説明

ドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置

【課題】印刷面が平坦でなく、インクの浸透が悪い印刷物品に対して、フルカラーのインクジェット印刷装置により高品質の印刷を迅速に、且つ、効率良く行う。
【解決手段】装置1は搬入部2、反転部3、印刷部4、搬出部5の順に設置され、各部には搬送チェーンCVが夫々設置され、その境界部ではオーバーラップする。搬入部2に搬入されたタイヤTは、ここでセンタリングし、反転部3を通過し、印刷部4で表面の印刷後、反転部3に逆搬送して反転して裏面を上向きとする。印刷部4に搬送し、裏面の印刷の後、搬出部5から搬出する。印刷部4では印刷面を平坦にしつつ、タイヤTを回転して所定位置からインクジェットヘッド(5個)により所定の印刷(複数回)を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーナツ型(リング型)物品、例えば、自動車用タイヤの外側面に印刷するインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドーナツ型(リング型)物品、例えば、自動車用タイヤ等の外側面に印刷を施す場合、印刷面が曲面のように平坦でなく、且つその材質もゴム、プラスチック等のインキの浸透性が低く、通常の印刷方法では良好な印字品質を得ることができなかった。
前記自動車用タイヤ等に印刷する方法として、転写によりタイヤの外側面に印刷文字や記号等を印刷する方法があり、その1つとして、平坦な面に前記印刷すべき文字や記号等を凹状に形成した凹版の凹部にインキを充填し(インキ充填工程)、その後前記凹版の表面にシリコンゴムパッドを一面に当てがい前記凹部のインキをシリコンゴムパッドの表面に転位させ(転位工程)、前記インキを転位させたシリコンゴムパッドをタイヤのサイドブの印刷面に押しつけてシリコンゴムパッド上のインキをタイヤの印刷面に転写する印刷方法(例えば、特許文献1参照。)がある。
【0003】
また、他の転写印刷方法として、転写体の転写面にマークを形成する液状インクを載せ、この転写体の液状インクをタイヤの外表面に転写することによりマークを印刷する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
また、他の転写方法として、ラベルに所定の印刷パターンを印刷し、この印刷ラベルを加熱した後、このラベルを印刷対象品に圧接することにより、印刷対象品に所定の印刷パターンを転写する方法もあった。
【0004】
しかし、これら転写による印刷対象品への印刷方法は、印刷対象品に凹凸があったり、その材質がインキの浸透性が低い場合は、濃淡やカスレが生じて良好な印字品質を得ることができないという問題があった。更に、印刷対象品のサイズ及び印刷パターンの変更の際には、その都度転写体を変更する必要があるという問題があった。更に、転写による印刷対象品への印刷方法では、複雑な印刷パターンの印刷や複数のカラー印刷を行うことができないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平10−329402号公報
【特許文献2】特開平10−202765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題点を解消するもので、本発明の目的は、インクジェット(IJP)のインク噴射による印刷方式を採用することにより、タイヤ等の印刷面が曲面のように平坦でなく凹凸があり又は印刷面が平坦で凹凸があり、且つ、インクの浸透性が低い材質においても、濃淡がハッキリしたカスレのない鮮明な高印字品質の印刷を迅速、且つ効率(歩留り)良く行うことである。
【0007】
本発明は印刷対象物品(例えば、タイヤ)のサイズや印刷パターンの変更に迅速且つ柔軟に対応した印刷を迅速且つ正確に(高歩留りで)行うことである。
【0008】
本発明はフルカラー印刷を迅速且つ正確に(高歩留りで)行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、前記課題を解決するものであり、外形がドーナツ型(リング型)で、その印刷面が曲面のような平坦でなく微細な凹凸があり、且つ、ゴム、プラスチック等のようにインクの浸透性が低い材質からなる印刷対象物品の中心軸と直交する外側面にある印刷面に複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンを印刷するドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置であって、前記印刷対象物品を回転・内径把持手段によりその内径を把持して回転させながら前記印刷対象物品の印刷面を平坦化しつつ、前記複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンの印刷を繰り返し複数行う重ね印刷を行い、インク硬化・定着手段によりインクの硬化及び定着を行うドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0010】
(2)本発明は、外形がドーナツ型(リング型)で、その印刷面が平坦で微細な凹凸があり、且つ、ゴム、プラスチック等のようにインクの浸透性が低い材質からなる印刷対象物品の中心軸と直交する外側面にある印刷面に複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンを印刷するドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置であって、前記印刷対象物品を回転・内径把持手段によりその内径を把持して回転させながら前記複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンの印刷を繰り返し複数行う重ね印刷を行い、インク硬化・定着手段によりインクの硬化及び定着を行うドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0011】
(3)本発明は、外形がドーナツ型(リング型)で、その印刷面が曲面のような平坦でなく微細な凹凸があり、且つ、ゴム、プラスチック等のようにインクの浸透性が低い材質からなる印刷対象物品の中心軸と直交する外側面にある印刷面に複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンを印刷するドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置であって、前記インクジェット印刷装置は搬入部、反転部、印刷部及び搬出部と、これら各部の動作を制御する制御部及び前記印刷部の印刷動作を制御する印刷制御部とからなり、前記搬入部乃至搬出部は、搬入部、反転部、印刷部、搬出部の順に設置し、夫々は2本1組の独立した搬送チェーンを有し、隣接する部分の搬送チェーン同士はオーバーラップして設置し、前記搬入部に、その外側面に表(おもて)面又は裏面であること示す且つ印刷開始位置を示すマークが施された印刷対象物品をその表(おもて)面を上向きにして搬入し、搬入部はセンタリング手段により印刷対象物品の中心が搬送チェーンの中心となるようにセンタリングした後、印刷対象物品を反転部に搬送し、反転部は印刷対象物品を反転動作を行わずにそのまま印刷部に搬送し、印刷部は表(おもて)面を上向きにした前記印刷対象物品を回転・内径把持手段によりその内径を把持して回転させながら前記印刷対象物品の印刷面を平坦化しつつ前記印刷対象物品の表(おもて)側の印刷面を前記複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンの印刷を繰り返し複数行う重ね印刷を行い、インク硬化・定着手段によりインクを硬化及び定着する表側印刷(動作)を行い、前記印刷対象物品を反転部に逆方向に搬送し、反転部は印刷対象物品を反転手段によりその表裏を反転した後、印刷部に搬送し、印刷部は裏面を上向きにした前記印刷対象物品に対して、前記表側印刷(動作)と同様の裏側印刷(動作)行い、印刷対象物品を搬出部に搬送し、搬出部から印刷対象物品を外部に搬出するドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0012】
(4)本発明は、外形がドーナツ型(リング型)で、その印刷面が平坦で微細な凹凸があり、且つ、ゴム、プラスチック等のようにインクの浸透性が低い材質からなる印刷対象物品の中心軸と直交する外側面にある印刷面に複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンを印刷するドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置であって、前記インクジェット印刷装置は搬入部、反転部、印刷部及び搬出部と、これら各部の動作を制御する制御部及び前記印刷部の印刷動作を制御する印刷制御部とからなり、前記搬入部乃至搬出部は、搬入部、反転部、印刷部、搬出部の順に設置し、夫々は2本1組の独立した搬送チェーンを有し、隣接する部分の搬送チェーン同士はオーバーラップして設置し、前記搬入部に、その外側面に表(おもて)面又は裏面であること示す且つ印刷開始位置を示すマークが施された印刷対象物品をその表(おもて)面を上向きにして搬入し、搬入部はセンタリング手段により印刷対象物品の中心が搬送チェーンの中心となるようにセンタリングした後、印刷対象物品を反転部に搬送し、反転部は印刷対象物品を反転動作を行わずにそのまま印刷部に搬送し、印刷部は表(おもて)面を上向きにした前記印刷対象物品を回転・内径把持手段によりその内径を把持して回転させながら前記印刷対象物品の表(おもて)側の印刷面を前記複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンの印刷を繰り返し複数行う重ね印刷を行い、インク硬化・定着手段によりインクを硬化・定着する表側印刷(動作)を行い、前記印刷対象物品を反転部に逆方向に搬送し、反転部は印刷対象物品を反転手段によりその表裏を反転した後、印刷部に搬送し、印刷部は裏面を上向きにした前記印刷対象物品に対して、前記表側印刷(動作)と同様の裏側印刷(動作)行い、印刷対象物品を搬出部に搬送し、搬出部から印刷対象物品を外部に搬出するドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0013】
(5)本発明は、前記印刷部が、搬入された印刷対象物品を印刷対象物品昇降手段(リフター)により上昇させ、印刷対象物品の清浄動作時には、クランプ動作、即ち、印刷対象物品回転装置の下端に設置され、等角度(等間隔)で設置された4つの把持部を有する内径把持手段(内径クランプ)を下降させ、その把持部を拡張して(開いて)印刷対象物品の内径を把持して、前記印刷対象物品回転装置及び内径把持手段(内径クランプ)の回転により、印刷対象物品を回転させ、この回転を印刷動作の動作時に継続すると共に、前記印刷動作終了後は、アン(逆)クランプ動作、即ち、印刷対象物品昇降手段(リフター)が上昇し、印刷対象物品を受取り、前記内径把持手段(内径クランプ)の把持部が収縮して(閉じて)印刷対象物品を開放して、印刷対象物品を印刷対象物品昇降手段(リフター)に移載する前記(1)乃至(4)の何れか1つに記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0014】
(6)本発明は、前記印刷部における重ね印刷が、白色以外のフルカラー印刷を含むカラー印刷の場合、白色インクによる印刷を行った後、夫々のカラー印刷を重ね印刷する前記(1)乃至(5)の何れか1つに記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0015】
(7)本発明は、前記インク硬化・定着手段が、インクジェット(IJP)ヘッドから噴射されるインクが紫外線硬化型インクの場合には、紫外線照射装置である前記(1)乃至(6)の何れか1つに記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0016】
(8)本発明は、前記インク硬化・定着手段が、インクジェット(IJP)ヘッドから噴射されるインクが熱硬化型インク又は塗料系インクの場合には、遠赤外線照射装置、近赤外線照射装置又はヒーターである前記(1)乃至(7)の何れか1つに記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0017】
(9)本発明は、前記搬入部のセンタリング手段が、印刷対象物品の外側からその2つの把持部を内側に移動して印刷対象物品の外径部を把持することにより、その中心が所定の基準位置になるように位置決め(センタリング)する前記(3)又は(4)に記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0018】
(10)本発明は、前記反転部が、印刷対象物品昇降手段(リフター)が上昇して反転部の搬送チェーン上の印刷対象物品を受取り停止後、反転装置が下降し、その2つの把持部が印刷対象物品の外径部より外側から内側に向けて移動してその外径部を把持し、印刷対象物品の反転に必要な高さ寸法分(外径の1/2+幅)だけ上昇し、前記把持部を180°回転させることにより、印刷対象物品を反転させ、その裏面を上向き(裏面置き)にして印刷対象物品昇降手段(リフター)に移載し、印刷対象物品を搭載した印刷対象物品昇降手段(リフター)を下降させて印刷対象物品を搬送チェーン上にリフトダウンする前記(3)又は(4)に記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0019】
(11)本発明は、前記印刷対象物品昇降手段(リフター)が、前記反転部及び印刷部の2本一組の搬送チェーンの内側に設置され、印刷対象物品を載置する載置板を昇降させるため、「X字」状に交叉した2本の棒状の部材の交点に回転軸部材を設けた構造部材を左右の2組設け、「X字」状に交叉した2本の一組の棒状の部材の上部(二組4個所)に前記載置板を設置する構造であり、前記「X字」状に交叉した2本の一組の棒状の部材が水平方向に開くと載置板は下降し、水平方向に閉じると上昇する前記(3)、(4)又は(10)に記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【0020】
(12)本発明は、前記印刷対象物品が、タイヤである前記(1)、(3)、(5)〜(11)の何れか1つに記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明はインクジェット(IJP)のインク噴射による印刷方式を採用し、印刷前に清浄及びプライマー(下地)塗布を行い、印刷時に印刷対象物品の印刷面を平坦にして印刷することにより、印刷面が曲面のように平坦でなく凹凸があり又は平坦で凹凸があり、且つ、インクの浸透性が低い材質の印刷対象物品(例えば、タイヤ等)においても、濃淡がハッキリしたカスレのない鮮明な高印字品質の印刷を迅速且つ正確に(高歩留りで)行うことができる。
【0022】
本発明は印刷対象物品(例えば、タイヤ等)のサイズや印刷パターンの変更に迅速且つ柔軟に対応した印刷を迅速且つ正確に(高歩留りで)行うことができる。
【0023】
本発明はフルカラー印刷を迅速且つ正確に(高品質で)行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、ドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置に関するものであり外形がドーナツ型(リング型)で印刷面が曲面のように平坦でなく微細な凹凸があり又は印刷面が平坦で微細な凹凸があり、且つ、ゴム、プラスチック等のようにインクの浸透性が悪いものを印刷対象にしており、このような印刷対象物品に高い印字品質の印刷を迅速、且つ効率良く行うものである。
【0025】
実施例として、前記印刷対象物品であるドーナツ型(リング型)物品として自動車用タイヤを例として説明しているが、同様の形状及び材質のものであれば他の物品にも適用することができる。
【0026】
印刷対象物品であるタイヤT(印刷対象物品)の側面である表(おもて)面及び裏面の印刷面に印刷を施すもので、タイヤTには、タイヤの印刷原点位置を示す矢印マークが施される。矢印の方向がタイヤの表面と裏面ではその方向が180°異なる。
本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1は、図1及び図2に示すように、搬入部2、反転部3、印刷部4、搬出部5とこれらを制御する制御部6及び印刷部4の印刷動作を制御する印刷制御部42からなり、前記搬入部2乃至搬出部5は、搬入部2、反転部3、印刷部4、搬出部5の順に設置する。
搬入部2、反転部3、印刷部4、搬出部5の夫々には2列で1組の搬送チェーンCV1、搬送チェーンCV2、搬送チェーンCV3、搬送チェーンCV4が独立して設置され、各部の境界部分ではこれらはオーバーラップするように設置されている。
【0027】
先ず、タイヤTの表(おもて)面を上向きにして手作業で搬入部2に搬入する。
タイヤTは、図7に示すように、搬入部2から反転部3に搬送し、反転部3をそのまま通過して印刷部4に搬送し、印刷部4で表(おもて)面に印刷の後、反対方向の反転部3に逆搬送してタイヤTを反転し裏面を上向きにし印刷部4に搬送し、印刷部4で裏面に印刷し、搬出部5に搬送し、搬出部5で外部に取り出す。
なお、前記のように印刷対象物品であるタイヤTを、搬入部2から反転部3に、反転部3から印刷部4に、印刷部4から反転部3に、反転部3から印刷部4に、印刷部4から搬出部5に、夫々搬送する場合、各部の境界で印刷対象物品であるタイヤTをスムーズに受渡しするために、渡す側の搬送チェーンの搬送速度と受取る側の搬送チェーンの搬送速度とを同一の搬送速度にする。
【0028】
更に、前記動作の詳細を以下に説明する。
搬入部2では、搬入時、手作業によりタイヤT(印刷対象物品)の表面(印刷面)が上向きになるように設置する。搬入部2に搬入されたタイヤTは、図3に示すように、センタリング装置21により、タイヤTの外側からその2つの把持部を内側に移動してタイヤTの外径部を把持することにより、その中心が所定の基準位置になるように位置決め(センタリング)した後、反転部3に搬送する。
反転部3においては、図1、図2及び図7に示すように、搬入部2から搬送されたタイヤTは、反転動作をせずに反転部3をそのまま通過(パス)し、印刷部4に搬送する。
印刷部4では、タイヤの表面の印刷面に所定の印刷を施した後タイヤTを反転部3に逆搬送する。
反転部3では、図4に示すように、印刷部4から逆搬送されたタイヤTの表裏をタイヤ反転装置31により反転して裏面を上向きにした後、印刷部4に搬送する。
印刷部4では、反転部3から搬送されたタイヤTの裏面の印刷面に所定の印刷を施した後、搬出部5に搬送する。搬出部5では、タイヤTは搬出部5から手作業で外部に搬出される。
【0029】
また、前記装置1の他の設置順序として、搬入部2、印刷部4、反転部3、搬出部5の順に設置することも可能である。その場合のタイヤの搬送順序は、図7の実施例2に示すように、搬入部2→印刷部4→反転部3→印刷部4(逆方向に搬送)→反転部3(通過:パス)→搬出部5の順に搬送される。
【0030】
以下にドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1を構成する搬入部2、反転部3、印刷部4、搬出部5の詳細について説明する。
搬入部2は、手作業により搬入したタイヤTを表(おもて)面(印刷面)を上向きに置きセットする。タイヤTには、タイヤの印刷原点位置を示す矢印マークが施される。矢印の方向がタイヤの表面と裏面ではその方向が180°異なる。搬送チェーンCV1〜CV4の搬送はインバータモーターの制御により行う。
図3に示すように、予め設定された外径寸法に応じて、タイヤTの外側からセンターリング装置21の2つの把持部を内側に移動してタイヤTの外径部を把持することにより、その中心が所定の基準位置になるように位置決め(センタリング)する。センターリングを行った後、搬送チェーンCV1によりタイヤTを反転部3に搬送する。
【0031】
反転部3は、図7に示すように、搬入部2から搬送されたタイヤTを反転動作を施すことなく(通過:パス)搬送チェーンCV2により印刷部4に搬送し、印刷部4でタイヤTの表面の印刷終了後、タイヤTを搬送チェーンCV3により逆方向の反転部3に搬送する。反転部3に搬送されたタイヤTは、図4に示すように、リフターLにより搬送チェーンCV3の上面より上にリフトアップする。そして、タイヤ反転装置31が上から下降した後、その2つの把持部がタイヤTの外径部より外側から内側に向けて移動してタイヤTの外径部を把持した後、タイヤの反転に必要な高さ寸法分(タイヤ外径の1/2+タイヤ幅)だけ上昇し前記把持部を180°回転させることにより、タイヤTを反転させてその裏面を上向き(裏面置き)にしてリフターLに移載する。その後、タイヤTを載せたリフターLを下降させてタイヤTを搬送チェーンCV2上にリフトダウンして、搬送チェーンCV2によりタイヤTを印刷部4に搬送する。タイヤには矢印マークが付されており、矢印マークの方向は、例えば、表は時計方向、裏は反時計方向であり、この矢印マークを識別カメラD(図6参照)が識別して表、裏の判別を行う。
なお、反転部3では、前記リフターLによるリフトアップの前に、タイヤTの中心を反転部3の中心位置に位置決めする位置決め制御を行う。反転部3の搬送チェーンCV2を駆動するインバータモーター又はサーボモーター等の可変速モーターの回転軸に位置決め用パルスを発生するためのエンコーダー(後述のタイヤ回転装置43の回転軸に設置されるリングエンコーダEと同様の機構で、モーターの回転と共に回転して一定周期のパルスを発生する(図示省略。))が設置されている。予め設定されたタイヤTの外径寸法に応じてタイヤTの中心と反転部3の中心位置が一致するように位置決め制御する。即ち、タイヤTの外径寸法に応じた位置決め用のパルス数(タイヤTの中心が反転部の先端から反転部の中心位置までの搬送する距離)に到達した時点で搬送チェーンCV2を停止し、タイヤTの中心が反転部の中心に位置決めされる。そして、タイヤTの中心が反転部3の中心に位置決めされたことを光電センサー(図示省略。)により確認する。
前記位置決め制御は、後述の印刷部4におけるタイヤTの中心と印刷部4の中心位置との位置決め制御と同様の制御動作である。
【0032】
前記リフターLの詳細を以下に示す。
リフターLは2本一組の搬送チェーンCV2の内側に設置され、図2及び図4に示すように、タイヤTを載置する載置板を昇降させるため、「X字」状に交叉した2本の棒状の部材の交点に回転軸部材を設けた構造部材を左右(図1の搬入部2から搬出部5に向かう方向から見て)の2組設け、「X字」状に交叉した2本の一組の棒状の部材の上部(二組4個所)に前記載置板を設置する構造であり、前記「X字」状に交叉した2本の一組の棒状の部材が水平方向に開くと載置板は下降し、水平方向に閉じると上昇する。そして、同じ構造のリフターLが印刷部4の同様の位置に設置される。
前記リフターLの構造はその一例であり、前記タイヤTを載置する載置板を正確に昇降するものであれば適宜採用することができる。
【0033】
印刷部4は、図1、図2及び図7に示すように、搬入部2から搬送され、前記反転部3をそのまま通過したタイヤTの表面に印刷(表面印刷)を複数回(重ね印刷)施した後、(その搬送チェーンCV3により反転部3に搬送し、前記反転部3でタイヤTの表裏を180°反転し)前記反転部3で裏表を反転したタイヤTの裏面に印刷(裏面印刷)を複数回(重ね印刷)施し、タイヤTをその搬送チェーンCV3により搬出部5に搬送する。
【0034】
搬出部5は、印刷部4からその搬送チェーンCV4により表裏の印刷済のタイヤTを搬入し、タイヤTを取り出し所定位置で停止し、手作業によりタイヤを装置外に搬出する。
【0035】
以下に印刷部4における印刷動作の詳細を図5、図6及び図8〜図11を用いて説明する。
印刷部4の搬送チェーンCV3を駆動するインバータモーター又はサーボモーター等の可変速モーターの回転軸には位置決め用のパルスを発生するエンコーダ(図示省略。)が設置されている。予め設定されたタイヤTの外径寸法に応じてタイヤTの中心と印刷部4の中心位置が一致するように位置決め制御する。即ち、タイヤTの外径寸法に応じた位置決め用のパルス数(タイヤTの中心が印刷部の先端から印刷部4の中心位置までの搬送する距離)に到達した時点で搬送チェーンCV3を停止し、タイヤTの中心が印刷部の中心に位置決めされる。そして、タイヤTの中心が印刷部4の中心に位置決めされたことを光電センサー(図示省略。)により確認する。
図5及び図8に示すように、搬送チェーンCV3の下に設置されたリフターLが上昇し、タイヤTを搬送チェーンCV3より上方向に持ち上げタイヤTの上面レベルを所定位置に停止することにより、位置決めする。搬送チェーンCV3より上にタイヤ回転装置43が設置されており、その状態(位置)で、タイヤ回転装置43の下端部に等角度(等間隔)で設置された4つの把持部を有する内径クランプCが、設定されたタイヤTの外径、内径及び幅の寸法に応じて、タイヤ内径空間迄下降し所定の位置で停止する。その後、内径クランプCの4つの把持部が外側に所定の寸法だけ拡張してタイヤTをその内径部で把持し、内径クランプCは若干上昇しタイヤTの上面の印刷レベル出し(印刷面の上下の調整)行い、タイヤTの上下位置を決定する。その後、リフターLは下降し、清浄動作P1及びプライマー塗布動作P2を行う。
【0036】
印刷部4における清浄動作P1及びプライマー塗布動作P2は、図6及び図9に示すように、タイヤ回転装置43の内径クランプCにより把持されたタイヤTは回転(時計方向)する。その時点で少なくとも等角度(等間隔)に設置した3つの上抑えロールR1によりタイヤTの上面の外径近傍(外径と印刷面との間の領域)を上から圧接する(抑える)と同時に清浄ロールR2及びプライマー塗布ロールR3もタイヤTの所定の位置を圧接し、タイヤTの回転により清浄動作及びプライマー塗布動作P1が行われる。なお、上抑えロールR1、清浄ロールR2及びプライマー塗布ロールR3はタイヤTの回転と共に、受動的に回転する。識別カメラDがタイヤ上(外側面)の矢印マーク(原点)を識別し、その矢印マーク(原点)から算出された所定の位置から清浄動作P1及びプライマー塗布動作P2を開始する。
印刷時には、上抑えロールR1によりタイヤTの上面の外径近傍(外径と印刷面との間の領域)を上から圧接する(抑える)ことによりタイヤTの印刷面が平坦化(タイヤTの高さレベル(厚み又は幅)が一定化)され、印刷時に良好な印字品質を得ることが可能となる。
【0037】
以下に清浄動作P1及びプライマー塗布動作P2の詳細を図6及び図9を用いて説明する。
印刷動作P3の前処理として、タイヤTの印刷面を清浄する清浄動作P1とタイヤTの印刷面にプライマー(下地層)を塗布するプライマー塗布動作P2を行う。
清浄動作P1はタイヤTの印刷面と略同じ幅を有する清浄ロール(ローラー)R2が下降して印刷面に圧接し、タイヤTの回転により清浄ロールR2がロールして印刷面を清浄する。清浄動作P1の終了と共に清浄ロールR2は上昇してタイヤTから離脱する。
プライマー塗布動作P2は、清浄動作の後、タイヤTと印刷インクの馴染みを良くするため印刷動作前にタイヤTの印刷部にアルコール系のプライマーを塗布するものであり、タイヤTの印刷面と略同じ幅を有するプライマー塗布ロール(ローラー)R3(ローラーにプライマーが含浸)が下降して印刷面に圧接し、タイヤTの回転によりロールして印刷面にプライマーを塗布する。プライマー塗布動作終了と共に、プライマー塗布ロールR3は上昇してタイヤTから離脱する。清浄ロールR2はプライマー塗布ロールR3の前側に設置する。
例えば、その1回転目は清浄ロールR2とプライマー塗布ロールR3が下降し、タイヤの印刷面に接し、清浄ロールR2によりタイヤTの印刷面を清浄した後、プライマー塗布ロールR3によりプライマーの塗装を行う。2回転以降は清浄ロールR2を引上げ、プライマー塗布ロールR3のみがタイヤTの印刷面に接し、設定された回数に応じて、プライマーを2度以上重ねて塗布する。前記清浄動作P1及びプライマー塗布動作P2の後に必要に応じて乾燥動作を行ってもよい。
【0038】
以下に印刷部4における印刷動作P3の詳細を図5、図6及び図10を用いて説明する。
印刷動作P3はIJP(インクジェット)印刷装置により行う。インクジェットのインク噴射による印刷方式を採用することにより、印刷面の凹凸を吸収し、印刷の濃淡とカスレのない、鮮明な印刷を行うこが可能となる。
前記プライマー塗布動作P2の終了後、5つのIJP(インクジェット)ヘッドにより設定された設定データ、即ち、タイヤTの外径及び内径、プライマー(下地層)の塗布回数、印刷回数、印刷速度、印刷ドロップ数、印字品質の良否判定レベル、印刷スタート位置、印字パターン(文字又は図形)等の印字に必要な各種データに従って所定のタイヤTの印刷面の印刷位置に所定の印刷パターンをIJP(インクジェット)印刷する。タイヤの4回転目、5回転目、6回転目にIJP(インクジェット)印刷を重ね印刷を行う。前記重ね印刷の各回の印刷の度毎にUV(紫外線)照射ランプUによりインクの硬化・定着を行う。前記所定の印刷パターンの印刷を繰り返し複数行う重ね印刷の回数は適宜変更することができる。前記重ね印刷は、白色以外のフルカラーを含むカラー印刷を行う場合、白色インクによる印刷を行った後、夫々のカラー印刷を重ね印刷し、白色の印刷の場合は白色インクによる重ね印刷をすることにより、よりクッキリした高品質のものを得ることができる。
前記インクの硬化・定着は、印刷品質の程度により、重ね印刷の終了前の各重ね印刷の度毎に行ってもよい。前記インクの硬化・定着手段は、前記実施例では紫外線硬化型インクを用いた例を示したが、熱硬化型インク又は塗料系インクを用いる場合は、インクの硬化・定着手段として遠赤外線照射装置、近赤外線照射装置又はヒーター等を使用する。
前記重ね印刷及びインクの硬化・定着後、例えば、タイヤTの7回転目に、識別カメラDはタイヤTに印刷された印刷パターン(文字又は図形)を読みとり、各回の印刷の度毎にその印字品質の検査を行い、その良否を判定する。印字品質の検査が不合格の場合は、ランプの点灯によりそれを知らせる。前記印字品質の検査を重ね印刷の終了後のみ行ってもよい。
前記識別カメラDは印字品質の検査の他に印刷原点マーク(矢印マーク)の認識、印刷原点信号の発生、タイヤの表裏の判別を行う。
【0039】
印刷動作P3時には、タイヤ回転装置43及び内径クランプCの回転及び把持によりタイヤTはその内径を把持されつつ回転(時計方向)する。その時点で少なくとも等角度(等間隔)に設置した3つの上抑えロール(ローラー)R1によりタイヤTの上面の外径近傍(外径と印刷面との間の領域)を上から圧接する(押圧する)ことによりタイヤTの印刷面が平坦化(タイヤTの高さレベル(厚み又は幅)が一定化)され、印刷時に良好な印字品質を得ることが可能となる。タイヤ回転装置43によるタイヤTの回転と共に上抑えロールR1は受動的に回転する。タイヤTが回転して印刷開始位置に到達すると5つのIJPヘッドHが先頭のIJPヘッドHから順次印刷動作を開始する。IJPヘッドHはC(シアン)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、K(ブラック)、W(ホワイト)の5つのヘッドが設置される。そして、前記IJPヘッドHは複数のヘッドが設置されているモジュールである。
印刷動作P3における各印刷の度毎にUVランプUの照射によりインクの硬化・定着を行う。
【0040】
前記上抑えロール(ローラー)R1は、タイヤのように、外径がドーナツ型(リング型)で、印刷面が曲面のような平坦でない形状の印刷対象物品の場合には、印刷面を平坦化するために不可欠のものであるが、印刷面が平坦な形状の印刷対象物品の場合には、前記上抑えロール(ローラー)R1を設置する必要はない。従って、前記上抑えロール(ローラー)R1を省略した場合の本装置は、外径がドーナツ型(リング型)で、印刷面が平坦で、且つ、凹凸がある印刷対象物品に対しても濃淡がハッキリしたカスレのない鮮明な高印字品質の印刷を迅速且つ正確に(高歩留りで)行うことができる。
【0041】
前記上抑えロールR1、清浄ロールR2及びプライマー塗布ロールR3の材質は、上抑えロールR1は硬質のゴムからなり、清浄ロールR2は軟質で多孔質のスポンジ状のゴム又は樹脂からなりその外周に埃等を除去する長尺の巻き取られた粘着テープ(図示省略。)が装填され、前記粘着テープは交換プライマー塗布ロールR3は中程度の硬質でインクの含浸性の良好な多孔質のスポンジ状のゴム又は樹脂からなり、プライマー(下地層)液を転写ローラー(図示省略。)により補給する。
前記清浄ロールR2は前記粘着テープの埃等の付着量の程度に応じて切取り又は交換する必要がある。また、プライマー塗布ロールR3も、プライマー(下地層)液を補給する必要がある。そこで、前記清浄ロールR2の粘着テープの切取り又は交換及びプライマー塗布ロールR3のプライマー(下地層)液の補給は、前記清浄ロールR2及びプライマー塗布ロールR3が動作していない時間帯、即ち、印刷対象物品であるタイヤTが印刷部4以外の領域にある時又は装置内に搬入されていない時に行う。
【0042】
タイヤ回転装置43は搬送チェーンCV3の上部にあり、タイヤ回転装置43の回転軸にはリングエンコーダEが設置され、例えば、1ミクロン/1パルスを印刷制御部42及びインクジェット印刷装置(IJP)4に出力する。
【0043】
識別カメラDは、タイヤTの印刷原点マーク(矢印マーク)を認識し、印刷制御部42はこの印刷原点マーク認識後、リングエンコーダEが発生する回転パルスの所定のパルス数目を印刷開始位置とし、各IJPヘッドに印刷開始信号を送信し、各IJPヘッドHからインキを噴射することにより、タイヤTの所定の印刷位置に所定の印刷パターンが印刷される。なお、制御部6及び印刷制御部42にはデータ設定部7からタイヤのサイズに応じて印刷原点マーク(矢印マーク)から何パルス目(原点パルス数)にするか予め設定される。
印刷原点マークである前記矢印マークをタイヤ原点とし、制御部6の設定部6Aに設定されたタイヤのサイズに応じて制御部6では印刷開始位置を矢印マークから何パルス目にするか(原点パルス数)設定する。識別カメラDが印刷原点マーク(矢印マーク)を認識して印刷原点信号を発生し、制御部6又は印刷制御部42は前記印刷原点信号の発生から所定のパルス(リングエンコーダEが発生する回転パルス)数の経過後に印刷開始信号を出力する。
【0044】
清浄動作P1、プライマー塗布動作P2及び印刷動作P3IにおけるタイヤTの回転にはタイヤ回転装置43及びその一部である内径クランプCの動作P4が不可欠であり、以下内径クランプCの動作P4について図11を用いて説明する。
内径クランプCの動作P4には、クランプ動作P41とアン(逆)クランプ動作P42がある。
クランプ動作P41は、印刷部4にタイヤTを搬入し、リフターLによりタイヤTを上昇させ、タイヤTの清浄動作P1時にクランプ動作P41開始、即ち、回転装置43の下端に設置され、等角度(等間隔)で設置された4つの把持部を有する内径クランプCを下降し、内径クランプCの把持部を拡張して(開いて)タイヤTの内径を把持する。この時点でリフターLは下降する。そして、タイヤ回転装置43及び内径クランプCの回転により、タイヤTは回転する(清浄動作P1、プライマー塗布P2、印刷動作P3の各動作時は継続)。
アン(逆)クランプ動作P42は、印刷動作P3終了後、アン(逆)クランプ動作P42開始、即ち、リフターLが上昇し、タイヤTを受取り、内径クランプCの把持部が収縮して(閉じて)タイヤTを開放し、タイヤTはリフターLに移載される。そして、内径クランプCを上昇させる。その後、リフターLが上昇してタイヤTを保持した後、タイヤTを保持したリフターLが下降し、タイヤTは搬送チェーンCV3に移載される。そして、搬送チェーンCV3によりタイヤTを搬出部5に搬送される。
【0045】
内径クランプCは、前記のようにタイヤ回転装置43の下端部に等角度(等間隔)で設置された4つの把持部を有する。前記把持部は、タイヤTの内径を確実に把持できるように、図5に示すように「L」字型の構造が望ましい。
【0046】
制御部6及び印刷制御部42の動作を以下に説明する。
制御部6の設定部6AでタイヤTの外径及び内径、プライマー(下地層)の塗布回数、印刷回数、印刷速度、印刷ドロップ数、印字品質の良否判定レベル、印刷スタート位置、印字パターン(文字又は図形)等の印字に必要な各種データの設定及び変更(キーその他のデータ設定手段により)を行い、制御部6の表示部6Bで及び設定内容及び装置の動作状態の確認(モニター)を行う。前記設定内容に応じた前記各装置を制御するためのハード及びソフトを有する。前記制御部6に設定された設定データのうち印刷制御部42で必要なものは制御部6から印刷制御部42に転送される。
【0047】
詳細には、制御部6は、搬送チェーンCV1(搬入部2に設置)、搬送チェーンCV2(反転部3に設置)、搬送チェーンCV3(印刷部4に設置)、搬送チェーンCV4(搬入部2に設置)におけるタイヤTの搬送動作の制御、搬入部2のセンタリング装置21の制御、反転部3のリフターL及び反転装置31の制御、印刷部4の印刷動作(印刷制御部42が制御する。)以外の動作の制御(例えば、リフターL、回転装置43(リングエンコーダE、内径クランプC)、上抑えロールR1、清浄ロールR2、プライマー塗布ロールR3、識別カメラD、UVライトU等の制御)行う。また、印刷制御部42は、5つのインクジェット(IJP)ヘッドの移動及びインクの噴射の制御を行う。
制御部6は、各種設定データと装置の各部の動作を制御するための制御ソフトを保持する。前記制御ソフトとしては、例えば、タイヤTの搬送動作の制御、搬入部2のセンタリング装置21の制御、反転部3のリフターL及び反転装置31の制御、印刷部4の印刷動作(印刷制御部42が制御する。)以外の動作の制御等の制御ソフトである。
【0048】
なお、印刷制御部42の制御機能として、前記制御部6が受け持つ制御機能の一部、例えば、回転装置43(リングエンコーダE、内径クランプC)、上抑えロールR1、清浄ロールR2、プライマー塗布ロールR3、識別カメラD、UVライトU等の制御、を持たせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1の構成図(平面図)である。
【図2】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1の構成図(側面図)である。
【図3】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1における搬入部2の構成図(正面図)である。
【図4】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1における反転部3の構成図(正面図)である。
【図5】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1における印刷部4の構成図(正面図)である。
【図6】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1における印刷部4の構成図(平面図)である。
【図7】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1におけるタイヤTの搬送動作手順を示す図である。
【図8】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1における印刷部4の動作手順を示す図である。
【図9】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1における印刷部4の清浄動作及びプライマー塗布動作P1の動作手順を示す図である。
【図10】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1における印刷部4の印刷動作P2の動作手順を示す図である。
【図11】本発明のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置1における印刷部4の内径クランプ動作P3の動作手順を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置
2 搬入部
CV1 搬送チェーン(搬入部)
21 センタリング装置
3 反転部
CV2 搬送チェーン(反転部)
31 反転装置
4 印刷部
CV3 搬送チェーン(印刷部)
41 印刷装置
H IJPヘッド
42 印刷制御部
43 回転装置
E リングエンコーダ
C 内径クランプ装置
R1 上抑えロール
R2 清浄ロール
R3 プライマー塗布ロール
D 識別カメラ
U UVライト
5 搬出部
CV4 搬送チェーン(搬出部)
T タイヤ
L リフター
6 制御部
6A 設定部
6B 表示部
P1 清浄動作
P2 プライマー塗布動作
P3 印刷動作
P4 内径クランプ動作
P41 クランプ動作
P42 アン(逆)クランプ動作


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形がドーナツ型(リング型)で、その印刷面が曲面のような平坦でなく微細な凹凸があり、且つ、ゴム、プラスチック等のようにインクの浸透性が低い材質からなる印刷対象物品の中心軸と直交する外側面にある印刷面に複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンを印刷するドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置であって、前記印刷対象物品を回転・内径把持手段によりその内径を把持して回転させながら前記印刷対象物品の印刷面を平坦化しつつ、前記複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンの印刷を繰り返し複数行う重ね印刷を行い、インク硬化・定着手段によりインクの硬化及び定着を行うことを特徴とするドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項2】
外形がドーナツ型(リング型)で、その印刷面が平坦で微細な凹凸があり、且つ、ゴム、プラスチック等のようにインクの浸透性が低い材質からなる印刷対象物品の中心軸と直交する外側面にある印刷面に複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンを印刷するドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置であって、前記印刷対象物品を回転・内径把持手段によりその内径を把持して回転させながら前記複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンの印刷を繰り返し複数行う重ね印刷を行い、インク硬化・定着手段によりインクの硬化及び定着を行うことを特徴とするドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項3】
外形がドーナツ型(リング型)で、その印刷面が曲面のような平坦でなく微細な凹凸があり、且つ、ゴム、プラスチック等のようにインクの浸透性が低い材質からなる印刷対象物品の中心軸と直交する外側面にある印刷面に複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンを印刷するドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置であって、前記インクジェット印刷装置は搬入部、反転部、印刷部及び搬出部と、これら各部の動作を制御する制御部及び前記印刷部の印刷動作を制御する印刷制御部とからなり、前記搬入部乃至搬出部は、搬入部、反転部、印刷部、搬出部の順に設置し、夫々は2本1組の独立した搬送チェーンを有し、隣接する部分の搬送チェーン同士はオーバーラップして設置し、前記搬入部に、その外側面に表(おもて)面又は裏面であること示す且つ印刷開始位置を示すマークが施された印刷対象物品をその表(おもて)面を上向きにして搬入し、搬入部はセンタリング手段により印刷対象物品の中心が搬送チェーンの中心となるようにセンタリングした後、印刷対象物品を反転部に搬送し、反転部は印刷対象物品を反転動作を行わずにそのまま印刷部に搬送し、印刷部は表(おもて)面を上向きにした前記印刷対象物品を回転・内径把持手段によりその内径を把持して回転させながら前記印刷対象物品の印刷面を平坦化しつつ前記印刷対象物品の表(おもて)側の印刷面を前記複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンの印刷を繰り返し複数行う重ね印刷を行い、インク硬化・定着手段によりインクを硬化及び定着する表側印刷(動作)を行い、前記印刷対象物品を反転部に逆方向に搬送し、反転部は印刷対象物品を反転手段によりその表裏を反転した後、印刷部に搬送し、印刷部は裏面を上向きにした前記印刷対象物品に対して、前記表側印刷(動作)と同様の裏側印刷(動作)行い、印刷対象物品を搬出部に搬送し、搬出部から印刷対象物品を外部に搬出することを特徴とするドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項4】
外形がドーナツ型(リング型)で、その印刷面が平坦で微細な凹凸があり、且つ、ゴム、プラスチック等のようにインクの浸透性が低い材質からなる印刷対象物品の中心軸と直交する外側面にある印刷面に複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンを印刷するドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置であって、前記インクジェット印刷装置は搬入部、反転部、印刷部及び搬出部と、これら各部の動作を制御する制御部及び前記印刷部の印刷動作を制御する印刷制御部とからなり、前記搬入部乃至搬出部は、搬入部、反転部、印刷部、搬出部の順に設置し、夫々は2本1組の独立した搬送チェーンを有し、隣接する部分の搬送チェーン同士はオーバーラップして設置し、前記搬入部に、その外側面に表(おもて)面又は裏面であること示す且つ印刷開始位置を示すマークが施された印刷対象物品をその表(おもて)面を上向きにして搬入し、搬入部はセンタリング手段により印刷対象物品の中心が搬送チェーンの中心となるようにセンタリングした後、印刷対象物品を反転部に搬送し、反転部は印刷対象物品を反転動作を行わずにそのまま印刷部に搬送し、印刷部は表(おもて)面を上向きにした前記印刷対象物品を回転・内径把持手段によりその内径を把持して回転させながら、前記印刷対象物品の表(おもて)側の印刷面を前記複数のインクジェット(IJP)ヘッドにより所定の印刷パターンの印刷を繰り返し複数行う重ね印刷を行い、インク硬化・定着手段によりインクを硬化及び定着する表側印刷(動作)を行い、前記印刷対象物品を反転部に逆方向に搬送し、反転部は印刷対象物品を反転手段によりその表裏を反転した後、印刷部に搬送し、印刷部は裏面を上向きにした前記印刷対象物品に対して、前記表側印刷(動作)と同様の裏側印刷(動作)行い、印刷対象物品を搬出部に搬送し、搬出部から印刷対象物品を外部に搬出することを特徴とするドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項5】
前記印刷部は、搬入された印刷対象物品を印刷対象物品昇降手段(リフター)により上昇させ、印刷対象物品の清浄動作時には、クランプ動作、即ち、印刷対象物品回転装置の下端に設置され、等角度(等間隔)で設置された4つの把持部を有する内径把持手段(内径クランプ)を下降させ、その把持部を拡張して(開いて)印刷対象物品の内径を把持して、前記印刷対象物品回転装置及び内径把持手段(内径クランプ)の回転により、印刷対象物品を回転させ、この回転を印刷動作の動作時に継続すると共に、前記印刷動作終了後は、アン(逆)クランプ動作、即ち、印刷対象物品昇降手段(リフター)が上昇し、印刷対象物品を受取り、前記内径把持手段(内径クランプ)の把持部が収縮して(閉じて)印刷対象物品を開放して、印刷対象物品を印刷対象物品昇降手段(リフター)に移載することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項6】
前記印刷部における重ね印刷は、白色以外のフルカラー印刷を含むカラー印刷の場合、白色インクによる印刷を行った後、夫々のカラー印刷を重ね印刷することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項7】
前記インク硬化・定着手段は、インクジェット(IJP)ヘッドから噴射されるインクが紫外線硬化型インクの場合には、紫外線照射装置であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項8】
前記インク硬化・定着手段は、インクジェット(IJP)ヘッドから噴射されるインクが熱硬化型インク又は塗料系インクの場合には、遠赤外線照射装置、近赤外線照射装置又はヒーターであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1つに記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項9】
前記搬入部のセンタリング手段は、印刷対象物品の外側からその2つの把持部を内側に移動して印刷対象物品の外径部を把持することにより、その中心が所定の基準位置になるように位置決め(センタリング)することを特徴とする請求項3又は4に記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項10】
前記反転部は、印刷対象物品昇降手段(リフター)が上昇して反転部の搬送チェーン上の印刷対象物品を受取り停止後、反転装置が下降し、その2つの把持部が印刷対象物品の外径部より外側から内側に向けて移動してその外径部を把持し、印刷対象物品の反転に必要な高さ寸法分(外径の1/2+幅)だけ上昇し、前記把持部を180°回転させることにより、印刷対象物品を反転させ、その裏面を上向き(裏面置き)にして印刷対象物品昇降手段(リフター)に移載し、印刷対象物品を搭載した印刷対象物品昇降手段(リフター)を下降させて印刷対象物品を搬送チェーン上にリフトダウンすることを特徴とする請求項3又は4に記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項11】
前記印刷対象物品昇降手段(リフター)は、前記反転部及び印刷部の2本一組の搬送チェーンの内側に設置され、印刷対象物品を載置する載置板を昇降させるため、「X字」状に交叉した2本の棒状の部材の交点に回転軸部材を設けた構造部材を左右の2組設け、「X字」状に交叉した2本の一組の棒状の部材の上部(二組4個所)に前記載置板を設置する構造であり、前記「X字」状に交叉した2本の一組の棒状の部材が水平方向に開くと載置板は下降し、水平方向に閉じると上昇することを特徴とする請求項3、4又は10に記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。
【請求項12】
前記印刷対象物品は、タイヤであることを特徴とする請求項1、3、5〜11のいずれか一項に記載のドーナツ型(リング型)物品用インクジェット印刷装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−136024(P2012−136024A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22998(P2012−22998)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2008−306059(P2008−306059)の分割
【原出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】