説明

ナビゲーション装置

【課題】広域の種々の外部状況に応じた正確かつ適切な案内を行うことができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】現在位置を検出する位置検出部21と、地図情報を取得する地図情報取得手段1と、目的地を入力する入力装置2と、現在位置から目的地までの経路を、地図情報取得手段で取得された地図情報に基づき探索する経路探索部24と、経路探索部で探索された経路上の所定の案内地点で出力するための経路案内情報を生成する経路案内情報生成部25と、サーバから通信により気象情報を取得する通信装置14と、通信装置により取得された気象情報に応じて、経路案内情報生成部で生成された経路案内情報を出力する地点を、所定の案内地点から他の地点に変更する経路案内制御部27と、経路案内制御部によって変更された他の地点に到達したときに経路案内情報生成部で生成された経路案内情報を出力する経路案内出力部28を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両に搭載されてユーザを目的地まで案内するナビゲーション装置に関し、特に外部状況に応じて適切な案内を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交差点の案内等といった移動関連情報を、例えば天気等といった外部状況に応じて異ならしめて運転者等に報知する情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示された技術では、ナビゲーションシステムのナビゲーション装置は、処理部の報知レベル設定手段にて、ワイパー部からワイパー速度情報を取得して、天候に応じて駆動されるワイパーのワイパー速度を認識する。報知レベル設定手段は、このワイパー速度に基づいて、移動経路の案内の情報量などに対応する経路報知レベルを設定し、この経路報知レベルに関する経路報知レベル情報を案内報知手段へ出力する。案内報知手段は、経路報知レベル情報を取得して経路報知レベルを認識し、この認識した経路報知レベルに応じた移動経路の案内を、表示部、音声出力部またはスピーカ部に報知させる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−308536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された情報処理装置は、外部状況を表す情報を移動体から取得するため、移動体では取得が困難な外部状況情報を利用できないという問題がある。例えば、ワイパーの動作状況により雨天かどうかといった情報は取得できるが、霧や強風といった気象状況を表す情報を取得することはできない。また、移動体が位置する場所の外部状況を表す情報しか利用できないという問題がある。このため、これから移動する行き先の外部状況を事前に確認することはできない。
【0005】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、広域の種々の外部状況に応じた正確かつ適切な案内を行うことができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明に係るナビゲーション装置は、現在位置を検出する位置検出部と、地図情報を取得する地図情報取得手段と、目的地を入力する入力装置と、位置検出部で検出された現在位置から入力装置で入力された目的地までの経路を、地図情報取得手段で取得された地図情報に基づき探索する経路探索部と、経路探索部で探索された経路上の所定の案内地点で出力するための経路案内情報を生成する経路案内情報生成部と、サーバから通信により外部状況情報を取得する通信装置と、通信装置により取得された外部状況情報に応じて、経路案内情報生成部で生成された経路案内情報を出力する地点を、所定の案内地点から他の地点に変更する経路案内制御部と、経路案内制御部によって変更された他の地点に到達したときに経路案内情報生成部で生成された経路案内情報を出力する経路案内出力部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るナビゲーション装置によれば、サーバに蓄積された例えば各地点の気象情報といった外部状況情報を取得し、この取得した外部状況情報に応じて、経路案内情報を出力する地点を、最適経路上の所定の案内地点から他の地点に変更するように構成したので、移動体では取得が困難な広域の種々の外部状況に応じた正確かつ適切な案内を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、HDD(Hard Disk Drive)1、入力装置2、車速センサ3、モニタ4、スピーカ5およびナビゲーションユニット6から構成されている。
【0009】
HDD1は、この発明の情報取得手段に対応し、地図情報としての地図データを記憶している。このHDD1に記憶されている地図データは、ナビゲーションユニット6によって読み出される。なお、HDDの代わりに、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブまたはCD(Compact Disc)ドライブを用いることもできる。この場合、DVDドライブに装着されるDVDまたはCDドライブに装着されるCDに地図データが記憶される。
【0010】
入力装置2は、例えばリモートコントローラ(リモコン)、タッチパネル、操作スイッチまたは音声認識機能付き音声入力装置などから構成することができる。この入力装置2は、経路探索時の目的地、経路探索開始の指示、地図のスクロールの指示などを入力するために使用される。この入力装置2から入力されたデータは、ナビゲーションユニット6に送られる。
【0011】
車速センサ3は、当該ナビゲーション装置が搭載される車両に備えられており、本来はナビゲーション装置を構成するものではないが、ここでは、便宜上、ナビゲーション装置の1つの構成要素として説明する。この車速センサ3は、車両の車輪の回転に応じた車速パルスを出力する。この車速センサ3から出力される車速パルスは、ナビゲーションユニット6に送られる。
【0012】
モニタ4は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)装置から構成されており、ナビゲーションユニット6から送られてくる映像信号にしたがって、車両の現在位置周辺の地図、車両の現在位置マーク、最適経路、入力装置2からの入力に応じた各種メニュー、経路案内情報(例えば、進行方向を指示する矢印)などを表示する。スピーカ5は、ナビゲーションユニット6から送られてくる音声信号にしたがって、経路案内情報を音声で出力する。
【0013】
ナビゲーションユニット6は、GPS(Global Positioning System)受信機11、ジャイロ12、車速検出部13、通信装置14、制御部15、描画LSI16および音声信号生成部17から構成されている。
【0014】
GPS受信機11は、GPS衛星からアンテナを介して受信されたGPS信号に基づき車両の現在位置を検出する。このGPS受信機11で検出された車両の現在位置は、現在位置信号として制御部15に送られる。ジャイロ12は、車両の旋回時の角速度を検出する。このジャイロ12で検出された角速度は、角速度信号として制御部15に送られる。車速検出部13は、車速センサ3から所定走行距離毎に送られてくる車速パルスを車速信号に変換して制御部15に送る。
【0015】
通信装置14は、例えば携帯電話、モデムまたはETC(Electronic Toll Collection)といった通信機器から構成されており、外部のサーバ7と無線通信することにより、該サーバ7から気象情報または交通情報といったドライバに有益な外部状況情報を取得する。この通信装置14によって取得された外部状況情報は、制御部15に送られる。
【0016】
制御部15は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、このナビゲーション装置の全体を制御する。この制御部15の詳細は後述する。描画LSI16は、制御部15から送られてくる表示データに基づき地図画面、メニュー画面、その他のメッセージを含む画面を描画するための映像信号を生成し、モニタ4に送る。音声信号生成部17は、制御部15から送られてくる音声データに基づき音声を発生するための音声信号を生成し、スピーカ5に送る。
【0017】
次に、制御部15の詳細を説明する。制御部15は、位置検出部21、マップマッチング処理部22、地図表示制御部23、経路探索部24、経路案内情報生成部25、気象情報テーブル26、経路案内制御部27および経路案内出力部28から構成されている。これらの構成要素のうち、気象情報テーブル26以外は、マイクロコンピュータのソフトウェア処理によって実現されている。
【0018】
位置検出部21は、GPS受信機11から送られてくる現在位置信号、または、ジャイロ12から送られてくる角速度信号と車速検出部13から送られてくる速度信号とに基づき自律航法により生成された現在位置信号の少なくとも1つに基づき、車両の現在位置を推定する。なお、自律航法を採用することにより、例えばトンネル等によりGPS受信機11による車両の現在位置を検出できなくなっても、自律航法によって車両の現在位置を検出できるので、ナビゲーション装置は、常に正しく車両の現在位置を検出できる。この位置検出部21で推定された車両の現在位置は、推定現在位置データとしてマップマッチング処理部22に送られる。
【0019】
マップマッチング処理部22は、位置検出部21から送られてくる推定現在位置データとHDD1から読み出した地図データとに基づきマップマッチング処理を行い、地図上における車両の現在位置を求める。このマップマッチング処理部22により求められた車両の現在位置は、現在位置データとして、地図表示制御部23、経路探索部24および経路案内出力部28に送られる。
【0020】
地図表示制御部23は、マップマッチング処理部22から送られてくる現在位置データによって示される位置(自車の現在位置)の周辺の地図データをHDD1から読み出して描画LSI16に送るとともに、自車の現在位置に表示する自車位置マークを生成して描画LSI16に送る。これにより、自車の現在位置に自車マークが重畳された地図がモニタ4に表示される。
【0021】
経路探索部24は、マップマッチング処理部22から送られてくる現在位置データによって示される位置から、入力装置2によって入力された目的地までの最適経路を、HDD1から読み出した地図データに基づいて計算する。この経路探索部24で計算された最適経路を表す経路データは、経路案内情報生成部25に送られる。また、経路データは地図表示制御部23にも送られ、地図上に経路線を重量表示するために使用される。
【0022】
経路案内情報生成部25は、HDD1から読み出した地図データに基づき、経路探索部24から送られてきた経路データによって示される経路上の所定の案内地点、例えば、交差点、高速道路の分岐点、踏切、経由地、目的地などを抽出し、この抽出した案内地点に対応する案内内容を算出して経路案内情報を生成する。経路案内情報は、探索された最適経路を実際に走行するときに、交差点における右左折の方向を簡易な矢印で表示し、または、例えば「まもなく交差点を右方向です。」といった音声でドライバに報知するための情報から構成されている。この経路案内情報生成部25で生成された経路案内情報は、経路案内制御部27に送られる。
【0023】
気象情報テーブル26は、例えば図2に示すように、晴れ、曇り、雨といった気象内容に対して気象コードおよび案内タイミングを対応付けたテーブルである。気象情報テーブル26の気象コードは、サーバ7から取得される気象内容に付されているコードである。例えば、気象内容が「晴れ」の場合は、気象コードが「1」が付され、気象内容が「曇り」の場合は、気象コードが「2」が付されている。なお、サーバ7には、例えば図4に示すように、所定の大きさのエリアA01、A02、A02、・・・毎に、気象コードを付した気象内容が気象情報として保持されているものとする。
【0024】
なお、サーバ7には、例えば図4に示すように、所定の大きさのエリアA01、A02、A03、・・・毎に、気象コードを付した気象内容が気象情報として保持されているものとする。そして図7(a),(b)に示すようにエリアを指定するデータ(図7(a)では「2次メッシュ座標X,Y」)と気象コード(図7(a)では「2次メッシュ内実況天気情報」)を気象情報データ(図7(b))として提供する。
【0025】
また、気象情報テーブル26の案内タイミングは、案内地点までの距離を規定している。例えば、気象内容が「晴れ」の場合は、案内地点の300m手前で1回だけ経路案内情報を出力し、気象内容が「雪」の場合は、案内地点の600m手前と400m手前のそれぞれで合計2回経路案内情報を出力するように規定されている。
【0026】
経路案内制御部27は、サーバ7から通信装置14を介してエリア毎の気象情報を取得し、この取得した気象情報に対応する気象情報テーブル26の案内タイミングにしたがって、経路案内情報生成部25から送られてくる経路案内情報を実際に出力する地点(つまり、所定の案内地点を気象情報によって変更した地点)を決定する。この経路案内制御部27において決定された地点は、経路案内情報出力地点データとして、経路案内情報生成部25から送られてきた経路案内情報と一緒に経路案内出力部28に送られる。
【0027】
経路案内出力部28は、マップマッチング処理部22から送られてくる現在位置データによって示される位置が、経路案内制御部27から送られてくる経路案内情報に付されている経路案内情報出力地点データによって示される地点に一致した場合に、経路案内制御部27から受け取った経路案内情報を描画LSI16に送るとともに、音声信号生成部17に送る。これにより、モニタ4に経路案内情報が表示されるとともに、スピーカ5から経路案内情報が音声で出力される。
【0028】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を、経路案内制御部27で実行される経路案内制御処理を中心に、図3に示すフローチャートおよび図4に示す最適経路を含む地図画面を参照しながら説明する。なお、以下においては、経路探索部24における経路探索および経路案内情報生成部25における経路案内情報の生成は既に終了しているものとする。
【0029】
経路案内制御処理では、まず、経路案内情報が入力される(ステップST11)。すなわち、経路案内制御部27は、経路案内情報生成部25で生成された経路案内情報を取得する。
【0030】
次いで、最適経路を含むエリアの気象情報が取得される(ステップST12)。今、図3に示すように、現在位置Sから目的地Gまでの最適経路として、経路探索部24によって、S→CG0→CG1→CG2→CG3→Gといった経路が探索され、経路案内情報生成部25において、ドライバに右左折等の案内をするべき案内地点として、交差点(案内対象交差点)CG0、CG1、CG2およびCG3が抽出されていると仮定する。経路案内制御部27は、最適経路がエリアA10,A11,A07,A08,A04およびA03に跨っているため、これらのエリアの気象情報を、サーバ7から通信装置14を介して取得する。
【0031】
なお、必要最小限の気象情報として、案内対象交差点CG0、CG1、CG2およびCG3が属するエリアA11、A07およびA03の気象情報のみを取得するように構成することもできる。また、気象情報を、例えば、地図上の各エリアの色を変えることによって表示する場合は、表示画面の見栄えを考慮して、最適経路を含まないエリア、つまりエリアA02、A06およびA12の気象情報もあわせて取得するように構成することもできる。
【0032】
次いで、変数i(i=0、1、2、・・・)が「0」に初期化される(ステップST13)。次いで、案内対象交差点CGiが属するエリアの気象情報が参照される(ステップST14)。すなわち、経路案内制御部27は、ステップST12において取得された気象情報のうち、案内対象交差点CGiが属するエリアの気象情報に付されている気象コードと、気象情報テーブル26に格納されている気象コードとを比較し、案内対象交差点CGiが属するエリアの気象情報の内容を認識する。
【0033】
次いで、気象情報の内容に応じて、案内タイミングが設定される(ステップST15)。すなわち、経路案内制御部27は、ステップST14において認識された気象内容に応じて気象情報テーブル26に規定されている案内タイミングを参照し、経路案内情報生成部25で生成された経路案内情報を、実際に出力するべき地点を決定する。例えば、案内対象交差点CG0が属するエリアの気象内容が「雨」であれば、実際の案内地点は、案内対象交差点CG0の400m手前であると設定される。この経路案内制御部27において決定された地点は、経路案内情報出力地点データとして、経路案内情報生成部25から送られてきた経路案内情報と一緒に経路案内出力部28に送られる。
【0034】
次いで、最適経路上の全ての案内対象交差点について処理が終了したかどうかが調べられる(ステップST16)。このステップST16において、最適経路上の全ての案内対象交差点について処理が終了していないことが判断されると、変数iがインクリメント(+1)される(ステップST17)。その後、シーケンスはステップST14に戻り、次の案内対象交差点に対する処理が行われる。一方、ステップST16において、最適経路上の全ての案内対象交差点について処理が終了したことが判断されると、経路案内制御処理は終了する。
【0035】
以上の処理において、エリアA03が「晴れ」、エリアA07が「曇り」、エリアA11が「雨」という気象情報がサーバ7から取得されたとすると、案内対象交差点CG0は「雨」、案内対象交差点CG1およびCG2は「曇り」、案内対象交差点CG3は「晴れ」と判断される。この場合、案内対象交差点CG0は「雨」であるので案内タイミングは案内対象交差点CG0の400m手前、案内対象交差点CG1およびCG2は「曇り」であるので案内タイミングは案内対象交差点CG1およびCG2の350m手前、案内対象交差点CG3は「晴れ」であるので案内タイミングは案内対象交差点CG3の300m手前ということになる。
【0036】
したがって、実際に最適経路を走行して案内対象交差点CG0に近づいたときは交差点の400m手前で案内矢印の表示および/または案内音声の出力が行われ、案内対象交差点CG1またはCG2に近づいたときは350m手前、案内対象交差点CG3に近づいたときは300m手前でこれらの案内が行われることになる。
【0037】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、見通しが悪くなったり減速しにくくなる気象条件のときは案内タイミングを早くするといったように、外部のサーバ7から提供される気象情報に応じて案内の内容を調節することが可能になる。その結果、広域の種々の外部状況に応じて適切な案内を行うことができるナビゲーション装置を提供できる。
【0038】
なお、上述した実施の形態1に係るナビゲーション装置では、気象情報に応じて経路案内情報の案内タイミングを切り換えるように構成したが、気象情報に応じて案内表示(例えば進行方向を指示する矢印)の明るさ、形状または大きさを切り換えるように構成することができ、また、気象情報に応じて案内音声の音量または詳しさを切り換えるように構成することもできる。
【0039】
また、上述した実施の形態1に係るナビゲーション装置では、案内対象交差点を案内地点として、気象情報に応じて経路案内情報の案内タイミングを切り換えるように構成したが、目的地、経由地、踏切または高速道路の分岐点といった案内対象交差点以外を案内地点として、気象情報に応じて経路案内情報の案内タイミングを切り換えるように構成することもできる。
【0040】
従来の技術では、移動体に備えられたワイパーの動作などに基づき気象情報を取得するので、実際に案内対象交差点に近付かないと、その場所の気象情報を取得できない。したがって、例えば、図4に示す地図上のS地点にいるときに、案内対象交差点CG0〜CG3において行われる案内の内容を事前に知ることはできない。これに対し、この実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、サーバ7から通信装置14を介して予め取得された気象情報に基づいて経路案内情報を生成するように構成したので、S地点にいるときであっても案内対象交差点CG0〜CG3の案内内容を事前に知ることができる。したがって、出発前に経路の予習をしやすくなるなどの利点がある。
【0041】
また、従来の技術で使用されている移動体に備えられたワイパーなどでは取得が困難な気象情報、例えば「晴れ」と「曇り」の違いも区別できるため、きめ細かな案内内容の調節が可能である。
【0042】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置は、最適経路上の案内対象交差点に到着する予想時刻の気象情報を用いて、経路案内情報の案内タイミングを切り換えるようにしたものである。この実施の形態2に係るナビゲーション装置においては、サーバ7は、エリア毎かつ時間帯毎に気象情報を保持しており、図8(a),(b)に示すようにエリアを指定するデータ(図8(a)では「2次メッシュ座標X,Y」)と時間帯を指定するデータ(図8(a)では「提供時刻」と「予報情報時刻間隔」によって時間帯の開始時刻を指定)、気象コード(図8(a)では「2次メッシュ内実況天気情報」と「2次メッシュ内予報天気情報」)を気象情報データ(図8(b))として提供するものとする。
【0043】
図5は、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、図1に示した実施の形態1に係るナビゲーション装置を構成するナビゲーションユニット6の制御部15に到着時刻予想部29が追加されるとともに、経路案内制御部27の機能が変更されて構成されている。
【0044】
到着時刻予想部29は、経路案内情報生成部25において抽出された案内対象交差点への到着予想時刻を、現在位置から各案内対象交差点までの距離、道路幅、図示しないVICS(Vehicle Information and Communication System)から通信装置14を経由して取得した渋滞情報などに基づいて計算する。この到着時刻予想部29において計算された各案内対象交差点への到着予想時刻は、経路案内制御部27に送られる。
【0045】
経路案内制御部27は、到着時刻予想部29から送られてきた各到着予想時刻における各エリアの気象情報をサーバ7から通信装置14を介して取得し、この取得した気象情報に対応する気象情報テーブル26の案内タイミングにしたがって、経路案内情報生成部25から送られてくる経路案内情報を実際に出力する地点を決定する。この経路案内制御部27において決定された地点は、経路案内情報出力地点データとして、経路案内情報生成部25から送られてきた経路案内情報と一緒に経路案内出力部28に送られる。
【0046】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の動作を、経路案内制御部27で実行される経路案内制御処理を中心に、図6に示すフローチャートおよび図4に示す最適経路を含む地図画面を参照しながら説明する。
【0047】
なお、以下においては、経路探索部24における経路探索および経路案内情報生成部25における経路案内情報の生成は既に終了しているものとする。また、図3のフローチャートに示した実施の形態1に係るナビゲーション装置における経路案内制御処理と同一の処理を行うステップには、図3に示したフローチャートで使用した符号と同一の符号を付し、説明は簡略化する。
【0048】
経路案内制御処理では、まず、経路案内情報が入力される(ステップST11)。次いで、最適経路を含むエリアの気象情報が取得される(ステップST12)。今、図3に示すように、現在位置Sから目的地Gまでの最適経路として、経路探索部24によって、S→CG0→CG1→CG2→CG3→Gといった経路が探索され、経路案内情報生成部25において、案内地点として、交差点(案内対象交差点)CG0、CG1、CG2およびCG3が抽出されていると仮定する。経路案内制御部27は、最適経路がエリアA10,A11,A07,A08,A04およびA03に跨っているため、これらのエリアの各時間帯における気象情報を、サーバ7から通信装置14を介して取得する。
【0049】
次いで、変数i(i=0、1、2、・・・)が「0」に初期化される(ステップST13)。次いで、案内対象交差点CGiの通過予想時刻Tiが算出される(ステップST21)。すなわち、到着時刻予想部29は、経路案内情報生成部25において抽出された案内対象交差点CGiへの到着予想時刻を計算し、経路案内制御部27に送る。
【0050】
次いで、案内対象交差点CGiが属するエリアの時刻Tiにおける気象情報が参照される(ステップST22)。すなわち、経路案内制御部27は、ステップST12において取得された気象情報のうち、到着時刻予想部29から送られてきた到着予想時刻における案内対象交差点CGiが属するエリアの気象情報に付されている気象コードと、気象情報テーブル26に格納されている気象コードとを比較し、案内対象交差点CGiが属するエリアの時刻Tiにおける気象情報の内容を認識する。
【0051】
次いで、気象情報の内容に応じて、案内タイミングが設定される(ステップST15)。すなわち、経路案内制御部27は、ステップST22において認識された気象内容に応じて気象情報テーブル26に規定されている案内タイミングを参照し、経路案内情報生成部25で生成された経路案内情報を、実際に出力するべき地点を決定する。例えば、案内対象交差点CG0が属するエリアの気象内容が「雨」であれば、実際の案内地点は、案内対象交差点CG0の400m手前であると設定される。この経路案内制御部27において決定された地点は、経路案内情報出力地点データとして、経路案内情報生成部25から送られてきた経路案内情報と一緒に経路案内出力部28に送られる。
【0052】
次いで、最適経路上の全ての案内対象交差点について処理が終了したかどうかが調べられる(ステップST16)。このステップST16において、最適経路上の全ての案内対象交差点について処理が終了していないことが判断されると、変数iがインクリメント(+1)される(ステップST17)。その後、シーケンスはステップST14に戻り、次の案内対象交差点に対する処理が行われる。一方、ステップST16において、最適経路上の全ての案内対象交差点について処理が終了したことが判断されると、経路案内制御処理は終了する。
【0053】
以上の処理によって、ステップST21において、案内対象交差点CG0への到着予想時刻は9:55、案内対象交差点CG1への到着予想時刻は10:25、案内対象交差点CG2への到着予想時刻は10:45、案内対象交差点CG3への到着予想時刻は11:20であると予想できたとする。また、ステップST22において、エリアA03の11:00〜11:30における気象内容は「晴れ」、エリアA07の10:00〜10:30における気象内容は「曇り」であり、10:30〜11:00における気象内容は「晴れ」、エリアA11の9:30〜10:00における気象内容は「雨」、という気象情報が取得できたとすると、案内対象交差点CG0は「雨」、案内対象交差点CG1は「曇り」、案内対象交差点CG2およびCG3は「晴れ」と判断される。
【0054】
この場合、案内対象交差点CG0は「雨」であるので案内タイミングは案内対象交差点CG0の400m手前、案内対象交差点CG1は「曇り」であるので案内タイミングは案内対象交差点CG1の350m手前、案内対象交差点CG2およびCG3は「晴れ」であるので案内タイミングは案内対象交差点CG2およびCG3の300m手前ということになる。
【0055】
したがって、実際に最適経路を走行して案内対象交差点CG0に近づいたときは交差点の400m手前で案内矢印の表示および/または案内音声の出力が行われ、案内対象交差点CG1に近づいたときは350m手前、案内対象交差点CG2およびCG3に近づいたときは300m手前でこれらの案内が行われることになる。
【0056】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置によれば、各案内対象交差点への到着予想時刻を算出し、この算出された到着予想時刻における気象情報を用いて実際の案内地点を決定するように構成したので、経路案内情報の案内タイミングに対して、正確な気象状況を反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で使用される気象情報テーブルの例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を、経路案内制御処理を中心に示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を説明するための地図画面の例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を、経路案内制御処理を中心に示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で使用されるエリアを指定するデータと気象情報データの例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置で使用されるエリアを指定するデータと気象情報データの例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 HDD、2 入力装置、3 車速センサ、4 モニタ、5 スピーカ、6 ナビゲーションユニット、7 サーバ、11 GPS受信機、12 ジャイロ、13 車速検出部、14 通信装置、15 制御部、16 描画LSI、17 音声信号生成部、21 位置検出部、22 マップマッチング処理部、23 地図表示制御部、24 経路探索部、25 経路案内情報生成部、26 気象情報テーブル、27 経路案内制御部、28 経路案内出力部、29 到着時刻予想部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する位置検出部と、
地図情報を取得する地図情報取得手段と、
目的地を入力する入力装置と、
前記位置検出部で検出された現在位置から前記入力装置で入力された目的地までの経路を、前記地図情報取得手段で取得された地図情報に基づき探索する経路探索部と、
前記経路探索部で探索された経路上の所定の案内地点で出力するための経路案内情報を生成する経路案内情報生成部と、
サーバから通信により外部状況情報を取得する通信装置と、
前記通信装置により取得された外部状況情報に応じて、前記経路案内情報生成部で生成された経路案内情報を出力する地点を、前記所定の案内地点から他の地点に変更する経路案内制御部と、
前記経路案内制御部によって変更された他の地点に到達したときに前記経路案内情報生成部で生成された経路案内情報を出力する経路案内出力部
とを備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
通信装置は、サーバにエリア毎に保持されている外部状況情報のうち、経路探索部で探索された経路上の所定の案内地点が属するエリアの外部状況情報を取得し、
経路案内制御部は、前記通信装置により取得された前記所定の案内地点が属するエリアの外部状況情報に応じて、前記経路案内情報生成部で生成された経路案内情報を出力する地点を、前記所定の案内地点から他の地点に変更する
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
案内地点への到着時刻を予想する到着時刻予想部を備え、
通信装置は、サーバにエリア毎かつ時間帯毎に保持されている外部状況情報のうち、前記到着時刻予想部で予想された時刻が属する時間帯の外部状況情報を取得する
ことを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−224444(P2008−224444A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63740(P2007−63740)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】