に使用される「副腎皮質ステロイド」という用語は、副腎皮質によって分泌され、かつ以下の物理的プロセスの1つ以上に関与するいくつかの任意のステロイドホルモンをいう:ストレス応答、免疫応答、炎症、炭水化物代謝、タンパク質異化、及び血中電解質レベルの制御。また、本用語には、上述した特性を共有する合成類似体を含む。副腎皮質ステロイドには、糖質コルチコイド、及び鉱質コルチコイドを含む。糖質コルチコイドは、炭水化物、脂肪、及びタンパク質代謝を制御し、かつ消炎性である。鉱質コルチコイドは、主に腎臓におけるナトリウム保持を促進することにより、電解質、及び水レベルを制御する。いくつかの副腎皮質ステロイドは、二重の糖質コルチコイド、及び鉱質コルチコイド活性を有する。例えば、プレドニゾン(下記を参照されたい)、及びその誘導体は、グルココルチコイド効果に加えて、いくつかの鉱質コルチコイド作用を有する。副腎皮質ステロイドが抗ジストロフィーの効果を産生する正確な細胞メカニズムは、いまだ知られていない。多因子メカニズムの可能性が高く、副腎皮質ステロイドの効果には、おそらく炎症の減少、免疫系の抑制、カルシウムホメオスタシスの改善、代償タンパク質の発現のアップレギュレーション、及び筋芽細胞増殖の増大を含む。
【0132】
問題:副腎皮質ステロイドの使用は、人の間で変化する副作用と、及び使用される療法の投薬量に関連するが、これらは、重篤であり得る。最も一般的副作用は、体重増加、及び気分変化である。体重増加(及び筋肉活性、及び使用における付随する変化)は、治療の利益の一部を抑制し得る。長期服用は、成長抑制、白内障、骨粗鬆症、及び筋萎縮症を引き起こし得る(DMD、及びBMDにおいて影響を及ぼしたのと同じ近位筋に影響を及ぼす)。これらの副作用は、コルチコステロイド治療の長期の有効性を制限し得る。その他の副作に用は、高血圧症、糖尿病、皮膚萎縮症、乏しい創傷治癒、及び免疫抑制を含む。デフラザコルトは、それがプレドニゾンよりも少ない副作用を有するであろうという見込みにおいて評価された。
【0133】
優先度、及び具体的実施態様:糖質コルチコイド(又は二重の糖質コルチコイド/鉱質コルチコイド活性を有する副腎皮質ステロイド)が好ましい。合成副腎皮質ステロイドが好ましい。一つの実施態様において、副腎皮質ステロイドは、プレドニゾン(プロドラッグ)、又はプレドニゾロン(プレドニゾンの肝臓代謝産物、かつ活性薬物)である。別の実施態様において、副腎皮質ステロイドは、デフラザコルトである。デフラザコルトは、プレドニゾンのオキサゾリン類似体である。本発明の組み合わせに使用するために適したその他の合成の副腎皮質ステロイドには、以下から選択される1つ以上の副腎皮質ステロイドを含む:アルクロメタゾン、アムシノニド、ベクロメタゾン(ベクロメタゾンジプロピオネートを含む)、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド(ciclesonide)、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン(clocortolone)、クロプレドノール、コルチバゾール(cortivazol)、デオキシコルチコステロン、デソニド、デソキシメタゾン(desoximetasone)、デキサメサゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルクロロロン(fluclorolone)、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン(fluperolone)、フルプレドニデン(fluprednidene)、フルチカゾン、フォルモコルタール(formocortal)、ハルシノニド、ハロメタソーン、ヒドロコルチゾンアセポナート、ヒドロコルチゾンブテプラート、ヒドロコルチゾンブチラート、ロテプレドノール(loteprednol)、メドリゾン(medrysone)、メプレドニゾン(meprednisone)、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセポナート、モメタゾン(mometasone)フロアート、パラメサゾン、プレドニカルバート(prednicarbate)、プレドニリデン、リメキソロン(rimexolone)、チキソコルトール(tixocortol)、トリアムシノロン、及びウロベタゾール(ulobetasol)(又は前述の1つ以上の組み合わせ、及び/又は誘導体(例えば、医薬として許容し得る塩))。本発明の組み合わせに使用するための適切な内因性副腎皮質ステロイドには、アルドステロン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン/コルチゾール、及びデスオキシコルトン(又は前述の1つ以上の組み合わせ、及び/又は誘導体(例えば医薬として許容し得る塩))から選択される1つ以上の副腎皮質ステロイドを含む。
【0134】
薬量学:プレドニゾンは、0.3〜1.5mg/kgの範囲(典型的には0.7mg/kg)である投薬量で毎日投与してもよい。いくつかの患者は、一日おきの≧2.5 mg/kgによく反応する。デフラザコルトは、プレドニゾンと比較して、1:1.3 の推定投薬量当量を有するが、デフラザコルトとプレドニゾンとの間の生物学的同等性は、検査下での特異的作用にも依存する。副腎皮質ステロイド(デラザコルト、及びプレドニゾンを含む)は、通常経口的に摂取されるが、筋肉内注射によって送達することもできる。
【0135】
(6. アナボリックステロイド)
本発明の一つの実施態様において、補助的薬剤は、アナボリックステロイドである。
【0136】
定義、及び生物活性:本明細書に使用される「アナボリックステロイド」という用語は、男性ホルモンテストステロン、及びその合成類似体に関連したいくつかのステロイドホルモンのいずれかをいう。また、このようなステロイドは、「アナボリック-アンドロゲンステロイド」、又は「AAS」と呼ばれ得る。アナボリックステロイドは、細胞内のタンパク質合成を増加させ、同化作用を促進する(特に、筋肉において)。アナボリックステロイドが抗ジストロフィー効果を生じる正確な細胞メカニズムは、いまだ知られていないが、筋肉におけるこれらのタンパク質同化効果が筋肉喪失を効率的に補うようである。オキサンドロロンは、DWID筋肉に対してタンパク質同化効果を有すること、並びに筋肉変性を減少することが示されており、そして筋肉再生のための要求を容易にする。再生能を保存することにより、オキサンドロロンなどのアナボリックステロイドは、筋肉機能を延長し得る。
【0137】
問題:アナボリックステロイドの使用は、重篤な副作用と関連する。最も一般的副作用は、肝臓、及び腎臓損傷、無菌性、成長の阻止、及び重篤な気分変動である。アナボリックステロイドも、また男性化する傾向があり、あごひげ、及び体毛の成長、生殖器の成熟、及び座瘡の発症を促進し得る。禁断は、筋肉質量、及び機能の迅速かつ重篤な悪化を引き起こし得る。
【0138】
優先度、及び具体的実施態様:オキサンドロロン(アナバール)、ノルエタンドロロン、及びメトアンドロステノロン(ジアナボル)などの合成アナボリックステロイドが、好ましい。オキサンドロロン(テストステロンの経口合成類似体)は、そのタンパク質同化性性に加えて、それが筋肉上の糖質コルチコイド受容体に対するコルチゾールの結合も遮断し、従って、筋肉破壊を妨げるので、特に好ましいであろう。本発明の組み合わせに使用するために適したその他のアナボリックステロイドには、以下から選択される1つ以上のアナボリックステロイドを含む:DHEA、DHT、メテノロン(methenolone)、オキシメトロン、キンボロン(quinbolone)、スタノゾロール、エチルエストレノール、ナンドロロン(デカヂュラボリン)、オキサボロンシピオナート、ボルデノン(boldenone)ウンデシレナート(エクイポイセ)、スタノゾロール(ウインストロール)、オキシメトロン(アナドロール-50)、フルオキシメステロン(ハロテスチン)、トレンボロン(フィナ)、エナント酸メテノロン(プリモボラン(Primobolan))、4-クロルデヒドロメチルテストステロン(チュリナボール(Turinabol))、メステロロン(プロビロン(Proviron))、ミボレロン(Cheque Drops)、テトラヒドロゲストリノン、及びテストステロン(又は前述の1つ以上の組み合わせ、及び/又は誘導体(例えば、医薬として許容し得る塩))。
【0139】
薬量学:タンパク同化ステロイドは、丸剤の形態で経口的に、注射により、又は皮膚パッチを経て投与してもよい。経口投与は、最も便利であるが、ステロイドを、それが血流に到達する前に、肝臓がそれを壊すことができないように化学修飾しなければならないので、これらの製剤は、高用量では肝障害を引き起こし得る。注射用のステロイドは、典型的には筋肉内に投与される。経皮パッチは、皮膚を介して、及び血流に安定した用量を送達するために使用することができる。オキサンドロロンは、0.1mg/kgの1日の投薬量にて経口投与してもよい。
【0140】
(7.TGF-βアンタゴニスト)
定義、及び技術的背景:トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)は、DMDと関連した筋組織損傷に応答して、線維症を促進し、これが疾患病態に寄与し得る。本発明の一つの実施態様において、補助的薬剤は、TGF-βアンタゴニストである。
【0141】
TGF-βアンタゴニストという用語は、直接、又は間接的にTGF-βの作用を混乱させ、崩壊させ、遮断し、調整し、又は阻害する化合物をいうために本明細書に使用される。また、本用語は、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N-オキシド、エステル、プロドラッグ、同位元素、及び保護された形態(好ましくは、その塩、又は互変異性体、又は異性体、又はN-オキシド、又は溶媒和物、及びより好ましくは、その塩、又は互変異性体、又はN-オキシド、又は溶媒和物)を包含する。
【0142】
優先度、及び具体的実施態様:本発明に従った使用のための好ましいTGF-βアンタゴニストには、抗TGF-β抗体、タモキシフェン、ロサルタン、及びピルフェニドンを含む。ピルフェニドンは、ピリジン2,4-ジカルボキシラートに構造的に類似した経口活性な合成の抗線維化薬である。ピルフェニドンは、線維芽細胞、表皮性、血小板由来、及びTGF-β-1 成長因子を阻害し、更にはDNA合成,並びにコラーゲンI型、及びIII型のためのmRNAの産生を抑制し、放射線で誘導される線維症の減少を生じる。ロサルタンは、主に商品名Cozaar(商標)下でMerck & Co.によって現在市場に出されている高血圧症を治療するために使用されるアンジオテンシンII受容体アンタゴニスト薬である。しかし、ロサルタンは、またTGF-βI型、及びII型受容体の発現をダウンレギュレートする。タモキシフェンは、乳癌治療に使用され、かつ現在この徴候のための世界最大の販売薬である経口活性な選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である。タモキシフェンは、商品名Nolvadex(商標)、Istubal(商標)、及びValodex(商標)の下で販売されている。タモキシフェンは、1日あたり10〜100/mg(例えば20〜40mg/日)の用量にて投与してもよい。
【0143】
(8. 抗酸化剤、及びミトコンドリア補助剤)
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では、細胞骨格タンパク質ジストロフィンが存在せず、筋肉細胞壊死に達する多数の細胞機能障害を引き起こす。その後、炎症反応が壊死性筋組織において発症して、酸化的ストレスの増加を生じ、さらなる組織損傷の原因である。mdxジストロフィーのマウスでは、炎症、及び酸化的ストレス両方が、疾患の経過を悪化させる因子として同定された。
【0144】
また、GTE、及びEGCGは、予想外の前筋原性特性を示す。骨格筋細胞の初代培養は、正常マウス、及びジストロフィーマウスの両方から確立されており、GTE、及びEGCGで1〜7日間治療した。ミオシン重鎖(MyHC)のインサイチュー染色によって判断すると、本発明者らは、GTE、及びEGCGが適用の最初の2〜4日以内に筋管の生成速度を濃度依存的に刺激したことを見いだした。筋管の量は、その後に対照と比較して、両方の薬剤と同様のレベルに達した。ウエスタンブロット解析を、7日間処理した筋管培で行った。GTE、及びEGCGは、ジストロフィン(対照培養において)筋節アルファアクチニン、及びMyHcなどの、いくつかの筋肉特異的タンパク質の発現を促進したが、その一方で、ミオゲニンは、不変であった。対照的に、デスモシンの発現は、ダウンレギュレートされ、Zディスク(Z discs)に再分布した。本発明者らの結果は、緑茶ポリフェノールが骨格筋細胞に対して直接作用することによって前筋原性特性を示すことを示唆する。これらの知見は、筋肉再生にとって有益な作用であり、ジストロフィー条件が強くなっていることを示唆する。
【0145】
エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)などの緑茶ポリフェノールは、強力な抗酸化剤であることが知られている。炎症は、MDにおける筋組織の分解に関与するので、酸化的ストレスは、このプロセスにおいて役割を果たすことが考えられる。従って、緑茶、及びその活性成分(EGCG、及びその他のポリフェノールを含む)は、この酸化的ストレスを減少させることによってMD予後を改善し得る。mdxマウスでの摂食研究では、壊死の最初の大波に対するEGCGの保護作用を示した。これは、また、より強力かつより耐性の表現型の方に筋肉適応を刺激した。有効な投薬量は、ヒトにおいて1日につきカップ約7杯の煎じた緑茶に対応する。
【0146】
補酵素Q10(CoQ10;また、ユビキチンとも呼ばれる)は、強力な抗酸化剤、及びミトコンドリア呼吸鎖補因子である。これは、膜安定化特性を有し、かつ細胞膜、及びミトコンドリアを貫通することができる。3月間の毎日100mgのCoQ10の投薬量は、ヒト治験において有益なことが示されたが、投薬量が高いほど、より優れた結果を生じる可能性が高い。
【0147】
イデベノンは、補酵素Q10の合成類似体であり、自動酸化のリスクを伴わずにCoQ10と同じ機能を行うと考えられる。CoQ10のように、イデベノンは、従って、細胞エネルギーの産生のために必要である正確な電子バランスを維持するために寄与することができる。筋細胞は、特にエネルギーを要求するので、イデベノン、及びCoQ10は、ミトコンドリアの機能を保存することができ、細胞を酸化的ストレスから保護することができる。
【0148】
グルタミンは、重要なエネルギー源であり、急性の経口グルタミン投与は、タンパク質-回避効果を有するようである。アルギニン(及びNO経路のその他の薬理学的活性化因子)は、MDXマウスにおけるユートロフィンの産生を増強し得る。その増大は、血管機能において重要な役割を果たし、かつ一般にMDである人々においてより低い、一酸化窒素(NO)のアルギニン燃料供給される産生によって媒介される可能性がある。また、MDXマウスでの研究は、アルギニンとデフラザコルトとの組み合わせが、デフラザコルト単独よりも有益であろうことが示された。
【0149】
本発明に従って使用に適するその他の抗酸化剤は、ROS阻害剤がカルパインを阻害する部分に結合された(例えば、と組み合わせた、同時投与された、又は共有結合で連結された)キメラ化合物、又は組み合わせであってもよい。このような薬剤は、カルパインを媒介した筋肉組織破壊の減少と酸化的ストレスの軽減を組み合わせる。適切な二重作用カルパイン/ROS阻害剤は、例えばWO01/32654、WO2007/045761、WO2005/056551、及びWO2002/40016(これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0150】
(9.ジストロフィン発現増強薬)
(9.1リードスルー薬剤)
DMD患者のサブセット(約15%)は、彼らのRNAに成熟前終止シグナルを生じるナンセンス突然変異を有し、タンパク質翻訳の異常切断を生じる。本発明の一つの実施態様において、補助的薬剤は、成熟前終止コドンのリードスルーを促進し、これにより成熟前終止コドンを迂回し、及び全長の、機能的ジストロフィンの発現を回復する薬剤(「リードスルー薬剤」)である。
【0151】
本発明に従った使用のために適したリードスルー薬剤は、US6992096(これは、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような1,2,4-オキサジアゾール化合物である:
【化7】

【0152】
このような化合物の1つは、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[l,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸である。好ましいリードスルー薬剤は、PTC124である。PTC124は、mRNAにおける成熟前終止コドンのリボソームリードスルーを促進する284ダルトンの1,2,4-オキサジアゾールである。従って、本発明の組み合わせは、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸の酸化合物(3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を含む)(例えば、WO2006110483(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)を含んでいてもよい。
【0153】
PTC124、3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは水和物は、その必要のある特許に対して0.1mg/kg〜500mg/kg、1mg/kg〜250mg/kg、1mg/kg〜150mg/kg、1mg/kg〜100mg/kg、1mg/kg〜50mg/kg、1mg/kg〜25mg/kg、1mg/kg〜10mg/kg、又は2mg/kg〜10mg/kg、間の単一、又は分割(例えば、3回毎日)用量で投与することができる。詳細な実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、又は水和物は、約4mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約10mg/kg、約14mg/kg、又は約20mg/kgの用量で投与される。
【0154】
本発明に従った使用のためのその他のリードスルー薬剤には、ゲンタマイシンを含む、アミノグリコシド抗生物質を含む。特に好ましくは、6'ヒドロキシル基を含むアミノ配糖体(例えば、パロモマイシン)であってもよく、これは、より低い用量にて有効であろうし、ゲンタマイシンなどの化合物よりも低い毒性を示すであろう。
【0155】
(9.2 エキソン読み飛ばし)
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の大部分の症例は、mRNA読み枠を崩壊させるジストロフィン遺伝子変異によって生じる。場合によっては、単一のエキソンの強制的な排除(読み飛ばし)により、読み枠を回復することができ、より短いが、しかしなおも機能的なジストロフィンタンパク質(いわゆる、準ジストロフィン)を生じさせる。エキソン読み飛ばしを生じさせるようにデザインされたアンチセンスオリゴヌクレオチド(AONs)は、過りを含む遺伝的指示のセクションを省いて、周囲の正確な指示を共に連結するように細胞を誘導することによって、細胞に成熟前終止コドンを無視させる化合物よりも広範囲の突然変異をターゲットすることができる。しかし、AONsは、自己複製されないので、これらは、長期補正を達成することができない。この制限を克服するために、アンチセンス配列を核内低分子RNA(snRNA)に導入すること、並びにAAV、及びレンチウイルスベクターにおいてベクター化(vectorized)することができる。
【0156】
(10. 遺伝子置換/修復薬剤)
本発明の一つの実施態様において、補助的薬剤は、機能しない内因性遺伝形質を置換し、又は修復するために適応される核酸構築物である。遺伝子療法は、好ましくはミクロジストロフィン遺伝子を使用する、アデノ随伴ウィルスベクター(AAV)を媒介した遺伝子療法であってもよい。高度に簡略化されたミクロジストロフィンcDNAは、アデノ随伴ウィルス(AAV)によって媒介されるDMD遺伝子療法のために開発されている。これらの中で、C-末端切断されたΔR4-R23/ΔCミクロ遺伝子(AR4/AC)は、非常に有望な治療候補遺伝子である。
【0157】
ゲノムにおける突然変異のターゲットされた補正は、単独で患部組織に直接適用されるか、又は幹細胞移植などのその他の技術と組み合わせて、いずれかで突然変異を生じさせる疾患の修復/治療に対する大きな望みを抱く。
【0158】
キメラ形成法(chimeraplasts)、一本鎖オリゴヌクレオチド、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、及びSFHRなどの種々のDNA、又はRNA/DNAに基づいた補正機構核酸(Corrective Nucleic Acid:CNA)分子は、特異的な突然変異体座位を変化するために使用されてきた。MyoDys(登録商標)は、全長ヒトジストロフィン遺伝子をコードするプラスミドDNAで構成される。Mirus経路IV(商標)送達技術を使用して、患者の肢骨格筋に対してpDNAを投与する。
【0159】
(11. 細胞に基づいた療法)
本発明の一つの実施態様において、補助的薬剤は、筋原細胞、又は組織組成物である。幹細胞由来臍帯、間充織幹細胞、及び筋肉由来幹細胞を含む、種々のタイプの筋原細胞は、DMDの治療における潜在性を有することが示された。
【0160】
(12. クレアチン)
定義、及び生物活性:クレアチンは、体によって天然に産生されるエネルギー前駆体である。クレアチンキナーゼ(CK)は、収縮筋フィラメントへの後期供与のためにクレアチンをリン酸化し:クレアチンリン酸は、筋細胞に入り、タンパク質合成を促進すると共に、タンパク質破壊を減少させる。健康な個体では、クレアチンは、アデノシン三リン酸の枯渇を防止することによって持久性を増強し、かつエネルギー準位を増大することが示された。MD患者の中で、研究では、補足的クレアチンが筋肉性能、及び強度を改善して、疲労を減少させて、骨塩量をわずかに改善することができることが示唆された。
【0161】
問題:高用量のクレアチンは、腎臓損傷を引き起こし得るし、同時水和が必要である。行動の変化が記録されている。
【0162】
薬量学:クレアチンは、粉末状栄養補給剤として投与することができる。DMD患者での最近の試行では、低レベル(1〜10g/日)のクレアチン一水和物の投与に対する筋力のわずかな上昇が記録された。間欠投与(数週間に1回の破壊を含む)では、副作用を緩和し得るが、常用と同じ利益を提供する。約100mg/kg/日の投薬量は十分に許容され、骨分解を減少させ、かつ強度、及び脂肪分がない質量を増大することが見いだされた。抱合されたリノール酸(α-リポ酸)、ヒドロキシル-β-メチルブチラート、及びプレドニゾロンとクレアチンの同時投与について、利点が報告されていた。
【0163】
(13.抗骨粗鬆症薬)
骨吸収を阻害し、骨粗鬆症を防止し、骨格破裂を減少させ、骨折の治癒を増強し、骨生成を刺激し、及び骨ミネラルを増大するための併用療法は、種々の抗骨粗鬆症薬を含む組み合わせによって達成することができる。アレンドロナート、トルドロナート、ジメチル-APD、リセドロナート、エチドロナート、YM-175、クロドロナート、パミドロナート、及びBM-210995(イバンドロナート)を含むビスホスホネートが好ましい。その他には、エストロゲンアゴニスト/アンタゴニストを含む。エストロゲンアゴニスト/アンタゴニストという用語は、エストロゲン受容体と結合し、骨代謝回転を阻害し、及び骨減少を防止する化合物をいう。特に、エストロゲンアゴニストは、本明細書において、哺乳動物組織におけるエストロゲン受容体部位に結合し、及び1つ以上の組織におけるエストロゲンの作用を模倣することができる化学化合物として定義される。例示的なエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストは、ドロロキシフェン、及び関連する化合物(US5047431を参照されたい)、タモキシフェン、及び関連する化合物(US4536516を参照されたい)、4-ヒドロキシタモキシフェン(US4623660を参照されたい)、ラロキシフェン、及び関連する化合物(US4418068を参照されたい)、並びにイドキシフェン、及び関連する化合物(US4839155参照されたい)を含む。
【0164】
(14. 補助的ユートロフィンアップレギュレート薬)
本明細書で定義したとおりの式(I)の化合物に加えて、本発明の組み合わせには、1つ以上の補助剤ユートロフィンアップレギュレート薬を含んでいてもよい。このような補助的ユートロフィンアップレギュレート薬は、アップレギュレートし(すなわち、ユートロフィンの発現、又は活性を増加させる)、かつ本明細書で定義したとおりの式(I)の構造(又はそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N-オキシド、エステル、プロドラッグ、同位元素、及び保護された形態)に従わない化合物である。本発明の組み合わせに使用するための補助的ユートロフィンアップレギュレート薬は、好ましくは、本明細書に記述した式(I)の化合物のものとは異なるメカニズムを介してユートロフィンをアップレギュレートする。
【0165】
(15.cGMPシグナリングモジュレーター)
ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤シルデナフィルの投与によるcGMPシグナリングの増強は、mdx心臓における心筋の収縮性能の悪化を防止することが最近示された(Khairallahらの文献、(2008)PNAS 105(19):7028-7033)。
【0166】
従って、特に選択的なPDE5阻害剤を含むcGMPシグナリングエンハンサー(例えばシルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、及びアバナフィルを含む)は、DMD、又はBMDを治療するために、本発明の化合物と組み合わせて使用してもよい。このような組み合わせは、ジストロフィー性心筋症の治療における特定の適用を見いだし、DMD/BMDの臨床経過が進行するにつれて、ジストロフィンに関連した心筋症の発病を防止し、又は遅延させるために使用してもよい。
【0167】
従って、本発明は、特に選択的なPDE5阻害剤を含む、cGMPシグナリングエンハンサーと本発明の化合物の組み合わせを想定する。好ましい組み合わせには、本発明の化合物、及びシルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、及びアバナフィルから選択されるPDE5阻害剤を含む。特に好ましくは、本発明の化合物、及びシルデナフィルを含む組み合わせである。前述した組み合わせに使用するための本発明の化合物は、好ましくは、表1の化合物番号390の5-(エチルスルホニル)-2-(ナフタレン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾールである。
【0168】
(製剤、及び薬量学)
DMDの治療に使用するための式Iの化合物は、一般に医薬組成物の形態で投与されるであろう。
【0169】
従って、本発明の更に別の実施態様では、好ましくは80%w/w未満、より好ましくは、50%w/w未満、例えば0.1〜20%の上記記載の通りの、式Iの化合物、又はその医薬として許容し得るを、医薬として許容し得る希釈剤、又は担体との混合物に中に含む医薬組成物が提供される。
【0170】
また、本発明者らは、成分を混合することを含む、このような医薬組成物の製造のための方法を提供する。使用してもよい医薬品製剤、及び適切な希釈剤、又は担体の例は、以下の通りである:静脈内注射、又は注入のための−精製水、又は食塩水;吸入法組成物のための−粗い乳糖;錠剤、カプセル、及びドラゼーのための− 微結晶セルロース、リン酸カルシウム、珪藻土、乳糖、デキストロース、又はマンニトールなどの糖、タルク、ステアリン酸、デンプン、炭酸水素ナトリウム、及び/又はゼラチン;坐薬のための−天然、又は硬化された油、又はろう。
【0171】
化合物が、水例えば注入のために、溶液で使用されるときは、その他の賦形剤を組み込むことが必要であろう。特に、キレート化薬、又は金属イオン封鎖剤、抗酸化剤、張性を調整する薬剤、pH修飾薬、及び緩衝剤に言及してもよい。
【0172】
式Iの化合物を含む溶液は、必要に応じて、例えば凍結乾燥法、又は噴霧乾燥によって、固体組成物を与えるために蒸発させてもよく、これを使用の前に再構成してもよい。
【0173】
溶液ではないときは、式Iの化合物は、好ましくは、0.01〜10μメートルの質量中央値径を有する形態である。また、組成物は、適切な保存剤、安定化剤、及び湿潤薬剤、可溶化剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースポリマー、又はプロピレングリコールなどの水溶性グリコール、甘味料、及び色彩薬剤、及び調味料などを含んでいてもよい。適切な場合、組成物は、持効性形態で製剤化してもよい。
医薬組成物における化合物式Iの含量は、全製剤を基準として、一般に約0.01〜約99.9重量%、好ましくは約0.1〜約50重量%である。
【0174】
式Iの化合物の用量は、年齢、体重、一般的な健康条件、食餌、投与時間、投与方法、クリアランス速度、薬物の組み合わせ、患者がそのときに治療を受けている疾患のレベル、及びその他の因子を考慮して決定される。
【0175】
用量は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに罹患している患者における、このような疾患の治療のための治療薬として、経口投与のためには、標的疾患、状態、投与の対象、投与方法等に応じて変化するが、0.01mg〜10g、好ましくは0.1〜100mgであり、好ましくは単一用量、又は1日につき2、若しくは3部分で投与される。
【実施例】
【0176】
DMDの治療に使用するための式Iの化合物の潜在的活性は、以下の予測的なアッセイ、及びスクリーンで証明してもよい。
【0177】
(1.ルシフェラーゼリポータアッセイ(マウスH2K細胞))
スクリーンのために使用される株化細胞は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子に連結された第1の非翻訳のエキソンを含む、ユートロフィン Aプロモーターの〜5kb断片を含むプラスミドを安定にトランスフェクトした不死化されたmdxマウスH2K株化細胞である。低温、及びインターフェロン含有培地条件下で、細胞は、筋芽細胞として残る。これらを96ウェルプレートにプレートにまいて、化合物の存在下において3日間培養する。次いで、ルシフェラーゼのレベルを細胞溶解、及びプレート照度計を利用して、発現されたルシフェラーゼ遺伝子からの光の出力の読みによって決定する。アッセイにおける化合物の薬理学的用量応答の例は、図1に示してある。
【0178】
(2. mdxマウス)
ADMETデータから得られたデータは、順位をつけて表にして、最高のインビトロでのルシフェラーゼ活性、及び合理的なADMETデータをもつ化合物を、概念研究のmdx証明における試験のために順位をつけて表にして、結果は、任意の化合物が、媒体のみを投薬した対照動物と比較したときに、ジストロフィン欠損した筋肉におけるユートロフィンタンパク質のレベルを増大する能力を有するかどうかを同定した。
【0179】
年齢がマッチした対照に加えて、50mg/kgまでの(例えば10mg/kg)化合物を28日間毎日ip投与で注射した2匹の動物がいた。筋肉試料を採取して、セクショニング(ユートロフィンの筋細胞膜染色の増大を同定するため)、及びウエスタンブロット(ユートロフィンレベルの全体の増大を同定するために)のために処理した。
【0180】
図2は、マウスユートロフィンに特異的な抗体で染色したTA筋肉切片の例を示す。媒体を注射しただけのmdx筋肉に対する比較では、筋細胞膜に結合したユートロフィンの量の増大を示す。また、上記処理をしたマウスからの筋肉を切除して、ウエスタンブロットのために処理して、特異的抗体で染色した(図3を参照されたい)。再び、CPD-Aを投薬した筋肉を使用して、TA脚筋肉、及び隔膜の両方に存在するユートロフィンの全体のレベルの有意な増大を示す。CPD-A(V2、及びV3)に曝露した両方のマウスは、対照と比較して、ユートロフィン発現のレベルの増加を示した。次いで、最初の28日の研究からのポジティブアップレギュレーションデータを、さらなる2つのマウスの28日の研究において反覆した。合計3つの異なる化合物を、28日間ipによって毎日送達したときに、mdxマウスにおけるユートロフィン発現のレベルを増大する能力を、重複して示した。このデータは、ip送達されたときに、化合物が、mdx筋肉において見いだされるユートロフィンのレベルの有意な増大を生じさせる能力を証明し、従って3倍以上の任意のユートロフィンレベルの増大がジストロフィン欠損筋肉に対して有意な機能効果を有することを証明する全ての公開されたデータ間と同様に、このアプローチが疾患を寛解させるであろうという確信を本発明者らに与える。
【0181】
(H2K/mdx/Utro Aリポータ株化細胞維持)
H2K/mdx/UtroAリポータ株化細胞は、≦30%コンフルエントまで、週に2回継代した。細胞は、10%のCO2の存在下において33℃にて培養した。プラッティング(platting)のための筋芽細胞を除去するために、これらを、単層が剥離し始めるまで、トリプシン/EDTA と共にインキュベートした。
【0182】
(増殖培地)
DMEM Gibco 41966
20% FCS
1% Pen/Strep
1% グルタミン
10mLニワトリ胚抽出物
インターフェロン(1276 905 Roche)、新鮮な10μリットル/50mL培地を添加する。
【0183】
(96ウェルプレートのためのルシフェラーゼアッセイ)
H2K/mdx/UtroAリポータ株化細胞を190μlの通常の増殖培地に、およそ5000細胞/ウェルの密度にて、96ウェルプレート(Falcon353296、白色不透明)内にまいた。次いで、プレートを10%のCO2の存在下において33℃にて24時間インキュベートした。化合物は、各々10μlの希釈した化合物をそれぞれのウェルに添加することによって投与し、10μMの終濃度を与えた。次いで、プレートを更に48時間インキュベートした。次いで、細胞を製造業者(Promega Steady-Gloルシフェラーゼアッセイ系(E2520)のプロトコルに従って、インサイチューで溶解した。次いで、プレート照度計を使用して10秒間計数した(Victor1420)。
【0184】
(化合物貯蔵)
スクリーニングするための化合物は、必要とされるまで、-20℃にて100%のDMSO中の10mMとして貯蔵した。
【0185】
(化合物でのmdxマウスの注射)
繁殖コロニーからのMdxを試験のために選択した。マウスには、皮下経路(ip)を使用して、媒体、又は10mg/kgの化合物を毎日注射した。マウスを計量して、化合物は、PBS中の5% DMSO、0.1%のTweenに希釈した。
【0186】
マウスは、頚椎脱臼によって所望の時点で屠殺して、解析のために筋肉を切除した。
【0187】
(筋肉解析)
(免疫組織科学)
セクショニングのための組織を解剖し、OCT(Bright Cryo-M-Bed)に浸漬して、液体窒素で冷却したイソペンタン上で凍結した。固定されていない8μM凍結切片をBright Cryostat上で切断して、-80℃にて貯蔵した。
【0188】
染色のための準備を整えて、切片を30分間PBS中の5%のウシ胎仔血清中でブロックした。一次抗体をブロッキング試薬をに希釈して、湿ったチャンバーにおいて切片上で1.5時間インキュベートし、次いでPBS中で5分間を3回洗浄した。二次抗体も、ブロッキング試薬に希釈して、湿ったチャンバーにおいて暗がりで1時間インキュベートした。最後に、切片をPBS中で5分を3回洗浄し、カバーガラスをハイドロマウントと共にマウントした。スライドは、ライカ蛍光顕微鏡を使用して解析した。
【0189】
(結果)
マウスH2K細胞におけるルシフェラーゼリポータアッセイを使用して評価した、生物活性、及び以下の通りに分類してある:
+対照と比較して200%まで
++対照と比較して201%〜300%間
+++対照と比較して301%〜400%間
++++対照と比較して401%以上
【0190】
【表1】



















【0191】
【表2】











【0192】
(実験)
HPLC-UV-MSは、Gilson 321HPLCで行い、検出は、Gilson 170 DAD、及びFinnigan AQA質量分析計オペレーティングによってエレクトロスプレーイオン化モードで行った。使用したHPLCカラムは、Phenomenex Ge分i C18 150×4.6mmである。分取HPLCは、Giison 321で行い、検出は、Gilson 170 DADによって行った。画分は、Gilson 215フラクションコレクタを使用して収集した。使用した分取HPLCカラムは、Phenomenex Ge分i C18 150×10mmであり、移動相は、アセトニトリル/水である。
【0193】
1H NMRスペクトルは、300MHzにて作動するBruker機器で記録した。NMRスペクトルは、標準品(7.25ppm)としてクロロホルム、又はDMSO-D6(2.50ppm)を使用して、CDCl3溶液(ppmで報告した)として得た。ピークの多重度が報告されているとき、以下の略語を使用するs(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、m(多重項)、br(広がっている)、dd(二重項の二重項)、dt(三重項の二重項)、td(二重項の三重項)である。結合定数は、与えられているときは、ヘルツ(Hz)で報告してある。カラムクロマトグラフィーは、フラッシュクロマトグラフィー(40-65μmシリカゲル)によって、又は自動化された精製システム(Biotage(登録商標)からのSP1(商標)精製システム)を使用して行った。マイクロ波における反応は、イニシエータ8(商標)(Biotage)で行った。使用した略語は、DMSO(ジメチルスルホキシド)、HATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1イル)-N,N,N'N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、HCl(塩酸)、MgSO4(硫酸マグネシウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、NaHCO3(炭酸水素ナトリウム)、STAB(ナトリウムトリアセトキシホウ化水素)、THF(テトラヒドロフラン)である。
【0194】
【化8】

【0195】
方法1A(化合物I)
2-フェニルベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン
ポリリン酸に、110℃にて同時に2,4-ジアミノフェノールジハイドロクロライド(7.88g、40mmol)、及び安息香酸(4.88g、40mmol)を添加した。次いで、生じる混合物を180℃まで3時間加熱した。次いで、溶液を水に注いだ。生じる沈殿物を濾過によって収集して、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。粗生成物をエタノール/水から再結晶し、表題化合物を得た。LCMS RT=5.17分、MH+211.1)
1H NMR(DMSO):815-8.12(2H m)、7.60-7.56(3H、m)、7.42(1H、d、J 8.7Hz)、6.89(1H、d、J 2.1Hz)、6.68(1H、dd、J 8.62.2Hz)、5.12(2H、s)
下記の全ての化合物は、同じ一般的方法に従って調製して、トリチュレーション、再結晶、又はカラムクロマトグラフィのいずれかによって精製した。
【0196】
2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

方法1A(化合物Ic)
N-(2-(ピリジン-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)ニコチンアミド
【化20】

【0197】
方法1A(化合物Id)
【化21】

【0198】
方法1A(化合物Ie)
【化22】

【0199】
方法1B(化合物I)
2-ベンジル-5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール
2-アミノ-4-ニトロフェノール(300mg、1.95mmol)のジオキサン(2.5mL)溶液を塩化2-フェニルアセチル(290μL、2.15mmol)に室温にて添加した。反応器を210℃にて15分間マイクロ波中で加熱した。冷却後、混合物を1Mの水酸化ナトリウム水溶液(50mL)にゆっくり注いで、生じる沈殿物を水で濾過して、洗浄した。生じる固体を、勾配(酢酸エチル/ヘキサン1:7v/v〜酢酸エチル/ヘキサン1:5v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、165mg(33%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.47分、MH+255.2)
【化23】

【0200】
下記の化合物を同じ一般的な方法に従って調製した。使用した酸クロリドは、市販の化合物、又は標準的条件を使用して対応するカルボン酸から合成した。
【0201】
【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【0202】
方法1C(化合物I)
6-ニトロ-2-フェニルオキサゾロ[5,4-b]ピリジン
ポリリン酸に、165℃にてN-(5-ニトロ-2-オキソ-1 ,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ベンズアミド(300mg、1.16mmol)を添加した。次いで、生じる混合物を165℃まで30分間加熱した。次いで、溶液を水に注いだ。生じる沈殿物を濾過によって収集して、ジエチルエーテルに溶解し、アルミナを通して濾過して、蒸発させて、9mg(3%)の表題化合物を得た。
【化28】

全ての化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0203】
【化29】

【0204】
方法1D(化合物I)
2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5,6-ジメチルベンゾ[d]オキサゾール
2-(2,4-ジフルオロベンズアミド)-4,5-ジメチルフェニル2,4-ジフルオロベンゾアート(90mg、0.22mmoJ)、及び4-メチルベンゼンスルホン酸(82mg、0.43mmo]のキシレン(2mL)中の懸濁液を還流にて16時間加熱した。冷却後、溶液を酢酸エチルで希釈して、炭酸水素ナトリウム水溶液、続いて鹹水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン1:15v/vで溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、36mg(64%)の表題化合物を得た。
LCMS RT=7.81分、MH+260.0)
【化30】

【0205】
【化31】

【0206】
方法2A(化合物Ib)
2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン
酢酸エチル/酢酸(250mL/1 mL)中の5-ニトロ-2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール(4.8g、18.90mmol)に、炭素(480mg)上のパラジウムを添加した。反応器を窒素で3回、続いて水素で3回パージした。次いで、水素下で16時間撹拌したままにした。反応器を最後に窒素で3回パージし、その後にセライト(登録商標)のパッド上で濾過して、これを酢酸エチルで洗浄した。有機溶液を飽和Na2CO3水溶液、続いて鹹水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、2.5g(60%)の表題化合物を得た。
【化32】

【0207】
方法2B(化合物Ib)
酢酸エチル/酢酸の代わりにエタノールを使用したことを除き、方法2Aと同じ。溶媒の蒸発後、材料を2MのHClに吸収させ、生じる沈殿物を放棄して、溶液を2N NaOHで塩基性化し、沈殿物として表題化合物を得た。
【0208】
【化33】

【0209】
方法2C(化合物Ib)
2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン
5-ニトロ-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ベンゾ[d]オキサゾール(850mg、2.62mmol)のエタノール(20mL)中の溶液に、ギ酸アンモニウム(827mg、13.1mmol)、及び炭素上のパラジウム(85mg)を添加した。混合物を20分間室温で撹拌し、次いでセライト(登録商標)のパッドを通して濾過して、酢酸エチルで洗浄した。有機溶液を水、続いて鹹水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、434mg(56%)の表題化合物を得た。
【化34】

【0210】
方法2D(化合物Ib)
2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール-4-アミン
4-ニトロ-2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール(330mg、1.30mmol)のエタノール(20mL)溶液に、塩化スズ(II)(1.23g、6.5mmol)を添加した。懸濁液を70℃にて16時間撹拌した。冷却後、溶液を氷/水に注いで、飽和NaHCO3水溶液で中和した。次いで、水層を酢酸エチル(500mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、188mg(65%)の表題化合物を得た。
(LCMS RT=6.76分、MH+225.1)
【化35】

【0211】
下記の化合物は、同じ一般的方法に従って調製した。
【0212】
【化36】

【0213】
方法2E(化合物Ib)
2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール-6-アミン
6-ニトロ-2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール(2.1g、8.27mmol)のエタノール:水2:1v/v(60mL)溶液に、70℃にて鉄粉末(2.14g、38.3mmol)、及び塩化アンモニウム(819mg、15.3mmol)を添加した。懸濁液を還流にて16時間撹拌した。冷却後、溶液をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過して、エタノールで洗浄した。溶媒の蒸発後、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル:ヘキサン1:3v/vで溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、70mg(4%)の表題化合物を得た。
(LCMS RT=6.12分、MH+223.1)
【化37】

【0214】
下記の全ての化合物は、同じ一般的方法に従って調製した。
【0215】
【化38】

【0216】
方法2F(化合物Ib)
エタノール:水(2:1 v/v)の代わりにTHF:水(2:1 v/v)を使用したことを除いて、2E方法と同じ。
【0217】
【化39】

【0218】
方法3A(化合物II)
3-フェニル-N-(2-フェニルベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)プロパンアミド
2-フェニルベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン(50mg、0.24mmol)のジクロロメタン(2mL)中の溶液に、室温で3-フェニルプロパノイルクロライド(44.1mg、0.26mmol)を、続いて直ちに、ジイソプロピルエチルアミン(82μL、0.48mmol)を添加した。生じる混合物を室温で16時間撹拌した。ジクロロメタンを添加して、有機層を飽和Na2CO3水溶液で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体をメタノールに溶解し、酸性スカベンジャーカラム(Biotage(登録商標)からのシリカに基づいた第四級アミンSPE-AX)を通して、次いで蒸発させ、61.1mg(75%)の表題化合物を得た。(LCMS RT=6.45分、MH+343.2)
【化40】

【0219】
下記の全ての化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0220】
【化41】

【0221】
方法3B(化合物II)
ジイソプロピルアミンの代わりに、トリエチルアミンを塩基として使用したことを除いて、3A方法と同じ。
【0222】
【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【0223】
方法3C(化合物II)
ジイソプロピルアミンのジクロロメタン溶液の代わりに、溶媒、及び塩基としてピリジンを使用したことを除き、方法3Aと同じ。
【0224】
N-(2-フェニルオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-イル)ブチルアミド
【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【0225】
方法3D(化合物II)
ジイソプロピルエチルアミンのジクロロメタン溶液の代わりに、ピリジンのジクロロメタン溶液を使用したことを除き、方法3Aと同じ。
【0226】
【化61】

【0227】
方法3E(化合物II)
DMAPのフレークを反応に添加したことを除き、方法3Cと同じ。
【0228】
【化62】

【0229】
方法3F(化合物II)
4,4,4-トリフルオロ-N-(2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)ブタンアミド
4,4,4-トリフルオロブタン酸(128mg、0.90mmol)の乾燥ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に、HATU(397mg、1.05mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(496μL、2.85mmol)を添加した。次いで、混合物を室温で10分間撹拌した。次いで、2-P-トリルベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン(200mg、0.95mmol)を添加して、生じる混合物を室温で16時間撹拌した。酢酸エチルを添加して、有機層を飽和Na2CO3水溶液で一度洗浄して、続いて鹹水でもう回洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン40:60v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製し、26.7mg(8%)の表題化合物を得た。
【化63】

【0230】
下記の全ての化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0231】
【化64】

【0232】
下記の化合物は、適切なBoc-アミノ酸を使用して方法3Fによって得た。カップリングは、室温で、20分間ジオキサン中の4MHClを使用して、Boc基の脱保護を行った。
【0233】
【化65】

【0234】
下記の化合物は、適切なFmoc-アミノ酸を使用して方法3Fによって得た。カップリングは、ピペリジン/DMF 20:80v/vを使用して、Fmoc基の脱保護を行った。
【0235】
【化66】

【0236】
方法3G(化合物II)
酸クロリドの代わりに、対応する無水物を使用したことを除いて、方法3Cと同じ。
【0237】
【化67】

【0238】
方法3H(化合物II)
3-モルホリノ-N-(2-フェニルベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)プロパンアミド
2-フェニルベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン(75mg、0.36mmol)、及びメチル3-モルフォリノプロパノアート(63μL、0.39mmol)のトルエン(2.5mL)溶液に、トリメチルアンモニウムのトルエン(0.22mL、0.43mmol)中の2M溶液を添加した。生じる溶液をマイクロ波中で160℃にて5分間を2回加熱した。冷却後、炭酸水素ナトリウム溶液を添加して、水層を酢酸エチルで抽出した。次いで、有機層を鹹水で洗浄し、合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させた。蒸発後、不純物を酢酸エチル/ヘキサン50:50v/vで溶出させるシリカのプラグを通して濾過して、所望の生成物をメタノールでの溶出によって得て、17,5mg(14%)の表題化合物を得た。(LCMS RT=5.54分、MH+352.0)
【化68】

【0239】
方法4(化合物III)
N-(2-フェニルベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)プロパン-1-スルホンアミド
2-フェニルベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン(100mg、0.48mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液に、室温にてピリジン(83μL、0.95mmol)、続いて塩化プロパン-1-スルホニル(61μL、0.52mmol)を添加した。次いで、生じる溶液を室温で16時間撹拌した。ジクロロメタンを添加して、有機層を飽和硫酸銅水溶液で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる不溶性固体を、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、37.2mg(25%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.25分、MH+317.0)
【化69】

【0240】
下記の化合物は、同じ一般的な方法に従って調製して、酢酸エチル:ヘキサン30:70 v/vで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0241】
【化70】

【0242】
方法5(化合物IV)
N-(ピリジン-4-イルメチル)-2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン
2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン(500mg、2.32mmol)の1,2-ジクロロエタン(20mL)溶液に、室温にて酢酸(142μL、2.32mmol)、及びイソニコチンアルデヒド(222.5μL、2.29mmol)を添加して、混合物を1時間撹拌した。次いで、ナトリウムトリアセトキシホウ化水素(707mg、3.35mmol)を添加して、混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、混合物をジクロロメタンで希釈して、有機層を飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル:ヘキサン20:80で溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製し、328mg(47%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.27分、MH+316.1)
【化71】

【0243】
下記の全ての化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0244】
【化72】

【化73】

【0245】
方法6(化合物V)
1-フェニル-3-(2-フェニルベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)尿素
2-フェニルベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン(75mg、0.36mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液に、室温でフェニルイソシアネート(43μL、0.39mmol)を添加した。溶液を室温で16時間撹拌した。生じる沈殿物を濾過して、ジクロロメタンで洗浄し、99.9mg(85%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.45分、MH+330.1)
【化74】

【0246】
下記の化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0247】
【化75】

【0248】
方法7(化合物VI)
N-(2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-N-メチルプロピオンアミド
水素化ナトリウム(15mg、0.37mmol)に、窒素下で0℃にて、N-(2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)プロピオンアミド(100mg、0.33mmol)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液を添加した。0℃にて10分後、ヨウ化メチル(56μL、0.37mmol)を添加して、溶液を室温まで16時間暖めたままにした。次いで、混合物を酢酸エチルで希釈して、次いで水で3回洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン50:50v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製し、36.4mg(35%)の表題化合物を得た(LCMS RT=7.00分、MH+315.0)
【化76】

【0249】
方法7(化合物VIb)
【化77】

【0250】
方法8(化合物VII)
N-(2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-2-メチルプロパンチオアミド
N-(2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)イソブチルアミド(50mg、0.16mmol)のトルエン(2mL)溶液に、110℃にてLawesson試薬(35mg、0.09mmol)を添加した。生じる溶液を110℃にて7時間加熱した。冷却後、溶液を水で希釈して、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、次いでMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン20:80v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製し、13.8mg(26%)の表題化合物を得た(LCMS RT=7.36分、MH+331.2)
【化78】

【0251】
方法9(化合物VIII)
2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-ジアゾニウムテトラフルオロホウ酸塩
2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン(500mg、2.04mmol)の水(3mL)、及びテトラフルオロホウ酸(50%の水溶液、2mL)中の溶液に、0℃にて、亜硝酸ナトリウム(140mg、2.04mmol)の水溶液(2ml)を5分にわたって滴加した。生じる混合物を0℃にて15分間、次いで室温にて1時間撹拌した。次いで、固体を濾過して、希釈テトラフルオロホウ酸水溶液、及びメタノールで洗浄して、370mg(53%)の表題化合物を得て、これを特性付けることなく直接使用した。
【0252】
方法10(化合物 IX)
S-2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イルエタンチオアート
チオ酢酸カリウム(130mg、1.13mmol)のDMSO(2.8mL)中の撹拌溶液に、室温で2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-ジアゾニウムテトラフルオロホウ酸塩(370mg、1.08mmol)のDMSO(1.4mL)中の溶液を滴状に添加した。15分後、混合物を70℃にて1時間加熱した。冷却後、混合物を水で希釈し、次いで、酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、MgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を勾配(酢酸エチル/ヘキサン5:95 v/v〜酢酸エチル/ヘキサン15:85 v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジエチルエーテル/ヘキサンでトリチュレートして、11.3mg(3%)の表題化合物を得た(LCMS RT=7.89分、MH+304.2)
【化79】

【化80】

【0253】
方法11A(化合物X)
5-(エチルスルホニル)-2-(5-メチルチオフェン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾール
2-アミノ-4-(エチルスルホニル)フェノール(452.7mg、2.25mmol)のエタノール(17mL)中の攪拌溶液に5-メチル-2-チオフェンカルボキシアルデヒド(242μL、2.25mmol)を添加した。混合物を70℃にて70分間加熱した。冷却後、少量の沈殿物を形成した。濾液の濾過、及び蒸発の後、生じる生成物をアセトニトリル(9.8ml)に溶解して、鉛四酢酸(887mg、2mmol)を添加した。生じる混合物を100℃にて5分間加熱した。冷却後、反応混合物を濾過して、濾液を真空中で蒸発させた。生じる混合物を酢酸エチル/ヘキサン20:80v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製した、次いで逆相HPLCによって精製し、2.2mg(0.3%)の標記生成物を得た(LCMS RT=6.41分、MH+308.1)
【化81】

【0254】
方法11B(化合物X)
方法11Aと同じだが、鉛四酢酸の代わりにヨードソベンゼンジアセテートを使用した。
【0255】
【化82】

【化83】

【0256】
方法12(化合物XI)
N-ブチル-2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール-5-カルボキサミド
2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール-5-カルボン酸(100mg、0.39mmol)の乾燥ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に、HATU(165mg、0.44mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(206μL、1.18mmol)を添加した。次いで、混合物を室温で10分間撹拌した。次いで、ブタン-1-アミン(43μL、0,44mmol)を添加して、生じる混合物を室温で16時間撹拌した。酢酸エチルを添加して、有機層を水で3回洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン40:60でv/vを溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製し、26mg(11%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.81分、MH+309.1)
【化84】

【0257】
下記の全ての化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0258】
【化85】

【0259】
方法8(化合物イソ-VI)
【化86】

【0260】
方法7(化合物イソ-VII)
【化87】

【化88】

【0261】
方法13(化合物XII)
5-(4-メトキシフェニル)-2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール
5-ブロモ-2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール(146.1mg、0.50mmol)のジオキサン(1.5mL)溶液に、水(O.5mL)、4-メトキシフェニルボロン酸(114mg、0.75mmol)、炭酸カリウム(138mg、1.00mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3mg)を添加した。生じる懸濁液を150℃にて15分間マイクロ波中で加熱した。冷却後、反応を水で希釈して、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン1:99v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製し、60mg(38%)の表題化合物を得た(LCMS RT=9.18分、MH+316.1)
【化89】

【0262】
全ての以下の化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0263】
【化90】

【化91】

【化92】

【0264】
方法13a(化合物XIIa)
N-(5-(2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)アセトアミド
5-(2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(96.5mg、0.30mmol)の乾燥ピリジン(3mL)溶液に、室温にて塩化アセチル(26μL、0.36mmol)を添加して、80℃にて4O時間撹拌した。冷却後で、混合物を水に注いで、沈殿物を与え、これを濾過した。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン20:80v/vで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製し、45mg(41%)の表題化合物を得た。
【化93】

【0265】
方法13b(化合物IIb)
メチルエチルホスフィナート
周知の手順(Xu,Y.らの文献、Synthesis、1984、778-780を参照されたい)に従って、メタノール(2.70mL、66.75mmol)、及びトリエチルアミン(4.23ml、30.35mmol)のジエチルエーテル(15ml)中の溶液を、ジエチルエーテル(30mL)中のエチルジクロロホスフィン(3.15ml、30.35mmol)の溶液に、0℃にて滴状に添加した。添加完了後、生じるスラリーを1時間還流した。0℃にて冷却した後、沈殿する固体を濾過して、ジエチルエーテルで洗浄した。次いで、濾液を濃縮して、無色の油を得て、これを何らの精製することなく次の工程に使用した。
【0266】
メチル2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル(エチル)ホスフィナート
5-ブロモ-2-p-トリルベンゾ[d]オキサゾール(519.7mg、1.68mmol)、及びメチルエチルホスフィナート(276.9mg、2.02mmol)のトルエン無水物(10mL)溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(101.6mg)、及びトリエチルアミン(7.5mL、5.4mmol)を添加した。生じる懸濁液を窒素下で18時間還流した。冷却後、酢酸エチルを添加して、有機層を水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を、勾配(酢酸エチルで開始して、ヘキサンへ、次いでメタノール/酢酸エチル5:95v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、次いで逆相HPLCによって精製し、10.4mg(2%)の標記生成物を得た(LCMS RT=6.32分、MH+336.1)
【化94】

【化95】

【0267】
方法14(化合物XIII)
N-(4-(5-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)アセトアミド
4-(5-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)アニリン(122.3mg、0.50mmol)のピリジン(3mL)溶液に、室温にて塩化アセチル(39μL、0.55mmol)添加した。生じる混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、溶液を水に注いで、生じる沈殿物を濾過によって収集した。固体を希塩酸溶液、続いて希釈水酸化ナトリウム溶液で、次いで水によって洗浄し、120mg(84%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.38分、MH+287.0)
【化96】

【0268】
下記の全ての化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0269】
【化97】

【化98】

【0270】
方法15(化合物XIV)
1-(2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)エタノール
1-(2-(4-クロロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)エタノン(150mg、0.55mmol)のテトラヒドロフラン溶液に、0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(52mg、1.38mmol)を添加した。生じる混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、反応を1Mの塩酸溶液で0℃にてクエンチして、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を勾配(酢酸エチル/ヘキサン1:3v/v〜酢酸エチル/ヘキサン1:2v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製し、81.7mg(54%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.47分、MH+274.0)
【化99】

【化100】

【化101】

【0271】
5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-チオン
周知の手順に従って(Batista-Parra,A. らの文献、Heterocycles, 2003、60、1367を参照されたい)、2-アミノ-4-ニトロフェノール(1.54g、10mmol)、及びカリウムO-エチルカルボノジチオアート(1.68g、10.5mmol)の乾燥ピリジン(10mL)中の懸濁液を、120℃にて6時間、次いで室温にて16時間撹拌した。溶液を水に注いで、塩酸水溶液を添加した。生じる沈殿物を濾過によって収集し、希釈塩酸水溶液で、続いて水で洗浄し、次いで真空オーブン中で乾燥させ、3.3g(84%)の表題化合物を得た。
【化102】

【0272】
方法16(化合物XV)
2-モルホリノ-5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール
5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-チオン(98.1mg、0.5mmol)、及びモルホリン(66μL、0.75mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液をマイクロ波中で、150℃にて15分間加熱した。冷却後、混合物を水に注いで、酢酸エチルで抽出した。有機層を鹹水で洗浄し、MgSO4無水物上で乾燥させて、シリカに吸収させた。酢酸エチル/ヘキサン25:75v/vで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製し、115mg(92%)の表題化合物を得た
【化103】

【0273】
方法17a(化合物XVI)
2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン
2-モルフォリノ-5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール(130mg、0.52mmol)のエタノール/水1:1v/v(10mL)中の溶液を、亜ジチオン酸ナトリウム(182mg、1.04mmol)で、室温で処理し、次いで16時間還流した。冷却後、混合物を水で希釈して、酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、35mg(30%)の表題化合物を得た。
【化104】

【0274】
方法17b(化合物XVI)
N-2-(4-クロロベンジル)ベンゾ[d]オキサゾール-2,5-ジアミン
N-(4-クロロベンジル)-5-ニトロベンゾ[d] オキサゾール-2-アミン(150mg、0.50mmol)のエタノール/水1:1v/v(10mL)中の懸濁液に、90℃にて塩化アンモニウム(53mg、1.0mmol)、続いて鉄の粉末(140mg、2.5mmol)を添加した。生じる混合物を90℃にて4時間撹拌した。冷却後、酢酸エチルを添加して、溶液をセライト(登録商標)のパッドを通した。次いで、有機層を鹹水で洗浄し、MgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン50:50v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製し、60mg(44%)の表題化合物を得た(LCMS RT=5.60分、MH+274.0)
【化105】

【0275】
方法18(化合物XVII)
2-(4-クロロベンジルチオ)-5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール
5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-チオン(196.2mg、1.0mmol)のクロロホルム(10mL)の懸濁液に、トリエチルアミン(278μL、2mmol)、続いて1-(ブロモメチル)-4-クロロベンゼン(226mg、1.1mmol)を添加した。反応を60℃にて2時間撹拌した。冷却後、反応は酢酸エチルで希釈して、希釈塩酸水溶液、及び鹹水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン1:10v/vで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製し、250mg(78%)の表題化合物を得た(LCMS RT=7.64分)
【化106】

【0276】
方法19(化合物XVIII)
2-(4-クロロベンジルチオ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン
2-(4-クロロベンジルチオ)-5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール(220mg、0.70mmol)のエタノール/水(5mL/5mL)中の懸濁液に、90℃にて塩化アンモニウム(75mg、1.4mmol)、続いて鉄の粉末(192mg、3.44mmol)を添加した。生じる混合物を90℃にて4時間撹拌した。冷却後、酢酸エチルを添加して、溶液をセライト(登録商標)のパッドを通した。次いで、有機層を鹹水で洗浄し、MgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、190mg(94%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.54分、MH+290.9)
【化107】

【0277】
方法20(化合物XIX)
N-(2-(4-クロロベンジルチオ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)アセトアミド
2-(4-クロロベンジルチオ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-アミン(87mg、0.30mmol)の乾燥ピリジン(3mL)中の溶液に、室温にて塩化アセチル(21μL、0.30mmol)添加した。生じる溶液を室温で16時間撹拌した。次いで、水を添加し、沈殿物を濾過によって収集して、希釈塩酸水溶液で、次いで水で洗浄した。ジエチルエーテルでのトリチュレートにより、40mg(40%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.40分、MH+333.1)
【化108】

【0278】
下記の化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0279】
【化109】

【0280】
方法21(化合物XX)
2-クロロ-5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール
5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-チオン(2.52g、12.86mmol)のオキシ塩化燐(21mL)溶液に、五塩化燐(2.68g、12.86mmol)を一部分に添加した。次いで、混合物を100℃まで2.5時間加熱した。冷却後、過剰のオキシ塩化燐を真空中で除去して、生じる混合物を特徴づけることなく、未精製使用した。
【0281】
方法22(化合物XXI)
5-ニトロ-2-(チオフェン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾール
2-クロロ-5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール(404mg、2.04mmol)、2-トリブチルスタンニル)-チオフェン(648μL 2.04mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(40.8mg)のジオキサン(12.2mL)中の混合物を窒素下で100℃にて16時間加熱した。酢酸エチルを添加して、有機層を水で洗浄し、MgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を、酢酸エチル/ヘキサン10:90v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いで逆相HPLCによって精製し、3mg(2%)の標記生成物を得た(LCMS RT=6.95分)
【化110】

【化111】

【0282】
方法23(化合物XXII)
5-アミノ-2-(5,6-ジメチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェノール
ポリリン酸に、130℃にて4,5-ジメチルベンゼン-1,2-ジアミン(500mg、3.67mmol)、及び4-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸(562mg、3.67mmol)を添加して、次いで生じる混合物を130℃まで16時間加熱した。次いで、溶液を水に注いで、生じる沈殿物を酢酸エチルに溶解して、Na2CO3で洗浄した。水層を分離して、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン50:50v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィによって精製し、200mg(28%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.14分、MH+254.1)
【化112】

【0283】
全ての下記の化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0284】
【化113】

方法24(化合物XXIIb)
2-(5-アミノ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェノール
2-(5-ニトロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェノール(90mg、0.35mmol)の酢酸エチル/水/酢酸1:1:0.01v/v/v(10mL)溶液に、炭素上のパラジウム(15mg)を添加した。反応器を窒素で3回、続いて水素で3回パージした。次いで、水素下で2時間撹拌したままにした。反応器を最後に窒素で3回パージした後、セライト(登録商標)のパッドで濾過し、これを酢酸エチルで洗浄した。有機層を飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン2:1v/vで溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、60mg(76%)の表題化合物を得た(LCMS RT=5.39分、MH+226.1)
【化114】

【0285】
方法25(化合物XXIII)
N-(2-p-トリル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ブチルアミド
2-p-トリル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-アミン(150mg、0.67mmol)のピリジン(10mL)中の溶液に、室温でブチリルクロライド(77μL、0.74mmol)を添加した。生じる混合物を室温で16時間撹拌した。酢酸エチルを添加して、有機層を飽和水性硫酸銅、続いて炭酸水素ナトリウム、及び鹹水で2回洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン50:50v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィによって精製し、56mg(28%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.96分、MH+294.0)
【化115】

【0286】
下記の全ての化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0287】
【化116】

【0288】
【化117】

【0289】
方法26(化合物XXIV)
2-アミノ-4-ニトロベンゼンチオール
2-フルオロ-5-ニトロアニリン(1g、6.41mmol)、硫化ナトリウム九水和物(1.7g、7.05mmol)、重炭酸ナトリウム(600mg、7.05mmol)、及び水(15mL)を合わせて、125℃にてマイクロ波中で5分間加熱した。冷却後、ジクロロメタンを添加して、有機層を2M塩酸水溶液、及び次いで鹹水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、1.1g(33%)の表題化合物を得た。
【化118】

【0290】
方法27(化合物XXV)
2-(2-クロロフェニル)-5-ニトロベンゾ[d]チアゾール
2-アミノ-4-ニトロベンゼンチオール(315mg、1.85mmol)、2-クロロ安息香酸(290mg、1.85mmol)、及びEaton試薬(5mL)を合わせて、130℃にてマイクロ波中で10分間加熱した。冷却後、混合物を水に注いで、5M水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にして、沈殿物を与え、これを濾過して、乾燥させ、530mg(98%)の表題化合物を得た。
【化119】

【0291】
方法28(化合物XXVI)
N-(2-クロロ-5-ニトロフェニル)-4-メチルベンズアミド
2-クロロ-5-ニトロアニリン(2g、11.59mmol)のピリジン(5mL)溶液に、室温にて4-メチル塩化ベンゾイル(1.6mL、12.17mmol)、続いてピリジン(5mL)を添加した。次いで、混合物を室温で16時間撹拌した。酢酸エチルを溶液に添加して、沈殿物を与え、次いでこれを濾過して、酢酸エチルで2回、次いでヘキサン洗浄した。次いで、生じる固体を炭酸水素ナトリウム水溶液、1M水酸化ナトリウム水溶液、水、及びヘキサンで洗浄し、(1.4g、42%)の表題化合物を得た。
【化120】

【0292】
方法29(化合物XXV)
5-ニトロ-2-p-トリルベンゾ[d]チアゾール
硫化ナトリウム九水和物(875mg、3.78mmol)、及び硫黄(120mg、3.78mmol)を溶融するまで加熱した。水を窒素で追い払って、固体を与えた。得られた固体を85℃にてN-(2-クロロ-5-ニトロフェニル)-4-メチルベンズアミド(1g、3.44mmol)のエタノール(20mL)溶液に、一部分に添加した。溶液を85℃にて3時間撹拌した。冷却後、2MHCl水溶液を添加して、溶液を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン10:90v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィによって精製、400mg(43%)の表題化合物を得た。
【化121】

【0293】
方法30(化合物XXVII)
2-p-トリルベンゾ[d]チアゾール-5-アミン
5-ニトロ-2-p-トリルベンゾ[d]チアゾール(400mg、1.48mmol)をエタノール/水(8mL/4ml)に懸濁して、80℃にて加熱した。塩化アンモニウム(160mg、2.96 mmol)、及び鉄の粉末(414mg、7.40mmol)を懸濁液に添加して、混合物を80℃にて75分間撹拌したままにした。冷却後、溶液を、セライト(登録商標)のパッドを通して濾過して、エタノールで洗浄した。水を濾液に添加して、エタノールを蒸発させ、残りの水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、220mg(62%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.51分、MH+241.0)
【化122】

【0294】
下記の全ての化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0295】
【化123】

【0296】
方法31(化合物XXVIII)
N-(2-p-トリルベンゾ[d]チアゾール-5-イル)ブチルアミド
2-p-トリルベンゾ[d]チアゾール-5-アミン(110mg、0.46mmol)のピリジン(3mL)中の溶液に、室温で塩化ブチリル(53μL、0.50mmol)を添加した。生じる混合物を2日間室温で撹拌した。酢酸エチルを添加して、有機層を飽和硫酸銅水溶液で、続いて炭酸水素ナトリウム水溶液、及び最後に鹹水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を酢酸エチル/ヘキサン50:50v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィによって精製し、25mg(18%)の表題化合物を得た(LCMS RT=7.10分、MH+311.0)
【化124】

【0297】
下記の全ての化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0298】
【化125】

【0299】
【化126】

【0300】
方法32(化合物XXIX)
4-クロロ-N-(4-(メチルチオ)フェニル)ベンズアミド
4-(メチルチオ)アニリン(1mL、8.19mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に、ピリジン(2mL、24.6mmol)を添加した。生じる溶液を10〜15℃まで冷却して、4-クロロベンゾイルクロライド(1.14ml、9.00mmol)を5分にわたって添加した。混合物を室温で90分撹拌した。沈殿物を濾過してジクロロメタン、1M水酸化ナトリウム水溶液、及び1M塩酸水溶液で洗浄し、2.12g(93%)の表題化合物を得た。
【化127】

【0301】
方法33(化合物XXX)
4-クロロ-N-(4-(メチルチオ)フェニル)ベンゾチオアミド
4-クロロ-N-(4-(メチルチオ)フェニル)ベンズアミド(1g、3.60mmol)、及びLawesson試薬(875mg、2.16mmol)のトルエン(25mL)中の懸濁液を110℃に16時間加熱した。冷却後、トルエンを真空中で除去して、生じる固体を勾配(ヘキサン〜酢酸エチル/ヘキサン30:70 v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、503mg(48%)の表題化合物を得た。
【化128】

【0302】
方法34(化合物XXXI)
2-(4-クロロフェニル)-6-(メチルチオ)ベンゾ[d]チアゾール
カリウムヘキサシアノフェラート(III)(670mg、2.04mmol)の水(5mL)中の溶液に、4-クロロ-N-(4-(メチルチオ)フェニル)ベンゾチオアミド(150mg、0.51mmol)のエタノール(2mL)、及び3M 水酸化ナトリウム水溶液(1.4mL、4.08mmol)中の溶液にを5分にわたって、滴状に添加した。生じる混合物を90℃にて30分間加熱した。冷却後、形成された沈殿物を濾過して、水で洗浄し、黄色の固体を得た。黄色固体を勾配(ヘキサン〜酢酸エチル/ヘキサン5:95 v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、100mg(67%)の表題化合物を得た(LCMS RT=9.37分、MH+292.2)
【化129】

【0303】
方法35(化合物XXXII)
2-(4-クロロフェニル)-6-(メチルスルホニル)ベンゾ[d]チアゾール
2-(4-クロロフェニル)-6-(メチルチオ)ベンゾ[d]チアゾール(240mg、0.82mmol)のジクロロメタン(20mL)中の溶液に、3-クロロペルオキシ安息香酸(77%の水溶液、710mg、4.11mmol)を5分にわたって添加した。生じる混合物を室温で3時間撹拌した。1M水酸化ナトリウム水溶液を慎重に添加して、次いで混合物を5分間撹拌した。次いで、有機層を1M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、MgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を熱い酢酸エチルから再結晶し、125mg(47%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.81分、MH+324.0)。
【化130】

【化131】

【0304】
方法36(化合物XXXIII)
2-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-1H-インドール
5-ブロモ-2-(4-クロロフェニル)-1H-インドール(200mg、0.65mmol)のジオキサン/水4:1v/v(5mL)中の懸濁液に、フェニルボロン酸(87mg、0.72mmol)、及び数ミリグラムのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加した。生じる懸濁液を160℃にて15分間マイクロ波中で加熱した。冷却後、反応を水に注いで、沈殿物を与え、これを濾過して、水で洗浄した。生じる固体を勾配(ヘキサン〜酢酸エチル/ヘキサン30:70 v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィによって精製して、続いて熱い酢酸エチルから再結晶させ、21mg(11%)の表題化合物を得た(LCMS RT=8.54分、MH+304.1)。
【化132】

【0305】
下記の化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0306】
【化133】

【化134】

【0307】
方法37(化合物XXXIV)
1-メチル-6-ニトロ-1H-インドール
6-ニトロ-1H-インドール(100mg、0.62mmol)、及び18-クラウン-6(180mg、0.68mmol)のテトラヒドロフラン無水物(2mL)中の溶液に、室温にてカリウムtert-ブトキシド(76mg、0.68mmol)、続いてヨウ化メチル(42μL、0.68mmol)をゆっくりと添加した。溶液を室温で30分間撹拌した。テトラヒドロフランを真空中で除去した。酢酸エチルを添加して、有機層を水、及び次いで鹹水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、91mg(84%)の表題化合物を得た。
【化135】

【0308】
方法38(化合物XXXV)
1-メチル-1H-インドール-6-アミン
1-メチル-6-ニトロ-1H-インドール(90mg、0.51mmol)、塩化アンモニウム(55mg、1.02mmol)、及び鉄の粉末(143mg、2.55mmol)をエタノール/水(2mL/1mL)に懸濁して、70℃にて2時間加熱した。冷却後、溶液をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、これを、エタノールで洗浄した。酢酸エチルを濾液に添加し、有機層を水で2回洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、30mg(37%)の表題化合物を得た。
【化136】

【0309】
方法39(化合物XXXVI)
N-(1-メチル-1H-インドール-6-イル)イソブチルアミド
1-メチル-1H-インドール-6-アミン(45mg、0.31mmol)のピリジン(2mL)中の溶液に、室温で塩化イソブチリル(35μL、0.34mmol)を添加した。生じる混合物を室温で16時間撹拌した。酢酸エチルを添加して、有機層を鹹水で3回洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、24.3mg(36%)の表題化合物を得た(LCMS RT=5.73分、MH+217.2)。
【化137】

【0310】
下記の化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0311】
【化138】

【化139】

【0312】
方法40(化合物XXXVII)
N-(2-ヒドロキシ-5-ニトロフェニル)ブチルアミド
2-アミノ-4-ニトロフェノール(10g、64.9mmol)のジクロロメタン(250mL)中の溶液に、窒素下で0℃にて5分の期間にわたってピリジン(10.5ml、129.9mmol)、続いて塩化ブチリル(7.05mL、68.2mmol)を添加した。0℃にて30分の後、溶液を室温まで2日間暖めたままにしておいた。有機層を硫酸銅水溶液、及び鹹水で洗浄した。水層からの不溶性材料を濾過して、水で洗浄し、4.95g(34%)の表題化合物を得た。
【化140】

【0313】
方法41(化合物XXXVIII)
2-ブチルアミド-4-ニトロフェニルトリフルオロメタンスルホナート
水素化ナトリウム(220mg、5.58mmol)の乾燥アセトニトリル(40mL)中の溶液に、窒素下で0℃にて、N-(2-ヒドロキシ-5-ニトロフェニル)ブチルアミド(1g、4.46mmol)の乾燥アセトニトリル(90mL)中の溶液を添加した。次いで、溶液を0℃にて30分間撹拌した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(825μL、4.90mmol)を10分の期間にわたって0℃にて滴状に添加した。0℃にて3時間後、溶液を室温で3時間撹拌した。水を添加して、水層を酢酸エチルで抽出した。次いで、有機層を希釈塩酸水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、及び鹹水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる油を勾配(ヘキサン〜酢酸エチル/ヘキサン25:75 v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、860mg(54%)の表題化合物を得た。
【化141】

【0314】
方法42(化合物XXXIX)
N-(5-ニトロ-2-(フェニルエチニル)フェニル)ブチルアミド
2-ブチルアミド-4-ニトロフェニルトリフルオロメタンスルホナート(860mg、2.42mmol)の乾燥アセトニトリル(30mL)中の溶液に、窒素下でテトラブチルヨウ化アンモニウム(1.34g、362mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(280mg、0.24mmol)、及びヨウ化銅(140mg、0.72mmol)を添加した。次いで、トリエチルアミン(6mL)を、続いてフェニルアセチレン(530μL、4.83mmol)を添加した。生じる溶液を室温で2時間撹拌した。次いで、塩化アンモニウムを添加して、反応をクエンチし、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を鹹水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を、勾配(ヘキサン〜酢酸エチル)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製し、580mg(78%)の表題化合物を得た。
【化142】

【0315】
方法43(化合物XLa)
6-ニトロ-2-フェニル-1H-インドール
N-(5-ニトロ-2-(フェニルエチニル)フェニル)ブチルアミド(580mg、1.88mmol)の1-メチル-2-ピロリジノン(20mL)中の溶液に、窒素下でカリウムtert-ブトキシド(243mg、2.16mmol)を添加した。生じる溶液を70℃にて6時間加熱し、次いで室温にて16時間おいた。水を添加して、水層を酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機層を水で10回、鹹水で3回洗浄し、MgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる材料を酢酸エチル/ヘキサン15:85v/vで溶出させるカラムクロマトグラフィによって精製し、175mg(39%)の表題化合物を得た。
【化143】

【0316】
方法44(化合物XLb)
1-メチル-6-ニトロ-2-フェニル-1H-インドール
6-ニトロ-2-フェニル-1H-インドール(106mg、0.44mmol)、及び18-クラウン-6(130mg、0.49mmol)の無水物テトラヒドロフラン(2mL)中の溶液に、室温にてカリウムtert-ブトキシド(55mg、0.49mmol)、続いてヨウ化メチル(31μL、0.49mmol)を添加した。溶液を室温で30分間撹拌した。テトラヒドロフランを真空中で除去した。酢酸エチルを添加して、有機層を水、及び次いで鹹水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、110mg(98%)の表題化合物を得た。
【化144】

【0317】
方法45(化合物XLI)
2-フェニル-1H-インドール-6-アミン
6-ニトロ-2-フェニル-1H-インドール(175mg、0.73mmol)、塩化アンモニウム(80mg、1.47mmol)、及び鉄の粉末(205mg、3.68mmol)をエタノール/水(4mL/2mL)に懸濁して、70℃にて2時間加熱した。冷却後、溶液をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、これをエタノールで洗浄した。有機層を真空下に蒸発して、固体を得て、勾配(酢酸エチル/ヘキサン10:90v/v〜酢酸エチル/ヘキサン50:50 v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、54mg(35%)の表題化合物を得た。
【化145】

【0318】
方法46(化合物XLII)
N-(2-フェニル-1H-インドール-6-イル)イソブチルアミド
2-フェニル-1H-インドール-6-アミン(54mg、0.26mmol)のピリジン(2mL)中の溶液に、室温にて塩化イソブチリル(30μL、0.29mmol)を添加した。生じる混合物を2日間室温で撹拌した。水を添加したときに、沈殿物が形成した。この固体を熱い酢酸エチルから再結晶して、15mg(21%)の表題化合物を得た(LCMS RT=627mm MH+279.0)。
【化146】

【0319】
下記の化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0320】
N-(1-メチル-2-フェニル-1H-インドール-6-イル)イソブチルアミド
【化147】

【化148】

【0321】
方法47(化合物XLIIIa)
5-ニトロ-2-フェニルベンゾフラン
2-ヨード-4-ニトロフェノール(500mg、1.89mmol)、プロリノール(573mg、5.66mmol)、炭素上のパラジウム(60mg、0.06mmol)、トリフェニルホスフィン(59.4mg、0.226mmol)、及びヨウ化銅(22mg、0.113mmol)の水(6mL)溶液を室温で1時間に撹拌した。エチニルベンゼン(482mg、4.72mmol)をゆっくり添加して、生じる混合物を80℃にて3時間加熱した。冷却後、酢酸エチルを添加して、混合物をセライト(登録商標)のパッドを通した。濾液を水で洗浄し;合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる材を酢酸エチル/ヘキサン1:40v/vで溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、134mg(30%)の表題化合物を得た。
【化149】

【0322】
方法48(化合物XLIIIb)
2-フェニルベンゾフラン-5-アミン
5-ニトロ-2-フェニルベンゾフラン(250mg、1.04mmol)のエタノール/水2:1v/v(12mL)溶液に、80℃にて塩化アンモニウム(112mg、2.09mmol)、及び鉄の粉末(292mg、5.23mmol)を添加した。生じる混合物を80℃にて4時間加熱した。冷却後、溶液をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過され、これをエタノールで洗浄した。有機層を真空下に蒸発して、固体を得て、次いでこれを酢酸エチルに吸収して、水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させ、211mg(96%)の表題化合物を得た。
【化150】

【0323】
方法49(化合物XLIV)
N-(2-フェニルベンゾフラン-5-イル)イソブチルアミド
2-フェニルベンゾフラン-5-アミン(210mg、1.00mmol)のピリジン(5mL)中の溶液に、室温にて塩化イソブチリル(120μL、1.10mmol)を添加した。生じる混合物を室温で16時間撹拌した。酢酸エチルを添加して、有機層を飽和硫酸銅水溶液、続いて飽和炭酸カリウム水溶液で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる材料を、勾配(酢酸エチル/ヘキサン1:3v/v〜酢酸エチル/ヘキサン1:2v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、134mg(48%)の表題化合物を得た。(LCMS RT=6.81分、MH+280.1)。
【化151】

【0324】
下記の化合物は、同じ一般的な方法に従って調製した。
【0325】
【化152】

【0326】
方法50(化合物XLIV)
2-フェニル-5-(3',3',3'-トリフルオロプロパンアミド)ベンゾフラン。
【0327】
3,3,3-トリフルオロプロパン酸(136mg、1.06mmol)の乾燥ジクロロメタン(10mL)溶液に、HATU(468mg、1.23mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(580μL、3.35mmol)を添加した。次いで、混合物を室温で10分間撹拌した。次いで、2-フェニルベンゾフラン-5-アミン(234mg、1.12mmol)を添加して、生じる混合物を室温で48時間撹拌した。酢酸エチルを添加して、有機層を飽和水溶液で一度洗浄した。合わせた有機層をMgSO4無水物上で乾燥させて、蒸発させた。生じる固体を、勾配(酢酸エチル/ヘキサン1:3v/v〜酢酸エチル/ヘキサン 1:1v/v)を使用して溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、99.3mg(28%)の表題化合物を得た(LCMS RT=6.62分)。
【化153】

【0328】
表2に収載した化合物は、上記のものに類似する方法によって、又は当業者に公知、若しくは適応された文献方法によって調製することができる。
【0329】
(プレドニゾンとの組み合わせの相乗効果)
副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)と式(1)の化合物の組み合わせの効果は、mdxマウスにおける強制的運動制度によって誘導される疲労を測定することによって調べた。
【0330】
4〜5週間目の雄mdxマウスには、5週治療経過にわたって、運動(週に2回同じ日かつ同じ時間に12メートル/分にて水平トレッドミル上を30分走る)を強制した。それぞれの処理群には、6匹のマウスを含んだ。
【0331】
治療経過終了後、消耗するまで、それぞれ1メートル/分の分増加速度を増大して、消耗を、5分間5メートル/分にて水平トレッドミル上を走ることによって誘導した。次いで、走った合計距離を測定した。
【0332】
治療には、5週間毎日50mg/kgの5-(エチルスルホニル)-2-(ナフタレン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾールでの投薬(ip)を、単独で、及びプレドニゾロンと組み合わせて含んだ。坐位、及び媒体のみの群は、負の対照として作用した。
【0333】
結果を図4に示してある。これらは、プレドニゾロン(PDN)、及び5-(エチルスルホニル)-2-(ナフタレン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾール(CMPD1)が、mdxマウスにおける運動で誘導される疲労を減少させるように相乗作用で作用することができることを示す。
【0334】
(均等物)
前述の実施例は、本発明を例証するために存在し、また本発明の範囲に対して何らの限定を課すものとして解釈されるべきではない。多数の修正、及び変更を、本発明の根底にある原理から逸脱することなく、上記の、及び実施例で例証した本発明の具体的実施態様に行ってもよいことが容易に分かるであろう。全てのこのような修正、及び変更は、本出願に包含されることが意図される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意にデュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、若しくは悪液質の治療的、及び/又は予防的処置のための補助的薬剤と以下の式(1)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩とを含む(又は本質的になる)組み合わせ:
【化1】

式中、
A1、A2、A3、及びA4は、同じでも、又は異なってもよく、N、又はCR1を表し、
Xは、O、S(O)n、C=W、NR4、NC(=O)R5、及びCR6R7から選択される二価の基であり、
Wは、O、S、NR20であり、
Yは、N、又はCR8であり、
R4、R5、R6、R8、R9、及びNR20の1つは、-L-R3を表し、式中Lは、単結合、又はリンカー基であり、
加えて、R1、R3-R9は、同じでも、又は異なってもよく、独立して水素、又は置換基を表し、かつ
R20は、水素、ヒドロキシル、アリールによって任意に置換されたアルキル、アリールによって任意に置換されたアルコキシ、アリール、CN、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアルカノイル、任意に置換されたアロイル、NO2、NR30R31を表し、式中R30、及びR31は、同じでも、又は異なってもよく、水素、任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたアリールを表し;加えて、R30、及びR31の1つは、任意に置換されたアルカノイル、又は任意に置換されたアロイルを表してもよく、
nは、整数0〜2を表し、
加えて、
A1-A4の隣接するペアがそれぞれCR1を表すときに、隣接する炭素原子は、それらの置換基と共に、環Bを形成してもよく、
XがCR6R7であるときに、R6、及びR7は、これらが付着される炭素原子と共に、環Cを形成してもよい。
【請求項2】
前記式1の化合物のR3が、同じでも又は異なってもよいそれぞれ1〜3個の置換基R2によって任意に置換された、アルキル、アルコキシ、又はアリールを表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項3】
Lが単結合であり、かつR3が以下を表す、請求項1記載の組み合わせ:
アルキル又は任意に置換されたアリールによって任意に置換されたチオアルキル、
アリールが任意に置換されているチオアリール、
任意に置換されたアリール、
ヒドロキシル、
NO2
CN、
NR10R11
ハロゲン、
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
OC(=W)NR10R11
NR15C(=W)R17
R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、同じでも、又は異なってもよく、水素、任意に置換されたアリールによって任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリールを表し、
加えて、
NR10R11は、これらが付着される窒素と共に環を形成してもよく、
R12は、NR10R11と同じ意味を有してもよく、
R17がNR10R11を表すときに、そのNR10R11は、水素、COアルキル、及びCO任意に置換されたアリールを表してもよく、
R16、及びR17は、同じでも、又は異なってもよく、それぞれ、
ハロゲン、アルコキシ任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたアリールの1つ以上によって置換されたアルキル、
任意に置換されたアリールオキシ、
アリール、又はNR10R11を表し、
かつR16、又はR17がNR10R11を表すときに、R10、及びR11の一方は、加えて、任意に置換されたCOアルキル、又は任意に置換されたCOアリールを表してもよく、
かつR17と共有される定義に加えて、R16は、ヒドロキシを表してもよい。
【請求項4】
R1、及びR2が、同じでも、又は異なってもよく、以下を含むものを表してよい、請求項2記載の組み合わせ:
1つ以上のハロゲン、アルコキシ、又は任意に置換されたアリール、チオアリール、若しくはアリールオキシによって任意に置換されたアルキル、
アルキル、若しくは任意に置換されたアリールによって任意に置換されたアルコキシ、
ヒドロキシル、
OC(=W)NR10R11
アリール
アルキル又は任意に置換されたアリールによって任意に置換されたチオアルキル、
アリールが任意に置換されたチオアリール、
NO2
CN、
NR10R11
ハロゲン、
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
NR15C(=W)R17
P(=O)OR40R41
R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R40、及びR41は、同じでも、若しくは異なってもよく、水素、任意に置換されたアリールによって任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリールを表し、
加えて、
NR10R11は、これらが付着される窒素と共に環を形成してもよく、
R12は、NR10R11と同じ意味を有してもよく、
R17がNR10R11を表すときに、そのNR10R11は、水素、COアルキル、及びCO任意に置換されたアリールを表してもよく、
R16は、ヒドロキシ、アルコキシ、又はNR10R11を表してもよく、
R17は、1つ以上のハロゲン、アルコキシ、任意に置換されたアリール、又はNR10R11によって置換されたアルキルを表してもよく、
かつR17がNR10R11を表すときに、そのNR10R11は、水素、COアルキル、及びCO任意に置換されたアリールを表してもよい。
【請求項5】
Lがリンカー基を表し、それが以下を表す、請求項1記載の組み合わせ:
O、S、(CO)nNR18
nは、整数O〜2を表し、
アルキレン、アルケニレン、アルキニレン(これらのそれぞれは、1つ以上のO、S、NR18、又は一つ以上のC-C単一、二重、又は三重結合によって任意に中断されていてもよい)、
-N-N-単結合、又は二重結合、
R18は、水素、アルキル、COR16を表す。
【請求項6】
R4、R5、R6、R7、及びR8が、水素、アルキル、又は任意に置換されたアリールを表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項7】
YがNを表し、かつXがO、S、又はNR4を表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項8】
R9が-L-R3を表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項9】
前記置換基のいずれかがアルキルを表すときに、アルキルが飽和されており、かつ1〜10炭素原子を有する、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項10】
アリールが芳香族炭化水素、又は炭素の他に環成分として酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選択される1〜4ヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族複素環である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項11】
アリールがフェニル、又はナフタレンである、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項12】
アリールがフラン、チオフェン、ピロール、又はピリジンである、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項13】
環B、又は環Cが飽和、又は不飽和の3〜10員の炭素環、又は複素環である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項14】
環Bがベンゼン環である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項15】
環Cが3〜10員の飽和、又は不飽和炭素環である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項16】
少なくとも1つのR1がNR15C(=W)R17を表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項17】
少なくとも1つのR1がNR15C(=O)R17を表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項18】
少なくとも1つのR1がCONR10R11を表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項19】
少なくとも1つのR1が、NHCOR17を表し、式中R17が、以下から選択される、請求項1記載の組み合わせ:
アルキルC1-C6
フェニルによって置換されたアルキルC1-C6
アルコキシC1-C6によって置換されたアルキルC1-C6
ハロアルキルC1-C6
パーフルオロアルキルC1-C6
1つ以上のハロゲン、アルキルC1-C6、アルコキシC1-C6、アミノ、(アルキルC1-C6)アミノ、ジ(アルキルC1-C6)アミノ、又はフェニルによって任意に置換されたフェニル、
CH:CHフェニル、
ナフチル、ピリジニル、チオフェニル、及びフラニル。
【請求項20】
R1、及びR2の一方、又は両方が-COOH以外である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項21】
R1の少なくとも1つが、NR15CONR10R11を表し、式中R10、及びR11は、同じでも、又は異なってもよく、任意に置換されたアリール、アルキル、及び任意に置換されたCOアリールから選択される、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項22】
R1の少なくとも1つが、NHCONHR15を表し、かつR15が1つ以上のハロゲンによって任意に置換されたフェニル、アルキルC1-C6及びCOフェニルから選択される、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項23】
R1の少なくとも1つが、フェニル、又はN、S、及びOから選択される1〜2個のヘテロ原子を好ましくは含む4〜7員の、好ましくは5、若しくは6員の飽和、又は不飽和の複素環によって任意に置換されたアルキルC1-C6を表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項24】
R1の少なくとも1つが、COR16を表し、かつR16が、アルコキシC1-C6、アミノ、(アルキルC1-C6)アミノ、又はジ(アルキルC1-C6)アミノである、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項25】
R1の少なくとも1つが:
NO2
ハロゲン、
アルキルC1-C6がフェニル、又は5、若しくは6員の飽和、又は不飽和の複素環によって任意に置換されている、アミノ、又は(アルキルC1-C6)アミノ、又はジ(アルキルC1-C6)アミノ、
NHSO2アルキルC1-C6、NHSO2フェニル、
SO2アルキルC1-C6
C1〜C6アルコキシC1-C6によって任意に置換されたフェニル、
5〜10員の飽和、又は不飽和の、N、S、及びOから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む単環、又は二環式複素環
を表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項26】
R3がアリールを表し、かつ同じでも、又は異なってもよい、1〜3個の置換基R2によって任意に置換されている、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項27】
R3が5〜10員の芳香族単環、又は二環式系である、請求項25記載の組み合わせ。
【請求項28】
前記芳香族系が炭化水素である、請求項26記載の組み合わせ。
【請求項29】
前記芳香族炭化水素がベンゼン、又はナフタレンである、請求項27記載の組み合わせ。
【請求項30】
前記芳香族系がN、O、及びSから選択される3つまでのヘテロ原子を含む複素環式系である、請求項26記載の組み合わせ。
【請求項31】
前記複素環式系がチオフェン、フラン、ピリジン、又はピロールである、請求項30記載の組み合わせ。
【請求項32】
前記置換基(群)R2が以下から選択される、請求項2記載の組み合わせ:
それぞれハロゲンによって任意に置換されたチオフェニル又はフェノキシによって任意に置換されたアルキルC1-C6
アルコキシC1-C6
フェニル、
チオアルキルC1-C6、
ハロゲンによって任意に置換されたチオフェニル、
NO2
CN、
NR10R11、式中、R10、及びR11は、同じでも、又は異なっていてもよく、水素、アルキルC1-C6を表すか、又はこれらが付着する窒素と共に5〜7員環を形成し、これは、N、O、及びSから選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含んでいてもよく、
ハロゲン、
SO2R12、式中R12は、5〜7員環を表し、これは、N、O、及びSから選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含んでいてもよく、
NHCOR17、式中R17は、
以下によって任意に置換されたアルキルC1-C6
フェニル、若しくはハロゲン、又は、
アルコキシC1-C6、カルボキシ、若しくはハロゲンによって任意に置換されたフェニル、又は、
5、若しくは6員の飽和、又は不飽和の複素環、
フェニル、又はハロゲン、アルコキシC1-C6、カルボキシ、若しくは基SO2NR10R11によって任意に置換された5、若しくは6員の飽和、又は不飽和の複素環を表す。
【請求項33】
NR10R11が、N-ピロール、N-ピペリジン、N'(C1-C6)アルキル、N-ピペラジン、又はN-モルホリンを表す、請求項32記載の組み合わせ。
【請求項34】
Lが以下を表す、請求項5記載の組み合わせ:
-NH.NH-、
-CH=CH、
-NCOR16、式中R16は、ハロゲン、アルコキシC1-C6、カルボキシによって任意に置換された5、若しくは6員の飽和、又は不飽和の複素環を表す。
【請求項35】
A1-A4の2つが、窒素を表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項36】
A1-A4の1つが、窒素を表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項37】
A1-A4の全てが、窒素を表す、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項38】
式(1)の化合物が、表1に収載されている、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項39】
補助的薬剤、及び式(1)の化合物が物理的に会合されている、請求項1〜38のいずれか1項記載の組み合わせ。
【請求項40】
前記補助的薬剤、及び式(1)の化合物が:(a)混合物中(例えば、同じ単位投与量内)である;(b)化学的/物理化学的に連結されている(例えば、共通の媒体部分に対する架橋、分子凝集、又は結合による);(c)化学的/物理化学的に共にパックされている(例えば、脂肪小胞、粒子(例えば、微粒子、又はナノ粒子)、又は乳剤小滴の上に、又は内に配置される);(d)混合されていないが、共にパックされ、又は共に存在する(例えば、単位投与量のアレイの一部として)、請求項39の組み合わせ
【請求項41】
前記補助的薬剤、及び式(1)の化合物が非物理的に会合されている、請求項1〜39のいずれか1項記載の組み合わせ。
【請求項42】
前記組み合わせが:(a)前記2つ以上の化合物の少なくとも1つを、該2つ以上の化合物の物理的会合を形成するための、少なくとも1つの化合物のその場での会合のための説明書と共に、;又は(b)前記2つ以上の化合物の少なくとも1つを、該2つ以上の化合物での併用療法のための説明書と共に;(c)前記2つ以上の化合物の少なくとも1つを、該2つ以上の化合物のその他のものが投与された(又は、される)患者集団に対する投与のための説明書と共に;(d)前記2つ以上の化合物の少なくとも1つを、該2つ以上の化合物のその他のものとの組み合わせに使用するために特異的に適応された量で、又は形態で;含む、請求項41の組み合わせ。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれか1項で定義したとおりの組み合わせを含む、医薬品パック、キット、又は患者パック。
【請求項44】
請求項1〜39のいずれか1項で定義したとおりの式(1)の化合物との併用療法に使用するための補助的薬剤。
【請求項45】
補助的薬剤との併用療法に使用するための、請求項1〜39のいずれか1項で定義したとおりの式(1)の化合物。
【請求項46】
前記併用療法が、本明細書で定義したとおりの予防、治療、又は方法、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療的、及び/又は予防的処置を含む、請求項44記載の補助的薬剤、又は請求項45記載の化合物。
【請求項47】
請求項1〜39のいずれか1項で定義したとおりの式(1)の化合物で治療を受けている患者における治療、又は予防(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療的、及び/又は予防的処置)に使用するための医薬の製造のための補助的薬剤の使用。
【請求項48】
補助的薬剤で治療を受けている患者における、治療、又は予防(例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療的、及び/又は予防的処置)に使用するための医薬の製造のための、請求項1〜39のいずれか1項において定義したとおりの式(1)の化合物の使用。
【請求項49】
前記補助的薬剤が、以下から選択される請求項1〜48のいずれか1項記載の組み合わせ:(a)抗炎症薬;(b)プロテアーゼ阻害剤;(c)ミオスタチンアンタゴニスト;(d)サイトカイン、又は動員薬;(e)副腎皮質ステロイド;(f)アナボリックステロイド;(g)TGF-βアンタゴニスト;(h)抗酸化剤、及びミトコンドリア補助薬;(1)ジストロフィン発現増強薬;(j)遺伝子置換/修復薬剤;(k)細胞に基づいた組成物;(l)クレアチン;(m)抗骨粗鬆症薬;(n)補助的ユートロフィンアップレギュレート薬;(o)cGMPシグナリングモジュレーター;及び(p)前述の(a)〜(o)の分類の2つ以上の組み合わせ。
【請求項50】
前記式(I)の化合物が表1の化合物番号390の5-(エチルスルホニル)-2-(ナフタレン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾールである、請求項1〜49のいずれか1項記載の本発明。
【請求項51】
前記補助的薬剤が副腎皮質ステロイドである、請求項50記載の本発明。
【請求項52】
前記副腎皮質ステロイドがプレドニゾン、プレドニゾロン、又はデフラザコルトから選択される、請求項51記載の本発明。
【請求項53】
請求項1〜52のいずれか1項記載の式(I)の化合物を、1つ以上の補助的薬剤(本明細書に定義したとおり)と組み合わせる工程を含む、請求項1〜52のいずれか1項記載の組み合わせを製造するための方法。

【公表番号】特表2010−535708(P2010−535708A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518750(P2010−518750)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050648
【国際公開番号】WO2009/019504
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(310013956)ビオマリン アイジーエー リミテッド (8)
【Fターム(参考)】