説明

ナビゲーションシステム、経路探索サーバおよび端末装置ならびに経路探索条件設定方法

【課題】地図上の所望の地点を指定して出発地、経由地、目的地を設定し、経路探索条件とする際に、利用する道路種別を容易に決定して出発地、経由地を当該決定した道路上に設定できるようにする。
【解決手段】ナビゲーションシステム10は、表示手段26に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索手段32と、道路検索手段32により検索された道路を前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する検索道路リスト化手段33と、を備え、検索道路リスト化手段33によりリスト化された道路を、前記指定された地点から距離の近い順に、所定の道路属性の道路を優先して順次表示手段26に表示し、出発地または目的地または経由地として表示された道路を選択することにより道路上に経由地等を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の出発地、経由地、目的地などの経路探索条件を設定して出発地から経由地を経由して目的地に至る最適経路や複数の候補を探索して案内するナビゲーションシステムに関するものであり、特に、地図上の所望の地点を指定して出発地、経由地、目的地を設定し、経路探索条件とする際に、地図上で指定された地点を含む所定範囲の道路をその地点からの距離に応じて順次検索し、高速道路や一般道などの道路種別を示す属性情報とともにリスト化し、所定の優先順位に従って利用者に提示して選択できるようにしたナビゲーションシステム、経路探索サーバおよび端末装置ならびに経路探索条件設定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られている。このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信型のナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
このようなナビゲーションシステムにおいて経路探索条件としては少なくとも出発地と目的地を設定する。また、途中に立ち寄りたい経由地がある場合には、その地点を経由地として設定し、出発地から経由地を経由して目的地に至る最適経路や複数の候補経路を探索する。これらの地点を設定するためには、通常は、経路探索条件入力画面を表示し、地点の名称や住所(所在場所)、電話番号を入力する方法、表示画面に地図を表示して地図上の所望地点をカーソル選択して設定する方法などが採られる。
【0007】
出発地、経由地、目的地は、一般的には特定の施設の場所や興味対象場所(POI:Point of Interest)の場所を設定するが、施設やPOIに最も近い道路上のリンクやノードの位置が経路探索上の当該施設やPOIの場所として用いられることもある。また、自動車を移動手段としてナビゲーションシステムが探索した案内経路を移動する場合、高速道路や有料道路を利用するか、あるいは一般道路を利用するかは、旅行目的や利用者によってその都度異なる。
【0008】
従って、経路探索条件の1つとして、利用する道路種別を設定する操作が必要になる場合もある。出発地や経由地を地図上で指定して、道路上に当該出発地や経由地を設定する際に、利用者が利用する道路種別を設定できるようにしたナビゲーションシステムも提案されている。
【0009】
例えば、下記の特許文献2(特許3861693号公報)には、地図上において地点を設定する地点設定手段と、地点設定手段により設定した地点に対して道路を検索する制御手段と、検索された道路に対して経路案内を行う経路案内手段とを備え、制御手段で検索された道路が高速道路または有料道路である場合に、制御手段は、高速道路または有料道路上に通過点を設定する旨の選択キー及び設定しない旨の選択キーを表示し、使用者に選択させるようにした車両用ナビゲーション装置の発明が開示されている。
【0010】
この車両用ナビゲーション装置においては、表示画面に表示された地図上で所望の地点を指定する場合、同心円上に複数のカーソルマークを表示し、所望のカーソルマークを移動させて地図をスクロールし、指定したい位置にある道路上にカーソルを置いて選択操作することによって地点設定する。カーソルが複数の道路に跨がる場合には、それらの道路が高速道路や有料道路である場合があり、その場合はユーザに高速道路や有料道路を所望地点とした設定とするか否かを問い合わせするように構成されている。
【0011】
また、下記の特許文献3(特開2002−22469号公報)には、有料道路やフェリーなどの自走しない経路などに代表される一般道路以外の特殊経路を案内経路に含めるか否か、ユーザの意図する案内経路を簡単な操作で設定できるようにした経路設定装置の発明が開示されている。この経路設定装置は、特殊経路を含む案内経路の計算を行い、その後、計算した経路に特殊経路が含まれている場合には、その旨を報知し、特殊経路の報知と共に、当該経路が案内経路に含まれてもよいかをユーザに問い合わせるように構成されている。また、この経路設定装置においては、問い合わせに対するユーザ入力を判断して記憶し、了承されない経路があれば、該当する経路のコストを相対的に大きくして、案内経路を自動的に再計算するように構成されている。
【0012】
【特許文献1】特開2001−165681号公報
【特許文献2】特許第3861693号公報(図7、段落[0023]、[0024])
【特許文献3】特開2002−22469号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献2に開示されたナビゲーション装置においては、所望のカーソルマークを移動させて地図をスクロールし、指定したい位置にある道路上にカーソルを置いて選択操作することによって地点設定する際に、カーソルが複数の道路に跨がり、それらの道路に高速道路や有料道路である場合、ユーザに高速道路や有料道路を所望地点とした設定とするか否かを問い合わせするものであるから、ユーザは一定の範囲にある道路上の地点しか出発地や経由地として選択できないという問題点があった。
【0014】
また、上記特許文献3に開示された発明においては、地点設定に関するものではないが、先ず、有料道路やフェリーなどの自走しない経路などに代表される一般道路以外の特殊経路を含む経路探索を行い、探索の結果により得た誘導経路に特殊経路が含まれる場合に当該特殊経路を使用するか否かをユーザに問い合わせ、ユーザがこの誘導経路を承認しない場合は、その経路コストを調整して経路を再探索するから、経路探索が無駄になる場合が生じ、経路探索の処理負荷が増大するという問題点があった。
【0015】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、地図上で指定された地点を含む所定範囲の道路をその地点からの距離に応じて順次検索し、高速道路や一般道などの道路種別を示す属性情報とともにリスト化し、所定の優先順位に従って利用者に提示して選択できるようになせば上記問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0016】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、地図上の所望の地点を指定して出発地、経由地、目的地を設定し、経路探索条件とする際に、利用する道路種別を容易に決定して出発地、経由地を当該決定した道路上に設定することができるようにしたナビゲーションシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
少なくとも出発地と目的地とを含む経路探索条件に基づいて経路探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段と、出発地と目的地と経由地の何れかを含む経路探索条件を設定する条件設定手段と、地図画像を表示する表示手段と、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションシステムは、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索手段と、道路検索手段により検索された道路を前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する検索道路リスト化手段と、を備え、
前記検索道路リスト化手段によりリスト化された道路を、前記指定された地点から距離の近い順に所定の道路属性の道路を優先して順次前記表示手段に表示し、出発地または目的地または経由地として表示された道路を選択することを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記道路検索手段は、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、所定の間隔で半径を変えて描いた同心円内の道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を繰り返すことを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記道路検索手段は、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、中心位置から連続的に距離を変化させながら螺旋状の線を描き、この線と交差する道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を行うことを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記表示手段は、予め設定された道路種別に従って、前記指定された地点から距離の近い順に、道路属性が高速道路または有料道路である道路、または、道路属性が一般道路である道路から順次前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0021】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1ないし請求項4の何れかにかかる発明において、前記ナビゲーションシステムは、探索条件編集手段を備え、該探索条件編集手段は、前記表示手段に表示された道路が選択された際、当該選択された道路のリンクまたはノードのうち、前記指定された地点から最も距離の近いリンクまたはノードを出発地または目的地または経由地の何れか指定された地点として経路探索条件を編集することを特徴とする。
【0022】
また、本願の請求項6にかかる発明は、
少なくとも出発地と目的地と経由地の何れかを含む経路探索条件を設定する条件設定手段と、地図画像を表示する表示手段とを備えた端末装置にネットワークを介して接続され、前記出発地と目的地とを含む経路探索条件に基づいて経路探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段を備えた経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索手段と、道路検索手段により検索された道路を前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する検索道路リスト化手段と、を備え、
前記検索道路リスト化手段によりリスト化された道路データを、前記端末装置に送信することを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項6にかかる発明において、前記道路検索手段は、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、所定の間隔で半径を変えて描いた同心円内の道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を繰り返すことを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項6にかかる発明において、前記道路検索手段は、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、中心位置から連続的に距離を変化させながら螺旋状の線を描き、この線と交差する道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を行うことを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項9にかかる発明は、請求項6ないし請求項8の何れかにかかる発明において、前記経路探索サーバは、探索条件編集手段を備え、該探索条件編集手段は、前記表示手段に表示された道路が選択された際、当該選択された道路のリンクまたはノードのうち、前記指定された地点から最も距離の近いリンクまたはノードを出発地または目的地または経由地の何れか指定された地点として経路探索条件を編集することを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項10にかかる発明は、
少なくとも出発地と目的地とを含む経路探索条件に基づいて経路探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段を備えた経路探索サーバにネットワークを介して接続され、出発地と目的地と経由地の何れかを含む経路探索条件を設定する条件設定手段と、地図画像を表示する表示手段と、を備えた端末装置において、
前記経路探索サーバは、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索手段を備え、
前記端末装置は、前記道路検索手段により検索された道路を前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する検索道路リスト化手段と、を備え、
前記検索道路リスト化手段によりリスト化された道路を、前記指定された地点から距離の近い順に所定の道路属性の道路を優先して順次前記表示手段に表示し、出発地または目的地または経由地として表示された道路を選択することを特徴とする。
【0027】
また、本願の請求項11にかかる発明は、請求項10にかかる発明において、前記表示手段は、予め設定された道路種別に従って、前記指定された地点から距離の近い順に、道路属性が高速道路または有料道路である道路、または、道路属性が一般道路である道路から順次前記表示手段に表示することを特徴とする請求項10に記載の端末装置。
【0028】
また、本願の請求項12にかかる発明は、請求項10または請求項11にかかる発明において、前記端末装置は、探索条件編集手段を備え、該探索条件編集手段は、前記表示手段に表示された道路が選択された際、当該選択された道路のリンクまたはノードのうち、前記指定された地点から最も距離の近いリンクまたはノードを出発地または目的地または経由地の何れか指定された地点として経路探索条件を編集することを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求項13にかかる発明は、
少なくとも出発地と目的地とを含む経路探索条件に基づいて経路探索用ネットワークデータベースを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段と、出発地と目的地と経由地の何れかを含む経路探索条件を設定する条件設定手段と、地図画像を表示する表示手段と、を備えたナビゲーションシステムを用いた経路探索条件設定方法において、
前記ナビゲーションシステムは、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索手段と、道路検索手段により検索された道路を前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する検索道路リスト化手段と、を備え、
前記道路検索手段が、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索ステップと、
前記検索道路リスト化手段が、道路検索手段により検索された道路を、前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する道路リスト化ステップと、
前記検索道路リスト化手段によりリスト化された道路を、前記指定された地点から距離の近い順に所定の道路属性の道路を優先して順次前記表示手段に表示する表示ステップと、出発地または目的地または経由地として表示された道路を選択する選択ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0030】
また、本願の請求項14にかかる発明は、請求項13にかかる発明において、前記道路検索ステップは、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、所定の間隔で半径を変えて描いた同心円内の道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を繰り返す処理を含むことを特徴とする。
【0031】
また、本願の請求項15にかかる発明は、請求項13にかかる発明において、前記道路検索ステップは、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、中心位置から連続的に距離を変化させながら螺旋状の線を描き、この線と交差する道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を行う処理を含むことを特徴とする。
【0032】
また、本願の請求項16にかかる発明は、請求項13にかかる発明において、前記表示ステップは、予め設定された道路種別に従って、前記指定された地点から距離の近い順に、道路属性が高速道路または有料道路である道路、または、道路属性が一般道路である道路から順次前記表示手段に表示する処理を含むことを特徴とする。
【0033】
また、本願の請求項17にかかる発明は、請求項13ないし請求項16の何れかにかかる発明において、前記ナビゲーションシステムは、探索条件編集手段を備え、該探索条件編集手段が、前記表示手段に表示された道路が選択された際、当該選択された道路のリンクまたはノードのうち、前記指定された地点から最も距離の近いリンクまたはノードを出発地または目的地または経由地の何れか指定された地点として経路探索条件を編集する経路探索条件設定ステップを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
請求項1にかかる発明においては、ナビゲーションシステムは、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索手段と、道路検索手段により検索された道路を前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する検索道路リスト化手段と、を備え、前記検索道路リスト化手段によりリスト化された道路を、前記指定された地点から距離の近い順に所定の道路属性の道路を優先して順次前記表示手段に表示し、出発地または目的地または経由地として表示された道路を選択する。
【0035】
かかる構成によれば、地図上で指定された地点を含む所定範囲の道路をその地点からの距離に応じて順次検索し、高速道路や一般道などの道路種別を示す属性情報とともにリスト化し、所定の優先順位に従って利用者に提示して選択させるものであるから、容易に所望の地点を目的地や経由地として所望の道路上に設定することができるようになる。
【0036】
また、請求項2、請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記道路検索手段は、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、所定の間隔で半径を変えて描いた同心円内の道路を順次検索し、あるいは、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、中心位置から連続的に距離を変化させながら螺旋状の線を描き、この線と交差する道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を行う。
【0037】
かかる構成によれば、地図上で指定された地点を含む所定範囲の道路をその地点からの距離に応じて順次検索することができるようになる。
【0038】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記表示手段は、予め設定された道路種別に従って、前記指定された地点から距離の近い順に、道路属性が高速道路または有料道路である道路、または、道路属性が一般道路である道路から順次前記表示手段に表示する。
【0039】
かかる構成によれば、地図上で指定された地点から近い順に検索された各道路を、高速道路や一般道などの道路種別を示す属性情報とともに所定の優先順位に従って利用者に提示して選択させるものであるから、容易に所望の地点を目的地や経由地として所望の道路上に設定することができるようになる。
【0040】
また、請求項5にかかる発明においては、請求項1ないし請求項4の何れかにかかる発明において、ナビゲーションシステムは、探索条件編集手段を備え、該探索条件編集手段は、前記表示手段に表示された道路が選択された際、当該選択された道路のリンクまたはノードのうち、前記指定された地点から最も距離の近いリンクまたはノードを出発地または目的地または経由地の何れか指定された地点として経路探索条件を編集する。
【0041】
かかる構成によれば、地図上で指定された地点から近い順に検索された各道路を、高速道路や一般道などの道路種別を示す属性情報とともに所定の優先順位に従って利用者に提示して選択させ、当該選択された道路上に出発地や目的地あるいは経由地を設定するものであるから、容易に所望の地点を目的地や経由地として所望の道路上に設定することができるようになる。
【0042】
また、請求項6ないし請求項9にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項3、請求項5にかかるナビゲーションシステムを構成する経路探索サーバを提供することができ、請求項10ないし請求項12にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項4、請求項5にかかるナビゲーションシステムを構成する端末装置を提供することができるようになる。また、請求項13ないし請求項17にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項5にかかるナビゲーションシステムをに用いた経路探索条件設定方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーションシステムを例示するものであって、本発明をこのナビゲーションシステムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーションシステムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0044】
図1は、本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステム10の構成を示すシステム構成図である。図1に示すようにナビゲーションシステム10は、ネットワーク12を介して接続される端末装置20と経路探索サーバ30を備えて構成されている。このナビゲーションシステム10は、各種カテゴリに属するPOI(Point of Interest:興味対象場所)の所在地やサービス内容、広告などの詳細情報を提供するPOI情報配信サーバ50、地図データ、交通路線データや運行時刻表データ、音楽や各種画像などのコンテンツ、その他の情報を提供する各種の情報配信サーバ51などを備えて構成されている。
【0045】
経路探索サーバ30はPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51からネットワーク12を経由して必要なデータを取得して自身のデータベースに追加することができる。また、同様にしてPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51に検索要求を送信して所望の検索結果を取得することもできる。
【0046】
本発明にかかるナビゲーションシステム10は、上記の構成に限られるものではなく、経路探索サーバ30はナビゲーションサービス機能とともにPOI所在場所の地図を配信する地図配信サーバの機能を有していてもよい。また、端末装置20も携帯電話を用いることができ、またPDAや音楽プレイヤーや携帯ゲーム機などの携帯機器、あるいは、パーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。
【0047】
図1に示す経路探索サーバ30は、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35を備え、端末装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して経路探索する。そして経路探索の結果により得た案内経路(推奨経路)を端末装置20に送信する一般的なナビゲーション機能を有している。また、経路探索サーバ30は、POIの所在地や電話番号、住所、営業時間などのPOI情報を蓄積したPOI情報データベース36を備えている。
【0048】
経路探索サーバ30は、端末装置20から所望の地点やPOIを指定して地図データの取得要求があると、地図データベース34を参照して該当する地図データを読み出して端末装置20に配信する。端末装置20が経路探索サーバ30に経路探索を要求し、経路案内のサービスを受ける場合には、前述のように端末装置20において所望の出発地や目的地を設定し、経路探索サーバ30に経路探索要求を送信する。出発地と目的地との間に立ち寄りたい経由地がある場合は当該経由地も設定する。
【0049】
これらの地点を設定する方法としては、前述したように経路探索条件入力画面を表示し、地点の名称や住所(所在場所)、電話番号を入力する方法、表示画面に地図を表示して地図上の所望地点をカーソル選択して設定する方法などが採られる。出発地、経由地、目的地は、一般的には特定の施設の場所や興味対象場所(POI:Point of Interest)の場所を設定するが、施設やPOIに最も近い道路上のリンクやノードの位置が経路探索上の当該施設やPOIの場所として用いられることもある。
【0050】
本実施例のナビゲーションシステム10においては、経路探索条件入力画面を表示して地点を入力する方法の他に、所望エリアを指定したり、POI検索して注目POIを選択しそのPOIが所在するエリアの地図を表示し、表示された地図上で所望の地点を指定して出発地や目的地、経由地を指定することができる。
【0051】
端末装置20において表示手段26に表示された地図上でカーソル操作して所望の地点が指定されると、指定された地点の位置情報(緯度、経度)が経路探索サーバ30に送信される。経路探索サーバ30は指定された地点の位置情報に基づいて、その位置を中心に順次同心円状あるいは渦巻き状に範囲を広げながら周辺に位置する道路を検索する。そして指定された地点から近い順に、当該道路の道路種別を含む道路リストを作成する。
【0052】
指定された地点を中心とした所定の範囲内にある道路が全て検索されると、経路探索サーバ30は検索した道路リストのデータを端末装置20に送信する。端末装置20は経路探索サーバ30から受信した道路リストに基づいて、指定した地点から近い順に、また、所定の道路種別(高速道路、有料道路、国道、都道府県道、市区町村道など)毎に重みを付け、順次表示手段に表示する。
【0053】
端末装置20の利用者は順次表示される道路から所望の道路を選択する。選択された道路の情報は経路探索サーバ30に送信され、当該道路上において、先に指定された地点から最も近いリンクやノードが出発地や目的地あるいは経由地として設定当該道路上に設定される。
【0054】
このような構成によれば、端末装置20の利用者は、地図上で所望の地点を指定し、経路探索サーバ30が検索した周辺の道路を、当該地点から近い順に、また、所望の道路種別の順に道路が表示されるから、簡単に所望の道路種別の道路上に出発地や経由地を設定することができるようになる。
【0055】
以下、具体例に基づいて本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステム10を説明するが、その前に本発明にかかるナビゲーションシステム10の詳細な構成を説明する。図2は、図1のナビゲーションシステム10の詳細な構成を示す図である。端末装置20は、ナビゲーションサービスを受けることができる端末であり、制御手段201、通信手段21、GPS受信手段22、探索要求手段23、条件設定手段24、受信データ記憶手段25、表示手段26、操作入力手段27を備えて構成されている。
【0056】
一方、経路探索サーバ30は、制御手段301、通信手段31、道路検索手段32、検索道路リスト化手段33、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35、POI情報データベース36、探索条件編集手段37、探索要求記憶手段38、経路探索手段39を備えて構成されている。
【0057】
道路検索手段32は端末装置20において地図上で指定された地点の位置情報に基づいて、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35の何れか一方または両方を参照して前記地点の位置を中心に、順次同心円状あるいは渦巻き状に範囲を広げながら周辺に位置する道路を検索する。この道路検索は、中心位置(指定された地点)からの距離を所定の間隔で同心円を描いてその円の中に含まれる道路を抽出する方法、あるいは、中心位置から連続的に距離を変化させながら渦巻き状(螺旋状)の線を描き、この線と交差する道路を順次抽出する方法によって行う。
【0058】
検索道路リスト化手段33は、道路検索手段32が検索した道路を前記中心位置から近い順に、道路属性(高速道路、有料道路、国道、都道府県道などの道路種別)毎にリスト化する。所定の距離範囲内の道路が検索され、道路リスト化が終了すると、道路リストのデータは端末装置20に送信される。
【0059】
端末装置20は経路探索サーバ30から道路リストのデータを受信すると、受信データ記憶手段25に道路リストを記憶する。そしてこの道路リストに基づいて、指定した地点から近い順に、また、所定の道路種別(高速道路、有料道路、国道、都道府県道、市区町村道など)毎に重みを付け、順次表示手段26に表示する。
【0060】
端末装置20の利用者は順次表示される道路から所望の道路を選択する。選択された道路の情報は経路探索サーバ30に送信され、探索条件編集手段37は、当該道路上において、先に指定された地点から最も近いリンクやノードを出発地や目的地あるいは経由地として設定し、探索条件を編集する。経路探索手段39は、探索条件編集手段37が編集した経路探索条件に従って、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して経路を探索する。
【0061】
この時、経路探索条件の出発地や経由地は、端末装置20において出発地図上で指定された地点に基づいて前述の手順で利用者が選択した道路上のノードあるいはリンクが設定されているから、経路探索手段39が探索した経路は利用者が選択した道路種別の道路を使用した経路になる。例えば、利用者が有料道路を選択すれば、有料道路を含む経路が探索され、一般道を選択すれば有料道路を含まない一般道による経路が探索される。
【0062】
端末装置20において、制御手段201は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段21はネットワーク12を介して経路探索サーバ30などと通信データを送受信するための通信インターフェースである。
【0063】
GPS受信手段22はGPS衛星からの信号を受信して現在位置を緯度・経度で算出する。操作入力手段27は、キー、ダイヤル等からなり、端末装置20を操作するための入力を行い、また、出発地、目的地などの入力機能としても用いられる。表示手段26は液晶表示パネル等からなり、経路探索サーバ30から配信(送信)された案内経路や推奨経路あるいは地図の表示に使用されるものである。また、表示手段26はメニュー画面を表示し端末装置20を操作するための入力手段としても機能する。
【0064】
経路探索サーバ30から端末装置20に送信される案内経路、推奨経路などの案内データは地図データとともに受信データ記憶手段25に記憶され、受信データ記憶手段25に記憶された案内経路などの案内データや地図データは、必要に応じて読み出され、表示手段26に表示される。
【0065】
図3、図4は、経路探索条件入力画面の一例を示す図である。探索要求手段23は、操作入力手段27により入力された条件や操作に基づいて経路探索要求を経路探索サーバ30に送信する。経路探索サーバ30に経路探索要求する場合には、一般的な端末装置20と同様に、図3、図4に示すように表示手段26に表示されたメニューから、あるいは、操作入力手段から所望の出発地、目的地を設定して経路探索サーバ30に送信する。
【0066】
図3、図4に示す経路探索条件入力画面300には、出発地入力欄302、目的地入力欄303、移動手段入力欄304、経路地設定の有無入力欄305、306、すなわち、経由地設定の有無をチェックするチェックボックス305、306、探索開始ボタン308が設けられている。
【0067】
出発地と目的地の設定は、出発地入力欄302、目的地入力欄303に住所や電話番号あるいは駅名称、ビル名称などの地点名称、緯度・経度などを入力して設定する。すなわち、この入力欄は、原則としてフリーワードで入力可能であるが、住所、電話番号、POIの名称などで設定することできる。これらの入力にはPOI検索の結果を保存して利用することができる。
【0068】
また、出発地入力欄302、目的地入力欄303のプルダウンボタンを操作してプルダウンメニューを表示させこれまでに端末装置20に登録した経路探索履歴や登録地点を呼び出して設定することもできる。この操作で地図表示を選択して地図を表示させ、地図上の所望地点をカーソルで指定して出発地や目的地を設定することができる。
【0069】
出発地、目的地の他、経路探索条件に経由地を設定する場合には、経由地設定「あり」のチェックボックス305にチェックを入れる。経由地を設定しない場合は、「なし」のチェックボックス306にチェックを入れる。図3は経由地を設定する場合、図4は経由地を設定しない場合を示している。
【0070】
経由地の設定「あり」のチェックボックス305にチェックを入れると経由地入力画面に遷移する。経由地入力画面には、出発地入力欄302などと同様の経由地入力欄の他に地図から入力する選択項目が表示される。この入力画面で地図表示を選択すると、表示手段26に地図画像を表示させ、地図画像上でカーソルを操作して所望の地点を指定することができる。
【0071】
経由地や目的地の入力に際して、地図から入力する入力方法が指定されると、地図上で指定された地点を含む所定範囲の道路をその地点からの距離に応じて順次検索し、高速道路や一般道などの道路種別を示す属性情報とともにリスト化し、所定の優先順位に従って利用者に提示して選択させる本発明にかかる地点設定処理が行われる。以下、この地点設定処理の手順を説明する。
【0072】
図5は、道路検索手段32における道路検索の概念を示す模式図である。図5には、に表示手段26に道路R1〜R5を含む地図画像が表示されている。この地図画像上でカーソルを操作して地点Xが指定された場合、道路検索手段32は、地点Xの位置を中心として半径rを順次所定範囲で変化させて同心円Cのように検索エリアを設定し、当該検索エリア内の道路を検索する。
【0073】
なお、道路検索手段32の道路検索の方法は、図5に示す同心円状のエリアを設定して検索する方法だけでなく種々の方法を採ることができる。例えば、地点Xを中心位置として、その中心位置から連続的に距離を変化させ、渦巻き状(螺旋状)の線を描き、この線と交差する道路を順次抽出する方法によって行うこともできる。
【0074】
このように道路を検索してゆくと、地点Xから最も近い道路R3が最初に検索され、次いで、道路R1が検索され、その次に道路R5が検索される。半径が所定の距離になるまで道路の検索を繰り返す。検索された道路のデータは検索道路リスト化手段33に送られ、地点Xからの距離が近い順に道路属性とともにリスト化する。
【0075】
図6は、図5に示す道路検索の結果に基づいて検索道路リスト化手段33によってリスト化された道路リストのデータ構成を示す図である。検索された各道路は道路番号、地点Xからの距離、リンク番号、ノード番号、道路属性が記録される。地点Xからの距離は、当該道路が検索された時の地点Xからの距離範囲(半径rn)、リンク番号、ノード番号は地地点Xからの距離範囲内に含まれる当該道路のリンク、ノードを示す。道路属性は、検索された道路の属性(高速道路、有料道路などと、国道、県道などの一般道路の種別)である。
【0076】
検索道路リスト化手段33は、図6に示す検索道路のリストを作成し終えると、このデータを端末装置20に送信する。端末装置20はこの道路リストのデータを経路探索サーバ30から受信すると、受信データ記憶手段25に一次記憶する。次いで端末装置20は、受信データ記憶手段25に一次記憶した道路リストのデータに基づいて、表示手段26に地点Xから距離が近い順に、また、優先する道路属性の順に道路のデータを順次表示する。
【0077】
例えば、道路リストのデータが図6に示すようなものであった場合、高速道路や有料道路を優先する場合には、地点Xからの距離が近い順に、道路R3、R1、R5の順に表示手段26に順に道路が表示される。この時道路の属性情報も表示される。高速道路や有料道路を優先しない場合には、道路R1、R5、R3の順に表示される。端末装置20の利用者が表示手段26に表示された道路をカーソル選択などの操作により選択すると、地点Xに該当する出発地、目的地や経由地が、前記選択した道路のリンクまたはノード上に設定する。
【0078】
すなわち、表示画面上で選択された道路の情報が端末装置20から経路探索サーバ30に送信され、経路探索サーバ30はこの道路情報を端末装置20から受信すると、探索条件編集手段37が、地点Xに該当する出発地、目的地や経由地を前記端末装置20において選択された道路のリンクまたはノード上に設定する。
【0079】
出発地や目的地あるいは経由地として設定するリンクあるいはノードは、種々の方法で決定することができる。この場合のノードはリンク途中に仮想ノードとして設定することができる。例えば、道路検索の際に道路検索手段32が描いた同心円または渦巻状の線と検索された道路の交差する位置を含むリンク、または検索された道路に垂線をおろした位置を仮想ノードとして設定する方法、検索された道路に地点Xから垂線をおろした位置を含むリンク、または検索された道路に垂線をおろした位置を仮想ノードとして設定する方法などを採ることができる。
【0080】
表示手段26に表示する道路のデータはテキストで表示してもよく、また該当する地図上の道路の色や太さなど他の道路と異なるように変えて強調表示してもよい。優先する道路属性は、図3に示す探索条件入力画面で指定できるようにしてもよく、あるいはデフォルトで高速道路や有料道路を優先するように設定しておき、利用者が特にデフォルト値を変更したい場合には設定画面を表示させ任意に設定を変更できるようにしてもよい。
【0081】
経路探索サーバ30は、前述のようにして出発地、目的地、経由地などの経路探索条件が設定されると、経路探索手段39は経路探索用ネットワークデータベース35を参照して出発地から目的地までの経路を探索する。経路探索の結果として得られた案内経路のデータは右左折の案内データ、案内ポイントのデータとともに端末装置20に送られる。端末装置20はこれらのデータに基づいて、地図上に案内経路のデータを表示し、所定の案内ポイントにおいて右左折の案内を出力して利用者に経路案内を行う。
【0082】
次に、経路探索サーバ30における経路探索の概念について説明する。経路探索用ネットワークデータベース35には、徒歩や自動車による移動経路を探索するための道路ネットワークデータと公共交通機関を利用した移動経路を探索するための交通ネットワークデータが蓄積されている。経路探索手段39は、この経路探索用ネットワークデータベース35を参照して、徒歩や自動車による経路あるいは徒歩と交通機関を併用した経路を探索する。
【0083】
道路ネットワークデータは、以下のように構成されている。例えば、道路が図7に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで構成される。
【0084】
すなわち、図7において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図7では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0085】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図7において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0086】
図7ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至ることが可能な複数の経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0087】
地図データベース34に蓄積される地図データは図8に示すように所定の緯度・経度範囲で区分された単位地図データから構成されている。地図データは図8に示すように所定の緯度、経度単位で地図エリアが分けられ、メッシュ状の単位地図データM11〜M33のように構成されている。端末装置20に配信される場合は、端末装置20の現在位置PPを含む単位地図データM22を中心にして、その上下方向、左右方向、斜め方向に隣接する単位地図データM21、M23、M12、M32、M11、M13、M31、M33の合計9つの単位地図が配信される。
【0088】
端末装置20が移動して地図データが不足する場合は、端末装置20の移動方向を判別して経路探索サーバ30は不足分の単位地図データを配信する。端末装置20が特定の地点やPOI(興味対象場所:Point of Interest)の位置を指定して地図データの配信要求をした場合も同様である。案内経路のデータはこのベクトル地図データとともに端末装置20に配信される。端末装置20は、経路探索サーバ30からこのようにして地図データおよび案内経路のデータを受信して、地図画像や案内経路の画像を表示手段26に表示する。
【0089】
図9は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステム10における地点設定の手順を示すフローチャートである。ステップS101で端末装置20において図3に示す探索条件入力画面を用いて出発地、目的地の地点入力が行われる。この時、必要に応じて経由地の入力も行われる。先に述べたように地点入力にあたっては、端末装置20に登録済の地点やPOI検索の結果を用いることもきできる。また、所望エリアを指定して地図を表示し、地図上で地点を指定することもできる。
【0090】
地点入力のために地図表示が要求されると、ステップS102の処理において表示手段26に所望エリアの地図画像が表示される。表示手段26に表示された地図画像を用い、ステップS103の処理において所望の地点が指定されると指定された地点の位置情報が経路探索サーバ30に送信される。
【0091】
経路探索サーバ30は端末装置20から地図上で指定された地点の位置情報、例えば、図5の地点Xの位置情報を受信すると、道路検索手段32は、図5において説明した手順で所定範囲の道路を検索する(ステップS104)。道路検索手段32による道路検索が終了すると、検索された道路のデータは検索道路リスト化手段33に送られ、図6において説明した順序で道路のデータがリスト化される(ステップS105)。この道路リストのデータは経路探索サーバ30から端末装置20に送信される。
【0092】
端末装置20は、経路探索サーバ30から道路リストのデータを受信すると、このデータを受信データ記憶手段25に一次記憶する。そしてステップS106の処理において高速道路優先に設定されているか否かを判別する。この判別処理において高速道路優先が設定されていると判別されれば、端末装置20は、ステップS107の処理に進み、地点X(図5参照)に近い順に、かつ、道路属性が高速道路や有料道路である道路から順に、表示手段26に道路のデータを表示する。
【0093】
一方、ステップS106の判別処理において高速道路優先が設定されていないと判別されれば、端末装置20は、ステップS108の処理に進み、地点X(図5参照)に近い順に、かつ、道路属性が一般道路である道路から順に、表示手段26に道路のデータを表示する。
【0094】
次いで端末装置20はステップS109の処理に進み、表示手段26に表示した道路に対して選択操作(カーソルによる選択操作)が行われたか否かを判別する。この判別処理において道路の選択操作が行われなかったと判別した場合、端末装置20はステップS106の処理に戻る。一方、ステップS109の判別処理において道路の選択操作が行われたと判別した場合、端末装置20は選択された道路の情報を経路探索サーバ30に送信する。
【0095】
経路探索サーバ30は、端末装置20から選択した道路の情報を受信すると、ステップS110の処理において、探索条件編集手段37は、地点X(図5参照)を当該選択された道路上に出発地や目的地、あるいは経由地として設定する。
【0096】
以上、詳細に説明したように本発明にかかるナビゲーションシステム10によれば、地図上で指定された地点を含む所定範囲の道路をその地点からの距離に応じて順次検索し、高速道路や一般道などの道路種別を示す属性情報とともにリスト化し、所定の優先順位に従って利用者に提示して選択させるものであるから、容易に所望の地点を目的地や経由地として所望の道路上に設定することができるようになる。
【0097】
なお、上記実施例においては、経路探索サーバ30と端末装置20とを備えた通信型のナビゲーションシステム10を説明したが、経路探索サーバ30が備えている検索道路リスト化手段33や探索条件編集手段37を端末装置20が備えるように構成し、経路探索サーバ30は道路検索手段32により道路を検索して得られた道路のデータを端末装置20に逐次送信するように構成することもできる。また、本実施例のナビゲーションシステムは、端末装置20に経路探索サーバ30の諸機能を一体に有するスタンドアロンタイプのナビゲーション装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、通信型のナビゲーションシステムの他、スタンドアロンで動作する車載用ナビゲーションシステムにも適用することができる。また、自動車による移動経路を案内するナビゲーションシステムの他、公共交通機関のネットワークデータや時刻表データを蓄積し、自動車や徒歩による移動経路と交通機関による移動経路を総合的に案内するナビゲーションシステムに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】端末装置において経路探索条件を入力するための入力画面の一例を示す図であり、経由地を設定する場合の入力画面の例を示す図である。
【図4】端末装置において経路探索条件を入力するための入力画面の一例を示す図であり、経由地を設定しない場合の入力画面の例を示す図である。
【図5】道路検索手段における道路検索の概念を示す模式図である。
【図6】道路検索の結果に基づいて検索道路リスト化手段が作成する道路リストのデータ構成の一例を示す図である。
【図7】道路ネットワークのデータの概念を示す模式図である。
【図8】地図データの構成を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステムにおける地点設定の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
10・・・・ナビゲーションシステム
12・・・・ネットワーク
20・・・・端末装置
201・・・制御手段
21・・・・通信手段
22・・・・GPS受信手段
23・・・・探索要求手段
24・・・・条件設定手段
25・・・・受信データ記憶手段
26・・・・表示手段
27・・・・操作入力手段
30・・・・経路探索サーバ
301・・・制御手段
31・・・・通信手段
32・・・・道路検索手段
33・・・・検索道路リスト化手段
34・・・・地図データベース
35・・・・経路探索用ネットワークデータベース
36・・・・POI情報データベース
37・・・・検索条件編集手段
38・・・・探索要求記憶手段
39・・・・経路探索手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも出発地と目的地とを含む経路探索条件に基づいて経路探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段と、出発地と目的地と経由地の何れかを含む経路探索条件を設定する条件設定手段と、地図画像を表示する表示手段と、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションシステムは、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索手段と、道路検索手段により検索された道路を前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する検索道路リスト化手段と、を備え、
前記検索道路リスト化手段によりリスト化された道路を、前記指定された地点から距離の近い順に所定の道路属性の道路を優先して順次前記表示手段に表示し、出発地または目的地または経由地として表示された道路を選択することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記道路検索手段は、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、所定の間隔で半径を変えて描いた同心円内の道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記道路検索手段は、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、中心位置から連続的に距離を変化させながら螺旋状の線を描き、この線と交差する道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記表示手段は、予め設定された道路種別に従って、前記指定された地点から距離の近い順に、道路属性が高速道路または有料道路である道路、または、道路属性が一般道路である道路から順次前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記ナビゲーションシステムは、探索条件編集手段を備え、該探索条件編集手段は、前記表示手段に表示された道路が選択された際、当該選択された道路のリンクまたはノードのうち、前記指定された地点から最も距離の近いリンクまたはノードを出発地または目的地または経由地の何れか指定された地点として経路探索条件を編集することを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
少なくとも出発地と目的地と経由地の何れかを含む経路探索条件を設定する条件設定手段と、地図画像を表示する表示手段とを備えた端末装置にネットワークを介して接続され、前記出発地と目的地とを含む経路探索条件に基づいて経路探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段を備えた経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索手段と、道路検索手段により検索された道路を前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する検索道路リスト化手段と、を備え、
前記検索道路リスト化手段によりリスト化された道路データを、前記端末装置に送信することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項7】
前記道路検索手段は、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、所定の間隔で半径を変えて描いた同心円内の道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を繰り返すことを特徴とする請求項6に記載の経路探索サーバ。
【請求項8】
前記道路検索手段は、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、中心位置から連続的に距離を変化させながら螺旋状の線を描き、この線と交差する道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を行うことを特徴とする請求項6に記載の経路探索サーバ。
【請求項9】
前記経路探索サーバは、探索条件編集手段を備え、該探索条件編集手段は、前記表示手段に表示された道路が選択された際、当該選択された道路のリンクまたはノードのうち、前記指定された地点から最も距離の近いリンクまたはノードを出発地または目的地または経由地の何れか指定された地点として経路探索条件を編集することを特徴とする請求項6ないし請求項8の何れか1項に記載の経路探索サーバ。
【請求項10】
少なくとも出発地と目的地とを含む経路探索条件に基づいて経路探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段を備えた経路探索サーバにネットワークを介して接続され、出発地と目的地と経由地の何れかを含む経路探索条件を設定する条件設定手段と、地図画像を表示する表示手段と、を備えた端末装置において、
前記経路探索サーバは、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索手段を備え、
前記端末装置は、前記道路検索手段により検索された道路を前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する検索道路リスト化手段と、を備え、
前記検索道路リスト化手段によりリスト化された道路を、前記指定された地点から距離の近い順に所定の道路属性の道路を優先して順次前記表示手段に表示し、出発地または目的地または経由地として表示された道路を選択することを特徴とする端末装置。
【請求項11】
前記表示手段は、予め設定された道路種別に従って、前記指定された地点から距離の近い順に、道路属性が高速道路または有料道路である道路、または、道路属性が一般道路である道路から順次前記表示手段に表示することを特徴とする請求項10に記載の端末装置。
【請求項12】
前記端末装置は、探索条件編集手段を備え、該探索条件編集手段は、前記表示手段に表示された道路が選択された際、当該選択された道路のリンクまたはノードのうち、前記指定された地点から最も距離の近いリンクまたはノードを出発地または目的地または経由地の何れか指定された地点として経路探索条件を編集することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の端末装置。
【請求項13】
少なくとも出発地と目的地とを含む経路探索条件に基づいて経路探索用ネットワークデータベースを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段と、出発地と目的地と経由地の何れかを含む経路探索条件を設定する条件設定手段と、地図画像を表示する表示手段と、を備えたナビゲーションシステムを用いた経路探索条件設定方法において、
前記ナビゲーションシステムは、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索手段と、道路検索手段により検索された道路を前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する検索道路リスト化手段と、を備え、
前記道路検索手段が、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に順次検索距離範囲を変えて当該距離範囲内に存在する道路を検索する道路検索ステップと、
前記検索道路リスト化手段が、道路検索手段により検索された道路を、前記地点からの距離の近い順に道路属性とともにリスト化する道路リスト化ステップと、
前記検索道路リスト化手段によりリスト化された道路を、前記指定された地点から距離の近い順に所定の道路属性の道路を優先して順次前記表示手段に表示する表示ステップと、出発地または目的地または経由地として表示された道路を選択する選択ステップと、を備えたことを特徴とする経路探索条件設定方法。
【請求項14】
前記道路検索ステップは、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、所定の間隔で半径を変えて描いた同心円内の道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を繰り返す処理を含むことを特徴とする請求項13に記載の経路探索条件設定方法。
【請求項15】
前記道路検索ステップは、前記道路を検索する際、前記表示手段に表示された地図画像上で指定された地点を中心に、中心位置から連続的に距離を変化させながら螺旋状の線を描き、この線と交差する道路を順次検索し、上限として設定された半径まで前記道路の検索を行う処理を含むことを特徴とする請求項13に記載の経路探索条件設定方法。
【請求項16】
前記表示ステップは、予め設定された道路種別に従って、前記指定された地点から距離の近い順に、道路属性が高速道路または有料道路である道路、または、道路属性が一般道路である道路から順次前記表示手段に表示する処理を含むことを特徴とする請求項13に記載の経路探索条件設定方法。
【請求項17】
前記ナビゲーションシステムは、探索条件編集手段を備え、該探索条件編集手段が、前記表示手段に表示された道路が選択された際、当該選択された道路のリンクまたはノードのうち、前記指定された地点から最も距離の近いリンクまたはノードを出発地または目的地または経由地の何れか指定された地点として経路探索条件を編集する経路探索条件設定ステップを備えたことを特徴とする請求項13ないし請求項16の何れか1項に記載の経路探索条件設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−309624(P2008−309624A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157403(P2007−157403)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】