説明

ナビゲーション装置、および、ルートスクロール方法

【課題】ユーザが表示画面を頻繁に確認する必要なく、目的の地点まで地図をスクロールできるようにする技術を提供する。
【解決手段】本発明のナビゲーション装置は、現在位置周辺の地図を表示するとともに、表示された地図の範囲に含まれている誘導経路を表示して、経路誘導を行うナビゲーション装置である。入力受付部102は、経路誘導部104が経路誘導を行っているときに、経路誘導のスクロール要求を受け付けることができる。スクロール処理部105は、スクロール要求を受け付けている期間中には、誘導経路に沿って、地図をスクロールして表示するとともに、車両位置を示す車両位置マークを誘導経路に対して移動させて表示する。読み上げ処理部106は、車両位置マークが施設に近づいたとき、その施設に対応する音声データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の現在位置から目的地までの区間において、ディスプレイに表示させている地図を、推奨経路(誘導経路)に沿ってスクロールさせる機能を有する車載用ナビゲーション装置がある。地図のスクロールは、目的地に向けた方向、又は、その反対方向(現在位置に向けた方向)に自由に行うことができる。このような機能(以下では、「ルートスクロール機能」とよぶ)は、推奨経路(誘導経路)の周辺環境(例えば、施設名や地名)に関する情報をユーザが取得したい場合等に利用されることが多い。例えば、特許文献1には、ルートスクロール機能を有する車載用ナビゲーション装置について記載されている。
【特許文献1】特開平5−323872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の車載用ナビゲーション装置では、目的の地点まで地図をスクロールするために、ユーザは、頻繁に表示画面を確認しながら、スクロールの操作を行わなければならない。
【0004】
本発明は、ユーザが表示画面を頻繁に確認する必要なく、目的の地点まで地図をスクロールできるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本願発明のナビゲーション装置は、施設に関する音声データを記憶した音声データ記憶手段と、目的地までの誘導経路を取得する誘導経路取得手段と、現在位置周辺の地図を表示するとともに、表示された地図の範囲に含まれている前記誘導経路を表示して、経路誘導を行う経路誘導手段と、前記経路誘導手段が経路誘導を行っているときに、前記誘導経路をスクロールさせるスクロール要求を受け付けるスクロール要求受付手段と、前記スクロール要求を受け付けている期間中に、前記誘導経路に沿って、前記地図をスクロールして表示するとともに、車両位置を示す車両位置マークを前記誘導経路に対して移動させて表示するスクロール手段と、前記車両位置マークが前記施設に近づいたとき、前記音声データ記憶手段に記憶されている前記施設に対応する音声データを出力する音声出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の車載用ナビゲーション装置によれば、ユーザが表示画面を頻繁に確認する必要なく、目的の地点まで地図をスクロールすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS受信装置8と、を備えている。
【0009】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、各種センサ(6、7)やGPS受信装置8から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィック展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2に表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データを用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、音声入出力装置4やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0010】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。
【0011】
記憶装置3は、CD−ROMやDVD−ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、地図データ310や、音声出力対象の施設や地名に関する読み上げ情報400、等が記憶されている。
【0012】
地図データ310の概略データ構造を図2に示す。地図データ310は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)311ごとに、そのメッシュ領域に含まれている道路を構成する各リンクのリンクデータ320を含んでいる。
【0013】
リンクデータ320は、リンクの識別コード(リンクID)321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、2つのノードにそれぞれ接続するリンクの識別コード(接続リンクID)326、リンク周辺に位置する施設の識別コード(周辺施設ID)327、などを含んでいる。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理することができる。また、リンク旅行時間325は、日時、天気などの条件ごとに対応付けられたリンク旅行時間であってもよい。さらに、地図データ310には、交差点の位置情報、名称等が含まれており、交差点に対応するノードの識別コード(ノードID)も含まれている。また、リンクデータ320には、複数の周辺施設ID327が含まれてもよい。
【0014】
次に、読み上げ情報400の概略データ構造を図3に示す。読み上げ情報400は、音声として出力対象の施設や地名に関する情報を格納している。読み上げ情報400は、リンクの周辺施設ごとのレコード450からなる。各レコード450には、周辺施設ID410と、読み上げ位置420と、読み上げ内容430と、カテゴリ440と、が対応付けて格納されている。
周辺施設の識別コード(周辺施設ID)410は、音声として出力する対象である施設(施設以外の地名等も含む)を特定するコードであり、周辺施設ID327に相当する。
読み上げ位置420は、施設や地名に関する情報を音声出力するときのカーマークの位置を特定するデータであり、例えば、座標情報といったリンク上の1点の位置を特定可能なデータである。なお、カーマークとは、地図上において車両の位置を示すマークである。
読み上げ内容430は、実際に音声出力する施設や地名に関する音声データであり、例えば、交差点名、施設名、地名、その施設の車両からみた方向、等の音声データを含む。具体的には、図示するように、「交差点「XXX」です」、「右側の建物が「ZZZ」です」、といった音声を出力するための音声データである。
カテゴリ440は、音声出力する施設を分類するためのデータであり、例えば、その施設の重要度(読み上げ優先度)やジャンルを特定するデータである。
【0015】
図1に戻り、音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42とを備える。マイクロフォン41は、ユーザやその他の搭乗者の発した音声などの車載器の外部の音声を取得する。スピーカ42は、演算処理部1で生成された音声信号を出力する。例えば、スピーカ42は、読み上げ情報400の読み上げ内容430に格納されている音声データに対応する音声を出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていてもよい。車載用ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0016】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、電源ボタン、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成される。また、スクロールキーには、進行方向スクロールキー、後退方向スクロールキー、等が含まれる。
【0017】
車速センサ6、ジャイロセンサ7、及び、GPS受信装置8は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用される。車速センサ6は、移動体(車両)の進行速度を検出する。ジャイロセンサ7は、例えば、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体(車両)が回転した角度を検出するものである。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体(車両)の現在位置、進行速度を測定する。
【0018】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、表示処理部103と、経路誘導部104と、スクロール処理部105と、読み上げ処理部106と、現在位置算出部107と、を有する。
【0019】
主制御部101は、演算処理部1の各部を統括して制御する処理を行う。
【0020】
入力受付部102は、入力装置5に入力されたユーザからの要求を受け付け、その要求内容を解析する。入力受付部102は、解析結果に応じたデータを主制御部101に通知する。例えば、入力受付部102は、車載用ナビゲーション装置100に電源を供給する要求、電源を切断する要求、経路を進行方向にスクロールする要求、経路を後退方向にスクロールする要求、等の要求を受け付け、主制御部101に通知する。また、入力受付部102は、車載用ナビゲーション装置100が有する各種機能の設定における入力データを受け付け、主制御部101に通知する。
【0021】
表示処理部103は、ディスプレイ2に、地図等を表示させる。具体的には、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させるための描画コマンドを生成して通知する。なお、表示処理部103は、地図をディスプレイ2に表示させる際には、表示が要求された領域(例えば、車載用ナビゲーション装置100の現在位置付近の領域)にある地図データを記憶装置3から抽出し、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物、現在位置、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。また、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させた地図上に、自車両の位置を示すカーマークや、各種設定画面や、推奨経路、等を表示させる。
【0022】
経路誘導部104は、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ経路のコスト(例えば、距離や旅行時間)が最小となる経路を探索し、探索した経路(推奨経路)を用いて経路誘導を行う。例えば、経路誘導部104は、経路の情報と、現在地の情報とを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折するべきかを、ディスプレイ2に表示させるとともに、音声入出力装置4を用いて音声でユーザに知らせる。また、経路誘導部104は、ディスプレイ2に表示された地図の範囲に含まれている推奨経路を表示する。このとき、経路誘導部104は、車両位置を示すカーマークを推奨経路上(例えば、画面中心)に表示する。
【0023】
スクロール処理部105は、ユーザの指示に基づいて、ディスプレイ2に表示している地図を、推奨経路に沿ってスクロール(ルートスクロール)する。地図のスクロールに伴って、カーマークが推奨経路に沿って移動するように表示することができる。
また、スクロール処理部105は、地図のスクロール方向を変更することができる。例えば、入力装置5の進行方向スクロールキーが操作されたときには、ディスプレイ2に表示している地図を、推奨経路に沿って、車両の進行方向にスクロールする。一方、入力装置5の後退方向スクロールキーが操作されたときには、ディスプレイ2に表示している地図を、車両の後退方向にスクロールする。
さらに、スクロール処理部105は、進行方向スクロールキー、又は、後退方向スクロールキーが長押しされたときに、地図をスクロールする速度を上げる。
【0024】
読み上げ処理部106は、施設や地名に関する情報を音声出力する処理を行う。具体的には、読み上げ処理部106は、地図のスクロール中に、カーマークが、読み上げ対象の登録地点(例えば、交差点や施設)を通過するたびに、予め用意しておいた読み上げ対象の音声データをスピーカ42から出力する。このとき、読み上げ処理部106は、カーマークが位置するリンクの周辺施設ID410と、カーマークの位置に対応する読み上げ位置420と、を含むレコード450に格納されている読み上げ内容430をデコードして音声出力する。
【0025】
現在位置算出部107は、車載用ナビゲーション装置100の現在位置を算出する。具体的には、現在位置算出部109は、車速センサ6で計測される車両の進行速度(S5)およびジャイロセンサ7で計測される角加速度データ(S6)を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用い、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期位置(X,Y)から自車走行後の位置である現在地(X’,Y’)を定期的に演算する。また、演算結果を用いて、マップマッチ処理することにより、形状の相関が最も高い道路(リンク)上に現在位置を合わせ込む。また、定期的にGPS受信装置8の出力(S7)を用いて現在位置を修正する。なお、車両が停止しているときには、GPS受信装置8の出力(S7)だけを用いて現在位置を求めてもよい。
【0026】
以上のような機能を有する演算処理部1は、例えば、図5に示すようなハードウェア構成で実現される。
【0027】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス712で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)701と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)702と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)703と、メモリ間及びメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)704と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ705と、グラフィックイメージデータを蓄積するVRAM(Video Random Access Memory)706と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット707と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器708と、シリアル信号をバス712に同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)709と、パラレル信号をバスに同期させてバス712にのせるPIO(Parallel Input/Output)710と、パルス信号を積分するカウンタ711と、を有する。
【0028】
次に、上記構成からなる車載用ナビゲーション装置100の特徴的な動作について説明する。図6は、車載用ナビゲーション装置100の演算処理部1が行う経路誘導処理を示すフローチャートである。
【0029】
演算処理部1の主制御部101は、入力受付部102を介して経路誘導処理を開始する指示を受け付けたときに、経路誘導処理を開始する。例えば、経路誘導処理を開始する指示を入力するためのボタンをメニュー画面(図示せず)上に表示しておき、そのボタンにタッチする操作がなされたときに経路誘導処理を開始する。
【0030】
経路誘導処理を開始後、経路誘導部104は、目的地の設定を行う(ステップS101)。
具体的には、経路誘導部104は、まず、各種検索方法(例えば、名称から検索、住所から検索、地図から検索、等)により目的地を検索する。続いて、検索した目的地から1つの目的地を選択する指示を入力受付部102を介して受け付け、その指示に対応する目的地をメモリ(例えば、RAM702)に記憶する。ここで、目的地には、目的地の位置、目的地の施設名、目的地の住所、等が含まれる。
【0031】
続いて、経路誘導部104は、誘導経路(推奨経路)の探索、登録を行う(ステップS102)。具体的には、経路誘導部104は、現在位置算出部107に算出させた車載用ナビゲーション装置100の現在位置と、ステップS101で記憶した目的地と、の間を結ぶ最小コストの経路を探索して、メモリ(例えば、RAM702)に記憶する。
【0032】
誘導経路(推奨経路)の登録後、経路誘導部104は、経路誘導を開始する(ステップS103)。具体的には、経路誘導部104は、ディスプレイ2に現在位置周辺の地図を表示する。さらに、ステップS102で登録した誘導経路(推奨経路)から、表示している地図の範囲に含まれている誘導経路(推奨経路)を抽出して、地図に重ねて表示する。このときの誘導経路(推奨経路)を表示する画面の一例を、図7に示す。
【0033】
図示するように、経路誘導部104は、表示処理部103を介して、ディスプレイ2に、地図と誘導経路(推奨経路)を重ねて表示し、ステップS102で算出した現在位置に対応する位置に現在位置マーク(カーマーク)210を表示する。そして、画面には、ルートスクロールの機能をオンにするためのルートスクロール機能ボタン220と、ルートスクロールの機能をオフにすることができるメニューボタン群230と、が設けられる。
【0034】
経路誘導を開始した後は、経路誘導部104は、車両の走行に伴って、経路誘導を行う(ステップS104)。例えば、経路誘導部104は、地図データ310から経路の情報を取得し、現在位置算出部107から現在位置を取得する。取得したデータを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折するべきかを、ディスプレイ2に表示させるとともに、音声入出力装置4を用いて音声でユーザに知らせる。
【0035】
ステップS104において経路誘導中に、スクロール処理部105は、ルートスクロール機能ボタン220がタッチされるか否かを検出する(ステップS105)。
スクロール処理部105は、ルートスクロール機能ボタン220がタッチされるまで待機し(ステップS105;No)、ルートスクロール機能ボタン220がタッチされたときに(ステップS105;Yes)、処理をステップS106に移行する。
続いて、スクロール処理部105は、ルートスクロール処理を開始する(ステップS106)。ルートスクロール処理については、後述する。また、主制御部101は、ルートスクロール処理の開始時に、経路誘導を中断する。
【0036】
ルートスクロール処理を開始後、スクロール処理部105は、メニューボタン群230に含まれるいずれかのボタンがタッチされるか否かを検出する(ステップS107)。
スクロール処理部105は、メニューボタン群230のいずれかのボタンがタッチされるまでルートスクロール処理を継続し(ステップS107;No)、タッチされたときに(ステップS107;Yes)、処理をステップS108に移行してルートスクロール処理を終了する。
【0037】
主制御部101は、ルートスクロール処理を終了後、処理をステップS103に戻して、ステップS106から中断していた経路誘導を再開する。
【0038】
以上の経路誘導処理を、演算処理部1が行うことにより、経路誘導中にルートスクロール処理を開始させることができる。
【0039】
続いて、図8は、車載用ナビゲーション装置100の演算処理部1が行うルートスクロール処理を示すフローチャートである。
【0040】
図6のステップS106においてルートスクロール処理を開始した後、スクロール処理部105は、ルートスクロール中に音声出力を行うか否かを決定する設定(読み上げ設定)を行う(ステップS201)。具体的には、スクロール処理部105は、図11に示すような、読み上げ設定ONボタン240を、ルートスクロール中の画面上に表示し、音声出力を行うか否かの選択を受け付ける。スクロール処理部105は、受け付けた選択をメモリ(例えば、RAM702)に格納しておく。
【0041】
読み上げ設定後、スクロール処理部105は、入力装置5からのスクロール指示があるか否かを判別する(ステップS202)。スクロール処理部105は、進行方向スクロールキー、又は、後退方向スクロールキーが操作されるまで待機する(ステップS202;No)。
【0042】
進行方向スクロールキー、又は、後退方向スクロールキーが操作されたとき(ステップS202;Yes)、スクロール処理部105は、どちらのスクロールキーが操作されたのかを判定する(ステップS203)。具体的には、入力装置5から供給された信号を特定して、どちらのスクロールキーが操作されたのかを判定する。
【0043】
ここで、スクロール処理部105は、進行方向スクロールキーが操作されたと判定した場合(ステップS203;進行方向キー)、処理をステップS204に移行して、地図のスクロール方向を、車両の進行方向に設定する(ステップS204)。ここで、スクロール処理部105は、例えば、スクロールにより表示する可能性の高い進行方向の地図データ310を記憶装置3からメモリに読み出しておく。
【0044】
一方、後退方向スクロールキーが操作されたと判定した場合(ステップS203;後退方向キー)、スクロール処理部105は、処理をステップS205に移行して、地図のスクロール方向を、車両の後退方向に設定する(ステップS205)。ここで、スクロール処理部105は、例えば、スクロールにより表示する可能性の高い後退方向の地図データ310を、記憶装置3からメモリに読み出しておく。
【0045】
ステップS204、ステップS205に続いて、スクロール処理部105は、地図のスクロールの速度を上げる指示がされたか否かを判別する(ステップS206)。具体的には、スクロール処理部105は、進行方向スクロールキー、又は、後退方向スクロールキーが所定時間(例えば、2秒)以上押された(長押しされた)か否かを判別して、所定時間以上押されていれば、高速スクロールの指示がされたと判定し、所定時間未満であれば、高速スクロールの指示はされていないと判定する。スクロールキーが押されている時間は、スクロールキーが押されたときから計測しておく。
【0046】
高速スクロールの指示がされていないと判定した場合(ステップS206;No)、スクロール処理部105は、処理をステップS207に移行して、地図を所定の距離分、スクロールする(ステップS207)。このとき、スクロール処理部105は、ステップS204又はステップS205で設定した方向に、地図のスクロールを行う。このとき、スクロール処理部105は、車両の位置を示すカーマーク215が推奨経路に対して移動するように表示する。なお、スクロール処理部105は、図11に示すような現在地の地点を示すマークを表示させてもよい。
【0047】
ステップS207において、所定の距離分スクロール後、スクロール処理部105は、読み上げ設定がオンかオフかの判別を行う(ステップS208)。具体的には、スクロール処理部105は、メモリ(例えば、RAM702)を参照して、ステップS201で受け付けた選択に基づいて判定する。
【0048】
読み上げ設定がオンであると判定した場合(ステップS208;Yes)、スクロール処理部105は、処理をステップS209に移行する。一方、読み上げ設定がオフであると判定した場合(ステップS208;No)、処理を図10のステップS230に移行する。図10の処理については後述する。
【0049】
ステップS209では、読み上げ処理部106は、カーマーク215付近の音声出力対象の施設や地名に関する読み上げ情報を取得する(ステップS209)。具体的には、読み上げ処理部106は、カーマーク215が位置するリンクに対応付けされている周辺施設ID410(周辺施設ID327)を有する全カテゴリのレコード450を、読み上げ情報400から抽出する。そして、抽出したレコード450の中から、カーマーク215との距離が所定距離(例えば、200m)内の読み上げ位置420に対応付けられている読み上げ内容430を取得する。
【0050】
続いて、読み上げ処理部106は、ステップS209において取得した読み上げ情報(読み上げ内容430)を、音声出力する処理を行う(ステップS210)。具体的には、読み上げ処理部106は、ステップS209で取得した読み上げ内容430を、スピーカ42から出力する。例えば、ステップS209で取得した読み上げ内容430が「交差点「XXX」です」であれば、読み上げ処理部106は、図12に示すように、スピーカ42から音声出力する。
【0051】
読み上げ内容430を音声出力した後、読み上げ処理部106は、処理をステップS202に戻す。
【0052】
以上のルートスクロール処理を、演算処理部1が行うことにより、ユーザは、ディスプレイ2の画面を見ずに地図のスクロールを行うことができる。
【0053】
続いて、ステップS206において高速スクロールの指示がされたと判定した場合の処理について説明する。図9は、高速スクロールの指示がされた場合の処理を示すフローチャートである。
【0054】
高速スクロールの指示がされたと判定した場合(ステップS206;No)、スクロール処理部105は、ステップS207におけるスクロールよりも高速に、地図を所定の距離分、スクロールする(ステップS220)。このとき、スクロール処理部105は、ステップS204又はステップS205で設定した方向に、地図の高速スクロールを行う。
【0055】
続いて、スクロール処理部105は、所定の距離分、地図を高速スクロール後、読み上げ設定がオンかオフかの判別を行う(ステップS221)。具体的には、スクロール処理部105は、メモリ(例えば、RAM702)を参照して、ステップS201で受け付けた選択に基づいて判定する。
【0056】
読み上げ設定がオンであると判定した場合(ステップS221;Yes)、スクロール処理部105は、処理をステップS222に移行する。一方、読み上げ設定がオフであると判定した場合(ステップS221;No)、処理を図10のステップS230に移行する。
【0057】
ステップS222では、読み上げ処理部106は、カーマーク215付近の音声出力対象の施設や地名に関する読み上げ情報を取得する(ステップS222)。具体的には、読み上げ処理部106は、カーマーク215が位置するリンクに対応付けされている周辺施設ID410(周辺施設ID327)を有する全カテゴリのレコード450を、読み上げ情報400から抽出する。ただし、高速スクロール時のステップS222では、全カテゴリのレコード450を抽出せずに、特定のカテゴリ(例えば、重要度が高いカテゴリ「A」)に該当するレコード450だけを抽出するようにしてもよい。そして、読み上げ処理部106は、抽出したレコード450の中から、カーマーク215との距離が所定距離(例えば、200m)内の読み上げ位置420に対応付けられている読み上げ内容430を取得する。
【0058】
続いて、読み上げ処理部106は、ステップS210の読み上げ処理と同様に、ステップS222で取得した読み上げ情報(読み上げ内容430)を音声出力する処理を行う(ステップS223)。
【0059】
読み上げ内容430を音声出力した後、読み上げ処理部106は、処理を図8のステップS202に戻す。
【0060】
以上の高速スクロールの処理を、演算処理部1が行うことにより、ユーザは、ディスプレイ2の画面を見ずに、通常時よりも高速に地図のスクロールを行うことができる。また、地図を高速スクロール中には、優先度の高い読み上げ情報だけを読み上げたり、読み上げ対象の施設間の距離が短いものは読み上げ情報を読み上げないようにしたりすることができる。
【0061】
続いて、ステップS208、或いは、ステップS221において、読み上げ設定がオフであると判定した場合の処理について説明する。図10は、読み上げ設定がオフであると判定した場合の処理を示すフローチャートである。
【0062】
読み上げ設定がオフであると判定した場合(ステップS208;No、ステップS221;No)、スクロール処理部105は、読み上げ設定がオフの場合であっても、一時的に読み上げを指示することを可能にする読み上げ指示ボタン250を、図13に示すように、ルートスクロール中の画面上に表示する(ステップS230)。なお、既に、読み上げ指示ボタン250が表示されているときには、スクロール処理部105は、継続して読み上げ指示ボタン250を画面上に表示する。
【0063】
読み上げ処理部106は、一時的に読み上げをする指示を受け付けたときに(ステップS231;Yes)、処理をステップS232に移行し、読み上げ指示ボタン250を表示してから所定時間内に、一時的に読み上げをする指示を受け付けなかったときには(ステップS231;No)、処理を図8のステップS202に移行する。
【0064】
ステップS232では、読み上げ処理部106は、カーマーク215の位置に最も近い音声出力対象の施設や地名に関する読み上げ情報を取得する(ステップS232)。具体的には、読み上げ処理部106は、カーマーク215が位置するリンクに対応付けされている周辺施設ID410(周辺施設ID327)を有する全カテゴリのレコード450を、読み上げ情報400から抽出する。そして、読み上げ処理部106は、抽出したレコード450の中から、カーマーク215との距離が最も近い読み上げ位置420に対応付けられている読み上げ内容430を取得する。
【0065】
続いて、読み上げ処理部106は、ステップS210の読み上げ処理と同様に、ステップS232で取得した読み上げ情報(読み上げ内容430)を音声出力する処理を行う(ステップS233)。例えば、ステップS232で取得した読み上げ内容430が「この先○○m、交差点「XXX」です」であれば、読み上げ処理部106は、図13に示すように、スピーカ42から音声出力する。
【0066】
読み上げ内容430を音声出力した後、読み上げ処理部106は、処理を図8のステップS202に戻す。
【0067】
以上の処理を、演算処理部1が行うことにより、読み上げ設定がオフの場合であっても、一時的に読み上げを指示することができる。これにより、ユーザにとっては、読み上げ設定がオフの状態で地図をスクロールさせている場合でも、一時的に読み上げた情報に基づいて地図を少量スクロールでき、表示する地図の位置を微調整しやすくなる。
【0068】
以上、本発明の実施形態の一例について説明した。上記実施形態によれば、本発明の車載用ナビゲーション装置100は、ユーザがディスプレイ2を頻繁に確認する必要なく、目的の地点まで地図をスクロールすることができる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。
【0070】
例えば、上記実施形態では、スクロールの速度の変更を、進行方向スクロールキー、又は、後退方向スクロールキーの長押しによって行うようにしている。しかしながら、これに限定されず、例えば、進行方向スクロールキー、又は、後退方向スクロールキーを、2段階スイッチとして、押された量に応じてスクロールの速度を変更するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、読み上げ処理部106は、カーマーク215付近の音声出力対象の施設や地名に関する読み上げ情報を取得する際に、カーマーク215が位置するリンクに対応付けされている全ての周辺施設ID327をキーとして、読み上げ情報400を抽出する。しかし、これに限定されず、例えば、スクロールが進行方向にされていれば、車両の進行方向にある周辺施設ID327だけをキーとし、スクロールが後退方向にされていれば、車両の後退方向にある周辺施設ID327だけをキーとして、読み上げ情報400を抽出するようにしてもよい。なお、車両からみた周辺施設の方向は、カーマーク215の位置と周辺施設の位置から求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】地図データの構成例を示す図である。
【図3】読み上げ情報の構成例を示す図である。
【図4】演算処理部の機能構成を示す図である。
【図5】演算処理部のハードウェア構成を示す図である。
【図6】経路誘導処理のフロー図である。
【図7】誘導経路(推奨経路)を表示する画面の表示例である。
【図8】ルートスクロール処理のフロー図である。
【図9】高速スクロールの指示がされた場合の処理のフロー図である。
【図10】読み上げ設定がオフであると判定した場合の処理のフロー図である。
【図11】読み上げ設定ONボタンを表示する画面の表示例である。
【図12】音声出力しているときの出力例を示す図である。
【図13】読み上げ設定がオフ時に音声出力しているときの出力例を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声入出力装置、5・・・入力装置、6・・・車速センサ、7・・・ジャイロセンサ、8・・・GPS受信装置、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、100・・・車載用ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・入力受付部、103・・・表示処理部、104・・・経路誘導部、105・・・スクロール処理部、106・・・読み上げ処理部、107・・・現在位置算出部、210・・・現在位置マーク、215・・・車両位置マーク、220・・・ルートスクロール機能ボタン、230・・・メニューボタン群、240・・・読み上げ設定ONボタン、250・・・読み上げ指示ボタン、310・・・地図データ、400・・・読み上げ情報、410・・・周辺施設ID、420・・・読み上げ位置、430・・・読み上げ内容、440・・・カテゴリ、701・・・CPU、702・・・RAM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
施設に関する音声データを記憶した音声データ記憶手段と、
目的地までの誘導経路を取得する誘導経路取得手段と、
現在位置周辺の地図を表示するとともに、表示された地図の範囲に含まれている前記誘導経路を表示して、経路誘導を行う経路誘導手段と、
前記経路誘導手段が経路誘導を行っているときに、前記誘導経路をスクロールさせるスクロール要求を受け付けるスクロール要求受付手段と、
前記スクロール要求を受け付けている期間中に、前記誘導経路に沿って、前記地図をスクロールして表示するとともに、車両位置を示す車両位置マークを前記誘導経路に対して移動させて表示するスクロール手段と、
前記車両位置マークが前記施設に近づいたとき、前記音声データ記憶手段に記憶されている前記施設に対応する音声データを出力する音声出力手段と、を備える、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置であって、
前記施設に関する音声データは、施設名を含む情報を音声出力するための音声データ、又は、交差点名を含む情報を音声出力するための音声データである、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置であって、
前記スクロール要求受付手段は、
前記誘導経路に沿って、前記地図を前記目的地の方向にスクロールさせる進行方向スクロール要求、又は、
前記誘導経路に沿って、前記地図を前記目的地と反対方向にスクロールさせる後退方向スクロール要求、を受け付け、
前記スクロール手段は、
前記進行方向スクロール要求を受け付けている期間中には、前記誘導経路に沿って、前記地図を前記目的地方向にスクロールして表示するとともに、車両位置を示す車両位置マークを前記誘導経路に対して移動させて表示し、
前記後退方向スクロール要求を受け付けている期間中には、前記誘導経路に沿って、前記地図を前記目的地と反対方向にスクロールして表示するとともに、車両位置を示す車両位置マークを前記誘導経路に対して移動させて表示する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置であって、
前記スクロール手段は、
前記スクロール要求受付手段が前記スクロール要求を所定の時間以上継続して受け付けた場合には、直前のスクロールの速度と比べて高速に、前記地図をスクロールする、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
ナビゲーション装置におけるルートスクロール方法であって、
前記ナビゲーション装置は、制御部と、施設に関する音声データを記憶した音声データ記憶手段と、を備え、
前記制御部が、
目的地までの誘導経路を取得する誘導経路取得ステップと、
現在位置周辺の地図を表示するとともに、表示された地図の範囲に含まれている前記誘導経路を表示して、経路誘導を行う経路誘導ステップと、
前記経路誘導ステップで経路誘導を行っているときに、前記誘導経路をスクロールさせるスクロール要求を受け付けるスクロール要求受付ステップと、
前記スクロール要求を受け付けている期間中に、前記誘導経路に沿って、前記地図をスクロールして表示するとともに、車両位置を示す車両位置マークを前記誘導経路に対して移動させて表示するスクロールステップと、
前記車両位置マークが前記施設に近づいたとき、音声データ記憶手段に記憶されている前記施設に対応する音声データを出力する音声出力ステップと、
を行うことを特徴とするルートスクロール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−250675(P2009−250675A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96226(P2008−96226)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】