説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地を適切に設定する。
【解決手段】ナビゲーション処理部42は、入力操作部14に対する操作者の入力操作等に応じて、表示装置51の表示画面に表示されている地図におけるポリゴン上の任意の位置が目的地として操作者により指定された場合、予め地図データ記憶部12に記憶されたポリゴンに対応する施設名を用いて、予め施設データ記憶部13に記憶された施設名および施設名に対応付けられた施設位置(例えば、施設に具備される駐車場の座標、または、施設の入り口の座標等)を検索することで、操作者により指定されたポリゴンに対応する施設名に対応付けられた施設位置を抽出し、抽出した施設位置を目的地として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば表示画面に表示された地図画像上を移動可能なカーソルにより目的地を設定するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−316131号公報
【特許文献2】特開2004−53304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術に係るナビゲーション装置において、地図画像上のカーソルの位置に応じて目的地を設定する際に、予め住所等の位置情報を有する地図画像上の複数の位置(つまり、カーソルにより選択可能な選択可能位置)のうちカーソルの位置に最も近い位置を選択して、この位置の住所等の位置情報を目的地として設定する場合には、目的地が適切に設定されない虞がある。
例えば操作者が適宜の施設を目的地として設定する際に、この施設に対応する地図画像上のポリゴンにカーソルの位置を設定すると、このカーソルの位置に最も近い選択可能位置が選択されることになり、この選択可能位置が、例えば施設の入り口等の相対的に重要度が高い所定位置から離間している場合には、目的地に対する経路誘導が不適切となってしまうという問題が生じる。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、目的地を適切に設定することが可能なナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係るナビゲーション装置は、施設名が対応付けられたポリゴンを具備する地図画像を記憶する地図画像記憶手段(例えば、実施の形態での地図データ記憶部12)と、前記施設名と施設位置とを対応付けて記憶する施設情報記憶手段(例えば、実施の形態での施設データ記憶部13)と、前記地図画像および前記地図画像上を移動可能な指示画像を表示する表示手段(例えば、実施の形態での表示装置51)と、前記地図画像上の位置を前記指示画像により指定する位置指定手段(例えば、実施の形態での入力操作部14およびECU15)と、前記位置指定手段により指定された前記地図画像上の位置に基づき、目的地を設定する目的地設定手段(例えば、実施の形態での入力操作部14およびECU15、ステップS01〜ステップS04)とを備え、前記目的地設定手段は、前記位置指定手段により前記地図画像における前記ポリゴン上の任意の位置が指定された場合、前記地図画像記憶手段に記憶された前記ポリゴンに対応する前記施設名を用いて、前記施設情報記憶手段に記憶された前記施設名および前記施設位置を検索することで、前記ポリゴンに対応する前記施設名に対応付けられた前記施設位置を抽出し、抽出された前記施設位置を前記目的地として設定する。
【0006】
さらに、本発明の第2態様に係るナビゲーション装置では、前記施設情報記憶手段は、前記施設位置を駐車場の位置とし、前記施設名と前記駐車場の位置とを対応付けて記憶する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1態様に係るナビゲーション装置によれば、地図画像におけるポリゴン上の任意の位置が指定された場合に、このポリゴンに対応する施設名を用いて、施設情報記憶手段に記憶された施設位置を抽出し、この施設位置を目的地として設定することから、予め施設位置として、例えば施設の入り口の位置等を設定しておくことにより、操作者の入力操作に応じて適切な目的地を設定することができる。
【0008】
さらに、本発明の第2態様に係るナビゲーション装置によれば、施設位置を駐車場の位置とすることにより、車両に対して適切な目的地を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のナビゲーション装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態によるナビゲーション装置10は、例えば図1に示すように、例えば現在位置検出部11と、地図データ記憶部12と、施設データ記憶部13と、入力操作部14と、ECU15と、出力部16とを備えて構成されている。
【0010】
現在位置検出部11は、例えば人工衛星を利用して車両の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号や、例えば適宜の基地局を利用してGPS信号の誤差を補正して測位精度を向上させるためのD(Differential)GPS信号等の測位信号を受信する測位信号受信部21と、水平面内での自車両の向きや鉛直方向に対する傾斜角度(例えば、車両の前後方向軸の鉛直方向に対する傾斜角度や車両重心の上下方向軸回りの回転角であるヨー角等)および傾斜角度の変化量(例えば、ヨーレート等)を検出するジャイロセンサ22と、車両の速度(車速)を検出する車速センサ23とを備えて構成され、受信した測位信号によって、あるいは、車速やヨーレート等の検出信号に基づく自律航法の算出処理によって、車両の現在位置を算出する。
【0011】
地図データ記憶部12は、例えば出力部16の表示装置51の表示画面51a上において地図を表示するための地図データと、道路の接続状態および形状等の情報からなる道路データとを格納している。
地図データは、例えば地形図のデータと、例えば各種の施設および街区および湖沼等に対応したポリゴンのデータと、例えば各ポリゴンに対応付けられた施設名および地名等の文字のデータと、各種の記号のデータとを備えて構成されている。
道路データは、例えばノード(つまり、道路形状を把握するための座標点)および各ノード間を結ぶ線であるリンクと、各リンクの距離と、道路の種別および幅員および交差角度および形状等のデータを備えて構成されている。
【0012】
施設データ記憶部13は、例えばPOI(Point Of Interest)データとして、例えば各種の施設の施設名および各施設名に対応付けられた施設位置(例えば、施設に具備される駐車場の座標、または、施設の入り口の座標等)および各施設名に対応付けられた電話番号等のデータを格納している。
【0013】
入力操作部14は、例えば図2〜図4に示すように、出力部16の表示装置51から下方側にずれた位置でインスツルメントパネルから突出する回転操作部材31およびスライド操作部材32を備えて構成されている。
略円筒状の回転操作部材31は、軸線P周り(例えば、図3に示す矢印R方向)に回転可能とされている。
回転操作部材31の内径よりも小さな外径を有する略円柱状のスライド操作部材32は、回転操作部材31と同軸に回転操作部材31の内部に配置され、スライド操作部材32の先端部32aは、回転操作部材31の開口端31aから突出するように配置され、スライド操作部材32は、軸線P方向および軸線Pに直交する任意の方向(例えば、図3に示す矢印X,Y方向)に変位可能とされている。
【0014】
スライド操作部材32には、軸線P方向および軸線Pに直交する方向に対して所定の基準位置が設定され、操作者からの入力操作(例えば、軸線P方向の押下操作、または、軸線Pに直交する方向のスライド操作等)が無い場合には、適宜の復帰機構(図示略)により基準位置に自動的に復帰するように設定されている。
また、入力操作部14は、回転操作部材31の回転角度および回転速度を検出するエンコーダ等のセンサ(図示略)と、スライド操作部材32の軸線P方向および軸線Pに直交する方向での各所定変位を検出するセンサ(図示略)とを備え、各センサから出力される検出値の信号はECU15に入力されている。
【0015】
ECU15は、例えば記憶部41と、ナビゲーション処理部42と、出力制御部43とを備えて構成されている。
【0016】
記憶部41は、例えば現在位置検出部11から出力される現在位置を記憶すると共に、例えば入力操作部14に対する操作者の入力操作等によって設定される目的地を記憶する。
また、記憶部41は、例えば入力操作部14に対する操作者の入力操作に応じて、複数の目的地のうち、何れか1つの目的地を最終目的地とし、この最終目的地以外の他の目的地を現在位置と最終目的地との間での経由地として記憶すると共に、全ての目的地に対して設定される経由順序を記憶する。
【0017】
ナビゲーション処理部42は、例えば、地図データ記憶部12から取得する道路データに対して、現在位置検出部11から出力される現在位置に基づいてマップマッチングを行うと共に、入力操作部14に対する操作者の入力操作に応じて設定された目的地に対して経路探索や経路誘導等の処理を実行し、出力部16の表示装置51およびスピーカ52の動作を指示する制御指令を出力する。
出力制御部43は、例えば、ナビゲーション処理部42から出力される制御指令あるいは入力操作部14に対する操作者の入力操作に応じて、出力部16の表示装置51およびスピーカ52を制御する。
【0018】
この実施の形態によるナビゲーション装置10は上記構成を備えており、次に、このナビゲーション装置10の動作、特に、目的地を設定する処理について説明する。
【0019】
ナビゲーション処理部42は、例えば入力操作部14に対する操作者の入力操作等に応じて、表示画面51aに表示されている地図におけるポリゴン上の任意の位置が目的地として指定された場合、予め地図データ記憶部12に記憶されたポリゴンに対応する施設名を用いて、予め施設データ記憶部13に記憶された施設名および施設名に対応付けられた施設位置を検索することで、操作者により指定されたポリゴンに対応する施設名に対応付けられた施設位置を抽出し、抽出した施設位置を目的地として設定する。
【0020】
例えば図5(a)に示すように、地図データ記憶部12から取得された地図の画像(地図画像)61および地図画像61上を移動可能な指示画像62が表示装置51の表示画面51aに表示され、指示画像62が地図画像61におけるポリゴン63上の任意の位置を指示する状態で、操作者により目的地を設定する所定の確定操作(例えば、入力操作部14のスライド操作部材32に対する軸線P方向の押下操作等)が実行されると、ナビゲーション処理部42は、予め地図データ記憶部12に記憶されたポリゴン63に対応する施設名を用いて、予め施設データ記憶部13に記憶された施設名および施設名に対応付けられた施設位置(例えば、施設に具備される駐車場の座標、または、施設の入り口の座標等)を検索する。そして、検索して得た施設位置を目的地として設定し、例えば図5(b)に示すように、この目的地の位置を示す画像64を表示画面51aの地図画像61上に表示する。
【0021】
以下に、目的地を設定する一連の処理について説明する。
先ず、例えば図6に示すステップS01においては、表示装置51の表示画面51aにおいて地図画像61上を移動可能な指示画像62により指示されると共に、目的地を設定する所定の確定操作(例えば、入力操作部14のスライド操作部材32に対する軸線P方向の押下操作等)によって操作者により選択されるポリゴン63を取得する。
そして、ステップS02においては、操作者により選択されたポリゴン63に対応する施設名を地図データ記憶部12から取得し、この施設名と同じ施設名を具備するPOIデータを検索する。
【0022】
そして、ステップS03においては、施設データ記憶部13から検索して得たPOIデータから、施設名に対応付けられた施設位置(例えば、施設に具備される駐車場の座標、または、施設の入り口の座標等)を取得する。
そして、ステップS04においては、取得した施設位置を目的地として設定する。
そして、ステップS05においては、目的地の位置を表示画面51aの地図画像61上に表示し、一連の処理を終了する。
【0023】
上述したように、本実施の形態によるナビゲーション装置10によれば、表示装置51の表示画面51aの地図画像61におけるポリゴン63上の任意の位置が目的地として操作者により指定された場合に、このポリゴン63に対応する施設名を用いて、施設データ記憶部13に記憶された施設位置を抽出し、この施設位置を目的地として設定することから、予め施設位置として、例えば施設に具備される駐車場の座標、または、施設の入り口の座標等を設定しておくことにより、操作者の入力操作に応じて適切な目的地を設定することができる。
しかも、施設データ記憶部13に記憶される施設名に対応付けられた施設位置を駐車場の位置とした場合には、車両に対して適切な目的地を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の入力操作部の配置状態の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の入力操作部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の入力操作部の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の表示装置の表示画面の例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の動作、特に、目的地を設定する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
10 ナビゲーション装置
12 地図データ記憶部(地図画像記憶手段)
13 施設データ記憶部(施設情報記憶手段)
14 入力操作部(位置指定手段、目的地設定手段)
15 ECU(位置指定手段、目的地設定手段)
51 表示装置(表示手段)
ステップS01〜ステップS04 目的地設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設名が対応付けられたポリゴンを具備する地図画像を記憶する地図画像記憶手段と、
前記施設名と施設位置とを対応付けて記憶する施設情報記憶手段と、
前記地図画像および前記地図画像上を移動可能な指示画像を表示する表示手段と、
前記地図画像上の位置を前記指示画像により指定する位置指定手段と、
前記位置指定手段により指定された前記地図画像上の位置に基づき、目的地を設定する目的地設定手段とを備え、
前記目的地設定手段は、
前記位置指定手段により前記地図画像における前記ポリゴン上の任意の位置が指定された場合、前記地図画像記憶手段に記憶された前記ポリゴンに対応する前記施設名を用いて、前記施設情報記憶手段に記憶された前記施設名および前記施設位置を検索することで、前記ポリゴンに対応する前記施設名に対応付けられた前記施設位置を抽出し、抽出された前記施設位置を前記目的地として設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記施設情報記憶手段は、前記施設位置を駐車場の位置とし、前記施設名と前記駐車場の位置とを対応付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−115584(P2009−115584A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288313(P2007−288313)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】