説明

ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】車両で人を迎えに行く場合に、待ち合わせ場所の状況に拘わらず円滑に人を迎えられるようにする。
【解決手段】車両位置を検出する現在位置検出手段(2)と、地図情報を格納した情報記憶手段(3)と、情報記憶手段に格納された地図情報に基づいて歩行者との待ち合わせ場所を設定する地点設定手段(4a)と、設定された待ち合わせ場所までの経路を探索する経路探索手段(4b)と、待ち合わせ場所から所定範囲内の交通状況を取得する交通状況取得手段(4c)と、待ち合わせている歩行者の携帯端末との通信を行う通信手段(7)と、交通状況により車両が待ち合わせ場所へ辿り着けるか否か判断する判断手段(4d)と、車両が待ち合わせ場所へ辿り着けないと判断されたとき、歩行者の携帯端末へ前記通信手段を通して歩行者の移動すべき地点情報又は車両位置情報を送信する制御手段(4e)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歩行者との待ち合わせを円滑に行えるようにしたナビゲーション装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置を搭載した車両同士で待ち合わせをする場合は、相互に自車位置を相手に送信して合流位置を検索することが行われている。車で人を迎えに行く場合には、予め決めた待ち合わせ場所を目的地に設定して経路を探索することが行われているが、設定した経路の近くにある公共交通期間の駅を検索して待ち合わせ場所に設定するとともに、待ち合わせ時刻を設定し、交通渋滞等により車両が待ち合わせに遅れそうになったり、人が電車に乗り遅れて待ち合わせに遅れそうになったりした場合には、待ち合わせ駅を検索し直すようにするものも提案されている(特許文献1)
【特許文献1】特開2007−72971
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車両で人を迎えに行く場合、従来提案されているものでは、待ち合わせ場所の周辺まで到達して道路が混んでいたような場合にも、通常はあらかじめ決めた待ち合わせ場所まで行くしかない。また、待ち合わせ場所周辺が駐停車禁止やバス停などのため待ち合わせが困難であったり、また、待ち合わせに適した施設等が存在しない場合もあり得る。そのため、あらかじめ道路の混雑状況や待ち合わせに適切か否か等を考慮して待ち合わせ場所を決定するのが好ましいが、待ち合わせを必要とすることの多い駅前等では常に混んでいたり、偶発的な事情によっても混雑する場合があり、いろいろな状況を考慮して待ち合わせ場所を決定しても意味のない場合も多い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、車両で人を迎えに行く場合に、待ち合わせ場所の状況に拘わらず円滑に人を迎えることができるようにすることを目的とする。
本発明は、車両位置を検出する現在位置検出手段と、地図情報を格納した情報記憶手段と、情報記憶手段に格納された地図情報に基づいて歩行者との待ち合わせ場所を設定する地点設定手段と、設定された待ち合わせ場所までの経路を探索する経路探索手段と、待ち合わせ場所から所定範囲内の交通状況を取得する交通状況取得手段と、待ち合わせている歩行者の携帯端末との通信を行う通信手段と、交通状況により車両が待ち合わせ場所へ辿り着けるか否か判断する判断手段と、車両が待ち合わせ場所へ辿り着けないと判断されたとき、歩行者の携帯端末へ前記通信手段を通して歩行者の移動すべき地点情報又は車両位置情報を送信する制御手段とを備えたことを特徴とする。
また本発明は、情報記憶手段に格納された地図情報に基づいて設定した歩行者との待ち合わせ場所までの経路を探索して案内するナビゲーション装置を制御するプログラムにおいて、待ち合わせ場所から所定範囲内の交通状況を取得するステップ、交通状況により車両が待ち合わせ場所へ辿り着けるか否か判断するステップ、交通状況により車両が待ち合わせ場所へ辿り着けないと判断したとき、歩行者の携帯端末へ歩行者の移動すべき地点情報又は車両位置情報を送信するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、車両が歩行者との待ち合わせ場所に行く際に、待ち合わせ場所の付近で渋滞や道路工事等の車両走行困難な場合があっても、道路状況に関係なく移動可能な歩行者が歩いて車両位置まで来ることができ、円滑に人を迎えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態に係るナビゲーション装置の例を示すブロック図である。出発地や目的地、待ち合わせ場所等の情報を入力するキーボード、マウス、タッチパネル、操作キー等からなる入力装置1、現在位置に関する情報を検出する現在位置検出装置2、地図データ、道路データ、交差点データ、施設データ、経路の探索に必要なナビゲーション用データ、経路案内に必要な表示/音声の案内データ、さらに地図の表示、経路探索、音声案内等の案内を行うためのプログラム(アプリケーション及び/又はOS)等を記憶した情報記憶装置3、情報記憶装置に記憶されている地図情報に基づいて歩行者との待ち合わせ場所を設定する地点設定手段 4a、設定された待ち合わせ場所等目的地までの走行経路を探索する経路探索手段4b、情報記憶装置に記憶されている規制情報や、情報提供センタ等から受信した規制情報、渋滞情報、道路工事等の交通状況に関する情報を取得する交通状況取得手段4c、交通状況により車両が待ち合わせ場所へ辿り着けるか否か判断する判断手段4d、歩行者との待ち合わせ場所周辺に到達したとき、歩行者の携帯端末に車両位置情報を知らせたり、歩行者の携帯端末からの情報を取得したりし、車両が待ち合わせ場所へ辿り着けないと判断されたとき、歩行者の携帯端末へ通信手段を通して歩行者の移動すべき地点情報又は車両位置情報を送信する制御手段4eを備え、ナビゲータ処理手段として地図の表示処理、経路探索処理、経路案内に必要な表示/音声案内処理、さらにシステム全体の制御を行う中央処理装置4、車両の走行に関する情報である、例えば道路情報、道路工事や渋滞等の交通情報を送受信し、車両の現在位置に関する情報を検出し、さらに待ち合わせをしている歩行者の携帯端末7と位置情報を送受信する情報送受信装置5、経路案内に関する情報を出力するディスプレイやスピーカその他の出力装置6から構成されている。
【0007】
図2は地下鉄駅出口で歩行者と待ち合わせしたときの状況の例を説明する図である。
道路20と一方通行道路30との交差点40の一角に地下鉄駅出口60があり、道路20を交差点40へ向かって走行する車両10は地下鉄駅出口で歩行者11と待ち合わせの約束がされている。このような待ち合わせ場所は、ナビゲーション装置の地点設定手段4aにより設定可能である。交差点40は右折できないため、直接的には歩行者との待ち合わせ場所まで辿り着くことができない。このような車両が歩行者との待ち合わせ場所まで辿り着くことができない場合とは、例えば、
・交通規制や渋滞が無いと仮定したときよりも迂回路が所定距離以上、例えば5km以上遠い、或いは所定時間以上、例えば20分以上かかる場合
・歩行者の居場所が対向車線側で、自車線側にいると仮定したときよりも迂回路が所定距離以上、例えば5km以上遠い、或いは所定時間以上、例えば20分以上かかる場合
などであり、ナビゲーション装置の判断手段4dによりこのことを判断する。
【0008】
図示の例の場合、地下鉄駅出口60の待ち合わせ場所へ行くためには、そのまま道路20を直進するか、交差点40を左折し、道路30へ図の右側から入れるような迂回路を探して走行する必要がある。また、そのような迂回路を探索できた場合でも待ち合わせ場所の道路30の左側に停車した場合、歩行者11は道路の反対側へ移動する必要があり、状況によってはこの移動が困難な場合もあり得る。このような状況は、道路30が一方通行の場合に限らず、例えば、地下鉄駅出口近辺が道路工事中で通行禁止であったり、何らかのイベントが行われていて人だかりができて交通不能であったりするような場合も同様である。
【0009】
本実施形態では、待ち合わせ場所から所定範囲内の近辺の交通状況を取得し、取得した交通状況により歩行者との待ち合わせ場所まで辿り着くことができないと判断したとき、車両の位置情報を歩行者の携帯端末に送信して知らせる。歩行者は交通状況に関係なく移動可能であるため、車両の位置へ歩いて到達することが可能である。図示の例で言えば、交差点40を直進した適当な位置に停車すれば、歩行者11は横断歩道50を渡って容易に車両位置へ行くことが可能である。なお、車両の位置情報を歩行者の携帯端末へ送信する場合、歩行者の携帯端末がナビゲーション機能を有している場合には、地図情報を送信することで車両位置情報を知らせることが可能であるが、ナビゲーション機能を有していない場合には、車両側のナビゲーション装置の案内画面を画像として送信すれば、案内画面に表示されている車両位置を知らせることが可能である。もちろん、運転者の操作により車両位置情報を送信できるようにしてもよい。
【0010】
なお、地下鉄の出口などで待ち合わせる場合、出口がいくつもあり、その際、車両が先に到着したときなど、歩行者がどの出口から出てくるか分からない場合がある。そのような場合にも、待ち合わせ場所の周辺に来たとき、停車可能な場所で停車して相手に自車位置を通知することでその場所まで来てもらうことができる。
また、急な事故や工事などの場合、待ち合わせ場所の付近で車両がある程度の時間進まなくなったのを検知し、相手に自車位置を送信することで、その返信の有無により待ち合わせ場所に相手がいるか否かの確認ができるとともに、相手がいる場合に、その付近の新たな待ち合わせ場所の設定を行うことができる。
【0011】
図3は交通状況に応じた歩行者への自車位置送信処理フローを説明する図である。
歩行者との待ち合わせ場所周辺に到着したとき、渋滞や工事などが発生しているか否か判断し(ステップS1)、渋滞や工事などが発生していなければ、通常通りに待ち合わせ場所である目的地まで案内する。渋滞や工事などが発生している場合、相手(歩行者)に自車位置を通知するか否か判断する(ステップS2)。例えば、迂回路がすぐ近くにあるような場合には相手に通知せずに通常通りに待ち合わせ場所である目的地まで案内する。車両が歩行者との待ち合わせ場所まで辿り着くことができない場合には、相手の携帯端末の情報が入力済みか否か判断し(ステップS3)、入力済みの場合には、相手に自車位置を送信し、相手の携帯端末で自車位置を受信する(ステップS5)。相手の携帯端末の情報が入力済みでない場合はその情報を入力し(ステップS6)、入力しない、或いは入力できない場合は通常通りに待ち合わせ場所である目的地まで案内する。なお、相手の携帯端末の情報としては、アドレスや番号の他に携帯端末が持っている機能等である。
【0012】
図4は図1に示した待ち合わせ場所へ辿り着けない場合の対応例を説明する図で、図4(a)は歩行者の携帯端末の表示例、図4(b)は車両側ナビゲーション装置の案内画面の例を示している。
車両が歩行者を待ち合わせ場所まで迎えに行ったものの、図2に示したように、待ち合わせ場所の地下鉄の駅出口付近が一方通行の道路のため、車両が歩行者の場所まで辿りつくことができない。このとき、車両側ナビゲーション装置から歩行者の携帯端末へ「歩行者の移動すべき地点情報」を計算して送信する。このとき、車両位置から交通規制や渋滞が無く、走行車線側の地点を「歩行者の移動すべき地点情報」として抽出して歩行者の進路を計算する。この処理は、図1の情報記憶装置3に格納されている施設データが公共交通機関の乗降施設情報を有しており、乗降施設情報として、例えば、乗降施設の出入口、接続する他の施設、施設に付随する或いは付近の駐車場などを含んでいるので、道路データ以外にこれらの情報も用いて「歩行者の移動すべき地点情報」、「進路」を計算する。歩行者の携帯端末には、図4(a)に示すように、「横断歩道を渡って、道路の反対側に出てくだい」のような案内とともに、受信した「歩行者の移動すべき地点情報」及び「進路(矢印)」が表示される。歩行者は表示された「進路(矢印)」に従って新たな待ち合わせ場所まで移動する。車両側ナビゲーション装置の案内画面には、図4(b)に示すように、歩行者が移動してくる地点70及び車両の進路(矢印)が表示される。このように、歩行者の移動すべき地点情報を送信した場合には、必ずしも車両位置情報を歩行者の携帯端末へ送信する必要はない。
【0013】
なお、上記では、車両側のナビゲーション装置で「歩行者の移動すべき地点情報」及び「進路(矢印)」を計算したが、歩行者の携帯端末がナビゲーション機能を有している場合には、携帯端末側でこの処理を行うようにしてもよい。すなわち、車両が待ち合わせ場所まで辿りつくことができないとき、車両側から歩行者の携帯端末へ車両の位置情報が送信されてくる。この情報を受信した携帯端末では、道路データ以外に上記したような施設情報も使用して、「歩行者の移動すべき地点情報」及び「進路」を計算し、その情報を車両側のナビゲーション装置へ送信する。携帯端末には図4(a)のような表示が行われ、車両側ナビゲーション装置の案内画面には、図4(b)に示すように、歩行者が移動してくる地点70及び車両の進路(矢印)が表示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置の例を示すブロック図である。
【図2】地下鉄駅出口で待ち合わせしたときの状況の例を説明する図である。
【図3】交通状況に応じた歩行者への自車位置送信処理フローを説明する図である。
【図4】待ち合わせ場所へ辿り着けない場合の対応例を説明する図である。
【符号の説明】
【0015】
1…入力装置、2…現在位置検出装置、3…情報記憶装置、4…中央処理装置、4a…地点設定手段、4b…経路探索手段、4c…交通状況取得手段、4d…判断手段、4e…制御手段、5…情報送受信装置、6…出力装置、7…携帯端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両位置を検出する現在位置検出手段と、
地図情報を格納した情報記憶手段と、
情報記憶手段に格納された地図情報に基づいて歩行者との待ち合わせ場所を設定する地点設定手段と、
設定された待ち合わせ場所までの経路を探索する経路探索手段と、
待ち合わせ場所から所定範囲内の交通状況を取得する交通状況取得手段と、
待ち合わせている歩行者の携帯端末との通信を行う通信手段と、
交通状況により車両が待ち合わせ場所へ辿り着けるか否か判断する判断手段と、
車両が待ち合わせ場所へ辿り着けないと判断されたとき、歩行者の携帯端末へ前記通信手段を通して歩行者の移動すべき地点情報又は車両位置情報を送信する制御手段と、
を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、車両位置情報及び設定された待ち合わせ場所及び交通状況に基づいて歩行者の移動すべき地点を検索し、検索した地点情報を歩行者の携帯端末へ送信する請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記判断手段は、交通状況取得手段により取得された渋滞を迂回した場合に、渋滞が無く経路に従って走行したと仮定した場合よりも、迂回路の走行距離が所定距離以上遠いとき又は走行時間が所定時間以上増加するときに車両が待ち合わせ場所へ辿り着けないと判断する請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記判断手段は、交通状況取得手段により取得された規制情報を考慮して待ち合わせ場所までの経路を探索した場合に、規制が無いと仮定して経路探索を行った場合よりも、走行距離が所定距離以上遠いとき又は走行時間が所定時間以上増加するときに車両が待ち合わせ場所へ辿り着けないと判断する請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記歩行者の携帯端末は、受信した車両位置の情報に基づいて歩行者の移動すべき地点を検索し、検索した地点情報を車両側へ送信することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記制御手段は、歩行者の携帯端末がナビゲーション機能を有するとき、地図情報を送信することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記制御手段は、歩行者の携帯端末がナビゲーション機能を有しないとき、案内画面を画像として送信することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
情報記憶手段に格納された地図情報に基づいて設定した歩行者との待ち合わせ場所までの経路を探索して案内するナビゲーション装置を制御するプログラムにおいて、
待ち合わせ場所から所定範囲内の交通状況を取得するステップ、
交通状況により車両が待ち合わせ場所へ辿り着けるか否か判断するステップ、
交通状況により車両が待ち合わせ場所へ辿り着けないと判断したとき、歩行者の携帯端末へ歩行者の移動すべき地点情報又は車両位置情報を送信するステップ、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−204457(P2009−204457A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47124(P2008−47124)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】