説明

ナビゲーション装置とそのナビゲーション方法

【課題】 ユーザが望むサービスを受けられるよう案内する技術を提供する。
【解決手段】
本発明のナビゲーション装置は、予め定められた時刻に提供されるサービス内容に対応付けられたサービス提供施設の所在地情報と、サービス提供回ごとの提供開始時刻情報と、を記憶する記憶手段と、サービスの指定を受け付けるサービス内容指定受付手段と、受け付けたサービス内容に対応付けられたサービス提供施設および当該サービス提供施設の所在地を候補施設として一つまたは複数特定する候補施設特定手段と、候補施設のそれぞれの所在地に到達する時刻を特定する到達時刻特定手段と、候補施設に到達する時刻以降にサービス提供が開始される提供回を特定するサービス提供回特定手段と、現在時刻からサービス提供開始時刻までの時間に基づいて候補施設から一つの施設を選択して目的地として設定する目的地設定手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置では、ユーザからの目的地の指定を受け付けて、当該目的地へ到る経路を探索して案内する際に、営業時間外であるか否かを判定する技術が用いられている。特許文献1には、このようなナビゲーション装置についての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−185455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなナビゲーション装置では、営業時間外の施設を効率よく除外することができるが、最終的には、ユーザが何らかの方法で施設を特定し、ナビゲーション装置に目的地として設定する必要があり、ユーザの操作負担はそれほど変化しない。
【0005】
本発明の目的は、ユーザが望むサービスを指定すると、当該サービスを受けられるように案内するナビゲーション技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に係るナビゲーション装置は、設定された目的地への経路を案内するナビゲーション装置であって、予め定められた時刻に提供されるサービス内容に対応付けられたサービス提供施設(例えば、映画館)の所在地を特定する情報と、前記サービス提供施設にて提供される前記サービスの提供回ごとの提供開始時刻を特定する情報と、を記憶する記憶手段と、前記サービス内容の指定を受け付けるサービス内容指定受付手段と、前記サービス内容指定受付手段により受け付けたサービス内容に対応付けられたサービス提供施設および当該サービス提供施設の所在地を候補施設として一つまたは複数特定する候補施設特定手段と、現在地から前記候補施設特定手段により特定された前記候補施設のそれぞれの所在地に到達する時刻を特定する到達時刻特定手段と、前記候補施設のそれぞれの所在地に到達する時刻以降にサービス提供開始時刻を設定された提供回を特定するサービス提供回特定手段と、現在時刻から前記サービス提供回特定手段により特定したサービス提供回の提供開始時刻までの時間に基づいて前記候補施設から一つの施設を選択して目的地として設定する目的地設定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、ユーザが望むサービスを指定すると、当該サービスを受けられるように案内するナビゲーション技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、リンクテーブルの構成を示す図である。
【図3】図3は、映画館テーブルの構成を示す図である。
【図4】図4は、上映テーブルの構成を示す図である。
【図5】図5は、演算処理部の機能構成図である。
【図6】図6は、映画館案内処理のフロー図である。
【図7】図7は、映画館案内処理の画面表示例を示す図である。
【図8】図8は、映画館再案内処理のフロー図である。
【図9】図9は、第二の実施形態における上映テーブルの構成を示す図である。
【図10】図10は、第二の実施形態における映画館案内処理のフロー図である。
【図11】図11は、第二の実施形態における映画館再案内処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の第一の実施形態を適用した車載装置であるナビゲーション装置100について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に、ナビゲーション装置100の構成図を示す。
【0011】
ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42を備える)と、入力装置5と、ROM装置6と、車速センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、FM多重放送受信装置10と、ビーコン受信装置11と、衛星ラジオ受信装置12と、を備えている。
【0012】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ7,8やGPS受信装置9、FM多重放送受信装置10等から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3あるいはROM装置6から読み出す。
【0013】
また、演算処理部1は、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3あるいはROM装置6に記憶されている地図データ等を用いて、ユーザから指示された出発地又は現在地と、目的地(または、経由地や立ち寄り地)と、を結ぶ最適な経路(推奨経路という)を探索する。また、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0014】
また、演算処理部1は、後述するように、ユーザが望むサービスを受けられるように適切に施設を案内する処理を行う。例えば、映画のタイトルの指定を受け付けると、当該映画を上映している映画館を探索し、当該映画館のうち最適な時刻の上映回を探索し、当該映画館への経路を案内する。
【0015】
また、演算処理部1は、図示しない衛星ラジオ局等から所定のタイミングで配信される映画の上映情報を含む情報(例えば、SIRIUS(登録商標)による配信情報)を受信し、受信した情報を後述する上映テーブル300等に格納する。
【0016】
ナビゲーション装置100の演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1と接続するためのI/F(インターフェイス)24と、を有する。
【0017】
ディスプレイ2は、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0018】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0019】
この記憶媒体には、通常の経路探索装置に必要な地図データ(地図上の道路を構成するリンクのリンクデータを含む)であるリンクテーブル200と、映画館テーブル250と、
上映テーブル300と、が記憶されている。
【0020】
図2は、リンクテーブル200の構成を示す図である。リンクテーブル200は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)201ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ202を含んでいる。
【0021】
リンクデータ202は、リンクの識別子であるリンクID211ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別を示す道路種別223、リンクの長さを示すリンク長224、予め記憶されたリンク旅行時間225、当該リンクの開始ノードに接続するリンクである開始接続リンクと、当該リンクの終了ノードに接続するリンクである終了接続リンクと、を特定する開始接続リンク、終了接続リンク226、リンクを含む道路の制限速度を示す制限速度227、などを含んでいる。
【0022】
なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。
【0023】
図3は、映画館テーブル250の構成を示す図である。映画館テーブル250には、映画館を識別する情報である映画館ID251ごとに、その所在地252と、映画館に到着してから映画鑑賞を開始できるまでにかかるマージン時間253と、が格納される。
【0024】
映画館ID251には、映画館を特定する識別子である映画館IDが格納される。また、所在地252には、当該映画館ID251で特定される映画館の所在地(住所)が格納される。
【0025】
マージン時間253には、映画館に到着してから映画鑑賞を開始できるまでにかかる時間の概算であるマージン時間が格納される。マージン時間には、例えば、駐車場内に駐車するために必要な時間と、駐車場からチケット販売所までの移動にかかる時間と、チケット販売所から上映会場までの移動にかかる時間と、が含まれる。通常、マージン時間はさらに安全時間を見越した所定の時間とする。
【0026】
通常、映画館テーブル250に格納される情報は、予めナビゲーション装置100に記憶された情報であるが、これに限られず、例えば衛星ラジオ等により所定のタイミングで(例えば20分ごと)配信されるものであってもよいし、その他図示しない携帯電話等によるデータ通信を介して配信されるものであってもよい。
【0027】
図4は、上映テーブル300の構成を示す図である。上映テーブル300には、上映される映画のタイトルである上映タイトル301と、上映が行われる映画館を識別する情報である映画館ID302と、上映が開始される時刻を特定する情報である上映開始時刻303と、が格納される。
【0028】
上映タイトル301には、例えば、映画の作品を特定する名称等が格納される。映画館ID302には、上述したように、映画館を特定する情報である映画館IDが格納される。上映開始時刻303には、映画の上映回ごとの、上映開始時刻を特定する情報が格納される。例えば、ある映画館で上映されている映画の上映回が、第一回は午前9時〜11時、第二回は午前11時45分〜午後1時45分、第三回は午後2時30分〜午後4時30分、第四回は午後5時15分〜午後7時15分、である場合、上映開始時刻303には、上映が開始される時刻である午前9時、午前11時45分、午後2時30分、午後5時15分、のそれぞれの情報が格納される。なお、上映テーブル300には、図示しない情報センター等から衛星波等により所定のタイミング(例えば20分ごと)で配信される映画の上映情報を受信した情報が格納される。
【0029】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、使用者やその他の搭乗者が発した声などのナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0030】
スピーカ42は、演算処理部1で生成された使用者へのメッセージを音声として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0031】
入力装置5は、使用者からの指示を使用者による操作を介して受け付ける装置である。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示しない)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。
【0032】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透視可能である。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0033】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、回転角度を求める。
【0034】
ROM装置6は、CD-ROMやDVD-ROM等のROM(Read Only Memory)や、IC(Integrated Circuit)カードといった、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、動画データや、音声データなどが記憶されている。
【0035】
車速センサ7,ジャイロセンサ8およびGPS受信装置9は、ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。車速センサ7は、車速を算出するのに用いる値を出力するセンサである。
【0036】
ジャイロセンサ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。
【0037】
GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行速度および進行方位を測定するものである。
【0038】
FM多重放送受信装置10は、FM放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などやFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0039】
ビーコン受信装置11は、VICS情報などの概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報や緊急警報などを受信する。例えば、光により通信する光ビーコン、電波により通信する電波ビーコン等の受信装置である。
【0040】
衛星ラジオ受信装置12は、衛星から送られてくる電磁波を受信する。このような電磁波には、様々な情報が重畳されており、衛星ラジオ受信装置12は、このような情報を取得することができる。本実施形態における上映情報は、衛星ラジオ受信装置12によって受信した情報から取得するものとする。
【0041】
図5は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、出力処理部103と、映画館探索部104と、移動時間特定部105と、上映待ち時間特定部106と、映画館再探索部107と、を有する。
【0042】
主制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、各種センサ7、8、GPS受信装置9等の情報を取得し、マップマッチング処理等を行って現在地を特定する。また、随時、走行した日付および時刻と、位置と、を対応付けて、リンクごとに走行履歴を記憶装置3に記憶する。さらに、各処理部からの要求に応じて、GPS受信装置9で取得したGPS情報に含まれる現在時刻を出力する。また、主制御部101は、ユーザから指示された出発地又は現在地と、目的地と、を結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、主制御部101は、推奨経路から逸脱しないよう、誘導情報を生成し、出力処理部103へ出力する。また、主制御部101は、衛星ラジオ受信装置12により受信した上映に関する情報に基づき、上映テーブル300に情報を格納する。
【0043】
入力受付部102は、入力装置5またはマイクロフォン41を介して入力された使用者からの指示を受け付け、その要求内容に対応する処理が実行されるように、受け付けた要求内容を主制御部101に通知する。例えば、使用者が推奨経路の探索を要求したときは、受け付けた推奨経路の探索要求を主制御部101へ通知する。
【0044】
出力処理部103は、表示させるグラフィックス情報を受け取り、ディスプレイ2に描画するためのグラフィックス情報に変換して、ディスプレイ2に対して描画する指示を行う。また、処理内容に応じて、スピーカ42から出力するようスピーカ42に指示を行う。
【0045】
映画館探索部104は、ユーザから指示された映画のタイトルを上映している映画館を探索して、目指すべき映画館の候補を特定する。具体的には、例えば、映画館探索部104は、入力受付部102を介して受け付けた映画のタイトルから、上映している映画館のうち所定の距離内にある映画館を目指すべき映画館の候補として特定する。なお、候補映画館が複数存在する場合には、映画館探索部104は、各候補映画館に連続する自然数を付番する。例えば、映画館探索部104は、一つ目の映画館の候補には「1」を付番して当該映画館をT1として識別できるようにし、二つ目の映画館の候補には「2」を付番して当該映画館をT2として識別できるようにし、n番目の映画館の候補には「n」を付番して当該映画館をTnとして識別できるようにする。
【0046】
すなわち、映画館探索部104は、上映テーブル300に格納された情報を読み出して、読み出した上映タイトルを選択可能に表示し、指定を受け付けたタイトルについて、上映テーブル300の上映タイトル301を検索して、対応付けられた映画館ID302を特定する。映画館探索部104は、特定した映画館IDにより特定される映画館の所在地252とマージン時間253とを、映画館テーブル250を検索することで特定する。また、映画館探索部104は、現在地から所定の距離(例えば、15km)内にある映画館を、特定した映画館の中から絞り込む。その際、映画館探索部104は、映画館の所在地252の情報を用いて施設の緯度経度を特定し、現在地が属する緯度経度との距離を算出する。なお、当該距離には、施設と現在地との直線距離を用いてもよいし、主制御部101により現在地から当該映画館へ到る経路を探索し、当該経路の距離すなわち道のりを用いてもよい。そして、映画館探索部104は、絞り込んだ候補映画館に識別番号を付番して、候補映画館T1,T2,・・・,Tn(nは自然数)として特定する。
【0047】
また、映画館探索部104は、各候補映画館について、移動時間と待ち時間とを加算した時間を算出し、算出した値が最短となるような候補映画館へ向かう経路を推奨経路として設定する。より具体的には、映画館探索部104は、各候補映画館について、移動時間と待ち時間とを加算した時間を準備時間として算出する。また、映画館探索部104は、各候補映画館の準備時間を互いに比較して、準備時間が最短となる候補映画館を第一の目的地候補として特定する。また、映画館探索部104は、主制御部101に当該第一の目的地候補の映画館までの推奨経路を経路誘導するよう依頼する。
【0048】
移動時間特定部105は、映画館探索部104が特定した映画館の候補である候補映画館ごとに、現在地から当該映画館へ移動する所要時間Mを算出し、特定する。なお、候補映画館が複数存在する場合には、移動時間特定部105は、当該映画館に付与した番号を用いて、各候補映画館への移動時間MをM1〜Mnとして特定できるようにする。具体的には、移動時間特定部105は、主制御部101に依頼して、候補映画館について、現在地からの推奨経路の探索を行わせ、当該推奨経路の移動にかかる所要時間を取得する。
【0049】
上映待ち時間特定部106は、各候補映画館について、到着後の上映回の上映開始時刻までの待ち時間Wを特定する。具体的には、上映待ち時間特定部106は、候補映画館について、現在時刻に移動時間を加算して、到着時刻を特定する。そして、上映待ち時間特定部106は、候補映画館について、到着時刻後の最早の上映開始時刻を、上映テーブル300を探索して特定する。そして、上映待ち時間特定部106は、到着時刻から、最早の上映開始時刻までの差分の時間を、待ち時間として算出する。例えば、映画館に到着する予想時刻が午前11時20分であって、次回の上映開始時刻が午前11時45分である場合には、上映待ち時間特定部106は、待ち時間Wは午前11時20分から午前11時45分までの差分である25分間であると特定する。なお、候補映画館が複数存在する場合には、上映待ち時間特定部106は、当該映画館に付与した番号を用いて、各候補映画館の待ち時間WをW1〜Wnとして特定できるようにする。
【0050】
また、上映待ち時間特定部106は、候補映画館について、待ち時間が当該映画館のマージン時間未満であるか否かを判定する。待ち時間がマージン時間253未満である場合、当該候補映画館については、上映待ち時間特定部106は、さらに次の上映開始時刻までの待ち時間を、待ち時間として算出する。
【0051】
映画館再探索部107は、映画館に向かって移動を開始した後、定期的(例えば5分間隔)あるいは所定の条件が成立したタイミングで、各候補映画館へ移動する移動時間Mと、待ち時間Wとを算出しなおして、目指すべき候補映画館の差し替えをユーザに提案する。
【0052】
具体的には、映画館再探索部107は、推奨経路の移動時間を算出し、推奨経路の移動時間が所定の時間未満であるか否かを判定する。所定の時間未満でない場合は、映画館再探索部107は、各候補映画館への移動時間と待ち時間とを再度算出する。そして、映画館再探索部107は、移動時間と待ち時間とを加算した時間が最短となる候補映画館について、変更があったか否かを判定する。
【0053】
変更があった場合、映画館再探索部107は、ユーザに対して、最短となる映画館へと目的地を変更するか否かを問い合わせ、目的地の変更、すなわち再設定を行う指示を受け付けたか否かを判定する。目的地の変更を行う指示を受け付けた場合には、映画館再探索部107は、移動時間と待ち時間とを加算した準備時間が最短となる映画館までの経路を推奨経路として設定する。
【0054】
上記した演算処理部1の各機能部、すなわち主制御部101、入力受付部102、出力処理部103、映画館探索部104、移動時間特定部105、上映待ち時間特定部106、映画館再探索部107は、CPU21が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、RAM22には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0055】
なお、上記した各構成要素は、ナビゲーション装置100の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0056】
また、各機能部は、ハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
[動作の説明]
【0057】
次に、ナビゲーション装置100の動作について説明する。図6は、ユーザが見たい映画のタイトルを指定することで、当該タイトルを上映している最適な映画館へ経路誘導を行う映画館案内処理のフロー図である。このフローは、ナビゲーション装置100が稼働している状態において、所定の操作、例えば操作メニュー上の起動指示を受け付けることで開始される。
【0058】
まず、映画館探索部104は、上映タイトルを選択可能に表示させるための処理を行う(ステップS001)。具体的には、まず、主制御部101が、衛星ラジオ受信装置12により受信した上映に関する情報から、上映テーブル300に情報を格納する。そして、映画館探索部104は、上映テーブル300に格納された上映タイトル301の情報から重複を排除して抽出し、選択可能なタイトルリストを構成する。そして、映画館探索部104は、出力処理部103を介して、構成したタイトルリストをディスプレイ2に表示させる。そして、主制御部101は、入力受付部102、出力処理部103、映画館探索部104、移動時間特定部105、上映待ち時間特定部106、に順次指示を出して、以下の処理を実行させる。
【0059】
まず、入力受付部102は、タイトルリストの中のタイトルの指定を受け付ける(ステップS002)。具体的には、入力受付部102は、ステップS101にて表示した上映タイトルの中からユーザが指定するタイトルを受け付ける。
【0060】
次に、映画館探索部104は、指定されたタイトルを上映している映画館を候補映画館として特定する(ステップS003)。具体的には、ステップS002にて指定を受け付けたタイトルについて、映画館探索部104は、上映テーブル300の上映タイトル301を検索して、対応付けられた映画館ID302を特定する。そして、映画館探索部104は、特定した映画館IDにより特定される映画館の所在地252とマージン時間253とを、映画館テーブル250を検索することで特定する。そして、映画館探索部104は、現在地から所定の距離(例えば、15km)内にある映画館を、特定した映画館の中から絞り込む。その際、映画館探索部104は、映画館の所在地252の情報を用いて施設の緯度経度を特定し、現在地が属する緯度経度との距離を算出する。なお、当該距離には、施設と現在地との直線距離を用いてもよいし、主制御部101により現在地から当該映画館へ到る経路を探索し、当該経路の距離(道のり)を用いてもよい。そして、映画館探索部104は、絞り込んだ候補映画館に識別番号を付番して、候補映画館T1,T2,・・・,Tn(nは自然数)として特定する。
【0061】
次に、主制御部101は、ループ変数iを「0」で初期化する(ステップS004)。そして、主制御部101は、ループ変数iをインクリメント(1加算)する(ステップS005)。
【0062】
次に、移動時間特定部105は、候補映画館Tiへの移動時間Miを算出する(ステップS006)。具体的には、移動時間特定部105は、主制御部101に依頼して、i番目の候補映画館Tiについて、現在地からの推奨経路の探索を行う。そして、移動時間特定部105は、主制御部101に依頼して、当該推奨経路の移動にかかる所要時間を特定し、所要時間Miとして算出する。
【0063】
次に、上映待ち時間特定部106は、候補映画館Tiについて、到着時刻から次回の上映時刻までの待ち時間Wiを算出する(ステップS007)。具体的には、上映待ち時間特定部106は、i番目の候補映画館Tiについて、現在時刻に移動時間Miを加算して、到着時刻を特定する。すなわち、i番目の候補映画館Tiの到着時刻は、下式(1)により算出される。
【0064】
候補映画館Tiの到着時刻=現在時刻+移動時間Mi・・・式(1)
【0065】
そして、上映待ち時間特定部106は、候補映画館Tiについて、到着時刻後の最早の上映開始時刻を、上映テーブル300を探索して特定する。そして、上映待ち時間特定部106は、候補映画館Tiについて、到着時刻から、最早の上映開始時刻までの差分の時間を、待ち時間Wiとして算出する。すなわち、待ち時間Wiは、下式(2)により算出される。
【0066】
待ち時間=到着時刻以降の最早の上映開始時刻−到着時刻・・・式(2)
【0067】
なお、上式(2)は、到着時刻をさらに分解すると、下式(3)と同じであるといえる。
【0068】
待ち時間=到着時刻以降の最早の上映開始時刻−現在時刻−移動時間・・・式(3)
【0069】
次に、上映待ち時間特定部106は、候補映画館Tiについて、待ち時間Wiが当該映画館のマージン時間未満であるか否かを判定する(ステップS008)。具体的には、上映待ち時間特定部106は、i番目の候補映画館Tiについて、ステップS007にて特定した待ち時間Wiが、ステップS003で特定した当該映画館のマージン時間253未満であるか否かを判定する。
【0070】
待ち時間がマージン時間253未満である場合(ステップS008にて「Yes」)、当該候補映画館Tiについては、上映待ち時間特定部106は、さらに次の上映開始時刻までの待ち時間を、待ち時間Wiとして算出する(ステップS009)。
【0071】
次に、主制御部101は、ループ変数iがnと一致するか否かを判定する(ステップS010)。具体的には、主制御部101は、ループ変数iが、候補映画館の数であるnと一致するか否かを判定し、一致しない場合には、ステップS005から実施するよう制御を戻す。すなわち、主制御部101は、候補映画館の全てについて移動時間と待ち時間をそれぞれ算出したか否かを判定する。
【0072】
次に、映画館探索部104は、各候補映画館T1〜Tnについて、移動時間Mと待ち時間Wとを加算した時間を算出し、算出した値が最短となるような候補映画館へ向かう経路を推奨経路として設定する(ステップS011)。具体的には、映画館探索部104は、各候補映画館について、ステップS006で算出した移動時間とステップS007またはステップS009で算出した待ち時間とを加算した時間を準備時間として算出する。そして、映画館探索部104は、各候補映画館の準備時間を互いに比較して、準備時間が最短となる候補映画館を第一の目的地候補として特定する。そして、映画館探索部104は、主制御部101に当該第一の目的地候補の映画館までの推奨経路を経路誘導するよう依頼する。そして、出力処理部103は、各候補映画館と、各候補映画館へ到る経路と、を図7の画面400等の形式によりディスプレイ2に表示させる。
【0073】
図7は、画面400の表示例を示す図である。画面400には、背景に地図画像が表示されており、車両の現在地を示すカーマーク401が中心よりやや下方に表示される。また、車両の現在地から第一の候補映画館411へ到る第一の経路421と、第二の候補映画館412へ到る第二の経路422と、第三の候補映画館413へ到る第三の経路423と、が重畳されて表示される。当該画面を見ることで、ユーザは映画館の大まかな位置と方向を確認することが可能となる。なお、出力処理部103は、第一の経路421〜第三の経路423のうち、推奨経路に設定した経路を、太線や目立つ色の線等により強調表示するようにしてもよい。案内される映画館と当該映画館までの経路が強調表示されることにより、ユーザはさらに、案内される予定の映画館までの道のりを一目のもとに把握し易くなる。
【0074】
以上が、映画館案内処理の処理内容である。上記の映画館案内処理を行う事によって、ナビゲーション装置100は、ユーザが見たい映画のタイトルの指定を受け付けて、映画館を案内することができる。
【0075】
図8は、ナビゲーション装置100が映画館案内処理により特定した映画館への経路誘導を行っている状態において、交通状況等の変化に応じて、鑑賞に適した映画館を再案内する映画館再案内処理のフロー図である。
【0076】
まず、映画館再探索部107は、推奨経路の移動時間を算出する(ステップS101)。具体的には、映画館再探索部107は、映画館案内処理のステップS011において推奨経路として設定された経路について、最新の情報を用いて移動時間を算出するように移動時間特定部105に対して指示を行う。移動時間特定部105は、指示に従い、最新の情報を用いて当該経路の移動時間を算出する。そして、主制御部101は、入力受付部102、出力処理部103、移動時間特定部105、上映待ち時間特定部106、映画館再探索部107、に順次指示を出して、以下の処理を実行させる。
【0077】
まず、映画館再探索部107は、推奨経路の移動時間が所定の時間未満であるか否かを判定する(ステップS102)。具体的には、映画館再探索部107は、ステップS101において算出した移動時間が、所定の時間(例えば20分)未満であるか否かを判定する。
【0078】
所定の時間未満である場合(ステップS102にて「Yes」)は、映画館再探索部107は、再探索を行う必要がないと判断して、映画館再案内処理を終了させる。
【0079】
所定の時間未満でない場合(ステップS102にて「No」)は、映画館再探索部107は、各候補映画館への移動時間と待ち時間とを再度算出する(ステップS103)。具体的には、映画館再探索部107は、映画館案内処理のステップS003にて特定した候補映画館のそれぞれについて、移動時間特定部105に対して移動時間Miを最新の交通情報を用いて算出するよう指示する。続けて、映画館再探索部107は、候補映画館のそれぞれについて、上映待ち時間特定部106に対して待ち時間Wiを最新の交通情報を用いて算出するように指示する。
【0080】
次に、映画館再探索部107は、移動時間と待ち時間とを加算した時間が最短となる候補映画館について、変更があったか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、映画館再探索部107は、各候補映画館について、ステップS103で算出した移動時間と待ち時間とを加算した時間を準備時間として算出する。そして、映画館再探索部107は、各候補映画館の準備時間を互いに比較して、準備時間が最短となる候補映画館を特定し、当該特定した映画館が、すでに推奨経路を案内中の第一の目的地候補と異なるか否か、すなわち変更があったか否かを判定する。
【0081】
変更がなかった場合(ステップS104にて「No」)、映画館再探索部107は、再探索を行う必要がないと判断して、映画館再案内処理を終了させる。
【0082】
変更があった場合(ステップS104にて「Yes」)、映画館再探索部107は、ユーザに対して、最短となる映画館へと目的地を変更するか否かを問い合わせる(ステップS105)。具体的には、映画館再探索部107は、最短となる映画館に変更が生じたことを伝え、さらに、当該最短となる映画館を目的地として再設定するか否かを問い合わせて指示を受け付けるための画面をディスプレイ2に表示させる。
【0083】
次に、映画館再探索部107は、目的地の変更、すなわち再設定を行う指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS106)。具体的には、映画館再探索部107は、入力処理部102を介してユーザから目的地を再設定するか否かの指示を受け付けて、該指示が再設定を行う指示であるか否かを判定する。
【0084】
目的地の変更を行う指示を受け付けなかった場合(ステップS106にて「No」)、映画館再探索部107は、再探索を行う必要がないと判断して、映画館再案内処理を終了させる。
【0085】
目的地の変更を行う指示を受け付けた場合(ステップS106にて「Yes」)、映画館再探索部107は、移動時間と待ち時間とを加算した準備時間が最短となる映画館までの経路を推奨経路として設定する(ステップS107)。具体的には、映画館再探索部107は、各候補映画館について、ステップS104で算出した準備時間を互いに比較して、準備時間が最短となる候補映画館を第一の目的地候補として特定する。そして、映画館再探索部107は、主制御部101に当該第一の目的地候補の映画館までの推奨経路を経路誘導するよう依頼する。そして、出力処理部103は、各候補映画館と、各候補映画館へ到る経路と、を図7の画面400等の形式によりディスプレイ2に表示させる。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明した。本発明の一実施形態によると、ナビゲーション装置100では、映画というサービスを受けられるタイミングが限られたサービスに関して、ユーザが望む内容のサービスを受けられるように最適な案内を行うことができる。また、実際の交通状況によって、例えば渋滞の発生等によって当初の目的地ではサービスが受けられないことが予想されると、別の目的地でサービスを受けることができるように更なる案内を行うことができる。
【0087】
本発明は、上記第一の実施形態に制限されない。上記第一の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記第一の実施形態の映画館案内処理においては、候補映画館への到着時間から次の上映時刻までの時間を待ち時間としていたが、これに限られず、満員の上映回である場合には、空きのある最早の上映回の上映開始時刻までの時間を待ち時間とするようにしてもよい。具体的には、第二の実施形態として、図9〜図11に示すように、ナビゲーション装置100の映画館案内処理および映画館再案内処理を変形することが可能である。
【0088】
第二の実施形態におけるナビゲーション装置100の構成は、基本的には、第一の実施形態におけるナビゲーション装置100の構成と同様の構成を備えるが、第二の実施形態においては、第一の実施形態における上映テーブル300が図9の上映テーブル350のように変形される点と、映画館案内処理が図10に示すように変形される点と、映画館再案内処理が図11に示すように変形される点と、の3点において相違がある。以下、その相違点を中心に説明する。
【0089】
図9は、第二の実施形態における上映テーブル350の構成を示す図である。上映テーブル350は、第一の実施形態における上映テーブル300と同様に、上映タイトル351と、映画館ID352と、上映開始時刻353と、を備えるが、さらに、満員354を備える。満員354には、上映タイトル351と映画館ID352と上映開始時刻353とにより識別される上映回が、満席になっているか否かを示す情報が格納される。例えば「満席」、「空席」、あるいは空席の場合のさらに詳細な情報である「残り僅か」等である。もちろん、当該情報に限らず、満席になっているか否かを示す情報であればよい。なお、当該上映テーブル350については、衛星ラジオ放送等により所定の時間(例えば20分)ごとに更新情報が配信されるものであり、主制御部101が衛星ラジオ受信装置12を介して更新情報を受信すると、都度更新を行うものとする。
【0090】
図10は、第二の実施形態における映画館案内処理の処理フローを示す図である。第二の実施形態における映画館案内処理の処理フローは、基本的に第一の実施形態における映画館案内処理の処理フローと同様であるが、第一の実施形態における処理ステップS008と、ステップS009とに相当する処理について、相違がある。なお、当該フローに説明するように、第二の実施形態においては、上映待ち時間特定部106は、候補映画館について、待ち時間が当該映画館のマージン時間未満であるか、または、次回の上映回が満員であるか、のいずれかに該当するか否かを判定する。
【0091】
ステップS008に相当するステップS208においては、上映待ち時間特定部106は、候補映画館Tiについて、待ち時間Wiが当該映画館のマージン時間未満または次回の上映回が満員であるか否かを判定する(ステップS208)。具体的には、上映待ち時間特定部106は、i番目の候補映画館Tiについて、ステップS007にて特定した待ち時間Wiが、ステップS003で特定した当該映画館のマージン時間253未満であること、または、ステップS007で特定した上映回が満員であること、のいずれかが真(True)となるか否かを判定する。なお、上映回が満員であるか否かは、上映待ち時間特定部106が上映テーブル350を参照し、該当する上映回の満員354に格納された情報が満員を示す情報であるかそうでないかにより判定する。
【0092】
待ち時間がマージン時間253未満である場合、または次回の上映回が満員である場合(ステップS208にて「Yes」)、当該候補映画館Tiについては、上映待ち時間特定部106は、当該候補映画館Tiへ到着する時刻を現在時刻に移動時間を加算することで特定し、到着する時刻以降の満員でない最早の上映開始時刻までの待ち時間を、待ち時間Wiとして算出する(ステップS209)。この処理により、上映待ち時間特定部106は、満員でない最早の上映回を検索することが可能となるため、映画館に到着して映画を鑑賞するまでの待ち時間を短くすることができる。
【0093】
以上が、第二の実施形態における映画館案内処理の内容である。このようにすることで、ユーザはより早く映画を鑑賞できる映画館の案内を受けることができる。
【0094】
図11は、第二の実施形態における映画館再案内処理の処理フローを示す図である。第二の実施形態における映画館再案内処理の処理フローは、基本的に第一の実施形態における映画館再案内処理の処理フローと同様であるが、第一の実施形態における処理ステップS103に相当する処理について、相違がある。なお、第二の実施形態においては、映画館再探索部107は、後述するように、候補映画館のそれぞれについて、移動時間特定部105に対して移動時間を最新の交通情報を用いて算出するよう指示し、上映待ち時間特定部106に対して待ち時間を、最新の交通情報および上映テーブル350を用いて算出するように指示する。
【0095】
ステップS103に相当するステップS303においては、映画館再探索部107は、各候補映画館への移動時間と、満員でない最早の上映時刻までの待ち時間とを算出する(ステップS303)。具体的には、映画館再探索部107は、映画館案内処理のステップS003にて特定した候補映画館のそれぞれについて、移動時間特定部105に対して移動時間Miを最新の交通情報を用いて算出するよう指示する。続けて、映画館再探索部107は、候補映画館のそれぞれについて、上映待ち時間特定部106に対して待ち時間Wiを最新の交通情報および上映テーブル350を用いて算出するように指示する。
【0096】
以上が、第二の実施形態における映画館再案内処理の処理フローを示す図である。このようにすることで、映画館の再案内処理においても、満員情報を反映させた再案内が可能となる。
【0097】
以上が、第二の実施形態の内容である。このようにすることで、第二の実施形態においては、ナビゲーション装置100は、満員の上映回を除外して案内を行うことが可能であるため、ユーザにスムーズに映画を鑑賞させることが可能となる。
【0098】
また、上記第一の実施形態の映画館再案内処理においては、ステップS104およびステップS107において、移動時間と待ち時間とを加算して準備時間として算出していたが、これに限られず、現在案内中の候補映画館とそうでない候補映画館との間で、重み付けを行って準備時間を算出するようにしてもよい。具体的には、下式(4)に従って準備時間を算出するようにしてもよい。
【0099】
準備時間=a×移動時間+b×待ち時間・・・式(4)
【0100】
なお、式(4)において、係数a、bはそれぞれ、0または正の数であるものとする。また、係数a、bは予め定められていてもよいし、ユーザの指示により設定変更可能であってもよい。
【0101】
このようにすることで、例えば係数aの値を、現在案内中の候補映画館よりも案内中でない候補映画館の方が大きくなるように設定(例えば、現在案内中の候補映画館はaを1と設定し、案内中でない候補映画館はaを1.5として設定する等)することにより、若干の準備時間の差であれば別の映画館に目的地を変更する必要がないものとして処理することができるようになり、頻繁な目的地の変更によってユーザを混乱させてしまうことを回避することが可能となる。
【0102】
また、上記第一の実施形態において、待ち時間に十分な余裕がある場合には、出発時刻を遅らせることが可能である旨のメッセージをディスプレイ2に表示する、あるいは、スピーカ42を介して音声で報知する、ようにしてもよい。具体的には、映画館探索部104は、ステップS011の処理に伴って、当該第一の目的地候補における待ち時間から、当該映画館のマージン時間を引いた差分の時間を求め、所定の時間(例えば30分)以上であれば「○○(差分の時間)分の余裕があります」等のメッセージをユーザに示す。このようにすることで、ユーザは、時間的な余裕の度合いを知ることができ、例えば途中のコンビニに立ち寄る予定を立てたりすることができる。
【0103】
また、第一の実施形態および第二の実施形態の映画館案内処理のステップS002において指定を受け付けているタイトルは一つであるが、これに限られない。すなわち、二つ以上のタイトルを受け付けるようにしてもよい。その場合、指定を受け付けたタイトルのうちのいずれかのタイトルを上映している映画館を候補映画館としてステップS003において特定する。このようにすることで、ユーザが鑑賞したいタイトルのうち手早く鑑賞可能なタイトルを上映している映画館を案内することができる。
【0104】
さらに、上記第一の実施形態と第二の実施形態および上述した変形例のそれぞれの発明技術の全て、あるいはいくつかを組み合わせてもよい。
【0105】
以上、本発明について、実施形態を具体的に説明した。なお、上記実施形態においては、映画館を目的地の候補としているが、これに限らず、予め定められた時刻にサービスを受けることのできる施設を対象として探索を行うものであってもよいことは、言うまでもない。例えば、コンサートやミュージカル、セミナー等の各種イベントであってもよい。
なお、上記の実施形態では、本発明を車載ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明は車載ナビゲーション装置に限らず、ナビゲーション装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声出入力装置、5・・・入力装置、6・・・ROM装置、7・・・車速センサ、8・・・ジャイロセンサ、9・・・GPS受信装置、10・・・FM多重放送受信装置、11・・・ビーコン受信装置、12・・・衛星ラジオ受信装置、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・I/F、25・・・バス、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、51・・・タッチパネル、52・・・ダイヤルスイッチ、100・・・ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・入力受付部、103・・・出力処理部、104・・・停止判定部、105・・・バイアス学習処理部、106・・・計時部、200・・・リンクテーブル、250・・・映画館テーブル、300,350・・・上映テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された目的地への経路を案内するナビゲーション装置であって、
予め定められた時刻に提供されるサービス内容に対応付けられたサービス提供施設の所在地を特定する情報と、
前記サービス提供施設にて提供される前記サービスの提供回ごとの提供開始時刻を特定する情報と、
を記憶する記憶手段と、
前記サービス内容の指定を受け付けるサービス内容指定受付手段と、
前記サービス内容指定受付手段により受け付けたサービス内容に対応付けられたサービス提供施設および当該サービス提供施設の所在地を候補施設として一つまたは複数特定する候補施設特定手段と、
現在地から前記候補施設特定手段により特定された前記候補施設のそれぞれの所在地に到達する時刻を特定する到達時刻特定手段と、
前記候補施設のそれぞれの所在地に到達する時刻以降にサービス提供開始時刻を設定された提供回を特定するサービス提供回特定手段と、
現在時刻から前記サービス提供回特定手段により特定したサービス提供回の提供開始時刻までの時間に基づいて前記候補施設から一つの施設を選択して目的地として設定する目的地設定手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記記憶手段は、映画タイトルに対応付けられた映画館の所在地を特定する情報と、
前記映画館にて前記映画タイトルの上映回ごとの上映開始時刻を特定する情報と、
を記憶し、
前記サービス内容指定受付手段は、前記映画タイトルの指定を受け付け、
前記候補施設特定手段は、前記サービス内容指定受付手段により受け付けた映画タイトルに対応付けられた映画館および当該映画館の所在地を候補映画館として一つまたは複数特定し、
前記到達時刻特定手段は、現在地から前記候補施設特定手段により特定された前記候補映画館のそれぞれの所在地に到達する時刻を特定し、
前記サービス提供回特定手段は、前記候補映画館のそれぞれの所在地に到達する時刻以降に上映開始時刻を設定された上映回を特定し、
前記目的地設定手段は、現在時刻から前記サービス提供回特定手段により特定した上映回の上映開始時刻までの時間が短い映画館を前記候補映画館から選択して目的地として設定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記到達時刻特定手段は、
現在地から前記候補施設特定手段により特定された前記候補映画館のそれぞれの所在地までの経路を探索する経路探索処理と、
前記経路探索処理により探索した前記各経路に従って移動して前記候補映画館のそれぞれの所在地まで到達するのに必要となる移動時間を特定する移動時間特定処理と、
を実施して前記到達時刻を特定し、
前記目的地設定手段は、
前記到達時刻と、前記サービス提供回特定手段により特定した上映回の前記上映開始時刻との差の時間を待ち時間として前記候補映画館それぞれについて特定する待ち時間特定処理と、
前記移動時間特定処理により特定した前記移動時間と、前記待ち時間特定処理により特定した前記待ち時間と、を加算して前記候補映画館のそれぞれについて準備時間を特定する準備時間特定処理と、
を実施し、前記準備時間特定処理により特定した前記準備時間が短い映画館を前記候補映画館から選択して目的地として設定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のナビゲーション装置であって、さらに、
外部のセンターから無線通信により送信された情報を受信する受信手段を備え、
前記映画タイトルと、前記上映開始時刻を特定する情報とは、前記受信手段により受信された情報である、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、さらに、
前記サービス内容指定受付手段は、複数の前記映画タイトルの指定を受け付け、
前記候補施設特定手段は、前記サービス内容指定受付手段により受け付けた複数の映画タイトルのいずれかに対応付けられた映画館および当該映画館の所在地を候補映画館として一つまたは複数特定する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、さらに、
前記サービス提供回特定手段は、上映回を特定する処理において、前記候補映画館のそれぞれについて、前記到達時刻特定手段により特定した前記到達時刻から上映開始時刻までの時間が所定の時間よりも短い場合には、さらに次の上映回を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置であって、
前記記憶手段には、さらに、映画館に対応付けられた余裕時間が記憶されており、
前記サービス提供回特定手段は、上映回を特定する処理において、前記候補映画館のそれぞれについて、前記到達時刻特定手段により特定した前記到達時刻から上映開始時刻までの時間が前記候補映画館に対応付けられた前記余裕時間よりも短い場合には、さらに次の上映回を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記記憶手段には、さらに、前記上映回ごとに満員か否かを特定する情報が記憶されており、
前記サービス提供回特定手段は、上映回を特定する処理において、前記候補映画館のそれぞれについて、前記到達時刻特定手段により特定した前記到達時刻以降に上映が開始される上映回のうち、満員でない上映回を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項2〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、さらに、
前記目的地設定手段により設定された目的地への経路案内中に、
現在地から前記候補施設特定手段により特定された前記候補映画館のそれぞれの所在地に到達する時刻を特定し、
前記候補映画館のそれぞれの所在地に到達する時刻以降に上映が開始される上映回を特定し、
現在時刻から前記上映回の上映開始時刻までの時間が、現在時刻から前記目的地として設定された映画館の上映開始時刻までの時間よりも短い映画館の有無を判定し、
当該映画館が有ると判定した場合には当該映画館を目的地として設定する施設再案内手段、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項8に記載のナビゲーション装置であって、さらに、
前記目的地設定手段により設定された目的地への経路案内中に、
現在地から前記候補施設特定手段により特定された前記候補映画館のそれぞれの所在地に到達する時刻を特定し、
前記候補映画館のそれぞれの所在地に到達する時刻以降に上映が開始される満員でない上映回を特定し、
現在時刻から前記上映回の上映開始時刻までの時間が、現在時刻から前記目的地として設定された映画館の上映開始時刻までの時間よりも短い映画館の有無を判定し、
当該映画館が有ると判定した場合には当該映画館を目的地として設定する施設再案内手段、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
ナビゲーション装置のナビゲーション方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
予め定められた時刻に提供されるサービス内容に対応付けられたサービス提供施設の所在地を特定する情報と、
前記サービス提供施設にて提供される前記サービスの提供回ごとの提供開始時刻を特定する情報と、
を記憶する記憶手段を備え、
前記サービス内容の指定を受け付けるサービス内容指定受付ステップと、
前記サービス内容指定受付ステップにおいて受け付けたサービス内容に対応付けられたサービス提供施設および当該サービス提供施設の所在地を候補施設として一つまたは複数特定する候補施設特定ステップと、
現在地から前記候補施設特定ステップにおいて特定された前記候補施設のそれぞれの所在地に到達する時刻を特定する到達時刻特定ステップと、
前記候補施設のそれぞれの所在地に到達する時刻以降にサービス提供開始時刻を設定された提供回を特定するサービス提供回特定ステップと、
現在時刻から前記サービス提供回特定ステップにおいて特定したサービス提供回の提供開始時刻までの時間に基づいて前記候補施設から一つの施設を選択して目的地として設定する目的地設定ステップと、
を実施することを特徴とするナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−185666(P2011−185666A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49488(P2010−49488)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】