説明

ナビゲーション装置、及びその交差点案内方法並びに交差点案内プログラム

【課題】データ量の増加を抑制しつつ、ユーザが容易に理解できる案内矢印を表示するナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1のCPU132には、現在位置情報に基づいて交差点形状を把握する交差点形状把握部132aと、交差点形状把握部132aによって把握された交差点形状に近い形状を再現するために必要となる矢印を、基本方位を指す矢印の中から選択する矢印選択部132bと、交差点の誘導方向を予告表示する案内矢印が、矢印選択部132bによって選択された基本方位を指す矢印の組み合わせで表示されるように、表示ユニット16を制御する表示ユニット制御部132cと、が備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体を目的地まで案内する経路案内機能を備えたナビゲーション装置、及びその交差点案内方法並びに交差点案内プログラムに関し、より詳細には、経路案内時において、交差点での誘導方向を予告表示する案内矢印の表示技術に関する。なお、本明細書において、交差点には分岐点も含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体を目的地まで案内する経路案内機能を備えたナビゲーション装置が知られており、例えば自動車等に搭載して使用される。このようなナビゲーション装置においては、ユーザ(ドライバ)が目的地を指定すると、その目的地までの経路である誘導経路が決定される。誘導経路は、ナビゲーション装置が備える表示画面に表示される地図上において、他の道路と区別できるように、例えば色を変えて表示される。
【0003】
また、ナビゲーション装置には、自動車等の現在位置を検出する手段(例えばGPS(Global Positioning System)等)が備えられており、表示画面に表示される地図上には、現在位置がわかるように現在位置に関する情報が示される。従って、ドライバは、ナビゲーション装置の表示画面を見ながら、誘導経路に沿って移動することにより、目的地に到着することができる。
【0004】
このようなナビゲーション装置においては、従来、経路案内中に、次に通過する交差点でいずれの方向に進めば良いかを素早く(安全に)判断できるように、誘導経路を示す地図とは別に、交差点での誘導方向を予告する案内矢印が大きく表示されるものがある。この案内矢印について、図6を参照しながら説明する。なお、図6は、従来のナビゲーション装置において、経路案内が実施されている状態の表示画面例を示したものである。
【0005】
図6の表示画面において、車両は道路101上を走行している。また、誘導経路110は太い線とすることによって、他の道路と区別された状態で示されている。更に、車両の現在位置については、略三角形の図形を破線の円で囲った現在位置マーク111によって示している。
【0006】
ナビゲーション装置における経路案内中に、車両が交差点Pから所定の距離内に到達すると、誘導方向を示す案内矢印が例えば表示画面の左上に表示される。図6においては、交差点Pから進むことができる4つの道路102、103、104、105のうち、誘導経路は右斜め前方にある道路104であるために、図6に示すような右斜め前方を示す案内矢印106が表示される。
【0007】
しかし、図6に示すように、単に進行方向を示す案内矢印のみを表示する構成の場合、交差点形状が複雑であると(例えば、道路105が図6の点線で示すように傾いている場合等)、ドライバは案内矢印を見ても進行方向について迷う場合がある。このために、図7に示すように、進行方向を示す矢印に他の道路についても示した案内矢印107を表示することが従来行われている。
【0008】
従来においては、交差点形状に合わせて複数の案内矢印を準備するといったことが行われており、ナビゲーション装置に記憶するデータ量が多くなるという問題がある。特に、図7のような案内矢印107を表示しようとする場合には、データ量が非常に多くなるという問題がある。
【0009】
この点、特許文献1に示されるように、交差路と交差路の上に生成された回転案内矢印とを同時に表示する構成とすると、予め準備する案内矢印が減り、矢印のデータ量は減る。しかし、この構成の場合には、交差路に合わせて案内矢印を回転させる処理が必要となり、ナビゲーション装置において行う処理が複雑となる。
【0010】
また、特許文献1のように、交差路を忠実に再現してその上に案内矢印を示す場合には、交差点が複雑であると、どちらに進めば良いかを確認するために要する時間が長くなる。このために、運転に集中できていない時間が長くなり、事故を起こす危険性が増加する。すなわち、安全面において不安がある。
【特許文献1】特開2004−138616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上の点を鑑みて、本発明の目的は、データ量の増加を抑制しつつ、ユーザが容易に理解できる案内矢印を表示するナビゲーション装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、ユーザが容易に理解できる案内矢印を表示して交差点案内を行うナビゲーション装置の交差点案内方法並びに交差点案内プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のナビゲーション装置は、移動体を目的地まで案内する経路案内中に、交差点における誘導方向を案内矢印によって予告表示するナビゲーション装置であって、前記移動体の現在位置を取得する現在位置取得手段と、前記案内矢印を表示する表示手段と、予め設定した複数の方位を基本方位とし、該基本方位を指す矢印に関するデータを記憶する記憶手段と、前記現在位置取得手段によって取得された現在位置情報に基づいて交差点形状を把握する交差点形状把握手段と、前記交差点形状把握手段によって把握された前記交差点形状に近い形状を再現するために必要となる矢印を、前記基本方位を指す矢印の中から選択する矢印選択手段と、前記案内矢印が、前記矢印選択手段によって選択された矢印を組み合わせて表示されるように、前記表示手段を制御する表示手段制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0013】
本構成のナビゲーション装置では、基本方位を指す矢印に関するデータのみを準備することによって、交差点での誘導方向を予告する案内矢印を表示できるようになっている。したがって、ナビゲーション装置に予め記憶させるデータ量を少なくできる。また、基本方位のみを組み合わせて案内矢印を形成する構成であるために、交差点形状が複雑であっても、ドライバが素早く誘導方向を識別(理解)できる。
【0014】
上記構成のナビゲーション装置において、前記表示手段によって表示される前記案内矢印は、前記誘導方向を示す矢印が他の方向の矢印と異なる色となるように表示されるようにしても構わない。これにより、ドライバは誘導方向の識別を行い易い。
【0015】
上記構成のナビゲーション装置において、前記基本方位は8方位であることとしても構わない。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明は、ナビゲーション装置の交差点案内方法であって、移動体の現在位置が、次に通過予定の交差点から所定の距離以内であるか否かを判断するステップと、前記現在位置が前記所定の距離以内である場合に、前記交差点の形状を把握するステップと、把握された前記交差点の形状に近い形状を再現するために必要となる矢印を、基本方位として予め設定した複数の方位のそれぞれを指す矢印の中から選択するステップと、選択された矢印を組み合わせて、交差点における誘導方向を予告表示する案内矢印として表示するステップと、を具備することを特徴としている。
【0017】
本構成のナビゲーション装置の交差点案内方法では、基本方位のみを組み合わせて案内矢印を形成する構成となっている。このために、交差点形状が複雑である場合であっても、ドライバが誘導方向を識別(理解)し易い案内矢印を示して交差点案内を行える。したがって、本構成の交差点案内方法によれば、安全面において有利となる。
【0018】
また、上記目的を達成するために本発明は、コンピュータを備えるナビゲーション装置において実行される交差点案内プログラムであって、前記コンピュータを移動体の現在位置が、次に通過予定の交差点から所定の距離以内であるか否かを判断する手段、前記現在位置が前記所定の距離以内である場合に、前記交差点の形状を把握する手段、把握された前記交差点の形状に近い形状を再現するために必要となる矢印を、基本方位として予め設定した複数の方位のそれぞれを指す矢印の中から選択する手段、選択された矢印を組み合わせて、交差点における誘導方向を予告表示する案内矢印として表示させる手段、として機能させることを特徴としている。
【0019】
また本発明は、上記構成のナビゲーション装置において実行される交差点案内プログラムを記憶した記録媒体であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、データ量の増加を抑制しつつ、ユーザが容易に理解できる案内矢印を表示するナビゲーション装置を提供できる。また、本発明によれば、ユーザが容易に理解できる案内矢印を表示して交差点案内を行うナビゲーション装置の交差点案内方法並びに交差点案内プログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のナビゲーション装置、及びナビゲーション装置の交差点案内方法並び交差点案内プログラムの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
(ナビゲーション装置)
まず、本実施形態のナビゲーション装置の構成について説明する。図1は、本実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態のナビゲーション装置1は、GPS受信機11と、自立測位装置12と、システムコントローラ13と、データ記憶ユニット14と、入力装置15と、表示ユニット16と、音声出力ユニット17と、バスライン18と、を備える。
【0023】
バスライン18は、ナビゲーション装置1を構成するシステムコントローラ13、データ記憶ユニット14、入力装置15、表示ユニット16、及び音声出力ユニット17を相互に接続するために設けられる。
【0024】
GPS受信機11は、複数のGPS衛星から送信される電波を受信する。GPS受信機11によって受信した電波を演算処理することにより、受信点の位置(経度、緯度)を求めることができ、車両(移動体)の絶対的な位置を検出できる。GPS受信機11は、移動体の現在位置を取得する現在位置取得手段として機能する。
【0025】
自立測位装置12は、例えば加速度センサ、角速度センサ、距離センサ等を備える。加速度センサは、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサは、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における角速度を検出し、角速度データ及び相対的方位データを出力する。距離センサは、車両の車輪の回転に伴って発生されるパルス信号からなる車速パルスを計測する。各センサから出力される情報に基づいて車両位置、車両方位が計算される。自立測位装置12は、移動体の現在位置を取得する現在位置取得手段としての機能を有する。
【0026】
システムコントローラ13は、ナビゲーション装置1全体を制御する。本実施形態のシステムコントローラ13には、インターフェース131と、CPU(Central Processing Unit)132と、ROM(Read On Memory)133と、RAM(Random Access Memory)134と、が備えられる。
【0027】
インターフェース131は、GPS受信機11及び自立測位装置12と、システムコントローラ13との間の情報のやり取りを仲介するために設けられる。これにより、システムコントローラ13には、車両の現在位置に関する情報等が入力されることになる。
【0028】
CPU132は、システムコントローラ13全体を制御する。本実施形態においては、CPU132には、交差点形状把握部132aと、矢印選択部132bと、表示ユニット制御部132cと、が備えられる。すなわち、CPU132は、交差点形状把握手段、矢印選択手段、及び表示手段制御手段として機能する。なお、交差点形状把握部132a、矢印選択部132b、表示ユニット制御部132cの詳細については、後述する。
【0029】
ROM133は、例えば不揮発性メモリからなり、システムコントローラ13を制御するための制御プログラムや、制御プログラムの実行に必要なデータ等が格納される。ROM133に記憶されるプログラムやデータには、本発明の交差点案内方法を実行するためのプログラムや、交差点案内時に予告表示する案内矢印を形成するために必要となるデータ等が含まれる。これらの詳細については後述する。なお、ROM133は、基本方位を指す矢印に関するデータ(詳細は後述する)を記憶する記憶手段として機能している。
【0030】
RAM134は、CPU132のワーク領域として用いられる。また、各種データの格納領域として用いられ、具体的には、例えば、予め設定された案内経路情報等のデータを読み出し可能に格納する。
【0031】
データ記憶ユニット14は、例えばHDD(Hard Disc Drive)等によって構成される。データ記憶ユニット14には、地図データや施設データなどナビゲーション処理に用いられる各種データが記憶される。
【0032】
入力装置15は、各種コマンドやデータを入力するためのキー、スイッチ、ボタン、リモートコントローラ、音声入力装置等から構成されている。表示ユニット16を構成するディスプレイ164がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ164の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置15として機能する。
【0033】
表示ユニット16は、グラフィックコントローラ161と、バッファメモリ162と、表示制御部163と、ディスプレイ164と、を備え、システムコントローラ13の制御下で、各種表示データをディスプレイ164に表示する。グラフィックコントローラ161は、バスライン18を介してCPU132から送られる制御データに基づいて表示ユニット16全体の制御を行う。バッファメモリ162は、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり、即時表示可能な画像情報を一時的に記憶する。表示制御部163は、グラフィックコントローラ161から出力される画像データに基づいてディスプレイ164の表示制御を行う。ディスプレイ164は、例えば液晶やCRT(Cathode Ray Tube)等からなる。
【0034】
表示ユニット16のディスプレイ164に表示されるデータとしては、例えば、データ記憶ユニット14から読み出された地図、目的までの距離、経路案内時における交差点の誘導方向を予告する案内矢印等が挙げられる。表示ユニット16は、交差点における誘導方向を予告する案内矢印を表示する表示手段として機能する。
【0035】
音声出力ユニット17は、システムコントローラ13の制御下で、例えばシステムコントローラ13等からバスライン18を介して送られる音声デジタルデータのデジタル/アナログ変換(D/A変換)を行う。また、D/A変換により得られた音声アナログ信号を増幅し、スピーカによって音声として車内に出力する。音声出力ユニット17から出力される音声としては、例えば経路案内を行う音声等が挙げられる。
【0036】
(交差点案内)
次に、本実施形態のナビゲーション装置1における交差点案内について詳細に説明する。ナビゲーション装置1においては、目的地までの経路案内中に交差点を通過する場合、交差点の手前で、交差点における誘導方向を案内矢印で予告表示するように構成されている。この案内矢印は、誘導経路を表示する地図とは別に、ディスプレイ164の表示画面に大きく表示される。このように交差点案内を行うことによって、ドライバは交差点での進路を把握し易くなる。そして、本実施形態のナビゲーション装置1では、ドライバが交差点での進路をより簡単に理解できるように、案内矢印の表示について工夫がなされている。
【0037】
図2は、本実施形態のナビゲーション装置1において、基本方位として予め設定されている複数の方位のそれぞれを指す矢印を示した図である。図2に示されるように、ナビゲーション装置1においては、基本方位は8方位とされている。そして、この8方位の矢印に関するデータがROM133に記憶されている。ここで、矢印に関するデータとしては、例えば、矢印自体を表示するための画像データや、ディスプレイ164の表示画面のどの座標に表示すれば良いかを示す座標データ等が挙げられる。
【0038】
なお、基本方位として予め設定される8方位は、詳細には、上方向、下方向、左方向、右方向、左斜め上方向、左斜め下方向、右斜め上方向、及び右斜め下方向の8つの方位である。そして、本実施形態では、斜め方向を向く4つの矢印は、左右方向に対して、相対的に45°傾いた方位としている。
【0039】
本実施形態のナビゲーション装置1においては、これら8つの基本方位を指す矢印を使って、案内矢印を形成する構成となっている。図3は、本実施形態のナビゲーション装置1において形成される案内矢印について説明するための図で、図3(a)は交差点の形状の一例を示す図、図3(b)は図3(a)に示す交差点の形状に基づいて形成された案内矢印を示す図である。
【0040】
以下では、道路形状が図3(a)の形状である場合を例に、本実施形態のナビゲーション装置1において案内矢印がどのように形成されるかを説明する。また、説明にあたって、図3(a)においては、道路51が進入道路、道路52、53、54、55が進出可能な道路、道路54が経路案内によって誘導される道路であることを前提として説明する。
【0041】
ナビゲーション装置1における案内矢印の形成にあたっては、上述の交差点形状把握部132a、矢印選択部132b、及び表示ユニット制御部132c(いずれも図1参照)が関与する。
【0042】
交差点形状把握部132aは、GPS受信機11及び自立測位装置12によって取得される現在位置情報(現在位置がどこであるかを示す情報)に基づいて交差点形状を把握する機能を有する。具体的には、交差点形状把握部132aは、車両の現在位置情報から次に通過する交差点を地図データより検出し、地図データに基づいて通過する交差点の進入道路51と、進出可能な道路52〜55とを把握する。
【0043】
矢印選択部132bは、前述の基本方位を指す矢印(これがどのような矢印であるかは、ROM133に記憶されている)の中から、交差点形状把握部132aによって把握された交差点形状に近い形状を再現するために必要となる矢印を選択する機能を有する。具体的には、まず、交差点形状把握部132aによって把握された形状に基づいて、進入道路51と進出可能な各道路52〜55との勾配角度を算出する。勾配角度は、図3に矢印で示すように、進入道路51を基準に、進出可能な道路52〜55が例えば反時計回り方向に何度回転した位置に存在するか、で決まる。このため、勾配角度は0°〜360°の角度となる。勾配角度が算出されると、その結果に基づいて、把握された交差点形状に近い形状を再現するために必要な矢印を、基本方位矢を指す矢印の中から選択する。
【0044】
この矢印の選択について詳しく説明する。本実施形態のナビゲーション装置1では、案内矢印はドライバが交差点での誘導方向を瞬時に判断できるようにヘッドアップ表示で示す構成となっている。なお、ヘッドアップ表示とは、走行方向をディスプレイ164の表示画面の真上にして表示する表示形式である。このため、進入道路51に該当する矢印としては、基本方位を指す矢印のうち、上方向を向く矢印が常に選択されることになる。
【0045】
一方、進出可能な道路は交差点によって様々であるために、交差点毎に、基本方位を指す矢印の中から、いずれの矢印を選択すべきかを決定する必要がある。上述のように、案内矢印を作成するにあたって進入方向は一定である。この点を考慮して、基本方位として予め定められる8つの方位を示す矢印には、進入方向に対する勾配角度が予め割り当てられている。そして、この勾配角度は、基本方位を指す矢印のデータの1つとしROM133に記憶されている。
【0046】
具体的には、例えば、下方向を指す矢印は勾配角度0°、右斜め下方向を指す矢印は勾配角度45°、右方向を指す矢印は勾配角度90°、右斜め上方向を指す矢印は勾配角度135°、上方向を指す矢印は勾配角度180°、左斜め上方向を指す矢印は勾配角度225°、左方向を指す矢印は勾配角度270°、左斜め上方向を指す矢印は勾配角度315°が割り当てられ、これがROM133に記憶されている。
【0047】
このようにすれば、交差点形状に基づいて算出した各道路の勾配角度データを用いて、進出可能な道路52〜55を再現するための矢印データを選択できる。すなわち、交差点形状に基づいて算出した各道路の勾配角度に最も近い勾配角度を有する矢印を順次選択するようにすれば、把握された交差点形状に近い形状を再現するために必要な矢印を選択できる。
【0048】
図3(a)の場合について説明すると、道路52については左方向を指すの矢印、道路53については上方向を指す矢印、道路54については右斜め上方向を指す矢印、道路55については右方向を指す矢印が、矢印選択部132bによって、それぞれ選択されることになる。
【0049】
なお、以上のように進出可能な方向の矢印データを選択する場合には、進出可能な道路のうちの異なる道路に対して同じ矢印を選択する場合があり得る。このため、異なる道路に対して同じ矢印が選択されている場合には、最も勾配角度が近い道路に対してその矢印を与え、その他には次に近い矢印を与えるようにすれば良い。ただし、このようにしても設定された基本方位が少なすぎる場合には、異なる道路に対して同じ矢印を選択せざるを得ない場合が生じるかもしれない。この場合には、予め設定する基本方位の数を増やす必要がある。
【0050】
表示ユニット制御部132cは、交差点における誘導方向を予告表示する案内矢印が、矢印選択部132bによって選択された矢印を組み合わせて表示されるように、表示ユニット16を制御する機能を有する。具体的には、まず、選択された矢印に関するデータを読み出し、このデータを、バスライン18を介して表示ユニット16に送信する。送信される矢印に関するデータには、選択された矢印の画像データと、各矢印をどの座標に表示させるかを示すデータ(座標データ)が含まれる。また、表示ユニット制御部132cは、選択された矢印のうち、どの矢印が誘導方向に該当するかという情報(誘導方向矢印情報)についても表示ユニット16に送信する。
【0051】
ここで、上述の座標データについて更に説明しておく。基本方位を指す矢印のうち、選択された矢印がディスプレイ164の表示画面のどの位置(座標)に表示されるかは、各矢印について予め決まっている。したがって、各矢印と対応付けて座標を記憶させておけば良い。このため、本実施形態のナビゲーション装置1においては、基本方位を指す矢印のデータに、座標データを含めている。ただし、上方向を指す矢印については、進入道路を示すために使用される場合と、進出可能な道路を指すために使用される場合とで、その表示される位置が異なるので、これに対応させて2種類の座標データを記憶させておく必要がある。
【0052】
なお、基本方位を向く矢印のうち、例えばUターンをする必要がある場合等、下方向を指す矢印が選択されることが考えられる。下方向の矢印を表示する場合、進入道路と重ねて表示すると識別し難くなる。このため、下方向の矢印を選択する場合には、進入道路とは重さならないように、少しずらした位置(例えば右に少しずらす等)に表示されるように座標を設定するのが好ましい。
【0053】
表示ユニット制御部132cによって情報(制御データ含む)を送信された表示ユニット16は、送信された情報に基づいて、グラフィックコントローラ161の制御下で、ディスプレイ164に案内矢印を表示する。具体的には、送信された画像データ、座標データにしたがって、選択された各矢印をディスプレイ画面に表示する。また、誘導方向矢印情報にしたがって、誘導方向を示す矢印について、他の矢印と識別可能にディスプレイ画面に表示する。これにより、図3(b)に示すような案内矢印31が、ディスプレイ164上に表示されることになる。
【0054】
なお、図3(b)においては、誘導方向を示す矢印を他の矢印と識別する手法として、誘導方向を破線で示し、その他を実線で示す構成としている。しかし、誘導方向を示す矢印を他の矢印と識別する手法は、これに限定されず、種々の変更が可能である。例えば、別色、反転表示、点滅等の手法を使って識別するようにしても良い。なお、別色とするのが、ドライバが表示を識別し易く、データ処理も容易であるので好ましい。
【0055】
図4は、本実施形態のナビゲーション装置1において、交差点案内が実施されている状態のディスプレイ164の画面例を示したものである。図4の画面例において、車両は道路51を走行している。目的地への誘導経路60は太線で示している。また、車両の現在位置については、略三角形の図形を破線の円で囲った現在位置マーク61によって示している。
【0056】
案内矢印31は、誘導経路60を示す地図とは別に、画面の左上に大きく示される。なお、案内矢印31の表示位置は、当然ながら適宜変更可能である。案内矢印31は、進入道路51と進出可能な道路52〜55とを示す構成であり、さらに誘導方向については識別可能な状態で示す。このために、ドライバは案内矢印を見ることによって、誘導方向を容易に判断できる。そして、基本方位として設定される方位を指す矢印のみで案内矢印31は示される。このために、交差点形状が複雑である場合であっても、判断し易い形状の案内矢印が示されることになり、ドライバは案内矢印31を短時間見ただけで誘導方向を判断できる。また、案内矢印を表示するためのデータ量も少なくて済む。
【0057】
次に、本実施形態のナビゲーション装置1による交差点案内方法について説明する。図5は、本実施形態のナビゲーション装置1における交差点案内処理の手順を示すフローチャートである。なお、交差点案内処理は、ナビゲーション装置1のシステムコントローラ13、特にCPU132が、予め用意されたプログラムを実行することによって実現される。また、この処理は、目的地までの誘導経路が既に設定されており、車両が誘導経路に沿って走行している状態において、繰り返し実行されるものである。
【0058】
まず、CPU132は、車両の現在位置が次に通過予定の交差点から所定の距離以内であるか否かを判断する(ステップS1)。CPU132は、GPS受信機11及び自立測位装置12から得られる情報によって現在位置を取得する。そして、データ記憶ユニット14に記憶される地図データに基づいて、次に通過予定の交差点までの距離を算出し、現在位置が所定の距離以内であるか否かを判断する。なお、所定の距離は、ディスプレイ164に案内矢印31を表示する地点(交差点手前の或る地点)までに、案内矢印31を準備できるように設定された距離である。
【0059】
車両の現在位置が次に通過予定の交差点から所定の距離以内となるまで、ステップS1の判断が行われる。そして、車両の現在位置が所定の距離以内となると、CPU132は、通過予定の交差点の形状を把握する(ステップS2)。この処理は、その詳細は上述した交差点形状把握部132aによって行われ、交差点における進入道路と進出可能な道路とが、地図データに基づいて把握される。
【0060】
通過予定の交差点の形状が把握されると、CPU132は、交差点形状の近い形状を再現するために必要となる矢印を、基本方位を指す矢印の中から選択する(ステップS3)。この処理は、その詳細は上述した矢印選択部132bによって行われる。本実施形態では、進入道路を基準として、進出可能な各道路の勾配角度の算出が行われ、これに基づいて、基本方位を指す矢印の中からいずれの矢印を選択すれば良いかが決定される。
【0061】
基本方位を指す矢印の中から、交差点形状に近い形状を再現するために必要な矢印が選択されると、CPU132は、選択された矢印を組み合わせて、表示ユニット16に案内矢印31が表示されるように表示ユニット16に指令を出す(ステップS4)。この処理は、その詳細は上述した表示ユニット制御部132cによって行われる。表示ユニット制御部132cは、選択された矢印に関する情報と、誘導方向に該当する矢印がいずれであるかという情報と、を表示ユニット16に送信すると共に、表示ユニット16の制御を行う。
【0062】
案内矢印31に関するデータを受信した表示ユニット16は、グラフィックコントローラ161の制御下で種々の処理を行い、案内矢印31を表示する(ステップS5)。表示される案内矢印31は、進入道路、進出可能な道路を全て示し、更に誘導方向が識別できるようになっている。そして、基本方位のみを組み合わせて案内矢印を形成する構成である。このために、交差点形状を忠実に再現して形成された案内矢印(例えば、特許文献1のような案内矢印)よりも、瞬時に誘導方向を識別し易い。この効果は複雑な交差点で大きい。
【0063】
なお、本実施形態では、案内矢印31は、例えば、通過予定の交差点の手前、300メートルの地点(この距離は、適宜変更可能)に到達した時点で表示されるように設定されている。
【0064】
以上に示した実施形態は一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0065】
例えば、本実施形態においては、基本方位を8方位としている。しかし、これに限らず、基本方位の設定の仕方は適宜変更して構わない。ただし、あまり多くすると矢印に関するデータ量が増える。また、基本方位の組み合わせで案内矢印を形成した場合に、誘導方向の識別を瞬時に行い難くなる。このために、なるべく少ない方位で、的確な誘導が行えるように、基本方位を決定するのが好ましい。
【0066】
また、本実施形態においては、現在位置情報の取得をGPS受信機11と自立測位装置12とを用いて行う構成とした。しかし、これに限らず、例えばGPS受信機のみを用いて現在位置情報を取得する構成としても構わない。
【0067】
その他、本実施形態のナビゲーション装置の構成は、あくまでも一例である。このため、本発明の目的を逸脱しない範囲で、適宜、その構成要素を増減して良い。例えば、本実施形態のナビゲーション装置1に、DVD(Digital Versatile Disc) やCD(Compact Disc)等の光ディスクの読み出し等を行えるようにディスクドライブを設けても良い。また、渋滞や交通情報などの道路交通情報を通信で受信できるように通信装置を設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、ドライバが誘導方向を容易に識別できる案内矢印を提供できる。そして、案内矢印を表示するために予め必要とされるデータ量も少なくて済む。このため、本発明は、ナビゲーション装置に対して好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】は、本実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である
【図2】は、本実施形態のナビゲーション装置において、基本方位として予め設定されている複数の方位のそれぞれを指す矢印を示した図である。
【図3】は、本実施形態のナビゲーション装置において形成される案内矢印について説明するための図である。
【図4】は、本実施形態のナビゲーション装置において、交差点案内が実施されている状態のディスプレイの画面例を示したものである。
【図5】は、本実施形態のナビゲーション装置における交差点案内処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】は、従来のナビゲーション装置において、経路案内が実施されている状態の表示画面例を示したものである。
【図7】は、従来の案内矢印について、図6の場合と異なる形態を示した図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ナビゲーション装置
11 GPS受信機(現在位置取得手段)
12 自立測位装置(現在位置取得手段)
13 システムコントローラ
16 表示ユニット(表示手段)
132 CPU(交差点形状取得手段、矢印選択手段、表示手段制御手段)
132a 交差点形状把握部
132b 矢印選択部
132c 表示ユニット制御部
133 ROM(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を目的地まで案内する経路案内中に、交差点における誘導方向を案内矢印によって予告表示するナビゲーション装置であって、
前記移動体の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記案内矢印を表示する表示手段と、
予め設定した複数の方位を基本方位とし、該基本方位を指す矢印に関するデータを記憶する記憶手段と、
前記現在位置取得手段によって取得された現在位置情報に基づいて交差点形状を把握する交差点形状把握手段と、
前記交差点形状把握手段によって把握された前記交差点形状に近い形状を再現するために必要となる矢印を、前記基本方位を指す矢印の中から選択する矢印選択手段と、
前記案内矢印が、前記矢印選択手段によって選択された矢印を組み合わせて表示されるように、前記表示手段を制御する表示手段制御手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示手段によって表示される前記案内矢印は、前記誘導方向を示す矢印が他の方向の矢印と異なる色となるように表示されることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記基本方位は8方位であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
ナビゲーション装置の交差点案内方法であって、
移動体の現在位置が、次に通過予定の交差点から所定の距離以内であるか否かを判断するステップと、
前記現在位置が前記所定の距離以内である場合に、前記交差点の形状を把握するステップと、
把握された前記交差点の形状に近い形状を再現するために必要となる矢印を、基本方位として予め設定した複数の方位のそれぞれを指す矢印の中から選択するステップと、
選択された矢印を組み合わせて、交差点における誘導方向を予告表示する案内矢印として表示するステップと、
を具備することを特徴とする交差点案内方法。
【請求項5】
コンピュータを備えるナビゲーション装置において実行される交差点案内プログラムであって、前記コンピュータを
移動体の現在位置が、次に通過予定の交差点から所定の距離以内であるか否かを判断する手段、
前記現在位置が前記所定の距離以内である場合に、前記交差点の形状を把握する手段、
把握された前記交差点の形状に近い形状を再現するために必要となる矢印を、基本方位として予め設定した複数の方位のそれぞれを指す矢印の中から選択する手段、
選択された矢印を組み合わせて、交差点における誘導方向を予告表示する案内矢印として表示させる手段、として機能させることを特徴とする交差点案内プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の交差点案内プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−8198(P2010−8198A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167231(P2008−167231)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】