トルクリミッタを備えた破砕装置の制御装置
【課題】破砕ロータのトルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートに滑りを発生させることで、変速機構及び駆動機に過大な負荷がかかることを回避できる破砕装置に対して、破砕ロータが駆動している間は、加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを所定圧で確実に圧接した状態に維持でき、摩擦プレートと加圧プレートの発熱による焼き付きや摩耗による破損の虞を低減できる破砕装置の制御装置を提供する。
【解決手段】
制御装置1は、破砕ロータ5のトルクが設定トルク以上になると摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りを発生させるトルクリミッタ20を備えた制御装置100に対して、起動時に加圧機構26を作動して摩擦プレート21と加圧プレート22を圧接した後に電動機Mを始動し、停止時に電動機Mを停止した後に加圧機構26を停止する。
【解決手段】
制御装置1は、破砕ロータ5のトルクが設定トルク以上になると摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りを発生させるトルクリミッタ20を備えた制御装置100に対して、起動時に加圧機構26を作動して摩擦プレート21と加圧プレート22を圧接した後に電動機Mを始動し、停止時に電動機Mを停止した後に加圧機構26を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクリミッタを備えた破砕装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、破砕装置は、駆動機の動力により所定軸心周りに回転する破砕ロータの周囲に固定された回転刃と、破砕ロータの回転軸心に沿って対向配置された固定刃で構成された破砕処理部を備え、電化製品、建築廃材、プラスチックなどの被破砕物を破砕するように構成されている。
【0003】
このような破砕装置では、破砕処理部の回転刃と固定刃で破砕できない硬さや大きさの異物が被破砕物に混入することがあり、異物が混入した場合は、回転刃と固定刃が破損したり、駆動機から破砕ロータに動力を伝達する変速機構や駆動機に過大な負荷がかかり破損したりする虞があった。
【0004】
そこで、破砕ロータから過大な負荷を変速機構や駆動機に伝達しないように破砕ロータと変速機構を接続するカップリング部にトルクリミッタを設けることが考えられる。例えば、破砕ロータの回転軸の一端に備えた第一部材と、変速機構の動力の出力軸に備えた第二部材を、複数のピンで接続したようなトルクリミッタが考えられる。
【0005】
当該トルクリミッタは、変速機構の出力軸と、破砕ロータの回転軸との相対的な回転トルクの差がピンのせん断強度以上になると前記ピンが破断し、破砕ロータの回転軸に動力を伝達しないように構成される。
【0006】
このようなトルクリミッタを備えることで、被破砕物への異物の混入による回転刃と固定刃、変速機構、駆動機等の破損を防ぐことができるが、復旧するには、第一部材と第二部材を新たなピンで接続しなおす作業を要し、煩雑である。
【0007】
また、特許文献1には、図12に示すように、駆動機の動力により所定軸心周りに回転する破砕ロータ90の周囲に固定された回転刃91、回転刃91と協働して被破砕物をせん断し破砕ロータ90の軸と平行な軸を回転中心として回転し得るように支持された固定刃92と、固定刃92を任意に設定した限界トルクが加わらない状態では固定刃92を固定支持し、且つ前記限界トルクが加わると受け刃を回転させるトルクリミッタ93を備え、回転刃91と固定刃92の間にこれらではせん断できない異物が挟まった場合は、固定刃92が回転し過大な負荷を逃がすことができる破砕装置が提案されている。
【0008】
トルクリミッタ93は、固定刃92と一体に固定されたクラッチ板94と、クラッチ板94と圧接されるクラッチ板95と、クラッチ板94,95を圧接する皿ばね96及び皿ばね96による圧接力を調整する調整ナット97で構成され、調整ナット97の締め具合により2枚のクラッチ板94,95が相対的に回転する限界トルクを調整できるように構成されている。
【0009】
前記限界トルクを被破砕物のせん断に必要な最大トルクとほぼ同じ程度の値に設定しておけば、回転刃91と固定刃92とで被破砕物をせん断している状態では、固定刃にかかる負荷がトルクリミッタ93の限界トルクを超えることはないので、受け刃の姿勢が崩されることはない。
【0010】
そして回転刃91と固定刃92とでせん断できない異物がこれらの間に挟まった場合は、固定刃92にトルクリミッタ93の限界トルクを超える過大な負荷が加わるので、固定刃92は回転刃91に押されるように回転してその負荷を逃がし、その際に駆動機を停止して破砕ロータの回転を停止し、回転刃91と固定刃92の破損を回避するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−79129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述の特許文献1に記載のような破砕装置では、回転刃91と固定刃92とでせん断できない小さな異物がこれらの間に挟まった場合は、固定刃92は回転刃91に押されるように回転してその負荷を逃がすことができるが、回転した固定刃92を元の姿勢に復旧する作業が必要であり煩雑であった。
【0013】
また、大きな異物だと固定刃92が回転しても回転刃91と固定刃92の間に挟まったままの状態になる場合がある。その際、駆動機を停止しても破砕ロータは慣性でしばらく回り続けようとするため、変速装置や駆動機そのものに過大な負荷がかかり破損する虞があった。
【0014】
本発明は、上述した問題点に鑑み、破砕ロータのトルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートに滑りを発生させることで、変速機構及び駆動機に過大な負荷がかかることを回避できる破砕装置に対して、破砕ロータが駆動している間は、加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを所定圧で確実に圧接した状態に維持でき、摩擦プレートと加圧プレートの発熱による焼き付きや摩耗による破損の虞を低減できる破砕装置の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するため、本発明による制御装置の第一特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載したとおり、破砕ロータに固定された回転刃と回転刃に対向配置された固定刃が協働して被破砕物を破砕する破砕処理部と、駆動機からの動力を破砕ロータに伝達する変速機構と、駆動機と破砕ロータの間に設けられ、加圧機構により圧接された摩擦プレートと加圧プレートを介して動力を破砕ロータに伝達し、破砕ロータのトルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートに滑りを発生させるトルクリミッタと、を備えた破砕装置に対して、起動時に加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを圧接した後に駆動機を始動し、停止時に駆動機を停止した後に加圧機構を停止する点にある。
【0016】
上述の構成によれば、トルクリミッタを駆動機と破砕ロータとの間に組み込むことで、破砕ロータの要求トルクがトルクリミッタの設定トルク以上になると、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生し、駆動機からの設定トルク以上の動力を破砕ロータに伝達することを抑制できる。これにより、駆動機に異常な負荷がかかり破損する虞を回避できる。破砕ロータの要求トルクがトルクリミッタの設定トルクより小になると、摩擦プレートと加圧プレートの滑りがなくなり、駆動機の動力が破砕ロータに伝達される。
【0017】
このように、破砕ロータのトルクが設定トルク以上であるか否かのみにより駆動機の動力の伝達、伝達抑制を自動で切り替えることができ、復旧作業が不要となる。さらに、加圧機構による摩擦プレートと加圧プレートの圧接力を変えることで、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生するトルクを簡便に調節できる。
【0018】
破砕装置の起動時には加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを確実に圧接した後に駆動機を始動し、停止時には駆動機を停止した後に加圧機構を停止するように構成されているため、破砕装置の起動中は、常に摩擦プレートと加圧プレートが所定の加圧状態にあり、回転刃と固定刃とが異物を噛み込み、破砕ロータのトルクが設定トルク以上になる状況が発生しない限り、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生することなく、発熱による焼き付きや摩耗による破損を低減できる。
【0019】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載したとおり、上述の第一特徴構成に加えて、起動時に加圧機構による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると駆動機の始動を禁止する点にある。
【0020】
上述の構成によれば、トルクリミッタの摩擦プレートと加圧プレートが所定の加圧状態から逸脱していると駆動機は始動しないので、摩擦プレートと加圧プレートの加圧が不十分な状態での運転を防止でき、摩擦プレートと加圧プレートの加圧状態が不十分である状態での運転を防止でき、発熱による焼き付きや摩耗による破損を低減できる。
【0021】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載したとおり、上述の第一または第二特徴構成に加えて、起動後に加圧機構による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると駆動機を停止する点にある。
【0022】
上述の構成によれば、トルクリミッタ作動時に、トルクリミッタの摩擦プレートと加圧プレートの加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると、駆動機は停止するので、摩擦プレートと加圧プレートの加圧状態が不十分である状態での運転を防止でき、発熱による焼き付きや摩耗による破損を低減できる。
【0023】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載したとおり、上述の第二または三特徴構成に加えて、破砕処理部に被破砕物を押圧するプッシャ機構を備え、所定流量の作動油を供給する調圧機構からプッシャ機構を前進後退駆動する切換弁を介して作動油を供給する第一油路に、加圧機構に作動油を供給する第二油路を分岐接続し、第二油路に加圧機構へ供給される作動油の圧力を調整する減圧弁を設けるとともに、減圧弁の下流側に加圧状態を検知する圧力センサを備えた油圧回路を破砕装置に備え、圧力センサの出力に基づいて加圧機構による加圧状態を検知する点にある。
【0024】
上述の構成によれば、トルクリミッタの加圧機構の作動油を、プッシャ機構を前進後退駆動するための作動油を供給する油圧回路から供給することができるため、別途トルクリミッタの加圧機構用の油圧回路を備える必要がなくなり、コストの低減が図れる。加圧機構へ供給される作動油の第二油路に、当該第二油路を流れる作動油の圧力を調整する減圧弁を設けることで、加圧機構に供給される作動油の圧力を調整でき、当該減圧弁の下流側に加圧状態を検知する圧力センサの出力に基づいて、摩擦プレートと加圧プレートの加圧状態を検知することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したとおり、本発明によれば、破砕ロータのトルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートに滑りを発生させることで、変速機構及び駆動機に過大な負荷がかかることを回避できる破砕装置に対して、破砕ロータが駆動している間は、加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを所定圧で確実に圧接した状態に維持でき、摩擦プレートと加圧プレートの発熱による焼き付きや摩耗による破損の虞を低減できる破砕装置の制御装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】破砕装置の概略図
【図2】破砕装置の側面図
【図3】破砕装置の平面図
【図4】変速装置の平断面図
【図5】トルクリミッタの要部の説明図
【図6】本発明による変速装置の側面図
【図7】(a)はトルクリミッタによる動力の伝達抑制の説明図、(b)はトルクリミッタによる動力伝達の説明図
【図8】油圧回路の説明図
【図9】制御装置の説明図
【図10】破砕装置の起動制御のフローチャート
【図11】破砕装置の停止制御のフローチャート
【図12】従来の破砕装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明による破砕装置の好ましい実施形態を説明する。
図1から図3に示すように、破砕装置1は、電化製品、建築廃材、プラスチックなどの被破砕物を投入する受入ホッパ2と、受入ホッパ2に投入された被破砕物を破砕処理する破砕処理部10と、破砕処理部10に向けて水平方向から被破砕物を押圧するプッシャ機構を備え、当該破砕装置1は、後述する制御装置100によって運転を制御されている。
【0028】
プッシャ機構は、後述する油圧回路60に備えられた油圧ポンプ52から供給される作動油により前進後退駆動する油圧シリンダ3bのピストンに連結されたアーム3aが押込プッシャ3の後端に連結され、台盤4上を水平方向に前進後退駆動して、被破砕物を破砕処理部10に向けて押圧するように構成されている。
【0029】
破砕処理部10は、受入ホッパ2の下方に配置され、所定の軸心周りに回転する破砕ロータ5の周面に周方向に形成された溝部に固定された先端v字状の回転刃6と、破砕ロータ5の回転軸5c方向に沿って対向配置され、回転刃6と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端v字状の固定刃7とで構成されている。
【0030】
破砕ロータ5の周部には所定のピッチで互いに平行な多数のv字状の溝5vが形成され、この溝5v内に形成された複数個の取付座6bの夫々に刃体6aがボルトで締着されている。それぞれの回転刃6は、隣り合うv字溝5vに設けられているもの同士がその頂点を連ねるとジグザグ状になるように配置されている。固定刃7は、先端v字状の刃体7aが破砕ロータ5の軸心方向に沿って台盤4の端部に設けられた取付座7bにボルトで締着されている。
【0031】
破砕処理部10の下部には、回転刃6と固定刃7により所定サイズ以下に破砕された被破砕物を選択的に通過させるスクリーン機構8と、スクリーン機構8を通過した被破砕物を受け止める排出ホッパ9が設けられている。
【0032】
スクリーン機構8は、回転刃6の回転軌跡に沿った弧状に湾曲形成され、多数の開孔が形成されたパンチングメタルで構成され、破砕処理部10で破砕された被破砕物のうちスクリーン機構8の開孔より小さく破砕された被破砕物が、前記開孔から落下して排出ホッパ9に収容され、前記開孔を通らなかったものは、再び回転刃6と固定刃7で破砕される。
【0033】
駆動機としての電動機Mは破砕装置1下部の架台に固定され、変速機構としての減速機構30は本体フレーム11の一側部11aに組み付けた支持体の一例としての取付架台12aに固定されている。電動機Mの出力軸に取り付けられたプーリ13と、減速機構30の入力軸31に取り付けられたプーリ15はvベルト14により連結され、電動機Mの動力は、減速機構30により所定の回転速度に変速されて出力軸37から出力され破砕ロータ5の回転軸5cに伝達されるように構成されている。
【0034】
尚、電動機Mの出力軸と減速機構30の入力軸31を、プーリ13,15を介してvベルト14で連結せずに、カップリングで連結してもよい。
【0035】
図4に示すように、減速機構30は電動機Mからの動力が伝達される入力軸31と、破砕ロータ5へ動力を伝達する出力軸37と、入力軸31から出力軸37へ動力を伝達する複数段のギア機構と、トルクリミッタ20を備えている。
【0036】
前記複数段のギア機構は、入力軸31の周面に形成された第一ギア32と、第一ギア32と噛合する第二ギア33と、第二ギア33に挿通された回転軸34と、回転軸34の周面に形成された第三ギア35と、第三ギア35と噛合する第四ギア36で構成されている。第四ギア36は、中央に開孔が形成され軸受38を介して出力軸37に嵌挿され、第四ギア36の動力が出力軸37に直接伝達されないように構成されている。
【0037】
入力軸31は、ケーシング39の内壁に固定された軸受40,41で支持され、回転軸34の両端は軸受42,43で支持され、出力軸37の両端は軸受44,45で支持されている。
【0038】
トルクリミッタ20は、両面に摩擦材が貼り付けられ、回転軸34からの伝達動力で回転する環状の摩擦プレート21と、摩擦プレート21との摩擦力で出力軸37に動力伝達する環状の加圧プレート22とが、出力軸37の軸心周りに配置され、加圧機構26により摩擦プレート21と加圧プレート22は所定の圧力で圧接され、出力軸37側のトルクが設定トルク以上になると摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りが発生し、設定トルク未満になると摩擦プレート21と加圧プレート22が一体に回転して出力軸37に動力伝達されるように構成されている。
【0039】
図5に示すように、第四ギア36の一側面には複数枚の摩擦プレート21と加圧プレート22及び加圧プレート22の支持部23を収容可能な環状凹部36aが形成され、支持部23は複数の加圧プレート22と摩擦プレート21を交互に整列配置した状態で保持するストッパ25と、摩擦プレート21と加圧プレート22を出力軸37の軸心に平行な方向に所定の圧力で圧接する加圧機構26を備えている。
【0040】
摩擦プレート21は、内周側に歯部21aが形成され、環状凹部の側壁に形成された溝部36bとスプライン結合されることで、第四ギア36に対して相対回転不可かつ出力軸37の軸心方向には移動可能となっている。
【0041】
加圧プレート22は、外周側に歯部22aが形成され、支持部23の側壁に形成された溝部23aとスプライン結合されることで、支持部23に対して相対回転不可かつ出力軸37の軸心方向に移動可能となっている。
【0042】
支持部23は、中央に出力軸37を挿嵌可能な開孔が形成され、内周側に溝部23cが形成され、出力軸37の周囲に形成された溝部37cと噛み合い一体となって回転するように構成されている。
【0043】
加圧機構26は、支持部23に形成された環状のシリンダ部と、前記シリンダ部内に配置され出力軸37の軸心と平行な方向に移動可能に環状のピストン26aとピストン26aを軸心方向に作動する作動油を注入する油圧室26bとで構成されている。
【0044】
ピストン26aの周面には、周面に沿って溝が設けられ、当該溝にシール部材26c,26dが挿入されている。これらのシール部材26c,26dにより油圧室26bが油密保持されている。
【0045】
出力軸37は、破砕ロータ5の回転軸5cを嵌入支持する中空軸で構成され、出力軸37の中空部に形成されたキー溝37hと回転軸5cの端部に形成されたキー溝とがキー連結されるように構成されている。
【0046】
出力軸37の周部には加圧機構26の油圧室26aに作動油を供給する作動油路37aが軸心と平行な方向に沿って形成されている。トルクリミッタ20の外部から作動油路37aを経て油圧室26b内に作動油が供給され、ピストン26aを出力軸37の軸心と平行な方向に移動させることで加圧プレート22と摩擦プレート21を圧接することとなる。
【0047】
さらに出力軸37には、環状凹部36aの内側側壁と支持部23の間隙27から摩擦プレート21と加圧プレート22の接合部に冷却油を供給する冷却油路37bが形成されている。尚、供給された冷却油は摩擦プレート21と加圧プレート22の外周縁からケーシング39内に漏れ、ギア機構の潤滑油として使用されるように構成されている。
【0048】
作動油及び冷却油は、それぞれケーシング39に備えた給油口37d,37eから供給される。出力軸37は、ケーシング39に対して相対回転するので、作動油路37a及び冷却油路37bに作動油及び冷却油を供給するために、出力軸37の全周に亘って給油溝37f,37gが形成してある。供給口37d,37eから供給された作動油及び冷却油は、それぞれ給油溝37f,37gから作動油路37a及び冷却油路37bに供給される。
【0049】
尚、トルクリミッタ20は、摩擦プレートと加圧プレートを離間させるバネ等の圧接解除機構を備えていないため、加圧機構へ作動油の供給を停止しても摩擦プレートと加圧プレートには適当な摩擦力が働いた状態が維持される。上述のようなトルクリミッタ20を破砕装置の動力伝達制御装置に採用することで次のような利点がある。
【0050】
回転刃6の刃体6aを交換する際には、押込プッシャ3の油圧シリンダ3bへ作動油の供給を停止し、電動機Mを停止する。これにより、トルクリミッタ20への作動油の供給が停止され、加圧機構26は摩擦プレート21と加圧プレート22を加圧しなくなる。
【0051】
この状態で破砕ロータ5を回転させて回転刃6の刃体6aを交換する場合に、破砕ロータ5は重量物であるため、直接手動で回転させることは困難である。しかし、摩擦プレート21と加圧プレート22には適当な摩擦力が働いたままなので、減速機構30の入力軸31を回転させると、入力軸31の回転が出力軸37に伝達され、破砕ロータ5を容易に回転させることができる。
【0052】
ケーシング39は、図6に示すように、上縁部39aと下縁部39bが中心線CLに対して対称で、且つ、一端側39cから他端側39dに間隔が次第に狭まるように形成され、当該中心線CL上に入力段の第一ギア32の軸心、つまり入力軸31の軸心と、回転軸34の軸心と、出力段の第四ギア36の軸心、つまり出力軸37の軸心が位置する形状で構成されている。
【0053】
ケーシング39の一端側39c及び他端側39dが、外方に向けた凸状の曲面で上縁部39a及び下縁部39bの端部より内側に連なるように形成され、上縁部39a及び下縁部39bの端部近傍に、当該減速機構30を取付架台12aに取り付ける取付部46が形成され、当該取付部46にボルト孔が形成されている。
【0054】
図4に示すように、ケーシング39の外部にはオイルポンプ70が備えられている。オイルポンプ70は電動機Mからの動力で回転駆動し、減速機構30のケーシング39内に充填された潤滑油を冷却油としてトルクリミッタ20に循環供給するように構成されている。オイルポンプ70は、ケーシング39側面に形成した排出口から吸込み、給油配管48を介して給油口37eへと循環供給して、摩擦プレート21と加圧プレート22の冷却をする。
【0055】
オイルポンプは必ずしもケーシング39に固設する必要はないが、動力コストの低減の観点から入力軸31の回転を動力源とするトロコイドポンプや、プランジャポンプが好ましい。
【0056】
トロコイドポンプを採用する場合は、入力軸31に固定されたインナーギアと、アウターロータの内部で回転させることで吸入と吐出の工程を繰り返すように構成すればよく、プランジャポンプを採用する場合は、入力軸31に固定されたカムとケーシング39との相対回転により、吸入と吐出の工程を繰り返すように構成すればよい。何れにせよケーシング39内に溜まった油を冷却油として冷却油路37bに循環させて、摩擦プレート21と加圧プレート22に供給できればよい。
【0057】
尚、ケーシング39内の油の排出口はケーシング39側面の適当な位置に設ければよく、吸込口から冷却油路37bまでの給油配管48には、油中のゴミの除去をするためのフィルタ61、その他冷却機、逆止弁等を適宜備えて構成すればよく、オイルポンプ70の動力源も入力軸31に限らず、回転軸34や、出力軸37であってもよい。
【0058】
尚、油圧回路60の作動油は加圧機構26からケーシング39内に漏れ、トルクリミッタ20の冷却油や減速機構30の潤滑油として使用され、ケーシング39内の潤滑油を所定の液位で排出する戻し流路49により、ケーシング39内の余剰オイルを油圧回路60のオイルタンク59に帰還させるように構成されている。戻し流路49には、油中のゴミがオイルタンク59に流入することを防止するためのフィルタ62が備えられている。
【0059】
破砕ロータ5の回転軸5cの一端側が、減速機構30の出力軸37に嵌装され、他端側が本体フレーム11の他側部に組み付けた取付架台12bに装着された軸受16で支持されている。
【0060】
このように、減速機構30を取付架台12aに固定することにより、減速機構30用の支持体を別途備える必要がなくなり設置スペースが小さくなり、且つ、減速機構30の出力軸37と破砕ロータ5の回転軸5cの位置出しが容易に行なえるようになる。しかも、出力軸37に破砕ロータ5の回転軸5cの一端側を嵌装して、当該回転軸5cを減速機構30の軸受45で支持できるので、軸受の個数を減らすことで部品点数の低減が図れる。
【0061】
減速機構30は中心線CLに対して上縁部39a側と下縁部39b側が対称の形状であるので、中心線CL周りに180度回転させ、上縁部39aを底面とし取付架台12aに取り付けることができるため、本体フレーム11の何れの側部にでも設けることができる。
【0062】
以上のように、トルクリミッタ20を減速機構30または減速機構30と破砕ロータ5との間に組み込むことで、出力軸37側を回転させるのに必要なトルクがトルクリミッタの設定トルク以上の場合は、図7(a)に示すように、摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りが発生し、電動機Mからの設定トルク以上の動力を破砕ロータ5に伝達することを抑制できる。
【0063】
よって、回転刃6と固定刃7が異物を噛み込んでも、減速機構30に異常な負荷がかかり破損したり、電動機Mの負荷が増大して電動機Mを破損したりする虞を回避できる。
【0064】
出力軸37側を回転させるのに必要なトルクがトルクリミッタの設定トルクよりより小さい場合は、図7(b)に示すように、摩擦プレート21と加圧プレート22が加圧機構26により圧接され、電動機Mの動力が破砕ロータ5に伝達される。
【0065】
このように、破砕ロータ5側の要求トルクの第四ギア36側の出力トルクに対する大小のみで電動機Mから動力の伝達、伝達抑制を自動で切り替えることができるので、復旧作業が不要となる。さらに、加圧機構26による摩擦プレート21と加圧プレート22の圧接力を変えることで、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生するトルクを簡便に調節できる。
【0066】
以下に、破砕装置1の油圧回路60及び制御装置100について説明する。図8に示すように、破砕装置1の油圧回路60は、所定流量の作動油を供給する油圧ポンプ52と、油圧ポンプ52が出力する作動油の圧力を調整する調圧機構57と、油圧ポンプ52から供給される作動油を押込プッシャ3の油圧シリンダ3bに供給する第一油路としての供給配管51と、供給配管51に設置され押込プッシャ3の前進後退駆動を切り換える4ポート3位置方向制御弁である切換弁53と、切換弁53の上流側にシーケンス弁54が備えられ、切換弁53の下流側にリリーフバルブ63が備えられている。シーケンス弁54は、後述する供給配管47の減圧弁50へ供給される作動油を所定圧以上に維持するように構成されている。
【0067】
リリーフバルブ63は、油圧シリンダ3bの前進中に破砕処理部10に大きな異物が投入されるなどして押込プッシャ3に大きな負荷がかかり、供給配管51内の圧力が所定の圧力以上になると開き、油圧ポンプ52から供給される作動油をオイルタンク59へ逃がし、油圧回路60を保護するように構成されている。
【0068】
さらに、油圧回路60は、供給配管51から分岐接続され加圧機構26に作動油を供給する第二油路としての供給配管47を備えている。供給配管47には設置され加圧機構26へ供給される作動油の圧力を調整する減圧弁50と、減圧弁50の下流側に設置され加圧機構26の加圧状態を検知する圧力センサ56と、加圧機構26による摩擦プレート21と加圧プレート22の加圧状態を切り換える4ポート2位置方向制御弁である切換弁58と、押込プッシャ3の前進後退駆動の切換の際の調圧機構57により油圧ポンプ52のアンロード運転の際に加圧機構26へ供給される供給配管51内の作動油の圧力低下を補償するアキュムレータ55を備えている。
【0069】
油圧ポンプ52は、電磁式2圧2容量制御形のピストンポンプであり、切換弁53の動作に応じて、調圧機構57を制御することで低圧大流量と高圧小流量の吐出を行い、押込プッシャ3を前進後退駆動させるように構成されている。
【0070】
破砕装置1の制御装置100は、図9に示すように、起動スイッチS1と停止スイッチS2から信号と、押込プッシャ3の油圧シリンダ3bに備えられた前進スイッチS3及び後退スイッチS4の信号と、供給配管47に備えられた圧力センサ56の信号が入力され、電動機Mを起動停止制御したり、供給配管47,51に作動油を供給する油圧ポンプ52に起動停止制御したり、油圧ポンプ52の調圧機構57を制御したり、押込プッシャ3の前進後退制御のための切換弁53,加圧機構26の切換弁58を制御するように構成されている。
【0071】
尚、制御装置100は、破砕装置1内部に備えてもよく、破砕装置1外部の制御盤等の内部に備えてもよい。
【0072】
破砕装置1の起動時は、起動スイッチS1の入力に基づいて、油圧ポンプ52を起動し切換弁58を制御し加圧機構26を作動して摩擦プレート21と加圧プレート22を圧接した後に電動機Mを始動し、切換弁53を制御し押込みプッシャ3の前進後退駆動を開始する。
【0073】
停止時は、切換弁53を制御し押込プッシャ3の作動を停止し、電動機Mを停止し、その後に切換弁58を制御し加圧機構26を停止するように構成されている。
【0074】
さらに制御装置100は、起動時に圧力センサ56の出力に基づいて加圧機構26による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると電動機Mの始動を禁止し、起動後に圧力センサ56の出力に基づいて加圧機構26による加圧状態による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると電動機Mを停止するように構成されている。
【0075】
図10に示すフローチャートに基づいて破砕装置1の起動制御を説明する。制御装置100は、起動スイッチS1がONになると(SA1)、油圧回路に作動油を供給するため、油圧ポンプ52を起動する(SA2)。次に、トルクリミッタ20を作動させるために、切換弁58を制御し、トルクリミッタ20の加圧機構26に作動油の供給が開始される(SA3)。
【0076】
油圧センサ56が検知する供給配管47内の圧力が所定の圧力になると(SA3でYES)、トルクリミッタ20は動力の伝達が可能な状態であるので、破砕ロータ5を回転させるために電動機Mを始動する(SA5)。
【0077】
電動機Mの動力により破砕ロータ5が回転すると、切換弁53を制御し押込プッシャ3を前進駆動する(SA6)。ここで、油圧センサ56が検知する供給配管47内の圧力が所定の圧力であれば(SA7でYES)、前進リミットスイッチS3がONされるまで(SA8でNO)、押込プッシャ3の前進駆動を続ける。
【0078】
前進リミットスイッチS3がONされると(SA8でYES)、切換弁53を制御し、押込プッシャ3を後退駆動する(SA9)。ここで、油圧センサ56が検知する供給配管47内の圧力が所定の圧力であれば(SA10でYES)、後退リミットスイッチS3がONされるまで(SA11でNO)、押込プッシャ3の後退駆動を続ける。後退リミットスイッチS3がONすると(SA11でYES)、切換弁53を制御し、再度押込プッシャ3を前進駆動する(SA6)。
【0079】
上述のステップSA4,SA7,SA10で油圧センサ56が検知する供給配管47内の圧力が所定の圧力でない場合、加圧機構26による摩擦プレート21と加圧プレート22が所定の加圧状態から逸脱しているので、電動機Mを停止し(SA12)、油圧ポンプ52を停止し(SA13)、異常が発生したことを通報して(SA14)、起動制御を終了する。
【0080】
次に、図11に示すフローチャートに基づいて破砕装置1の停止制御を説明する。制御装置100は、停止スイッチS2がONになると(SB1でYES)、切換弁53を制御し押込プッシャ3の駆動を停止し(SB2)、破砕ロータ5の回転を停止するために電動機Mを停止し(SB3)、トルクリミッタ20の摩擦プレート21と加圧プレート22の加圧状態を開放するために切換弁58を制御してトルクリミッタ20が動力を伝達しないようにし(SB4)、油圧回路に作動油を供給する油圧ポンプ52を停止して(SB5)、停止制御を終了する。
【0081】
以上のように、破砕装置1の起動時には加圧機構26を作動して摩擦プレート21と加圧プレート22を確実に圧接した後に電動機Mを始動し、停止時には電動機Mを停止した後に加圧機構26を停止するように構成されているため、破砕装置1の起動中は、常に摩擦プレート21と加圧プレート22が所定の加圧状態にあり、回転刃6と固定刃7で異物を噛み込み破砕ロータのトルクが設定トルク以上になる状況が発生しない限り、摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りが発生することなく、発熱による焼き付きや摩耗による破損を低減できる。
【0082】
上述した実施形態では、第四ギア36と出力軸37の間の軸受38について詳述しなかったが、破砕ロータ5に異物が噛み込む等によりトルクリミッタ20の摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りが発生するときに、軸受38は第四ギア36と出力軸37と摺動するので、価格と耐久性の観点から適当な滑り軸受や転がり軸受が採用される。例えば、固体潤滑剤分散型焼結複層軸受を好適に用いることができる。
【0083】
上述の実施形態では、第一ギア32及び第三ギア35は回転軸の周部に歯が形成された構成であるが、夫々の回転軸に挿通されるものであってもよい。尚、減速機構30が備えるギア数はこれに限らない。
【0084】
上述した実施形態では、出力軸側に備えられた加圧プレートを、出力段のギア側に備えられ、両面に摩擦材が貼り付けられた摩擦プレートに、加圧機構により圧接することで、出力段のギアから摩擦プレートに動力伝達され、加圧プレートから出力軸に動力伝達される構成を説明したが、出力段のギア側に備えられた加圧プレートを、出力軸側に備えられ、両面に摩擦材が貼り付けられた摩擦プレートに、加圧機構により圧接することで、出力段のギアから加圧プレートに動力伝達され、摩擦プレートから出力軸に動力伝達されるように構成してもよい。
【0085】
つまり、トルクリミッタは、環状の摩擦プレートと加圧プレートが動力被伝達軸の軸心周りに配置され、動力伝達軸からの伝達動力により摩擦プレートと加圧プレートの何れか一方が回転駆動され、他方が両プレートの摩擦力で回転駆動されて動力被伝達軸に動力伝達するように配置され、動力被伝達軸側の要求トルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートが滑り、設定トルク未満になると摩擦プレートと加圧プレートが一体に回転して動力被伝達軸に動力伝達されるように加圧プレートを摩擦プレートに圧接する加圧機構を備えた構成であればよい。
【0086】
何れにせよ、破砕ロータの動力が設定トルク以上になると、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生し、駆動機からの設定トルク以上の動力を破砕ロータに伝達することを抑制できる。これにより、変速機構のギアに異常な負荷がかかり破損する虞を回避できる。
【0087】
上述した実施形態では、減速機構30の内部にトルクリミッタ20を組み込む場合について説明したが、トルクリミッタ20を減速機構30の外部であって、出力軸37と破砕ロータ5の回転軸5cの間に備えて構成してもよく、さらに、変速機構として減速機構を例に説明したが、本発明の変速機構は増速機構にも適用可能である。
【0088】
上述した実施形態では、トルクリミッタ20がいわゆる湿式の多板式のトルクリミッタである場合について説明したが、摩擦プレートと加圧プレートの枚数は、電動機、変速機構、破砕ロータ等に応じて適宜選択される。また、その場合必ずしも複数枚用いる必要はなく単数枚でもよい。また、加圧機構による摩擦プレートと加圧プレートの加圧は油圧によるものに限らず、水圧、空気圧、バネ等により行ってもよく、さらに、トルクリミッタは乾式のトルクリミッタでもよい。
【0089】
上述した実施形態は、何れも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0090】
1:破砕装置
2:受入ホッパ
3:押込プッシャ
3b:油圧シリンダ
4:台盤
5:破砕ロータ
6:回転刃
7:固定刃
8:スクリーン機構
9:排出ホッパ
10:破砕処理部
11:本体フレーム
20:トルクリミッタ
21:摩擦プレート
22:加圧プレート
23:支持部
26:加圧機構
26a:ピストン
26b:油圧室
30:変速機構(減速機構)
31:入力軸
37:出力軸
40:軸受
47:第二油路(供給配管)
50:減圧弁
51:第一油路(供給配管)
52:油圧ポンプ
53:切換弁
55:アキュムレータ
56:圧力センサ
57:調圧機構
58:切換弁
100:制御装置
M:駆動機(電動機)
CL:中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクリミッタを備えた破砕装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、破砕装置は、駆動機の動力により所定軸心周りに回転する破砕ロータの周囲に固定された回転刃と、破砕ロータの回転軸心に沿って対向配置された固定刃で構成された破砕処理部を備え、電化製品、建築廃材、プラスチックなどの被破砕物を破砕するように構成されている。
【0003】
このような破砕装置では、破砕処理部の回転刃と固定刃で破砕できない硬さや大きさの異物が被破砕物に混入することがあり、異物が混入した場合は、回転刃と固定刃が破損したり、駆動機から破砕ロータに動力を伝達する変速機構や駆動機に過大な負荷がかかり破損したりする虞があった。
【0004】
そこで、破砕ロータから過大な負荷を変速機構や駆動機に伝達しないように破砕ロータと変速機構を接続するカップリング部にトルクリミッタを設けることが考えられる。例えば、破砕ロータの回転軸の一端に備えた第一部材と、変速機構の動力の出力軸に備えた第二部材を、複数のピンで接続したようなトルクリミッタが考えられる。
【0005】
当該トルクリミッタは、変速機構の出力軸と、破砕ロータの回転軸との相対的な回転トルクの差がピンのせん断強度以上になると前記ピンが破断し、破砕ロータの回転軸に動力を伝達しないように構成される。
【0006】
このようなトルクリミッタを備えることで、被破砕物への異物の混入による回転刃と固定刃、変速機構、駆動機等の破損を防ぐことができるが、復旧するには、第一部材と第二部材を新たなピンで接続しなおす作業を要し、煩雑である。
【0007】
また、特許文献1には、図12に示すように、駆動機の動力により所定軸心周りに回転する破砕ロータ90の周囲に固定された回転刃91、回転刃91と協働して被破砕物をせん断し破砕ロータ90の軸と平行な軸を回転中心として回転し得るように支持された固定刃92と、固定刃92を任意に設定した限界トルクが加わらない状態では固定刃92を固定支持し、且つ前記限界トルクが加わると受け刃を回転させるトルクリミッタ93を備え、回転刃91と固定刃92の間にこれらではせん断できない異物が挟まった場合は、固定刃92が回転し過大な負荷を逃がすことができる破砕装置が提案されている。
【0008】
トルクリミッタ93は、固定刃92と一体に固定されたクラッチ板94と、クラッチ板94と圧接されるクラッチ板95と、クラッチ板94,95を圧接する皿ばね96及び皿ばね96による圧接力を調整する調整ナット97で構成され、調整ナット97の締め具合により2枚のクラッチ板94,95が相対的に回転する限界トルクを調整できるように構成されている。
【0009】
前記限界トルクを被破砕物のせん断に必要な最大トルクとほぼ同じ程度の値に設定しておけば、回転刃91と固定刃92とで被破砕物をせん断している状態では、固定刃にかかる負荷がトルクリミッタ93の限界トルクを超えることはないので、受け刃の姿勢が崩されることはない。
【0010】
そして回転刃91と固定刃92とでせん断できない異物がこれらの間に挟まった場合は、固定刃92にトルクリミッタ93の限界トルクを超える過大な負荷が加わるので、固定刃92は回転刃91に押されるように回転してその負荷を逃がし、その際に駆動機を停止して破砕ロータの回転を停止し、回転刃91と固定刃92の破損を回避するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−79129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述の特許文献1に記載のような破砕装置では、回転刃91と固定刃92とでせん断できない小さな異物がこれらの間に挟まった場合は、固定刃92は回転刃91に押されるように回転してその負荷を逃がすことができるが、回転した固定刃92を元の姿勢に復旧する作業が必要であり煩雑であった。
【0013】
また、大きな異物だと固定刃92が回転しても回転刃91と固定刃92の間に挟まったままの状態になる場合がある。その際、駆動機を停止しても破砕ロータは慣性でしばらく回り続けようとするため、変速装置や駆動機そのものに過大な負荷がかかり破損する虞があった。
【0014】
本発明は、上述した問題点に鑑み、破砕ロータのトルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートに滑りを発生させることで、変速機構及び駆動機に過大な負荷がかかることを回避できる破砕装置に対して、破砕ロータが駆動している間は、加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを所定圧で確実に圧接した状態に維持でき、摩擦プレートと加圧プレートの発熱による焼き付きや摩耗による破損の虞を低減できる破砕装置の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するため、本発明による制御装置の第一特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載したとおり、破砕ロータに固定された回転刃と回転刃に対向配置された固定刃が協働して被破砕物を破砕する破砕処理部と、駆動機からの動力を破砕ロータに伝達する変速機構と、駆動機と破砕ロータの間に設けられ、加圧機構により圧接された摩擦プレートと加圧プレートを介して動力を破砕ロータに伝達し、破砕ロータのトルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートに滑りを発生させるトルクリミッタと、を備えた破砕装置に対して、起動時に加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを圧接した後に駆動機を始動し、停止時に駆動機を停止した後に加圧機構を停止する点にある。
【0016】
上述の構成によれば、トルクリミッタを駆動機と破砕ロータとの間に組み込むことで、破砕ロータの要求トルクがトルクリミッタの設定トルク以上になると、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生し、駆動機からの設定トルク以上の動力を破砕ロータに伝達することを抑制できる。これにより、駆動機に異常な負荷がかかり破損する虞を回避できる。破砕ロータの要求トルクがトルクリミッタの設定トルクより小になると、摩擦プレートと加圧プレートの滑りがなくなり、駆動機の動力が破砕ロータに伝達される。
【0017】
このように、破砕ロータのトルクが設定トルク以上であるか否かのみにより駆動機の動力の伝達、伝達抑制を自動で切り替えることができ、復旧作業が不要となる。さらに、加圧機構による摩擦プレートと加圧プレートの圧接力を変えることで、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生するトルクを簡便に調節できる。
【0018】
破砕装置の起動時には加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを確実に圧接した後に駆動機を始動し、停止時には駆動機を停止した後に加圧機構を停止するように構成されているため、破砕装置の起動中は、常に摩擦プレートと加圧プレートが所定の加圧状態にあり、回転刃と固定刃とが異物を噛み込み、破砕ロータのトルクが設定トルク以上になる状況が発生しない限り、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生することなく、発熱による焼き付きや摩耗による破損を低減できる。
【0019】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載したとおり、上述の第一特徴構成に加えて、起動時に加圧機構による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると駆動機の始動を禁止する点にある。
【0020】
上述の構成によれば、トルクリミッタの摩擦プレートと加圧プレートが所定の加圧状態から逸脱していると駆動機は始動しないので、摩擦プレートと加圧プレートの加圧が不十分な状態での運転を防止でき、摩擦プレートと加圧プレートの加圧状態が不十分である状態での運転を防止でき、発熱による焼き付きや摩耗による破損を低減できる。
【0021】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載したとおり、上述の第一または第二特徴構成に加えて、起動後に加圧機構による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると駆動機を停止する点にある。
【0022】
上述の構成によれば、トルクリミッタ作動時に、トルクリミッタの摩擦プレートと加圧プレートの加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると、駆動機は停止するので、摩擦プレートと加圧プレートの加圧状態が不十分である状態での運転を防止でき、発熱による焼き付きや摩耗による破損を低減できる。
【0023】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載したとおり、上述の第二または三特徴構成に加えて、破砕処理部に被破砕物を押圧するプッシャ機構を備え、所定流量の作動油を供給する調圧機構からプッシャ機構を前進後退駆動する切換弁を介して作動油を供給する第一油路に、加圧機構に作動油を供給する第二油路を分岐接続し、第二油路に加圧機構へ供給される作動油の圧力を調整する減圧弁を設けるとともに、減圧弁の下流側に加圧状態を検知する圧力センサを備えた油圧回路を破砕装置に備え、圧力センサの出力に基づいて加圧機構による加圧状態を検知する点にある。
【0024】
上述の構成によれば、トルクリミッタの加圧機構の作動油を、プッシャ機構を前進後退駆動するための作動油を供給する油圧回路から供給することができるため、別途トルクリミッタの加圧機構用の油圧回路を備える必要がなくなり、コストの低減が図れる。加圧機構へ供給される作動油の第二油路に、当該第二油路を流れる作動油の圧力を調整する減圧弁を設けることで、加圧機構に供給される作動油の圧力を調整でき、当該減圧弁の下流側に加圧状態を検知する圧力センサの出力に基づいて、摩擦プレートと加圧プレートの加圧状態を検知することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したとおり、本発明によれば、破砕ロータのトルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートに滑りを発生させることで、変速機構及び駆動機に過大な負荷がかかることを回避できる破砕装置に対して、破砕ロータが駆動している間は、加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを所定圧で確実に圧接した状態に維持でき、摩擦プレートと加圧プレートの発熱による焼き付きや摩耗による破損の虞を低減できる破砕装置の制御装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】破砕装置の概略図
【図2】破砕装置の側面図
【図3】破砕装置の平面図
【図4】変速装置の平断面図
【図5】トルクリミッタの要部の説明図
【図6】本発明による変速装置の側面図
【図7】(a)はトルクリミッタによる動力の伝達抑制の説明図、(b)はトルクリミッタによる動力伝達の説明図
【図8】油圧回路の説明図
【図9】制御装置の説明図
【図10】破砕装置の起動制御のフローチャート
【図11】破砕装置の停止制御のフローチャート
【図12】従来の破砕装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明による破砕装置の好ましい実施形態を説明する。
図1から図3に示すように、破砕装置1は、電化製品、建築廃材、プラスチックなどの被破砕物を投入する受入ホッパ2と、受入ホッパ2に投入された被破砕物を破砕処理する破砕処理部10と、破砕処理部10に向けて水平方向から被破砕物を押圧するプッシャ機構を備え、当該破砕装置1は、後述する制御装置100によって運転を制御されている。
【0028】
プッシャ機構は、後述する油圧回路60に備えられた油圧ポンプ52から供給される作動油により前進後退駆動する油圧シリンダ3bのピストンに連結されたアーム3aが押込プッシャ3の後端に連結され、台盤4上を水平方向に前進後退駆動して、被破砕物を破砕処理部10に向けて押圧するように構成されている。
【0029】
破砕処理部10は、受入ホッパ2の下方に配置され、所定の軸心周りに回転する破砕ロータ5の周面に周方向に形成された溝部に固定された先端v字状の回転刃6と、破砕ロータ5の回転軸5c方向に沿って対向配置され、回転刃6と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端v字状の固定刃7とで構成されている。
【0030】
破砕ロータ5の周部には所定のピッチで互いに平行な多数のv字状の溝5vが形成され、この溝5v内に形成された複数個の取付座6bの夫々に刃体6aがボルトで締着されている。それぞれの回転刃6は、隣り合うv字溝5vに設けられているもの同士がその頂点を連ねるとジグザグ状になるように配置されている。固定刃7は、先端v字状の刃体7aが破砕ロータ5の軸心方向に沿って台盤4の端部に設けられた取付座7bにボルトで締着されている。
【0031】
破砕処理部10の下部には、回転刃6と固定刃7により所定サイズ以下に破砕された被破砕物を選択的に通過させるスクリーン機構8と、スクリーン機構8を通過した被破砕物を受け止める排出ホッパ9が設けられている。
【0032】
スクリーン機構8は、回転刃6の回転軌跡に沿った弧状に湾曲形成され、多数の開孔が形成されたパンチングメタルで構成され、破砕処理部10で破砕された被破砕物のうちスクリーン機構8の開孔より小さく破砕された被破砕物が、前記開孔から落下して排出ホッパ9に収容され、前記開孔を通らなかったものは、再び回転刃6と固定刃7で破砕される。
【0033】
駆動機としての電動機Mは破砕装置1下部の架台に固定され、変速機構としての減速機構30は本体フレーム11の一側部11aに組み付けた支持体の一例としての取付架台12aに固定されている。電動機Mの出力軸に取り付けられたプーリ13と、減速機構30の入力軸31に取り付けられたプーリ15はvベルト14により連結され、電動機Mの動力は、減速機構30により所定の回転速度に変速されて出力軸37から出力され破砕ロータ5の回転軸5cに伝達されるように構成されている。
【0034】
尚、電動機Mの出力軸と減速機構30の入力軸31を、プーリ13,15を介してvベルト14で連結せずに、カップリングで連結してもよい。
【0035】
図4に示すように、減速機構30は電動機Mからの動力が伝達される入力軸31と、破砕ロータ5へ動力を伝達する出力軸37と、入力軸31から出力軸37へ動力を伝達する複数段のギア機構と、トルクリミッタ20を備えている。
【0036】
前記複数段のギア機構は、入力軸31の周面に形成された第一ギア32と、第一ギア32と噛合する第二ギア33と、第二ギア33に挿通された回転軸34と、回転軸34の周面に形成された第三ギア35と、第三ギア35と噛合する第四ギア36で構成されている。第四ギア36は、中央に開孔が形成され軸受38を介して出力軸37に嵌挿され、第四ギア36の動力が出力軸37に直接伝達されないように構成されている。
【0037】
入力軸31は、ケーシング39の内壁に固定された軸受40,41で支持され、回転軸34の両端は軸受42,43で支持され、出力軸37の両端は軸受44,45で支持されている。
【0038】
トルクリミッタ20は、両面に摩擦材が貼り付けられ、回転軸34からの伝達動力で回転する環状の摩擦プレート21と、摩擦プレート21との摩擦力で出力軸37に動力伝達する環状の加圧プレート22とが、出力軸37の軸心周りに配置され、加圧機構26により摩擦プレート21と加圧プレート22は所定の圧力で圧接され、出力軸37側のトルクが設定トルク以上になると摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りが発生し、設定トルク未満になると摩擦プレート21と加圧プレート22が一体に回転して出力軸37に動力伝達されるように構成されている。
【0039】
図5に示すように、第四ギア36の一側面には複数枚の摩擦プレート21と加圧プレート22及び加圧プレート22の支持部23を収容可能な環状凹部36aが形成され、支持部23は複数の加圧プレート22と摩擦プレート21を交互に整列配置した状態で保持するストッパ25と、摩擦プレート21と加圧プレート22を出力軸37の軸心に平行な方向に所定の圧力で圧接する加圧機構26を備えている。
【0040】
摩擦プレート21は、内周側に歯部21aが形成され、環状凹部の側壁に形成された溝部36bとスプライン結合されることで、第四ギア36に対して相対回転不可かつ出力軸37の軸心方向には移動可能となっている。
【0041】
加圧プレート22は、外周側に歯部22aが形成され、支持部23の側壁に形成された溝部23aとスプライン結合されることで、支持部23に対して相対回転不可かつ出力軸37の軸心方向に移動可能となっている。
【0042】
支持部23は、中央に出力軸37を挿嵌可能な開孔が形成され、内周側に溝部23cが形成され、出力軸37の周囲に形成された溝部37cと噛み合い一体となって回転するように構成されている。
【0043】
加圧機構26は、支持部23に形成された環状のシリンダ部と、前記シリンダ部内に配置され出力軸37の軸心と平行な方向に移動可能に環状のピストン26aとピストン26aを軸心方向に作動する作動油を注入する油圧室26bとで構成されている。
【0044】
ピストン26aの周面には、周面に沿って溝が設けられ、当該溝にシール部材26c,26dが挿入されている。これらのシール部材26c,26dにより油圧室26bが油密保持されている。
【0045】
出力軸37は、破砕ロータ5の回転軸5cを嵌入支持する中空軸で構成され、出力軸37の中空部に形成されたキー溝37hと回転軸5cの端部に形成されたキー溝とがキー連結されるように構成されている。
【0046】
出力軸37の周部には加圧機構26の油圧室26aに作動油を供給する作動油路37aが軸心と平行な方向に沿って形成されている。トルクリミッタ20の外部から作動油路37aを経て油圧室26b内に作動油が供給され、ピストン26aを出力軸37の軸心と平行な方向に移動させることで加圧プレート22と摩擦プレート21を圧接することとなる。
【0047】
さらに出力軸37には、環状凹部36aの内側側壁と支持部23の間隙27から摩擦プレート21と加圧プレート22の接合部に冷却油を供給する冷却油路37bが形成されている。尚、供給された冷却油は摩擦プレート21と加圧プレート22の外周縁からケーシング39内に漏れ、ギア機構の潤滑油として使用されるように構成されている。
【0048】
作動油及び冷却油は、それぞれケーシング39に備えた給油口37d,37eから供給される。出力軸37は、ケーシング39に対して相対回転するので、作動油路37a及び冷却油路37bに作動油及び冷却油を供給するために、出力軸37の全周に亘って給油溝37f,37gが形成してある。供給口37d,37eから供給された作動油及び冷却油は、それぞれ給油溝37f,37gから作動油路37a及び冷却油路37bに供給される。
【0049】
尚、トルクリミッタ20は、摩擦プレートと加圧プレートを離間させるバネ等の圧接解除機構を備えていないため、加圧機構へ作動油の供給を停止しても摩擦プレートと加圧プレートには適当な摩擦力が働いた状態が維持される。上述のようなトルクリミッタ20を破砕装置の動力伝達制御装置に採用することで次のような利点がある。
【0050】
回転刃6の刃体6aを交換する際には、押込プッシャ3の油圧シリンダ3bへ作動油の供給を停止し、電動機Mを停止する。これにより、トルクリミッタ20への作動油の供給が停止され、加圧機構26は摩擦プレート21と加圧プレート22を加圧しなくなる。
【0051】
この状態で破砕ロータ5を回転させて回転刃6の刃体6aを交換する場合に、破砕ロータ5は重量物であるため、直接手動で回転させることは困難である。しかし、摩擦プレート21と加圧プレート22には適当な摩擦力が働いたままなので、減速機構30の入力軸31を回転させると、入力軸31の回転が出力軸37に伝達され、破砕ロータ5を容易に回転させることができる。
【0052】
ケーシング39は、図6に示すように、上縁部39aと下縁部39bが中心線CLに対して対称で、且つ、一端側39cから他端側39dに間隔が次第に狭まるように形成され、当該中心線CL上に入力段の第一ギア32の軸心、つまり入力軸31の軸心と、回転軸34の軸心と、出力段の第四ギア36の軸心、つまり出力軸37の軸心が位置する形状で構成されている。
【0053】
ケーシング39の一端側39c及び他端側39dが、外方に向けた凸状の曲面で上縁部39a及び下縁部39bの端部より内側に連なるように形成され、上縁部39a及び下縁部39bの端部近傍に、当該減速機構30を取付架台12aに取り付ける取付部46が形成され、当該取付部46にボルト孔が形成されている。
【0054】
図4に示すように、ケーシング39の外部にはオイルポンプ70が備えられている。オイルポンプ70は電動機Mからの動力で回転駆動し、減速機構30のケーシング39内に充填された潤滑油を冷却油としてトルクリミッタ20に循環供給するように構成されている。オイルポンプ70は、ケーシング39側面に形成した排出口から吸込み、給油配管48を介して給油口37eへと循環供給して、摩擦プレート21と加圧プレート22の冷却をする。
【0055】
オイルポンプは必ずしもケーシング39に固設する必要はないが、動力コストの低減の観点から入力軸31の回転を動力源とするトロコイドポンプや、プランジャポンプが好ましい。
【0056】
トロコイドポンプを採用する場合は、入力軸31に固定されたインナーギアと、アウターロータの内部で回転させることで吸入と吐出の工程を繰り返すように構成すればよく、プランジャポンプを採用する場合は、入力軸31に固定されたカムとケーシング39との相対回転により、吸入と吐出の工程を繰り返すように構成すればよい。何れにせよケーシング39内に溜まった油を冷却油として冷却油路37bに循環させて、摩擦プレート21と加圧プレート22に供給できればよい。
【0057】
尚、ケーシング39内の油の排出口はケーシング39側面の適当な位置に設ければよく、吸込口から冷却油路37bまでの給油配管48には、油中のゴミの除去をするためのフィルタ61、その他冷却機、逆止弁等を適宜備えて構成すればよく、オイルポンプ70の動力源も入力軸31に限らず、回転軸34や、出力軸37であってもよい。
【0058】
尚、油圧回路60の作動油は加圧機構26からケーシング39内に漏れ、トルクリミッタ20の冷却油や減速機構30の潤滑油として使用され、ケーシング39内の潤滑油を所定の液位で排出する戻し流路49により、ケーシング39内の余剰オイルを油圧回路60のオイルタンク59に帰還させるように構成されている。戻し流路49には、油中のゴミがオイルタンク59に流入することを防止するためのフィルタ62が備えられている。
【0059】
破砕ロータ5の回転軸5cの一端側が、減速機構30の出力軸37に嵌装され、他端側が本体フレーム11の他側部に組み付けた取付架台12bに装着された軸受16で支持されている。
【0060】
このように、減速機構30を取付架台12aに固定することにより、減速機構30用の支持体を別途備える必要がなくなり設置スペースが小さくなり、且つ、減速機構30の出力軸37と破砕ロータ5の回転軸5cの位置出しが容易に行なえるようになる。しかも、出力軸37に破砕ロータ5の回転軸5cの一端側を嵌装して、当該回転軸5cを減速機構30の軸受45で支持できるので、軸受の個数を減らすことで部品点数の低減が図れる。
【0061】
減速機構30は中心線CLに対して上縁部39a側と下縁部39b側が対称の形状であるので、中心線CL周りに180度回転させ、上縁部39aを底面とし取付架台12aに取り付けることができるため、本体フレーム11の何れの側部にでも設けることができる。
【0062】
以上のように、トルクリミッタ20を減速機構30または減速機構30と破砕ロータ5との間に組み込むことで、出力軸37側を回転させるのに必要なトルクがトルクリミッタの設定トルク以上の場合は、図7(a)に示すように、摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りが発生し、電動機Mからの設定トルク以上の動力を破砕ロータ5に伝達することを抑制できる。
【0063】
よって、回転刃6と固定刃7が異物を噛み込んでも、減速機構30に異常な負荷がかかり破損したり、電動機Mの負荷が増大して電動機Mを破損したりする虞を回避できる。
【0064】
出力軸37側を回転させるのに必要なトルクがトルクリミッタの設定トルクよりより小さい場合は、図7(b)に示すように、摩擦プレート21と加圧プレート22が加圧機構26により圧接され、電動機Mの動力が破砕ロータ5に伝達される。
【0065】
このように、破砕ロータ5側の要求トルクの第四ギア36側の出力トルクに対する大小のみで電動機Mから動力の伝達、伝達抑制を自動で切り替えることができるので、復旧作業が不要となる。さらに、加圧機構26による摩擦プレート21と加圧プレート22の圧接力を変えることで、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生するトルクを簡便に調節できる。
【0066】
以下に、破砕装置1の油圧回路60及び制御装置100について説明する。図8に示すように、破砕装置1の油圧回路60は、所定流量の作動油を供給する油圧ポンプ52と、油圧ポンプ52が出力する作動油の圧力を調整する調圧機構57と、油圧ポンプ52から供給される作動油を押込プッシャ3の油圧シリンダ3bに供給する第一油路としての供給配管51と、供給配管51に設置され押込プッシャ3の前進後退駆動を切り換える4ポート3位置方向制御弁である切換弁53と、切換弁53の上流側にシーケンス弁54が備えられ、切換弁53の下流側にリリーフバルブ63が備えられている。シーケンス弁54は、後述する供給配管47の減圧弁50へ供給される作動油を所定圧以上に維持するように構成されている。
【0067】
リリーフバルブ63は、油圧シリンダ3bの前進中に破砕処理部10に大きな異物が投入されるなどして押込プッシャ3に大きな負荷がかかり、供給配管51内の圧力が所定の圧力以上になると開き、油圧ポンプ52から供給される作動油をオイルタンク59へ逃がし、油圧回路60を保護するように構成されている。
【0068】
さらに、油圧回路60は、供給配管51から分岐接続され加圧機構26に作動油を供給する第二油路としての供給配管47を備えている。供給配管47には設置され加圧機構26へ供給される作動油の圧力を調整する減圧弁50と、減圧弁50の下流側に設置され加圧機構26の加圧状態を検知する圧力センサ56と、加圧機構26による摩擦プレート21と加圧プレート22の加圧状態を切り換える4ポート2位置方向制御弁である切換弁58と、押込プッシャ3の前進後退駆動の切換の際の調圧機構57により油圧ポンプ52のアンロード運転の際に加圧機構26へ供給される供給配管51内の作動油の圧力低下を補償するアキュムレータ55を備えている。
【0069】
油圧ポンプ52は、電磁式2圧2容量制御形のピストンポンプであり、切換弁53の動作に応じて、調圧機構57を制御することで低圧大流量と高圧小流量の吐出を行い、押込プッシャ3を前進後退駆動させるように構成されている。
【0070】
破砕装置1の制御装置100は、図9に示すように、起動スイッチS1と停止スイッチS2から信号と、押込プッシャ3の油圧シリンダ3bに備えられた前進スイッチS3及び後退スイッチS4の信号と、供給配管47に備えられた圧力センサ56の信号が入力され、電動機Mを起動停止制御したり、供給配管47,51に作動油を供給する油圧ポンプ52に起動停止制御したり、油圧ポンプ52の調圧機構57を制御したり、押込プッシャ3の前進後退制御のための切換弁53,加圧機構26の切換弁58を制御するように構成されている。
【0071】
尚、制御装置100は、破砕装置1内部に備えてもよく、破砕装置1外部の制御盤等の内部に備えてもよい。
【0072】
破砕装置1の起動時は、起動スイッチS1の入力に基づいて、油圧ポンプ52を起動し切換弁58を制御し加圧機構26を作動して摩擦プレート21と加圧プレート22を圧接した後に電動機Mを始動し、切換弁53を制御し押込みプッシャ3の前進後退駆動を開始する。
【0073】
停止時は、切換弁53を制御し押込プッシャ3の作動を停止し、電動機Mを停止し、その後に切換弁58を制御し加圧機構26を停止するように構成されている。
【0074】
さらに制御装置100は、起動時に圧力センサ56の出力に基づいて加圧機構26による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると電動機Mの始動を禁止し、起動後に圧力センサ56の出力に基づいて加圧機構26による加圧状態による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると電動機Mを停止するように構成されている。
【0075】
図10に示すフローチャートに基づいて破砕装置1の起動制御を説明する。制御装置100は、起動スイッチS1がONになると(SA1)、油圧回路に作動油を供給するため、油圧ポンプ52を起動する(SA2)。次に、トルクリミッタ20を作動させるために、切換弁58を制御し、トルクリミッタ20の加圧機構26に作動油の供給が開始される(SA3)。
【0076】
油圧センサ56が検知する供給配管47内の圧力が所定の圧力になると(SA3でYES)、トルクリミッタ20は動力の伝達が可能な状態であるので、破砕ロータ5を回転させるために電動機Mを始動する(SA5)。
【0077】
電動機Mの動力により破砕ロータ5が回転すると、切換弁53を制御し押込プッシャ3を前進駆動する(SA6)。ここで、油圧センサ56が検知する供給配管47内の圧力が所定の圧力であれば(SA7でYES)、前進リミットスイッチS3がONされるまで(SA8でNO)、押込プッシャ3の前進駆動を続ける。
【0078】
前進リミットスイッチS3がONされると(SA8でYES)、切換弁53を制御し、押込プッシャ3を後退駆動する(SA9)。ここで、油圧センサ56が検知する供給配管47内の圧力が所定の圧力であれば(SA10でYES)、後退リミットスイッチS3がONされるまで(SA11でNO)、押込プッシャ3の後退駆動を続ける。後退リミットスイッチS3がONすると(SA11でYES)、切換弁53を制御し、再度押込プッシャ3を前進駆動する(SA6)。
【0079】
上述のステップSA4,SA7,SA10で油圧センサ56が検知する供給配管47内の圧力が所定の圧力でない場合、加圧機構26による摩擦プレート21と加圧プレート22が所定の加圧状態から逸脱しているので、電動機Mを停止し(SA12)、油圧ポンプ52を停止し(SA13)、異常が発生したことを通報して(SA14)、起動制御を終了する。
【0080】
次に、図11に示すフローチャートに基づいて破砕装置1の停止制御を説明する。制御装置100は、停止スイッチS2がONになると(SB1でYES)、切換弁53を制御し押込プッシャ3の駆動を停止し(SB2)、破砕ロータ5の回転を停止するために電動機Mを停止し(SB3)、トルクリミッタ20の摩擦プレート21と加圧プレート22の加圧状態を開放するために切換弁58を制御してトルクリミッタ20が動力を伝達しないようにし(SB4)、油圧回路に作動油を供給する油圧ポンプ52を停止して(SB5)、停止制御を終了する。
【0081】
以上のように、破砕装置1の起動時には加圧機構26を作動して摩擦プレート21と加圧プレート22を確実に圧接した後に電動機Mを始動し、停止時には電動機Mを停止した後に加圧機構26を停止するように構成されているため、破砕装置1の起動中は、常に摩擦プレート21と加圧プレート22が所定の加圧状態にあり、回転刃6と固定刃7で異物を噛み込み破砕ロータのトルクが設定トルク以上になる状況が発生しない限り、摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りが発生することなく、発熱による焼き付きや摩耗による破損を低減できる。
【0082】
上述した実施形態では、第四ギア36と出力軸37の間の軸受38について詳述しなかったが、破砕ロータ5に異物が噛み込む等によりトルクリミッタ20の摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りが発生するときに、軸受38は第四ギア36と出力軸37と摺動するので、価格と耐久性の観点から適当な滑り軸受や転がり軸受が採用される。例えば、固体潤滑剤分散型焼結複層軸受を好適に用いることができる。
【0083】
上述の実施形態では、第一ギア32及び第三ギア35は回転軸の周部に歯が形成された構成であるが、夫々の回転軸に挿通されるものであってもよい。尚、減速機構30が備えるギア数はこれに限らない。
【0084】
上述した実施形態では、出力軸側に備えられた加圧プレートを、出力段のギア側に備えられ、両面に摩擦材が貼り付けられた摩擦プレートに、加圧機構により圧接することで、出力段のギアから摩擦プレートに動力伝達され、加圧プレートから出力軸に動力伝達される構成を説明したが、出力段のギア側に備えられた加圧プレートを、出力軸側に備えられ、両面に摩擦材が貼り付けられた摩擦プレートに、加圧機構により圧接することで、出力段のギアから加圧プレートに動力伝達され、摩擦プレートから出力軸に動力伝達されるように構成してもよい。
【0085】
つまり、トルクリミッタは、環状の摩擦プレートと加圧プレートが動力被伝達軸の軸心周りに配置され、動力伝達軸からの伝達動力により摩擦プレートと加圧プレートの何れか一方が回転駆動され、他方が両プレートの摩擦力で回転駆動されて動力被伝達軸に動力伝達するように配置され、動力被伝達軸側の要求トルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートが滑り、設定トルク未満になると摩擦プレートと加圧プレートが一体に回転して動力被伝達軸に動力伝達されるように加圧プレートを摩擦プレートに圧接する加圧機構を備えた構成であればよい。
【0086】
何れにせよ、破砕ロータの動力が設定トルク以上になると、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生し、駆動機からの設定トルク以上の動力を破砕ロータに伝達することを抑制できる。これにより、変速機構のギアに異常な負荷がかかり破損する虞を回避できる。
【0087】
上述した実施形態では、減速機構30の内部にトルクリミッタ20を組み込む場合について説明したが、トルクリミッタ20を減速機構30の外部であって、出力軸37と破砕ロータ5の回転軸5cの間に備えて構成してもよく、さらに、変速機構として減速機構を例に説明したが、本発明の変速機構は増速機構にも適用可能である。
【0088】
上述した実施形態では、トルクリミッタ20がいわゆる湿式の多板式のトルクリミッタである場合について説明したが、摩擦プレートと加圧プレートの枚数は、電動機、変速機構、破砕ロータ等に応じて適宜選択される。また、その場合必ずしも複数枚用いる必要はなく単数枚でもよい。また、加圧機構による摩擦プレートと加圧プレートの加圧は油圧によるものに限らず、水圧、空気圧、バネ等により行ってもよく、さらに、トルクリミッタは乾式のトルクリミッタでもよい。
【0089】
上述した実施形態は、何れも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0090】
1:破砕装置
2:受入ホッパ
3:押込プッシャ
3b:油圧シリンダ
4:台盤
5:破砕ロータ
6:回転刃
7:固定刃
8:スクリーン機構
9:排出ホッパ
10:破砕処理部
11:本体フレーム
20:トルクリミッタ
21:摩擦プレート
22:加圧プレート
23:支持部
26:加圧機構
26a:ピストン
26b:油圧室
30:変速機構(減速機構)
31:入力軸
37:出力軸
40:軸受
47:第二油路(供給配管)
50:減圧弁
51:第一油路(供給配管)
52:油圧ポンプ
53:切換弁
55:アキュムレータ
56:圧力センサ
57:調圧機構
58:切換弁
100:制御装置
M:駆動機(電動機)
CL:中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕ロータに固定された回転刃と回転刃に対向配置された固定刃が協働して被破砕物を破砕する破砕処理部と、
駆動機からの動力を破砕ロータに伝達する変速機構と、
駆動機と破砕ロータの間に設けられ、加圧機構により圧接された摩擦プレートと加圧プレートを介して動力を破砕ロータに伝達し、破砕ロータのトルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートに滑りを発生させるトルクリミッタと、
を備えた破砕装置に対して、
起動時に加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを圧接した後に駆動機を始動し、停止時に駆動機を停止した後に加圧機構を停止する制御装置。
【請求項2】
起動時に加圧機構による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると駆動機の始動を禁止する請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
起動後に加圧機構による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると駆動機を停止する請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
破砕処理部に被破砕物を押圧するプッシャ機構を備え、所定流量の作動油を供給する調圧機構からプッシャ機構を前進後退駆動する切換弁を介して作動油を供給する第一油路に、加圧機構に作動油を供給する第二油路を分岐接続し、第二油路に加圧機構へ供給される作動油の圧力を調整する減圧弁を設けるとともに、減圧弁の下流側に加圧状態を検知する圧力センサを備えた油圧回路を破砕装置に備え、圧力センサの出力に基づいて加圧機構による加圧状態を検知する請求項2または3記載の制御装置。
【請求項1】
破砕ロータに固定された回転刃と回転刃に対向配置された固定刃が協働して被破砕物を破砕する破砕処理部と、
駆動機からの動力を破砕ロータに伝達する変速機構と、
駆動機と破砕ロータの間に設けられ、加圧機構により圧接された摩擦プレートと加圧プレートを介して動力を破砕ロータに伝達し、破砕ロータのトルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートに滑りを発生させるトルクリミッタと、
を備えた破砕装置に対して、
起動時に加圧機構を作動して摩擦プレートと加圧プレートを圧接した後に駆動機を始動し、停止時に駆動機を停止した後に加圧機構を停止する制御装置。
【請求項2】
起動時に加圧機構による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると駆動機の始動を禁止する請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
起動後に加圧機構による加圧状態を検知し、所定の加圧状態から逸脱していると駆動機を停止する請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
破砕処理部に被破砕物を押圧するプッシャ機構を備え、所定流量の作動油を供給する調圧機構からプッシャ機構を前進後退駆動する切換弁を介して作動油を供給する第一油路に、加圧機構に作動油を供給する第二油路を分岐接続し、第二油路に加圧機構へ供給される作動油の圧力を調整する減圧弁を設けるとともに、減圧弁の下流側に加圧状態を検知する圧力センサを備えた油圧回路を破砕装置に備え、圧力センサの出力に基づいて加圧機構による加圧状態を検知する請求項2または3記載の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−234235(P2010−234235A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84056(P2009−84056)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]