説明

トランジスタ実装体及びその製造方法

【課題】チャネル抵抗を大幅に低減した電界効果トランジスタ実装体を実現できるようにする。
【解決手段】トランジスタ実装体の製造方法は、トランジスタ100を形成する工程(a)と、形成基板101を研磨する工程(b)と、形成基板101を研磨したトランジスタ100を保持基板200に固定する工程(c)とを備えている。工程(a)は、形成基板101の主面上に第1の半導体層及び該第1の半導体層よりもバンドギャップが大きい第2の半導体層を順次形成する。工程(b)は、形成基板101における主面と反対側の面を研磨する。工程(c)は、形成基板101の反りが小さくなる方向の応力を形成基板101に印加した状態でトランジスタ100を保持基板200の上に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタ実装体及びその製造方法に関し、特に窒化物半導体を用いたパワートランジスタ等の実装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)等の窒化物半導体はシリコン(Si)及び砒化ガリウム(GaAs)等と比べ、バンドギャップ、絶縁破壊電界及び電子の飽和ドリフト速度が大きい。また、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)と窒化ガリウム(GaN)とのヘテロ構造においては、自発分極及びピエゾ分極によりヘテロ界面に2次元電子ガス(2DEG)が生じ、不純物のドープを行うことなく1×1013cm-2以上のシートキャリア濃度が得られる。この高濃度の2次元電子ガスをキャリアとして用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)が近年注目を集めており、種々の構造のHEMTが提案されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
【非特許文献1】S. Arulkumaran, 他, "Enhancement of breakdown voltage by AlN buffer layer thickness in AlGaN/GaN high-electron-mobility transistors on 4 in. diameter silicon", APPLIED PHYSICS LETTERS, 2005年, 86巻, P.123503
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような窒化物半導体を用いたHEMTをスイッチング素子等に用いる場合には、チャネル抵抗と電流コラプスの特性が非常に重要となる。チャネル抵抗が大きいHEMTをスイッチング素子として用いると、熱損失による発熱が大きくなり、デバイスの動作が不安定となる。また、発熱によりチャネル抵抗がさらに増大し、最終的にはデバイスが破壊されるおそれがある。
【0004】
電流コラプスとは、一旦スイッチをオフ状態とし、再びオン状態とする際に一定時間電流が流れなくなる現象である。電流コラプスの特性が悪いと高速なスイッチングが困難となり、デバイスの動作に極めて深刻な問題が生じる。
【0005】
本願発明者らは、HEMTを実装する際にチャネル抵抗を大幅に低減する方法を見出した。また、チャネル抵抗を低減することにより電流コラプスの特性も改善できることが明らかとなった。
【0006】
本発明は、本願発明者らが見出したHEMTのチャネル抵抗を低減する方法を用い、チャネル抵抗を大幅に低減したトランジスタ実装体を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明はトランジスタ実装体の製造方法を、トランジスタに応力を加えた状態でトランジスタを保持基板の上に固定する構成とする。
【0008】
具体的に、本発明に係るトランジスタ実装体の製造方法は、形成基板の主面上に順次積層された第1の半導体層及び該第1の半導体層よりもバンドギャップが大きい第2の半導体層を有するトランジスタを形成する工程(a)と、工程(a)よりも後に、形成基板における主面と反対側の面を研磨する工程(b)と、工程(b)よりも後に、形成基板の反りが小さくなる方向の応力を形成基板に印加した状態でトランジスタを保持基板の上に固定する工程(c)とを備え、形成基板は、第1の半導体層及び第2の半導体層とは異なる材料からなることを特徴とする。
【0009】
本発明のトランジスタ実装体の製造方法は、形成基板の反りが小さくなる方向の応力を形成基板に印加した状態でトランジスタを保持基板の上に固定する工程を備えている。このため、保持基板に固定されたトランジスタの形成基板は反りが小さくなっている。これにより、第1の半導体層の歪みが緩和され、第1の半導体層における格子定数がバルクの場合の理論値に近づく。従って、第1の半導体層と第2の半導体層との格子定数の差を大きく保つことができ、第2の半導体層に大きな引っ張り応力が加わる。第2の半導体層に加わる引っ張り応力が大きくなることにより、第2の半導体層のピエゾ分極が大きくなり、2次元電子ガス層のシートキャリア濃度が高くなる。その結果、チャネル抵抗が低いトランジスタ実装体を実現できる。また、チャネル抵抗が小さくなることにより、電流コラプスの特性も向上する。
【0010】
本発明のトランジスタ実装体の製造方法において、工程(c)では、応力を形成基板に印加した後、応力を保持した状態において形成基板と保持基板とを接着すればよい。
【0011】
本発明のトランジスタ実装体の製造方法において、応力は押圧パッドを用いてトランジスタを押圧することにより印加すればよい。また、応力は応力印加治具を用いてトランジスタを押圧することにより印加してもよい。この場合において、応力印加治具は、トランジスタを挟んで保持基板と対向する押圧パッドと、押圧パッドを保持基板側に押圧する押圧部とを有している構成とすればよい。
【0012】
本発明のトランジスタ実装体の製造方法において、工程(c)は、保持基板の上にはんだ層を形成する工程と、はんだ層が溶融した状態において、トランジスタを保持基板の上に載置する工程と、はんだ層が溶融した状態において、トランジスタを押圧する工程と、トランジスタを押圧した状態において、はんだ層を固化する工程とを含む構成とすればよい。
【0013】
本発明のトランジスタ実装体の製造方法において、工程(c)では、第1の半導体層におけるc軸の格子定数の値が、第1の半導体層を構成する材料におけるc軸の格子定数の理論値の99.9%以上且つ100.1%以下となるように固定を行えばよい。
【0014】
本発明のトランジスタ実装体の製造方法において、工程(c)では、形成基板の曲率半径が、12000m以上となるように固定を行えばよい。
【0015】
本発明のトランジスタ実装体の製造方法は、工程(c)よりも前に、形成基板に応力を印加する応力印加膜を第2の半導体層の上に形成する工程(d)をさらに備えていてもよい。また、工程(c)よりも前に、形成基板に応力を印加する応力印加膜を形成基板の主面と反対側の面の上に形成する工程(d)をさらに備えていてもよい。
【0016】
本発明のトランジスタ実装体の製造方法において、形成基板はシリコン基板であり、第1の半導体層は窒化ガリウムとすればよい。
【0017】
本発明に係る第1のトランジスタ実装体は、保持基板と、保持基板の上に固定されたトランジスタとを備え、トランジスタは、形成基板の主面上に順次積層された第1の半導体層及び第1の半導体層と比べてバンドギャップが大きい第2の半導体層を有し、形成基板は、第1の半導体層及び第2の半導体層とは異なる材料からなり、第1の半導体層におけるc軸の格子定数の値が、第1の半導体層を構成する材料におけるc軸の格子定数の理論値の99.9%以上且つ100.1%以下であることを特徴とする。
【0018】
第1のトランジスタ実装体は、第1の半導体層におけるc軸の格子定数の値が、第1の半導体層を構成する材料におけるc軸の格子定数の理論値の99.9%以上且つ100.1%以下である。このため、第1の半導体層と第2の半導体層との格子定数の差を大きく保つことができ、第2の半導体層に大きな引っ張り応力を印加することができる。従って、第2の半導体層のピエゾ分極が大きくなり、2次元電子ガス層のシートキャリア濃度が高くなる。その結果、チャネル抵抗を低減することができる。また、電流コラプスの特性も向上する。
【0019】
本発明に係る第2のトランジスタ実装体は、保持基板と、保持基板の上に固定されたトランジスタとを備え、トランジスタは、形成基板の主面上に順次積層された第1の半導体層及び第1の半導体層と比べてバンドギャップが大きい第2の半導体層を有し、形成基板は、第1の半導体層及び第2の半導体層とは異なる材料からなり、形成基板の曲率半径は、12000m以上であることを特徴とする。
【0020】
第2のトランジスタ実装体は、形成基板の曲率半径は、12000m以上である。このため、第1の半導体層に生じる歪みを緩和することができる。これにより、第1の半導体層の格子定数がバルクの場合の理論値に近づき、第1の半導体層と第2の半導体層との格子定数の差を大きく保つことができる。従って、第2の半導体層のピエゾ分極が大きくなり、2次元電子ガス層のシートキャリア濃度が高くなる。その結果、チャネル抵抗を低減することができる。また、電流コラプスの特性も向上する。
【0021】
本発明のトランジスタ実装体において、形成基板に応力を印加する応力印加治具をさらに有していてもよい。
【0022】
本発明のトランジスタ実装体において、応力印加治具は、トランジスタを挟むように保持基板と対向して設けられた押圧パッドと、保持基板と押圧パッドとの間に設けられ、押圧パッドを保持基板側に引っ張るばねとを有している構成とすればよい。また、応力印加治具は、トランジスタを挟むように保持基板と対向して設けられた押圧パッドと、保持基板に固定された枠体と、枠体と押圧パッドとの間に設けられ、押圧パッドを保持基板側に押圧するばねとを有している構成としてもよい。
【0023】
本発明のトランジスタ実装体は、第2の半導体層の上に形成され、形成基板の反りが小さくなる方向に応力を印加する応力印加膜をさらに備えていてもよい。
【0024】
本発明のトランジスタ実装体は、形成基板の主面と反対側の面の上に形成され、形成基板の反りが小さくなる方向に応力を印加する応力印加膜をさらに備えていてもよい。
【0025】
本発明のトランジスタ実装体において、形成基板はシリコン基板であり、第1の半導体層は窒化ガリウムとすればよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るトランジスタ実装体及びその製造方法によれば、チャネル抵抗を大幅に低減した電界効果トランジスタ実装体を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
まず、本願発明者らが見出した高電子移動度トランジスタ(HEMT)のチャネル抵抗を低減する方法の原理について説明する。
【0028】
本願発明者らは、厚さが525μmのシリコン(Si)基板上に形成したHEMTについてチャネル抵抗を測定した後、基板を約200μm研磨して再度チャネル抵抗を測定すると、チャネル抵抗が大きく低下することを見出した。図1は、基板を研磨する前後においてHEMTのチャネル抵抗Rbfを測定した結果を示し、縦軸は基板の研磨後における測定値であり、横軸は基板の研磨前の測定値である。図1に示すように、基板を研磨することによりチャネル抵抗Rbfの値が約2分の1となった。チャネル抵抗Rbfの値は、基板、ソース電極及びゲート電極に0Vの電圧を印加し、ドレイン電極に2Vの電圧を印加した状態で、ソース−ドレイン間の抵抗値を測定することにより求めた。
【0029】
HEMTの基板を研磨することによりチャネル抵抗が低下する原因を、本願発明者らは以下のように考察した。チップ状態のHEMTについてチャネル抵抗を測定する際には、HEMTを真空チャックに固定して測定を行う。基板が厚い場合にはHEMTを真空チャックに固定しても基板の形状は大きく変化しない。しかし、基板が薄い場合には真空チャックに固定した際に基板が平坦となる。例えば、基板の厚さが525μmの場合には、図2(a)に示すように真空チャック401に固定する前の基板402Aの曲率半径R1は1840mであった。また、図2(b)に示すように真空チャック401に固定した後の基板402Aの曲率半径R2は3325mであった。一方、図2(c)に示すように、200μm程度研磨した基板402Bの場合には、真空チャック401に固定する前の曲率半径R3は716mとなり、研磨する前の基板402Aの曲率半径R1よりも小さくなった。しかし、図2(d)に示すように研磨後の基板402Bを、真空チャック401に固定した場合には、曲率半径R4が測定限界である12000m以上となった。
【0030】
このように、基板を研磨した場合には、基板の反りが小さい状態においてチャネル抵抗の測定が行われていた。基板を研磨することにより曲率半径が小さくなる原因は、基板が薄くなったため、基板による応力が緩和されたためであると考えられる。一方、基板が薄くなったことにより基板が変形しやすくなり、真空チャックに固定した場合には基板を研磨する前よりも曲率半径が大きくなり平坦性が向上したと考えられる。このことから、チャネル抵抗の低減は基板を研磨したこと自体によるのではなく、真空チャックに固定したことにより基板の曲率半径が大きくなったこと、つまり基板の反りが小さくなったことによると考えられる。
【0031】
Si基板の上にHEMTを形成した場合に、基板の反りが大きくなり、曲率半径が1000m〜2000m程度に小さくなる原因は、Siと窒化物半導体との格子定数の違い及び熱膨張係数の違い等であると考えられる。このように、基板に反りが生じている状態においては、基板上に形成された窒化物半導体層にも反りが生じ、窒化物半導体層には歪みが生じていると考えられる。
【0032】
図3はSi基板上に形成したHEMTのGaN層のc軸方向の格子定数と、チャネル抵抗との関係を示している。格子定数はθ−2θ法によって測定したX線回折強度を元に算出した。X線回折測定の際には、HEMTは真空チャックされているため、基板の曲率半径は基板を研磨していない場合には3000m程度であり、基板を研磨した場合には12000m以上となっていると考えられる。図3に示すように、基板を研磨していない場合には、0.5205nm以上あったc軸の格子定数が、基板を研磨した場合には0.5180nm程度となった。バルクのGaN単結晶のc軸の格子定数の理論値は0.5185nmであり、基板を研磨した場合には理論値からのずれは0.1%以内であった。また、GaN層のc軸の格子定数が理論値に近い場合にはチャネル抵抗が小さくなっている。
【0033】
GaN層のc軸の格子定数が理論値よりも大きくなっているということは、GaNの結晶がc軸方向に引き延ばされ、歪んでいるということを意味する。c軸方向に引き延ばされた結晶はa軸方向には縮むため、a軸の格子定数は理論値よりも小さくなる。このため、図4(a)に示すように、GaN層とAlGaN層とのa軸の格子定数との差が小さくなる。従って、AlGaN層に加わる引っ張り応力が小さくなり、ピエゾ分極が生じにくくなる。その結果、2DEGのキャリア濃度が低下し、HEMTのチャネル抵抗が上昇すると考えられる。基板を研磨して真空チャックを行った場合には、c軸の格子定数は理論値とほぼ等しく、a軸の格子定数も理論値とほぼ等しいと考えられる。このため、図4(b)に示すように、GaN層とAlGaN層とのa軸の格子定数の差は、基板を研磨する前と比べて大きくなる。従って、AlGaN層に加わる引っ張り応力が大きくなり、AlGaN層内のピエゾ分極が大きくなる。その結果、2DEGのキャリア濃度が上昇し、HEMTのチャネル抵抗が基板を研磨する前と比べて小さくなると考えられる。
【0034】
Si基板上に窒化物半導体層を形成する場合には、窒化物半導体の格子定数がSiと比べて小さいため、窒化物半導体層が形成された表面側が凹型に反ることが一般的である。特に、成長基板の格子定数が、その上に成長する半導体材料の格子定数よりも大きい場合に、半導体層が形成された表面側が凹型に反りやすい。図1において測定に用いたHEMTは、すべて表面側が凹型に反っていた。しかし、窒化物半導体の結晶成長条件によっては、表面側が凸型に反ることもあり得る。例えば、バッファ層として用いたAlN層の上にAlGaN層を成長させ、その上にアンドープのGaN層を成長させると、表面側が凸型に反る傾向がある。具体的に、525μmの厚さのSi基板上に厚さが300nmのAlN、厚さが600nmのAl0.5Ga0.5N層及び厚さが400nmのAl0.2Ga0.8N層を順次形成したのち、アンドープのGaN層を3μm成長したところ表面側が凸型に反った。
【0035】
図5は、表面側が凸型に反ったHEMTについて、基板を研磨する前後のチャネル抵抗を測定した結果を示している。主面側が凸型に反ったHEMTにおいても、基板を研磨して測定を行うと、チャネル抵抗が基板を研磨する前の80%〜60%に低下した。従って、主面側が凸型に反った場合においても基板の曲率半径を大きくする、つまり基板の反りを小さくし、GaN層に生じた歪みを小さくすることによりチャネル抵抗を低減できることが明らかである。
【0036】
この場合には、基板の厚さが525μmのHEMTを真空チャックに固定する前の曲率半径は460mであり、真空チャックに固定した場合の曲率半径は測定限界である12000m以上であった。一方、基板を200μm研磨すると、真空チャックに固定する前の曲率半径は230mとなり、真空チャックに固定した場合の曲率半径は12000m以上となった。基板の主面側が凸型に反っている場合には、凹型に反っている場合よりも真空チャックに密着しやすく大きな力が基板に加わるため、基板の厚さが厚い場合にも真空チャックに固定した際の曲率半径が大きくなったと考えられる。しかし、この場合にも、基板を研磨して薄くした方がより曲率半径が大きくなり、基板の反りが小さくなっていると推測される。また、チャネル抵抗の測定結果もこの推測を支持している。
【0037】
次に、電流コラプスについて検討した結果について説明する。図6は、図1に示したチャネル抵抗の測定に用いたHEMTについて、電流コラプス度を測定した結果を示している。電流コラプスとは、HEMTを一旦オフ状態とした後、再びオン状態とした場合に、一定時間電流が流れにくくなる現象である。本以下においては、通常のチャネル抵抗Rbfと、オフ状態からオン状態にした直後のチャネル抵抗Rafとの比Raf/Rbfを電流コラプス度とし、電流コラプスの大きさを評価した。ソース電極、ゲート電極及び基板に0Vを印加し、ドレイン電極に200Vを印加した状態を30秒間保持した直後、ドレイン電極に印加する電圧を2Vとした際のソース−ドレイン間の抵抗をRafとした。
【0038】
図6に示すように、基板を研磨することにより電流コラプス度が基板を研磨する前よりも遙かに小さくなり、ばらつきも小さくなった。図7はωスキャンモードを用いてGaN層の(1012)線に対するX線回折を行うことにより得られたロッキングカーブの半値全幅と、電流コラプス度Raf/Rbfとの関係を示している。基板の研磨を行う前には、電流コラプス度Raf/Rbfが大きくばらついており、半値全幅が小さくなる程、電流コラプス度Raf/Rbfが急激に悪化している。一方、基板の研磨を行うと、基板を研磨する前と比べて電流コラプス度Raf/Rbfが大きく改善した。特に、半値全幅の値が800arcsec程度のサンプルにおいては、電流コラプス度Raf/Rbfが7桁程度改善した。また、電流コラプス度のばらつきも小さくなっている。電流コラプス度は、1000よりも小さいことが好ましいが、基板を研磨した場合には十分この値を満足している。
【0039】
このような現象がなぜ生じるのかは明確ではない。しかし、基板の研磨前後において、半値全幅はほとんど変化していないため、GaN層の結晶性が改善し、これにより電流コラプス度が改善したという可能性は低い。このため、電流コラプス度が改善した理由は以下のように推測される。電流コラプスは、HEMTをオフ状態とした際に、高い電界が印加されている領域に電子トラップが生じ、再度HEMTをオン状態とした際にトラップされた電子が負のゲート電圧と同様の働きをするため、チャネルが狭窄されることにより生じると考えられている。このため、電子トラップの密度NTが2DEGの電子密度NSよりも十分に小さければ電流コラプスは生じにくくなる。基板を研磨して反りを小さくした場合には、電子トラップの密度NTは変化しないと考えられるが、2DEGの電子密度NSが大きくなる。このため、2DEGの電子密度NSに対する電子トラップの密度NTの比NT/NSが相対的に小さくなり、電流コラプス度が改善したと考えられる。
【0040】
電流コラプスが改善する代わりに、オフ状態におけるリーク電流が増大するおそれがある。しかし、図8に示すように、基板の研磨前後においてリーク電流の値にはほとんど差が認められなかった。
【0041】
以上説明したように、Si基板等の異種基板の上に形成した窒化物半導体を用いたHEMTは、基板の反りを小さくすることによりチャネル抵抗を低減できる。また、チャネル抵抗の低減に伴い電流コラプスも改善できる。以下に、HEMTの基板の反りを小さくしチャネル抵抗を低減することができるHEMTの実装方法について具体例をあげて説明する。
【0042】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図9は、本実施形態に係るトランジスタ実装体の断面構成を示している。図9に示すように本実施形態のトランジスタ実装体は、保持基板200の上に窒化物半導体を用いたHEMT100がはんだ層202により固定されている。HEMT100は、形成基板101の曲率半径が12000m以上となった状態で、保持基板の上に固定されている。
【0043】
HEMT100は、Si基板等の形成基板101の主面の上に形成されている。形成基板101は、主面と反対側の面(裏面)側から研磨され膜厚が薄くなっている。形成基板101の主面の上には、窒化アルミニウム(AlN)からなる低温バッファ層103が形成されている。低温バッファ層103の上には、窒化物半導体層が形成されている。窒化物半導体層は、アンドープのGaNからなる第1の半導体層105と、第1の半導体層105の上に形成されたアンドープのAlGaNからなる第2の半導体層107とを有している。第2の半導体層107の上には、ソース電極111、ゲート電極115及びドレイン電極113が形成されている。ソース電極111及びドレイン電極113は、例えばチタン(Ti)とアルミニウム(Al)とが積層されたオーミック電極である。ゲート電極115は、例えば白金(Pt)と金(Au)とが積層されたショットキー電極である。
【0044】
次に、本実施形態に係るHEMT100の実装方法について図10を参照して説明する。まず、図10(a)に示すように既知の方法を用いてHEMT100を形成する。
【0045】
次に、図10(b)に示すように、HEMT100の形成基板101を窒化物半導体層が形成された面と反対側の面(裏面)側から研磨して膜厚を薄くする。形成基板101の研磨量は、形成基板101の反りの大きさ及び研磨前の形成基板の厚さ等に応じて決定すればよい。例えば、厚さが525μmのSi基板の場合には、200μm程度研磨することが好ましい。
【0046】
次に、図10(c)に示すように、保持基板200の上に置いたはんだを溶融させ溶融はんだ層202Aとする。続いて、HEMT100を溶融はんだ層202Aの上に載置する。
【0047】
次に、図11(a)に示すように、保持基板200の上に載置したHEMT100に押圧パッド210を用いて応力を加え、形成基板101の反りを小さくする。
【0048】
次に、図11(b)に示すように、HEMT100に応力を加えた状態のまま冷却し、はんだ層202を固化する。
【0049】
これにより、図11(c)に示すように形成基板101の反りが小さくなった状態を保持したまま、HEMT100を保持基板200の上に固定できる。
【0050】
このようにすれば、形成基板101の表面側が凹型に反っている場合だけでなく、凸型に反っている場合にも形成基板101の反りを小さくした状態で、HEMT100を保持基板200の上に固定できる。また、はんだ以外の他の接着材を用いた場合にも、同様の方法により形成基板101の反りが小さい状態を保持したまま、HEMT100を保持基板200の上に固定することができる。押圧パッド210を用いてHEMT100に応力を加える例を示したが、HEMT100に損傷を与えなければどのような方法を用いてもよい。
【0051】
形成基板101の反りをどの程度とするかは、必要とするチャネル抵抗の値又は電流コラプス度の値によって決定すればよい。先に述べたように、実装後の形成基板101の曲率半径を12000m以上とすれば、チャネル抵抗の値を実装する前の2分の1程度まで小さくすることが可能となる。また、電流コラプス度は7桁〜8桁程度低くなる。一方、反りを小さくすることにより、第1の半導体層105を構成する窒化物半導体の格子定数を理論値に近づけることができる。第1の半導体層105を構成する窒化物半導体の格子定数を理論値の99.9%以上且つ100.1%以下とすることにより、チャネル抵抗の値を実装する前の2分の1程度まで小さくし、電流コラプス度を7桁〜8桁程度低くすることができる。
【0052】
HEMTを電力制御等の用途に用いる場合には、高い耐圧が要求される。HEMTの耐圧を向上するには、ソース−ドレイン間の耐圧だけでなく、ソース−基板間及びドレイン−基板間の耐圧を高くすることが重要である。これは、ソース−ドレイン間に強い電圧が印加されると、導電性の形成基板を通してソース−ドレイン間にブレイクダウンが生じるためである。ソース−基板間及びドレイン−基板間の耐圧を高くするには、第1の半導体層105の膜厚を厚くする必要がある。例えば、第1の半導体層105が膜厚1μmのGaNである場合には、ソース−基板間及びドレイン−基板間の耐圧は400V以下となる。HEMTの耐圧を600V以上とするためには、第1の半導体層105の膜厚を3μm以上とし、800V以上の耐圧を必要とする場合には第1の半導体層105の膜厚を4μm以上とすることが好ましい。
【0053】
HEMTの耐圧を高くするために、第1の半導体層105の膜厚を厚くすると、形成基板に加わる応力が大きくなり、形成基板の反りが大きくなり、曲率半径が12000mを越えることはまず有り得ない。このため、形成基板の反りを小さくし、曲率半径を12000m以上にするためには、外部から応力を印加することが必要である。図12は、第1の半導体層105の膜厚を3μmとした場合における、形成基板の曲率半径の分布を示している。図12(a)は、図12(c)に示すように窒化物半導体層が形成された表面側が凸型に反っている場合の頻度を示している。図12(b)は、図12(d)に示すように窒化物半導体層が形成された表面側が凹型に反っている場合の頻度を示している。図12に示すように、形成基板の表面側が凹型に反る場合が凸型に反る場合よりも多く、曲率半径の平均は約150mであった。図12から明らかなように、Si基板上にGaNを成長しただけでは曲率半径が12000mを越えるような反りが小さいHEMTを実現することは非常に困難である。
【0054】
このように、HEMTの耐圧を高くするために、第1の半導体層105の膜厚を厚くすると、形成基板の反りが大きくなり曲率半径が小さくなる。このため、本実施形態に示す形成基板に応力を加え反りを小さくした状態で保持基板の上に固定する方法は、特に有用である。
【0055】
(一実施形態の変形例)
一実施形態の変形例について図面を参照して説明する。図13は本変形例に係るトランジスタ実装体の断面構成を示している。図13において図9と同一の構成要素には同一の符号を附すことにより説明を省略する。図13に示すように、本変形例のトランジスタ実装体は、形成基板101への応力印加を応力印加治具300により行っている。
【0056】
応力印加治具300は、形成基板101に応力を印加でき、印加した応力を保持できればよい。例えば、HEMT100を挟むように保持基板200と対向して配置された押圧パッド301と、押圧パッド301を保持基板200側に引っ張るばねである押圧部303と、押圧パッド301とHEMT100との間に配置された押圧支柱305とを有している。押圧パッド301と保持基板200との間を接続する押圧部303のばねの強さを調節することにより、HEMT100に最適な応力を印加できる。応力が印加され形成基板101の反りが小さくなった状態において、はんだ層202を冷却して固化すれば、形成基板101の反りが小さくなった状態を保持して、HEMT100を保持基板200の上に固定できる。押圧部303は、押圧パッド301に必要な応力が印加できればばねに限らず他の弾性体を用いてもよい。
【0057】
応力印加治具300は、HEMT100を保持基板200側に押圧できればよい。このため、押圧パッド301を保持基板200側に引っ張るのではなく、図14に示すように押圧パッド301を保持基板200側に押圧する構成としてもよい。この場合には、保持基板200に固定された枠体311と、枠体311と押圧パッド301との間に設けられたばね等の弾性体313とを有する押圧部を用いればよい。また、ばね等の弾性体に代えてねじ等を用いたクランプ機構を用いて押圧パッド301を押圧してもよい。
【0058】
なお、応力印加治具300はHEMT100を保持基板200に実装する際に、HEMT100に応力を印加し、形成基板101の反りを小さくするために用いる。従って、HEMT100を保持基板200に実装した後、応力印加治具300を取り外してもよい。この場合には、応力印加治具300は保持基板200に固定されている必要はない。図15に示すように保持基板200を載置した平板315に枠体311を固定すればよい。また、上下を逆にして、保持基板200側から押圧を行ってもよい。
【0059】
図13〜図15においては、押圧支柱305を用いてHEMT100を押圧しているが、押圧パッド301により直接HEMT100を押圧してもよい。この場合には、図16に示すようにHEMT100の表面を保護するために、第2の半導体層107の上に保護膜109を形成してもよい。また、図17及び図18に示すように、形成基板101側から押圧してもよい。
【0060】
図13〜18において、応力印加治具300は押圧パッド301と保持基板200とを用いてHEMT100に圧力を印加している。しかし、押圧パッド301と保持基板200とは異なる押圧用の基板とを用いてHEMT100に圧力を印加してもよい。この場合には、押圧用の基板ごと保持基板200の上に固定すればよい。
【0061】
また、保護膜109をHEMT100に応力を加える応力印加膜としてもよい。このようにすれば、応力印加膜により形成基板101に応力が印加されるため、押圧をすることなく形成基板101の反りを低減することが可能となる。この場合には、応力印加治具又はパッド等を用いてHEMT100を押圧することなく直接保持基板200の上に固定することができる。応力印加膜を形成した場合にも、押圧を併用すれば形成基板の反りをさらに低減できる。応力印加膜には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)膜等のポリマーからなる膜等を用いればよい。また、応力印加膜120は、第2の半導体層107の上に代えて図19に示すように形成基板101の裏面側に設けてもよい。
【0062】
実施形態及び変形例において、形成基板をSi基板とする例を説明した。しかし、本開示において示した内容は、窒化物半導体と格子定数及び熱膨張係数等が異なるため窒化物半導体層を製膜した後に反りが生じる基板であれば、同様に成り立つ。従って、窒化物半導体以外材料からなる基板を用いた場合に同様効果を得ることができる。このため、Si基板に代えてサファイア基板、炭化珪素(SiC)基板又はシリコンオンインシュレータ(SOI)基板等を用いてもよい。
【0063】
第1の半導体層105にGaNを用い、第2の半導体層107にAlGaNを用いる例を示したが、第2の半導体層107のバンドギャップを第1の半導体層105のバンドギャップよりも大きくすることができれば、どのような組成の窒化物半導体層を用いてもよい。例えば、In、Ga及びAlのうちの少なくとも1つとNとを構成元素に含む任意の組成の窒化物半導体層を用いることができる。また、2元や3元の化合物半導体に限られず、4元以上の化合物半導体としてもよい。また、ヘテロ接合界面を有する窒化物半導体層を有するHEMTであれば、電極の構成等は適宜変更してかまわない。
【0064】
さらに、実施形態及び変形例において窒化物半導体を用いたHEMTを例として説明したが、本開示の内容はピエゾ効果により2DEGが生じる系であれば同様に成り立つことは明らかである。従って、実施形態及び変形例において示した構成は、窒化物半導体以外の材料を用いた場合にも適用できる。例えば、第1の半導体層105にZnOを用い、第2の半導体層107にZnMgOを用い、ZnOとZnMgOの界面に生じる2DEGを利用する半導体装置に適用することが可能である。
【0065】
実施形態及び変形例において、HEMTと保持基板を接着する方法としてはんだを用いたが、これに限られない。例えば、Si基板上に形成したHEMTのSi基板側を200μm研磨し、厚さが5mmのSiからなる保持基板の上に載置した後、実施形態及び変形例に示した方法で加圧しながら水素雰囲気においてアニール処理をすれば、反りが軽減された状態でHEMTを保持基板に接着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係るトランジスタ実装体及びその製造方法は、チャネル抵抗を大幅に低減した電界効果トランジスタ実装体を実現でき、特に窒化物半導体を用いたパワートランジスタ等の電界効果トランジスタの実装体及びその製造方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】トランジスタの基板を研磨する前後のチャネル抵抗の関係を示すグラフである。
【図2】(a)〜(d)はチャネル抵抗を測定する際のトランジスタの状態を示す断面図である。
【図3】GaN結晶のc軸の格子定数とチャネル抵抗との関係を示すグラフである。
【図4】(a)及び(b)は基板の反りによるGaN層とAlGaN層との状態を示し、(a)は基板の反りが大きい場合であり、(b)は基板の反りが小さい場合である。
【図5】表面が凸型に反ったトランジスタにおいて、基板を研磨する前後のチャネル抵抗の値を示すグラフである。
【図6】トランジスタの基板を研磨する前後の電流コラプス度の関係を示すグラフである。
【図7】GaN層の半値全幅と電流コラプス度との関係を示すグラフである。
【図8】トランジスタの基板を研磨する前後のリーク電流の関係を示すグラフである。
【図9】本発明の一実施形態に係るトランジスタ実装体を示す断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るトランジスタ実装体の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るトランジスタ実装体の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図12】第1の半導体層の膜厚を3μmとした場合における基板の曲率半径の分布を示すグラフである。
【図13】本発明の一実施形態の変形例に係るトランジスタ実装体の一例を示す断面図である。
【図14】本発明の一実施形態の変形例に係るトランジスタ実装体の一例を示す断面図である。
【図15】本発明の一実施形態の変形例に係るトランジスタ実装体の一例を示す断面図である。
【図16】本発明の一実施形態の変形例に係るトランジスタ実装体の一例を示す断面図である。
【図17】本発明の一実施形態の変形例に係るトランジスタ実装体の一例を示す断面図である。
【図18】本発明の一実施形態の変形例に係るトランジスタ実装体の一例を示す断面図である。
【図19】本発明の一実施形態の変形例に係るトランジスタ実装体に用いるトランジスタの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0068】
100 HEMT
101 形成基板
103 低温バッファ層
105 第1の半導体層
107 第2の半導体層
109 保護膜
111 ソース電極
113 ドレイン電極
115 ゲート電極
120 応力印加膜
200 保持基板
202 はんだ層
202A 溶融はんだ層
210 押圧パッド
300 応力印加治具
301 押圧パッド
303 押圧部
305 押圧支柱
311 枠体
313 弾性体
315 平板
401 真空チャック
402A 基板
402B 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形成基板の主面上に順次積層された第1の半導体層及び該第1の半導体層よりもバンドギャップが大きい第2の半導体層を有するトランジスタを形成する工程(a)と、
前記工程(a)よりも後に、前記形成基板における前記主面と反対側の面を研磨する工程(b)と、
前記工程(b)よりも後に、前記形成基板の反りが小さくなる方向の応力を前記形成基板に印加した状態で前記トランジスタを保持基板の上に固定する工程(c)とを備えて、
前記形成基板は、前記第1の半導体層及び第2の半導体層とは異なる材料からなることを特徴とするトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項2】
前記工程(c)では、前記応力を前記形成基板に印加した後、前記応力を保持した状態において前記形成基板と前記保持基板とを接着することを特徴とする請求項1に記載のトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項3】
前記応力は押圧パッドを用いて前記トランジスタを押圧することにより印加することを特徴とする請求項2に記載のトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項4】
前記応力は応力印加治具を用いて前記トランジスタを押圧することにより印加することを特徴とする請求項2に記載のトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項5】
前記応力印加治具は、
前記トランジスタを挟んで前記保持基板と対向する押圧パッドと、
前記押圧パッドを前記保持基板側に押圧する押圧部とを有していることを特徴とする請求項4に記載のトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項6】
前記工程(c)は、
前記保持基板の上にはんだ層を形成する工程と、
前記はんだ層が溶融した状態において、前記トランジスタを前記保持基板の上に載置する工程と、
前記はんだ層が溶融した状態において、前記トランジスタを押圧する工程と、
前記トランジスタを押圧した状態において、前記はんだ層を固化する工程とを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項7】
前記工程(c)では、前記第1の半導体層におけるc軸の格子定数の値が、前記第1の半導体層を構成する材料におけるc軸の格子定数の理論値の99.9%以上且つ100.1%以下となるように固定を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項8】
前記工程(c)では、前記形成基板の曲率半径が、12000m以上となるように固定を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項9】
前記工程(c)よりも前に、前記形成基板に応力を印加する応力印加膜を前記第2の半導体層の上に形成する工程(d)をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項10】
前記工程(c)よりも前に、前記形成基板に応力を印加する応力印加膜を前記形成基板の前記主面と反対側の面の上に形成する工程(d)をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項11】
前記形成基板はシリコン基板であり、
前記第1の半導体層は窒化ガリウムからなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のトランジスタ実装体の製造方法。
【請求項12】
保持基板と、
前記保持基板の上に固定されたトランジスタとを備え、
前記トランジスタは、
形成基板の主面上に順次積層された第1の半導体層及び該第1の半導体層と比べてバンドギャップが大きい第2の半導体層を有し、
前記形成基板は、前記第1の半導体層及び第2の半導体層とは異なる材料からなり、
前記第1の半導体層におけるc軸の格子定数の値が、前記第1の半導体層を構成する材料におけるc軸の格子定数の理論値の99.9%以上且つ100.1%以下であることを特徴とするトランジスタ実装体。
【請求項13】
保持基板と、
前記保持基板の上に固定されたトランジスタとを備え、
前記トランジスタは、
形成基板の主面上に順次積層された第1の半導体層及び該第1の半導体層と比べてバンドギャップが大きい第2の半導体層を有し、
前記形成基板は、前記第1の半導体層及び第2の半導体層とは異なる材料からなり、
前記形成基板の曲率半径は、12000m以上であることを特徴とするトランジスタ実装体。
【請求項14】
前記形成基板に応力を印加する応力印加治具をさらに備えていることを特徴とする請求項12又は13に記載のトランジスタ実装体。
【請求項15】
前記応力印加治具は、
前記トランジスタを挟むように前記保持基板と対向して設けられた押圧パッドと、
前記保持基板と前記押圧パッドとの間に設けられ、前記押圧パッドを前記保持基板側に引っ張るばねとを有していることを特徴とする請求項14に記載のトランジスタ実装体。
【請求項16】
前記応力印加治具は、
前記トランジスタを挟むように前記保持基板と対向して設けられた押圧パッドと、
前記保持基板に固定された枠体と、
前記枠体と前記押圧パッドとの間に設けられ、前記押圧パッドを前記保持基板側に押圧するばねとを有していることを特徴とする請求項14に記載のトランジスタ実装体。
【請求項17】
前記第2の半導体層の上に形成され、前記形成基板の反りが小さくなる方向に応力を印加する応力印加膜をさらに備えていることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載のトランジスタ実装体。
【請求項18】
前記形成基板の前記主面と反対側の面の上に形成され、前記形成基板の反りが小さくなる方向に応力を印加する応力印加膜をさらに備えていることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載のトランジスタ実装体。
【請求項19】
前記形成基板はシリコン基板であり、
前記第1の半導体層は窒化ガリウムからなることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載のトランジスタ実装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−199377(P2010−199377A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43783(P2009−43783)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】