説明

ナビゲーション装置およびナビゲーションシステム

【課題】経路探索結果の受信に時間が掛かる場合であっても、速やかに経路誘導を開始することができるナビゲーション装置およびナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】現在地を検出する現在地検出装置108と、経路誘導を行う経路誘導部101aと、目的地を入力する入力装置106と、目的地の入力に応じて推奨経路を探索する経路探索部101bと、目的地の入力に応じて要求信号をサーバ装置300へ送信する要求送信部101eと、応答信号をサーバ装置300から受信する応答受信部101fと、現在地が応答信号中の推奨経路に含まれる否かを判定する経路判定部101cと、経路誘導に用いられる推奨経路を選択する経路選択部101dとを備え、経路誘導部101aは、推奨経路が探索されたか、あるいは経路選択部101dにより推奨経路が選択されたことに応じて、当該推奨経路に基づく経路誘導を開始するナビゲーション装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の経路誘導を行う車載型ナビゲーション装置が知られている。このようなナビゲーション装置には、ナビゲーション装置自身で経路探索を行い、その結果を用いて経路誘導を行うものと、情報配信センタにおいて行われた経路探索の結果を無線通信等により受信し、これを用いて経路誘導を行うものがある。
【0003】
情報配信センタと通信を行うナビゲーション装置は、情報配信センタから経路探索の結果を受信し終わるまで、経路誘導を開始できないという問題がある。この問題を解決するための従来技術として、例えば特許文献1には、情報配信センターに経路探索の結果を分割して送信させることにより、経路誘導を開始するまでの時間を短縮するカーナビゲーション装置および配信センタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−184107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術を適用したとしても、通信回線の輻輳や情報配信センタの負荷増大により、経路探索結果の受信に時間が掛かる可能性があり、このような場合には経路誘導を開始することができない
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、自車両の現在地を検出する現在地検出手段と、自車両の経路誘導を行う経路誘導手段と、目的地を入力する入力手段と、入力手段への入力に応じて、現在地から目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、入力手段への入力に応じて、現在地から目的地までの推奨経路を要求する要求信号を外部へ送信する送信手段と、現在地から目的地までの推奨経路を含む応答信号を外部から受信する受信手段と、受信手段により応答信号が受信されたことに応じて、現在地が、応答信号中の推奨経路に含まれる否かを判定する判定手段と、判定手段による判定に応じて、経路誘導手段が経路誘導に用いる推奨経路を選択する選択手段とを備え、経路誘導手段は、経路探索手段により推奨経路が探索されたことに応じて該推奨経路に基づく経路誘導を開始し、選択手段により推奨経路が選択されたことに応じて該推奨経路に基づく経路誘導を開始することを特徴とするナビゲーション装置である。
請求項4に係る発明は、経路誘導を行うナビゲーション装置と、経路探索を行うサーバ装置と、から構成されるナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーション装置は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であり、サーバ装置は、送信手段が送信した要求信号を受信するサーバ側受信手段と、サーバ側受信手段により受信された要求信号に基づいて推奨経路を探索するサーバ側経路探索手段と、サーバ側経路探索手段により探索された推奨経路を含む応答信号を受信手段へ送信するサーバ側送信手段と、を備えることを特徴とするナビゲーションシステムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、経路探索結果の受信に時間が掛かる場合であっても、速やかに経路誘導を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の携帯に係るナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るサーバ装置300の構成を示すブロック図である。
【図4】経路判定部101cによる判定処理の説明図である。
【図5】ナビゲーション装置100によるナビゲーション処理のフローチャートである。
【図6】サーバ装置300による通信処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムの全体構成を示すブロック図である。第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムは、車載型のナビゲーション装置100と、経路探索機能を備えたサーバ装置300と、により構成される。ナビゲーション装置100およびサーバ装置300は、ネットワーク200を介して互いに通信を行うことが可能である。ネットワーク200は、例えばWiMAX(登録商標)による無線通信網や、携帯電話網などである。
【0010】
(ナビゲーション装置100の説明)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は車載型の装置であり、CPUなどを含む制御回路101と、ネットワーク200(図1)に接続可能な通信装置102と、所定の制御プログラムが格納されたROM103と、上記の制御プログラムが作業領域として使用するRAM104と、例えば液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置105と、例えばタッチパネルやリモコンなどの入力装置106と、所定のデータが格納されたハードディスク(HDD)107と、自車両の現在地を検出する現在地検出装置108と、を有する。
【0011】
制御回路101は、不揮発性の記憶媒体であるROM103に格納された所定の制御プログラムを読み込んで実行することにより、経路探索処理、経路誘導処理、および、ナビゲーション装置100を構成する各部の制御処理を行う。表示装置105は、制御回路101が出力する画像信号に基づいて画面に画像を表示する。入力装置106は、ユーザの操作に応じて制御回路101へ操作信号を送信する。HDD107には、経路探索処理および経路誘導処理のために、道路データ107aと、地図データ107bと、が格納されている。道路データ107aには、地図データ107bに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。リンク情報には、各リンクの旅行時間(以下、リンク旅行時間)の情報が含まれている。地図データ107bは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを含む。なお制御回路101は、例えばDVD−ROMやCD−ROM、フラッシュメモリなど、HDD107以外の記憶媒体から道路データ107aおよび地図データ107bを読み出してもよい。
【0012】
現在地検出装置108は振動ジャイロ108aと、速度センサ108bと、加速度センサ108cと、GPSセンサ108dと、を有する。現在地検出装置108はこれらのセンサにより検知された情報に基づいて自車両の現在地を検出し、制御回路101へ送信する。振動ジャイロ108aは自車両の角速度を検出し、速度センサ108bは自車両の車速を検出し、加速度センサ108cは自車両の加速度を検出し、GPSセンサ108dはGPS衛星からのGPS信号を検出する。
【0013】
制御回路101は、自車両の経路誘導を行う経路誘導部101aと、推奨経路を探索する経路探索部101bと、現在地が推奨経路に含まれるか否かを判定する経路判定部101cと、2つの推奨経路からいずれかを選択する経路選択部101dと、サーバ装置300へ要求信号を送信する要求送信部101eと、サーバ装置300により送信された応答信号を受信する応答受信部101fと、を有する。これらの各機能部は、制御回路101がROM103に格納されている所定の制御プログラムを実行することにより、ソフトウェア的に実現される。これらの各機能部が実行する処理については後に詳述する。
【0014】
(サーバ装置300の説明)
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るサーバ装置300の構成を示すブロック図である。サーバ装置300は、CPUなどを含むサーバ制御回路301と、ネットワーク200(図1)に接続可能な通信装置302と、所定の制御プログラムが格納されたROM303と、上記の制御プログラムが作業領域として使用するRAM304と、所定のデータが格納されたHDD307と、外部から交通情報を取得する交通情報取得装置309と、を有する。
【0015】
サーバ制御回路301は、不揮発性の記憶媒体であるROM303に格納された所定の制御プログラムを読み込んで実行することにより、経路探索処理、および、サーバ装置300を構成する各部の制御処理を行う。HDD307は図2において説明したHDD107と同様の構成であるので、説明を省略する。交通情報取得装置309は、渋滞情報、道路規制情報、事故情報などの交通情報をサーバ装置300の外部から取得する。交通情報取得装置309が取得した交通情報は、RAM304またはHDD307に格納される。交通情報取得装置309は、例えば多数のプローブカーから交通情報を収集するよう構成されていてもよいし、VICS(登録商標)情報を取得するよう構成されていてもよい。
【0016】
サーバ制御回路301は、推奨経路を探索する経路探索部301bと、ナビゲーション装置100により送信された要求信号を受信する要求受信部301eと、ナビゲーション装置100へ応答信号を送信する応答送信部301fと、を有する。これらの各機能部は、サーバ制御回路301がROM303に格納されている所定の制御プログラムを実行することにより、ソフトウェア的に実現される。経路探索部301bが実行する処理は、ナビゲーション装置100における経路探索部101b(図2)と同様である。要求受信部301eおよび応答送信部301fが実行する処理については後に詳述する。
【0017】
(経路探索部101bの説明)
経路探索部101bは、経路探索処理を実行し、推奨経路を演算する。経路探索処理は、ユーザにより目的地が設定されることにより開始される。経路探索処理は、現在地検出装置108から送信された現在地を出発地として、目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う処理である。例えば、出発地から目的地までの間の旅行時間(リンク旅行時間の合計)が最少になるような経路を演算するアルゴリズムで経路演算が行われる。このような経路演算を以下、経路探索と呼ぶ。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、例えば表示色などの表示形態を変えることによって、他の道路とは区別して画面に表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。
【0018】
なお、サーバ制御回路301が有する経路探索部301bも、経路探索部101bと同様の経路探索処理を実行する。ただし、経路探索部301bは、交通情報取得装置309により取得された交通情報を考慮した経路探索を行う。具体的には、リンク旅行時間を渋滞による遅延を加味した時間としたり、通行止めとなっている道路を通過しないようにしたりする。従って、同一の条件下で実行された経路探索の結果が、経路探索部101bと経路探索部301bとで異なることがある。この場合、経路探索部301bにより演算された推奨経路の方が、実際の交通情報が反映されているという点で、経路探索部101bにより演算された推奨経路よりも優れた推奨経路であるといえる。
【0019】
(要求送信部101eの説明)
要求送信部101eは、通信装置102を介して、サーバ装置300へ要求信号を送信する。要求送信部101eによる要求信号の送信は、ユーザにより目的地が設定されたことに応じて行われる。すなわち、ユーザにより目的地が設定されると、経路探索部101bによる経路探索処理と、要求送信部101eによる要求信号の送信と、が並行して実行される。
【0020】
要求信号は、ユーザにより設定された目的地と、現在地検出装置108により検出された現在地と、を含む信号である。サーバ装置300の要求受信部301eが要求信号を受信すると、経路探索部301bは、要求信号に含まれる目的地と現在地とを用いて、現在地から目的地までの推奨経路を演算する。その後サーバ装置300の応答送信部301fは、演算された推奨経路を含む応答信号を、要求信号の送信元であるナビゲーション装置100へ返送する。
【0021】
(経路誘導部101aの説明)
経路誘導部101aは、経路探索部101bにより推奨経路が演算されたことに応じて、経路誘導処理の実行を開始する。経路誘導処理は、経路探索部101bにより演算された推奨経路に従って自車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する処理である。具体的には、地図データ107bに基づいて表示装置105の画面に地図画像を表示し、現在地検出装置108により検出された現在地に対応する位置へ自車両を表すアイコンを表示する。ユーザは経路誘導処理の開始に応じて、目的地へ向かって自車両を走行させ始める。
【0022】
(応答受信部101fの説明)
応答受信部101fは、通信装置102を介して、サーバ装置300から送信される応答信号を受信する。前述の通り、応答信号はサーバ装置300が演算した推奨経路を含む信号である。ユーザにより目的地が設定されてから応答受信部101fによる応答信号の受信が完了するまでの時間は、ユーザにより目的地が設定されてから経路誘導部101aによる経路誘導処理の実行が開始されるまでの時間よりも長い。例えば、前者の時間が数秒〜十数秒であるのに対し、後者の時間は数十秒以上である。従って、応答受信部101fによる応答信号の受信は、経路誘導部101aによる経路誘導処理の実行中に完了する。
【0023】
(経路判定部101cの説明)
応答受信部101fが応答信号の受信を完了すると、経路判定部101cが経路判定処理の実行を開始する。経路判定処理は、自車両が応答信号に含まれる推奨経路上を走行しているか否かを判定する処理である。すなわち、現在地検出装置108から送信された現在地が、応答信号中の推奨経路に含まれるか否かを判定する処理である。
【0024】
図4は、経路判定部101cによる判定処理の説明図である。図4(a)に示す道路において、自車両400が目的地Gへ向かう状況を考える。前述の通り、同一の条件下で実行された経路探索の結果が、経路探索部101bと経路探索部301bとで異なることがある。図4(a)では、経路探索部101bは推奨経路R1を演算し、経路探索部301bは交通情報を考慮した結果、推奨経路R1とは異なる推奨経路R2を演算したものとする。
【0025】
経路探索部101bが推奨経路R1を演算した時点で、経路誘導部101aは推奨経路R1に基づく経路誘導を開始する。すなわち、経路誘導部101aによる経路誘導処理は、応答受信部101fによる応答信号の受信が完了する前に実行開始される。その結果、応答受信部101fが応答信号の受信を完了した時に、自車両400が当初の位置から移動していることがある。例えば、図4(b)に示す位置まで自車両400が進んでいる可能性がある。応答受信部101fが応答信号の受信を完了した時点で、図4(b)のように、自車両400が推奨経路R2上に存在していた場合、経路判定部101cは肯定判定を行う。
【0026】
他方、応答受信部101fが応答信号の受信を完了した時点で、図4(c)のように、自車両400の位置が推奨経路R2から外れていることがある。このような場合、経路判定部101cは否定判定を行う。
【0027】
(経路選択部101dの説明)
経路判定部101cにより経路判定処理が実行された後に、経路選択部101dは経路選択処理を実行する。経路選択処理が実行されるとき、経路誘導部101aによる経路誘導処理が実行中である。
【0028】
経路選択処理は、経路誘導部101aが経路誘導に用いる推奨経路を、経路探索部101bにより演算された推奨経路と、応答信号に含まれる推奨経路と、から選択する処理である。経路選択処理には、経路判定部101cによる判定結果が用いられる。
【0029】
経路判定部101cにより肯定判定が行われていた場合、すなわち図4(b)のように、自車両の現在地が応答信号中の推奨経路に含まれていた場合、経路選択部101dは応答信号中の推奨経路を選択する。経路誘導部101aはこの選択に応じて、経路誘導に用いる推奨経路を経路探索部101bが演算した推奨経路から、応答信号中の推奨経路に切り替える。図4(b)では、経路誘導部101aは推奨経路R1ではなく推奨経路R2に基づく経路誘導を開始する。
【0030】
他方、経路判定部101cにより否定判定が行われていた場合、すなわち図4(c)のように自車両の現在地が応答信号中の推奨経路から外れていた場合、経路選択部101dは経路探索部101bにより演算された推奨経路を選択する。経路誘導部101aはこの選択に応じて、引き続き、経路探索部101bが演算した推奨経路に基づく経路誘導を実行する。更に、要求送信部101eが、通信装置102を介してサーバ装置300へ新たな要求信号を送信する。この要求信号には、現在地検出装置108から送信された最新の現在地と、ユーザにより設定された従前の目的地と、が含まれる。
【0031】
サーバ装置300は上記の要求信号を受信後、前述の場合と同様に経路探索を行い、ナビゲーション装置100へ応答信号を返送する。ナビゲーション装置100では、前回の応答信号と同様に、経路判定部101cによる判定、経路選択部101dによる経路選択処理などが実行される。ナビゲーション装置100とサーバ装置300との間で行われる要求信号および応答信号の授受は、経路選択部101dにより応答信号中の推奨経路が選択されるまで繰り返し実行される。
【0032】
図5は、ナビゲーション装置100によるナビゲーション処理のフローチャートである。ナビゲーション装置100の制御回路101は、ROM103に格納されている所定の制御プログラムを実行することにより、図5に示す処理を行う。
【0033】
まずステップS500では、制御回路101が、ユーザの操作により入力装置106から入力された目的地を受け付ける。ステップS510では、要求送信部101eが、現在地検出装置108により検出された現在地と、ステップS500で受け付けた目的地とを含む要求信号を、通信装置102を介してサーバ装置300へ送信する。
【0034】
ステップS520では、経路探索部101bが、現在地検出装置108により検出された現在地から、ステップS500で受け付けた目的地までの推奨経路を演算する。ステップS530では、経路誘導部101aが、ステップS520において算出された推奨経路に基づく経路誘導を開始する。
【0035】
ステップS540では、応答受信部101fが、サーバ装置300から送信される応答信号の受信が完了したか否かを判定する。サーバ装置300から応答信号が送信され、且つ応答信号の受信が完了していた場合には、ステップS540において肯定判定がなされ、ナビゲーション処理はステップS550へ進む。他方、ステップS540において否定判定がなされた場合、ナビゲーション処理はステップS570へ進む。
【0036】
ステップS550では、経路判定部101cが、ステップS540で受信が完了した応答信号中の推奨経路に、現在地検出装置108により検出された現在地が含まれているか否かを判定する。応答信号中の推奨経路が現在地を含んでいた場合には、ステップS550において肯定判定がなされ、ナビゲーション処理はステップS580へ進む。ステップS580では、経路選択部101dが応答信号中の推奨経路を選択する。その結果、経路誘導部101aによる経路誘導は、応答信号中の推奨経路に基づくものに切り替わる。ステップS590では、経路誘導部101aが、自車両が目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合にはステップS590において肯定判定がなされ、ナビゲーション処理は終了する。他方、ステップS590において否定判定がなされた場合には、ステップS590を繰り返す。
【0037】
ステップS550において否定判定がなされた場合、ナビゲーション処理はステップS550からステップS560へ進む。ステップS560では、要求送信部101eにより再度要求信号が送信される。この要求信号に含まれる現在地は、ステップS560の時点において現在地検出装置108が検出した、最新の現在地である。ステップS570では、自車両が目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合にはステップS570において肯定判定が為され、ナビゲーション処理は終了する。他方、ステップS570において否定判定が為された場合には、ナビゲーション処理はステップS540へ戻る。
【0038】
図6は、サーバ装置300による通信処理のフローチャートである。サーバ制御回路301は、ROM303に格納されている所定の制御プログラムを実行することにより、図6に示す処理を行う。サーバ制御回路301は図6に示す通信処理を繰り返し実行するので、ナビゲーション装置100から繰り返し送信される要求信号の全てに対して的確に応答信号を返送することができる。
【0039】
まずステップS600では、要求受信部301eが、ナビゲーション装置100から送信される要求信号を受信したか否かを判定する。要求信号が受信されていた場合には、ステップS600において肯定判定がなされ、通信処理はステップS610へ進む。他方、ステップS600において否定判定がなされた場合には、ステップS600の処理を繰り返す。
【0040】
ステップS610では、経路探索部301bが、ステップS600において受信された要求信号に含まれる現在地および目的地に基づいて、現在地から目的地までの推奨経路を演算する。ステップS620では、応答送信部301fが、ステップS610において演算された推奨経路を含む応答信号をナビゲーション装置100へ送信し、通信処理を終了する。前述の通り、以上の処理はサーバ制御回路301により繰り返し実行されるので、ナビゲーション装置100が再度要求信号を送信した場合には、再度ステップS600からの処理が実行される。
【0041】
上述した第1の実施の形態によるナビゲーションシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)入力装置106への目的地の入力に応じて、経路探索部101bによる推奨経路の探索と、要求送信部101eによる要求信号の送信とが並行して行われる。経路誘導部101aが推奨経路に基づく経路誘導を開始した後、応答受信部101fが応答信号を受信すると、経路判定部101cは現在地が応答信号中の推奨経路に含まれる否かを判定する。経路選択部101dは判定結果に基づいて、経路誘導部101aが経路誘導に用いる推奨経路を選択する。そして、経路誘導部101aは、選択された推奨経路に基づく経路誘導を開始する。このようにしたので、経路探索結果の受信に時間が掛かる場合であっても、速やかに経路誘導を開始することができる。。
【0042】
(2)経路選択部101dは、経路判定部101cにより肯定判定が行われた場合、すなわち、応答信号中の推奨経路に現在地が含まれていると判定された場合、応答信号に含まれる推奨経路を選択する。このようにしたので、経路誘導に用いる推奨経路について、自車両において演算された経路から外部のサーバにおいて演算された経路へスムーズに切り替えることができる。
【0043】
(3)経路判定部101cにより否定判定が行われた場合、すなわち、応答信号中の推奨経路に現在地が含まれていないと判定された場合、経路選択部101dが経路探索部101bにより探索された推奨経路を選択すると共に、要求送信部101eが要求信号をサーバ装置300へ送信する。このようにしたので、誘導に従って走行しているときに、自車両の位置が唐突に推奨経路から外れることがなく、ユーザが戸惑いを覚えることがない。
【0044】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0045】
(変形例1)
ナビゲーション装置100における経路探索部101bが、統計交通情報を用いて推奨経路を演算するようにしてもよい。
【0046】
(変形例2)
サーバ装置300が送信する応答信号に、推奨経路以外の情報が含まれていてもよい。例えば、経路誘導を行うための誘導データが含まれていてもよい。また、応答信号の先頭に推奨経路の経路データが存在するよう応答信号を構成し、応答受信部101fが応答信号全体ではなく経路データを受信した時点で経路判定部101cによる経路判定処理を実行するようにしてもよい。その他、例えば特許文献1等に記載されている技術を用いて、応答信号を送信するようにしてもよい。
【0047】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
100…ナビゲーション装置、101…制御回路、101a…経路誘導部、101b、301b…経路探索部、101c…経路判定部、101d…経路選択部、101e…要求送信部、101f…応答受信部、200…ネットワーク、300…サーバ装置、301…サーバ制御回路、301b…経路探索部、301e…要求受信部、301f…応答送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在地を検出する現在地検出手段と、
自車両の経路誘導を行う経路誘導手段と、
目的地を入力する入力手段と、
前記入力手段への前記入力に応じて、前記現在地から前記目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、
前記入力手段への前記入力に応じて、前記現在地から前記目的地までの推奨経路を要求する要求信号を外部へ送信する送信手段と、
前記現在地から前記目的地までの推奨経路を含む応答信号を外部から受信する受信手段と、
前記受信手段により前記応答信号が受信されたことに応じて、前記現在地が、前記応答信号中の推奨経路に含まれる否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による前記判定に応じて、前記経路誘導手段が経路誘導に用いる推奨経路を選択する選択手段とを備え、
前記経路誘導手段は、前記経路探索手段により推奨経路が探索されたことに応じて該推奨経路に基づく経路誘導を開始し、前記選択手段により推奨経路が選択されたことに応じて該推奨経路に基づく経路誘導を開始することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記選択手段は、前記判定手段により肯定判定が行われた場合、前記応答信号に含まれる推奨経路を選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記選択手段は、前記判定手段により否定判定が行われた場合、前記経路探索手段により探索された推奨経路を選択し、
前記送信手段は、前記判定手段により否定判定が行われたことに応じて、前記要求信号を外部へ送信することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
経路誘導を行うナビゲーション装置と、経路探索を行うサーバ装置と、から構成されるナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であり、
前記サーバ装置は、前記送信手段が送信した前記要求信号を受信するサーバ側受信手段と、前記サーバ側受信手段により受信された前記要求信号に基づいて推奨経路を探索するサーバ側経路探索手段と、前記サーバ側経路探索手段により探索された推奨経路を含む前記応答信号を前記受信手段へ送信するサーバ側送信手段と、を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−237194(P2011−237194A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106547(P2010−106547)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】