説明

ナノワイヤデバイスの製造方法

【課題】半導体の接合や商品設計の面で優れた自由度を得ることができるナノワイヤデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板1の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体2を形成する。ナノワイヤ状半導体2の間隙に充填剤5を充填してナノワイヤ状半導体2を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を形成する。半導体基板6から、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を剥離して、ナノワイヤ状半導体アレイ9,10,11,13,14,15を形成する。ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6の剥離は、充填剤5上に支持基板8を形成した後、外力により行う。又は、充填剤5の熱収縮応力によりナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を剥離した後、充填剤5上に支持基板8を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノワイヤデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体基板の表面に、結晶を略垂直にエピタキシャル成長させることにより複数のナノワイヤ状半導体を形成したナノワイヤ状半導体アレイが知られている(例えば非特許文献1参照)。前記ナノワイヤ状半導体アレイは、太陽電池、発光デバイス、トランジスタ、各種センサ等のデバイスとしての応用が検討されている。尚、本願では、前記ナノワイヤ状半導体アレイを備えるデバイスを、「ナノワイヤデバイス」と記載する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】本久順一、福井孝志、「半導体ナノワイヤとナノデバイス応用」、応用物理、第75巻、第3号、2006、pp.296−302
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のナノワイヤデバイスは、製造の際に半導体基板の表面にナノワイヤ状半導体を形成するので、該半導体基板がそのまま支持基板となり、半導体の接合や商品設計の面で制約を受けるという不都合がある。
【0005】
本発明は、かかる不都合を解消して、半導体の接合や商品設計の面で優れた自由度を得ることができるナノワイヤデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法の第1の態様は、半導体基板の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成する工程と、該ナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成する工程と、該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体の該半導体基板と反対側の面に支持基板を形成する工程と、該半導体基板から、外力により該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離して、該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体及び該支持基板を備えるナノワイヤ状半導体アレイを形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、まず、半導体基板の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて形成した複数のナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成する。次に、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体の前記半導体基板と反対側の面に支持基板を形成し、該半導体基板から、外力により該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離する。
【0008】
この結果、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体及び前記支持基板を備えるナノワイヤ状半導体アレイを形成することができ、該ナノワイヤ状半導体アレイをナノワイヤデバイスとして用いることができる。本発明の第1の態様により得られるナノワイヤデバイスは、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体に前記半導体基板とは異なる支持基板を形成するので、該支持基板として所望の材料を用いることができ、半導体の接合や商品設計の面で優れた自由度を得ることができる。
【0009】
また、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法の第1の態様は、前記ナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成した後、前記半導体基板と反対側の該充填剤の一部を除去して、該ナノワイヤ状半導体の先端を露出させる工程と、露出された該ナノワイヤ状半導体の先端に接続される電極を形成する工程と、該電極上に前記支持基板を形成する工程とを備えることが好ましい。
【0010】
このようにすることにより、本発明の第1の態様では、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体と前記支持基板との間に、所望の材料からなる電極を介在させることができる。
【0011】
一方、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法の第2の態様は、半導体基板の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成する工程と、該ナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成する工程と、該充填剤を熱収縮させ、該半導体基板から、該充填剤の熱収縮応力により該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離して、該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を備えるナノワイヤ状半導体アレイを形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、まず、半導体基板の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて形成した複数のナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成する。次に、充填剤を熱収縮させ、前記半導体基板から、前記充填剤の熱収縮応力により前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離する。
【0013】
この結果、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体からなるナノワイヤ状半導体アレイを形成することができ、該ナノワイヤ状半導体アレイをナノワイヤデバイスとして用いることができる。本発明の第2の態様によれば、前記充填剤の熱収縮応力により前記半導体基板から前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離するので、該充填剤を熱収縮させればよく、該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体に外力を加える必要がない。従って、前記半導体基板から前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離する操作を容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法の第2の態様は、前記ナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成した後、該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体の前記半導体基板と反対側の面に熱収縮性材料層を形成する工程とを備えることが好ましい。
【0015】
このようにすることにより、本発明の第2の態様では、前記充填剤を熱収縮させて前記半導体基板から前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離する際に、前記熱収縮性材料層も熱収縮させることができる。従って、前記充填剤の熱収縮応力に加えて、前記熱収縮性材料層の熱収縮応力も作用させることができ、前記半導体基板から前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離する操作をより容易に行うことができる。
【0016】
また、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法の第2の態様は、前記ナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成した後、前記半導体基板と反対側の該充填剤の一部を除去して、該ナノワイヤ状半導体の先端を露出させる工程と、露出された該ナノワイヤ状半導体の先端に接続される電極を形成し、該電極を備えるナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成する工程とを備えることが好ましい。
【0017】
このようにすることにより、本発明の第2の態様では、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体に、所望の材料からなる電極を設けることができる。前記電極は、熱収縮性材料からなるものであってもよく、この場合には、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体の前記半導体基板と反対側の面に前記熱収縮性材料層を形成するときと同一の効果を奏することができる。
【0018】
一方、前記電極が熱収縮性材料ではない場合には、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法の第2の態様は、該電極上に熱収縮性材料層を形成する工程とを備えることが好ましい。このようにすることにより、本発明の第2の態様では、熱収縮性材料ではない電極を形成する場合にも、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体の前記半導体基板と反対側の面に前記熱収縮性材料層を形成するときと同一の効果を奏することができる。
【0019】
また、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法の第2の態様は、前記ナノワイヤ状半導体アレイの最外層に支持基板を形成する工程とを備えることが好ましい。
【0020】
本発明の第2の態様により得られるナノワイヤデバイスは、前記支持基板を形成することにより、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体に前記半導体基板とは異なる支持基板を形成することができる。従って、前記支持基板として所望の材料を用いることができ、半導体の接合や商品設計の面で優れた自由度を得ることができる。
【0021】
前記支持基板は、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体の前記半導体基板から剥離される面の反対側に設けられてもよく、該半導体基板から剥離される面に設けられてもよい。
【0022】
また、前記支持基板は、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体が前記熱収縮性材料層のみ、または前記電極と該熱収縮性材料層とを備える場合には、該熱収縮性材料層上に設けられてもよい。さらに、前記支持基板は、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体が前記電極のみを備える場合には、該電極上に設けられてもよい。
【0023】
本発明のナノワイヤデバイスの製造方法は、前記いずれかの態様において、前記半導体基板の表面に、該半導体基板と異なる材料からなる結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成する工程を備えることが好ましい。このようにすることにより、前記半導体基板と前記ナノワイヤ状半導体とはヘテロ接合されることとなり、両者の間に歪みが形成されるので、前記半導体基板から前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離する操作をさらに容易に行うことができる。
【0024】
また、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法は、前記いずれか態様においても、前記半導体基板の表面の一部を非晶質膜で被覆し、該非晶質膜から露出している該半導体基板の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成する工程を備えることにより、前記ナノワイヤ状半導体を形成することができる。
【0025】
この場合、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法は、前記非晶質膜から露出している前記半導体基板の表面の径を前記ナノワイヤ状半導体の径よりも小径とすることが好ましい。このようにすることにより、前記半導体基板と前記ナノワイヤ状半導体との間に歪みが形成されるので、前記半導体基板から前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離する操作をさらに容易に行うことができる。
【0026】
また、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法は、前記半導体基板の表面に触媒金属を配置し、該触媒金属を介して結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成する工程を備えることによっても、前記ナノワイヤ状半導体を形成することができる。
【0027】
また、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法は、前記いずれかの態様において、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離した前記半導体基板の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成することが好ましい。このようにすることにより、本発明のナノワイヤデバイスの製造方法では、前記半導体基板を再利用することができる。
【0028】
前記半導体基板の再利用は、該半導体基板自体が高価である場合、又は該半導体基板のの表面の一部を前記非晶質膜で被覆するような繁雑な処理を必要とする場合に特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の製造方法の第1の形態を示す説明的断面図。
【図2】図1に示す半導体基板の構成を示す平面図。
【図3】図2に対応する半導体基板の走査型電子顕微鏡写真。
【図4】半導体基板に形成されたナノワイヤ状半導体の走査型電子顕微鏡写真。
【図5】半導体基板から剥離されたナノワイヤ状半導体アレイの走査型電子顕微鏡写真。
【図6】ナノワイヤ状半導体アレイが剥離された後の半導体基板の走査型電子顕微鏡写真。
【図7】再利用された半導体基板に形成されたナノワイヤ状半導体の走査型電子顕微鏡写真。
【図8】本発明の製造方法の第2の形態を示す説明的断面図。
【図9】本発明の製造方法の第3の形態を示す説明的断面図。
【図10】本発明の製造方法の第4の形態を示す説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0031】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態のナノワイヤデバイスの製造方法について説明する。
【0032】
図1(a)に示すように、本発明の第1の実施形態のナノワイヤデバイスの製造方法では、まず、半導体基板1の表面に、半導体基板1と同一材料からなる結晶をエピタキシャル成長させて、複数のナノワイヤ状半導体2を形成する。
【0033】
半導体基板1としては、例えば、Ge、Si、InP、GaAs、InAs、GaP、AlAs、InSb、GaSb、GaN、InN、AlN、3C−SiC、6H−SiC、ZnSe等の半導体からなるものを用いることができる。
【0034】
半導体基板1は、図2に示すように、三角格子状に配列された円形孔3を備える非晶質膜4により表面の一部が被覆されており、円形孔3から半導体基板1の表面が露出している。図1(a)に示すナノワイヤ状半導体2は、円形孔3に形成されている。
【0035】
ナノワイヤ状半導体2は、例えば、次のようにして形成することができる。まず、InP(111)A半導体基板1を洗浄し、SiOターゲットを備えたRFスパッタ装置を用いて、InP(111)A半導体基板1表面に非晶質SiO膜4を約20nmの厚さに成膜する。
【0036】
次に、非晶質SiO膜4上にポジレジストを塗布し、電子ビーム描画装置にInP(111)A半導体基板1をセットし、該ポジレジストにパターンを描画する。前記パターンは、例えば図2に示すように、直径100nmの円形孔3を400nmピッチで三角格子状に配列させたものとする。
【0037】
前記描画後、レジストを現像して、10%−BHF溶液にInP(111)A半導体基板1を浸漬し、円形孔3のSiOをエッチング除去する。そして、前記エッチング後、前記レジストを除去する。得られたInP(111)A半導体基板1の図2に対応する走査型電子顕微鏡写真(50000倍)を図3に示す。
【0038】
次に、非晶質SiO膜4が形成されたInP(111)A半導体基板1をMOVPE装置にセットし、チャンバーを真空排気した後にHガスに置換し、全圧が0.1atmで安定するように流量と排気速度を調整する。次に、TBP(tertialybutylphosphine)とキャリアガス(H)との混合ガス(全圧:0.1atm、TBP分圧:1.1×10−4atm)を流しながら、基板温度が660℃になるまで昇温する。
【0039】
次に、基板温度が660℃に達した後、流通ガスをTMI(trimetylindium)とTBPとキャリアガスとの混合ガスに切替え、該混合ガスを反応室に導入し、ナノワイヤ状のInP半導体2をエピタキシャル成長させる。全圧は0.1atmのままとし、TMIの分圧が4.4×10−6atm、TBPの分圧が5.5×10−5atmになるように各有機金属ガスの流量を調整する。
【0040】
20分後に流通ガスをTBPとキャリアガスとの混合ガス(全圧:0.1atm、TBP分圧:1.1×10−4atm)に切替え、p型InP半導体2のエピタキシャル成長を終了する。次に、TBPとキャリアガスとの混合ガスを流通したまま冷却し、InP(111)A半導体基板1を取り出す。
【0041】
InP(111)A半導体基板1に形成されたナノワイヤ状半導体2の走査型電子顕微鏡写真(30000倍)を図4に示す。このようにして形成されたナノワイヤ状半導体2は、例えば、高さ3000nm、直径180nmとなっている。
【0042】
次に、図1(b)に示すように、ナノワイヤ状半導体2の間隙に充填剤5を充填して、ナノワイヤ状半導体2を充填剤5に埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を形成する。充填剤5としては、例えば、BCB樹脂(ジビニルテトラメチルシロキサンベンゾシクロブテン樹脂、ダウ・ケミカル社製、商品名:シクロテン3022−35)、SiO、SiOF、Si−H含有SiO、SiOC、メチル基含有SiO、ポリイミド系高分子膜、パラキシリレン系高分子膜、フッ素ドープ非晶質カーボン、芳香族炭化水素系高分子、ポリアリルエーテル系材料、シリカガラス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドアミド、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリイソブチレン等を用いることができる。
【0043】
充填剤5として、前記BCB樹脂を用いる場合には、例えばスピンコートで塗布することによりナノワイヤ状半導体2の間隙に充填した後、不活性ガス雰囲気下、例えば250℃の温度で1時間アニール処理を行うことにより硬化させることができる。
【0044】
次に、図1(c)に示すように、半導体基板1と反対側の充填剤5の一部を除去してナノワイヤ状半導体2の先端を露出させる。充填剤5の一部の除去は、例えば、充填剤5が前記BCB樹脂である場合、CFとOとの混合ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)処理によって、過剰に塗布されたBCB樹脂をエッチングすることにより行うことができる。この結果、ナノワイヤ状半導体2の先端を、例えば、150nmだけ露出させる。
【0045】
次に、図1(d)に示すように、露出されたナノワイヤ状半導体2の先端に接続される電極7を形成する。電極7は、例えば、ITOにより形成することができる。ITOからなる電極7は、例えば、ITOターゲットを備えたRFスパッタ装置を用いて、製膜することができる。
【0046】
次に、図1(e)に示すように、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6の半導体基板1と反対側の面に形成されている電極7上に支持基板8を形成する。支持基板8としては、SiO、InP、GaAs、InAs、GaP、AlAs、GaSb等からなるものを用いることができる。支持基板8は、例えば、SiOからなる場合には導電性カーボン両面接着テープを用いて電極7に接着することにより、電極7上に形成することができる。
【0047】
次に、図1(e)に示すように、半導体基板1とナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6とに、互いに離間させる方向に作用する外力を印加し、半導体基板1からナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を剥離する。この結果、図1(f)に示すように、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6と支持基板8との間に電極7が介在されているナノワイヤ状半導体アレイ9を得ることができる。
【0048】
得られたナノワイヤ状半導体アレイ9の走査型電子顕微鏡写真を図5(a)及び図5(b)に示す。図5(a)は15000倍であり、図5(b)は50000倍である。尚、図5(a)に電極7をITO層として示す。
【0049】
次に、ナノワイヤ状半導体アレイ9が剥離された半導体基板1を超音波洗浄する。前記超音波洗浄は、汎用の超音波洗浄装置であればどのようなものを用いて行ってもよいが、例えば20〜100kHzの範囲の周波数で、0.5〜10W/cmの強度のものを用いることができる。前記超音波洗浄は、前記範囲の周波数及び強度で、ブタノール中で20分間、イソプロパノール中で10分間、エタノール中で10分間、この順に洗浄した後、さらに超純水中で20分間行うことができる。
【0050】
ナノワイヤ状半導体アレイ9が剥離され、前記超音波洗浄により洗浄された後の半導体基板1の走査型電子顕微鏡写真を図6(a)及び図6(b)に示す。図6(a)は70000倍であり、図6(b)は200000倍である。
【0051】
前記のようにして超音波洗浄された半導体基板1は、ナノワイヤ状半導体2の形成に再利用することができる。次に、前記超音波洗浄後の半導体基板1に、前述の方法と全く同一にして形成されたナノワイヤ状半導体2の走査型電子顕微鏡写真(30000倍)を図7に示す。図7から、再利用の半導体基板1に形成されたナノワイヤ状半導体2は、バージンの半導体基板1に形成された図4に示すナノワイヤ状半導体2に対し何ら遜色が無く、半導体基板1は、再利用に供することが可能であることが明らかである。
【0052】
図1に示す第1の実施形態の製造方法では、図1(c)及び図1(d)に示す工程を省略し、図1(b)に示すナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6の半導体基板1と反対側の面に、支持基板8を直接形成するようにしてもよい。この場合には、図1(g)に示すように、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6と支持基板8とからなるナノワイヤ状半導体アレイ10を得ることができる。
【0053】
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施形態のナノワイヤデバイスの製造方法について説明する。
【0054】
図8(a)に示すように、本発明の第2の実施形態のナノワイヤデバイスの製造方法では、まず、半導体基板1の表面に、半導体基板1と同一材料からなる結晶をエピタキシャル成長させて、複数のナノワイヤ状半導体2を形成する。
【0055】
半導体基板1としては、例えば、Ge、Si、InP、GaAs、InAs、GaP、AlAs、InSb、GaSb、GaN、InN、AlN、3C−SiC、6H−SiC等の半導体からなるものを用いることができる。前記半導体は、2.6〜6.7ppm/℃の範囲の線膨張係数を備えている。
【0056】
ナノワイヤ状半導体2は、図1(a)に示す第1の実施形態の場合と同様にして形成することができる。尚、InPは4.5ppm/℃の線膨張係数(熱収縮率)を備えている。
【0057】
次に、図8(b)に示すように、ナノワイヤ状半導体2の間隙に充填剤5を充填して、ナノワイヤ状半導体2を充填剤5に埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を形成する。
【0058】
充填剤5としては、例えば、BCB樹脂(ジビニルテトラメチルシロキサンベンゾシクロブテン樹脂、ダウ・ケミカル社製、商品名:シクロテン3022−35)、SiO、SiOF、Si−H含有SiO、SiOC、メチル基含有SiO、ポリイミド系高分子膜、パラキシリレン系高分子膜、テトラフルオロエチレン系高分子膜、フッ素ドープ非晶質カーボン、芳香族炭化水素系高分子、ポリアリルエーテル系材料、シリカガラス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドアミド等を用いることができる。
【0059】
充填剤5として、前記BCB樹脂を用いる場合には、例えばスピンコートで塗布することによりナノワイヤ状半導体2の間隙に充填した後、不活性ガス雰囲気下、例えば250℃の温度で1時間アニール処理を行うことにより硬化させることができる。尚、前記BCB樹脂は、52.0ppm/℃の線膨張係数(熱収縮率)を備えている。
【0060】
次に、半導体基板1及びナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を加熱し、充填剤5を熱収縮させる。このようにすると、充填剤5としての前記BCB樹脂は、半導体基板1としてのInPよりも線膨張係数(熱収縮率)が大きいので、図8(c)に示すように、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6が半導体基板1から離間する部分ほど大きく収縮する。この結果、半導体基板1からナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6が剥離される。
【0061】
前記充填剤5を熱収縮させる操作は、例えば、半導体基板1及びナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を窒素気流中、400℃まで加熱し、400℃の温度に5分間保持した後、室温まで冷却することにより行うことができる。
【0062】
次に、図8(d)に示すように、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6の剥離面6aと反対側の面に支持基板8を形成することにより、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6と支持基板8とからなるナノワイヤ状半導体アレイ11を得ることができる。支持基板8としては、図1(e)に示す第1の実施形態の場合と同一の材料を用いることができる。支持基板8は、例えば、SiOからなる場合には導電性カーボン両面接着テープを用いて充填剤5に接着することにより、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6上に形成することができる。
【0063】
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施形態のナノワイヤデバイスの製造方法について説明する。
【0064】
図9(a)に示すように、本発明の第3の実施形態のナノワイヤデバイスの製造方法では、まず、半導体基板1の表面に、半導体基板1と同一材料からなる結晶をエピタキシャル成長させて、複数のナノワイヤ状半導体2を形成する。
【0065】
半導体基板1としては、例えば、図8(a)に示す第2の実施形態の場合と同一の半導体からなるものを用いることができ、ナノワイヤ状半導体2は、図1(a)に示す第1の実施形態の場合と同様にして形成することができる。
【0066】
次に、図9(b)に示すように、ナノワイヤ状半導体2の間隙に充填剤5を充填して、ナノワイヤ状半導体2を充填剤5に埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を形成する。充填剤5としては、図8(b)に示す第2の実施形態の場合と同一の材料を用いることができる。
【0067】
次に、図9(c)に示すように、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6の半導体基板1と反対側の面に、熱収縮性材料層12を形成する。熱収縮性材料層12としては、Ag、Al、Mn、Zn、Au、Ti等の金属からなる被膜として形成することができる。前記金属は、10〜31ppm/℃の範囲の線膨張係数(熱収縮率)を備えている。前記熱収縮性材料層12は前記金属のいずれか1種からなる被膜であってもよく、Ti/Au金属多層膜等の前記金属の2種以上を組み合わせた被膜であってもよい。
【0068】
Ti/Au金属多層膜からなる熱収縮性材料層12は、例えば、次のようにして製膜することができる。まず、反応性イオンエッチング(RIE)処理によって、ナノワイヤ状半導体2の先端を150nmだけ露出させたナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を真空蒸着装置に装着する。次に、前記真空蒸着装置の試料室内を真空排気した後、電子ビーム蒸着により、厚さ500ÅのTi膜を形成し、続いて抵抗加熱蒸着により、厚さ500ÅのAu膜を形成する。
【0069】
次に、半導体基板1及びナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を加熱し、充填剤5及び熱収縮性材料層12を熱収縮させる。このようにすると、図9(d)に示すように、充填剤5の熱収縮応力に加えて、熱収縮性材料層12の熱収縮応力が作用するので、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6が半導体基板1から離間する部分ほど大きく収縮する。この結果、半導体基板1からナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6が、容易に剥離される。
【0070】
前記充填剤5及び熱収縮性材料層12を熱収縮させる操作は、例えば、次にようにして行うことができる。まず、半導体基板1及びナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を赤外加熱炉内に設けられたカーボンサセプタ上に配置する。次に、前記赤外加熱炉内を真空排気した後、室温から400℃まで2分間で昇温し、400℃の温度に1分間保持した後、室温まで冷却する。このようにすることにより、Ti/Au金属多層膜からなる熱収縮性材料層12をTi/Au界面で合金化させ、体積を収縮させることができる。
【0071】
次に、図9(e)に示すように、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6の剥離面6aと反対側の面に形成されている熱収縮性材料層12上に支持基板8を形成する。このようにすることにより、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6と熱収縮性材料層12と支持基板8とからなるナノワイヤ状半導体アレイ13を得ることができる。
【0072】
支持基板8としては、図1(e)に示す第1の実施形態の場合と同一の材料を用いることができる。支持基板8は、例えば、SiOからなる場合には導電性カーボン両面接着テープを用いて熱収縮性材料層12に接着することにより形成することができる。
【0073】
次に、図10を参照して、本発明の第4の実施形態のナノワイヤデバイスの製造方法について説明する。
【0074】
図10(a)に示すように、本発明の第4の実施形態のナノワイヤデバイスの製造方法では、まず、半導体基板1の表面に、半導体基板1と同一材料からなる結晶をエピタキシャル成長させて、複数のナノワイヤ状半導体2を形成する。
【0075】
半導体基板1としては、例えば、図8(a)に示す第2の実施形態の場合と同一の半導体からなるものを用いることができ、ナノワイヤ状半導体2は、図1(a)に示す第1の実施形態の場合と同様にして形成することができる。
【0076】
次に、図10(b)に示すように、ナノワイヤ状半導体2の間隙に充填剤5を充填して、ナノワイヤ状半導体2を充填剤5に埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を形成する。充填剤5としては、図8(b)に示す第2の実施形態の場合と同一の材料を用いることができる。
【0077】
次に、図10(c)に示すように、半導体基板1と反対側の充填剤5の一部を除去してナノワイヤ状半導体2の先端を露出させる。充填剤5の一部の除去は、例えば、図1(c)に示す第1の実施形態の場合と同様にして行うことができる。
【0078】
次に、図10(d)に示すように、露出されたナノワイヤ状半導体2の先端に接続される電極7を形成する。電極7は、例えば、ITOにより形成することができる。ITOからなる電極7は、例えば、ITOターゲットを備えたRFスパッタ装置を用いて、製膜することができる。
【0079】
次に、図10(e)に示すように、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6の半導体基板1と反対側の面に形成されている電極7上に、熱収縮性材料層12を形成する。熱収縮性材料層12としては、図9(c)に示す第3の実施形態の場合と同一の材料を用い、第3の実施形態の場合と同一にして製膜することができる。
【0080】
次に、半導体基板1及びナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を加熱し、充填剤5及び熱収縮性材料層12を熱収縮させる。このようにすると、図10(f)に示すように、充填剤5の熱収縮応力に加えて、熱収縮性材料層12の熱収縮応力が作用するので、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6が半導体基板1から離間する部分ほど大きく収縮する。この結果、半導体基板1からナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6が、容易に剥離される。
【0081】
前記充填剤5及び熱収縮性材料層12を熱収縮させる操作は、図9(d)に示す第3の実施形態の場合と同様にして行うことができる。
【0082】
次に、図10(g)に示すように、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6の剥離面6aと反対側の面に形成されている熱収縮性材料層12上に支持基板8を形成する。このようにすることにより、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6と電極7と熱収縮性材料層12と支持基板8とからなるナノワイヤ状半導体アレイ14を得ることができる。
【0083】
支持基板8としては、図1(e)に示す第1の実施形態の場合と同一の材料を用いることができる。支持基板8は、例えば、SiOからなる場合には導電性カーボン両面接着テープを用いて熱収縮性材料層12に接着することにより形成することができる。
【0084】
図10に示す第4の実施形態の製造方法では、電極7がITO等の熱収縮性材料からなる場合には、図10(e)に示す工程を省略してもよい。この場合には、熱収縮性材料からなる電極7が熱収縮性材料層12と同様の作用を示し、半導体基板1からナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6が、容易に剥離される。そして、図10(h)に示すように、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6と電極7と支持基板8とからなるナノワイヤ状半導体アレイ15を得ることができる。
【0085】
前記各実施形態の製造方法で得られたナノワイヤ状半導体アレイ9,10,11,13,14,15は、いずれもナノワイヤデバイスとして、太陽電池、発光デバイス、トランジスタ、各種センサ等に用いることができる。
【0086】
尚、前記各実施形態の製造方法では、半導体基板1の表面に、半導体基板1と同一材料からなる結晶をエピタキシャル成長させて、ナノワイヤ状半導体2を形成しているが、ナノワイヤ状半導体2は半導体基板1と異なるからなるものであってもよい。この場合には、半導体基板1とナノワイヤ状半導体2とがヘテロ接合されることとなり、両者の間に歪みが形成されるので、半導体基板1からナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を剥離する操作をさらに容易に行うことができる。
【0087】
半導体基板1と異なる材料からなる結晶のうち、格子整合系ヘテロ結合を形成するものとしては、次のものを用いることができる。まず、半導体基板1がGaAsである場合には、AlGa1−XAs(0<x≦1)、GaIn1−xAs1−y(x≒(1+y)/2.08)、In0.49Ga0.51P、Ge等を用いることができる。また、半導体基板1がGaPである場合には、AlGa1−XP(0<x≦1)等を用いることができ、半導体基板1がInPである場合には、GaIn1−xAs1−y(x≒0.1894y/(0.4184−0.013y)、Ga0.47In0.53As等を用いることができる。また、半導体基板1がZnSeである場合には、GaIn1−xAs1−y(x≒(1.06+y)/2.06)等を用いることができ、半導体基板1がGaSbである場合には、GaIn1−xAsSb1−y(y=(0.3835−0.3835x)/0.4210+0.216x)等を用いることができる。
【0088】
さらに、GaInNAs、GaInNP、AlInNP、GaNAsSb、GaNP、GaNPAs等の混晶材料を用いて前記格子整合系ヘテロ結合を形成するようにしてもよい。
【0089】
また、半導体基板1と異なる材料からなる結晶のうち、格子不整合系ヘテロ結合を形成するものとしては、前記格子整合系ヘテロ結合を形成するもの以外の全てのものを用いることができる。例えば、半導体基板1がGaAsである場合には、InP、InAs、GaP、InGaP(In≠0.49)、InGaAs等を用いることができる。また、半導体基板1がInPである場合には、InAs、GaP、InGaAs(In≠0.49)、InGaP等を用いることができる。また、半導体基板1がGaPである場合には、InAs等を用いることができる。また、半導体基板1がSiである場合には、GaAs、InAs、InP、GaP、Ge、InGaAs、InGaP等を用いることができる。また、半導体基板1がGeである場合には、InAs、InP、GaP等を用いることができる。
【0090】
また、前記各実施形態の製造方法において、半導体基板1の表面の一部を被覆する非晶質膜4の円形孔3の径をナノワイヤ状半導体2の径よりも小径にしてもよい。この場合には、半導体基板1とナノワイヤ状半導体2との間に、直径の差に由来する歪みが形成されるので、半導体基板1からナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を剥離する操作をさらに容易に行うことができる。
【0091】
また、前記各実施形態の製造方法では、半導体基板1の表面の一部を被覆する非晶質膜4を形成し、非晶質膜4の円形孔3に露出する半導体基板1の表面に結晶をエピタキシャル成長させることによりナノワイヤ状半導体2を形成している。しかし、半導体基板1の表面に非晶質膜4を形成する代わりに触媒金属を配置し、該触媒金属を介して結晶をエピタキシャル成長させるようにしてもよい。
【0092】
また、前記各実施形態の製造方法では、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体6を剥離した半導体基板1の表面にナノワイヤ状半導体2を形成することにより、該半導体基板1を複数回再利用することができる。前記半導体基板1の再利用は、半導体基板1自体がGaAs、InP、InAs等の化合物半導体からなる高価なものである場合、又は半導体基板1の表面を非晶質膜4で被覆し、非晶質膜4にリソグラフィーにより円形孔4を形成するような繁雑な処理を必要とする場合に特に有利である。
【符号の説明】
【0093】
1…半導体基板、 2…ナノワイヤ状半導体、 4…非晶質膜、 5…充填剤、 6…ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体、 7…電極、 8…支持基板、 9,10,11,13,14,15…ナノワイヤ半導体アレイ、 12…熱収縮材料層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成する工程と、
該ナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成する工程と、
該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体の該半導体基板と反対側の面に支持基板を形成する工程と、
該半導体基板から、外力により該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離して、該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体及び該支持基板を備えるナノワイヤ状半導体アレイを形成する工程とを備えることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のナノワイヤデバイスの製造方法において、
前記ナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成した後、前記半導体基板と反対側の該充填剤の一部を除去して、該ナノワイヤ状半導体の先端を露出させる工程と、
露出された該ナノワイヤ状半導体の先端に接続される電極を形成する工程と、
該電極上に前記支持基板を形成する工程とを備えることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項3】
半導体基板の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成する工程と、
該ナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成する工程と、
該充填剤を熱収縮させ、該半導体基板から、該充填剤の熱収縮応力により該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離して、該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を備えるナノワイヤ状半導体アレイを形成する工程とを備えることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のナノワイヤデバイスの製造方法において、
前記ナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成した後、該ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体の前記半導体基板と反対側の面に熱収縮性材料層を形成する工程とを備えることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項5】
請求項3記載のナノワイヤデバイスの製造方法において、前記ナノワイヤ状半導体の間隙に充填剤を充填して該ナノワイヤ状半導体を埋設し、ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成した後、前記半導体基板と反対側の該充填剤の一部を除去して、該ナノワイヤ状半導体の先端を露出させる工程と、
露出された該ナノワイヤ状半導体の先端に接続される電極を形成し、該電極を備えるナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を形成する工程とを備えることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載のナノワイヤデバイスの製造方法において、前記電極上に熱収縮性材料層を形成する工程とを備えることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項3乃至請求項6のいずれか1項記載のナノワイヤデバイスの製造方法において、前記ナノワイヤ状半導体アレイの最外層に支持基板を形成する工程とを備えることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のナノワイヤデバイスの製造方法において、前記半導体基板の表面に、該半導体基板と異なる材料からなる結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成する工程を備えることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のナノワイヤデバイスの製造方法において、前記半導体基板の表面の一部を非晶質膜で被覆し、該非晶質膜から露出している該半導体基板の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成する工程を備えることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9記載のナノワイヤデバイスの製造方法において、前記非晶質膜から露出している前記半導体基板の表面の径を前記ナノワイヤ状半導体の径よりも小径とすることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のナノワイヤデバイスの製造方法において、前記半導体基板の表面に触媒金属を配置し、該触媒金属を介して結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成する工程を備えることを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載のナノワイヤデバイスの製造方法において、前記ナノワイヤ状半導体−充填剤複合体を剥離した前記半導体基板の表面に、結晶をエピタキシャル成長させて複数のナノワイヤ状半導体を形成することを特徴とするナノワイヤデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−56015(P2012−56015A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201329(P2010−201329)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】