説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション装置において、夜間に、ユーザが安全に運転走行し易くする。
【解決手段】ナビゲーション装置は、ルートを表示案内する表示部、通常音声案内を行う通常音声案内部、通常音声案内より詳細な音声案内を行う詳細音声案内部、音声案内切替スイッチ、明るさを判定する明るさ判定部、詳細音声案内の要否の確認メッセージを報知するメッセージ報知部、表示画面をオフさせる表示画面オフ部、全体を制御するCPUを備える。CPUは、明るさ判定部が自車周囲の明るさを暗いと判定したときに、メッセージ報知部によりユーザに詳細音声案内の要否の確認メッセージを報知し、ユーザが、必要と判断して、音声案内切替スイッチにより音声案内を詳細音声案内に切替えると、表示画面をオフさせる。これにより、夜間に、輝度の高い表示画面を視ずに、詳細な音声案内だけで運転できるので、ユーザが安全に運転走行し易くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までのルート案内を行うナビゲーション装置において、特に、夜間に走行し易いルート案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置は、車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在地から目的地までの適切なルートを設定し、表示装置と音声出力装置によってルート案内を行っている。
【0003】
このようなナビゲーション装置におけるルート案内においては、主として表示装置の表示画面に地図表示することによるルート案内と、この表示画面によるルート案内を補足する形で、音声によるルート案内が行われ、ユーザがより運転し易くなるようにしている。また、最近のナビゲーション装置では、テレビ受信機能を備えた装置の普及のため、ルート案内を表示する表示装置のディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイなど)は、昼間の戸外でもTV画像が鮮明に視えるように高輝度化されてきている。しかしながら、このような高輝度のディスプレイを持つナビゲーション装置では、夜間に、自車周囲の明るさに比べて表示画面の明るさが相対的に明るくなるので、ユーザが表示画面を視た時に、ユーザの目に極めて明るく感じ、この明る過ぎる案内画面の眩しさにより、ユーザが表示画面を視た時に目が眩む等して、安全な運転走行が妨げられる虞があった。また、このため、夜間に表示画面の輝度レベルを下げることも可能であるが、運転者に影響を与えない程度に輝度レベルを下げると表示画面の色バランスが崩れる等の弊害が生じ、案内表示が視難くなり、夜間に詳細なルート案内を読み取ることが困難になると言う問題があった。
【0004】
ところで、運転手が画面を注視できる余裕度を推定し、この余裕度の推定により、運転者に通知する案内情報の出力量を制御するものであって、夜間には、余裕度が小さいと判断して、表示する案内情報量を低減し、音声出力から報知する案内情報量を増加することにより、運転手が画面注視する必要性を低減する経路誘導装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、表示する案内情報量は低減されるが、表示画面は点灯された状態のままであるので、その表示画面の明るさによる眩しさにより、運転者が運転し難くなることがあった。
【0005】
また、走行中の道路における自車の過去の通行回数に基いて、走行中の道路が不馴れな道路か否かを判定し、走行中の道路が不馴れな道路と判定された場合、経路案内を行い、走行中の道路が不馴れな道路でないと判定された場合、経路案内を行わないように制御するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この装置は、夜間において、不馴れな道路と判定した場合に、画面表示と音声案内を実施するので、画面表示の点灯によりユーザが眩しくなる場合があり、上記と同様に、運転者が運転し難くなることがあった。
【0006】
また、予め交差点情報と減速地点情報を記憶し、ルート案内をディスプレイに表示しながら、車速、天候、昼夜の別により、要減速地点に接近すると、車速が一定の速度を上回っている場合に、運転者に警告等の所定の音声案内を行う車載用ナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、予め、警告を発生する対象の要注意物(踏切、トンネル等)の位置を記憶しておき、この位置情報と車両の位置との間の距離が一定距離以内であるときに、音声手段又は表示手段によって警告を発する経路案内装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
しかしながら、上記特許文献3及び特許文献4の各装置は、夜間において、画面表示による案内を行うので、前記特許文献1と同様に、ユーザにとって画面表示が眩しくなることがあり、運転し難い場合があった。
【特許文献1】特開平7‐139959号公報
【特許文献2】特開2006‐313085号公報
【特許文献3】特開平9‐35186号公報
【特許文献4】特開平8‐35848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、目的地までのルート案内を行うナビゲーション装置において、ユーザが夜間の運転走行において安全に走行し易くできるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、車両に搭載可能であり、目的地を入力するための入力手段と、前記車両の現在位置から前記入力された目的地までのルートを探索するルート探索手段と、前記ルート探索手段によるルート探索に必要なナビゲーション情報を記憶する情報記憶手段と、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記ルート探索手段により探索されたルートを案内する案内手段と、装置全体を制御する制御手段と、を備え、前記案内手段が、前記ルート探索手段により探索されたルートを、表示デバイスの表示画面に表示してルート案内する表示案内手段と、音声でルート案内する音声案内手段と、を有するナビゲーション装置において、前記音声案内手段は、周囲が明るいときの音声案内(これを、通常音声案内という)を行うための通常音声案内手段と、該通常音声案内より詳細な音声案内(これを、詳細音声案内という)を行うための詳細音声案内手段とを有し、前記通常音声案内手段による通常音声案内と前記詳細音声案内手段による詳細音声案内とを切替える音声案内切替スイッチと、前記詳細音声案内手段による詳細音声案内の要否を確認するための確認メッセージをユーザに報知する報知手段と、前記車両の走行時における自車周囲の明るさを判定する判定手段と、前記表示案内手段の表示デバイスの表示画面をオフさせる表示画面オフ手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記通常音声案内手段による通常音声案内中に、前記判定手段が自車周囲の明るさを暗いと判定したときに、前記報知手段よりユーザに詳細音声案内の要否を確認するための確認メッセージを報知し、ユーザが、この確認メッセージを基に前記詳細音声案内を必要と判断して、前記音声案内切替スイッチによりルートの音声案内を前記通常音声案内手段の通常音声案内から前記詳細音声案内手段の詳細音声案内に切替えると、前記表示画面オフ手段により前記表示案内手段の表示デバイスの表示画面をオフさせるものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1のナビゲーション装置において、前記詳細音声案内手段による音声案内は、交差点毎の交差点名案内、次の交差点までの距離案内、走行途中の施設名案内、前記車両の現在位置から目的地までの距離又は時間の案内、連続運転走行時間案内、及び走行路線名案内の少なくともいずれか1つを含むものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置において、前記入力手段は、前記検索されたルートの音声案内の時間間隔及び走行距離間隔を設定入力するための案内発生条件設定入力手段を有し、前記制御手段は、ユーザが前記案内発生条件設定入力手段により、予め設定入力した時間間隔、走行距離間隔にしたがって、前記音声案内手段により音声案内を行うものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記入力手段は、ユーザの音声を認識する音声認識手段を備え、前記制御手段は、前記音声認識手段でユーザの音声を認識したときに、前記音声案内切替スイッチを切替えるものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記車両の前方を照明する照明灯具のオンオフ状態を検知する照明灯検知手段を、さらに備え、前記判定手段は、前記照明灯検知手段により前記照明灯具のオン状態が検知されると自車周囲の明るさを暗いと判定するものである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記判定手段は、日の出時刻及び日の入り時刻のデータに基いて、日の出時刻前及び日の入り時刻後を、自車周囲の明るさを暗いと判定するものである。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記判定手段は、自車周囲の明るさを測定する照度センサを備え、該照度センサによる測定照度の値が所定値以下を示したときに、自車周囲の明るさを暗いと判定するものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、自車周囲が暗くなれば、表示画面をオフにさせて、音声案内を詳細にすることができるので、自車周囲の明るさに比べて表示画面の明るさが相対的に明るくなる夜間の走行中などにおいて、明る過ぎる案内画面の眩しさにより、ユーザが表示画面を視た時に目が眩む等して、安全な運転走行が妨げられることを防ぐことができる。同時に、詳細音声案内により、音声ルート案内が通常より詳細に案内されるので、表示案内無しに、音声案内だけで目的地ルートを走行することが可能となり、安全に運転することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、ユーザは、多くの詳細な音声案内情報を得ることができるので、表示画面による案内がなくても、目的地へのルートを確実に走行することができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、音声案内の間隔をユーザの所望の時間間隔又は走行距離間隔に設定できるので、例えば、夜間において表示案内を消した場合は、音声案内の時間間隔又は走行距離間隔を短くして、音声案内を頻繁にすることにより、音声案内だけで走行し易いようにできる。また、昼間において、余り頻繁に案内を必要としない、所定の距離より長い交差点のない一本道を走行する場合や、長く走行する走行路線名を案内する場合などにおいては、案内時間間隔、又は案内走行距離間隔を長く設定することにより、短い間隔で同じような案内を何回も聴く煩わしさを低減でき、ユーザが好適な間隔で案内を聴くことができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、ユーザは、声により音声案内スイッチを切替えることができるので、運転中でも容易に安全に音声案内を詳細音声案内に切替えることができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、車両の照明灯具の点灯により自車周囲の明るさを暗いと判定できるので、夜間以外に、トンネルの中や天候悪化による暗天時に、車両の照明灯具を点灯した場合も、音声案内を切替えることができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、日の出時刻及び日の入り時刻のデータに基いて、自車周囲の明るさの判定を行うことができるので、明るさの判定を簡単に行うことができる。
【0023】
請求項7の発明によれば、照度センサを備えているので、時間、場所に関係なく、確実に自車周囲が暗くなったことを検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明のナビゲーション装置1のブロック構成を示す。本実施形態のナビゲーション装置1は、入力操作部(入力手段、案内条件設定手段)2、位置検出部(現在位置検出手段)3、情報記憶部(情報記憶手段)4、表示部(案内手段、表示案内手段)5、音声案内部(案内手段、音声案内手段、通常音声案内手段、詳細音声案内手段)6、交通情報受信部7、音声案内切替スイッチ8、照度センサ9及び各部を制御する制御部(制御手段)10を備えている。
【0025】
入力操作部2は、出発地、目的地などルート案内に関する情報を入力し、運転者の意志によりナビゲーション処理を制御部10に指示する機能を備えている。その機能を実現するための手段として、入力操作部2は、それぞれタッチ操作、キー操作で、目的地を電話番号や地図上の座標などにて入力したり、ルート案内をリクエストしたりするための操作パネル21を有し、また、音声入力で入力を行うための音声認識機能を持つ音声入力部(音声認識手段)22を備え、操作パネル21は、表示部5の表示画面上にタッチパネルを設けて構成される。この入力操作部2の操作により、ユーザは、目的地までのルートの探索、ディスプレイ画面の設定変更等の各種の指示や設定を行うことができる。
【0026】
さらに、入力操作部2は、検索されたルートの音声案内部6による音声案内の時間間隔及び走行距離間隔を設定入力するための案内発生条件設定部(案内発生条件設定入力手段)23と、目的地のジャンルを選択するためのジャンル選択部24とを備える。
【0027】
位置検出部3は、衛星航法システム(GPS)を利用して車両の緯度経度等の現在位置情報をGPSアンテナから入手するGPS受信機31、車両の進行方位を、地磁気を利用することにより絶対方位で検出する地磁気センサ32、車両の進行方位を相対方位で検出するジャイロセンサ33、車輪の回転数等から車両の走行距離を検出する距離センサ34を備えている。この位置検出部3は、上記GPS受信機31をはじめ各センサからの位置情報、方位情報、距離情報等を用いて車両の現在位置を検出する。
【0028】
情報記憶部4は、ナビゲーション用のプログラム及びデータなどルート探索に必要な情報であるルート探索情報を記憶した外部記憶装置で、例えばCD−ROMやDVD−ROM等からなっている。情報記憶部4には、ルート探索などの処理を行うためのプログラム、ルート案内に必要な表示出力制御用のプログラム及びデータ、音声認識等のプログラム及びそれに必要なデータ、音声案内に必要な音声出力制御を行うためのプログラム及びそれに必要なデータが格納されている。情報記憶部4に記憶されるルート探索情報のデータは、地図データ(交差点名、公共施設名を含む)、道路データ(道路名を含む)、有料道路/フェリー利用料金データ、探索データ、案内データ、マップマッチングデータ、目的地データ、登録地点データ(住所、電話番号等)、施設名データ、ジャンル別データ、日の出、日の入り時刻等を有する暦データを含むカレンダーデータ等のファイルから構成される。また、登録された各種店舗や施設のポイント情報であるPOI情報(Point Of Interest)も記憶されている。
【0029】
表示部5は、簡易型の液晶表示器等により構成されており、ユーザが必要な案内情報を画面に表示する。ここでは、表示部5は、制御部10が処理する地図データや案内データに基づく交差点拡大図画面、走行中の現ルートや分岐ルート、各ルートにおける目的地に関する情報、目的地名、時刻、距離、進行方向矢印等を表示する。この表示部5は、運転席近傍のインストルメントパネル内に設けられており、ユーザはこれを視ることにより自車の現在地を確認したり、また、これからのルートについての情報を得ることができる。また、表示部5は、表示画面に設けたタッチパネル等を使用して操作パネル21として使用することができ、ユーザが画面に触れる、或いは画面をなぞることにより、地点入力、道路入力等を行えるように構成されている。
【0030】
音声案内部6は、ルート案内を音声により行うものであり、後述の通常音声案内部63と詳細音声案内部64で形成された音声案内信号を出力する音声出力部61と、音声出力部61からの出力音声を拡声するスピーカ62を備えている。また、音声案内部6は、周囲が明るいときの音声案内(これを、通常音声案内という)を行うための通常音声案内部(通常音声案内手段)63と、通常音声案内より詳細な音声案内(これを、詳細音声案内という)を行うための詳細音声案内部(詳細音声案内手段)64とを有する。これら通常音声案内部63の通常音声案内と詳細音声案内部64の詳細音声案内との音声案内は、後述の音声案内切替スイッチ8によって切替えられることが可能であり、自車周囲の明るさが暗くなったときに、ユーザが音声案内切替スイッチ8を切替えると、詳細音声案内部64からの詳細音声案内により、詳細なルート案内が行われる。
【0031】
上記詳細音声案内部64による詳細音声案内は、交差点毎の交差点名案内、次の交差点までの距離案内、走行途中の施設名案内、車両の現在位置から目的地までの距離又は時間の案内、連続運転走行時間案内、及び走行路線名案内の少なくともいずれか1つを含む。また、交差点名、施設名、走行路線名の情報は、情報記憶部4に格納されている地図データに記憶されており、走行中に位置検出部3から検出される車両の位置データに基き、詳細音声案内部64により各種詳細音声案内が行われる。これらの案内は、例えば、交差点毎の交差点名案内として「A交差点通過します。」、交差点通過直後の次の交差点名案内として「A交差点通過します、次は500m先きB交差点です。」のように案内される。また、POI情報(店名・公共施設名)の案内では、「まもなく左手に小学校です。まもなく右手にA病院です。」、連続走行時間案内では、「只今、1時間30分間走行中」のように案内される。また、距離センサ34で測定された走行距離も案内され、目的地までの情報案内では、例えば「残り25Km、約60分必要です。」のように案内される。また、例えば、所定の走行距離の間に交差点のない一本道を行く場合の案内では、「A交差まで2.7Kmです。A交差まで2.6Kmです。・・・」のような100m毎の案内や、また、走行路線名の案内では、「只今、1号線を走行中、A交差点で県道275号線と合流」のような案内がなされる。
【0032】
また、音声案内部6においては、入力操作部2の案内発生条件設定部24により、音声案内の間隔をユーザの所望の時間間隔又は走行距離間隔に設定できるので、例えば、夜間において表示案内を消した場合は、音声案内の時間間隔又は走行距離間隔を短くして、詳細音声案内部64による音声案内を頻繁に詳細に行うことにより、音声案内だけで安全に走行し易いようにできる。また、昼間において、余り頻繁に案内を必要としない、長い距離の一本道を走行する場合や、長く走行する走行路線名を案内する場合などにおいては、音声案内部6による音声案内の案内時間間隔、又は案内走行距離間隔を長く設定することにより、短い間隔で同じような案内を何回も聴く煩わしさを低減でき、ユーザが好適な間隔で案内を聴くことができる。
【0033】
交通情報受信部7は、車両外部の現在の道路交通情報を逐次受信するVICS・FM多重受信機71を備える。VICS(Vehicle Information & Communication System)は、道路交通情報をリアルタイムで提供するもので、FM多重(文字放送)、電波ビーコン、光ビーコンにより情報を送信する。このVICSからの交通渋滞情報や交通事故情報などの最新の道路交通情報は、制御部10に伝達され、制御部10は、この道路交通情報を加味して、走行ルートにおける走行指標の演算を行うことができる。
【0034】
また、音声案内切替スイッチ8は、音声案内部6における通常音声案内部63の通常音声案内と詳細音声案内部64の詳細音声案内とを切替えるための切替スイッチである。この切替えは、後述のCPU11が、走行中の自車周囲の明るさを暗いと判定するとユーザに詳細音声案内部64による詳細音声案内の要否を確認するための確認メッセージを報知し、このメッセージを基に、ユーザが自ら詳細音声案内を必要と判断した場合に、ユーザが行う。
【0035】
照度センサ9は、自車周囲の明るさを測定するために、ナビゲーション装置1又はナビゲーション装置1を装着する車両に取付られた照度を検出するためのセンサである。この照度センサによる測定データは、後述のCPU11の明るさ判定部11bに送られて、明るさ判定部11bは、測定照度値が所定の値以下であれば、自車周囲の明るさを暗いと判定する。
【0036】
制御部10は、CPU11(制御手段)、フラッシュメモリ12、ROM13、及びRAM14を有する。CPU11は、情報記憶部4に記憶されたデータやプログラムを基に、必要な演算処理をすることにより、種々のナビゲーション機能を実現する。ROM13は、フラッシュメモリ12のプログラムチェック、及びフラッシュメモリ12に記憶されたプログラムやデータに基いて情報記憶部4に格納されたプログラムやデータの更新処理を行うプログラムを格納し、RAM14は、設定された目的地の地点座標、道路名等の探索されたルート案内情報や演算処理中のデータを一時的に格納する。また、制御部10は、入力操作部2からの音声入力処理を行ったり、CPU11からの音声出力制御信号に基づいて情報記憶部4から読み出した音声をアナログ信号に変換して音声案内信号として音声出力部61に出力する音声プロセッサ、位置検出部3の各センサや照度センサ9からのセンサ信号を取り込むためのセンサ入力インタフェースなどを備えている。
【0037】
上記CPU11は、ルート探索部(ルート探索手段)11a、明るさ判定部(判定手段)11b、表示画面オフ部(表示画面オフ手段)11c、メッセージ報知部(報知手段)11d、照明灯検知部(照明灯検知手段)11e、及び時間計測部11fを有する。
【0038】
ルート探索部11aは、現在地から入力操作部2で設定された目的地までの候補ルートを探索する。ユーザは、この探索された候補ルートより、入力操作部2を用いて、目的地ルートを選択する。
【0039】
明るさ判定部11bは、車両の走行時における自車周囲の明るさを判定する。この明るさの判定部11bは、例えば、後述の照明灯検知部11eにより照明灯具のオン状態を検知すると自車周囲の明るさを暗いと判定し、また、日の出時刻及び日の入り時刻のデータに基いて、日の出時刻前及び日の入り時刻後を自車周囲の明るさを暗いと判定し、さらに、照度センサ9により、自車周囲の明るさを測定し、この照度センサによる測定照度の値が所定値以下を示したときに、自車周囲の明るさを暗いと判定する。
【0040】
表示画面オフ部(表示画面オフ手段)11cは、ユーザが音声案内切替スイッチ8により音声案内を通常音声案内部63の通常音声案内から詳細音声案内部64の詳細音声案内に切替えたとき、表示部5の表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ)の表示画面をオフさせる。
【0041】
メッセージ報知部11dは、通常音声案内部63による通常音声案内中に、明るさ判定部11bが自車周囲の明るさを暗いと判定したときに、詳細音声案内部64による詳細音声案内の要否を確認するための確認メッセージをユーザに報知する。
【0042】
照明灯検知部11eは、例えば、自車の前方を照明する照明灯具(例えば、ヘッドライト)のオンオフ状態(ヘッドライトスイッチのオンオフ状態)を検知し、その検知情報を明るさ判定部11bに伝達する。そして、照明灯検知部11eが照明灯具のオン状態(ヘッドライトスイッチのオン状態)を検知すると、この検知情報に基き明るさ判定部11bは、自車周囲の明るさを暗いと判定する。
【0043】
時間計測部11fは、時計を備え、情報記憶部4に記憶されているカレンダーデータの暦データに含まれている毎日の日の出時刻、日の入り時刻と現在の時刻から、日の出時刻、日の入り時刻になったことを検出する。この検出された日の出、日の入りの時刻情報は、明るさ判定部11bに伝達され、この時刻情報に基き、明るさ判定部11bは、日の出時刻前、及び日の入り時刻後を、自車周囲の明るさを暗いと判定する。また、時間計測部11fは、停車位置からの連続走行時間など走行時間の計測、目的地到着時間、運転所要時間の算出等の時間計測、時間演算等の時間計測処理を行う。
【0044】
本実施形態のナビゲーション装置のシステム全体の流れを説明する。CPU11に情報記憶部4からプログラムが読み込まれてルート案内のプログラムが起動されると、CPU11は、位置検出部3により現在位置を検出して現在位置を中心としてその周辺地図を表示部5に表示すると共に、現在位置の名称等を表示する。次に、入力操作部2により、ユーザが地名や施設名称等の目標名、電話番号や住所、登録地点、道路名等を用いて目的地を設定する。目的地が設定されると、CPU11は、ルート探索部11aにより、現在位置から目的地までのルート探索を行って、候補ルートを抽出する。この候補ルートの中から、ユーザがルートを選択して、目的地ルートが決まると、CPU11は、表示部5と音声案内部6により、表示案内と音声案内とによるルート案内をスタートさせる。
【0045】
このとき、音声案内部6によるルートの音声案内は、当初、通常音声案内部63による周囲が明るいときの音声案内である通常音声案内からスタートする。そして、例えば、暗くなって、ヘッドライトスイッチのオンにより自車のヘッドライトが点灯されて、照明灯検知部11eで点灯を検知したとき、又は、時間計測部11fで日の出、日の入り時刻を検知したとき、又は、照度センサ9で測定された自車周囲の照度値が所定値以下となったことを検知したときは、それぞれ明るさ判定部11bが自車周囲の明るさが暗いと判定する。この判定により、CPU11は、メッセージ報知部11dにより詳細音声案内の要否を確認するための確認メッセージをユーザに報知する。この確認メッセージの報知は、音声案内部6から確認メッセージのアナウンスすることにより行われる。ユーザは、この確認メッセージの報知を受け、詳細音声案内を必要と判断すると、手動で音声案内切替スイッチ8を切替えるか、又は音声入力部22を介したユーザの音声による指示(「はい。」等)で音声案内切替スイッチ8を切替える。この切替えにより、詳細音声案内部64による詳細音声案内がスタートする。このとき、音声案内切替スイッチ8の切替えに連動して、CPU11は、表示画面オフ部11cにより表示部5の表示画面をオフにする。これにより、自車周囲の明るさが暗くなると、表示部5の表示デバイスの表示画面が略黒画面になるので、ユーザは、表示画面からの眩しい光を感じることがなくなり、安全に運転することができる。なお、確認メッセージの報知と共に、表示部5の表示画面に確認メッセージを表示してもよい。
【0046】
次に、本実施形態のナビゲーション装置1の動作手順について、図2のフローチャートを参照して説明する。ユーザが、入力操作部2で目的地を入力すると(S1)、CPU11は、ルート探索部11aにより目的地の候補ルートを探索する(S2)。CPU11は、ユーザが探索された候補ルートから目的地ルートを入力操作部2により選択すると、表示部5による表示案内と、音声案内部6の通常音声案内部63からの通常音声案内とによるルート案内を開始する(S4)。そして、CPU11は、照明灯検知部11eによるヘッドライトの灯火の検知、又は、時間計測部11fによる日の出、日の入り時刻の検知、又は、照度センサ9による自車周囲の照度値が所定値以下となったことの検知、の少なくともいずれかの検知により(S5)、明るさ判定部11bにより自車周囲の明るさが暗くなったと判定すると(S6でYES)、メッセージ報知部11dにより詳細音声案内の要否をユーザに確認するための確認メッセージをユーザに報知する(S7)。ユーザは、この確認メッセージの報知を受け、詳細音声案内を必要と判断した場合に(S8)、手動又は音声入力で音声案内切替スイッチ8を切替える(S9)。この切替えにより、CPU11は、詳細音声案内部64による詳細音声案内を開始させると共に(S10)、表示画面オフ部11cにより表示部5の表示画面をオフする(S11)。S6及びS8でNOの場合は、S4に戻る。これにより、自車周囲の明るさが暗くなると、表示部5の表示デバイスの表示画面を消すので画面が黒くなり、ユーザは、表示画面からの眩しい光を感じることがなくなり、安全に運転することができる。なお、ここでは、この表示部5の画面表示の消去は、表示デバイスの駆動電源をオフすることによって行っているが、表示画面を表示駆動信号により黒表示にしてもよい。
【0047】
上述のように、本実施形態のナビゲーション装置1によれば、自車周囲が暗くなれば、表示画面をオフにさせて、音声案内を詳細にすることができるので、自車周囲の明るさに比べて表示画面の明るさが相対的に明るくなる夜間の走行中などにおいて、明る過ぎる案内画面の眩しさにより、ユーザが表示画面を視た時に目が眩む等して、安全な運転走行が妨げられることを防ぐことができる。同時に、詳細音声案内により、音声ルート案内が通常より詳細に案内されるので、表示案内無しに、音声案内だけで目的地ルートを走行することが可能となり、安全に運転することができる。
【0048】
また、ユーザは、多くの詳細な音声案内情報を得ることができるので、表示画面による案内がなくても、目的地へのルートを確実に走行することができる。
【0049】
また、音声案内の間隔をユーザの所望の時間間隔又は走行距離間隔に設定できるので、例えば、夜間において表示案内を消した場合は、音声案内の時間間隔又は走行距離間隔を短くして、詳細音声案内部64による音声案内を頻繁に詳細に行うことにより、音声案内だけで安全に走行し易いようにできる。また、昼間において、余り頻繁に案内を必要としない、所定の距離より長い交差点のない一本道を行く場合や、長く走行する走行路線名を案内する場合などにおいては、音声案内部6による音声案内の案内時間間隔、又は案内走行距離間隔を長く設定することにより、短い間隔で同じような案内を何回も聴く煩わしさを低減できるなど、ユーザが好適な間隔で案内を聴くことができる。
【0050】
また、ユーザは、声により音声案内スイッチを切替えることができるので、運転中でも容易に安全に音声案内を詳細音声案内に切替えることができる。
【0051】
また、車両の照明灯具の点灯により自車周囲の明るさを暗いと判定できるので、夜間以外に、トンネルの中や天候悪化による暗天時に、車両の照明灯具を点灯した場合も、音声案内を切替えることができる。
【0052】
また、日の出時刻及び日の入り時刻のデータに基いて、自車周囲の明るさの判定を行うことができるので、明るさの判定を簡単に行うことができる。
【0053】
また、照度センサ9を備えているので、時間、場所に関係なく、確実に自車周囲が暗くなったことを検出することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。本実施形態では、音声切換スイッチを表示部以外に設けたが、例えば、表示部のタッチパネルの端部に、運転の妨げにならない程度に小さい面積で音声切換スイッチのタッチ部分を設けることにより、音声切換スイッチを簡単に構成できると共に、夜間でも音声切換スイッチだけを表示しておくことができるので、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置のブロック構成図。
【図2】同上装置の動作手順を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0056】
1 ナビゲーション装置
2 入力操作部(入力手段)
3 位置検出部(現在位置検出手段)
4 情報記憶部(情報記憶手段)
5 表示部(表示案内手段、案内手段)
6 音声案内部(音声案内手段、案内手段)
8 音声案内切替スイッチ
9 照度センサ
10 制御部(制御手段)
11 CPU(制御手段)
11a ルート探索部(ルート探索手段)
11b 明るさ判定部(判定手段)
11c 表示画面オフ部(表示画面オフ手段)
11d メッセージ報知部(報知手段)
11e 照明灯検知部(照明灯検知手段)
22 音声入力部(音声認識手段)
23 案内発生条件設定部(案内発生条件設定入力手段)
63 通常音声案内部(通常音声案内手段)
64 詳細音声案内部(詳細音声案内手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載可能であり、
目的地を入力するための入力手段と、
前記車両の現在位置から前記入力された目的地までのルートを探索するルート探索手段と、
前記ルート探索手段によるルート探索に必要なナビゲーション情報を記憶する情報記憶手段と、
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記ルート探索手段により探索されたルートを案内する案内手段と、
装置全体を制御する制御手段と、を備え、
前記案内手段が、前記ルート探索手段により探索されたルートを、表示デバイスの表示画面に表示してルート案内する表示案内手段と、音声でルート案内する音声案内手段と、を有するナビゲーション装置において、
前記音声案内手段は、周囲が明るいときの音声案内(これを、通常音声案内という)を行うための通常音声案内手段と、該通常音声案内より詳細な音声案内(これを、詳細音声案内という)を行うための詳細音声案内手段とを有し、
前記通常音声案内手段による通常音声案内と前記詳細音声案内手段による詳細音声案内とを切替える音声案内切替スイッチと、
前記詳細音声案内手段による詳細音声案内の要否を確認するための確認メッセージをユーザに報知する報知手段と、
前記車両の走行時における自車周囲の明るさを判定する判定手段と、
前記表示案内手段の表示デバイスの表示画面をオフさせる表示画面オフ手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、
前記通常音声案内手段による通常音声案内中に、前記判定手段が自車周囲の明るさを暗いと判定したときに、前記報知手段よりユーザに詳細音声案内の要否を確認するための確認メッセージを報知し、
ユーザが、この確認メッセージを基に前記詳細音声案内を必要と判断して、前記音声案内切替スイッチによりルートの音声案内を前記通常音声案内手段の通常音声案内から前記詳細音声案内手段の詳細音声案内に切替えると、前記表示画面オフ手段により前記表示案内手段の表示デバイスの表示画面をオフさせることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記詳細音声案内手段による音声案内は、交差点毎の交差点名案内、次の交差点までの距離案内、走行途中の施設名案内、前記車両の現在位置から目的地までの距離又は時間の案内、連続運転走行時間案内、及び走行路線名案内の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記入力手段は、前記検索されたルートの音声案内の時間間隔及び走行距離間隔を設定入力するための案内発生条件設定入力手段を有し、
前記制御手段は、ユーザが前記案内発生条件設定入力手段により、予め設定入力した時間間隔、走行距離間隔にしたがって、前記音声案内手段により音声案内を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記入力手段は、ユーザの音声を認識する音声認識手段を備え、
前記制御手段は、前記音声認識手段でユーザの音声を認識したときに、前記音声案内切替スイッチを切替えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記車両の前方を照明する照明灯具のオンオフ状態を検知する照明灯検知手段を、さらに備え、
前記判定手段は、前記照明灯検知手段により前記照明灯具のオン状態が検知されると自車周囲の明るさを暗いと判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記判定手段は、日の出時刻及び日の入り時刻のデータに基いて、日の出時刻前及び日の入り時刻後を、自車周囲の明るさを暗いと判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記判定手段は、自車周囲の明るさを測定する照度センサを備え、該照度センサによる測定照度の値が所定値以下を示したときに、自車周囲の明るさを暗いと判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−25071(P2009−25071A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186656(P2007−186656)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】