説明

トランジスタ製造プロセスにおいて、high−kゲート絶縁体を組み入れる方法

本発明の例示的な一実施形態は、その上に位置するhigh-k誘電体層と、このhigh-k誘電体層上に位置するゲート電極層と、を含む基板(104)上に電界効果トランジスタを形成する方法である。この方法は、基板(104)上に位置するhigh-k誘電体部(106)と、high-k誘電体部(106)上に位置するゲート電極部とを含むゲートスタック(102)を形成するように、ゲート電極層およびhigh-k誘電体層をエッチングするステップ(202)を含む。この例示的な実施形態によれば、この方法は、ゲートスタック(102)上で窒化プロセスを実行するステップ(204)をさらに含む。この窒化プロセスは、ゲートスタック(102)のサイドウォール(110)を窒化するように、窒素を含むプラズマを利用するステップによって実行することができる。この窒化プロセスの結果、窒素がhigh-k誘電体部(106)に入り込み、窒素がhigh-k誘電体部(106)中に酸素拡散バリアを形成するようにされてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、半導体デバイスの分野に関する。より詳しくは、電界効果トランジスタの製造分野に関する。
【背景技術】
【0002】
PFETおよびNFETのような電界効果トランジスタ(FET)がサイズにおいてスケールダウンされるにつれて、FET性能および信頼性を改善するのに高誘電率(high-k)を有するゲート絶縁体が半導体製造において利用されている。
high-kゲート絶縁体は小さなフィーチャサイズ技術において望ましい。二酸化シリコンのような従来のゲート絶縁体は薄すぎてトンネル電流が多く流れてしまい、他の問題と同様、これらはFETの性能および信頼性を低下させてしまうからである。
しかしながら、トランジスタ製造プロセスにhigh-kゲート絶縁体を組み入れる間に問題が生じる場合がある。
【0003】
high-kゲート絶縁体を用いる従来のトランジスタ製造プロセスにおいては、ゲートエッチングプロセスにおいて、ゲート電極層と、このゲート電極層と基板との間に位置するhigh-k誘電体層とをエッチングすることにより、ゲートスタックを形成することができる。
このゲート電極層(ポリシリコンのような導電材料を含むことができる)、およびhigh-k誘電体(酸化ジルコニウム、ハフニウム酸化物、または他のhigh-kゲート絶縁材料を含むことができる)は一般的に、プラズマエッチング・チャンバ中のプラズマによってエッチングされる。
しかしながら、プラズマエッチングの間、ゲート電極およびhigh-k誘電体部の露出部分を含む、ゲートスタックのサイドウォールを、プラズマが破損してしまう場合がある。例えばこのプラズマは、high-k誘電材料の一部をエッチングしてしまうことがあり、このhigh-kゲート絶縁体の化学構造を破損する場合がある。
ゲートエッチングプロセスの後、汚染物質を取り除くためにゲートスタック上において通常ウェットクリーンプロセスが実行される。
しかしながら、ウェットクリーンプロセスもまた、high-k誘電材料のうちのいくらかを取り去ることによってhigh-k誘電体を破損する場合がある。
さらに、次のプロセスステップの間に酸素がhigh-kゲート絶縁体中に横方向に拡散し、high-k誘電材料およびトランジスタゲートの特性を変えてしまう場合がある。
【0004】
このように、トランジスタ製造プロセスにおいてhigh-kゲート絶縁体を組み入れる有効な方法が、該分野において必要とされている。
【発明の要約】
【0005】
本発明は、トランジスタ製造プロセスにおいてhigh-kゲート絶縁体を組み入れる方法についての分野における必要性に関し、解決するものである。
【0006】
本発明の例示的な一実施形態は、その上に位置するhigh-k誘電体層と、このhigh-k誘電体層上に位置するゲート電極層と、を含む基板上に電界効果トランジスタを形成する方法である。この方法は、基板上に位置するhigh-k誘電体部と、high-k誘電体部上に位置するゲート電極部とを含むゲートスタックを形成するように、ゲート電極層およびhigh-k誘電体層をエッチングするステップを含む。
high-k誘電体部は、例えば酸化ジルコニウム、ハフニウム酸化物、酸化ジルコニウム、ジルコニウムシリサイド、または酸化アルミニウムであってもよく、ゲート電極部は、ポリシリコンとすることができる。
【0007】
この例示的な実施形態によれば、この方法は、ゲートスタック上で窒化プロセスを実行するステップをさらに含む。
この窒化プロセスは、ゲートスタックのサイドウォールを窒化するように、窒素を含むプラズマを利用するステップによって実行することができる。
この窒化プロセスの結果、窒素がhigh-k誘電体部に入り込み、窒素がhigh-k誘電体部中に酸素拡散バリアを形成するようにされてよい。
ゲート電極層およびhigh-k誘電体層をエッチングするステップは、ゲートスタック上の窒化プロセスを実行する際にも利用されるプロセスチャンバにおいて実行することができる。
ある実施形態においては、ゲート電極層およびhigh-k誘電体層をエッチングするステップは、第1プロセスチャンバにおいて実行され、ゲートスタック上の窒化プロセスを実行するステップは、第2プロセスチャンバにおいて実行される。
本発明の他の構造および利点は、この分野の当業者にとって、以下の詳細な説明と添付の図面を外観した後でより明りょうとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、トランジスタ製造プロセスにおいて、high-kゲート絶縁体を組み入れる方法に関する。以下の記載は、本発明の実施形態に含まれる特定の情報を含むものである。当業者であれば、本発明が本出願に論じられる特定の実施形態と異なる方法で実行され得ることが理解されよう。さらに、本発明の特定の詳細のいくつかについては、本発明をあいまいにしないため、ここでは論じない。
【0009】
本出願の図面および明細書は、本発明の単なる例示的な実施形態に過ぎない。簡明性を期すために、本発明の他の実施形態については、明細書中に特に記載していないし、添付の図面に特に示していない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態の一例による例示的なゲートスタックを含む例示的な構造を示す断面図である。構造100は、ゲートスタック102を含んでおり、このゲートスタック102は基板104上に置かれる。ゲートスタック102は、high-k誘電体部106およびゲート電極部108を含んでおり、サイドウォール110を有している。
ある実施形態の一例においては、ゲートスタック102は、high-k誘電体部106および基板104の間に位置する界面層(図示しない)を含むことができる。
構造100は、NFETまたはPFETのような、ゲートスタック102を含むFETを形成するのに利用されるトランジスタのプロセスフローの中間ステップを示す。
【0011】
図1に示すように、high-k誘電体部106は、基板104上に位置しており、ハフニウム酸化物、ハフニウム・ケイ酸塩、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウムまたは酸化アルミニウムのような、high-k誘電体を含むことができる。
上述したhigh-k誘電体、および本出願の他の部分は、特定の実施例の単なる一例であり、他のhigh-k誘電体もまた使用することができ、本発明がここに言及されたhigh-k誘電体のみの使用に限られることがないことが注目される。
さらなる他の例により、high-k誘電体部106は約20.0Åから10.0Åの厚みを有し得る。
また、図1に示すように、ゲート電極部108はhigh-k誘電体部106上に位置し、ポリシリコンを含むことができる。一例として、ゲート電極部108は約500.0Åから約1500.0Åの厚みを有し得る。
【0012】
high-k誘電体部106およびゲート電極部108を含んでいるゲートスタック102は、ゲートエッチング・プロセスで、high-k誘電体層およびゲート電極層をそれぞれエッチングにより形成することができる。
ゲートエッチング・プロセスの前に、high-k誘電体層を基板104上に形成することができる。また、当該技術分野において公知の方法により、ゲート電極層をhigh-k誘電体層上に形成することができる。
このゲートエッチング・プロセスにおいては、例えばプラズマエッチングを使用することによって、プラズマエッチング・チャンバ中でhigh-k誘電体層およびゲート電極層をエッチングすることができる。
本発明のトランジスタのプロセスフローにおいて、ゲートスタック102を形成した後、ゲートスタック102上で窒化プロセスを実行する。
この窒化プロセスは、窒素を含むプラズマ(すなわち窒素プラズマ)を利用して、サイドウォール110のようなゲートスタック102の露出面を窒化(nitridate)するように実行することができる。
この窒化プロセスは、上述したゲートエッチング・プロセスにおけるゲートスタック102を形成するのに利用されるのと同じプロセスチャンバ中で実行することができる。
ある実施形態の一例においては、窒化プロセスは、ゲートエッチング・プロセスを実行するために利用されるのと異なるプロセスチャンバ中で実行してもよい。このような実施形態においては、ゲートエッチング・プロセスの後、ゲートスタック102を含むウェーハは、ゲートエッチング・プロセスを実行するのに利用されたプロセスチャンバから取り出され、ウェットクリーンツールにおいてウェーハ上のウェットクリーンプロセスが実行される。その後、ゲートスタック102を含むウェーハは、別のプロセスチャンバに載置され、ここでゲートスタック102上の窒化プロセスが実行される。
ある実施形態の一例においては、ゲートエッチング・プロセスを実行した直後に、ゲートスタック102上の窒化プロセスを実行することができる。
【0013】
ゲートエッチング・プロセスを実行した後、ゲートスタック102のサイドウォール110を窒化する窒化プロセスを実行することによって、本発明のプロセスフローは、ゲートエッチング・プロセスの間にゲートスタック102に生じる可能性がある損傷を修復するのに窒化プロセスを利用することができる。
さらに、窒化プロセス中に、high-k誘電体部106中に窒素が導入される。
その結果、high-k誘電体部106に導入された窒素は、後のプロセスステップの間に、high-k誘電体部106中に望ましくない横方向の酸素拡散を防ぐことができるバリアを形成することができる。
窒化物を含む界面層を含むゲートスタックを利用する本発明の実施形態においては、窒化プロセスは、ゲートエッチング・プロセス中に界面層において消耗された窒化物を置換することができる。
【0014】
窒化プロセスを実行した後、本発明のトランジスタのプロセスフローは従来のトランジスタのプロセスフローと同様の方法で続けられる。
FETのようなトランジスタの製造を完了するのに必要な他のプロセスステップを実行することができる。同様に、例えば、ゲートスタック102に隣接している基板104にソース/ドレイン領域を注入することができ、ゲートスタック102のサイドウォール110に隣接するスペーサを形成することができ、急速熱アニーリングプロセスを実行することもできる。
【0015】
図2は、本発明の実施形態の一例による、例示的な方法を示すフローチャートである。当業者に明らかな特定の詳細および構造は、フローチャート200において省略している。
該分野において知られているように、例えばあるステップは、1つ以上のサブステップを含んでいてもよいし、または専用の設備や材料を含んでいてもよい。
フローチャート200のステップ202では、基板上に位置するhigh-k誘電体層、およびこのhigh-k誘電体層上に位置するゲート電極層をエッチングし、ゲートスタックを形成する。
例えば、ゲートエッチング・プロセスにおけるプラズマエッチングを利用することによってゲート電極層およびhigh-k誘電体層を適切にエッチングすることにより、基板上に位置するhigh-k誘電体部106と、このigh-k誘電体部106上に位置するゲート電極部108とを含んでいるゲートスタック102を形成することができる。
【0016】
ステップ204では、ゲートエッチング・プロセスを実行した後、ゲートスタック上で窒化プロセスを実行する。
例えば、窒化プロセスは、ゲートエッチング・プロセスの後、ゲートスタック102のサイドウォール110を窒化すべく、窒素プラズマを利用することによってゲートスタック102上で実行することができる。
この窒化プロセスは、例えば、ゲートエッチング・プロセスを実行におけるゲートスタック102を形成するのに利用されるのと同じプロセスチャンバ中で実行することができる。
ある実施形態の一例においては、ゲートエッチング・プロセスを実行するために利用されるのと異なるもの(すなわちプロセスチャンバ)を利用して窒化プロセスを実行することができる。
ステップ206では、トランジスタの製造を完了するのに必要な他のプロセスステップを実行することによって、トランジスタのプロセスフローが継続される。
例えば、ゲートスタック102に隣接している基板104にソース/ドレイン領域を注入することができ、ゲートスタック102のサイドウォール110に隣接するスペーサを形成することができ、急速熱アニーリングプロセスを実行することができる。また、他の適切なプロセスステップを実行して、FETのようなトランジスタの製造を完成することができる。
【0017】
したがって、上述したように、ゲートエッチング・プロセスの後に窒化プロセスを実行することによって、本発明のプロセスフローは、ゲートエッチング・プロセス中にゲートスタック・サイドウォールに生じ得る損傷を修復するために、窒化プロセスを利用することができる。
さらに、本発明の窒化プロセスは、ゲートスタックのhigh-k誘電体部に窒素を導入し、この窒素は、後のプロセスステップの間に、high-k誘電体部106中に望ましくない横方向の酸素拡散を防ぐことができるバリアを形成する。
【0018】
本発明の例示的な実施形態の上述した記載から本発明の趣旨の範囲を逸脱することなく本発明の概念を実装するために利用可能である。さらに、本発明はある実施形態を具体的に参照しながら記載されたが、当業者であれば、本発明の精神と趣旨の範囲を逸脱することなく変更が可能であることが認識されよう。
記載した例示的な実施形態は、すべての点において、例示的であり限定的でないものとして考慮されることになっている。本発明は、ここに記載された特定の実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱することなく数多くの再配置、修正、および置換が可能であることが理解されなければならない。
【0019】
以上のように、トランジスタ製造プロセスにおいてhigh-kゲート絶縁体を組み入れる方法が記載された。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による、例示的なトランジスタゲートスタックを含む構造の断面図。
【図2】本発明の一実施形態による、例示的な方法ステップに対応するフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上に位置するhigh-k誘電体層と、このhigh-k誘電体層上に位置するゲート電極層と、を含む基板(104)上に電界効果トランジスタを形成する方法であって、
前記基板(104)上に位置するhigh-k誘電体部(106)と、前記high-k誘電体部(106)上に位置するゲート電極部(108)とを含むゲートスタック(102)を形成するように、前記ゲート電極層および前記high-k誘電体層をエッチングするステップ(202)と、
前記ゲートスタック(102)上で窒化プロセスを実行するステップ(204)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ゲートスタック(102)上で窒化プロセスを実行するステップ(204)は、前記ゲートスタック(102)のサイドウォール(110)を窒化するように、窒素を含むプラズマを利用するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ゲートスタック(102)上で窒化プロセスを実行するステップ(204)により、窒素が前記high-k誘電体部(106)に入り込み、前記窒素が前記high-k誘電体部(106)中に酸素拡散バリアを形成する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
基板(104)上に位置するhigh-k誘電体部(106)と、前記high-k誘電体部(106)上に位置するゲート電極部(108)とを含むゲートスタック(102)を形成するように、前記ゲート電極層および前記high-k誘電体層をエッチングするステップ(202)を含む、その上に位置するhigh-k誘電体層と、このhigh-k誘電体層上に位置するゲート電極層と、を含む基板(104)上に電界効果トランジスタを形成する方法であって、
前記ゲートスタック(102)上で窒化プロセスを実行するステップ(204)によって特徴づけられる、
方法。
【請求項5】
前記ゲートスタック(102)上で窒化プロセスを実行するステップ(204)は、前記ゲートスタック(102)のサイドウォール(110)を窒化するように、窒素を含むプラズマを利用するステップを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記ゲートスタック(102)上で窒化プロセスを実行するステップ(204)により、窒素が前記high-k誘電体部(106)に入り込み、前記窒素が前記high-k誘電体部(106)中に酸素拡散バリアを形成する、請求項4記載の方法。
【請求項7】
その上に位置するhigh-k誘電体層と、このhigh-k誘電体層上に位置するゲート電極層と、を含む基板(104)上に電界効果トランジスタを形成する方法であって、
前記基板(104)上に位置するhigh-k誘電体部(106)と、前記high-k誘電体部(106)上に位置するゲート電極部(108)と、サイドウォール(110)とを含むゲートスタック(102)を形成するように、前記ゲート電極層および前記high-k誘電体層をエッチングするステップ(202)と、
前記ゲートスタック(102)のサイドウォール(110)を窒化するように、窒素を含むプラズマを利用するステップ(204)と、
を含む、方法。
【請求項8】
前記ゲートスタック(102)のサイドウォール(110)を窒化するように、窒素を含むプラズマを利用するステップ(204)により、窒素が前記high-k誘電体部(106)に入り込み、前記窒素が前記high-k誘電体部(106)中に酸素拡散バリアを形成する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記ゲートスタック(102)を形成するように、前記ゲート電極層および前記high-k誘電体層をエッチングするステップ(202)は、前記ゲートスタック(102)のサイドウォール(110)を窒化するように、窒素を含むプラズマを利用するステップ(204)を実行するのに利用されるプロセスチャンバにおいて実行される、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記ゲートスタック(102)を形成するように、前記ゲート電極層および前記high-k誘電体層をエッチングするステップ(202)は、第1プロセスチャンバにおいて実行され、前記ゲートスタック(102)のサイドウォール(110)を窒化するように、窒素を含むプラズマを利用するステップ(204)は、第2プロセスチャンバにおいて実行される、請求項7記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511086(P2007−511086A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539497(P2006−539497)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/033411
【国際公開番号】WO2005/048333
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(591016172)アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド (439)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
【Fターム(参考)】