説明

ナビゲーション装置および気象情報表示方法

【課題】 地図の表示方法にかかわらず、風向きを容易に判別することができる「ナビゲーション装置および気象情報表示方法」を提供すること。
【解決手段】 風向き情報を含む気象情報を取得する気象情報取得部20と、自車両の位置及び向きを検出する車両位置検出部5、車両位置計算部30と、自車両周辺の地図画像を描画する地図描画部14と、検出された自車両の向きを基準として、気象情報取得部20によって取得された風向き情報で示される風向きが目視可能な風向きマーク画像を描画するマーク画像描画部24と、地図描画部14によって描画された地図画像上にマーク画像描画部24によって描画された風向きマーク画像を重ねた状態でディスプレイ装置6に表示する表示処理部50とが備わっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風向きを含む気象情報を地図画像に重ねて表示するナビゲーション装置および気象情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の走行位置やその周辺の気象情報を取得し、この取得した気象情報を地図画像に重ねて表示するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このナビゲーション装置では、表示中の地図上に、「晴れ」や「雨」等の天気種別に対応するマークと各天気に対応する有効領域が示されている。
【特許文献1】特開2000−121377号公報(第2−4頁、図1−8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1には、表示対象となる気象情報は天気の種別以外に気温、湿度、風向き等でもよい旨の記載があるが、これらの気温、湿度、風向き等については具体例が示されていないため表示方法については不明である。最も簡単には、それぞれに対応する有効領域毎に色分けしたり文字情報を付加する方法が考えられるが、特に風向きに関しては、車両の進行方向が表示装置の上向きに一致するように地図表示を行うヘディングアップ表示を選択した場合には、現在の自車の向きに対してどちらから風が吹いているのかを地図画面上で確認することができず、風向きの判別が困難であるという問題があった。例えば、自車位置を有効領域に含む風向き情報として、風向きが南西であることを特定の色や文字情報で示されても、ヘディングアップ表示を行っている場合には運転者は自車の向きを特に意識せずに運転している場合が多いため、結局、自車の向きを基準とした南西の方角がわからないことになる。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、地図の表示方法にかかわらず、風向きを容易に判別することができるナビゲーション装置および気象情報表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、風向き情報を含む気象情報を取得する気象情報取得手段と、自車両の位置及び向きを検出する車両位置検出手段と、自車両周辺の地図画像を描画する地図描画手段と、車両位置検出手段によって検出された自車両の向きを基準として、気象情報取得手段によって取得された風向き情報で示される風向きが目視可能な風向きマーク画像を描画するマーク画像描画手段と、地図描画手段によって描画された地図画像上に、マーク画像描画手段によって描画された風向きマーク画像を重ねた状態で表示装置に表示する表示処理手段とを備えている。
【0006】
また、本発明の気象情報表示方法は、風向き情報を含む気象情報を取得するステップと、自車両周辺の地図画像を描画するステップと、自車両の向きを基準として、取得された風向き情報で示される風向きが目視可能な風向きマーク画像を描画するステップと、描画された自車位置周辺の地図画像上に、描画された風向きマーク画像を重ねた状態で表示装置に表示するステップとを有している。
【0007】
自車両の向きを基準として風向きが目視可能な風向きマーク画像が地図画像に重ねて表示されるため、ヘディングアップ等の自車両が向いている絶対方位が明確にわからないような場合であっても実際の風向きを容易に判別することが可能になる。
【0008】
また、上述したマーク画像描画手段は、車両位置検出手段によって検出された自車両の位置に対応して表示される自車位置マーク画像に風向きマーク画像を重ねて描画することが望ましい。自車位置マークは、通常は地図画像の中央近傍の目立つ位置(例えば左右位置が中央であって上下位置は下から1/3の位置)に表示されるため、この自車位置マークに風向きマーク画像を重ねることにより、風向きマーク画像も目立つ位置に表示することができる。また、これらのマーク画像を別々に表示する場合に比べて、表示内容の簡素化が可能になり、これらのマーク画像を含む地図画像の視認性を向上させることができる。
【0009】
また、上述した表示処理手段は、風向きマーク画像を表示画面に表示された地図画像上の一部、例えば表示画面の左上あるいは右上の角部近傍に表示することが望ましい。通常、地図画像の左上あるいは右上は自車位置から最も遠い位置であり、表示されている地図画像の中では比較的重要度が低いと考えられる。したがって、これらの位置に風向きマーク画像を表示することにより、地図画像の視認性の低下を極力抑えつつ風向きを運転者等に通知することが可能になる。
【0010】
また、上述した風向きマーク画像は、風向きを示す矢印が含まれていることが望ましい。これにより、自車両の向きに関係なく容易かつ確実に風向きを判別することが可能になる。
【0011】
また、上述した気象情報取得手段によって取得される気象情報には風速情報が含まれており、矢印の長さまたは太さは、風速情報で示される風速に対応していることが望ましい。これにより、風向きと同時に風速を容易かつ確実に判別することが可能になる。
【0012】
また、上述した気象情報取得手段によって取得される気象情報には風速情報が含まれており、風向きマーク画像の少なくとも一部の色は、風速情報で示される風速に対応して可変に設定されることが望ましい。これにより、風向きと同時に風速を容易かつ確実に判別することが可能になる。
【0013】
また、上述した気象情報取得手段によって取得される気象情報には風速情報が含まれており、表示処理手段による風向きマーク画像の表示は、風速情報で示される風速が基準値を超えたときに行われることが望ましい。特に運転に注意を要する風速が速い(強い)場合のみに風速の情報を表示することにより、それほど注意する必要がないような遅い(弱い)風速についての表示を省略して表示内容の簡素化を図ることができる。
【0014】
また、自車両の車種あるいは車両形状を示す車両情報を保持する車両情報保持手段をさらに備え、基準値は、車両情報保持手段に保持された車両情報に基づいて可変に設定されることが望ましい。横風等による車両への影響は車種や車両形状によって変わるため、風向きの情報の表示、非表示を決定する基準値をこれらの車種や車両形状に応じて可変に設定することにより、各車種毎あるいは各車両形状毎に有効な風向きの情報を表示することができる。
【0015】
また、目的地までの走行経路を探索する経路探索手段をさらに備え、マーク画像描画手段は、経路探索手段による探索処理によって得られた走行経路に沿った一あるいは複数の位置に対応する風向きマーク画像を描画し、表示処理手段は、走行経路上の対応する位置に風向きマーク画像を表示することが望ましい。これにより、これから走行を予定している経路に沿った実際の風向きを容易に判別することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を適用した一実施形態のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、一実施形態のナビゲーション装置を含む全体システムの構成を示す図である。図1に示すシステムは、各車両に搭載されたナビゲーション装置100と、ナビゲーション装置100に対して気象情報を配信する気象情報配信サーバ200とを含んで構成されている。ナビゲーション装置100と気象情報配信サーバ200との間は、所定のネットワーク300を介して接続されている。なお、本実施形態におけるネットワーク300は、移動体電話網を含んで構成されており、移動中の車両に搭載されたナビゲーション装置100と気象情報配信サーバ200との間を相互に接続している。また、ナビゲーション装置100とネットワーク300の間は、車両に備わった移動体電話(図示せず)を用いて接続されている。
【0018】
気象情報配信サーバ200は、ナビゲーション装置100から気象情報取得要求が送られてきたときに、このナビゲーション装置100に対して風向き情報や風速情報を含む気象情報を配信する。例えば、ナビゲーション装置100から送られてくる気象情報取得要求にはこのナビゲーション装置100が搭載された車両の位置が含まれており、気象情報配信サーバ200は、この車両の位置を中心とする所定範囲に対応する気象情報を抽出して配信する。
【0019】
次に、ナビゲーション装置100の詳細構成について説明する。図2は、ナビゲーション装置100の詳細構成を示す図である。図2に示すナビゲーション装置100は、ナビゲーションコントローラ1、DVD2、ディスク読取装置3、リモートコントロール(リモコン)ユニット4、車両位置検出部5、ディスプレイ装置(表示装置)6、オーディオ部7を含んで構成されている。
【0020】
ナビゲーションコントローラ1は、ナビゲーション装置の全体を制御する。このナビゲーションコントローラ1は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することによりその機能が実現される。
【0021】
DVD2は、地図表示や経路探索など各種のナビゲーション動作を行うために必要な地図データが格納されている情報記録媒体である。地図データには、地図表示に必要な地図画像データと経路探索に必要な道路データとが含まれている。このDVD2には、経度および緯度で適当な大きさに区切られた矩形形状の図葉を単位とした地図データが格納されている。各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。
【0022】
ディスク読取装置3は、1枚あるいは複数枚のDVD2が装填可能であり、ナビゲーションコントローラ1の制御によっていずれかのDVD2から地図データの読み出しを行う。なお、装填されるディスクは必ずしもDVDでなくてもよく、CDでもよい。また、DVDとCDの双方を選択的に装填可能としてもよい。なお、本実施形態ではDVD2(あるいはCD)に記録された地図データを読み出して使用しているが、ハードディスクに記録された地図データを用いたり、必要に応じて外部(例えば地図配信サーバ)から配信される地図データを受信して用いるようにしてもよい。
【0023】
リモコンユニット4は、上下左右等の方向を指定するジョイスティックと、数字を入力するテンキーや各種の設定などを確定する「決定キー」などの各種の操作キーとを備えており、操作内容に応じた信号をナビゲーションコントローラ1に出力する。車両位置検出部5は、例えば、GPS受信機、方位センサ、距離センサなどを備えており、所定のタイミングで自車両の位置(経度、緯度)と方位の検出を行い、検出データを出力する。
【0024】
ディスプレイ装置6は、ナビゲーションコントローラ1から出力される描画データに基づいて、自車位置周辺の地図画像や、この地図画像に重ねられた自車位置マーク画像や風向きマーク画像等を表示する。オーディオ部7は、ナビゲーションコントローラ1から入力される音声信号に基づいて生成した案内音声等を車室内に出力する。
【0025】
また、図2に示すように、上述したナビゲーションコントローラ1は、地図バッファ10、地図読出制御部12、地図描画部14、気象情報取得部20、通信処理部22、マーク画像描画部24、車両情報保持部26、車両位置計算部30、経路探索処理部32、経路誘導処理部34、入力処理部40、表示処理部50を含んで構成されている。
【0026】
地図バッファ10は、ディスク読取装置3によってDVD2から読み出された地図データを一時的に格納する。地図読出制御部12は、車両位置計算部30により算出される車両位置や入力処理部40からの指示に応じて、所定範囲の地図データの読み出し要求をディスク読取装置3に出力する。地図描画部14は、地図バッファ10に格納された地図データに基づいて、地図画像を表示するために必要な描画処理を行って地図画像描画データを作成する。例えば、常に北向きを表示画面の上向きに一致させるノースアップ表示と、自車両の進行方向を表示画面の上向きに一致させるヘディングアップ表示のいずれかが選択可能であり、選択された表示方法に対応する地図画像の描画が行われる。
【0027】
気象情報取得部20は、通信処理部22を介して気象情報取得要求を送ることにより、気象情報配信サーバ200から送り返されてくる気象情報を取得する。この気象情報には、自車位置およびその周辺の所定範囲に対応する風向き情報と風速情報が少なくとも含まれている。通信処理部22は、気象情報取得部20と気象情報配信サーバ200との間で気象情報取得要求やこの要求に対応して配信される気象情報等をネットワーク300を介して送受信するために必要な処理を行う。この通信処理部22には、移動体電話(図示せず)が外付けされている。
【0028】
マーク画像描画部24は、気象情報取得部20によって取得された気象情報に含まれる風向き情報で示される風向きや、風速情報で示される風速などが目視可能な風向きマーク画像を描画して風向きマーク画像描画データを生成する。また、マーク画像描画部24は、自車位置に対応する地図画像上の位置に表示される自車位置マーク画像を描画して自車位置マーク画像描画データを生成する。車両情報保持部26は、本実施形態のナビゲーション装置が搭載された自車両の車種あるいは車両形状を示す車両情報を保持する。
【0029】
車両位置計算部30は、車両位置検出部5から出力される検出データに基づいて自車位置と向きを計算するとともに、計算した自車位置が地図の道路上にない場合には地図の道路形状と走行軌跡とに基づいて自車位置を修正するマップマッチング処理を行う。
【0030】
経路探索処理部32は、出発地と目的地との間を所定の探索条件にしたがって結ぶ走行経路を誘導経路として探索する。経路誘導処理部34は、経路探索処理部32による探索処理によって得られた誘導経路を地図上に重ねて表示するための誘導経路描画データを生成するとともに、この誘導経路に沿って車両を誘導するために必要な交差点案内等の音声信号を生成する。
【0031】
入力処理部40は、リモコンユニット4から入力される各種の操作指示に対応する動作を行うための命令をナビゲーションコントローラ1内の各部に向けて出力する。表示処理部50は、地図描画部14によって生成される地図画像描画データに基づいて所定範囲の地図画像をディスプレイ装置6の画面に表示する。また、マーク画像描画部24によって生成される風向きマーク画像描画データや自車位置マーク画像描画データ、経路誘導処理部34によって生成される誘導経路描画データが入力されると、表示処理部50は、この描画データを地図画像に重ねてディスプレイ装置6の画面に表示する。
【0032】
上述した気象情報取得部20、通信処理部22が気象情報取得手段に、車両位置検出部5、車両位置計算部30が車両位置検出手段に、地図描画部14が地図描画手段に、マーク画像描画部24がマーク画像描画手段に、表示処理部50が表示処理手段に、車両情報保持部26が車両情報保持手段に、経路探索処理部32が経路探索手段にそれぞれ対応する。
【0033】
本実施形態のナビゲーション装置100はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
【0034】
図3は、地図画像に風向きマーク画像を重ねて表示する本実施形態のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。地図画像の描画動作に先立って、まず、気象情報取得部20は、風向き表示が指定されているか否かを判定する(ステップ100)。風向き表示の指定とは、風向きマーク画像の表示の有無を指示することであり、例えば所定の設定画面を用いて行われ、一度この指定が行われるとその内容は次に変更されるまで保持される。なお、風向き表示の有無を切り替える切替キー等をリモコンユニット4に設けておいて、この切替キーが押されたか否かをその都度判定するようにしてもよい。
【0035】
風向き表示が指定されている場合にはステップ100で肯定判断が行われ、次に、気象情報取得部20は、前回の気象情報取得から一定時間が経過しているか否かを判定する(ステップ101)。一定時間経過している場合には肯定判断が行われ、次に、気象情報取得部20は、気象情報配信サーバ200に向けて自車位置を含む気象情報取得要求を送り、送り返されてくる自車位置およびその周辺の気象情報を取得する(ステップ102)。
【0036】
このようにして気象情報を取得した後、あるいは、前回の気象情報取得から一定時間が経過しておらずステップ101の判定において否定判断が行われた後に、マーク画像描画部24は、自車位置に対応する気象情報に含まれる風向き情報に対応する風向きマーク画像を、車両位置計算部30によって計算された自車の向きを基準として描画する(ステップ103)。例えば、本実施形態では、自車位置マーク画像に風向きマーク画像を重ねた描画が行われており、この描画の具体例については後述する。
【0037】
このようにして風向きマーク画像が描画された後、あるいは、風向き表示が指定されていない場合にはステップ100の判定において否定判断が行われた後に(あるいはこれらの動作と並行して)、地図描画部14は、自車位置周辺の地図画像を描画する(ステップ104)。例えば、ヘディングアップ表示が指定されているものとすると(この指定は、風向き表示と同様に所定の設定画面を用いてあらかじめ行われる)、地図描画部14は、車両位置計算部30によって計算された自車の向きが表示画面の上向きと一致するように自車位置周辺の地図画像描画データを生成する。
【0038】
次に、表示処理部50は、地図描画部14によって描画された地図画像上に、マーク画像描画部24によって描画された風向きマーク画像および自車位置マーク画像を重ねてディスプレイ装置6に表示する(ステップ105)。その後、ステップ100に戻って風向き表示指定の有無判定以降が繰り返される。
【0039】
図4は、表示の具体例を示す図である。また、図5は図4の表示例に含まれる風向きマーク画像および自車位置マーク画像を抜き出して示した図である。これらの図に示すように、本実施形態では、円形の外形を有する自車位置マーク画像Gの周囲に、自車位置における風向きを示す風向きマーク画像Wが付加されている。この風向きマーク画像Wは、ほぼ三角形状の矢印(正確には矢の先の部分)を表しており、その向きが風向きを示している。地図画像がヘディングアップ表示されているため、風向きマーク画像描画部24は、自車の向きと取得した風向き情報とに基づいて、自車の向きを基準とした場合に風向きと一致する矢印の向きを計算し、図4および図5に示した風向きマーク画像Wの描画を行っている。
【0040】
なお、ヘディングアップ表示等を行った場合であっても風向きが容易に目視可能であればよいため、他の表示態様を採用するようにしてもよい。図6は、風向きマーク画像の他の表示例を示す図である。図6に示す例では、自車位置マーク画像とは分離して、表示画面の左上近傍(右上近傍でもよい)に、自車の向きを基準として風向きを矢印で示した風向きマーク画像が表示されている。
【0041】
このように、本実施形態のナビゲーション装置では、自車両の向きを基準として風向きが目視可能な風向きマーク画像Wが地図画像に重ねて表示されるため、ヘディングアップ等の地図表示が行われている場合であって自車両が向いている絶対方位が明確にわからないような場合であっても、実際の風向きを容易に判別することが可能になる。
【0042】
また、自車位置マーク画像に風向きマーク画像を重ねて描画することにより、表示画面の中央に近い目立つ位置に風向きマーク画像を表示することができる。特に、自車位置マーク画像と風向きマーク画像とを別々に表示する場合に比べて、表示内容の簡素化が可能になり、これらのマーク画像を含む地図画像の視認性を向上させることができる。
【0043】
また、地図画像の中では比較的重要度が低いと考えられる表示画面の左上あるいは右上の角部近傍に風向きマーク画像を表示する場合には、地図画像の視認性の低下を極力抑えつつ風向きを運転者等に通知することが可能になる。また、風向きマーク画像に風向きを示す矢印を含ませることにより、自車両の向きに関係なく容易かつ確実に風向きを判別することが可能になる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、風向きのみを示す風向きマーク画像を表示する場合を示したが、この風向きマーク画像に風速情報も含めるようにしてもよい。図7および図8は、風速情報を含むようにした風向きマーク画像の変形例を示す図である。図7に示す風向きマーク画像Wの形状は図5に示したものと同じであるが、風向きマーク画像Wの色が風速に応じて可変に設定されている。例えば、風速10m以下の場合が青色、10〜20mの場合が黄色、20mを超える場合が赤色といった着色が成されている。風速が速くなるにしたがって、青、黄色、赤の順に色が変わるため、直感的に横風に注意する必要があることが運転者に伝わるようになっている。色を変えて風速を表す手法は、図6に示した風向きマーク画像Wについても適用することができる。また、図8に示す風向きマーク画像Wは、自車位置マーク画像Gの全体に重なるように矢印を描画するものであるが、この矢印の長さが風速に比例した長さに設定されている。矢印の長さを変えて風速を表す手法は、図6に示した風向きマーク画像Wについても適用することができる。このように、風向きマーク画像に風速情報も含めることにより、風向きと同時に風速を容易かつ確実に判別することが可能になる。なお、矢印の長さを風速に比例した長さに設定する代わりに、矢印の太さを風速に比例する太さに設定するようにしてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態では、平面的な(二次元)地図画像上に風向きマーク画像を表示する場合を説明したが、立体的な(三次元)地図画像上に風向きマーク画像を表示する場合であっても本発明を適用することができる。図9は、立体的な地図画像表示を行った場合の風向きマーク画像の具体例を示す図である。立体的な地図画像の描画は地図描画部14によって行われる。図9に示す風向きマーク画像Wは、高速道路等に設置された吹き流しをイメージしたものであり、その向きが風向きを角度が風速をそれぞれ示している。この風向きマーク画像Wは、自車位置マーク画像Gの周辺の画像表示の妨げにならないように、図9に示す例では自車位置マーク画像Gの右前方(左前方でもよい)の道路脇に配置されている。このような配置を採用することで、実際に道路脇に設置された吹き流しと同じような自然で違和感のない表示を行うことができる。但し、風向きや風速がわかればよいため、最も表示の妨げとならないように、表示画面の左上近傍あるいは右上近傍に風向きマーク画像Wを配置するようにしてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態(図7〜図9に示す場合も含む)では、風向き表示が指定された場合には地図画像に重ねて常に風向きマーク画像Wを表示するようにしたが、マーク画像描画部24は、風速が所定の基準値以上の場合に限って風向きマーク画像を描画するようにしてもよい。特に運転に注意を要する風速が速い(強い)場合のみに風速の情報を表示することにより、それほど注意する必要がないような遅い(弱い)風速についての表示を省略して表示内容の簡素化を図ることができる。
【0047】
また、この場合の基準値を車両情報保持部26に保持された車両情報に基づいて可変に設定するようにしてもよい。例えば、車高が低いセダンタイプの車両と車高が高い1ボックスカータイプの車両では、同じ風速の横風が吹いた場合であっても、運転を注意する程度は異なってくる。したがって、マーク画像描画部24は、車両情報保持部26に保持された車両情報に基づいて、自車両がセダンタイプのように車高が低い場合には基準値を高く設定し、反対に1ボックスカータイプのように車高が高い場合には基準値を低く設定し、この設定された基準値を超える風速の場合に風向きマーク画像を描画する。これにより、各車種毎あるいは各車両形状毎に有効な風向きの情報を表示することができる。
【0048】
また、上述した実施形態では、自車位置に対応する風向き情報や風速情報が含まれる風向きマーク画像を描画して表示したが、自車位置周辺の位置に対応する風向き情報や風速情報が含まれる風向きマーク画像を描画して表示するようにしてもよい。例えば、経路探索処理部32による経路探索処理によって誘導経路の探索が行われ、経路誘導処理部34によって地図画像に重ねて誘導経路が表示されている場合には、図10に示すように、この誘導経路に沿った一定間隔(あるいは気象情報が取得可能な誘導経路上の任意位置)に風向きマーク画像を表示してもよい。これにより、これから走行を予定している経路に沿った実際の風向きを容易に判別することが可能になる。
【0049】
また、上述した実施形態では、ネットワーク300を介して気象情報配信サーバ200から気象情報を取得したが、気象情報の取得方法についてはこれに限定されるものではない。例えば、FM多重放送によって各地の風向きと、風速を含む詳細な気象情報を配信する場合にはこれをFM受信機で受信して気象情報の取得を行うようにしてもよい。あるいは、電波ビーコンや光ビーコンを用いて気象情報を配信する場合にはこの気象情報をビーコン受信機で受信して取得するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】一実施形態のナビゲーション装置を含む全体システムの構成を示す図である。
【図2】ナビゲーション装置の詳細構成を示す図である。
【図3】地図画像に風向きマーク画像を重ねて表示する本実施形態のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【図4】表示の具体例を示す図である。
【図5】図4の表示例に含まれる風向きマーク画像および自車位置マーク画像を抜き出して示した図である。
【図6】風向きマーク画像の他の表示例を示す図である。
【図7】風速情報を含むようにした風向きマーク画像の変形例を示す図である。
【図8】風速情報を含むようにした風向きマーク画像の他の変形例を示す図である。
【図9】立体的な地図画像表示を行った場合の風向きマーク画像の具体例を示す図である。
【図10】誘導経路上に風向きマーク画像を表示する場合の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ナビゲーションコントローラ
3 ディスク読取装置
4 リモコンユニット
5 車両位置検出部
6 ディスプレイ装置
7 オーディオ部
10 地図バッファ
12 地図読出制御部
14 地図描画部
20 気象情報取得部
22 通信処理部
24 マーク画像描画部
26 車両情報保持部
30 車両位置計算部
32 経路探索処理部
34 経路誘導処理部
40 入力処理部
50 表示処理部
100 ナビゲーション装置
200 気象情報配信サーバ
300 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風向き情報を含む気象情報を取得する気象情報取得手段と、
自車両の位置及び向きを検出する車両位置検出手段と、
自車両周辺の地図画像を描画する地図描画手段と、
前記車両位置検出手段によって検出された自車両の向きを基準として、前記気象情報取得手段によって取得された風向き情報で示される風向きが目視可能な風向きマーク画像を描画するマーク画像描画手段と、
前記地図描画手段によって描画された地図画像上に、前記マーク画像描画手段によって描画された風向きマーク画像を重ねた状態で表示装置に表示する表示処理手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記マーク画像描画手段は、前記車両位置検出手段によって検出された自車両の位置に対応して表示される自車位置マーク画像に前記風向きマーク画像を重ねて描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記表示処理手段は、前記風向きマーク画像を地図画像上に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記風向きマーク画像は、風向きを示す矢印が含まれていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記気象情報取得手段によって取得される気象情報には風速情報が含まれており、
前記矢印の長さまたは太さは、前記風速情報で示される風速に対応していることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記気象情報取得手段によって取得される気象情報には風速情報が含まれており、
前記風向きマーク画像の少なくとも一部の色は、前記風速情報で示される風速に対応して可変に設定されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記気象情報取得手段によって取得される気象情報には風速情報が含まれており、
前記表示処理手段による前記風向きマーク画像の表示は、前記風速情報で示される風速が基準値を超えたときに行われることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項6において、
自車両の車種あるいは車両形状を示す車両情報を保持する車両情報保持手段をさらに備え、
前記基準値は、前記車両情報保持手段に保持された車両情報に基づいて可変に設定されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1において、
目的地までの走行経路を探索する経路探索手段をさらに備え、
前記マーク画像描画手段は、前記経路探索手段による探索処理によって得られた走行経路に沿った一あるいは複数の位置に対応する前記風向きマーク画像を描画し、
前記表示処理手段は、前記走行経路上の対応する位置に前記風向きマーク画像を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
風向き情報を含む気象情報を取得するステップと、
自車両周辺の地図画像を描画するステップと、
自車両の向きを基準として、取得された前記風向き情報で示される風向きが目視可能な風向きマーク画像を描画するステップと、
描画された自車位置周辺の前記地図画像上に、描画された前記風向きマーク画像を重ねた状態で表示装置に表示するステップと、
を有することを特徴とする気象情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−292656(P2006−292656A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116632(P2005−116632)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】