説明

ナビゲーション装置、自装置位置表示方法、及び制御プログラム

【課題】地図上の自車位置マークを容易に見つけることができるようにする。
【解決手段】自車の位置を示す自車位置マーク42を、地図40上の前記自車の位置に対応する位置に表示して経路案内を行うカーナビゲーション装置1において、前記経路案内中に、前記自車位置マーク42の進行方向前方に、該進行方向を示す進行方向マーク54を動的に表示するマーク表示制御部32を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を表示して経路案内を行うナビゲーション技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車位置を示す自車位置マークを地図上に表示して目的地までの経路案内を行うカーナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、通常、カーナビゲーション装置においては、自車位置の周辺にある建物や施設、交差点等を識別可能にするアイコンや文字を地図上に表示している。
【特許文献1】特開2000−321088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、地図上にアイコンや文字が多数表示されていると、地図上での自車位置マークの識別性が低下する、という問題がある。このため、地図上を一瞥しただけでは自車位置マークを見つけ難くなり、車両がどこをどの方向に進行しているのかを把握するまでに時間を要することがある、という問題があった。
この問題は、カーナビゲーション装置に限らず、地図上に自装置の位置を自装置マークとして表示して経路案内を行う例えばPND(パーソナルナビゲーションデバイス:Personal Navigation Device)等の各種のナビゲーション装置でも同様に生じる問題である。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、地図上の自装置位置マークを容易に見つけることができるナビゲーション装置、自装置位置表示方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、自装置の位置を示す自装置位置マークを、地図上の前記自装置の位置に対応する位置に表示して経路案内を行うナビゲーション装置において、前記経路案内中に、前記自装置位置マークの進行方向前方に、該進行方向を示す進行方向マークを動的に表示するマーク表示制御手段を備えたことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記本発明に係るナビゲーション装置において、前記マーク表示制御手段は、前記経路案内中に、前記自装置位置マークの後方に、前記自装置の経路の軌跡を示す経路軌跡マークを動的に表示する経路軌跡表示と、前記進行方向マークの動的表示による進行方向表示とを循環的に行うことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記本発明に係るナビゲーション装置において、前記マーク表示制御手段は、前記経路案内中に、前記経路軌跡表示と、前記自装置位置マークを大きくみせて強調する自装置位置強調表示と、前記進行方向表示とを循環的に行うことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記本発明に係るナビゲーション装置において、前記マーク表示制御手段は、前記経路軌跡マークを、前記経路の軌跡に沿って前記自装置位置マークの後方から前記自装置位置マークに向かって順次移動させて前記経路軌跡表示を行った後、前記進行方向マークを、前記自装置位置マークの進行方向前方から前記進行方向に向かって順次移動させて前記進行方向表示を行うことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記本発明に係るナビゲーション装置において、前記マーク表示制御手段は、前記自装置位置マークの周囲を囲む強調用マークを表示して前記自装置位置強調表示を行うことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、自装置の位置を示す自装置位置マークを、地図上の前記自装置の位置に対応する位置に表示して経路案内を行うナビゲーション装置の自装置位置表示方法において、前記経路案内中に、前記自装置位置マークの進行方向前方に、該進行方向を示す進行方向マークを動的に表示することを特徴とする。
【0011】
また上記目的を達成するために、本発明は、自装置の位置を示す自装置位置マークを、地図上の前記自装置の位置に対応する位置に表示して経路案内を行うナビゲーション装置を制御する制御プログラムにおいて、前記ナビゲーション装置を、前記経路案内中に、前記自装置位置マークの進行方向前方に、該進行方向を示す進行方向マークを動的に表示するマーク表示制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、経路案内中には、自装置位置マークの進行方向前方に、該進行方向を示す進行方向マークが動的に表示されるから、進行方向の把握が容易となる。
これに加え、この進行方向マークが自装置位置マークの進行方向前方において動的に表示されるから地図上における進行方向マークの識別性が高まり、この進行方向マークの後方に位置する自装置位置マークも容易に見つけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、ナビゲーション装置の一態様として、車両に搭載される車載用のナビゲーション装置を例示するが、本発明は、これに限定されるものでは無く、例えばPND等の各種のナビゲーション装置に適用することができる。
【0014】
図1は、本実施形態に係るカーナビゲーション装置1の機能的構成を示すブロック図である。
カーナビゲーション装置1は、各部を中枢的に制御する制御手段としての制御部10と、車両の自車位置を検出する位置検出部12と、表示手段としての表示部14と、操作手段としての操作部16と、記憶手段としての記憶部18とを備えている。
【0015】
位置検出部12は、車両の現在位置を検出する手段としてGPSユニット20を備えている。GPSユニット20は、GPS衛星が発するGPS電波をGPSアンテナ22により受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号に基づいて、車両の現在位置の経度及び緯度を示す現在位置地の情報を演算により取得し自車位置として制御部10に出力する。
なお、GPSユニット20に加えて、例えばジャイロセンサや車速パルスセンサ、加速度センサをカーナビゲーション装置1に設けて自立航法可能に構成しても良い。
【0016】
表示部14は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットディスプレイ型の表示パネル24を備え、制御部10の制御の下、メニュー画面や経路案内画面等の各種情報を表示する。
操作部16は、電源ボタンや音量調整ボタン、カーソルボタンといった操作子としての複数の操作ボタン26を備えている。
【0017】
記憶部18は、例えば半導体メモリやハードディスクドライブにより構成され、カーナビゲーション装置1の各種機能を実現するための制御プログラム28や、経路案内に供する地図データや自車位置マーク、各種アイコン等の経路案内用データ30を記憶する。
制御部10は、CPUやROM、RAMを備えて構成され、従来のカーナビゲーション装置が備える一般的な機能の他に、本実施形態では、マーク表示制御部32を備えている。
マーク表示制御部32は、表示パネル24に地図を表示して経路を案内する経路案内中に、当該地図上での自車位置を視認し易くすべく各種マークを表示するものである。
【0018】
図2は、本実施形態の経路案内画面38の一態様を示す模式図である。
経路案内画面38には、車両位置の周辺を示す地図40と共に、自車位置を示す自車位置マーク42が表示される。
地図40には、道路や交通機関、周辺の地名や建物名、施設名、それらを示すアイコン等が含まれている。経路案内中には、地図40が表示パネル24の表示可能領域の全体にわたって表示されており、また、地図40の視認性を阻害しないように、地図40をスクロール操作(表示箇所の移動操作)するための操作アイコン等は表示されないようになっている。
自車位置マーク42は、地図40での自車位置に対応する位置に表示され、本実施形態では、有色、或いは半透明に塗られた略円形のマークが用いられている。経路案内画面38においては、地図40の表示倍率に依らず、この自車位置マーク42が常に略一定の大きさ(径)で表示される。なお、経路案内中においては、自車位置マーク42を点滅表示するなどして識別性を高めても良い。
【0019】
この経路案内画面38においては、自車位置マーク42の周囲に、自車位置マーク42を大きく見せて強調表示するための強調用マーク50が上記マーク表示制御部32の制御により表示されて自車位置強調表示が行われる。この強調用マーク50には、自車位置マーク42と一体感を出すために同色の破線の矢印マークが用いられており、矢の指し示す方向が進行方向を示している。
また、経路案内中には、マーク表示制御部32は、上記強調用マーク50の表示による自車位置強調表示の他に、経路軌跡マーク52の動的表示による経路軌跡表示と、進行方向マーク54の動的表示による進行方向表示とを行っている。
【0020】
詳述すると、図3に示すように、経路案内中には、マーク表示制御部32により、図3(a)に示す経路軌跡表示、図3(b)〜図3(e)に示す自車位置強調表示、及び図3(f)に示す進行方向表示とが、この順で循環的に行われる。
経路軌跡表示の経路軌跡マーク52、自車位置強調表示の強調用マーク50、及び進行方向表示の進行方向マーク54には、それぞれ同じ矢印マークが用いられており、これにより、それぞれの一連の表示が繋がってみえるようになっている。
【0021】
経路軌跡表示においては、図3(a)に示すように、車両が走行した経路軌跡上に経路軌跡マーク52が表示される。この経路軌跡マーク52は、経路軌跡に沿って自車位置マーク42の進行方向後方から自車位置マーク42に向かって接近して行くように動的に表示され、これにより経路軌跡が示される。
経路軌跡マーク52の先端部52Aが自車位置マーク42の後方に所定距離まで接近したときに経路軌跡表示から自車位置強調表示に表示が移行する。
【0022】
自車位置強調表示においては、図3(b)〜図3(e)に示すように、自車位置マーク42を所定倍率だけ拡大したときの輪郭線(外形線)に略相当する外形軌道55の上を車両の進行方向に向かって上記強調用マーク50が移動して見える表示が行われ、これにより、自車位置マーク42が強調して表示される。
経路軌跡表示から自車位置強調表示に移行した最初の表示においては、強調用マーク50が、その先端部50Aを自車位置マーク42を挟み込むように2つに分岐させながら外形軌道55に進入する(図3(b))。次いで、強調用マーク50が完全に2つに分かれて自車位置マーク42を左右から挟み込んだ後(図3(c))、自車位置マーク42の進行方向前側で合流する(図3(d)、図3(e))。
【0023】
このように、自車位置強調表示においては、強調用マーク50が自車位置マーク42を拡大したときの外形線に相当する外形軌道55の上に表示されることで、自車位置マーク42が大きくみえて識別性が向上する。さらに、この強調用マーク50が外形軌道55の上を、自車位置マーク42の進行方向後方から前方に向かって移動するように動的に表示されるから、この自車位置マーク42の進行方向が把握できる。
【0024】
自車位置強調表示において、強調用マーク50が自車位置マーク42の前方に到達すると、自車位置強調表示から進行方向表示に表示が移行する。
この進行方向表示においては、図3(f)に示すように、進行方向マーク54が自車位置マーク42の進行方向前方から進行方向に向かって進行経路に沿って道形に延びて表示され、これにより、進行方向、及び進行経路が示される。
【0025】
この進行方向マーク54は、自車位置マーク42の進行方向前方から出現し、進行経路上を進行方向に向かって進行して行くように動的に表示される。そして、進行方向マーク54の先端部54Aが自車位置マーク42から所定距離だけ離間したときに進行方向表示から経路軌跡表示に表示が移行し、このようにして、経路案内中には、経路軌跡表示、自車位置強調表示、及び進行方向表示が循環的に行われることとなる。
【0026】
このように、本実施形態によれば、マーク表示制御部32が経路案内中に自車位置マーク42の進行方向前方に該進行方向を示す進行方向マーク54を動的に表示するから、車両の進行方向の把握が容易となる。
これに加え、この進行方向マーク54が自車位置マーク42の進行方向前方において動的に表示されるから地図40上における進行方向マーク54の識別性が高まり、この進行方向マーク54の後方に位置する自車位置マーク42も容易に見つけることができる。
【0027】
また本実施形態によれば、マーク表示制御部32が経路案内中に、自車位置マーク42の後方に、自車両の経路の軌跡を示す経路軌跡マーク52を動的に表示する経路軌跡表示と、上記の進行方向表示とを循環的に行う構成とした。
この構成により、車両の経路軌跡が把握可能になると共に、経路軌跡表示と進行方向表示との循環的な表示により、自車位置マーク42の前後に経路軌跡マーク52或いは進行方向マーク54が動的に表示されるため、自車位置マーク42が見つけ易くなる。
【0028】
このときマーク表示制御部32は、経路軌跡マーク52を、経路の軌跡に沿って自車位置マーク42の後方から自車位置マーク42に向かって順次移動させて経路軌跡表示を行った後、進行方向マーク54を、前記自車位置マーク42の進行方向前方から進行方向に向かって順次移動させて進行方向表示を行うことで、経路軌跡マーク52及び進行方向マーク54のそれぞれを動的に表示する構成としている。
この構成により、経路軌跡マーク52及び進行方向マーク54の移動によって、車両の経路軌跡、及び進行経路が示されるため、これら経路軌跡、及び進行経路の把握が容易になる。
【0029】
また本実施形態によれば、マーク表示制御部32が経路案内中に、自車位置マーク42の周囲を囲むように強調用マーク50を表示することにより、当該自車位置マーク42を大きくみせて強調する自車位置強調表示を、進行方向表示及び経路軌跡表示と共に循環的に行う構成としたため、自車位置マーク42の識別性が向上し、容易に見つけることができる。
なお、自車位置強調表示においては、その間だけ自車位置マーク42を拡大表示して強調表示しても良い。
【0030】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
例えば、自車位置マーク42として円形のマークを例示したが、これに限らず、図4(A)、図4(B)に示すように、三角形などの形状としても良い。
【0031】
また、自車位置マーク42の強調表示においては、自車位置マーク42を拡大したときの外形線を、強調用マーク50が移動する外形軌道55として用いたが、これに限らず、図4(B)に示すように、自車位置マーク42の周囲を強調用マーク50が囲む態様であれば任意の態様を採用することができる。このとき、強調用マーク50を略円環状として、自車位置マーク42の周囲を全周にわたり囲むようにしても良い。
【0032】
なお、自車位置マーク42が、図4(C)に示すように、マーク本体部42Aと、このマーク本体部42Aを囲む囲み線部42Bとを備えて構成されている場合には、この囲み線部42Bを、さらに囲むように、強調用マーク50が表示されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るカーナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】経路案内画面の一例を示す図である。
【図3】自車位置マークの強調用マークの表示態様を示す図である。
【図4】本発明の自車位置強調表示における変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 カーナビゲーション装置(ナビゲーション装置)
10 制御部
12 位置検出部
14 表示部
28 制御プログラム
32 マーク表示制御部
40 地図
42 自車位置マーク
50 強調用マーク
52 経路軌跡マーク
54 進行方向マーク
55 外形軌道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の位置を示す自装置位置マークを、地図上の前記自装置の位置に対応する位置に表示して経路案内を行うナビゲーション装置において、
前記経路案内中に、前記自装置位置マークの進行方向前方に、該進行方向を示す進行方向マークを動的に表示するマーク表示制御手段を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記マーク表示制御手段は、前記経路案内中に、前記自装置位置マークの後方に、前記自装置の経路の軌跡を示す経路軌跡マークを動的に表示する経路軌跡表示と、前記進行方向マークの動的表示による進行方向表示とを循環的に行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記マーク表示制御手段は、前記経路案内中に、前記経路軌跡表示と、前記自装置位置マークを大きくみせて強調する自装置位置強調表示と、前記進行方向表示とを循環的に行うことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記マーク表示制御手段は、
前記経路軌跡マークを、前記経路の軌跡に沿って前記自装置位置マークの後方から前記自装置位置マークに向かって順次移動させて前記経路軌跡表示を行った後、
前記進行方向マークを、前記自装置位置マークの進行方向前方から前記進行方向に向かって順次移動させて前記進行方向表示を行う
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記マーク表示制御手段は、前記自装置位置マークの周囲を囲む強調用マークを表示して前記自装置位置強調表示を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
自装置の位置を示す自装置位置マークを、地図上の前記自装置の位置に対応する位置に表示して経路案内を行うナビゲーション装置の自装置位置表示方法において、
前記経路案内中に、前記自装置位置マークの進行方向前方に、該進行方向を示す進行方向マークを動的に表示することを特徴とする自装置位置表示方法。
【請求項7】
自装置の位置を示す自装置位置マークを、地図上の前記自装置の位置に対応する位置に表示して経路案内を行うナビゲーション装置を制御する制御プログラムにおいて、
前記ナビゲーション装置を、
前記経路案内中に、前記自装置位置マークの進行方向前方に、該進行方向を示す進行方向マークを動的に表示するマーク表示制御手段として機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−19788(P2010−19788A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182649(P2008−182649)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】