説明

ナビゲーションシステム及び携帯端末装置

【課題】どのような状況でも測位処理にかかる消費電力を確実に削減して動作可能時間を長くすることができ、且つユーザを目的地まで正確にナビゲーションできるようにすること。
【解決手段】ナビゲーション機能を備えた携帯端末装置200であって、出発地点から目的地までのガイド経路を取得するガイド経路取得手段と、前記ガイド経路上の予め決定したガイドポイント近傍の測位ポイントでの測位タイミングになったか否かを判定する測位タイミング判定部271と、前記測位タイミングになったと判定された場合にのみGPS衛星を用いた現在位置の測位処理を行う測位処理部272と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)及びGIS(Geographical Information System)を使用して進路をガイドするナビゲーションシステム、及びナビゲーション機能を備えた携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPSを用いたナビゲーションシステムは、車両を出発地から目的地までのガイド経路に沿ってナビゲーションするカーナビゲーション装置として一般に広く知られている。
【0003】
カーナビゲーション装置では、補足したGPS衛星(NAVSTAR:NAVigation Satellite Timing And Ranging)に追随するように常時タイミングを同期させながら、車両の現在位置を計測するための測位処理を継続的に行っている。
【0004】
近年、このようなナビゲーションシステムを用いて、ユーザの現在位置を測位するナビゲーション機能を備えた携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯端末装置が提供されている。
【0005】
しかしながら、この種の携帯端末装置においては、小型電池を電源としているため、ナビゲーション機能の動作時の測位処理により消費電力が増大して電池寿命が短くなってしまうという課題がある。
【0006】
従来、このような携帯端末装置の測位処理による消費電力を削減する技術として、特許文献1及び特許文献2などが知られている。
【0007】
特許文献1に記載の受信装置においては、表示画面におけるユーザの現在位置の位置変化が反映される変化度合いの大きさに対応し、測位処理の実行間隔を、ユーザの現在位置が目的地から遠いときには長くし、目的地に近づくにしたがって短くして、測位処理に要する消費電力を削減している。
【0008】
一方、特許文献2に記載の測位装置においては、装置本体の振動の有無を検知し振動のない状態が一定時間以上継続したとき、計測された現在位置が一定時間前の計測結果と同一であったとき、及びサーモセンサや加速度センサによりユーザが装着していない状態を検知したときに、GPS処理部による測位処理を停止して消費電力を削減している。
【特許文献1】特開2000−249565号公報
【特許文献2】特開2000−352519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の受信装置では、ユーザの現在位置が目的地から遠いときには測位処理の実行間隔が長くなるため、測位処理が実行されないガイド経路をユーザが移動している間はユーザの現在位置を把握することができない。
【0010】
このため、この受信装置では、例えば測位処理が実行されないガイド経路途中にユーザに対して進路変更を指示すべき交差点などのガイドポイントが存在していても、ユーザの現在位置が不明であるため目的地への正確な進路をナビゲーションできなくなるという問題がある。
【0011】
また、この受信装置では、ユーザの現在位置が目的地に近いときには測位処理の実行間隔が短くなるため、実際には測位処理を必要としないような進路状況でも頻繁に測位処理が実行されて電力が消費されて動作可能時間が短くなってしまうという問題がある。
【0012】
一方、特許文献2に記載の測位装置においては、ユーザが移動していないときや装着していないときには測位処理を停止して消費電力を削減できるが、ユーザが常に移動している状態では定期的に測位処理が実行されるため消費電力を削減できないという問題がある。
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、どのような状況でも測位処理にかかる消費電力を確実に削減して動作可能時間を長くすることができ、且つユーザを目的地まで正確にナビゲーションすることができるナビゲーションシステム及び携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するため、本発明の携帯端末装置は、ナビゲーション機能を備えた携帯端末装置であって、出発地点から目的地までのガイド経路を取得するガイド経路取得手段と、前記ガイド経路上の予め決定したガイドポイント近傍の測位ポイントでの測位タイミングになったか否かを判定する測位タイミング判定手段と、前記測位タイミングになったと判定された場合にのみGPS衛星を用いた現在位置の測位処理を行う測位処理手段と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、予め設定した所定のガイドポイントでのみ測位処理を実行するので、どのような状況でも測位処理にかかる消費電力を確実に削減して動作可能時間を長くすることができ、且つユーザを目的地まで正確にナビゲーションすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一の構成または機能を有する構成要素及び相当部分には、同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置を用いるのに適したナビゲーションシステムの構成を示す概略構成図である。
【0018】
図1に示すように、本例のナビゲーションシステム100は、携帯端末装置200、サーバ300、通信タワー(基地局)400、GPS衛星500などで構成される。
【0019】
携帯端末装置200は、ユーザ101に所持され、所持したユーザ101を設定された目的地までナビゲーションするナビゲーション機能を備えている。
【0020】
また、携帯端末装置200は、通信タワー400及びGPS衛星500と無線で交信する無線通信機能を備えている。
【0021】
サーバ300と通信タワー400とは、通信路(ネットワーク)600を介して通信する通信機能を備えている。
【0022】
図1において、ユーザ101は、携帯端末装置200の入力部230のキーを操作し、目的地などの必要なデータを入力して、ナビゲーション機能の開始を指示する。
【0023】
携帯端末装置200は、ユーザ101の操作によりナビゲーション機能が呼び出されると、GPS衛星500からの電波を受信して現在位置を測位するための測位処理を実行する。
【0024】
また、携帯端末装置200は、ユーザ101からのナビゲーションの開始の指示により、通信タワー400と無線により通信を開始し、通信タワー400から通信路600を介して、測位した現在位置データなどの必要なデータをサーバ300へ送信する。
【0025】
サーバ300は、通信タワー400及び通信路600を介して携帯端末装置200から受信したデータと、ハードディスク330に蓄積された地図データに基づいて、出発地から目的地までの地図データ(データベース)検索、経路検索、及びユーザ101に対して進路変更等を指示するガイドポイントの検索を行う。
【0026】
そして、サーバ300は、検索したデータを、通信路600及び通信タワー400を通して携帯端末装置200に送信する。
【0027】
携帯端末装置200は、通信路600及び通信タワー400を通してサーバ300から送信されてきたデータに基づいて、出発地から目的地までのガイド経路を示す地図を表示部240の画面に表示すると共に、表示された地図上にGPS衛星500を用いて測位した現在位置を示すマークを表示して、ユーザ101を目的地までナビゲーションする。
【0028】
次に、携帯端末装置200の構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
図2に示すように、本例の携帯端末装置200は、通信部210、GPS受信部220、入力部230、表示部240、移動距離検出部250、メモリ260、制御部270を備えている。
【0030】
図2において、通信部210は、送信部211と受信部212を備えている。
【0031】
送信部211は、通信タワー400及び通信路600を介してサーバ300にデータを送信する。
【0032】
受信部212は、サーバ300から送信されるデータを、通信路600及び通信タワー400を介して受信し、受信したデータを制御部270に送る。
【0033】
GPS受信部220は、GPS衛星500から送られてくる電波を受信し、受信した電波から現在位置を測位するための現在位置データを取り出して制御部270に送る。
【0034】
入力部230は、テンキーやモードキー(タッチパネルでも良い)を備えており、ユーザ101のキー操作により入力された目的地データやナビゲーション機能の開始を指示する信号を制御部270に送る。
【0035】
表示部240は、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)などの表示画面に、制御部270から与えられる地図データや文字データなどを画像や文字に変換して表示する。
【0036】
移動距離検出部250は、タイマ251もしくは歩数計(歩数カウンタ)252の何れかを用いて、ユーザ101に所持された携帯端末装置200の移動距離を検出し、検出結果を制御部270に出力する。
【0037】
タイマ251は、GPS衛星500を用いて現在位置を測位する測位タイミングをカウントダウンする。
【0038】
歩数計252は、加速度センサまたはジャイロセンサなどのユーザ101の歩行により発生する振動を検出するセンサにより、ユーザ101の歩行動作時の1回の振動を一歩の動作として歩数をカウントする。
【0039】
メモリ260は、入力部230により入力された目的地データ、GPS受信部220で受信した現在位置データ、及びサーバ300から取得した地図データを保持する。
【0040】
制御部270は、携帯端末装置200の各部の動作を制御する。また、本例の携帯端末装置200の制御部270は、測位タイミング判定部271及び測位処理部272を備えている。
【0041】
測位タイミング判定部271は、ユーザ101に所持されて移動する携帯端末装置200が、サーバ300により予め決定されたガイド経路R上の測位ポイントa1,a2,b1,b2(図4参照)での測位タイミングであるか否かを判定する。
【0042】
測位処理部272は、ユーザ101に所持されて移動する携帯端末装置200の現在位置を測位するための測位処理を行う。
【0043】
次に、ナビゲーションシステム100のサーバ300の構成について説明する。図3は、前記ナビゲーションシステムにおけるサーバの構成を示すブロック図である。
【0044】
図3に示すように、サーバ300は、通信部310、検索エンジン320、ハードディスク330、メモリ340、制御部350を備えている。
【0045】
図3において、通信部310は、受信部311と送信部312を備えている。
【0046】
受信部311は、携帯端末装置200から送信されるデータを、通信タワー400及び通信路600を介して受信し、受信したデータを制御部350に送る。
【0047】
送信部312は、通信路600及び通信タワー400を介して携帯端末装置200にデータを送る。
【0048】
検索エンジン320は、携帯端末装置200から送信されてきた携帯端末装置200の現在位置を示す端末現在位置データ、及びユーザ101により入力された目的地を示す端末目的地データを使用して、ハードディスク330に格納されている地図データ及び後述するガイドポイントのデータから必要なデータを検索する。ガイドポイントとは、ユーザ101をナビゲーションするガイド経路にある分岐点、交差点、曲がり角などのような、ユーザ101が進路を選択する必要があるポイントや進路を間違える可能性があるポイントをいう。
【0049】
ハードディスク330は、地図データ(データベース)を格納している。
【0050】
メモリ340は、携帯端末装置200から送信されてきた携帯端末装置200の現在位置を示す端末現在位置データ、及びユーザ101により入力された目的地を示す端末目的地データを保持する。
【0051】
制御部350は、サーバ300の各部の動作を制御する。また、本例のサーバ300は、ガイドポイント決定部351及び測位タイミング決定部352を備えている。
【0052】
ガイドポイント決定部351は、携帯端末装置200から受信した携帯端末装置200の端末現在位置データ及び端末目的地データに基づいて、ユーザ101を目的地に向けてナビゲーションするガイド経路の目印となる交差点や建物などの位置データによりガイドポイントを決定する。
【0053】
測位タイミング決定部352は、ガイドポイント決定部351により決定されたガイドポイントの位置データに基づいて、ガイド経路上にある測位ポイント(携帯端末装置200の現在位置を測位するポイント)での測位タイミングを決定する。
【0054】
次に、本例のナビゲーションシステム100における携帯端末装置200及びサーバ300の動作について説明する。図4は、前記ナビゲーションシステムによりナビゲーションするガイド経路の一例を示す図である。
【0055】
ここでは、図4に示すように、ユーザ101が、出発地点Sから、第1のガイドポイントAに設定されるA交差点401を直進し、第2のガイドポイントBに設定されるコンビニ402を右折して、目的地Gに至るガイド経路Rに沿ってナビゲーションされるものとする。
【0056】
まず、図5及び図6を参照し、ユーザ101のガイドポイントA,B間の移動にかかる予想移動時間を計算することで測位タイミングを推定して、出発地点Sから目的地Gに至るガイド経路Rに沿ってユーザ101をナビゲーションする場合の携帯端末装置200及びサーバ300の動作について説明する。
【0057】
図5は、時間で測位タイミングを推定する場合の前記携帯端末装置の動作を示すフローチャートである。図6は、前記サーバの動作を示すフローチャートである。
【0058】
図5において、携帯端末装置200においては、ナビゲーション機能が起動してナビゲーション動作が開始されると、ユーザ101が入力部230により目的地Gのデータ(住所や電話番号)を入力する(ステップST501)。
【0059】
その後、携帯端末装置200を所持しているユーザ101の推定移動速度データを求めるために、まず、GPS受信部220でGPS衛星500から送られる電波を受信し、制御部270の測位処理部272で携帯端末装置200の現在位置を測位する(ステップST502)。
【0060】
次いで、ユーザ101の推定移動速度データを求めるのに必要な所定時間だけ待機する(ステップST503)。
【0061】
次いで、再びGPS受信部220でGPS衛星500から送られる電波を受信し、制御部270の測位処理部272で携帯端末装置200の現在位置を測位する(ステップST504)。
【0062】
そして、ステップST503の待機時間におけるユーザ101の移動距離と所要時間からユーザ101の推定移動速度(単位時間当たりの移動距離)を求める(ステップST505)。
【0063】
このように、携帯端末装置200においては、GPS衛星500を用いて、ステップST501で現在位置を測位した後、ステップST504で再度現在位置を測位し、ステップST505でユーザ101の移動距離と所要時間から推定移動速度を計算する。
【0064】
ここで、ステップST505で計算した推定移動速度は、ユーザ101の固有のデータであるので、ユーザ対応の推定移動速度データとしてメモリ260に蓄積しておく。これにより、同じユーザ101が携帯端末装置200を用いてナビゲーションする場合には、メモリ260に蓄積されている当該ユーザの推定移動速度データを用いることで、新たな推定移動速度の計算を省略することができ、ナビゲーション動作の迅速化が可能になる。
【0065】
その後、携帯端末装置200は、ステップST504で測位した現在位置データ、ステップST501で入力された目的地データ、ステップST505で求めた推定移動速度の推定移動速度データを、送信部211によりサーバ300へ送信し(ステップST506)、サーバ300からの応答を待つ(ステップST507)。
【0066】
一方、サーバ300は、図6に示すように、動作を開始すると、まず携帯端末装置200からデータを受信したか否か判断する(ステップST601)。
【0067】
ステップST601において、携帯端末装置200からデータを受信したと判定されると、サーバ300は、携帯端末装置200から受信した現在位置データ及び目的地データを、メモリ340に端末現在位置データ及び端末目的地データとして保持する。
【0068】
そして、サーバ300は、検索エンジン320により、メモリ340に保持した携帯端末装置200の現在位置データ及び目的地データを使用して、ハードディスク330に格納されている地図データからガイド経路Rを探索する(ステップST602)。
【0069】
ここで、検索エンジン320は、ハードディスク330に格納されているデータベースから、以下のデータを検索する。
【0070】
(1)現在地と目的地を含む地図データ(画像)
(2)地図データ(画像)の道に沿った経路データ(道路データ)
(3)地図データ(画像)の道の周囲にある建物などのデータ
(4)ガイドポイントA,Bの名称(表示名)、交差点、曲がり角、目印となる建物などの座標
(5)ガイドポイントA,Bでの進行方向の角度データ
(6)ガイドポイントA,Bの詳細地図データ2,3
(7)ガイドポイントA,B間の距離
【0071】
図7は、サーバ300の検索エンジン320により検索したデータを示す表である。図7において、ガイドポイントA,Bのデータ(ポイントのデータ+順番)は、交差点、建物などの目印となるデータに基づいて決める。また、ガイドポイントA,Bでの進行方向の角度データは、道路のベクトルデータから計算する。
【0072】
次いで、サーバ300は、検索エンジン320により検索したデータに基づいて、制御部350のガイドポイント決定部351及び測位タイミング決定部352により、地図データから探索したガイド経路R上のガイドポイントA,B、及び図4に示す測位ポイントa1,a2,b1,b2での測位タイミングを決定する(ステップST603)。
【0073】
そして、サーバ300は、検索エンジン320により検索した地図データ及び詳細地図データ、ガイドポイント決定部351により決定したガイドポイント位置、及び測位タイミング決定部352により決定した測位タイミングなどのデータを携帯端末装置200に送信する(ステップST604)。
【0074】
これにより、サーバ300からの応答待ち状態にあった携帯端末装置200は、サーバ300からデータを受信したか否か判断する(ステップST508)。
【0075】
そして、携帯端末装置200は、ステップST508において、サーバ300からデータを受信したと判定した場合に、サーバ300から取得した地図データ及び詳細地図データに基づいて、ユーザ101をナビゲーションするための地図を表示部240の表示画面に表示する(ステップST509)。
【0076】
また、ステップST505で求めた推定移動速度から予想した携帯端末装置200の現在位置を、矢印や歩行者の図形などのマークで地図に表示する(ステップST510)。
【0077】
ここで、本例のナビゲーションシステム100における携帯端末装置200は、現在位置を測位するためのGPS衛星500との通信を、ユーザ101に対して進路変更等を指示するガイドポイントA,Bの近傍の測位ポイントa1,a2,b1,b2のみで行うようになっている。
【0078】
従って、本例の携帯端末装置200においては、カーナビゲーション装置のようにユーザ101の現在位置を示すマークをリアルタイムに移動させながら表示することはしないが、ステップST505で求めた推定移動速度に基づいて、当該マークの表示位置を経時的に変化させながらユーザ101の現在位置をポイント表示するようにしても良い。
【0079】
次いで、ステップST505で求めた推定移動速度から予想した携帯端末装置200の現在位置が、サーバ300から取得した測位タイミングに達しているか否かを測位タイミング判定部271で判断する(ステップST511)。
【0080】
ここで、推定移動速度から予想した携帯端末装置200の現在位置が、サーバ300から取得した測位タイミングに達していないと測位タイミング判定部271で判定された場合には、所定時間待機した後(ステップST512)、ステップST510に戻って携帯端末装置200の現在位置を地図に再表示する。
【0081】
一方、ステップST511において、推定移動速度から予想した携帯端末装置200の現在位置が、サーバ300から取得した測位タイミングに達していると測位タイミング判定部271で判定された場合には、制御部270の測位処理部272で携帯端末装置200の現在位置を測位する(ステップST513)。
【0082】
次いで、ステップST513において測位した携帯端末装置200の現在位置が、サーバ300から取得したガイドポイント(ここでは、図4に示すガイドポイントA)に達したか否かを判断する(ステップST514)。
【0083】
ここで、携帯端末装置200の現在位置がガイドポイントAに達していると判定された場合には、携帯端末装置200の現在位置が目的地Gに到達したか否か判断する(ステップST515)。
【0084】
この時点では、携帯端末装置200の現在位置がガイドポイントAを通過した直後であるので、予測位置と実測位置との誤差が大きいため、携帯端末装置200の現在位置が目的地Gに到達していないと判定され、ステップST510に戻って現在位置を地図に表示して、ステップST511からステップST514までの処理を繰り返す。
【0085】
そして、ステップST514において、携帯端末装置200の現在位置がガイドポイント(ここでは、図4に示すガイドポイントB)に達している判定された場合には、ステップST515で目的地Gに到達したと判定された場合にナビゲーション動作を終了する。
【0086】
一方、ステップST514において、携帯端末装置200の予測位置と実測位置との誤差が大きく、携帯端末装置200の現在位置がガイドポイントから大きく外れていると判定された場合には、ステップST505に戻って推定移動速度を計算し直して、ステップST506以降の処理を繰り返す。
【0087】
次に、ユーザ101のガイドポイントA,B間の移動にかかる予想歩数を計算することで測位タイミングを推定して、出発地点Sから目的地Gに至るガイド経路Rに沿ってユーザ101をナビゲーションする場合の携帯端末装置200及びサーバ300の動作について説明する。
【0088】
図8は、歩数で測位タイミングを推定する場合の前記携帯端末装置の動作を示すフローチャートである。
【0089】
図8において、携帯端末装置200においては、ナビゲーション機能が起動してナビゲーション動作が開始されると、ユーザ101が入力部230により目的地Gのデータ(住所や電話番号)を入力する(ステップST801)。
【0090】
その後、携帯端末装置200を所持しているユーザ101の推定移動速度データを求めるために、まず、GPS受信部220でGPS衛星500から送られる電波を受信し、制御部270の測位処理部272で携帯端末装置200の現在位置を測位する(ステップST802)。
【0091】
次いで、ユーザ101の推定移動速度データを求めるのに必要な所定時間だけ待機する(ステップST803)。
【0092】
次いで、再びGPS受信部220でGPS衛星500から送られる電波を受信し、制御部270の測位処理部272で携帯端末装置200の現在位置を測位する(ステップST804)。
【0093】
そして、ステップST803の待機時間におけるユーザ101の移動距離と歩数計252でカウントした歩数からユーザ101の歩幅(一歩当たりの移動距離)を求める(ステップST805)。
【0094】
このステップST805で計算した歩幅は、ユーザ101の固有のデータであるので、ユーザ対応の歩幅データとしてメモリ260に蓄積しておく。これにより、同じユーザ101が携帯端末装置200を用いてナビゲーションする場合には、メモリ260に蓄積されている当該ユーザの歩幅データを用いることで、新たな歩幅の計算を省略することができ、ナビゲーション動作の迅速化が可能になる。
【0095】
その後、携帯端末装置200は、ステップST804で測位した現在位置データ、ステップST801で入力された目的地データ、ステップST805で求めた歩幅データを、送信部211によりサーバ300へ送信し(ステップST806)、サーバ300からの応答を待つ(ステップST807)。
【0096】
サーバ300は、図6に示したように、ステップST601からステップST604までの処理を実行し、検索エンジン320により検索した地図データ及び詳細地図データ、ガイドポイント決定部351により決定したガイドポイント位置、及び測位タイミング決定部352により決定した測位タイミングなどのデータを携帯端末装置200に送信する(ステップST604)。
【0097】
これにより、サーバ300からの応答待ち状態にあった携帯端末装置200は、サーバ300からデータを受信したか否か判断する(ステップST808)。
【0098】
そして、携帯端末装置200は、ステップST808において、サーバ300からデータを受信したと判定した場合に、サーバ300から取得した地図データ及び詳細地図データに基づいて、ユーザ101をナビゲーションするための地図を表示部240の表示画面に表示する(ステップST809)。
【0099】
次いで、歩数計252の加速度センサあるいはジャイロセンサでユーザ101の移動を検出し、ステップST805で求めたユーザ101の歩幅に、歩数計252によりカウントしたユーザの移動歩数を乗じて、ユーザ101の現在位置から測位ポイントa1までの距離を算出する。
【0100】
そして、歩数計252によりカウントしたユーザ101の移動歩数とユーザ101の歩幅とから算出して予想した携帯端末装置200の現在位置を、表示部240の画面上の地図に、矢印や歩行者の図形などのマークで表示する(ステップST810)。
【0101】
次いで、ステップST805で求めたユーザ101の歩幅に基づいて予想した携帯端末装置200の現在位置までの所要歩数が、サーバ300から取得した測位タイミングに達しているか否かを測位タイミング判定部271で判断する(ステップST811)。
【0102】
ここで、予想した携帯端末装置200の現在位置が、サーバ300から取得した測位タイミングから大きくずれていた場合には、歩数計252による歩数計測をやり直した後(ステップST812)、ステップST810に戻って携帯端末装置200の現在位置を地図に再表示する。
【0103】
一方、ステップST811において、予想した携帯端末装置200の現在位置が、サーバ300から取得した測位タイミングに達していると測位タイミング判定部271で判定された場合には、制御部270の測位処理部272で携帯端末装置200の現在位置を測位する(ステップST813)。
【0104】
次いで、ステップST813において測位した携帯端末装置200の現在位置が、サーバ300から取得したガイドポイント(ここでは、図4に示すガイドポイントA)に達したか否かを判断する(ステップST814)。
【0105】
ここで、携帯端末装置200の現在位置がガイドポイントAに達していると判定された場合には、携帯端末装置200の現在位置が目的地Gに到達したか否か判断する(ステップST815)。
【0106】
この時点では、携帯端末装置200の現在位置がガイドポイントAを通過した直後であるので、予測位置と実測位置との誤差が大きいため、携帯端末装置200の現在位置が目的地Gに到達していないと判定され、ステップST810に戻って現在位置を地図に表示して、ステップST811からステップST814までの処理を繰り返す。
【0107】
そして、ステップST814において、携帯端末装置200の現在位置がガイドポイント(ここでは、図4に示すガイドポイントB)に達している判定された場合には、ステップST815で目的地Gに到達したと判定された場合にナビゲーション動作を終了する。
【0108】
一方、ステップST814において、携帯端末装置200の予測位置と実測位置との誤差が大きく、携帯端末装置200の現在位置がガイドポイントから大きく外れていると判定された場合には、ステップST805に戻ってユーザ101の歩幅を計算し直して、ステップST806以降の処理を繰り返す。
【0109】
上述のように、本例のナビゲーションシステム100においては、予めサーバ300によって決定された交差点や曲がり角などのガイドポイントA,Bの近傍の測位ポイントa1,a2,b1,b2でだけ、携帯端末装置200の測位処理部272による現在位置の測位を行っている。
【0110】
従って、本例のナビゲーションシステム100では、携帯端末装置200のGPS受信部220が動作する測位回数を、ユーザ101のナビゲーションに必要な最小限の回数にすることができ、携帯端末装置200の消費電力を削減して動作可能時間を長くすることができる。
【0111】
なお、本例のナビゲーションシステム100において、ガイドポイントA,B間の間隔が大きい場合には、ガイドポイントA,Bの途中で携帯端末装置200の現在位置を測位することで、携帯端末装置200のナビゲーション精度を向上させるようにしてもよい。
【0112】
このように、本例のナビゲーションシステム100においては、ガイド経路Rがどのような状況でも、GPS衛星500から送られる情報の受信処理(測位処理)にかかる消費電力を確実に削減することができ、携帯端末装置200の動作可能時間を長くすることができると共に、ユーザ101を目的地Gまで正確にナビゲーションすることができる。
【0113】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【0114】
図9に示すように、本例の携帯端末装置900は、その制御部910が、前述したナビゲーションシステム100におけるサーバ300のガイドポイント決定部351及び測位タイミング決定部352に相当するガイドポイント決定部911及び測位タイミング決定部912を備えている。
【0115】
また、本例の携帯端末装置900は、オプション920として、前述したナビゲーションシステム100におけるサーバ300の検索エンジン320及びハードディスク330の地図データに相当する検索エンジン921及び地図データ922を備えている。
【0116】
従って、本例の携帯端末装置900においては、実施の形態1に係る携帯端末装置200のようにサーバ300と交信せずに、ガイド経路RのガイドポイントA,B及び測位ポイントa1,a2,b1,b2での測位タイミングを決定することができる。
【0117】
また、本例の携帯端末装置900においては、サーバ300の検索エンジン320を用いずに、オプション920の検索エンジン921及び地図データ922を使用して必要なデータを検索することができる。
【0118】
なお、本例の携帯端末装置900におけるその他の構成及び機能や動作は、実施の形態1に係る携帯端末装置200の場合と同様であるのでその説明は省略する。
【0119】
これにより、本例の携帯端末装置900においては、サーバ300との交信にかかる消費電力を削減することができると共に、サーバ300にデータを送信したりサーバ300からの応答を待ったりすることがないので、ガイドポイントA,B及び測位タイミングの決定や、必要なデータの検索などの処理を迅速に行うことができるようになる。
【0120】
ところで、本例の携帯端末装置200,900においては、所持するユーザ101の歩幅や推定移動速度を予め計測し、計測したユーザ101の歩幅や移動速度に基づいてガイドポイントA,Bの近傍の測位ポイントa1,a2,b1,b2での測位タイミングを決定している。
【0121】
従って、本例の携帯端末装置200,900では、予め歩幅や推定移動速度がメモリ260に記憶されているユーザ101以外の者が使用した場合、新たに計測した使用者の歩幅や推定移動速度の計測データと、メモリ260に予め記憶されているユーザ101の歩幅や推定移動速度データとが、異なった値を示すことになる。
【0122】
これにより、本例の携帯端末装置200,900においては、新たに計測した使用者の歩幅や推定移動速度の計測データと、メモリ260に予め記憶されているユーザ101の歩幅や推定移動速度データとが異なった値を示した場合に、予め設定したパスワード等を要求するように構成することで、盗難による使用を未然に防止することが可能になる。
【0123】
また、本例の携帯端末装置200,900においては、ユーザ101の使用途中で、予め計測した歩幅や推定移動速度に基づく測位タイミングと実際の現在位置とが極端にずれていた場合に、ユーザ101の身や端末に何らかの異常事態が発生していることを予測することができる。
【0124】
従って、本例の携帯端末装置200,900においては、上述のような異常事態を他の通信端末等に転送して報知するように構成することで、異常事態の発生を第三者が素早く察知できるようになる。
【0125】
これにより、本例の携帯端末装置200,900は、例えば、ユーザ101が誘拐されたり端末が強奪されたりした場合などの異常を迅速に察知する防犯用の通信装置としても機能させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明に係る携帯端末装置は、どのような状況でも測位処理にかかる消費電力を確実に削減して動作可能時間を長くすることができ、且つユーザを目的地まで正確にナビゲーションすることができるので、全地球測位システム(GPS)及びGISを使用して進路をガイドするナビゲーションシステム、及びナビゲーション機能を備えた携帯電話機やPDAなどの携帯端末装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置を用いるのに適したナビゲーションシステムの構成を示す概略構成図
【図2】本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置の構成を示すブロック図
【図3】前記ナビゲーションシステムにおけるサーバの構成を示すブロック図
【図4】前記ナビゲーションシステムによりナビゲーションするガイド経路の一例を示す図
【図5】時間で測位タイミングを推定する場合の前記携帯端末装置の動作を示すフローチャート
【図6】前記サーバの動作を示すフローチャート
【図7】前記サーバの検索エンジンにより検索したデータを示す表
【図8】歩数で測位タイミングを推定する場合の前記携帯端末装置の動作を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0128】
100 ナビゲーションシステム
101 ユーザ
200,900 携帯端末装置
210 通信部
211 送信部
212 受信部
220 GPS受信部
230 入力部
240 表示部
250 移動距離検出部
251 タイマ
252 歩数計
260 メモリ
270 制御部
271 測位タイミング判定部
272 測位処理部
300 サーバ
310 通信部
311 受信部
312 送信部
320 検索エンジン
330 ハードディスク
340 メモリ
350 制御部
351 ガイドポイント決定部
352 測位タイミング決定部
910 制御部
911 ガイドポイント決定部
912 測位タイミング決定部
920 オプション
921 検索エンジン
922 地図データ
A,B ガイドポイント
a1,a2,b1,b2 測位ポイント
G 目的地
R ガイド経路
S 出発地点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション機能を備えた携帯端末装置であって、
出発地点から目的地までのガイド経路を取得するガイド経路取得手段と、
前記ガイド経路上の予め決定したガイドポイント近傍の測位ポイントでの測位タイミングになったか否かを判定する測位タイミング判定手段と、
前記測位タイミングになったと判定された場合にのみGPS衛星を用いた現在位置の測位処理を行う測位処理手段と、
を具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
ユーザの移動距離を検出する移動距離検出手段を備え、
前記測位タイミング判定手段は、前記移動距離検出手段により検出した前記ユーザの移動距離と、前記出発地点から前記測位ポイントまでの離間距離とを比較して、前記測位タイミングになったか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記移動距離検出手段は、前記ユーザの所定の移動距離と所要時間から移動速度を推定する移動速度推定手段を備え、前記移動速度推定手段により推定した移動速度に前記ユーザが移動に要した時間を乗じて前記ユーザの移動距離を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記移動距離検出手段は、ユーザの移動歩数を計測する歩数計と、前記ユーザの歩幅を推定する歩幅推定手段とを備え、前記歩幅推定手段により推定した歩幅に前記歩数計により計測した移動歩数を乗じて前記ユーザの移動距離を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記ガイドポイントを決定するガイドポイント決定手段と、
前記測位タイミングを決定する測位タイミング決定手段と、
を更に具備する請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
位置情報を発信するGPS衛星と、
ユーザにより設定された出発地点から目的地までのガイド経路を地図データから検索して、前記ガイド経路に沿って前記ユーザをガイドするためのガイドポイントと、前記ガイドポイント近傍の測位ポイントで測位する測位タイミングとを決定するサーバと、
前記ユーザに所持されて前記ガイド経路に沿って移動する推定移動速度により算出した予測位置が、前記サーバから無線通信により取得した前記測位タイミングになったか否かを判定し、前記測位タイミングになったと判定された場合にのみ、前記GPS衛星が発信する位置情報を無線通信により受信して現在位置の測位処理を行う携帯端末装置と、
で構成されるナビゲーションシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−122092(P2008−122092A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302905(P2006−302905)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】