ナビゲーション装置
【課題】移動物体が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供することを課題とする。
【解決手段】ナビゲーション装置１０は、交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）を用いて、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んだ場合に予測される移動速度）を予測する。続いて、ナビゲーション装置１０は、予測された流れに応じて、移動経路を探索する。すなわち、図１の例では、交差点Ａの手前では、直進車線よりも左折車線の流れが遅いが、交差点Ａを左折した先は流れが早く、目的地への到着が早い場合には、交差点Ａを左折する移動経路を探索する。
【解決手段】ナビゲーション装置１０は、交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）を用いて、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んだ場合に予測される移動速度）を予測する。続いて、ナビゲーション装置１０は、予測された流れに応じて、移動経路を探索する。すなわち、図１の例では、交差点Ａの手前では、直進車線よりも左折車線の流れが遅いが、交差点Ａを左折した先は流れが早く、目的地への到着が早い場合には、交差点Ａを左折する移動経路を探索する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、移動物体の出発地から目的地までの移動経路を探索するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、出発地から目的地まで短時間で到達するための経路を探索し、その経路を利用者に提供する技術が実施されている。例えば、特許文献１では、車線ごとの渋滞を判定し、渋滞であると判定された車線を回避するように経路を探索して、その経路を利用者に提供する。また、特許文献２では、交差点における信号機の有無を予め記憶し、出発地から目的地までの経路のうち信号機の数が少ない経路を探索して、その経路を利用者に提供する。
【０００３】
【特許文献１】特開２００４−２７２８３９号公報
【特許文献２】特開２００２−１４８０６６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、上記した従来の技術は、以下に示すように、適切な移動経路を利用者に提供することができないという課題があった。
【０００５】
つまり、特許文献１の技術では、車線単位の渋滞を考慮して経路を探索するので、例えば、分岐点において右折車線が混雑しているが、右折後の車線は空いていて、全体として右車線を選択して右折した方が移動をスムーズに行える場合であっても、渋滞であると判定された右折車線を回避するように経路を探索することとなり、適切な移動経路を利用者に提供することができないという課題があった。
【０００６】
また、特許文献２の技術では、信号機の数が少ない経路を探索するので、例えば、分岐点において信号機の数が多いが、車両の流れは早い経路がある場合であっても、信号機の数が少ない経路を探索することとなり、適切な移動経路を利用者に提供することができないという課題があった。
【０００７】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、移動物体が選択し得る進路ごとの流れを考慮した適切な移動経路を利用者に提供するナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項１に係る発明は、移動物体の出発地から目的地までの移動経路を探索するナビゲーション装置であって、前記移動物体が選択し得る進路ごとに、各進路における移動物体の流れを予測する流れ予測手段と、前記流れ予測手段によって予測された前記流れと現在走行している道路の車線の状況に応じて、前記移動経路を探索する移動経路探索手段と、を備えることを特徴とする。
【０００９】
また、請求項２に係る発明は、上記の発明において、前記流れ予測手段は、前記移動物体が所定の分岐点に差し掛かる度に、各進路における移動物体の流れを予測することを特徴とする。
【００１０】
また、請求項３に係る発明は、上記の発明において、前記流れ予測手段は、前記移動物体が前記移動経路探索手段によって探索された移動経路に従って移動しなかった場合は、再度前記流れを予測することを特徴とする。
【００１１】
また、請求項４に係る発明は、上記の発明において、前記流れ予測手段は、リアルタイムに取得された前記各進路に係る情報を用いて、前記進行方向ごとの流れを予測することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１の発明によれば、移動物体が選択し得る進路ごとに、各進路における移動物体の流れを予測し、予測された流れに応じて、移動経路を探索するので、例えば、分岐点において右折車線が混雑しているが、右折後の車線は空いていて、全体として右車線を選択して右折した方が移動をスムーズに行える場合には、右車線を用いる移動経路を探索することができ、移動物体が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供することが可能である。
【００１３】
また、請求項２の発明によれば、移動物体が所定の分岐点に差し掛かる度に、各進路における移動物体の流れを予測するので、分岐点の前に着いたときの状況を考慮する結果、例えば、出発時に予測した流れと実際の流れが異なる場合でも、分岐点の前に着くごとに状況に則した適切な移動経路を探索することが可能である。
【００１４】
また、請求項３の発明によれば、探索された移動経路に従って移動しなかった場合は、再度流れを予測するので、例えば、利用者が提供された移動経路と異なった経路に移動した場合でも、再度、流れを考慮した適切な移動経路を利用者に提供することが可能である。
【００１５】
また、請求項４の発明によれば、リアルタイムに取得された各進路に係る情報を用いて、進行方向ごとの流れを予測するので、リアルタイムな各進路に係る情報（例えば、信号機から取得した車両の流れ、または車車間通信により取得した車両の流れ等）を考慮して流れを予測する結果、履歴を用いて流れを予測するよりもリアルタイムな状況を反映した適切な移動経路を探索することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るナビゲーション装置の実施例を詳細に説明する。
【実施例１】
【００１７】
以下の実施例では、実施例１に係るナビゲーション装置の概要および特徴、ナビゲーション装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に実施例１による効果を説明する。
【００１８】
［実施例１に係るナビゲーション装置の概要および特徴］
まず最初に、図１を用いて、実施例１に係るナビゲーション装置の概要および特徴を説明する。図１は、実施例１に係るナビゲーション装置の概要および特徴を説明するための図である。
【００１９】
実施例１のナビゲーション装置１０では、車両１の出発地から目的地までの移動経路を探索することを概要とする。そして、このナビゲーション装置１０では、例えば、分岐点において右折車線が混雑しているが、右折後の車線は空いていて、全体として右車線を選択して右折した方が移動をスムーズに行える場合には、右車線を用いる移動経路を探索することができ、車両１が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両１の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供する点に主たる特徴がある。
【００２０】
この主たる特徴について具体的に説明すると、実施例１に係るナビゲーション装置１０は、図１に示すように、目的地までの車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測する。具体的には、ナビゲーション装置１０は、利用者から移動経路を探索する旨の要求を受け付けた場合には、目的地までにある信号機２０からリアルタイムに進路ごとの交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）を取得する。そして、その交通情報を用いて、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れ（例えば、分岐点において右折車線を選択して右折し、右折先の車線を進んだ場合に予測される移動速度）を予測する。
【００２１】
続いて、ナビゲーション装置１０は、予測された流れに応じて、移動経路を探索する。具体的な例を挙げれば、交差点Ａにおいて、直進方向に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間と、一方、左折方向に曲がって左折後に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間とを比較して、交差点Ｂに早く到着する移動経路を探索する。すなわち、図１の例では、交差点Ａの手前では、直進車線よりも左折車線の流れが遅いが、交差点Ａを左折した先は流れが早く、目的地への到着が早い場合には、交差点Ａを左折する移動経路を探索する。
【００２２】
このように、ナビゲーション装置１０は、上記した主たる特徴のごとく、例えば、分岐点において右折車線が混雑しているが、右折後の車線は空いていて、全体として右車線を選択して右折した方が移動をスムーズに行える場合には、右車線を用いる移動経路を探索することができ、車両１が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線を選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両１の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供することが可能である。
【００２３】
［ナビゲーション装置の構成］
次に、図２を用いて、図１に示したナビゲーション装置１０の構成を説明する。図２は、実施例１に係るナビゲーション装置１０の構成を示すブロック図である。同図に示すように、このナビゲーション装置１０は、信号機通信制御ＩＦ１１、制御部１２、記憶部１３を備え、ディスプレイ３０およびスピーカ４０と接続する。以下にこれらの各部の処理を説明する。
【００２４】
このうち、信号機通信制御ＩＦ１１は、接続される信号機２０（信号機２０に設置された情報通信機器）との間でやり取りする各種情報に関する通信を制御する手段である。具体的には、信号機通信制御ＩＦ部１１は、信号機２０との間で交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）をやり取りする。
【００２５】
記憶部１３は、制御部１２による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する格納手段であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、交通情報記憶部１３ａおよび流れ情報記憶部１３ｂを備える。なお、記憶部１３は、具体的には、ハードディスクやメモリなどが用いられる。
【００２６】
このうち、交通情報記憶部１３ａは、交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）を記憶する手段であり、具体的には、後述する交通情報取得部１２ａによって取得された交通情報を記憶する。
【００２７】
流れ情報記憶部１３ｂは、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを示す流れ情報（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んだ場合に予測される移動速度）を記憶する手段であり、具体的には、後述する流れ予測部１２ｂによって予測された流れ情報を記憶する。
【００２８】
制御部１２は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、交通情報取得部１２ａ、流れ予測部１２ｂおよび移動経路探索部１２ｃを備える。なお、制御部１２は、具体的にはマイコンなどが用いられる。
【００２９】
このうち、交通情報取得部１２ａは、信号機２０から交通情報を取得する処理部であり、具体的には、利用者から移動経路を探索する旨の要求を受け付けた場合には、目的地までにある信号機２０からリアルタイムに進路ごとの交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）を取得し、交通情報記憶部１３ａに記憶する。
【００３０】
流れ予測部１２ｂは、目的地までの車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測する処理部であり、具体的には、交通情報記憶部１３ａによって記憶された交通情報を用いて、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んだ場合に予測される移動速度）を予測し、流れ情報記憶部１３ｂに記憶する。
【００３１】
交通経路探索部１２ｃは、予測された流れに応じて、移動経路を探索する処理部であり、具体的には、流れ情報記憶部１３ｂによって記憶された流れ情報に応じて、移動経路を探索し、その移動経路をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力する。つまり、例を挙げれば、交差点Ａにおいて、直進方向に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間と、一方左折方向に曲がって左折後に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間とを比較して、交差点Ｂに早く到着する移動経路を探索する（図１参照）。
【００３２】
［ナビゲーション装置による処理］
次に、図３を用いて、実施例１に係るナビゲーション装置１０による処理を説明する。図３は、実施例１に係るナビゲーション装置１０の行う処理を示すフローチャートである。なお、この処理は、ナビゲーション装置の動作中に制御部１２により繰り返し実行される。
【００３３】
同図に示すように、利用者から移動経路を探索する旨の要求を受け付けた場合には（ステップＳ１０１肯定）、目的地までにある信号機２０からリアルタイムに進路ごとの交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）を取得する（ステップＳ１０２：交通情報取得部１２ａの動作に該当）。
【００３４】
そして、流れ予測部１２ｂは、交通情報取得部１２ａによって取得された交通情報を用いて、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んだ場合に予測される移動速度）を予測する（ステップＳ１０３：流れ予測部１２ｂの動作に該当）。
【００３５】
続いて、移動経路探索部１２ｃは、流れ予測部１２ｂによって予測された流れ情報に応じて、移動経路を探索し、その移動経路をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力する（ステップＳ１０４：移動経路探索部１２ｃの動作に該当）。つまり、例を挙げれば、交差点Ａにおいて、直進方向に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間と、一方左折方向に曲がって左折後に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間とを比較して、交差点Ｂに早く到着する移動経路を探索する（図１参照）。
【００３６】
[実施例１の効果]
上述してきたように、ナビゲーション装置１０は、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測し、予測された流れに応じて、移動経路を探索するので、例えば、分岐点において右折車線が混雑しているが、右折後の車線は空いていて、全体として右車線を選択して右折した方が移動をスムーズに行える場合には、右車線を用いる移動経路を探索することができ、車両１が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両１の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供することが可能である。
【００３７】
また、実施例１によれば、リアルタイムに取得された各進路に係る情報を用いて、進行方向ごとの流れを予測するので、リアルタイムな各進路に係る情報（例えば、信号機２０から取得した他の車両の流れ、または車車間通信により取得した他の車両の流れ等）を考慮して流れを予測する結果、履歴を用いて流れを予測するよりもリアルタイムな状況を反映した適切な移動経路を探索することが可能である。
【００３８】
また、実施例１によれば、車両１が目的地までに選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測するので、目前の分岐点における流れだけでなく、目的地までの全体の流れを考慮して、適切な移動経路を探索することが可能である。
【実施例２】
【００３９】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例２として本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【００４０】
（１）履歴情報
例えば、上記の実施例１では、リアルタイムに取得された交通情報を用いて、流れを予測する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め記憶された交通情報に係る履歴を用いて、流れを予測するようにしてもよい。
【００４１】
具体的には、ナビゲーション装置１０ａは、図４に示すように、交通情報に係る履歴を記憶する履歴情報記憶部１３ｃを備える。そして、ナビゲーション装置１０ａは、その記憶された交通情報に係る履歴を用いて、目的地までの車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測する。その後、ナビゲーション装置１０ａは、予測された流れに応じて、移動経路を探索する。
【００４２】
このように、各進路に係る履歴を用いて、流れを予測するので、各進路に係る履歴（例えば、夕方から夜の時間帯において右折方向に曲がる他の車両が多くなる傾向がある等）を考慮して流れを予測する結果、リアルタイムに情報を取得する手間をかけることなく、適切な移動経路を探索することが可能である。
【００４３】
（２）流れ予測
また、上記の実施例１では、利用者から移動経路を探索する旨の要求を受け付ける度に、各進路における車両１の流れを予測する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両１が所定の交差点（任意の交差点、あるいは所定の時間や距離ごとに決定される交差点）、または交差点に差し掛かる度に、各進路における車両１の流れを予測するようにしてもよい。
【００４４】
具体的には、ナビゲーション装置は、実施例１と同様に、利用者から移動経路を探索する旨の要求を受け付けた場合に、目的地までの車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測し、予測された流れに応じて、移動経路を探索する。その後、交差点の前に着くごとに、流れを予測し、その予測された流れに応じて、移動経路を探索する。そして、新たに探索された移動経路が一つ前に探索された移動経路と異なる場合には、一つ前に探索された移動経路に替えて新たに探索された移動経路をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力する。
【００４５】
このように、車両１が分岐点に差し掛かる度に、各進路における車両１の流れを予測するので、分岐点の前に着いたときの状況を考慮する結果、例えば、出発時に予測した流れと実際の流れが異なる場合でも、所定の交差点、または分岐点の前に着くごとに状況に則した適切な移動経路を探索することが可能である。
【００４６】
（３）複数出力
また、上記の実施例１では、適切な移動経路を一つ探索して、その移動経路をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、適切な移動経路を複数探索して、それら複数の移動経路をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力するようにしてもよい。
【００４７】
具体的には、図５に示すように、ナビゲーション装置１０ｂは、複数の移動経路を候補１および候補２（ここで候補１とは、出発地から目的地まで最短時間で移動可能な経路をいい、また、候補２とは、二番目に短い時間で移動可能な経路をいう。）を探索する。そして、その探索結果をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力する。
【００４８】
このように、複数の移動経路を探索するので、複数の移動経路のうち、利用者に任意の移動経路を選択させることが可能である。
【００４９】
（４）再度予測
また、本発明は、探索された移動経路に車両が従わない場合は、再度流れを予測するようにしてもよい。具体的には、ナビゲーション装置は、探索した移動経路と異なる経路を車両１が進んだ場合は、再度、目的地までの車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測する。そして、その予測された流れに応じて、移動経路を探索する。
【００５０】
このように、探索された移動経路に従って移動しなかった場合は、再度流れを予測するので、例えば、利用者が提供された移動経路と異なった経路に移動した場合でも、再度、流れを考慮した適切な移動経路を利用者に提供することが可能である。
【００５１】
（５）車車間通信
また、上記の実施例１では、目的地までにある信号機２０から情報を取得する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、車車間通信を用いて他の車両から情報を取得するようにしてもよく、また、センタから情報を取得するようにしてもよい。具体的には、ナビゲーション装置は、車車間通信を用いて、他の車両から交通情報（例えば、交差点の曲がった先の交通状況）を取得し、その交通情報を用いて、流れを予測する。そして、その予測された流れに応じて、移動経路を探索する。
【００５２】
（６）システム構成等
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、流れ予測部１２ｂと移動経路探索部１１ｃを統合してもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、ＣＰＵおよび当該ＣＰＵにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【００５３】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【００５４】
（７）プログラム
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図８を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図６は、ナビゲーション装置を実行するコンピュータを示す図である。
【００５５】
同図に示すように、ナビゲーション装置としてのコンピュータ６００は、ＨＤＤ６１０、ＲＡＭ６２０、ＲＯＭ６３０およびＣＰＵ６４０をバス６５０で接続して構成される。
【００５６】
そして、ＲＯＭ６３０には、上記の実施例と同様の機能を発揮するナビゲーション装置、つまり、図８に示すように、交通情報取得プログラム６３１、流れ予測プログラム６３２および移動経路探索プログラム６３３が予め記憶されている。なお、プログラム６３１〜６３３については、図２に示したナビゲーション装置の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。
【００５７】
そして、ＣＰＵ６４０が、これらのプログラム６３１〜６３３をＲＯＭ６３０から読み出して実行することで、図８に示すように、各プログラム６３１〜６３３は、交通情報取得プロセス６４１、流れ予測プロセス６４２および移動経路探索プロセス６４３として機能するようになる。各プロセス６４１〜６４３は、図２に示した交通情報取得部１２ａ、流れ予測部１２ｂおよび移動経路探索部１２ｃにそれぞれ対応する。
【００５８】
また、ＨＤＤ６１０には、図６に示すように、交通情報テーブル６１１および流れ情報テーブル６１２が設けられる。なお、交通情報テーブル６１１および流れ情報テーブル６１２は、図２に示した交通情報記憶部１３ａおよび流れ情報記憶部１３ｂにそれぞれ対応する。そして、ＣＰＵ６４０は、交通情報テーブル６１１および流れ情報テーブル６１２に対してデータを登録するとともに、交通情報テーブル６１１および流れ情報テーブル６１２から交通データ６２１および流れデータ６２２を読み出してＲＡＭ６２０に格納し、ＲＡＭ６２０に格納された交通データ６２１および流れデータ６２２に基づいて位置情報を管理する処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【００５９】
以上のように、本発明に係るナビゲーション装置は、移動物体の出発地から目的地までの移動経路を探索するのに有用であり、特に、移動物体が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【００６０】
【図１】実施例１に係るナビゲーション装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図２】実施例１に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図３】実施例１に係る実施例１に係るナビゲーション装置１０の処理動作を示すフローチャートである。
【図４】実施例２に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図５】実施例２に係るナビゲーション装置を説明するための図である。
【図６】ナビゲーション装置を実行するコンピュータを示す図である。
【符号の説明】
【００６１】
１０、１０ａ、１０ｂ ナビゲーション装置
１１ 信号機通信制御ＩＦ
１２ 制御部
１２ａ 交通情報取得部
１２ｂ 流れ予測部
１２ｃ 移動経路探索部
１３ 記憶部
１３ａ 交通情報記憶部
１３ｂ 流れ情報記憶部
【技術分野】
【０００１】
この発明は、移動物体の出発地から目的地までの移動経路を探索するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、出発地から目的地まで短時間で到達するための経路を探索し、その経路を利用者に提供する技術が実施されている。例えば、特許文献１では、車線ごとの渋滞を判定し、渋滞であると判定された車線を回避するように経路を探索して、その経路を利用者に提供する。また、特許文献２では、交差点における信号機の有無を予め記憶し、出発地から目的地までの経路のうち信号機の数が少ない経路を探索して、その経路を利用者に提供する。
【０００３】
【特許文献１】特開２００４−２７２８３９号公報
【特許文献２】特開２００２−１４８０６６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、上記した従来の技術は、以下に示すように、適切な移動経路を利用者に提供することができないという課題があった。
【０００５】
つまり、特許文献１の技術では、車線単位の渋滞を考慮して経路を探索するので、例えば、分岐点において右折車線が混雑しているが、右折後の車線は空いていて、全体として右車線を選択して右折した方が移動をスムーズに行える場合であっても、渋滞であると判定された右折車線を回避するように経路を探索することとなり、適切な移動経路を利用者に提供することができないという課題があった。
【０００６】
また、特許文献２の技術では、信号機の数が少ない経路を探索するので、例えば、分岐点において信号機の数が多いが、車両の流れは早い経路がある場合であっても、信号機の数が少ない経路を探索することとなり、適切な移動経路を利用者に提供することができないという課題があった。
【０００７】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、移動物体が選択し得る進路ごとの流れを考慮した適切な移動経路を利用者に提供するナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項１に係る発明は、移動物体の出発地から目的地までの移動経路を探索するナビゲーション装置であって、前記移動物体が選択し得る進路ごとに、各進路における移動物体の流れを予測する流れ予測手段と、前記流れ予測手段によって予測された前記流れと現在走行している道路の車線の状況に応じて、前記移動経路を探索する移動経路探索手段と、を備えることを特徴とする。
【０００９】
また、請求項２に係る発明は、上記の発明において、前記流れ予測手段は、前記移動物体が所定の分岐点に差し掛かる度に、各進路における移動物体の流れを予測することを特徴とする。
【００１０】
また、請求項３に係る発明は、上記の発明において、前記流れ予測手段は、前記移動物体が前記移動経路探索手段によって探索された移動経路に従って移動しなかった場合は、再度前記流れを予測することを特徴とする。
【００１１】
また、請求項４に係る発明は、上記の発明において、前記流れ予測手段は、リアルタイムに取得された前記各進路に係る情報を用いて、前記進行方向ごとの流れを予測することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１の発明によれば、移動物体が選択し得る進路ごとに、各進路における移動物体の流れを予測し、予測された流れに応じて、移動経路を探索するので、例えば、分岐点において右折車線が混雑しているが、右折後の車線は空いていて、全体として右車線を選択して右折した方が移動をスムーズに行える場合には、右車線を用いる移動経路を探索することができ、移動物体が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供することが可能である。
【００１３】
また、請求項２の発明によれば、移動物体が所定の分岐点に差し掛かる度に、各進路における移動物体の流れを予測するので、分岐点の前に着いたときの状況を考慮する結果、例えば、出発時に予測した流れと実際の流れが異なる場合でも、分岐点の前に着くごとに状況に則した適切な移動経路を探索することが可能である。
【００１４】
また、請求項３の発明によれば、探索された移動経路に従って移動しなかった場合は、再度流れを予測するので、例えば、利用者が提供された移動経路と異なった経路に移動した場合でも、再度、流れを考慮した適切な移動経路を利用者に提供することが可能である。
【００１５】
また、請求項４の発明によれば、リアルタイムに取得された各進路に係る情報を用いて、進行方向ごとの流れを予測するので、リアルタイムな各進路に係る情報（例えば、信号機から取得した車両の流れ、または車車間通信により取得した車両の流れ等）を考慮して流れを予測する結果、履歴を用いて流れを予測するよりもリアルタイムな状況を反映した適切な移動経路を探索することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るナビゲーション装置の実施例を詳細に説明する。
【実施例１】
【００１７】
以下の実施例では、実施例１に係るナビゲーション装置の概要および特徴、ナビゲーション装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に実施例１による効果を説明する。
【００１８】
［実施例１に係るナビゲーション装置の概要および特徴］
まず最初に、図１を用いて、実施例１に係るナビゲーション装置の概要および特徴を説明する。図１は、実施例１に係るナビゲーション装置の概要および特徴を説明するための図である。
【００１９】
実施例１のナビゲーション装置１０では、車両１の出発地から目的地までの移動経路を探索することを概要とする。そして、このナビゲーション装置１０では、例えば、分岐点において右折車線が混雑しているが、右折後の車線は空いていて、全体として右車線を選択して右折した方が移動をスムーズに行える場合には、右車線を用いる移動経路を探索することができ、車両１が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両１の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供する点に主たる特徴がある。
【００２０】
この主たる特徴について具体的に説明すると、実施例１に係るナビゲーション装置１０は、図１に示すように、目的地までの車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測する。具体的には、ナビゲーション装置１０は、利用者から移動経路を探索する旨の要求を受け付けた場合には、目的地までにある信号機２０からリアルタイムに進路ごとの交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）を取得する。そして、その交通情報を用いて、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れ（例えば、分岐点において右折車線を選択して右折し、右折先の車線を進んだ場合に予測される移動速度）を予測する。
【００２１】
続いて、ナビゲーション装置１０は、予測された流れに応じて、移動経路を探索する。具体的な例を挙げれば、交差点Ａにおいて、直進方向に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間と、一方、左折方向に曲がって左折後に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間とを比較して、交差点Ｂに早く到着する移動経路を探索する。すなわち、図１の例では、交差点Ａの手前では、直進車線よりも左折車線の流れが遅いが、交差点Ａを左折した先は流れが早く、目的地への到着が早い場合には、交差点Ａを左折する移動経路を探索する。
【００２２】
このように、ナビゲーション装置１０は、上記した主たる特徴のごとく、例えば、分岐点において右折車線が混雑しているが、右折後の車線は空いていて、全体として右車線を選択して右折した方が移動をスムーズに行える場合には、右車線を用いる移動経路を探索することができ、車両１が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線を選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両１の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供することが可能である。
【００２３】
［ナビゲーション装置の構成］
次に、図２を用いて、図１に示したナビゲーション装置１０の構成を説明する。図２は、実施例１に係るナビゲーション装置１０の構成を示すブロック図である。同図に示すように、このナビゲーション装置１０は、信号機通信制御ＩＦ１１、制御部１２、記憶部１３を備え、ディスプレイ３０およびスピーカ４０と接続する。以下にこれらの各部の処理を説明する。
【００２４】
このうち、信号機通信制御ＩＦ１１は、接続される信号機２０（信号機２０に設置された情報通信機器）との間でやり取りする各種情報に関する通信を制御する手段である。具体的には、信号機通信制御ＩＦ部１１は、信号機２０との間で交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）をやり取りする。
【００２５】
記憶部１３は、制御部１２による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する格納手段であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、交通情報記憶部１３ａおよび流れ情報記憶部１３ｂを備える。なお、記憶部１３は、具体的には、ハードディスクやメモリなどが用いられる。
【００２６】
このうち、交通情報記憶部１３ａは、交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）を記憶する手段であり、具体的には、後述する交通情報取得部１２ａによって取得された交通情報を記憶する。
【００２７】
流れ情報記憶部１３ｂは、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを示す流れ情報（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んだ場合に予測される移動速度）を記憶する手段であり、具体的には、後述する流れ予測部１２ｂによって予測された流れ情報を記憶する。
【００２８】
制御部１２は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、交通情報取得部１２ａ、流れ予測部１２ｂおよび移動経路探索部１２ｃを備える。なお、制御部１２は、具体的にはマイコンなどが用いられる。
【００２９】
このうち、交通情報取得部１２ａは、信号機２０から交通情報を取得する処理部であり、具体的には、利用者から移動経路を探索する旨の要求を受け付けた場合には、目的地までにある信号機２０からリアルタイムに進路ごとの交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）を取得し、交通情報記憶部１３ａに記憶する。
【００３０】
流れ予測部１２ｂは、目的地までの車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測する処理部であり、具体的には、交通情報記憶部１３ａによって記憶された交通情報を用いて、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んだ場合に予測される移動速度）を予測し、流れ情報記憶部１３ｂに記憶する。
【００３１】
交通経路探索部１２ｃは、予測された流れに応じて、移動経路を探索する処理部であり、具体的には、流れ情報記憶部１３ｂによって記憶された流れ情報に応じて、移動経路を探索し、その移動経路をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力する。つまり、例を挙げれば、交差点Ａにおいて、直進方向に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間と、一方左折方向に曲がって左折後に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間とを比較して、交差点Ｂに早く到着する移動経路を探索する（図１参照）。
【００３２】
［ナビゲーション装置による処理］
次に、図３を用いて、実施例１に係るナビゲーション装置１０による処理を説明する。図３は、実施例１に係るナビゲーション装置１０の行う処理を示すフローチャートである。なお、この処理は、ナビゲーション装置の動作中に制御部１２により繰り返し実行される。
【００３３】
同図に示すように、利用者から移動経路を探索する旨の要求を受け付けた場合には（ステップＳ１０１肯定）、目的地までにある信号機２０からリアルタイムに進路ごとの交通情報（例えば、交差点Ａにおいて、左折方向に曲がって左折後に進んだ他の車両の数、移動速度、車両間隔など）を取得する（ステップＳ１０２：交通情報取得部１２ａの動作に該当）。
【００３４】
そして、流れ予測部１２ｂは、交通情報取得部１２ａによって取得された交通情報を用いて、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んだ場合に予測される移動速度）を予測する（ステップＳ１０３：流れ予測部１２ｂの動作に該当）。
【００３５】
続いて、移動経路探索部１２ｃは、流れ予測部１２ｂによって予測された流れ情報に応じて、移動経路を探索し、その移動経路をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力する（ステップＳ１０４：移動経路探索部１２ｃの動作に該当）。つまり、例を挙げれば、交差点Ａにおいて、直進方向に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間と、一方左折方向に曲がって左折後に進んだ場合の予測される流れから交差点Ｂに至るまでの時間とを比較して、交差点Ｂに早く到着する移動経路を探索する（図１参照）。
【００３６】
[実施例１の効果]
上述してきたように、ナビゲーション装置１０は、車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測し、予測された流れに応じて、移動経路を探索するので、例えば、分岐点において右折車線が混雑しているが、右折後の車線は空いていて、全体として右車線を選択して右折した方が移動をスムーズに行える場合には、右車線を用いる移動経路を探索することができ、車両１が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両１の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供することが可能である。
【００３７】
また、実施例１によれば、リアルタイムに取得された各進路に係る情報を用いて、進行方向ごとの流れを予測するので、リアルタイムな各進路に係る情報（例えば、信号機２０から取得した他の車両の流れ、または車車間通信により取得した他の車両の流れ等）を考慮して流れを予測する結果、履歴を用いて流れを予測するよりもリアルタイムな状況を反映した適切な移動経路を探索することが可能である。
【００３８】
また、実施例１によれば、車両１が目的地までに選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測するので、目前の分岐点における流れだけでなく、目的地までの全体の流れを考慮して、適切な移動経路を探索することが可能である。
【実施例２】
【００３９】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例２として本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【００４０】
（１）履歴情報
例えば、上記の実施例１では、リアルタイムに取得された交通情報を用いて、流れを予測する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め記憶された交通情報に係る履歴を用いて、流れを予測するようにしてもよい。
【００４１】
具体的には、ナビゲーション装置１０ａは、図４に示すように、交通情報に係る履歴を記憶する履歴情報記憶部１３ｃを備える。そして、ナビゲーション装置１０ａは、その記憶された交通情報に係る履歴を用いて、目的地までの車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測する。その後、ナビゲーション装置１０ａは、予測された流れに応じて、移動経路を探索する。
【００４２】
このように、各進路に係る履歴を用いて、流れを予測するので、各進路に係る履歴（例えば、夕方から夜の時間帯において右折方向に曲がる他の車両が多くなる傾向がある等）を考慮して流れを予測する結果、リアルタイムに情報を取得する手間をかけることなく、適切な移動経路を探索することが可能である。
【００４３】
（２）流れ予測
また、上記の実施例１では、利用者から移動経路を探索する旨の要求を受け付ける度に、各進路における車両１の流れを予測する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両１が所定の交差点（任意の交差点、あるいは所定の時間や距離ごとに決定される交差点）、または交差点に差し掛かる度に、各進路における車両１の流れを予測するようにしてもよい。
【００４４】
具体的には、ナビゲーション装置は、実施例１と同様に、利用者から移動経路を探索する旨の要求を受け付けた場合に、目的地までの車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測し、予測された流れに応じて、移動経路を探索する。その後、交差点の前に着くごとに、流れを予測し、その予測された流れに応じて、移動経路を探索する。そして、新たに探索された移動経路が一つ前に探索された移動経路と異なる場合には、一つ前に探索された移動経路に替えて新たに探索された移動経路をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力する。
【００４５】
このように、車両１が分岐点に差し掛かる度に、各進路における車両１の流れを予測するので、分岐点の前に着いたときの状況を考慮する結果、例えば、出発時に予測した流れと実際の流れが異なる場合でも、所定の交差点、または分岐点の前に着くごとに状況に則した適切な移動経路を探索することが可能である。
【００４６】
（３）複数出力
また、上記の実施例１では、適切な移動経路を一つ探索して、その移動経路をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、適切な移動経路を複数探索して、それら複数の移動経路をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力するようにしてもよい。
【００４７】
具体的には、図５に示すように、ナビゲーション装置１０ｂは、複数の移動経路を候補１および候補２（ここで候補１とは、出発地から目的地まで最短時間で移動可能な経路をいい、また、候補２とは、二番目に短い時間で移動可能な経路をいう。）を探索する。そして、その探索結果をディスプレイ３０およびスピーカ４０に出力する。
【００４８】
このように、複数の移動経路を探索するので、複数の移動経路のうち、利用者に任意の移動経路を選択させることが可能である。
【００４９】
（４）再度予測
また、本発明は、探索された移動経路に車両が従わない場合は、再度流れを予測するようにしてもよい。具体的には、ナビゲーション装置は、探索した移動経路と異なる経路を車両１が進んだ場合は、再度、目的地までの車両１が選択し得る進路ごとに、各進路における車両１の流れを予測する。そして、その予測された流れに応じて、移動経路を探索する。
【００５０】
このように、探索された移動経路に従って移動しなかった場合は、再度流れを予測するので、例えば、利用者が提供された移動経路と異なった経路に移動した場合でも、再度、流れを考慮した適切な移動経路を利用者に提供することが可能である。
【００５１】
（５）車車間通信
また、上記の実施例１では、目的地までにある信号機２０から情報を取得する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、車車間通信を用いて他の車両から情報を取得するようにしてもよく、また、センタから情報を取得するようにしてもよい。具体的には、ナビゲーション装置は、車車間通信を用いて、他の車両から交通情報（例えば、交差点の曲がった先の交通状況）を取得し、その交通情報を用いて、流れを予測する。そして、その予測された流れに応じて、移動経路を探索する。
【００５２】
（６）システム構成等
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、流れ予測部１２ｂと移動経路探索部１１ｃを統合してもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、ＣＰＵおよび当該ＣＰＵにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【００５３】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【００５４】
（７）プログラム
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図８を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図６は、ナビゲーション装置を実行するコンピュータを示す図である。
【００５５】
同図に示すように、ナビゲーション装置としてのコンピュータ６００は、ＨＤＤ６１０、ＲＡＭ６２０、ＲＯＭ６３０およびＣＰＵ６４０をバス６５０で接続して構成される。
【００５６】
そして、ＲＯＭ６３０には、上記の実施例と同様の機能を発揮するナビゲーション装置、つまり、図８に示すように、交通情報取得プログラム６３１、流れ予測プログラム６３２および移動経路探索プログラム６３３が予め記憶されている。なお、プログラム６３１〜６３３については、図２に示したナビゲーション装置の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。
【００５７】
そして、ＣＰＵ６４０が、これらのプログラム６３１〜６３３をＲＯＭ６３０から読み出して実行することで、図８に示すように、各プログラム６３１〜６３３は、交通情報取得プロセス６４１、流れ予測プロセス６４２および移動経路探索プロセス６４３として機能するようになる。各プロセス６４１〜６４３は、図２に示した交通情報取得部１２ａ、流れ予測部１２ｂおよび移動経路探索部１２ｃにそれぞれ対応する。
【００５８】
また、ＨＤＤ６１０には、図６に示すように、交通情報テーブル６１１および流れ情報テーブル６１２が設けられる。なお、交通情報テーブル６１１および流れ情報テーブル６１２は、図２に示した交通情報記憶部１３ａおよび流れ情報記憶部１３ｂにそれぞれ対応する。そして、ＣＰＵ６４０は、交通情報テーブル６１１および流れ情報テーブル６１２に対してデータを登録するとともに、交通情報テーブル６１１および流れ情報テーブル６１２から交通データ６２１および流れデータ６２２を読み出してＲＡＭ６２０に格納し、ＲＡＭ６２０に格納された交通データ６２１および流れデータ６２２に基づいて位置情報を管理する処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【００５９】
以上のように、本発明に係るナビゲーション装置は、移動物体の出発地から目的地までの移動経路を探索するのに有用であり、特に、移動物体が選択し得る進路ごとの流れ（例えば、分岐点において右折車線選択して右折し、右折先の車線を進んで行く車両の移動速度）を考慮した適切な移動経路を利用者に提供するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【００６０】
【図１】実施例１に係るナビゲーション装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図２】実施例１に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図３】実施例１に係る実施例１に係るナビゲーション装置１０の処理動作を示すフローチャートである。
【図４】実施例２に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図５】実施例２に係るナビゲーション装置を説明するための図である。
【図６】ナビゲーション装置を実行するコンピュータを示す図である。
【符号の説明】
【００６１】
１０、１０ａ、１０ｂ ナビゲーション装置
１１ 信号機通信制御ＩＦ
１２ 制御部
１２ａ 交通情報取得部
１２ｂ 流れ予測部
１２ｃ 移動経路探索部
１３ 記憶部
１３ａ 交通情報記憶部
１３ｂ 流れ情報記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
移動物体の出発地から目的地までの移動経路を探索するナビゲーション装置であって、
前記移動物体が選択し得る進路ごとに、各進路における移動物体の流れを予測する流れ予測手段と、
前記流れ予測手段によって予測された前記流れと現在移動している車線の状況に応じて、前記移動経路を探索する移動経路探索手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項２】
前記流れ予測手段は、前記移動物体が所定の分岐点に差し掛かる度に、各進路における移動物体の流れを予測することを特徴とする請求項１に記載のナビゲーション装置。
【請求項３】
前記流れ予測手段は、前記移動物体が前記移動経路探索手段によって探索された移動経路に従って移動しなかった場合は、再度前記流れを予測することを特徴とする請求項１または２に記載のナビゲーション装置。
【請求項４】
前記流れ予測手段は、リアルタイムに取得された前記各進路に係る情報を用いて、前記進行方向ごとの流れを予測することを特徴とする請求項１〜３のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項１】
移動物体の出発地から目的地までの移動経路を探索するナビゲーション装置であって、
前記移動物体が選択し得る進路ごとに、各進路における移動物体の流れを予測する流れ予測手段と、
前記流れ予測手段によって予測された前記流れと現在移動している車線の状況に応じて、前記移動経路を探索する移動経路探索手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項２】
前記流れ予測手段は、前記移動物体が所定の分岐点に差し掛かる度に、各進路における移動物体の流れを予測することを特徴とする請求項１に記載のナビゲーション装置。
【請求項３】
前記流れ予測手段は、前記移動物体が前記移動経路探索手段によって探索された移動経路に従って移動しなかった場合は、再度前記流れを予測することを特徴とする請求項１または２に記載のナビゲーション装置。
【請求項４】
前記流れ予測手段は、リアルタイムに取得された前記各進路に係る情報を用いて、前記進行方向ごとの流れを予測することを特徴とする請求項１〜３のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００７−２３２６４２（Ｐ２００７−２３２６４２Ａ）
【公開日】平成１９年９月１３日（２００７．９．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−５６５９７（Ｐ２００６−５６５９７）
【出願日】平成１８年３月２日（２００６．３．２）
【出願人】（０００２３７５９２）富士通テン株式会社 (3,383)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年９月１３日（２００７．９．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月２日（２００６．３．２）
【出願人】（０００２３７５９２）富士通テン株式会社 (3,383)
【Ｆターム（参考）】
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